JP6566715B2 - 膨張弁 - Google Patents
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Description
弁室内に配設される球状の弁部材は、弁室に開口する弁孔の弁座に対向し、パワーエレメントにより駆動される弁棒により操作されて、弁座との間の絞り通路の開度を制御する。
また、弁孔を通った冷媒は、出口ポートから蒸発器側へ送られる。蒸発器から圧縮機側へ戻る冷媒は、弁本体に設けられた戻り通路を通過する。
上蓋部材とダイアフラムで形成される圧力作動室には作動ガスが封入される。このとき、圧力作動室に作動ガスを封入するために、上蓋部材の頂部に穴を設け、この穴から作動ガスを封入した後に鋼球等で穴を塞ぎプロジェクション溶接手段などによって圧力作動室を封止する。
このような課題を解決したものとして、パワーエレメントの小型化を図った膨張弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された膨張弁のパワーエレメントは、上蓋部材と受け部材の間に挟まれて固定されるダイアフラムを有しており、上蓋部材、ダイアフラム、受け部材の外周部はレーザー溶接により接合される。
組み立てられたパワーエレメントは、弁本体の頂部に設けられた円筒部内に挿入され、カシメ加工により形成されるカシメ部により固定される。
このとき、膨張弁の周囲の外気が低温の弁本体のカシメ部やパワーエレメントの表面に接触すると、外気中の水分が結露して水滴となる場合がある。
このような段差が存在することにより、膨張弁を長時間使用した場合、外気に含まれていた水分が結露して上記段差の内側のパワーエレメント上面に付着することがある。
このとき結露した水分が滞留して水膜を形成すると、パワーエレメントの上面に外気(空気)ではなく熱伝達性能の異なる水膜が介在するため、パワーエレメント内部の作動ガスの温度特性に変化が生じてしまい、結果としてパワーエレメントの動作特性が変化してしまうという問題点があった。
また、前記充填部材は、前記パワーエレメントの上面をすべて覆うように形成されていてもよい。このとき、前記充填部材は、前記カシメ部の内側に位置する滞留部と、前記滞留部より高い領域の前記パワーエレメントの上面を覆う被膜部と、からなるように構成することもできる。
また、本発明の膨張弁の別の態様において、前記パワーエレメントは、前記カシメ部の内側面と前記パワーエレメントの外側面との間に所定の隙間を形成して、カシメ加工によって前記弁本体に取り付けられている。このとき、前記隙間は、前記カシメ部の内側面の前記パワーエレメントの外側面と対向する領域において、前記カシメ部の肉厚を減少させることによって形成されていてもよい。
図1に示すように、本発明の膨張弁の弁本体10は、例えばアルミ合金の押出形材に機械加工を施して生産されるもので、高圧の冷媒が導入される入口ポート20を有する。
入口ポート20は、小径穴22を介して弁本体10の弁室24に連通している。また弁室24は、弁棒60と同軸状に形成される弁孔26を介して冷媒の出口ポート28に連通している。
プラグ50は、ねじ部52により弁本体10の弁室24の開口部に螺合される。プラグ50は有底の六角穴53にレンチを差し込んで回動させることができる。よって、プラグ50のねじ込み量を調整することにより、弁部材40を支持するコイルスプリング44のばね力を調整することができる。
プラグ50の外周部にはシール部材54が設けられ、これによって弁室24がシールされている。
弁本体10の頂部には、パワーエレメント100が弁本体10の頂部に形成された円筒部12にカシメ部12aを介して取り付けられる。また、パワーエレメント100と弁本体10の間にはOリング等のシール部材64が配設される。
パワーエレメント100は、上蓋部材110と、リング状の受け部材120と、上蓋部材110と受け部材120の間に挟み込まれるダイアフラム130とにより構成される。
また、上蓋部材110とダイアフラム130で構成される圧力作動室112内には作動ガスが封入され、栓114で封止されている。
弁本体10には、弁本体10を貫通する2本の貫通穴70が設けられ(図1(c))、弁本体10を他の部材に取り付けるボルトの挿入穴として利用される。また、弁本体10の中心部には1本の有底のねじ穴80も形成される(図1(c))。この有底ねじ穴80は、配管継手を固定するねじ穴として利用される。
