JP6563253B2 - 菌増殖防止型精製水製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、日本薬局方に適合する精製水を製造するのに好適な菌増殖防止型精製水製造装置に関する。
従来、医薬品や化粧品などの製造分野に使用される日本薬局方に適合した医薬用の精製水を製造する精製水製造装置が知られている。このような精製水製造装置として、2種類のイオン除去装置、例えば逆浸透膜を用いた逆浸透膜分離装置(以下、「RO」と記す。)からなる第1イオン除去装置に加えて、イオン交換膜や充填物で構成される電気透析槽を用いた電気再生式脱イオン装置(以下、「EDI」と記す。)などの第2イオン除去装置を組み合わせた構成が広く用いられている。(例えば、特許文献1参照)。
このような2種類のイオン除去装置を具備する精製水製造装置としては、図2に示す構成のものが考えられる。この精製水製造装置31は水道水を原水とし、原水の供給側から、前処理装置32、貯水タンク33、ポンプ34、第1イオン(有機体炭素:TOC除去能力も備える)除去装置としてのRO35、第2イオン除去装置としてのEDI36をこの順に配置したものである。
前処理装置32は、活性炭により原水に含まれる残留塩素(原水中にオゾンが含まれる場合には、当該オゾンを含む。以下同じ)を吸着除去する活性炭濾過装置などにより形成されている。この前処理装置32の入口には、原水供給ライン41の一端が接続されており、原水供給ライン41の他端は原水の供給源42に接続されている。また、貯水タンク33は、前処理水ライン43により前処理装置32の出口に接続されており、前処理装置32で前処理された前処理水が貯水されるようになっている。この貯水タンク33は、ポンプ34を備えた第1送水ライン44によりRO35の入口に接続されており、貯水タンク33に貯水された前処理水が加圧されてRO35に送水されるようになっている。なお、第1送水ライン44は、貯水タンク33とポンプ34の入口とを接続する前送水ライン44aと、ポンプ34の出口とRO35の入口とを接続する後送水ライン44bとを備えている。
RO35は、前処理水を、前処理水に含まれるイオン成分およびTOCを除去した透過水と濃縮水とに分離するものであり、透過水は、RO35の透過水出口とEDI36の入口とを接続する第2送水ライン45によりEDI36に送られるようになっている。また、濃縮水は、RO35の濃縮水出口と貯水タンク33とを接続する第1返水ライン46により、貯水タンク33に戻されて再使用されるようになっている。なお、第1返水ライン46の途中には、濃縮水を外部に排水するための排水ライン47の一端が図示しない流路を切り換える切換弁を介して接続されており、必要に応じて濃縮水を外部に排水できるようになっている。
EDI36は、RO35の透過水を、RO35の透過水に残留するイオン成分を除去した透過水である精製水と濃縮水とに分離するものであり、精製水は、EDI36の透過水出口に接続された精製水ライン48によりユースポイントに送られるようになっている。また、濃縮水は、EDI36の濃縮水出口と貯水タンク33とを接続する第2返水ライン49により、貯水タンク33に戻されて再使用されるようになっている。
したがって、貯水タンク33には、前処理水と、RO35の濃縮水と、EDI36の濃縮水とが混合されて貯水されるようになっている。
ここで、医薬用の精製水を製造する精製水製造装置では、夜間などの精製水の非使用時には、混合水および精製水の滞留防止を目的として常時、あるいは断続的に、ポンプ34を駆動させて、貯水タンク33内の混合水をRO35に送って、RO35の濃縮水を第1返水ライン46により貯水タンク33に戻すとともに、RO35からEDI36に送られてEDI36により分離された濃縮水を第2返水ライン49により貯水タンク33に戻すように、両濃縮水の全量を循環させる構成とされている。
しかしながら、貯水タンク33には、前処理水に含まれる菌と、RO35の濃縮水に含まれる濃縮された菌が流入するから、夜間などの長時間循環中に菌が容易に増殖することになるので、RO35の入口における菌の数を抑制できないので、装置上確実に菌管理された医薬用精製水を得ることができないことになる。また、環境や時間経過により系内(流路)で菌が増殖すると、混合水が菌由来のスライムとなり、RO35の逆浸透膜の目詰まりを発生させることになる。なお、EDI36はRO35の透過水に残留するイオン成分除去が主機能であるが、一般に、ある程度の菌の殺菌機能と有機体炭素(TOC)の除去機能を持つ。しかしながらEDI36の濃縮水は菌の栄養源となるイオンが多いので、菌が増殖し易いので、EDI36の濃縮水により増殖した菌が貯水タンク33に流入する場合が多い。
