JP6567302B2 - エネルギー管理装置、エネルギー管理方法およびプログラム - Google Patents
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まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るエネルギー管理システムS1の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係るエネルギー管理システムS1は、エネルギー管理装置1と、エネルギー供給プラント2と、需要家3を備える。
エネルギー供給プラント2は、ローカル制御装置201と、制御対象機器202を有する。ローカル制御装置201は、エネルギー管理装置1による制御設定に基づいて制御対象機器202の動作を制御する。また、ローカル制御装置201は、制御対象機器202の運用記録を示すプロセスデータを生成し、生成したプロセスデータをエネルギー管理装置1に送信する。制御対象機器202は、エネルギーを供給する1個又は複数個のエネルギー供給装置である。以下の説明では、個々のエネルギー供給装置、エネルギー供給プラント2に設置されるエネルギー供給装置の全体を、制御対象機器202と総称する。
内部ネットワーク4は、エネルギー管理装置1と、エネルギー供給プラント2及び需要家3の間を、各種のデータを送受信可能に接続するネットワークである。内部ネットワーク4は、例えば、構内通信網(LAN:Local Area Network)、仮想専用網(VPN:Virtual Private Network)、又はそれらの組み合わせである。
また、図1に示す例では、エネルギー供給プラント2は、供給先の需要家3から離れた地点に配置されているが、需要家3と共通の施設、例えば、工場、ビルディング内に設置されてもよい。
図2は、本実施形態に係るエネルギー管理装置1の構成を示す概略ブロック図である。
エネルギー管理装置1は、制御プログラムを実行して種々の機能を実現する。エネルギー管理装置1は、通信部10と、プロセスデータ取得部101と、プロセスデータ記憶部11と、入力部12と、入力制御部121と、設定入力データ記憶部13と、演算処理部14と、演算結果記憶部15と、表示制御部16と、表示部17を備える。エネルギー管理装置1は、所定の制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、制御プログラム、各種のデータを記憶する記憶媒体と、を備える電子計算機で構成される。CPUは、当該制御プログラムが指示する処理を実行することによってプロセスデータ取得部101、入力制御部121、演算処理部14及び表示制御部16として機能する。
入力制御部121は、入力部12から入力された入力信号が示す設定入力データを設定入力データ記憶部13に記憶する。
プラントモデルデータ132は、エネルギー供給プラント2に配置される制御対象機器202とその属性、例えば、制御対象機器202の種類とその接続形態を示すデータである。
モデルパラメータデータ133は、モデルパラメータとしてエネルギー供給プラント2に設置される制御対象機器202の動作パラメータを示すデータである。モデルパラメータデータ133には、例えば、制御対象機器202が供給できるエネルギーの最大出力、消費エネルギーのエネルギー単価などが含まれる。エネルギー単価が日時に応じて異なる日時毎には、モデルパラメータデータ133に日時毎のエネルギー単価が含まれてもよい。
図3は、本実施形態に係るCOP演算処理を示すフローチャートである。
(ステップS101)入力部12は、評価期間データ131を取得し、入力制御部121は、入力部12が取得した評価期間データ131を設定入力データ記憶部13に記憶する。これにより、COP演算処理の基礎となる評価期間と時間間隔(例えば、1時間)が設定される。エネルギー管理装置1は、設定された評価期間において、設定した時間間隔でステップS102〜S108の処理を繰り返し、当該評価期間の終了後、図3に示す処理を終了する。
(ステップS103)COP演算部141は、プロセスデータ111、プラントモデルデータ132及びモデルパラメータデータ133に基づいて制御対象機器202のCOPの実績値(実績COP)を算出する。実績COPの算出方法については、後述する。その後、ステップS104に進む。
(ステップS105)COP演算部141は、実績COPを最高COPとして更新する。その後、ステップS106に進む。
(ステップS107)COP演算部141は、実績COPを最低COPとして更新する。その後、ステップS108に進む。
