<第1実施形態>
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2はそれぞれ、ロータリ耕耘作業機10の側方及び後方から見た図である。このロータリ耕耘作業機10の前部には、図示しないトラクタのトップリンクとロアーリンクとからなる3点リンクヒッチ機構に連結されるトップマスト11とロアーリンク連結部12が設けられ、ロータリ耕耘作業機10はトラクタの後部に昇降可能に装着される。また、トラクタのPTO軸から、ユニバーサルジョイント、伝動シャフト等を介して、ロータリ耕耘作業機10の前側中央部に設けられた変速ギヤボックス13から前方に突出している入力軸13aに動力が伝達される。
上記ギヤボックス13から左右両側に、本体フレームを兼ね、伝動シャフト14を内装した伝動フレーム15a、及び中空の支持フレーム15bが水平方向に延設されている。この伝動フレーム15aの側端部にはチェン伝動ケース16が垂設され、また、支持フレーム15bの側端部には側部フレーム17がチェン伝動ケース16と対向して垂設されている。このチェン伝動ケース16の下端部と側部フレーム17の下端部との間にロータリ軸18aが軸架されている。このロータリ軸18aの軸周には複数の耕耘爪18bが取付けられて耕耘ロ−タ18を構成している。そして、入力軸13aに伝達された動力はギヤボックス内でギヤ変速され、伝動シャフト14を回転させてチェン伝動ケース16を介してロータリ軸18aを回転駆動し、耕耘ロ−タ18を所定方向に回転させて耕耘作業を行う。
上記耕耘ロ−タ18の上側はシールドカバー19により覆われ、このシールドカバー19の左右両側端部には側部カバー20が設けられている。上記シールドカバー19の後端部には枢支部22を介してエプロン21の前端部が上下回動可能に枢支されている。このエプロン21の上面と本体フレームとの間にはコンプレッションロッド23が設けられ、このコンプレッションロッド23には、ロックピン24が設けられていて、エプロン21をはね上げた状態で固定可能となっている。
図3(a)及び図3(b)はそれぞれ、ホイールアーム25aによって軸支された本実施形態による耕深ゲージホイール25を進行方向及び側方から見た図である。
ロータリ耕耘作業機10の前側には、該ロータリ耕耘作業機10の耕深を調節するための、左右一対の耕深ゲージホイール25が設けられている。この耕深ゲージホイール25は、図1に示すように、本体フレームから前方に突出するように固定されたホイールブラケット26の上下方向のホイールアーム挿通部26aに、耕深ゲージホイール25を下端部に軸支したホイールアーム25aを、その軸心線がホイールアーム挿通部26aの軸心線と同じになるようにして挿通し、ホイールアーム挿通部26aに形成したピン穴26bとホイールアーム25aに形成した多数のピン穴25bの一つを合致させ、そこに係止ピン27を挿通して耕深ゲージホイール25を上下調節して固定するようにしている。
ホイールアーム25aの上端には上下操作用グリップ28が設けられ、この上下操作用グリップ28の取付け具の下端部と上記ホイールアーム挿通部26aの上端部にはそれぞれバネ座29が固設され、このバネ座29間に、バランサーとしてのコイルバネ30を介装し、ホイールアーム25aを上方に向け付勢している。
本発明の一実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の構成及び耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について詳細に説明する。図4(a)及び図4(b)はそれぞれ、本実施形態による耕深ゲージホイール25の進行方向及び側方から見た図である。図5は、図4(a)に示した本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の断面を拡大した図であり、耕深ゲージホイール25の回転軸を含む平面に沿った断面図を示している。
本実施形態における耕深ゲージホイール用軸受装置は、回転軸体101と、回転軸体101の両端部にそれぞれ固定して配置された軸受部材102と、それぞれの軸受部材102に固定されたホイールボス103とを有している。左右両端のそれぞれの軸受部材102は、二つのオイルシール104a及び104bに挟持されている。
本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の回転軸体101は、ホイールシャフト101aと、ホイールシャフト101aの両端に配置されたシールケース101bとから構成されている。シールケース101bには、少なくとも一つの切欠き穴101cが設けられ、切欠き穴101cを流体が通過可能となっている。図5は、切欠き穴101cを通る断面を示している。
軸受部材102としては、例えばボールベアリングが用いられる。ボールベアリングは、内輪及び外輪を有し、それぞれが互いに同軸に回転可能な構成を有している。内輪は回転軸体101に固定され、外輪はホイールボス103に固定される。これによって、ホイールボス103と回転軸体101は互いに回転可能に支持される。
オイルシール104は、各種産業機械の回転部分に使用され、内部からの潤滑油を主とする液体漏れを防ぐと同時に、外部からの異物の進入を防ぐ。以下では、軸受部材102の位置に対し、回転軸体101の端部側に配置されたオイルシールを第1オイルシール104aと呼び、回転軸体101の内部側に配置されたオイルシールを第2オイルシール104bと呼ぶことにする。
