JP6557535B2 - バリア性シートおよび建造物 - Google Patents

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Description

本発明は、バリア性シートおよびそれを用いた建造物に関する。より具体的には、本発明は、バリア性層の破損抑制効果が向上したバリア性シート、およびバリア性持続効果の高い建造物に関する。
コンクリートは、空気中の二酸化炭素によって徐々に中性化する。コンクリートの内部にまで中性化が進行すると、鉄筋が腐食し、コンクリート構造物の強度が大幅に低下してしまう。そのため、特開2003−342084号公報(特許文献1)などに、コンクリート構造物の表面にエポキシ樹脂組成物などから成る塗材を塗布し、コンクリートの中性化を防止する技術が提案されている。このように塗材をコンクリート構造物の表面に塗布する工法の、プライマー、パテ、下塗り、中塗り、上塗りなどの多くの層を順次形成する必要性を解消するため、施工に要する時間と労力とを削減する手段として、特開2014−9508号公報(特許文献2)に、コンクリート構造物と、コンクリート構造物の表面を覆う保護シートと、を含み、保護シートが、樹脂から成る基材と、炭素膜、好ましくはダイヤモンドライクカーボンの膜とを含むコンクリート構造物の保護構造及びコンクリート構造物の保護工法が提案されている。
一方、樹脂フィルムの表面にダイヤモンドライクカーボン膜を形成するために、樹脂フィルムの表面の平滑性が良好であることが好ましいことが知られている。たとえば、特開2007−276342号公報(特許文献3)には、飲食品、医薬品および化粧品などの収容容器に適用するためのガスバリア性樹脂成形体において、樹脂フィルムの表面の二乗平均粗さ(Rms)が3nm以下であることが記載されている。
特開2003−342084号公報 特開2014−9508号公報 特開2007−276342号公報
特開2014−9508号公報(特許文献2)の保護シートによるコンクリート構造物保護構造は、実使用時に保護シートが屋外へ曝露される。この場合、樹脂基材と炭素膜との密着性が十分でないことにより、実使用時の太陽光および温湿度などの環境負荷によって炭素膜が剥離または割れが発生することがある。このような炭素膜の破損に伴って、中性化抑止効果が低下する。
そこで、本発明の目的は、バリア性保護層の破損を抑制することが可能なバリア性シートを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、以下の発明を含む。
(1)
本発明のバリア性シートは、表面の最大谷深さSvは、2.5μm以上、かつ二乗平均平方根偏差Sqが0.05μm以上0.3μm以下である樹脂基材と、当該樹脂基材の当該表面に積層されたバリア性保護層とを含む。
上記の構成によって、バリア性保護層の割れおよび剥離などの破損を抑制することができる。この破損抑制効果は、たとえば、バリア性シートが屋外の構造物の表面を保護するものであり、屋外での太陽光(特に紫外線)、温度、湿度などの環境負荷に晒される場合に特に有用である。
なお、最大谷深さSv及び二乗平均平方根偏差Sqは、ISO 25178に準拠した測定値である。
(2)
樹脂基材は、ポリエチレンテレフタレートで構成されてよい。
上記の構成によって、バリア性保護層のより好ましい破損抑制効果を得ることができる。
(3)
樹脂基材の厚みは、50μm以上200μm以下であってよい。
上記の構成によって、コシがあり且つ割れにくい樹脂基材となる。
(4)
樹脂基材の線膨張率は、3×10-5/K以下であってよい。
上記の構成によって、バリア性保護層のより好ましい破損抑制効果を得ることができる。
(5)
バリア性保護層が炭素膜層であってよい。
この場合、バリア効果により優れる点で好ましい。
(6)
バリア性保護層の厚みは、10nm以上200nmであってよい。
上記の構成によって、バリア性保護層のバリア性が良好に担保されるとともに、バリア性保護層の残留応力が良好に抑制され、より優れた破損抑制効果が得られる。
(7)
本発明のバリア性シートの製造方法は、表面の最大谷深さSvが2.5μm以上、かつ二乗平均平方根偏差Sqが0.05μm以上0.3μm以下である樹脂基材の当該表面に、誘導結合プラズマを用いた化学気相成長法を用いて炭素膜をバリア性保護層として積層する工程を含む。