COP演算部141は、式(1)、(2)に示すように前時刻Ti−1から現在Tiまでのein A(t),eout A(t)をそれぞれ積分して、現在Tiの消費エネルギー量Ein A(Ti),生産エネルギー量Eout A(Ti)を算出する。
図4は、本実施形態に係るCOPの時間推移の表示例171を示す図である。図4において縦軸、横軸は、それぞれCOP、時刻を示し、太い実線は評価期間の開始時刻0:00から現在までの実績COPを示す。水平方向に延びる太い破線は、設定COPを示す。設定COPは、初期設定されたCOPの基準値である。図4に示す例では、実績COPは、当初設定COPよりも高かったが、時間経過に伴って低下し、現在において設定COPよりも低い。このようにして、実績COPの時間推移の傾向、設定COPとの高低が表される。また、水平方向に延びる細い2本の破線は、図面に対して上から順に最高COP、最低COPを示す。この2本の破線は、評価期間の開始時刻から現在までのCOPの範囲を示す。
図6は、本実施形態に係る限界コスト演算処理を示すフローチャートである。
(ステップS201)入力部12は、評価期間データ131を取得し、入力制御部121は、入力部12が取得した評価期間データ131を設定入力データ記憶部13に記憶する。これにより、限界コスト演算の基礎となる一次エネルギー算出の評価期間と時間間隔が設定される。なお、入力部12は、ステップS101の処理と、ステップS201の処理のいずれか一方の処理を行い、他方の処理を省略してもよい。エネルギー管理装置1は、設定された評価期間において、ステップS201〜S204の処理を設定した時間間隔で繰り返し、当該評価期間の終了後、図6に示す処理を終了する。
(ステップS203)限界コスト演算部142は、モデルパラメータデータ133が示すエネルギー単価とCOPデータ151が示す現在の実績COPから現在の当該制御対象機器202の限界コスト(実績限界コスト)を算出する。なお、限界コスト演算部142は、ステップS104〜S107と同様な手法を用いて、最高限界コスト、最低限界コストを定める。その後、ステップS204に進む。
限界コスト演算部142は、式(4)に示すように、pA(Ti)をCOPA(Ti)で除算して現在Tiのエネルギー供給装置Aの実績限界コストCCA(Ti)[単位:円/kWh]を算出する。
図7は、本実施形態に係る限界コストの時間推移の表示例173を示す図である。図7に示す限界コストは、制御対象機器202が吸収式冷凍機(ABR:Absorption Refrigerator)である場合の例である。ABRは、エネルギー単価が時間経過に応じて変化しないガスを燃料として用いる。図7において縦軸、横軸は、それぞれ限界コスト、時刻を示し、太い実線は評価期間の開始時刻0:00から現在までの実績限界コストを示す。水平方向に延びる一点鎖線は、設定限界コストを示す。設定限界コストは、エネルギー単価を設定COPで除算して得られる限界コストの基準値である。図7に示す例では、実績限界コストは、当初設定限界コストと同等であったが、時間経過に伴い低下し、再度上昇し、現在において設定限界コストよりも高い。実績限界コストの時間推移の傾向、設定限界コストとの高低が表される。また、水平方向に延びる細い2本の一点鎖線は、図面に対して上から順に最高限界コスト、最低限界コストを示す。この2本の破線は、評価期間の開始時刻から現在までの限界コストの範囲を示す。最高限界コスト、最低限界コストは、限界コスト演算部142がエネルギー単価をそれぞれ最低COP、最高COPで除算して算出される限界コストである。最高限界コスト、最低限界コストを視認したユーザは、動作状態に応じて変動し得る限界コストの範囲を把握することができる。
この構成により逐次に算出される限界コストに接した管理者は、運用修正を行う機器またはタイミングを容易に確認することができる。例えば、管理者は、限界コストの要素である機器効率を高めるべき機器またはタイミング、またはエネルギー単価がより低い機器またはタイミングを判断することができる。そのため、必ずしも運転計画値が導出されなくても、制御対象機器202の動作状況に応じた運用修正が可能になる。
この構成により、逐次に算出された限界コストの実績値が表示部17に表示されるので、管理者は、表示された限界コストの実績値を視認することによりその時点において運用修正を行う機器またはタイミングを容易に判断することができる。