左右両端のそれぞれの第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bはホイールボス103に固定して配置され、回転軸体101に摺動可能に接触している。このような構成により、左右両端のそれぞれの軸受部材102は、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bによって形成される密閉空間内に配置される。
更に、回転軸体101は、その内部に潤滑剤供給路105を有している。潤滑剤供給路105は、左右両端のそれぞれの当該密閉空間から引き出され、回転軸体101の両端に設けられた潤滑剤注入口106にそれぞれ連通している。
ここで、第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bは同一のタイプであってよい。第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bは、回転軸体101の周りに環状に配置され、回転軸を含む平面に沿った断面において略U字型の形状を有している。そして、回転軸体101の内側の方向に凸となるように配置されている。換言すると、第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bは、回転軸体101の外側に凹部を有する。ホイールボス103に固定される部分をはめあい部と呼び、回転軸体101に摺動可能に接触する部分をシールリップ部と呼ぶ。第1オイルシール104aの内側の端部とシールリップ部の回転軸方向の位置関係としては、第1オイルシール104aの内側の端部よりもシールリップ部の方が回転軸体101の外側に配置される。
このような構成及び配置を有することによって、例えば第1オイルシール104aについては、当該密閉空間内の圧力(内圧)が大気側の圧力よりも高くなると、シールリップ部近傍においてシールリップ部を回転軸体101から引き離す方向の圧力が生じ、シールリップ部と回転軸体101との接触圧力が減少する。接触圧力が一定程度を下回ると、当該密閉空間内に充填されていた潤滑剤は大気側へ漏洩する。
高速回転のための発熱によって一定程度以上に当該密閉空間の内圧が上昇した場合、充填された潤滑剤が当該密閉空間の外部に漏洩し得る。しかし、通常使用時のゲージホイール20の回転は自転によるものであるため、これを懸念する必要が無い。非使用時や通常使用時の内圧程度では、適度な接触圧力分布が維持されることによって、外部へ漏洩しないように封止されている。この点はトラクタの動力を受けて比較的高速回転を行う耕耘爪軸とは異なる。
一方、大気側の圧力が通常よりも高くなると、当該凹部に印加される圧力が増加することによって、シールリップ部を回転軸体101に押し付ける方向の圧力が生じ、シールリップ部と回転軸体101との接触圧力が増加する。
以上のことから、第1オイルシール104aは、当該密閉空間から大気側への流体の通過を可能とし、大気側から当該密閉空間への流体の侵入は遮断する構成となっている。第2オイルシール104bも、第1オイルシール104aと同様の構成を有する。
本実施形態においては、第1オイルシール104aは回転軸体101を構成するシールケース101bに摺動可能に接触し、第2オイルシール104bは回転軸体101を構成するホイールシャフト101aに摺動可能に接触している。
第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bの回転軸方向の配置としては、使用する潤滑剤の量に応じた当該密閉空間の容積が確保されるように決定すればよい。このように決定することによって、注入される潤滑剤の量を必要最小限に抑え、メンテナンスコストを削減することができる。
更に、特に第1オイルシール104aによって、外部から土砂や埃等の異物がゲージホイール20内へ侵入することを防止することができる。
以上、本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成について説明した。本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成によれば、第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bによって、非使用時や通常使用時の内圧程度では充填された潤滑剤が外部へ漏洩しないように封止することができる。そのため、古くなった潤滑剤を排出するための排出口を設ける必要が無く、当然、排出口を封鎖する蓋やそれを保護するためのカバー等を必要としない。これによって、構成が単純化されると共に、製造コストを削減することができる。
次いで、当該耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について詳細に説明する。
先ず、初回の潤滑剤供給時においては、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続し、圧力を印加することによって潤滑剤を注入する。
