JP6554073B2 - 内燃機関の制御装置及びノック判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関におけるノック発生を検知する内燃機関の制御装置及びノック判定方法の技術に関する。
近年、自動車等の車両において、燃費や排気に関する規制が強化される傾向にある。そのような規制は今後も益々強くなると考えられている。特に、燃費に関する規制は、近年の燃料価格におけるボラリティの高さ、地球温暖化への影響、エネルギ資源枯渇等の問題により、極めて関心の高い事項である。
このような状況下において、例えば自動車産業では、車両の燃費性能や排気性能の向上を目的とした様々な技術開発が進められている。そのような燃費性能の向上を目的とした開発技術の一つとして、例えば、内燃機関の圧縮比を上げる高圧縮比化技術がある。また、排気性能の向上を目的とした開発技術の一つとして、例えば、吸気行程時に複数回に分けて燃料を噴射し、一回当たりの燃料噴射量を低減してPN(Particulate Number)を低減する多段噴射技術がある。
ところで、前記した高圧縮比化技術では、内燃機関の圧縮比が上がることにより、熱効率が向上して燃費が改善する。しかし、高圧縮比化技術では、燃焼室内の温度が上昇してノッキングが発生し易くなることが知られている。
そのため、従来の内燃機関においては、ノッキング発生時に特定の周波数信号レベルが上昇することを利用することが行われている。すなわち、シリンダブロックに振動型のノックセンサが取り付けられる。そして、このノックセンサから出力される所定のクランク角度の区間の信号をFFT(高速フーリエ変換)解析してノッキングの発生が検出されている。
しかしながら、ノックセンサは、内燃機関の振動を伝えるものであるため、ノック判定角度区間にインジェクタノイズ等の外乱ノイズが発生すると、その外乱ノイズをノッキングと誤検出してしまう可能性がある。そのため、ノック判定角度区間に燃料噴射時期を設定することができず、例えばPNを低減する多段噴射技術のポテンシャルを十分に発揮できないといった問題が生じ得る。なお、ノック判定角度区間とは、ノックが生じやすいクランク角度の区間である。
このような問題に対し、特許文献1には、「ノックセンサの出力信号を複数のバンドパスフィルタで処理して複数の周波数帯f1〜f4の振動波形成分を抽出し、各周波数帯の振動波形成分に乗算する重み係数G1〜G4を、各周波数帯のノイズ強度が大きいほど小さい値に設定する。これにより、複数の周波数帯の振動波形成分を、各周波数帯のノイズ強度による影響度に応じた重み付けで合成することができるので、いずれかの周波数帯の振動波形成分にノイズが重畳している場合でも、そのノイズの影響を低減して各周波数帯の振動波形成分を合成することが可能となり、その合成振動波形に基づいて精度の良いノック判定を行うことができる」内燃機関のノック判定装置が開示されている(要約参照)。
特開2009−42027号公報
ノッキングの判定は、ノック判定角度区間におけるノックセンサ信号に基づいて行われる。しかし、ノック判定角度区間に外乱ノイズが含まれるか否かは内燃機関の制御状態によって決まる。そのため、ノッキング起因で発生する振動の周波数帯と、外乱ノイズ起因で発生する振動の周波数帯とが互いに近い場合であっても、ノック判定角度区間に外乱ノイズが含まれていなければ、外乱ノイズの影響を受けることなくノック周波数帯強度を得ることができる。
特許文献1に記載の技術では、外乱ノイズが生じていない場合でも、ノックの周波数を下げてしまうため、正しいノック周波数帯強度を得ることができないという課題がある。
さらに、特許文献1では、各周波数帯の振動波形成分に乗算する重み係数を、各周波数帯のノイズ強度が大きいほど小さい値に設定する。しかし、ノックの周波数帯強度や外乱ノイズの周波数帯強度は常に一定の大きさで現れるものではなく、サイクル毎に強度が変動することが発明者らの実験により確認されている。そのため、ノック判定角度区間に外乱ノイズが含まれていた場合、この外乱ノイズがノック周波数帯強度に与える影響度は、内燃機関のサイクル毎に変動する。また、外乱ノイズの影響度はノック起因で発生する振動の周波数帯と外乱ノイズ起因で発生する振動の周波数帯との重なり具合によっても異なる。そのため、特許文献1のように、外乱ノイズの周波数帯強度が高いほど各周波数帯の振動波形成分に乗算する重み計数を小さく設定しておけばよいとは限らない。
