JP6560261B2 - 数種の血液腫瘍、特に慢性リンパ性白血病(cll)に対する新規免疫療法 - Google Patents

数種の血液腫瘍、特に慢性リンパ性白血病(cll)に対する新規免疫療法 Download PDF

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Description

本発明は、免疫療法で使用するためのペプチド、核酸、および細胞に関する。特に、本発明は、がんの免疫療法に関する。本発明は、単独で、またはその他の腫瘍関連ペプチドとの組み合わせで、抗腫瘍免疫応答を刺激するワクチン組成物の活性医薬品成分の役割を果たす、腫瘍関連細胞傷害性T細胞(CTL)ペプチドエピトープにさらに関する。本発明は、抗腫瘍免疫応答を引き起こすためのワクチン組成物で使用され得る、ヒト腫瘍細胞のHLAクラスIおよびHLAクラスII分子に由来する、いくつかの新規ペプチド配列と、それらの変異型とに関する。
慢性リンパ性白血病(CLL)としてもまた知られている、B細胞慢性リンパ球性白血病(B−CLL)は、最も一般的な白血病型である。
白血病は、白血球細胞(白血球)のがんである。CLLは、B細胞リンパ球に影響を及ぼす。B細胞は、骨髄で発生してリンパ節で発達し、常態では抗体を生産することで感染症と戦う。CLLにおいては、B細胞が制御不能に増殖し、骨髄および血液中に蓄積して、健常血液細胞を押しのける。CLLは、主にリンパ節内に存在するB細胞リンパ腫の一種である、小リンパ球性リンパ腫(SLL)の一段階である。CLLおよびSLLは、外観が異なるだけの同一基礎疾患と見なされる。
CLLは成人疾患であるが、稀には、それは十代の若者、時に小児(遺伝性)にも起こり得る。CLLと新規診断される大部分の(>75%)人々は50才以上であり、大多数は男性で、年齢中央値は診断時点で70才である。あまり一般的ではないが、CLLは、30〜39才の人々を冒すこともある。CLLの発生率は、年齢の増大と共に非常に迅速に増大する。
米国では、2012年中に約16,060例の新規症例が診断されると予測され、4,580人の患者がCLLにより死亡すると予測される。
CLLは、日本や中国などのアジアの国々では非常に稀であり、これらの地域における全ての白血病に占める割合は低く、10パーセント程度かもしれない。
上記を鑑みて、重篤な副作用をもたらすこともある過剰な化学療法剤またはその他の薬剤を使用しないことで、患者の福利を改善する、がんのための、特に慢性リンパ性白血病(CLL)および異なる表現型のその他の血液がんのための新しい効果的かつ安全な治療の選択肢に対する必要性がなおもある。
本発明は、非侵襲様式で患者の免疫系を刺激して抗腫瘍剤として作用する、ペプチドを用いる。
本発明の第1の態様では、本発明は、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016、または配列番号1〜配列番号225または配列番号543〜配列番号1016と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%相同的な(好ましくは少なくとも80%または少なくとも90%同一の)それらの変異配列の群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドに関し、その中で前記変異体は、前記ペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩と交差反応するT細胞を誘導し、その中で前記ペプチドは、基礎となる完全長ポリペプチドでない。
本発明は、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016、または配列番号1〜配列番号225または配列番号543〜配列番号1016と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%相同的な(好ましくは少なくとも80%または少なくとも90%同一の)それらの変異体の群から選択される配列を含んでなる、本発明のペプチドにさらに関し、前記ペプチドまたはそれらの変異体は、配列番号1〜配列番号225では、8〜100、好ましくは8〜30、最も好ましくは8〜14アミノ酸、配列番号(SEQ ID NO:SEQ ID NO:)543〜配列番号1016では、12〜100、好ましくは12〜30、最も好ましくは12〜18アミノ酸の全長を有する。
続く表は、本発明によるペプチド、それらの各配列番号、およびそれらのペプチドの予期される原料(基礎)タンパク質を示す。表1aおよび1bの全てのペプチドは、HLA A HLA BまたはHLA C対立遺伝子に結合し、表2のペプチドはHLA−DR対立遺伝子(MHCクラスII)に結合する。表3のペプチドは、それぞれの基礎となるポリペプチドの過剰発現または過剰提示(presentaion)を伴う、CLL、急性骨髄性白血病(AML)、およびその他の血液悪性腫瘍の診断および/または治療においてさらに有用である。
したがって、本発明は、特に、配列番号543〜配列番号1016に記載の配列を含んでなる本発明のペプチド、または配列番号543〜配列番号1016と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%相同的な(好ましくは少なくとも80%または少なくとも90%同一の)それらの変異型に関し、前記ペプチドまたはそれらの変異型は、12〜100、好ましくは12〜30、最も好ましくは12〜18アミノ酸の全長を有する。本発明は、特に、配列番号543〜配列番号1016に記載の配列からなる、本発明のペプチドに関する。
表1a:本発明による好ましい49個のHLAクラスIリガンドーム由来腫瘍関連抗原(LiTAA)は、CLL患者リガンドーム(n=30)の≧20%で表示されることが認められ、225個の表示HLAリガンド(LiTAP)は、それぞれのHLA拘束性によりアノテートされた。
表1b:本発明によるCLL−MHCクラスIの追加的なペプチド
表1c:本発明によるCLL−MHCクラスIIの追加的なペプチド
表2:本発明によるペプチドはCLLおよび/またはAMLの(併用)治療に適する
したがって、特に好ましいのは、本発明によって、配列番号710、878、879、533、476、892、111、178、181、184、882、363、42、163、137、713、532、734、736、737、738、534、535、914、739、477、164、364、531、536、186、179、159、365、895、44、および180からなる群から選択される、少なくとも1つのペプチドと、本明細書に記載されるようなAMLおよび/またはCMLの治療におけるその使用である。
本発明は、以下の表3に示されるようなCLLAMLの治療で使用される、本発明によるペプチドにさらに関し、本発明によるペプチドの多くはまた、その他のがん性および増殖性適応症で使用され得る。
表3:本発明によるペプチド、およびその他の増殖性疾患における、任意選択的にその他の臓器におけるそれらの特定用途。
したがって、本発明の別の態様は、好ましくは、以下の群から選択される増殖性疾患の併用治療のための、本発明によるペプチドの使用に関する:副腎皮質腺腫;非骨化性線維腫;脳腫瘍;および腎臓オンコサイトーマ、腎臓ウィルムス腫瘍、リンパ節悪性メラノーマ、および大網平滑筋肉腫から選択される増殖性疾患;神経膠芽腫;および乏突起膠腫、腎血管筋脂肪腫、肝臓肝腺腫、肝臓肝細胞がん、肺小細胞がん、耳下腺多形性腺腫、胸膜悪性中皮腫、シュワン細胞腫、消化管間質腫瘍(GIST)、および甲状腺乳頭がんから選択される増殖性疾患;乳がん;軟骨肉腫;結腸または直腸がん;および骨の骨巨細胞腫瘍、骨、非骨化性線維腫、乳房粘液がん、結腸腺がん、結腸腺腫、類内膜型子宮内膜腺がん、食道腺がん、腎血管筋脂肪腫、腎臓腎細胞がん、脂肪肉腫、肝臓肝細胞がん、卵巣顆粒膜細胞腫瘍、膵臓嚢胞腺腫、胸膜悪性中皮腫、前立腺良性結節性過形成、脾臓非ホジキンリンパ腫、胃粘液腺がん、胸腺腫、悪性、甲状腺結節性過形成、膀胱、移行上皮がん、および外陰部扁平上皮がんから選択される増殖性疾患;結腸腺腫;食道腺がん;腸管悪性カルチノイド腫瘍;筋肉内脂肪腫;腎臓腎明細胞がん;および副腎、副腎皮質がん、類内膜型子宮内膜腺がん、類内膜型子宮内膜腺がん、腎血管筋脂肪腫、平滑筋肉腫、脂肪腫肝臓肝細胞がん、リンパ節ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、膵臓腺がん、耳下腺多形性腺腫、前立腺がん、直腸腺がん、脾臓慢性骨髄性白血病、脾臓非ホジキンリンパ腫、および甲状腺濾胞性腺腫から選択される増殖性疾患;腎臓オンコサイトーマ;腎臓多発性嚢胞腎;腎臓腎細胞がん、脂肪腫;肝臓肝細胞がん;および副腎皮質腺腫、乳がん、肝限局性結節性過形成、がん直腸腺がん、がん甲状腺、結節性過形成、がん甲状腺、乳頭がん、結腸非ホジキンリンパ腫、子宮内膜過形成、肝腺腫、腎がん、腎臓オンコサイトーマ、脂肪腫、脂肪肉腫、肝限局性結節性過形成、肝臓肝腺腫、胸膜悪性中皮腫、神経芽細胞腫、膵臓腺がん、膵臓嚢胞腺腫、耳下腺多形性腺腫、胸膜悪性中皮腫、滑膜肉腫、甲状腺結節性過形成、および子宮頸部扁平上皮がんから選択される増殖性疾患;肺、非小細胞肺がん;および乳がん、軟骨肉腫、腎臓オンコサイトーマ、肝臓肝細胞がん、肺腺がん、リンパ節ホジキン病、リンパ節非ホジキンリンパ腫、甲状腺のリンパ節乳頭がん、大網腺がん、卵巣ミュラー管混合腫瘍、膵臓腺がん、精巣混合胚芽細胞腫瘍、良性胸線胸腺腫、および甲状腺、結節性過形成から選択される増殖性疾患;リンパ節ホジキン病;甲状腺のリンパ節乳頭がん;甲状腺転移性のリンパ節乳頭がん;子宮筋層平滑筋腫;非ホジキンリンパ腫;末梢T細胞型または小リンパ球型非ホジキンリンパ腫;膵臓腺がん;および骨の骨巨細胞腫瘍、結腸腺がん、線維腫症、筋肉内脂肪腫、腎血管筋脂肪腫、腎臓腎細胞がん、肝臓肝腺腫、肺腺がん、子宮筋層平滑筋腫、非ホジキンリンパ腫小リンパ球型、膵臓腺がん、前立腺良性結節性過形成、直腸腺がん、脾臓慢性骨髄性白血病、および胸線、胸腺腫、悪性から選択される増殖性疾患;直腸腺がん;脾臓慢性骨髄性白血病;脾臓髄外造血;胃腺がん;および副腎皮質腺腫、骨の骨巨細胞腫瘍、骨非骨化性線維腫、乳がん、結腸腺がん、結腸非ホジキンリンパ腫、子宮内膜腺がん類内膜、腎血管筋脂肪腫、腎がん、腎臓オンコサイトーマ、肝臓、限局性結節性過形成、肝臓肝細胞がん、リンパ節ホジキン病、甲状腺のリンパ節乳頭がん、甲状腺起源の髄様がん、胃の転移性腺がん、神経線維腫、卵巣莢膜腫−線維腫、膵臓腺がん、膵臓嚢胞腺腫、副甲状腺腫、直腸腺がん、皮膚扁平細胞がん、脾臓慢性骨髄性白血病、胃消化管間質腫瘍(GIST)、甲状腺結節性過形成、甲状腺乳頭がん、子宮頸部扁平細胞がん、および白血球細胞慢性リンパ球性白血病から選択される増殖性疾患;胃消化管間質腫瘍(GIST);転移性胃がん;および副腎皮質がん、甲状腺乳頭がん、皮膚、扁平細胞がん、乳がん、結腸腺がん、子宮内膜ミュラー管混合腫瘍、腎がん、平滑筋肉腫、肺神経内分泌がん(非小細胞細胞型)、リンパ節非ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣ミュラー管混合腫瘍、膵臓腺がん、直腸腺がん、皮膚基底細胞がん、胃消化管間質腫瘍(GIST)、および子宮頸部腺がんから選択される増殖性疾患;精巣セミノーマ;胸線良性胸腺腫;甲状腺濾胞性腺腫;および甲状腺結節性過形成。
本発明の別の好ましい態様は、以下の表4に従った疾患の好ましい免疫療法のための本発明によるペプチドの使用、好ましくは併用に関する。
表4:本発明による好ましいペプチドおよび治療される疾患
本発明の別のより好ましい態様は、以下の表5に従った疾患のより好ましい免疫療法のための本発明によるペプチドの使用、好ましくは併用に関する。
表5:本発明によるより好ましいペプチドおよび治療される疾患
最後に、本発明の最も好ましい態様は、以下の表6に従った疾患の最も好ましい免疫療法のための本発明によるペプチドの使用、好ましくは併用に関する。
表6:本発明による最も好ましいペプチドおよび治療される疾患
B4GALT1は、ドナー基質UDP−ガラクトースに対する排他的特異性を有するようである、II型膜結合糖タンパク質をコードする(RefSeq)。B4GALT1は、ヒト肺がんおよび卵巣がん細胞系などの高度に転移性の多様な細胞系で上方制御されることが示され、浸潤性表現型結腸直腸がんの有益な候補生物マーカーとされている(Poeta et al.,2012;Zhou et al.,2012)。
CPは、血漿中のほとんどの銅に結合する金属タンパク質をコードして、Fe(II)トランスフェリンのFe(III)トランスフェリンへの過酸化に関与する(RefSeq)。
CST3は、複数のシスタチン様配列を含有するタンパク質を包含する、シスタチンスーパーファミリーのメンバーをコードする(RefSeq)。
CTSHは、リソソーム内タンパク質の全体的な分解に重要である、リソソーム内システインプロテイナーゼをコードする(RefSeq)。CTSH発現は、乳がん、メラノーマ、神経膠腫、結腸直腸がん、および前立腺がんをはじめとする、病的状態において増大する。タリンのCTSH媒介プロセッシングは、インテグリン活性化および癒着強度に影響を及ぼすことで、がん細胞進行を促進すると考えられる(Jevnikar et al.,2013)。
DNAJC5はJタンパク質ファミリーのメンバーをコードする。Jタンパク質は、70kDa熱ショックタンパク質のATPアーゼ活性を調節することで、多くの細胞過程で機能する(RefSeq)。
FAIM3は、IgMのFc受容体をコードするTOSOとしてもまた知られている(RefSeq)。FAIM3は、慢性リンパ球性白血病で過剰発現されて抗アポトーシス特性に関連すると特定され、それはB細胞受容体活性化によって調節される。これらの研究は、FAIM3が、高リスク慢性リンパ球性白血病の予後マーカーとして使用され得ることを示す(Pallasch et al.,2008;Yi et al.,2011;Yu et al.,2011)。
FCER2は、B細胞特異的抗原およびIgEの低親和性受容体をコードする。それはB細胞増殖および分化、そしてIgE産生の調節に不可欠な役割を有する(RefSeq)。
FMODは、小型間質性プロテオグリカンファミリーのメンバーをコードする。コードされるタンパク質は、ジスルフィド結合を含有するドメインで挟まれる、4本のケラタン硫酸鎖があるロイシン富化反復を含有する、中央領域を有する(RefSeq)。FMODは、慢性リンパ球性白血病細胞内で、高度に過剰発現することが示された。したがって、FMODは、慢性リンパ球性白血病における可能な腫瘍関連抗原の役割を果たすかもしれない(Mayr et al.,2005)。
GALNT1は、UDP−N−アセチル−α−D−ガラクトサミン:ポリペプチドN−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(GalNAc−T)酵素ファミリーのメンバーをコードする(RefSeq)。研究は、GALNT1発現が、ヒト乳がん、卵巣がん、および膀胱がんにおいて、増殖および再発の程度と相関することを明らかにした。後者は、ヒト膀胱がんにおける臨床予後マーカーとしてのGALNT1の使用を示唆する(Ding et al.,2012)。
GLT8D1は、グリコシルトランスフェラーゼファミリーのメンバーをコードする(RefSeq)。研究は、脳、肝臓、乳房、肺、胃、膵臓、結腸、腎臓、膀胱、前立腺、および精巣などの大多数のヒトがんで、GLT8D1が遍在性に上方制御されることを明らかにした。GLT8D1誘発示差的メチル化遺伝子は、早期がんスクリーニング、診断、予後、および治療介入のためのエピジェネティックな生物マーカーとしての強い可能性を有する(Teh et al.,2012)。
GPIは、グルコースリン酸イソメラーゼタンパク質ファミリーのメンバーをコードする(RefSeq)。GPI遺伝子は、ヒト膵臓がんにおいて、低酸素誘導性であることが特定されている。エリスロース−4−リン酸などのGPI阻害剤の使用は、いくつかの乳がん細胞系の二次元培養物中で遊走性および侵入性能力を減少させ、GPI阻害が、腫瘍転移を阻止する選択的ストラテジーになり得ることが示唆される(Yoon et al.,2001;Gallardo−Perez et al.,2014)。
GPX1は、グルタチオンペルオキシダーゼファミリーのメンバーをコードする(RefSeq)。GPX1 rs1050450 C>T多形性は、膀胱がんのリスク増大と関連したが、前立腺がんとは関連しなかった。患者の乳がん細胞内のGPX1の高度発現は、化学療法を受けた患者のより芳しくない臨床転帰および全生存期間低下と相関し、GPX1が、これらの患者のための予後マーカーとして使用され得ることが暗示された(Jardim et al.,2013;Men et al.,2014)。
TFRCは、トランスフェリン受容体をコードし、それは染色体3q29に位置する(RefSeq)。口腔扁平上皮がんにおけるTFRCの発現率は、異形成におけるよりも有意に高く、口腔扁平上皮がんの疾患進行が、TFRC発現に関連するかもしれないことが示唆された。抗TFRC抗体は、トランスフェリンとTFRCの間の相互作用をブロックし、その結果、鉄の取り込みをブロックした。結果として生じた鉄欠乏は、細胞増殖を阻害してアポトーシスを誘導した(Nagai et al.,2014)。
UGCGは、脂質および糖部分を含有する膜構成要素である、スフィンゴ糖脂質の生合成における第1のグリコシル化ステップを触媒する酵素をコードする(RefSeq)。研究は、白血病、乳がん、腎細胞がん、および乳頭甲状腺がんにおいて、UGCGが過剰発現されることを示した。UGCGは、cSrcおよびβカテニンシグナル伝達の活性化を通じてMDR1発現を上方制御する(Zhang et al.,2013;Liu et al.,2010)。
本発明は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIの分子に結合する能力を有する、本発明によるペプチドにさらに関する。
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは(それぞれ)、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる。
示されるようなアミノ酸配列から本質的になるペプチドは、非修飾ペプチドと比較して、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子に結合する能力が実質的に変化したり悪影響を受けたりすることなく交換される、1つまたは2つの非アンカーアミノ酸を有し得る(アンカーモチーフについては下記を参照されたい)。アミノ酸配列から本質的になる別のペプチド中では、1つまたは2つのアミノ酸が、非修飾ペプチドと比較して、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子に結合する能力が実質的に変化したり悪影響を受けたりすることなく、それらの保存的交換パートナーと交換される(以下もまた参照されたい)。
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、修飾されおよび/または非ペプチド結合を含む。
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、特にHLA−DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸に融合した、または例えば樹状細胞に対して特異的な抗体などの抗体に(またはその配列中に)融合した、融合タンパク質の一部である。
本発明は、本発明によるペプチドをエンコードする核酸にさらに関する。
本発明は、DNA、cDNA、PNA、RNA、またはそれらの組み合わせである、本発明による核酸にさらに関する。
本発明は、本発明による核酸を発現および/または提示する能力がある、発現ベクターにさらに関する。
本発明は、医薬品で使用される、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016に記載の本発明によるペプチド、本発明による核酸または本発明による発現ベクターにさらに関する。
本発明は、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016に記載のペプチドに対して特異的な本発明による抗体、およびそれらを製造する方法にさらに関する。
本発明は、T細胞受容体(TCR)、特に、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016に記載のペプチドおよび/または本発明による前記ペプチドとMHCとの複合体を標的化する可溶性TCR(sTCR)、およびそれらを製造する方法にさらに関する。
本発明は、前述のような本発明による核酸または発現ベクターを含んでなる宿主細胞にさらに関する。
本発明は、抗原提示細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。
本発明は、抗原提示細胞が樹状細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。
本発明は、本発明による宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる、本発明によるペプチドを製造する方法にさらに関する。
本発明は、CTLを、適切な抗原提示細胞の表面に発現される抗原負荷ヒトクラスIまたはII MHC分子に、前記CTLを抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり、生体外で接触させるステップを含んでなる、活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を製造するインビトロ法にさらに関し、前記抗原は本発明による任意のペプチドである。
本発明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはIIMHC分子上に、抗原が負荷される、本発明による方法にさらに関する。
本発明は、抗原提示細胞が、配列番号1〜配列番号225、配列番号527〜配列番号551または配列番号552〜配列番号1016を含有する前記ペプチドを発現する能力がある、発現ベクター、または前記変異アミノ酸配列を含んでなる、本発明による方法にさらに関する。
本発明は、本発明による方法によって製造される活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)にさらに関し、それは、本発明によるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する。
本発明は、本発明による細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の有効数を患者に投与するステップを含んでなる、患者において、本発明による任意のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する標的細胞を死滅させる方法にさらに関する。
本発明は、記載される任意のペプチド、本発明による核酸、本発明による発現ベクター、本発明による細胞、または本発明による活性化細胞傷害性Tリンパ球の、薬剤としての、または薬剤の製造における、使用にさらに関する。
本発明は、前記薬剤がワクチンである、本発明による使用にさらに関する。
本発明は、薬剤が、がんに対して有効である、本発明による使用にさらに関する。
本発明は、前記がん細胞が、CLLまたはAML細胞などの血液悪性腫瘍細胞である、本発明による使用にさらに関する。
本発明は、血液学的悪性腫瘍、特に慢性リンパ性白血病(CLL)細胞の診断および/または予後診断で使用され得る、本発明によるペプチドベースの特定の標識タンパク質および生物マーカーにさらに関する。
さらに、本発明は、がん治療のためのこれらの新規標的の使用に関する。
さらに、本発明は、予備選別された腫瘍関連ペプチドのデータベース(「貯蔵庫」)を使用して、個々の患者のための個別化抗がんワクチンを製造する方法に関する。
免疫応答の刺激は、宿主免疫系によって外来性として認識された抗原の存在に依存する。腫瘍関連抗原の存在の発見は、宿主の免疫系を利用して腫瘍成長に介入する可能性を高めた。免疫系の体液性および細胞性アームの双方を活用する様々な機構が、がん免疫療法のために目下探求されている。
細胞性免疫応答の特定の要素は、腫瘍細胞を特異的に認識して破壊する能力がある。腫瘍浸潤性細胞集団からの、または末梢血からの細胞傷害性T細胞(CTL)の単離は、がんに対する自然免疫防御において、このような細胞が重要な役割を果たすことを示唆する。特に、細胞質ゾル内に位置するタンパク質または欠陥リボソーム産物(DRIPS)に由来する通常は8〜10のアミノ酸残基の主要組織適合性複合体(MHC)を保有するペプチドのクラスI分子を認識する、CD8陽性T細胞が、この応答において重要な役割を果たす。ヒトのMHC分子はまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも称される。
MHC分子には、2つのクラスがある:核を有するほとんどの細胞に見られる、MHCクラスI分子。MHC分子は、それぞれ、重鎖と、β−2−ミクログロブリン(MHCクラスI受容体)またはαおよびβ鎖(MHCクラスII受容体)とから、構成される。それらの三次元立体構造は結合溝をもたらし、それはペプチドとの非共有結合相互作用のために使用される。MHCクラスIは、大部分が内在性タンパク質である、DRIPおよびより大型のペプチドのタンパク質分解的切断から得られる、ペプチドを提示する。MHCクラスII分子は、大部分はプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)に見られ、エンドサイトーシス過程でAPCに取り込まれて引き続きプロセシングされる、外来性または膜貫通タンパク質のペプチドを主に提示する。ペプチドおよびMHCクラスI分子複合体が、適切なTCR(T細胞受容体)を有するCD8陽性細胞傷害性Tリンパ球によって認識される一方で、ペプチドとMHCクラスII分子の複合体は、適切なTCRを有するCD4陽性ヘルパーT細胞によって認識される。その結果、TCR、ペプチド、およびMHCは、化学量論的に1:1:1の量で存在することが良く知られている。
CD4陽性ヘルパーT細胞は、CD8陽性細胞傷害性T細胞による、効果的な応答の誘導と維持において重要な役割を果たす。腫瘍関連抗原(TAA)に由来するCD4陽性T細胞エピトープの同定は、抗腫瘍免疫応答を始動させるための医薬品開発に非常に重要である(Gnjatic S,et al.Survey of naturally occurring CD4+ T cell responses against NY−ESO−1 in cancer patients:correlation with antibody responses.Proc Natl Acad Sci U S A.2003 Jul 22;100(15):8862−7)。腫瘍部位では、Tヘルパー細胞は、CTL親和性サイトカイン環境を支持してMortara L,et al.CIITA−induced MHC class II expression in mammary adenocarcinoma leads to a Th1 polarization of the tumor microenvironment,tumor rejection,and specific antitumor memory.Clin Cancer Res.2006 Jun 1;12(11 Pt 1):3435−43)、例えばCTL、NK細胞、マクロファージ、顆粒球などのエフェクター細胞を誘引する(Hwang ML,et al.Cognate memory CD4+ T cells generated with dendritic cell priming influence the expansion,trafficking,and differentiation of secondary CD8+ T cells and enhance tumor control.J Immunol.2007 Nov 1;179(9):5829−38)。
炎症不在下では、MHCクラスII分子の発現は、免疫系細胞、特に、例えば、単球、単球由来細胞、マクロファージ、樹状細胞などの、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)に主に限定される。がん患者では、腫瘍細胞が、MHCクラスII分子を発現することが驚くことに発見された(Dengjel J,et al.Unexpected abundance of HLA class II presented peptides in primary renal cell carcinomas.Clin Cancer Res.2006 Jul 15;12(14 Pt 1):4163−70)。
例えば、マウスなどの哺乳類動物モデルにおいて、CTLエフェクター細胞(すなわちCD8陽性Tリンパ球)の不在下であっても、インターフェロンγ(IFNγ)の分泌による血管新生阻害を通じて腫瘍発現を阻害するには、CD4陽性T細胞で十分であることが示された。
