以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。ただし、以下の実施形態は単なる例示である。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。
<1 ブロック共重合体>
本発明のブロック共重合体は、後述する式(1)で表される構造単位を60質量%以上含むAブロックと、後述する式(2)で表される構造単位を含むBブロックとを有し、酸価が10mgKOH/g以下であることを特徴とする。
本発明のブロック共重合体は、Aブロックが式(1)で表される構造単位を60質量%以上含むため、この側鎖に導入されたポリラクトン鎖(エステル結合部分および末端ヒドロキシ基を有する。)によって優れたアルカリ現像性を有する。ここで、分散剤として使用されるブロック共重合体のポリラクトン鎖の導入量を高めた場合、酸性基が存在すると、得られる着色組成物の粘度が増大する傾向がある。これは、ポリラクトン鎖と酸性基との相互作用によるものと考えられる。しかしながら、本発明のブロック共重合体は、式(1)で表される構造単位の含有率を高めるとともに、酸価を10mgKOH/g未満に制御することで、着色組成物の粘度の増大を抑制することができる。よって、着色組成物の分散剤として用いたときに、粘度が小さく、優れたアルカリ現像性を有する着色組成物が得られる。
本発明において、「Aブロック」は「Aセグメント」と言い換えることができ、「Bブロック」は「Bセグメント」と言い換えることができる。本発明において、「ビニルモノマー」とは分子中にラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーのことをいう。「ビニルモノマーに由来する構造単位」とは、ビニルモノマーのラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合が、重合して炭素−炭素単結合になった構造単位をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリレート」は「アクレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクロイル少なくとも一方」をいう。
本発明のブロック共重合体の各種構成成分等について以下説明する。
(1.1 Aブロック)
Aブロックは、下記式(1)で表される構造単位を60質量%以上含むポリマーブロックである。Aブロックにおける式(1)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし2種以上を有していてもよい。Aブロックは、下記式(1)で表される構造単位の側鎖に、エステル結合部分および末端ヒドロキシ基を有することから、溶媒、バインダー樹脂との高い親和性を有する。そのため、前記ブロック共重合体を分散剤として使用することで、顔料の分散性だけでなく、アルカリ現像性も向上し、また、着色組成物から形成される乾燥析出物の溶媒への再溶解が容易となると考えられる。
[式(1)において、nは1〜10の整数である。R
11は水素原子またはメチル基である。R
12は炭素数が1〜10のアルキレン基である。R
13は炭素数が1〜10のアルキレン基である。]
前記式(1)のnは、1〜7の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましい。
前記R12で示される炭素数が1〜10のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記R12で示される炭素数が1〜10のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、1−メチルエチレン基等が挙げられる。R12は、炭素数が1〜5のアルキレン基であることが好ましい。
前記R13で示される炭素数が1〜10のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。R13は、炭素数が1〜8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が3〜8のアルキレン基であることがより好ましい。
前記式(1)で示される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物(式(1)中、R13がペンタメチレン基)が好ましい。前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物(式(1)中、R11が水素原子またはメチル基、R12がエチレン基、R13がペンタメチレン基、nが1〜10)が好ましい。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン1mol付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン2mol付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン3mol付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン4mol付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン5mol付加物等が挙げられる。
前記式(1)で示される構造単位の含有率は、Aブロック100質量%中において、60質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。前記式(1)で示される構造単位の含有率が60質量%以上であればアルカリ溶液に対する溶解性が向上し、アルカリ現像性がより向上し、90質量%以下であれば溶媒とバインダー樹脂との親和性のバランスが整えられ、着組成物の粘度の上昇が抑制される。
前記Aブロックは、前記式(1)で示される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。Aブロックに含まれ得る他の構造単位は、式(1)で表される構造単位を形成するビニルモノマー、および後述のBブロックを形成するビニルモノマーの両方と共重合し得るビニルモノマーにより形成されるものであれば特に制限はない。Aブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Aブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、α−オレフィン、芳香族ビニルモノマー、ヘテロ環を含有するビニルモノマー、ビニルアミド、カルボン酸ビニル、ジエン類、(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。これらのビニルモノマーはヒドロキシ基、エポキシ基を有していてもよい。
α−オレフィンとしては、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、1−ビニルナフタレン等が挙げられる。
ヘテロ環を含有するビニルモノマーとしては、2−ビニルチオフェン、N−メチル−2−ビニルピロール、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
ビニルアミドとしては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−ε−カプトラクタム等が挙げられる。
カルボン酸ビニルとしては、酢酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。
ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等が挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、鎖状アルキル基(直鎖アルキル基または分岐鎖状アルキル基)を有する(メタ)アクリレート;環状アルキル基(単環構造)を有する(メタ)アクリレート;芳香環基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド;ポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート;環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの鎖状アルキル基としては、炭素数1〜10の鎖状アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖アルキル基が好ましい。鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの環状アルキル基としては、炭素数6〜12の環状アルキル基であることが好ましい。環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、ヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香環基を有する(メタ)アクリレートの芳香環としては、炭素数6〜12の芳香環であることが好ましい。芳香環基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(重合度=1〜5)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=1〜5)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=1〜5)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=1〜5)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=1〜5)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=1〜5)プロピルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸2−(4−モルホリニル)エチル、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2−〔(2−テトラヒドロピラニル)オキシ〕エチル(メタ)アクリレート、1,3−ジオキサン−(メタ)アクリレート等が挙げられる。