上記の構成によって、樹脂基材に対して炭素膜のバリア性保護層を密着性高く成膜することができる。
(8)
本発明の建造物は、(1)から(6)に記載のバリア性シートで表面が保護されたものである。
上記の構成によって、建造物は、光、温度、湿度などの環境負荷に対する高いバリア性持続効果を有する。
(9)
本発明の建造物は、セメント硬化体構造物または金属構造物であってよい。
この場合、たとえばセメント硬化体構造物であればセメントの中性化を防止し、金属構造物であれば腐食を防止することができるため、構造物の強度低下を抑制することができる。
第1実施形態のバリア性シートを示す模式的断面図である。 本発明のバリア性シートを用いた建造物を示す模式的断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1実施形態]
[樹脂基材およびバリア性シート概要]
図1は、本発明の第1実施形態のバリア性シートを示す模式的断面図である。
図1に示すバリア性シート200は、樹脂基材100と、樹脂基材100上に積層されたバリア性保護層150とを含む。
[樹脂基材]
樹脂基材100は、少なくともバリア性保護層150が積層される面の最大谷深さSvが2.5μm以上、好ましくは3μm以上である。このように荒れた凹凸面を有することによって、バリア性保護層150に対してアンカー効果を生じさせる。したがって、樹脂基材100とバリア性保護層150との密着性が良好であるため、バリア性保護層150の割れおよび剥離などの破損を抑制することができる。
樹脂基材100表面の最大谷深さSvの範囲内の上限値は特に限定されないが、樹脂基材100の厚みの10%であることが好ましい。具体的には、たとえば20μm、好ましくは10μmである。これによって、バリア性保護層150を構成する物質が樹脂基材100表面の凹凸に入り込んだ状態での成膜が容易である。樹脂基材100の厚みの10%以下とすることで、樹脂基材の物性低下を防止しやすい。
樹脂基材100は、少なくともバリア性保護層150が積層される面の二乗平均平方根偏差Sqが0.05μm以上0.3μm以下、好ましくは0.1μm以上0.2μm以下である。0.05μm以上とすることによって、バリア性保護層150に対して接着面積が大きくなり十分な密着力を生じさせる。0.3μm以下とすることによって、バリア性保護層150の膜厚の均一性が保たれる。
なお、上記の最大谷深さSvを満たす表面は、少なくともバリア性保護層150との接触面であればよく、反対側の面は、上記の最大谷深さSv及び二乗平均平方根偏差Sqを満たしてもよいし、満たさなくても(たとえばより平滑であっても)よい。
樹脂基材100を構成する樹脂としては特に限定されないが、たとえば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリアミド樹脂(ナイロンなど)、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられる。
樹脂基材100の厚みRは、たとえば50μm以上200μm以下である。厚みRが上記下限値以上であることは、樹脂基材100のコシが良好であるなどの点で好ましく、上記上限値以下であることは、樹脂基材100自体の割れの防止およびバリア性シート200の保護対象への良好な接着施工性を得る点で好ましい。
樹脂基材100の、JIS K7197に準拠した線膨張率は、たとえば3×10-5/K以下、好ましくは2×10-5/K以下、さらに好ましくは1.5×10-5/K以下である。これによって、樹脂基材100の過度の延びおよび当該過度の延びに付随しうるバリア性保護層150の割れを効果的に防止するため、バリア性保護層150のより好ましい破損抑制効果を得ることができる。線膨張率の範囲内の下限値は特に限定されないが、好ましくは0/Kである。これによって、樹脂基材100の割れおよび当該割れに追随するバリア性保護層150のひび割れを効果的に防止することができる。
樹脂基材100は、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。樹脂基材100が複層構造である場合、たとえば、最上層(つまりバリア性保護層150の隣接層)を上記のポリエステル樹脂で構成し、その下層として、用途、ならびに被覆対象の建造物500(後述)または介在させられうる接着層400(後述)の異素材との相性などに応じて所望の機能を発現する樹脂からなる1または複数の層を、当業者が適宜選択することができる。たとえば、上記のポリエステル樹脂層とは異なるバリア性、耐水性、および/または機械的特性などを有する樹脂層、ならびに接着層などが挙げられる。
[バリア性保護層]
バリア性保護層150を構成する物質は、層としてバリア機能を発揮するものであれば特に限定されるものではない。バリア性としては、二酸化炭素バリア性、酸素バリア性、水蒸気バリア性などのガスバリア性;紫外線バリア性などの光バリア性が挙げられる。
たとえば、バリア性保護層150を構成する物質として、好ましくは炭素が挙げられるが、その他、珪素および/またはアルミを含む、酸化物、窒化物、炭化物、およびこれらの混合物なども挙げられる。さらに、副成分(バリア性保護層150を構成する物質のうちたとえば2重量%以下の含量を占める成分)として、他の金属酸化物、金属窒化物、または金属炭化物などを併用することも許容する。
バリア性保護層150が炭素で構成される炭素膜である場合、種々の炭素膜が適用されるが、中性化抑制効果の観点から好ましくはダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜である。また、DLC膜は、酸素および/または水蒸気の透過を抑制することもできる。DLC膜は、ダイヤモンド構造(sp3結合)とグラファイト構造(sp2結合)とを両方含む非晶質の膜である。また、炭素膜には水素、酸素、窒素を含むことも許容する。ダイヤモンド構造とグラファイト構造との混在比率、および水素、酸素、窒素の含有率は特に限定されない。より具体的には、ta−C(テトラへドラルアモルファスカーボン)、a−C(アモルファスカーボン)、ta−C:H(水素化テトラへドラルアモルファスカーボン)、およびa−C:H(水素化アモルファスカーボン)が挙げられる。
本発明においては、樹脂基材100表面が所定の最大谷深さSvおよび二乗平均平方根偏差Sqを有することでバリア性保護層150の破損を効果的に抑制することができるため、たとえば、ナノインデンテーション法で測定した硬さが1GPa以上、または5GPa以上、または9GPa以上のバリア性保護層150であっても許容される。
なお、ナノインデンテーション法とは、圧子(例えばナノオーダーの針)を材料表面に押込み、荷重と変位量とから微小領域の硬さ、ヤング率等を測定する方法である。一例として次のように測定することができる。ナノインデンター(Hysitron社製TriboIndenter TI900型)を用いて、ベルコビッチ型圧子と呼ばれる三角錘型ダイヤモンド製圧子を試料表面に直角に当て、炭素膜表面から炭素膜の膜厚の10%の押込み量まで徐々に荷重を印加後、荷重を0にまで徐々に戻す。この時の最大荷重Pを圧子接触部の投影面積Aで除した値P/Aを硬度として算出する。
バリア性保護層150の厚みCは、樹脂基材100の厚みRに対したとえば0.005%以上0.3%以下であってよい。あるいは、10nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下、さらに好ましくは10nm以上80nm以下であってもよい。バリア性保護層150の厚みCが上記下限値以上であることによりバリア機能を好ましく発揮することができ、上記上限値以下であることによりバリア性保護層150の破損を起こしにくくすることができる。
バリア性保護層150が紫外線バリア性を有するものである場合、バリア性シート200全体としての紫外線透過率は、たとえば80%以下、好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下である。
また、バリア性保護層150の紫外線カット率は、例えば20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは70%以上、一層好ましくは80%以上である。
バリア性シート200全体としての紫外線透過率及びバリア性保護層150の紫外線カット率は、分光光度計(たとえば島津製作所製、UV−2600)を用いて測定することができる。なお、ポリエステル系の樹脂は、波長325nm付近の光線で顕著に劣化することが知られているため、バリア性シート200全体としての紫外線透過率及びバリア性保護層の紫外線カット率は325nmにおける値とする。
なお、バリア性保護層150の外表面は、成膜法にも依るが、樹脂基材100表面の影響を受けて粗いことを許容する。したがって、バリア性保護層の外表面の最大谷深さSvは、樹脂基材100表面の最大谷深さSvの70%以上であってよい。
[バリア性シートの製造]
本発明のバリア性シートの製造には、表面が所定の最大谷深さSv(2.5μm以上、好ましくは3μm以上、かつ20μm以下、好ましくは10μm以下)および所定の二乗平均平方根偏差Sq(0.05μm以上0.3μm以下、好ましくは0.1μm以上0.2μm以下)を有する樹脂基材100を用意する。
この場合、樹脂基材100は、樹脂の成膜工程で所定の最大谷深さSvおよび二乗平均平方根偏差Sqを有する樹脂基材として得られたものであってもよいし、表面が当該所定の最大谷深さSvおよび二乗平均平方根偏差Sqを有しない樹脂基材として成膜された後、その表面を荒らして上記所定の最大谷深さSvおよび二乗平均平方根偏差Sqとなるように処理することによって得られたものであってもよい。
樹脂基材の表面を荒らす処理を行う場合、ドライプロセスおよびウェットプロセスを問わず、当業者によって適宜行われてよい。
ドライプロセスとしては、プラズマ表面処理法、コロナ処理法、およびUVオゾン処理法などが挙げられる。ドライプロセスは、製造効率の点でより好ましい。
ウェットプロセスとしては、たとえば、樹脂基材の表面を腐食可能なエッチング液を用いることができる。このようなエッチング液としては、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩と苛性組成物とを含む薬液を用いることができる。このような薬液に含まれる個々の成分の濃度は、当業者が容易に決定することができる。
樹脂基材100の表面にバリア性保護層150を成膜する方法としては、たとえば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD);プラズマ化学気相成長法(PCVD);プラズマイオン注入成膜法(PBIID);化学的気相成長法(CVD);めっき、ゾルゲル法などの液相成長法がある。
プラズマ化学気相成長法(PCVD)は、樹脂基材100表面の凹凸形状への密着性に優れたバリア性保護層150を成膜しやすい点で好ましい。
プラズマ化学気相成長法(PCVD)としては、その励起方式は直流(DCプラズマCVD法)、高周波(RFプラズマCVD法)、マイクロ波(マイクロ波プラズマCVD法)いずれであってもよいし、容量結合型プラズマCVD法(CCP−CVD)、誘導結合型プラズマCVD法(ICP−CVD)いずれであってもよい。
特に誘導結合型プラズマCVD法(ICP−CVD)は、生成したプラズマを樹脂基材100内へ引き込みやすく、バリア性保護層と樹脂基材との密着力が高まるので好ましい。
成膜圧力は、バリア膜性保護層150の品質安定性の点で、たとえば10Pa以下、好ましくは5Pa以下である。成膜圧力の範囲内の下限値は特に限定されないが、真空装置の簡便性保持の点で例えば、0.1Pa好ましくは0.5Paである。
[建造物]
図2は、本発明の建造物の一例を示す模式的断面図である。
図2に示す建造物500は、コンクリート建造物510と、第1実施形態のバリア性シート200と、それらの間に介在する接着層400とを含む。
[コンクリート建造物]
コンクリート建造物510は、コンクリート511と、鉄筋などの芯材512とを含む。コンクリート511は、セメントに、水、砂利、砂などを混合し、セメントの水和反応により硬化したものである。コンクリート建造物510は、新設の物であってもよいし、補修対象物であってもよい。コンクリート建造物510としては、コンクリート高架橋(特に梁、柱)、コンクリート桁橋、電架柱、ビル、住宅などが挙げられる。
なお、本発明のバリア性シート200の保護対象は、本実施形態のコンクリート建造物510以外のセメント硬化体構造物、たとえば樹脂製の芯材を有するコンクリート建造物、芯材を有しないコンクリート構造物、モルタル構造物などであってもよい。また、本発明における保護対象は、鋼製、鉄製などの柱、梁、弊などの金属構造物であってもよい。
[バリア性シート]
本実施形態において、バリア性シート200は、コンクリート建造物510の表面を覆って保護する。
[接着層]
接着層400は、コンクリート建造物510とバリア性シート200の樹脂基材100との間に介在することで、コンクリート建造物510とバリア性シート200との良好な接着性を担保するとともに、バリア性シート200によるバリア性を補助(本実施形態では中性化の抑制を補助)することができる。
接着層400を構成する接着剤としては特に限定されないが、保護対象であるコンクリート建造物の線膨張率と樹脂基材100の線膨張率との差を緩衝する点で、弾性接着剤が好ましい。具体的には、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。
接着層の厚みは、たとえば100μm以上1000μm以下、好ましくは200μm以上800μm以下である。上記下限値以上であることは、バリア性シート200によるバリア性を補助する点で好ましく、上記上限値以下であることは、貼付施工容易性の点で好ましい。
建造物500の施工においては、コンクリート建造物510の表面、コンクリート建造物510の表面とバリア性シート200の樹脂基材100の表面との両面、または、バリア性シート200の樹脂基材100の表面に、接着剤樹脂組成物の層が設けられる。接着剤樹脂組成物の層を設ける方法としては、塗布法、浸漬法、スプレー法など特に限定されない。塗布法としては、ロール、ヘラ、コテなどを用いた塗布、しごき塗り、刷毛塗り、流し塗りなどの方法が挙げられる。ロールを用いて塗布する場合、ゴム製または金属性のロールを用いることができ、さらに、2本ロールまたは3本ロールの態様で塗布することができる。
その後、コンクリート建造物510の表面とバリア性シート200の樹脂基材100の表面とを、接着剤樹脂組成物の層を介して張り合わせ、養生して硬化させることにより接着する。
なお、コンクリート建造物510の表面に予め必要に応じて下地調整塗膜を設けておき、下地調整塗膜の上に接着剤樹脂組成物の層が設けられてもよい。下地調整用塗料としては、エチレン酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、アクリルカチオン系エマルジョンなどが挙げられる。
コンクリートの中性化の評価方法は、一般的に、コンクリート試験体を切り出して断面を露出させ、フェノールフタレインの呈色反応を利用することによって行うことができる。
1.保護シートの作成
[実施例1]
樹脂基材として、75μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、銘柄G2)を用意した。
この樹脂基材のSv及びSq測定値(オリンパス製、LEXT OLS4100)は、それぞれ、3.170μm及び0.107μmであった。さらに、この樹脂基材の線膨張率のJIS K−7197に準拠した測定値は2.3×10-5/Kであった。
ICP−CVD装置を用い、PETフィルムの片面にDLCを成膜した。成膜圧力は1Paであった。
以上のようにして、PETで構成される樹脂基材と、その上に成膜されたDLC膜とから構成されたバリア性シートが作成された。なお、反射分光膜厚計(フィルメトリクス社製F20−UV)で測定した結果、作成されたバリア性シートにおけるDLC膜の膜厚は76nmであった。
また、DLC層のナノインデンテーション法(Hysitron社製TriboIndenter TI900型)による硬さは10GPaであった。さらに、DLC層の紫外線カット率測定値(島津製作所製、型番UV−2600)は、83%であった。
[実施例2]
樹脂基材として、125μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、銘柄X10S)を用意した。
この樹脂基材のSv及びSq測定値(オリンパス製、LEXT OLS4100)は、それぞれ、3.761μm及び0.137μmであった。さらに、この樹脂基材の線膨張率のJIS K−7197に準拠した測定値は1.5×10-5/K であった。
樹脂基材を変更したことを除いて、実施例1と同様にバリア性シートを作成した。
バリア性シートを反射分光膜厚計(フィルメトリクス社製F20−UV)で測定した結果、作成されたDLC膜の膜厚は72nmであった。
また、DLC層のナノインデンテーション法(Hysitron社製TriboIndenter TI900型)による硬さは10GPaであった。さらに、DLC層の紫外線カット率測定値(島津製作所製、型番UV−2600)は、84%であった。
[実施例3]
成膜時間を1/3にしたことを除いて、実施例2と同様にバリア性シートを作成した。
作成されたバリア性シートのDLC膜層の厚みは27nm、DLC層の紫外線カット率測定値は72%であった。
[比較例1]