次に、第2の実施形態について説明する。上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を援用する。本実施形態に係るエネルギー管理システムS1(図1)に係るエネルギー管理装置1は、次に説明する構成を備える。
本実施形態に係る演算処理部14は、COP演算部141と、限界コスト演算部142と、優先順位演算部143と、需要予測部144と、運転計画部145と、機器制御設定出力部146を備える。演算処理部14は、演算結果記憶部15から限界コストデータ152を読み込む。
優先順位データ153は、エネルギー供給プラント2に設置される制御対象機器202毎の優先順位を示すデータである。優先順位データ153は、例えば、1時間毎の機器優先順位の設定値を示す。
需要予測データ154は、需要家3の負荷毎の需要予測値を示すデータである。需要予測データ154は、例えば、1時間毎の電力負荷、冷熱負荷、温熱負荷及び蒸気負荷の予測値を示す。
機器制御設定出力データ156は、エネルギー供給プラント2に設置される制御対象機器202毎の制御設定を示すデータである。機器制御設定出力データ156は、例えば、各制御対象機器202の所定時間(例えば、1時間)毎の起動、停止および運転時における出力レベルなどの運転計画値を示すデータである。
図9は、本実施形態に係る限界コスト算出処理を示すフローチャートである。本実施形態に係る限界コスト算出処理は、ステップS302〜S309を有する。ステップS303及びS304の処理は、それぞれステップS103及びS203の処理と同様であるため、その説明を援用する。
図10は、本実施形態に係るCOPの時間推移の表示例178を示す図である。表示例178は、表示例171(図4)に対してCOP演算部141が算出した予測COPが追加されている。図10において、実績COPは、実線で表されているのに対し、予測COPは、破線で表され、現在時刻が垂直方向に延びる破線で表されている。そのため、実績COPの時間変化と予測COPの時間変化が明らかに区別される。図10において、予測COPは現在よりも後の時刻において上昇し、設定COPよりも高くなることが表されている。
図11は、本実施形態に係る限界コストの時間推移の表示例179を示す図である。表示例179は、表示例173(図7)に対して限界コスト演算部142が算出した予測限界コストが追加されている。図11において、実績限界コストは、実線で表されているのに対し、予測限界コストは、破線で表され、現在時刻が垂直方向に延びる破線で表されている。そのため、実績限界コストの時間変化と予測限界コストの時間変化が明らかに区別される。図11において、予測限界コストは現在よりも後の時刻において上昇し、設定限界コストよりも低くなることが表されている。
この構成により、算出される運転計画値に接した管理者は、運転計画値に基づいて制御対象機器202に対する運用修正の要否やその内容を判断することができる。
この構成により、算出される限界コストの予測値に接した管理者は、将来の限界コストの変化傾向も考慮に入れて制御対象機器202に対する運用修正の要否やその内容を判断することができる。
次に、第3の実施形態について説明する。上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を援用する。
図12は、本実施形態に係るエネルギー管理システムS1の構成を示す概略ブロック図である。エネルギー管理システムS1は、エネルギー管理装置1と、エネルギー供給プラント2と、需要家3を備える。本実施形態に係るエネルギー管理装置1は、図8に示す構成と同様の構成を備える。
温熱槽233は、空冷HPチラー222、熱回収HPチラー223、CGS231及びボイラ232からそれぞれ供給された温水を熱媒として蓄積することにより蓄熱を行う。温熱槽233は、蓄積した温水を送出することにより温熱を需要家3に供給する。
図13は、本実施形態に係る限界コスト演算処理を示すフローチャートである。
本実施形態に係る限界コスト演算処理は、ステップS201〜S206を有する。ステップS201〜S204の処理については、上述の説明を援用する(図6)。図13に示す処理では、ステップS202〜S206の処理を所定時間(例えば、1時間)毎に繰り返す。また、ステップS202、S203の処理の完了後、ステップS205に進む。
(ステップS206)表示制御部16は、アラームを表示部17に発報させる。表示制御部16は、アラーム発報として、例えば、所定のアラーム画面の画像データを表示部17に出力することにより、アラーム画面を表示させる。その後、ステップS204に進む。
CCnow A(Ti)>CCmin B(Ti) … (5)
