JP6565154B2 - 光制御部材および光制御部材付き窓 - Google Patents
光制御部材および光制御部材付き窓 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6565154B2 JP6565154B2 JP2014201854A JP2014201854A JP6565154B2 JP 6565154 B2 JP6565154 B2 JP 6565154B2 JP 2014201854 A JP2014201854 A JP 2014201854A JP 2014201854 A JP2014201854 A JP 2014201854A JP 6565154 B2 JP6565154 B2 JP 6565154B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- light
- control member
- heat storage
- incident
- storage material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Special Wing (AREA)
- Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
Description
光制御部材の態様としては、特許文献1では、太陽光を透過する光透過性材料からなる光透過性部と、太陽光を偏向する光透過性材料からなる光偏向部がシート内の一方向に所定ピッチで配列されてなる光偏向部群とを有する構造が開示されている。
例えば、窓ガラスの一方の表面が屋内の空気と接し、他方の表面が屋外の空気と接する場合、冬場では屋外よりも屋内の空気の温度が高いため、窓ガラスを介して急激な温度変化がおこる。このため、屋内側の窓ガラス表面上に結露が発生し、窓ガラス全体が曇ってしまう。このとき、光制御部材を備えた窓ガラスにおいては、屋外から入射した光が窓ガラスの表面に生じた結露に当たり散乱等が生じてしまい、光制御部材により偏向される光量が減少する。このため、窓ガラスに光制御部材を備えていても所望の採光効果が得られないといった問題がある。
これにより、本発明の光制御部材は、高い防曇機能および採光機能を発揮することが可能となる。
本発明の光制御部材は、光偏向部および上記光偏向部と隣接する光透過部を有する光制御部材であって、上記光透過部および上記光偏向部は、光が入射する側の面である入射面と、上記光が出射する側の面であり、かつ上記入射面に対向する面である出射面との間に、上記光透過部および上記光偏向部の界面もしくは上記界面の延長面が、上記出射面および上記入射面と交差するようにして配置され、上記光偏向部が有する2つの上記界面のうち一方が、上記入射面側から入射した光を上記出射面側に反射する光反射面であり、上記光透過部および上記光偏向部の少なくとも一方に蓄熱材が含有されていることを特徴とするものである。
これにより、本発明の光制御部材は、高い防曇機能および採光機能を発揮することが可能となる。
まず、本発明の光制御部材に使用される蓄熱材について説明する。
本発明における蓄熱材は、光制御部材の光透過部および光偏向部の少なくとも一方に含有される。
上記蓄熱材は、熱エネルギーを別のエネルギーの形で一時貯蔵し、必要に応じて元の熱エネルギーに戻して取り出すことが可能である。
蓄熱材は、エネルギーの貯蔵態様に応じて分類され、具体的には、顕熱型蓄熱材、潜熱型蓄熱材、化学エネルギー型蓄熱材等がある。中でも本発明においては、蓄熱材が潜熱型蓄熱材であることが好ましい。潜熱型蓄熱材は、物質の相変化(固相・液相・気相)に伴う融解熱、気化熱等を潜熱の形態で蓄熱することから、小さい体積で大量の熱エネルギーを保存できるからである。また、潜熱型蓄熱材は、熱を取り出す際の温度が一定となるからである。
無機系の潜熱型蓄熱材としては、例えば、LiOH、NaOH、LiF等の無機塩、硫酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、チオ硫酸ナトリウム水和物、塩化カルシウム水和物等の無機水和塩、共融潜熱を利用した共晶合金等からなるものがある。
また、有機系の潜熱型蓄熱材としては、例えば、脂肪族炭化水素、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、ポリエーテル化合物、芳香族炭化水素、脂肪酸トリグリセリド等の有機化合物からなるものがある。
本発明において用いられる蓄熱材の形状としては特に限定されず、光透過部および光偏向部への含有方法に応じて適宜選択することができる。蓄熱材の形状としては、例えば、粒子状、ゲル状、マイクロカプセル状等が挙げられる。