このように、特許文献1に記載の技術では、サイクル毎に変動する外乱ノイズ影響に応じてノック周波数帯強度を補正することが困難になるといった課題がある。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、ノック判定の精度を向上させることを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、ノック計測部が計測したノック信号からノックに特有の周波数帯であるノック周波数帯を抽出するノック用フィルタ処理部と、外乱ノイズに特有の周波数帯である外乱ノイズ周波数帯を抽出する外乱ノイズ用フィルタ処理部と、前記ノック用フィルタ処理部が抽出した前記ノック周波数帯におけるノック周波数に対する、前記外乱ノイズ用フィルタ処理部が抽出した前記外乱ノイズ周波数帯における外乱ノイズ周波数の影響度を算出する影響度算出部と、前記影響度を基に、ノッキングが発生しているか否かを判定する判定部と、前記影響度を基に、ノック判定基準量の補正量を決定し、前記補正量によって、ノック判定基準量を補正する補正部と、を有し、前記ノック周波数帯及び前記外乱ノイズ周波数帯は複数存在し、どの前記ノック周波数帯と、どの前記外乱ノイズ周波数帯とが隣接しているかを示す情報が予め設定されており、前記判定部は、前記補正されたノック判定基準量を基に、ノッキングが発生しているか否かを判定し、前記補正部は、抽出された前記ノック周波数及び前記外乱ノイズ周波数のうち、互いに隣接している前記ノック周波数及び外乱ノイズ周波数に対して、前記影響度を算出することを特徴とする。
その他の解決手段については後記する。
本発明によれば、ノック判定の精度を向上させることができる。
前記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
第1実施形態に係る内燃機関の全体構成を示す図である。 第1実施形態に係るECUの構成を示す図である。 第1実施形態に係る制御プログラムの構成を示す図である。 バンドパスフィルタ特性を示す図である。 ノック周波数帯強度と外乱ノイズ周波数帯強度が発生する周波数帯の一例を示す図である。 ノック判定角度区間にノックのみが発生している場合における、ノック周波数帯Fs2のノック周波数帯強度を示す図である。 ノックが発生しておらず、ノック判定角度区間に外乱ノイズが含まれている場合における、外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。 ノックが発生し、さらにノック判定角度区間に外乱ノイズが含まれている場合におけるノック周波数帯強度を示す図である。 外乱ノイズ非混入の場合における、ノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。 外乱ノイズ非混入の場合における信号がノック用フィルタ処理部を通過した後のノック周波数帯強度を示す図である。 外乱ノイズ非混入の場合における信号が外乱ノイズ用フィルタ処理部を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。 ノック周波数帯強度が外乱ノイズ周波数帯強度より大きい場合におけるノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。 ノック周波数帯強度が外乱ノイズ周波数帯強度より大きい信号が、ノック用フィルタ処理部を通過した後のノック周波数帯強度を示す図である。 ノック周波数帯強度が外乱ノイズ周波数帯強度より大きい信号が、外乱ノイズ用フィルタ処理部を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。 ノック周波数帯強度と、外乱ノイズ周波数帯強度とが、同程度の場合におけるノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。 ノック周波数帯強度と、外乱ノイズ周波数帯強度とが、同程度の信号がノック用フィルタ処理部を通過した後のノック周波数帯強度を示す図である。 ノック周波数帯強度と、外乱ノイズ周波数帯強度とが、同程度の信号が、外乱ノイズ用フィルタ処理部を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度を示している。 外乱ノイズ周波数帯強度が、ノック周波数帯強度より大きい場合におけるノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。 外乱ノイズ周波数帯強度が、ノック周波数帯強度より大きい信号が、ノック用フィルタ処理部を通過した後のノック周波数帯強度を示す図である。 乱ノイズ周波数強度が、ノック周波数帯強度より大きい信号が、外乱ノイズ用フィルタ処理部を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。 第1実施形態に係る内燃機関の制御装置における処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る補正要否フラグテーブルの例を示す図である。 第1実施形態に係るノック周波数帯強度補正テーブルの一例を示す図である。 第1実施形態に係るノック周波数帯強度補正部の詳細な機能ブロック図である。 第1実施形態に係るバックグラウンドレベル算出部の詳細な機能ブロック図である。 第1実施形態に係るノック判定処理部の詳細な機能ブロック図である。 第2実施形態に係る制御プログラムの構成を示す図である。 第2実施形態に係る内燃機関の制御装置における処理手順を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
[本実施形態の概要]
本実施形態は、クランク角度センサと、ノックセンサから得られる情報を基に、ノックが発生するクランク角度の区間であるノック判定角度区間のノックセンサ信号を取得する。
そして、ノック角度判定区間での、ノック周波数帯強度に対する外乱ノイズ周波数帯強度の影響度を算出し、この影響度を基にノック周波数帯強度もしくはノック判定のためのスライスレベル(閾値)を補正する。
そこで、本実施形態では、まず、ノック周波数帯強度の補正を行う第1実施形態から説明する。第1実施形態では、まず、内燃機関の全体構成を説明する。その後、制御装置であるECU(Electric Control Unit)の説明を行い、本実施形態における制御を行うためのプログラム構成を説明する。
その後、前記した影響度(本実施形態では強度比率差分)の考え方を説明し、フローチャートの説明を行う。
続いて、スライスレベルを補正する第2実施形態の説明を行う。
[第1実施形態]
(内燃機関)
図1は、第1実施形態に係る内燃機関の全体構成を示す図である。
図1に示す内燃機関Zは、例えば、火花点火式燃焼を実施する自動車用4気筒ガソリンエンジンを示したものである。
内燃機関(エンジン)Zは、エアフローセンサ20と、電子制御スロットル2と、吸気温度センサ15と、吸気圧センサ21とを備えている。
エアフローセンサ20は、吸気管6における吸入空気量を計測する。
電子制御スロットル2は、吸気管6の圧力を調整する。
吸気温度センサ15は、吸入空気温度を計測する。
吸気圧センサ21は、吸気管6内の圧力を計測する。
また、内燃機関Zは、シリンダヘッド7において、気筒C(C1〜C4)と、インジェクタ3と、点火システム4とを備えている。
インジェクタ3は、各吸気管6と連通する気筒C(C1〜C4)毎に、各気筒Cの燃焼室12の内部に燃料を噴射する燃料噴射装置であり、筒内直接噴射用インジェクタとも称される。
点火システム4は、混合気に着火するためのシステムであり、シグナルジェネレータ、イグニッションコイル、ディストリビュータ、点火プラグ等を有する。
さらに、内燃機関Zは、冷却水温度センサ14と、可変バルブ5とを備えている。
冷却水温度センサ14は、シリンダヘッド7に備えられ、内燃機関Zの冷却水温度を計測する。