CCnow A(Ti)>CCmax B(Ti) … (6)
なお、更新メリットの有無の判定において、比較対象のエネルギー供給装置Bも動作中であってもよい。また、優先順位演算部143は、一度に3個以上の制御対象機器202間で更新メリットの有無を判定してもよい。
なお、表示制御部16は、所定のアラーム音の音声信号を拡声部(図示せず)に出力することにより、アラーム音を再生させてもよい。
図14は、本実施形態に係る限界コストの時間推移の表示例174を示す図である。表示例174は、水冷チラー221、ABR224それぞれの最高限界コスト、最低限界コスト及び設定限界コストを示す。動作中の水冷チラー221については、さらに限界コスト演算部142が算出する実績限界コストが示されている。但し、この例では、ABR224の動作は停止しているので、ABR224の実績限界コストは示されていない。
図15は、本実施形態に係る優先順位演算処理を示すフローチャートである。
(ステップS401)入力部12は、評価期間データ131を取得し、入力制御部121は、入力部12が取得した評価期間データ131を設定入力データ記憶部13に記憶する。また、演算処理部14は、設定入力データ記憶部13からプラントモデルデータ132を読み込む。エネルギー管理装置1は、設定された評価期間において、ステップS402〜S406の処理を設定した時間間隔で繰り返し、当該評価期間の終了後、図15に示す処理を終了する。
(ステップS403)優先順位演算部143は、読み込んだ限界コストデータ152に基づいて、供給エネルギーの種類が共通の制御対象機器202間で、制御対象機器202毎の優先順位を算出する。優先順位演算部143は、優先順位の更新メリットがあると算出するときである。また、優先順位演算部143は、入力制御部121から入力信号が入力される場合には、制御対象機器202それぞれの優先順位をその入力信号が示す優先順位に定めてもよい。入力信号は、入力部12において表示部17の表示された限界コストや優先順位を観察したユーザの操作により生成される。その後、ステップS404に進む。
(ステップS406)優先順位演算部143は、演算結果記憶部15に記憶された優先順位データ153を生成した優先順位データ153に更新する。表示制御部16は、演算結果記憶部15から更新した優先順位データ153を読み込み、読み込んだ優先順位データを表示部17に出力することにより、更新した制御対象機器202毎の優先順位を表示させる。その後、ステップS402に戻る。
図16は、本実施形態に係る優先順位の時間推移の表示例175を示す図である。
表示例175は、機器毎の優先順位を時間帯毎に示す。この時間帯は、それぞれ優先順位演算部143が優先順位を定める時刻を終点とする所定の時間幅(1時間)を有する時間帯である。図14に示す設定限界コストによれば、ABR224、水冷チラー221の優先順位は、各時間帯ともに2、1となる。図16は、アラーム発報により、ユーザの操作入力により、13:00〜14:00の時間帯において、ABR224、水冷チラー221の優先順位が1、2と変更されたことを示す。アラームに接したユーザは、限界コストやこれに基づいて定められた優先順位に基づいて、いかなる制御対象機器202を優先して動作させるかを判断することができる。
この構成により、限界コストの実績値が小さい制御対象機器202ほど、優先して動作するのでエネルギー管理システムS1全体のエネルギーのコストを低減することができる。
更新メリットがあると判定する場合に、その旨を通知することで、管理者は優先順位に関して運用修正を行うタイミングに気付くことができる。
この構成により、管理者は、表示された優先順位を確認することにより、優先順位の運用修正の要否を判断することができる。
この構成により、管理者の操作に応じた人間系での制御対象機器202間における優先順位について運用修正を行うことができる。
この構成により、管理者は優先順位の更新メリットが生じたタイミングに気付くとともに、管理者の操作により優先順位が変更されることにより、管理者の意に反する運用修正を避けることができる。
次に、第4の実施形態について説明する。上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を援用する。
図17は、本実施形態に係るエネルギー供給システムS1Cの構成を示す概略ブロック図である。エネルギー供給システムS1Cは、エネルギー管理システムS1と、監視制御サーバ5と、外部通信サーバ6と、DR(Demand Response;デマンドレスポンス)サーバ8を備える。外部通信サーバ6と、DRサーバ8との間は、外部ネットワーク7により接続されている。外部ネットワーク7は、内部ネットワーク4とは、独立に各種のデータを送受信可能なネットワークである。外部ネットワーク7は、例えば、インターネット等の広域通信網(WAN:Wide Area Network)である。
外部通信サーバ6は、内部ネットワーク4と外部ネットワーク7とに接続され、両ネットワーク間のデータを中継するサーバ装置である。外部通信サーバ6は、外部ネットワーク7を介してDRサーバ8からDRデータ112を受信し、受信したDRデータ112をエネルギー管理装置1に送信する。DRデータ112については、後述する。
DRデータ112は、エネルギーの供給者である電力事業者が提供するDRに需要者が応じるときに供給されるエネルギーのコストに関する情報を示すデータである。DRとは、エネルギーの卸市場価格の高騰時又は系統信頼性の低下時において、電力料金の設定又はインセンティブの支払に応じて、需要者が電力の使用を抑制するように電力消費パターンを変化させることを意味する。
図18は、本実施形態に係るエネルギー管理装置1の構成を示す概略ブロック図である。通信部10は、DRサーバ8から外部ネットワーク7、外部通信サーバ6及び内部ネットワーク4を介してDRデータ112を受信する。通信部10は、受信したDRデータをプロセスデータ取得部101に出力する。
プロセスデータ取得部101は、通信部10から入力されたDRデータ112をプロセスデータ記憶部11に記憶する。
DR演算部147は、プロセスデータ記憶部11からDRデータ112を読み込み、読み込んだDRデータ112に基づいて仮想の時間別エネルギー単価としてDRに応じるときの各時刻のエネルギー単価を算出する。限界コスト演算部142は、DR演算部147が算出した仮想の時間別エネルギー単価に基づいてDRに応じるときの実績限界コスト(以下、DR対応実績限界コスト)を算出する。
図19は、本実施形態に係る限界コスト算出処理を示すフローチャートである。本実施形態に係る限界コスト算出処理は、ステップS301〜S303、S305〜S309、S311及びS312を有する。ステップS301〜S303及びS305〜S309の処理については、図9の説明を援用する。
図19に示す処理では、ステップS301〜S303の処理が完了した後、ステップS311に進む。
(ステップS312)DR演算部147は、プロセスデータ記憶部11からDRデータ112を読み込み、読み込んだDRデータ112に基づいて仮想の時間別エネルギー単価を算出する。仮想の時間別エネルギー単価の算出例については後述する。限界コスト演算部142は、式(4)のエネルギー単価pA(Ti)に仮想の時間別エネルギー単価を代入してDR対応実績限界コストを算出する。なお、限界コスト演算部142は、ステップS104〜S107と同様な手法を用いて、DR対応最高限界コスト及びDR対応最低限界コストを定める。限界コスト演算部142は、得られたDR対応実績限界コスト、最高限界コスト及びDR対応最低限界コストを限界コストデータ152に追加し、追加した限界コストデータ152を演算結果記憶部15に記憶する。表示制御部16は、演算結果記憶部15から読み込んだ限界コストデータ152を表示部17に出力することにより、DR対応最高限界コスト、DR対応実績限界コスト及びDR対応最低限界コストを表示させる。その後、ステップS305に進む。
ステップS308において、演算処理部14は、上記のDR対応の演算結果を示すCOPデータ151、限界コストデータ152、優先順位データ153、需要予測データ154及び運転計画データ155を演算結果記憶部15に記憶する。表示制御部16は、演算結果記憶部15から読み込んだデータを表示部17に出力することにより、DR対応の各種の演算結果に表示を更新する。
pA DR(Ti)=pDR(Ti)+pA(Ti) … (7)
pA DR(Ti)、pDR(Ti)の単位は、それぞれ円/kWhである。pDR(Ti)は、ユーザの操作入力に応じて入力制御部121から入力される入力信号により指定される。また、DR演算部147が、DRデータ112が示すインセンティブの料金の算定基準、需要予測データ154が示すエネルギー需要の予測値及び運転計画データ155が示す運転計画値から各DR時間帯におけるインセンティブ見込み値pDR(Ti)を算出してもよい。
図20は、本実施形態に係るDR対応限界コストの時間推移の表示例176を示す図である。図20に示す限界コストは、制御対象機器202が水冷チラー221である場合の例である。水冷チラー221は、エネルギー単価が時間変化に応じて変化する電力をエネルギー源として用いる。図20に示す例では、水冷チラー221の設定限界コストは、各時刻においてDR対応エネルギー単価を設定COPで除算して得られる値である。図20に示す例では、エネルギー単価の時刻依存性に応じて最低限界コスト、設定限界コスト、最高限界コストともに変化する。0時から8時までの時間帯と20時から24時までの時間帯における限界コストよりも、8時から10時までの時間帯における限界コストの方が高い。また、8時から10時までの時間帯における限界コストよりも、10時から14時までの時間帯における限界コストの方がさらに高い。10時から14時までの時間帯における限界コストよりも14時から18時までの時間帯における限界コストの方がさらに高い。実績限界コストは、0時から8までの時間帯において設定限界コストに近似した値であるが、設定限界コストが上昇する8時、10時においてそれぞれ急激に上昇し、現在に至るまで上昇し続ける。ユーザは、DR対応時における制御対象機器202の動作状況に応じて削減可能な限界コストの上昇を容易に把握することができる。
図21は、本実施形態に係る限界コストのインセンティブ依存性の表示例177を示す。図21において、縦軸、横軸は、それぞれ限界コスト、インセンティブの金額を示す。図21に示す例では、DRデータ112が消費エネルギーの仕事率の区間毎のエネルギー単価とインセンティブの金額の上限を示す場合を例にする。このDRデータ112は、消費エネルギーの仕事率が高い区間ほど、高いエネルギー単価を示す。限界コスト演算部142は、DRデータ112が示すエネルギー単価を、制御対象機器202(この例では、水冷チラー221)の生産エネルギーの仕事率と実績COPとの積である消費エネルギーで除算することにより図示の限界コストを算出することができる。限界コスト演算部142は、算出した消費エネルギーとDRデータ112が示すエネルギー単価に基づいて算出した消費エネルギーに応じたインセンティブの金額(総額)を算出する。ユーザは、表示例177を視認することで、インセンティブの金額の増加に応じて限界コストが段階的に上昇することと、その上限を容易に把握することができる。
この構成により、算出されたDR対応限界コストの実績値に接した管理者は、その時点における動作状況に応じてDRによるインセンティブも考慮して制御対象機器202のうち、運用修正の対象機器又はタイミングを容易に判断することができる。また、管理者は、DRに応じてエネルギーの消費を削減もしくは停止するか否かを判断することができる。
この構成によりエネルギーの需要予測値に基づくDR対応運転計画値に接した管理者は、将来のDR対応の運転計画値の変化傾向を考慮した運用修正を行うことができる。
この構成により限界コストの予測値に接した管理者は、将来の限界コストの変化傾向を考慮した運用修正を行うことができる。
また、上述した実施形態において例示した情報の具体的な内容、数値は任意であり、特定の内容、数値には限定されない。また、閾値に対する大小の判定、一致不一致の判定において、以上、以下等のように閾値を含めた判定を行うか、より大きい、より小さい、超える、超えない、上回る、下回る、未満等のように閾値を含めた判定を行うかは自由である。例えば、閾値の設定によって、「以上」を「より大きい」、「超える」又は「上回る」に、「以下」を「より小さい」、「超えない」又は「下回る」と読み替えても実質的に同等である。
また、上記各実施形態に用いられる情報の具体的な内容、値は自由であり、特定の内容、数値には限定されない。実施形態において、しきい値に対する大小判断、一致不一致の判断等において、以上、以下、として値を含めるように判断するか、より大きい、より小さい、超える、超えない、上回る、下回る、未満として値を含めないように判断するかも自由である。したがって、たとえば、値の設定によっては、「以上」を「より大きい」、「超える」、「上回る」に、「以下」を「より小さい」、「超えない」、「下回る」、「未満」に読み替えても、実質的には同じである。
また、エネルギー管理装置1は、入力部12及び表示部17を備えるものとしたが、入力部12と表示部17のいずれか一方又は両方が省略されてもよい。
Claims (13)
- 少なくとも1つの制御対象のエネルギー供給装置の運用に関する情報である運用情報を有するプロセスデータを逐次に取得するデータ取得部と、
前記プロセスデータに基づいて前記エネルギー供給装置のエネルギー変換効率に対する消費エネルギーのエネルギー単価を示す限界コストを算出する限界コスト演算部と、
を備え、
