次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照して電力変換装置の構成について説明する。図1に示す電力変換装置1は、電源DC1、DC2から供給される直流を3相交流に変換して、負荷であるモータM1、M2に供給する装置である。ここで、電源DC1、DC2は、充放電可能なバッテリである。モータM1、M2は、3相交流が供給されることでトルクを発生する機器である。電力変換装置1は、コンバータ回路10、11と、平滑コンデンサ12と、インバータ回路13、14とを備えている。
コンバータ回路10は、電源DC1から供給される直流の電圧を変換して出力する回路である。具体的には、電源DC1から供給される直流を昇圧して出力する回路である。コンバータ回路10は、コンデンサ100と、リアクトル101と、IGBT102、103とを備えている。
コンデンサ100は、電源DC1から供給される直流を平滑化する素子である。コンデンサ100の一端は電源DC1の正極端に、他端は電源DC1の負極端にそれぞれ接続されている。
リアクトル101は、電流が流れることでエネルギーを蓄積、放出するとともに電圧を誘起する素子である。リアクトル101の一端はコンデンサ100の一端に、他端はIGBT102、103にそれぞれ接続されている。
IGBT102、103は、スイッチングすることで、リアクトル101にエネルギーを蓄積又はリアクトル101からエネルギーを放出させるためのスイッチング素子である。IGBT102、103は直列接続されている。具体的には、IGBT102のエミッタが、IGBT103のコレクタに接続されている。直列接続されたIGBT102、103の直列接続点は、リアクトル101の他端に接続されている。IGBT102のコレクタは、共通電源ライン150に接続されている。IGBT103のエミッタは、コンデンサ100の他端に接続されるとともに共通電源ライン151に接続されている。
コンバータ回路10は、IGBT102、103をスイッチングさせることで、電源DC1から供給される直流を昇圧して共通電源ライン150、151に出力する。
コンバータ回路11は、電源DC2から供給される直流の電圧を変換して出力する回路である。具体的には、電源DC2から供給される直流をコンバータ回路10の出力電圧と同一の電圧に昇圧して出力する回路である。コンバータ回路11は、コンデンサ110と、リアクトル111と、IGBT112、113とを備えている。
コンデンサ110は、電源DC2から供給される直流を平滑化する素子である。コンデンサ110の一端は電源DC2の正極端に、他端は電源DC2の負極端にそれぞれ接続されている。
リアクトル111は、電流が流れることでエネルギーを蓄積、放出するとともに電圧を誘起する素子である。リアクトル111の一端はコンデンサ110一端に、他端はIGBT112、113にそれぞれ接続されている。
IGBT112、113は、スイッチングすることで、リアクトル111にエネルギーを蓄積又はリアクトル111からエネルギーを放出させるためのスイッチング素子である。IGBT112、113は直列接続されている。具体的には、IGBT112のエミッタが、IGBT113のコレクタに接続されている。直列接続されたIGBT112、113の直列接続点は、リアクトル111の他端に接続されている。IGBT112のコレクタは、共通電源ライン150に接続されている。IGBT113のエミッタは、コンデンサ110の他端に接続されるとともに共通電源ライン151に接続されている。
コンバータ回路11は、IGBT112、113をスイッチングさせることで、電源DC2から供給される直流の電圧をコンバータ回路10の出力電圧と同一の電圧に昇圧して共通電源ライン150、151に出力する。
平滑コンデンサ12は、共通電源ライン150、151に出力された直流を平滑化するための素子である。平滑コンデンサ12の一端は共通電源ライン150に、他端は共通電源ライン151にそれぞれ接続されている。
インバータ回路13は、共通電源ライン150、151を介して入力される直流を交流に変換してモータM1に供給する回路である。具体的には、直流を3相交流に変換してモータM1に供給する回路である。インバータ回路13は、IGBT130〜135を備えている。
IGBT130〜135は、スイッチングすることで直流を3相交流に変換するためのスイッチング素子である。IGBT130、133、IGBT131、134及びIGBT132、135はそれぞれ直列接続されている。具体的には、IGBT130〜132のエミッタが、IGBT133〜135のコレクタにそれぞれ接続されている。IGBT130〜132のコレクタは共通電源ライン150に、IGBT133〜135のエミッタは共通電源ライン151にそれぞれ接続されている。直列接続された3組のIGBT130、133、IGBT131、134及びIGBT132、135の直列接続点は、モータM1にそれぞれ接続されている。