蓄熱材が粒子状である場合の形状としては、特に限定されず、例えば、真球形、一部が歪んだ球形、だるま形、方形、円柱形、錐形、あるいはこれらの形の組み合わせ等の形状が挙げられる。粒子状蓄熱材の平均粒径については、蓄熱材が含有される部材および含有方法によって適宜設計される。具体的な平均粒径については、後述する「II.実施形態」の項で説明する。
ゲル状蓄熱材とは、粒子状蓄熱材にゲル化剤を添加させて蓄熱材をゲル化させたものである。粒子状蓄熱材をゲル化することで、柔軟性を有し追随性を付与することができ、また、粒子同士の互着を防ぐことができる。
ゲル化剤としては、一般に蓄熱材をゲル化する際に用いられる公知の材料が挙げられる。また、ゲル化剤の添加量は、粒子状蓄熱材をゲル化するのに十分な量であればよく、通常は粒子状蓄熱材の全体量に対して数重量%程度であればよい。
マイクロカプセル状蓄熱材とは、例えば液状の蓄熱材がマイクロカプセル内に内包されたものをいう。
マイクロカプセル状蓄熱材のカプセル外壁の素材としては、液状の蓄熱材を内包できるものであればよく、例えばポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリオキシメチレンウレア、ポリウレタン、フェノール、ゼラチン、もしくはアラビアゴム等の天然樹脂が使用できる。
マイクロカプセル状蓄熱材の平均粒径については、含有される部材および含有方法によって適宜設計することができる。具体的な平均粒径については、後述する「II.実施形態」の項で説明する。
蓄熱材は透明であることが好ましい。蓄熱材が透明であり、高い光透過性を有することにより、蓄熱材が含有されることによる本発明の光制御部材全体としての光透過性の低下を抑えることができるからである。なお、蓄熱材の透明性は、厳密な光の透過率で規定されず、本発明の光制御部材の光透過率に応じて適宜決定することができる。
次に、本発明の光制御部材の実施形態について説明する。
本発明の光制御部材の実施形態としては、光偏向部および上記光偏向部と隣接する光透過部を有し、上記光透過部および上記光偏向部は、入射面と出射面との間に、上記光透過部および上記光偏向部の界面もしくは上記界面の延長面が、上記出射面および上記入射面と交差するようにして配置される態様であれば特に限定されない。
具体的には、光透過部が透明樹脂層で構成されており、光透過部の入射面側に形成された複数の溝部内に光偏向部を有する「第1態様」と、基材や窓ガラス等の支持部材の表面に複数の光偏向部が独立して形成されており、それぞれの光偏向部と隣接する光透過部が空気層である「第2態様」とに大別される。なお、第1態様の光制御部材のことを、「ルーバー態様」と称する場合がある。
以下、本発明の光制御部材の各態様について説明する。
本態様の光制御部材は、光透過部が透明樹脂層で構成されており、上記光透過部の上記入射面側に形成された複数の溝部内に上記光偏向部を有する。
本態様においては、光透過部3Aおよび光偏向部2Aが隣接する界面f(すなわち溝部の側面)の延長面が入射面4および出射面5と交差する。また、光偏向部2Aの有する隣接する光透過部3Aとの2つの界面fのうち一方は、入射面4側から入射した光を出射面5側に反射する光反射面Fである。
すなわち、本態様の光制御部材は、光反射面が、光透過部と光偏向部とが異なる屈折率を有することで形成される異屈折率界面である「第1形態」と、光反射面が、界面に金属膜等が形成されてなる鏡面反射面である「第2形態」とを有する。
本形態の光制御部材は、ルーバー態様を有し、光反射面が上記光透過部と上記光偏向とが異なる屈折率を有することで形成される異屈折率界面である。
溝部は、通常、光透過部の入射面側に複数形成される。
光透過部の入射面側から見た溝部の開口形状としては、直線状、曲線状等が挙げられる。また、隣り合う各溝部は、平行して形成されていてもよく、ランダムに形成されていてもよく、交差して形成されていてもよい。中でも、複数本の溝部が直線状であり、且つ平行して形成されていることが好ましい。
溝部の長さについては、特に限定されず、本態様の光制御部材の用途等に応じて適宜設定することができる。なお、溝部の長さとは、入射面側から見た溝部開口の長手方向の長さをいう。
なお、図3は本態様の光制御部材における溝部の形状の例を示す概略断面図である。
なお、溝部の幅とは、すなわち光偏向部の幅を意味し、例えば図2においてaで示す部分である。
なお、溝部の深さは、光透過部の入射面から溝部の凹部先端までの長さ、すなわち光偏向部の厚さを意味し、例えば図2においてbで示す部分である。
溝部間距離としては、所望の防曇機能および採光機能を発揮できる長さであればよく、最も広幅の部分の長さが15μm〜200μmの範囲内、中でも20μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。
なお、溝部間距離とは、すなわち光偏向部の配置間距離を意味し、例えば図2においてcで示す部分である。
