〔実施形態1〕
本発明の一実施形態に説明すれば、以下の通りである。
図1は、冷蔵庫101の概略構成ブロック図、図2は、冷蔵庫101の正面概略図、図3は、冷蔵庫101の側面概略図を示す。
<冷蔵庫の概要>
冷蔵庫101は、図2及び図3に示すように、冷凍室11、冷蔵室12、送風機13、ダクト14、ダンパ15、蒸発器16、除霜ヒータ17、圧縮機18を含んでいる。
冷凍室11は、氷や冷凍食品を収容する貯蔵庫であり、内部の冷気は送風機13によって吸引され、冷蔵室12に通じるダクト14を介して、且つダンパ15の開放により冷蔵室12に送られる。
冷蔵室12は、肉や野菜などの食品を収容する貯蔵庫であり、冷凍室11の冷気がダクト14を介して送られることで、収容した食品を冷やしている。
圧縮機18は、冷媒を圧縮して高温、高圧の気体冷媒とするコンプレッサである。圧縮機18から送り出された高温、高圧の気体冷媒は、不図示の凝縮器や膨張弁によって温度や圧力が下げられて液化した後に蒸発器16を通過する。そして、蒸発器16の中を通過した冷媒が気化する際に吸熱することにより、冷凍室11を冷却する。蒸発器16に付着する霜は、除霜ヒータ17によって溶かされる。
<冷蔵庫のブロック>
冷蔵庫101は、上記の各部の他に、図1に示すように、各部を制御するための制御部21を含んでいる。制御部21は、駆動制御部22、Flashメモリ23、駆動待機期間設定部24、通電期間計測部25、断電期間計測部26、圧縮機18の温度を測定するためのIPM(Intelligent Power Module)サーミスタ27、冷蔵庫101内の温度を測定するための庫内サーミスタ28、外部電源(例えば商用電源)20の電圧(外部電圧)を計測する電圧計測部19を含んでいる。
駆動制御部22は、送風機13、圧縮機18、除霜ヒータ17の駆動を制御する。駆動制御部22による駆動制御の詳細については後述する。
Flashメモリ23は、IPMサーミスタ27により測定された温度(圧縮機18の温度と相関する)、庫内サーミスタ28により測定された温度(圧縮機18をONする庫内サーミスタ温度(圧縮機ON温度)、圧縮機18をOFFする庫内サーミスタ温度(圧縮機OFF温度))、圧縮機18がOFFしてからの経過期間(圧縮機OFF時間)、冷蔵庫を識別するための識別番号、後述する駆動待機期間等を一時的に格納する。なお、Flashメモリ23は、他の不揮発性記憶媒体としてもよく、また、書き換えの要否や電源OFF時の情報記憶要否などによって、複数種類の記憶装置に置き換えても良い。
駆動待機期間設定部24は、冷蔵庫101に固有の駆動待機期間を設定し、駆動制御部22に送る。具体的には、駆動待機期間設定部24は、駆動制御部22から外部電源20の停電が復帰したことを示す信号を受け取ると、Flashメモリ23に格納された駆動待機期間を読み出して、駆動制御部22に送る。駆動待機期間についての詳細は後述する。
通電期間計測部25は、外部電源20の冷蔵庫101への通電開始からの経過期間を通電期間として計測する。
断電期間計測部26は、外部電源20が冷蔵庫101から断電してから再度通電するまでの期間を断電期間として計測する。
上記構成の冷蔵庫101は、外部電源20が停電した後、復帰した際に、圧縮機18の駆動を予め設定した期間(駆動待機期間)ずらすことで、当該圧縮機18の始動電流に起因する、家庭内のブレーカが落ちること、さらには、同じ外部電源20から電力が供給される地域における再停電を抑制することを可能としている。具体的には、以下のようにして実現している。
すなわち、上記駆動制御部22は、上記通電期間計測部25によって計測される経過期間が、当該冷蔵庫に固有に設定される駆動待機期間に達した後、上記圧縮機18を駆動させる。
<駆動待機期間(ポーズ期間)>
ここで、上記駆動待機期間は、冷蔵庫毎に固有値を割り当てるように設定してもよく、また、乱数を発生させて得られた数値、予め数値を格納したテーブルから順番に読み込んだ数値等から設定してもよい。また、上記駆動待機期間は、共通値である最小駆動待機期間に、冷蔵庫毎に設定される固有値(固有分散値)を足した値としてもよい。すなわち、上記駆動待機期間は、所定の最小駆動待機期間に、冷蔵庫の個体情報に基づいて個々の冷蔵庫に固有に設定された固有分散値を和算した値としてもよい。駆動待機期間を、冷蔵庫毎に固有値(期間)として割り当てるように設定した場合、Flashメモリ23に固有値を格納させておき、駆動待機期間設定部24によって必要に応じて読み出すようにすればよい。また、駆動待機期間を、乱数を発生させて得られた数値から設定する場合、駆動待機期間設定部24は、内部で乱数を発生させて得られた数値に応じた期間を、Flashメモリ23を格納されたテーブル(数値と期間の対応表等)から読み出すようにすればよい。さらに、駆動待機期間を、テーブルから読み込んだ数値から設定する場合、駆動待機期間設定部24は、内部のテーブルから読み込んだ数値に応じた期間を、Flashメモリ23を格納されたテーブル(数値と期間の対応表等)から読み出すようにすればよい。
つまり、上記駆動待機期間は、冷蔵庫の固体毎、または都度変更される値に応じて設定される当該冷蔵庫の固有値であればよい。
外部電源20の停電復帰後、冷蔵庫101の庫内の温度が高い場合(圧縮機ON温度以上の場合)でも、圧縮機18のONを10〜60秒ずらすように、駆動待機期間を設定するのが好ましい。
また、同一機種の冷蔵庫101でも、駆動待機期間(ポーズ期間)に5秒〜5分程度のバラつき(固有分散値)を持たせるようにするのが好ましい。
なお、外部電源としては、一般的な電力会社から供給される商用電源に限るものではなく、例えば、一般家庭や集合住宅及び、商業施設などの事業所で運用される自家発電電源の場合もある。
<冷蔵庫の制御(基本)>
