JP5287340B2 - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
液体噴射ヘッドの代表例であるインクジェット式記録ヘッドでは、一般的に、インクが充填された液体貯留手段であるインクカートリッジから、このインクカートリッジに着脱可能に挿入されるインク供給体となるインク供給針及びインクカートリッジが保持されるカートリッジケース等の供給部材に形成されたインク流路を介してヘッド本体にインクが供給され、ヘッド本体に設けられた圧電素子等の圧力発生手段を駆動させることによりヘッド本体に供給されたインクがノズルから吐出される。
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、インクカートリッジのインク内に存在する気泡、あるいはインクカートリッジを着脱する際にインク内に混入した気泡や異物がヘッド本体に供給されてしまうと、この気泡等によるドット抜け等の吐出不良が発生するという問題がある。このような問題を解決するために、インクカートリッジに挿入されるインク供給針と供給部材との間にインク内の気泡やゴミ等を除去するためのフィルターを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、このようなフィルターと供給部材とは、熱溶着等により固定され、インク供給針と供給部材とは超音波溶着等により固定されている。
特開2000−211130号公報
しかしながら、特許文献1のような構成では、供給部材のインク供給針が固定される領域にフィルターが設けられているため、フィルターの面積に応じた領域が必要であると共に、供給部材にインク供給針及びフィルターをそれぞれ個別に溶着するための領域が必要であるため、隣り合うインク供給針の間隔を短くすることができず、ヘッドが大型化してしまうという問題がある。
また、特許文献1のような構成で、ヘッドの小型化を図るためにフィルターの面積を小さくすると、動圧が上がるため、圧電素子や発熱素子等の圧力発生手段を駆動する駆動電圧を上げなくてはならないという問題がある。
また、インク供給針と供給部材とを熱溶着により固定すると、隙間が発生する虞があり、隙間からインクが漏出してしまうという問題がある。さらに、供給部材にフィルターとインク供給針とをそれぞれ個別に固定すると、製造コストが高コストになってしまうという問題がある。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、ヘッドを小型化することができると共に、液体の漏出を確実に防止してコストを低減することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体供給路を介して供給された液体を噴射するノズルを有するヘッド本体と、前記液体供給路が設けられた第1供給部材及び第2供給部材と、前記第1供給部材と前記第2供給部材との間に設けられたフィルターと、前記第1供給部材と前記第2供給部材とを一体成型接合する一体成型部材とを備え、前記フィルターの外縁部は、前記液体供給路よりも外側に突出し、前記一体成型部材は、前記フィルターの前記外縁部を覆っていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、フィルターの外縁部は、液体供給路から離隔した位置で一体成型部に覆われている。このため、フィルターの外縁部から生じた異物が液体供給路に進入することが防止され、液体の吐出不良が防止される。
ここで、前記フィルターの前記外縁部は、前記第1供給部材及び前記第2供給部材との前記フィルターを挟持する挟持領域よりも外側に突出していることが好ましい。これによれば、フィルターの外縁部はより確実に液体供給路から離隔されるため、より一層、フィルターの外縁部から生じた異物が液体供給路に進入することが防止される。
また、前記フィルターの前記外縁部は、前記第1供給部材と前記第2供給部材とで挟持されていることが好ましい。これによれば、第1供給部材及び第2供給部材のフィルターを挟持する挟持領域でフィルターの外縁部が挟持される。これにより、フィルターの外縁部は、挟持領域よりも外側に突出しないので、この突出しない分だけ、液体供給路同士の間隔を狭くすることができ、液体噴射ヘッドの小型化を図ることができる。
また、本発明の他の態様は、上記態様に記載する液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる態様では、フィルターの外縁部からの異物が液体供給路に進入することが防止され、液体の吐出不良を防止して信頼性が向上した液体噴射装置が提供される。
本発明の実施形態1に係る記録装置の概略斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る供給部材の上面図である。 本発明の実施形態1に係る供給部材の断面図である。 本発明の実施形態1に係るヘッド本体を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係るヘッド本体を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る供給部材の要部断面図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略斜視図である。本発明のインクジェット式記録装置10は、図1に示すように、インク滴を吐出する液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドとも言う)11がキャリッジ12に固定され、この記録ヘッド11には、ブラック(B)、ライトブラック(LB)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)等の複数の異なる色のインクが貯留された液体貯留手段であるインクカートリッジ13がそれぞれ着脱可能に固定されている。
記録ヘッド11が搭載されたキャリッジ12は、装置本体14に取り付けられたキャリッジ軸15に軸方向移動自在に設けられている。そして、駆動モーター16の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト17を介してキャリッジ12に伝達されることで、キャリッジ12はキャリッジ軸15に沿って移動される。一方、装置本体14にはキャリッジ軸15に沿ってプラテン18が設けられており、図示しない給紙装置等により給紙された紙等の被記録媒体Sがプラテン18上を搬送されるようになっている。
また、キャリッジ12のホームポジションに対応する位置、すなわち、キャリッジ軸15の一方の端部近傍には、記録ヘッド11のノズル形成面を封止するキャップ部材19を有するキャッピング装置20が設けられている。このキャップ部材19によってノズル開口が形成されたノズル形成面を封止することにより、インクの乾燥を防止している。また、このキャップ部材19は、クリーニング動作時のインク受けとしても機能する。
ここで、本実施形態に係る記録ヘッド11について説明する。なお、図2は、本実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
図2に示すように、記録ヘッド11は、液体貯留手段であるインクカートリッジ13が固定されるカートリッジケース等の供給部材30と、供給部材30のインクカートリッジ13とは反対側の面に固定されたヘッド本体220と、ヘッド本体220の液体噴射面側に設けられたカバーヘッド240とを具備する。
まず、供給部材30について詳細に説明する。なお、図3は、供給部材の上面図であり、図4は、図3のA−A′断面図である。
図3及び図4に示すように、供給部材30は、第1供給部材の一例である供給部材本体31と、供給部材本体31の一方面側に配置された第2供給部材の一例である供給針32と、供給部材本体31と供給針32とに挟持されたフィルター33と、これらの供給部材本体31、供給針32及びフィルター33を一体化する一体成型部34とを備えている。
供給部材30は、その一方面に上述したインクカートリッジ13がそれぞれ装着される供給体装着部35を有する。勿論、この供給体装着部35に直接インクカートリッジ13が装着される態様に限定されず、インクを貯留する液体貯留手段からチューブ等を介して供給体装着部35にインクが導かれる態様であってもよい。
供給部材本体31には、後述するフィルター33よりも下流側にあって、一端が供給部材本体31の供給針32が設けられる面(供給部材本体31の一方面)に開口し、他端がヘッド本体220側に開口して、インクカートリッジ13からのインクをヘッド本体220に供給するための液体供給路36が設けられている。なお、詳しくは後述するが、供給部材30には複数のヘッド本体220、本実施形態では5つのヘッド本体220が設けられており、液体供給路36は、一つのヘッド本体220につき2つ設けられ、この2つの液体供給路36には、一つのインクカートリッジ13からのインクがそれぞれ独立して導入されるようになっている。
また、供給部材本体31の供給針32が固定される一方面には、突出する壁部43が形成されている。壁部43の内側には、後述する製造工程で形成される一体成型部34が設けられている。
供給針32は、供給部材本体31の一方面に固定されるものであり、先端部46から底面側に向けて拡幅する裾部47を有している。供給針32は、先端部46に設けられたインク導入口51に連通する針側液体供給路40を有しており、針側液体供給路40は、フィルター33を介して供給部材本体31の液体供給路36に連通している。針側液体供給路40は、液体供給路36側に向けて内径が拡幅した空間、すなわち、幅広部であるフィルター室41が設けられている。フィルター室41のフィルター33側の開口を介してインクカートリッジ13から供給されたインクが液体供給路36に供給されるようになっている。
また、供給部材本体31及び供給針32は、フィルター33を挟持する領域である挟持領域39を有している。本実施形態では、挟持領域39は、供給部材本体31の一方面における液体供給路36の開口縁部であるフィルター挟持部37と、供給針32の供給部材本体31側の開口縁部である針側フィルター挟持部42とが互いに相対向する領域である。
フィルター33は、金属を細かく編み込むことで複数の微細孔が形成されたシート状のものであり、液体供給路36を横断して供給部材本体31と供給針32との間に設けられている。具体的には、フィルター33は、その外縁部33aが挟持領域39よりも外側に突出し、フィルター33の液体供給路36及び針側液体供給路40に対向する領域(フィルター部33b)と外縁部33aとの間の被挟持領域33cが挟持領域39に挟持されている。なお、フィルター33の外縁部33aとは、フィルター33の外端面を含む外縁近傍の領域をいう。
このようにフィルター33が供給部材本体31と供給針32との間に設けられることで、針側液体供給路40から液体供給路36に流入しようとする気泡や異物等がフィルター部33bで捕捉される。
一体成型部34は、フィルター33を挟持した供給部材本体31と供給針32とを一体成型接合している。この一体成型接合とは、供給部材本体31と供給針32との両方に接触するように一体成型部34を成型することにより供給部材本体31と供給針32とを接合することをいう。
また、一体成型部34は、フィルター33の外縁部33a全体を覆っている。すなわち、一体成型部34は、挟持領域39よりも外側に突出した外縁部33aの両面及び外端面を覆っている。なお、一体成型部34がフィルター33の外縁部33aを覆うとは、一体成型部34がフィルター33の微細孔内にまで延設されている状態を含む。
このように一体成型部34が供給部材本体31と供給針32とを一体成型接合すると共に、フィルター33の外縁部33aを覆うことで、供給部材本体31と供給針32とフィルター33とが一体化され、挟持領域39からインクが外部に流出することが防止されている。
また、フィルター33は、その外縁部33aが挟持領域39よりも外側、すなわち、液体供給路36よりも外側に設けられ、一体成型部34により覆われている。すなわち、外縁部33aは、液体供給路36から離隔した位置で一体成型部34に覆われている。このため、フィルター33の外縁部33aから解れた金属の細線が液体供給路36ないし針側液体供給路40に進入することが防止されている。
ここで、インクジェット式記録装置10では、クリーニング動作時には、通常の印刷動作時と比較して、インクは、より強い負圧で針側液体供給路40から液体供給路36側に吸引される。このため、外縁部33aが仮に液体供給路36内に配設されているとすると、当該外縁部33aから解れた金属の細線は、フィルター部33bに一度捕捉されても、フィルター部33bをすり抜けて液体供給路36に進入してしまうことがある。
しかしながら、上述したように、フィルター33の外縁部33aから解れた金属の細線は、液体供給路36に進入することはないので、本実施形態の記録ヘッド11では、クリーニング動作時においても液体供給路36への異物の混入が確実に防止される。
さらに、フィルター33の外縁部33aは、一体成型部34により覆われているので、外縁部33aから解れた金属の細線が、一体成型部34よりも外側に離散してしまうことが防止されている。これにより、当該細線が外側に離散して記録ヘッド11の各部材に付着して電気的な短絡を引き起こしたりすることが防止される。
以上のように、インクジェット式記録ヘッド11では、フィルター33の外縁部33aからの異物が液体供給路36に混入することが防止されるため、この異物によるインクの吐出不良が防止され、信頼性が向上したインクジェット式記録装置10が提供される。
また、供給部材本体にフィルターを熱溶着等で溶着し、さらに供給針を超音波溶着等で溶着する場合、供給部材本体に、フィルターを溶着するための領域を設け、さらに、該領域の外側に供給針を溶着するための領域が必要となるが、本発明に係る記録ヘッド11では一体成型部34により供給部材本体31と供給針32とを固定しているため、このような溶着のための領域は不要となる。これにより、隣り合う供給針32の間隔を短くすることができ、記録ヘッド11を小型化することができる。また、このような小型化が可能であることから、フィルターの面積を小さくしてヘッドの小型化を図ることが不要となる。フィルターの面積を過度に小さくすると、動圧が上がるため、圧電素子や発熱素子等の圧力発生手段を駆動する駆動電圧を上げなくてはならないが、本発明では、フィルターを縮小して記録ヘッドを小型化する必要がないので、動圧は上昇せず、駆動電圧を上げる必要がない。
また、供給針と供給部材本体とを溶着により固定すると、隙間が発生する虞があり、隙間からインクが漏出してしまうが、本発明では、供給部材本体31と供給針32とが一体成型部34により固定されているため、これらの間に隙間が生じることが防止され、隙間からインクが漏出することが防止される。また、仮に隙間ができたとしてもその隙間は一体成型部34で覆われるので、インクの漏出が防止される。
このような供給部材30の液体供給路36の他方側、すなわち、供給針32とは反対側にはヘッド本体220が設けられている。ここで、ヘッド本体220について説明する。なお、図5は、ヘッド本体の分解斜視図であり、図6は、ヘッド本体の断面図である。
図示するように、ヘッド本体220を構成する流路形成基板60は、本実施形態では、シリコン単結晶基板からなり、その一方面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。この流路形成基板60には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室62が、幅方向に並設された列が2列形成されている。また、各列の圧力発生室62の長手方向外側には、後述するリザーバー形成基板80に設けられるリザーバー部81と連通し、各圧力発生室62の共通のインク室となるリザーバー100を構成する連通部63が形成されている。また、連通部63は、インク供給路64を介して各圧力発生室62の長手方向一端部とそれぞれ連通されている。すなわち、本実施形態では、流路形成基板60に形成された液体流路として、圧力発生室62、連通部63及びインク供給路64が設けられている。
また、流路形成基板60の開口面側には、ノズル開口71が形成されたノズルプレート70が接着剤400を介して固着されている。具体的には、複数のヘッド本体220に対応するように複数のノズルプレート70が設けられており、当該ノズルプレート70は後で詳述するカバーヘッド240の露出開口部241よりも若干広い面積を有してカバーヘッド240と重畳する領域で接着剤等によって固定されている。なお、ノズルプレート70のノズル開口71は、各圧力発生室62のインク供給路64とは反対側で連通する位置に穿設されている。本実施形態では、流路形成基板60に圧力発生室62が並設された列を2列設けたため、1つのヘッド本体220にノズル開口71の並設されたノズル列71Aが2列設けられている。そして、本実施形態では、このノズルプレート70のノズル開口71が開口する面が液体噴射面となっている。このようなノズルプレート70としては、例えば、シリコン単結晶基板やステンレス鋼(SUS)等の金属基板などが挙げられる。
一方、流路形成基板60の開口面とは反対側には、弾性膜50上に、金属からなる下電極膜と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料からなる圧電体層と、金属からなる上電極膜とを順次積層することで形成された圧電素子300が形成されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板60上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成するリザーバー部81を有するリザーバー形成基板80が接合されている。このリザーバー部81は、本実施形態では、リザーバー形成基板80を厚さ方向に貫通して圧力発生室62の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板60の連通部63と連通されて各圧力発生室62の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。
また、リザーバー形成基板80の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部82が設けられている。
さらに、リザーバー形成基板80上には、各圧電素子300を駆動するための半導体集積回路(IC)等からなる駆動回路110が設けられている。この駆動回路110の各端子は、図示しないボンディングワイヤー等を介して各圧電素子300の個別電極から引き出された引き出し配線と接続されている。そして、駆動回路110の各端子には、フレキシブルプリント基板(FPC)等の外部配線111を介して外部と接続され、外部から外部配線111を介して印刷信号等の各種信号を受け取るようになっている。
また、このようなリザーバー形成基板80上には、コンプライアンス基板140が接合されている。コンプライアンス基板140のリザーバー100に対向する領域には、リザーバー100にインクを供給するためのインク導入口144が厚さ方向に貫通することで形成されている。また、コンプライアンス基板140のリザーバー100に対向する領域のインク導入口144以外の領域は、厚さ方向に薄く形成された可撓部143となっており、リザーバー100は、可撓部143により封止されている。この可撓部143により、リザーバー100内にコンプライアンスを与えている。
また、コンプライアンス基板140上には、ヘッドケース230が固定されている。
ヘッドケース230は、インク導入口144に連通すると共に供給部材30の液体供給路36に連通して、供給部材30からのインクをインク導入口144に供給するインク供給連通路231が設けられている。このヘッドケース230には、コンプライアンス基板140の可撓部143に対向する領域に溝部232が形成され、可撓部143の撓み変形が適宜行われるようになっている。また、ヘッドケース230には、リザーバー形成基板80上に設けられた駆動回路110に対向する領域に厚さ方向に貫通した駆動回路保持部233が設けられており、外部配線111は、駆動回路保持部233を挿通して駆動回路110と接続されている。
ヘッド本体220を構成する各部材には、組立時に各部材を位置決めするためのピンが挿入されるピン挿入孔234が角部の2箇所に設けられている。そして、ピン挿入孔234にピンを挿入して各部材の相対的な位置決めを行いながら部材同士を接合することで、ヘッド本体220が一体的に組み合わせられる。
また、ヘッドケース230を介して供給部材30に保持されたヘッド本体220は、図2に示すように、5つのヘッド本体220の液体噴射面側を覆うように箱形状を有するカバーヘッド240によって相対的に位置決めされて保持されている。カバーヘッド240は、ノズル開口71を露出する露出開口部241と、露出開口部241を画成すると共にヘッド本体220の液体噴射面の少なくともノズル列71Aの並設されたノズル開口71の両端部側に接合される接合部242とを具備する。
接合部242は、本実施形態では、複数のヘッド本体220に亘って液体噴射面の外周に沿って設けられた枠部243と、隣接するヘッド本体220の間に延設されて露出開口部241を分割する梁部244とで構成されており、枠部243及び梁部244がヘッド本体220の液体噴射面、すなわちノズルプレート70の表面に接合されている。
また、カバーヘッド240には、ヘッド本体220の液体噴射面の側面側に、液体噴射面の外周縁部に亘って屈曲するように延設された側壁部245が設けられている。
このようにカバーヘッド240は、接合部242をヘッド本体220の液体噴射面に接着するようにしたため、液体噴射面とカバーヘッド240との段差を減少させることができ、液体噴射面のワイピングや吸引動作などを行っても、液体噴射面にインクが残留するのを防止することができる。また、梁部244によって隣接するヘッド本体220の間が塞がれているため、隣接するヘッド本体220の間にインクが侵入することがなく、圧電素子300や駆動回路110などのインクによる劣化及び破壊を防止することができる。また、ヘッド本体220の液体噴射面とカバーヘッド240との間は、接着剤によって隙間なく接着されているため、隙間に被記録媒体Sが入り込むのを防止してカバーヘッド240の変形及び紙ジャムを防止することができる。さらに、側壁部245が、複数のヘッド本体220の外周縁部を覆うことで、ヘッド本体220の側面へのインクの回り込みを確実に防止することができる。また、カバーヘッド240に、ヘッド本体220の液体噴射面と接合される接合部242を設けるようにしたため、複数のヘッド本体220の各ノズル列71Aをカバーヘッド240に対して高精度に位置決めして接合することができる。
このようなカバーヘッド240としては、例えば、ステンレス鋼などの金属材料が挙げられ、金属板をプレス加工により形成してもよく、成形により形成するようにしてもよい。また、カバーヘッド240を導電性の金属材料とすることで、接地することができる。なお、カバーヘッド240とノズルプレート70との接合は、特に限定されず、例えば、熱硬化性のエポキシ系接着剤や、紫外線硬化型の接着剤による接着などが挙げられる。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッド11は、インクカートリッジ13からのインクを液体供給路36から取り込み、インク供給連通路231及びインク導入口144を介して、リザーバー100からノズル開口71に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路110からの記録信号に従い、各圧力発生室62に対応するそれぞれの圧電素子300に電圧を印加し、弾性膜50及び圧電素子300をたわみ変形させることにより、各圧力発生室62内の圧力が高まりノズル開口71からインク滴が吐出する。
なお、上述したインクジェット式記録ヘッド11、特に供給部材30は、例えば次のように製造する。
まず、液体供給路36を横断するように、フィルター33を供給部材本体31のフィルター挟持部37に配置する。このとき、外縁部33aがフィルター挟持部37の外側になるようにフィルター33を配置する。
次に、フィルター33が固定された供給部材本体31と供給針32とでフィルター33を挟持する。具体的には、供給針32をフィルター33上に配置し、フィルター挟持部37と針側フィルター挟持部42とでフィルター33を挟持する。
次に、フィルター33を挟持した供給部材本体31及び供給針32を金型で保持すると共に、該金型と供給部材本体31の表面と壁部43の内面とで空間を形成し、該空間に樹脂を注入して一体成型部34を形成する(図4参照)。
以降、この供給部材30に、ヘッドケース230を介してヘッド本体220を設け、このヘッド本体220を覆うようにカバーヘッド240を取り付けることで記録ヘッド11が形成される(図2参照)。
〈実施形態2〉
実施形態1では、フィルター33の外縁部33aは、挟持領域39より外側に突出していたが、これに限定されない。
図7は、実施形態2に係る供給部材30の要部断面図である。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図7(a)に示すように、本実施形態に係るフィルター33Aは、外縁部33aが挟持領域39に挟持されている。すなわち、外縁部33aは挟持領域39よりも外側には突出しておらず、フィルター挟持部37の外縁まで延設されている。また、一体成型部34は、供給部材本体31と供給針32とを一体成型接合し、外縁部33aの外端面を覆っている。なお、一体成型部34は、フィルター33の外縁部33aの微細孔内に延設されていてもよい。
このように、フィルター33Aは、その外縁部33aが挟持領域39に挟持されている。すなわち、外縁部33aは、液体供給路36よりも外側に設けられ、外縁部33aの外端面が一体成型部34により覆われている。これによりフィルター33Aの外縁部33aから解れた金属の細線が液体供給路36ないし針側液体供給路40に進入することが防止され、さらに一体成型部34の外側に離散してしまうことが防止される。
また、フィルター33Aは、挟持領域39の外側に突出していないため、このフィルター33Aの外縁部33aが突出しない分だけ、隣り合う液体供給路36同士や供給針32同士の間隔を狭くすることができる。これにより、各液体供給路36や供給針32の間隔を狭めて記録ヘッド11の小型化を図ることができる。
また、図7(b)に示すように、フィルター33Bの外縁部33aは、液体供給路36よりも外側であって、かつフィルター挟持部37の外縁より内側に配設され、一体成型部34は、供給部材本体31と供給針32との間に介在し、かつ外縁部33aの外端面まで延設されてもよい。この場合においても、フィルター33Bは、その外縁部33aで挟持領域39に挟持され、一体成型部34に覆われているので、外縁部33aから解れた金属の細線が液体供給路36ないし針側液体供給路40に進入することが防止され、さらに一体成型部34の外側に離散してしまうことが防止される。
〈他の実施形態〉
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
実施形態1及び実施形態2では、フィルター33は、金属を編み込んだシート状のものであったが、これに限らない。例えば、金属板を打ち抜いて形成したものをフィルターとしてもよい。この打ち抜きにより形成したフィルターでは、外縁部にバリが生じうる。しかしながら、上述したように、フィルターの外縁部は、液体供給路36より外側に設けられて一体成型部34に覆われるので、このようなバリが液体供給路36に進入することが防止される。
また、フィルター33は、微細孔を有する樹脂からなるシート状のものであってもよいし、不織布であってもよい。この場合であっても、外縁部から解れた樹脂の一部や不織布の一部が液体供給路36に進入することが防止される。
実施形態1及び実施形態2では、第1供給部材を供給部材本体31とし、第2供給部材を供給針32としたが逆としてもよい。さらに、ヘッド本体220に接続する供給部材本体31全体を第1供給部材としたが、供給部材本体31をフィルター33側とヘッド本体220側とで分割し、フィルター33側の部材を第1供給部材として供給針32と一体化してもよい。なお、この場合には、一体化した部材にヘッド本体220側の供給部材本体を組み付けて供給部材30を構成することになる。また、供給部材本体31は、供給針32以外に弁機構を持つものであってもよい。
また、実施形態1及び実施形態2では、液体貯留手段であるインクカートリッジ13を供給部材30に着脱自在となるように設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、液体貯留手段として、インクタンク等を記録ヘッド11とは異なる位置に設け、液体貯留手段と記録ヘッド11とをチューブなどの供給管を介して接続するようにしてもよい。すなわち、上述した実施形態1及び実施形態2では、第2供給部材として針状の供給針32を例示したが、第2供給部材は、針状のものに限定されるものではない。
また、実施形態1及び実施形態2では、2つの液体供給路36に対して1つのヘッド本体220が設けられた構成を例示したが、インクの色毎に複数のヘッド本体220を設けるようにしてもよい。このような場合には、各液体供給路36が、各ヘッド本体220に連通する。すなわち、各液体供給路36が、各ヘッド本体220に設けられたノズル開口が並設されたノズル列毎に連通するように設けられていてもよい。もちろん、液体供給路36は、ノズル列毎に連通しなくてもよく、1つの液体供給路36が複数のノズル列に連通していてもよく、また、1列のノズル列を2つに分け、それぞれに液体供給路36が連通していてもよい。すなわち、液体供給路36は、複数のノズル開口からなるノズル開口群に連通していればよい。
さらに、上述の実施形態では、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッド11を例示して本発明を説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
10 インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 11 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 30 供給部材、 31 供給部材本体、 32 供給針、 33、33A、33B フィルター、 33a 外縁部、 34 一体成型部、 36 液体供給路、 39 挟持領域、 40 針側液体供給路

Claims (4)

  1. インク供給路を介して供給されたインクを噴射するノズルを有するヘッド本体と、
    前記インク供給路が設けられた第1供給部材及び複数の第2供給部材と、
    前記第1供給部材と前記第2供給部材との間の各々に設けられた複数のフィルターと、
    前記第1供給部材と複数の前記第2供給部材とを一体成型接合する一体成型部材とを備え、
    前記フィルターの外縁部は、前記インク供給路よりも外側に突出し、
    1つの前記一体成型部材は、複数の前記フィルターの前記外縁部を覆っている
    ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 請求項1に記載するインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記フィルターの前記外縁部は、前記第1供給部材及び前記第2供給部材との前記フィルターを挟持する挟持領域よりも外側に突出している
    ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 請求項1に記載するインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記フィルターの前記外縁部は、前記第1供給部材と前記第2供給部材とで挟持されている
    ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載するインクジェット式記録ヘッドを具備する
    ことを特徴とするインクジェット式記録装置。
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