光透過部を構成する透明樹脂としては、高い光透過性を有するものであれば特に限定されず、例えば熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。中でも硬化性の点から電離放射線硬化型樹脂が好適である。
紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、従来から慣用されている重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。例えば、重合性オリゴマーないしはプレポリマー、特には、多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーが挙げられる。
重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマーが好ましく、中でも(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマーが好ましい。具体的には、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを指す。
光透過部に含有される蓄熱材の形状としては、マイクロカプセル状、粒子状が好ましい。光透過部に含有されるマイクロカプセル状または粒子状の蓄熱材の平均粒径としては、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、中でも1μm〜30μmの範囲内、特に2μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。蓄熱材の平均粒径を上記範囲内とすることで、蓄熱材の全光線透過率が低くても、光制御部材全体としての全光線透過率への影響が少なくできるからである。
なお、本明細書内において、平均粒径は、レーザー回折散乱法による粒径測定器(SALD2000J、島津製作所(株)製)により測定される。
なお、光透過部の厚さとは、入射面から出射面までの長さ、すなわち光透過部を構成する透明樹脂層の膜厚(図2中のdで示す部分)をいう。
本形態における光偏向部は、光透過部と異なる屈折率を示すものであればよく、例えば図1および図2で例示するように、溝部内に樹脂を含む光偏向部用組成物が充填されて成る樹脂層2Aであってもよく、図4で例示するように、溝部内の空気層2Bであってもよい。なお、図4(a)は本形態の光制御部材の別の例を示す概略斜視図であり、図4(b)は図4(a)のX方向、すなわち本形態の光制御部材の厚さ方向から見た概略断面図である。
光偏向部の第1仕様は、樹脂を含む光偏向部用組成物が充填されて成る樹脂層である仕様である。
樹脂層に用いられる樹脂としては、例えば電離放射線硬化性樹脂を挙げることができる。上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられるが、中でも紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、従来から慣用されている重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマーが好ましく、中でも(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマーが好ましい。具体的には、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー等が挙げられる。
また、ポリチオール系等の反応性オリゴマー、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート等の反応性のモノマー等を用いてもよい。
これらは単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを指す。
本仕様の光偏向部は、必要に応じて添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等が挙げられる。
なお、具体的な熱線吸収粒子については、例えば特開2014−085408号公報等に開示される熱線吸収粒子を用いることができる。
本仕様の光偏向部の屈折率としては、光透過部と後述する所望の屈折率差を有することができればよい。具体的には、光偏向部の屈折率が1.40〜1.80の範囲内であることが好ましく、特に1.40〜1.65の範囲内であることが好ましい。
光偏向部の第2仕様は、光偏向部が空気層である仕様である。
空気の屈折率は通常1.0程度であり、上述した光透過部に用いられる樹脂の屈折率よりも低いことから、光透過部および光偏向部の界面(すなわち、溝部の側面)が異屈折率界面となる。