図4は、上記構成の冷蔵庫101の制御の流れを示すフローチャートである。
冷蔵庫101の電源がONされると、駆動待機期間の読み込みを行う(ステップS11)。具体的には、駆動待機期間設定部24がFlashメモリ23に格納された当該冷蔵庫101に固有の駆動待機期間を読み出す。
次に、通電期間を0にし(ステップ12)、通電期間を計測する。ここでは、通電期間計測部25によって、通電期間が計測される。
続いて、ステップS12にて計測開始された通電期間が、ステップS11にて読み出した駆動待機期間以上か否かを判定する(ステップS13)。ここで、通電期間が駆動待機期間以上となった判定されると、ステップS14に移行する。
ステップS14では、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上か否かを判定する。具体的には、駆動制御部22は、庫内サーミスタ28によって冷蔵庫101の庫内温度を測定し、圧縮機18をONにする温度(圧縮機ON温度)と比較する。ここで、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上となったと判定すると、圧縮機をONする(ステップS15)。
そして、庫内サーミスタ温度が圧縮機OFF温度よりも低いか否かを判定する(ステップS16)。具体的には、駆動制御部22は、庫内サーミスタ28によって冷蔵庫101の庫内温度を測定し、圧縮機18をOFFにする温度(圧縮機OFF温度)と比較する。ここで、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機OFF温度よりも低くなったと判定すると、圧縮機をOFFし(ステップS17)、再びステップS14に移行する。
<効果>
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫101では、外部電源20の通電開始からの経過期間が、当該冷蔵庫101に固有に設定される駆動待機期間に達した後、圧縮機18が駆動される。ここで、上記駆動待機期間は、冷蔵庫101に固有に設定されるため、同じ構造の他の冷蔵庫101の駆動待機期間とは異なる。従って、外部電源20の通電開始からの経過期間が駆動待機期間に達した時点で圧縮機18を駆動すれば、同じ構造の他の冷蔵庫101の圧縮機18の駆動開始と重ならない。つまり、停電復帰時に同時に圧縮機がONするのを防ぐことができる。
これにより、例えば、ある地域に同じ構造の冷蔵庫が多数有る場合、その地域が停電になり、停電が解除されたとき、各冷蔵庫の圧縮機が一斉に駆動しないようになるため、複数の冷蔵庫の圧縮機が一斉に駆動することによる再度の停電を回避することが可能となる。
なお、本実施形態では、駆動待機期間における送風機13の駆動については特に触れていないが、以下の実施形態2では、駆動待機期間中の送風機13の駆動制御について説明する。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、説明すれば以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、図1に示す送風機13の駆動について詳細に説明する。
<送風機駆動>
停電してから冷蔵庫101の駆動待機期間が長ければ、停電復帰後に冷蔵庫101の圧縮機18が駆動するまでの期間が長くなるため、冷凍室11や蒸発器16の冷気を冷蔵室12に送り込むために、当該圧縮機18の駆動よりも前に、送風機13を駆動させることが好ましい。すなわち、駆動制御部22は、上記通電期間計測部25によって計測される経過期間が上記駆動待機期間に達するまでに貯蔵室である冷蔵庫101の庫内の温度が所定の温度以上となった場合は、上記送風機13を駆動させる。
<冷蔵庫の制御(送風機駆動)>
図5は、本実施形態における冷蔵庫101の制御の流れを示すフローチャートである。
冷蔵庫101の電源がONされると、駆動待機期間の読み込みを行う(ステップS21)。具体的には、駆動待機期間設定部24がFlashメモリ23に格納された当該冷蔵庫101に固有の駆動待機期間を読み出す。
次に、通電期間を0にし(ステップ22)、通電期間を計測する。ここでは、通電期間計測部25によって、通電期間が計測される。
続いて、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上か否かを判定する(ステップS23)。具体的には、駆動制御部22は、庫内サーミスタ28によって冷蔵庫101の庫内温度を測定し、圧縮機18をONにする温度(圧縮機ON温度)と比較する。
ここで、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上であれば、送風機13をONし(ステップS24)、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上でなければ、送風機13をOFFし(ステップS25)、ステップS26に移行する。なお、ステップS25における送風機13をOFFにするとは、送風機13をONにしないことを意味する。
ステップS26では、ステップS22にて計測開始された通電期間が、ステップS21にて読み出した駆動待機期間以上か否かを判定する。ここで、通電期間が駆動待機期間以上であると判定されると、ステップS27に移行し、通電期間が駆動待機期間以上でないと判定されると、再びステップS23に移行する。
ステップS27では、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上か否かを判定する。具体的には、駆動制御部22は、庫内サーミスタ28によって冷蔵庫101の庫内温度を測定し、圧縮機18をONにする温度(圧縮機ON温度)と比較する。ここで、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上となったと判定すると、圧縮機をONする(ステップS28)。
そして、庫内サーミスタ温度が圧縮機OFF温度よりも低いか否かを判定する(ステップS29)。具体的には、駆動制御部22は、庫内サーミスタ28によって冷蔵庫101の庫内温度を測定し、圧縮機18をOFFにする温度(圧縮機OFF温度)と比較する。ここで、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機OFF温度よりも低くなったと判定すると、圧縮機をOFFし(ステップS30)、再びステップS27に移行する。
なお、図5に示すフローチャートでは、送風機13が駆動(ON)する条件は、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上の場合としているが、これに限定されるものではなく、(1)冷蔵室12の温度が冷凍室11の温度よりも所定温度以上高い場合、(2)蒸発器16の温度が冷凍室11の温度よりも低い場合、(3)外気温が所定の温度以上の場合であってもよい。
また、図5に示すフローチャートでは、ステップS23による判定結果に応じて、送風機13を、ON(ステップS24)、あるいはOFF(ステップS25)の何れかの状態に切り替える例について説明したが、これに限定されるものではなく、ステップS23の判定結果が、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上でない、すなわち庫内温度が下がっても送風機13をOFFしない、すなわち送風機13をONにした場合は通電期間が駆動待機期間以内では送風機13のONを維持するようにしてもよい。
さらに、例えば、停電復帰後に直ぐに送風機13をONしてもよい。但し、停電復帰時に庫内の温度が十分冷えている場合は(停電時に圧縮機や送風機が駆動しておらず、停電期間が短い場合など)、停電復帰時に送風機を駆動させなくてもよい。
このように、送風機13を駆動制御することで、冷凍室11内の冷気を循環させることができる。また、冷凍室11から冷蔵室12に通じるダクト14の開口を開閉するダンパ15を開放することで、冷凍室11内の冷気を、上記ダクト14を介して冷蔵室12に送り込むことができる。このダンパ15は冷蔵室12を冷却するために開けるものでるため、送風機13が駆動している間、任意に開閉を行う。
ここで、送風機13は、一般に、圧縮機18に比べて始動電流が非常に小さいので、同じ構造の冷蔵庫101であっても、各冷蔵庫の送風機13を同時に駆動しても、再度の停電を招かない。しかも、停電解除後に、できるだけ早めに送風機13を駆動させれば、当該冷蔵庫101の貯蔵室内の冷気を循環させることができるので、圧縮機18が駆動するまでの間の貯蔵室内の温度上昇を抑えることができる。また、庫内の空気を循環することで、庫内の温度ムラが減少してより温度上昇の防止が可能となる。さらに、停電解除後に送風機だけでも駆動させれば、停電から復帰したにもかかわらず冷蔵庫が運転していないとユーザが間違えることがなく、ユーザに安心感を与えることが可能となる。
前記実施形態1,2における冷蔵庫101によれば、以下に示す3種類の効果を奏することができる。
第1の効果は、家庭内において、停電復帰後に、始動電流が大きい冷蔵庫101の圧縮機18の駆動タイミングを他の家電機器の駆動タイミングからずらすことが可能となるため、停電復帰後に、家庭内の家電機器が一斉に駆動することに起因する過負荷によってブレーカが落ちるのを防ぐことができることである。
第2の効果は、冷蔵庫101の生産工場や冷蔵庫101を販売する店頭において、一斉に電源を投入しても、各冷蔵庫101の圧縮機18の駆動タイミングがずれているため、定常時の電源容量×冷蔵庫101の台数分の電源容量で済み、電源設備費用を低減できることである。
具体的には、冷蔵庫101の製造番号を、予めいくつかのグループに振り分け、グループ毎に電源投入後1回目の圧縮機18の駆動待機期間を設定する。例えば、製造番号の下1桁ごとに30秒から75秒まで5秒おきに設定する。
このようにして、冷蔵庫101の生産ラインにおいて、生産ライン上にある機種型番や製造番号が管理されているので、停電などの電源断時、及びライン始業時などに一斉に電源を入れられる電源容量を計算しながら、仕掛かり製品を並べる事が出来る。さらに、冷蔵庫101の検査ラインにおいて、圧縮機18の負荷電流を測定する際にも、製造番号から電源投入後どの時点の値を読めばよいか分かる為、問題は生じない。
第3の効果は、電源投入後であっても、圧縮機18が駆動するまでの間、送風機13を駆動させて、冷凍室11の冷気を冷蔵室12に送ることで、冷蔵室12内の温度上昇を抑えることができることである。
なお、前記実施形態1,2では、停電復帰後、圧縮機18を駆動するタイミングとして、通電期間計測部25により計測される経過期間のみを考慮した例について説明したが、以下の実施形態3では、圧縮機18がOFFしてから再起動するまでの待機時間(圧縮機復帰待機期間)も考慮した例について説明する。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、説明すれば以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
一般に、断電してから断電解除(停電復帰)までの期間が非常に短い場合、すなわち、瞬時停電または短期間の停電があった場合、停電復帰時に圧縮機を直ぐに駆動させると、当該圧縮機内の冷媒圧力差が大きく、圧縮機内部のシリンダーを動かすために大きな力が必要である。その為モータのロータが回転出来ず、圧縮機が動作できないという問題が生じる。
また、圧縮機が上記のように動作できない場合、当該圧縮機の駆動方式に応じて騒音が生じる。例えば、圧縮機が一定速度で駆動するコンプレッサ(ノンインバータコンプレッサ)であればロータがロック状態になりコンプレッサのプロテクタが動作する。プロテクタ動作時には「カチッ」という音が鳴る。また、圧縮機がインバータコンプレッサであれば、起動時にロータの位置検知がスムーズにできないためコンプレッサ全体が振動し「ガタガタ」といった騒音が発生する場合がある。
本実施形態では、駆動待機期間設定部24によって、駆動待機期間と断電期間計測部26が測定した断電期間との和が予め設定した圧縮機復帰待機期間以上になるように、当該駆動待機期間を延長可能としている。すなわち、駆動待機期間設定部24は、圧縮機復帰待機期間を設定し、停電時間(断電期間)+駆動待機期間が設定した圧縮機復帰待機期間未満の場合は通電時から圧縮機復帰待機期間だけ待ってから圧縮機を駆動可とするように、駆動待機期間を延長する。これにより、圧縮機18内の冷媒圧力差を当該圧縮機が動作できる程度まで小さくすることが可能となる。この場合、上記予め設定した期間は、断電してから圧縮機18内の冷媒圧力差が、当該圧縮機18が動作できる程度に小さくなるまでの期間以上とするのが好ましい。従って、圧縮機の起動不良をも考慮して駆動待機期間を設定できる。
なお、断電期間が十分長い場合は(上記所定の期間以上の場合など)、駆動待機期間を最小限として、冷蔵庫内の温度上昇を抑制することが可能となる。この場合の最小限とは、他の家電機器の起動時に大電流が流れる期間(10秒間程度)以上とする。
<冷蔵庫の制御(圧縮機復帰待機期間を考慮)>
図6は、本実施形態における冷蔵庫101の制御の流れを示すフローチャートである。
冷蔵庫101の電源がONされると、断電期間計測を行う(ステップS31)。具体的には、断電期間計測部26によって、外部電源20が冷蔵庫101から断電してから再度通電するまでの期間を断電期間として計測する。
続いて、駆動待機期間の読み込みを行う(ステップS32)。具体的には、駆動待機期間設定部24がFlashメモリ23に格納された当該冷蔵庫101に固有の駆動待機期間を読み出す。
次に、(断電期間+駆動待機期間)が圧縮機復帰期間以上であるか否かを判定する(ステップS33)。ここで、(断電期間+駆動待機期間)が圧縮機復帰期間以上であれば、ステップS34に移行し、通電期間を0にして通電期間を計測する。ここでは、通電期間計測部25によって、通電期間が計測される。一方、(断電期間+駆動待機期間)が圧縮機復帰期間以上でなければ、ステップS35に移行し、圧縮機復帰期間から断電期間を引いた期間を駆動待機期間とする。つまり、ステップS32で読み取った駆動待機期間を、上記駆動待機期間に置き換える。
続いて、ステップS34にて計測開始された通電期間が、ステップS32にて読み出した駆動待機期間またはステップS35で得られた駆動待機期間以上か否かを判定する(ステップS36)。ここで、通電期間が駆動待機期間以上であると判定されると、ステップS37に移行する。
ステップS37では、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上か否かを判定する。具体的には、駆動制御部22は、庫内サーミスタ28によって冷蔵庫101の庫内温度を測定し、圧縮機18をONにする温度(圧縮機ON温度)と比較する。
ここで、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上であれば、圧縮機18をONする(ステップS38)。このとき、送風機13もONする。
続いて、庫内サーミスタ温度が圧縮機OFF温度よりも低いか否かを判定する(ステップS39)。具体的には、駆動制御部22は、庫内サーミスタ28によって冷蔵庫101の庫内温度を測定し、圧縮機18をOFFにする温度(圧縮機OFF温度)と比較する。ここで、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機OFF温度よりも低くなったと判定すると、圧縮機および送風機をOFFし(ステップS40)、再びステップS37に移行する。
ここで、ステップS31における断電期間の計測方法としては、IPMの温度差を利用した方法(1)、庫内の温度差を利用した方法(2)、コンデンサの放電を利用した方法(3)がある。
<断電期間計測方法(1)>
図7は、IPMの温度差を利用した場合の断電期間の計測方法を説明するためのフローチャートである。
すなわち、駆動制御部22は、冷蔵庫101が可動中に、電源電圧低下(停電発生)があれば(ステップS1)、IPMサーミスタ温度をFlashメモリ23に書き込む(ステップS2)。そして、冷蔵庫101の電源を落とす。ここまでが下準備となる。
次に、断電が解消され、冷蔵庫101の電源がONされると、断電期間設定部26は、Flashメモリ23に書き込まれたIPMサーミスタ温度を読み出す(ステップS311)。次に、現在のIPMサーミスタ温度を読み出す(ステップS312)。
そして、断電期間設定部26は、Flashメモリ23に書き込まれたIPMサーミスタ温度から現在のIPMサーミスタ温度を引いた温度から断電期間を算出する(ステップS313)。
<断電期間計測方法(2)>
図8は、庫内の温度差を利用した場合の断電期間の計測方法を説明するためのフローチャートである。
すなわち、駆動制御部22は、冷蔵庫101が可動中に、電源電圧低下(停電発生)があれば(ステップS3)、庫内サーミスタ温度をFlashメモリ23に書き込む(ステップS4)。そして、冷蔵庫101の電源を落とす。ここまでが下準備となる。
次に、断電が解消され、冷蔵庫101の電源がONされると、断電期間設定部26は、Flashメモリ23に書き込まれた庫内サーミスタ温度を読み出す(ステップS314)。次に、現在の庫内サーミスタ温度を読み出す(ステップS315)。