前記データ取得部は、デマンドレスポンスに応じた需要者に対するインセンティブの算定基準を含むデマンドレスポンスデータを取得し、
前記限界コスト演算部は、前記算定基準に基づいて算出された前記インセンティブの見込み値と前記プロセスデータとに基づいてデマンドレスポンスに応じるときの限界コストの実績値を算出する、
エネルギー管理装置。 - 前記プロセスデータは、前記運用情報としてエネルギー需要に関する情報を有し、
前記プロセスデータに基づいて前記エネルギー供給装置のエネルギーの需要予測値を算出する需要予測部と、
前記需要予測値に基づいて、デマンドレスポンスに応じるときの前記エネルギー供給装置が供給するエネルギーに関する目標値である運転計画値を算出する請求項1に記載のエネルギー管理装置。 - 前記限界コスト演算部は、前記運転計画値と前記デマンドレスポンスデータが示すエネルギー単価に基づいて限界コストの予測値を算出する請求項2に記載のエネルギー管理装置。
- 前記プロセスデータは、前記運用情報としてエネルギー需要に関する情報を有し、
前記プロセスデータに基づいて前記エネルギー供給装置のエネルギーの需要予測値を算出する需要予測部と、
前記需要予測値に基づいて前記エネルギー供給装置が供給するエネルギーに関する目標値である運転計画値を算出する運転計画部と
をさらに備える請求項1に記載のエネルギー管理装置。 - 前記限界コスト演算部は、前記運転計画値に基づいて前記エネルギー供給装置の限界コストの予測値を算出する請求項4に記載のエネルギー管理装置。
- 供給エネルギーの種類が共通の複数のエネルギー供給装置間において動作の優先順位として、前記限界コストの実績値が小さいエネルギー供給装置ほど高い優先順位を定める優先順位演算部
をさらに備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエネルギー管理装置。 - 前記優先順位演算部は、前記複数のエネルギー供給装置それぞれの限界コストと動作状態に基づいて前記優先順位の更新メリットの有無を判定する請求項6に記載のエネルギー管理装置。
- 前記優先順位演算部は、操作入力により指定された複数のエネルギー供給装置間において前記優先順位を変更する請求項6または請求項7に記載のエネルギー管理装置。
- 前記限界コストの実績値を表示させる表示制御部
をさらに備える請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のエネルギー管理装置。 - 前記優先順位を表示させる表示制御部
をさらに備える請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のエネルギー管理装置。 - 前記優先順位演算部が前記優先順位の更新メリットがあると判定するとき、前記表示制御部は前記優先順位の変更依頼画面を表示させる請求項10に記載のエネルギー管理装置。
- エネルギー管理装置における方法において、
少なくとも1つの制御対象のエネルギー供給装置の運用に関する情報である運用情報を有するプロセスデータを逐次に取得するデータ取得過程と、
前記プロセスデータに基づいて前記エネルギー供給装置のエネルギー変換効率に対する消費エネルギーのエネルギー単価を示す限界コストを算出する限界コスト演算過程と、
を有し、
前記データ取得過程において、デマンドレスポンスに応じた需要者に対するインセンティブの算定基準を含むデマンドレスポンスデータを取得し、
前記限界コスト演算過程において、前記算定基準に基づいて算出された前記インセンティブの見込み値と前記プロセスデータとに基づいてデマンドレスポンスに応じるときの限界コストの実績値を算出する、
エネルギー管理方法。 - エネルギー管理装置のコンピュータに、
少なくとも1つの制御対象のエネルギー供給装置の運用に関する情報である運用情報を有するプロセスデータを逐次に取得するデータ取得部と、
前記プロセスデータに基づいて前記エネルギー供給装置のエネルギー変換効率に対する消費エネルギーのエネルギー単価を示す限界コストを算出する限界コスト演算部と、
を実行させ、
前記データ取得部は、デマンドレスポンスに応じた需要者に対するインセンティブの算定基準を含むデマンドレスポンスデータを取得し、
前記限界コスト演算部は、前記算定基準に基づいて算出された前記インセンティブの見込み値と前記プロセスデータとに基づいてデマンドレスポンスに応じるときの限界コストの実績値を算出する、
プログラム。
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