以下、実施形態に係る連節バスについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明では、車両前後方向における前及び後を単に前及び後ともいい、車両上下方向における上及び下を単に上及び下ともいう。
[連節バスの基本構造]
図1は、連節バスの概略側面図である。図1に示すように、本実施形態の連節バス1は、前部車両2と、後部車両3と、連節部4と、を備える。
前部車両2は、連節バス1の車両前後方向前側に配置される。前部車両2は、連節バス1を駆動するエンジンが搭載されない従動車両である。前部車両2は、前部シャシフレーム21と、前部シャシフレーム21に接続された前部ボディ22と、を備える。
前部シャシフレーム21は、複数の骨格部材により構成される。前部シャシフレーム21には、前部車両2の床板21aが取り付けられる。前部シャシフレーム21は、少なくとも、車両幅方向に並設されて車両前後方向に延びる一対のレール部51と、車両前後方向後端部において車両幅方向に延びるバルクヘッド52(図2及び図4参照)と、を備える。なお、前部シャシフレーム21の詳細については、後述する。
レール部51には、前部車両2の車両前後方向前側に位置する第一車輪23aと、前部車両2の車両前後方向後側に位置する第二車輪23bと、が取り付けられる。第一車輪23aは、操舵機構に連結された操舵輪である。第一車輪23a及び第二車輪23bは、回転駆動されない従動輪である。
図2は、前部車両のボディを後方から見た斜視図である。図2に示すように、前部ボディ22は、複数の骨格部材により5面体が構成されるスケルトン構造(骨格構造)である。詳しく説明すると、前部ボディ22は、車両側面側に位置する一対の側構造部24と、車両天面側に位置する屋根構造部25と、車両後面側に位置する後構造部26と、車両前面側に位置する前構造部(不図示)と、を備える。つまり、前部ボディ22は、一対の側構造部24、屋根構造部25、後構造部26、及び前構造部により5面体を構成する。そして、一対の側構造部24、後構造部26、及び前構造部の下端部に、前部シャシフレーム21が溶接等により接続される。
後構造部26は、馬蹄型(門型)に形成されて、後部車両3との間で乗員が行き来するための開口27を形成する。後構造部26は、後構造部26の外形を成してバルクヘッド52に接続される馬蹄型の外骨部26aと、外骨部26aよりも車両内外方向内側に配置されてバルクヘッド52に接続される馬蹄型の内骨部26bと、外骨部26aと内骨部26bとに接続される複数の接続骨部26cと、外骨部26a及び内骨部26bの筋交(ブレース)として機能する複数の筋交骨部26dと、前部ボディ22の下部において内骨部26bから車両内外方向内側に延びてバルクヘッド52に接続される左右一対の補助骨部26eと、内骨部26bと補助骨部26eとに接続される複数の補助接続骨部26fと、を備える。
図1に示すように、後部車両3は、連節バス1の車両前後方向後側に配置される。後部車両3は、連節バス1を駆動するエンジンE/Gが車両前後方向後端部に搭載された駆動車両である。後部車両3は、後部シャシフレーム31と、後部シャシフレーム31に接続された後部ボディ32と、を備える。
後部シャシフレーム31は、複数の骨格部材により構成される。後部シャシフレーム31には、後部車両3の床板31aが取り付けられる。後部シャシフレーム31は、少なくとも、車両幅方向に並設されて車両前後方向に延びる一対のレール部61と、車両前後方向前端部において車両幅方向に延びるバルクヘッド62(図3及び図4参照)と、を備える。なお、後部シャシフレーム31の詳細については、後述する。
一対のレール部61には、後部車両3の車両前後方向中央部に位置する第三車輪33が取り付けられる。第三車輪33は、エンジンE/Gの回転により回転駆動されて、連節バス1を駆動させる駆動輪である。
図3は、後部車両のボディを前方から見た斜視図である。図3に示すように、後部ボディ32は、複数の骨格部材により5面体が構成されるスケルトン構造(骨格構造)である。詳しく説明すると、後部ボディ32は、車両側面側に位置する一対の側構造部34と、車両天面側に位置する屋根構造部35と、車両前面側に位置する前構造部36と、車両後面側に位置する後構造部(不図示)と、を備える。つまり、後部ボディ32は、一対の側構造部34、屋根構造部35、前構造部36、及び後構造部により5面体を構成する。そして、一対の側構造部34、前構造部36、及び後構造部の下端部に、後部シャシフレーム31が溶接等により接続される。
前構造部36は、馬蹄型(門型)に形成されて、前部車両2との間で乗員が行き来するための開口37を形成する。前構造部36は、前構造部36の外形を成してバルクヘッド62に接続される馬蹄型の外骨部36aと、外骨部36aよりも車両内外方向内側に配置されてバルクヘッド62に接続される馬蹄型の内骨部36bと、外骨部36aと内骨部36bとに接続される複数の接続骨部36cと、外骨部36a及び内骨部36bの筋交(ブレース)として機能する複数の筋交骨部36dと、後部ボディ32の下部において内骨部36bから車両内外方向内側に延びてバルクヘッド62に接続される左右一対の補助骨部36eと、内骨部36bと補助骨部36eとに接続される複数の補助接続骨部36fと、を備える。
図1に示すように、連節部4は、前部車両2と後部車両3との間において前部シャシフレーム21と後部シャシフレーム31とを揺動可能に連節する。連節部4は、連節機構41と、通路部42と、幌43と、を備える。
図4は、連節機構を示す平面図である。連節機構41は、前部シャシフレーム21のバルクヘッド52に接続される前部シャシフレーム側接続部41aと、後部シャシフレーム31のバルクヘッド62に接続される後部シャシフレーム側接続部41bと、を備える。前部シャシフレーム側接続部41aと後部シャシフレーム側接続部41bとは、前部車両2と後部車両3との間において、車両上下方向に延びる軸線を揺動中心として揺動可能に接続される。なお、連節機構41は、トレーラー(牽引車)のように前部シャシフレーム21と後部シャシフレーム31とを容易に着脱可能に接続するのではなく、ボルトの締結により前部シャシフレーム21と後部シャシフレーム31とを着脱不能に接続する。但し、メンテナンスを行う場合等の特段の事情があるときは、ボルトを外すことにより前部シャシフレーム21と後部シャシフレーム31とを分離することが可能となる。
通路部42は、前部車両2の床板21aと後部車両3の床板31aとに架け渡されて、連節機構41に載置される。幌43は、前部車両2及び後部車両3に取り付けられており、連節機構41及び通路部42を覆うとともに、前部車両2の後構造部26の開口27と後部車両3の前構造部36の開口37とに連通される通路空間を形成する。
[前部シャシフレーム]
次に、前部シャシフレーム21について詳しく説明する。
図5は、前部シャシフレームの斜視図である。図6は、前部シャシフレームの平面図である。図7は、ガセットを取り外した前部シャシフレームの平面図である。図8の(a)は、図7に示すVIII(a)−VIII(a)線における断面図、図8の(b)は、図7に示すVIII(b)−VIII(b)線における断面図である。図5〜図8に示すように、前部シャシフレーム21は、一対のレール部51と、バルクヘッド52と、クロスメンバ53と、複数の縦延部54と、一対のレール補強部55と、ガセット56と、を備える。なお、前部シャシフレーム21は、これら以外の部材も備える。
一対のレール部51は、車幅方向に並設されて、車両前後方向に直線状に延びる。レール部51は、断面C字状に形成される。なお、レール部51の形状は、チャンネル状とも呼ばれる。具体的に説明すると、レール部51は、車両上下方向に延びるレール側板部51aと、レール側板部51aの上端縁から車幅方向内側に延びるレール上板部51bと、レール側板部51aの下端縁から車幅方向内側に延びるレール下板部51cと、を備える。
バルクヘッド52は、車両前後方向後端部において車両幅方向に直線状に延び、連節部4に接続される。バルクヘッド52は、直線状に延びる角筒状部材(角パイプ)である。連節部4に対するバルクヘッド52の接続は、例えば、全周溶接又は/及びボルト締めにより行うことができる。
クロスメンバ53は、バルクヘッド52の車両前後方向前方において車幅方向に直線状に延びる。また、クロスメンバ53は、一対のレール部51の車両前後方向後端、すなわち、一対のレール部51の連節部4側の先端に接続される。クロスメンバ53は、直線状に延びる角筒状部材(角パイプ)である。レール部51に対するクロスメンバ53の接続は、溶接により行うことができる。なお、バルクヘッド52及びクロスメンバ53の車幅方向における長さは略同じである。そして、正面視において、バルクヘッド52及びクロスメンバ53は、一対のレール部51から車幅方向外側に突出する。
縦延部54は、バルクヘッド52とクロスメンバ53との間に配置される。縦延部54は、直線状に延びる角筒状部材(角パイプ)である。そして、縦延部54の後端が、バルクヘッド52に接続され、縦延部54の前端が、クロスメンバ53に接続される。バルクヘッド52及びクロスメンバ53に対する縦延部54の接続は、全周溶接又は/及びボルト締めにより行うことができる。縦延部54は、互いに異なる方向に延びる第一縦延部54a及び第二縦延部54bと、互いに異なる方向に延びる第三縦延部54c及び第四縦延部54dと、を備える。縦延部54は、車幅方向両側のそれぞれに、第一縦延部54a、第二縦延部54b、第三縦延部54c及び第四縦延部54dを備える。なお、第一縦延部54a、第二縦延部54b、第三縦延部54c及び第四縦延部54dを区別して説明する他は、これらを纏めて縦延部54として説明する。
第一縦延部54aは、レール部51の延在方向に対して傾斜する方向に直線状に延びる。具体的に説明すると、第一縦延部54aは、レール部51の延在方向に対して、クロスメンバ53からバルクヘッド52に向けて車幅方向外側に傾斜する方向に延びる。そして、第一縦延部54aは、クロスメンバ53に対するレール部51の接続位置と対向する位置において、クロスメンバ53に接続される。すなわち、第一縦延部54aの車両前後方向前端面とレール部51の車両前後方向後端面とは、クロスメンバ53を介して対向する。
第二縦延部54bは、第一縦延部54aの車幅方向内方においてレール部51の延在方向と平行な方向に直線状に延びる。このため、第一縦延部54aと第二縦延部54bとは、クロスメンバ53からバルクヘッド52に向けて離れる方向に延びる。
第三縦延部54cは、レール部51の延在方向に対して傾斜する方向に直線状に延びる。具体的には、第三縦延部54cは、レール部51の延在方向に対して、クロスメンバ53からバルクヘッド52に向けて車幅方向内側に傾斜する方向に延びる。また、第三縦延部54cは、車幅方向において、バルクヘッド52と補助骨部26e(後構造部26)との接続位置と同じ位置において、バルクヘッド52に接続される。
第四縦延部54dは、第三縦延部54cの車幅方向外方においてレール部51の延在方向と平行な方向に直線状に延びる。このため、第三縦延部54cと第四縦延部54dとは、クロスメンバ53からバルクヘッド52に向けて離れる方向に延びる。第四縦延部54dは、車幅方向において、バルクヘッド52と内骨部26b(後構造部26)との接続位置と同じ位置において、バルクヘッド52に接続される。
図9の(a)は、正面側から見たレール補強部の斜視図、図9の(b)は背面側から見たレール補強部の斜視図である。図10は、レール補強部の側面図である。図11は、図7及び図14に示すXI−XI線における断面図である。図5、図8〜図11に示すように、レール補強部55は、レール部51の延在方向に沿ってレール部51に接続されて、レール部51を補強する部材である。レール補強部55は、レール部51と同様に車両前後方向に直線状に延びる。レール補強部55は、レール部51と対向する断面略C字状に形成される。具体的に説明すると、レール補強部55は、補強側板部55aと、補強上板部55bと、補強下板部55cと、を備える。なお、レール補強部55の材質及び板厚は、レール部51と同一である。
補強側板部55aは、レール上板部51bの車幅方向内側端部とレール下板部51cの車幅方向内側端部との間で車両上下方向に延びる。補強上板部55bは、補強側板部55aの上端縁から車幅方向外側に延びて、レール上板部51bと対向配置される。補強下板部55cは、補強側板部55aの下端縁から車幅方向外側に延びて、レール下板部51cと対向配置される。
レール部51に対するレール補強部55の接続は、例えば、フレアr形グループ溶接により行うことができる。具体的には、補強側板部55aと補強上板部55bとの角部を曲面にし、この角部とレール上板部51bの車幅方向内側先端部との間の開先に対してフレアr形グループ溶接を行う。同様に、補強側板部55aと補強下板部55cとの角部を曲面にし、この角部とレール下板部51cの車幅方向内側先端部との間の開先に対してフレアr形グループ溶接を行う。
また、レール補強部55は、第一補強部57と、第二補強部58と、を備える。第一補強部57は、レール補強部55のクロスメンバ53側(車両前後方向後側)に位置する部位である。第二補強部58は、クロスメンバ53とは反対側(車両前後方向前側)に位置する部位である。第一補強部57及び第二補強部58は、それぞれ補強側板部55a、補強上板部55b及び補強下板部55cを備える。
第一補強部57は、クロスメンバ53に接続されて、レール部51との間でロの字状の閉断面を形成する。クロスメンバ53に対する第一補強部57の接続は、例えば、溶接により行うことができる。この場合、クロスメンバ53に対するレール部51及び第一補強部57の接続は、全周溶接により行うことができる。
第一補強部57の車両前後方向における長さl1は、例えば、レール補強部55の車両上下方向における高さHに対して、0.8〜1.0倍とすることが好ましい。
第二補強部58は、レール補強部55のクロスメンバ53とは反対側の先端から第一補強部57に向けて幅が狭くなる切り欠き59を有する。このため、レール部51及びレール補強部55は、クロスメンバ53側に向けて徐々にロの字状の閉断面に変化する。このため、第二補強部58が接続される位置では、レール部51の強度及び剛性は、クロスメンバ53側に向けて徐々に高められる。切り欠き59は、補強側板部55aに形成される。切り欠き59の形状は、特に限定されるものではないが、車両上下方向に対称なV字状(略V字状)の切り欠きとすることができる。なお、車両前後方向における切り欠き59の両端部は、曲面状に形成することが好ましい。
第二補強部58(切り欠き59)の車両前後方向の長さl2は、例えば、レール補強部55の車両上下方向における高さHに対して、1.0〜1.5倍とすることが好ましい。
補強側板部55aのクロスメンバ53とは反対側の先端における切り欠き59の高さh1は、40〜50mmとすることが好ましい。補強側板部55aのクロスメンバ53とは反対側の先端における切り欠き59から補強上板部55b及び補強下板部55cまでの高さh2は、20〜25mmとすることが好ましい。
ガセット56は、レール部51、バルクヘッド52、クロスメンバ53、第一縦延部54a、及び第二縦延部54bに一体的に接続される。ガセット56は、上ガセット部56Aと、下ガセット部56Bと、を備える。上ガセット部56Aは、レール部51、バルクヘッド52、クロスメンバ53、第一縦延部54a、及び第二縦延部54bの上面に接続される。下ガセット部56Bは、レール部51、バルクヘッド52、クロスメンバ53、第一縦延部54a、及び第二縦延部54bの下面に接続される。なお、上ガセット部56A及び下ガセット部56Bは、基本的に同じ形状であるため、上ガセット部56A及び下ガセット部56Bを区別して説明する他は、これらを纏めてガセット56として説明する。
ガセット56は、平板状に形成されて、レール部51、バルクヘッド52、クロスメンバ53、第一縦延部54a、及び第二縦延部54bの延在方向に沿って延びる。また、ガセット56は、レール部51の車幅方向内側及び外側の双方において、レール部51に沿って延びる部分とクロスメンバ53に沿って延びる部分とが略三角状に接続されている。同様に、ガセット56は、第一縦延部54aの車幅方向外側において、第一縦延部54aに沿って延びる部分とクロスメンバ53に沿って延びる部分とが略三角状に接続されている。
レール部51、バルクヘッド52、クロスメンバ53、第一縦延部54a、及び第二縦延部54bに対するガセット56の接続は、栓溶接及び隅肉溶接により行うことができる。具体的には、ガセット56は、レール部51、バルクヘッド52、クロスメンバ53、第一縦延部54a、及び第二縦延部54bに対して、栓溶接により接続され、レール部51、バルクヘッド52及びクロスメンバ53に対して、隅肉溶接により接続される。この接続を栓溶接により行うために、ガセット56には、栓溶接を行うための穴56aが形成される。穴56aは、レール部51、バルクヘッド52、クロスメンバ53、第一縦延部54a、及び第二縦延部54bの延在方向に沿って複数形成される。穴56aの形状は、例えば、円形、楕円形、長円形(小判型)等とすることができる。そして、穴56aの内周面において、ガセット56とレール部51、バルクヘッド52、クロスメンバ53、第一縦延部54a、及び第二縦延部54bとが、溶接される。また、ガセット56は、その端部が隅肉溶接によりレール部51、バルクヘッド52及びクロスメンバ53と溶接される。
[後部シャシフレーム]
次に、後部シャシフレーム31について詳しく説明する。
図12は、後部シャシフレームの斜視図である。図13は、後部シャシフレームの平面図である。図14は、ガセットを取り外した後部シャシフレームの平面図である。図15の(a)は、図14に示すXV(a)−XV(a)線における断面図、図15の(b)は、図14に示すXV(b)−XV(b)線における断面図である。図12〜図15に示すように、後部シャシフレーム31は、一対のレール部61と、バルクヘッド62と、クロスメンバ63と、複数の縦延部64と、一対のレール補強部65と、ガセット66と、を備える。なお、後部シャシフレーム31は、これら以外の部材も備える。
後部シャシフレーム31の一対のレール部61、バルクヘッド62、クロスメンバ63、複数の縦延部64、一対のレール補強部65及びガセット66は、連節部4を挟んで車両前後方向において反対側に配置されていることを除き、前部シャシフレーム21の一対のレール部51、バルクヘッド52、クロスメンバ53、複数の縦延部54、一対のレール補強部55及びガセット56と同様である。このため、以下では、前部シャシフレーム21と同様の説明を省略する。
一対のレール部61は、車幅方向に並設されて、車両前後方向に直線状に延びる。レール部61は、断面C字状に形成されており、レール側板部51aに対応するレール側板部61aと、レール上板部51bに対応するレール上板部61bと、レール下板部51cに対応するレール下板部61cと、を備える。
バルクヘッド62は、車両前後方向前端部において車両幅方向に直線状に延び、連節部4に接続される。
クロスメンバ63は、バルクヘッド62の車両前後方向後方において車幅方向に直線状に延びる。また、クロスメンバ63は、一対のレール部61の車両前後方向前端、すなわち、一対のレール部61の連節部4側の先端に接続される。
縦延部64は、バルクヘッド62とクロスメンバ63との間に配置される。縦延部64は、第一縦延部54aに対応する第一縦延部64aと、第二縦延部54bに対応する第二縦延部64bと、第三縦延部54cに対応する第三縦延部64cと、第四縦延部54dに対応する第四縦延部64dと、を備える。
図9〜図12、図14、図15に示すように、レール補強部65は、レール部61の延在方向に沿ってレール部61に接続されて、レール部61を補強する部材である。レール補強部65は、レール部61と同様に車両前後方向に直線状に延びる。レール補強部65は、レール部61に対向する断面略C字状に形成される。具体的に説明すると、レール補強部65は、補強側板部55aに対応する補強側板部65aと、補強上板部55bに対応する補強上板部65bと、補強下板部55cに対応する補強下板部65cと、を備える。なお、レール補強部65の材質及び板厚は、レール部61と同一である。
補強側板部65aは、レール上板部61bの車幅方向内側端部とレール下板部61cの車幅方向内側端部との間で車両上下方向に延びる。補強上板部65bは、補強側板部65aの上端縁から車幅方向外側に延びて、レール上板部61bと対向配置される。補強下板部65cは、補強側板部65aの下端縁から車幅方向外側に延びて、レール下板部61cと対向配置される。
また、レール補強部65は、第一補強部57に対応する第一補強部67と、第二補強部58に対応する第二補強部68と、を備える。第一補強部67は、レール補強部65のクロスメンバ63側(車両前後方向前側)に位置する部位である。第二補強部68は、クロスメンバ63とは反対側(車両前後方向後側)に位置する部位である。第一補強部67及び第二補強部68は、それぞれ補強側板部65a、補強上板部65b及び補強下板部65cを備える。
第一補強部67は、クロスメンバ63に接続されて、レール部61との間でロの字状の閉断面を形成する。
第二補強部68は、切り欠き59に対応する切り欠き69を有する。切り欠き69は、切り欠き59と同様に、補強側板部65aに形成されて、レール補強部65のクロスメンバ63とは反対側の先端から第一補強部67に向けて幅が狭くなる。つまり、レール部61及びレール補強部65は、切り欠き69により、クロスメンバ63側に向けて徐々にロの字状の閉断面に変化する。このため、第二補強部68が接続される位置では、レール部61の強度及び剛性は、クロスメンバ63側に向けて徐々に高められる。
なお、第一補強部67の車両前後方向における長さ、第二補強部68(切り欠き69)の車両前後方向の長さ、レール補強部65のクロスメンバ63とは反対側の先端における切り欠き69の幅等は、前部シャシフレーム21の対応する寸法と同様である。
ガセット66は、レール部61、バルクヘッド62、クロスメンバ63、第一縦延部64a、及び第二縦延部64bに一体的に接続される。ガセット66には、栓溶接を行うための穴66aが形成される。ガセット66は、上ガセット部56Aに対応する上ガセット部66Aと、下ガセット部56Bに対応する下ガセット部66Bと、を備える。
[後部車両における駆動力の伝わり方]
次に、図16を参照して、後部車両3における駆動力の伝わり方について説明する。図16は、後部シャシフレームの荷重伝達経路を説明するための図である。図16に示すように、エンジンE/Gの推進力によりレール部61に車両前後方向前方の駆動力P1が伝わる場合を考える。この場合、レール部61に伝わった駆動力P1は、レール部61及びレール補強部65に伝わる駆動力P2となって、クロスメンバ63に伝わる。
ここで、第二補強部68の接続位置では、切り欠き69が形成されるため、クロスメンバ63に向かうに従ってレール部61の強度及び剛性が徐々に高められる。そして、第一補強部67の接続位置では、ロの字状の閉断面が形成されるため、レール部61の強度及び剛性が最大となる。このため、クロスメンバ63近傍でのレール部61の強度及び剛性が高くなり、且つ、レール補強部65の接続によりレール部61に発生する応力集中が緩和される。
また、レール部61に伝わった駆動力P1は、レール部61の上面及び下面に接続されたガセット66に伝わる駆動力P3となって、クロスメンバ63に伝わる。このとき、ガセット66は、レール部61に沿って延びる部分とクロスメンバ63に沿って延びる部分とが略三角状に接続されているため、レール部61に伝わった駆動力P1は、車幅方向に分散しながらクロスメンバ63に伝わる。
クロスメンバ63に伝わった駆動力P2及び駆動力P3は、第一縦延部64a及び第二縦延部64bに伝わる駆動力P4及び駆動力P5となって、バルクヘッド62に伝わる。また、この駆動力P2及び駆動力P3は、クロスメンバ63を伝わる駆動力P6、更に第三縦延部64c及び第四縦延部64dを伝わる駆動力P7及び駆動力P8となって、バルクヘッド62に伝わる。
そして、バルクヘッド62に伝わった各駆動力は、駆動力P9となって連節部4に伝わる。
なお、エンジンE/Gの推進力によりレール部61に車両前後方向後方の駆動力が伝わる場合は、後部シャシフレーム31の各部材に、上記とは逆向きの駆動力が伝わる。
[前部車両における駆動力の伝わり方]
次に、図17を参照して、前部車両2における駆動力の伝わり方について説明する。図17は、前部シャシフレームの荷重伝達経路を説明するための図である。図17に示すように、連節部4を介して後部車両3からバルクヘッド52に車両前後方向前方の駆動力P11が伝わる場合を考える。この場合、バルクヘッド52に伝わった駆動力P11は、第一縦延部54a及び第二縦延部54bに伝わる駆動力P12及び駆動力P13となって、クロスメンバ53を介してレール部51及びレール補強部55に伝わる。また、この駆動力P11は、第三縦延部54c及び第四縦延部54dを伝わる駆動力P14及び駆動力P15、更にクロスメンバ53を伝わる駆動力P16となって、レール部51及びレール補強部55に伝わる。
ここで、第一補強部57の接続位置では、ロの字状の閉断面が形成されるため、レール部51の強度及び剛性が最大となる。一方、第二補強部58の接続位置では、切り欠き59が形成されるため、クロスメンバ53から離れるに従ってレール部51の強度及び剛性が徐々に弱められる。このため、レール部51では、クロスメンバ53近傍での強度及び剛性が高くなり、且つ、レール補強部55の接続により発生する応力集中が緩和される。
また、クロスメンバ53に伝わった駆動力は、レール部51の上面及び下面に接続されたガセット56に伝わる駆動力P18となって、レール部51に伝わる。このとき、ガセット56は、レール部51に沿って延びる部分とクロスメンバ53に沿って延びる部分とが略三角状に接続されているため、クロスメンバ53に伝わった駆動力は、徐々に収束しながらレール部51に伝わる。
そして、レール部51に伝わった駆動力は、駆動力P19となって車両前後方向前方に伝わる。
なお、連節部4を介して後部車両3からバルクヘッド52に車両前後方向後方の駆動力が伝わる場合は、前部シャシフレーム21の各部材に、上記とは逆向きの駆動力が伝わる。
このように、本実施形態に係る連節バス1は、後部車両3に駆動輪である第三車輪33を有するプッシャー式の連節バスであるため、エンジン推進力の加減速によりレール部51,61に圧縮及び引張荷重が入力される。レール部51,61に入力された荷重は、連節部4の近傍に配置されたクロスメンバ53,63で受け止められる。このため、レール部51,61は、クロスメンバ53,63との接続位置近傍において、大きく変形しようとする。しかしながら、レール補強部55,65の第一補強部57,67がレール部51,61との間で閉断面を形成するため、クロスメンバ53,63との接続位置近傍におけるレール部51,61の強度及び剛性を高めることができる。しかも、レール補強部55,65の第二補強部58,68が、レール補強部55,65のクロスメンバ53,63とは反対側の先端から第一補強部57,67に向けて幅が狭くなる切り欠き59,69を有するため、レール部51,61の強度及び剛性は、第一補強部57,67が接続される位置で急激に高められるのではなく、当該位置に向けて徐々に高められる。つまり、レール補強部55,65が接続される位置においてレール部51,61に発生する応力集中が緩和される。これにより、車両の変形を適切に抑制することができる。
また、レール補強部55,65をレール部51,61と対向する断面略C字状とし、補強側板部55a,65aに切り欠き59,69を形成することで、クロスメンバ53,63との接続位置近傍におけるレール部51,61の強度及び剛性を適切に高めつつ、レール補強部55,65が接続される位置におけるレール部51,61の応力集中を適切に緩和することができる。
また、バルクヘッド52,62とクロスメンバ53,63との間に、互いに異なる方向に延びる第一縦延部54a,64a及び第二縦延部54b,64bを配置することで、連節部近傍にV字状のフレームが形成されるため、車両の変形を更に抑制することができる。更に、バルクヘッド52,62とクロスメンバ53,63との間に、互いに異なる方向に延びる第三縦延部54c,64c及び第四縦延部54d,64dも配置することで、連節部近傍にW字状のフレームが形成されるため、車両の変形を更に抑制できる。
また、レール部51,61、バルクヘッド52,62、クロスメンバ53,63、第一縦延部54a,64a、及び第二縦延部54b,64bがガセット56,66によりに一体的に接続されるため、連節部近傍の強度及び剛性が更に高まる。これにより、連節部近傍の変形を更に抑制できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
例えば、上記実施形態では、前部車両の前部シャシフレームと後部車両の後部シャシフレームとが同様であるものとして説明したが、何れか一方は、異なる構成であってもよい。