そして、断電期間設定部26は、Flashメモリ23に書き込まれた庫内サーミスタ温度から現在の庫内サーミスタ温度を引いた温度から断電期間を算出する(ステップS316)。
<断電期間計測方法(3)>
図9は、コンデンサの放電を利用した場合の断電期間の計測方法を説明するためのフローチャートである。
図10は、図9に示す処理で用いるコンデンサチャージ回路を示す回路図である。
すなわち、駆動制御部22は、冷蔵庫101が可動中に、電源電圧低下(停電発生)があれば(ステップS5)、冷蔵庫101の電源を落とし、電源電圧低下がなければ、コンデンサを所定の充電電圧に充電し(ステップS6)、再びステップS25に移行し、電源電圧低下(停電発生)したか否かを判定する。ステップS6では、図10に示すコンデンサチャージ回路を用いて、マイコン31に制御された、スイッチング素子32をONし、コンデンサ33への電荷のチャージを制御してコンデンサ33を所定の充電電圧に維持する。なお、ステップS6でコンデンサ33を所定の充電電圧に維持する代わりにステップS5で電源電圧低下(停電発生)があった場合に、コンデンサ33の充電電圧をFlashメモリ23に書き込んでもよい。ここまでが下準備となる。
次に、断電が解消され、冷蔵庫101の電源がONされると、コンデンサの電圧を読み出す(ステップS317)。ここでは、断電期間設定部26は、図10に示すコンデンサチャージ回路のコンデンサ33の電圧を読み出す。
続いて、停電発生時の充電電圧から停電復帰時のコンデンサの電圧を引いた値によって、断電期間を算出する(ステップS318)。ここでは、断電期間設定部26は、停電発生時の充電電圧からステップS317にて読み出した充電電圧を引いた値から求めたコンデンサの放電量から、断電期間を算出する。
以上のように、断電期間計測部26は、図10に示すコンデンサチャージ回路のコンデンサ33のコンデンサチャージ電圧から断電期間を求める。
なお、断電期間は、冷蔵庫101のIPMの温度変化、庫内の温度変化、コンデンサ33のチャージ電圧の変化以外により求める以外に、冷蔵庫101の蒸発器の温度変化から推測してもよい。具体的には、断電期間計測部26は、冷蔵庫の蒸発器16における、外部電源20の断電時の温度と再度通電時の温度とから断電期間を求める。
断電期間は、さらに、以下のように推定してもよい。
(1)庫内サーミスタと除霜ヒータ17制御用のサーミスタ温度で推定。
(2)大容量コンデンサを使用し、電源OFF検出(電源クロック信号が無いまたはDC電圧低下で検出)時は冷蔵庫の負荷をOFFし、大容量コンデンサに蓄電された電力によってマイコンのみ動作させる。例えば、大容量コンデンサによってマイコンが圧縮機復帰期間は動作できる設定にしておき、マイコンが動作している間は電源OFF期間をカウントし、電源が復帰した時点の電源OFF期間を元に圧縮機の駆動待機期間を設定する。電源OFF期間が長くマイコンが動作できなくなった場合は、次の電源ON時はOFF期間のカウントデータはないため、Flashメモリ23に格納された当該冷蔵庫101に固有の駆動待機期間をそのまま駆動待機期間に設定する。
以上のように、本実施形態では、駆動待機期間は、圧縮機復帰待機期間を考慮しているため、圧縮機18がロック状態にすることなく、停電復帰後に、圧縮機18を安定して駆動させることが可能となる。これにより、停電復帰に圧縮機18がロック状態になることにより生じる騒音をなくすことができる。
また、本実施形態で説明した技術は、冷媒として134a冷媒を用いる圧縮機を搭載した冷蔵庫に好適である。これは、134a冷媒を用いた圧縮機は、600a冷媒を用いた圧縮機に比べて圧力が高いたので、輝度時の圧力差も高く起動しにくいが、本実施形態のように停電復帰時に圧縮機の駆動を遅延させることで、ロックさせずに圧縮機を起動させることができるためである。
なお、前記の実施形態1〜3では、冷蔵庫101の停電時に圧縮機18も同時に停止していることを想定した説明となっているが、以下の実施形態4では、冷蔵庫101の停電時に既に圧縮機18が停止していことを想定した例について説明する。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、説明すれば以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、前記実施形態3の内容に加えて、停電時に既に冷蔵庫101の圧縮機18が停止していた場合を考慮して、駆動待機期間を設定する例について説明する。
停電時に圧縮機18が既に停止していた場合は、その停止期間を断電期間に加えることで、圧縮機復帰待機期間を待つための駆動待機期間を削減することができる。
さらに、停電時に圧縮機18が既に停止していた停止期間が0ではない場合は、複数の冷蔵庫101は個別の制御により圧縮機18が停止した時刻はそれぞれ異なるため、圧縮機復帰待機期間だけ待つために駆動待機期間を延長した場合には、その駆動待機期間に冷蔵庫101毎に設定される固有値を加えなくてもよい。
<冷蔵庫の制御(停電時に圧縮機が既に停止した場合を考慮)>
図11は、本実施形態における冷蔵庫101の制御の流れを示すフローチャートである。
冷蔵庫101の電源がONされると、断電期間tbの計測を行う(ステップS41)。具体的には、実施形態3と同様に、断電期間計測部26によって、外部電源20が冷蔵庫101から断電してから再度通電するまでの期間を断電期間tbとして計測する。
続いて、前回の電源OFF時に、圧縮機が連続して停止していた停止期間taを読み込む(ステップS42)。上記停止期間taは、駆動制御部22によって、外部電源20が断電する以前に圧縮機18が連続して停止している期間を測定して得られ、Flashメモリ23に格納されている。従って、駆動待機期間設定部24は、Flashメモリ23から上記停止期間taを読み込む。
さらに、最小駆動待機期間tw0、固有分散値Δtw、圧縮機復帰待機期間Aを読み込む(ステップS43)。最小駆動待機期間tw0、固有分散値Δtw、圧縮機復帰待機期間Aは、予めFlashメモリ23に格納されている。従って、駆動待機期間設定部24は、最小駆動待機期間tw0、固有分散値Δtw、圧縮機復帰待機期間Aを読み込む。
続いて、(ta+tb+tw0)が圧縮機復帰待機期間A以上か否かを判定する(ステップS44)。ここで、(ta+tb+tw0)が圧縮機復帰待機期間A以上であれば、ステップS45に移行し、駆動待機期間tcを設定する。すなわち、駆動待機期間設定部24は、(停止期間ta+断電期間tb+最小駆動待機期間tw0)が、所定の圧縮機復帰待機期間A以上であれば、駆動待機期間tcを、最小駆動待機期間tw0に冷蔵庫毎に固有に設定される固有分散値Δtwを加えた値に設定する。
また、ステップS44において、(ta+tb+tw0)が圧縮機復帰待機期間Aよりも短ければ、すなわち(停止期間ta+断電期間tb+最小駆動待機期間tw0)が、所定の圧縮機復帰待機期間Aよりも短い場合は、駆動待機期間がA以上となるように延長する。この場合は、ステップS46に移行し、さらに、停止期間taが0よりも大きいか否かを判定する。つまり、駆動待機期間設定部24は、停電時に既に圧縮機18が駆動していないか否かを判定する。ここで、停止期間taが0よりも大きい、すなわち停電時に既に圧縮機18が駆動していないと判定すれば、ステップS47に移行し、駆動待機期間tcを、(A−(ta+tb))に設定する。この場合には、固有分散値Δtwを加えなくてもよい。
一方、ステップS46において、停止期間ta=0、すなわち停電時に圧縮機18が駆動していた場合には、ステップS48に移行し、駆動待機期間tcを、(A−(ta+tb))にΔtwを加えた値とする。
ステップS45,S47,S48のいずれかのステップによって駆動待機期間tcを得た後、ステップS49に移行して、通電経過期間を0にして通電経過期間を計測する。ここでは、通電期間計測部25によって、通電経過期間が計測される。
続いて、ステップS49にて計測開始された通電経過期間が、S45,S47,S48のいずれかのステップによって得られた駆動待機期間tc以上か否かを判定する(ステップS50)。ここで、通電経過期間が駆動待機期間tc以上であると判定されると、ステップS51に移行する。
ステップS51では、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上か否かを判定する。具体的には、駆動制御部22は、庫内サーミスタ28によって冷蔵庫101の庫内温度を測定し、圧縮機18をONにする温度(圧縮機ON温度)と比較する。
ここで、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度以上と判定すると、圧縮機18をONする(ステップS52)。このとき、送風機13もONする。一方、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機ON温度より低いと判定すると、ta加算を行い(ステップS53)、再びステップS51に移行する。
続いて、庫内サーミスタ温度が圧縮機OFF温度よりも低いか否かを判定する(ステップS54)。具体的には、駆動制御部22は、庫内サーミスタ28によって冷蔵庫101の庫内温度を測定し、圧縮機18をOFFにする温度(圧縮機OFF温度)と比較する。ここで、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機OFF温度よりも低いと判定すると、圧縮機および送風機をOFFし(ステップS55)、再びステップS51に移行する。一方、駆動制御部22は、庫内サーミスタ温度が圧縮機OFF温度以上と判定すると、taを0にリセットし(ステップS56)、再びステップS54に移行する。
以上、図11に示すフローチャートのように駆動待機期間tcを求め、さらに、圧縮機18の駆動の制御を行えば、以下のような効果を奏する。
<効果>
上記駆動制御部22によって、外部電源200が断電(停電)する以前に上記圧縮機18が連続して停止していた停止期間を計測し、上記駆動待機期間設定部24は、上記最小駆動待機期間tw0と上記断電期間tbと上記駆動制御部22が測定した圧縮機の停止期間taとの和が予め設定された圧縮機復帰待機期間Aより短く、且つ、上記圧縮機18の停止期間taが0でない場合には、上記駆動待機期間tcを、上記圧縮機復帰待機期間Aから上記停止期間ta及び断電期間tbを引いた値以上に設定する。
従って、冷蔵庫101において、停電時に圧縮機18が既に停止していることが分っていれば、圧縮機18の停止期間は冷蔵庫101毎に異なるので、圧縮機18の停止期間と断電期間とを圧縮機復帰待機期間Aから差し引いた期間を駆動待機期間tcとして設定すれば、複数の冷蔵庫101が同時に圧縮機18をONすることを防止できる。よって、駆動待機期間tcには、冷蔵庫101の固有分散値Δtwを含む必要がなくなる。
したがって、停電からの復帰時に最小限の待機期間にて冷蔵庫101の圧縮機18をONすることと、複数の冷蔵庫101が同時にONすることを防止することとの両立を図ることができる。
