JP6562821B2 - 樹脂粒子の製造方法およびトナーの製造方法 - Google Patents

樹脂粒子の製造方法およびトナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂粒子の製造方法およびトナーの製造方法に関する。
樹脂粒子は、高い機能を有する粉体として、塗料、インク、トナー、化粧品等の幅広い分野で利用されており、その機能を制御するために、粒度分布がシャープで単分散の樹脂粒子への要望が高まっている。特に、電子写真の分野においては、高画質化が際限なく求められており、画像形成に用いられるトナーには、トナー粒子同士が均一な性能を有することが必要とされる。そのためには、トナー粒子の粒径を均等にして、粒度分布をシャープにするとともに、円形度の低い異形粒子の発生を抑制することが有効である。
トナー粒子の粒度分布のシャープ化と高円形度化を容易に達成することができるトナーの製造方法として、溶解懸濁法が知られている。溶解懸濁法とは、予め有機溶媒に樹脂を溶解させた樹脂溶解液を分散媒体中に分散させて、該樹脂溶解液による液滴の分散体を形成した後、該分散体から前記有機溶媒を除去して樹脂粒子を得る方法である。溶解懸濁法においては、分散媒体として水系媒体を使用することが一般的であり、この方法を用いた場合、樹脂粒子形成後の洗浄工程および乾燥工程に、多大なエネルギーと時間を要する。
特許文献1には、分散媒体として液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素を用いた溶解懸濁法による樹脂粒子の製造方法が開示されている。この方法では、液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素に分散剤を分散させた媒体中に、樹脂溶解液を添加し、該樹脂溶解液による液滴の分散体を形成した後、さらに液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素を導入して有機溶媒を抽出することにより脱溶剤を行い、樹脂粒子を得る。特許文献1に記載の方法によれば、樹脂粒子を作製した後に脱圧することによって、容易に樹脂粒子から分散媒体を除去することが可能であり、洗浄工程および乾燥工程を必要とせず、低エネルギーでの製造が可能となる。
また、特許文献2では、液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素を分散媒体とする溶解懸濁法において、二酸化炭素に対して膨潤しにくい樹脂微粒子を分散剤として使用し、さらに、該樹脂微粒子によるシェルを形成した、コアシェル構造を有する樹脂粒子の製造方法が開示されている。特許文献2に記載の方法によれば、樹脂溶解液により液滴を形成し、脱溶剤を行う過程において、液滴同士の凝集を抑制することができ、より粒度分布がシャープな樹脂粒子を得ることができるとされている。
特開2009−052005号公報 特開2010−132851号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法に基づいて本発明者らが樹脂粒子の作製を試みたところ、必ずしも良好な粒度分布の樹脂粒子が得られないことが分かった。また、特許文献2に記載の方法に基づいて本発明者らが樹脂粒子の作製を試みたところ、得られた樹脂粒子は、一次粒子としての大きさはある程度揃っているものであった。しかしながら、一部に異形粒子や、一次粒子同士が合一した凝集体が見られ、粒度分布に関しては必ずしも良好とは言えず、また、樹脂粒子の収率も満足の行くものではないことが明らかとなり、改善の余地があるものであった。
本発明は、粒度分布がシャープで凝集のない樹脂粒子を、簡便かつ効率的に得ることができる樹脂粒子の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、粒度分布がシャープで凝集のないトナー粒子を、簡便かつ効率的に得ることのできるトナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(a)樹脂と有機溶媒とを混合して、樹脂溶液を調製する工程、
(b)前記樹脂溶液及び二酸化炭素を容器1に投入し、前記樹脂及び前記有機溶媒を主成分とする相と、前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を主成分とする相に相分離した状態を形成する工程、
(c)前記相分離した状態を維持したまま、前記容器1に微粒子を投入する工程、
(d)前記容器1内を攪拌して、表面が前記微粒子で覆われた前記樹脂溶液を含有する液滴を形成し、該液滴が前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を含有する分散媒体中に分散した分散体を形成する工程、
(e)前記容器1に、さらに二酸化炭素を流通させて、前記液滴および前記分散媒体に含まれる前記有機溶媒を、前記二酸化炭素とともに前記容器1から除去して樹脂粒子を得る工程、
を有する樹脂粒子の製造方法に関する。
本発明によれば、粒度分布がシャープで凝集のない樹脂粒子を、簡便かつ効率的に得ることのできる樹脂粒子の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、粒度分布がシャープで凝集のないトナー粒子を、簡便かつ効率的に得ることのできるトナーの製造方法を提供することができる。
本発明の実施例において使用する樹脂粒子の製造装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を挙げてさらに詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明は、二酸化炭素を含有する分散媒体を用いた溶解懸濁法による樹脂粒子の製造方法、および該製造方法により得られた樹脂粒子をトナー粒子として含有するトナーの製造方法である。
二酸化炭素を分散媒体に用いた溶解懸濁法では、二酸化炭素単体では気体となる温度条件、圧力条件においても、液滴が分散媒体中に分散した状態を形成することが可能である。これは、以下の理由によるものと考えている。樹脂を有機溶媒に溶解した樹脂溶液に、気体状態の二酸化炭素を導入して圧力を上げた場合、二酸化炭素の樹脂溶液への溶け込みが起きる。さらに圧力を増し、樹脂溶液への二酸化炭素の溶け込み量が、ある一定量を超えると、樹脂溶液が二相に分離することが確認されている。本発明者らが分析した結果、前記樹脂溶液は、樹脂及び有機溶媒を主成分とする相と、二酸化炭素及び有機溶媒を主成分とする相とに相分離していることが明らかとなった。すなわち、本発明に係る溶解懸濁法においては、二酸化炭素及び有機溶媒を主成分とする分散媒体中で、樹脂及び有機溶媒を主成分とする液滴(樹脂溶液の液滴)が形成されることになる。
しかし、この相分離状態は、圧力の増加によって樹脂溶液に溶け込んだ二酸化炭素の量が、飽和量を超えることによって生じるものであり、減圧した場合には2つの相が互いに混ざり合う方向に進み、やがて均一相となる。したがって、本発明の二酸化炭素を用いた溶解懸濁法において、樹脂溶液を含有する液滴が、二酸化炭素及び有機溶媒を含有する分散媒体中に分散した分散体を形成する際は、相分離した状態を常に維持することが重要である。
また、微粒子を分散剤として機能させるためには、微粒子が液滴と分散媒体との界面に均一に偏在する必要がある。ところが、相分離せずに均一相となっている状態や相分離が完了していない状態で微粒子を添加し、その後に液滴を形成しようとする場合に、微粒子を界面に均一に偏在させることは容易ではない。相分離せずに均一相となっている状態や相分離が完了していない状態として、具体的には、以下のような場合が挙げられる。
(1)微粒子と樹脂溶液を混合した混合液に二酸化炭素を導入して液滴を形成する場合。
(2)微粒子を分散させた液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素を含む分散媒体に、樹脂溶液をポンプで圧縮して投入し、液滴を形成する場合。
(3)微粒子を分散させた液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素を含む分散媒体に、樹脂溶液と二酸化炭素の混合物を、圧力差を利用して投入し、液滴を形成する場合。
鋭意検討の結果、以下のことが明らかとなった。すなわち、相分離が完了した状態で、かつ相分離状態を維持したまま微粒子を添加して、その後攪拌することにより、前記樹脂溶液を含有する液滴と前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を含有する分散媒体との間に安定した界面が形成される。この結果、表面が前記微粒子で均一に覆われた液滴が形成できる。該液滴の表面は微粒子で均一に覆われているため、液滴同士が再合一することなく分散媒体中に分散した分散体の形成が可能となる。これにより、粒度分布がシャープで凝集のない樹脂粒子を、簡便かつ効率的に得ることができることを見出し、本発明に至った。
本発明に係る樹脂粒子の製造方法は、以下の工程(a)〜(e)を有することを特徴とする。
(a)樹脂と有機溶媒とを混合して、樹脂溶液を調製する工程、
(b)前記樹脂溶液及び二酸化炭素を容器1に投入し、前記樹脂及び前記有機溶媒を主成分とする相と、前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を主成分とする相に相分離した状態を形成する工程、
(c)前記相分離した状態を維持したまま、前記容器1に微粒子を投入する工程、
(d)前記容器1内を攪拌して、表面が前記微粒子で覆われた前記樹脂溶液を含有する液滴を形成し、該液滴が前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を含有する分散媒体中に分散した分散体を形成する工程、
(e)前記容器1に、さらに二酸化炭素を流通させて、前記液滴および前記分散媒体に含まれる前記有機溶媒を、前記二酸化炭素とともに前記容器1から除去して樹脂粒子を得る工程。
<工程(a)>
工程(a)は、樹脂と有機溶媒とを混合して、樹脂溶液を調製する工程である。
[樹脂]
本発明において、樹脂は特に限定されるものではなく、公知の樹脂を用いることができる。また、本発明の樹脂粒子をトナー粒子として用いる場合においても、一般的にトナー粒子に用いられる樹脂を用いることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリウレア樹脂が挙げられる。これらの中でもポリエステル樹脂が好ましい。
また、前記樹脂は、結晶性樹脂及び非晶性樹脂のいずれも使用可能である。前記樹脂として結晶性樹脂を用いることにより、低温定着性と耐熱保存性の両立が可能となるため、前記樹脂は結晶性樹脂を含有することが好ましい。
(結晶性樹脂)
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル、結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリウレタン、及び結晶性ポリウレアが挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリエステル及び結晶性ビニル樹脂が好ましく、結晶性ポリエステルがより好ましい。
結晶性ポリエステルは、後述する重合性不飽和基を有する結晶性ポリエステルを製造する際に使用する脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを用いて合成することができる。
結晶性ビニル樹脂としては、直鎖型アルキル基を分子構造に含むビニルモノマーを重合することによって得られる樹脂が挙げられる。直鎖型アルキル基を分子構造に含むビニルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が12以上であるアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートが好ましい。具体的には、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、エイコシルアクリレート、エイコシルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレート等が挙げられる。
結晶性ビニル樹脂は、40℃以上、一般的には、50℃〜90℃の温度で重合することにより製造することが好ましい。
前記結晶性樹脂の含有割合は、前記樹脂に対して、50.0質量%〜90.0質量%であることが好ましく、70.0質量%〜85.0質量%であることがより好ましい。また、前記結晶性樹脂の融点は、50℃〜90℃であることが好ましい。
(非晶性樹脂)
前記樹脂は、非晶性樹脂を含有していてもよい。非晶性樹脂を含有することにより、得られる樹脂粒子をトナー粒子として利用した際に、シャープメルトした後の定着領域におけるトナー粒子の弾性が維持されやすくなる。非晶性樹脂としては、示差走査熱量測定において、明瞭な融点ピークを示さないものであれば特に限定されるものではなく、トナー粒子用の樹脂として一般的に用いられる非晶性樹脂と同様のものを使用することができる。ただし、非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃〜130℃であることが好ましく、70℃〜130℃であることがより好ましい。
非晶性樹脂の具体例としては、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリウレタン樹脂、及び非晶性ビニル樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、ウレタン、ウレア又はエポキシ等により変性されていてもよい。これらの中でも、弾性維持の観点から、非晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリウレタン樹脂が好ましい。
以下、非晶性ポリエステル樹脂について述べる。
非晶性ポリエステル樹脂の製造に使用可能なモノマーとしては、従来公知の2価又は3価以上のカルボン酸や、2価又は3価以上のアルコールが挙げられる。これらモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
2価のカルボン酸としては、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸等の二塩基酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル、並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。
また、3価以上のカルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
2価のアルコールとしては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール及び1,3−プロピレングリコール);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物等が挙げられる。アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は、直鎖であっても分岐であってもよい。本発明においては、分岐構造のアルキレングリコールも好ましく用いることができる。
また、3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール及びベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成方法については特に限定されないが、例えばエステル交換法や直接重縮合法を、単独で又は組み合わせて用いることができる。
次に、非晶性ポリウレタン樹脂について述べる。
ポリウレタン樹脂は、ジオールとジイソシアネート基を含有する化合物との反応物である。種々のジオールと、ジイソシアネート基を含有する化合物とを組み合わせることにより、各種機能性を有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
ジオールとしては、前述した非晶性ポリエステルに用いることのできる2価のアルコールと同様のものを例示することができる。
また、ジイソシアネート基を含有する化合物としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)が6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、及びこれらジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物(以下、「変性ジイソシアネート」ともいう。)、並びに、これらの2種以上の混合物等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びドデカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネートが好ましく、XDI、IPDI及びHDIがより好ましい。また、上記ジイソシアネートに加えて、3官能以上のイソシアネート化合物を用いることもできる。
次に、前記非晶性ビニル樹脂について述べる。
非晶性ビニル樹脂の製造に使用可能なモノマーとしては、以下の化合物を挙げることができる。
脂肪族ビニル炭化水素:アルケン類(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン);アルカジエン類(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン)。
脂環式ビニル炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類(シクロヘキセン、シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン);テルペン類(ピネン、リモネン、インデン)。
芳香族ビニル炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン);及びビニルナフタレン。
カルボキシ基含有ビニルモノマー及びその金属塩:炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜11)エステル(マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸のカルボキシ基含有ビニル系モノマー)。
ビニルエステル(酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート)。
炭素数1〜11のアルキル基(直鎖又は分岐)を有するアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート(メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート)、ジアルキルフマレート(フマル酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(マレイン酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝又は脂環式の基である)。
ポリアリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン)、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー(ポリエチレングリコール(分子量300)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(分子量300)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノメタクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを、以下、「EO」と略記する。)10モル付加物アクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物メタクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物アクリレートラウリルアルコールEO30モル付加物メタクリレート)。
ポリアクリレート類及びポリメタクリレート類(多価アルコール類のポリアクリレート及びポリメタクリレート:エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート。ポリエチレングリコールジメタクリレート。
前記非晶性樹脂の含有割合は、前記樹脂に対して10.0質量%〜50.0質量%であることが好ましく、15.0質量%〜30.0質量%であることがより好ましい。
(ブロックポリマー)
さらに、本発明においては、樹脂として、結晶性樹脂と非晶性樹脂とが化学的に結合したブロックポリマーを使用することが好ましい。ブロックポリマーは、結晶性樹脂(X)と非晶性樹脂(Y)とのXY型ジブロックポリマー、XYX型トリブロックポリマー、YXY型トリブロックポリマー、XYXY・・・・型マルチブロックポリマーが挙げられるが、いずれの形態も使用可能である。
本発明において、ブロックポリマーを調製する方法としては、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを別々に調製し、両者を結合する方法(二段階法)や、結晶性樹脂を構成するモノマー及び非晶性樹脂を構成するモノマーを同時に仕込み、一度に調製する方法(一段階法)などを用いることができる。それぞれの末端官能基の反応性を考慮して、種々の方法より適宜選択してブロックポリマーを得ることができる。
結晶性樹脂及び非晶性樹脂がともにポリエステル樹脂の場合は、各樹脂を別々に調製した後、必要に応じて結合剤を用いて結合することにより、ブロックポリマーを調製することができる。なお、片方のポリエステル樹脂の酸価が高く、もう一方のポリエステル樹脂の水酸基価が高い場合は、結合剤を用いることなく結合させることができる。このとき、反応温度は200℃付近に設定することが好ましい。
結合剤を使用する場合、結合剤としては、多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、及び多価酸無水物等が挙げられる。これらの結合剤を用いて、脱水反応や付加反応を行うことにより、ブロックポリマーを合成することができる。
一方で、結晶性樹脂がポリエステル樹脂であり、非晶性樹脂がポリウレタン樹脂である場合には、各樹脂を別々に調製した後、ポリエステル樹脂のアルコール末端とポリウレタン樹脂のイソシアネート末端とをウレタン化反応させることにより、ブロックポリマーを調製することができる。また、アルコール末端を有するポリエステル樹脂と、ポリウレタン樹脂を構成するジオール及びジイソシアネート基を含有する化合物とを混合し、加熱することによっても合成が可能である。この場合、ジオール及びジイソシアネート基を含有する化合物の濃度が高い反応初期においては、ジオールとジイソシアネート基を含有する化合物とが選択的に反応してポリウレタン樹脂が得られる。そして、ある程度分子量が大きくなった後に、ポリウレタン樹脂のイソシアネート末端とポリエステル樹脂のアルコール末端とのウレタン化反応が起こり、ブロックポリマーが調製される。
結晶性樹脂及び非晶性樹脂ともにビニル樹脂である場合は、一方の樹脂を重合した後、得られたビニルポリマーの末端から他方の樹脂を重合開始させることにより、ブロックポリマーを調製することができる。
前記ブロックポリマー中の結晶性樹脂の含有割合は、50.0質量%〜90.0質量%であることが好ましく、70.0質量%〜85.0質量%であることがより好ましい。
[有機溶媒]
工程(a)における前記有機溶媒としては、前記樹脂を溶解しうる一般的な有機溶媒を使用することが可能である。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びジ−n−ブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、及びメトキシブチルアセテートのようなエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチルセロソルブ、及びブチルセロソルブ等のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;トルエン、キシレン、及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒がより好ましい。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒の添加量は、前記樹脂100.0質量部に対して、50.0質量部〜1000.0質量部であることが好ましく、100.0質量部〜800.0質量部であることがより好ましい。
工程(a)において、樹脂と有機溶媒とを混合して樹脂溶液を調製する方法は、樹脂と有機溶媒とが均一に混合されるのであれば、特に限定されるものではなく、一般的な混合装置を用いて行うことができる。一般的な混合装置として、例えば、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機が挙げられる。また、工程(a)においては、必要に応じて、ワックス、着色剤、及び荷電制御剤等を混合してもよい。
<工程(b)>
工程(b)は、前記工程(a)において調製した樹脂溶液及び二酸化炭素を容器1に投入し、前記樹脂及び前記有機溶媒を主成分とする相と、前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を主成分とする相に相分離した状態を形成する工程である。ここで、本発明において、「樹脂及び有機溶媒を主成分とする相」とは、樹脂及び有機溶媒が、相全体の50.0質量%以上を占める相を意味する。また、「二酸化炭素及び有機溶媒を主成分とする相」とは、二酸化炭素及び有機溶媒が相全体の50.0質量%以上を占める相を意味する。なお、工程(b)においては、分散剤となる微粒子がまだ存在しないため、液滴が分散媒体中に分散した状態とはならず、樹脂及び有機溶媒を主成分とする相と、二酸化炭素及び有機溶媒を主成分とする相の分離が、優先的に起こりやすい。
工程(b)においては、相分離した状態の前記容器1の内部圧力P1(MPa)が、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.5≦P1≦5.0 ・・・(1)
P1(MPa)が0.5MPa以上であることにより、安定した相分離状態を形成することが可能となり、工程(d)において微粒子が液滴内部に取り込まれにくくなるため好ましい。一方、P1(MPa)が5.0MPa以下であることにより、前記液滴に含まれる前記有機溶媒の分散媒体への移行が多くなり過ぎず、工程(d)において、液滴の粘度を、剪断に適した粘度範囲内に調整することが可能となる。また、液滴表面への微粒子の付着性の低下による凝集を抑制することができるため好ましい。
P1は、相分離状態をより安定させる観点から、1.0MPa以上であることがより好ましい。また、P1は、粘度上昇を抑制する観点から、4.0MPa以下であることがより好ましい。すなわち、P1は、1.0MPa〜4.0MPaであることがより好ましい。
<工程(c)、工程(d)>
工程(c)は、前記工程(b)における相分離した状態を維持したまま、前記容器1に微粒子を投入する工程である。また、工程(d)は、工程(c)において微粒子を投入した前記容器1内を攪拌して、表面が前記微粒子で覆われた前記樹脂溶液を含有する液滴を形成し、該液滴が前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を含有する分散媒体中に分散した分散体を形成する工程である。
工程(c)において、前記工程(b)における相分離した状態を維持できず、界面が不安定な状態で微粒子を投入した場合、工程(d)において分散体を形成する際に、液滴内部に微粒子が取り込まれた状態になりやすく、微粒子を、液滴と分散媒体との界面に偏在させることが難しくなる。その結果、液滴の被覆性の悪化に伴う樹脂粒子の凝集や、容器内部への固着に伴う収率の悪化を招きやすくなる。そのため、工程(c)においては、相分離した状態を維持したままで微粒子を投入する必要がある。なお、相分離した状態が維持されているか否かは、例えば、容器1に備えた観察窓等から容器1の内部を観察することにより確認することができる。
工程(c)においては、前記微粒子をそのまま前記容器1に投入してもよいが、前記微粒子を、あらかじめ容器1とは異なる容器2に投入し、該容器2の内部圧力P2(MPa)を前記容器1の内部圧力P1(MPa)に対して、下記式(2)を満たす圧力に加圧した後、容器2から容器1に前記微粒子を投入することが好ましい。
0.0≦P2−P1≦2.0 ・・・(2)
容器2から容器1に微粒子を投入する際は、容器1と容器2の内部圧力が均等になるように、各容器の圧力が変化する。P2−P1(MPa)が2.0MPa以下であることにより、容器1の内部圧力が大きく変化することがなく、粘度上昇が抑制されるため、前記分散体を形成する際に前記微粒子が均一に前記液滴の表面を覆うことが可能となる。その結果、粒度分布がシャープで、凝集のない樹脂粒子を収率良く得ることができるため好ましい。
一方、P2−P1(MPa)が0.0MPa以上であることにより、圧力の差を利用して容易に容器2から容器1に微粒子を投入することができるため、混合時における容器1の内部圧力の低下が抑制され、前記相分離を形成した状態を安定に保つことができる。その結果、工程(d)において分散体を形成する際に、安定な界面を維持することができ、前記微粒子が均一に前記液滴界面を覆うことが可能となり、粒度分布がシャープで凝集のない樹脂粒子を収率良く得ることができるため好ましい。
混合時における粘度上昇を抑制する観点から、P2−P1(MPa)は、1.0MPa以下であることがより好ましい。また、容器2から容器1への微粒子の流入しやすさの観点から、P2−P1(MPa)は、0.5MPa以上であることがより好ましい。すなわち、P2−P1(MPa)は、0.5MPa〜1.0MPaであることがより好ましい。
また、工程(c)においては、前記容器1の内部温度T1(℃)及び、前記容器2の内部温度T2(℃)を、下記式(3)を満たすように調整することが好ましい。
|T1−T2|≦20.0 ・・・(3)
T1(℃)とT2(℃)の差が20.0℃以下であることにより、容器1の内容物と容器2の内容物の混合による温度変化を小さくすることが可能となる。その結果、前記相分離した状態を安定して維持することができ、分散体を形成する際に微粒子が均一に液滴表面を覆うことが可能となり、粒度分布がシャープで凝集のない樹脂粒子を収率良く得ることができるため好ましい。
[微粒子]
本発明において、微粒子は、前記樹脂溶液を含有する液滴が、前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を含有する分散媒体中に分散した分散体を形成するための分散剤として機能する。工程(c)において、前記容器1に投入する微粒子の形態は特に限定されないが、微粒子が媒体に分散した分散液を投入することが好ましい。媒体としては、二酸化炭素又は有機溶媒が好ましく、大気圧下で調製できる点から、微粒子が有機溶媒に分散した分散液を投入することがより好ましい。なお、該有機溶媒は、前記工程(a)において樹脂溶液を調製する際に用いる有機溶媒と同一でも異なっていてもよい。媒体に分散した状態で微粒子を投入することにより、前記液滴表面に、微粒子を厚く付着させることなく前記分散体を形成することが可能となり、粒度分布がシャープな樹脂粒子を取り出すことができる。無媒体で微粒子を投入する場合、前記微粒子が凝集体を形成しやすくなり、前記液滴の表面に効率良く均一に付着させることが困難となる。
なお、本発明において、微粒子は、無機微粒子、樹脂微粒子、それらの混合物のいずれでもよく、目的に応じて2種以上を併用してもよい。
(無機微粒子)
前記無機微粒子としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、及びそれらの複合酸化物微粒子等の微粒子が挙げられる。これらの中でも、シリカ微粒子であることが好ましい。
シリカ微粒子の製造方法としては、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法(すなわちヒュームドシリカの製造方法)、金属ケイ素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法、ケイ酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式法、ヒドロカルビルオキシシランなどのアルコキシシランの加水分解によって得られるゾルゲル法(いわゆるStoeber法)が挙げられる。これらの中でも、他の方法に比べて粒度分布をよりシャープにすることが可能なゾルゲル法が好ましい。
前記無機微粒子は、疎水化処理によって疎水化度を制御して用いることが好ましい。疎水化度を制御することにより、液滴と疎水性の分散媒体との界面に無機微粒子が偏在しやすくなり、液滴の分散安定性を向上させやすくなる。無機微粒子を疎水化処理する方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、無機微粒子を疎水化処理剤で処理する方法が好ましい。
疎水化処理剤としては、具体的に、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のクロロシラン類;テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類;ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザン等のシラザン類;ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイルのシリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のシロキサン類;脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸等の長鎖脂肪酸、前記脂肪酸と亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウム等の金属との塩が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシシラン類、シラザン類、ストレートシリコーンオイルは、疎水化処理を実施しやすいため、好ましく用いられる。これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(樹脂微粒子)
前記樹脂微粒子としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、セルロース及びこれらの混合物を用いた樹脂の粒子を用いることができる。
前記樹脂微粒子の粒径は、個数平均粒子径で30nm〜300nmであることが好ましく、50nm〜200nmであることがより好ましい。樹脂微粒子の個数平均粒子径が30nm以上である場合は、造粒時の液滴の安定性が向上する傾向にある。また、300nm以下である場合は、液滴の粒径を所望の大きさに制御することが容易になる。
また、前記樹脂微粒子の配合量は、液滴の形成に使用する前記樹脂溶液中の固形分量100質量部に対して、1.0質量部〜15.0質量部であることが好ましく、液滴の安定性や所望する粒径に合わせて適宜調整することができる。
前記樹脂微粒子を形成する樹脂は、該樹脂を構成する構造単位として、ポリシロキサン構造を分子中に有することが好ましい。中でも、下記式(I)で示される有機ポリシロキサン構造が結合したビニル系モノマーを共重合したビニル樹脂であることがより好ましい。
Figure 0006562821
上記式(I)において、RおよびRは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、メチル基であることが好ましい。Rは炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。nは3〜200の整数である。
前記有機ポリシロキサン構造を有するビニル系ポリマーの合成方法としては、カルビノール変性ポリシロキサンと、アクリル酸クロライド又はメタクリル酸クロライドとの脱塩酸反応による方法が挙げられる。
前記有機ポリシロキサン構造を有するビニル系モノマーと共重合する、その他のビニル系モノマーとしては、通常の樹脂材料のモノマーを用いることができる。具体的には、前記非晶性ビニル樹脂の製造に使用可能なモノマーとして例示したものと同様のものを例示することができる。
また、ビニル樹脂には、ポリエステルを導入することが好ましい。ポリエステルの導入方法は、特に限定されるものではないが、工業的な観点から、重合性不飽和基を有するポリエステルを用いて、重合時に導入することが好ましい。重合性不飽和基を有するポリエステルの製造方法としては、以下の(1)及び(2)に示す方法が挙げられる。
(1)ジカルボン酸とジオールとの重縮合反応時に重合性不飽和基を導入する方法
重合性不飽和基を導入する方法としては、以下の手法が挙げられる。
(1−1)前記ジカルボン酸の一部に重合性不飽和基を有するジカルボン酸を使用する方法
(1−2)前記ジオールの一部に重合性不飽和基を有するジオールを使用する方法
(1−3)前記ジカルボン酸の一部と前記ジオールの一部にそれぞれ重合性不飽和基を有するジカルボン酸と重合性不飽和基を有するジオールを使用する方法
前記重合性不飽和基を有するジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸及び3−オクテンジオイック酸が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステル及び酸無水物も挙げられる。これらの中でも、コストの点から、フマル酸及びマレイン酸が好ましい。
また、前記重合性不飽和基を有するジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオール等が挙げられる。
(2)ポリエステルとビニル系化合物をカップリングさせる方法
カップリングでは、ポリエステルの末端官能基との反応が可能な官能基を有するビニル系化合物を直接カップリングさせてもよい。また、ポリエステルの末端を、ビニル系化合物が有する官能基との反応が可能になるよう、結合剤を用いて修飾して、カップリングさせてもよい。具体的には、以下の方法が挙げられる。
(2−1)末端にカルボキシル基を有するポリエステルとヒドロキシル基を有するビニル系化合物を、縮合反応によってカップリングさせる方法
(2−2)末端にヒドロキシル基を有するポリエステルと、イソシアネート基を有するビニル系化合物を、ウレタン化反応によってカップリングさせる方法
(2−3)末端にヒドロキシル基を有するポリエステルとヒドロキシル基を有するビニル系化合物を、結合剤であるジイソシアネートを用いてウレタン化反応によってカップリングさせる方法
前記ヒドロキシル基を有するビニル系化合物としては、ヒドロキシスチレン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリルアルコール、メタアリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、ショ糖アリルエーテルが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
前記イソシアネート基を有するビニル系化合物としては、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、メタクリル酸2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートが挙げられる。これらの中でも、2−イソシアナトエチルアクリレート及び2−イソシアナトエチルメタクリレートが好ましい。
前記ジイソシアネートとしては、前述した非晶性ポリウレタン樹脂に用いることのできるジイソシアネート基を含有する化合物として例示したものと同様のものを例示することができる。それらの中でも、XDI、HDI及びIPDIが好ましい。
前記重合性不飽和基を有するポリエステルは、結晶性ポリエステル及び非晶性ポリエステルのいずれも使用可能である。なお、「結晶性」とは、示差走査熱量計(DSC)を用いた示差走査熱量測定において、明瞭な融点ピークを示し、融点よりも低い温度まではほとんど軟化せず、融点より高い温度になると融解が生じ、急激に軟化する性質を指す。前記重合性不飽和基を有するポリエステルとして、結晶性ポリエステルを用いることにより、トナーとして用いた際に、低温定着性と耐熱保存性の両立が可能となる。したがって、前記重合性不飽和基を有するポリエステルは、結晶性ポリエステルであることが好ましい。
重合性不飽和基を有する結晶性ポリエステルは、ジオール成分とジカルボン酸成分とを反応させることにより得られる。前記結晶性ポリエステルは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を反応させて得られるものが好ましく、炭素数2〜20の脂肪族ジオールと炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸とを反応させて得られるものがより好ましい。
前記脂肪族ジオールは直鎖型であることが好ましい。直鎖型であることで、より結晶性の高いポリエステルが得られる。炭素数2〜20の直鎖型脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−イコサンジオール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、融点の観点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、及び1,10−デカンジオールがより好ましい。
また、二重結合を有する脂肪族ジオールを用いることもできる。二重結合を有する脂肪族ジオールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオール等が挙げられる。
前記脂肪族ジカルボン酸は、結晶性の観点から、直鎖型であることが好ましい。炭素数2〜20の直鎖型脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸及び1,18−オクタデカンジカルボン酸等が挙げられる。また、これら脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルや酸無水物も使用できる。
これらの中でも、セバシン酸、アジピン酸及び1,10−デカンジカルボン酸、並びにそれらの低級アルキルエステルや酸無水物がより好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、芳香族カルボン酸を用いることもできる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、入手が容易であり、低融点のポリマーを形成しやすいという点から、テレフタル酸が好ましい。
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させる一般的なポリエステルの重合法を用いて製造することができる。例えば、直接重縮合法又はエステル交換法を、単量体の種類に応じて使い分けて製造することができる。結晶性ポリエステルの製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことが好ましい。また、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させることが好ましい。
結晶性ポリエステルの製造時に使用可能な触媒としては、例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド及びチタンテトラブトキシド等のチタン触媒、又は、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド及びジフェニルスズオキシド等のスズ触媒等が挙げられる。
また、結晶性ポリエステルの融点は、50〜90℃であることが好ましい。
結晶性ポリエステル成分を有するビニル系モノマーの製造方法としては、結晶性ポリエステル成分とヒドロキシル基含有ビニル系モノマーを、結合剤であるジイソシアネートとウレタン化反応させ、ポリエステル鎖にラジカル重合可能な不飽和基を導入して、ウレタン結合を有するモノマーを製造する方法が挙げられる。このため、前記結晶性ポリエステル成分は、アルコール末端であることが好ましい。したがって、前記結晶性ポリエステル成分を調製する際は、酸成分とアルコール成分のモル比(アルコール成分/カルボン酸成分)が、1.02〜1.20となるように調製することが好ましい。
前記ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとしては、ヒドロキシスチレン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリルアルコール、メタアリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、ショ糖アリルエーテルが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
前記樹脂微粒子を形成する樹脂は、架橋構造を有していてもよい。架橋構造は、前記重合性不飽和基を有する結晶性ポリエステルや、以下に示す多官能モノマー(重合性不飽和基を複数有するモノマー)を用いて導入することが可能であり、それらを併用してもよい。
多官能モノマーを用いて架橋構造を導入する場合、ビニル系の多官能モノマーが好ましい。ビニル系の多官能モノマーとしては、2官能モノマー(重合性不飽和基を2つ有するモノマー):ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、両末端アクリル変性シリコーン、及び両末端メタクリル変性シリコーン;3官能モノマー(重合性不飽和基を3つ有するモノマー):トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート;4官能モノマー(重合性不飽和基を4つ有するモノマー):テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の多官能モノマーが挙げられる。これらの中でも、2官能モノマーが好ましく、下記式(II)に示す2官能モノマーがより好ましい。
Figure 0006562821
前記式(II)において、m及びnは重合度を示し、それぞれ独立して、1〜10の整数であることが好ましい。また、m+nは2〜16の整数であることが好ましい。
工程(d)における攪拌は、攪拌羽根を有する攪拌装置を容器1内に挿入して行うことが好ましい。このとき、所望の粒径を有する液滴が形成できるように、攪拌速度および攪拌時間を設定する。これらは、使用する樹脂、樹脂溶液の粘度、二酸化炭素の導入量及び攪拌装置の構造等に応じて適宜設定される。
<工程(e)>
工程(e)は、前記容器1に、さらに二酸化炭素を流通させて、前記工程(d)における前記液滴及び前記分散媒体に含まれる前記有機溶媒を、前記二酸化炭素とともに前記容器1から除去して樹脂粒子を得る工程である。工程(e)においては、前記容器1の内部圧力や温度を適宜調整しながら二酸化炭素を流通させる。除去された有機溶媒及び二酸化炭素は、溶媒回収容器等に排出することができる。有機溶媒及び二酸化炭素を排出した後、前記容器1の内部圧力を大気圧まで減圧し、前記容器1内に備えたフィルターに捕捉されている樹脂粒子を回収することにより、本発明の樹脂粒子を得ることができる。
以上の工程を経て得られた本発明の樹脂粒子は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法を利用した記録方法等に使用されるトナーに含有されるトナー粒子として用いることができる。本発明の樹脂粒子をトナー粒子として用いる場合、前記微粒子を使用すると、前記液滴の表面に吸着した前記微粒子は、樹脂粒子形成後もそのまま残留し、トナー粒子表面にシェル相を形成させることが可能である。シェル相を形成することにより、ワックスなどのトナーに内添する物質がトナー粒子表層に露出することを抑制することが可能となる。その結果、トナー性能としての保存安定性の向上や、現像スジの抑制等の効果が得られる。また、前記微粒子として樹脂微粒子を用いた場合、樹脂微粒子は容易に塑性変形を起こすため、トナー粒子表面の被覆性を向上させやすく、かつ定着性の阻害作用が少ないため好ましい。なお、本発明に係る樹脂粒子をトナー粒子として用いる場合、必要に応じて、得られた樹脂粒子を公知の分級機を用いて分級し、粒度分布をよりシャープにして使用してもよい。
[ワックス]
本発明において、前記樹脂粒子をトナー粒子として用いる場合、必要に応じてワックスを含有させてもよい。ワックスとしては、特に限定されないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
本発明においては、溶解懸濁法におけるワックス分散液の作製のしやすさ、及び作製した樹脂粒子中への取り込まれやすさ、並びにトナー粒子として利用した際の、定着時におけるトナー粒子からの染み出し性及び離型性の観点から、脂肪族炭化水素系ワックス及びエステルワックスが好ましい。なお、エステルワックスは、1分子中にエステル結合を少なくとも1つ有していればよく、天然エステルワックス及び合成エステルワックスのいずれを用いてもよい。
合成エステルワックスとしては、長鎖直鎖飽和脂肪酸と長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールから合成されるモノエステルワックスが挙げられる。長鎖直鎖飽和脂肪酸は、一般式C2n+1COOHで表され、nが5〜28であるものが好ましく用いられる。また、長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールは、一般式C2n+1OHで表され、nが5〜28であるものが好ましく用いられる。また、天然エステルワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス及びそれらの誘導体が挙げられる。
上記の中でも、長鎖直鎖飽和脂肪酸と長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールとから得られる合成エステルワックス、又は、天然エステルワックスが好ましい。さらに、本発明においては、上記直鎖構造に加えて、エステルがモノエステルであることがより好ましい。また、本発明においては、炭化水素系ワックスを使用することも好ましい形態の一つである。
本発明において、樹脂粒子中におけるワックスの含有量は、樹脂粒子中の樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜20.0質量部が好ましく、2.0質量部〜15.0質量部がより好ましい。
本発明において用いるワックスは、DSC測定において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が、前記樹脂の最大吸熱ピークのピーク温度よりも高いものが好ましい。また、ワックスは、DSC測定において、60℃〜120℃に最大吸熱ピークのピーク温度を有することが好ましく、60℃〜90℃に最大吸熱ピークのピーク温度を有することがより好ましい。
[着色剤]
本発明において、前記樹脂粒子をトナー粒子として用いる場合、着色力を付与するために着色剤を含有させてもよい。着色剤としては、従来トナー粒子に使用されている着色剤を用いることができ、例えば、有機顔料、有機染料、無機顔料、黒色用着色剤としてのカーボンブラック、及び磁性粉体等が挙げられる。
イエロー用着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168及び180が好ましい。
マゼンタ用着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好ましい。
シアン用着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、並びに、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好ましい。
これらの着色剤は、1種を単独で、又は2種以上を混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。なお、使用する着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性及びトナー粒子組成物中での分散性の点から適宜選択することができる。
着色剤の含有量は、樹脂粒子中の樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部〜20.0質量部であることが好ましい。黒色用着色剤としてカーボンブラックを用いる場合も同様に、樹脂粒子中の樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部〜20.0質量部であることが好ましい。
[荷電制御剤]
本発明において、前記樹脂粒子をトナー粒子として用いる場合、必要に応じて荷電制御剤を樹脂粒子に含有させてもよい。また、荷電制御剤を樹脂粒子に外部添加することもできる。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化し、現像システムに応じた最適な摩擦帯電量に制御することができる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持することができる荷電制御剤が好ましい。トナー粒子を負荷電性に制御する荷電制御剤としては、有機金属化合物及びキレート化合物が好ましい。具体的には、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物及びイミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、樹脂粒子中の樹脂100.0質量部に対して、0.01質量部〜20.0質量部であることが好ましく、0.5質量部〜10.0質量部であることがより好ましい。
[無機微粒子]
本発明において前記樹脂粒子をトナー粒子として用いる場合、トナー粒子に無機微粒子を外添して用いることも可能である。無機微粒子は、トナー粒子の流動性を向上させる機能及びトナー粒子の帯電を均一化する機能を有する。なお、この無機微粒子は、本発明の工程(c)における微粒子としての無機微粒子とは別に、トナー粒子に添加されるものである。無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複合酸化物微粒子等の微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子の中でも、シリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が好ましい。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。これらの中でも、無機微粒子としては、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカが好ましい。なお、乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム及び塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
また、無機微粒子自体が疎水化処理されることによって、トナー粒子の帯電量の調整、環境安定性の向上、及び高湿環境下での特性の向上を達成することができるため、無機微粒子としては、疎水化処理された無機微粒子を用いることがより好ましい。トナー粒子に外添された無機微粒子が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる傾向にある。
無機微粒子の疎水化処理に用いる処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物及び有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。また、高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減させる観点から、無機微粒子をシランカップリング剤で疎水化処理すると同時又は処理した後にシリコーンオイルにより処理した、シリコーンオイル処理された疎水化処理無機微粒子がより好ましい。
前記無機微粒子の添加量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部〜4.0質量部であることが好ましく、0.2質量部〜3.5質量部であることがより好ましい。
本発明の製造方法において用いる樹脂粒子の製造装置は特に限定されるものではなく、一般的な耐圧容器を用いることができる。例として、図1に示す装置が挙げられる。
本発明に係る樹脂粒子及びトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が、3.0μm〜8.0μmであることが好ましく、5.0μm〜7.0μmであることがより好ましい。樹脂粒子の重量平均粒径(D4)が上記範囲であることにより、トナー粒子として使用した場合のハンドリング性を良好にしつつ、ドットの再現性を十分に満足することができる。
また、本発明に係る樹脂粒子をトナー粒子として用いる場合、トナー粒子の重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)は、1.25未満であることが好ましい。
以下に、本発明に係る各物性値の測定方法を記載する。
<樹脂粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
本発明において、樹脂粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は、実効測定チャンネル数25000にて行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるように調製したもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定方法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに、前記電解水溶液約200mlを入れて、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに、前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に、分散剤として「コンタミノン(登録商標)N」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)超音波ホモジナイザー「VC−750」(家田貿易社製)を準備する。プローブには標準タイプの13mmタップ型(630−0220)を用いる。
(4)前記(2)のビーカーにプローブを差し込み、底から1cmの位置にプローブの先端がくるようにセットする。
(5)コントローラのパルサー設定で、超音波照射時間1秒に対して無照射時間を1秒にセットした後に超音波の照射を開始し、ワットメーターで強度が50%になるようにダイヤルで調節した後に、1分間照射を続ける。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いて樹脂粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<凝集状態の確認方法>
前記樹脂粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法において、高出力超音波ホモジナイザーの設定を、パルサー設定で超音波照射時間1秒に対して無照射時間を1秒、ワットメーターで強度が50%になるようにダイヤルで調節して測定した重量平均粒径をD4とし、高出力超音波ホモジナイザーの設定を、パルサー設定で超音波照射時間1秒に対して無照射時間を3秒、ワットメーターで強度が10%になるようにダイヤルで調節して測定した重量平均粒径をD4として、(D4)/(D4)の値から凝集状態を確認した。
<融点の測定方法>
結晶性ポリマー、結晶性樹脂及びワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)Q2000(TA Instruments社製)を使用して、以下の条件にて測定を行う。
昇温速度 :10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしてはアルミニウム製の空パンを用いる。そのときの最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
<ガラス転移温度(Tg)の測定方法>
非晶性樹脂のガラス転移温度は、前記融点の示差走査熱量測定によって得られた昇温時のリバーシングヒートフロー曲線において、比熱変化が現れる前と現れた後のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、リバーシングヒートフロー曲線におけるガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度(℃)である。
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
樹脂及びその材料の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下のようにして測定する。
(1)測定試料の作製
試料とテトラヒドロフラン(THF)とを5.0mg/mLの濃度で混合し、室温にて5〜6時間放置した後、充分に振とうし、THFと試料を、試料の合一体がなくなるまで十分混合する。さらに、室温にて12時間以上静置する。このとき、試料とTHFの混合開始時点から、静置終了の時点までの時間が72時間以上となるようにして、試料のTHF可溶分を得る。その後、耐溶剤性メンブランフィルター(ポアサイズ0.45〜0.50μm、マイショリディスクH−25−2、東ソー社製)を用いてろ過することにより試料溶液を得る。
(2)試料の測定
得られた試料溶液を用いて、以下の条件で測定を行う。
装置:高速GPC装置 LC−GPC 150C(ウォーターズ社製)
カラム:Shodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807(昭和電工社製)の7連
移動相:THF
流速 :1.0ml/min
カラム温度:40℃
試料注入量:100μL
検出器 :RI(屈折率)検出器
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure ChemicalCo.製又は東洋ソーダ工業社製の、分子量が6.0×10、2.1×10、4.0×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2.0×10、4.48×10のものを用いる。
<結晶性樹脂の含有割合(質量%)の算出方法>
樹脂中の結晶性樹脂の含有割合(質量%)、重合性不飽和基を有する結晶性ポリエステルの、一分子中に含まれる重合性不飽和基の数の平均の測定は、H−NMRを用いて以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料 :試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、有機溶媒として重クロロホルム(CDCl)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製したもの。
上記測定条件によって測定されたH−NMRチャートより、結晶性樹脂の構成要素に帰属されるピークの中から、他の構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。同様に、非晶性樹脂の構成要素に帰属されるピークの中から、他の構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。結晶性樹脂の含有割合は、前記積分値S及び積分値Sを用いて、下式より求められる。なお、式中、n及びnは、着眼したピークが帰属される構成要素における水素原子の数を示す。
結晶性樹脂の含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n))}×100
以上のようにして得られた結晶性樹脂の含有割合(モル%)を、各成分の分子量に基づき質量%に換算して、結晶性樹脂の含有割合(質量%)を算出する。
<樹脂微粒子、ワックス微粒子及び着色剤微粒子の粒子径の測定方法>
各微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100、日機装社製)を用いて、0.001μm〜10μmのレンジ設定で測定を行い、体積平均粒子径(μm又はnm)として測定する。なお、希釈有機溶媒としては水を選択する。
以下、実施例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。なお、実施例及び比較例の部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<結晶性ポリエステル1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・セバシン酸 123.9質量部
・1,6−ヘキサンジオール 76.1質量部
・ジブチルスズオキシド 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて6時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。系内が粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることにより、結晶性ポリエステル1を合成した。結晶性ポリエステル1の数平均分子量(Mn)は5500、重量平均分子量(Mw)は12300、融点は67.0℃であった。
<樹脂1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 56.0質量部
・シクロヘキサンジメタノール(CHDM) 34.0質量部
・テトラヒドロフラン(THF) 100.0質量部
50.0℃まで加熱し、10時間かけてウレタン化反応を実施した。その後、210.0質量部の前記結晶性ポリエステル1をTHF220.0質量部に溶解させた溶液を徐々に添加し、さらに50.0℃にて5時間攪拌を行った。その後、室温まで冷却し、有機溶媒であるTHFを留去することにより、樹脂1を合成した。樹脂1の数平均分子量(Mn)は16800、重量平均分子量(Mw)は35500、融点は59.0℃であった。また、樹脂1中の、結晶性樹脂の含有割合は、70.0質量%であった。
<樹脂溶液1の調製>
撹拌装置を備えたビーカーに、アセトンを50.0質量部、樹脂1を50.0質量部投入し、50.0℃に加熱して完全に溶解するまで撹拌を続け、樹脂溶液1を調製した。得られた樹脂溶液1は、内部温度40.0℃の保管庫にて保管した。
<結晶性ポリエステル2の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・セバシン酸 93.0質量部
・フマル酸 3.9質量部
・1,12−ドデカンジオール 103.1質量部
・ジブチルスズオキシド 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて6時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。系内が粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることにより、結晶性ポリエステル2を合成した。結晶性ポリエステル2の数平均分子量(Mn)は12200、重量平均分子量(Mw)は24600、融点は83.0℃であった。
<有機ポリシロキサン構造を有するビニル系モノマー1の準備>
本発明においては、市販の片末端型ビニル変性有機ポリシロキサン(X−22−2475、信越化学工業社製)を用意し、有機ポリシロキサン化合物1として使用した。有機ポリシロキサン化合物1の構造は、上記式(I)で表され、R、R、Rはメチル基であり、Rはプロピレン基であり、重合度nの値は3である。
<多官能モノマー1の準備>
本発明においては、市販の多官能モノマー(APG−400、新中村化学工業社製)を用意し、多官能モノマー1として使用した。多官能モノマー1の構造は、上記式(II)で表され、重合度m、nの合計は7、分子量は536である。
<樹脂微粒子分散液1の調製>
撹拌装置を備えたビーカーに、ドデシル硫酸ナトリウム2.0質量部と、イオン交換水1600.0質量部を投入し、25.0℃にて完全に溶解するまで撹拌を続け、水系媒体1を調製した。
次いで、密閉容器に、以下の原料とトルエン160.0質量部を仕込み、70.0℃に加熱して完全に溶解し、モノマー溶液1を調製した。
・結晶性ポリエステル2 40.0質量部
・有機ポリシロキサン構造を有するビニル系モノマー1 29.0質量部
・スチレン 21.0質量部
・メタクリル酸 10.0質量部
・多官能モノマー1 3.0質量部
得られたモノマー溶液1を25.0℃まで降温した後、重合開始剤としてターシャリーブチルパーオキシピバレートを6.0質量部混合し、前記水系媒体1に投入した。その後、高出力超音波ホモジナイザー(VCX−750)を用いて超音波を13分間照射(1秒間欠、25.0℃保持)することにより、モノマー溶液1の乳化液を調製した。
加熱乾燥した四口フラスコに、前記乳化液を仕込んだ。該乳化液を200rpmで撹拌しながら30分間窒素をバブリングした後、75.0℃にて6時間攪拌を行った。その後、前記乳化液を撹拌させた状態で空冷し、反応を停止させ、粗粒子状の樹脂の分散体を得た。
得られた粗粒子状の樹脂の分散体を、温度調節可能な撹拌タンクに投入し、ポンプを用いてクレアSS5(エム・テクニック社製)に35g/minの流量で移送して処理することにより、微粒子状の樹脂の分散体を得た。クレアSS5による前記分散体の処理条件は、クレアSS5の回転するリング状ディスクの最外周部の周速を15.7m/sとし、回転するリング状ディスクと固定されたリング状ディスクの間隙を1.6μmとした。また、撹拌タンクの温度は、クレアSS5により処理した後の液温が40℃以下となるように調節した。次いで、前記分散体中の微粒子状の樹脂とトルエンを、16500rpmで2.5時間遠心分離機を用いて処理することにより分離した後、上澄みを除去して、濃縮された樹脂微粒子の分散体を得た。その後、撹拌装置を備えたビーカーに、前記濃縮された樹脂微粒子の分散体を、高出力超音波ホモジナイザー(VCX−750)を用いて、アセトンに分散させることにより、固形分濃度10.0質量%の樹脂微粒子分散液1を調製した。
<無機微粒子1の調製>
攪拌機、滴下ろうと及び温度計を備えた3Lのガラス製反応器に、メタノール577.2質量部、純水42.0質量部および28質量%アンモニア水47.1質量部を入れて混合した。得られた溶液を35℃となるように調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン1100.0質量部および5.4質量%アンモニア水395.2質量部を同時に添加した。テトラメトキシシランは7時間かけて、アンモニア水は6時間かけて、それぞれ滴下した。滴下が終了した後、さらに0.2時間攪拌を継続して加水分解を行うことにより、球状ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール−水分散液を得た。その後、得られた分散液を80℃、減圧下にて十分乾燥させることにより、処理前無機微粒子1を得た。処理前無機微粒子1の一次粒子の個数平均径は、80nmであった。
続いて、処理前無機微粒子1、100.0質量部を反応容器に入れて、窒素雰囲気下、攪拌しながら4.2質量部のシリコーンオイル(KF−96、50cs、信越化学工業社製)を4.2質量部のノルマルヘキサンで希釈した溶液をスプレーした。その後、この反応混合物を300℃にて60分間、窒素気流下で攪拌して乾燥し、冷却することにより、疎水化処理された無機微粒子1を得た。
<ワックス分散液1の調製>
・ジペンタエリスリトールパルチミン酸エステルワックス 17.0質量部
・ワックス分散剤 8.0質量部
(ポリエチレン15.0質量部の存在下で、スチレン50.0質量部、n−ブチルアクリレート25.0質量部、及びアクリロニトリル10.0質量部を共重合させた、ピーク分子量8,500の共重合体)
・アセトン 75.0質量部
上記材料を、撹拌羽根を備えたガラスビーカー(IWAKIガラス製)に投入し、系内を50℃に加熱して、ワックスをアセトンに溶解させた。次いで、系内を50rpmで緩やかに撹拌しながら徐々に冷却し、3時間かけて25.0℃まで冷却させることにより、乳白色の溶液を得た。得られた溶液を1mmのガラスビーズ20.0質量部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカー(東洋精機製)にて3時間の分散を行い、ワックス分散液1を得た。ワックスの体積平均粒子径は150nm、融点は72.0℃であった。また、ワックス分散液1の固形分濃度は25.0質量%であった。
<着色剤分散液1の調製>
・C.I.ピグメントブルー15:3 100.0質量部
・アセトン 150.0質量部
・ガラスビーズ(1mm) 200.0質量部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカーにて5時間分散を行った後、ナイロンメッシュでガラスビーズを取り除き、着色剤分散液1を得た。着色剤分散液1の固形分濃度は40.0質量%であった。
<混合液1の調製>
ビーカーに、
・樹脂溶液1(固形分50.0質量%) 173.0質量部
・ワックス分散液1(固形分25.0質量%) 30.0質量部
・着色剤分散液1(固形分40.0質量%) 15.0質量部
を投入し、30.0℃に温調した後、TKホモディスパー(特殊機化社製)を用いて、3000rpmで1分間攪拌することにより混合液1を得た。
<混合液2の調製>
ビーカーに、
・樹脂溶液1(固形分50.0質量%) 173.0質量部
・ワックス分散液1(固形分25.0質量%) 30.0質量部
・着色剤分散液1(固形分40.0質量%) 15.0質量部
・樹脂微粒子分散液1(固形分10.0質量%) 86.5質量部
を投入し、30.0℃に温調した後、TKホモディスパー(特殊機化社製)を用いて、3000rpmで1分間攪拌することにより混合液2を得た。
[実施例1]
図1に示す装置において、容器1として、内部に攪拌装置S1と熱電対(不図示)を備え、側面に温度調節用のジャケット及び観察窓W1を備えた耐圧容器t1を用いた。
内部温度を予め30.0℃(T1)に調整した耐圧容器t1に、混合液1を仕込み、バルブV1、バルブV3、圧力調整バルブV4を閉じて、耐圧容器t1の内部を回転速度300rpmで撹拌しながら、混合液1を30.0℃に温調した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1から二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器t1に導入し、内部圧力がゲージ圧力2.0MPa(P1)に到達したところでバルブV1を閉じた。この時、観察窓W1から耐圧容器t1の内部を観察して、相分離していることを確認した。導入した二酸化炭素の量は、質量流量計を用いて測定したところ、100.0質量部であった。
次に、内部温度を予め30.0℃(T2)に調整した容器2としての耐圧容器t2に、予め30.0℃に温調した樹脂微粒子分散液1(固形分10.0質量%)86.5質量部を投入した。そして、バルブV2を開き、ボンベB2から二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器t2に投入し、内部圧力がゲージ圧力3.0MPa(P2)に到達したところでバルブV2を閉じた。導入した二酸化炭素の量は、質量流量計を用いて測定したところ、30.0質量部であった。
次いで、観察窓W1から耐圧容器t1の内部を観察して、相分離状態を維持したままであることを確認した後、バルブV3を開き、前記耐圧容器t2内の前記樹脂微粒子分散液1と二酸化炭素の混合物を前記耐圧容器t1に投入した。
次に、耐圧容器t1内の温度が30.0℃であることを確認し、回転速度1000rpmで10分間撹拌して造粒を行い、分散体を調製した。次に、回転速度を300rpmまで落とし、ゲージ圧力2.0MPaの条件下で、前記分散体を0.5℃/分の降温速度で25.0℃まで冷却した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプp1を用いて二酸化炭素を耐圧容器t1内に導入した。この際、圧力調整バルブV4を調節し、耐圧容器t1の内部圧力(ゲージ圧力)を8.0MPaに保持しながら、さらに二酸化炭素を流通させた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶媒(アセトン)を含む二酸化炭素を、溶媒回収容器t3に排出し、耐圧容器t1内から有機溶媒と二酸化炭素を除去した。
1時間後にポンプp1を停止し、バルブV1を閉じ、圧力調整バルブV4を少しずつ開いて、耐圧容器t1の内部圧力を大気圧まで減圧することにより、フィルターF1に捕捉されている樹脂粒子1を回収した。得られた樹脂粒子1について、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を測定した。測定結果を表2に示す。また、樹脂粒子1の凝集状態、製造時のフィルター目詰まり及び収率の評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、各評価における評価基準は以下のとおりである。
(凝集状態)
凝集状態については、上記測定方法に従い測定した重量平均粒径(D4)と重量平均粒径(D4)から、D4/D4を算出し、下記基準に基づいて評価を行った。なお、下記評価はA、B、C、Dの順に優れており、A〜Cを本発明の効果が得られる範囲とした。
A:D4/D4が1.30未満
B:D4/D4が1.30以上、1.50未満
C:D4/D4が1.50以上、1.70未満
D:D4/D4が1.70以上
(フィルター目詰まり)
耐圧容器t1内に設置している樹脂粒子を回収するためのフィルターF1への樹脂微粒子の詰まり具合を、目視により判断した。なお、下記評価はA、B、C、Dの順に優れており、A〜Cを本発明の効果が得られる範囲とした。
A:目詰まりが確認できない
B:樹脂微粒子由来の凝集がごくわずかにみられる
C:樹脂微粒子由来の凝集がみられる
D:樹脂微粒子由来の凝集が多くみられる
(収率)
得られた樹脂粒子の質量を測定し、仕込み固形分に対する収率を計算して、下記基準に基づいて評価を行った。なお、下記評価はA、B、C、Dの順に優れており、A〜Cを本発明の効果が得られる範囲とした。
A:収率95.0%以上
B:収率90.0%以上、95.0%未満
C:収率80.0%以上、90.0%未満
D:収率80.0%未満
[実施例2〜11]
実施例1において、表1に示すように製造条件を変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂粒子2〜11を得た。得られた樹脂粒子2〜11について、粒径の測定結果を表2に示す。また、樹脂粒子2〜11の凝集状態、製造時のフィルター目詰まり及び収率の評価結果を表3に示す。
[実施例12]
内部温度を予め25.0℃(T1)に調整した耐圧容器t1に、混合液1を仕込み、バルブV1、バルブV3、圧力調整バルブV4を閉じて、耐圧容器t1の内部を回転速度300rpmで撹拌しながら、混合液1を25.0℃に温調した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1から二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器t1に導入し、内部圧力がゲージ圧力5.0MPa(P1)に到達したところでバルブV1を閉じた。この時、観察窓から耐圧容器t1の内部を観察して、相分離していることを確認した。導入した二酸化炭素の量は、質量流量計を用いて測定したところ、280.0質量部であった。
次に、内部温度を予め25.0℃(T2)に調整した耐圧容器t2に、無機微粒子1を8.7質量部投入した。そして、バルブV2を開き、ボンベB2から二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器t2に投入し、内部圧力がゲージ圧力6.0MPa(P2)に到達したところでバルブV2を閉じた。導入した二酸化炭素の量は、質量流量計を用いて測定したところ、60.0質量部であった。
次いで、観察窓から耐圧容器t1の内部を観察して、相分離状態を維持したままであることを確認した後、バルブV3を開き、前記耐圧容器t2内の前記無機微粒子1と二酸化炭素の混合物を前記耐圧容器t1に投入した。
次に、耐圧容器t1内の温度が25.0℃であることを確認し、回転速度1000rpmで10分間撹拌して造粒を行い、分散体を調製した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプp1を用いて二酸化炭素を耐圧容器t1内に導入した。この際、圧力調整バルブV4を8.0MPaに設定し、耐圧容器t1の内部圧力(ゲージ圧力)を8.0MPaに保持しながら、さらに二酸化炭素を流通させた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶媒(アセトン)を含む二酸化炭素を、溶媒回収容器t3に排出し、耐圧容器t1内から有機溶媒と二酸化炭素を除去した。
1時間後にポンプp1を停止し、バルブV1を閉じ、圧力調整バルブV4を少しずつ開いて、耐圧容器t1の内部圧力を大気圧まで減圧することにより、フィルターF1に捕捉されている樹脂粒子12を回収した。得られた樹脂粒子12について、粒径の測定結果を表2に示す。また、樹脂粒子12について、粒度分布、製造時のフィルター目詰まり及び収率の評価を行った。評価結果を表3に示す。
[比較例1]
内部温度を予め30.0℃(T1)に調整した耐圧容器t1に、混合液2を仕込み、バルブV1、バルブV3、圧力調整バルブV4を閉じて、耐圧容器t1の内部を回転速度300rpmで撹拌しながら、混合液2を30.0℃に温調した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1から二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器t1に導入し、内部圧力がゲージ圧力2.0MPa(P1)に到達したところでバルブV1を閉じた。この時、観察窓から耐圧容器t1の内部を観察したところ、相分離して、一部分散体が形成されていた。ここまでに導入した二酸化炭素の量は、質量流量計を用いて測定したところ、120.0質量部であった。
次に、耐圧容器t1内の温度が30.0℃であることを確認し、回転速度1000rpmで10分間撹拌して造粒を行い、分散体を調製した。次に、回転速度を300rpmまで落とし、0.5℃/分の降温速度で25.0℃まで冷却した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素を耐圧容器t1内に導入した。この際、圧力調整バルブV4を調節し、耐圧容器t1の内部圧力(ゲージ圧力)を8.0MPaに保持しながら、さらに二酸化炭素を流通させた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶媒(アセトン)を含む二酸化炭素を、溶媒回収容器t3に排出し、耐圧容器t1内から有機溶媒と二酸化炭素を除去した。
1時間後にポンプP1を停止し、バルブV1を閉じ、圧力調整バルブV4を少しずつ開いて、耐圧容器t1の内部圧力を大気圧まで減圧することにより、フィルターに捕捉されている樹脂粒子13を回収した。上記製造条件を表1に示し、得られた樹脂粒子13の粒径の測定結果を表2に示す。また、樹脂粒子13の凝集状態、製造時のフィルター目詰まり及び収率の評価結果を表3に示す。
[比較例2]
内部温度を予め30.0℃(T2)に調整した耐圧容器t2に、混合液1を仕込み、バルブV2、バルブV3を閉じて、混合液1を30.0℃に温調した。
次に、内部温度を予め30.0℃(T1)に調整した耐圧容器t1に、樹脂微粒子分散液1(固形分10.0質量%)を86.5質量部仕込み、バルブV1、圧力調整バルブV4を閉じて、内部温度を30.0℃に調整した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1から二酸化炭素を耐圧容器t1に導入し、内部圧力が4.0MPa(P1)に到達したところでバルブV1を閉じた。
次に、バルブV3を開き、ポンプp2を用いて耐圧容器t2内の混合液1を耐圧容器t1内に導入した。この際、観察窓から耐圧容器t1の内部を観察したところ、均一な相が形成された後、徐々に相分離が形成されて、完全に混合液1を導入し終わった時点では、相分離状態となっていた。ここまでに導入した二酸化炭素の量は、質量流量計を用いて測定したところ、150.0質量部であった。
次に、耐圧容器t1内の温度が30.0℃であることを確認し、回転速度1000rpmで10分間撹拌して造粒を行い、分散体を調製した。次に、回転速度を300rpmまで落とし、0.5℃/分の降温速度で25.0℃まで冷却した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプp1を用いて二酸化炭素を耐圧容器t1内に導入した。この際、圧力調整バルブV4を調節し、耐圧容器t1の内部圧力(ゲージ圧)を8.0MPaに、耐圧容器t1の内部温度を25.0℃に保持しながら、さらに二酸化炭素を流通させた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶媒(主にアセトン)を含む二酸化炭素を、溶媒回収容器t3に排出し、耐圧容器t1内から有機溶媒と二酸化炭素を除去した。
1時間後にポンプp1を停止し、バルブV1を閉じ、圧力調整バルブV4を少しずつ開いて、耐圧容器t1の内部圧力を大気圧まで減圧することにより、フィルターに捕捉されている樹脂粒子14を回収した。なお、上記製造条件を表1に示し、得られた樹脂粒子14の粒径の測定結果を表2に示す。また、樹脂粒子14の凝集状態、製造時のフィルター目詰まり及び収率の評価結果を表3に示す。
[比較例3]
内部温度を予め30.0℃(T2)に調整した耐圧容器t2に、混合液1を仕込み、バルブV2、バルブV3を閉じて、混合液1を30.0℃に温調した。次にバルブV2を開き、ボンベB2から二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器t2に導入し、内部圧力が4.0MPa(P2)に到達したところでバルブV2を閉じた。
次に、内部温度を予め30.0℃(T1)に調整した耐圧容器t1に樹脂微粒子分散液1(固形分10.0質量%)を86.5質量部仕込み、内部温度を30.0℃に調整した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1から二酸化炭素を耐圧容器t1に導入し、内部圧力が1.0MPa(P1)に到達したところでバルブV1を閉じた。
次に、バルブV3を開き、耐圧容器t1の内部を回転速度1000rpmで撹拌しながら、耐圧容器t2の内容物を耐圧容器t1内に導入し、すべて導入を終えたところでバルブV3を閉じた。この時、観察窓から耐圧容器t1の内部を観察したところ、相分離した状態ではあるものの、一部分散体が形成されていることが確認された。
ここまでに導入した二酸化炭素の量は、質量流量計を用いて測定したところ、150.0質量部であった。
次に、耐圧容器t1内の温度が30.0℃であることを確認し、回転速度1000rpmで10分間撹拌して造粒を行い、分散体を調製した。次に、回転速度を300rpmまで落とし、0.5℃/分の降温速度で25.0℃まで冷却した。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプp1を用いて二酸化炭素を耐圧容器t1内に導入した。この際、圧力調整バルブV4を調節し、耐圧容器t1の内部圧力(ゲージ圧)を8.0MPaに、耐圧容器t1の内部温度を25.0℃に保持しながら、さらに二酸化炭素を流通させた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶媒(主にアセトン)を含む二酸化炭素を、溶媒回収容器t3に排出し、耐圧容器t1内から有機溶媒と二酸化炭素を除去した。
1時間後にポンプp1を停止し、バルブV1を閉じ、圧力調整バルブV4を少しずつ開いて、耐圧容器t1の内部圧力を大気圧まで減圧することにより、フィルターに捕捉されている樹脂粒子15を回収した。なお、上記製造条件を表1に示し、得られた樹脂粒子15の粒径の測定結果を表2に示す。また、樹脂粒子15の凝集状態、製造時のフィルター目詰まり及び収率の評価結果を表3に示す。
Figure 0006562821
Figure 0006562821
Figure 0006562821
t1:耐圧容器(容器1)
t2:耐圧容器(容器2)
t3:溶媒回収容器
B1:ボンベ
B2:ボンベ
p1:ポンプ
p2:ポンプ
V1:バルブ
V2:バルブ
V3:バルブ
V4:圧力調整バルブ
F1:フィルター
S1:攪拌装置
W1:観察窓

Claims (7)

  1. (a)樹脂と有機溶媒とを混合して、樹脂溶液を調製する工程、
    (b)前記樹脂溶液及び二酸化炭素を容器1に投入し、前記樹脂及び前記有機溶媒を主成分とする相と、前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を主成分とする相に相分離した状態を形成する工程、
    (c)前記相分離した状態を維持したまま、前記容器1に微粒子を投入する工程、
    (d)前記容器1内を攪拌して、表面が前記微粒子で覆われた前記樹脂溶液を含有する液滴を形成し、該液滴が前記二酸化炭素及び前記有機溶媒を含有する分散媒体中に分散した分散体を形成する工程、
    (e)前記容器1に、さらに二酸化炭素を流通させて、前記液滴および前記分散媒体に含まれる前記有機溶媒を、前記二酸化炭素とともに前記容器1から除去して樹脂粒子を得る工程、
    を有する樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記工程(b)において、相分離した状態の前記容器1の内部圧力P1(MPa)が、下記式(1)を満たす、請求項1に記載の樹脂粒子の製造方法。
    0.5≦P1≦5.0 ・・・(1)
  3. 前記工程(c)において、前記微粒子を前記容器1とは異なる容器2に投入し、該容器2の内部圧力P2(MPa)を、前記容器1の内部圧力P1(MPa)に対して、下記式(2)を満たす圧力に加圧した後、前記容器2から前記容器1に前記微粒子を投入する、請求項1又は2に記載の樹脂粒子の製造方法。
    0.0≦P2−P1≦2.0 ・・・(2)
  4. 前記工程(c)において、前記容器1の内部温度T1(℃)及び前記容器2の内部温度T2(℃)を、下記式(3)を満たす温度に調整する、請求項3に記載の樹脂粒子の製造方法。
    |T1−T2|≦20.0 ・・・(3)
  5. 前記工程(c)は、前記微粒子が媒体に分散した分散液を前記容器1に投入する工程である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記微粒子が樹脂微粒子である請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
  7. トナー粒子を含有するトナーの製造方法であって、前記トナー粒子が請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法により製造された樹脂粒子であることを特徴とするトナーの製造方法。
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