特許文献1の美容器具によれば、肌面に温熱刺激あるいは冷熱刺激を与えて肌面を活性化でき、必要に応じて温熱ヘッドに電流を作用させ、あるいは温熱刺激と共に振動を作用させて、美容効果を向上できる。しかし、特許文献1の美容器具においては、伝熱体をヘッドケースの外筒壁部に外嵌装着して保持リングで分離不能に固定し、さらに、前ケースの内面側からねじ込んだビスでヘッドケースを前ケースに固定している。そのため、温熱ヘッドの全体構造が複雑で、構成部品点数が多い分だけ組立てに要する工数が増え、美容器具のコストが嵩むのを避けられなかった。
本発明の目的は、肌面に電流を供給する肌電極を備えたヘッド部の全体構造を簡素化して、組立てに要する工数を削減し、その分だけ製造コストを削減できる美容器具を提供することにある。
本発明に係る美容器具は、本体ケース1に電極ホルダー2が固定され、肌面に電流を供給する肌電極3が電極ホルダー2に固定してある。肌電極3は、例えば図12に示すように電極ホルダー2の内部において、電極ホルダー2と本体ケース1で挟持固定する。本発明において電極ホルダー2と本体ケース1で挟持固定するとは、例えば図1に示すように、両者1・2の間にヘッド支持体28などの別部品が設けてある場合を含むこととする。
肌電極3はキャップ状に形成されて、開口周縁の外にフランジ状の装着壁43が張出し形成してある。肌電極3の装着壁43に弾性体44を隣接配置して、弾性体44と装着壁43を本体ケース1と電極ホルダー2で挟持固定する。
電極ホルダー2と肌電極3の装着壁43の間に、無端状の弾性体44を配置する。弾性体44と装着壁43を本体ケース1と電極ホルダー2で挟持固定した状態においては、弾性体44が電極ホルダー2と肌電極3の装着壁43に密着してシール機能を発揮できるようにする。
電極ホルダー2は着脱可能な締結具62で本体ケース1に固定する。図12に示すように、弾性体44および肌電極3の装着壁43は電極ホルダー2と、本体ケース1に設けたヘッド支持体28で挟持固定する。電極ホルダー2とヘッド支持体28の挟持力で、弾性体44を弾性変形させる。
電極ホルダー2の外周面にキャップ装着部20を形成する。肌電極3の外面を覆うマット状の吸液体71を、キャップ装着部20に着脱可能に装着したキャップ体72で固定保持する。
図1に示すように、ヘッド支持体28は本体ケース1とは異なる独立部品で構成する。本体ケース1の前ケース1aに、電極ホルダー2およびヘッド支持体28を組むための装着凹部16とリード開口17を形成する。筒状に形成した電極ホルダー2の外開口7の内側に、弾性体44および肌電極3を受止める段部24を形成し、電極ホルダー2の内開口8に装着凹部16と係合する連結筒壁21を形成する。肌電極3とヘッド支持体28は、電極ホルダー2の段部24と本体ケース1の装着凹部16の間に配置する。装着凹部16の内面側から連結筒壁21のねじボス25にビス62をねじ込んで、肌電極3とヘッド支持体28を、電極ホルダー2の段部24と本体ケース1の装着凹部16で挟持固定する。
図5に示すように、ヘッド支持体28の装着凹部16側の端部に脚片36を形成する。装着凹部16に脚片36と係合してヘッド支持体28の回動を規制する回止め体39を設ける。
回止め体39と脚片36は、脚片36の周面に沿って係合している。図8に示すように、回止め体39と脚片36の係合面65は、部分円弧状の一対の円弧係合面66と、両円弧係合面66の間に設けた矩形係合面67で構成する。
電極ホルダー2の連結筒壁21と隣接する脚片36の周面に回止め凹部68を形成する。電極ホルダー2にねじ込んだビス62の周面は回止め凹部68と係合して、ヘッド支持体28の回動を規制している。