インバータ回路13は、IGBT130〜135をスイッチングさせることで、共通電源ライン150、151を介して入力される直流を3相交流に変換してモータM1に供給する。
インバータ回路14は、共通電源ライン150、151を介して入力される直流を交流に変換してモータM2に供給する回路である。具体的には、直流を3相交流に変換してモータM2に供給する回路である。インバータ回路14は、IGBT140〜145を備えている。
IGBT140〜145は、スイッチングすることで直流を3相交流に変換するためのスイッチング素子である。IGBT140、143、IGBT141、144及びIGBT142、145はそれぞれ直列接続されている。具体的には、IGBT140〜142のエミッタが、IGBT143〜145のコレクタにそれぞれ接続されている。IGBT140〜142のコレクタは共通電源ライン150に、IGBT143〜145のエミッタは共通電源ライン151にそれぞれ接続されている。直列接続された3組のIGBT140、143、IGBT141、144及びIGBT142、145の直列接続点は、モータM2にそれぞれ接続されている。
インバータ回路14は、IGBT140〜145をスイッチングさせることで、共通電源ライン150、151を介して入力される直流を3相交流に変換してモータM2に供給する。
図2に示すように、電力変換装置1は、冷却装置16を備えている。IGBT102、103、112、113、130〜135、140〜145は、電流が流れることで発熱し、温度が上昇する。冷却装置16は、冷媒が流れることで、IGBT102、103、112、113、130〜135、140〜145を冷却する装置である。冷却装置16は、冷却管160a〜160iと、導入管161と、導出管162と、連結管163とを備えている。
冷却管160a〜160iは、IGBT102、103、112、113、130〜135、140〜145に接触し、冷媒が流れることで、これらのIGBTを冷却するアルミニウムからなる中空板状の部材である。冷却管160a〜160hの一端部及び他端部の一面側及び他面側には、冷媒を流通させるための貫通孔が形成されている。冷却管160iの一端部及び他端部の一面側には、冷媒を流通させるための貫通孔が形成されている。
導入管161は、冷媒を導入するアルミニウムからなる円筒状の部材である。導出管162は、冷媒を導出するアルミニウムからなる円筒状の部材である。連結管163は、冷却管160a〜160iを連結するアルミニウムからなる円筒状の部材である。
冷却管160aの一端部は導入管161に、他端部は導出管162にそれぞれ連結されている。冷却管160bの一端部及び他端部は、連結管163を介して冷却管160aの一端部及び他端部にそれぞれ連結されている。冷却管160cの一端部及び他端部は、連結管163を介して冷却管160bの一端部及び他端部にそれぞれ連結されている。同様にして、冷却管160d〜160iの一端部及び他端部も、連結管163を介して冷却管160c〜160hの一端部及び他端部にそれぞれ連結されている。
コンバータ回路10のIGBT102、103及びコンバータ回路11のIGBT112、113は、発熱が大きいものほど、冷却装置16の熱抵抗が低い位置に配置されている。具体的には、発熱が大きいものほど、冷媒の流れの上流側に設けられている冷却管に接触して配置されている。発熱が大きいものほど、冷媒の流れの上流側で冷媒が流入する冷却管に接触して配置されている。
コンバータ回路11に比べてコンバータ回路10の使用頻度が高い場合、コンバータ回路10のIGBT102、103の発熱が、コンバータ回路11のIGBT112、113より大きくなる。発熱が大きいIGBT102、103は、冷媒の流れの上流側に設けられている冷却管の間に、これらに接触した状態で配置されている。一方、発熱が小さいIGBT112、113は、IGBT102、103が配置される冷却管よりも下流側に設けられている冷却管の間に、これらに接触した状態で配置されている。
コンバータ回路10とコンバータ回路11の間には、離間部材17が設けられている。離間部材17は、コンバータ回路10とコンバータ回路11の間の距離を離すことで、コンバータ回路10の共通電源ライン150、151への接続点P1、P2と、コンバータ回路11の共通電源ライン150、151への接続点P3、P4の間の距離を離す部材である。具体的には、IGBT102、103とIGBT112、113の間に配置され、IGBT102、103とIGBT112、113の間の距離を離す部材である。離間部材17は、インバータ回路13、14である。具体的には、IGBT130〜135、140〜145である。
コンバータ回路10のIGBT102、103は、冷媒の流れの上流側に設けられている冷却管160a、160bの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT102を後側、IGBT103を前側にした状態で配置されている。