注入された潤滑剤は、潤滑剤供給路105を介して、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bによって形成された密閉空間を充填することによって、軸受部材102に供給される。潤滑剤が注入されると当該密閉空間の内圧が上昇し、第1オイルシール104aのシールリップ部と回転軸体101(シールケース101b)との接触圧力が低下する。当該接触圧力が一定程度を下回ると、当該密閉空間を充填していた大気は、第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。
当該密閉空間に充填されていた大気が全て外部に押し出されて潤滑剤が充填された後は、それ以上の潤滑剤が注入されると、既に注入されていた潤滑剤が第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。これによって、当該密閉空間に潤滑剤が充填され、供給作業が完了したことを目視で確認することができる。
以上、潤滑剤の初回供給作業について説明した。以下では、潤滑剤の入替作業について詳細に説明する。
先ず、初回の潤滑剤供給時と同様に、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって新しい潤滑剤を注入する。
潤滑剤供給路105を介した新しい潤滑剤の注入と共に、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bによって形成された密閉空間を充填していた古い潤滑剤は、第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。
注入された新しい潤滑剤は、当該密閉空間を充填すると共に、軸受部材102に供給される。
前述のように、本実施形態における耕深ゲージホイール用軸受装置は、オイルシール104によって外部からの土砂や埃等の異物の侵入を効果的に防止することができるが、微小量の異物の侵入は避けられない。本実施形態による潤滑剤の入替方法によれば、新しい潤滑剤の注入とともに、外部から侵入した土砂や埃等の異物を含む古い潤滑剤が外部へ押し出されるため、軸受装置の洗浄を兼ねることができる。
以上、本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の構成、潤滑剤の初回供給方法及び潤滑剤の入替方法について説明した。本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成によれば、第1オイルシール104a及び第2オイルシール104bによって、非使用時や通常使用時の内圧程度では充填された潤滑剤が外部へ漏洩しないように封止することができる。そのため、古くなった潤滑剤を排出するための排出口を設ける必要が無く、当然、排出口を封鎖する蓋やそれを保護するためのカバー等を必要としない。これによって、構成が単純化されると共に、製造コストを削減することができる。
更に、潤滑剤の初回供給及び入替の方法についても単純化される。グリスガン等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって潤滑剤を注入し、オイルシール104から押し出される潤滑剤を目視によって供給及び入替作業の完了を確認すればよい。
<第2実施形態>
本発明の他の実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置及び耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について説明する。図6は、本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の断面図である。図6は、耕深ゲージホイール用軸受装置の回転軸を含む平面に沿った断面図を示している。
本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置は、第1実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置と比較すると、左右両側の第2オイルシール104bが設けられていない点で異なっている。
本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置は、ホイールボス103、回転軸体101、左右両端の第1オイルシール104aによって密閉空間が形成され、左右両端側の軸受部材102が共に当該密閉空間内に配置される。
上記構成に伴い、回転軸体101が有する潤滑剤供給路105の好ましい構成は第1実施形態と異なる。本実施形態においては、当該密閉空間の中央部から引き出されるように潤滑剤供給路105が設けることが好ましい。図6においては、当該密閉空間の中央部から潤滑剤供給路105が引き出され、回転軸体101の一端部に設けられた潤滑剤注入口106に連通される態様を示している。
このような構成を有することによって、潤滑剤の注入、供給及び排出の循環が左右対称となる。つまり、潤滑剤の初回供給時及び入替時において、両端の軸受部材102に効率的かつ均等に潤滑剤を供給することができる。
更に、第1実施形態に対して第2オイルシール104bを省略することが可能であることから、製造コストが削減される。
以上、本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の構成について説明した。次いで、当該耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について詳細に説明する。
先ず、初回の潤滑剤供給時においては、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって潤滑剤を注入する。
注入された潤滑剤は、潤滑剤供給路105を介して、ホイールボス103、回転軸体101及び左右両端の第1オイルシール104aによって形成された密閉空間を充填すると共に、左右両端の軸受部材102に供給される。潤滑剤が注入されると、当該密閉空間の内圧が上昇し、第1オイルシール104aのシールリップ部とシールケース101bとの接触圧力が低下する。当該接触圧力が一定程度を下回ると、当該密閉空間を充填していた大気は、左右両端の第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。
当該密閉空間に充填されていた大気が全て外部に押し出されて潤滑剤が充填された後は、これ以上の潤滑剤の注入を行うと、既に注入されていた潤滑剤が左右両端の第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。これによって、当該密閉空間に潤滑剤が充填され、供給作業が完了したことを確認することができる。ここで、当該密閉空間の中央部から潤滑剤が注入される構成となっているため、左右両端の第1オイルシール104aからほぼ同時に潤滑剤が押し出されることが確認される。
以上、潤滑剤の初回供給作業について説明した。以下では、潤滑剤の入替作業の方法について詳細に説明する。
先ず、初回の潤滑剤供給時と同様に、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって新しい潤滑剤を注入する。
潤滑剤供給路105を介した新しい潤滑剤の注入と共に、ホイールボス103、回転軸体101、左右両端の第1オイルシール104aによって形成された密閉空間を充填していた古い潤滑剤は左右両端の第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。
注入された新しい潤滑剤は、当該密閉空間を充填すると共に、左右両端の軸受部材102に供給される。
ここで、前述のように本実施形態における耕深ゲージホイール用軸受装置は、左右両端の第1オイルシール104aによって外部からの土砂や埃等の異物の侵入を効果的に防止することができるが、微小量の異物が侵入することは避けられない。本実施形態に係る潤滑剤の入替方法によれば、新しい潤滑剤の注入とともに土砂や埃等の異物を含んだ古い潤滑剤が外部へ押し出されるため、軸受装置の洗浄を兼ねることができる。
以上、本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の構成、潤滑剤の初回供給方法及び潤滑剤の入替方法について説明した。本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成によれば、左右両端の第1オイルシール104aによって、非使用時や通常使用時の内圧程度では充填された潤滑剤が外部へ漏洩しないように封止することができる。そのため、古くなった潤滑剤を排出するための排出口を設ける必要が無く、当然、排出口を封鎖する蓋やそれを保護するためのカバー等を必要としない。これによって、構成が単純化されると共に、製造コストを削減することができる。
更に、潤滑剤の初回供給及び入替の方法についても単純化される。グリスガン等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって潤滑剤を注入し、オイルシール104から押し出される潤滑剤を目視によって供給及び入替作業の完了を確認すればよい。
<第3実施形態>
本発明の他の実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置及び当該耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について説明する。図7は、本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の断面図であり、耕深ゲージホイール用軸受装置の回転軸を含む平面に沿った断面を示している。
本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置は、第2実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置と比較して、一端側のオイルシールが異なる構成を有している。つまり、図7における右側のオイルシール(以下、第3オイルシール104cと呼ぶ。)は、回転軸を含む平面に沿った断面において略U字型の形状を有し、回転軸体101の外側の方向に凸となるように配置されている。換言すると、第3オイルシール104cは、回転軸体101の内側に凹部を有する。更に、第3オイルシール104cは、二つの突起部を有する。図中において左側の突起部はシールリップ部であり、潤滑剤を封止する。一方、図中右側の突起部はダストリップ部であり、外部からの土砂や埃等の異物がゲージホイール内へ侵入することを防止する。
第3オイルシール104cのシールリップ部及びダストリップ部は、共に回転軸体101と摺動可能に接触している。ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104a及び第3オイルシール104cによって密閉空間が形成され、当該密閉空間内に左右両端の軸受部材102が配置される。
このような構成及び配置を有することによって、第3オイルシール104cについては、当該密閉空間内の圧力(内圧)が大気側の圧力よりも高くなると、当該凹部に印加される圧力が増加することによって、シールリップ部を回転軸体101に押し付ける方向の圧力が生じ、シールリップ部と回転軸体101との接触圧力が増加する。
一方、大気側の圧力が通常よりも高くなると、ダストリップ部に印加される圧力が増加することによって、ダストリップ部を回転軸体101に押し付ける方向の圧力が生じ、ダストリップ部と回転軸体101との接触圧力が増加する。
以上のことから、第3オイルシール104cは、当該密閉空間から大気側への流体の通過、及び大気側から当該密閉空間への流体の侵入を共に遮断する構成となっている。つまり、双方向の流体の流れを遮断する構成となっている。
第3オイルシール104cのシールリップ部によって、密閉空間に充填された潤滑剤が外部へ漏洩されないように封止することができる。更に、潤滑剤の入替作業等に伴って当該密閉空間の内圧が上昇しても、内圧の上昇と共に第3オイルシール104cのシールリップ部と回転軸体101との接触圧力が上昇するために、第3オイルシール104cを介して潤滑剤が外部へ押し出されることが無い。
つまり、本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置が有する第3オイルシール104cは、潤滑剤側から大気側及び大気側から潤滑剤側の双方向への流体の流れを遮断する。
上記構成に伴い、回転軸体101が有する潤滑剤供給路105の好ましい構成は、第2実施形態と異なる。本実施形態においては、右側の軸受部材102付近から潤滑剤供給路105を引き出すことが好ましい。図7においては、回転軸体101を構成するシールケース101bとホイールシャフト101a間に空隙が設けられている。該空隙から潤滑剤供給路105が引き出され、潤滑剤注入口106に連通する態様を示している。
このような構成を有することによって、注入された潤滑剤は当該密閉空間全体を循環し、特定箇所に滞留することを防止することができる。つまり、潤滑剤の初回供給時及び入替時において、両端の軸受部材102に効率的に潤滑剤を供給することができる。
以上、本実施形態における耕深ゲージホイール用軸受装置の構成について説明した。次いで、当該耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について詳細に説明する。
先ず、初回の潤滑剤供給時においては、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって潤滑剤を注入する。
注入された潤滑剤は、潤滑剤供給路105を介して、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104a及び第3オイルシール104cによって形成された密閉空間を充填すると共に、当該密閉空間内に配置された左右両端側の軸受部材102に供給される。当該密閉空間に潤滑剤が注入されると、内圧が上昇し、第1オイルシール104aのシールリップ部と回転軸体101との接触圧力が低下する。当該接触圧力が一定程度を下回ると、当該密閉空間を充填していた大気は、第1オイルシール104aを介して外部へ押し出される。
当該密閉空間に充填されていた大気が全て外部に押し出されて潤滑剤が充填された後は、これ以上の潤滑剤の注入を行うと、既に注入されていた潤滑剤が第1オイルシール104aを介して外部へ押し出されるようになる。これによって、当該密閉空間に潤滑剤が充填され、供給作業が完了したことを確認することができる。
尚、第3オイルシール104cについては、内圧の上昇と共にシールリップ部とシールケース101bとの接触圧力が増加するために、第3オイルシール104cは潤滑剤を封止する。
以上、潤滑剤の初回供給作業について説明した。以下では、潤滑剤の入替作業の方法について詳細に説明する。
先ず、初回の潤滑剤供給時と同様に、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって新しい潤滑剤を注入する。
潤滑剤供給路105を介した新しい潤滑剤の注入と共に、当該密閉空間を充填していた古い潤滑剤は第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。
注入された新しい潤滑剤は、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104c及び第3オイルシール104cによって形成された密閉空間を充填すると共に、当該密閉空間に配置された両端の軸受部材102に供給される。
ここで、前述のように本実施形態における耕深ゲージホイール用軸受装置は、オイルシールによって外部からの土砂や埃等の異物の侵入を効果的に防止することができるが、微小量の異物が侵入することは避けられない。本実施形態による潤滑剤の入替方法によれば、新しい潤滑剤の注入とともに土砂や埃等の異物を含んだ古い潤滑剤が外部へ押し出されるため、軸受装置の洗浄を兼ねることができる。
以上、本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の構成、潤滑剤の初回供給方法及び潤滑剤の入替方法について説明した。本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成によれば、第1オイルシール104a及び第3オイルシール104cによって、非使用時や通常使用時の内圧程度では充填された潤滑剤が外部へ漏洩しないように封止することができる。そのため、古くなった潤滑剤を排出するための排出口を設ける必要が無く、当然、排出口を封鎖する蓋やそれを保護するためのカバー等を必要としない。これによって、構成が単純化されると共に、製造コストを削減することができる。
更に、潤滑剤の初回供給及び入替の方法についても単純化される。グリスガン等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって潤滑剤を注入し、オイルシールから押し出される潤滑剤を目視によって供給及び入替作業の完了を確認すればよい。
<第4実施形態>
本発明の他の実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置について説明する。図8は、本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の断面図であり、耕深ゲージホイール用軸受装置の回転軸を含む平面に沿った断面図を示している。
本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置は、第1実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置と比較すると、回転軸体101を構成するシールケース101bの形状が異なる構成を有している。つまり、本実施形態におけるシールケース101bは、回転軸を中心とした環状の凹部を有している。更に、ホイールボス103の端部が当該凹部に嵌合するように配置されている。
このような構成を有することによって、外部からの土砂や埃等の異物が耕深ゲージホイール用軸受装置内への侵入経路を長くすることができ、これらの侵入を更に効果的に防止することができる。
<第5実施形態>
本発明の他の実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置及び耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について説明する。図9aは、ホイールアーム25aによって軸支された本発明の一実施形態による耕深ゲージホイールを進行方向から見た図である。図9bは、耕深ゲージホイール用軸受装置の回転軸を含む平面に沿った断面図を示している。
本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置は、上記で説明した他の実施形態と比較して、回転軸体101の一端部のみがホイールアーム25aによって軸支されている点で異なっている。本実施形態においては、回転軸体101の図中左端のみがホイールアーム25aによって軸支されている。
本実施形態における耕深ゲージホイール用軸受装置は、回転軸体101と、回転軸体101の両端部にそれぞれ固定して配置された軸受部材102と、それぞれの軸受部材102に固定されたホイールボス103とを有している。
左右両端の軸受部材102は、ホイールアーム25a側に設けられた第1オイルシール104aと、ホイールアーム25a側とは反対側の端部に設けられホイールボス103に固定されたボアプラグ107に挟持されている。ボアプラグ107はストップリング108を介してホイールボス103に固定されており、ストップリング108を取り外すことによって着脱可能となっている。
第1オイルシール104aはホイールボス103に固定されて配置され、第1オイルシール104aのシールリップ部は回転軸体101と摺動可能に接触している。このような構成により、左右両端のそれぞれの軸受部材102は、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104a及ボアプラグ107によって形成される密閉空間内に配置される。
本実施形態においては、第1オイルシール104aのシールリップ部は回転軸体101のうちのホイールシャフト101aに接触している。
当該密閉空間に充填された潤滑剤は、第1オイルシール104aのシールリップ部と回転軸体101との接触面において適度な接触圧力分布が維持されることによって、非使用時や通常使用時の内圧程度では外部へ漏洩しないように封止されている。
本実施形態においては、回転軸体101のホイールアーム25a側とは反対側の端部から潤滑剤供給路105が引き出され、回転軸体101のホイールアーム25a側の端部に設けられた潤滑剤注入口106に連通される態様を示している。図中において、潤滑剤供給路105の太さは一様ではなく、注入口付近における太さに対して、当該密閉空間付近における太さの方が太く形成されている。
回転軸体101内において、一定の断面を維持しつつ潤滑剤供給路105を形成する場合、その長さが長くなるほど加工が困難となる。本実施形態は、回転軸体101を貫通するのに十分長い潤滑剤供給路を形成するために、その断面を太く加工している。潤滑剤の供給や入替時に、その排出口となる第1オイルシール104aから可能な限り離れた箇所から潤滑剤供給路105を引き出すことによって、潤滑剤が当該密閉空間全体を循環し、特定箇所に滞留することを防止することができる。つまり、潤滑剤の初回供給時及び入替時において、両端の軸受部材102に効率的に潤滑剤を供給することができる。
高速回転のための発熱によって一定程度以上に当該密閉空間の内圧が上昇した場合、充填された潤滑剤が密閉空間の外部に漏洩し得る。しかし、通常使用時のゲージホイールの回転は自転によるものであるため、これを懸念する必要が無い。この点はトラクタの動力を受けて比較的高速回転を行う耕耘爪軸とは異なる。
更に、特に第1オイルシール104a及びボアプラグ107によって、外部から土砂や埃等の異物がゲージホイール内へ侵入することを防止することができる。
以上、本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成について説明した。本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成によれば、第1オイルシール104a及びボアプラグ107によって、非使用時や通常使用時の内圧程度では充填された潤滑剤が外部へ漏洩しないように封止することができる。そのため、古くなった潤滑剤を排出するための排出口を設ける必要が無く、当然、排出口を封鎖する蓋やそれを保護するためのカバー等を必要としない。これによって、構成が単純化されると共に、製造コストを削減することができる。
次いで、当該耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について詳細に説明する。
先ず、初回の潤滑剤供給時においては、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続し、圧力を印加することによって潤滑剤を注入する。
注入された潤滑剤は、潤滑剤供給路105を介して、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104a及びボアプラグ107によって形成された密閉空間を充填することによって、軸受部材102に供給される。潤滑剤が注入されると当該密閉空間の内圧が上昇し、第1オイルシール104aのシールリップ部と回転軸体101との接触圧力が低下する。当該接触圧力が一定程度を下回ると、当該密閉空間を充填していた大気は、第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。
当該密閉空間に充填されていた大気が全て外部に押し出されて潤滑剤が充填された後は、それ以上の潤滑剤が注入されると、既に注入されていた潤滑剤が第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。これによって、当該密閉空間に潤滑剤が充填され、供給作業が完了したことを目視で確認することができる。
以上、潤滑剤の初回供給作業について説明した。以下では、潤滑剤の入替作業について詳細に説明する。
先ず、初回の潤滑剤供給時と同様に、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって新しい潤滑剤を注入する。
潤滑剤供給路105を介した新しい潤滑剤の注入と共に、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104a及びボアプラグ107によって形成された密閉空間を充填していた古くなった潤滑剤は、第1オイルシール104a及びシールケース101bに設けられた切欠き穴101cを通過して外部へ押し出される。
注入された新しい潤滑剤は、当該密閉空間を充填すると共に、軸受部材102に供給される。
前述のように、本実施形態における耕深ゲージホイール用軸受装置は、オイルシールによって外部からの土砂や埃等の異物の侵入を効果的に防止することができるが、微小量の異物の侵入は避けられない。本実施形態による潤滑剤の入替方法によれば、新しい潤滑剤の注入とともに、外部から侵入した土砂や埃等の異物を含む古い潤滑剤が外部へ押し出されるため、軸受装置の洗浄を兼ねることができる。
以上、本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の構成、潤滑剤の初回供給方法及び潤滑剤の入替方法について説明した。本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成によれば、第1オイルシール104a及びボアプラグ107によって、非使用時や通常使用時の内圧程度では充填された潤滑剤が外部へ漏洩しないように封止することができる。そのため、古くなった潤滑剤を排出するための排出口を設ける必要が無く、当然、排出口を封鎖する蓋やそれを保護するためのカバー等を必要としない。これによって、構成が単純化されると共に、製造コストを削減することができる。
更に、潤滑剤の初回供給及び入替の方法についても単純化される。グリスガン等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって潤滑剤を注入し、オイルシールから押し出される潤滑剤を目視によって供給及び入替作業の完了を確認すればよい。
<第6実施形態>
本発明の他の実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置及び耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について説明する。図10aは、ホイールアームによって軸支された本発明の一実施形態による耕深ゲージホイールを進行方向から見た図である。図10bは、耕深ゲージホイール用軸受装置の回転軸を含む平面に沿った断面図を示している。
本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置は、第5実施形態と比較すると、潤滑剤注入路の形態のみが異なっている。本実施形態においては、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104a及びボアプラグ107によって形成される密閉空間において、回転軸体101の中央部よりホイールアーム25a寄りから潤滑剤供給路105が引き出される。
回転軸体101内において、一定の断面を維持しつつ潤滑剤供給路105を形成する場合、その長さが長くなるほど加工が困難となる。本実施形態は、可能な限り細い潤滑剤供給路105の断面を維持するために、その長さを短く抑えている。細い潤滑剤供給路105の断面を維持することによって、潤滑剤の使用量を低減することができ、メンテナンスコストを削減することができる。
以上、本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成について説明した。本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成によれば、第1オイルシール104a及びボアプラグ107によって、非使用時や通常使用時の内圧程度では充填された潤滑剤が外部へ漏洩しないように封止することができる。そのため、古くなった潤滑剤を排出するための排出口を設ける必要が無く、当然、排出口を封鎖する蓋やそれを保護するためのカバー等を必要としない。これによって、構成が単純化されると共に、製造コストを削減することができる。
次いで、当該耕深ゲージホイール用軸受装置の潤滑剤供給方法について詳細に説明する。
先ず、ストップリング108を外し、ストップリング108に係止されていたボアプラグ107を外し、軸受装置内部を露出させる。そして、初回の潤滑剤供給時においては、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続し、圧力を印加することによって潤滑剤を注入する。
注入された潤滑剤は、潤滑剤供給路105を介して、ホイールボス103、回転軸体101及び第1オイルシール104aによって形成された空隙を充填することによって、軸受部材102に供給される。潤滑剤が注入されると、当該空隙を充填していた大気は外部へ押し出される。
当該空隙に潤滑剤が充填された後は、それ以上の潤滑剤が注入されると、既に注入されていた潤滑剤が第1オイルシール104a及びホイールアーム25a側とは反対側の軸受部材102を通過して外部へ押し出される。これによって、当該空隙に潤滑剤が充填され、供給作業が完了したことを目視で確認することができる。
以上、潤滑剤の初回供給作業について説明した。以下では、潤滑剤の入替作業について詳細に説明する。
先ず、ストップリング108を外し、ストップリング108に係止されていたボアプラグ107を外し、軸受装置内部を露出させる。そして、初回の潤滑剤供給時と同様に、グリスガン(図示せず)等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって新しい潤滑剤を注入する。
潤滑剤供給路105を介した新しい潤滑剤の注入と共に、ホイールボス103、回転軸体101、第1オイルシール104aによって形成された空隙を充填していた古い潤滑剤は、第1オイルシール104a及びホイールアーム25a側とは反対側の軸受部材102を通過して外部へ押し出される。
注入された新しい潤滑剤は、当該空隙を充填すると共に、軸受部材102に供給される。
前述のように、本実施形態における耕深ゲージホイール用軸受装置は、オイルシールによって外部からの土砂や埃等の異物の侵入を効果的に防止することができるが、微小量の異物の侵入は避けられない。本実施形態による潤滑剤の入替方法によれば、新しい潤滑剤の注入とともに、外部から侵入した土砂や埃等の異物を含む古い潤滑剤が外部へ押し出されるため、軸受装置の洗浄を兼ねることができる。
以上、本実施形態による耕深ゲージホイール用軸受装置の構成、潤滑剤の初回供給方法及び潤滑剤の入替方法について説明した。本実施形態に係る耕深ゲージホイール用軸受装置の構成によれば、第1オイルシール104a及びボアプラグ107によって、非使用時や通常使用時の内圧程度では充填された潤滑剤が外部へ漏洩しないように封止することができる。そのため、古くなった潤滑剤を排出するための排出口を設ける必要が無く、当然、排出口を封鎖する蓋やそれを保護するためのカバー等を必要としない。これによって、構成が単純化されると共に、製造コストを削減することができる。
更に、潤滑剤の初回供給及び入替の方法についても単純化される。グリスガン等を潤滑剤注入口106に接続して圧力を印加することによって潤滑剤を注入し、オイルシールから押し出される潤滑剤を目視によって供給及び入替作業の完了を確認すればよい。