次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、電子機器組立装置1の全体構成を説明する。電子機器組立装置1は車載用電子機器などの電子機器4(図3、図4参照)を作業対象として、回路基板や表示装置などの機能モジュールをフレキシブルプリント基板などのケーブルによって相互に接続する。すなわち電子機器組立装置1は表示装置などに予め接続されたケーブルの被装着部を回路基板のコネクタに装着する機能を有している。
図1において、基台2の上面2aには作業ステージ3が設けられており、作業ステージ3は作業対象の電子機器4を位置決めして保持する。ここで図3,図4を参照して、作業対象の電子機器4について説明する。なお図3は、ケーブルをコネクタに装着する前の状態を、また図4はケーブルをコネクタに装着した状態を示している。
図3において、電子機器4は計器板のメータ、ナビゲーション装置、ルームミラー、各種コントローラなど、表示装置を有する車載用電子機器であり、電子部品11aが実装された回路基板11および表示装置12を主体としている。なお図3,図4は、表示装置12の表示面を下向きにして載置した状態を示している。
回路基板11、表示装置12はいずれも矩形の形状を有しており、表示装置12の複数辺(ここでは2つの短辺と1つの長辺の3辺)には、回路基板11と表示装置12とを電気的に接続するケーブル17が予め接続されている。本実施の形態においては、ケーブル17としてフレキシブルプリント基板などのケーブル本体部15の一端部15a(図5参照)に、ハンドリング用の補強板16を予め接合した形態のものを用いるようにしている。
表示装置12においてこれらケーブル17が接続された複数辺に対応する回路基板11の実装面の縁部には、それぞれのケーブル本体部15の一端部15aに形成された被装着部15bが装着されるコネクタ13が設けられている。コネクタ13において、被装着部15bが装着される装着部13aの底面の端子面13b(図13参照)には接続用の端子列が形成されており、被装着部15bをコネクタ13に挿入して装着した状態では、被装着部15bに形成された配線パターン15d(図5参照)がこれらの端子列に接触する。
コネクタ13は、装着された被装着部15bの脱落を防止するためのカバー部材14を有するロック機構を備えている。カバー部材14はコネクタ13に対して開閉自在に設けられており、被装着部15bをコネクタ13に装着する前に電子機器4が作業ステージ3に搬入された状態では、図3に示すようにカバー部材14は起立した開状態にある。そして図4に示すように、被装着部15bがコネクタ13に装着されてロック機構を作動させた状態では、カバー部材14は押し倒されて閉状態となり、被装着部15bを押さえ込んで脱落を防止する。
図1において作業ステージ3は昇降動作および水平面内での回転動作が可能となっており、電子機器4を作業対象とするケーブル17の装着作業においては、作業ステージ3を昇降させることにより、電子機器4を所定の作業高さに位置させる。また作業ステージ3を回転させることにより、電子機器4において作業対象となるケーブル17が設けられた辺を、以下に説明するロボット部5による所定の作業位置に位置合わせする。
基台2の上面2aのコーナ部にはコーナポスト2bが立設されており、コーナポスト2bの上端部には水平な架台2cが架設されている。架台2cの側面にはタッチパネルを備えた操作パネル10が配置されている。ロボット部5を対象とした操作や動作指示のための指示入力は、操作パネル10を介してのタッチ操作入力によって実行される。操作パネル10は表示機能を有しており、電子機器組立装置1によるケーブル装着動作において異常や不具合が発生した場合の報知は、操作パネル10に表示される。なお、電子機器組立装置1の座標系については、電子機器組立装置の正面からみて左右に水平な方向をX軸、X軸に前後方向に直交する軸をY軸、X軸、Y軸に上下方向に直行する軸をZ軸とする。
架台2cの下面には、以下に説明するロボット部5の駆動機構を内蔵した固定ベース部6が配設されている。固定ベース部6には個別に動作する6つのサーボ駆動機構が内蔵されており、それぞれのサーボ駆動機構は固定ベース部6から下方に延出した6本のリンク部材7を個別に駆動する。リンク部材7の下端部はベース部8に結合されている。上記構成において、固定ベース部6、リンク部材7、ベース部8はロボット部5を構成する。
ここでロボット部5は個別に動作する6本のリンク部材7を有する6自由度タイプのパラレルリンクロボットであり、固定ベース部6から下方に延出した6本のリンク部材7の下端部は、ケーブル17をコネクタ13に装着する装着作業を実行する作業ユニットであるヘッド部9の、ベース部8に結合されている。図2に示すように、リンク部材7はユニバーサルジョイント7aを介してベース部8に結合されており、この構成により、ロボット部5によってベース部8に6自由度の移動動作を行わせることが可能となっている。
ベース部8には、ケーブル保持ツール20とコネクタロックツール30とが装着され、さらに撮像部40および照明46を備えている。ケーブル保持ツール20は、コネクタ13へ装着される対象となるケーブル17を保持する機能を有しており、コネクタロックツール30は、コネクタ13が備えたロック機構を作動させる機能、すなわち被装着部15bが装着された状態のコネクタ13においてカバー部材14を押し倒して閉状態とする機能を有している。
ロボット部5によってベース部8を移動させることにより、作業ステージ3に保持された電子機器4に対してケーブル保持ツール20とコネクタロックツール30とを相対的に移動させることができる。ケーブル17の被装着部15bをコネクタ13に装着する装着作業においては、ロボット部5、ケーブル保持ツール20、コネクタロックツール30を制御部51(図10参照)によって作動させる。