ヘッド支持体28の装着凹部16側の端部に弾性係合爪37を設ける。ヘッド支持体28を本体ケース1の装着凹部16に仮組みした状態においては、図8に示すように弾性係合爪37がリード開口17と係合して仮組み状態を保持する。
ヘッド支持体28の装着凹部16側の端部の複数個所に弾性係合爪37を設ける。リード開口17に係合した弾性係合爪37の一部が回止め体39の周面で受止められて、ヘッド支持体28の回動を規制している。
本発明の美容器具においては、本体ケース1に電極ホルダー2を固定し、電極ホルダー2に設けた肌電極3を、電極ホルダー2の内部において、電極ホルダー2と本体ケース1で挟持固定するようにした。こうした美容器具によれば、従来の美容器具に比べて、より簡単な構造で肌電極3を電極ホルダー2に固定できる。従来の美容器具の場合には、伝熱体をヘッドケースに外嵌装着したうえで、保持リングを使用して伝熱体を固定する必要がある。しかし、本発明の美容器具の場合には、電極ホルダー2と本体ケース1で肌電極3を挟持固定するので、従来の美容器具において不可欠であった保持リングを省略して、保持リングの組立ての手間を省くことができる。また、電極ホルダー2の内部において、肌電極3を電極ホルダー2と本体ケース1で挟持固定するので、肌電極3の固定部分に落下衝撃などの外力が直接的に作用するのを防止できる。
肌電極3にフランジ状の装着壁43を設け、隣接配置した弾性体44と装着壁43を本体ケース1と電極ホルダー2で挟持固定すると、弾性体44の弾性変形力で装着壁43を電極ホルダー2または本体ケース1に押付けて、肌電極3ががたつくのを防止できる。また、肌電極3、電極ホルダー2、および本体ケース1の仕上がり寸法にばらつきがあったとしても、弾性体44が弾性変形することでばらつきを吸収して、肌電極3を確実に挟持固定できる。
電極ホルダー2と肌電極3の装着壁43の間に、無端状の弾性体44を配置すると、弾性体44と装着壁43を本体ケース1と電極ホルダー2で挟持固定した状態において、弾性体44が電極ホルダー2と装着壁43に密着してシール機能を発揮できる。つまり、弾性体44がシール具を兼ねるので、別途シール具を用意する必要がなく、さらにシール具を受止めるためのシール壁を、別途電極ホルダー2に設ける必要がないので、肌電極3を備えたヘッド部の全体構造を簡素化できる。
電極ホルダー2を着脱可能な締結具62で本体ケース1に固定すると、締結具62を取外すだけで電極ホルダー2および肌電極3を分離して、弾性体44の交換や、電極ホルダー2の内部の清掃などを簡便に行うことができる。
肌電極3の外面を覆うマット状の吸液体71を、電極ホルダー2のキャップ装着部20に着脱可能に装着したキャップ体72で固定保持すると、化粧水などの美容用液を吸液体71にむらなく含侵できる。また、吸液体71を肌面にあてがって美容処理を行う際に吸液体71がずれ動くのを防止して、使用者の意図通りに吸液体71を肌面に沿って移動操作できる。
ヘッド支持体28を本体ケース1とは異なる独立部品で構成すると、美容器具の仕様を種々に変更してシリーズ商品化する場合に、各仕様に応じたヘッド支持体28を複数種用意しておくだけで、美容器具の機能の追加や変更を簡便に行える。また、肌電極3とヘッド支持体28を、電極ホルダー2の段部24と本体ケース1の装着凹部16の間に配置し、装着凹部16の内面側から連結筒壁21のねじボス25にビス62をねじ込むようにした。こうした締結構造によれば、肌電極3とヘッド支持体28を、電極ホルダー2の段部24と本体ケース1の装着凹部16で挟持固定できるので、ヘッド支持体28を本体ケース1に固定するための締結構造を省略して、肌電極3を備えたヘッド部の全体構造をさらに簡素化できる。
ヘッド支持体28に脚片36を設け、装着凹部16に脚片36と係合する回止め体39を設けると、ヘッド支持体28が回動するのを確実に規制できる。また、回止め体39は位置決め構造としても機能するので、ヘッド支持体28の本体ケース1に対する組付けを適正に行える。
回止め体39と脚片36の係合面65を、部分円弧状の一対の円弧係合面66と、両円弧係合面66の間に設けた矩形係合面67で構成すると、ヘッド支持体28を本体ケース1に対して正しく位置決めでき、しかもヘッド支持体28が回動しようとするのをさらに確実に規制できる。
脚片36の周面に回止め凹部68を形成し、電極ホルダー2にねじ込んだビス62の周面を回止め凹部68に係合させると、ビス62で脚片36を受止めることになるので、ヘッド支持体28の回動を規制して、ヘッド支持体28を強固に固定できる。
ヘッド支持体28に弾性係合爪37を設け、ヘッド支持体28を装着凹部16に仮組みした状態において、弾性係合爪37がリード開口17と係合して、ヘッド支持体28を仮組み状態に保持し続けることができる。従って、ヘッド支持体28の次に組まれる電極ホルダー2および肌電極3の組付けを容易化し、さらに組立てに要する工数を削減して、肌電極3を備えた美容器具の製造に要するコストを削減できる。
ヘッド支持体28の複数個所に弾性係合爪37を設けると、ヘッド支持体28を装着凹部16に仮組みした状態において、複数の弾性係合爪37をリード開口17に係合させて、より安定した状態でヘッド支持体28を仮組み状態に保持できるので、電極ホルダー2および肌電極3の組付けをさらに容易化できる。また、リード開口17に係合した弾性係合爪37の一部を回止め体39の周面で受止めることにより、ヘッド支持体28が回動しようとするのをさらに確実に規制できる。
(実施例1) 図1ないし図8は、本発明に係る美容器具の実施例1を示す。なお本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍の前後、左右、上下の表示に従うものとする。
図2および図3において、美容器具はグリップを兼ねる縦長の本体ケース1を有し、本体ケース1の前面上部のヘッド部に電極ホルダー2を突設し、肌面に電流を供給し、しかも振動刺激を付与する肌刺激ヘッド(肌電極)3を電極ホルダー2に固定している。本体ケース1は、前突湾曲状の前ケース1aと後ケース1bを蓋合わせ上に接合して構成してあり、後ケース1bの後面の上部に設けた縦長四角形状のスイッチパネル4に、電源投入用の第1ボタン部5と、電流の極性を切換える第2ボタン部6が設けてある。
本体ケース1の内部には、2個の電池10と制御基板11が配置してあり、制御基板11の上下に、第1ボタン部5および第2ボタン部6でオン・オフされるスイッチ12・13と、運転状態を表示するLED14などが実装してある。制御基板11にはパルス電流を生成する電流調整回路が実装してあり、第2ボタン部6をオン操作することにより、肌刺激ヘッド3に供給されるパルス電流の極性をプラス極性とマイナス極性に切換えることができる。本体ケース1の左右両側には、グリップ電極15が露出させてある。図6および図7に示すように前ケース1aの上部の前面には、電極ホルダー2および後述するヘッド支持体28を装着するための装着凹部16とリード開口17が形成してある。装着凹部16の底壁の3個所にはビス挿通穴19が形成してある。図1に示すように、前ケース1aと後ケース1bは、後ケース1bの側からねじ込んだ3個のビス18で一体化してある。図3に示すように、グリップ電極15から導出したグリップ電極リード58は制御基板11に接続される。
図4ないし図6に示すように、電極ホルダー2は丸筒状のプラスチック成形品からなり、その外開口7の外周面にキャップ装着部20が張出し形成され、内開口8の周囲に装着凹部16と係合する連結筒壁21が形成してある。連結筒壁21の端部には、装着凹部16の開口周縁壁で受止められる座部22が形成され、連結筒壁21の後部にはシール溝23が形成してある。また、電極ホルダー2の外開口7の内側には、後述するOリング44および肌刺激ヘッド3を受止める段部24が形成され、連結筒壁21の内面の3個所にねじボス25が形成してある。ねじボス25のボス端は装着凹部16の底壁と僅かな隙間を隔てて対向している。連結筒壁21の後端の右側1個所に位置決め片38(図4、図7参照)が形成してある。
電極ホルダー2の内部には、ヘッド支持体28と電装品ホルダー29が配置してあり、電装品ホルダー29の内部にバイブレーター30が組付けてある。ヘッド支持体28は断面円形の筒壁31と、筒壁31の内部を前後に区分する区画壁32を一体に備えたプラスチック成形品からなる。図6、図7に示すように、区画壁32には、電装品ホルダー29を締結するための3個のビス座33と、バイブレーター30を支持する左右一対のリブ状の突起34が一体に形成され、突起34の近傍にリード通口35(図4参照)が形成してある。筒壁31の後端(装着凹部16側の端部)には3個の脚片36と、3個の弾性係合爪37が形成してある。前ケース1aの装着凹部16の底壁には、脚片36と係合してヘッド支持体28の回動を規制する椀形の回止め体39と、電極ホルダー2の位置決め片38と係合する位置決め溝40が形成してある。3個の脚片36と回止め体39は、周方向へ不均等な間隔で配置するので、ヘッド支持体28を前ケース1aに常に適正に組むことができる。
肌面に電流を供給する肌刺激ヘッド3はチタン板材を素材とする丸キャップ状のプレス成形品からなり、開口周縁の外にフランジ状の装着壁43が張出し形成してある。図5に示すように、装着壁43および周囲壁に装着したOリング(弾性体)44を電極ホルダー2の段部24とヘッド支持体28の筒壁31の前端で挟持することにより、肌刺激ヘッド3を電極ホルダー2に固定している。
電装品ホルダー29は、前部に丸皿状のヒーター保持部46を有し、同ヒーター保持部46の後側にバイブレーター30用のモーター保持部47と3個のねじボス48が一体に形成してある。バイブレーター30は、ケース51に収容してある細長いモーター49と、その出力軸に固定した偏心錘50とで構成してある。図4に示すように、バイブレーター30は、その中心軸が肌刺激ヘッド3の刺激面3aと平行になる状態で、モーター保持部47に装着されて突起34で受止められている。そのため、バイブレーター30の振動の主な方向は、刺激面3aと直交する向きとなり、美容処理を行う場合には、刺激面3aで肌面を叩くようにして振動刺激を付与できる。図4において符号52はモーターリードである。なお、この実施例の美容器具では、電気刺激と振動刺激のみを肌刺激ヘッド3から肌面に与えるので、ヒーター保持部46に面状ヒーターは組込まれていないが、面状ヒーターをヒーター保持部46に配置した場合には、温熱刺激を肌面に付与することができる。
肌刺激ヘッド3にパルス電流を供給するために、電装品ホルダー29のひとつのねじボス48に舌片状の接続端子53と導通端子54を組付けている。導通端子54は、圧縮コイルばね状に形成されて接続端子53に密着するコイル部55と、コイル部55から肌刺激ヘッド3へ向かって連出される接触片56を一体に備えており、接続端子53に肌電極リード57が接続してある。
ヘッド支持体28と電装品ホルダー29は、以下の要領で組む。まず、電装品ホルダー29のモーター保持部47にバイブレーター30を組み、導通端子54をねじボス48に仮組みして、ヘッド支持体28のビス座33に挿通したビス60をねじボス48にねじ込み、電装品ホルダー29をヘッド支持体28と一体化する。このとき、接続端子53をねじボス48と共締めして、コイル部55の端部を接続端子53に密着させておく。また、モーターリード52および肌電極リード57は、リード通口35に通して区画壁32より後側に導出され、リード開口17から本体ケース1内へ導入されて制御基板11に接続してある。
電極ホルダー2の連結筒壁21のシール溝23にOリング61を装着し、Oリング44が周囲壁に装着された肌刺激ヘッド3を電極ホルダー2の外開口7に内側から嵌込んで、Oリング44を段部24に密着させる。次に、電装品ホルダー29が固定されたヘッド支持体28の脚片36を、前ケース1aの回止め体39に係合し、さらに図8に示すように弾性係合爪37をリード開口17に係合させて、ヘッド支持体28を前ケース1aに仮組みする。この状態で、肌刺激ヘッド3が組まれた電極ホルダー2の連結筒壁21を、位置決め片38が位置決め溝40と係合する状態で前ケース1aの装着凹部16に嵌込み、前ケース1aの内面側から挿通した3個のビス(締結具)62をねじボス25にねじ込んで、電極ホルダー2を前ケース1aと一体化する。このように、電極ホルダー2を前ケース1aに固定することにより、Oリング44と肌刺激ヘッド3の装着壁43が電極ホルダー2の段部24とヘッド支持体28の筒壁31の間に挟持されたた状態で、肌刺激ヘッド3が電極ホルダー2に固定される。つまり、肌刺激ヘッド3が本体ケース1に固定される。最後に、制御基板11が組まれた後ケース1bをビス18で締結して、前後ケース1a・1bを一体化する。
図8に示すように、ヘッド支持体28を前ケース1aに仮組みした状態では、回止め体39が脚片36の周面に沿って係合し、さらに弾性係合爪37がリード開口17に係合している。回止め体39と脚片36の係合面65は、部分円弧状の一対の円弧係合面66と、両円弧係合面66の間に設けた矩形係合面67とで構成してある。このように、回止め体39と脚片36を椀状の係合面65を介して係合させることにより、ヘッド支持体28を前ケース1aに対して正しく位置決めでき、しかもヘッド支持体28が回動しようとするのを確実に規制できる。脚片36の連結筒壁21との対向面には回止め凹部68が半円状に形成してあり、電極ホルダー2を締結するビス62の周面が回止め凹部68と係合することにより、回止め体39と協同してヘッド支持体28の回動を規制している。また、リード開口17に係合した弾性係合爪37の腕部が、最寄りの回止め体39の外周面で受止められて、ヘッド支持体28の回動を規制している。なお、ビス62の周面と回止め凹部68が係合する場合には、回止め体39と協同してヘッド支持体28の回動を規制することが好ましいが、ビス62の周面と回止め凹部68の係合のみによって、ヘッド支持体28の回動を規制してもよい。
美容器具を使用する場合には、図3に示すように綿マット(吸液体)71で肌刺激ヘッド3の外面を覆い、リング状の保持キャップ(キャップ体)72を電極ホルダー2のキャップ装着部20に圧嵌して綿マット71を固定する。綿マット71に化粧水を含浸させ、第1ボタン部5をオン操作することにより、バイブレーター30が起動し、パルス電流を生成する電流調整回路が作動してパルス電流を肌刺激ヘッド3に供給する。この状態で肌刺激ヘッド3に供給されるパルス電流の極性を第2ボタン部6で切換えることにより、イオン導出処理とイオン導入処理、および第3の美容処理を行うことができる。
イオン導出処理においては、グリップ電極15を片手で握った状態で、化粧水が含浸された綿マット71を顔肌に沿ってゆっくりと滑らせることにより、顔肌のしわ、ひだ、毛穴などに入り込んでいる微細な汚れを落とすことができる。このとき肌面には、プラス極性のパルス電流による電流刺激と、バイブレーター30による振動刺激が付与される。肌面に作用するパルス電流刺激が弱い場合には、第1ボタン部5を再度オン操作することにより、電流刺激を強くすることができる。肌刺激ヘッド3にパルス電流が供給されてから、一定時間(約3分)が経過するとパルス電流の供給が停止され、同時にバイブレーター30が停止されてLED14が消灯される。上記のようにイオン導出処理においては、美容器具をイオン導出処理モードにして、肌刺激ヘッド3側をプラス極性とし、グリップ電極15側をマイナス極性にした状態で美容処理を行う。
イオン導入処理においては、イオン導出処理と同様にグリップ電極15を片手で握った状態で、化粧水が含浸された綿マット71を顔肌に沿ってゆっくりと滑らせることにより、化粧水を肌面に浸透させて保湿効果を高めることができる。このとき肌面には、マイナス極性のパルス電流による電流刺激と、バイブレーター30による振動刺激が付与される。上記のようにイオン導入処理においては、美容器具をイオン導入処理モードにして、肌刺激ヘッド3側をマイナス極性とし、グリップ電極15側をプラス極性にした状態で美容処理を行う。なお、イオン導入処理においては、綿マット71を使用せずに、化粧水などの美容用液を顔肌に塗付した状態で、肌刺激ヘッド3の刺激面3aを肌面に沿ってゆっくりと滑らせて、美容処理を行ってもよい。
第3の美容処理においては、化粧水が含侵された綿マット71は使用せずに、顔肌をシートマスクで覆った状態、あるいは乳液を顔肌に塗付した状態で、肌刺激ヘッド3にプラス極性のパルス電流とマイナス極性のパルス電流を交互に供給しながら美容処理を行って、肌面を整える。肌刺激ヘッド3にパルス電流が供給されてから、一定時間(約3分)が経過するとパルス電流の供給が停止され、同時にバイブレーター30が停止されてLED14が消灯される。上記のように第3の美容処理においては、美容器具を第3の美容処理モードにして、肌刺激ヘッド3にプラス極性のパルス電流とマイナス極性のパルス電流を交互に供給しながら美容処理を行う。
以上のように、実施例1の美容器具においては、電極ホルダー2と、同ホルダー2と共に本体ケース1に締結固定されるヘッド支持体28で、Oリング44と肌刺激ヘッド3の装着壁43を挟持して肌刺激ヘッド3を電極ホルダー2に固定した。こうした美容器具によれば、伝熱体をヘッドケースの外筒壁部に外嵌装着したうえで、保持リングを使用して伝熱体を固定する必要があった従来の美容器具に比べて、より簡単な構造で肌刺激ヘッド3を電極ホルダー2に固定できる。具体的には、保持リングを省略して、その組立ての手間を省くことができ、さらに、電装品ホルダー29が一体化してあるヘッド支持体28を装着凹部16に仮組みした状態において、弾性係合爪37をリード開口17に係合させて、ヘッド支持体28を保持できるので、電極ホルダー2および肌刺激ヘッド3の組付けを容易化して組立ての手間を省くことができる。また、肌刺激ヘッド3の固定構造を簡素化した分だけ、肌刺激ヘッド3を備えたヘッド部の全体構造を簡素化し、組立てに要する工数を削減して、肌刺激ヘッド3を備えた美容器具の製造に要するコストを削減できる。さらに、肌刺激ヘッド3を取外す場合にはビス62を取外し、電極ホルダー2を装着凹部16から分離するだけで、簡単に電極ホルダー2から分離することができる。なお、本体ケース1とヘッド支持体28は一体であってもよく、その場合のヘッド支持体28は本体ケース1の一部分であるということができる。
電極ホルダー2とヘッド支持体28を本体ケース1に組付けた状態では、Oリング44が弾性変形した状態で段部24および装着壁43に密着するので、肌刺激ヘッド3の周囲壁に沿って浸み込んだ化粧水をOリング44でシールして、化粧水が電極ホルダー2の内部に浸入するのを阻止できる。また、Oリング44の弾性変形力で装着壁43を筒壁31の端面に押付けるので、肌刺激ヘッド3ががたつくのを防止できるうえ、肌刺激ヘッド3、電極ホルダー2、およびヘッド支持体28の仕上がり寸法にばらつきがあったとしても、Oリング44でばらつきを吸収できる。脚片36を電極ホルダー2の内面に設けたねじボス25と装着凹部16の底壁で挟持して、ヘッド支持体28を電極ホルダー2および本体ケース1に対して強固に固定して、ヘッド支持体28および肌刺激ヘッド3の締結強度を向上できる。
電極ホルダー2が本体ケース1にビス62で締結固定してあるので、ビス62を取外すだけで電極ホルダー2および肌刺激ヘッド3を分離して、Oリング44の交換や、電極ホルダー2の内部の清掃などを簡便に行うことができる。また、ヘッド支持体28を本体ケース1とは異なる独立部品として構成するので、美容器具の仕様を種々に変更してシリーズ商品化する場合に、各仕様に応じたヘッド支持体28を複数種用意しておくだけで、美容器具の機能の追加や変更を簡便に行える。また、ビス62で引寄せ固定した電極ホルダー2と本体ケース1の挟持力で、Oリング44を弾性変形させるので、Oリング44が過剰に押潰されるのを防止できる。
(実施例2) 図9は、本発明に係る美容器具の実施例2を示しており、とくに締結具62の構造を変更する点が実施例1と異なる。そこでは、連結筒壁21に設けた係合穴76に係脱する係合ピン77と、係合ピン77に打込まれる拡張ピン78で締結具62をプッシュリベット状に構成した。係合ピン77は、ピン頭部に連続する丸筒状の筒軸部79と、筒軸部79に連続する一対の係合爪80を一体に備えており、拡張ピン78を係合ピン77から分離した自由状態時には、係合爪80は自己の弾性で互いに接近して、筒軸部79の円形領域内に位置している。電極ホルダー2を固定する場合には、連結筒壁21を装着凹部16に係合した状態で、係合ピン77を係合穴76内へ差し込んだのち、拡張ピン78を係合ピン77のピン頭部の側から筒軸部79の筒穴に打込む。拡張ピン78を筒軸部79に完全に打込んだ状態では、一対の係合爪80が互いに離れる向きへ弾性変形して係合穴76と係合するので、電極ホルダー2を前ケース1aに固定できる。図示していないが、係合ピン77の頭部には、拡張ピン78を取外すための切欠が形成してある。電極ホルダー2を装着凹部16から取外す場合には、係合ピン77の頭部に設けた切欠を介して拡張ピン78の頭部を抉って、拡張ピン78を係合ピン77から分離し、係合爪80を自己の弾性で互いに接近させた状態で係合ピン77を抜外す。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
(実施例3) 図10は、本発明に係る美容器具の実施例3を示しており、とくに締結具62の構造を変更する点が実施例1、2と異なる。そこでは、締結具62を、バヨネットピン82と、連結筒壁21に設けた3個の係合爪83と、装着凹部16に設けた係合段部84と、係合爪83に隣接するスロット85で構成した。バヨネットピン82は、係合爪83の弾性変形を規制するロック軸86と、一対のバヨネット爪87を一体に備えている。電極ホルダー2を固定する場合には、係合爪83をスロット85側へ弾性変形させながら、連結筒壁21を装着凹部16に係合して、係合爪83を係合段部84に係合させる。次に、ロック軸86およびバヨネット爪87を、装着凹部16の底壁に設けたバヨネット穴88に差込んだのち、時計回転方向へ90度回転操作することにより、バヨネット爪87がバヨネット穴88の周縁壁で受止められて、電極ホルダー2を前ケース1aに固定できる。この状態ではロック軸86がスロット85内に入込んで係合爪83に接当し、さらに連結筒壁21で受止められているので、係合爪83がスロット85側へ弾性変形することはない。なお、Oリング61は座部22と、同部22に対向する状態で前ケース1aに形成したシール溝23の間に配置した。バヨネットピン82は、その頭部を反時計回転方向へ90度回転操作することによりバヨネット穴88から取外すことができ、この後、電極ホルダー2を少し強めに引っ張れば、係合爪83が弾性変形しながら係合段部84から分離するので、電極ホルダー2を装着凹部16から取外すことができる。
(実施例4) 図11は、本発明に係る美容器具の実施例4を示しており、とくに締結具62の構造を変更する点が実施例1、2、3と異なる。そこでは、実施例3と同様に、連結筒壁21に3個の係合爪83を設け、装着凹部16に係合段部84とスロット85を設けた。実施例3と異なるのは、ロック軸86に相当するロックピン90を後ケース1bの内面に設けておき、前後ケース1a・1bをビス18で締結した状態において、ロックピン90がスロット85内に入込んで係合爪83に接当し、さらに連結筒壁21で受止められるようにした。Oリング61によるシール構造は実施例3と同じにした。この実施例においては、ビス18を取り外して前後ケース1a・1bを分離した状態において、電極ホルダー2を少し強めに引っ張ることにより、係合爪83が弾性変形しながら係合段部84から分離するので、電極ホルダー2を装着凹部16から取外すことができる。
(実施例5) 図12は、本発明に係る美容器具の実施例5を示す。そこでは、ヘッド支持体28を前ケース1aと一体に形成して、美容器具の部品点数を減らすようにした。詳しくは、装着凹部16の底壁に連続してヘッド支持体28の筒壁31を形成し、区画壁32の前面側に電装品ホルダー29をビス60で締結固定した。ヘッド支持体28を前ケース1aと一体に形成することにより、ヘッド支持体28を独立部品として形成した場合に比べて、部品点数を減らすことができるうえ、脚片36や弾性係合爪37を省略して、ヘッド部の内部構造を簡素化できる。
(実施例6) 図13は、本発明に係る美容器具の実施例6を示す。そこでは、装着凹部16の底壁の内面に電装品支持体91を配置し、その前面側に電装品ホルダー29を固定した。この実施例における電装品支持体91は、先の実施例におけるヘッド支持体28に相当する。電装品ホルダー29は、ヒーター保持部46を省略して構造を簡素化した。また電極ホルダー2は、前後長さを小さくしてリング状に形成し、その周面に設けた連結面92(連結筒壁21に相当)を装着凹部16に嵌込み、電装品支持体91の内面側から電極ホルダー2にねじ込んだビス62で、電極ホルダー2と電装品支持体91を前ケース1aに共締め固定した。電装品支持体91は断面ハット形に形成してあり、その前面に突起34およびねじボス93と、接続端子53用の係合ピン94が形成してある。係合ピン94と正対する電装品ホルダー29の板面には、導通端子54のコイル部55を受止めるピン95が形成してあり、電装品ホルダー29の側から先のねじボス93にビス60をねじ込むことにより、電装品ホルダー29を電装品支持体91に固定している。肌刺激ヘッド3の装着壁43とOリング44は、装着凹部16の底壁と電極ホルダー2の段部24で挟持固定した。
図14は実施例1に係る美容器具の外観6面図、および斜視図を示している。図15は実施例1に係る美容器具の意匠の要部の外観6面図、および斜視図を示しており、意匠の要部を実線で表現し、要部以外の部分は破線で表現している。美容器具を実施する場合には、図14および図15に示す形態で実施するのが好ましい。
上記の実施例では、接続端子53とコイルばね状の導通端子54を介して肌刺激ヘッド3にパルス電流を供給するようにしたが、その必要はなく、肌電極リード57を肌刺激ヘッド3に半田付けしてパルス電流を供給してもよい。弾性体はシール機能を備えたOリング44であることが好ましいが、少なくとも弾性変形力で装着壁43を筒壁31の端部に押付ける弾性体であれば足りる。その場合の弾性体は多角形であってもよく、無端環状である必要もなく、さらに、装着壁43と筒壁31の端部の間に弾性体が配置してあってもよい。