以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、電子部品として、積層セラミックコンデンサを例示して説明を行なう。また、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、実施の形態に係る搬送装置によって搬送される積層セラミックコンデンサの斜視図である。図2は、図1に示すII−II線に沿った積層セラミックコンデンサの断面図である。図3は、図1に示すIII−III線に沿った積層セラミックコンデンサの断面図である。図1から図3を参照して、本実施の形態に係る搬送装置100(図4参照)によって搬送される積層セラミックコンデンサ1について説明する。
図1から図3に示すように、積層セラミックコンデンサ1は、全体として略直方体形状を有する電子部品であり、電子部品素体(セラミック素体)2と一対の外部電極5とを有している。
電子部品素体2は、相対して位置する一対の端面2e,2f(図2参照)と、互いに対向し当該一対の端面2e,2f同士を接続する一対の側面2c,2dと、当該一対の端面2e,2fおよび当該一対の側面2c,2dに直交するように当該一対の端面2e,2f同士を接続する一対の主面2a,2bとを有する。
ここで、上記の略直方体形状には、角部および稜線部の少なくとも一方に丸みを有する直方体も含まれる。また、上記の略直方体形状には、一対の主面、一対の端面および一対の側面のいずれかの面に、無視できる程度の凹凸や段差が形成された略直方体も含まれる。
図2および図3に示すように、電子部品素体2は、所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層3と導電体層としての内部電極層4とによって構成されている。誘電体層3は、たとえばチタン酸バリウムを主成分とするセラミック材料にて形成されている。また、誘電体層3は、後述するセラミックスシートの原料となるセラミック粉末の副成分としてのMn化合物、Mg化合物、Si化合物、Co化合物、Ni化合物、希土類化合物等を含んでいてもよい。一方、内部電極層4は、たとえばNi、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等に代表される金属材料にて形成されている。
電子部品素体2は、誘電体層3の表面に内部電極層4となる導電性ペーストが印刷された素材シートを複数準備し、これら複数の素材シートを積層して圧着することでマザーブロックを形成し、当該マザーブロックを切断することによって個片化されることで製作される。
なお、誘電体層3の材質は、上述したチタン酸バリウムを主成分とするセラミックス材料に限られず、他のセラミックス材料(たとえば、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3等を主成分とするもの)を誘電体層3の材質として選択してもよい。また、内部電極層4の材質も、上述した金属材料に限られず、他の導電材料を内部電極層4の材質として選択してもよい。
図1および図2に示すように、一対の外部電極5は、電子部品素体2の所定方向の両端部の表面を覆うように互いに離間して設けられている。
一対の外部電極5は、たとえば焼結金属層5aとめっき層5b,5cの複層膜にて構成される。焼結金属層5aは、たとえばCu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等のペーストあるいはこれら材料からなる金属粉末を含む導電性ペーストを焼き付けることで形成される。めっき層5bは、たとえばNiめっき層であり、めっき層5cは、たとえばSnめっき層である。なお、めっき層は単層にて構成されていてもよく、Cuめっき層やAuめっき層であってもよい。
図2に示すように、積層方向に沿って誘電体層3を挟んで隣り合う一対の内部電極層4のうちの一方は、積層セラミックコンデンサ1の内部において一対の外部電極5のうちの一方に電気的に接続されており、積層方向に沿って誘電体層3を挟んで隣り合う一対の内部電極層4のうちの他方は、積層セラミックコンデンサ1の内部において一対の外部電極5のうちの他方に電気的に接続されている。これにより、一対の外部電極5間は、複数のコンデンサ要素が電気的に並列に接続された構造となっている。