さらに、HLAクラスII分子によって提示される腫瘍関連抗原からのペプチドを認識するCD4陽性T細胞が、抗体(Ab)応答の誘導を通じて、腫瘍の進行を抑制し得ることが示された。
HLAクラスI分子に結合する腫瘍関連ペプチドとは対照的に、少数の瘍関連抗原(TAA)のクラスIIリガンドのみが、これまでに記載されている。
HLAクラスII分子の構成的発現は、通常、免疫系細胞に限定されるので、原発性腫瘍からクラスIIペプチドを直接単離する可能性が、可能であるとは考えられなかった。しかしDengjel et al.は、腫瘍からいくつかのMHCクラスIIエピトープを直接、同定することに成功した(国際公開第2007/028574号パンフレット、EP1760088B1;(Dengjel et al.,2006)。
腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球によって認識される抗原、すなわちそれらのエピトープは、酵素、受容体、転写因子などの全てのタンパク質クラスに由来する分子であり得て、それはそれぞれの腫瘍細胞で発現されて、同一起源の非改変細胞と比較して、上方制御される。
CD8およびCD4依存性の双方のタイプの応答は、抗腫瘍効果に共同して相乗的に寄与するので、CD8+CTL(リガンド:MHCクラスI分子+ペプチドエピトープ)、またはCD4陽性Tヘルパー細胞(リガンド:MHCクラスII分子+ペプチドエピトープ)のどちらかによって認識される、腫瘍関連抗原の同定および特性解析は、腫瘍ワクチンの開発に重要である。
本発明はまた、2つの新しい非常に有用なMHCクラスIIペプチド(配列番号543〜配列番号1016に記載される)にも関する。これらのペプチドは、特に、ペプチドがそれぞれそれに由来する抗原を過剰発現および/または過剰提示する、AMLなどのCLLおよびその他のがんの診断および/または治療において有用である。
本発明はまた、配列番号543〜配列番号1016に記載の、本発明のMHCクラスIIペプチドのいわゆる鎖長変異型にも関する。
鎖長変異型は、通常Nおよび/またはC末端が延長され(1〜5個、好ましくは1〜10個のアミノ酸)、またはNおよび/またはC末端が短縮された(1〜5個のアミノ酸)ペプチドであり、それは依然としてMHCに結合して、本明細書に記載されるような細胞性免疫応答を引き起こし得る。現状技術で公知のように、クラスIIタンパク質に対するペプチド結合はサイズに制約がなく、11〜30のアミノ酸長で変動し得る。MHCクラスII分子中のペプチド結合溝は両端が開いており、相対的により長いペプチドの結合を可能にする。「コア」の9残基長の断片がペプチド認識に最も寄与するが、側面に位置する領域もまた、クラスII対立遺伝子に対するペプチドの特異性に重要である(例えば、Meydan C,et al.,Prediction of peptides binding to MHC class I and II alleles by temporal motif mining.BMC Bioinformatics.2013;14 Suppl 2:S13)を参照されたい)。当業者は、(例えば、上述されるような)利用できる多数のソフトウェアツールを使用して結合モチーフを同定でき、ひいては鎖長変異型を作成するために、表1cに記載のMHCクラスIIペプチドの伸長および/または欠失の可能性を同定できるあろう。
ペプチドが細胞性免疫応答を引き起こす(誘発する)ためには、それはMHC分子と結合しなくてはならない。この過程は、MHC分子の対立遺伝子と、ペプチドのアミノ酸配列の特定の多形性とに依存する。MHCクラスI結合ペプチドは、通常は8〜12アミノ酸残基長であり、通常は、MHC分子の対応する結合溝と相互作用するそれらの配列中に、2つの保存残基(「アンカー」)を含有する。このようにして、各MHC対立遺伝子は、どのペプチドが結合溝と特異的に結合し得るかを決定する、「結合モチーフ」を有する。
MHCクラスI依存免疫反応では、ペプチドは腫瘍細胞によって発現される特定のMHCクラスI分子に結合できるだけでなく、それらはまた、特有のT細胞受容体(TCR)を有するT細胞によって認識されなくてはならない。
腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球によって認識される抗原、すなわちそれらのエピトープは、酵素、受容体、転写因子などの全てのタンパク質クラスに由来する分子であり得て、それはそれぞれの腫瘍細胞で発現されて、同一起源の非改変細胞と比較して、上方制御される。
腫瘍関連抗原の現行の分類は、次の主要群を含んでなる:
a)がん精巣抗原:T細胞によって認識され得る、これまでに同定された最初のTAAは、このクラスに属し、元々はがん精巣(CT)抗原と称されたが、それは、そのメンバーが組織学的に異なるヒト腫瘍で発現し、正常組織では、精巣の精母細胞/精原細胞のみに存在し、時として胎盤に存在するためであった。精巣の細胞は、クラスIおよびII HLA分子を発現しないので、これらの抗原は正常組織のT細胞によって認識され得ず、したがって免疫学的に腫瘍特異的と見なされる。CT抗原の周知の例は、MAGEファミリーメンバーまたはNY−ESO−1である。
b)分化抗原:これらのTAAは、腫瘍と、それから腫瘍が生じる正常組織との間で共有され;ほとんどは、メラノーマおよび正常なメラノサイトに見られる。これらのメラノサイト系関連タンパク質の多くは、メラニン生合成に関与し、したがって腫瘍特異的でないが、それでもなおがん免疫療法のために広く利用されている。例としては、メラノーマに対するチロシナーゼおよびMelan−A/MART−1、または前立腺がんに対するPSAが挙げられるが、これに限定されるものではない。
c)過剰発現されるTAA:広範に発現されるTAAをエンコードする遺伝子は、組織学的に異なるタイプの腫瘍で、ならびに多数の正常組織で、概してより低い発現レベルで検出されている。正常組織によってプロセシングされ潜在的に提示されるエピトープの多くは、T細胞認識閾値レベルに満たない可能性がある一方で、腫瘍細胞におけるそれらの過剰発現は、先に確立された免疫寛容を破壊することで抗がん応答を引き起こし得る。このクラスのTAAの顕著な例は、Her−2/neu、サバイビン、テロメラーゼまたはWT1である。
d)腫瘍特異的抗原:これらのユニークなTAAは、正常な遺伝子(β−カテニン、CDK4など)の変異から生じる。これらの分子変化のいくつかは、腫瘍性形質転換および/または進行に関連する。腫瘍特異的抗原は、通常、正常組織に対する自己免疫反応のリスクなしに、強力な免疫応答を誘導できる。他方、これらのTAAは、ほとんどの場合、その上でそれらが同定されたまさにその腫瘍のみと関係があり、通常は、多くの個々の腫瘍間で共有されない。
e)異常な翻訳後修飾から生じるTAA:このようなTAAは、腫瘍中で特異的でなく過剰発現もされないタンパク質から生じてもよいが、それでもなお、主に腫瘍中で活性の翻訳後プロセスによって、腫瘍関連抗原になる。このクラスの例は、MUC1のような腫瘍において新規エピトープをもたらす改変グリコシル化パターンから、または腫瘍特異的であってもなくてもよい分解中のタンパク質スプライシング事象から生じる。
f)腫瘍ウイルスタンパク質:これらのTAAは、発がん過程で重要な役割を果たしてもよいウイルスタンパク質であり、それらは外来性である(ヒト由来でない)ため、T細胞応答を誘起し得る。このようなタンパク質の例は、子宮頸がんで発現される、ヒト乳頭腫16型ウイルスタンパク質E6およびE7である。
タンパク質が、細胞傷害性Tリンパ球によって腫瘍特異的または腫瘍関連抗原として認識され、治療で利用されるためには、特定の必要条件が満たされなくてはならない。抗原は、主に腫瘍細胞によって発現されるべきであり、健常組織によって発現されずまたは比較的少量発現され、または別の好ましい実施形態では、ペプチドは、腫瘍細胞によって、健常組織と比較して過剰提示されるべきである。それぞれの抗原は、ある種の腫瘍に存在するだけでなく、高密度(すなわち、細胞あたりの各ペプチドのコピー数)で存在することも、さらに望ましい。腫瘍特異的および腫瘍関連抗原は、例えば、細胞周期制御またはアポトーシス抑制における機能のために、正常細胞から腫瘍細胞への形質転換に直接関与するタンパク質に、由来することが多い。さらに、形質転換の直接原因となるタンパク質の下流標的が、上方制御されてもよく、したがって(und)間接的に腫瘍関連であってもよい。このような間接的腫瘍関連抗原もまた、ワクチン接種アプローチの標的であってもよい。(Singh−Jasuja et al.,2004)。どちらの場合も、腫瘍関連抗原に由来するこのようなペプチド(「免疫原性ペプチド」)は、生体外または生体内でT細胞応答をもたらすべきであるので、抗原のアミノ酸配列中にエピトープが存在することが必須である。
基本的に、MHC分子に結合できるあらゆるペプチドが、T細胞エピトープとして機能してもよい。生体外または生体内T細胞応答誘導のための必要条件は、対応するTCRがあるT細胞の存在、およびこの特定のエピトープに対する免疫寛容の不在である。
したがって、TAAは、腫瘍ワクチン開発のための出発点である。TAAを同定し特性決定する方法は、患者または健常者から単離され得るCTLの使用に基づき、またはそれらは、腫瘍および正常組織間の差次的転写プロファイル、または差次的ペプチド発現パターンの作成に基づく。
しかし、腫瘍組織またはヒト腫瘍細胞系で過剰発現され、またはこのような組織または細胞系で選択的に発現される遺伝子の同定は、免疫療法においてこれらの遺伝子から転写される抗原の使用に関する、正確な情報を提供しない。これは、これらの抗原のエピトープの個々の亜集団のみが、このような用途に適するためであり、その理由は、対応するTCRがあるT細胞が存在しなくてはならず、この特定のエピトープに対する免疫寛容が不在または最小でなくてはならないからである。したがって本発明の非常に好ましい実施形態では、それに対する機能性および/または増殖性T細胞がある、過剰にまたは選択的に提示されるペプチドのみを選択することが、重要である。このような機能性T細胞は、特異的抗原による刺激時にクローン増殖し得てエフェクター機能を果たすことができるT細胞(「エフェクターT細胞」)と定義される。
本発明によるTCRおよび抗体の場合、基礎となるペプチドの免疫原性は二次的である。本発明によるTCRおよび抗体では、提示が決定的要素である。
Tヘルパー細胞は、抗腫瘍免疫において、CTLのエフェクター機能を統合する上で重要な役割を果たす。TH1型のTヘルパー細胞応答を始動するTヘルパー細胞エピトープは、CD8陽性キラーT細胞のエフェクター機能を支持し、それは、それらの細胞表面に腫瘍関連ペプチド/MHC複合体を提示する腫瘍細胞に向けられた、細胞傷害機能を含む。このようにして腫瘍関連Tヘルパー細胞ペプチドエピトープは、単独で、またはその他の腫瘍関連ペプチドとの組み合わせで、抗腫瘍免疫応答を刺激するワクチン組成物の活性医薬品成分の役割を果たし得る。
本発明者らは、CLL患者において頻繁かつ排他的に検出される、リガンドーム由来腫瘍関連抗原(LiTAA)の新規カテゴリーを同定した。対応するHLAリガンド(LiTAP)の特異的免疫認識は、CLL患者で排他的に観察され、HLA拘束性提示の出現頻度との直接相関を顕著に示す。さらに、33人のCLL患者の後向き生存分析は、CLL患者におけるLiTAP−特異的免疫応答と、改善された全生存期間との可能な関連性を示した。
さらなるがんに対する用途は、以下の本発明によるペプチドのタンパク質の説明で開示される。
本明細書の用法では、別段の記載がない限り、全ての用語は下述のとおり定義される。
「ペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボニル基の間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を命名するために、本明細書で使用される。ペプチドは、好ましくは9アミノ酸長であるが、8アミノ酸長程度に短く、10、11、12、13または14アミノ酸長であり得て、MHCクラスIIペプチドの場合、それらは15、16、17、18、19または20アミノ酸長であり得る。
さらに「ペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα−アミノおよびカルボニル基の間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基の塩を含むものとする。好ましくは、塩は、例えば、塩化物または酢酸塩(トリフルオロ酢酸塩)などの、ペプチドの薬学的に許容可能な塩である。
「ペプチド」という用語は、「オリゴペプチド」を含むものとする。「オリゴペプチドペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボニル基の間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を命名するために、本明細書で使用される。オリゴペプチドの長さは、その中で正しいエピトープまたはエピトープが保持されれば、本発明には重要でない。オリゴペプチドは、典型的に、長さが約30アミノ酸残基未満であり、長さが約15アミノ酸を超える。
「本発明のペプチド」という用語は、上で定義されるような、配列番号1〜配列番号225、配列番号527〜配列番号551または配列番号552〜配列番号1016に記載のペプチドからなり、またはそれを含んでなるペプチドを含むものとする。
「ポリペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα−アミノおよびカルボニル基の間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を指す。正しいエピトープが保持されれば、ポリペプチドの長さは、本発明には重要でない。ペプチドまたはオリゴペプチドという用語とは対照的に、ポリペプチドという用語は、約30を超えるアミノ酸残基を含有する分子を指すことが意図される。
このような分子をコードする、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質またはポリヌクレオチドは、免疫応答を誘導する能力があれば「免疫原性」である(したがって本発明内における「免疫原」である)。本発明では、免疫原性は、より具体的には、T細胞応答を誘導する能力と定義される。したがって「免疫原」は、免疫応答を誘導する能力がある分子であり、本発明では、T細胞応答を誘導する能力がある分子である。別の態様では、免疫原は、それに対する特異的抗体またはTCRを生じさせるのに使用される、ペプチド、ペプチドとMHCの複合体、オリゴペプチド、および/またはタンパク質であり得る。
クラスI T細胞「エピトープ」は、クラスI MHC受容体に結合する短いペプチドを要して、三成分複合体(MHCクラスIα鎖、β−2−ミクログロブリン、およびペプチド)を形成し、それは、適切な親和性でMHC/ペプチド複合体に結合する適合T細胞受容体を保有するT細胞によって、認識され得る。MHCクラスI分子へのペプチド結合は、典型的に8〜14アミノ酸長であり、最も典型的には9アミノ酸長である。
ヒトには、MHCクラスI分子(ヒト白血球抗原(HLA)ともまた称されるヒトのMHC分子)をコードする、3つの異なる遺伝子座、HLA−A、HLA−B、およびHLA−Cがある。HLA−A*01、HLA−A*02、およびHLA−B*07は、これらの遺伝子座から発現され得る、異なるMHCクラスI対立遺伝子の例である。
表7:HLA*A02の発現頻度Fおよび最も頻度の高いHLA−DR血清型。頻度は、ハーディ・ワインベルグ式、F=1−(1−G)2を用いて、Mori et al.(Mori M,et al.HLA gene and haplotype frequencies in the North American population:the National Marrow Donor Program Donor Registry.Transplantation.1997 Oct 15;64(7):1017−27)から適応された米国人母集団におけるハプロタイプ頻度Gから推定される。連鎖不均衡のために、A*02と特定のHLA−DR対立遺伝子との組み合わせは、それらの単一頻度から予測されるよりも、豊富でありまたは低頻度であるかもしれない。詳細については、Chanock et al.(S.J.Chanock,et al(2004)HLA−A,−B,−Cw,−DQA1 and DRB1 in an African American population from Bethesda,USA Human Immunology,65:1223−1235)を参照されたい。
したがって治療および診断目的では、いくつかの異なるHLAクラスII受容体と適切な親和性で結合するペプチドが、非常に望ましい。いくつかの異なるHLAクラスII分子に結合するペプチドは、乱交雑バインダーと称される。
本明細書の用法では、DNA配列への言及は、一本鎖および二本鎖DNAの双方を含む。したがって、特異的配列は、文脈上明らかに別の意味が示唆されない限り、このような配列の一本鎖DNA、このような配列とその補体との二本鎖(二本鎖DNA)、およびこのような配列の補体を指す。「コード領域」という用語は、その天然ゲノム環境内で、遺伝子の発現産物を天然にまたは正常にコードする遺伝子の部分、すなわち、遺伝子の天然発現産物を生体内でコードする領域を指す。
コード領域は、非変異型(「正常」)、変異型または改変遺伝子に由来し得て、またはDNA合成技術の当業者に周知の方法を使用して実験室で完全に合成された、DNA配列または遺伝子に由来しさえする。
「ヌクレオチド配列」という用語は、デオキシリボヌクレオチドのヘテロ重合体を指す。
特定のペプチド、オリゴペプチド、またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、天然起源であってもよく、またはそれらは合成的に構築されてもよい。一般に、本発明のペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質をエンコードするDNA断片は、cDNAフラグメントと短いオリゴヌクレオチドリンカーから構築され、またはひと続きのオリゴヌクレオチドから構築されて、微生物またはウイルスオペロンに由来する調節因子を含んでなる、組換え転写単位で発現できる合成遺伝子を提供する。
本明細書の用法では、「ペプチドをコードする(またはエンコードする)ヌクレオチド」という用語は、それによって配列が発現される生体系と適合性の人工(人造)開始および停止コドンを含むペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を指す。
「発現産物」という用語は、遺伝子の、そして遺伝コード縮重に由来してしたがって同一アミノ酸をコードする核酸配列をコードする任意の同等物の、天然翻訳産物である、ポリペプチドまたはタンパク質を意味する。
コード配列に言及する場合、「フラグメント」という用語は、その発現産物が、完全コード領域の発現産物と本質的に同一の生物学的機能または活性を保つ、完全未満のコード領域を含んでなるDNAの部分を意味する。
「DNA断片」という用語は、別々のフラグメントの形態の、またはより大型のDNAコンストラクトの構成要素としての、DNAポリマーを指し、それは、実質的に純粋な、すなわち、混入内在性物質を含まない形態で、例えばクローニングベクターを使用する標準生化学的方法によって、断片およびその構成ヌクレオチド配列を同定、操作、および回収できるようにする量または濃度で、少なくとも1回単離されたDNAに由来する。このような断片は、読み取り枠の形態で提供され、それは、典型的に真核生物遺伝子内に存在する内部非翻訳配列またはイントロンによって、中断されていない。非翻訳DNA配列は、読み取り枠下流に存在してもよく、それはそこでコード領域の操作または発現を妨げない。
「プライマー」という用語は、短い核酸配列を意味し、それはDNAの1本鎖と対合し得て、DNAポリメラーゼがそこでデオキシリボヌクレオチド鎖合成を開始する、遊離3’−OH末端を提供する。
「プロモーター」という用語は、転写を開始するためのRNAポリメラーゼ結合に関与する、DNAの領域を意味する。
「単離」という用語は、物質が、その元の環境(例えばそれが天然起源であれば、天然環境)から取り出されることを意味する。例えば、生きている動物に存在する天然ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、天然システムで共存する物質の一部または全部から分離された同一ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であり得ておよび/またはこのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、組成物の一部であり得て、このようなベクターまたは組成物がその天然環境の一部でないと言う意味で、なおも単離されている。
本発明によって開示されるポリヌクレオチド、および組換えまたは免疫原性ポリペプチドは、「精製」形態であってもよい。「精製」という用語は、完全に純粋である必要はなく;むしろ、それは相対的定義であることが意図されて、これらの用語が当業者によって理解されるように、高度に精製された調製物、または部分的にのみ精製された調製物を含み得る。例えば、cDNAライブラリーから単離された個々のクローンは、電気泳動的に均一に、従来法で精製されている。少なくとも1桁、好ましくは2または3桁、より好ましくは4または5桁への、出発原料または天然物質の精製が、明示的に検討される。さらに、重量基準で、好ましくは99.999%、または少なくとも99.99%または99.9%;さらに望ましくは99%以上の純度を有する、特許請求されるポリペプチドが、明示的に検討される。
本発明によって開示される核酸およびポリペプチド発現産物、ならびにこのような核酸および/またはこのようなポリペプチドを含有する発現ベクターは、「富化形態」であってもよい。本明細書の用法では、「富化」という用語は、(例えば)その天然濃度の少なくとも約2、5、10、100、または1000倍の物質濃度を意味し、有利には重量基準で0.01%、好ましくは重量基準で少なくとも約0.1%である。重量基準で約0.5%、1%、5%、10%、および20%の富化調製物もまた、検討される。本発明を構成する、配列、コンストラクト、ベクター、クローン、およびその他の物質は、有利には、富化または単離形態であり得る。
「活性フラグメント」という用語は、単独で、または任意選択的に適切なアジュバントと共に、例えば、ウサギまたはマウスなどのそしてまたヒトを含む哺乳類などの動物に投与されると、免疫応答を生じるフラグメント(すなわち免疫原性を有する)を意味し、このような免疫応答は、ヒトなどのレシピエント動物におけるT細胞応答を刺激する形態を取る。代案としては、「活性フラグメント」はまた、生体外T細胞応答を誘導するのに使用されてもよい。
本明細書の用法では、ポリペプチドとの関連で使用される場合、「部分」、「断片」、および「フラグメント」という用語は、アミノ酸残基などの連続する残基の配列を指し、その配列は、より大型の配列の部分集合を形成する。例えば、ポリペプチドが、トリプシンまたはキモトリプシンなどの一般的エンドペプチダーゼのいずれかによって処理されるのであれば、このような処理から得られるオリゴペプチドは、出発ポリペプチドの部分、断片またはフラグメントに相当するであろう。ポリヌクレオチドに関して使用される場合、これらの用語は、エンドヌクレアーゼのいずれかによる前記ポリヌクレオチドの処理によって生じる生成物を指す。
本発明によると、配列に言及する場合、「同一性百分率」または「パーセント同一」という用語は、比較される配列(「比較配列」)と、記載または特許請求される配列(「参照配列」)とのアライメント後に、配列が、特許請求または記載される配列と比較されることを意味する。次に同一性百分率は、次式に従って判定される:
同一性百分率=100[1−(C/R)]
式中、Cは、参照配列と比較される配列との間のアライメント長にわたる、参照配列と比較配列の間の差異の数であり、
(i)比較配列中に対応する整列塩基またはアミノ酸を有しない、参照配列中の各塩基またはアミノ酸、および
(ii)参照配列中の各ギャップ、および
(iii)比較配列中の整列塩基またはアミノ酸と異なる、参照配列中の各整列塩基またはアミノ酸が、差異を構成して、
(iiii)アライメントは、整合配列の1位から開始しなくてはならず;
Rは、比較配列とのアライメント長にわたる参照配列中の塩基またはアミノ酸の数であり、参照配列中に生じるあらゆるギャップも塩基またはアミノ酸として数えられる。
比較配列とそれに対して同一性百分率が上のように計算される参照配列との間に、特定の最小同一性百分率とほぼ同一のまたはそれ以上のアライメントが存在すれば、その中に上記のように計算された同一性百分率が特定の同一性百分率未満であるアライメントが存在したとしても、比較配列は、参照配列との特定の最小同一性百分率を有する。
本明細書で開示される元の(未修飾)ペプチドは、特に明記されない場合は、ペプチド鎖内の異なる、おそらくは選択的な部位における、1つまたは複数の残基の置換によって修飾され得る。好ましくはこれらの置換は、アミノ酸鎖の末端に位置する。このような置換は、保存的性質であってもよく、例えば、疎水性アミノ酸が別の疎水性アミノ酸によって置換されるなど、構造および特徴の類似したアミノ酸によってアミノ酸が置換される。さらにより保存的な置換は、ロイシンのイソロイシンによる置換などの、同一または類似サイズおよび化学的性質のアミノ酸の置換である。天然起源相同タンパク質ファミリーの配列多様性の研究では、特定のアミノ酸置換は、他よりも耐容されることが多く、これらは、元のアミノ酸とその置換物の間のサイズ、電荷、極性、および疎水性の類似性との相関を示すことが多く、これが「保存的置換」の定義の基礎である。
保存的置換は、本明細書では、以下の5つのグループの1つの中の交換として定義される:グループ1−小型脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基(Ala、Ser、Thr、Pro、Gly);グループ2−極性の負に帯電した残基およびそれらのアミド(Asp、Asn、Glu、Gln);グループ3−極性の正に帯電した残基(His、Arg、Lys);グループ4−大型脂肪族非極性残基(Met、Leu、Ile、Val、Cys);およびグループ5−大型芳香族残基(Phe、Tyr、Trp)。
より保存的でない置換は、アラニンのイソロイシン残基による置換などの、類似した特徴を有するがサイズがいくらか異なる別のアミノ酸による置換を伴うかもしれない。高度に非保存的な置換は、酸性アミノ酸による極性アミノ酸の置換、または塩基性でさえあるアミノ酸の置換を伴うかもしれない。しかし化学効果は完全に予測可能でなく、遊離基置換は単純な化学的原理からは予測できない偶然の効果をもたらす可能性があるので、このような「過激な」置換でも、潜在的に無効であるとして却下し得ない。
もちろんこのような置換には、通常のL−アミノ酸以外の構造体が関与してもよい。したがってD−アミノ酸が、本発明の抗原性ペプチドに通常見られるL−アミノ酸を置換するかもしれず、依然として本明細書の開示に包含される。さらに非標準R基(すなわち、天然タンパク質の通常の20個のアミノ酸に見られる以外のR基)を保持するアミノ酸もまた置換目的で使用されて、本発明による免疫原および免疫原性ポリペプチドが製造されてもよい。
2つ以上の位置における置換が、以下に定義されるように実質的に同等またはそれ以上の抗原活性のあるペプチドをもたらすことが発見された場合、これらの置換の組み合わせを試験して、置換の組み合わせが、ペプチドの抗原性に相加または相乗効果をもたらすかどうかが判定される。最大で、ペプチド内の4つ以下の位置が同時に置換される。
本発明のペプチドは、最大4個のアミノ酸によって伸長させ得て、すなわち4:0〜0:4の間のあらゆる組み合わせで、どちらかの末端に1、2、3または4個のアミノ酸が付加され得る。
本発明による伸長の組み合わせは、表8から示され得る。
伸長のためのアミノ酸は、元のタンパク質配列のペプチドまたは任意のその他のアミノ酸であり得る。伸長を利用して、ペプチドの安定性または溶解度を高め得る。
「T細胞応答」という用語は、生体外または生体内でペプチドによって誘導される、エフェクター機能の特異的増殖および活性化を意味する。MHCクラスI拘束性CTLでは、エフェクター機能は、ペプチドパルス、ペプチド前駆体パルスまたは天然ペプチド提示標的細胞の溶解;好ましくはペプチドによって誘導されるインターフェロン−γ、TNF−α、またはIL−2であるサイトカインの分泌;好ましくはペプチドによって誘導されるグランザイムまたはパーフォリンであるエフェクター分子の分泌;または脱顆粒であってもよい。
好ましくは、本発明によるペプチドに特異的なCTLを置換ペプチドについて試験する場合、置換ペプチドが背景に対して最大溶解増大の半分を達成するペプチド濃度は、約1mM以下、好ましくは約1μM以下、より好ましくは約1nM以下、さらにより好ましくは約100pM以下、最も好ましくは約10pM以下である。置換ペプチドが、2人以上、少なくとも2人、より好ましくは3人の個人からのCTLによって認識されることもまた好ましい。
したがって本発明のエピトープは、天然起源腫瘍関連または腫瘍特異的エピトープと同一であってもよく、またはそれらが実質的に同一の抗原活性を有しさえすれば、4つ以下の残基が参照ペプチドと異なるエピトープを含んでもよい。
免疫応答の刺激は、宿主免疫系によって外来性として認識された抗原の存在に依存する。腫瘍関連抗原の存在の発見は、今や、宿主の免疫系を利用して、腫瘍成長に介入する可能性を高めた。免疫系の体液性および細胞性アームの双方を活用する様々な機構が、がん免疫療法のために目下探索されている。
細胞性免疫応答の特定の要素は、腫瘍細胞を特異的に認識して破壊する能力がある。腫瘍浸潤性細胞集団からの、または末梢血からの細胞傷害性T細胞(CTL)の単離は、がんに対する自然免疫防御において、このような細胞が重要な役割を果たすことを示唆する。特に、主要組織適合性複合体(MHC)を保有して、細胞質ゾル内に位置するタンパク質または欠陥リボソーム産物(DRIPS)に由来する、通常は8〜12残基のペプチドのクラスI分子を認識するCD8陽性T細胞が、この応答において重要な役割を果たす。ヒトのMHC分子はまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも称される。
MHCクラスI分子は、主に内在性の細胞質または核タンパク質、DRIPS、およびより大型のペプチドのタンパク質分解的切断から得られる、ペプチドを提示する、核を有する大多数の細胞上に見られる。しかし、エンドソーム区画または外来性起源に由来するペプチドもまた、MHCクラスI分子上に頻繁に見られる。この非古典的様式のクラスI提示は、文献中で交差提示と称される。
CD8およびCD4依存性のどちらのタイプの応答も、共同して相乗的に抗腫瘍効果に寄与するので、CD8陽性CTL(MHCクラスI分子)またはCD4陽性CTL(MHCクラスII分子)のどちらかによって認識される腫瘍関連抗原の同定および特性解析は、腫瘍ワクチンの開発において重要である。したがってどちらかのクラスのMHC複合体へのペプチド結合を含有するペプチド組成物を提供することが、本発明の目的である。
がん治療に関連する重篤な副作用および費用を考慮すると、より良い予後診断法および診断法がぜひとも必要である。したがってがん全般、特にCLLのための生物マーカーに相当するその他の要素を同定する必要性がある。さらにがん全般、特にCLLの治療法で使用され得る要素を同定する必要性がある。
本発明は、本発明のペプチドを過剰にまたは排他的に提示する、好ましくはCLLである、がん/腫瘍を治療するのに有用なペプチドを提供する。これらのペプチドは、原発性ヒトCLLサンプル上で、HLA分子によって天然に提示されることが、質量分析法によって示された。
ペプチドがそれに由来する起源遺伝子/タンパク質(「完全長タンパク質」または「基礎タンパク質」とも称される)は、正常組織と比較して、病的(例えばがん性)組織で高度に過剰発現されることが示された。本発明との関連で「正常組織」は、起源遺伝子の高度な腫瘍関連性を実証する、特に健常ドナーに由来する血液サンプル、そして血液細胞亜集団、特に白血球細胞を意味するものとする(実施例2、および図2を参照されたい)。さらに、ペプチドそれ自体は、腫瘍組織上で強く過剰提示されるが、正常組織ではそうでなく、本発明に関して「腫瘍組織」は、CLLに罹患している患者に由来する血液サンプル、および血液細胞亜集団、特に白血球細胞を意味するものとする(実施例3および図3を参照されたい)。
HLA結合ペプチドは、免疫系、具体的にはTリンパ球/T細胞によって、認識され得る。T細胞は、例えば、それらの基礎タンパク質に由来する、本発明のペプチドを提示する細胞などの認識されたHLA/ペプチド複合体を提示する細胞を破壊し得る。
本発明のペプチドは、T細胞応答を刺激する能力がありおよび/または過剰提示されることが示されおり、したがって本発明に従って、抗体および/またはTCR、特にsTCRの製造のために使用され得る(実施例4および図4を参照されたい)。さらに、ペプチドは、それぞれのMHCと複合体化した場合、同様に、抗体および/またはTCR、特に本発明によるTCR製造のために利用され得る。それぞれの方法は、当業者に良く知られており、それぞれの参考文献にもまた見られる。したがって本発明のペプチドは、それによって腫瘍細胞を破壊し得る、患者における免疫応答を生じさせるのに有用である。患者における免疫応答は、理想的には免疫原性を増強する薬剤(すなわちアジュバント)との組み合わせで、記載されるペプチド、または適切な前駆体(例えば、伸長ペプチド、タンパク質、またはそれらのペプチドをコードする核酸)を患者に直接投与することで、誘導され得る。本発明の標的ペプチドは、正常組織上では同等のコピー数で提示されないので、このような治療的ワクチン接種から生じる免疫応答は、腫瘍細胞に対して高度に特異的であることが予測され得て、患者の正常細胞に対する望まれない自己免疫反応のリスクを防止する。
「医薬組成物」は、医学的状況においてヒトへの投与に適する組成物である。好ましくは、前記医薬組成物は無菌であり、GMPガイドラインに準拠して製造される。
医薬組成物は、遊離形態または薬学的に許容可能な塩の形態のどちらかのペプチドを含んでなる(上記もまた参照されたい)。本明細書の用法では、「薬学的に許容可能な塩」は、開示されたペプチドの誘導体を指し、ペプチドは、薬剤の酸性または塩基性塩を作成することで修飾される。例えば、酸性塩は、適切な酸との反応を伴って、遊離塩基(典型的にその中で中性形態の薬剤が中性−NH基を有する)から調製される。酸性塩を調製するための適切な酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸、ならびに例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸リン酸などの無機酸の双方が挙げられる。逆に、ペプチド上に存在してもよい酸部分の塩基性塩の調製物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミンなどの薬学的に許容可能な塩基を用いて調製される。
特に好ましい一実施形態では、医薬組成物は、酢酸(酢酸塩)、トリフルオロ酢酸または塩酸(塩化物)の塩として、ペプチドを含んでなる。
がんを治療するために有用であるのに加えて、本発明のペプチドは、診断法としてもまた有用である。ペプチドはCLL(白血病(leukimea))から作成されたので、そしてこれらのペプチドは、(白血球のような)正常組織には存在せずまたはより低レベルで存在すると判定されたので、これらのペプチドを利用してがんの存在が診断され得る。
特許請求されるペプチドの血液サンプル中の存在は、がん診断において病理学者を補佐し得る。抗体、質量分析法またはその他の当該技術分野で公知の方法の手段による特定のペプチドの検出は、サンプルが悪性または概して病的であることを病理学者に告げ得て、またはCLLの生物マーカーとして利用(usesd)され得る。ペプチド基の存在は、病的組織の分類または下位分類を可能にし得る。
患部組織検体上のペプチドの検出は、特にTリンパ球が作用機序に関与することが知られておりまたは予測される場合に、免疫系が関与する治療法の利点を判定できるようにする。MHC発現の喪失は、それによって感染悪性細胞が免疫監視を逃れる、十分に説明された機序である。したがってペプチドの存在は、この機序が、分析した細胞によって活用されていないことを示す。
本発明のペプチドは、ペプチドまたはMHC分子と複合体化したペプチドに対するT細胞応答または抗体応答などの、これらのペプチドに対するリンパ球応答を分析するのに使用されるかもしれない。これらのリンパ球応答は、さらなる治療ステップを決定するための予後マーカーとして使用され得る。これらの応答はまた、例えば、タンパク質、核酸、自己材料のワクチン接種や、リンパ球の養子免疫伝達などの異なる手段によるリンパ球応答の誘導を目指す、免疫療法アプローチにおける代理マーカーとして使用され得る。遺伝子治療の設定では、副作用の評価において、ペプチドに対するリンパ球応答が考慮され得る。リンパ球応答のモニタリングはまた、例えば移植片対宿主病および宿主対移植片病の検出など、移植治療の経過観察検査のための有益な手段かもしれない。
本発明のペプチドを使用して、MHC/ペプチド複合体に対する特異的抗体が作成され開発され得る。これらは、毒素または放射性物質を患部組織に標的化する治療法のために、使用され得る。これらの抗体の別の用途は、PETなどのイメージング目的の放射性核種の患部組織への標的化であり得る。この用途は、小規模な転移の検出、または病的組織のサイズと正確な位置確認の判定を助け得る。
したがってHLA拘束性抗原と複合体化したヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する、組換え抗体を製造する方法を提供することが、本発明のさらなる態様であり、方法は、前記ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIを発現する細胞を含んでなる、遺伝子操作された非ヒト哺乳類を、前記HLA拘束性抗原と複合体化した可溶性形態のMHCクラスIまたはII分子によって免疫化するステップと;前記非ヒト哺乳類の抗体産生細胞から、mRNA分子を単離するステップと;前記mRNA分子によってコードされるタンパク質分子を提示するファージディスプレイライブラリーを作成するステップと;前記ファージディスプレイライブラリーから、少なくとも1つのファージを単離するステップとを含んでなり、前記少なくとも1つのファージは、前記HLA拘束性抗原と複合体化した前記ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する、前記抗体を提示する。
HLA拘束性抗原と複合体化したヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する抗体を提供することも、本発明のさらなる態様であり、抗体は、好ましくは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体および/またはキメラ抗体である。
本発明のさらに別の態様は、HLA拘束性抗原と複合体化したヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する、前記抗体を製造する方法に関し、方法は、前記ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIを発現する細胞を含んでなる、遺伝子操作された非ヒト哺乳類を、前記HLA拘束性抗原と複合体化した可溶性形態のMHCクラスIまたはII分子によって免疫化するステップと;前記非ヒト哺乳類の抗体産生細胞から、mRNA分子を単離するステップと;前記mRNA分子によってコードされるタンパク質分子を提示するファージディスプレイライブラリーを作成するステップと;前記ファージディスプレイライブラリーから、少なくとも1つのファージを単離するステップとを含んでなり、前記少なくとも1つのファージは、前記HLA拘束性抗原と複合化した前記ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合可能な前記抗体を提示する。このような抗体および一本鎖クラスI主要組織適合性複合体を製造するそれぞれの方法、ならびにこれらの抗体を製造するためのその他のツールは、本発明の目的で、全てその内容全体を参照によって明示的に援用する、国際公開第号パンフレット03/068201、国際公開第号パンフレット2004/084798、国際公開第号パンフレット01/72768、国際公開第号パンフレット03/070752、およびCohen CJ,et al.Recombinant antibodies with MHC−restricted,peptide−specific,T−cell receptor−like specificity:new tools to study antigen presentation and TCR−peptide−MHC interactions.J Mol Recognit.2003 Sep−Oct;16(5):324−32.;Denkberg G,et al.Selective targeting of melanoma and APCs using a recombinant antibody with TCR−like specificity directed toward a melanoma differentiation antigen.J Immunol.2003 Sep 1;171(5):2197−207;およびCohen CJ,et al.Direct phenotypic analysis of human MHC class I antigen presentation:visualization,quantitation,and in situ detection of human viral epitopes using peptide−specific,MHC−restricted human recombinant antibodies.J Immunol.2003 Apr 15;170(8):4349−61で開示される。
好ましくは、抗体は、20ナノモル濃度未満、好ましくは10ナノモル濃度未満の結合親和性で複合体に結合し、それは本発明の文脈で「特異的」と見なされる。
特異的ペプチドMHC複合体を認識する可溶性T細胞受容体を製造する方法を提供することもまた、本発明のさらなる態様である。このような可溶性T細胞受容体は、特異的T細胞クローンから生じ得て、それらの親和性は、相補性決定領域を標的とする変異誘発によって増大させ得る。T細胞受容体の選択目的で、ファージディスプレイが利用され得る(米国特許2010/0113300第号明細書、Liddy N,et al.Monoclonal TCR−redirected tumor cell killing.Nat Med 2012 Jun;18(6):980−987)。ファージディスプレイにおいて、および薬剤としての実用において、T細胞受容体を安定化する目的で、例えば、非天然ジスルフィド結合、その他の共有結合(一本鎖T細胞受容体)、または二量体化ドメインによって、αとβ鎖が連結され得る(Boulter JM,et al.Stable,soluble T−cell receptor molecules for crystallization and therapeutics.Protein Eng 2003 Sep;16(9):707−711.;Card KF,et al.A soluble single−chain T−cell receptor IL−2 fusion protein retains MHC−restricted peptide specificity and IL−2 bioactivity.Cancer Immunol Immunother 2004 Apr;53(4):345−357;およびWillcox BE,et al.Production of soluble alphabeta T−cell receptor heterodimers suitable for biophysical analysis of ligand binding.Protein Sci 1999 Nov;8(11):2418−2423を参照されたい)。T細胞受容体は、標的細胞上で特定機能を発揮させるために、毒素、薬剤、サイトカイン(米国特許第2013/0115191号明細書を参照されたい)、抗CD3ドメインのようなエフェクター細胞漸増ドメインなどに、連結させ得る。さらにそれは、養子免疫伝達のために使用されるT細胞内で発現させ得る。
さらなる情報は、国際公開第2004/033685A1号パンフレットおよび国際公開第2004/074322A1号パンフレットにある。TCRの組み合わせは、国際公開第2012/056407A1号パンフレットに記載される。さらなる製造法は、国際公開第2013/057586A1号パンフレットで開示される。
さらに、それらを使用して、生検サンプルに基づく病理学者のがん診断が確認され得る。
過剰提示ペプチドを選択するために、中央値サンプル提示ならびに反復試験変動を示す、提示プロファイルが計算される。プロファイルは、関心のある腫瘍実体のサンプルを正常なサンプルのベースラインに並置させる。次に、線形混合効果モデルのp値を計算して(J.Pinheiro,et al.The nlme Package:Linear and Nonlinear Mixed Effects Models.2007)、誤検出率によって複数試験について補正する(Y.Benjamini and Y.Hochberg.Controlling the False Discovery Rate:A Practical and Powerful Approach to Multiple Testing.Journal of the Royal Statistical Society.Series B(Methodological),Vol.57(No.1):289−300,1995)ことで、これらの各プロファイルは、過剰提示スコアに統合され得る。
質量分析法によるHLAリガンドの同定と相対的定量化のために、衝撃凍結サンプルからのHLA分子が精製されて、HLA関連ペプチドが単離された。単離ペプチドが分離され、オンラインナノエレクトロスプレーイオン化(nanoESI)液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)実験によって配列が同定された。得られたペプチド配列は、CLLサンプルから記録された天然TUMAPの断片化パターンを、同一配列の対応する合成参照ペプチドの断片化パターンと比較することで、確認された。ペプチドは、原発性腫瘍のHLA分子のリガンドとして直接、同定されたので、これらの結果は、CLL患者から入手された原発性がん組織上における、同定されたペプチドの天然プロセッシングおよび提示の直接的証拠を提供する。
発見パイプラインXPRESIDENT(登録商標)v2.1(例えば、その内容全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第2013−0096016号明細書を参照されたい)は、いくつかの異なる非がん性組織および臓器と比較した、がん組織上のHLA拘束性ペプチドレベルの直接的相対定量化に基づく、妥当な過剰提示ペプチドワクチン候補の同定と選択を可能にする。これは、独自仕様のデータ解析パイプラインによる獲得LC−MSデータ処理、配列同定のためのアルゴリズム組み合わせ、スペクトルクラスタリング、イオン計数、滞留時間アライメント、電荷状態のデコンボリューションと正規化を使用した、無標識示差定量化の開発によって、達成された。
各ペプチドおよびサンプルの誤差推定値を含む、提示レベルが確立された。非がん性の組織および臓器との比較で、腫瘍組織上で排他的に提示されるペプチド、および腫瘍内で過剰提示されるペプチドが、同定された。
CLL組織サンプルに由来するHLAペプチド複合体が精製されて、HLA結合ペプチドが単離され、LC−MSによって分析された(実施例を参照されたい)。本出願に含まれる全てのTUMAPは、このアプローチによって原発性CLLサンプル上で同定され、原発性CLL上におけるそれらの提示が確認された。
本出願に含まれる全てのTUMAPは、このアプローチによって原発性CLLサンプル上で同定され、原発性CLL上におけるそれらの提示が確認された。
複数のCLL腫瘍および正常組織上で同定されたTUMAPは、無標識LC−MSデータのイオン計数を使用して定量化された。方法は、ペプチドのLC−MSシグナル面積が、サンプル中のその存在量に相関すると仮定する。様々なLC−MS実験におけるペプチドの全ての定量的シグナルは、中心傾向に基づいて正規化され、サンプル毎に平均化されて、提示プロファイルと称される棒グラフにマージされた。提示プロファイルは、タンパク質データベース検索、スペクトルクラスタリング、電荷状態デコンボリューション(除電)、および滞留時間アライメント、および正規化のような、異なる解析法を統合する。
したがって本発明は、配列番号1〜配列番号225、配列番号527〜配列番号551または配列番号552〜配列番号1016からなる群から選択される配列を含んでなるペプチド、または配列番号1〜配列番号225、配列番号527〜配列番号551または配列番号552〜配列番号1016またはそれらの変異体と、少なくとも90%相同的な(好ましくは同一の)それらの変異体に関し、それは基礎完全長ポリペプチドでない前記ペプチドと交差反応するT細胞を誘導する。
本発明は、配列番号1〜配列番号225、配列番号527〜配列番号551または配列番号552〜配列番号1024、または配列番号1〜配列番号225、配列番号527〜配列番号551または配列番号552〜配列番号1016と少なくとも90%相同的な(好ましくは同一の)それらの変異体からなる群から選択される配列を含んでなるペプチドにさらに関し、前記ペプチドまたは変異体は、8〜100、好ましくは8〜30、最も好ましくは8〜14アミノ酸の全長を有する。
本発明は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIの分子に結合する能力を有する、本発明によるペプチドにさらに関する。
本発明は、配列番号1〜配列番号225、配列番号527〜配列番号551または配列番号552〜配列番号1016に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる、本発明によるペプチドにさらに関する。
本発明は、ペプチドが(化学的に)修飾されおよび/または非ペプチド結合を含む、本発明によるペプチドにさらに関する。
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、ペプチドは、融合タンパク質の一部であり、特にHLA−DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸を含んでなり、またはペプチドは、例えば樹状細胞特異的抗体などの抗体に(またその中に)融合する。
本発明は、本発明によるペプチドをエンコードする核酸にさらに関するが、ただしペプチドは完全ヒトタンパク質でない。
本発明は、DNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせである、本発明による核酸にさらに関する。
本発明は、本発明による核酸を発現する能力がある発現ベクターにさらに関する。
本発明は、医療で使用するための、本発明によるペプチド、本発明による核酸、または本発明による発現ベクターにさらに関する。
本発明は、本発明による核酸または本発明による発現ベクターを含んでなる、宿主細胞にさらに関する。
本発明は、抗原提示細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。
本発明は、抗原提示細胞が樹状細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。
本発明は、記載される宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる、本発明によるペプチドを製造する方法にさらに関する。
本発明は、CTLを、適切な抗原細胞の表面に発現される抗原負荷ヒトクラスIまたはII MHC分子に、前記CTLを抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり、生体外で接触させるステップを含んでなる、活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を製造するインビトロ法にさらに関し、前記抗原は、本発明による任意のペプチドである。
本発明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、前記抗原が、適切な抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはIIMHC分子上に負荷される、記載される方法にさらに関する。
本発明は、抗原提示細胞が、配列番号1〜配列番号225、配列番号527〜配列番号551または配列番号552〜配列番号1016を含有する前記ペプチドを発現する能力がある、発現ベクター、または前記変異アミノ酸配列を含んでなる、本発明による方法にさらに関する。
本発明は、記載されるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する、本発明による方法によって製造される、活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)にさらに関する。
本発明は、本発明による有効数の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を患者に投与するステップを含んでなる、本発明による任意のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する標的細胞を患者において死滅させる方法にさらに関する。
本発明は、薬剤としての、または薬剤の製造における、本発明による任意のペプチド、本発明による核酸、本発明による発現ベクター、本発明による細胞、または本発明による活性化細胞傷害性Tリンパ球の使用にさらに関する。
本発明は、薬剤がワクチンである、本発明による使用にさらに関する。
本発明は、薬剤ががんに対して有効である、本発明による使用にさらに関する。
本発明は、前記がん細胞がCLL細胞またはその他の非固形腫瘍細胞である、本発明による使用にさらに関する。
本発明は、CLLの予後診断で使用され得る、特定のマーカータンパク質および生物マーカーにさらに関する。
さらに、本発明は、がん治療のための、本発明によって記載されるような新規標的の使用に関する。
「抗体(単数)」または「抗体(複数)」という用語は、本明細書では広義に使用され、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の双方を含む。本発明によれば、「抗体」という用語には、所望の特性(例えば、CLLマーカーポリペプチドの特異的結合、増大したレベルでCLLマーカー遺伝子を発現するCLL(白血病(leukimea))細胞への毒素送達、および/またはCLLマーカーポリペプチドの活性阻害)のいずれかを示しさえすれば、未変性または「完全」免疫グロブリン分子に加えて、これらの免疫グロブリン分子のフラグメントまたはポリマー、および免疫グロブリン分子のヒト化バージョンもまた含まれる。
可能な場合は常に、本発明の抗体は、商業的供給元から購入されてもよい。また本発明の抗体は、周知の方法を使用して作成されてもよい。当業者は、本発明の抗体を作成するために、完全長CLLマーカーポリペプチドまたはその断片のどちらを使用してもよいことを理解するであろう。本発明の抗体を作成するために使用されるポリペプチドは、天然原料から部分的にまたは完全に精製されてもよく、または組換えDNA技術を使用して製造されてもよい。
例えば、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016ポリペプチドに記載のペプチド、またはその変異体または断片などの本発明によるペプチドをコードするcDNAは、原核細胞(例えば、細菌)または真核細胞(例えば、酵母、昆虫、または哺乳類細胞)で発現され得て、その後、組換えタンパク質が精製され使用されて、本発明による抗体を作成するのに使用されるCLLマーカーポリペプチドと特異的に結合する、モノクローナルまたはポリクローナル抗体製剤が作成され得る。
当業者は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の2つ以上の異なるセットの作成が、その目的の用途(例えば、ELISA、免疫組織化学的検査、生体内イメージング、免疫毒素療法)に必要な特異性および親和性がある抗体を入手する可能性を最大化することを理解するであろう。抗体は、それに対して抗体が使用される目的に従って、既知の方法によりそれらの所望の活性について試験された(例えば、ELISA、免疫組織化学的検査、免疫療法など;抗体の作成および試験のさらなるガイダンスについては、例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1988,new 2nd edition 2013を参照されたい)。例えば、抗体は、ELISAアッセイまたはウエスタンブロットで試験されてもよい。それらの最初の生体外特性解析後、治療または生体内診断用途を意図した抗体が、既知の臨床試験法によって試験される。
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書の用法では、実質的に均質な抗体集団から入手される抗体を指し;すなわち、母集団を構成する個々の抗体は、微量で存在してもよい可能な自然発生的変異を除いて同一である。本明細書では、「モノクローナル抗体」は、それらが所望の拮抗活性を示しさえすれば、その中で重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来しまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する、抗体中の対応する配列と同一または相同的である一方、鎖の残部が、別の種に由来しまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する、抗体中の対応する配列と同一または相同的である、「キメラ」抗体、ならびにこのような抗体の断片を特に含む(その内容全体を本明細書に援用する、米国特許第4,816,567号明細書)。
本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法を使用して調製されてもよい。ハイブリドーマ法では、マウスまたはその他の適切な宿主動物が免疫剤によって典型的に免疫化されて、免疫剤と特異的に結合する抗体を産生するまたは産生できるリンパ球を生じさせる。代案としては、リンパ球は、生体外で免疫化されてもよい。
モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号明細書に記載されるものなどの組換えDNA法によって作成されてもよい。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して、容易に単離および配列決定され得る(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合できる、オリゴヌクレオチドプローブを使用して)。
インビトロ法もまた、一価の抗体を調製するのに適する。抗体フラグメント、特にFabフラグメントを製造するための抗体の消化は、当該技術分野で既知の通例の技術を使用して達成され得る。例えば、消化は、パパインを使用して実施され得る。パパイン消化の例は、国際公開第号パンフレット94/29348および米国特許第4,342,566号明細書に記載される。抗体のパパイン消化は、それぞれ単一抗原結合部位があるFabフラグメントと称される2つの同一の抗原結合フラグメントと、残りのFcフラグメントとを典型的に生成する。ペプシン処理は、F(ab’)断片およびpFc’断片をもたらす。
抗体フラグメントは、その他の配列に付着するかどうかに関わりなく、フラグメントの活性が非修飾抗体または抗体フラグメントと比較して顕著に変化せずまたは損なわれないという条件で、特定領域または特定アミノ酸残基の挿入、欠失、置換、またはその他の選択された修飾もまた含み得る。これらの修飾は、ジスルフィド結合能力のあるアミノ酸の除去/付加、そのバイオ寿命増大、その分泌特性改変などのいくつかの追加的な特性を提供し得る。いずれにしても、抗体フラグメントは、結合活性、結合領域における結合調節などの生理活性特性を有しなくてはならない。抗体の機能性または活性領域は、タンパク質の特定領域の変異誘発と、それに続く発現と、発現したポリペプチドの試験によって同定されてもよい。このような方法は、当該技術分野の熟練した実務家には容易に分かり、抗体フラグメントをエンコードする核酸の部位特異的変異誘発を含み得る。
本発明の抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体をさらに含んでなってもよい。非ヒト(例えばマウス)抗体などのヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(抗体のFv、Fab、Fab’またはその他の抗原結合部分配列など)である。ヒト化抗体としては、その中でレシピエントの相補性決定領域(CDR)に由来する残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト生物種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換される、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が挙げられる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体または移入CDRまたはフレームワーク配列のどちらにも見られない、残基を含んでなってもよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ典型的に2つの可変領域の実質的に全てを含んでなり、その中では、CDR領域の全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン共通配列のものである。ヒト化抗体は、至適には、典型的にヒト免疫グロブリン定常領域である、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部もまた含んでなる。
非ヒト抗体をヒト化する方法は、当該技術分野で周知である。通常、ヒト化抗体は、非ヒト起源から導入された、1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「移入」残基と称されることが多く、それは典型的に「移入」可変領域から得られる。ヒト化は、齧歯類CDR(複数)またはCDR(単数)配列を対応するヒト抗体配列によって置換することで、基本的に実施され得る。したがって、このような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号明細書)であり、その中では、実質的に非損傷でないヒト可変領域が、非ヒト生物種からの対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は典型的にヒト抗体であり、その中では、いくつかのCDR残基と、おそらくはいくつかのFR残基とが、齧歯類抗体中の類似部位に由来する残基によって置換されている。
免疫化されると、内在性免疫グロブリン産生の不在下でヒト抗体の完全レパートリーを産生できる、遺伝子組換え動物(例えばマウス)が用いられ得る。例えば、キメラおよび生殖細胞系変異マウスにおける、抗体重鎖連結領域遺伝子のホモ接合型欠失が、内在性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖細胞系変異マウスにおけるヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの転写は、抗原チャレンジに際してヒト抗体の産生をもたらす。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー中でも産生され得る。
本発明の抗体は、好ましくは薬学的に許容できる担体中で、対象に投与される。典型的に、製剤を等張にするために、製剤中で適当量の薬理的に許容可能な塩が使用される。薬理的に許容可能な担体の例としては、生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液が挙げられる。溶液のpHは、好ましくは約5〜約8、より好ましくは約7〜約7.5である。さらなる担体としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックス徐放性製剤が挙げられ、そのマトリックスは、例えば、フィルム、リポソームまたは微粒子などの造形品の形態である。当業者には、例えば、投与される抗体の投与経路および濃度次第で、特定の担体がより好ましくあってもよいことが明らかであろう。
抗体は、注射(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内)によって、またはその有効形態での血流への送達を確実にする輸液などのその他の方法によって、対象、患者、または細胞に投与され得る。抗体はまた、腫瘍内または腫瘍周囲経路によって投与されて、局所性ならびに全身性の治療効果を発揮してもよい。局所注射または静脈注射が好ましい。
抗体を投与するための有効投与量およびスケジュールは、経験的に判定されてもよく、このような測定の実施は、当該技術分野の技術範囲内である。当業者は、投与すべき抗体用量が、例えば、抗体を投与される対象、投与経路、使用される特定の抗体型、および投与されるその他の薬剤次第で変動することを理解するであろう。単独使用される抗体の典型的な1日量は、上述の要素次第で、1日あたり約1(μg/kg〜最大100mg/kg体重またはそれ以上の範囲であるかもしれない。CLLを治療するための抗体の投与に続いて、CLLに続発する治療用抗体の有効性が、熟練した実務家に良く知られている様々な様式で評価され得る(practitioner.s secondary to CLL)。
本発明の上記の表で言及されるようなペプチド(特にCLLに関連するもの)、ひいてはそれらの基礎ポリペプチドはCLLで高度に発現され、正常細胞ではかなりから極めて低いレベルで発現されるので、APOBEC3D、CDK14、RASGRF1、CDCA7L、CELSR1、AKAP2、CTDP1、DNMBP、TAGAP、ABCA6、DMXL1、PARP3、TP53I11、B4GALT1、IRF9、KDM2B、TBC1D22A、ZNF296、BACH2、PRR12、ZFAND5、ATP5G1、DMD、ARID5B、ZNF638、DDX46、RRM2B、BLNK、HSH2D、ERP44、METTL7A、ELP3、NLRP2、ZC3H12D、NELFE、ATP6V1C1、HLA−DMA、TUFM、EIF6、CKAP4、COBLL1、TMED4、TNFRSF13C、UBL7、CXorf21、ASUN、SL24D1、およびTRAF3IP3からなる群から選択されるタンパク質の発現またはそれらの活性の阻害が、好ましくは、CLLを治療または予防するための治療ストラテジーに組み込まれてもよい。
アンチセンス療法の原理は、(転写または翻訳を介した)遺伝子発現の配列特異的抑制が、ゲノムDNAまたはmRNAと相補的アンチセンス種との間の細胞内部ハイブリダイゼーションによって、達成されてもよいという仮説に基づく。このようなハイブリッド核酸二本鎖の形成は、標的腫瘍抗原エンコードゲノムDNAの転写、または標的腫瘍抗原mRNAのプロセッシング/輸送/翻訳および/または安定性を妨害する。
アンチセンス核酸は、多様なアプローチによって送達され得る。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスRNAは、腫瘍細胞への取り込みを可能にする形態で、(例えば静脈注射によって)対象に直接投与され得る。代案としては、アンチセンスRNA(またはRNAフラグメント)をコードする、ウイルスまたはプラスミドベクターが、生体内で細胞に導入され得る。アンチセンス効果はまた、センス配列によって誘導され得る;しかし表現型変化の程度は、極めて変わりやすい。効果的なアンチセンス療法によって誘導される表現型変化は、例えば、標的mRNAレベル、標的タンパク質レベル、および/または標的タンパク質活性レベルの変化によって評価される。
具体例では、アンチセンス遺伝子治療によるCLLマーカー機能の阻害は、アンチセンス肺腫瘍マーカーRNAの対象への直接投与によって達成されてもよい。アンチセンス腫瘍マーカーRNAは、任意の標準的な技術によって製造され単離されてもよいが、高効率プロモーター(例えばT7プロモーター)の制御下にあるアンチセンス腫瘍マーカーcDNAを使用する生体外転写によって、最も容易に製造される。アンチセンス腫瘍マーカーRNAの細胞への投与は、下に記載される直接的な核酸投与法のいずれかによって実施され得る。
抗タンパク質抗体または抗タンパク質抗体の一部の細胞内発現を伴う遺伝子治療を使用する、APOBEC3D、CDK14、RASGRF1、CDCA7L、CELSR1、AKAP2、CTDP1、DNMBP、TAGAP、ABCA6、DMXL1、PARP3、TP53I11、B4GALT1、IRF9、KDM2B、TBC1D22A、ZNF296、BACH2、PRR12、ZFAND5、ATP5G1、DMD、ARID5B、ZNF638、DDX46、RRM2B、BLNK、HSH2D、ERP44、METTL7A、ELP3、NLRP2、ZC3H12D、NELFE、ATP6V1C1、HLA−DMA、TUFM、EIF6、CKAP4、COBLL1、TMED4、TNFRSF13C、UBL7、CXorf21、ASUN、SL24D1、およびTRAF3IP3からなる群から選択されるタンパク質機能を阻害するための代案のストラテジー。例えば、APOBEC3D、CDK14、RASGRF1、CDCA7L、CELSR1、AKAP2、CTDP1、DNMBP、TAGAP、ABCA6、DMXL1、PARP3、TP53I11、B4GALT1、IRF9、KDM2B、TBC1D22A、ZNF296、BACH2、PRR12、ZFAND5、ATP5G1、DMD、ARID5B、ZNF638、DDX46、RRM2B、BLNK、HSH2D、ERP44、METTL7A、ELP3、NLRP2、ZC3H12D、NELFE、ATP6V1C1、HLA−DMA、TUFM、EIF6、CKAP4、COBLL1、TMED4、TNFRSF13C、UBL7、CXorf21、ASUN、SL24D1、およびTRAF3IP3からなる群から選択されるタンパク質に特異的に結合して、その生物学的活性を阻害するモノクローナル抗体をコードする遺伝子(または遺伝子フラグメント)が、核酸発現ベクター内で、特異的(例えば、組織または腫瘍特異的)遺伝子制御配列の転写制御下に置かれる。次にベクターは、CLL細胞またはその他の細胞に取り込まれるように対象に投与され、次に細胞は、抗タンパク質抗体を分泌し、それによってそれぞれのポリペプチドの生物学的活性を妨げる。好ましくは、タンパク質は、CLLがん細胞の細胞表面に存在する。
対象細胞への外来性DNA投与と取り込み(すなわち、遺伝子変換または形質移入)を含む上述の方法では、本発明の核酸は裸のDNAの形態であり得て、または核酸はCLL腫瘍マーカータンパク質発現を阻害するために、核酸を細胞に送達するベクター内にあり得る。ベクターは、アデノウイルスベクター(Quantum Biotechnologies,Inc.(Laval,Quebec,Canada)などの市販の調製物であり得る。核酸またはベクターの細胞への送達は、多様な機構を介し得る。一実施例として、送達はリポソームを介し得て、リポフェクチン、リポフェクタミン(GIBCO−25 BRL,Inc.,Gaithersburg,Md.),SUPERFECT(Qiagen,Inc.Hilden,Germany)、およびTRANSFECTAM(Promega Biotec,Inc.,Madison,Wis.US)などの市販のリポソーム調製物、ならびに当該技術分野で標準的な手順に従って開発されたその他のリポソームが使用される。さらに、本発明の核酸またはベクターは、そのための技術がGenetronics,Inc.(San Diego,US.)から入手できる電気穿孔によって、ならびにSONOPORATION装置(ImaRx Pharmaceutical Corp.,Tucson,Arizona,US)の手段によって、生体内に送達され得る。
一実施例として、ベクター送達は、組換えレトロウイルスゲノムをパッケージし得るレトロウイルスベクター系などのウイルス系を介し得る。次に組換えレトロウイルスを使用して細胞を感染させ、それによって感染細胞に、APOBEC3D、CDK14、RASGRF1、CDCA7L、CELSR1、AKAP2、CTDP1、DNMBP、TAGAP、ABCA6、DMXL1、PARP3、TP53I11、B4GALT1、IRF9、KDM2B、TBC1D22A、ZNF296、BACH2、PRR12、ZFAND5、ATP5G1、DMD、ARID5B、ZNF638、DDX46、RRM2B、BLNK、HSH2D、ERP44、METTL7A、ELP3、NLRP2、ZC3H12D、NELFE、ATP6V1C1、HLA−DMA、TUFM、EIF6、CKAP4、COBLL1、TMED4、TNFRSF13C、UBL7、CXorf21、ASUN、SL24D1、およびTRAF3IP3からなる群から選択されるタンパク質発現を阻害するアンチセンス核酸が送達され得る。改変核酸を哺乳類細胞に導入する正確な方法は、もちろん、レトロウイルスベクターの使用に限定されない。アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス性(AAV)ベクター、レンチウイルスベクター、偽型レトロウイルスベクターの使用をはじめとするその他の技術が、この手順のために一般的に利用可能である。リポソーム送達および受容体媒介およびその他のエンドサイトーシス機構などの物理的形質導入技術もまた、使用され得る。本発明は、これらのまたはその他の一般に使用される遺伝子導入方法のいずれかと併用され得る。
抗体はまた、生体内診断アッセイのために使用されてもよい。通常、抗体は、免疫シンチグラフィー(immunoscintiography)を使用して腫瘍が位置確認され得るように、放射性ヌクレオチド(111In、99Tc、14C、131I、H、32Pまたは35Sなど)で標識される。一実施形態では、抗体またはそれらの断片は、APOBEC3D、CDK14、RASGRF1、CDCA7L、CELSR1、AKAP2、CTDP1、DNMBP、TAGAP、ABCA6、DMXL1、PARP3、TP53I11、B4GALT1、IRF9、KDM2B、TBC1D22A、ZNF296、BACH2、PRR12、ZFAND5、ATP5G1、DMD、ARID5B、ZNF638、DDX46、RRM2B、BLNK、HSH2D、ERP44、METTL7A、ELP3、NLRP2、ZC3H12D、NELFE、ATP6V1C1、HLA−DMA、TUFM、EIF6、CKAP4、COBLL1、TMED4、TNFRSF13C、UBL7、CXorf21、ASUN、SL24D1、およびTRAF3IP3からなる群から選択されるタンパク質の2つ以上の標的の細胞外ドメインに結合し、親和性価(Kd)は1×10μM未満である。
診断用の抗体は、様々なイメージング法による検出に適するプローブで標識されてもよい。プローブ検出法としては、蛍光、光学、共焦点、および電子顕微鏡検査;磁気共鳴イメージングおよび分光法;蛍光透視法、コンピュータ断層撮影および陽電子放出断層撮影が挙げられるが、これに限定されるものではない。適切なプローブとしては、フルオレセイン、ローダミン、エオジン、およびその他のフルオロフォア、放射性同位体、金、ガドリニウム、およびその他のランタニド、常磁性鉄、フッ素18、およびその他の陽電子放出放射性核種が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、プローブは二官能価または多官能価であってもよく、列挙される方法の1つ以上によって検出可能である。これらの抗体は、前記プローブで直接または間接的に標識されてもよい。特に十分に技術分野で承認されている、プローブの抗体への付着としては、プローブの共有結合、プローブの抗体への組み込み、およびプローブ結合のためのキレート化合物の共有結合が挙げられる。免疫組織化学的検査では、疾患組織サンプルは、新鮮または冷凍であってもよく、またはパラフィン包埋されてホルマリンなどの保存料で固定されてもよい。サンプルを含有する固定または包埋切片は、標識一次抗体および二次抗体と接触されて、抗体を使用して原位置タンパク質発現が検出される。
本発明は、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016からなる群から選択される配列を含んでなるペプチド、または配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016と90%相同的なそれらの変異体、または前記ペプチドと交差反応するT細胞を誘導するそれらの変異体を提供する。
本発明のペプチドは、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIおよび/またはクラスIIの分子に結合する能力を有する。
本発明では、「相同的」という用語は、2つのアミノ酸配列、すなわちペプチドまたはポリペプチド配列の配列間の同一性の程度(上の同一性百分率を参照されたい)を指す。前述の「相同性」は、比較される配列にわたり、最適条件下でアライメントされた2つの配列を比較することで判定される。このような配列相同性は、例えばClustalWアルゴリズムを使用してアライメントを作成することで、計算され得る。一般に利用できる配列解析ソフトウェア、より具体的には、Vector NTI、GENETYXまたはその他の分析ツールが、公共データベースによって提供される。
当業者は、特定のペプチドの変異型によって誘導されるT細胞が、ペプチドそれ自体と交差反応できるかどうかを評価できるであろう(Fong L,et al.Altered peptide ligand vaccination with Flt3 ligand expanded dendritic cells for tumor immunotherapy.Proc Natl Acad Sci USA.2001 Jul 17;98(15):8809−14;Zaremba S,et al.Identification of an enhancer agonist cytotoxic T lymphocyte peptide from human carcinoembryonic antigen.Cancer Res.1997 Oct 15;57(20):4570−7;Colombetti S,et al.Impact of orthologous melan−A peptide immunizations on the anti−self melan−A/HLA−A2 T cell cross−reactivity.J Immunol.2006 Jun 1;176(11):6560−7;Appay V,et al.Decreased specific CD8+ T cell cross−reactivity of antigen recognition following vaccination with Melan−A peptide.Eur J Immunol.2006 Jul;36(7):1805−14)。
所与のアミノ酸配列の「変異型」によって、本発明者らは、ペプチドが、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016からなる(in consisting of)所与のアミノ酸配列からなるペプチドと実質的に同様に、HLA分子となおも結合できるように、(例えば、それらを別の天然アミノ酸残基の側鎖で、またはその他の側鎖で、置換することにより)例えば、アミノ酸の1つまたは2つの残基の側鎖が改変されることを意味する。例えばペプチドは、それがHLA−A*02または−DRなどの適切なMHC分子の結合溝と相互作用して結合する能力を改善せずとも、少なくとも維持するように修飾されてもよく、そのようにしてそれは、活性化CTLのTCRに結合する能力を改善せずとも、少なくとも維持する。
これらのCTLは、引き続いて細胞と交差反応して、本発明の態様で定義される同族ペプチドの天然アミノ酸配列を含有するポリペプチドを発現する細胞を殺滅し得る。学術文献(Godkin A,et al. Use of eluted peptide sequence data to identify the binding characteristics of peptides to the insulin−dependent diabetes susceptibility allele HLA−DQ8(DQ 3.2).Int Immunol.1997 Jun;9(6):905−11)およびデータベース(Rammensee H.et al.SYFPEITHI:database for MHC ligands and peptide motifs.Immunogenetics.1999 Nov;50(3−4):213−9)から誘導され得るように、HLA結合ペプチドの特定の位置は、典型的に、アンカー残基であり、結合溝を構成するポリペプチド鎖の極性、電気物理的、疎水性、および空間特性によって画定されるHLA受容体の結合モチーフと適合する、コア配列を形成する。したがって当業者は、既知のアンカー残基を維持することで、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016に記載されるアミノ酸配列を修飾でき、このような変異型が、MHCクラスIまたはII分子に結合する能力を維持するかどうかを判定できる。本発明の変異型は、活性化CTLのTCRに結合する能力を維持して、それは引き続いて細胞と交差反応して、本発明の態様で定義されるような同族ペプチドの天然アミノ酸配列を含有するポリペプチドを発現する細胞を殺滅し得る。
T細胞受容体との相互作用に実質的に寄与しないアミノ酸残基は、その組み込みが、T細胞反応性に実質的に影響を及ぼさず、関連MHCとの結合を排除しない、別のアミノ酸での置換によって修飾され得る。したがって与えられた但し書きを除いて、本発明のペプチドは、与えられたようなアミノ酸配列またはそれらの部分または変異体を含む、任意のペプチド(本発明者らは、その用語にオリゴペプチドまたはポリペプチドを含める)であってもよい。
より長いペプチドもまた、適切であってもよい。MHCクラスIエピトープは、通常は8〜11アミノ酸長であるが、実際のエピトープを含むより長いペプチドまたはタンパク質から、ペプチドプロセッシングによって作成することも可能である。実際のエピトープ側面に位置する残基は、プロセッシング中に実際のエピトープを曝露させるのに必要なタンパク質分解切断に、実質的に影響を及ぼさない残基であることが好ましい。
したがって、本発明は、MHCクラスIエピトープのペプチドおよび変異型もまた提供し、ペプチドまたは変異型は、8〜100、好ましくは8〜30、最も好ましくは8〜14、すなわち8、9、10、11、12、13、14アミノ酸の全長を有し、クラスII結合ペプチドの場合は、長さはまた、15、16、17、18、19、20、21または22アミノ酸であり得る。
もちろん、本発明によるペプチドまたは変異型は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIの分子に結合する能力を有する。ペプチドまたは変異体のMHC複合体への結合は、当該技術分野で既知の方法によって試験されてもよい。
本発明の特に好ましい実施形態では、ペプチドは、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる。
「から本質的になる」は、本発明によるペプチドが、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016のいずれかに記載の配列またはそれらの変異体に加えて、MHC分子エピトープのためのエピトープとして機能するペプチドの一部を必ずしも構成しない、追加的なNおよび/またはC末端に位置するアミノ酸の一続きの配列を含有することを意味するものとする。
それでもなお、これらの配列は、本発明によるペプチドの細胞への効率的な導入を提供する上で重要であり得る。本発明の一実施形態では、ペプチドは、例えば、NCBI、GenBank受入番号X00497に由来する、HLA−DR抗原関連不変鎖の80個のN末端アミノ酸を含んでなる、融合タンパク質である(p33、以下の「Ii」)。その他の融合物中では、本発明のペプチドは、本明細書に記載されるような抗体、またはその機能的部分に、特に抗体の配列中に、前記抗体によって特異的に標的化されるように融合し得て、または例えば樹状細胞に対して特異的な抗体に、またはその中に融合し得る。
さらにペプチドまたは変異型は、より強力な免疫応答を引き起こすために、安定性および/またはMHC分子への結合を改善するようにさらに修飾されてもよい。ペプチド配列のこのような最適化方法は当該技術分野で周知であり、例えば、逆ペプチド結合または非ペプチド結合の導入が挙げられる。
逆ペプチド結合中では、アミノ酸残基はペプチド(−CO−NH−)結合によって連結せず、ペプチド結合が逆転する。このようなレトロ−インベルソペプチド模倣剤は、例えば、参照により本明細書に援用される、Meziere et al(1997)J.Immunol.159,3230−3237に記載されるものなどの、当該技術分野で公知の方法を使用して製造されてもよい。このアプローチは、側鎖の方向でなく骨格に関与する変化を含有する、擬ペプチド生成に関与する。Meziere et al(1997)は、MHC結合およびTヘルパー細胞応答のために、これらの擬ペプチドが有用であることを示す。CO−NHペプチド結合の代わりにNH−CO結合を含有するレトロ−インバースペプチドは、タンパク質分解に対してはるかにより高い耐性がある。
非ペプチド結合は、例えば、−CH−NH、−CHS−、−CHCH−、−CH=CH−、−COCH−、−CH(OH)CH−、および−CHSO−である。米国特許第4,897,445号明細書は、標準手順によって合成されるポリペプチド、およびNaCNBHの存在下でアミノアルデヒドとアミノ酸を反応させることで合成される非ペプチド結合が関与する、ポリペプチド鎖中で非ペプチド結合(−CH−NH)を固相合成する方法を提供する。
上述の配列を含んでなるペプチドは、それらのアミノおよび/またはカルボキシ末端に存在する追加的な化学基と共に合成されて、ペプチドの安定性、生物学的利用能、および/または親和性が向上されてもよい。例えば、カルボベンゾキシル、ダンシル、またはt−ブチルオキシカルボニル基などの疎水性基が、ペプチドのアミノ末端に付加されてもよい。同様に、アセチル基または9−フルオレニルメトキシカルボニル基が、ペプチドのアミノ末端に配置されてもよい。さらに、疎水性基、t−ブチルオキシカルボニル、またはアミド基が、ペプチドのカルボキシ末端に付加されてもよい。