コンバータ回路11のIGBT112、113は、冷却管160a、160bよりも下流側に設けられている冷却管160h、160iの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT112を後側、IGBT113を前側にした状態で配置されている。
インバータ回路13のIGBT130〜135及びインバータ回路14のIGBT140〜145は、コンバータ回路10のIGBT102、103とコンバータ回路11のIGBT112、113の間に、冷却管160b〜160hに接触した状態で配置されている。
インバータ回路13のIGBT130、133は、冷却管160b、160cの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT130を後側、IGBT133を前側にした状態で配置されている。IGBT131、134は、冷却管160c、160dの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT131を後側、IGBT134を前側にした状態で配置されている。IGBT132、135は、冷却管160d、160eの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT132を後側、IGBT135を前側にした状態で配置されている。
インバータ回路14のIGBT140、143は、冷却管160e、160fの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT140を後側、IGBT143を前側にした状態で配置されている。IGBT141、144は、冷却管160f、160gの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT141を後側、IGBT144を前側にした状態で配置されている。IGBT142、145は、冷却管160g、160hの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT142を後側、IGBT145を前側にした状態で配置されている。
IGBT102、130〜132、140〜142、112のコレクタCは、バスバーからなる共通電源ライン150に接続されている。IGBT103、133〜135、143〜145、113のエミッタEは、バスバーからなる共通電源ライン151に接続されている。IGBT102、130〜132、140〜142、112のエミッタEと、IGBT103、133〜135、143〜145、113のコレクタCは、バスバーによってそれぞれ接続されている。
このようにコンバータ回路10、11及びインバータ回路13、14を配置し、共通電源ライン150、151に接続することで、コンバータ回路10の共通電源ライン150、151への接続点P1、P2と、コンバータ回路11の共通電源ライン150、151への接続点P3、P4の間の距離を離すことができる。
次に、図1及び図2を参照して電力変換装置の動作について説明する。図1に示すコンバータ回路10は、IGBT102、103を所定のタイミングでスイッチングさせることで、電源DC1から供給される直流電圧を昇圧して共通電源ライン150、151に出力する。コンバータ回路11は、IGBT112、113を所定のタイミングでスイッチングさせることで、電源DC2から供給される直流電圧をコンバータ回路10の出力電圧と同一の電圧に昇圧して共通電源ライン150、151に出力する。
インバータ回路13は、必要に応じてIGBT130〜135を所定のタイミングでスイッチングさせることで、共通電源ライン150、151を介して入力される直流を3相交流に変換してモータM1に供給する。モータM1は、3相交流が供給されることでトルクを発生する。インバータ回路14は、必要に応じてIGBT140〜145を所定のタイミングでスイッチングさせることで、共通電源ライン150、151を介して入力される直流を3相交流に変換してモータM2に供給する。モータM2は、3相交流が供給されることでトルクを発生する。
IGBT102、103、112、113、130〜135、140〜145をスイッチングさせると、サージ電圧が発生する。モータM1、M2を保護するため、インバータ回路13、14のIGBT130〜135、140〜145の発生するサージ電圧は制限されている。しかし、コンバータ回路10、11に対しては、そのような制約はない。そのため、コンバータ回路10、11のIGBT102、103、112、113の発生するサージ電圧は、インバータ回路13、14のIGBT130〜135、140〜145の発生するサージ電圧より大きくなってしまう。