本形態における光偏向部は、光透過性を有していることが好ましい。光偏向部が光透過性を有することで、光制御部材全体としての光透過性を高くすることができ、採光機能を向上させることが可能であるからである。具体的には、光偏向部の全光線透過率が70%以上であることが好ましく、中でも75%以上、特に80%以上であることが好ましい。なお、上記全光線透過率はスガ試験機株式会社製 全自動直読ヘイズコンピュータ(HGM−2DP)を用いて測定した値である。
本形態における界面は、すなわち入射面および出射面に交差する方向に位置する溝部の側面を指す。
本形態における界面は異屈折率界面であり、光偏向部が有する隣接する光透過部との2つの界面のうち一方が光反射面となる。なお、光反射面と対向する界面を「対向面」と称する場合がある。
光反射面は、多くの光を反射させるために高い平滑性を有することが好ましい。具体的には、光反射面の算術平均粗さ(Ra)が50nm以下であることが好ましく、中でも25nm以下、特に10nm以下であることが好ましい。光反射面の算術平均粗さ(Ra)が上記上限値よりも大きいと、光反射面において光の散乱が生じやすくなり、採光量の減少により採光機能が低下する場合がある。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた断面観察による測定方法とは、JIS B0601 2001の規定に準じて、23℃下でSEMにより断面を観察し、得られた画像より界面輪郭線(粗さ曲線)を抽出し、下記方法で算出した値を算術平均粗さ(Ra)とするものである。
(算術平均粗さ(Ra)の算出方法)
粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、下記式(1)によって求められる値をマイクロメートル(nm)で表して算出値とする。
対向面は、光反射面であってもよく光散乱面であってもよい。中でも対向面が光散乱面であることが好ましい。対向面を光散乱面とすることで、入射した光を散乱させ、散乱された光の一部を偏向させることができるからである。また、上記対向面において光を散乱させることで、直達光の軽減による防眩効果が得られるからである。
本形態においては、光透過部と光偏向部との屈折率差が大きいほど好ましい。異屈折率界面である光反射面において入射光の反射が生じやすくなり、採光量を増加させることができるからである。具体的には上記屈折率差が0.03以上、特に0.05以上であることが好ましい。屈折率差が上記範囲に満たないと、全反射の波長分散が発生した際に、長波長成分が全反射せず、短波長成分のみが全反射することがあり、採光の色彩に変化が発生する場合があるからである。
本形態の光制御部材は、ルーバー態様を有し、光反射面が鏡面反射面である。
本形態の光制御部材の第1仕様は、溝部の少なくとも一方の側面に金属膜が形成されており、上記金属膜が形成された界面を、鏡面反射面である光反射面とするものである。
さらに、本仕様では、光透過部および光偏向部の少なくとも一方に蓄熱材が含有されるが、中でも光偏向部に含まれることが好ましい。その理由および蓄熱材の詳細については、「(1)第1形態」および「I.蓄熱材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。なお、光偏向部が空気層である場合は、溝部に直接、蓄熱材を充填することにより、蓄熱材を含む光偏向部としてもよい。
本仕様における光反射面は、金属膜が形成された鏡面反射面である。
金属膜としては、例えば金属めっき層、金属蒸着膜が挙げられる。
金属膜に用いられる金属としては、所望の反射率を示すことが可能な材料であれば特に限定されず、銀、アルミニウム等の一般に金属反射膜として使用される金属材料を用いることができる。
本形態の光制御部材の第2仕様は、溝部内に金属粒子を含む光偏向部が形成されることで、光透過部および光偏向部の界面が鏡面反射面となるものである。
本仕様における光偏向部に含まれる金属粒子としては、例えば銀、アルミニウム等の一般に金属反射膜として使用される金属材料等を用いることができる。
本仕様においては、蓄熱材は光透過部に含まれていても良く、光偏向部に含まれていても良いが、中でも光偏向部に含まれることが好ましい。その理由については、「(1)第1形態」で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様の光制御部材は、他に任意の部材を有していてもよい。以下、想定される任意の部材について説明する。
本態様の光制御部材は、透明基材を有していてもよい。本態様の光制御部材の機械的強度を高めることが可能となるからである。
透明基材としては、例えば樹脂フィルム、樹脂シート等を用いることができる。樹脂フィルム、樹脂シートに用いられる樹脂としては、光透過性の高いものであれよく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、フッ素樹脂、ゴム等が挙げられる。また、上記基材は、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