そこで、本発明の膨張弁においては、上記のような結露による水分がパワーエレメント100の上面に付着又は滞留してしまうことにより、パワーエレメント100の動作特性が変化してしまうことを防止するために、上記カシメ部12aの内側で、かつカシメ部12aの上端の高さよりも低くパワーエレメント100の上面(すなわち上蓋部材110の上面)の部分を覆うように充填部材200を設ける。
このような構成により、本発明の膨張弁は、周囲の外気に含まれる水分が結露したとしても、パワーエレメント100の上面に直接付着又は滞留することがないため、パワーエレメント100の内部に充填される作動ガスが外部の雰囲気に左右されずに安定した特性を発揮することとなり、結果として、パワーエレメント100を用いた感温式の膨張弁の動作特性も安定させることができる。
また、充填部材200によりパワーエレメント100の上面とカシメ部12aの内面とが直接接触しない構造となるため、例えばパワーエレメント100とカシメ部12aとを異なる材質の部材で形成した場合であっても、電食が生じるのを防ぐことができる。
また、充填部材200は、例えばゴムやプラスチック等の樹脂によって形成される。また充填部材200は、断熱材料で形成されても良い。
このとき、充填部材200は流動状態で上蓋部材110上に流し込まれてその後硬化されるが、予めこの硬化された形状にて成形し、成形された充填部材200をパワーエレメント100と共にカシメ部12aにてカシメ加工して取り付けてもよい。
図2に示すように、第1の変形例による膨張弁に設けられる充填部材200は、パワーエレメント100の上面から弁本体10に形成されたカシメ部12aの上端の高さに至る厚みとなるように形成される。
このような構成により、仮に膨張弁の周囲の外気が結露して水滴が充填部材200の上面に付着又は凝集したとしても、充填部材200の厚みがカシメ部12aの高さと略同一であるため、水が滞留しようとしてもカシメ部12aの外側にこぼれる構造となっており、結果として水滴によるパワーエレメント100への影響を抑制できるとともに、水によってカシメ部12aが腐食又は汚れるのを防止できる。
図3に示すように、第2の変形例による膨張弁に設けられる充填部材200は、パワーエレメント100の上面に設けられた栓114の近傍から弁本体10に形成されたカシメ部12aの上端の高さに至る、略山型に傾斜した厚みとなるように形成される。
このような構成により、第1の変形例の場合と同様に、仮に膨張弁の周囲の外気が結露して水滴が充填部材200の上面に付着又は凝集したとしても、充填部材200がカシメ部12aの上端に向けて傾斜しているため、水が滞留しようとしてもカシメ部12aの外側にこぼれる構造となっており、結果として水滴によるパワーエレメント100への影響を抑制できるとともに、水によってカシメ部12aが腐食又は汚れるのを防止できる。
図4に示すように、第3の変形例による膨張弁に設けられる充填部材200は、パワーエレメント100の上面に設けられた栓114の上面がすべて充填部材200の内部に含まれるように形成される点で、図3に示す第2の変形例の場合と異なるように形成される。
図5に示すように、第4の変形例による膨張弁に設けられる充填部材200は、図2に示す第1の変形例の充填部材200と同様の滞留部200aと、パワーエレメント100の上面110a及び栓114の上面114aの両者を覆う被膜部200bと、を備えるように形成される。
そして、充填部材200の高さがカシメ部材12aの上端に達したら、上記材料がすべて硬化して、図5に示すような充填部材200が形成される。
また、充填部材200の滞留部200aより高い位置を被膜部200bとして形成することにより、パワーエレメント100を外気から遮断するとともに、充填部材200による重量増を最小限とすることができる。
図6に示すように、円筒部12のカシメ部12aは、パワーエレメント100の外周面と接する根元部12eと所定のカシメ角度αだけ屈曲した肩部12gとからなる。このとき、カシメ角度αは、パワーエレメントの固定保持強度とカシメ部におけるクラック発生の有無の観点に基づいて決定され、10度から30度が好ましい。
このような構成により、パワーエレメント100は位置ズレすることなく円筒部12の中心位置に配置される。
図7に示すように、円筒部12のカシメ部12aにおいて、根元部12eはパワーエレメント100の外周面と所定の隙間を形成するように内側に屈曲しており、さらに根元部12eから屈曲した肩部12gを備える。
このような構成により、根元部12eでの変形を生じさせることで肩部12gでの変形によるクラックを防ぐことができる。