ロボット部5およびケーブル保持ツール20は、ケーブル17を保持してコネクタ13に装着するケーブル装着機構を構成する。またロボット部5およびコネクタロックツール30は、コネクタ13が備えたロック機構を作動させるロック作動機構を構成する。なお本実施の形態においては、共通のロボット部5によってケーブル保持ツール20およびコネクタロックツール30を移動させる構成を示したが、ケーブル保持ツール20およびコネクタロックツール30を個別の駆動機構によって移動させる構成であってもよい。
ケーブル保持ツール20の詳細構成を説明する。図2に示すベース部8において複数のユニバーサルジョイント7aの中心位置を示す駆動中心には開口部8aが設けられている。開口部8aから右方向に隔てた側端部近傍の下面には、Y方向にガイドレール21が配設されている。ガイドレール21にスライド自在に装着されたスライダ21aには移動ブロック22が固着されており、移動ブロック22はY方向に進退自在(矢印a)となっている。
移動ブロック22の右端面から延出して設けられたねじ部22aは、ベース部8の外端面から延下した側端部材8bに設けられた貫通孔を貫通しており、ねじ部22aにおいて側端部材8bの外側にはナット部材22bがねじ嵌合している。また移動ブロック22の左端面には引張りバネであるバネ部材23が結合されており、バネ部材23は移動ブロック22をベース部8の駆動中心側へ付勢している。この構成において、ナット部材22bは駆動中心側へ付勢された移動ブロック22の停止位置を規制するストッパとして機能しており、ナット部材22bの位置を調整することにより、以下に説明する構成のケーブル保持ツール20のベース部8に対する相対位置を調整することが可能となっている。
移動ブロック22には、ベース部8の駆動中心側に向かって斜め下方に延出するチャックベース24が結合されている。チャックベース24の上面側には駆動中心側に向かって進退(矢印b)するスライド部26を備えたアクチュエータ25が配設されている。さらにチャックベース24の下端部には、先端にテーパ部が設けられた薄板部材であるブレード28が水平姿勢で装着されている。ブレード28はその先端部が開口部8aの下方に位置するように位置設定が為されており、ねじ部22aにおけるナット部材22bの位置を調整することにより、ブレード28の位置を調整することができるようになっている。
バネ部材23による付勢力は、ブレード28に対する緩衝力として作用する。すなわちロボット部5を作動させてベース部8を移動させる過程において、ブレード28の先端が電子機器4などに当接した場合には、バネ部材23が延伸することによりケーブル保持ツール20全体が移動し、これによりブレード28に過大な外力が作用することを防止する緩衝作用が働くようになっている。
スライド部26の進出側の端面には、台形形状の側断面を有するチャックブロック27が結合されている。アクチュエータ25を作動させてチャックブロック27を斜め下方に進出させた状態では、チャックブロック27のチャック面27a(図7参照)がブレード28に当接する。本実施の形態では、ケーブル保持ツール20によるケーブル17の保持において、ブレード28とチャックブロック27のチャック面27aとの間に補強板16を上下方向から挟み込むことにより、ケーブル17を保持するようにしている。
次にコネクタロックツール30の構成を説明する。図2においてベース部8の左端部側の下面には、外側方向の斜め上方に延出するブラケット31が固着されている。ブラケット31には、ベース部8の駆動中心側に進退(矢印c)するロッド32aを有するアクチュエータ32が装着されている。さらにロッド32aに結合された緩衝部33には、先端部に当接部であるローラ35が装着されたローラ保持部34が装着されている。アクチュエータ32を駆動することにより、緩衝部33を介してローラ保持部34が駆動中心側に進出し、これによりローラ35がコネクタ13のカバー部材14に当接してロック機構を作動させる(図17参照)。すなわちコネクタロックツール30は、コネクタ13が備えたロック機構に当接する当接部としてのローラ35に進退動作を行わせるアクチュエータ32を備えている。そしてローラ35はアクチュエータ32によって斜め下方に進退し、斜め下方に進出した状態でケーブル保持ツール20に最も接近する(図17参照)ように構成されている。
ここで緩衝部33は、ローラ保持部34が保持軸33a廻りの回動が許容され、且つローラ35を下方に押し付ける方向に付勢した状態でローラ保持部34を保持している。これにより、アクチュエータ32によってローラ35を進退させる動作において、緩衝部33の機能によりローラ35がカバー部材14に当接する際の衝撃が緩和されるようになっている。すなわち、コネクタロックツール30は、当接部であるローラ35がコネクタ13が備えたロック機構のカバー部材14に当接した際の衝撃を吸収する緩衝部33を備えた構成となっている。
ベース部8の上面において開口部8aの近傍に立設されたブラケット41には、光学レンズ部42およびカメラ43より成る撮像部40が、撮像光軸43aを駆動中心に合わせて下向き姿勢で配設されている。ロボット部5を作動させて、ヘッド部9を作業ステージ3に保持された電子機器4の上方に位置させた状態で、撮像部40により撮像することにより、ケーブル保持ツール20に保持されたケーブル17の被装着部15bの画像および回路基板11に実装されたコネクタ13の画像を取得することができる。
ベース部8の下面側には開口部8aを囲む配置で支持部材44が下方に立設されている。支持部材44の下端部には、電子機器4の外形形状に対応した照明保持板45が保持されており、照明保持板45の下面にはLEDなどの発光体よりなる照明46が装着されている。撮像部40による撮像に際しては、照明46を点灯させて撮像対象のケーブル17、コネクタ13を照明する。すなわちヘッド部9のベース部8には、ケーブル17の被装着部15bを検出する撮像部40と照明46とを備えた構成となっている。そしてケーブル保持ツール20とコネクタロックツール30は、撮像部40のカメラ43の撮像光軸43aを挟んで対向した配置となっている。このような配置により、共通の撮像部40によってケーブル保持ツール20に保持されたケーブル17とコネクタロックツール30によってロックの対象となるコネクタ13の双方を撮像することが可能となっている。