本態様の光制御部材は、オーバーコート層を有していてもよい。中でも、本態様の光制御部材における光偏向部が、上述した「(1)第1形態 (c)光偏向部 (ii)第2仕様」で説明した仕様を有する場合、蓄熱材を溝部内に密閉させるために上記光透過部の入射面側の表面上にオーバーコート層を配置することが好ましい。
オーバーコート層の厚さとしては、その機能が十分に発揮されるものであれば特に限定されないが、一般的には0.1μm〜10μmの範囲内である。
本態様の光制御部材は、窓ガラスや基材等の所望の部材に貼合させるための粘着層を有していてもよい。
粘着層としては、特に限定されないが、例えばゴム系、アクリル系、オレフィン系、ポリエステル系、およびポリウレタン系の粘着剤等を粘着主剤とするものが挙げられる。このような粘着層としては、例えば感圧粘着層等がある。
また、粘着層は、蓄熱材を含有していてもよい。粘着層内にも蓄熱材が含有されることで、本態様の光制御部材の防曇機能をより向上させることができるからである。なお、粘着層に含有される蓄熱材は透明であることが好ましく、中でも透明な潜熱型蓄熱材であることが好ましい。
本態様の光制御部材は、耐候性や耐傷性の向上を目的としてハードコート層を有していてもよい。
ハードコート層の材料としては、透明なものであれば特に限定されず、一般に透明シートの分野に用いられるものと同様とすることができる。
ハードコート層の膜厚としては、その機能が十分に発揮されるものであれば特に限定されないが、例えば0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
ハードコート層は、光制御部材を窓材に貼合した際に最外層となるように配置されることが好ましい。
本態様の光制御部材は、上述した部位の他に、例えば入射面における光の回折や干渉の発生を抑制する観点から平坦化層、本態様の光制御部材をロールスクリーンとして用いるためのスクリーン基材等を有していてもよい。
本態様の光制御部材は、高い採光機能を有するために、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。なお、全光線透過率はスガ試験機株式会社製 全自動直読ヘイズコンピュータ(HGM−2DP)を用いて測定した値である。
このとき、蓄熱材は、光透過部用組成物に含有させてもよく、光偏向部用組成物に含有させてもよく、さらには、溝部に直接充填させてもよい。
本態様の光制御部材は、支持部材の表面に複数の光偏向部が独立して形成されており、それぞれの光偏向部と隣接する光透過部が空気層である。
すなわち、本態様の光制御部材は、光偏向部が高屈折率領域となり、光透過部が低屈折率領域となる。
図7および図8で例示するように、本態様の光制御部材1は、光Lが入射する側の面である入射面4、および光Lが光制御部材1を透過して出射する側の面であり、かつ入射面4に対向する面である出射面5の間に、複数の光偏向部2Aと、光偏向部2Aに隣接する空気層である光透過部3Bとが配置されている。
光偏向部2の有する隣接する光透過部3Aとの界面fは入射面4および出射面5と交差しており、2つの界面fのうち一方が光反射面Fである。
図7および図8で例示する光制御部材では、樹脂層からなる光偏向部2Aに蓄熱材が含有されており、複数の光偏向部2Aが基材11上に形成された態様を有する。
本態様における光偏向部は、支持部材の表面に独立して形成される。
本態様における光偏向部を構成する材料としては、例えば樹脂が挙げられる。光偏向部を構成する樹脂については、「1.第1態様 (1)第1形態 (c)光偏向部 (i)第1仕様」の項で説明した樹脂と同様とすることができる。
本態様における光透過部は、入射面および出射面と交差するように配置され、光偏向部と隣接する空気層である。すなわち、光透過部の入射面および出射面は仮想面となる。なお、隣接する光偏向部間の空間において、「1.第1態様 (1)第1形態 (c)光偏向部 (ii)第2仕様」の項で説明した所望の平均粒径を有するマイクロカプセル型蓄熱材を充填させることで、光透過部を、蓄熱材を含有する空気層とすることも可能である。
本態様において、入射面および反射面と交差する方向に有する光偏向部と光透過部との界面のうち、少なくとも一方は光反射面である。
本態様においては、光透過部が屈折率の低い空気層から構成されることから、光偏向部が高屈折率領域となり、光透過部が低屈折率領域となる。よって、光透過部および光偏向部の界面のうち一方は、異屈折率界面からなる光反射面となる。
このときの光偏向部と光透過部との屈折率差、および異屈折率界面の詳細については、「1.第1態様 (1)第1形態」の項にて説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、光偏向部と光透過部との界面のうち、光反射面と対向する他方の界面については、光反射面であってもよく、光散乱面であってもよく、特に限定されない。
本態様の光制御部材は、通常、支持部材上に複数の光偏向部が所望の間隔で形成された構造を有する。支持部材については、上述した「1.第1態様」の項で説明した透明基材の他、光制御部材を取り付ける窓ガラス等の窓材等が挙げられる。窓材に直に光偏向部を形成することで、本態様の光制御部材を窓材と一体化した態様とすることができる。また、支持部材として棒や紐を用いてもよい。この場合、光偏向部をブラインドのスラットとして機能させることができる。
本態様の光制御部材の全光線透過率、蓄熱量、形状、および用途等については、上述した「1.第1態様」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の光制御部材付き窓について説明する。本発明の光制御部材付き窓は、窓材、および上記窓材の一方の表面上に配置された光制御部材を有するものであって、上記光制御部材は、「A.光制御部材」の項で説明したものであることを特徴とするものである。
本発明の光制御部材付き窓10は、光Lの入射側から、窓材21、窓材21の一方の表面上に配置された光制御部材1を有するものである。図10(a)では、光制御部材1が粘着層(符号なし)を介して窓材21に貼合されている。一方、図10(b)では、光制御部材1の光偏向部2Aが、基材11および粘着層(符号なし)を介して窓材21に貼合されている。
なお、図10(a)および図10(b)における光制御部材1については、図1および図7と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明における光制御部材は、光偏向部および上記光偏向部と隣接する光透過部を有し、上記光透過部および上記光偏向部は、入射面と出射面との間に、上記光透過部および上記光偏向部の界面もしくは上記界面の延長面が上記出射面および上記入射面と交差するようにして配置される態様を有するものであれば特に限定されない。具体的には、上述の「A.光制御部材」で説明した第1態様の光制御部材であってもよく、第2態様の光制御部材であってもよい。
一般的なロールスクリーンは、スクリーンを、パイプ等の本体部分に内蔵されたスプリングによって巻取り昇降させるものであり、上記スクリーンを好みの高さで止めることもできる。例えばスクリーン基材の一方の表面上に、粘着層を介して光制御部材を配置して上記スクリーンとすることにより、本発明における光制御部材をロールスクリーンとして用いることができる。
また、一般的なブラインドは、金属やプラスチックの細長い帯状の板(スラット)が棒や紐でつながれているものであり、上記棒や紐で上記スラットの角度を調節でき、不必要な場合は巻き上げることができるものである。例えば、上記スラットを基材上に形成された本発明における光制御部材とし、または上述の「A.光制御部材 II.実施形態 2.第2態様」において棒や紐を支持部材として光偏向部を連結することにより、本発明における光制御部材をブラインドとして用いることができる。
本発明において窓材は、通常、光制御部材よりも太陽等の光源側に配置されること、すなわち、本発明における光制御部材の入射面側に配置されることが好ましい。
本発明の光制御部材付き窓は、窓材と光制御部材とを貼合させるための粘着層を有していても良い。粘着層については、光透過性の高いものであれば特に限定されず、例えば上述した「A.光制御部材 II.実施形態」の項で説明した粘着層を用いることができる。
その他、本発明の光制御部材付き窓の蓄熱量等の他の物性については、「A.光制御部材 II.実施形態」の項で説明した内容と同様とすることができる。
2A、2B、2C … 光偏向部
3A、3B、3C … 光透過部
4 … 入射面
5 … 出射面
6 … 金属膜
7 … 金属粒子
10 … 光制御部材付き窓
11 … 基材
a … 光偏向部の幅、溝部の幅
b … 光偏向部の厚さ、溝部の深さ
c … 光偏向部の配置間距離、溝部間距離
d … 光透過部の厚さ、透明樹脂層の膜厚
D … 溝部
f … 界面
F … 光反射面
Claims (7)
- 樹脂層を含む光偏向部および前記光偏向部と隣接する、樹脂層を含む光透過部を有する光制御部材であって、
前記光透過部および前記光偏向部は、光が入射する側の面である入射面と、前記光が出射する側の面であり、かつ前記入射面に対向する面である出射面との間に、前記光透過部および前記光偏向部の界面もしくは前記界面の延長面が、前記出射面および前記入射面と交差するようにして配置され、
前記光偏向部が有する2つの前記界面のうち一方が、前記入射面側から入射した光を前記出射面側に反射する光反射面であり、
前記光偏向部に蓄熱材が含有されており、
前記光透過部の屈折率は前記蓄熱材が含有された前記光偏向部の屈折率よりも0.03以上大きいことを特徴とする光制御部材。 - 樹脂層を含む光偏向部および前記光偏向部と隣接する、樹脂層を含む光透過部を有する光制御部材であって、
前記光透過部および前記光偏向部は、光が入射する側の面である入射面と、前記光が出射する側の面であり、かつ前記入射面に対向する面である出射面との間に、前記光透過部および前記光偏向部の界面もしくは前記界面の延長面が、前記出射面および前記入射面と交差するようにして配置され、
前記光偏向部が有する2つの前記界面のうち一方が、前記入射面側から入射した光を前記出射面側に反射する光反射面であり、
前記光偏向部に蓄熱材および金属粒子が含有されており、
前記金属粒子を含む前記光偏向部が形成されることで、前記光反射面が鏡面反射面となることを特徴とする光制御部材。 - 前記蓄熱材が潜熱型蓄熱材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光制御部材。
- 前記潜熱型蓄熱材が透明であることを特徴とする請求項3に記載の光制御部材。
- 前記光透過部が透明樹脂層で構成されており、前記光透過部の前記入射面側に形成された複数の溝部内に前記光偏向部を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の光制御部材。
- 窓材、および前記窓材の一方の表面上に配置された光制御部材を有する光制御部材付き窓であって、
前記光制御部材が、樹脂層を含む光偏向部および前記光偏向部と隣接する、樹脂層を含む光透過部を有し、
前記光透過部および前記光偏向部は、光が入射する側の面である入射面と、前記光が出射する側の面であり、かつ前記入射面に対向する面である出射面との間に、前記光透過部および前記光偏向部の界面もしくは前記界面の延長面が、前記出射面および前記入射面と交差するようにして配置され、
前記光偏向部が有する2つの前記界面のうち一方が、前記入射面側から入射した光を前記出射面側に反射する光反射面であり、
前記光偏向部に蓄熱材が含有されており、
前記光透過部の屈折率は前記蓄熱材が含有された前記光偏向部の屈折率よりも0.03以上大きいことを特徴とする光制御部材付き窓。 - 窓材、および前記窓材の一方の表面上に配置された光制御部材を有する光制御部材付き窓であって、
前記光制御部材が、樹脂層を含む光偏向部および前記光偏向部と隣接する、樹脂層を含む光透過部を有し、
前記光透過部および前記光偏向部は、光が入射する側の面である入射面と、前記光が出射する側の面であり、かつ前記入射面に対向する面である出射面との間に、前記光透過部および前記光偏向部の界面もしくは前記界面の延長面が、前記出射面および前記入射面と交差するようにして配置され、
前記光偏向部が有する2つの前記界面のうち一方が、前記入射面側から入射した光を前記出射面側に反射する光反射面であり、
前記光偏向部に蓄熱材および金属粒子が含有されており、
前記金属粒子を含む前記光偏向部が形成されることで、前記光反射面が鏡面反射面となることを特徴とする光制御部材付き窓。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014201854A JP6565154B2 (ja) | 2014-09-30 | 2014-09-30 | 光制御部材および光制御部材付き窓 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014201854A JP6565154B2 (ja) | 2014-09-30 | 2014-09-30 | 光制御部材および光制御部材付き窓 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016069981A JP2016069981A (ja) | 2016-05-09 |
JP6565154B2 true JP6565154B2 (ja) | 2019-08-28 |
Family
ID=55865228
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014201854A Expired - Fee Related JP6565154B2 (ja) | 2014-09-30 | 2014-09-30 | 光制御部材および光制御部材付き窓 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6565154B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6080293U (ja) * | 1983-11-08 | 1985-06-04 | 旭硝子株式会社 | 遮熱、蓄熱ル−バ− |
JP2009216778A (ja) * | 2008-03-07 | 2009-09-24 | Fujifilm Corp | 光路規制シートの製造方法、及び光路規制シート |
JP5434245B2 (ja) * | 2009-05-11 | 2014-03-05 | 大日本印刷株式会社 | 光制御シート及び建物 |
JP5611701B2 (ja) * | 2010-07-30 | 2014-10-22 | クボタシーアイ株式会社 | 蓄熱部材の設置構造、および温室 |
-
2014
- 2014-09-30 JP JP2014201854A patent/JP6565154B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016069981A (ja) | 2016-05-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5609406B2 (ja) | 光学素子およびその製造方法ならびに照明装置、窓材および建具 | |
ES2318644T3 (es) | Lamina de difusion de luz y unidad de iluminacion posterior que utiliza la misma. | |
JP6730871B2 (ja) | 光学体、窓材及びロールカーテン | |
JP2009075539A (ja) | 反射防止構造及び反射防止成形体 | |
JP2007079452A (ja) | 配光制御反射シート | |
CN112180672A (zh) | 一种投影屏幕 | |
JP6565154B2 (ja) | 光制御部材および光制御部材付き窓 | |
JP2008233824A (ja) | 視野角制御シート及びこれを用いた液晶表示装置 | |
TW201407199A (zh) | 光線偏轉光學膜 | |
JP2019144469A (ja) | 車内灯利用型表示体 | |
JP2016167067A (ja) | 光学素子およびその製造方法ならびに照明装置、窓材および建具 | |
JP6264093B2 (ja) | 光制御部材、ロールスクリーン、採光シートおよび光制御層付き窓 | |
JP2009098400A (ja) | 光学シート | |
JPH0251164B2 (ja) | ||
JP6318647B2 (ja) | 内装建材シート及び採光システム | |
JP6288358B2 (ja) | 採光部材 | |
JP6949460B2 (ja) | 光学体、窓材及びロールカーテン | |
CN218413062U (zh) | 抬头显示系统及车辆 | |
US20200200344A1 (en) | Daylighting member and daylighting device | |
JP5935846B2 (ja) | 光学素子およびその製造方法ならびに照明装置、窓材および建具 | |
JP2011164491A (ja) | 再帰反射部材 | |
JP2012013801A (ja) | 再帰反射部材 | |
WO2017175588A1 (ja) | 光学体、窓材及びロールカーテン | |
CN216013725U (zh) | 一种微棱镜反光膜及成膜设备 | |
JP6217703B2 (ja) | 光学素子およびその製造方法ならびに照明装置、窓材および建具 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170727 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180523 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180605 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20180718 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180802 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181218 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190205 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190702 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190715 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6565154 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |