以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のインクジェット式記録装置は、液体としてインクを噴射するインクジェット式記録ヘッドユニット1(以下、ヘッドユニット1とも言う)を具備する。ヘッドユニット1は、インクを噴射するインクジェット式記録ヘッド2(以下、記録ヘッド2とも言う)と、記録ヘッド2を保持する枠体であるキャリッジ3と、を具備する。キャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向に移動可能に設けられている。また、ヘッドユニット1には、インクを供給可能な液体供給手段を構成するインクカートリッジ2A、2Bが着脱可能に設けられている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニット1はキャリッジ軸5に沿って移動される。すなわち、ヘッドユニット1を媒体Sに対して相対的に往復移動させるキャリッジ軸5、駆動モーター6及びタイミングベルト7等が本実施形態のキャリッジ機構となっている。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の媒体Sが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、媒体Sを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。また、本実施形態では、媒体Sの搬送方向を第1の方向Xと称し、キャリッジ3の移動方向を第2の方向Yと称する。また、ヘッドユニット1のインク滴の噴射方向を第3の方向Zと称する。なお、本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。さらに、本実施形態では、第3の方向Zにおいて、ヘッドユニット1のインクカートリッジ2A、2B側をZ1側、ヘッドユニット1の媒体S側をZ2側と称する。
また、キャリッジ3の移動方向の端部である非印刷領域には、記録ヘッド2のノズル面をキャッピングするキャッピング手段9が設けられている。キャッピング手段9は、ゴムやエラストマー等の弾性材料で形成されて記録ヘッド2のノズルを覆うキャップ9aと、キャップ9aに接続された、例えば真空ポンプ等の吸引手段9bと、を具備する。このような構成のキャッピング手段9では、キャップ9aを記録ヘッド2のノズル面に当接させて、吸引手段9bに吸引動作を行わせることでキャップ9aの内部を負圧として、ノズルから記録ヘッド2内のインクを気泡と共に吸引して吸引動作を行う。また、非印刷時には、キャップ9aによってノズルを封止することにより、ノズルの乾燥を抑制するようにしてもよい。
なお、キャップ9aは、所望のタイミングでノズルの開口するノズル面に当接してノズルを覆うため、キャップ9aは第3の方向Zに移動可能に設けられている。そして、キャップ9aの第3の方向Zへの移動は、例えば、図示しない駆動モーターや電磁石等によって行われる。
ここで、本実施形態のヘッドユニット1を構成する記録ヘッド2の一例について、さらに図2〜図4を参照して説明する。なお、図2は、本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図であり、図3は、記録ヘッドの組み立て斜視図であり、図4は、記録ヘッドの要部断面図である。なお、本実施形態では、記録ヘッド2の各方向について、インクジェット式記録装置Iに搭載された際の方向、すなわち、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zに基づいて説明する。もちろん、記録ヘッド2のインクジェット式記録装置I内の配置は以下に示すものに限定されるものではない。
図示するように、本実施形態の記録ヘッド2は、インクを噴射する複数のヘッド本体200と、複数のヘッド本体200を保持する流路ホルダー210と、ヘッド本体200の液体噴射面側に設けられた固定板220と、を具備する。
流路ホルダー210は、液体供給手段であるインクカートリッジ2A、2B(図1参照)がそれぞれ装着されるカートリッジ装着部211を有する。また、流路ホルダー210には、図4に示すように、一端がZ1側の各カートリッジ装着部211に開口し、他端がZ2側の面に開口する複数のインク連通路212が設けられている。さらに、カートリッジ装着部211のインク連通路212の開口部分には、インクカートリッジ2A、2Bのインク供給口に挿入されるインク供給針213が、インク内の気泡や異物を除去するためにインク連通路212内に形成されたフィルタ(図示なし)を介して固定されている。
このような流路ホルダー210のZ2側の面には、複数のヘッド本体200が固定されている。本実施形態では、4つのヘッド本体200が第2の方向Yに所定の間隔で並設されて固定されている。本実施形態では、流路ホルダー210とヘッド本体200とは、接着剤214を介して接合されている。
ここで、本実施形態の記録ヘッド2に搭載されたヘッド本体200についてさらに図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は、本発明の実施形態1に係るヘッド本体の分解斜視図であり、図6は、ヘッド本体の断面図である。
図示するように、本実施形態のヘッド本体200は、流路形成基板10を具備する。流路形成基板10は、本実施形態では、シリコン単結晶基板からなり、そのZ1側の面には振動板50が形成されている。この流路形成基板10には、Z2側の面からから異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12が、第1の方向Xに並設された列が、第2の方向Yに2列並設されている。また、各列の圧力発生室12の第2の方向Yの外側には、後述するマニホールド形成基板30に設けられるマニホールド部31と連通し、各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成する連通部13が形成されている。また、連通部13は、インク供給路14を介して各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれ連通されている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。すなわち、本実施形態では、1つのインクジェット式記録ヘッドにノズル21の並設されたノズル列21Aが2列設けられている。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル21が開口されてインク滴が吐出される面、すなわち、Z2側の面を液体噴射面22と称する。
一方、流路形成基板10のZ1側には、振動板50が形成されている。振動板50として、例えば、酸化シリコン膜と酸化ジルコニウム膜との積層又は何れか一方の単層を用いることができる。また、振動板50上には、第1電極と、電気機械変換作用を有する強誘電性セラミックス材料からなる圧電体層と、第2電極とを有する圧電アクチュエーター60が設けられている。
このような圧電アクチュエーター60が形成された流路形成基板10のZ1側には、マニホールド100の少なくとも一部を構成するマニホールド部31を有するマニホールド形成基板30が接合されている。このマニホールド部31は、本実施形態では、マニホールド形成基板30を厚さ方向である第3の方向Zに貫通して複数の圧力発生室12に第1の方向Xに亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。
また、マニホールド形成基板30の圧電アクチュエーター60に対向する領域には、圧電アクチュエーター60の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電アクチュエーター保持部32が設けられている。このようなマニホールド形成基板30としては、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
さらに、マニホールド形成基板30上には、各圧電アクチュエーター60を駆動するための駆動IC70が設けられている。この駆動IC70の各端子は、図示しないボンディングワイヤ等を介して各圧電アクチュエーター60の個別電極から引き出された引き出し配線と接続されている。そして、駆動IC70の各端子には、図5に示すような、フレキシブルプリントケーブル(FPC)等の外部配線71を介して外部と接続され、外部から外部配線71を介して印刷信号等の各種信号を受け取るようになっている。
また、このようなマニホールド形成基板30上には、コンプライアンス基板40が接合されている。コンプライアンス基板40のマニホールド100に対向する領域には、マニホールド100にインクを供給するためのインク導入口44が厚さ方向に貫通することで形成されている。また、コンプライアンス基板40のマニホールド100に対向する領域のインク導入口44以外の領域は、厚さ方向に薄く形成された可撓部43となっており、マニホールド100は、可撓部43により封止されている。この可撓部43により、マニホールド100内にコンプライアンスを与えている。
また、コンプライアンス基板40のZ1側には、インク導入口44に連通するインク供給連通路81が設けられたヘッドケース80が設けられている。このヘッドケース80には、可撓部43に対向する領域に凹部82が形成され、可撓部43の撓み変形が適宜行われるようになっている。また、ヘッドケース80には、マニホールド形成基板30上に設けられた駆動IC70に対向する領域に厚さ方向に貫通した駆動IC保持部83が設けられており、外部配線71は、駆動IC保持部83を挿通して駆動IC70と接続されている。
このようなヘッド本体200は、複数が1つの流路ホルダー210に固定されている。本実施形態では、1つの流路ホルダー210のZ2側の面に、4つのヘッド本体200が第2の方向Yに所定の間隔で並設されて、流路ホルダー210に接着剤214を介して固定されている。すなわち、本実施形態の記録ヘッド2には、ノズル列21Aが8列設けられている。このように複数のヘッド本体200を用いてノズル列21Aの多列化を図ることで、1つのヘッド本体200にノズル列21Aを多列形成するのに比べて歩留まりの低下を防止することができる。また、ノズル列21Aの多列化を図るために複数のヘッド本体200を用いることで、1枚のシリコンウェハから形成できるヘッド本体200の取り数を増大させることができ、シリコンウェハの無駄な領域を減少させて製造コストを低減することができる。
また、図2〜図4に示すように、流路ホルダー210に保持された4つのヘッド本体200は、互いに相対的に位置決めされて固定板220に固定されている。
固定板220は、ヘッド本体200に固定される底面部230と、底面部230に連続する側面部240とを具備する。
底面部230は、第3の方向Zから平面視した際に矩形状を有する平板からなる。すなわち、底面部230は、第1の方向Xに沿った2つの第1縁231と、第2の方向Yに沿った2つの第2縁232とを有する。また、底面部230は、ヘッド本体200が固定される第1面233と、第1面233とは反対側の第2面234と、を有する。このような底面部230には、各ヘッド本体200のそれぞれに対応して設けられた開口部235が設けられている。開口部235は、各ヘッド本体200のノズル列21Aをそれぞれ独立して露出するようにヘッド本体200毎に設けられている。すなわち、1つの開口部235からは、2列のノズル列21Aが露出されており、開口部235は、ヘッド本体200と同じ数、すなわち、4個設けられている。この開口部235は、ヘッド本体200のノズルプレート20よりも若干小さな開口を有し、底面部230の第1面233は開口部235の開口縁部においてノズルプレート20の液体噴射面22側と固定される。なお、底面部230とノズルプレート20とは、本実施形態では、接着剤221によって直接的に接合されているが、別の部材を介して間接的に接合されていてもよい。
側面部240は、底面部230の第2面234側から第1面233側に延設されている。本実施形態では、底面部230に連続した部分をZ1側に屈曲することで形成されている。すなわち、本実施形態の側面部240は、底面部230の第1の方向Xに沿った2つの第1縁231及び第2の方向Yに沿った2つの第2縁232から連続して設けられている。つまり、側面部240は、第1の方向Xに沿って設けられた2つの第1側面部241と、第2の方向Yに沿って設けられた2つの第2側面部242と、を具備する。そして、これら2つの第1側面部241と2つの第2側面部242とは、底面部230の角部において互いに接続されない不連続となるように形成されている。このように固定板220に側面部240を設けることによって、固定板220の剛性を高めることができると共に、媒体Sが接触するなどの外力によって固定板220が変形及び剥離するのを抑制することができる。また、固定板220の4辺に側面部240が設けられて固定板220は4辺が側面部240によって囲まれているので、固定板220とヘッド本体200との接合部分に媒体Sが接触するのを抑制して、固定板220の変形や剥離を抑制することができる。
なお、このような固定板220は、例えば、ステンレス鋼などの金属材料からなる板状部材を、底面部230と側面部240とを平板状に広げた、所謂、展開図状に切り出した後、側面部240を屈曲することで形成される。なお、固定板220の形成方法は、特にこれに限定されず、例えば、板状部材を絞り加工することによって形成してもよい。このように固定板220を絞り加工によって形成する場合には、第1側面部241と第2側面部242とは、底面部230の角部に対応する部分において互いに連続する。
このような固定板220の底面部230の第1面233には、1以上のヘッド本体200の液体噴射面22が接着剤221によって固定される。これにより、固定板220の第2面234と、ヘッド本体200のノズルプレート20とによりノズル面が規定されている。すなわち、記録ヘッド2のノズル面とは、印刷時に媒体Sに相対向する位置にあるものである。複数のヘッド本体200を固定板220の底面部230の第1面233に接着剤221によって固定すれば、複数のヘッド本体200の液体噴射面22の第3の方向Zの高さを容易に揃えることができる。このため、印刷品質を向上することができる。
このような記録ヘッド2は、本実施形態の枠体であるキャリッジ3に保持されてヘッドユニット1を構成する。ここで、本実施形態のキャリッジ3についてさらに図7〜図11を参照して説明する。なお、図7は、本発明の実施形態1に係るヘッドユニットの斜視図であり、図8は、ヘッドユニットの平面図であり、図9は、図8のA−A′線断面図であり、図10は、図9の要部を拡大した図であり、図11は、図8のB−B′線断面図である。
図示するように、本実施形態の枠体であるキャリッジ3は、内部に記録ヘッド2を保持する空間である保持部300を有する。保持部300は、キャリッジ3のZ1側の面に開口して設けられている。インクカートリッジ2A、2Bは、保持部300のZ1側の開口から挿入されて記録ヘッド2のカートリッジ装着部211上に保持される。また、キャリッジ3のZ2側の面には、保持部300に連通する保持孔301が設けられている。保持孔301は、記録ヘッド2のノズル面側の外形よりも大きく、且つ記録ヘッド2のZ1側の外形よりも小さな開口を有する。これにより、保持部300内には、記録ヘッド2が保持孔301からノズル面側をZ2側に突出させた状態で保持されている。
また、キャリッジ3の保持孔301が開口するZ2側の面には、さらにZ2側に突出する壁部310が設けられている。壁部310は、記録ヘッド2の第1の方向Xの幅と略同じ幅を有し、記録ヘッド2の第2の方向Yの両側にそれぞれ設けられている。このような壁部310は、キャリッジ3のZ2側の面からZ2側に突出した記録ヘッド2のノズル面と同じ高さとなるように突出して設けられている。具体的には、壁部310は、キャリッジ3のZ2側の面から、先端が記録ヘッド2の第1側面部241に相対向するように湾曲して延設されている。すなわち、壁部310は、キャリッジ3のZ2側の面から記録ヘッド2の第2の方向Yの側面に向かって、すなわち、第3の方向Zに対して記録ヘッド2に近接する傾斜方向に直線的に延設された平板状の第1壁部311と、第1壁部311に連続して第2の方向Yに沿う方向に直線的に延設された平板状の第2壁部312とを具備し、第1壁部311と第2壁部312とは互いに連続する部分のZ2側の表面が曲面となるように設けられている。これにより、壁部310のZ2側の表面は、記録ヘッド2側から第2の方向Yの外側に向けて傾斜したスロープ面となっている。このような壁部310は、その先端面、すなわち、第2壁部312の第1壁部311と連続する端部とは反対側の端面が、記録ヘッド2の第1側面部241との間に空間を空けた状態で相対向して配置された対向面313となっている。つまり、2つの壁部310の対向面313の間で記録ヘッド2のノズル面、すなわち、ヘッド本体200の液体噴射面22及び固定板220の第2面234が露出されている。言い換えると、記録ヘッド2のノズル面を露出するキャリッジ3の露出開口部は、記録ヘッド2の第1側面部241に対向する対向面313によって規定されている。
このように記録ヘッド2の第2の方向Yの両側に壁部310を設けることによって、記録ヘッド2を媒体Sに対して、第2の方向Yに往復移動させた際に、記録ヘッド2の側面に直接、媒体Sが接触するのを保護することができる。
また、本実施形態では、壁部310のノズル面側におけるZ2側の表面と、記録ヘッド2の固定板220の第2面234とは、第3の方向Zにおいて略同じ位置となるように設けられている。これにより、図示していないワイパーブレードによってノズル面をワイピングして、ワイパーブレードがノズル面から離れると際に、ワイパーブレードが弾性変形した状態から元の状態に復元する勢いでインクを飛沫として飛ばすのを抑制することができる。したがって、ワイピングによるインクの飛沫によってインクジェット式記録装置I内部が汚染されるのを抑制することができる。
さらに、壁部310の対向面313と記録ヘッド2の第1側面部241との間に空間を空けることで、キャリッジ3に対して記録ヘッド2を位置決めすることが可能となる。また、壁部310の対向面313と記録ヘッド2の第1側面部241との間の空間を接着剤やポッティング剤で埋めてしまうと、キャリッジ3に対する記録ヘッド2の着脱が困難になり、記録ヘッド2の交換やメンテナンスを容易に行うことができなくなってしまう。本実施形態では、壁部310の対向面313と記録ヘッド2の第1側面部241との間に空間を空けることで、キャリッジ3に対する記録ヘッド2の着脱を容易に行うことができるため、記録ヘッド2の交換やメンテナンスを容易に行うことができる。
このようなヘッドユニット1では、第3の方向Zにおいて、壁部310の対向面313に対向する記録ヘッド2の第1側面部241の高さh1は、対向面313の高さh2よりも高くなっている。なお、ここで言う第1側面部241の高さh1及び対向面313の高さh2とは、本実施形態では、固定板220の第2面234からの−Z方向におけるZ1側の端部の位置のことである。つまり、第1側面部241の高さh1が、対向面313の高さh2よりも高いとは、第1側面部241のZ1側の端部が、対向面313のZ1側の端部、すなわち、第2壁部312のZ1側の面よりもさらにZ1側に位置していることを言う。なお、本実施形態では、第1側面部241の高さh1と、対向面313の高さh2とを、固定板220の第2面234を基準とした−Z方向の高さとしたが、これら高さh1、h2の基準となる位置は第2面234に限定されるものではない。すなわち、第1側面部241のZ1側の端部が、対向面313のZ1側の端部よりも相対的にZ1側に位置していればよいため、高さh1、h2の基準となる位置は、第1側面部241及び対向面313の両者のZ1側の端部よりもZ2側の同一となる任意の位置であれば特に限定されない。
また、本実施形態では、固定板220の第2面234と、壁部310の第2壁部312のZ2側の表面とが第3の方向Zにおいて同じ位置としたが、特にこれに限定されず、例えば、固定板220の第2面234と、壁部310のZ2側の表面とが第3の方向Zで異なる位置に配置されていてもよい。このような場合であっても、第1側面部241の高さh1が、対向面313の高さh2よりも高くなっていればよい。つまり、第1側面部241のZ1側の端部が、対向面313のZ1側の端部よりも相対的にZ1側に位置していればよい。このように、−Z方向における第1側面部241の第2面234からの高さh1、すなわち、第3の方向Zの長さは、固定板220の第2面234と壁部310のZ2側の表面との第3の方向Zにおける相対位置と、壁部310の対向面313の第3の方向Zの幅、すなわち、壁部310の先端部における第3の方向Zの厚さとに基づいて、第1側面部241のZ1側の端部が、対向面313のZ1側の端部よりも相対的にZ1側に位置するように設計されている。
このような第1側面部241と、対向面313とは、上述のように間に空間を空けた状態で配置されている。このため、第1側面部241と対向面313との隙間には、媒体S等から発生した毛羽が付着して凝集してしまう。このように凝集した毛羽に、インクを噴射した際のミストや、ノズル面をワイピングした際のインクが付着して滞留し、滞留したインクが予期せぬタイミングで媒体S上に落下して、媒体Sを汚してしまう虞がある。このため、図12に示すように、所定のタイミングで第1側面部241と対向面313との間に綿棒や布などの繊維部材400を挿入して、繊維部材400を第1側面部241の表面に沿って第1の方向Xに移動させることで、この隙間に付着した毛羽や毛羽に付着したインクを除去するクリーニングが行われる。この繊維部材400による隙間のクリーニングを行う際に、本実施形態では、第1側面部241の高さh1が、対向面313の高さh2よりも高いため、繊維部材400が第1側面部241のZ2側の端部に引っかかるのを抑制することができる。これにより、固定板220が変形することや、固定板220が記録ヘッド2から剥離するのを抑制することができる。
これに対して、例えば、図13に示すように、固定板220の第1側面部241の高さh1が、対向面313の高さh2よりも低い場合、第1側面部241と対向面313との隙間に繊維部材400を挿入した後、図14に示すように、繊維部材400を引き抜く際に、第1側面部241のZ1側の端部に繊維部材400が引っかかり、固定板220の変形及び剥離が発生してしまう。そして、固定板220に変形や剥離が発生すると、固定板220に固定されたノズルプレート20の向きも変わり、インクの着弾位置ずれや、媒体Sへの引っかかりなどの不具合が発生するため、記録ヘッド2を交換する必要がある。本実施形態では、第1側面部241の高さh1を、対向面313の高さh2よりも高くすることで、清掃時に繊維部材400が第1側面部241のZ2側の端部に引っかかるのを抑制して、固定板220の変形や剥離を抑制することができる。したがって、清掃時の固定板220の破壊による記録ヘッド2の交換を抑制して、コストを低減することができる。また、記録ヘッド2の交換により印刷が行えない期間が発生するのを抑制して、ダウンタイムを低減することができる。さらに、記録ヘッド2を交換すると、交換前の印刷と色味が変わってしまうことがあり、同じ色味となる記録ヘッド2に交換するのは困難であるが、記録ヘッド2の交換を抑制することで、印刷品質を一定に保つことができ、安定した印刷を行わせることができる。
ちなみに、繊維部材400は、第1側面部241と対向面313との隙間だけが繊維部材400によって清掃できればよいため、繊維部材400を第1側面部241と対向面313との隙間よりもさらにZ1側に挿入する必要はない。これは、第1側面部241と対向面313との隙間のさらにZ1側には、比較的広い空間が設けられているため、この空間内に毛羽が侵入しても、毛羽の凝集やインクの滞留が発生し難いからである。したがって、本実施形態のように第1側面部241の高さh1を、対向面313の高さh2よりも高くするだけで、清掃時に繊維部材400による固定板220の変形や剥離を抑制すると共に、隙間に凝集した毛羽やインクを確実に清掃することができる。
なお、本実施形態では、壁部310は、記録ヘッド2の第2の方向Yの両側のみに設けられており、記録ヘッド2の第1の方向Xの両側には設けられていない。このため、記録ヘッド2の第1の方向Xの両側の側面の一部は、第1の方向X側に露出されている。本実施形態では、記録ヘッド2の第2側面部242と、ヘッドケース80と、流路ホルダー210のZ2側の一部とが、第1の方向Xの側面に露出されている。
ここで、固定板220の第2側面部242の高さh3は、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh4よりも低い。なお、第2側面部242の高さh3と、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh4とは、上述した高さh1、h2と同様に、本実施形態では、固定板220の第2面234からの−Z方向におけるZ1側の端部の位置のことである。つまり、第2側面部242の高さh3が、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh4よりも低いとは、第2側面部242のZ1側の端部が、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面よりもZ1側に位置していることを言う。また、高さh4を規定する流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面とは、流路ホルダー210のZ1側の面とヘッド本体200のヘッドケース80のZ2側の面とが互いに固定された面のことである。ちなみに、本実施形態では、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面には互いを固定する接着剤214が設けられている。このため、本実施形態では、第2側面部242の高さh3を規定するための高さh4を規定する流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面とは、本実施形態では、ヘッド本体200のヘッドケース80のZ1側の面となっている。また、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面が、第3の方向Zに異なる位置に跨がって設けられている場合には、高さh4を規定する固定面とは、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面のうち、第2側面部242のある第1の方向Xの側面側の部分のことを言う。つまり、固定面は、第1の方向Xの側面以外の部分において、第3の方向Zに異なる位置、つまりh4よりも高い位置や低い位置に設けられていてもよい。
このように、固定板220の第2側面部242の高さh3を、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh4よりも低くすることで、第2側面部242がヘッド本体200の第1の方向Xの側面を全て覆うことなく、ヘッド本体200の側面を第1の方向Xに露出させることができる。したがって、固定板220に複数のヘッド本体200を相対的に位置決めして固定する際に、ヘッド本体200を第1の方向Xの両側面から把持して位置決めすることが容易となる。ここで、記録ヘッドの製造方法、特に固定板とヘッド本体との位置決め固定方法について図15を参照して説明する。なお、図15は、記録ヘッドの製造方法を示す平面図である。図15に示すように、固定板220に対して、ヘッド本体200の第1の方向Xの両側面を治具等で保持した状態で移動させて、複数のヘッド本体200の第1の方向X及び第2の方向Yの相対位置を位置決めして、固定板220の第1面233とヘッド本体200の液体噴射面22とを接合する。本実施形態では、第2側面部242の高さh3が、ヘッド本体200のZ1側の面である固定面の高さh4よりも低いため、ヘッド本体200の第1の方向Xの両側面を保持する治具が第2側面部242に干渉することなく、ヘッド本体200の高精度な位置決めを行うことができる。ちなみに、ヘッド本体200の第2の方向Yの側面を治具によって保持する場合、第2の方向Yに隣り合うヘッド本体200の間に治具を挿入するための間隔が必要になり、記録ヘッド2が第2の方向Yに大型化してしまう。また、隣り合うヘッド本体200のノズル列の間隔が広がることで、一方のヘッド本体200から噴射されたインク滴の着弾から他方のヘッド本体200から噴射されたインク滴の着弾までの時間が長くなり、印刷品質が低下してしまう虞がある。本実施形態では、治具によってヘッド本体200の第1の方向Xの両側面を保持することで、第2の方向Yで隣り合うヘッド本体200の第2の方向Yの間隔を狭くして、小型化を図ることができると共に印刷品質を向上することができる。さらに、治具がヘッド本体200の第1の方向Xの両側面を保持することで、ヘッド本体200の第2の方向Yの両側に設けられた第1側面部241の高さh1を、ヘッド本体200のZ1側の固定面の高さh4よりも高くして、第1側面部241によってヘッド本体200の第2の方向Yの両側面が覆われてもよい。
さらに、図16及び図17に示すように、流路ホルダー210の第1の方向Xの両側面には、キャップ9aを位置決めするためのガイド部215が第1の方向Xの外側に突出して設けられている。なお、図16は、ヘッドユニット及びキャップの斜視図であり、図17は、ヘッドユニット及びキャップの平面図である。
キャップ9aは、図16及び図17に示すように、ヘッド本体200の2列のノズル列21Aを覆う大きさを有する。このようにキャップ9aをヘッド本体200の2列のノズル列21Aを覆う大きさで設けることで、キャップ9aによって吸引する無駄なインクの消費を抑制することができる。すなわち、キャップ9aは、大きければそれだけ吸引するインクの量も多く必要となり、無駄なインクの消費が増大してしまう。このため、キャップ9aをできるだけ小さくして、1つのヘッド本体200の2列のノズル列21Aに対して位置決めしてノズル面に当接させる必要がある。
このようなキャップ9aは、第1の方向Xの両側に第3の方向ZにおいてZ1側に突出する位置決め部9cが設けられている。位置決め部9cは、第3の方向Zに沿って第1の方向Xの内側に開口する位置決め溝9dが設けられている。
また、流路ホルダー210の第1の方向Xの両側面には、キャップ9aの位置決め溝9dが嵌合するガイド部215が第1の方向Xの外側に突出して設けられている。すなわち、ガイド部215は、固定板220よりも第1の方向Xの外側に突出して設けられている。このようなガイド部215は、本実施形態では、ヘッド本体200毎に、第1の方向Xの両側にそれぞれ1つずつ対をなすように設けられている。そして、キャップ9aは、第1の方向Xの両側に設けられた位置決め部9cを流路ホルダー210の第1の方向Xの側面に当接させることで、第1の方向Xの位置決めが行われる。また、キャップ9aは、位置決め部9cの位置決め溝9dを流路ホルダー210のガイド部215に嵌合させることで、第2の方向Yにおいてガイド部215の外側面と位置決め溝9dの内側面とが当接し、第2の方向Yの移動が規制されて第2の方向Yに位置決めされる。そして、このようにキャップ9aは、流路ホルダー210に対して第1の方向X及び第2の方向Yの位置決めされた状態でガイドされてヘッドユニット1のノズル面に当接する。このように、キャップ9aを流路ホルダー210のガイド部215によって位置決めすることで、キャップ9aは、各ヘッド本体200の2列のノズル列21Aを確実に覆うことが可能となる。また、キャップ9aを流路ホルダー210のガイド部215によって位置決めすることで、ヘッド本体200にガイド部を設け、キャップ9aをヘッド本体200に設けられたガイド部に当接させて位置決めするのに比べて、ヘッド本体200の第1の方向X及び第2の方向Yの位置ずれや破壊を抑制することができる。すなわち、キャップ9aをヘッド本体200の第1の方向Xの側面に当接させて位置決めすると、この位置決めする際の衝撃や圧力によってヘッド本体200の第1の方向X及び第2の方向Yの位置ずれや、ヘッド本体200が流路ホルダー210から剥離するなどの破壊が発生する虞がある。本実施形態では、キャップ9aを流路ホルダー210のガイド部215に位置決めすることで、キャップ9aを位置決めする際の衝撃や圧力がヘッド本体200に直接加わるのを抑制して、ヘッド本体200の位置ずれや破壊を抑制することができる。ちなみに、流路ホルダー210のガイド部215は、できるだけノズル面に近い位置に設けるのが好ましい。これにより、ガイド部215を介してキャップ9aをノズル列21Aに対して高精度に位置決めすることができる。本実施形態では、第2側面部242の高さh3を、ヘッド本体200の固定面、すなわち、ヘッド本体200のZ1側の面の高さh4よりも低くすることで、ガイド部215を流路ホルダー210のZ2側の面に達するまで設けることができる。したがって、ガイド部215を介してキャップ9aをノズル列21Aに対して高精度に位置決めすることができる。ちなみに、第1側面部241の高さh1と、第2側面部242の高さh3とは、第1側面部241の高さh1が、対向面313の高さh2よりも高く、第2側面部242の高さh3が固定面の高さh4よりも低い条件を満たしていれば、h1とh3とは同じ高さであっても、何れか一方が高い位置であってもよい。なお、本実施形態では、第1側面部241の高さh1を対向面313の高さh2よりも高くしたが、特にこれに限定されるものではない。ここで、第1側面部241の変形例を図18及び図19に示す。なお、図18及び図19は、ヘッドユニットの要部断面図である。
図18に示すように、第1側面部241の高さh1は、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh5よりも高くなっている。なお、ここで言う高さは、上述したように、固定板220の第2面234からの第3の方向ZにおけるZ1側の端部の高さのことである。また、第1側面部241の高さh1を規定するための高さh5を規定する流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面とは、流路ホルダー210のヘッド本体200が固定されるZ2側の面のことである。ちなみに、流路ホルダー210とヘッド本体200とを接着剤214を用いないで固定した場合や、接着剤214が極薄く形成されている場合には、上述した図11に示す高さh3を規定するための流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh4と、図18に示す高さh1を規定するための流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh5とを、略同じ高さとすることもできる。また、図18に示す構成においても、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面が、第3の方向Zに異なる位置に跨がって設けられている場合には、高さh5を規定する固定面とは、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面のうち、第1側面部241のある第2の方向Yの側面側に露出された部分のことを言う。
このように第1側面部241の高さh1を、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh5よりも高くすることで、さらに繊維部材400が第1側面部241の端部に引っかかるのを抑制することができる。また、第1側面部241の高さh1を、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh5よりも高くすることで、流路ホルダー210とヘッド本体200とを固定する部分、すなわち、接着剤214を第1側面部241によって覆うことができる。このため、接着剤214にインク等が付着するのを抑制することができ、接着剤214の接合強度が低下するのを抑制することができる。また、第1側面部241によって、媒体S等がヘッド本体200の第2の方向Yの側面や、接着剤214に直接、接触するのを抑制して、ヘッド本体200の流路ホルダー210からの剥離を抑制することができる。ちなみに、第1側面部241の高さh1を、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh5よりも高くしても、上述のように、第2側面部242の高さh2を、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh4よりも低くすることで、固定板220とヘッド本体200との位置決めを高精度に行うことができると共に、キャップ9aをガイドするガイド部215を設けることができる。つまり、第2側面部242の高さh2を、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh4よりも低くすることで、第1側面部241の高さh1の制限を無くすることができる。ただし、第1側面部241の高さh1が高すぎると、流路ホルダー210に干渉してしまうと共にコストが増大してしまうため、第1側面部241の高さh1は、h5よりも高い位置で、且つ、流路ホルダー210との干渉やコストを考慮してできるだけ低く設けるのが好ましい。
また、図19に示すように、第1側面部241の高さh1を、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh5よりも高くした場合には、第1側面部241と流路ホルダー210との間を接着剤222で接合してもよい。これにより、さらに第1側面部241の強度が向上されて、繊維部材400による第1側面部241の変形や剥離を抑制することができると共に、媒体Sの当接による変形や破壊を抑制することができる。なお、上述したように、固定板220の第1側面部241の高さh1が、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh5よりも低くした場合であったとしても、固定板220の第1側面部241とヘッド本体200とを接着剤で接合するのが好ましい。これにより、第1側面部241の強度が向上されて、繊維部材400による変形や剥離をさらに抑制することができる。もちろん、図19に示す構成においても、第1側面部241とヘッド本体200とを接着剤によって接合すれば、さらに強度を高めることができる。
(実施形態2)
図20は、本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの分解斜視図であり、図21は、記録ヘッドの組み立て斜視図であり、図22は、記録ヘッドの断面図である。また、図23は、ヘッドユニットの要部断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、本実施形態の記録ヘッド2は、流路ホルダー210と、複数のヘッド本体200と、固定板220と、を具備する。
流路ホルダー210のZ2側の面には、内部にヘッド本体200が収容可能なヘッド本体保持部216が設けられている。ヘッド本体保持部216は、流路ホルダー210のZ2側の面に開口する凹形状を有する。また、ヘッド本体保持部216は、本実施形態では、ヘッド本体200毎に独立して設けられている。もちろん、ヘッド本体保持部216は、複数のヘッド本体200に亘って設けるようにしてもよい。ただし、ヘッド本体保持部216は、ヘッド本体200毎に独立して設けた方が、流路ホルダー210の剛性を高めることができると共に、流路ホルダー210と固定板220との接合面積を広げて、固定板220及びノズルプレート20の平面度を向上することができる。
そして、流路ホルダー210のヘッド本体保持部216内にヘッド本体200が収容されている。ここで、本実施形態のヘッド本体200は、ノズル列21Aの列設方向である第2の方向Yに5個並設された列が、第1の方向Xに2列設けられている。すなわち、1つの記録ヘッド2には、合計20列のノズル列21Aが第2の方向Yに並設されている。そして、同じインクを噴射する2つのヘッド本体200を互いに第1の方向Xにずらして配置することで、2つのヘッド本体200によって同じインクを噴射するノズル列21Aを第1の方向Xに長尺化することができる。
また、流路ホルダー210のヘッド本体保持部216が開口するZ2側の面には、固定板220が固定されている。固定板220は、上述した実施形態1と同様に、底面部230と、第1側面部241及び第2側面部242を有する側面部240と、を具備する。
そして、図23に示すように、記録ヘッド2は、枠部材であるキャリッジ3に搭載されてヘッドユニット1を構成する。ここで、固定板220の第1側面部241の高さh1は、上述した実施形態1と同様に、対向面313の高さh2よりも高い。ただし、第1側面部241の高さh1は、図18に示すように、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh5よりも高くする必要はない。すなわち、本実施形態では、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面は、ヘッド本体保持部216内に配置されているため、ヘッド本体200の第2の方向Yの側面や固定面の接着剤214は、流路ホルダー210によって保護されているからである。
また、特に図示していないが、第2側面部242の高さh3は、上述した実施形態1と同様に、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh4よりも低くなっている。これにより、上述した実施形態1と同様に、固定板220に対して複数のヘッド本体200を位置決めすることができると共に、記録ヘッド2の小型化及び印刷品質の向上を図ることができる。また、第2側面部242の高さh3を、流路ホルダー210とヘッド本体200との固定面の高さh4よりも低くすることで、流路ホルダー210の第1の方向Xの側面にガイド部215をできるだけノズル面に近い位置に設けることができ、キャップ9aのノズル面に対する位置決めを高精度に行うことができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1及び2では、複数の記録ヘッド2に対して共通する1つの固定板220を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、記録ヘッド2毎又は複数の記録ヘッド2で構成される記録ヘッド群毎に固定板220を設けるようにしてもよい。このような構成を図24及び図25に示す。なお、図24及び図25は、本発明の他の実施形態に係る固定板の変形例を示すヘッドユニットの要部断面図である。
図24に示すように、固定板220は、記録ヘッド2毎に独立して設けられている。このような固定板220は、底面部230と、第1側面部241及び第2側面部242を有する側面部240と、を具備する。そして、第2の方向Yにおいて、壁部310側に設けられた記録ヘッド2の固定板220の2つの第1側面部241は、対向面313に相対向する第1側面部241Aと、対向面313に相対向しない第1側面部241Bとなっている。また、この記録ヘッド2の壁部310とは反対側に設けられた記録ヘッド2の固定板220の2つの第1側面部241は、両方ともに対向面313に相対向しない第1側面部241Bとなっている。
このような構成では、対向面313に対向する第1側面部241Aの高さh1が、対向面313の高さh2よりも高い位置に設けられていればよい。すなわち、対向面313に対向しない第1側面部241Bの高さh6は、対向面313の高さh2よりも低い位置であってもよい。ただし、図24に示すように、対向面313に対向しない第1側面部241B同士が第2の方向Yで相対向して設けられている場合には、互いに相対向する第1側面部241Bの高さh6を同じ高さとした方が、この隙間を繊維部材400で清掃する際に、第1側面部241Bの端部に繊維部材400が引っかかり難く、固定板220の変形や剥離を抑制することができる。また、第1側面部241Bの高さh6を第1側面部241Aの高さh1と同じ高さとすることで、流路ホルダー210に対して、固定板220の向きが規定されるのを抑制して、組み立て工程を簡略化することができる。
また、図25に示すように、記録ヘッド2毎に固定板220が設けられている場合であっても、2つの固定板220の間にキャリッジ3が存在する場合、すなわち、キャリッジ3の対向面313が、2つの第1側面部241に相対向して設けられている場合には、2つの第1側面部241が、図24の第1側面部241Aに相当することになる。したがって、2つの第1側面部241の高さh1を、それぞれ対向面313の高さh2よりも高くすればよい。ちなみに、2つの第1側面部241のそれぞれに対向する対向面313の高さh2が異なる場合には、第1側面部241の高さh1は、実際に相対向する対向面313の高さh2よりも高くすれば、上述した実施形態1及び2と同様に、繊維部材400による清掃時の固定板220の変形及び剥離を抑制することができる。
さらに、上述した実施形態1及び2では、記録ヘッド2のノズルプレート20と固定板220とを固定するようにしたが、特にこれに限定されず、記録ヘッド2のノズルプレート20以外の流路基板と固定板220とを固定するようにしてもよい。ここで、記録ヘッド2の流路基板とは、流路ホルダー210の流路であるインク連通路212とノズル21とを連通させるものであり、上述した実施形態1及び2では、流路形成基板10等が挙げられる。ちなみに、上述した実施形態1及び2では、流路形成基板10は、Z2側に露出された面を有さないため、流路形成基板10に直接、固定板220の第1面233を固定することはできない。例えば、流路形成基板10とノズルプレート20との間に、ノズルプレート20よりも広い面積を有する連通板であって、圧力発生室12とノズル21とを連通する連通路が設けられた連通板が設けられている場合には、連通板に固定板220を固定すればよい。また、連通板のノズルプレート20側の面に他の基板、例えば、コンプライアンス基板等が固定されている場合には、固定板220をコンプライアンス基板等の他の基板に固定してもよい。つまり、固定板220が固定される記録ヘッド2の流路基板とは、記録ヘッド2においてノズルプレート20と同じZ2側の面に露出された面を有する基板のことである。
さらに、上述した実施形態1及び2では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電アクチュエーター60を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、液体貯留手段であるインクカートリッジ2A、2Bがヘッドユニット1に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、液体貯留手段とヘッドユニット1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
また、上述したインクジェット式記録装置Iでは、1つのヘッドユニット1に対して、1つのヘッド本体200の2列のノズル列21Aを覆う1つのキャップ9aを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、キャップ9aをヘッド本体200と同じ数、すなわち、上述した例では、4個設けるようにしてもよい。また、1つのキャップ9aは、同時に2つ以上のヘッド本体200のノズル列21Aを覆う大きさで設けられていてもよい。
さらに、上述したインクジェット式記録装置Iでは、ヘッドユニット1を第2の方向Yに往復移動させるものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、ヘッドユニット1が装置本体4に固定されて、媒体Sを第1の方向Xに移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
なお、液体噴射ヘッドとしてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドを有するヘッドユニット及びインクジェット式記録装置を一例として説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッドを有する液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。