さらにベース部8の下面において開口部8aの周縁のコネクタロックツール30側の近傍には、距離計測センサ47が計測光軸47aを下向きにした姿勢で配設されている。距離計測センサ47は、計測光軸47aに位置する計測対象物の計測対象面から距離計測センサ47の計測基準位置までの距離、換言すれば計測対象面の高さ位置を計測する。本実施の形態においては、距離計測センサ47をコネクタ13の上方に位置させた状態で、距離計測センサ47によってコネクタ13の所定位置の高さ位置を計測することにより、コネクタ13のロック機構のロック状態を確認するようにしている。
次に図5を参照して、ケーブル17の構成の詳細を説明する。図5(a)、図5(b)に示すように、ケーブル17は一端部15aにコネクタ13に装着される被装着部15bが形成された帯状のケーブル本体部15と、このケーブル本体部15の片面15cにおいて一端部15a側に接合部17aを介して接合された補強板16と、を有する構成となっている。ケーブル本体部15において補強板16が接合された片面15cの反対面は、配線パターン15dが形成されたパターン形成面となっており、ケーブル17のコネクタ13への装着作業においては、被装着部15bの配線パターン15dをコネクタ13の装着部13aに形成された端子面13bに押し付けて接触させる。これにより、ケーブル17のケーブル本体部15がコネクタ13に電気的に接続される。
図5(b)に示すように、補強板16においてケーブル本体部15の片面15cに接合された接合部17aに対して、一端部15aの反対側に位置する部分(自由端部16a)には、ケーブル本体部15の片面15cと離隔した口開き部17bが形成されている。本実施の形態においては、図2に示すケーブル保持ツール20によってケーブル17を保持するに際して、口開き部17bにブレード28を挿入してチャックブロック27との間で補強板16を挟み込んで保持するようにしている(図8参照)。
上述構成のケーブル17を対象とする場合には、ケーブル保持ツール20は補強板16を挟み込んで保持することによりケーブル17を保持する。すなわち本実施の形態に示すケーブル保持ツール20は、補強板16を上下方向から挟むチャック機構である。そしてこのチャック機構は、ケーブル本体部15と補強板16との間の口開き部17bに挿入されるブレード28と、このブレード28の上面に位置する補強板16に当接して、下方に押さえるチャックブロック27とを有する構成となっている。
図6は、図5に示すケーブル17の変形例を示している。すなわち、ケーブル17においては、一端部15a側に設けられた被装着部15bと重ならない位置に補強板16を接合するための接合部17aを設定していたが、図6に示すケーブル17Aでは、被装着部15bと重なる位置に接合部17aを設定している。この例では、ケーブル17Aをコネクタ13に装着するに際し、被装着部15bのみならず被装着部15bと重なった補強板16もともに、コネクタ13に装着される。
そしてこの変形例においても、図5に示すケーブル17と同様に、補強板16においてケーブル本体部15の片面15cに接合された接合部17aに対して一端部15aの反対側に位置する部分(自由端部16a)には、ケーブル本体部15の片面15cと離隔した口開き部17bが形成されている。ケーブル保持ツール20によってケーブル17を保持するに際しては、同様に口開き部17bにブレード28を挿入して、チャックブロック27との間で補強板16を挟み込んで保持する(図9参照)。
次に図7を参照して、ケーブル保持ツール20に設けられ上述の補強板16を挟み込むチャック機構に用いられるチャックブロック27の詳細について説明する。図7(a)はチャックブロック27をブレード28から離隔させた状態を示しており、チャックブロック27のチャック面27aには複数のスパイク爪27bが凸設されている。スパイク爪27bは、ブレード28とチャック面27aとの間に補強板16を挟み込んだチャック状態において、補強板16の表面に僅かに食い込むことにより、挟み込まれた補強板16が滑って脱落するのを防止する。すなわちケーブル保持ツール20において、補強板16に当接するチャックブロック27のチャック面27aには、滑り止めが形成されている。なお滑り止めとしては、スパイク爪27bには限定されず、例えばチャック面27aに粗面加工を施すなど、各種の方法を用いることができる。
図7(b)は、アクチュエータ25(図2参照)を駆動してチャックブロック27をチャックベース24に沿って下降させ(矢印d)、チャック面27aをブレード28に近接させて閉じた状態を示している。この状態において、チャック面27aの先端部にブレード28の先端から所定幅Bだけ張り出した張り出し部が形成されるように、チャックブロック27およびブレード28のサイズが設定されている。ケーブル保持ツール20におけるチャックブロック27のサイズをこのように設定することにより、図8、図9に示すように、ケーブル保持ツール20に保持された状態におけるケーブル17、17Aの変形を矯正する効果を得る。
図8(a)は、図5に示すケーブル17を保持対象とする場合を示している。図8(a)に示すように、ケーブル本体部15の一端部15aにおいて被装着部15bをはみ出させた状態で、補強板16をケーブル本体部15に接合した構成のケーブル17では、ケーブル本体部15と補強板16との間の口開き部17bにブレード28を挿入した状態において、被装着部15bが形成された一端部15aに、幅方向に反り形状や波打ち形状となった変形が生じる場合がある。
このような場合にあっても、図8(b)に示すように、チャックブロック27をブレード28に対して接近させて(矢印e)、チャック面27aとブレード28との間に補強板16を挟み込んだ状態では、チャックブロック27のチャック面27aは、補強板16を挟んだときに少なくともケーブル本体部15と補強板16とを接合する接合部17aの上面に張り出す。これにより、ケーブル本体部15の一端部15aの近傍部分は平面形状のチャック面27aに倣って上述の変形が矯正される。
同様に、図6に示すケーブル17Aを保持対象とする場合にあっても同様の効果を得る。すなわち図9(a)に示すように、ケーブル本体部15の一端部15aにおいて被装着部15bと接合部17aとが重なった状態で補強板16をケーブル本体部15に接合した構成のケーブル17Aにおいても、ケーブル本体部15と補強板16との間の口開き部17bにブレード28を挿入した状態において、被装着部15bが形成された一端部15aに、幅方向に反り形状や波打ち形状となった変形が生じる場合がある。
このような場合にあっても、図9(b)に示すように、チャックブロック27をブレード28に対して接近させて(矢印f)、チャック面27aとブレード28との間に補強板16を挟み込んだ状態では、チャックブロック27のチャック面27aは、補強板16を挟んだときに少なくともケーブル本体部15と補強板16とを接合する接合部17aの上面に張り出す。これにより、ケーブル本体部15の一端部15aの近傍部分は平面形状のチャック面27aに倣って上述の変形が矯正される。
次に図10を参照して、電子機器組立装置1の制御系の構成を説明する。図10において、制御部51は、ロボット部5、作業ステージ3、撮像部40、照明46、距離計測センサ47、アクチュエータ25(ケーブル保持ツール20)、アクチュエータ32(コネクタロックツール30)、操作パネル10、報知部55と接続されている。
制御部51がロボット部5、作業ステージ3、ケーブル保持ツール20のアクチュエータ25、コネクタロックツール30のアクチュエータ32を制御することにより、図11に示すケーブル装着動作が実行される。すなわち上述の制御処理において、制御部51は、ロボット部5、ケーブル保持ツール20、コネクタロックツール30を作動させることにより、ケーブル17の被装着部15bをコネクタ13に装着するケーブル装着動作を実行させる。また換言すれば、制御部51はケーブル保持ツール20およびロボット部5よりなるケーブル装着機構、コネクタロックツール30およびロボット部5よりなるロック作動機構を制御する。
このケーブル装着動作の実行過程においては、制御部51は撮像部40および照明46を制御して、ケーブル17の被装着部15bおよびコネクタ13の位置検出のための撮像処理を実行させるとともに、距離計測センサ47を制御してコネクタ13におけるロック状態の確認のための距離計測処理を実行させる。これらの処理の実行のための操作指令は操作パネル10を介して入力され、これにより制御部51は所定の制御処理を実行する。報知部55は、電子機器組立装置1によるケーブル装着動作の実行過程において異常や不具合が発生した場合の報知を、操作パネル10に表示させる処理を行う。
また制御部51は内部制御処理機能としてのケーブル位置検出部52、コネクタ位置検出部53、ロック状態判断部54を備えている。ケーブル位置検出部52は、ケーブル保持ツール20に保持された状態のケーブル17の被装着部15bを撮像部40によって撮像した認識画面に基づいて、被装着部15bの位置を検出する。コネクタ位置検出部53は同様に装着対象となるコネクタ13を撮像部40によって撮像した認識画面に基づいて、コネクタ13の位置を検出する。被装着部15bをコネクタ13に装着するケーブル装着動作においては、制御部51は被装着部15bおよびコネクタ13の位置検出結果に基づいて、ロボット部5によるケーブル保持ツール20の移動を制御する。
ロック状態判断部54は、距離計測センサ47によるコネクタ13を対象とした計測結果、または撮像部40によってコネクタ13を撮像した画像に基づいて、コネクタ13が備えたロック機構の状態を判断する処理を行う。ロック状態判断部54および距離計測センサ47、ロック状態判断部54および撮像部40は、コネクタ13が備えたロック機構の状態を確認するロック状態確認部を構成する。本実施の形態に示す電子機器組立装置1では、ロック状態確認部として以下のように2つの形態が存在し、いずれかを選択して用いるようになっている。
まず第1の形態では、ロック状態確認部が、コネクタ13が備えたロック機構の状態、すなわちロック機構を構成するカバー部材14の開閉状態によって高さが変化する箇所の高さを計測する距離計測センサ47と、距離計測センサ47の計測結果に基づいてロック機構の状態を判断するロック状態判断部54とを備えた構成となっている。そして第2の形態では、ロック状態確認部が、コネクタ13を撮像可能な撮像部40と、撮像部40によって撮像した画像に基づいてコネクタ13が備えたロック機構の状態を判断するロック状態判断部54とを備えた構成となっている。
そして上述のいずれの形態においても、ロック状態確認部はケーブル17の被装着部15bが装着される前のコネクタ13のロック機構の状態を確認し、確認の結果、ロック機構が機能しているもしくは被装着部15bを装着する作業を妨げている状態であると判断した場合には、制御部51は当該コネクタ13に対するケーブル17の被装着部15bの装着作業を中止するとともに、報知部55によってオペレータにその旨を報知するようにしている。さらに、ロック状態確認部は、ケーブル17の被装着部15bが装着されたコネクタ13のロック機構の状態を確認し、確認の結果、ロック機構が十分に機能している状態ではないと判断した場合には、制御部51は報知部55によってオペレータにその旨を報知する。