さらに、本発明のペプチドは、それらの立体配置を改変させるように合成されてもよい。例えば、通常のL異性体でなく、ペプチドのアミノ酸残基の1つまたは複数のD異性体が使用されてもよい。なおもさらに、本発明のペプチドのアミノ酸残基の少なくとも1つは、良く知られている非天然起源アミノ酸残基の1つで置換されてもよい。これらのような変化は、本発明のペプチドの安定性、生物学的利用能および/または結合作用の増大に役立ってもよい。
同様に、本発明のペプチドまたは変異体は、ペプチド合成の前または後のどちらかに、特異的アミノ酸を反応させることで、化学的に修飾されてもよい。このような修飾の例は、当該技術分野で周知であり、例えば、参照により本明細書に援用される、Lundblad,Chemical Reagents for Protein Modification,3rd ed.CRC Press,2005に要約される。アミノ酸の化学修飾としては、これに限定されるものではないが、アシル化、アミド化、アミジン化、リジンのピリドキシル化、還元アルキル化、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化、カルボキシル基のアミド修飾、およびシステインからシステイン酸への過ギ酸の酸化によるスルフヒドリル修飾、水銀誘導体形成、その他のチオール化合物との混合ジスルフィド形成、マレイミドとの反応、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化、およびアルカリ性pHでのシアネートによるカルバモイル化による修飾が挙げられるが、これに限定されるものではない。この点において、当業者は、タンパク質の化学修飾に関するより詳細な手順について、Chapter 15 of Current Protocols In Protein Science,Eds.Coligan et al.(John Wiley and Sons NY 1995−2000)を参照されたい。
簡単に述べると、例えばタンパク質中のアルギニル残基の修飾は、付加体を形成するためのフェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、および1,2−シクロヘキサンジオンなどの、隣接するジカルボニル化合物の反応に基づくことが多い。別の例は、メチルグリオキサールとアルギニン残基の反応である。システインは、リジンおよびヒスチジンなどのその他の求核性部位の同時の修飾なしに修飾され得る。その結果、多数の試薬がシステイン修飾のために利用可能である。Sigma−Aldrichなどの会社のウェブサイト(http://www.sigma−aldrich.com)が、特定の試薬に関する情報を提供する。
タンパク質中のジスルフィド結合の選択的還元もまた、一般的である。ジスルフィド結合は、生物医薬品の加熱処理中に形成されて酸化され得る。
ウッドワード試薬Kを使用して、特定のグルタミン酸残基が修飾されてもよい。N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N’−エチルカルボジイミドを使用して、リジン残基とグルタミン酸残基の間に分子内架橋が形成され得る。
例えばジエチルピロ炭酸は、タンパク質中のヒスチジル残基修飾のための試薬である。ヒスチジンはまた、4−ヒドロキシ−2−ノネナールを使用して修飾され得る。
リジン残基およびその他のα−アミノ基の反応物は、例えば、ペプチドの表面への結合またはタンパク質/ペプチド架橋で有用である。リジンはポリ(エチレン)グリコールの付着部位であり、タンパク質のグリコシル化の主要な修飾部位である。
タンパク質中のメチオニン残基は、例えば、ヨードアセトアミド、ブロモエチルアミン、およびクロラミンTによって修飾され得る。
テトラニトロメタンおよびN−アセチルイミダゾールを使用して、チロシル残基が修飾され得る。ジチロシンの形成を通じた架橋は、過酸化水素/銅イオンによって達成され得る。
トリプトファンの修飾に関する最近の研究では、N−ブロモサクシニミド、臭化2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルまたは3−ブロモ−3−メチル−2−(2−ニトロフェニルメルカプト)−3H−インドール(BPNS−スカトール)が使用された。
PEGによる治療用タンパク質およびペプチドの成功裏の修飾が、循環半減期の延長と関係することが多い一方で、タンパク質と、グルタルアルデヒド、ポリエチレングリコールジアクリレート、およびホルムアルデヒドとの架橋は、ハイドロゲル調製のために使用される。免疫療法のためのアレルゲンの化学修飾は、カリウムシアネートを用いたカルバミル化によって達成されることが多い。
ペプチドが修飾されまたは非ペプチド結合を含む、ペプチドまたは変異型は、本発明の好ましい実施形態である。通常、ペプチドおよび変異体(少なくともアミノ酸残基の間にペプチド結合を含有するもの)は、Lukas et al.(Solid−phase peptide synthesis under continuous−flow conditions.Proc Natl Acad Sci U S A.May 1981;78(5):2791−2795)、およびその中の参考文献で開示されるようなFmoc−ポリアミド型固相ペプチド合成で合成されてもよい。一時的なN−アミノ基保護は、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によってもたらされる。この高度に塩基不安定性の保護基の反復性切断は、N、N−ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンを使用して実施される。側鎖機能性は、それらのブチルエーテル(セリン、スレオニン、およびチロシンの場合)、ブチルエステル(グルタミン酸およびアスパラギン酸の場合)、ブチルオキシカルボニル誘導体(リジンおよびヒスチジンの場合)、トリチル誘導体(システインの場合)、および4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル誘導体(アルギニンの場合)として保護されてもよい。グルタミンまたはアスパラギンがC末端残基である場合、側鎖アミド官能基を保護するために、4,4’−ジメトキシベンズヒドリル基が活用される。固相担体は、ジメチルアクリルアミド(骨格−単量体)、ビスアクリロイルエチレンジアミン(架橋剤)、およびアクリロイルサルコシンメチルエステル(機能化因子)の3つの単量体から構成される、ポリジメチル−アクリルアミドポリマーをベースとする。使用されるペプチド−対−樹脂の切断可能な結合因子は、酸不安定性4−ヒドロキシメチル−フェノキシ酢酸誘導体である。逆転N,N−ジシクロヘキシル−カルボジイミド/1ヒドロキシベンゾトリアゾール媒介性共役手順を使用して付加される、アスパラギンおよびグルタミンを除く全てのアミノ酸誘導体は、それらのあらかじめ形成された対称的な無水物誘導体として添加される。全ての共役および脱保護反応は、ニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸またはイサチン(isotin)試験手順を使用してモニターされる。合成完了時に、50%スカベンジャー混合物を含有する95%トリフルオロ酢酸での処理によって、ペプチドは樹脂担体から切断され、側鎖保護基が同時に除去される。一般に使用されるスカベンジャーとしては、エタンジチオール、フェノール、アニソール、および水が挙げられ、正確な選択は、合成されるペプチドの構成アミノ酸に左右される。ペプチドの合成のための固相法と溶液相法の組み合わせもまた、可能である(例えば、Bruckdorfer et al.,2004およびその中で引用される参考文献を参照されたい)。
トリフルオロ酢酸は真空蒸発によって除去され、引き続くジエチルエーテルとの磨砕は、粗製ペプチドをもたらす。存在する任意のスカベンジャーは、単純な抽出処理によって除去され、それは水相の凍結乾燥時に、スカベンジャーを含まない粗製ペプチドを与える。ペプチド合成のための試薬は、例えば、Calbiochem−Novabiochem(UK)Ltd,Nottingham NG7 2QJ,UKから一般に入手できる。
精製は、再結晶化、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および(通常は)例えばアセトニトリル/水勾配分離を使用した逆相高速液体クロマトグラフィーなどの技術の任意の1つまたは組み合わせによって、実施されてもよい。
ペプチドの分析は、薄層クロマトグラフィー、電気泳動法、特にキャピラリー電気泳動法、固相抽出(CSPE)、逆相高速液体クロマトグラフィー、酸加水分解後のアミノ酸分析、高速原子衝撃(FAB)質量分光分析、ならびにMALDIおよびESI−Q−TOF質量分光分析を使用して実施されてもよい。
本発明のさらなる態様は、本発明のペプチドまたはペプチド変異体をエンコードする核酸(例えばポリヌクレオチド)を提供する。ポリヌクレオチドは、それがペプチドをコードしさえすれば、例えば、単鎖および/または二本鎖のいずれかのDNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってもよく、または例えばホスホロチオエート骨格があるポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドの未変性または安定化形態であってもよく、それはイントロンを含有してもまたはしなくてもよい。もちろん、天然起源ペプチド結合によって連結する天然アミノ酸残基を含有するペプチドのみが、ポリヌクレオチドによってエンコード可能である。本発明のなおもさらなる態様は、本発明によるポリペプチドを発現する能力がある、発現ベクターを提供する。
例えば相補的付着端を通じて、ポリヌクレオチド、特にDNAをベクターに連結する、多様な方法が開発されている。例えば、ベクターDNAに挿入されるDNA断片に、相補的ホモポリマー配列が付加され得る。次に、相補的ホモポリマー尾部間の水素結合によって、ベクターとDNA断片が連結されて、組換えDNA分子が形成する。
1つまたは複数の制限酵素認識部位を含有する合成リンカーは、DNA断片をベクターに連結する代替え方法を提供する。多様な制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する合成リンカーは、International Biotechnologies Inc.New Haven,CN,USAをはじめとするいくつかの供給元から、商業的に入手できる。
本発明のポリペプチドをコードするDNAを修飾する望ましい方法は、Saiki RK,et al.(Diagnosis of sickle cell anemia and beta−thalassemia with enzymatically amplified DNA and nonradioactive allele−specific oligonucleotide probes.N Engl J Med.1988 Sep 1;319(9):537−41)で開示されるようなポリメラーゼ連鎖反応を用いる。この方法は、例えば適切な制限酵素認識部位を改変することで、DNAを適切なベクターに導入するために使用されてもよく、またはそれは、当該技術分野で既知のその他の有用な様式でDNAを修飾するために使用されてもよい。ウイルスベクターを使用するのであれば、ポックスウイルスまたはアデノウイルスベクターが好ましい。
次にDNA(またはレトロウイルスベクターの場合はRNA)を適切な宿主中で発現させて、本発明のペプチドまたは変異体を含んでなるポリペプチドが製造されてもよい。このようにして、本明細書に含まれる教示を考慮して適切に修正された既知の技術に従って、本発明のペプチドまたは変異体をコードするDNAを使用して、発現ベクターが構築されてもよく、次にそれを使用して、本発明のポリペプチドの発現および製造のために、適切な宿主細胞が形質転換される。このような技術としては、米国特許第4,440,859号明細書、米国特許第4,530,901号明細書、米国特許第4,582,800号明細書、米国特許第4,677,063号明細書、米国特許第4,678,751号明細書、米国特許第4,704,362号明細書、米国特許第4,710,463号明細書、米国特許第4,757,006号明細書、米国特許第4,766,075号明細書、および米国特許第4,810,648号明細書で開示されるものが挙げられる。
本発明の化合物を構成するポリペプチドをエンコードするDNA(またはレトロウイルスベクターの場合はRNA)は、適切な宿主への導入のために、多種多様なその他のDNA配列に連結されてもよい。コンパニオンDNAは、宿主の性質、DNAの宿主への導入様式、およびエピソームの維持または組み込みが所望されるかどうかに左右される。
一般に、DNAは、発現のための適切な方向および正しい読み枠で、プラスミドなどの発現ベクター中に挿入される。必要ならば、DNAは、所望の宿主によって認識される、適切な転写および翻訳制御調節ヌクレオチド配列に連結されてもよいが、このような調節は、一般に発現ベクター内で利用できる。次に、標準的な技術を通じて、ベクターが宿主に導入される。一般に、宿主の全てがベクターによって形質転換されるわけではない。したがって、形質転換された宿主細胞を選択することが必要になる。一選択技術は、抗生物質耐性などの形質転換細胞内で選択可能な形質をコードする、任意の必要な制御要素があるDNA配列を発現ベクター内に組み込むことを伴う。
代案としては、このような選択可能な形質の遺伝子は、所望の宿主細胞を同時形質転換するのに使用される、別のベクター上にあり得る。
次に本明細書で開示される教示を考慮して、当業者に知られている適切な条件下で十分な時間にわたり、本発明の組換えDNAによって形質転換された宿主細胞を培養してポリペプチドの発現を可能にし、次にそれを回収し得る。
細菌(例えば大腸菌(E.coli)およびバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、酵母(例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌(例えばアスペルギルス属(Aspergillus))、植物細胞、動物細胞、および昆虫細胞をはじめとする多数の発現系が知られている。好ましくは、細胞系は、ATCC Cell Biology Collectionから入手できるCHO細胞などの哺乳類細胞であり得る。
構成的発現のための典型的な哺乳類細胞ベクタープラスミドは、適切なポリA尾部と、ネオマイシンなどの耐性マーカーとがある、CMVまたはSV40プロモーターを含んでなる。一例は、Pharmacia,Piscataway,NJ,USAから入手できるpSVLである。誘導性哺乳類発現ベクターの一例であるpMSGもまた、Pharmaciaから入手できる。有用な酵母プラスミドベクターは、pRS403−406およびpRS413−416であり、通常、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037,USAから入手できる。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405、およびpRS406は、酵母組み込みプラスミド(YIps)であり、酵母の選択可能なマーカーHIS3、TRP1、LEU2、およびURA3が組み込まれている。プラスミドpRS413−416は、酵母セントロメアプラスミド(Ycps)である。CMVプロモーターベースのベクター(例えばSigma−Aldrich製)は、一過性または安定性発現、細胞質内発現または分泌、およびFRAG、3xFLAG、c−mycまたはMATの様々な組み合わせでのN末端またはC末端標識付けを提供する。これらの融合タンパク質は、組換えタンパク質を検出、精製、および分析できるようにする。二重標識融合物は、検出に融通性を与える。
強力なヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター調節領域は、COS細胞内において、構成タンパク質発現レベルを1mg/L程度の高さに上昇させる。効力がより低い細胞系では、タンパク質レベルは、典型的に約0.1mg/Lである。SV40複製起点の存在は、SV40複製許容COS細胞内で、高レベルのDNA複製をもたらす。例えば、CMVベクターは、細菌細胞内のpMB1(pBR322の誘導体)複製起点、細菌内のアンピシリン耐性選択のためのb−ラクタマーゼ遺伝、hGHポリA、およびf1起点を含有し得る。プレプロトリプシンリーダー(PPT)配列を含有するベクターは、抗FRAG抗体、樹脂、およびプレートを使用した精製のために、培養液中へのFRAG融合タンパク質分泌を誘導し得る。多様な宿主細胞で使用するためのその他のベクターおよび発現系が、当該技術分野で周知である。
別の実施形態では、本発明の2つ以上のペプチドまたはペプチド変異型がコードされ、したがって順次発現される(「数珠玉構造」コンストラクトに類似する)。その際に、ペプチドまたはペプチド変異型は、例えばLLLLLLなどの一続きのリンカーアミノ酸によって、共に連結または融合してもよく、またはそれらの間のいかなる追加的なペプチドもなしに連結してもよい。
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドベクターコンストラクトで形質転換された宿主細胞にも関する。宿主細胞は、原核または真核生物のどちらかであり得る。細菌細胞は、いくつかの状況では、好ましい原核宿主細胞であってもよく、典型的には、例えば、Bethesda Research Laboratories Inc.,Bethesda,MD,USAから入手できる大腸菌(E.coli)DH5株、およびRockville,MD,USAの米国微生物系統保存機関(ATCC)から入手できるRR1(ATCC番号31343)などの大腸菌(E.coli)株である。好ましい真核宿主細胞としては、酵母、昆虫、および哺乳類細胞、好ましくはマウス、ラット、サルまたはヒト線維芽および結腸細胞系に由来するものなどの脊椎動物細胞が挙げられる。酵母宿主細胞としては、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037,USAから一般に入手できる、YPH499、YPH500、およびYPH501が挙げられる。好ましい哺乳類宿主細胞としては、ATCCからCCL61として入手できるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ATCCからCRL1658として入手できるNIH Swissマウス胚細胞NIH/3T3、ATCCからCRL1650として入手できるサル腎臓由来COS−1細胞、およびヒト胎児由来腎臓細胞である293細胞が挙げられる。好ましい昆虫細胞は、バキュロウイルス発現ベクターで形質移入され得るSf9細胞である。発現のための適切な宿主細胞の選択に関する概説は、例えば、Paulina Balbas and Argelia Lorence”Methods in Molecular Biology Recombinant Gene Expression,Reviews and Protocols,”Part One,Second Edition,ISBN 978−1−58829−262−9による教科書、および当業者に知られているその他の文献にある。
本発明のDNAコンストラクトによる適切な細胞宿主の形質転換は、典型的に使用されるベクターのタイプに左右される、周知の方法によって達成される。原核宿主細胞の形質転換に関しては、例えば、Cohen et al(1972)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69,2110,and Sambrook et al(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NYを参照されたい。酵母細胞の形質転換は、Sherman et al(1986)Methods In Yeast Genetics,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NYに記載される。Beggs(1978)Nature 275,104−109の方法もまた有用である。脊椎動物細胞に関しては、このような細胞を形質移入するのに有用である、例えばリン酸カルシウムおよびDEAE−デキストランまたはリポソーム製剤などの試薬は、Stratagene Cloning Systems,or Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD 20877,USAから入手できる。電気穿孔もまた、細胞を形質転換および/または形質移入するのに有用であり、酵母細胞、細菌細胞、昆虫細胞、および脊椎動物細胞を形質転換する技術分野で周知である。
成功裏に形質転換された細胞、すなわち本発明のDNAコンストラクトを含有する細胞は、PCRなどの周知の技術によって同定され得る。代案としては、上清タンパク質の存在は、抗体を使用して検出され得る。
例えば、細菌、酵母、および昆虫細胞などの本発明の特定の宿主細胞は、本発明のペプチドの調製において有用であることが理解されるであろう。しかしその他の宿主細胞が、特定の治療法において有用であってもよい。例えば、樹状細胞などの抗原提示細胞は、それらが適切なMHC分子内に負荷されてもよいように、本発明のペプチドを発現するために有用に使用されてもよい。したがって、本発明は、本発明による核酸または発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。
好ましい実施形態では、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞または抗原提示細胞である。前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)を含有する組換え融合タンパク質が負荷されたAPCは、無症候性または微小症候性転移性HRPCを治療するために、2010年4月20日に米国食品医薬品局(FDA)によって認可された(シプロイセル−T)(Small EJ,et al.Placebo−controlled phase III trial of immunologic therapy with sipuleucel−T(APC8015)in patients with metastatic,asymptomatic hormone refractory prostate cancer.J Clin Oncol.2006 Jul 1;24(19):3089−94.Rini et al.Combination immunotherapy with prostatic acid phosphatase pulsed antigen−presenting cells(provenge)plus bevacizumab in patients with serologic progression of prostate cancer after definitive local therapy.Cancer.2006 Jul 1;107(1):67−74)。
本発明のさらなる態様は、宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる。ペプチドまたはその変異型を製造する方法を提供する。
別の実施形態では、本発明のペプチド、核酸または発現ベクターは、医療で使用される。例えば、ペプチドまたはその変異型は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、筋肉内(i.m.)注射のために調合されてもよい。ペプチド注射の好ましい方法としては、s.c.、i.d.、i.p.、i.m.、およびi.v.が挙げられる。DNA注射の好ましい方法としては、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、およびi.v.が挙げられる。例えば50μg〜1.5mg、好ましくは125μg〜500μgのペプチドまたはDNAの用量が投与されてもよく、それぞれのペプチドまたはDNAに左右される。この範囲の用量は、以前の治験で成功裏に使用された(Walter et al Nature Medicine 18,1254−1261(2012))。
本発明の別の態様は、生体外T細胞を、適切な抗原提示細胞の表面に発現される抗原負荷ヒトMHC分子に、T細胞を抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり接触させるステップを含んでなる、活性化T細胞を製造するインビトロ法を含み、抗原は本発明によるペプチドである。好ましくは、抗原提示細胞と共に、十分な量の抗原が使用される。
好ましくは、哺乳類細胞は、TAPペプチド輸送体を欠き、またはそのレベルまたは機能が低下している。TAPペプチド輸送体を欠く適切な細胞としては、T2、RMA−S、およびショウジョウバエ細胞が挙げられる。TAPは、抗原処理に関連する輸送体である。
ヒトペプチド負荷欠損細胞系T2は、12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland 20852,USAの米国微生物系統保存機関からカタログ番号CRL1992の下に入手でき;ショウジョウバエ細胞系Schneider系統2は、カタログ番号CRL19863の下にATCCから入手でき;マウスRMA−S細胞系は、Karre et al 1985(Ljunggren,H.−G.,and K.Karre.1985.J.Exp.Med.162:1745)に記載される。
好ましくは、宿主細胞は、形質移入前に、MHCクラスI分子を実質的に発現しない。刺激因子細胞が、B7.1、B7.2、ICAM−1、およびLFA3のいずれかなどのT細胞のための共刺激シグナルを提供する上で、重要な分子を発現することもまた好ましい。多数のMHCクラスI分子および共刺激因子分子の核酸配列は、GenBankおよびEMBLデータベースから公的に入手可能である。
MHCクラスIエピトープが抗原として使用される場合、T細胞はCD8陽性CTLである。
抗原提示細胞が形質移入されて、このようなエピトープを発現する場合、好ましくは細胞は、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016またはその変異アミノ酸配列を含有するペプチドを発現する能力がある、発現ベクターを含んでなる。
生体外でCTLを生成するために、その他のいくつかの方法が使用されてもよい。例えば、自己由来腫瘍浸潤性リンパ球が、CTLを生成するために使用され得る。Plebanski et al(1995)(Induction of peptide−specific primary cytotoxic T lymphocyte responses from human peripheral blood.Eur J Immunol.1995 Jun;25(6):1783−7)は、CTLの調製において自己由来末梢血リンパ球(PLB)を利用する。さらに、樹状細胞をペプチドまたはポリペプチドでパルス処理する、または組換えウイルスで感染させることによる、自己由来CTLの製造も可能である。B細胞もまた、自己由来CTLの製造で使用され得る。さらに、ペプチドまたはポリペプチドでのマクロファージパルス、または組換えウイルスによる感染が、自己CTLの調製で使用されてもよい。S.Walter et al.2003(Cutting edge:predetermined avidity of human CD8 T cells expanded on calibrated MHC/anti−CD28−coated microspheres.J Immunol.2003 Nov 15;171(10):4974−8)は、これも選択されたペプチドに対するT細胞を生成するための適切な方法である、人工抗原提示細胞(aAPC)を使用した、T細胞の生体外プライミングを記載する。本発明では、ビオチン:ストレプトアビジン生化学によって、あらかじめ形成されたMHC:ペプチド複合体を表面ポリスチレン粒子(ミクロビーズ)に共役することで、aAPCが生成された。このシステムは、aAPC上のMHC密度の正確な調節を可能にし、それは、血液サンプルから高効率で、高または低結合活性の抗原特異的T細胞応答を選択的に引き起こすことを可能にする。MHC:ペプチド複合体の他に、aAPCは、それらの表面に共役する、抗CD28抗体のような共刺激活性があるその他のタンパク質を保有すべきである。さらにこのようなaAPCベースのシステムは、例えばサイトカイン様インターロイキン12などの適切な可溶性因子の付加を要することが多い。