Aブロックに含まれ得る他の構造単位を形成し得るビニルモノマーは、(メタ)アクリルモノマーが好ましく、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、芳香環基を有する(メタ)アクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。Aブロックで使用し得る前記ビニルモノマーは、それぞれ1種または2種以上を使用することができる。
Aブロックが、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、芳香環基を有する(メタ)アクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種のビニルモノマーに由来する構造単位を有する場合、これらの構造単位の合計含有率は、Aブロック100質量%中において10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、40質量%以下が好ましく、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。前記範囲であることで、溶媒とバインダー樹脂との親和性のバランスが整えられ、着組成物の粘度の上昇が抑制される。
また、Aブロックは、アミノ基を有さないことが好ましい。つまり、Aブロックを構成するビニルモノマーには、アミノ基を有するビニルモノマーを含有しないことが好ましい。Aブロックにアミノ基が多量に存在すると、顔料分散剤として使用した際に、顔料がAブロックおよびBブロックの両方に吸着されてしまい、顔料の分散性能が低下する。Aブロック中のアミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位(アミノ基が4級化されているものを含む。)の含有率は、2質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、もっとも好ましくは0質量%である。
Aブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Aブロックに含有される各種構造単位は、Aブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等のいずれの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Aブロックが、a1ブロックからなる構造単位とa2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
(1.2 Bブロック)
Bブロックは、下記式(2)で表される構造単位を有するポリマーブロックである。Bブロックにおける式(2)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし2種以上を有していてもよい。Bブロックは、下記式(2)で表される構造単位の側鎖に、4級アンモニウム塩基を有することから、顔料との高い親和性を有する。
[式(2)において、R
21は水素原子またはメチル基を示す。R
22、R
23およびR
24は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状の炭化水素基を示す。R
22、R
23およびR
24のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。Y
2は2価の連結基を示す。Z
-は対イオンを示す。]
前記R22〜R24で表される鎖状の炭化水素基には、直鎖状および分岐鎖状のいずれも含まれる。前記R22〜R24で表される鎖状の炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、ベンゾイル基(−COC6H5)、ヒドロキシ基等が挙げられる。前記R22〜R24で表される環状の炭化水素基が有する置換基としては、鎖状のアルキル基、ハロゲン基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
前記R22〜R24で表される基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜16のアラルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基(−CH2C6H5)がより好ましい。
前記R22〜R24のうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば、5〜7員環の含窒素複素単環またはこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香族性を有しないものが好ましく、飽和環がより好ましい。具体的には下記式(21−1)、(21−2)、(21−3)で表される構造が挙げられる。
[式(21−1)、(21−2)、(21−3)において、R
61は、R
22〜R
24のいずれかである。R
62は、炭素数1〜6のアルキル基である。lは0〜5の整数である。mは0〜4の整数である。nは0〜4の整数である。lが2〜5、mが2〜4、nが2〜4の場合、複数存在するR
62は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。*は結合手を示す。]
前記式(2)において、2価の連結基Y2としては、例えば、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R25−基、−COO−R26−基〔ただし、R25およびR26は単結合、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、または炭素数2〜10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である〕等が挙げられ、好ましくは−COO−R26−基であり、−COO−R27−基〔ただし、R27はメチレン基、炭素数2〜4のアルキレン基〕がより好ましい。
Z-としては、ハロゲンアニオン、アルキルカルボキシレートアニオン、ニトロキシドアニオン、アルキルスルフェートアニオン、スルホネートアニオン、ホスフェートアニオン、アルキルホスフェートアニオン等が挙げられる。
前記式(2)で示される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムフロリド等が挙げられる。
前記式(2)で示される構造単位の含有率は、Bブロック100質量%中において10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。前記式(2)で示される構造単位の含有率が10質量%以上であれば顔料表面への強い吸着性から分散性が向上し、また、粘度上昇が抑制されるだけでなく、水やアルカリとの高い親和性から、アルカリ現像性も向上する。前記式(2)で示される構造単位の含有率が、50質量%以下であれば顔料表面への強い吸着性由来の顔料同士の橋かけ凝集が抑制され、粘度上昇が抑制される。
前記Bブロックは、式(3)で示される構造単位を有していてもよい。式(3)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし2種以上を有していてもよい。
[式(3)において、R
31は水素原子またはメチル基を示す。R
32およびR
33は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状の炭化水素基を示す。R
32およびR
33が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。Y
3は2価の連結基を示す。]
前記R32またはR33で表される鎖状の炭化水素基には、直鎖状および分岐鎖状のいずれも含まれる。前記R32またはR33で表される鎖状の炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、ベンゾイル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。前記R32またはR33で表される環状の炭化水素基が有する置換基としては、鎖状のアルキル基、ハロゲン基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
