JP6557535B2 - バリア性シートおよび建造物 - Google Patents
バリア性シートおよび建造物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6557535B2 JP6557535B2 JP2015145681A JP2015145681A JP6557535B2 JP 6557535 B2 JP6557535 B2 JP 6557535B2 JP 2015145681 A JP2015145681 A JP 2015145681A JP 2015145681 A JP2015145681 A JP 2015145681A JP 6557535 B2 JP6557535 B2 JP 6557535B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- barrier
- base material
- protective layer
- resin
- resin base
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Building Environments (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
本発明のバリア性シートは、表面の最大谷深さSvは、2.5μm以上、かつ二乗平均平方根偏差Sqが0.05μm以上0.3μm以下である樹脂基材と、当該樹脂基材の当該表面に積層されたバリア性保護層とを含む。
なお、最大谷深さSv及び二乗平均平方根偏差Sqは、ISO 25178に準拠した測定値である。
樹脂基材は、ポリエチレンテレフタレートで構成されてよい。
上記の構成によって、バリア性保護層のより好ましい破損抑制効果を得ることができる。
樹脂基材の厚みは、50μm以上200μm以下であってよい。
上記の構成によって、コシがあり且つ割れにくい樹脂基材となる。
樹脂基材の線膨張率は、3×10-5/K以下であってよい。
上記の構成によって、バリア性保護層のより好ましい破損抑制効果を得ることができる。
バリア性保護層が炭素膜層であってよい。
この場合、バリア効果により優れる点で好ましい。
バリア性保護層の厚みは、10nm以上200nmであってよい。
上記の構成によって、バリア性保護層のバリア性が良好に担保されるとともに、バリア性保護層の残留応力が良好に抑制され、より優れた破損抑制効果が得られる。
本発明のバリア性シートの製造方法は、表面の最大谷深さSvが2.5μm以上、かつ二乗平均平方根偏差Sqが0.05μm以上0.3μm以下である樹脂基材の当該表面に、誘導結合プラズマを用いた化学気相成長法を用いて炭素膜をバリア性保護層として積層する工程を含む。
上記の構成によって、樹脂基材に対して炭素膜のバリア性保護層を密着性高く成膜することができる。
本発明の建造物は、(1)から(6)に記載のバリア性シートで表面が保護されたものである。
本発明の建造物は、セメント硬化体構造物または金属構造物であってよい。
この場合、たとえばセメント硬化体構造物であればセメントの中性化を防止し、金属構造物であれば腐食を防止することができるため、構造物の強度低下を抑制することができる。
[樹脂基材およびバリア性シート概要]
図1は、本発明の第1実施形態のバリア性シートを示す模式的断面図である。
図1に示すバリア性シート200は、樹脂基材100と、樹脂基材100上に積層されたバリア性保護層150とを含む。
樹脂基材100は、少なくともバリア性保護層150が積層される面の最大谷深さSvが2.5μm以上、好ましくは3μm以上である。このように荒れた凹凸面を有することによって、バリア性保護層150に対してアンカー効果を生じさせる。したがって、樹脂基材100とバリア性保護層150との密着性が良好であるため、バリア性保護層150の割れおよび剥離などの破損を抑制することができる。
バリア性保護層150を構成する物質は、層としてバリア機能を発揮するものであれば特に限定されるものではない。バリア性としては、二酸化炭素バリア性、酸素バリア性、水蒸気バリア性などのガスバリア性;紫外線バリア性などの光バリア性が挙げられる。
なお、ナノインデンテーション法とは、圧子(例えばナノオーダーの針)を材料表面に押込み、荷重と変位量とから微小領域の硬さ、ヤング率等を測定する方法である。一例として次のように測定することができる。ナノインデンター(Hysitron社製TriboIndenter TI900型)を用いて、ベルコビッチ型圧子と呼ばれる三角錘型ダイヤモンド製圧子を試料表面に直角に当て、炭素膜表面から炭素膜の膜厚の10%の押込み量まで徐々に荷重を印加後、荷重を0にまで徐々に戻す。この時の最大荷重Pを圧子接触部の投影面積Aで除した値P/Aを硬度として算出する。
また、バリア性保護層150の紫外線カット率は、例えば20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは70%以上、一層好ましくは80%以上である。
バリア性シート200全体としての紫外線透過率及びバリア性保護層150の紫外線カット率は、分光光度計(たとえば島津製作所製、UV−2600)を用いて測定することができる。なお、ポリエステル系の樹脂は、波長325nm付近の光線で顕著に劣化することが知られているため、バリア性シート200全体としての紫外線透過率及びバリア性保護層の紫外線カット率は325nmにおける値とする。
本発明のバリア性シートの製造には、表面が所定の最大谷深さSv(2.5μm以上、好ましくは3μm以上、かつ20μm以下、好ましくは10μm以下)および所定の二乗平均平方根偏差Sq(0.05μm以上0.3μm以下、好ましくは0.1μm以上0.2μm以下)を有する樹脂基材100を用意する。
ドライプロセスとしては、プラズマ表面処理法、コロナ処理法、およびUVオゾン処理法などが挙げられる。ドライプロセスは、製造効率の点でより好ましい。
ウェットプロセスとしては、たとえば、樹脂基材の表面を腐食可能なエッチング液を用いることができる。このようなエッチング液としては、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩と苛性組成物とを含む薬液を用いることができる。このような薬液に含まれる個々の成分の濃度は、当業者が容易に決定することができる。
図2は、本発明の建造物の一例を示す模式的断面図である。
図2に示す建造物500は、コンクリート建造物510と、第1実施形態のバリア性シート200と、それらの間に介在する接着層400とを含む。
コンクリート建造物510は、コンクリート511と、鉄筋などの芯材512とを含む。コンクリート511は、セメントに、水、砂利、砂などを混合し、セメントの水和反応により硬化したものである。コンクリート建造物510は、新設の物であってもよいし、補修対象物であってもよい。コンクリート建造物510としては、コンクリート高架橋(特に梁、柱)、コンクリート桁橋、電架柱、ビル、住宅などが挙げられる。
本実施形態において、バリア性シート200は、コンクリート建造物510の表面を覆って保護する。
接着層400は、コンクリート建造物510とバリア性シート200の樹脂基材100との間に介在することで、コンクリート建造物510とバリア性シート200との良好な接着性を担保するとともに、バリア性シート200によるバリア性を補助(本実施形態では中性化の抑制を補助)することができる。
[実施例1]
樹脂基材として、75μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、銘柄G2)を用意した。
この樹脂基材のSv及びSq測定値(オリンパス製、LEXT OLS4100)は、それぞれ、3.170μm及び0.107μmであった。さらに、この樹脂基材の線膨張率のJIS K−7197に準拠した測定値は2.3×10-5/Kであった。
樹脂基材として、125μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、銘柄X10S)を用意した。
この樹脂基材のSv及びSq測定値(オリンパス製、LEXT OLS4100)は、それぞれ、3.761μm及び0.137μmであった。さらに、この樹脂基材の線膨張率のJIS K−7197に準拠した測定値は1.5×10-5/K であった。
成膜時間を1/3にしたことを除いて、実施例2と同様にバリア性シートを作成した。
作成されたバリア性シートのDLC膜層の厚みは27nm、DLC層の紫外線カット率測定値は72%であった。
樹脂基材として、125μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績株式会社製、銘柄Q3215)に変更したことを除いて、実施例1と同様にバリア性シートを作成した。この銘柄はフィルムに表裏があり、それぞれの面で表面粗さが異なるため、DLCを成膜すべき面のSv値をあらかじめ調べた。
この樹脂基材の、DLCを成膜すべき面のSv及びSq測定値(オリンパス製、LEXT OLS4100)は、それぞれ、2.063μm及び0.191μmであった。さらに、この樹脂基材の線膨張率のJIS K−7197 に準拠した測定値は1.5×10-5/Kであった。
比較例1で用いた樹脂基材の表裏を逆にしたことを除いて、比較例1と同様にバリア性シートを作成した。本比較例で成膜した面(比較例1で成膜した面と反対側の面)のSv及びSq測定値(オリンパス製、LEXT OLS4100)は、それぞれ、1.325μm及び0.115μmであった。作成されたバリア性シートのDLC膜層の厚みは70nmであった。
JIS K5600(塗料一般試験方法)7−7:1999促進耐候性(キセノンランプ法)に基づき、実施例1から3および比較例1,2のバリア性シートの耐候性を評価した。具体的には、以下のように行った。
保護シートを、DLC膜が形成されていない面が接着面となるように、エポキシ系接着剤 エスダイン#3450(積水化学工業(株)製)を用いてコンクリート基板に貼り付けた。保護シートに対し、キセノンランプを用い、紫外線を照射した。紫外線を照射し続け、DLC膜が剥離し始める時間を調べた。
150 バリア性保護層
200 バリア性シート
500 建造物
R (樹脂基材の)厚み
C (バリア性保護層の)厚み
Claims (7)
- 表面の最大谷深さSvが2.5μm以上、かつ二乗平均平方根偏差Sqが0.05μm以上0.3μm以下である樹脂基材と、前記表面に積層されたバリア性保護層とを含み、前記バリア性保護層が炭素膜層である、バリア性シート。
- 前記樹脂基材がポリエチレンテレフタレートである、請求項1に記載のバリア性シート。
- 前記樹脂基材の厚みが50μm以上200μm以下である、請求項1または2に記載のバリア性シート。
- 前記樹脂基材の線膨張率が3×10−5/K以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のバリア性シート。
- 前記バリア性保護層の厚みが10nm以上200nmである、請求項1から4のいずれか1項に記載のバリア性シート。
- 表面の最大谷深さSvが2.5μm以上、かつ二乗平均平方根偏差Sqが0.05μm以上0.3μm以下である樹脂基材の前記表面に、誘導結合プラズマを用いた化学気相成長法を用いて炭素膜をバリア性保護層として積層する工程を含む、バリア性シートの製造方法。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のバリア性シートで表面が保護された建造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015145681A JP6557535B2 (ja) | 2015-07-23 | 2015-07-23 | バリア性シートおよび建造物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015145681A JP6557535B2 (ja) | 2015-07-23 | 2015-07-23 | バリア性シートおよび建造物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017024278A JP2017024278A (ja) | 2017-02-02 |
JP6557535B2 true JP6557535B2 (ja) | 2019-08-07 |
Family
ID=57950298
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015145681A Active JP6557535B2 (ja) | 2015-07-23 | 2015-07-23 | バリア性シートおよび建造物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6557535B2 (ja) |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4686159B2 (ja) * | 1999-12-28 | 2011-05-18 | 株式会社東芝 | 真空成膜装置用部品とそれを用いた真空成膜装置およびターゲット装置 |
JP2003011255A (ja) * | 2001-06-28 | 2003-01-15 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 機能性膜とその製造方法 |
US20090324892A1 (en) * | 2006-03-17 | 2009-12-31 | Masataka Hasegawa | Laminate and Method for Depositing Carbon Film |
JP5146170B2 (ja) * | 2008-07-23 | 2013-02-20 | 新日鐵住金株式会社 | 有機樹脂ラミネート鋼板 |
US20140220306A1 (en) * | 2011-09-08 | 2014-08-07 | Mitsubishi Rayon Co., Ltd. | Transparent film having micro-convexoconcave structure on surface thereof, method for producing the same, and base film used in production of transparent film |
JP5989423B2 (ja) * | 2012-06-29 | 2016-09-07 | 東海旅客鉄道株式会社 | コンクリート構造物の保護構造及びコンクリート構造物の保護工法 |
-
2015
- 2015-07-23 JP JP2015145681A patent/JP6557535B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017024278A (ja) | 2017-02-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
DE602004017110D1 (de) | Verfahren zur Herstellung einer mehrlägigen Beschichtung mit hoher Abriebfestigkeit | |
ES2426170T3 (es) | Una estructura estratificada | |
US6627307B1 (en) | Composite material, especially for reflectors | |
JP5989423B2 (ja) | コンクリート構造物の保護構造及びコンクリート構造物の保護工法 | |
JP6557535B2 (ja) | バリア性シートおよび建造物 | |
MY161009A (en) | Coated metal material and process for producing the same | |
EP2896502B1 (en) | Composite sheet and method of manufacturing | |
Ollivier et al. | Adhesion assessment of DLC films on PET using a simple tensile tester: Comparison of different theories | |
WO2021068502A1 (zh) | 多层隔热高耐蚀pvdf覆膜板 | |
AU2014343703A1 (en) | Double sheet aluminum panel and method for manufacture thereof | |
JP7196343B1 (ja) | 皮膜密着用の下地膜を有するガラス基材、及び皮膜を設けたガラス部品 | |
RU92888U1 (ru) | Облицовочная панель (варианты) | |
JP2004042343A (ja) | 化粧シート及び化粧材 | |
US20210277675A1 (en) | Surface Concealment System | |
JPH0254750A (ja) | セラミックス被覆表装材 | |
WIKLUND et al. | Delamination of thin hard coatings induced by combined residual stress and topography | |
JP2009214383A (ja) | 屋根・外装用塗装ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
WO2017021566A1 (es) | Elemento constructivo compuesto y procedimiento para su obtención | |
JPH11117505A (ja) | 無機質化粧板 | |
JP2019209670A (ja) | 重防食被覆鋼材及びその製造方法 | |
FI84812B (fi) | Byggnadsskiva och foerfarande foer dess framstaellning. | |
JP6520321B2 (ja) | コンクリート構造物の防水防食構造およびコンクリート構造物の防水防食工法 | |
JPH09316662A (ja) | 片面仕上げ処理金属板およびその金属板を用いた積層板 | |
JP2004181860A (ja) | 加工部耐食性に優れた塗装鋼板 | |
JP2023160128A (ja) | 樹脂被覆部材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180420 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20181219 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190129 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190322 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190618 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190712 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6557535 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |