JP6557491B2 - ガスタービン及びその運転方法、並びにコンバインドサイクルプラント - Google Patents
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Description
なお、特許文献1の再生ガスタービンでは、起動直後等の予熱器の暖気が十分でない場合において、低温の予熱器を圧縮空気が通過することで圧縮空気温度が却って低下してしまう事態を回避すべく、予熱器をバイパスして圧縮空気を直接燃焼器に導くようになっている。
また、ガスタービンの高出力時、空気又は燃料の予熱を無制限に行うと、燃焼器において逆火が発生し、燃焼が不安定になる可能性がある。
圧縮空気を生成するための圧縮機と、
前記圧縮空気を用いて燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器と、
前記燃焼ガスによって駆動されるように構成されたタービンと、
前記燃焼器の上流側において、前記圧縮空気または前記燃料の少なくとも一方を予熱するための予熱器と、を備えるガスタービンであって、
前記予熱器は、前記ガスタービンの少なくとも一部の出力範囲において、予熱に起因した前記圧縮空気または前記燃料の少なくとも一方の温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう予熱量を制御するように構成される。
この点、上記(1)の構成では、少なくとも一部の出力範囲において、予熱に起因した圧縮空気又は燃料の少なくとも一方の温度上昇量をガスタービン出力の増大とともに減少させるようになっている。このように、ガスタービン出力に応じて予熱量を制御することで、ガスタービン高出力時における車室又はロータの過度な温度上昇や逆火発生を抑制するとともに、ガスタービン低出力時における運転効率の向上を実現することができる。
前記予熱器は、前記少なくとも一部の出力範囲において、予熱に起因した前記圧縮空気の温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう、前記圧縮空気の予熱量を制御するように構成される。
上記(2)の構成では、ガスタービンの出力圧縮空気の予熱量を制御して、少なくとも一部の出力範囲において、予熱に起因した圧縮空気の温度上昇量をガスタービン出力の増大とともに減少させるようになっている。このように、ガスタービン出力に応じて圧縮空気の予熱量を制御することで、ガスタービン高出力時における車室又はロータの過度な温度上昇を抑制しながら、ガスタービン低出力時における大きな運転効率向上効果を享受することができる。
前記予熱器は、前記少なくとも一部の出力範囲において、前記圧縮空気または前記燃料の少なくとも一方の前記予熱器出口における温度が制限温度以下になるよう、前記ガスタービンの出力に応じて前記予熱量を制御するように構成される。
前記予熱器は、前記少なくとも一部の出力範囲において、前記圧縮空気または前記燃料の少なくとも一方の前記予熱器出口における温度が前記制限温度に固定されるよう、前記ガスタービンの出力に応じて前記予熱量を制御するように構成される。
前記予熱器は、少なくとも、前記ガスタービンの最大出力よりも小さい第1出力閾値以上、且つ、該第1出力閾値よりも大きい第2出力閾値以下の予熱制限出力範囲において、前記温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう前記予熱量を制御するように構成される。
前記予熱器は、少なくとも、前記ガスタービンの最大出力よりも小さい第1出力閾値と前記ガスタービンの定格出力との間の予熱制限出力範囲において、前記温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう前記予熱量を制御するように構成される。
前記予熱器は、少なくとも前記予熱制限出力範囲における出力上限値において前記予熱量をゼロとするように構成される。
前記予熱器は、前記予熱制限出力範囲内において、前記温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに絶えず減少するよう前記予熱量を制御するように構成される。
前記予熱器は、前記ガスタービンからの排ガスとの熱交換によって、前記圧縮空気または前記燃料の少なくとも一方を予熱するように構成される。
(10)他の幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の構成において、
前記予熱器は、前記ガスタービンおよび前記ガスタービンの排ガスの熱を用いて高温の蒸気または水の少なくとも一方を生成する排熱回収ボイラを備えたガスタービンプラントの排熱回収ボイラにおいて生成された蒸気との熱交換によって、前記圧縮空気または前記燃料の少なくとも一方を予熱するように構成される。
(11)さらに他の幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の構成において、
前記予熱器は、前記ガスタービンおよび蒸気タービンを備えたコンバインドサイクルプラントの排熱回収ボイラにおいて生成された蒸気との熱交換によって、前記圧縮空気または前記燃料の少なくとも一方を予熱するように構成される。
また、上記(10)又は(11)の構成によれば、予熱器における熱媒体として、圧力および熱伝導率に優れた蒸気を使用することで、予熱器(熱交換器)を小型化することができる。
上記(1)乃至(11)の何れかに記載のガスタービンを備える。
これにより、ガスタービン高出力時における車室又はロータの過度な温度上昇や逆火発生を抑制するとともに、ガスタービン低出力時におけるガスタービンの運転効率の向上を実現することができるので、不具合が少なく、効率的なコンバインドサイクルプラントを提供できる。
圧縮空気を生成するための圧縮機と、
前記圧縮空気を用いて燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器と、
前記燃焼ガスによって駆動されるように構成されたタービンと、を備えるガスタービンの運転方法であって、
前記燃焼器の上流側において、前記圧縮空気または前記燃料の少なくとも一方を予熱するための予熱ステップを備え、
前記予熱ステップでは、前記ガスタービンの少なくとも一部の出力範囲において、予熱に起因した前記圧縮空気または前記燃料の少なくとも一方の温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう予熱量を制御する。
幾つかの実施形態に係るガスタービン1は、圧縮空気を生成するための圧縮機2と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスを発生させるための燃焼器3と、燃焼ガスによって回転駆動されるように構成されたタービン4と、を備える。圧縮機2の圧縮機ロータとタービン4のタービンロータとは、同一の軸線を中心として回転するように構成されている。すなわち、圧縮機ロータとタービンロータとが互いに連結されて、タービンロータ(以下、ロータと称する)5を成している。図示されるガスタービン1は発電用に用いられる構成を例示しており、この場合、ロータ5に発電機6のロータが接続され、タービン4の回転エネルギーによって発電機6が駆動されて発電を行うようになっている。
図13に示すように、燃焼器3は、ケーシング31により画定される車室32に設けられた燃焼器ライナ33と、燃焼器ライナ33内にそれぞれ配置されたパイロット燃焼バーナ34及び複数のメイン燃焼バーナ(予混合燃焼バーナ)35と、を含む。なお、燃焼器3は、燃焼ガスをバイパスさせるためのバイパス管(不図示)等の他の構成要素を備えていてもよい。
上記構成を有する燃焼器3においては、図1、図9乃至図12に示すように、圧縮機2で生成された圧縮空気が、第1予熱器8によって予熱された後、図13に示すように車室入口32aから車室32内に供給される。この車室32内に供給された圧縮空気は、車室32からメインバーナ筒36内に流入し、燃料ポート37から供給された燃料と予混合された後、燃焼器ライナ33に流れ込む。また、圧縮空気と、燃料ポート38を介してパイロット燃焼バーナ34から噴射された燃料とが燃焼器ライナ33で混合され、図示しない種火により着火されて燃焼し、燃焼ガスが発生する。なお、燃料ポート37,38から供給される燃料は、図1、図9乃至図12に示すように、第2予熱器9によって予熱されている。
同様に、第2予熱器9は、ガスタービン1の少なくとも一部の出力範囲において、予熱に起因した燃料の温度上昇量がガスタービン1の出力増大とともに減少するよう予熱量を制御するように構成される。
具体的には、ガスタービン1の出力に関連する量に基づいて、第1予熱器8における圧縮空気の温度上昇量または第2予熱器9における燃料の温度上昇量の少なくとも一方が制御される。ここで、ガスタービン1の出力に関連する量とは、例えば、ガスタービン1の出力自体でもよいし、他の指標として、圧縮機2出口(第2予熱器9入口)における圧縮空気A1の温度又は圧力、あるいは、タービン4の入口温度であってもよい。
図2Aは、ガスタービン1が第1予熱器8を備える場合に適用される。
同図に示すように、一実施形態では、ガスタービン1の出力が第1出力閾値と第2出力閾値との間であるとき、第1予熱器8における圧縮空気の予熱量は、ガスタービン1の出力が増大するにつれて減少するように制御される。なお、第2出力閾値は、第1出力閾値よりも大きい。
すなわち、ガスタービン1の出力が第1出力閾値未満のとき、圧縮空気A1に対する予熱量は一定であり、予熱後の圧縮空気A2の温度は、予熱前の圧縮空気A1の温度と同じ傾きで上昇する。ガスタービン1の出力が第1出力閾値以上且つ第2出力閾値以下のとき、ガスタービン1の出力が増大するにつれて予熱前の圧縮空気A1の温度も上昇するが、圧縮空気A1に対する予熱量はガスタービン1の出力増大とともに減少するため、予熱後の圧縮空気A2の温度上昇(出力に対応した温度変化)の傾きは、予熱前の圧縮空気A1の温度上昇の傾きよりも小さくなる。例えば、図示されるように予熱後の圧縮空気A2の温度上昇の傾きは0であり、第1出力閾値と第2出力閾値の間において予熱後の圧縮空気A2の温度は概ね一定である。
そこで、ガスタービン1の出力圧縮空気の予熱量を制御して、少なくとも一部の出力範囲(第1出力閾値以上且つ第2出力閾値以下の範囲)において、予熱に起因した圧縮空気の温度上昇量をガスタービン1の出力の増大とともに減少させる。このように、ガスタービン1の出力に応じて圧縮空気の予熱量を制御することで、ガスタービン1の高出力時における車室32又はロータ5の過度な温度上昇を抑制しながら、ガスタービン1の低出力時における大きな運転効率向上効果を享受することができる。
同図に示すように、一実施形態では、ガスタービン1の出力が第1出力閾値と第2出力閾値との間であるとき、第2予熱器9における燃料の予熱量は、ガスタービン1の出力が増大するにつれて減少するように制御される。なお、第2出力閾値は、第1出力閾値よりも大きい。
すなわち、ガスタービン1の出力が第1出力閾値未満のとき、燃料F1に対する予熱量は一定であり、予熱後の燃料F2の温度は、予熱前の燃料F1の温度と同じ傾きで上昇する。ガスタービン1の出力が第1出力閾値以上且つ第2出力閾値以下のとき、ガスタービン1の出力が増大するにつれて予熱前の燃料F1の温度も上昇するが、燃料F1に対する予熱量はガスタービン1の出力増大とともに減少するため、予熱後の燃料F2の温度上昇温度上昇(出力に対応した温度変化)の傾きは、予熱前の燃料F1の温度上昇の傾きよりも小さくなる。例えば、図示されるように予熱後の燃料F2の温度上昇の傾きは0であり、第1出力閾値と第2出力閾値の間において予熱後の燃料F2の温度は一定である。
なお、ガスタービン1が第1予熱器8及び第2予熱器9の両方を備える場合、第1予熱器8における第1出力閾値及び第2出力閾値と、第2予熱器9における第1出力閾値及び第2出力閾値とは、同一であってもよいし、相違していてもよい。
図3Aは、ガスタービン1が第1予熱器8を備える場合に適用され、図3Bは、ガスタービン1が第2予熱器9を備える場合に適用される。
図3A又は図3Bに示すように、一実施形態の変形例においては、ガスタービン1の出力が第1出力閾値以上且つ第2出力閾値以下のとき、または、ガスタービン1の出力が第2出力閾値超過のときの少なくとも一方において、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度が上昇傾向となるように第1予熱器8または第2予熱器9が制御される。
すなわち、ガスタービン1の出力が第1出力閾値未満のとき、圧縮空気A1または燃料F1に対する予熱量は一定であり、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度は、予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度と同じ傾きで上昇する。ガスタービン1の出力が第1出力閾値以上且つ第2出力閾値以下のとき、圧縮空気A1または燃料F1に対する予熱量はガスタービン1の出力増大とともに減少するため、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度上昇の傾きは、予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度上昇の傾きよりも小さくなる。例えば、図示されるように予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度上昇の傾きは0より大きく、第1出力閾値と第2出力閾値の間において予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度は出力が増加するにつれて上昇傾向となる。さらに、ガスタービン1の出力が第2出力閾値超過のとき、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の出力に対応した温度上昇の傾きは、予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度上昇の傾きよりも小さく、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度は出力が増加するにつれて上昇傾向となる。ガスタービン1の出力が第1出力閾値以上且つ第2出力閾値以下のときと、第2出力閾値超過のときとは、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度上昇の傾きは同一であってもよいし、相違していてもよい。
図4Aは、ガスタービン1が第1予熱器8を備える場合に適用される。
同図に示すように、他の実施形態では、第1予熱器8は、ガスタービン1の少なくとも一部の出力範囲において、第1予熱器8の出口における圧縮空気A2の温度が制限温度以下になるよう、ガスタービン1の出力に応じて予熱量を制御するように構成される。この場合、第1予熱器8は、ガスタービン1の少なくとも一部の出力範囲において、第1予熱器8の出口における圧縮空気A2の温度が制限温度に固定されるよう、ガスタービン1の出力に応じて予熱量を制御するように構成されてもよい。
すなわち、ガスタービン1の出力増加に伴って第1予熱器8に供給される圧縮空気A1の温度は上昇し、圧縮空気A1の温度が制限温度未満のとき、圧縮空気A1は第1予熱器8において一定の予熱量で予熱されるため、予熱後の圧縮空気A2の温度は、予熱前の圧縮空気A1の温度と同じ傾きで上昇する。圧縮空気A1の温度が制限温度以上になったとき、第1予熱器8における予熱量を減少させることによって、予熱前の圧縮空気A1の温度上昇に関わらず、予熱後の圧縮空気A2の温度は概ね一定となる。
同図に示すように、他の実施形態では、第2予熱器9は、ガスタービン1の少なくとも一部の出力範囲において、第2予熱器9の出口における燃料F2の温度が制限温度以下になるよう、ガスタービン1の出力に応じて予熱量を制御するように構成される。
すなわち、ガスタービン1の出力増加に伴って第2予熱器9に供給される燃料F1の温度は上昇し、燃料F1の温度が制限温度未満のとき、燃料F1は第2予熱器9において一定の予熱量で予熱されるため、予熱後の燃料F2の温度は、予熱前の燃料F1の温度と同じ傾きで上昇する。燃料F1の温度が制限温度以上になったとき、第2予熱器9における予熱量を減少させることによって、予熱前の燃料F1の温度上昇に関わらず、予熱後の燃料F2の温度は概ね一定となる。
図5Aは、ガスタービン1が第1予熱器8を備える場合に適用され、図5Bは、ガスタービン1が第2予熱器9を備える場合に適用される。
図5A又は図5Bに示すように、さらに他の実施形態では、第1予熱器8または第2予熱器9は、少なくとも、ガスタービン1の最大出力よりも小さい第1出力閾値以上、且つ、該第1出力閾値よりも大きい第2出力閾値以下の予熱制限出力範囲において、温度上昇量がガスタービン1の出力増大とともに減少するよう予熱量を制御するように構成される。
すなわち、ガスタービン1の出力増加に伴って第1予熱器8または第2予熱器9に供給される圧縮空気A1または燃料F1の温度は上昇し、圧縮空気A1の温度または燃料F1が制限温度未満のとき、圧縮空気A1または燃料F1は、第1予熱器8または第2予熱器9において一定の予熱量で予熱されるため、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度は、予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度と同じ傾きで上昇する。ガスタービン1の出力が第1出力閾値以上且つ第2出力閾値以下の予熱制限出力範囲のとき、ガスタービン1の出力が増大するにつれて予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度も上昇するが、圧縮空気A1または燃料F1に対する予熱量はガスタービン1の出力増大とともに減少するため、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度上昇の傾きは、予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度上昇の傾きよりも小さくなる。例えば、図示されるように予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度上昇の傾きは0であり、第1出力閾値と第2出力閾値の間において予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度は概ね一定である。
これにより、車室32又はロータ5の過度な温度上昇や逆火発生のリスクが予熱制限出力範囲内で最も大きい予熱制限出力範囲の出力上限値にて予熱量をゼロ(予熱なし)にすることで、車室32又はロータ5の過度な温度上昇や逆火発生を効果的に抑制できる。
このように、予熱制限出力範囲内において圧縮空気又は燃料の少なくとも一方の温度上昇量をガスタービン1の出力の増大とともに絶えず減少させることで、車室32又はロータ5の過度な温度上昇や逆火発生の抑制と運転効率の向上との両立を効果的に実現できる。
これらの図に示すように、さらに他の実施形態においては、第1予熱器8または第2予熱器9は、少なくとも、ガスタービン1の最大出力よりも小さい第1出力閾値とガスタービン1の定格出力との間の予熱制限出力範囲において、温度上昇量がガスタービンの出力増大とともに減少するよう予熱量を制御するように構成される。
これらの図に示す例では、ガスタービン1の出力が第1閾値未満のとき、圧縮空気A1または燃料F1に対する予熱量は一定であり、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度は、予熱前の圧縮空気A1または燃料F2の温度と同じ傾きで、出力の増大に伴って上昇する。
ガスタービン1の出力が第1出力閾値以上且つ定格出力以下の予熱制限出力範囲のとき、ガスタービン1の出力が増大するにつれて予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度も上昇するが、圧縮空気A1または燃料F1に対する予熱量はガスタービン1の出力増大とともに減少するため、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度上昇の傾きは、予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度上昇の傾きよりも小さくなる。例えば、図示されるように、第1出力閾値と定格出力との間において予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度上昇の傾きは大部分の出力範囲において0であり、このときの予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度は概ね一定である。
さらに、ガスタービン1の出力が定格出力以上のとき、第1予熱器8または第2予熱器9における予熱量は0であり、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度は予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度上昇と一致する。
これらの図に示すように、さらに他の実施形態においては、第1予熱器8または第2予熱器9は、定格出力以下の通常の運転範囲内において、制限温度以下となるように制御されてもよい。なお、通常の運転範囲とは、ガスタービン1の設計寿命(例えば運転時間や起動回数)の運転が可能な運転範囲をいう。
圧縮空気A1の温度が制限温度以上になったとき、ガスタービン1の出力が定格出力以下の通常の運転範囲においては、第1予熱器8における予熱量を減少させることによって、予熱前の圧縮空気A1の温度上昇に関わらず、予熱後の圧縮空気A2の温度は概ね一定となる。
ガスタービン1の出力が定格出力以上のとき、すなわち、通常の運転範囲以外のとき、図7A又は図7Bに示す例では、第1予熱器8または第2予熱器9における予熱量は0であり、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の温度は予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の温度上昇と一致する。一方、図8A又は図8Bに示す例では、第1予熱器8または第2予熱器9における予熱量は0以上であり、予熱後の圧縮空気A2または燃料F2の出力に対応した温度上昇は、予熱前の圧縮空気A1または燃料F1の出力に対応した温度上昇よりも大きくなる。
一実施形態において、ガスタービンプラント(コンバインドサイクルプラント)60は、ガスタービン(ガスタービンシステム)1及び蒸気タービンシステム40を備えている。
ガスタービン1は、図1に示したように、圧縮機2と、燃焼器3と、第1予熱器8及び第2予熱器9と、タービン4と、発電機6と、を含んでいる。
蒸気タービンシステム40は、ガスタービン1から排気された排ガスEGの熱で蒸気を発生させる排熱回収ボイラ41と、排熱回収ボイラ41で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン42a,42b,42cと、蒸気タービン42a,42b,42cにより駆動されて発電を行う発電機43と、蒸気タービン42aを駆動させた蒸気を水に戻す復水器44と、復水器44中の水を排熱回収ボイラ41に戻す給水ポンプ45と、排熱回収ボイラ41を通過した排ガスEGを大気に放出する煙突46と、を備えている。
また、排熱回収ボイラ41は、低圧蒸気を発生する低圧蒸気発生部41aと、中圧蒸気を発生する中圧蒸気発生部41bと、高圧蒸気を発生する高圧蒸気発生部41cと、を含む。
なお、図示される例では、各々の蒸気タービン42a,42b,42cに発電機43が設けられた構成を示しているが、低圧蒸気タービン42a、中圧蒸気タービン42b、高圧蒸気タービン42cの合計3基の蒸気タービンに対して1基の発電機43を設けた構成としてもよい。
排熱回収ボイラ41では、低圧蒸気発生部41aにおいて、復水器44からの水と排ガスとを熱交換することによって低圧蒸気を生成する。ここで生成された低圧蒸気は、低圧蒸気タービン42aに供給されて該低圧蒸気タービン42aを駆動する。低圧蒸気タービン42aから排出された蒸気は、復水器44で水に戻される。
低圧蒸気発生部41aで加熱された水の一部は中圧蒸気発生部41bに送られ、他の一部は高圧蒸気発生部41cに送られる。
中圧蒸気発生部41bは、低圧蒸気発生部41aで加熱された水を排ガスEGと熱交換させて加熱し、中圧蒸気を生成する。この中圧蒸気は、高圧蒸気タービン42cから排出された蒸気と合流し、再熱器47で再加熱される。
中圧蒸気タービン42bから排出された蒸気は、低圧蒸気タービン42aに供給される。
また、第1予熱器8または第2予熱器9における熱媒体として、圧力および熱伝導率に優れた蒸気(例えば排熱回収ボイラ41の蒸気)を使用することで、第1予熱器8または第2予熱器9を小型化することができる。
同図に示すように他の実施形態では、第1予熱器8または第2予熱器9の少なくとも一方は、ガスタービン1からの排ガスEGとの熱交換によって、圧縮空気A1または燃料F1の少なくとも一方を予熱するように構成される。
具体的には、ガスタービン1は、タービン4から排出された排ガスEGの少なくとも一部を第1予熱器8に導く排ガスライン10と、タービン4から排出された排ガスの少なくとも一部を第2予熱器9に導く排ガスライン11と、を備えている。そして、これらの排ガスライン10,11を介して第1予熱器8または第2予熱器9に供給される排ガス量を調節することによって、圧縮空気A1または燃料F1の予熱量を制御するようになっている。
なお、図示される例では、第1予熱器8及び第2予熱器の両方が、ガスタービン1からの排ガスとの熱交換によって予熱を行うように構成されている。但し、他の構成例では、第1予熱器8または第2予熱器9の一方のみが、ガスタービン1からの排ガスEGとの熱交換によって予熱を行うように構成されてもよい。
この構成によれば、ガスタービン1からの排ガスEGを有効活用してガスタービンプラントの効率を高めることができる。
同図に示すように他の実施形態では、第1予熱器8または第2予熱器9の少なくとも一方における予熱の熱源が太陽熱である。図示される例では、ガスタービン1は、第1予熱器8に太陽熱を供給するための反射鏡12と、第2予熱器9に太陽熱を供給するための反射鏡13と、を備えている。
上記構成によれば、自然エネルギーを有効利用することによって、ガスタービン1の効率を向上させることができる。
同図に示すように他の実施形態では、第1予熱器8または第2予熱器9の少なくとも一方における予熱の熱源が、廃棄物焼却によって生じた排熱である。図示される例では、廃棄物焼却炉14(二点鎖線)において廃棄物が焼却処理され、第1予熱器8または第2予熱器9の少なくとも一方では、廃棄物焼却炉14での焼却により発生した排熱によって、圧縮空気または燃料が予熱される。例えば、第1予熱器8または第2予熱器9は廃棄物焼却炉14の炉壁に設けられ、圧縮空気または燃料と排熱とが熱交換する構成としてもよい。あるいは、第1予熱器8または第2予熱器9は廃棄物焼却炉14とは別に設けられ、廃棄物焼却炉14からの排ガス、または該排ガスによって生成された蒸気が第1予熱器8または第2予熱器9に導かれる構成としてもよい。なお、廃棄物焼却炉14から排出された排ガスは、排気浄化装置15にて排ガス処理を施された後、煙突から大気放出される。
これらの図において、第1予熱器8または第2予熱器9は、胴体内に複数の伝熱管を備える構成を有しており、伝熱管の内部に圧縮空気または燃料が流通するとともに、胴体の内部(伝熱管の外部)を熱源である高温の流体(以下、高温流体と称する)が流入することで熱交換が行われるようになっている。
この構成においては、ガスタービン1の出力に応じて、第1バルブ71の開度を制御することで第1予熱器8または第2予熱器9に供給される高温流体の流量を調整し、圧縮空気または燃料の予熱量を制御するようになっている。
これらの構成によれば、第1予熱器8または第2予熱器9における予熱量制御機構の簡素化が図れる。
この構成においては、ガスタービン1の出力に応じて、第1バルブ71の開度を制御することで第1予熱器8または第2予熱器9に供給される高温流体の流量を調整し、圧縮空気または燃料の予熱量を制御するとともに、第2バルブ73の開度を制御してバイパスライン72を流れる高温流体の流量を調整する。このように、バイパスライン72によって、一部の高温流体が第1予熱器8または第2予熱器9を通らずに下流側へバイパスされることによって、熱源ライン70を流れる高温流体の流量を一定の範囲内に維持することができる。なお、図14Bにおいて、バイパスライン72以外の構成については、図14Aと同一の構成であってもよい。
この構成においては、ガスタービン1の出力に応じて第3バルブ77の開度を制御することで、バイパスライン76を介して第1予熱器8または第2予熱器9をバイパスする圧縮空気または燃料の流量が調整される。そのため、第1予熱器8または第2予熱器9に流入する圧縮空気または燃料の流量が調整され、圧縮空気または燃料の予熱量が制御される。この場合、必要に応じて、圧縮空気または燃料の全量をバイパスして、熱交換量をゼロとしてもよい。
このようにすることで、予熱に起因する圧縮空気または前記燃料の温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう予熱量を制御することが可能となる。
この構成においては、ガスタービン1の出力に応じて第4バルブ83を開度制御することによって中間熱輸送媒体の循環量が調整され、第1予熱器8または第2予熱器9における圧縮空気または燃料の予熱量が制御される。なお、第1予熱器8または第2予熱器9における予熱が不要な場合には、第4バルブ83を閉にし、且つ、ポンプ82を停止して、中間熱輸送媒体の循環量をゼロとしてもよい。
このようにすることで、予熱に起因する圧縮空気または前記燃料の温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう予熱量を制御することが可能となる。
なお、図示される例では、高温流体の流路を切り替える構成としたが、他の構成例として、圧縮空気または燃料の流路を切り替えるようにしてもよい。また、第1ユニット8Aまたは9Bの出口側(圧縮空気または燃料の出口側)に位置する予熱器出口温度計97b、若しくは、第1ユニット8Aまたは9Bの入口側(圧縮空気または燃料の入口側)に位置する予熱器入口温度計97aの少なくとも一方を設けてもよい。この場合、例えば、図14A、図14C又は図14Dにおいて説明したように、各バルブ92A〜92Dの制御に際して、予熱器出口温度計97b又は予熱器入口温度計97aで計測される温度が用いられる。
また、第1予熱器8または第2予熱器9は、熱源である高温流体が流れる熱源ライン95を有しており、この熱源ライン95は、ユニット8Aまたは9Aに高温流体を供給する第1熱源ライン95Aと、ユニット8Bまたは9Bに高温流体を供給する第2熱源ライン95Bと、から構成される。第1熱源ライン95A及び第2熱源ライン95Bには、それぞれ、バルブ96A,96Bが設けられている。
一実施形態において、ガスタービン1の運転方法は、燃焼器3の上流側において、圧縮空気または燃料の少なくとも一方を予熱するための予熱ステップを備えている。
予熱ステップでは、予熱ステップでは、ガスタービン1の少なくとも一部の出力範囲において、予熱に起因した圧縮空気または燃料の少なくとも一方の温度上昇量がガスタービン1の出力増大とともに減少するよう予熱量を制御する。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
2 圧縮機
3 燃焼器
4 タービン
5 ロータ
6 発電機
7 予熱装置
8 第1予熱器
9 第2予熱器
41 排熱回収ボイラ
41a 低圧蒸気発生部
41b 中圧蒸気発生部
41c 高圧蒸気発生部
42a 低圧蒸気タービン
42b 中圧蒸気タービン
42c 高圧蒸気タービン
43 発電機
44 復水器
45 給水ポンプ
47 再熱器
50 予熱蒸気ライン
50a 第1分岐供給ライン
50b 第2分岐供給ライン
51 予熱蒸気回収ライン
51a 第1分岐回収ライン
51b 第2分岐回収ライン
52 第2予熱蒸気ライン
60 ガスタービンプラント
97a 予熱器入口温度計
97b 予熱器出口温度計
Claims (14)
- 圧縮空気を生成するための圧縮機と、
前記圧縮空気を用いて燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器と、
前記燃焼ガスによって駆動されるように構成されたタービンと、
前記燃焼器の上流側において、少なくとも前記圧縮空気を予熱するための予熱器と、を備えるガスタービンであって、
前記予熱器は、前記ガスタービンの少なくとも一部の出力範囲において、予熱に起因した前記圧縮空気の温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう予熱量を制御するように構成されたことを特徴とするガスタービン。 - 前記予熱器は、前記少なくとも一部の出力範囲において、前記圧縮空気の前記予熱器出口における温度が制限温度以下になるよう、前記ガスタービンの出力に応じて前記予熱量を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、前記少なくとも一部の出力範囲において、前記圧縮空気の前記予熱器出口における温度が前記制限温度に固定されるよう、前記ガスタービンの出力に応じて前記予熱量を制御するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、少なくとも、前記ガスタービンの最大出力よりも小さい第1出力閾値以上、且つ、該第1出力閾値よりも大きい第2出力閾値以下の予熱制限出力範囲において、前記温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう前記予熱量を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、少なくとも、前記ガスタービンの最大出力よりも小さい第1出力閾値と前記ガスタービンの定格出力との間の予熱制限出力範囲において、前記温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう前記予熱量を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、少なくとも前記予熱制限出力範囲における出力上限値において前記予熱量をゼロとするように構成されたことを特徴とする請求項4又は5に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、前記予熱制限出力範囲内において、前記温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに絶えず減少するよう前記予熱量を制御するように構成されたことを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、前記ガスタービンの定格出力よりも大きい出力範囲において、前記余熱量をゼロとするように構成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、前記ガスタービンの定格出力では前記余熱量をゼロとし、前記定格出力よりも大きい出力範囲では前記余熱量をセロよりも大きくするように構成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、前記ガスタービンからの排ガスとの熱交換によって、前記圧縮空気を予熱するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、前記ガスタービンおよび前記ガスタービンの排ガスの熱を用いて高温の蒸気または水の少なくとも一方を生成する排熱回収ボイラを備えたガスタービンプラントの排熱回収ボイラにおいて生成された蒸気との熱交換によって、前記圧縮空気を予熱するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のガスタービン。
- 前記予熱器は、前記ガスタービンおよび蒸気タービンを備えたコンバインドサイクルプラントの排熱回収ボイラにおいて生成された蒸気との熱交換によって、前記圧縮空気を予熱するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のガスタービン。
- 請求項1乃至12何れか一項に記載のガスタービンを備えることを特徴とするコンバインドサイクルプラント。
- 圧縮空気を生成するための圧縮機と、
前記圧縮空気を用いて燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器と、
前記燃焼ガスによって駆動されるように構成されたタービンと、を備えるガスタービンの運転方法であって、
前記燃焼器の上流側において、少なくとも前記圧縮空気を予熱するための予熱ステップを備え、
前記予熱ステップでは、前記ガスタービンの少なくとも一部の出力範囲において、予熱に起因した前記圧縮空気の温度上昇量が前記ガスタービンの出力増大とともに減少するよう予熱量を制御することを特徴とするガスタービンの運転方法。
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