前記R32またはR33で表される基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜16のアラルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基がより好ましい。
前記R32またはR33が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば、5〜7員環の含窒素複素単環またはこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香族性を有しないものが好ましく、飽和環がより好ましい。具体的には下記式(31−1)、(31−2)、(31−3)で表される構造が挙げられる。
[式(31−1)、(31−2)、(31−3)において、R
71は、炭素数1〜6のアルキル基である。lは0〜5の整数である。mは0〜4の整数である。nは0〜4の整数である。lが2〜5、mが2〜4、nが2〜4の場合、複数存在するR
71は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。*は結合手を示す。]
前記式(3)において、2価の連結基Y3としては、例えば、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R34−基、−COO−R35−基〔ただし、R34およびR35は単結合、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、または炭素数2〜10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である〕等が挙げられ、好ましくは−COO−R35−基であり、−COO−R36−基〔ただし、R36はメチレン基、炭素数2〜4のアルキレン基〕がより好ましい。
前記式(3)で表される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記式(3)で示される構造単位の含有率は、Bブロック100質量%中において50質量%以上が好ましく、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
Bブロックは、式(2)で表される構造単位および式(3)で表される構造単位のみであっても良いし、他の構造単位が含まれていてもよい。顔料との親和性を保持する観点から、Bブロック中の式(2)で表される構造単位と式(3)で表される構造単位との合計含有率は、80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。式(2)で表される構造単位は側鎖に4級アンモニウム塩基を有し、式(3)で表される構造単位は側鎖に3級アミノ基を有する。4級アンモニウム塩基と3級アミノ基を前記範囲にすることで、顔料表面への強い吸着性を長期的に維持でき、着色組成物の保存安定性が向上する。
また、Bブロックは、式(1)で表される構造単位を実質的に含有しないことが好ましい。すなわち、式(1)で表される構造単位の含有率は、Bブロック100質量%中において、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
Bブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、Aブロックの他の構造単位を形成し得るビニルのモノマーの具体例として例示したものと同一のものを挙げることができる。
Bブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Bブロックに含有される各種構造単位は、Bブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等のいずれの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Bブロックが、b1ブロックからなる構造単位とb2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
(1.3 ブロック共重合体)
ブロック共重合体の構造は、線状ブロック共重合体であることが好ましい。また、線状ブロック共重合体は、いずれの構造(配列)であっても良いが、線状ブロック共重合体の物性、または組成物の物性の観点から、AブロックをA、BブロックをBと表現したとき、(A−B)m型、(A−B)m−A型、(B−A)m−B型(mは1以上の整数、例えば1〜3の整数)よりなる群から選択される少なくとも1種の構造を持つ共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い性、組成物の物性の観点から、A−Bで表されるジブロック共重合体であることが好ましい。A−Bで表されるジブロック共重合体を構成することで、Aブロックに有する式(1)で表される構造単位と、Bブロックに有する式(2)で表される構造単位とが局在化し、本発明のブロック共重合体を着色組成物に用いた場合、効率的に顔料と、溶媒、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂)と好適に作用することができると考えられる。
Aブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。Bブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。AブロックおよびBブロックの含有率を、前記範囲内に調整することで、分散剤として使用した際の分散性能とアルカリ現像性をバランスよく両立できる。
ブロック共重合体中のAブロックとBブロックとの質量比(Aブロック/Bブロック)は、50/50以上が好ましく、より好ましくは60/40以上、さらに好ましくは70/30以上であり、95/5以下が好ましく、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下である。AブロックとBブロックとの質量比が前記範囲内であれば、分散剤として使用した際の分散性能とアルカリ現像性をバランスよく両立できる。
前記式(1)で示される構造単位の含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、40質量%以上が好ましく、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、80質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
前記式(2)で示される構造単位と式(3)で示される構造単位との合計含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
本発明のブロック共重合体の分子量は、ゲルパーミエーショングラフィー(以下「GPC」という。)法により測定される。前記ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は5000以上が好ましく、より好ましくは6000以上、さらに好ましくは7000以上であり、15000以下が好ましく、より好ましくは12000以下、さらに好ましくは10000以下である。重量平均分子量が上記範囲内にあれば、分散剤として使用した際の分散性能がより良好となる。
本発明のブロック共重合体の分子量分布(PDI)は、2.0以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましい。ブロック共重合体の分子量分布(PDI)が、2.0を超えると、分子量の小さいものや、分子量の大きいものが含まれることになる。
本発明のブロック共重合体のアミン価は、顔料への吸着性および顔料分散性の観点から、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは20mgKOH/g以上、さらに好ましくは30mgKOH/g以上であり、250mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは200mgKOH/g以下、さらに好ましくは150mgKOH/g以下、特に好ましくは100mgKOH/g以下である。アミン価は、前記式(3)で示される構造単位の含有率で調整することができる。
本発明のブロック共重合体の酸価は、10mgKOH/g未満、より好ましくは5mgKOH/g以下、さらに好ましくは3mgKOH/g以下である。酸価は、酸性基を有する構造単位に由来するが、酸価が前記範囲を超えると、着色組成物の粘度が上昇し、4級アンモニウム塩基の含有率が多くなると特に粘度上昇が顕著となるため、好ましくない。従来、側鎖にアミノ基または4級アンモニウム塩基を有する重合体からなる分散剤は、更に側鎖に酸性基を有することで、着色組成物のアルカリ現像性が向上することが知られている。しかし、理由は定かではないが、本発明のブロック共重合体においては酸性基を有しないことで、着色組成物の粘度が低くなり、アルカリ現像性を向上することが可能となる。