ここで、図1ないし図3に示すように、一対の端面2e,2fが並ぶ方向を電子部品素体2の長さ方向Lとして定義する。また、一対の側面2c,2dが並ぶ方向であって長さ方向に直交する方向を幅方向Wと定義する。さらに、電子部品素体2における誘電体層3と内部電極層4との積層方向、すなわち、一対の主面2a,2bが並ぶ方向であって長さ方向Lおよび幅方向Wに直交する方向を厚み方向Tと定義する。
このように定義した場合には、積層セラミックコンデンサ1は、長さ方向Lに沿った長さ寸法L1が、幅方向Wに沿った幅寸法W1および厚み方向に沿った厚み寸法T1よりも大きい細長の略直方体形状を有する。この場合において、積層セラミックコンデンサ1の幅寸法W1は、積層セラミックコンデンサ1の厚み寸法T1よりも大きく、長さ方向Lから見た場合に、積層セラミックコンデンサ1は、略長方形形状を有する。すなわち、積層セラミックコンデンサ1の寸法関係において、L1>W1>T1の関係を有する。
ここで、積層セラミックコンデンサ1の長さ寸法L1は、一対の外部電極5のうち長さ方向Lに並ぶ外表面間の距離である。積層セラミックコンデンサ1の幅寸法W1は、一方の外部電極5のうち幅方向Wに並ぶ外表面間の距離である。積層セラミックコンデンサ1の厚み寸法T1は、一方の外部電極5のうち厚み方向Tに並ぶ外表面間の距離である。
図4は、実施の形態に係る搬送装置およびその周辺の構成を示す概略図である。図4を参照して、本実施の形態に係る搬送装置100について説明する。
図4に示すように、本実施の形態に係る搬送装置100は、搬送ステージ10と、搬送プレート20とを備える。
搬送ステージ10は、積層セラミックコンデンサ1を搬送するための搬送面10aを有する。搬送面10aは、たとえば鉛直方向(図中上下方向)と略平行に設けられている。
搬送プレート20は、円盤形状を有する。搬送プレート20は、搬送面10aの法線方向に平行な中心軸Cまわりに回転可能に構成されている。たとえば、搬送プレート20の中央部には、サーボモータ等の駆動モータ(不図示)に接続された回転軸15が連結されている。
搬送プレート20は、複数の収容部30を有する。複数の収容部30は、筒状形状を有する。複数の収容部30は、搬送面10aの法線方向に貫通するように設けられている。複数の収容部30は、上述の略直方体形状を有する積層セラミックコンデンサ1を収容可能に設けられている。
複数の収容部30は、各収容部30の深さ方向と、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向とが略平行となるように収容される。1つの収容部30に1つの積層セラミックコンデンサ1が収容される。
複数の収容部30は、搬送プレート20の径方向に直線状に並ぶ複数個の収容部30が周方向に複数並ぶように設けられている。複数の収容部30は、搬送プレート20が回転することにより、収容領域21、検査領域22、不良品排出領域23,24、および良品排出領域25を順に通過する。
収容領域21では、パーツフィーダ40から複数の積層セラミックコンデンサ1が収容部30に収容される。パーツフィーダ40は、搬送プレート20から見て搬送ステージ10が位置する側とは反対側から搬送プレート20に対向するように設けられている。なお、積層セラミックコンデンサ1を収容部30に収容する具体的な方法について、図8を用いて後述する。
収容部30に収容された積層セラミックコンデンサ1は、検査領域22に搬送される。検査領域22では、積層セラミックコンデンサ1の電気的特性が測定される。たとえば、積層セラミックコンデンサ1の静電容量が測定される。なお、電気的特性の測定の具体的な方法については、図10を用いて、後述する。
当該測定にて、積層セラミックコンデンサ1が不良品であると判断された場合には、当該積層セラミックコンデンサ1は、不良品排出領域23,24にて、不良品回収部61,62に向けて排出される。
不良品回収部61,62には、たとえばホース等によって構成される複数の管状の排出経路51,52が、接続されている。複数の排出経路51,52は、搬送プレート20の径方向に直線状に並ぶ収容部30の個数に応じて設けられている。
複数の排出経路51,52の先端のそれぞれは、不良品排出領域23,24の所定の位置で、搬送プレート20の径方向に並ぶ複数の収容部30の各々に対向する。
一方、上記検査領域22における測定にて、積層セラミックコンデンサ1が良品であると判断された場合には、当該積層セラミックコンデンサ1は、不良品排出領域23,24を通過して、良品排出領域25に搬送される。
良品排出領域25に搬送された良品の積層セラミックコンデンサ1は、良品回収部63に向けて排出される。
良品回収部63には、たとえばホース等によって構成される複数の管状の排出経路53が、接続されている。複数の排出経路53は、搬送プレート20の径方向に並ぶ収容部30の個数に応じて設けられている。
複数の排出経路53の先端のそれぞれは、良品排出領域25の所定の位置で、搬送プレート20の径方向に並ぶ複数の収容部30の各々に対向する。
図5は、実施の形態に係る搬送装置の収容部の開口形状を示す図である。図5は、収容部30の法線方向から見た場合の収容部30の開口面を示している。図5を参照して、実施の形態に係る搬送装置の収容部30の開口形状について説明する。
図5に示すように、収容部30の開口面の周縁は、二点鎖線に示す仮想四角形Vの4つの辺上にそれぞれ配置される第1辺部31、第2辺部32、第3辺部33および第4辺部34と、4つの角部35,36,37,38とを含む。仮想四角形Vの各辺の長さは、Xとする。なお、本実施の形態においては、仮想四角形が仮想正方形である場合を例示している。
第1辺部31と第3辺部33とは、第1方向に互いに対向するように配置される。第2辺部32と第4辺部34とは、第1方向に直交する第2方向に互いに対向するように配置される。
第1辺部31と第2辺部32とは互いに同じ長さを有する。第1辺部31および第2辺部32の長さは、それぞれZとする。第3辺部33と第4辺部34とは、第1辺部31および第2辺部32の長さよりも短く、互いに同じ長さを有する。第3辺部33および第4辺部34の長さは、それぞれYとする。
角部35は、第1方向の一方側に位置する第3辺部33の一端33aと第2方向の一方側に位置する第4辺部34の一端34aとを接続する。角部35は、円弧状の曲線部によって丸められて構成される。
角部35において、第1方向の一方側に位置する第4辺部34の一端34aと第2方向の一方側に位置する第3辺部33の一端33aとの間の第1方向および第2方向の各々における距離は、r1とする。
角部36は、第1方向の一方側に位置する第2辺部32の一端32aと第2方向の他方側に位置する第3辺部33の他端33bとを接続する。角部36は、外側に凸となる円弧状の曲線部によって構成される。
角部36において、第1方向の一方側に位置する第2辺部32の一端32aと第2方向の他方側に位置する第3辺部33の他端33bとの間の第1方向および第2方向の各々における距離は、r2とする。
角部37は、第1方向の他方側に位置する第4辺部34の他端34bと第2方向の一方側に位置する第1辺部31の一端31aとを接続する。角部37は、外側に凸となる円弧状の曲線部によって構成される。
角部37において、第1方向の他方側に位置する第4辺部34の他端34bと第2方向の一方側に位置する第1辺部31の一端31aとの間の第1方向および第2方向の各々における距離は、r3とする。
角部38は、第1方向の他方側に位置する第2辺部32の他端32bと第2方向の他方側に位置する第1辺部31の他端31bとを接続する。角部38は、外側に凸となる円弧状の曲線部によって構成される。
角部38において、第1方向の他方側に位置する第2辺部32の他端32bと第2方向の他方側に位置する第1辺部31の他端31bとの間の第1方向および第2方向の各々における距離は、r4とする。
この場合において、角部35を構成する曲線部の曲率半径は、角部36,37,38を構成する曲線部の曲率半径のそれぞれよりも大きい。すなわち、r1は、r2,r3およびr4の各々よりも大きい。なお、r1>r2=r3≧r4の関係を満たしてもよい。
また、第1辺部31と第3辺部33との距離および第2辺部32と第4辺部34との距離である上記仮想正方形Vの1辺の長さXと、第3辺部33および第4辺部34の各々の長さYと、積層セラミックコンデンサ1の幅寸法W1との関係は、L1>X>W1>Yとの関係を満たす。