次に図11のフローおよび各図を参照して、電子機器組立装置1によって実行されるケーブル装着動作、すなわち図5,図6に示すケーブル17、17Aの被装着部15bを電子機器4のコネクタ13に装着する電子機器組立方法について説明する。ここに示す電子機器組立方法では、一端部15aに被装着部15bが形成された帯状のケーブル本体部15と、このケーブル本体部15の片面15cにおいて一端部15a側に接合された補強板16とを有するケーブル17、17Aを作業対象としている。なお、図12以下の各図ではケーブル17のみ図示し、説明においてもケーブル17のみ記載しているが、ケーブル17Aを対象とする場合においても同様である。
そしてケーブル17では、補強板16においてケーブル本体部15の片面15cに接合された接合部17aに対して一端部15aの反対側に位置する部分に、片面15cと離隔した口開き部17bが形成された形態となっており、ケーブル保持ツール20によって補強板16を保持してケーブル装着動作を行うようになっている。
このケーブル装着動作の対象となるコネクタ13は、装着された被装着部15bの抜け落ちを防止するロック機構を備えている。このロック機構は、保持軸14a廻りに回動して開閉動作を行うカバー部材14(図13参照)を有した構成となっており、コネクタロックツール30により開状態のカバー部材14を押し倒すことによって、このロック機構を作動させるようになっている。
ケーブル装着動作の開始に際しては、まず電子機器組立装置1が備えたロック状態確認部によって、ロック状態の確認が実行される(ST1)。このロック状態の確認においては、まずロボット部5を作動させてヘッド部9を移動させ、図12に示すように、距離計測センサ47が作業対象のコネクタ13の上方に位置して、計測光軸47aがコネクタ13の計測対象位置に合致するように位置合わせする。このとき、電子機器4において作業対象のコネクタ13に対応する位置には、予め表示装置12(図3参照)にケーブル本体部15が接続されたケーブル17が、被装着部15bを上方に向けた姿勢で位置している。
このロック状態確認部によるロック機構の状態の確認は、ロック機構の状態によって高さが変化する箇所の高さを計測して判断するようにしている。ここでは高さが変化する箇所として、図13に例示するように、(A)位置(コネクタ13の上面13c)、(B)位置(開状態におけるカバー部材14の上端部)および(C)位置(コネクタ13の装着部13aの端子面13b)のうちの2つを選択して用いている。
例えば、A位置、B位置の高さを距離計測センサ47によって計測してこれら2位置の高さの差を計算し、高さの差が所定値以上であれば、カバー部材14は正常な開状態にあってロック機構は解除された状態であると判断する。なお(B)位置に替えて(C)位置を高さ計測の対象とし、A位置、C位置の高さを距離計測センサ47によって計測して求められたこれら2位置の高さに基づいて、同様にロック機構の状態を判断するようにしてもよい。なお、ロック状態確認部によるロック機構の状態の確認を、撮像部40によって撮像したコネクタ13の画像に基づいて行うようにしてもよい。この場合には、コネクタ13におけるカバー部材14の平面画像の状態によって、ロック機構の状態、すなわちカバー部材14が開状態にあるか否かを判断する。
そして(ST1)のロック状態の確認において、開状態が不十分と確認された場合には、制御部51は報知部55によりその旨を報知する(ST2)。すなわち、ケーブル17、17Aが装着されていないコネクタ13のロック機構の状態が、カバー部材14が閉状態にあってロック機構が機能しているか、もしくはカバー部材14が中途半端に開いた状態など、ケーブル17、17Aを装着する作業を妨げている状態であると判断した場合には、ロボット部5およびケーブル保持ツール20よりなるケーブル装着機構は当該コネクタ13に対するケーブル17、17Aの装着作業を中止し、報知部55はオペレータにその旨を報知する。これにより、不正常な状態のコネクタ13に対してケーブル装着動作を実行することによる装着ミスなどの不具合を防止することができる。
次いでケーブル17をケーブル保持ツール20で保持する(ST3)。ここで用いられるケーブル保持ツール20は、ケーブル本体部15と補強板16との間の口開き部17bに挿入されるブレード28と、このブレード28の上面に位置する補強板16を下方に押さえるチャックブロック27とを有した構成となっている。ケーブル17の保持動作においては、図14(a)に示すように、ロボット部5によってケーブル保持ツール20に掬い上げ動作(矢印g)を行わせる。これにより、予め電子機器4に接続された状態のケーブル17のケーブル本体部15と補強板16との間の口開き部17bにブレード28を挿入し(矢印h)、ブレード28の上面を補強板16に接触させて保持する。
そしてその後、アクチュエータ25を駆動してチャックブロック27をブレード28に接近させて(矢印i)、補強板16をブレード28とチャックブロック27のチャック面27aとの間に挟んで保持する。すなわち、ケーブル装着動作でのケーブル17の保持においては、補強板16をケーブル保持ツール20によって保持するようにしている。このケーブル保持ツール20による補強板16の保持において、チャックブロック27のチャック面27aには滑り止めとしてのスパイク爪27b(図7参照)が形成されていることから、補強板16が滑りにより脱落することが防止され、ケーブル17を安定して保持することができる。
さらに、チャックブロック27のチャック面27aはブレード28の先端から張り出していることから、ブレード28とチャック面27aとの間に挟まれた補強板16から延出した状態のケーブル本体部15の被装着部15bは、平面形状のチャック面27aに倣って変形が矯正される(図8参照)。これにより、以下に説明する被装着部15bの撮像およびコネクタ13への装着において、変形に起因する不具合を防止することが可能となっている。
この後、ケーブル仮位置決めが行われる(ST4)。ここでは、ケーブル保持ツール20で保持したケーブル17の被装着部15bを位置検出の撮像のためにコネクタ13に対して仮位置決めする(ST4)。すなわち図14(b)に示すように、被装着部15bがコネクタ13に水平姿勢で接近し、且つ被装着部15bがコネクタ13とともに撮像部40による撮像における焦点範囲FZ内に位置するよう、ケーブル保持ツール20を位置合わせする。
そしてこの状態で、装着作業の対象となるコネクタ13およびケーブル17を撮像部40により撮像して認識する(ST5)。すなわち(ST4)にて仮位置決めされた被装着部15bとコネクタ13の画像を撮像部40のカメラ43で入手し、この画像に基づいて被装着部15bとコネクタ13の相対的な位置関係を求めるための認識処理を行う。
図15は(ST5)にて入手され、認識処理の対象となる認識画像40aを示している。すなわち認識画像40aには、ロック機構を構成するカバー部材14が開状態となったケーブル装着前のコネクタ13の画像とともに、このコネクタ13に装着されるケーブル17を保持したケーブル保持ツール20のチャックブロック27の先端部を平面視した画像が現れている。認識画像40aにおいては、撮像部40とケーブル保持ツール20との位置関係は固定されていることから、チャックブロック27は常に画像枠方向と一致した固定位置で現れる。
これに対し、チャックブロック27とブレード28とで挟まれて保持された補強板16および被装着部15bは、図14に示す保持動作における位置誤差などに起因して、幾分の位置ずれを示す。さらに、コネクタ13についても、作業ステージ3における電子機器4の位置保持誤差、電子機器4におけるコネクタ13の位置誤差などに起因して位置ずれ状態にある。すなわち、コネクタ13およびコネクタ13に装着される被装着部15bとの相対的な位置関係は、装着作業対象となるコネクタ13毎にばらついている。
このため、被装着部15bをコネクタ13の装着部13aに挿入して装着するに際しては、このような相対的な位置関係のばらつきを補正する位置補正データを図15に示す認識画像40aより取得する。すなわち、被装着部15bの位置を検出するための認識点R1、R2の位置を求め、認識点R1、R2の中点を被装着部15bの位置を示す代表点PM1とする。さらにコネクタ13の位置を検出するための認識点R3、R4、R5の位置を求め、認識点R4、R5の中点をコネクタ13の位置を示す代表点PM2とする。
この後ケーブル17のコネクタ13への装着を行う(ST6)。この装着動作においては、それぞれの代表点PM1,PM2が適正な位置関係となるよう、ケーブル17を保持したケーブル保持ツール20を位置合わせする。すなわち図16(a)に示すように、ケーブル保持ツール20を移動させて(矢印j)、ケーブル17の被装着部15bの先端部を電子機器4のコネクタ13の装着部13aに幾分斜め方向から挿入する。このとき、カバー部材14は起立した開状態にあり、被装着部15bの挿入を妨げない。
そしてケーブル17の被装着部15bを電子機器4のコネクタ13の端子面13bに装着する際は、(ST5)にて求めた被装着部15bとコネクタ13との相対的な位置関係に基づいて、ケーブル保持ツール20の移動を制御する。次いで図16(b)に示すように、ケーブル保持ツール20の姿勢を調整して(矢印k)、被装着部15bを水平姿勢にしてコネクタ13の端子面13bに被装着部15bに形成された配線パターン15dを端子面13bに接触させる。
この後、コネクタロックが実行される(ST7)。ここでは、コネクタロックツール30によりコネクタ13が備えたロック機構を作動させる。すなわち、図17(a)に示すように、まずケーブル保持ツール20においてチャックブロック27を上昇させて補強板16のチャック状態を解除する。次いでコネクタロックツール30においてアクチュエータ32(図2参照)を作動させてロッド32aおよびロッド32aに結合された緩衝部33を突出させる(矢印m)。これにより、緩衝部33に装着されたローラ保持部34の先端部のローラ35はコネクタ13の上面側に移動し、コネクタ13の上面を転動しながらカバー部材14に当接してこれを押し倒す。
このとき、ローラ保持部34は緩衝部33に保持軸33aを介して回動自在に保持されて下方に付勢されており、ローラ35がコネクタ13およびカバー部材14に当接する際には保持軸33a廻りに矢印n方向に回動することにより、ローラ35が、コネクタ13、カバー部材14に当接する際の衝撃が緩和されるようになっている。
次いでロボット部5を作動させて、ベース部8を右方向(矢印o)に移動させることにより、図17(b)に示すように、コネクタ13の上面においてローラ35が転動してカバー部材14を押し倒して閉状態とする。これにより、カバー部材14が被装着部15bを押さえ込んでコネクタ13におけるロック機構が作動し、被装着部15bの抜け落ちが防止される。これとともに、ケーブル保持ツール20においてはブレード28が補強板16の下面とケーブル本体部15との間から離脱して、ケーブル保持ツール20によるケーブル17の保持が解除される。
そしてこの後、ロック状態の確認が行われる(ST8)。すなわちコネクタロックツール30においてアクチュエータ32を原位置に復帰させて、ローラ保持部34やローラ35を後退させるとともに、ロボット部5を作動させてベース部8を図12に示す位置、すなわち距離計測センサ47によってコネクタ13の高さ計測が可能な位置に移動させる。そして、図17(c)に示すように、コネクタ13において予めロック状態の確認用に設定された高さ計測位置、例えば図13に示す(A)位置、(C)位置の高さを距離計測センサ47によって計測し、これら2位置における高さの差が予め設定された所定値以下である場合には、コネクタ13においてカバー部材14は閉状態にあってロック機構の作動は良好であると判断し、ケーブル装着動作を終了する。
これに対し、(ST8)にて(A)位置、(C)位置の高さ計測結果において高さの差が所定値を超えている場合には、カバー部材14が完全に閉じていないロック閉不十分の状態であって、ロック機構が十分に機能している状態ではないと判断する。そしてこの場合には、報知部55は操作パネル10に表示することによりオペレータにその旨を報知する(ST9)。これにより、当該コネクタ13についてはケーブル装着後のロック状態に不具合が生じていることが確認され、ロック状態が不完全なままの電子機器4が次工程に送られる不具合を防止することができる。
上述の電子機器組立装置1による電子機器組立方法においては、まず電子機器組立装置1が備えたロック状態確認部がケーブル17が装着されていないコネクタ13が備えたロック機構の状態を確認する。そしてロック機構の状態がケーブル17を装着可能な状態であれば、ケーブル保持ツール20をロボット部5によって移動させる構成のケーブル装着機構がケーブル17をコネクタ13に装着する。
そしてこれとともに、コネクタロックツール30をロボット部5によって移動させる構成のロック作動機構を作動させ、コネクタ13が備えたロック機構を作動させてケーブル17をコネクタ13に対してロックする。そしてその後、ロック状態確認部がケーブル17が装着されたコネクタ13のロック機構の状態を確認するようになっている。すなわちここに示す例では、ケーブル保持ツール20とコネクタロックツール30とは、単一のロボット部5によって移動するように構成されている。
なお、上述の実施例においては、電子機器組立装置1による作業対象のケーブル17、17Aとして、ケーブル本体部15の一端部15aにハンドリング用の補強板16を、口開き部17b(図5、図6参照)を設けた形態で接合した構成例を示したが、電子機器組立装置1の作業対象はこのような構成例には限定されず、例えば図18,図19に示すような変形例を作業対象に含めるようにしてもよい。
図18に示すケーブル17B(第1変形例)は、ケーブル本体部15の一端部15aの近傍に補強板16を接合することなく、ケーブル本体部15そのものをケーブル17Bとして作業対象としている。すなわち、ケーブル装着動作においては、ケーブル本体部15をそのまま保持して、ケーブル本体部15の一端部15aに形成された被装着部15bをコネクタ13に装着する。
また図19に示すケーブル17C(第2変形例)は、図6に示すケーブル17Aと同様に、ケーブル本体部15の一端部15aに設定された被装着部15bを覆って補強板16を接合した構成において、補強板16がケーブル本体部15から離隔した口開き部17bを設けることなく、補強板16の全面をケーブル本体部15に接合された接合部17aとしたものである。ケーブル17Cをコネクタ13に装着するに際しては、図6に示す例と同様に、被装着部15bのみならず被装着部15bと重なった補強板16もともにコネクタ13に装着される。
上述構成のケーブル17B,17Cは、図2に示すケーブル保持ツール20によって保持することはできない。このため、ケーブル17B,17Cを対象としてケーブル装着動作を行わせる場合には、例えば、図20に示すケーブル保持ツール20A(第1変形例)、図22に示すケーブル保持ツール20B(第2変形例)を用いる。
図20に示す第1変形例のケーブル保持ツール20Aは、図2に示すケーブル保持ツール20において用いられた補強板16のチャック機構、すなわちチャックブロック27、ブレード28によって補強板16を挟み込んで保持する構成の替わりに、真空吸着によりケーブル17B,17Cを保持する吸着面27cを有する吸着ブロック27Aを用いるようにしている。すなわち、吸着ブロック27Aはケーブル保持ツール20と同様に、アクチュエータ25によって進退するスライド部26Aの前端面(進出方向側の面)に装着される。吸着ブロック27Aに設けられた吸着面27cには、平面形状の平坦部27dおよび湾曲形状の湾曲部27eが設けられている。
吸着面27cには、吸引孔27fが開孔した凹部27gが形成されている。吸着面27cに保持対象のケーブル17B,17Cを当接させた状態において、真空吸引源(図示省略)によって吸引孔27fから真空吸引することにより、吸着面27cにケーブル17B,17Cを吸着させて、吸着ブロック27Aによって保持することができる。
平坦部27dは、図7(b)に示すチャック面27aの張り出し部と同様の機能を有している。すなわち吸着面27cにケーブル17B,17Cを吸着保持した状態において、幅方向に反り形状や波打ち形状となった変形が生じた状態のケーブル17B,17Cを平坦部27dに倣わせることにより、これらの変形が矯正される。
図21は、第1変形例のケーブル保持ツール20Aを用いてケーブル17B,17Cをコネクタ13に装着する際の動作を示している。図21(a)に示すように、電子機器4において作業対象のコネクタ13に対応する位置には、予め表示装置12(図3参照)にケーブル本体部15が接続されたケーブル17B,17Cが、被装着部15bを上方に向けた姿勢で位置している。コネクタ13においてはカバー部材14が開状態にあり、ケーブル17B,17Cの装着が可能な状態となっている。ケーブル装着動作が開始されると、吸着ブロック27Aを進出させた状態のケーブル保持ツール20Aを、吸着ブロック27Aを傾けた状態でケーブル17B,17Cの背面へ接近させる(矢印p)。
次いで図21(b)に示すように、ケーブル17B,17Cを押し倒しつつ吸着面27cに沿わせるように移動させる(矢印q)。このとき、ケーブル17B,17Cの被装着部15bが、吸着面27cの先端部からはみ出す状態となるように、吸着ブロック27Aを位置合わせし、この状態で吸引孔27f(図20)から真空吸引して、ケーブル17B,17Cを吸着ブロック27Aによって吸着保持する。
そしてこの状態で、ケーブル保持ツール20Aに位置合わせ動作を行わせる(矢印r)ことにより、吸着ブロック27Aによって吸着保持したケーブル17B,17Cの被装着部15bを、撮像部40による撮像位置に位置決めし、被装着部15bおよびコネクタ13の相対位置を検出する。そしてこの相対位置に基づいてケーブル保持ツール20Aを移動させて、被装着部15bをコネクタ13の装着部13aに挿入して装着する。そしてこの後、コネクタロックおよびロック状態の確認が、図17に示す例と同様に行われる。