樹脂基材として、125μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績株式会社製、銘柄Q3215)に変更したことを除いて、実施例1と同様にバリア性シートを作成した。この銘柄はフィルムに表裏があり、それぞれの面で表面粗さが異なるため、DLCを成膜すべき面のSv値をあらかじめ調べた。
この樹脂基材の、DLCを成膜すべき面のSv及びSq測定値(オリンパス製、LEXT OLS4100)は、それぞれ、2.063μm及び0.191μmであった。さらに、この樹脂基材の線膨張率のJIS K−7197 に準拠した測定値は1.5×10-5/Kであった。
バリア性シートを反射分光膜厚計(フィルメトリクス社製F20−UV)で測定した結果、作成されたDLC膜の膜厚は70nmであった。
また、DLC層のナノインデンテーション法(Hysitron社製TriboIndenter TI900型)による硬さは10GPaであった。
[比較例2]
比較例1で用いた樹脂基材の表裏を逆にしたことを除いて、比較例1と同様にバリア性シートを作成した。本比較例で成膜した面(比較例1で成膜した面と反対側の面)のSv及びSq測定値(オリンパス製、LEXT OLS4100)は、それぞれ、1.325μm及び0.115μmであった。作成されたバリア性シートのDLC膜層の厚みは70nmであった。
また、DLC層のナノインデンテーション法(Hysitron社製TriboIndenter TI900型)による硬さは10GPaであった。
2.耐候性試験
JIS K5600(塗料一般試験方法)7−7:1999促進耐候性(キセノンランプ法)に基づき、実施例1から3および比較例1,2のバリア性シートの耐候性を評価した。具体的には、以下のように行った。
保護シートを、DLC膜が形成されていない面が接着面となるように、エポキシ系接着剤 エスダイン#3450(積水化学工業(株)製)を用いてコンクリート基板に貼り付けた。保護シートに対し、キセノンランプを用い、紫外線を照射した。紫外線を照射し続け、DLC膜が剥離し始める時間を調べた。
実施例1から3および比較例1,2の耐候性試験の結果を、後述の表1に示す。
Figure 0006557535
PET樹脂基材のSvが大きい実施例1から実施例3では、破損抑制効果に顕著に優れ、したがって顕著に優れたバリア性が達成された。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。
本明細書において、樹脂基材100は請求項における「樹脂基材」に相当し、バリア性保護層150は「バリア性保護層」に相当し、バリア性シート200は「バリア性層」に相当し、建造物500は「建造物」に相当し、厚みRは(樹脂基材の)「厚み」に相当し、厚みCは「バリア性保護層の厚み」に相当する。
100 樹脂基材
150 バリア性保護層
200 バリア性シート
500 建造物
R (樹脂基材の)厚み
C (バリア性保護層の)厚み

Claims (7)

  1. 表面の最大谷深さSvが2.5μm以上、かつ二乗平均平方根偏差Sqが0.05μm以上0.3μm以下である樹脂基材と、前記表面に積層されたバリア性保護層とを含み、前記バリア性保護層が炭素膜層である、バリア性シート。
  2. 前記樹脂基材がポリエチレンテレフタレートである、請求項1に記載のバリア性シート。
  3. 前記樹脂基材の厚みが50μm以上200μm以下である、請求項1または2に記載のバリア性シート。
  4. 前記樹脂基材の線膨張率が3×10−5/K以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のバリア性シート。
  5. 前記バリア性保護層の厚みが10nm以上200nmである、請求項1からのいずれか1項に記載のバリア性シート。
  6. 表面の最大谷深さSvが2.5μm以上、かつ二乗平均平方根偏差Sqが0.05μm以上0.3μm以下である樹脂基材の前記表面に、誘導結合プラズマを用いた化学気相成長法を用いて炭素膜をバリア性保護層として積層する工程を含む、バリア性シートの製造方法。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載のバリア性シートで表面が保護された建造物。


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