図8に示すように、円筒部12のカシメ部12aにおいて、根元部12eはパワーエレメント100の外周面と所定の隙間を形成するように後退(つまり、ガイド面の内径<後退面の内径)した後退部12cが形成されており、当該後退部12cに屈曲位置が設けられているとともに肩部12gが連続する構成を備える。
このとき、後退部12cと肩部12gとを接続する接続面12dは、所定の傾斜角の傾斜面または所定の曲率の湾曲面でも良い。また、接続面12dとして所定の段差を形成するようにしても良い。
このような構成により、根元部12eの後退部12cに屈曲位置が設けられることにより、カシメ部12aの位置を後退部12cの深さの分だけ内側に配置することができるため、円筒部12の径を小さくすることができる。
例えば、カシメ部12aの根元部12eに後退部12cを形成したものに傾斜する形状の充填部材200を適用してもよい。
また、その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施例に種々の改変を施すことも可能である。
12 円筒部
12a カシメ部
12c 後退面
12d 接続面
12e 根元部
12g 肩部
20 入口ポート
22 小径穴
24 弁室
25 弁座
26 弁孔
28 出口ポート
30 戻り通路
40 弁部材
42 支持部材
44 コイルスプリング
50 プラグ
52 ねじ部
53 六角穴
54 シール部材
60 弁棒
62 ストッパ部材
64 シール部材
66 ばね部材
70 貫通穴
80 ねじ穴
100 パワーエレメント
110 上蓋部材
112 圧力作動室
114 栓
120 受け部材
130 ダイアフラム
200 充填部材
Claims (8)
- 高圧の冷媒が導入される入口ポートと、該入口ポートに連通する弁室と、該弁室に開口する弁孔と、該弁孔の入口に形成される弁座と、前記弁孔を通過した冷媒が送り出される出口ポートとを有する弁本体と、前記弁座に対向して配設される弁部材と、該弁部材を操作する弁棒を駆動する作動ガスを封入した圧力作動室を有するパワーエレメントとを備える膨張弁であって、
前記パワーエレメントは、前記弁本体に前記パワーエレメントを囲繞するカシメ部を介して取り付けられ、
前記カシメ部の内側に位置するパワーエレメントの上面に充填部材を設けており、
前記充填部材は、前記上面に材料を流動状態で流し込んだ後に硬化させることで形成され、前記カシメ部の少なくとも上端位置よりも高い位置まで充填されている、
ことを特徴とする膨張弁。 - 前記充填部材は、前記パワーエレメントの上面の中心部から前記カシメ部に向けて徐々に低くなるように傾斜して充填されている
ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。 - 前記充填部材は、前記パワーエレメントの上面をすべて覆うように形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の膨張弁。 - 前記充填部材は、前記カシメ部の内側に位置する滞留部と、前記滞留部より高い領域の前記パワーエレメントの上面を覆う被膜部と、からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。 - 前記パワーエレメントは、前記カシメ部の内側面と前記パワーエレメントの外側面との間に隙間を形成しないように、カシメ加工によって前記弁本体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膨張弁。 - 前記パワーエレメントは、前記カシメ部の内側面と前記パワーエレメントの外側面との間に所定の隙間を形成して、カシメ加工によって前記弁本体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膨張弁。 - 前記隙間は、前記カシメ部の内側面の前記パワーエレメントの外側面と対向する領域において、前記カシメ部の肉厚を減少させることによって形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の膨張弁。 - 前記充填部材は、樹脂材料で形成されている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の膨張弁。
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