そこで、RO35の入口における菌の数の増加および/またはスライムによる逆浸透膜の目詰まりの発生に対処するために、貯水タンク33の直前に菌を殺菌する殺菌装置を設けた構成の精製水製造装置が考えられる。
図3は、貯水タンクの直前に殺菌装置を設けた精製水製造装置31Aを例示するものである。この精製水製造装置31Aは、前述した精製水製造装置31における前処理水ライン43の途中に、前処理水に含まれる菌を殺菌する殺菌装置としての殺菌用の紫外線を照射する紫外線殺菌装置51を配置したものであり、紫外線殺菌装置51の入口は、前処理水ライン43により前処理装置32の出口に接続されている。この紫外線殺菌装置51としては、紫外線の照射方式が内照式の流水殺菌器が用いられている。また、紫外線殺菌装置51の出口は、殺菌水ライン52により貯水タンク33に接続されており、貯水タンク33には、紫外線殺菌装置51で殺菌された前処理水である殺菌水と、RO35の濃縮水と、EDI36の濃縮水とが混合されて貯水されるようになっている。そして、貯水タンク33に貯水された混合水がポンプ34を備えた第1送水ライン44により加圧されてRO35に送水されるようになっている。
このような精製水製造装置31Aによれば、貯水タンク33の直前に紫外線殺菌装置51を設けることで、前処理水に含まれる菌が殺菌されるので、スライムによる逆浸透膜の目詰まりの回避あるいはRO35の入口における菌の数の抑制を行うことはできるものの、両濃縮水の全量を循環させる際に、RO35の濃縮水に含まれる濃縮された菌も全量が循環するので、夜間などの長時間循環中に菌が容易に増殖することになる。
このような菌の増殖に対処するためには、ポンプ34の直前または直後に紫外線殺菌装置51を配置すれば、RO35の濃縮水、すなわち貯水タンク33に貯水された混合水は、すべて紫外線殺菌装置51を通過して殺菌されることになる。
しかしながら、ポンプ34の直前に紫外線殺菌装置51を配置した場合は、紫外線殺菌装置51の通水抵抗によりポンプ34の吸引性能維持上の障害となり、キャビテーションが発生する。また、ポンプ34の直後に設けた場合は紫外線殺菌装置51の耐圧性が、ポンプ34により送水される混合水の圧力に対応できない。すなわち、紫外線殺菌装置51としては、紫外線の照射方式が内照式の流水殺菌器が用いられているので、RO35の逆浸透膜を通過させるために必要な混合水の水圧により、紫外線ランプを包囲するように設けられた紫外線を透過する石英ガラスなどからなるランプ保護管が破損することになる。
そこで、紫外線殺菌装置51の耐圧性に対処するために、RO35の濃縮水の還流流路である第1返水ライン46の途中に紫外線殺菌装置51を設けた精製水製造装置が考えられる。
図4は、第1返水ラインに紫外線殺菌装置を設けた精製水製造装置31Bを例示するものである。この精製水製造装置31Bは、前述した精製水製造装置31における第1返水ライン46の途中、但し、排水ライン47との接続部位よりも流動方向下流側に、紫外線殺菌装置51を配置したものであり、紫外線殺菌装置51の入口は、第1返水ライン46の流動方向前側を構成する前返水ライン46aによりRO35の濃縮水出口に接続されている。また、紫外線殺菌装置51の出口は、第1返水ライン46の流動方向後側を構成する後返水ライン46bにより貯水タンク33に接続されている。
このような精製水製造装置31によれば、ポンプ34の直前または直後に紫外線殺菌装置51を配置しないので、紫外線殺菌装置51の耐圧性をポンプ34による混合水の圧力に対応させることができる。
特開2014−198292号公報
しかしながら、RO35の濃縮水の還流流路としての第1返水ライン46の途中に紫外線殺菌装置51を設けた精製水製造装置31Bによれば、RO35の濃縮水に含まれる菌の殺菌はできるものの、前処理装置32で前処理された前処理水に含まれる菌が貯水タンク33に流入するから、菌の増殖を防止することができないので、装置上確実に菌管理された状態で日本薬局方に適合した医薬用の精製水を得ることができないし、これによりRO35の逆浸透膜の目詰まりを防止することもできないという問題点があった。
なお、このような問題点に対処するには、紫外線殺菌装置51を貯水タンク33の直前と、第1返水ライン46の途中との2箇所に設ければよいが、2台の紫外線殺菌装置51を必要とするので、構造が複雑となり、コストが高くなるという問題点がある。
そこで、菌の増殖を防止することのできる簡単な構造の精製水製造装置が求められている。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、菌の増殖を防止することのできる簡単な構造の菌増殖防止型精製水製造装置を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明の菌増殖防止型精製水製造装置の特徴は、残留塩素を含む原水を処理して精製水を製造する菌増殖防止型精製水製造装置であって、原水の供給側から流動方向下流側に向けて順に、原水に含まれる残留塩素を除去する前処理装置と前記前処理装置により前処理された前処理水に含まれる菌を殺菌する殺菌装置と、前記殺菌装置で殺菌された殺菌水を貯水する貯水タンクと、前記貯水タンクに貯水された殺菌水を送水するポンプと、前記ポンプで送られた殺菌水を、殺菌水に含まれるイオン成分を除去した第1透過水と第1濃縮水とに分離する第1イオン除去装置と、前記第1イオン除去装置の第1透過水を、第1透過水に残留するイオン成分を除去した第2透過水からなる精製水と第2濃縮水とに分離する第2イオン除去装置とを配置すると共に相互間を流動路によって接続し、前記第1イオン除去装置により分離された第1濃縮水の一部または全部を前記殺菌装置に流入する前処理水に合流させる第1還流ラインを前記殺菌装置の入口側の流動路に接続している点にある。
そして、このような構成を採用したことにより、前処理装置に原水を供給すれば、前処理装置により原水に含まれる残留塩素が除去されて前処理水となる。この前処理水は、殺菌装置により殺菌されて殺菌水となり、貯水タンクに貯水される。その後、貯水タンクに貯水された殺菌水は、ポンプにより第1イオン除去装置に送水され、第1イオン除去装置により殺菌水に含まれるイオン成分が除去された第1透過水と第1濃縮水とに分離する。一方の第1透過水は第2イオン除去装置に送られる。他方の第1濃縮水は、その一部または全部が第1還流ラインにより殺菌装置に入口側の流動路を通して流入する前処理水に合流し再使用される。第2イオン除去装置に送られた第1透過水は、第2イオン除去装置により第1透過水に残留するイオン成分を除去した第2透過水からなる精製水と第2濃縮水とに分離する。このようにして原水から精製水を製造することができる。第2濃縮水は、系外に排水される。また、前処理水、第1濃縮水のそれぞれが殺菌装置を通過するから、前処理水、第1濃縮水は、それぞれに含まれる菌が殺菌された殺菌水となった後に貯水タンクに貯水されるので、第1濃縮水を循環使用しても、1台の殺菌装置で菌の増殖を確実に防止することができるとともに、構造を簡単にすることができる。したがって、簡単な構成で高品質の精製水を容易に製造することができる。
また、本発明において、前記第2イオン除去装置により分離された第2濃縮水を前記殺菌装置に流入する前処理水に合流させる第2還流ラインを前記殺菌装置の入口側の流動路に接続している構成とすることができる。そして、このような構成を採用したことにより、第2濃縮水は、第2還流ラインにより殺菌装置に入口側の流動路を通して流入する前処理水に合流し再使用される。この第2濃縮水も殺菌装置を通過するから、前処理水、第1濃縮水、第2濃縮水は、それぞれに含まれる菌が殺菌された殺菌水となった後に貯水タンクに貯水されるので、第1濃縮水および第2濃縮水を循環使用しても、1台の殺菌装置で菌の増殖を確実に防止することができるとともに、構造を簡単にすることができる。したがって、簡単な構成で高品質の精製水を容易に製造することができる。
また、本発明において、前記前処理装置が活性炭により残留塩素を除去する装置、例えば活性炭濾過装置であり、前記殺菌装置が殺菌用の紫外線を照射する紫外線殺菌装置であり、前記第1イオン除去装置が逆浸透膜を用いた逆浸透膜分離装置であり、前記第2イオン除去装置が電気再生式脱イオン装置である構成とすることができる。そして、このような構成を採用したことにより、活性炭濾過装置は、原水に含まれる残留塩素を吸着除去して前処理水とすることができ、紫外線殺菌装置は、紫外線を照射するという簡単な方法で、前処理水、第1濃縮水、第2濃縮水のそれぞれに含まれる菌を殺菌して殺菌水とすることができ、逆浸透膜分離装置は、殺菌液に含まれるイオン成分を除去した第1透過水と第1濃縮水とに確実に分離することができ、電気再生式脱イオン装置は、第1透過水に残留するイオン成分を除去した第2透過水からなる精製水と第2濃縮水とに確実に分離することができる。
さらに、本発明において、精製水が医療用精製水である構成とすることができる。そして、このような構成を採用したことにより、装置上確実に菌管理された状態で日本薬局方に適合した医療用精製水を容易に製造することができる。
本発明に係る菌増殖防止型精製水製造装置によれば、菌の増殖を防止することのできる簡単な構造を確実に得ることができるなどの優れた効果を奏する。
本発明に係る菌増殖防止型精製水製造装置の実施形態の要部を示す模式図 従来の2種類のイオン除去装置を具備する菌増殖防止型精製水製造装置の一例を示す模式図 図2の貯水タンクの直前に殺菌装置を設けた菌増殖防止型精製水製造装置の一例を示す模式図 図2の第1イオン除去装置の濃縮水の還流流路に紫外線殺菌装置を設けた菌増殖防止型精製水製造装置の一例を示す模式図
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
本実施形態の菌増殖防止型精製水製造装置1(以下、単に「製造装置1」と記す。)は、水道水(上水)を原水とし、この原水から第16改正日本薬局方(以下、単に、「日本薬局方」と記す。)に適合した精製水を製造するものを例示している。なお、日本薬局方に適合した精製水Sは、20℃における導電率が1.1μS/cm以下、菌の数が1ミリリットル当たり100個以下、TOC(有機体炭素)値が300ppb以下(但し、インライン計測値)のものである。
図1に示すように、本実施形態の製造装置1は、原水の供給側から、前処理装置2、殺菌装置3、貯水タンク4、ポンプ5、第1イオン除去装置6、第2イオン除去装置7がこの順に配置されている。
前記前処理装置2は、原水に含まれる残留塩素を除去するためのものであり、本実施形態においては周知の活性炭により残留塩素を吸着除去する活性炭濾過装置2aが用いられている。この活性炭濾過装置2aの入口には、原水を活性炭濾過装置2aに供給するための流動路としての原水供給ライン11の一端が接続されている。この原水供給ライン11の他端は、原水の供給源8に接続されている。また、活性炭濾過装置2aの出口には、前処理済みの前処理水を殺菌装置3に送る流動路としての前処理水ライン12の一端が接続されている。なお、前処理装置2としては、少なくとも原水に含まれる残留塩素を除去できるものであればよい。また、前処理装置2としては、設計コンセプトなどの必要に応じて、活性炭濾過装置2aに、還元剤を注入したり、濁りや異物や一般細菌などを除去する中空糸膜などのフィルタを組み合わせてもよい。
前記殺菌装置3は、前記前処理装置2により前処理された前処理水に含まれる菌(生菌)を殺菌するためのものであり、本実施形態においては周知の殺菌用の紫外線を照射する紫外線殺菌装置3aが用いられている。この紫外線殺菌装置3aとしては、紫外線の照射方式が内照式の流水殺菌器が用いられている。そして、紫外線殺菌装置3aの入口には、前処理水ライン12の他端が接続されており、紫外線殺菌装置3aの出口には、殺菌済みの殺菌水を貯水タンク4に送る流動路としての殺菌水ライン13の一端が接続されている。
前記貯水タンク4は、殺菌水を貯水するためのものである。そして、貯水タンク4には、殺菌水ライン13の他端が接続されており、殺菌水を貯水タンク4の内部に送ることができるように形成されている。
前記ポンプ5は、貯水タンク4に貯水された殺菌水を送水するためのものであり、貯水タンク4に貯水された殺菌水を第1イオン除去装置6に送る流動路としての第1送水ライン14の途中に設けられている。そして、第1送水ライン14は、貯水タンク4とポンプ5の入口とを接続する前送水ライン14aと、ポンプ5の出口と第1イオン除去装置6の入口とを接続する後送水ライン14bとを備えている。
前記第1イオン除去装置6は、殺菌水に含まれるイオン成分を除去するためのものであり、本実施形態においては、殺菌水を、逆浸透膜を用いて殺菌水に含まれるイオン成分を除去した透過水である第1透過水と濃縮水である第1濃縮水とに分離する逆浸透膜分離装置6a(以下、「RO6a」と記す。)が用いられている。このRO6aの入口には、第1送水ライン14のうちの後送水ライン14bが接続されている。また、RO6aの透過水出口には、第1透過水を第2イオン除去装置7に送る流動路としての第2送水ライン15の一端が接続されている。また、RO6aの濃縮水出口には、第1濃縮水を前処理水ライン12に送る流路としての第1還流ライン16の一端が接続されている。この第1還流ライン16の他端は、前処理水ライン12の途中に接続されており、第1濃縮水を殺菌装置3に流入する前処理水に合流させることができるようになっている。なお、第1還流ライン16の途中には、第1濃縮水を外部に排水するための排水ライン17の一端が図示しない流路を切り換える切換弁を介して接続されており、必要に応じて第1濃縮水を外部に排水できるようになっている。すなわち、第1濃縮水の一部または全部を前処理水に合流させることができるようになっている。なお、ポンプ5は、殺菌水の一部がRO6aの逆浸透膜を透過するのに必要な圧力を殺菌水に付加してRO6aに加圧送水するようになっている。
前記第2イオン除去装置7は、第1透過水に残留するイオン成分を除去するためのものであり、本実施形態においては、第1透過水を、イオン交換膜や充填物で構成される電気透析槽を用いて第1透過水に残留するイオン成分を除去した透過水である第2透過水からなる精製水と濃縮水である第2濃縮水とに分離する電気再生式脱イオン装置7a(以下、「EDI7a」と記す。)が用いられている。このEDI7aの透過水出口には、精製水を図示しないユースポイントに送る流路としての精製水ライン18の一端が接続されている。また、EDI7aの濃縮水出口には、第2濃縮水を前処理水ライン12に送る流路としての第2還流ライン19の一端が接続されている。この第2還流ライン19の他端は、前処理水ライン12の途中に接続されており、第2濃縮水を紫外線殺菌装置3aに流入する前処理水に合流させることができるようになっている。なお、第2イオン除去装置7としては、第1透過水に残留するイオン成分を除去した透過水(精製水)と第2濃縮水とに分離できるものであればよく、例えば第1イオン除去装置と同様のROなどを用いてもよい。
なお、本実施形態における前処理装置2、貯水タンク4、ポンプ5、RO6a、EDI7aのそれぞれは、周知のものであり、その詳しい説明については省略する。
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の製造装置1による精製水の製造は、原水の供給源8から原水供給ライン11を通して活性炭濾過装置2aに原水を供給する。活性炭濾過装置2aに供給された原水は、活性炭濾過装置2aを通過する際に、原水に含まれる残留塩素が活性炭に吸着されることで除去され、前処理済みの前処理水となり、前処理水ライン12により紫外線殺菌装置3aに送水される。
ついで、紫外線殺菌装置3aに送水された前処理水は、紫外線殺菌装置3aを通過する際に、紫外線の照射を受けて殺菌され、殺菌済みの殺菌水となり、殺菌水ライン13により貯水タンク4に送水され、貯水タンク4に貯水される。
ついで、貯水タンク4に貯水された殺菌水は、ポンプ5および第1送水ライン14によりRO6aに送水される。この時、ポンプ5は、殺菌水の一部がRO6aの逆浸透膜を透過して第1透過水となるのに必要な圧力を殺菌水に付加してRO6aに加圧送水する。
ついで、RO6aに送水された殺菌水は、逆浸透膜によりイオン成分が除去された透過水である第1透過水と、濃縮水である第1濃縮水とに分離される。一方の第1透過水は、第2送水ライン15によりEDI7aに送水される。他方の第1濃縮水は、第1還流ライン16により前処理水ライン12の途中に戻されることで、紫外線殺菌装置3aに流入する前処理水に合流され、その後、殺菌水となって貯水タンク4に貯水される。
ついで、EDI7aに送水された第1透過水は、電気透析槽により残留するイオン成分が除去された透過水である第2透過水からなる精製水と、濃縮水である第2濃縮水とに分離される。一方の精製水は、精製水ライン18により送水される。他方の第2濃縮水は、第2還流ライン19により前処理水ライン12の途中に戻されることで、紫外線殺菌装置3aに流入する前処理水に合流され、その後、殺菌水となって貯水タンク4に貯水される。
したがって、本実施形態の製造装置1は、原水に含まれる残留塩素を除去する前処理に続き、この前処理済みの前処理水に含まれる菌を殺菌処理し、この殺菌処理済みの殺菌水を貯水し、つぎに貯水した殺菌水を殺菌水に含まれるイオン成分を除去した第1透過水と濃縮水とに分離する第1イオン処理し、さらに第1透過水を第1透過水に残留するイオン成分を除去した第2透過水からなる精製水と濃縮水とに分離する第2イオン処理して精製水を得るとともに、第1イオン処理による濃縮水の一部または全部と、第2イオン処理による濃縮水とのそれぞれを前処理水に合流させて循環使用する製造方法を実施できるようになっている。
このように本実施形態の製造装置1によれば、前処理水、第1濃縮水、第2濃縮水のそれぞれが殺菌装置3を通過するから、前処理水、第1濃縮水、第2濃縮水は、それぞれに含まれる菌が殺菌された殺菌水となって貯水タンク4に貯水されるので、第1濃縮水および第2濃縮水を循環使用しても、1台の殺菌装置3で菌の増殖を確実に防止することができるとともに、構造を簡単にすることができる。したがって、簡単な構成で高品質の精製水を容易に製造することができる。
また、本実施形態の製造装置1によれば、活性炭濾過装置2aは、原水に含まれる残留塩素を吸着除去して前処理水とすることができ、紫外線殺菌装置3aは、紫外線を照射するという簡単な方法で、前処理水、第1濃縮水、第2濃縮水のそれぞれに含まれる菌を殺菌して殺菌水とすることができ、逆浸透膜分離装置6aは、殺菌液に含まれるイオン成分を除去した第1透過水と第1濃縮水とに確実に分離することができ、電気再生式脱イオン装置7aは、第1透過水に残留するイオン成分を除去した第2透過水からなる精製水と第2濃縮水とに確実に分離することができる。
さらに、本実施形態の製造装置1によれば、精製水が医療用精製水であるから、日本薬局方に適合した医療用精製水を装置上確実に菌管理された状態で容易に製造することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、第2還流ライン19を省略して第2濃縮液を図示しない排水ラインを通して排水するように形成してもよい。
1 (精製水)製造装置
2 前処理装置
2a 活性炭濾過装置
3 殺菌装置
3a 紫外線殺菌装置
4 貯水タンク
5 ポンプ
6 第1イオン除去装置
6a RO(逆浸透膜分離装置)
7 第2イオン除去装置
7a EDI(電気再生式脱イオン装置)
8 (原水の)供給源
11 原水供給ライン
12 前処理水ライン
13 殺菌水ライン
14 第1送水ライン
14a 前送水ライン
14b 後送水ライン
15 第2送水ライン
16 第1還流ライン
17 排水ライン
18 精製水ライン
19 第2還流ライン

Claims (4)

  1. 残留塩素を含む原水を処理して精製水を製造する菌増殖防止型精製水製造装置であって、
    原水の供給側から流動方向下流側に向けて順に、
    原水に含まれる残留塩素を除去する前処理装置と、
    前記前処理装置により前処理された前処理水に含まれる菌を殺菌する殺菌装置と、
    前記殺菌装置で殺菌された殺菌水を貯水する貯水タンクと、
    前記貯水タンクに貯水された殺菌水を送水するポンプと、
    前記ポンプで送られた殺菌水を、殺菌水に含まれるイオン成分を除去した第1透過水と第1濃縮水とに分離する第1イオン除去装置と、
    前記第1イオン除去装置の第1透過水を、第1透過水に残留するイオン成分を除去した第2透過水からなる精製水と第2濃縮水とに分離する第2イオン除去装置とを配置すると共に相互間を流動路によって接続し
    前記第1イオン除去装置により分離された第1濃縮水の一部または全部を前記殺菌装置に流入する前処理水に合流させる第1還流ラインを前記殺菌装置の入口側の流動路に接続している
    ことを特徴とする菌増殖防止型精製水製造装置。
  2. 前記第2イオン除去装置により分離された第2濃縮水を前記殺菌装置に流入する前処理水に合流させる第2還流ラインを前記殺菌装置の入口側の流動路に接続している
    ことを特徴とする請求項1に記載の菌増殖防止型精製水製造装置。
  3. 前記前処理装置が活性炭により残留塩素を吸着除去する活性炭濾過装置であり、
    前記殺菌装置が殺菌用の紫外線を照射する紫外線殺菌装置であり、
    前記第1イオン除去装置が逆浸透膜を用いた逆浸透膜分離装置であり、
    前記第2イオン除去装置が電気再生式脱イオン装置である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の菌増殖防止型精製水製造装置。
  4. 精製水が医療用精製水であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の菌増殖防止型精製水製造装置。
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