IGBT102、103とIGBT112、113は、共通電源ライン150、151に接続されている。しかし、図2に示すように、IGBT102、103とIGBT112、113の間には、IGBT102、103とIGBT112、113の距離を離すことで、コンバータ回路10の共通電源ライン150、151への接続点P1、P2と、コンバータ回路11の共通電源ライン150、151への接続点P3、P4の距離を離す離間部材17が配置されている。具体的には、インバータ回路13、14のIGBT130〜135、140〜145が配置されている。そのため、従来のように接続点間の距離が近い場合に比べ、接続点P1と接続点P3の間のインダクタンス、及び、接続点P2と接続点P4の間のインダクタンスを大きくすることができる。従って、コンバータ回路10、11の発生したサージ電圧が重畳される場合でも、より減衰した状態で重畳されることになる。これにより、サージ電圧の重畳に伴って発生する電圧変動を抑えることができる。
次に、第1実施形態における電力変換装置の効果について説明する。第1実施形態によれば、コンバータ回路10とコンバータ回路11の間には、離間部材17が設けられている。離間部材17は、コンバータ回路10とコンバータ回路11の間の距離を離すことで、コンバータ回路10の共通電源ライン150、151への接続点P1、P2と、コンバータ回路11の共通電源ライン150、151への接続点P3、P4の間の距離を離す部材である。そのため、従来のように接続点間の距離が近い場合に比べ、接続点P1と接続点P3の間のインダクタンス、及び、接続点P2と接続点P4の間のインダクタンスを大きくすることができる。従って、コンバータ回路10、11の発生したサージ電圧が重畳される場合でも、より減衰した状態で重畳されることになる。これにより、サージ電圧の重畳に伴って発生する電圧変動を抑えることができる。
第1実施形態によれば、コンバータ回路10のIGBT102のコレクタは共通電源ライン150に、IGBT103のエミッタは共通電源ライン151にそれぞれ接続されている。コンバータ回路11のIGBT112のコレクタは共通電源ライン150に、IGBT103のエミッタは共通電源ライン151にそれぞれ接続されている。離間部材17は、コンバータ回路10のIGBT102、103とコンバータ回路11のIGBT112、113の間に配置され、IGBT102、103とIGBT112、113の間の距離を離す部材である。そのため、接続点P1と接続点P3の間の距離、及び、接続点P2と接続点P4の間の距離を確実に離すことができる。
第1実施形態によれば、離間部材17は、そもそも電力変換装置1の構成要素であるインバータ回路13、14である。そのため、別途離間部材を用意する必要がない。従って、体格を大きくすることなく電力変換装置1を構成することができる。
第1実施形態によれば、電力変換装置1は、冷却装置16を備えている。コンバータ回路10のIGBT102、103及びコンバータ回路11のIGBT112、113は、発熱が大きいものほど、冷却装置16の熱抵抗が低い位置に配置されている。そのため、発熱が大きいIGBTほどより強力に冷却することができる。従って、電力変換装置1の温度上昇を確実に抑えることができる。
第1実施形態によれば、冷却装置16は、コンバータ回路10のIGBT102、103及びコンバータ回路11のIGBT112、113に接触し、冷媒が流れることで、これらのIGBTを冷却する冷却管を複数備えている。IGBT102、103及びIGBT112、113は、発熱が大きいものほど、冷媒の流れの上流側に設けられている冷却管に接触して配置されている。そのため、発熱が大きいIGBTほど、冷却装置16の熱抵抗が低い位置に確実に配置することができる。
なお、第1実施形態では、コンバータ回路10のIGBT102、103が冷却管160a、160bの間に、コンバータ回路11のIGBT112、113が冷却管160h、160iの間に、インバータ回路13のIGBT130〜135が冷却管160b〜160eの間に、インバータ回路14のIGBT140〜145が冷却管160e〜160hの間にそれぞれ配置されている例を挙げているが、これに限られるものではない。図3に示すように、コンバータ回路10のIGBT102、103が冷却管160a、160bの間に、コンバータ回路11のIGBT112、113が冷却管160e、160fの間に、インバータ回路13のIGBT130〜135が冷却管160b〜160eの間に、インバータ回路14のIGBT140〜145が冷却管160f〜160iの間にそれぞれ配置されていてもよい。図4に示すように、コンバータ回路10のIGBT102、103が冷却管160d、160eの間に、コンバータ回路11のIGBT112、113が冷却管160h、160iの間に、インバータ回路13のIGBT130〜135が冷却管160a〜160dの間に、インバータ回路14のIGBT140〜145が冷却管160e〜160hの間にそれぞれ配置されていてもよい。
第1実施形態では、コンバータ回路10が電源DC1から供給される直流を変換して出力し、コンバータ回路11が電源DC1とは異なる電源DC2から供給される直流を変換して出力する例を挙げているが、これに限られるものではない。図5に示すように、コンバータ回路10、11は、共通の電源DC1から供給される直流を変換して出力するようにしてもよい。
第1実施形態では、電源DC1、DC2が充放電可能なバッテリである例を挙げているが、これに限られるものではない。電源は、充放電可能なキャパシタであってもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電力変換装置について説明する。第2実施形態の電力変換装置は、第1実施形態の電力変換装置が2つのインバータ回路を備え2つのモータに3相交流を供給するのに対して、1つのインバータ回路を備え1つのモータに3相交流を供給するようにしたものである。
まず、図6及び図7を参照して第2実施形態の電力変換装置の構成について説明する。図6に示す電力変換装置2は、電源DC1、DC2から供給される直流を3相交流に変換して負荷であるモータM1に供給する装置である。ここで、電源DC1は、充放電可能なバッテリである。モータM1は、3相交流が供給されることでトルクを発生する機器である。電力変換装置2は、コンバータ回路20、21と、平滑コンデンサ22と、インバータ回路23とを備えている。
コンバータ回路20、21は、電源DC1、DC2から供給される直流の電圧をそれぞれ変換して出力する回路である。コンバータ回路20は、コンデンサ200と、リアクトル201と、IGBT202、203とを備えている。コンバータ回路21は、コンデンサ210と、リアクトル211と、IGBT212、213とを備えている。コンデンサ200、210、リアクトル201、211及びIGBT202、203、212、213は、第1実施形態のコンデンサ100、110、リアクトル101、111及びIGBT102、103、112、113と同一構成である。
平滑コンデンサ22は、共通電源ライン250、251に出力された直流を平滑化するための素子である。平滑コンデンサ22は、第1実施形態の平滑コンデンサ12と同一構成である。
インバータ回路23は、共通電源ライン250、251を介して入力される直流を交流に変換して、モータM1に供給する回路である。インバータ回路23は、IGBT230〜235を備えている。IGBT230〜235は、第1実施形態のIGBT130〜135と同一構成である。
図7に示すように、電力変換装置2は、冷却装置26を備えている。冷却装置26は、冷却管260a〜260e、260iと、導入管261と、導出管262と、連結管263とを備えている。冷却管260a〜260e、260i、導入管261、導出管262及び連結管263は、第1実施形態の冷却管160a〜160e、160i、導入管161、導出管162及び連結管163と同一のものである。冷却装置26は、第1実施形態の冷却装置16が9つの冷却管で構成されているのに対して、6つの冷却管で構成したものである。第1実施形態の冷却装置16において、冷却管160f〜160h及びこれらを連結する連結管163を取り除いたものと同一構成である。
コンバータ回路20のIGBT202、203及びコンバータ回路21のIGBT212、213は、発熱が大きいものほど、冷却装置26の熱抵抗が低い位置に配置されている。具体的には、発熱が大きいものほど、冷媒の流れの上流側に設けられている冷却管に接触して配置されている。発熱が大きいものほど、冷媒の流れの上流側で冷媒が流入する冷却管に接触して配置されている。
コンバータ回路21に比べてコンバータ回路20の使用頻度が高い場合、コンバータ回路20のIGBT202、203の発熱がコンバータ回路21のIGBT212、213より大きくなる。発熱が大きいIGBT202、203は、冷媒の流れの上流側に設けられている冷却管の間にこれらに接触した状態で配置されている。一方、発熱が小さいIGBT212、213は、IGBT202、203が配置される冷却管よりも下流側に設けられている冷却管の間に、これらに接触した状態で配置されている。
コンバータ回路20とコンバータ回路21の間には、離間部材27が設けられている。離間部材27は、コンバータ回路20とコンバータ回路21の間の距離を離すことで、コンバータ回路20の共通電源ライン250、251への接続点P1、P2と、コンバータ回路21の共通電源ライン250、251への接続点P3、P4の間の距離を離す部材である。具体的には、IGBT202、203とIGBT212、213の間に配置され、IGBT202、203とIGBT212、213の間の距離を離す部材である。離間部材27は、インバータ回路23である。具体的には、IGBT230〜235である。
コンバータ回路20のIGBT202、203は、冷媒の流れの上流側に設けられている冷却管260a、260bの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT202を後側、IGBT203を前側にした状態で配置されている。
コンバータ回路21のIGBT212、213は、冷却管260a、260bよりも下流側に設けられている冷却管260e、260iの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT212を後側、IGBT213を前側にした状態で配置されている。