<2 ブロック共重合体の製造方法>
本発明のブロック共重合体の製造方法としては、ビニルモノマーの重合反応によって、Aブロックを先に製造し、AブロックにBブロックのモノマーを重合する方法;Bブロックを先に製造し、BブロックにAブロックのモノマーを重合する方法;AブロックとBブロックとを別々に製造した後、AブロックとBブロックとをカップリングする方法;Aブロックを先に製造し、Aブロックに式(3)で表される構造単位を形成し得るビニルモノマーを含有するモノマー組成物を重合し、得られた重合物中の式(3)で表される構造単位の一部の3級アミン構造を4級化する方法;式(3)で表される構造単位を形成し得るビニルモノマーを含有するモノマー組成物を重合し、この重合物にAブロックのモノマーを重合し、得られた重合物中の式(3)で表される構造単位の一部の3級アミン構造を4級化する方法;Aブロックと式(3)で表される構造単位を有するブロックとを別々に製造し、これらのブロックをカップリングした後、得られた重合物中の式(3)で表される構造単位の一部の3級アミン構造を4級化する方法;が挙げられる。
式(3)で表される構造単位の3級アミン基を4級化する場合、4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル;塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等のハロゲン化アラルキル;硫酸ジメチル;硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロプル等の硫酸ジアルキル;等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等のハロゲン化アラルキルであり、より好ましくは塩化ベンジルである。4級化後の構造には、4級化剤に由来するアルキル基、アラルキル基が導入される。よって、4級化により導入されたアルキル基、アラルキル基の量を測定することで、式(2)で表される構造単位の量を推定することができる。
重合物中の式(3)で表される構造単位の一部の3級アミン構造を4級化する方法としては、重合物と4級化剤とを接触させる方法が挙げられる。具体的には、式(3)で表される構造単位を形成し得るビニルモノマーを含有するモノマー組成物を重合した後、この反応液に4級化剤を添加し、撹拌する方法が挙げられる。4級化剤を添加する反応液の温度は55℃〜65℃が好ましく、撹拌時間は、5時間〜20時間が好ましい。4級化剤を添加する際に、重合後の反応液を希釈することも好ましい。希釈のために添加する溶媒としては、重合反応に使用し得る溶媒が挙げられ、プロトン性溶媒が好ましく、メタノールがより好ましい。
前記ビニルモノマーの重合法は特に限定されないが、リビングラジカル重合が好ましい。すなわち、本発明で用いるブロック共重合体としては、リビングラジカル重合を用いて重合されたものが好ましい。従来のラジカル重合法は、開始反応、成長反応だけでなく、停止反応、連鎖移動反応により成長末端の失活が起こり、様々な分子量、不均一な組成のポリマーの混合物となり易い傾向がある。前記リビングラジカル重合法は、従来のラジカル重合法の簡便性と汎用性を保ちながら、停止反応や、連鎖移動が起こりにくく、成長末端が失活することなく成長するため、分子量分布の精密制御、均一な組成のポリマーの製造が容易である点で好ましい。
リビングラジカル重合法には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、遷移金属触媒を用いる方法(ATRP法);硫黄系の可逆的連鎖移動剤を用いる方法(RAFT法);有機テルル化合物を用いる方法(TERP法)等がある。ATRP法は、アミン系錯体を使用するため、酸性基を有するビニルモノマーの酸性基を保護しなければ、使用できない場合がある。RAFT法は、多種のモノマーを使用した場合、低分子量分布になりづらく、かつ硫黄臭や着色等の不具合がある場合がある。これらの方法の中でも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、均一な組成、あるいは着色の観点から、TERP法を用いることが好ましい。
TERP法とは、有機テルル化合物を重合開始剤として用い、ラジカル重合性化合物(ビニルモノマー)を重合させる方法であり、例えば、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および、国際公開第2004/096870号に記載された方法である。
TERP法の具体的な重合法としては、下記(a)〜(d)が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを、式(4)で表される有機テルル化合物を用いて重合する方法。
(b)ビニルモノマーを、式(4)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤との混合物を用いて重合する方法。
(c)ビニルモノマーを、式(4)で表される有機テルル化合物と式(5)で表される有機ジテルル化合物との混合物を用いて重合する方法。
(d)ビニルモノマーを、式(4)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤と式(5)で表される有機ジテルル化合物との混合物を用いて重合する方法。
[式(4)において、R
41は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基である。R
42およびR
43は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。R
44は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基またはプロパルギル基である。]
[式(5)において、R
41は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基である。]
R41で表される基は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基や、シクロヘキシル基等の環状アルキル基を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
芳香族ヘテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
R42およびR43で表される基は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、各基は、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基や、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基である。
R44で表される基は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基またはプロパルギル基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。好ましくはフェニル基である。
置換アリール基としては、置換基を有しているフェニル基、置換基を有しているナフチル基等を挙げることができる。置換基を有しているアリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、−COR441で示されるカルボニル含有基(R441は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基またはアリーロキシ基)、スルホニル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、1個または2個置換しているのがよい。
芳香族ヘテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルキル基が酸素原子に結合した基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tet−ブトキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクチロキシ基等を挙げることができる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
アミド基としては、−CONR4421R4422(R4421、R4422は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基)を挙げることがきる。
オキシカルボニル基としては、−COOR443(R443は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基)で表される基が好ましく、例えばカルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、ter−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等を挙げることができる。好ましいオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が挙げられる。
アリル基としては、−CR4441R4442−CR4443=CR4444R4445(R4441、R4442は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、R4443、R4444、R4445は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基であり、それぞれの置換基が環状構造で繋がっていてもよい)を挙げることができる。
プロパルギル基としては、−CR4451R4452−C≡CR4453(R4451、R4452は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、R4453は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはシリル基)を挙げることができる。
式(4)で表される有機テルル化合物は、具体的には(メチルテラニルメチル)ベンゼン、(メチルテラニルメチル)ナフタレン、エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート、エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート、(2−トリメチルシロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート、(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネートまたは(3−トリメチルシリルプロパルギル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート等、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および国際公開第2004/096870号に記載された有機テルル化合物の全てを例示することができる。
式(5)で表される有機ジテルル化合物は、具体的には、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−s−ブチルジテルリド、ジ−t−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリドまたはジピリジルジテルリド等を例示することができる。
アゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限なく使用することができる。例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)、2,2’−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、または2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等を例示することができる。
前記(a)、(b)、(c)および(d)の重合法において、ビニルモノマーの使用量は、目的とする共重合体の物性により適宜調節すればよいが、通常、式(4)の有機テルル化合物1molに対しビニルモノマーを5mol〜10000molとすることが好ましい。
前記(b)の重合法において、式(4)の有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤とを併用する場合、アゾ系重合開始剤の使用量としては、通常、式(4)の有機テルル化合物1molに対してアゾ系重合開始剤を0.01mol〜10molとすることが好ましい。
前記(c)の重合法において、式(4)の有機テルル化合物と式(5)の有機ジテルル化合物とを併用する場合、式(5)の有機ジテルル化合物の使用量としては、通常、式(4)の有機テルル化合物1molに対して式(5)の有機ジテルル化合物を0.01mol〜100molとすることが好ましい。
前記(d)の重合法において、式(4)の有機テルル化合物と式(5)の有機ジテルル化合物とアゾ系重合開始剤とを併用する場合、アゾ系重合開始剤の使用量としては、通常、式(4)の有機テルル化合物と式(5)の有機ジテルル化合物の合計1molに対してアゾ系重合開始剤を0.01mol〜100molとするのがよい。
重合反応は、無溶媒でも行うことができるが、ラジカル重合で一般に使用される非プロトン性溶媒またはプロトン性溶媒を使用し、前記混合物を撹拌して行なってもよい。使用できる非プロトン性溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、ジオキサン、ヘキサフルオロイソプロパオール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはトリフルオロメチルベンゼン等を例示することができる。また、プロトン性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノールまたはジアセトンアルコール等を例示することができる。
溶媒の使用量としては、適宜調節すればよく、例えば、ビニルモノマー1gに対して、0.01ml以上が好ましく、より好ましくは0.05ml以上、さらに好ましくは0.1ml以上であり、50ml以下が好ましく、より好ましくは10ml以下、さらに好ましくは1ml以下である。
反応温度、反応時間は、得られる共重合体の分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、0℃〜150℃で、1分〜100時間撹拌する。TERP法は、低い重合温度および短い重合時間であっても高い収率と精密な分子量分布を得ることができる。
重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により、目的とする共重合体を分離することができる。
重合反応により得られる共重合体の成長末端は、−TeR41(式中、R41は前記と同じである)の形態であり、重合反応終了後の空気中の操作により失活していくが、テルル原子が残存する場合がある。テルル原子が末端に残存した共重合体は着色したり、熱安定性が劣ったりするため、テルル原子を除去することが好ましい。
テルル原子を除去する方法としては、トリブチルスタンナンまたはチオール化合物等を用いるラジカル還元方法;活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、モレキュラーシーブスおよび高分子吸着剤等で吸着する方法;イオン交換樹脂等で金属を吸着する方法;過酸化水素水または過酸化ベンゾイル等の過酸化物を添加したり、空気または酸素を系中に吹き込むことで共重合体末端のテルル原子を酸化分解させ、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留テルル化合物を除去する液−液抽出法や固−液抽出法;特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限界ろ過等の溶液状態での精製方法;を用いることができ、また、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。
<分散剤>
本発明の分散剤は、前記ブロック共重合体を主成分として含有するものである。前記ブロック共重合体は、例えば、その構造中(Bブロック)の3アミノ基、4級アンモニウム塩基が、酸性顔料または酸性基含有色素誘導体で処理された顔料の酸性基と強固に結合し、このBブロックが顔料に吸着することで、顔料分散性を高める作用を発揮すると考えられる。すなわち、本発明の分散剤は、この作用によって着色剤の良好に分散させる成分であるので、分散させる着色剤の種類については特に限定されない。
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、前記分散剤と、着色剤と、分散媒体およびバインダー樹脂とを含有する。
本発明の着色組成物の各種構成成分等について以下説明する。
(着色剤)