L1>X>W1の関係を有することにより、T1<W1<L1の寸法関係を有する積層セラミックコンデンサ1が、収容部30の深さ方向と積層セラミックコンデンサ1の長さ方向とが略平行となるように、収容部30に収容される。なお、収容部30の深さをDとすると、0.9L1≦D≦1.1L1であることが好ましい。
さらに、上記Xと、積層セラミックコンデンサ1の幅寸法W1と、積層セラミックコンデンサ1の厚み寸法T1と、の関係においては、X>W1>T1>1/2Xの関係を満たす。このような関係を満たすことにより、1つの収容部30内に2つの積層セラミックコンデンサ1が収容されることを防止することができる。
図6および図7は、実施の形態に係る搬送装置の収容部に収容された積層セラミックコンデンサの状態の一例および他の例を示す。図6および図7を参照して、収容部30に収容された積層セラミックコンデンサ1の状態の一例および他の例について説明する。
図6および図7に示す収容部においては、上述のr2,r3およびr4のいずれもが0であり、角部36,37,38が直角である。また、収容部30に収容されている積層セラミックコンデンサ1を実線または一点鎖線にて示している。
実線で示される積層セラミックコンデンサは、積層セラミックコンデンサの厚み寸法T1と、第3辺部33および第4辺部34の各々の長さYとの関係において、T1<Yを満たす。
一点鎖線で示される積層セラミックコンデンサは、積層セラミックコンデンサの厚み寸法T1と、第3辺部33および第4辺部34の各々の長さYとの関係において、T1>Yを満たす。
図6に示すように、収容部30に収容された積層セラミックコンデンサ1の状態の一例においては、積層セラミックコンデンサ1の幅方向は、第1辺部31と第3辺部33とが並ぶ第1方向と平行となっている。
図7に示すように、収容部30に収容された積層セラミックコンデンサ1の状態の他の例においては、積層セラミックコンデンサ1の幅方向は、第2辺部32と第4辺部34とが並ぶ第2方向と平行となっている。
図6および図7に示すように、収容部30の開口形状をほぼ正方形にし、4つの角部のうち一つの角部の曲率半径を他の角部より大きくすることで、積層セラミックコンデンサ1の幅方向が、第1方向から第2方向の間でランダムに角度が変わる場合でも、積層セラミックコンデンサ1を収容部30に収容できる機会が増え、これにより、積層セラミックコンデンサ1を良好に収容することができ、収容部30への積層セラミックコンデンサ1の充填率を向上させることができる。
角部35を円弧状の曲線部によって構成することにより、収容部30に収容された積層セラミックコンデンサ1が搬送中に収容部30内で意図しない方向に動いた場合には、比較的短い距離の移動で積層セラミックコンデンサ1が角部35に突き当たる。
一方、角部35が直角で構成されている場合には、積層セラミックコンデンサ1の幅方向が第1の方向に沿うか、もしくは第2の方向に沿うかのいずれかの場合の二つしかなく、収容部30に収容できる機会が減り、充填率が低下する。
なお、角部35を構成する円弧状の曲線部の曲率半径r1は、仮想正方形の1辺の長さの略半分程度、すなわち1/2X程度が好ましい。
さらに、積層セラミックコンデンサの厚み寸法T1と、第3辺部33および第4辺部34の各々の長さYとの関係においては、T1>Yを満たすことが好ましく、この場合には、収容された積層セラミックコンデンサ1と収容部30の内壁との間に形成される隙間を狭くすることができる。
この場合においては、積層セラミックコンデンサ1を収容部30に収容する際に、十分なスペースを確保しつつ、搬送中に積層セラミックコンデンサ1が移動した際に、収容部の内壁に積層セラミックコンデンサ1が突き当たるまでの移動距離をさらに短くすることができる。これにより、積層セラミックコンデンサ1が収容部30から脱落することをさらに抑制することができる。
図8は、実施の形態に係る搬送装置の収容部に積層セラミックコンデンサが収容されている様子を示す図である。図8を参照して、収容部30に積層セラミックコンデンサ1が収容される様子について説明する。
図8に示すように、収容領域21において、搬送ステージ10は、複数の吸引穴11を有する。複数の吸引穴11は、収容領域21の所定の位置に位置する複数の収容部30に連通するように設けられている。
複数の吸引穴11は、搬送プレート20の径方向に平行な方向に直線状に並ぶ複数個の吸引穴11が搬送プレート20の周方向に平行な方向に複数並ぶように設けられている。複数の吸引穴11は、減圧装置(不図示)に接続されている。
パーツフィーダ40の先端には、搬送プレート20に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面41が設けられている。傾斜面41には、複数の積層セラミックコンデンサ1が様々な方向を向いた状態で載置されている。
減圧装置によって複数の吸引穴11が負圧にされることにより、これに連通する複数の収容部30も負圧となる。これにより、パーツフィーダ40の先端側に位置する複数の積層セラミックコンデンサ1のそれぞれが、収容部30に取り込まれていく。
図9は、実施の形態に係る搬送装置によって積層セラミックコンデンサが搬送されている様子を示す図である。図9を参照して、搬送装置100によって積層セラミックコンデンサ1が搬送される様子について説明する。
収容領域21の以外の領域においても、搬送ステージ10は、複数の吸引穴12を有する。複数の吸引穴12は、複数の収容部30に対応して設けられている。複数の吸引穴12は、搬送プレート20の径方向に平行な方向に直線状に並ぶ複数個の吸引穴12が搬送プレート20の周方向に平行な方向に複数並ぶように設けられている。
複数の吸引穴12は、上記径方向に平行な方向において、複数の収容部30が径方向に並ぶピッチとほぼ同一のピッチで設けられている。複数の吸引穴12は、上記周方向に平行な方向において、複数の収容部30が周方向に並ぶピッチとほぼ同一のピッチで設けられている。
これにより、複数の吸引穴12は、搬送プレート20が周方向に回転し複数の積層セラミックコンデンサ1が搬送される際に、常に複数の収容部30に連通する。
図9においては、複数の吸引穴12は、収容部30内に設けられた凹部26に対向している。凹部26は、搬送ステージ10側に位置する収容部30の開口面に達する内壁の一部が、搬送プレート20の周方向外側に凹むことにより設けられている。
減圧装置によって複数の吸引穴12が負圧にされることにより、これに連通する複数の収容部30も負圧となる。これにより、収容部30に収容された積層セラミックコンデンサ1も搬送面10a側に引き込まれた状態が維持され、積層セラミックコンデンサ1が収容部30から脱落することを抑制する。
図10は、実施の形態に係る搬送装置に設けられた検査領域にて積層セラミックコンデンサが検査されている様子を示す図である。図10を参照して、検査領域22にて積層セラミックコンデンサ1が検査される様子について説明する。
検査領域22において、搬送プレート20の周囲には、検査装置70が設けられている。検査装置70は、装置本体70a、可動プローブ71、接続ケーブル72、固定プローブ73、および接続ケーブル74を含む。
装置本体70aは、測定器、制御部等を有する。可動プローブ71は、接続ケーブル72によって装置本体70aに接続されている。可動プローブ71は、搬送プレート20から見た場合に、搬送ステージ10が位置する側とは反対側に設けられている。
可動プローブ71は、収容部30の軸方向、すなわち搬送面10aの法線方向に移動可能に構成されている。可動プローブ71は、積層セラミックコンデンサ1の一方側の外部電極5に接触可能に設けられている。
固定プローブ73は、接続ケーブル74によって装置本体70aに接続されている。固定プローブ73は、搬送ステージ10に固定されている。固定プローブ73は、搬送ステージ10に設けられた挿入部に差し込まれている。固定プローブ73の先端73aは、搬送ステージ10側に位置する収容部30の開口面に達する。固定プローブ73の先端73aは、積層セラミックコンデンサ1の他方の外部電極5に接触可能に設けられている。
搬送プレート20が回転して、可動プローブ71と固定プローブ73との間に積層セラミックコンデンサ1が位置した際に、可動プローブ71を積層セラミックコンデンサ1に向けて移動させる。可動プローブ71および固定プローブ73を積層セラミックコンデンサ1の一対の外部電極5に接触させて、積層セラミックコンデンサ1の電気的特性である静電容量や絶縁抵抗値を測定する。これにより、積層セラミックコンデンサ1が良品であるか不良品であるかが判断される。
図11は、実施の形態に係る搬送装置に設けられた不良品排出領域にて積層セラミックコンデンサが収容部から排出されている様子を示す図である。図11を参照して、不良品排出領域23にて積層セラミックコンデンサ1が排出される様子について説明する。
不良品排出領域23においては、搬送ステージ10は、複数のガス導入路13を有する。複数のガス導入路13は、不良品排出領域23の所定の位置にする複数の収容部30に対応して設けられている。
複数のガス導入路13は、搬送プレート20の径方向に平行な方向に直線状に並ぶ複数個のガス導入路13が並ぶことによって構成されている。なお、複数個のガス導入路13が搬送プレート20の周方向に平行な方向に複数並んでいてもよい。
複数のガス導入路13は、不良品排出領域23の所定の位置にする複数の収容部30に連通するように設けられている。複数のガス導入路13は、圧縮機に接続されている。複数のガス導入路13は、圧縮機にて圧縮されたガスを収容部30に向けて導入可能に構成されている。
搬送プレート20から見て搬送ステージ10が位置する側とは反対側には、支持プレート27が配置されている。支持プレート27は、ホース等によって構成される複数の排出経路51を支持する。
複数の排出経路51の先端のそれぞれは、不良品排出領域23の所定の位置に位置する複数の収容部30の各々に対向する。
搬送プレートが回転して、不良品と判断された積層セラミックコンデンサ1の一部を収容する収容部30が、所定の位置でガス導入路13と連通した際に、ガス導入路13から圧縮ガスが収容部30に導入される。
これにより、上記検査領域22にて不良品と判断された積層セラミックコンデンサ1の一部が、収容部30から排出経路51に排出され、不良品回収部61(図4参照)に回収される。
搬送装置100は、不良品排出領域24においても、不良品排出領域23とほぼ同等の構成を有する。上記検査領域22にて不良品と判断された積層セラミックコンデンサの残りは、不良品排出領域24にて、収容部30から排出経路52(図4参照)に排出され、不良品回収部62に回収される。
搬送装置100は、良品排出領域25においても、不良品排出領域23とほぼ同等の構成を有する。上記検査領域22にて良品と判断された積層セラミックコンデンサ1は、良品排出領域25にて、収容部30から排出経路53(図4参照)に排出され、良品回収部63に回収される。
(検証実験)
本発明の効果を検証するために互いに異なる開口形状を有する収容部を含む3種類の搬送プレートを準備して、取り扱う積層セラミックコンデンサの総数に対して、収容部30に収容された積層セラミックコンデンサの数と、搬送中に収容部30から脱落した積層セラミックコンデンサ1の数とをそれぞれ確認した。
互いに異なる3種類の収容部として、実施例1に係る収容部、比較例1,2における収容部を準備した。実施例1に係る収容部は、実施の形態に係る収容部に準拠した開口形状を有する。比較例1,2における収容部の開口形状は、実施の形態に係る収容部の開口形状と異なる。
なお、積層セラミックコンデンサ1のサイズは、同じものを用いた。積層セラミックコンデンサ1の長さ寸法L1は、3.2mmとした。積層セラミックコンデンサ1の幅寸法W1は、2.5mmとした。積層セラミックコンデンサ1の厚み寸法T1は、2.0mmとした。
図12は、実施例1における収容部の開口形状を示す図である。図12を参照して、実施例1における収容部30Aの開口形状について説明する。
図12に示すように、実施例1に係る収容部30Aの開口形状においては、r2=r3=r4=0とし、r1=1.5mmとした。このように、第3辺部33と第4辺部との間に設けられた角部を曲線部によって構成し、角部36,37,38を直角に構成した。
また、第1辺部31および第2辺部32の長さをそれぞれ2.9mmとし、第3辺部33および第4辺部34の長さをそれぞれ1.4mmとした。