インバータ回路23のIGBT230〜235は、コンバータ回路20のIGBT202、203とコンバータ回路21のIGBT212、213の間に、冷却管260b〜260eに接触した状態で配置されている。
インバータ回路23のIGBT230、233は、冷却管260b、260cの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT230を後側、IGBT233を前側にした状態で配置されている。IGBT231、234は、冷却管260c、260dの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT231を後側、IGBT234を前側にした状態で配置されている。IGBT232、235は、冷却管260d、260eの間に、これらに接触した状態で配置されている。IGBT232を後側、IGBT235を前側にした状態で配置されている。
IGBT202、230〜232、212のコレクタCは、バスバーからなる共通電源ライン250に接続されている。IGBT203、233〜235、213のエミッタEは、バスバーからなる共通電源ライン251に接続されている。IGBT202、230〜232、212のエミッタEと、IGBT203、233〜235、213のコレクタCは、バスバーによってそれぞれ接続されている。
このようにコンバータ回路20、21及びインバータ回路23を配置し、共通電源ライン250、251に接続することで、コンバータ回路20の共通電源ライン250、251への接続点P1、P2と、コンバータ回路21の共通電源ライン250、251への接続点P3、P4の間の距離を離すことができる。
次に、図6及び図7を参照して電力変換装置の動作について説明する。図6に示すコンバータ回路20は、IGBT202、203を所定のタイミングでスイッチングさせることで、電源DC1から供給される直流電圧を昇圧して共通電源ライン250、251に出力する。コンバータ回路21は、IGBT212、213を所定のタイミングでスイッチングさせることで、電源DC2から供給される直流電圧をコンバータ回路20の出力電圧と同一の電圧に昇圧して共通電源ライン250、251に出力する。
インバータ回路23は、必要に応じてIGBT230〜235を所定のタイミングでスイッチングさせることで、共通電源ライン250、251を介して入力される直流を3相交流に変換してモータM1に供給する。モータM1は、3相交流が供給されることでトルクを発生する。
IGBT202、203とIGBT212、213は、共通電源ライン250、251に接続されている。しかし、図7に示すように、IGBT202、203とIGBT212、213の間には、IGBT202、203とIGBT212、213の距離を離すことで、コンバータ回路20の共通電源ライン250、251への接続点P1、P2と、コンバータ回路21の共通電源ライン250、251への接続点P3、P4の距離を離す離間部材27が配置されている。具体的には、インバータ回路23のIGBT230〜235が配置されている。そのため、従来のように接続点間の距離が近い場合に比べ、接続点P1と接続点P3の間のインダクタンス、及び、接続点P2と接続点P4の間のインダクタンスを大きくすることができる。従って、コンバータ回路20、21の発生したサージ電圧が重畳される場合でも、より減衰した状態で重畳されることになる。これにより、サージ電圧の重畳に伴って発生する電圧変動を抑えることができる。
次に、第2実施形態における電力変換装置の効果について説明する。第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第2実施形態では、コンバータ回路20が電源DC1から供給される直流を変換して出力し、コンバータ回路21が電源DC1とは異なる電源DC2から供給される直流を変換して出力する例を挙げているが、これに限られるものではない。図8に示すように、コンバータ回路20、21は、共通の電源DC1から供給される直流を変換して出力するようにしてもよい。
第2実施形態では、電源DC1、DC2が充放電可能なバッテリである例を挙げているが、これに限られるものではない。電源は、充放電可能なキャパシタであってもよい。
なお、第1及び第2実施形態では、電力変換装置が2つのコンバータ回路を備えている例を挙げているが、これに限られるものではない。電力変換装置は、3つ以上のコンバータ回路を備えていてもよい。複数のコンバータ回路を備えていればよい。
第1実施形態では、電力変換装置が2つのインバータ回路を備え、第2実施形態では、電力変換装置が1つのインバータ回路を備えている例を挙げているが、これに限られるものではない。電力変換装置は、3つ以上のインバータ回路を備えていてもよい。少なくとも1つのインバータ回路を備えていればよい。