なお、前記の実施形態1〜4においては、いずれも、駆動待機期間経過後に圧縮機を駆動することで、停電復帰後の圧縮機の一斉駆動を防止している。以下の実施形態では、さらに、停電復帰後に、外部電源20の電力供給能力を考慮して、圧縮機18を駆動させるタイミングを調整する例について説明する。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態に係る冷蔵庫101では、駆動待機期間経過後に圧縮機18を駆動する前に、電圧計測部19によって外部電源20の電圧を計測し、所定の電圧(外部電源20の電圧の下限値など)未満であれば、外部電源20の供給能力に余裕がないと判断し、外部電源20の電圧が所定の電圧に以上に復帰するまで、圧縮機18の駆動を遅延させる。この場合も、圧縮機18を駆動する前に、送風機13を駆動することで、蒸発器16に残留する冷熱を庫内に供給させて庫内の温度上昇を抑制するようにできる。
従って、上記構成の冷蔵庫101では、駆動待機期間経過後に圧縮機を駆動することで、停電復帰後の圧縮機の一斉駆動を防止する場合に、外部電源の電力供給能力を考慮することで、外部電源20の電力供給能力に余裕がない場合に無理に圧縮機18を駆動しないようにすることができるため、個別の圧縮機の駆動時の始動電流によって外部電源が過負荷とならず、また再度の停電発生を抑制することができる。
なお、本実施形態のように、外部電源が復帰しているにも関わらず、外部電源20の供給能力に余裕がないと判断して圧縮機の駆動を遅延(駆動待機期間、またはそれ以上)している場合には、冷蔵庫の表示部などでユーザに報知することで、ユーザに故障ではないことを知らせるようにすればよい。これにより、遅延中は、圧縮機の駆動復帰が何時かがわからないことをユーザに知らしめて、他の電気機器の通電を止めさせるなどの動機付けをさせることができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
冷蔵庫101が備える制御部21の制御ブロック(特に駆動制御部22)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、制御部21は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る冷蔵庫101は、外部電源20で圧縮機18を駆動して蒸発器16を冷却し、蒸発器16らの冷気を送風機13によって貯蔵室(冷凍室11、冷蔵室12)内に送ることで貯蔵室(冷凍室11、冷蔵室12)内を冷却する冷蔵庫101において、上記圧縮機18の駆動を制御する駆動制御部22と、上記外部電源20の通電開始からの経過期間を計測する通電期間計測部25と、を備え、上記駆動制御部22は、上記通電期間計測部25によって計測される経過期間が、当該冷蔵庫101に固有に設定される駆動待機期間に達した後、上記圧縮機18を駆動させることを特徴している。
上記構成によれば、外部電源の通電開始からの経過期間が、当該冷蔵庫に固有に設定される駆動待機期間に達した後、圧縮機が駆動される。ここで、上記駆動待機期間は、冷蔵庫に固有に設定されるため、同じ構造の他の冷蔵庫の駆動待機期間とは異なる。従って、外部電源の通電開始からの経過期間が駆動待機期間に達した時点で圧縮機を駆動すれば、同じ構造の他の冷蔵庫の圧縮機の駆動開始と重ならない。
これにより、例えば、ある地域に同じ構造の冷蔵庫が多数有る場合、その地域が停電になり、停電が解除されたとき、各冷蔵庫の圧縮機が一斉に駆動しないようになるため、複数の冷蔵庫の圧縮機が一斉に駆動することによる再度の停電を回避することが可能となる。
また、上記駆動待機期間は、固有値の割り当てでもよく、また、乱数などを発生させたり、テーブルから順番に読み込むようにしたり設定してもよい。つまり、上記駆動待機期間は、冷蔵庫の固体毎、または都度変更される値に応じて設定される当該冷蔵庫の固有値であればよい。
本発明の態様2に係る冷蔵庫101は、上記態様1において、上記駆動待機期間tcは、予め設定された最小駆動待機期間tw0に、冷蔵庫101の個体情報に基づいて個々の冷蔵庫に固有に設定された固有分散値Δtwを和算した値であってもよい。
上記構成によれば、冷蔵庫毎に駆動待機期間が設定されるので、停電により同時に圧縮機が停止したとしても、圧縮機の駆動復帰のタイミングを冷蔵庫毎に異ならせることができる。これにより、停電解除後に、冷蔵庫101の圧縮機が同時に駆動復帰することに起因する再停電を確実に防止できる。また、最小駆動待機期間tw0を冷蔵庫101に共通の設定値として組込んでおき、固有分散値Δtwは冷蔵庫101の個体別に別途設定される値としてFlashメモリ23に記憶させることで、少なくとも最小駆動待機期間tw0は駆動待機期間として確実に設定することができる。
本発明の態様3に係る冷蔵庫101は、上記態様2において、上記駆動制御部22は、さらに、上記送風機13の駆動を制御するものであり、上記通電期間計測部25によって計測される経過期間が上記駆動待機期間に達するまでに貯蔵室(冷凍室11、冷蔵室12)内の温度が所定の温度以上となった場合は、上記送風機13を駆動させるのが好ましい。
上記構成によれば、外部電源の通電開始から、通電期間計測部によって計測される経過期間が駆動待機期間に達するまでに貯蔵室内の温度が所定の温度以上となった場合は、送風機が駆動されるので、圧縮機が駆動される前に送風機が駆動されることになる。ここで、送風機は、圧縮機に比べて始動電流が小さいので、同じ構造の冷蔵庫であっても、各冷蔵庫の送風機を同時に駆動しても、再度の停電を招かない。しかも、停電解除後に、できるだけ早めに送風機を駆動させれば、当該冷蔵庫の貯蔵室内の冷気を循環させることができるので、圧縮機が駆動するまでの間の貯蔵室内の温度上昇を抑えることができる。さらに、停電解除後に送風機だけでも駆動させれば、ユーザに安心感を与えることが可能となる。
本発明の態様4に係る冷蔵庫101は、上記態様2または3において、上記外部電源20が断電してから再度通電するまでの断電期間を計測する断電期間計測部26を備え、さらに、上記駆動待機期間と上記断電期間計測部26が測定した断電期間との和が予め設定された圧縮機復帰待機期間以上になるように、当該駆動待機期間を延長可能とする駆動待機期間設定部24と、を備えているのが好ましい。