次に図22を参照して、第2変形例のケーブル保持ツール20Bの構成を説明する。ケーブル保持ツール20Bは、図2に示すケーブル保持ツール20において用いられた補強板16のチャック機構、すなわちチャックブロック27、ブレード28によって補強板16を挟み込んで保持する構成の替わりに、ケーブル17B,17Cの被装着部15bの近傍を、上下方向から直接挟み込んで保持する構成のチャックヘッド29を用いるようにしている。
チャックヘッド29はケーブル保持ツール20と同様に、アクチュエータ25によって進退するスライド部26Bの前端面(進出方向側の面)に装着される。チャックヘッド29の側面、すなわちケーブル17B,17Cに対して進出した状態において被装着部15bの一方の側端面に接する側の面には、1対の固定チャック29a、移動チャック29bが上下方向に対向して配置されている。下方に位置する固定チャック29aは吸着面27cの下端部に固定配置されており、上方に位置する移動チャック29bは、チャックヘッド29に沿って上下動する移動部材29cに結合されている。移動部材29cは、チャックヘッド29に内蔵されたチャック駆動機構(図示省略)によって上下動(矢印s)する。
図22(b)に示すように、固定チャック29aに対して移動チャック29bを上昇させた状態では、固定チャック29aと移動チャック29bとの間には保持対象のケーブル17B,17Cを導入するための隙間が形成される。そしてこの隙間にケーブル17B,17Cを位置させた状態でチャック駆動機構を駆動することにより、移動チャック29bが下降して(矢印t)、固定チャック29aと移動チャック29bとの間にケーブル17B,17Cを挟み込んで保持する。このとき、ケーブル17B,17Cの被装着部15bがはみ出した状態となるように、ケーブル17B,17Cの保持位置を調整する。
図23は、第2変形例のケーブル保持ツール20Bを用いてケーブル17B,17Cをコネクタ13に装着する際の動作を示している。図23(a)に示すように、電子機器4において作業対象のコネクタ13に対応する位置には、予め表示装置12(図3参照)にケーブル本体部15が接続されたケーブル17B,17Cが、被装着部15bを上方に向けた姿勢で位置している。コネクタ13においてはカバー部材14が開状態にあり、ケーブル17B,17Cの装着が可能な状態となっている。またケーブル保持ツール20Bのチャックヘッド29では、固定チャック29aに対して移動チャック29bが離隔してチャック開状態にある。ケーブル装着動作が開始されると、チャックヘッド29を傾けて進出させた状態のケーブル保持ツール20Bをケーブル17B,17Cに対して移動させ(矢印u)、ケーブル17B,17Cを固定チャック29aと移動チャック29bとの間に位置させる。
次いで図23(b)に示すように、チャックヘッド29においてチャック駆動機構を駆動して、移動チャック29bを固定チャック29aに対して接近させてチャック閉状態とする(矢印v)。これにより、移動チャック29bと固定チャック29aとの間にケーブル17B,17Cを挟み込んで保持する。このとき、ケーブル17B,17Cの被装着部15bが、チャックヘッド29からはみ出す状態となるように、チャックヘッド29をケーブル17B,17Cに対して位置合わせする。
そしてこの状態で、ケーブル保持ツール20Bに位置合わせ動作を行わせる(矢印w)ことにより、チャックヘッド29によって保持したケーブル17B,17Cの被装着部15bを、撮像部40による撮像位置に位置決めし、被装着部15bおよびコネクタ13の相対位置を検出する。そしてこの相対位置に基づいてケーブル保持ツール20Bを移動させて、被装着部15bをコネクタ13の装着部13aに挿入して装着する。そしてこの後、コネクタロックおよびロック状態の確認が、図17に示す例と同様に行われる。
上記説明したように本実施の形態では、ケーブル17の被装着部15bを電子機器4のコネクタ13に装着する電子機器組立装置1を、ケーブル保持ツール20とコネクタロックツール30とが装着されたベース部8をロボット部5によって移動させることにより作業ステージ3に保持された電子機器4に対してケーブル保持ツール20とコネクタロックツール30とを相対的に移動させる構成とし、ケーブル17をコネクタ13に装着する電子機器組立方法において、ケーブル17をケーブル保持ツール20で保持し、ケーブル保持ツール20を移動させてケーブル17の被装着部15bを電子機器4のコネクタ13に挿入し、コネクタロックツール30によりコネクタ13が備えたロック機構を作動させてケーブル17をコネクタ13にロックするようにしている。これにより、簡便な構成の設備によってケーブル17のコネクタ13への接続作業を自動化し、作業効率を向上させることができる。
また本実施の形態では、上述の電子機器組立装置1を、ケーブル保持ツール20をロボット部で移動させる構成によりケーブル17を保持してケーブル17に装着するケーブル装着機構と、コネクタロックツール30をロボット部5で移動させる構成によりコネクタ13が備えたロック機構を作動させるロック作動機構と、距離計測センサ47によってコネクタ13の高さを計測することによりロック機構の状態を確認するロック状態確認部と、ケーブル装着機構およびロック作動機構を制御する制御部とを備えた構成としている。
そして電子機器組立装置1により、ケーブル17をコネクタ13に装着する電子機器組立方法において、ロック状態確認部がケーブル17が装着されていないコネクタ13が備えたロック機構の状態を確認し、ロック機構の状態がケーブル17を装着可能な状態であれば、ケーブル装着機構がケーブル17をコネクタ13に装着するとともに、ロック作動機構を作動させてロック機構を作動させ、ロック状態確認部がケーブル17が装着されたコネクタ13のロック機構の状態を確認するようにしている。これにより、ロック機構付きのコネクタ13にケーブル17を装着する場合において、接続状態が不完全な状態の電子機器4が後工程に送られることを排除して、装着後の接続状態の信頼性を確保することができる。