T細胞の調製において、同種異系細胞もまた使用されてもよく、方法は、参照によって本明細書に援用される、国際公開第97/26328号パンフレットで詳述される。例えば、ショウジョウバエ細胞およびT2細胞に加えて、その他の細胞を使用して、CHO細胞、バキュロウイルス感染昆虫細胞、細菌、酵母、ワクシニア感染標的細胞などの抗原が提示されてもよい。さらに植物ウイルスが使用されてもよい(例えば、外来性ペプチド提示のための高収率系としてのササゲモザイクウイルスの開発が記載される、Porta et al.(1994)Development of cowpea mosaic virus as a high−yielding system for the presentation of foreign peptides.Virology.1994 Aug 1;202(2):949−55を参照されたい)。
本発明のペプチドに対する活性化T細胞は、治療法において有用である。したがって、本発明のさらなる態様は、前述の本発明の方法によって入手可能な活性化T細胞を提供する。
上記方法によって製造される活性化T細胞は、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する。
好ましくは、T細胞は、そのTCRを通じた、HLA/ペプチド複合体(例えば結合)との相互作用によって、細胞を認識する。T細胞は、その標的細胞が、本発明のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する患者において、標的細胞を死滅させる方法で有用であり、患者には、有効数の活性化T細胞が投与される。患者に投与されるT細胞は、患者に由来して、上述のように活性化されてもよい(すなわちそれらは自己T細胞である)。代案としては、T細胞は、患者でなく別の個人に由来する。もちろん、個人が健常人であれば、それが好ましい。「健常人」によって、本発明者らは、個人が概して健康良好であり、好ましくは有能な免疫系を有して、より好ましくは容易に検査され検出され得る任意の疾患に罹患していないことを意味する。
生体内では、本発明によるCD8陽性T細胞の標的細胞は、腫瘍細胞(これは時にMHCクラスIIを発現する)および/または腫瘍(腫瘍細胞)周囲の間質細胞であり得る(これも時にMHCクラスIIを発現する;(Dengjel et al.,2006))。
本発明のT細胞は、治療用組成物の活性成分として使用されてもよい。したがって、本発明は、上で定義されるようなT細胞の有効数を患者に投与するステップを含んでなる、本発明のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する標的細胞を患者において死滅させる方法もまた提供する。
「異常に発現される」によって、本発明者らは、正常な発現レベルと比較して、ポリペプチドが過剰発現されること、または腫瘍がそれに由来する組織では遺伝子がサイレントであるが、腫瘍ではそれが発現されることもまた意味する。「過剰発現」によって、本発明者らは、ポリペプチドが、正常組織に存在するレベルの少なくとも1.2倍のレベルで;好ましくは正常組織に存在するレベルの少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍または10倍のレベルで存在することを意味する。
T細胞は、例えば、上で記載されるものなどの当該技術分野で公知の方法によって得られてもよい。
T細胞のこのいわゆる養子免疫伝達のためのプロトコルは、当該技術分野で周知である。概説は、Gattinoni L,et al.Adoptive immunotherapy for cancer:building on success.Nat Rev Immunol.2006 May;6(5):383−93.Review.およびMorgan RA,et al.Cancer regression in patients after transfer of genetically engineered lymphocytes.Science.2006 Oct 6;314(5796):126−9)にある。
本発明の任意の分子、すなわちペプチド、核酸、抗体、発現ベクター、細胞、活性化CTL、T細胞受容体またはそれをエンコードする核酸は、免疫応答を逃れた細胞によって特徴付けられる障害の治療に有用である。したがって本発明の任意の分子は、薬剤として、または薬剤の製造において使用されてもよい。分子は、単独で、または本発明のその他の分子または既知の分子との組み合わせで、使用されてもよい。
好ましくは、本発明の薬剤は、ワクチンである。それは、患者に直接、罹患臓器に、または全身的に、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、およびi.v.投与され、または生体外で患者またはヒト細胞系に由来する細胞に適用されて、それが引き続いて患者に投与され、または生体外で使用されて患者に由来する免疫細胞の亜集団が選択され、次にそれが患者に再投与されてもよい。核酸が、生体外で細胞に投与される場合、インターロイキン2などの免疫刺激サイトカインを同時発現させるように、細胞を形質移入することが有用なこともある。ペプチドは、実質的に純粋であり、または免疫刺激アジュバント(下記参照)と組み合わされ、または免疫賦活性サイトカインと併用され、または例えばリポソームなどの適切な送達系によって投与されてもよい。ペプチドはまた、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)またはマンナンなどの適切な担体に共役されてもよい(国際公開第95/18145号パンフレット、およびLongenecker,1993を参照されたい)。ペプチドはまた、標識されてもよく、融合タンパク質であってもよく、またはハイブリッド分子であってもよい。その配列が本発明に記載されるペプチドは、CD4またはCD8 T細胞を刺激することが予測される。しかし、CD8CTLの刺激は、CD4Tヘルパー細胞によって提供される援助の存在下で、より効率的である。したがって、CD8CTLを刺激するMHCクラスIエピトープでは、ハイブリッド分子の融合パートナーまたはセクションは、適切にはCD4陽性T細胞を刺激するエピトープを提供する。CD4およびCD8刺激エピトープは、当該技術分野で周知であり、本発明で同定されたものが含まれる。
一態様では、ワクチンは、配列番号1〜配列番号1016に記載されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのペプチドと、少なくとも1つの追加的なペプチド、好ましくは2〜50、より好ましくは2〜25、なおもより好ましくは2〜20、最も好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のペプチドとを含んでなる。ペプチドは、1つまたは複数の特異的TAAから誘導されてもよく、MHCクラスI分子に結合してもよい。
別の態様では、ワクチンは、配列番号1〜配列番号225、配列番号226〜配列番号542または配列番号543〜配列番号1016に記載されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのペプチドと、少なくとも1つの追加的なペプチド、好ましくは2〜50、より好ましくは2〜25、なおもより好ましくは2〜20、最も好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のペプチドとを含んでなる。ペプチドは、1つまたは複数の特異的TAAから誘導されてもよく、MHCクラスI分子に結合してもよい。
ポリヌクレオチドは、実質的に純粋であり、または適切なベクターまたは送達系に含有されてもよい。核酸は、DNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってもよい。このような核酸をデザインして導入する方法は、当該技術分野で周知である。概説は、例えば、(Pascolo et al.,Human peripheral blood mononuclear cells transfected with messenger RNA stimulate antigen−specific cytotoxic T−lymphocytes in vitro.Cell Mol Life Sci.2005 Aug;62(15):1755−62)によって提供される。ポリヌクレオチドワクチンは調製が容易であるが、免疫応答誘導におけるこれらのベクターの作用機序は、完全には分かっていない。適切なベクターおよび送達系としては、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルスまたは2つ以上のウイルスの構成要素を含有するハイブリッドベースのシステムなどのウイルスDNAおよび/またはRNAが挙げられる。非ウイルス送達系としては、カチオン性脂質およびカチオン性ポリマーが挙げられ、DNA送達技術分野で周知である。「遺伝子銃」などを通じた物理的送達もまた、使用されてもよい。核酸によってコードされるペプチド(単数)またはペプチド(複数)は、例えば、上述のように、それぞれの逆CDRのT細胞を刺激する、エピトープとの融合タンパク質であってもよい。
本発明の薬剤は、1つまたは複数のアジュバントもまた含んでもよい。アジュバントは、抗原に対する免疫応答(例えば、CTLおよびヘルパーT(T)細胞によって媒介される免疫応答)を非特異的に促進または増強する物質であり、したがって本発明の薬剤で有用であると考えられる。適切なアジュバントとしては、1018 ISS、アルミニウム塩、AMPLIVAX(登録商標)、AS15、BCG、CP−870、893、CpG7909、CyaA、dSLIM、フラジェリンまたはフラジェリンに由来するTLR5リガンド、FLT3リガンド、GM−CSF、IC30、IC31、イミキモド(ALDARA(登録商標))、レシキモド、ImuFact IMP321、IL−2やIL−13やIL−21などのインターロイキン、インターフェロンαまたはβまたはそのペグ化誘導体、ISパッチ、ISS、ISCOMATRIX、ISCOMs、JuvImmune(登録商標)、LipoVac、MALP2、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA−51、油中水型および水中油型エマルション、OK−432、OM−174、OM−197−MP−EC、ONTAK、OspA、PepTel(登録商標)ベクター系、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)[PLG]ベースおよびデキストラン微粒子、talactoferrin SRL172、ビロソームおよびその他のウイルス様粒子、YF−17D、VEGF trap、R848、β−グルカン、Pam3Cys、サポニンに由来するAquila’s QS21 stimulon、マイコバクテリア抽出物および合成細菌細胞壁模倣物、およびRibi’s DetoxまたはQuilまたはSuperfosなどのその他の独自仕様のアジュバントが挙げられるが、これに限定されるものではない。フロイントまたはGM−CSFなどのアジュバントが好ましい。樹状細胞およびそれらの調製物に対して特異的な、いくつかの免疫学的アジュバント(例えばMF59)が、以前記載されている(Allison and Krummel,1995 The Yin and Yang of T cell costimulation.Science. 1995 Nov 10;270(5238):932−3.Review)。サイトカインもまた使用されてもよい。数種のサイトカインは、樹状細胞のリンパ組織(例えばTNF−)への移動に影響を与えること、Tリンパ球(例えば、GM−CSF、IL−1、およびIL−4)のための効率的な抗原提示細胞への樹状細胞の成熟を加速すること(その内容全体を参照によって本明細書に具体的に援用する米国特許第5,849,589号明細書)、および免疫増強剤(例えば、IL−12、IL−15、IL−23、IL−7、IFN−α、IFN−β)として作用することと、直接関連づけられている(Gabrilovich,1996 Production of vascular endothelial growth factor by human tumors inhibits the functional maturation of dendritic cells Nat Med.1996 Oct;2(10):1096−103)。
CpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドもまた、ワクチン環境において、アジュバント効果を促進することが報告されている。理論により拘束されることなく、CpGオリゴヌクレオチドは、Toll様受容体(TLR)、主にTLR9を通じた、内在的(非適応性)免疫系の活性化によって作用する。CpG誘発性TLR9活性化は、ペプチドまたはタンパク質抗原、生または死滅ウイルス、樹状細胞ワクチン、自己細胞ワクチン、そして予防的および治療的ワクチンの双方における多糖コンジュゲートをはじめとする、多種多様な抗原に対する、抗原特異的体液性および細胞性応答を増強する。より重要なことには、それは樹状細胞の成熟と分化を促進し、CD4 T細胞援助の不在下であってさえも、TH1細胞の活性化促進、および強力な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)生成をもたらす。TLR9刺激によって誘導されるTH1バイアスは、常態ではTH2バイアスを促進するミョウバンまたは不完全フロイントアジュバント(IFA)などのワクチンアジュバント存在下であってさえも維持される。CpGオリゴヌクレオチドは、その他のアジュバントと共に調合または同時投与された際に、または微粒子、ナノ粒子、脂質エマルションなどの調合物、または類似調合物中で、なおもより高いアジュバント活性を示し、それは、抗原が比較的弱い場合、強力な応答を誘導するのに特に必要である。それらは免疫応答もまた加速し、いくつかの実験では、CpGなしの総投与量のワクチンと同等の抗体応答で、抗原用量のほぼ2桁分の低減を可能にする(Krieg,2006)。米国特許第6,406,705B1号明細書は、抗原特異的免疫応答を誘導するためのCpGオリゴヌクレオチド、非核酸アジュバント、および抗原の併用を説明する。CpG TLR9拮抗薬は、Mologen(Berlin,Germany)製のdSLIM(二重ステムループ免疫修飾物質)であり、それは本発明の医薬組成物の好ましい構成要素である。RNA結合TLR7、TLR8および/またはTLR9などのその他のTLR結合分子もまた、使用されてもよい。
有用なアジュバントその他の例としては、化学修飾CpG(例えば、CpR、Idera);ポリ(I:C)などのdsRNAアナログおよびそれらの誘導体(例えばAmpliGen(登録商標)、Hiltonol(登録商標)、ポリ(ICLC)、ポリ(IC−R)、ポリ(I:C12U)、非CpG細菌DNAまたはRNA;ならびにシクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ(登録商標)、セレブレックス、NCX−4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフェニブ、テモゾロマイド、テムシロリムス、XL−999、CP−547632、パゾパニブ、VEGFTrap、ZD2171、AZD2171、抗CTLA4などの免疫活性小型分子および抗体;免疫系の重要な構造体を標的にするその他の抗体(例えば、抗CD40、抗TGFβ、抗TNFα受容体);およびSC58175が挙げられるが、これに限定されるものではなく、これらは治療的におよび/またはアジュバントとして作用してもよい。本発明の文脈で有用なアジュバントおよび添加剤の量と濃度は、過度の実験を実施することなく、当業者によって容易に判定され得る。
好ましいアジュバントは、イミキモド、レシキモド、GM−CSF、シクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、インターフェロンα、CpGオリゴヌクレオチドおよび誘導体、ポリ(I:C)および誘導体、RNA、シルデナフィル、およびPLGまたはビロソーム微粒子調合物である。
本発明による薬剤組成物の好ましい実施形態では、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、サルグラモスチム)、シクロホスファミド、イミキモド、レシキモド、およびインターフェロンαなどのコロニー刺激因子からなる群から選択される。
本発明による医薬組成物の好ましい実施形態では、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、サルグラモスチム)、シクロホスファミド、イミキモド(immiquimod)、およびレシキモドなどのコロニー刺激因子からなる群から選択される。
本発明による薬剤組成物の好ましい実施形態では、アジュバントは、シクロホスファミド、イミキモドまたはレシキモドである。
なおもより好ましいアジュバントは、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 20、Montanide ISA 50V、Montanide ISA−51、ポリICLC(Hiltonol(登録商標))、および抗CD40mABまたはそれらの組み合わせである。
この組成物は、皮下、皮内、筋肉内などの非経口投与、または経口投与のために使用される。このためには、ペプチドおよび任意選択的にその他の分子が、薬学的に許容可能な、好ましくは水性担体に溶解され、または懸濁される。さらに組成物は、緩衝液、結合剤、ブラスチング剤、希釈剤、フレーバー、潤滑剤などの賦形剤を含有し得る。ペプチドはまた、サイトカインなどの免疫刺激物質と共に投与され得る。このような組成物で使用され得る賦形剤の詳細な一覧は、例えば、A.Kibbe,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd Ed.,2000,American Pharmaceutical Association and pharmaceutical pressから採用され得る。組成物は、腺腫様またはがん性疾患の阻止、予防法および/または治療法のために使用され得る。代表的調合物は、例えば、欧州特許第2112253号明細書にある。
それでもなお、本発明のペプチドの数および物理化学的特性次第で、12〜18ヶ月を超えて安定している、ペプチドの特定の組み合わせ、特に20個を超えるペプチドとの組み合わせのための調合物を提供するために、さらなる研究が必要である。
本発明は、がん、特にAML、慢性リンパ性白血病(CLL)、およびその他の血液悪性腫瘍を治療するのに有用な薬剤を提供する。
本発明は、
(a)溶液中のまたは凍結乾燥形態の上述の医薬組成物を含有する容器;
(b)任意選択的に、凍結乾燥製剤のための希釈剤または再構成溶液を含有する第2の容器;および
(c)任意選択的に、(i)溶液の使用、または(ii)凍結乾燥製剤の再構成および/または使用のための取扱説明書
を含んでなるキットをさらに目的とする。
キットは、(iii)緩衝液、(iv)希釈剤、(V)濾過、(vi)針、または(V)シリンジの1つまたは複数をさらに含んでなってもよい。容器は、好ましくは、ボトル、バイアル、シリンジまたは試験管であり;それは、多回使用容器であってもよい。医薬組成物は、好ましくは凍結乾燥される。
本発明のキットは、好ましくは、適切な容器内の本発明の凍結乾燥製剤と、その再構成および/または使用のための取扱説明書とを含んでなる。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル(例えば二重チャンバーバイアル)、シリンジ(二重チャンバーシリンジなど)、および試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの多様な材料から形成されてもよい。好ましくは、キットおよび/または容器は、容器上の、または容器に付随する、取扱説明を含み、それは再構成および/または使用上の指示を示す。例えば、ラベルは、凍結乾燥製剤が、上述されるようなペプチド濃度に再構成されることを表示してもよい。ラベルは、製剤が皮下投与のために有用であり、または皮下投与用であることをさらに表示してもよい。
製剤を収容する容器は、多回使用バイアルであってもよく、それは再構成製剤の反復投与(例えば2〜6回の投与)を可能にする。キットは、適切な希釈剤(例えば、炭酸水素ナトリウム溶液)を含んでなる、第2の容器をさらに含んでなってもよい。
希釈剤と凍結乾燥製剤の混合時に、再構成製剤中の最終ペプチド濃度は、好ましくは少なくとも0.15mg/mL/ペプチド(=75μg)であり、好ましくは3mg/mL/ペプチド(=1500μg)以下である。キットは、その他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および取扱説明が掲載されるパッケージインサートをはじめとする、商業的および使用者観点から望ましい、その他の物質をさらに含んでもよい。
本発明のキットは、その他の構成要素(例えば、その他の化合物またはこれらのその他の化合物の医薬組成物)が添加されたまたは添加されない、本発明による医薬組成物製剤を含有する単一容器を有してもよく、または各構成要素のための別個の容器を有してもよい。
好ましくは、本発明のキットは、第2の化合物(アジュバント(例えばGM−CSF)、化学療法剤、天然産物、ホルモンまたは拮抗薬、抗血管新生因子または阻害剤、アポトーシス誘発剤またはキレート剤など)またはその医薬組成物の同時投与と合わせて使用するためにパッケージされた、本発明の製剤を含む。キットの構成要素は、あらかじめ混合されてもよく、または各構成要素は、患者への投与前に別個の異なる容器内にあってもよい。キットの構成要素は、1つまたは複数の液体溶液、好ましくは水溶液、より好ましくは無菌水溶液中で、提供されてもよい。またキットの構成要素は、固体として提供されてもよく、それは、好ましくは別の異なる容器内に提供される、適切な溶媒の添加によって液体に変換されてもよい。
治療用キットの容器は、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または固体または液体を封入するその他のあらゆる手段であってもよい。通常、2つ以上の構成要素がある場合、キットは、第2のバイアルまたは別の容器を含有して、別々の投薬を可能にする。キットは、薬学的に許容可能な液体のための別の容器もまた、含有してもよい。好ましくは、治療用キットは、装置(例えば、1本または複数の針、シリンジ、点眼器、ピペットなど)を含有して、本キットの構成要素である本発明の作用物質の投与を可能にする。
本製剤は、経口(腸内)、経鼻、眼、皮下、皮内、筋肉内、静脈内または経皮などの任意の許容できる手段によるペプチド投与に適するものである。好ましくは、投与はs.c.であり、最も好ましくはi.dである。投与は、輸液ポンプによってもよい。
本発明のペプチドは、CLLから単離されたので、本発明の薬剤は、好ましくはCLLを治療するために使用される。好ましい実施形態では、APOBEC3D、CDK14、RASGRF1、CDCA7L、CELSR1、AKAP2、CTDP1、DNMBP、TAGAP、ABCA6、DMXL1、PARP3、TP53I11、B4GALT1、IRF9、KDM2B、TBC1D22A、ZNF296、BACH2、PRR12、ZFAND5、ATP5G1、DMD、ARID5B、ZNF638、DDX46、RRM2B、BLNK、HSH2D、ERP44、METTL7A、ELP3、NLRP2、ZC3H12D、NELFE、ATP6V1C1、HLA−DMA、TUFM、EIF6、CKAP4、COBLL1、TMED4、TNFRSF13C、UBL7、CXorf21、ASUN、SL24D1、およびTRAF3IP3からなる群から選択されるタンパク質に由来する本発明のペプチドはCLLから単離されたので、したがって本発明の薬剤は、好ましくはCLLを治療するために使用される。
本発明は、プレスクリーニングTUMAPの貯蔵庫から選択される少なくとも1つのペプチドを含んでなる医薬組成物を製造するステップを含んでなる、個々の患者のための個別化薬剤を製造する方法をさらに含み、医薬組成物で使用される少なくとも1つのペプチドは、個々の患者における適切さについて選択される。好ましくは、医薬組成物はワクチンである。方法はまた、TCR単離などの下流用途のためのT細胞クローンを製造するように適応させ得る。
「個別化医薬品」は、能動的個別化がんワクチンおよび自己由来患者組織を使用する養子細胞療法をはじめとする、このような個々の患者の治療のためにのみ使用される、1人の個々の患者のために、特に調整された治療法を意味するものとする。
本明細書の用法では、「貯蔵庫」という用語は、特定の腫瘍型における免疫原性および過剰提示についてプレスクリーニングされている、一群のペプチドを指すものとする。「貯蔵庫」という用語は、ワクチンに含まれる特定のペプチドが、予備製造されて物理的設備内で貯蔵されることを暗示することは意図されないが、その可能性も検討される。ペプチドは、製造される各個別化ワクチンのために新規に製造されてもよく、または予備製造されて貯蔵されてもよいことが明示的に検討される。
(例えば、データベースの形態の)貯蔵庫は、分析されたいく人かのHLA−A、HLA−B、およびHLA−C陽性CLL患者の腫瘍組織中で、高度に過剰発現される腫瘍関連ペプチドから構成される(上記表を参照されたい)。それは、MHCクラスIおよびMHCクラスIIペプチドを含有する。いくつかのGBM組織から採取された腫瘍関連ペプチドに加えて、貯蔵庫は、HLA−A*02およびHLA−A*24標識ペプチドを含有してもよい。これらのペプチドは、TUMAPSによって誘導されるT細胞免疫の規模を定量様式で比較できるようにし、したがって抗腫瘍応答を引き起こすワクチンの能力について、重要な結論が導かれるようにする。第2に、それは、患者において、「自己」抗原に由来するTUMAPに対するいかなるワクチン誘導T細胞応答も観察されない症例において、「非自己」抗原に由来する重要な陽性対照ペプチドとして機能する。第3に、それは、患者集団の免疫能力状態に関する結論が導かれるようにしてもよい。
貯蔵庫のためのHLAクラスIおよびII TUMAPは、遺伝子発現解析、質量分析法、およびT細胞免疫学と組み合わされた、完全なゲノム機能解析アプローチを使用して同定される。アプローチは、高い割合の腫瘍上に真に存在するが、正常組織では皆無または最小限にのみ発現されるTUMAPだけが、さらなる分析のために選択されることを保証する。ペプチド選択のために、患者に由来するCLLサンプルおよび健常ドナーに由来する血液は、段階的アプローチで分析された:
1.悪性物質からのHLAリガンドは、質量分析法によって同定された
2.マイクロアレイによるゲノム規模メッセンジャーリボ核酸(mRNA)発現解析を使用して、一連の正常器官および組織と比較して悪性組織(CLL)中の遺伝子過剰発現が同定された
3.同定されたHLAリガンドは、遺伝子発現データと比較された。ステップ2で検出された、選択的発現または過剰発現された遺伝子によってコードされたペプチドは、多ペプチドワクチンのための適切なTUMAP候補と見なされた。
4.同定されたペプチドのTUMAPとしての妥当性を支持する追加的な証拠を同定するために、文献調査が実施された
5.mRNAレベルでの過剰発現の関連性は、ステップ3からの選択されたTUMAPの腫瘍組織上における再検出と、健常組織における検出の欠如(またはまれな検出)によって確認された。
6.選択されたペプチドによる生体内T細胞応答の誘導が可能かどうかを評価するために、健常ドナーならびにCLL患者からのヒトT細胞を使用して、生体外免疫原性アッセイが実施された。
一態様では、ペプチドを貯蔵庫に含める前に、免疫原性について予備スクリーニングする。制限を意図しない一例として、貯蔵庫に包含されるペプチドの免疫原性は、ペプチド/MHC複合体および抗CD28抗体が負荷された人工抗原提示細胞による、健常ドナーからのCD8+T細胞の反復刺激を通じた、生体外T細胞プライミングを含んでなる方法によって判定される。
この方法は、稀ながんに、そして稀な発現プロファイルがある患者にとって、好ましい。組成が一定である多ペプチド混合物とは対照的に、現在開発されている貯蔵庫は、腫瘍中の抗原の実際の発現とワクチンとの顕著により高いマッチングを可能にする。多標的アプローチでは、各患者のために、選択された単一のまたは組み合わされた数種の「既製」ペプチドが利用される。理論上は、例えば50個の抗原性ペプチドのライブラリーからの5つの異なる抗原性ペプチドの選択に基づくアプローチは、それだけでおよそ1700万個の可能な医薬品(DP)組成物をもたらす。
一態様では、ペプチドは、本明細書に記載される、次のような本発明による方法に基づく、個々の患者のためのそれらの適切さに基づいて、ワクチンへの包含のために選択される。
患者の腫瘍材料および血液サンプルから、HLA表現型、トランスクリプトミクスおよびペプチドミクスデータが収集されて、各患者に最も適切なペプチドを含有する、貯蔵庫および患者に特有の(すなわち変異)TUMAPが同定される。患者腫瘍中で選択的にまたは過剰発現されて、可能であれば、患者の個々のPBMCと共に試験すると、強力な生体外免疫原性を示すペプチドが選択される。
好ましくは、ワクチンに含まれるペプチドは、(a)個々の患者に由来する腫瘍サンプルによって提示される腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を同定するステップと;(b)(a)で同定されたペプチドを上述のペプチド貯蔵庫と比較するステップと;(c)患者において同定された腫瘍関連ペプチドと関連がある、貯蔵庫(データベース)からの少なくとも1つのペプチドを選択するステップとを含んでなる方法によって同定される。例えば、腫瘍サンプルによって提示されるTUMAPは、(a1)腫瘍サンプルからの発現データを腫瘍サンプルの組織型に相当する正常組織サンプルからの発現データと比較して、腫瘍サンプル中で過剰発現または異常発現されるタンパク質を同定するステップと;(a2)発現データを腫瘍サンプル中のMHCクラスIおよび/またはクラスII分子と結合するMHCリガンドの配列に相関させて、腫瘍によって過剰発現または異常発現されるタンパク質に由来するMHCリガンドを同定するステップとによって同定される。好ましくは、MHCリガンドの配列は、腫瘍サンプルから単離されたMHC分子から結合ペプチドを溶出させて、溶出したリガンドを配列決定することで同定される。好ましくは、腫瘍サンプルおよび正常組織は、同一患者から入手される。
貯蔵庫(データベース)モデルを使用してペプチドを選択するのに加えて、またはその代案として、TUMAPを患者において新規に同定し、次に、ワクチンに含めてもよい。一実施例として、(a1)腫瘍サンプルからの発現データを腫瘍サンプルの組織型に相当する正常組織サンプルからの発現データと比較して、腫瘍サンプル中で過剰発現または異常発現されるタンパク質を同定する;そして(a2)発現データを腫瘍サンプル中のMHCクラスIおよび/またはクラスII分子と結合するMHCリガンドの配列と相関させて、腫瘍によって過剰発現または異常発現されるタンパク質に由来するMHCリガンドを同定することによって、患者において候補TUMAPが同定されてもよい。別の実施例として、個々の患者からの正常な対応組織と比較して、腫瘍サンプルに固有の変異を含有するタンパク質が同定されてもよく、特異的に変異を標的とするTUMAPが同定され得る。例えば、腫瘍のゲノム、および対応する正常組織のゲノムは、全ゲノム配列決定によって配列決定され得る。遺伝子のタンパク質コード領域中の非同義の変異を発見するために、ゲノムDNAおよびRNAが腫瘍組織から抽出され、正常な非変異ゲノム生殖細胞系DNAが末梢血単核細胞(PBMC)から抽出される。適用されたNGSアプローチは、タンパク質コード領域の再配列決定(エクソーム再配列決定)に限定される。この目的で、供給業者が提供する標的富化キットを使用して、ヒトサンプルからのエクソンDNAが捕捉され、例えばHiSeq2000(Illumina)による配列決定がそれに続く。それに加えて、遺伝子発現の直接定量化のため、そして変異遺伝子が患者の腫瘍で発現されることの検証のために、腫瘍mRNAが配列決定される。結果として得られる数百万の配列読み取りは、ソフトウェアアルゴリズムを通じて処理される。出力一覧は、変異および遺伝子発現を含有する。腫瘍特異的体細胞突然変異は、PBMC由来生殖細胞系変異と比較して優先順位をつけることで、判定される。次に、新規に同定されたペプチドは、貯蔵庫について上述した免疫原性について試験され、適切な免疫原性を保持する候補TUMAPが、ワクチンへの包含のために選択されてもよい。
例示的な一実施形態では、ワクチンに包含されるペプチドは、(a)上述の方法(methdos)によって、個々の患者に由来する腫瘍サンプルによって提示される腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を同定する;b)a)で同定されたペプチドを、対応する正常組織との比較で腫瘍中の免疫原性および過剰提示について予備選別されたペプチドの貯蔵庫と比較する;(c)患者において同定された腫瘍関連ペプチドと関連がある、貯蔵庫からの少なくとも1つのペプチドを選択する;(d)任意選択的に、(a)で新規に同定された少なくとも1つのペプチドを選択して、その免疫原を確認することによって同定される。
例示的な一実施形態では、ワクチンに包含されるペプチドは、(a)個々の患者に由来する腫瘍サンプルによって提示される、腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を同定する;(b)(a)で新規に同定された少なくとも1つのペプチド選択して、その免疫原性を確認することによって同定される。
ひとたびペプチドが選択されたら、ワクチンが製造される。
ワクチンは、好ましくは、33%DMSOに溶解された個々のペプチドからなる液体製剤である。
製品に包含される各ペプチドは、DMSOに溶解される。単一ペプチド溶液の濃度は、製品に包含されるペプチドの数に応じて選択されなくてはならない。単一ペプチドDMSO溶液が等量で混合され、ペプチドあたり約2.5mg/mlの濃度で、製品に包含される全てのペプチドを含有する溶液が得られる。次に混合溶液を注射用水で1:3に希釈して、33%DMSO中でペプチドあたり0.826mg/mlの濃度を得る。希釈溶液は、0.22μmの無菌フィルターを通して濾過される。最終バルク溶液が得られる。
最終バルク溶液はバイアルに充填されて、使用時まで−20℃で保存される。1本のバイアルは、0.578mgの各ペプチドを含有する700μLの溶液を含有する。この内、500μL(ペプチドあたりおよそ400μg)が、皮内注射のために適用される。
ここで好ましい実施形態を記載する以下の実施例中で本発明を説明するが、それでもなお、これらには限定されないのものとする。本発明の目的で、本明細書で引用される全ての参考文献は、その内容全体を参照によって援用する。
原発性CLLサンプルのHLA表面発現を示す。7つの原発性CLLサンプル中における、自己由来CD5CD19B細胞と比較した、CD5CD19CLL細胞の(a)HLAクラスIおよび(b)HLAクラスII発現。データは、三重反復試験の平均値±s.d.として表される。自己由来CD5CD19B細胞と比較した、CD5CD19CLL細胞の(c)平均HLAクラスIおよび(d)HLAクラスII発現(n=7)。*P<0.01略号:UPN、画一患者番号 HLAリガンドームプロファイリングによる、腫瘍関連抗原の新規カテゴリーの同定を示す。(a)原発性CLLサンプル(n=30)およびHV PBMCのHLAクラスIリガンド起源タンパク質の重複(n=30)。(b)CLLおよびHV PBMCリガンドーム中のHLA拘束性表示の出現頻度に基づく、HLAクラスIリガンド起源タンパク質の比較プロファイリング。それぞれの起源タンパク質のHLA拘束性提示(x軸)に対して、CLL患者/HV陽性の頻度[%]がy軸上に示される。左側のボックスは、>20%の患者においてCLL限定的表示を示す、起源タンパク質の部分集合を強調する(LiTAA:リガンドーム由来腫瘍関連抗原)。(c)既報のHLAクラスIリガンドーム中のCLL関連抗原の表示。バーは、CLLおよびHV PBMC中のHLAクラスIリガンドによる、それぞれの抗原の相対表示[%]を示す。破線は、CLL関連性の程度に従って、抗原を3群に分ける。(d)異なる病期からのCLLサンプルの起源タンパク質重複(ビネーA(n=9)、ビネーB(n=7)、ビネーC(n=14))。(e)異なる病期(ビネーA〜C、(d)と同様)にわたるLiTAAの表示頻度[%]の色分け地図解析。(f)del17pあり(n=5)およびdel17pなし(n=25)の原発性CLLサンプル上のLiTAA表示[%]の色分け地図解析。略号:CLL、慢性リンパ球性白血病;HV、健常ボランティア LiTAAが、CLL患者免疫応答によって特異的に認識されることを示す。(a)IFNγ ELISPOTアッセイで機能的に評価された、HLAクラスI LiTAAおよび対応するLiTAP(3HLA−A*03、5HLA−A*02、5HLA−B*07)。CLL患者PBMCによるペプチド特異的免疫認識の絶対数および頻度は、右側カラムに要約される。(b)HV PBMCを対照として使用して、ELISPOTで評価された、A*03 LiTAPの例。4つの頻繁に認識されるペプチド(....)を含有するEBVエピトープ混合物が陽性対照として使用され、HIVGAG18−26−*03ペプチドが陰性対照の役割を果たした。(c)HLA−A*03 LiTAP(n=3)を使用した、3人の異なるCLL患者のPBMC上におけるELISPOTアッセイの例。結果は、免疫反応性のLiTAPについて示される。EBVエピトープは陽性対照の役割を果たし、HIVGAG18〜26*03ペプチドは陰性対照の役割を果たした。(d) 標的選択ストラテジーの内部対照として、CLL患者PBMC上で試験された、HLA−A*03良性組織由来LiBAP(n=3)の例。EBVエピトープは陽性対照の役割を果たし、HIVGAG18〜26*03ペプチドは陰性対照の役割を果たした。(e)IFNγELISPOTにおける、(MSによって検出される)CLLリガンドーム中のLiTAP提示の対立遺伝子補正頻度、および対応するCLL患者PBMCによる免疫認識の対立遺伝子補正頻度の散布図。 データ点は、免疫認識を示す14/15LiTAPについて示される。略号:LiTAP、リガンドーム由来腫瘍関連ペプチド;HV、健常ボランティア;neg.、陰性;pos.、陽性;UPN、画一患者番号LiBAP、リガンドーム由来良性組織関連ペプチド;MS、質量分析法。 同上 相加的/相乗的HLAクラスII LiTAAおよびLiTAPの同定を示す。(a)原発性CLLサンプル(n=20)およびHV PBMCのHLAクラスIIリガンド起源タンパク質の重複(n=13)。(b)CLLおよびHV PBMCリガンドーム中のHLA拘束性表示の出現頻度に基づく、HLAクラスIIリガンド起源タンパク質の比較プロファイリング。それぞれの起源タンパク質のHLA拘束性提示(x軸)に対して、CLL患者/HV陽性の頻度[%]がy軸上に示される。左側のボックスは、>20%の患者においてCLL限定的表示を示す、起源タンパク質の部分集合を強調する(LiTAA:リガンドーム由来腫瘍関連抗原)。(c)IFNγ ELISPOTアッセイで機能的に評価された、HLAクラスII LiTAAおよび対応するLiTAP(n=6)。CLL患者PBMCによるペプチド特異的免疫認識の絶対数および頻度は、右側カラムに要約される。(d)HV PBMCを対照として使用して、ELISPOTで評価された、HLAクラスII LiTAPの例。PHAが陽性対照として使用された。FLNA1669−1683HLA−DRペプチドは、陰性対照の役割を果たした。(e) HLAクラスII LiTAP(n=6)を使用した、3人の異なるCLL患者のPBMC上における、ELISPOTアッセイの例。結果は、免疫反応性のLiTAPについて示される。PHAが陽性対照として使用され、FLNA1669−1683HLA−DRペプチドは、陰性対照の役割を果たした。(f)共通/相乗的ワクチン標的に関する、CLL限定的HLAクラスIおよびHLAクラスIIリガンド起源タンパク質の重複分析。(g)132個の共通HLAクラスI/IILiTAA((d)で同定される)の色分け地図解析。HLAクラスIおよびII CLL患者リガンドームの双方の≧20%における表示を示す、2つの起源タンパク質が特定化される。 同上 同上 化学/免疫療法を受けたCLL患者の縦断的HLAクラスIリガンドーム解析を示す。治療に先立つそれぞれの存在量と比較した、治療後の患者のHLAクラスIリガンドーム中のリガンドの相対存在量の火山型プロット(治療後/治療前比率)。破線は、有意に上方制御されたリガンドが右上に、有意に下方制御されたリガンドが左上にある、存在量の有意な変化の閾値(>2倍の比率、p<0.05)を示す。有意に制御されたリガンドの頻度は、それぞれの四分区間で特定化される。治療過程にわたって有意な制御を示すLiTAPは赤色で標識されて、それらの配列が特定化される。(a)治療前、およびリツキシマブ/ベンダムスチン(375mg/m/90mg/m)による処置の48時間/24時間後における、CLL患者リガンドームの解析。検出可能なLiTAPの1/28(3.6%)は、存在量に有意な変化を示した。(b)治療前、およびアレムツズマブによる処置の最初の7日後における、CLL患者リガンドームの解析(1、3、および5日目の10mg、20mg、および30mgの3用量のアレムツズマブ;7日目のリガンドーム解析)。検出可能なLiTAPの3/24(12.5%)は、存在量に有意な変化を示した。(c)治療前、および300mgのオファツムマブによる処置の24時間後における、CLL患者リガンドームの解析。検出可能なLiTAPの2/10(20.0%)は、存在量に有意な変化を示した。 CLL患者のLiTAPの免疫認識に対する、患者の後向き生存分析を示す。(a)44人のCLL患者の全生存期間のカプラン・マイヤープロット。(b)LiTAP特異的免疫応答について評価された被験者の全生存期間は、次のようにグループ分けされた:黒色、>1のLiTAPに免疫応答を示すCLL患者(n=10)。赤色、0〜1のLiTAPに免疫反応を示すCLL患者(n=34)。 CLL患者における、HLAクラスIリガンド起源タンパク質同定の飽和分析を示す。30人のCLL患者における、全HLAリガンド起源タンパク質同定の関数としての ユニークなHLAリガンド起源タンパク質同定の数指数回帰は、異なる起源タンパク質同定(破線)の最大達成可能数の堅固な計算(R=0.9912)を可能にした。点線は、本発明者らのCLL患者コホートにおいて得られた、起源プロテオームカバー度を描写する。 HLA−A*02およびB*07 LiTAPが、CLL患者免疫応答によって特異的に認識されることを示す。標的選択ストラテジーの内部対照として、CLL患者PBMC上で試験された、(a)HLA−A*02(n=3)および(d)HLA−B*07(n=3)良性組織由来LiBAPの例。EBVエピトープ混合物は、陽性対照の役割を果たしし、HIVXXxx−xx*02およびHIVXXxx−xxHLA−B*07ペプチドは、それぞれ陰性対照の役割を果たした。HVPBMCを対照として使用して、ELISPOTアッセイで評価された、(b)HLA−A*02(n=6)および(e)HLA−B*07(n=5)LiTAPの例。陽性および陰性対照は、(a)に記載されるようである。それぞれ(c)HLA−A*02(n=6)および(f)HLA−B*07(n=5)LiTAPを使用した、3人の異なるHLAマッチCLL患者のPBMC上における、ELISPOTアッセイの例。結果は、免疫反応性のLiTAPについて示される。陽性および陰性対照は、(a)に記載されるようである。略称:LiBAP、リガンドーム由来良性組織関連ペプチド;LiTAP、リガンドーム由来腫瘍関連ペプチド;HV、健常ボランティア;neg.、陰性;pos.、陽性;UPN、画一患者番号 同上 HLA−A*03 LiTAP特異的CLL患者T細胞の細胞内サイトカイン、および四量体染色を示す。(a)P * 03 (DMXL11271−1279SSSGLHPPK(配列番号77)刺激CLL患者PBMCのIFNγおよびTNFαの細胞内染色。PMA/イオノマイシンは陽性対照の役割を果たし、HIVGAG18〜26*03ペプチドは陰性対照の役割を果たした。(b)P * 03 (DMXL11271−1279SSSGLHPPK(配列番号:77))四量体による、CLL患者CD8T細胞の四量体染色。対照として、同一患者における非認識P * 02 (ABCA61270−1278ILDEKPVII(配列番号63)による四量体染色が示される。 同上 化学/免疫療法を受けた患者に由来する、原発性CLL細胞上のHLA表面発現の定量化を示す。CD5CD19CLL細胞上のHLA表面発現は、治療前後にフローサイトメトリーによって定量化された。データは、三重反復試験の平均値±s.d.として表される。治療前およびリツキシマブによる処置の24時間後における、4人の患者の原発性CLL細胞上(a)HLAクラスIおよび(b)HLAクラスII表面発現。治療前、およびアレムツズマブによる処置の72時間(10mg)および7日(60mg)後における、患者の原発性CLL細胞上の(c)HLAクラスIおよび(d)HLAクラスII表面発現。*P<0.01略号:UPN、画一患者番号h、時間;d、日。 CLLサンプルと比較した、正常組織中のペプチドILDEKPVIIの過剰提示を示す。示されるのは、その上でペプチドが検出されたサンプルのみである。検定パネルは、12個のCLLサンプルおよび以下の正常サンプルを含んだ:1×脂肪組織、3×副腎、6×動脈、5×骨髄、7×脳、3×乳房、5×神経、13×結腸、7×食道、2×胆嚢、5×心臓、12×腎臓、20×肝臓、44×肺、3×リンパ節、4×末梢血単核細胞、2×卵巣、6×膵臓、1×腹膜、3×下垂体の、2×胎盤、3×胸膜、3×前立腺、6×直腸、7×唾液腺、4×骨格筋、5×皮膚、3×小腸、4×脾臓、5×胃、4×精巣、3×胸線、3×甲状腺、3×気管、2×尿管、5×膀胱、2×子宮、2×静脈。
実施例1
細胞表面に提示される腫瘍関連ペプチドの同定および定量化
組織サンプル
患者の腫瘍サンプルは、University of Tubingen,Tubingen,Germanyによって提供された。全ての患者の告知に基づく同意書が与えられた。リガンドーム解析では、CLL患者(>80%CLL細胞出現頻度)に由来するPBMC、ならびに健常ボランティア(HV)に由来するPBMCが、密度勾配遠心分離によって単離された。告知に基づく同意は、ヘルシンキプロトコルに従って得られた。この試験は、地域倫理委員会の指針に準拠して実施された。HLAタイピングは、Department of Hematology and Oncology,Tubingenによって実施された。サンプルは、さらなる使用まで−80℃で保存された。
HLA表面発現の定量化
健康な自己由来Bリンパ球との比較のために、少なくとも0.5%のCD5CD19正常B細胞を含有する患者サンプル中で、HLA表面発現の定量化が実施された。HLA表面発現は、QIFIKIT(登録商標)定量的フローサイトメトリーアッセイ(Dako)を使用して、製造会社の使用説明書に準拠して分析された。手短に述べると、各三つ組み試験サンプルが、汎HLAクラスI特異的モノクローナル抗体(mAb)W6/32、HLA−DR特異的mAbL243(どちらも社内で作成)またはIgGアイソタイプ対照(BioLegend)で、それぞれ染色された。表面マーカー染色は、直接標識CD3(BD)、CD5(BD)、およびCD19(BD)抗体を用いて実施された。FACSCanto Analyzer(BD)上のフローサイトメトリー分析の直前に、7−AAD(BioLegend)が生存マーカーとして添加された。
組織サンプルからのHLAペプチドの単離
HLAクラスIおよびII分子は、以前記載されたような標準イムノアフィニティー精製を用いて単離された。手短に述べると、スナップ凍結細胞ペレットが、1×プロテアーゼ阻害剤を含有する(Complete、Roche,Basel,Switzerland)、10mMのCHAPS/PBS(AppliChem,St.Louis,MO,USA/Gibco,Carlsbad,CA,USA)中で溶解された。HLA分子は、それぞれCNBr活性化セファロース(GE Healthcare,Chalfont St Giles,UK)に共有結合する、汎HLAクラスI特異的mAb W6/32および汎HLAクラスII特異的mAb Tu39を使用して、シングルステップで精製された。HLA:ペプチド複合体は、0.2%トリフルオロ酢酸(TFA、Merck,Whitehouse Station,NJ,USA)の反復添加によって溶出された。溶出画分E1〜E8は貯留されて遠心分離濾過ユニット(Amicon、Millipore,Billerica,MA,USA)を使用して、限外濾過によって遊離HLAリガンドが単離された。HLAリガンドは、ZipTip C18ピペット(Millipore)先端を使用して、濾液から抽出され脱塩された。抽出されたペプチドは、35μlの80%アセトニトリル(ACN、Merck)/0.2%TFA中で溶出され、完全に乾燥するまで遠心分離され、25μlの1%ACN/0.05%TFAに再懸濁された。サンプルは、LC−MS/MSによる分析まで、−20℃で保存された。
LC−MS/MSによるHLAリガンド解析
ペプチドサンプルは、逆相液体クロマトグラフィー(nanoUHPLC、UltiMate 3000 RSLCnano、ThermoFisher,Waltham,MA,USA)によって分離され、引き続いてオンライン接続されたLTQ Orbitrap XLハイブリッド質量分光計(ThermoFiher)中で分析された。サンプルは、5回の技術的複製中で分析された。5μl(サンプルの20%に相当する)のサンプル容積が、75μm×2cm捕捉カラム(Acclaim PepMap RSLC、ThermoFisher)に、4μl/分で5.75分間にわたり注入された。引き続いてペプチド分離が、50μm×50cm分離カラム(Acclaim PepMap RSLC、ThermoFisher)上で、2.4から32.0%に及ぶACN勾配を適用して、50℃および175nl/分の流速で140分間にわたり実施された。溶出ペプチドは、ナノスプレーイオン化によってイオン化され、調査スキャンで最も豊富な5つの前駆イオンのフラグメントスペクトルを生じる、トップ5CID(衝突誘起解離)法を実装する、質量分光計内で分析された。分解能は、60,000に設定された。HLAクラスIリガンドでは、質量範囲は400〜650m/zに限定され、電荷状態2および3が断片化を許された。HLAクラスIIでは、300〜1,500m/zの質量範囲が分析されて、電荷状態≧2が断片化を許された。
データベース検索およびスペクトル注釈
データ処理のために、ソフトウェアProteome Discoverer(v1.3、ThermoFisher)を使用して、Swiss−Protデータベース(www.uniprot.org、リリース:2013年9月27日;20,279個の概説されるタンパク質配列が含まれる)に含まれるヒトプロテオームに対する、Mascot検索エンジン(Mascot 2.2.04、Matrix Science)の検索結果が組み込まれた。検索は、技術的複製のデータを統合し、酵素特異性によって制限されなかった。前駆体質量許容差は5ppmに、フラグメント質量許容差は0.5Daに設定された。酸化メチオニンは、動的修飾として許容された。偽発見率(FDR)は、シャッフルされた標的データベースからなるデコイデータベースに対するプロセッシングに基づいて、Percolatorアルゴリズムによって判定された。FDRは、q≦0.05(5%FDR)の目標値に設定された。q≦0.05があるペプチドスペクトラムマッチ(PSM)は、相加的直交パラメータに従ってフィルターされ、スペクトル品質および妥当性が保証された。Mascotスコアは、≧20にフィルターされた。HLAクラスIでは、ペプチド長は、8〜12アミノ酸(aa)長に限定された。HLAクラスIIでは、ペプチドは、12〜25aa長に限定された。タンパク質分類は無効にされて、ペプチド(例えば、複数のタンパク質中への保存配列マッピング)の複数の注釈が許された。品質管理のために、サンプル当たり、≧300のユニークなHLAクラスIリガンドおよび≧100のユニークなHLAクラスIIリガンドの収率閾値が適用された。HLA注釈は、SYFPEITHI(www.syfpeithi.de)または拡張社内データベースを使用して実施された。
治療過程にわたるCLL患者リガンドームの縦断的解析
治療過程にわたる相対HLAリガンド存在量の無標識定量化(LFQ)のために、注射された対合サンプルペプチド量が正規化されて、各サンプル毎に5つの技術的複製で、LC−MS/MS分析が実施された。
手短に述べると、対合サンプルの物質の相対量は、用量設定質量分析実験で判定され希釈に応じて補正された、平均前駆体イオン強度から計算された。HLAリガンドの相対定量化は、Proteome Discoverer 1.3を使用して、対応する前駆体抽出イオンクロマトグラム(XIC)の曲線下面積を計算することで実施された。各サンプルの5回のLFQ−MS実験における個々のペプチドの平均面積の比率が計算され、社内Matlabスクリプト(v8.2、Mathworks)を使用して、両側T検定が実施された。
ペプチド合成
自動ペプチド合成装置EPS221(Abimed)を使用して、記載されるような9−フルオレニルメチル−オキシカルボニル/tert−ブチル(Fmoc/tBu)ストラテジーを使用して、ペプチドが合成された。合成ペプチドが、LC−MS/MS同定の検証のため、ならび機能的実験のために使用された。
ペプチド特異的T細胞の増幅
CLL患者および健常ボランティアからのPBMCが、10%貯留ヒト型血清(PHS、社内製造)、100mMのβ−メルカプトエタノール(Roth,Karlsruhe,Germany)、および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(GE)が添加されたRPMI1640培地(Gibco)中で、培養された。CD8T細胞刺激では、PBMCが解凍されて、1μg/mlペプチドでパルス処理された。ペプチドパルス処理PBMC(5〜6×10細胞/ml)は、37℃および5%COで、12日間培養された。0日目および1.5日目に、5ng/mlのIL−4(R&D systems,Minneapolis,MN,USA)および5ng/mlのIL−7(Promokine,Heidelberg,Germany)が、培養液に添加された。3、5、7、および9日目に、2ng/mlのIL−2(R&D systems)が培養液に添加された。ペプチド刺激PBMCは、12日目にELISPOTアッセイによって、13日目に細胞内サイトカイン染色によって、それぞれ機能解析された。CD4T細胞刺激では、培養は、次の2つの修正を加えて、CD8T細胞について記載されたようにして実施された:パルス処理は10μg/mlのHLAクラスIIペプチドを用いて実施され、IL−4およびIL−7は添加されなかった。
IFN−γELISPOTアッセイ
IFN−γELISPOTアッセイは、以前記載されたようにして実施された(33)。手短に述べると、96ウェルニトロセルロースプレート(Millipore)が、1mg/mlのIFN−γmAb(Mabtech,Cincinnati,OH,USA)で被覆され、4℃で一晩培養された。プレートは、10%PHSによって37℃で2時間ブロックされた。5×10個の細胞/ウェルの予備刺激PBMCが、1μg/ml(HLAクラスI)または2.5μg/ml(HLAクラスII)ペプチドでパルス処理されて、24〜26時間培養された。読み取りは、製造会社の使用説明書に従って実施された。スポットは、ImmunoSpot S5分析器(CTL,ShakerHeights,OH,USA)を使用して計数された。>15スポット/ウェルカウントされ、ウェルあたりの平均スポットカウントが、陰性対照ウェルの平均スポット数よりも少なくとも3倍高ければ、T細胞応答は陽性と見なされた(がんイムノガイディングプログラム(CIP)ガイドラインに準拠する)。
細胞内IFN−γおよびTNF−α染色
ペプチド特異的CD8T細胞の発生頻度および機能性は、細胞内IFN−γおよびTNF−α染色によって分析された。PBMCは、1μg/mlの個々のペプチドでパルス処理されて、10μg/mlのBrefeldin A(Sigma,St.Louis,MO,USA)および10μg/mlのGolgiStop(BD)の存在下で6〜8時間培養された。細胞は、Cytofix/Cytoperm(BD)、CD8−PECy7(Beckman Coulter,Fullerton,CA,USA)、CD4−APC(BD Bioscience)、TNF−α−PE(Beckman Coulter)、およびIFN−γ−FITC(BD)を使用して標識された。サンプルは、FACS Canto II上で分析された。
ペプチド特異的CD8T細胞の出現頻度は、抗CD8およびHLA:ペプチド−四量体−PEでの染色によって評価された。
結果
原発性CLL細胞は自己由来正常B細胞と比較してHLA発現の損失または下方制御を示さない
悪性腫瘍中のHLA損失または下方制御は、T細胞ベースの免疫療法の主要な限界を提起してもよい。したがって、最初のステップとして、本発明者らは、自己由来CD19CD5Bリンパ球と比較して、CD19CD5CLL細胞上で、HLA発現レベルを評価した。HLA表面レベルは、7人のCLL患者のパネルにおいて、フローサイトメトリーによって定量化された。HLA表面発現レベルは、患者個人不均一性を明らかにし、全HLAクラスI分子カウントは、CLL細胞上の約42,500〜288,500個の分子/細胞、および正常B細胞上の約32,000〜256,500個の分子/細胞に及ぶ。3連でのHLA表面発現の患者個人分析は、4/7の患者において、小さいが、有意な発現レベルの差を明らかにした(P<0.01)(図1a)。HLA−DR発現は、CLL細胞上で約29,000〜100,500、B細胞上で約19,500〜79,500に及んだ。HLA−DRレベル(P<0.01)の軽微な差異が、5/7の患者で検出された。正常B細胞と比較したCLL細胞上の平均HLA表面発現の統計解析は、HLAクラスIおよびII発現に有意な差異がないことを示した(図1c、d)。総合すると、これらのデータは、正常B細胞との比較してHLA損失または下方制御の形跡なしに、CLL細胞上における高レベルのHLAクラスIおよびII発現を示す。
LC−MS/MSは無数の天然に提示されるHLAクラスIおよびIIリガンドを同定する
30人のCLL患者のHLAクラスIリガンドームをマッピングすることで、本発明者らは、7,377個の起源タンパク質に相当する全部で18,844個の異なるペプチドを同定し得て、最大達成可能カバー度の>95%を達成した(図7)。患者当たりで同定された異なるペプチド数は、345〜2,497に及んだ(平均値1,131)。全体として、30を超える異なるHLA−Aおよび−B対立遺伝子によって拘束されるペプチド(白人母集団_ENREF_27の>99%をカバーする)が、この試験で同定された。30人のPBMCドナーのHVコホートでは、7,180個の異なる起源タンパク質に相当する、合計17,322個のユニークなペプチドが同定された(>90%カバー度)。HVコホート中のHLA対立遺伝子分布は、CLL患者コホート中のHLA−Aの100%およびHLA−B対立遺伝子の>80%をカバーした。
HLAクラスIIリガンドーム解析は、20人のCLL患者で実施された。1,486個の起源タンパク質に相当する合計5,059個のユニークなペプチドが同定された。13人のPBMCドナーのHLAクラスII HVコホートは、756個の起源タンパク質に相当する、2,046個の異なるペプチドをもたらした。
HLAクラスIリガンドームの比較プロファイリングは多数のCLL関連抗原を明らかにする
新規CLL関連抗原を同定するために、本発明者らは、CLLおよびHVコホートのHLAリガンド起源プロテオームを比較した。HLA起源タンパク質重複分析は、CLLのHLAリガンドーム中で、2,148個のタンパク質(マッピングされたCLL起源プロテオームの29.1%)が、排他的に表示されることを明らかにした(図2a)。幅広く適用できる既製ペプチドワクチンを設計する目的で、本発明者らは、引き続いて、以下の基準に従って、可能な標的の選択に優先順位をつけた:
CLL排他性は、最重要基準と定義され、CLLリガンドーム中の表示の出現頻度に従った抗原格付けがそれに続く(図2b)。本発明者らのプラットフォームは、CLL患者の≧20%でCLL限定的表示を示す、225個の異なるHLAリガンドによって表示される、49個の起源タンパク質(CLL起源プロテオームの0.7%)を強調した。同一抗原格付けストラテジーをHV PBMC限定的抗原に適用することで、71個のリガンドーム由来良性組織結合抗原(LiBAA)と298個の対応するリガンド(LiBAP)の組が同定され、免疫学的アッセイで内部対照として使用された。
既製ワクチンの設計に適している、広く表示されるCLL−LiTAAの他に、表示頻度<20%の2,099個のCLL限定的抗原の第2のパネルが、本発明者らのプラットフォームによって同定された。これらの標的は、より個別化された治療的アプローチのためのリポジトリとして役立つ。
確立されたCLL関連抗原に由来する天然に提示されるHLAクラスIリガンドのLC−MS/MSによる検出
新規CLL関連抗原の同定と並んで、二次的アプローチは、天然に提示されるHLAリガンドの本データセット内の小数の確立されたCLL抗原の格付けに焦点を合わせた。本発明者らは、8個の記載されるCLL関連抗原に相当する、28個の異なるHLAリガンドを同定できた。注目すべきことに、フィブロモジュリン(FMOD−324−333、RINEFSISSF、HLA−A*23(配列番号526)のみが、CLL患者コホートにおける低い表示出現頻度のために、本データセット中のCLL抗原の#437に格付けされるCLL限定的表示を示した。残りの7個の抗原は、CLL上およびHV PBMC双方の上で表示を示し、したがってCLL排他性という最重要基準を満たせなかった。しかし、CD19、CD20、RHAMM、およびPRAMEでは、様々な程度のCLL関連過剰出現が検出された(図2c)。
比較リガンドームプロファイリングは異なる病期およびリスク層で共有されるLiTAAを同定する
異なる病期にわたる新規標的の適用性を評価するために、本発明者らは、ビネーA(n=9)、B(n=7)、およびC(n=14)の病期にある患者を比較する、部分集合特異的リガンドームプロファイリングを実施した。2,148個のCLL排他的起源タンパク質の重複分析からは、それらの内550個(25.6%)が、少なくとも2つの病期で共有され、137個のタンパク質(6.1%)のコアグループが、全ての3つの病期にある患者で表示されることが分かった(図2d)。注目すべきことに、共通起源タンパク質のコアグループに属するLiTAAの45/49(91.8%)は、3つの部分集合の全てで表示された。ビネー病期A、B、およびCにわたる、全ての49個のLiTAAの表示頻度の色分け地図解析は、図2eに示される。
もう一つの焦点は、この遺伝的逸脱がない患者(no del17p、n=25)と比較して、17p13欠失(del17p、n=5)を保有する高リスク患者の部分集合におけるLiTAAの表示を判定することに置かれた。本発明者らは、同定されたLiTAAの77.7%が、双方の部分集合で表示されることを発見した(図2f)。総合して、これらのデータは、幅広く適用できる標的を選択するための、考案されたHLAリガンドームのコホート構成解析ストラテジーを支持する。
HLAクラスI LiTAPの機能特性解析はCL関連免疫反応性を明らかにする
本発明者らのHLAクラスI LiTAPの免疫原性および特異性を評価するために、本発明者らは、次に、12日間免疫復活IFNγ ELISPOTアッセイを実施した。15個のLiTAP(6A*02、4A*03、および5B*07 LiTAPs)のパネルが、CLL患者および健常ボランティアから得られたHLAマッチPBMCの刺激のために実装された(図3a)。本発明者らは、CLL患者(3/4A*03(図3c)、6/6A*02および5/5B*07 LiTAP(図8c、f))では、試験されたLiTAPの14/15(93.3%)についてIFNγ分泌を観察したが、健常対照では見られなかった(0/10、図3b、図8b、e)。これらの知見は、P * 03 (DMXL11271−1279SSSGLHPPK)について、CD8T細胞の四量体染色、およびIFNγとTNFαの細胞内サイトカイン染色によって、例示的に確認された(図9a、b)。HLAマッチ良性組織由来LiBAPを使用したELISPOTアッセイが実施されて、CLL患者において観察されたLiTAP指向免疫認識のCLL特異性が調節された。本発明者らは、9個のLiBAP(3個のA*02、3個のA*03、3個の**07)のパネルを試験して、試験されたCLL患者のいずれにおいても、有意なIFNγ分泌がないことを観察した(0/7A*03(図3d)、0/10A*02、および0/5B*07(図8a、d))。
1人以上の患者で免疫認識を示す14/15のLiTAPについて、本発明者らは、CLL患者における、(LC−MS/MSによって検出される)HLA拘束性提示の対立遺伝子補正頻度、および(ELISPOTによって検出される)免疫反応性の頻度を計算した。際だったことに、これらの2つのパラメータの線形相関が観察された(ピアソンr=0.77、R=0.59、図3e)。これらの知見は、2つの主要な点を示唆する:第1に、腫瘍限定的表示は、免疫認識のための必要条件である。第2に、免疫認識の出現頻度は、免疫反応性LiTAPのHLA拘束性提示の出現頻度から、直接、推定され得る。総合して、これらのデータは、CLL特異的ペプチドワクチンの免疫学的に妥当な標的を同定する、本発明者らのアプローチの有効性を実証する。
HLAクラスIIリガンドーム解析は相乗的ワクチン設計のための追加的なCD4T細胞エピトープを同定する
CD4T細胞が抗がん免疫応答において果たす重要な間接的および直接的役割の理由から、最適ワクチン設計は、追加的なHLAクラスIIエピトープの組み入れを必要とする。本発明者らは、CLLおよびHV PBMCリガンドームの重複分析を実施して、CLL患者のリガンドーム中で、937個のタンパク質(同定されたCLL起源タンパク質の63.0%)が排他的に表示されることを同定した(図4a)。HLAクラスIについて記載される同一抗原格付けストラテジーを適用することで、本発明者らは、460個の対応するLiTAPによって表示される、73個のHLAクラスII LiTAAを同定した(図4b)。IFNγ ELISPOTアッセイにおける7個のHLAクラスII LiTAPのパネルの機能特性解析(図4c)は、CLL患者(図4e)では、6/7(85.7%)LiTAPについて有意なIFNγ分泌を明らかにしたが、健常対照(0/10、図4d)では見られなかった。次に、本発明者らは、共通の相乗的標的を同定するために、HLAクラスIおよびIIリガンドームの複合解析を実施した。CLL限定的起源タンパク質の重複分析は、132個のタンパク質が、HLAクラスIおよびIIリガンドームの双方で表示されることを明らかにした(図4f)。色分け地図解析は、リガンドーム(B4GALT1(26.7%クラスI/30.0%クラスII)、HLA−DMA(20.0%クラスI/20%クラスII)、図4g)の双方で≧20%の表示頻度を提示する2個のタンパク質を同定した。際だったことに、クラスI LiTAP(HLA−DMA206−214、HEIDRYTAI、B*18)の1つは、対応するHLAクラスII LiTAP(VTHEIDRYTAIAY(配列番号924))に完全に包埋されていることが明らかにされた。総合して、本発明者らは、T細胞エピトープとして確認し得たクラスII LiTAPのパネル、並びにクラスI LiTAAをカバーする一連の可能な相乗的HLAクラスIIリガンドを同定した。
異なる薬剤投与計画下のCLL患者リガンドームの縦断的解析
ペプチドベースの免疫療法の範囲は、MRDの維持療法および根除である。結果として、CLLにおけるペプチドワクチン接種は、標準化学/免疫療法後に行われる。したがって、本発明者らは、異なる薬剤投与計画が実施されたCLL患者の異なる時点にわたり、HLA発現を解析して、リガンドームプロファイリングを実施した。
本発明者らは、リツキシマブ治療(Rt0h、Rt24h)を受けた4人の患者、およびアレムツズマブ(At0h、At72h、At7d、図10a〜d)を投与された1人の患者において、HLAクラスIおよびII表面発現を定量化した。HLA表面発現は、いずれの治療計画過程においても、平均HLAクラスI(Rt0h=50,500、Rt24h=48,000;At0h=42,500、At7d=61,500)発現、およびHLAクラスII(Rt0h=36,500、Rt24h=27,500;At0h=47,000、At7d=55,500)発現の有意な変化を伴わない、患者個人の不均一性を示した。
リツキシマブ−ベンダムスチン、アレムツズマブまたはオファツムマブ療法をそれぞれ受けた個々の患者において、縦断的HLAクラスIリガンドームプロファイリングが実施された(図5a〜c)。リツキシマブ−ベンダムスチン療法下では、HLAクラスIリガンドの11.1%に、オファツムマブ療法下ではリガンドの21.6%に、アレムツズマブ療法下ではリガンドの33.6%に、差次的提示(≦2倍の変化、p≧0.05)が観察された。全体として、8/49(16.3%)のLiTAAに相当するLiTAPが、治療過程にわたって示差的に提示されることが明らかにされた。総合すると、これらのデータは、異なる治療過程にわたる、表面HLAの安定発現およびLiTAPの堅固な提示を示す。
LiTAPに対する免疫応答はCLL患者の全生存期間改善と関係があるかもしれない
最終段階として、本発明者らは、>1のLiTAP特異的(n=10)T細胞応答と対比して、0〜1のLiTAP特異的(n=23)T細胞応答がある症例を比較するELISPOTアッセイによって分析された(図6b)、33人のCLL患者の後向き生存分析を実施した(図6a)。低応答コホートでは6/23(26.1%)の患者、高応答コホートでは0/11の患者が死亡した。全生存期間は、>1免疫反応を示すコホートで長期化するようである。
実施例2
ペプチドの合成
全てのペプチドは、Fmocストラテジーを使用する、標準的な十分に確立された固相ペプチド合成を使用して合成された。分取RP−HPLCによる精製後、イオン交換法を実施して、生理学的適合性カウンターイオン(例えばトリフルオロ酢酸、酢酸、アンモニウムまたは塩化物)が組み込まれた。
個々のペプチドのアイデンティティーおよび純度は、質量分析法および分析用RP−HPLCによって判定された。ペプチドは、イオン交換法後に、純度が90%〜99.7%の白色から灰白色凍結乾燥物として得られた。
全てのTUMAPは、好ましくはトリフルオロ酢酸塩または酢酸塩として投与され、その他の塩形態もまた可能である。実施例4の測定では、ペプチドのトリフルオロ酢酸塩を使用した。
実施例3
MHC結合アッセイ
本発明によるT細胞ベースの治療法のための候補ペプチドは、それらのMHC結合能力(親和性)についてさらに試験された。個々のペプチドMHC複合体は、切断感受性ペプチドが切断されて、分析される関心のあるペプチドで交換される、ペプチドリガンド交換によって製造された。ペプチド受容性MHC分子と効果的に結合して安定化し得るペプチド候補のみが、MHC複合体の分離を防止する。交換反応の収率を判定するために、安定化MHC複合体の軽鎖(β2m)の検出に基づくELISAを実施した。アッセイは、概して、Rodenko et al.(Rodenko et al.,Nat Protoc.1(2006):1120−1132)に記載されるようにして実施された。
96ウェルMAXISorpプレート(NUNC)が、PBS中の2μg/mlストレプトアビジンにより室温で一晩被覆されて、4回洗浄され、ブロック緩衝液を含有する2%BSA中で37℃で1時間ブロックされた。再折りたたみされたHLA−A*0201/MLA−001単量体が、15〜500ng/mlの範囲をカバーする標準物質の役割を果たした。UV交換反応のペプチド−MHC単量体は、ブロック緩衝液中で100倍に希釈された。サンプルは、37℃で1時間インキュベートされて、4回洗浄され、2ug/mlのHRP共役結合抗β2mと共に37℃で1時間インキュベートされ、再度洗浄されて、NHSOで停止させたTMB溶液で検出された。吸光は、450nmで測定された。抗体またはそれらのフラグメント、および/またはT細胞受容体またはそれらのフラグメントの作成および製造のためには、高い交換収率(好ましくは50%よりも高い、最も好ましくは高い75%よりも)を示す候補ペプチドが、MHC分子に対する十分な結合活性を示してMHC複合体の分離を防止することから、一般に好ましい。
試験されたペプチドのMHCクラスI結合スコア;<20%=+;20%〜49%=++;50%〜75%=+++;>=75%=++++
実施例4
MHCクラスI提示ペプチドの生体外免疫原性
本発明のTUMAPの免疫原性に関する情報を得るために、本発明者らは、ペプチド/MHC複合体および抗CD28抗体を負荷した人工抗原提示細胞(aAPC)によるCD8+T細胞の反復刺激に基づく、生体外T細胞プライミングアッセイを用いて調査を実施した。このようにして、本発明者らは、本発明のHLA−A*0201拘束性TUMAPの免疫原性を示し得て、これらのペプチドが、それに対するCD8+前駆T細胞がヒトに存在する、T細胞エピトープであることを実証した。
CD8+T細胞の生体外プライミング
ペプチドMHC複合体(pMHC)および抗CD28抗体を負荷した、人工抗原提示細胞による生体外刺激を実施するために、本発明者らは、最初に、告知に基づく同意後に、University clinics Mannheim,Germanyから得られた健常ドナーのCD8ミクロビーズ(Miltenyi Biotec,Bergisch−Gladbach,Germany)を使用した正の選択を通じて、新鮮HLA−A*02白血球除去生成物からCD8+T細胞を単離した。
PBMCおよび単離CD8+リンパ球またはPBMCは、10%熱不活性化ヒトAB血清(PAN−Biotech,Aidenbach,Germany),100U/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン(Cambrex,Cologne,Germany),1mMピルビン酸ナトリウム(CC Pro,Oberdorla,Germany),20μg/mlゲンタマイシン(Cambrex)を添加した、RPMI−Glutamax(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)からなるT細胞培地(TCM)中で、使用時まで培養された。2.5ng/mlのIL−7(PromoCell,Heidelberg,Germany)および10U/mlのIL−2(Novartis Pharma,Nurnberg,Germany)もまた、この段階でTCMに添加された。
pMHC/抗CD28被覆ビーズの作成、T細胞刺激、および読み取りは、高度に定義された生体外システム内で、刺激条件あたり4種の異なるpMHC分子と、読み取り条件あたり8種の異なるpMHC分子を使用して実施された。
精製共刺激マウスIgG2a抗ヒト型CD28 Ab 9.3(Jung et al.,Proc Natl Acad Sci USA 84(1987):4611−4615)が、製造業者(Perbio,Bonn,Germany)によって推奨されるように、スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドビオチンを使用して化学的にビオチン化された。使用されたビーズは、直径5.6μmのストレプトアビジン被覆ポリスチレン粒子(Bangs Laboratories,Illinois,USA)であった。
陽性および陰性対照刺激のために使用されたpMHCは、それぞれ、A*0201/MLA−001(修飾Melan−A/MART−1に由来するペプチドELAGIGILTV(配列番号1017))、およびA*0201/DDX5−001(DDX5に由来するYLLPAIVHI、配列番号1018)であった。
4×12.5ngの異なるビオチンpMHC存在下で、800,000個のビーズ/200μlが96ウェルプレート内で被覆され、洗浄されて、引き続いて200μlの容量中で600ngのビオチン抗CD28が添加された。5ng/mlのIL−12(PromoCell)を添加した200μlのTCM中で、1×10のCD8+T細胞を2×8の洗浄被覆ビーズと、37℃で3日間にわたり同時インキュベートすることで、96ウェルプレート内で刺激が開始された。次に80U/mlのIL−2を添加した新鮮TCMで培地の半分を交換し、37℃で4日間にわたり培養が継続された。この刺激サイクルが、合計3回実施された。条件あたり8種の異なるpMHC分子を使用するpMHC多量体読み取りでは、891種の異なる蛍光色素への共役を包含するわずかな修正を加えて、以前記載されたような(Andersen et al.,Nat.Protoc.7(2012):891−902)二次元コンビナトリアルコーディングアプローチが使用された。最後に、Live/dead近赤外染料(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)、CD8−FITC抗体クローンSK1(BD,Heidelberg,Germany)、および蛍光性pMHC多量体による細胞の染色によって多量体解析が実施された。解析では、適切なレーザーおよびフィルターを装着したBD LSRII SORP血球計数器が使用された。ペプチド特異的細胞は、全CD8+細胞の百分率として計算された。多量体解析の評価は、FlowJoソフトウェア(Tree Star,Oregon,USA)を使用して実施された。特異的多量体+CD8+リンパ球の生体外初回刺激は、陰性対照刺激と比較することで(by by)検出された。1人の健常ドナーの少なくとも1つの評価可能生体外刺激ウェルが、生体外刺激後に、特異的CD8+T細胞系を含有することが認められれば、所与の抗原の免疫原性が検出された(すなわちこのウェルは、CD8+T細胞内に少なくとも1%の特異的多量体+を含有し、特異的多量体+細胞の百分率は、陰性対照刺激の中央値の少なくとも10倍であった)。
CLLペプチドの生体外免疫原性
試験されたHLAクラスIペプチドでは、ペプチド特異的T細胞系の生成によって、生体外免疫原性が実証され得た。代表的結果として、ペプチドKFAEEFYSF(配列番号20)は、試験されたドナー5人の内2人で、生体外T細胞応答をもたらした。
実施例5
細胞表面に提示される腫瘍関連ペプチドの同定および定量化
組織サンプル
本発明のHLA−A*02結合ペプチドの分析/確認のために、ペプチド同定で使用されるサンプルの他に、正常および腫瘍(CLL)組織の双方を含んでなる非依存性サンプルセットが使用された。全ての患者の告知に基づく同意書は、外科手術または検死解剖前に得た。組織は切除直後に衝撃凍結されて、TUMAPの単離まで−70℃未満で保存された。
組織サンプルからのHLAペプチドの単離
衝撃凍結組織サンプルからのHLAペプチド貯留は、わずかに改変されたプロトコル(Falk et al.,Nature 351(1991):290−296;Seeger et al.,Immunogenetics 49(1999):571−576)に従って、HLA−A*02−特異的抗体BB7.2、HLA−A、−B、−C特異的抗体W6/32、CNBr活性化セファロース、酸処理、および限外濾過を使用して、固形組織からの免疫沈殿によって得られた。
質量分析
得られたHLAペプチド貯留は、逆相クロマトグラフィー(nanoAcquity UPL C system、Waters)によって、それらの疎水性に従って分離され、ESI源を装着したLTQ−velosおよびfusionハイブリッド質量分光計(ThermoElectron)内で溶出ペプチドが分析された。ペプチド貯留は、毎分400nLの流速を適用して、1.7μm C18逆相材料(Waters)で充填された、分析用融合シリカマイクロキャピラリーカラム(75μm内径×250mm)上に直接、挿入された。引き続いて、毎分300nLの流速で10%から33%へのBの二段階180分間二成分勾配を用いて、ペプチドが分離された。勾配は、溶媒A(水中の0.1%ギ酸)および溶媒B(アセトニトリル中の0.1%ギ酸)から構成された。nanoESI源への導入には、金被覆ガラス毛管(PicoTip、New Objective)が使用された。LTQ−Orbitrap質量分光計は、TOP5ストラテジーを使用してデータ依存モードで操作された。手短に述べると、スキャンサイクルは、Orbitrap(R=30000)内の高質量精度の完全スキャンで開始され、これもまたOrbitrap(R=7500)内の5種の最も豊富な前駆イオンのMS/MSスキャンがそれに続き、あらかじめ選択されたイオンは動的に除外された。タンデム質量スペクトルは、SEQUESTおよび追加的な手動調節によって解釈された。同定されたペプチド配列は、生じた天然ペプチド断片化パターンと、配列が同一の合成参照ペプチドの断片化パターンとの比較によって確定された。
イオン計数によって、すなわちLC−MS特性の抽出および解析によって、無標識相対LC−MS定量化を実施した(Mueller et al.,Proteomics.7(2007):3470−3480)。方法は、ペプチドのLC−MSシグナル面積が、サンプル中のその存在量に相関すると仮定する。抽出された特性は、電荷状態デコンボリューションと滞留時間アライメントによって、さらに処理された(Mueller et al.,J Proteome.Res 7(2008):51−61;Sturm et al.,BMC.Bioinformatics.9(2008):163)。最終的に、全てのLC−MS特性が配列同定結果と相互参照されて、異なるサンプルの定量的データと、組織からペプチドへの提示プロファイルとが組み合わされた。定量的データは、技術的および生物学的複製内の変動を考慮した中心傾向に従って、二重様式で正規化された。このようにして、それぞれの同定されたペプチドが定量的データと関連付けられ、サンプルと組織の間の相対定量化が可能になる。さらに、ペプチド候補について得られた全ての定量的データが手動で検査され、データ整合性が確実にされて、自動解析の確度が確認された。各ペプチドについて、提示プロファイルが計算され、平均サンプル提示ならびに反復試験変動が示された。プロファイルは、CLLサンプルを正常組織サンプルのベースラインに並置する。代表的過剰提示ペプチドの提示プロファイルは、図11に示される。
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Zhou, H.et al., IUBMB.Life 64 (2012):889-900

Claims (21)

  1. 配列番号167に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
  2. 前記ペプチドが、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子に結合する能力を有する、請求項1に記載のペプチド。
  3. 前記ペプチドが、非ペプチド結合を含む、請求項1または2に記載のペプチド。
  4. 配列番号167に示されるアミノ酸配列からなるHLAリガンドと、反応性のT細胞受容体。
  5. (a)配列番号167に示されるアミノ酸配列からなるペプチド;および
    (b)HLA−DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸1〜80
    を含んでなる、融合タンパク質。
  6. (a)請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド;
    (b)請求項4に記載のT細胞受容体;または
    (c)請求項5に記載の融合タンパク質をエンコードする核酸。
  7. DNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせである、請求項に6記載の核酸。
  8. 請求項6または7に記載の核酸を含んでなる、発現ベクター。
  9. 請求項6または7に記載の核酸、または請求項8に記載の発現ベクターを含んでなる、宿主細胞。
  10. 樹状細胞または抗原提示細胞である、請求項9に記載の宿主細胞。
  11. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド、請求項4に記載のT細胞受容体、または請求項5に記載の融合タンパク質を製造する方法であって、請求項9に記載の宿主細胞を培養するステップと、前記宿主細胞および/またはその培養液から前記ペプチド、前記T細胞受容体、または前記融合タンパク質を単離するステップとを含んでなる、方法。
  12. CTLを適切な抗原提示細胞の表面に発現される抗原負荷ヒトクラスI MHC分子に、前記CTLが抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり、生体外で接触させるステップを含んでなり、前記抗原が請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチドである、活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を製造するためのインビトロ法。
  13. 前記抗原が、十分な量の前記抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞の表面に発現されるクラスI MHC分子上に負荷される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記抗原提示細胞が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の前記ペプチドを発現する能力がある発現ベクターを含んでなる、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法によって製造される、活性化細胞毒性Tリンパ球(CTL)。
  16. 請求項15に記載の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を含んでなる、患者において標的がん細胞を死滅させる薬剤。
  17. 薬剤の製造における、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド、請求項4に記載のT細胞受容体、請求項5に記載の融合タンパク質、請求項6または7に記載の核酸、請求項8に記載の発現ベクター、請求項9または10に記載の宿主細胞、または請求項15に記載の活性化細胞傷害性Tリンパ球の使用。
  18. 前記薬剤がワクチンである、請求項17に記載の使用。
  19. 前記薬剤ががんに対して有効である、請求項17または18に記載の使用。
  20. 前記がんが、慢性リンパ性白血病(CLL)および/または急性骨髄性白血病(AML)である、請求項19に記載の使用。
  21. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチドからなる群から選択される少なくとも1つの活性成分、請求項4に記載のT細胞受容体、請求項5に記載の融合タンパク質、請求項6または7に記載の核酸、請求項8に記載の発現ベクター、請求項9または10に記載の宿主細胞、および請求項15に記載の活性化細胞毒性Tリンパ球、および薬学的に許容可能な担体を含んでなる、医薬組成物。
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