上記構成によれば、駆動待機期間設定部によって、駆動待機期間と上記断電期間計測部が測定した断電期間との和が予め設定した圧縮機復帰待機期間以上になるように、当該駆動待機期間が設定される。つまり、断電してから次に圧縮機が駆動されるまでの駆動待機期間は、予め設定した圧縮機復帰待機期間以上となるように延長される。
ここで、断電してから断電解除までの期間が非常に短い場合、すなわち、瞬時停電または短期間の停電があった場合、停電復帰時に圧縮機を直ぐに駆動させると、当該圧縮機内の冷媒圧力差が大きく、圧縮機のモータが正常に起動できないことがある。このとき、一定速コンプレッサであればロータがロック状態になりコンプレッサのプロテクタが動作する。プロテクタ動作時には「カチッ」という音が鳴る。インバータコンプレッサであれば起動時にロータの位置検知がスムーズにできないためコンプレッサ全体が振動し「ガタガタ」といった騒音が発生する。
従って、上記のように、断電してから次に圧縮機が駆動されるまでの期間を、予め設定した期間以上となるようにすれば、圧縮機内の冷媒圧力差を当該圧縮機が動作できる程度まで小さくすることが可能となる。この場合、上記予め設定した期間は、断電してから圧縮機内の冷媒圧力差が、当該圧縮機が動作できる程度に小さくなるまでの期間以上とするのが好ましい。
これにより、圧縮機の起動不良をなくすことが可能となる。
本発明の態様5に係る冷蔵庫101は、上記態様4において、上記駆動制御部22は、上記外部電源20が断電する以前に上記圧縮機18が停止していた停止期間taを計測し、上記駆動待機期間設定部24は、上記最小駆動待機期間tw0と上記断電期間tbと上記駆動制御部22が測定した停止期間taとの和が予め設定された圧縮機復帰待機期間Aより短く、且つ、上記停止期間taが0でない場合には、上記駆動待機期間tcを、上記圧縮機復帰待機期間Aから上記停止期間ta及び断電期間tbを引いた値以上に設定することが好ましい。
上記の構成によれば、停電からの復帰時に最小限の待機期間にて冷蔵庫101の圧縮機18をONすることと、複数の冷蔵庫101が同時にONすることを防止することとの両方を実現できる。
本発明の態様6に係る冷蔵庫101は、上記態様4において、上記断電期間計測部26は、冷蔵庫101の貯蔵室(冷凍室11、冷蔵室12)における、外部電源20の断電時の温度と再度通電時の温度とから断電期間を求めることが好ましい。
上記構成によれば、断電期間を、冷蔵庫の貯蔵室内の所定の箇所における、外部電源の断電時の温度と再度通電時の温度とから求めているので、既に冷蔵庫の貯蔵室内の温度を測定するための温度センサを用いることができる。これにより、断電期間を測定するために別途機器を設ける必要がないので、追加コストがかからないというメリットを有する。
本発明の態様7に係る冷蔵庫101は、上記態様4において、外部電源20の通電中に電荷を蓄積するコンデンサ33を含み、上記断電期間計測部26は、上記コンデンサ33のコンデンサチャージ電圧から断電期間を求めることが好ましい。
本発明の態様8に係る冷蔵庫101は、上記態様4において、上記断電期間計測部26は、上記蒸発器16における、外部電源20の断電時の温度と再度通電時の温度とから断電期間を求めることが好ましい。
本発明の態様9に係る冷蔵庫101は、上記態様1〜8の何れか1態様において、上記外部電源20の電圧を計測する電圧計測部19を備え、上記駆動制御部22は、上記通電期間計測部25によって計測される経過期間が、当該冷蔵庫101に固有に設定される駆動待機期間に達した時点で上記電圧計測部19によって計測された外部電圧が所定の電圧値未満の場合は、当該外部電圧が所定の電圧値以上となるまで上記圧縮機18の駆動を遅延させることが好ましい。
ここで、外部電源の電力供給能力に余裕がない場合は、それでも個別の圧縮機の駆動時の始動電流によって外部電源が過負荷となり、また停電するおそれがある。
従って、上記構成のように、通電期間計測部によって計測される経過期間が、当該冷蔵庫に固有に設定される駆動待機期間に達した時点で上記電圧計測部によって計測された外部電圧が所定の電圧値未満の場合は、当該外部電圧が所定の電圧値以上となるまで上記圧縮機の駆動を遅延させることで、外部電源の電力供給能力に余裕がない場合であっても、個別の圧縮機の駆動時の始動電流によって外部電源が過負荷とならず、再度の停電の虞もない。
本発明の態様10に係る冷蔵庫101の駆動方法は、外部電源20で圧縮機18を駆動して蒸発器16を冷却し、蒸発器16からの冷気を送風機13によって貯蔵室(冷凍室11、冷蔵室12)内に送ることで貯蔵室(冷凍室11、冷蔵室12)内を冷却する冷蔵庫の駆動制御方法において、通電期間計測部25によって外部電源20の通電開始から計測された経過期間が、当該冷蔵庫に固有に設定される駆動待機期間に達した後、上記圧縮機18を駆動させる圧縮機駆動ステップ(ステップS16,S33,S53)を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、上記態様1と同様の効果を奏する。
本発明の各態様に係る冷蔵庫の駆動制御装置(駆動制御部22)は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記駆動制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記駆動制御装置をコンピュータにて実現させる駆動制御装置の駆動制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。