この場合においては、1181個の積層セラミックコンデンサに対して、961個のワークが収容部30に収容された。また、収容部30Aに収容された961個の積層セラミックコンデンサ1のうち収容部30から脱落したものは、0個であった。
図13は、比較例1における収容部の開口形状を示す図である。図13を参照して、比較例1における収容部30X1の開口形状について説明する。
図13に示すように、比較例1における収容部30X1の開口形状においては、互いに対向する2組みの対辺のうち一方の対辺の長さを2.35mm(縦幅)とし、他方の対辺の長さ(横幅)を2.85mmとした。
この場合においては、1181個の積層セラミックコンデンサに対して、478個のワークが収容部30に収容された。また、収容部30に収容された478個の積層セラミックコンデンサ1のうち収容部30X1から脱落したものは、0個であった。
図14は、比較例2における収容部の開口形状を示す図である。図14を参照して、比較例2における収容部30X2の開口形状について説明する。
図14に示すように、比較例2における収容部30X2の開口形状においては、互いに対向する2組みの対辺のうち一方の対辺の長さを2.90mmとし、他方の対辺の長さを2.90mmとした。
この場合においては、1181個の積層セラミックコンデンサに対して、1081個のワークが収容部30X2に収容された。また、収容部30に収容された1081個の積層セラミックコンデンサ1のうち収容部30X2から脱落したものは、4個であった。
これらの結果を考察すると、比較例1においては、開口形状が狭く、積層セラミックコンデンサ1の厚み方向と、開口形状の縦幅の向きとが揃わずに大きくずれるような場合には、積層セラミックコンデンサ1を収容部に収容できず、収容できた数が少なくなったと言える。
一方、比較例2においては、開口形状が略正方形形状であり、その1辺の長さを積層セラミックコンデンサ1の幅方向よりも相当程度大きくすることにより、積層セラミックコンデンサの向きに因らず、多数の積層セラミックコンデンサ1を収容することができたと言える。
しかしながら、搬送中においては、収容部に収容された積層セラミックコンデンサ1と収容部の内壁との間の隙間が広くなり、積層セラミックコンデンサ1の一部が収容部から脱落したと言える。
実施例1においては、比較例2と比較して1つの角部を大きな曲線部で構成することにより、開口面積が小さくなるものの、積層セラミックコンデンサ1を収容するのに十分なスペースが確保されており、多数の積層セラミックコンデンサ1を収容することができたと言える。
また、角部35を円弧状の曲線部によって構成することにより、収容部に収容された積層セラミックコンデンサと収容部の内壁との間の隙間を、比較例2よりも狭くすることができ、搬送中の積層セラミックコンデンサ1が収容部から脱落することを抑制できたと言える。
以上のように、本実施の形態に係る開口形状を有する収容部を有する搬送装置100は、積層セラミックコンデンサ1を収容部30に良好に収容でき、かつ、収容部30から積層セラミックコンデンサ1が脱落することを抑制できることが実験的にも確認されたと言える。
上述した実施の形態においては、搬送ステージ10の搬送面10aが、鉛直方向と略平行に設けられている場合を例示して説明したが、これに限定されず、搬送面10aが鉛直方向に平行な平面と60°以下の角度で交差するように設けられていてもよい。これに伴って、搬送面10aに平行に設けられた搬送プレート20の主面も、鉛直方向に平行な平面と60°以下の角度で交差するように設けられていてもよい。
搬送面10aおよびこれに平行な搬送プレート20の主面が鉛直方向に対して傾斜して設けられることにより、搬送中に積層セラミックコンデンサ1が収容部30から脱落することを抑制することができる。また、このような角度に構成することにより、積層セラミックコンデンサ1が収容部30に良好に収容される状態を維持することができる。
上述した実施の形態においては、電子部品が積層セラミックコンデンである場合を例示して説明したが、これに限定されず、電子部品として圧電部品、サーミスタ、インダクタ等の外部電極を備える各種の電子部品を採用することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。