前記着色剤の種類および粒子径は、その用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。前記着色組成物は、着色剤として顔料を含有することが好ましい。顔料としては、有機顔料および無機顔料のいずれでもよいが、有機化合物を主成分とする有機顔料が特に好ましい。顔料としては、例えば、赤色顔料、黄色顔料、橙色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料等の各色の顔料が挙げられる。顔料の構造は、モノアゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合ジアゾ系顔料等のアゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キナクリドン系顔料、インディゴ系顔料、チオインディゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料等の多環系顔料等が挙げられる。着色組成物に含まれる顔料は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、122、123、146、149、168、177、178、179、187、200、202、208、210、215、224、254、255、264等の赤色顔料;C.I.Pigment Yellow 1、3、5、6、14、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、93、97、98、104、108、110、138、139、147、150、151、154、155、166、167、168、170、180、188、193、194、213等の黄色顔料;C.I.Pigment Orange 36、38、43等の橙色顔料;C.I.Pigment Blue 15、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60等の青色顔料;C.I.Pigment Green 7、36、58等の緑色顔料;C.I.Pigment Violet 23、32、50等の紫色顔料等が挙げられる。顔料は、これらの中でも、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 255、C.I.Pigment Red 264、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 58等が好ましい。
本発明において、分散剤は、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 255等のジケトピロロピロール系顔料を含む着色剤と共に使用することが好ましい。
着色組成物における着色剤の含有量の上限値は、輝度の観点から、着色組成物の固形分全量中において、通常80質量%であり、70質量%であることが好ましく、60質量%であることがより好ましい。また、着色組成物における着色剤の含有量の下限値は、着色組成物の固形分全量中において、通常10質量%であり、20質量%であることが好ましく、30質量%であることがより好ましい。ここで固形分とは、後述する分散媒体以外の成分である。
(分散媒体)
本発明の着色組成物は、分散媒体としては、着色組成物を構成する他の成分を分散または溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度に揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用できる。例えば従来公知の有機溶媒を使用することができ、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のグリコールアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート等のグリコールジアセテート類;シクロヘキサノールアセテート等のアルキルアセテート類;アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシプロパノール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の1価または多価アルコール類;n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシル等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類;アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等の鎖状または環状エステル類;3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸等のアルコキシカルボン酸類;ブチルクロライド、アミルクロライド等のハロゲン化炭化水素類;メトキシメチルペンタノン等のエーテルケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
有機溶媒は、着色剤等の分散性、分散剤の溶解性、着色組成物の塗布性等の観点から、グリコールアルキルエーテルアセテート類、1価または多価アルコール類であることが好ましい。着色組成物に含まれる溶媒は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
着色組成物中の分散媒体の含有量は、特に限定されず、適宜調整することができる。着色組成物中の分散媒体の含有量の上限値は、通常99質量%である。また、着色組成物中の分散媒体の含有量の下限値は、着色組成物の塗布に適した粘度を考慮して、通常70質量%であり、75質量%であることが好ましい。前記分散媒体は、着色組成物から形成される析出物を溶解、除去するための溶媒として使用できる。
(バインダー樹脂)
本発明の着色組成物は、バインダー樹脂(ただし、前記分散剤は除く)を含有する。これにより、着色組成物のアルカリ現像性や基板への結着性を高めることができる。このようなバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基等の酸性基を有する樹脂であることが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造単位と(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位とを含有するランダム共重合体が好ましい。前記カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸が好ましい。前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
前記バインダー樹脂は、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造単位と(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位との合計含有率が、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、前記バインダー樹脂は、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造の含有率が、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。
これらの中でも、カルボキシ基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルとのランダム共重合体であることが好ましい。このような共重合体の具体例としては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ブチルとのランダム共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ベンジルとのランダム共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸ベンジルとのランダム共重合体等が挙げられる。バインダー樹脂と着色剤との親和性の観点からは、バインダー樹脂は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ベンジルとのランダム共重合体であることが特に好ましい。
カルボキシ基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体において、(メタ)アクリル酸の含有量は、全モノマー成分中、通常5質量%〜90質量%であり、10質量%〜70質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましい。
バインダー樹脂のMwは、3,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましく、5,000〜20,000であることがさらに好ましい。バインダー樹脂のMwが3,000以上であると、着色組成物から形成された着色層の耐熱性、膜強度等が良好となり、Mwが100,000以下であると、この塗布膜のアルカリ水溶液による現像性がより一層良好となる。
バインダー樹脂の酸価は、20mgKOH/g〜170mgKOH/gであることが好ましく、50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがより好ましく、90mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがさらに好ましい。バインダー樹脂の酸価が20mgKOH以上/gであると、着色組成物を着色層としたときのアルカリ現像性がより一層良好となり、170mgKOH/g以下であると耐熱性が良好となる。
着色組成物に含まれるバインダー樹脂は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。顔料分散組成物において、バインダー樹脂の含有量は、着色剤100質量部に対して、5質量部〜200質量部であることが好ましく、10質量部〜100質量部であることがより好ましく、20質量部〜80質量部であることがさらに好ましい。
(架橋剤)
本発明の着色組成物は、架橋剤を含有してもよい。架橋剤とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。前記架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、または2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
前記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等が挙げられる。前記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。前記酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の二塩基酸の無水物;無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の四塩基酸二無水物が挙げられる。
本発明の着色組成物において、架橋剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、10質量部〜1,000質量部が好ましく、特に20質量部〜500質量部が好ましい。架橋剤の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、架橋剤の量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上または遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
(光重合開始剤)
本発明の着色組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠赤外線、電子線、X線等の放射線の露光により、架橋剤の重合を開始し得る活性種を発生する化合物である。
前記光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。光重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の着色組成物において、光重合開始剤の含有量は、架橋剤100質量部に対して、0.01質量部〜120質量部が好ましく、特に1質量部〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光により硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやくすなる傾向がある。
(その他配合剤)
本発明の着色組成物には、分散剤に用いる本発明を特徴づけるブロック共重合体中のアミノ基とイオン結合させて吸着させるために、さらに酸性基を有する酸性の色素誘導体を含有させることが好ましい。この色素誘導体は、色素骨格に酸性官能基が導入されたものである。色素骨格としては、着色組成物を構成している着色剤と同一または類似の骨格、該顔料の原料となる化合物と同一または類似の骨格が好ましい。色素骨格の具体例としては、アゾ系色素骨格、フタロシアニン系色素骨格、アントラキノン系色素骨格、トリアジン系色素骨格、アクリジン系色素骨格、ペリレン系色素骨格等を上げることができる。色素骨格に導入される酸性基としては、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基が好ましい。なお、合成の都合上、および酸性度の強さからスルホン酸基が好ましい。また、酸性基は、色素骨格に直接結合してもよいが、アルキル基やアリール基等の炭化水素基;エステル、エーテル、スルホンアミド、ウレタン結合を介して色素骨格に結合してもよい。
<着色組成物およびカラーフィルタの製造方法>
着色組成物は、着色剤、分散剤、分散媒体、バインダー樹脂、必要に応じて架橋剤、光重合開始剤、他の添加剤等を配合し、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ボールミル、ディゾルバー、ニーダー等の混合分散機を用いて混合することによって製造される。着色組成物は、混合後に濾過することが好ましい。他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤、防カビ剤等が挙げられる。
本発明の着色組成物は、粘度が小さく、優れたアルカリ現像性を有することから、カラーフィルタ用として好適に使用することができる。
本発明のカラーフィルタは、前記着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。カラーフィルタを製造する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。まず、基板上に、例えば、赤色の顔料が分散された本発明の着色組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。次いで、緑色または青色の各着色組成物を用い、上記と同様にして、各着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像およびポストベークを行って、緑色の画素アレイおよび青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。
本発明のカラーフィルタは、寸法精度等が高く、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に好適に使用することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、分散剤およびバインダー樹脂の重合率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(PDI)、アミン価および酸価、並びに着色組成物の粘度およびアルカリ現像性は、下記の方法に従って評価した。
なお、略語の意味は下記のとおりである。
BTEE:エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート
DBDT:ジブチルジテルリド
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
BMA:メタクリル酸ブチル
PCL5:2−ヒドロキシエチルメタクリレートの5molカプロラクトン付加物(ダイセル化学社製、プラクセル(登録商標)FM5)
DMAEMA:メタクリル酸ジメチルアミノエチル
BzCl:塩化ベンジル
MAA:メタクリル酸
BzMA:メタクリル酸ベンジル
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MeOH:メタノール
(重合率)
核磁気共鳴(NMR)測定装置(ブルカー・バイオスピン社製、型式:AVANCE500(周波数500MHz))を用いて、1H−NMRを測定(溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)した。得られたNMRスペクトルについて、モノマー由来のビニル基とポリマー由来のエステル側鎖のピークの積分比を求め、モノマーの重合率を算出した。
(重量平均分子量(Mw)および分子量分布(PDI))
高速液体クロマトグラフ(東ソー製、型式HLC−8320)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)より求めた。カラムはSHODEX KF−603(φ6mm×150mm)(SHODEX社製)を1本、移動相に10mmol/L臭化リチウム/10mmol/L酢酸/N−メチル―2−ピロリドン溶液、検出器に示差屈折計を使用した。測定条件は、カラム温度を40℃、試料濃度を10mg/mL、試料注入量を10μm、流速を0.2mL/minとした。標準物質としてポリスチレン(分子量427,000、190,000、96,400、37,400、10,200、2,630、906)を使用して検量線(校正曲線)を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から分子量分布(PDI=Mw/Mn)を算出した。なお、原料モノマーに酸性基含有モノマーを用いたブロック共重合体(ブロック共重合体No.8〜11)については、GPC測定の前処理として、メタノールとトリメチルシリルジアゾメタンを数滴加え、メチルエステル化反応を行ってからGPC測定を行った。
(アミン価)
アミン価は、固形分1gあたりの塩基性成分と当量の水酸化カリウム(KOH)の質量を表したものである。測定試料をテトラヒドロフランに溶解し、電位差滴定装置(商品名:GT−06、三菱化学社製)を用いて、得られた溶液を0.1mol/L塩酸/2−プロパノール溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式によりアミン価(B)を算出した。
B=56.11×Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L塩酸/2−プロパノール溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L塩酸(2−プロパノール性)の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
(酸価)
酸価は、固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。測定試料をテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液に1.0w/v%フェノールフタレインエタノール(90)溶液を指示薬として数滴加え、0.1mol/L水酸化カリウム/エタノール溶液で中和滴定した。少し赤みが残るところを滴定終点として、次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.1×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム/エタノール溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化カリウム/エタノール溶液の力価
w:測定サンプル質量(g)(固形分換算)
(粘度)
E型粘度計(商品名:TVE−22L、東機産業社製)を用い、コーンローター(1°34’×R24)を使用して、25℃下、ローター回転数60rpmで粘度を測定した。
(アルカリ現像性)
表面を洗浄した50mm×50mmのガラス板上に、スピンコーター(商品名:MS−A100、ミカサ社製)を用いて、2000rpm、5秒で着色組成物の塗布膜を形成し、60℃で10分間乾燥した。次に、塗布膜を形成したガラス板を0.1%水酸化カリウム水溶液に浸漬し、ディップコーター(商品名:DC4016、アイデン社製)でそのガラス板を引き上げ(速度0.22mm/s)、塗布膜が溶解するまでの時間でアルカリ現像性を評価した。
<ブロック共重合体の製造>
(製造例1:ブロック共重合体No.1)
アルゴンガス導入管と撹拌機を備えたフラスコに、PCL5(299.2g)、BMA(99.8g)、AIBN(2.46g)、PMA(266.0g)を仕込み、アルゴン置換後、BTEE(22.48g)、DBDT(13.84g)を加え、60℃で20時間反応させ、Aブロックを重合した。重合率は100%であった。
反応溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA(125.8g)、AIBN(1.23g)、PMA(83.9g)の混合溶液を加え、60℃で25時間反応させ、Bブロックを重合した。重合率は99%であった。
反応終了後、反応液に予めアルゴン置換したMeOH(495g)を加え希釈し、BzCl(10.1g)を希釈溶液に加え、60℃で12時間反応させることで4級化した。
反応終了後、撹拌しているn−ヘプタン中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することによりブロック共重合体No.1を得た。得られたブロック共重合体No.1は、Mwが11027、PDIが1.33、酸価が3mgKOH/g未満、アミン価が72mgKOH/gであった。
(製造例2〜7:ブロック共重合体No.2〜7)
ブロック共重合体No.1の製造法と同様にして、ブロック共重合体No.2〜7を作製した。表1に、使用した原料モノマー、有機テルル化合物、有機ジテルル化合物、アゾ系重合開始剤、溶媒、4級化剤、反応条件、重合率を示した。また、表2に、各ブロック共重合体の組成、Mw、PDI、酸価、アミン価を示した。
(比較製造例1:ブロック共重合体No.8)
アルゴンガス導入管と撹拌機を備えたフラスコに、PCL5(137.9g)、BMA(42.3g)、MAA(3.7g)、AIBN(0.82g)、PMA(120.1g)を仕込み、アルゴン置換後、BTEE(7.49g)、DBDT(4.61g)を加え、60℃で20時間反応させ、Aブロックを重合した。重合率は100%であった。
反応溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA(58.0g)、AIBN(0.41g)、PMA(38.6g)の混合溶液を加え、60℃で9時間反応させ、Bブロックを重合した。重合率は96%であった。
反応終了後、反応液に予めアルゴン置換したMeOH(230g)を加え希釈し、BzCl(4.7g)を希釈溶液に加え、60℃で12時間反応させることで4級化した。
反応終了後、撹拌しているn−ヘプタン中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することによりブロック共重合体No.8を得た。得られたブロック共重合体No.8は、Mwが9760、PDIが1.23、酸価が18mgKOH/g、アミン価が71mgKOH/gであった。
(比較製造例2および3:ブロック共重合体No.9および10)
ブロック共重合体No.8の製造法と同様にして、ブロック共重合体No.9および10を作製した。表1に、使用した原料モノマー、有機テルル化合物、有機ジテルル化合物、アゾ系重合開始剤、溶媒、4級化剤、反応条件、重合率を示した。また、表2に、各分散剤の組成、Mw、PDI、酸価、アミン価を示した。
(比較製造例4:ブロック共重合体No.11)
アルゴンガス導入管と撹拌機を備えたフラスコに、PCL5(137.9g)、BMA(38.6g)、MAA(7.4g)、AIBN(0.82g)、PMA(117.7g)を仕込み、アルゴン置換後、BTEE(7.49g)、DBDT(4.61g)を加え、60℃で13時間反応させ、Aブロックを重合した。重合率は100%であった。
反応溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA(58.0g)、AIBN(0.41g)、PMA(38.6g)の混合溶液を加え、60℃で10時間反応させ、Bブロックを重合した。重合率は99%であった。
反応終了後、撹拌しているn−ヘプタン中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することによりブロック共重合体No.11を得た。得られたブロック共重合体No.11は、Mwが9230、PDIが1.15、酸価が23mgKOH/g、アミン価が84mgKOH/gであった。
<着色組成物の製造>
(バインダー樹脂の製造)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコに、MAA(20.0g)、BzMA(80.0g)、PMA(290.0g)を仕込み、アルゴン置換後、AIBN(1.5g)、n−ドデカンチオール(2.0g)、PMA(10.0g)を加え90℃まで昇温した。その溶液を90℃に保ちながら、その溶液にMAA(40.0g)、BzMA(160.0g)、AIBN(3.0g)、n−ドデカンチオール(4.0g)、PMA(25.0g)を1.5時間かけて滴下した。滴下が終了してから60分後、温度を110℃まで昇温し、AIBN(0.3g)、PMA(5.0g)を加えて1時間反応させ、さらにAIBN(0.3g)、PMA(5.0g)を加え1時間反応させ、さらにAIBN(0.3g)、PMA(5.0g)を加え1時間反応させた。
得られた反応溶液を室温に冷却し、PMA(120.0g)を加え、不揮発分40%のバインダー樹脂の溶液を得た。バインダー樹脂は、重量平均分子量(Mw)が12,700、分子量分布(PDI)が1.88、酸価が130mgKOH/gであった。
(実施例1)
顔料10質量部、分散剤としてのブロック共重合体No.1を3質量部、バインダー樹脂3質量部、PMA84質量部となるように配合組成を調製し、0.3mmジルコニアビーズ500質量部を加え、ビーズミル(商品名:DISPERMAT CA、VMA−GETZMANN GmbH社製)にて2時間混合し十分に分散させた。分散終了後、ビーズをろ別して着色組成物を得た。顔料にはC.I.Pigment Red 254(商品名:BKCF、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を用いた。得られた着色組成物の粘度を評価した。結果を表3に示した。
さらに、得られた着色組成物40質量部、バインダー樹脂26質量部、PMA34質量部となる配合組成で、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。得られたカラーフィルタ用着色組成物のアルカリ現像性を評価した。結果を表3に示した。
(実施例2〜7および比較例1〜4)
実施例1の調製法と同様にして実施例2〜7、比較例1〜4の着色組成物、カラーフィルタ用着色組成物を調製した。これらの粘度、アルカリ現像性の評価結果を表3、表4に示した。
実施例1〜7の着色組成物は、分散剤として、式(1)で表される構造単位を60質量%以上含むAブロックと、式(2)で表される構造単位を含むBブロックとを有し、
酸価が10mgKOH/g未満のブロック共重合体を用いたものである。これらの着色組成物は、いずれも粘度が低い。また、これらの着色組成物を用いて調製されたカラーフィルタ用着色組成物は、現像時間が短く、アルカリ現像性にも優れていた。
比較例1〜3の着色組成物は、分散剤として、式(1)で表される構造単位を60質量%以上含むAブロックと、式(2)で表される構造単位を含むBブロックとを有し、酸価が10mgKOH/g以上のブロック共重合体を用いたものである。これらの着色組成物は、いずれも粘度が高かった。
比較例4の着色組成物は、分散剤として、式(1)で表される構造単位を60質量%以上含むAブロックと、式(2)で表される構造単位を含まないBブロックとを有し、酸価が10mgKOH/g以上のブロック共重合体を用いたものである。この着色組成物は、粘度が高かった。