可変バルブ5は、気筒C内に流入する吸入ガスを調整する吸気バルブ可変装置5aと、気筒C内から排出される排気ガスを調整する排気バルブ可変装置5bとから構成される。ここで、可変バルブ5は、吸気バルブ可変装置5aや排気バルブ可変装置5bの位相角を検出する位相角センサ(不図示)を有している。ECU1は、可変バルブ5(特に吸気バルブ可変装置5aや排気バルブ可変装置5b)の位相角を調整することにより、気筒C1から気筒C4までの各気筒Cの吸気量や、EGR(Exhaust Gas Recirculation)量等を調整する。
また、内燃機関Zのインジェクタ3には、当該インジェクタ3に高圧燃料を供給するための高圧燃料ポンプ17が燃料配管を介して接続されている。また、燃料配管には、燃料圧力を計測する燃料圧力センサ18が設けられている。
さらに、内燃機関Zのクランク軸(不図示)には、その回転角度を算出するクランク角度センサ13が設けられている。そして、内燃機関Zのシリンダブロック(不図示)には、内燃機関Zの振動を検出するノックセンサ(ノック計測部)22が設けられている。
また、内燃機関Zは、三元触媒10と、空燃比センサ9と、排気温度センサ11とを備えている。
三元触媒10は、排気管8に設置され、排気を浄化する。
空燃比センサ9は、三元触媒10の上流側で排気の空燃比を検出する。
排気温度センサ11は、三元触媒10の上流側で排気温度を計測する。
また、符号23は、カムシャフトである。
そして、内燃機関Zは、当該内燃機関Zの燃焼状態を制御するECU(Engine Control Unit))1を備えている。ECU1は、エアフローセンサ20、空燃比センサ9、冷却水温度センサ14、吸気温度センサ15等から信号を取得する。さらに、ECU1は、排気温度センサ11、クランク角度センサ13、燃料圧力センサ18、吸気圧センサ21、点火システム4、可変バルブ5、ノックセンサ22等から信号を取得する。また、ECU1は、アクセルペダルの踏み込み量、すなわちアクセル開度を検出するアクセル開度センサ16からの信号も取得する。
このうち、本実施形態において重要な信号は、クランク角度センサ13及びノックセンサ22から取得される信号である。
ECU1は、アクセル開度センサ16から得られる信号に基づいて内燃機関Zへの要求トルクを算出する。なお、ECU1の詳細については後記する。
また、ECU1は、クランク角度センサ13から得られる信号に基づいて内燃機関Zの回転速度を算出する。さらに、ECU1は、前記した各種センサの出力から得られる信号に基づいて内燃機関Zの運転状態を算出する。そして、ECU1は、空気流量、燃料噴射量、点火時期、スロットル開度、可変バルブ5の作動量、燃料圧力等といった内燃機関Zに関する主要な作動量を算出する。
ECU1で算出された燃料噴射量は、開弁パルス信号に変換されてインジェクタ3に送信される。また、ECU1で算出された点火時期で点火されるように生成された点火信号が、ECU1から点火システム4へ送信される。さらに、ECU1で算出されたスロットル開度は、スロットル駆動信号として電子制御スロットル2に送信される。そして、ECU1で算出された可変バルブ5の作動量は、可変バルブ駆動信号として可変バルブ5へ送信される。さらに、ECU1で算出された燃料圧力は、高圧燃料ポンプ駆動信号として高圧燃料ポンプ17へ送信される。
ECU1からインジェクタ3へ送信された開弁パルス信号に基づいて、吸気管6から吸気バルブ(不図示)を介して燃焼室12内に流入した空気に対しインジェクタ3から所定量の燃料が噴射される。これにより、混合気が形成される。
また、燃焼室12内に形成された混合気は、点火信号に基づいて所定の点火時期で点火システム4の点火プラグ(不図示)から発生される火花により爆発する。そして、この爆発による燃焼圧によりピストン(不図示)が押し下げられて内燃機関Zの駆動力が発生される。爆発後の排気ガスは、排気管8を介して三元触媒10に送出され、排気ガスの排気成分が三元触媒10内で浄化されて外部へ排出される。
(ECU)
図2は、第1実施形態に係るECUの構成を示す図である。
ECU1は、主に、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、入力回路104と、入力ポート及び出力ポートからなる入出力ポート105とを有している。
CPU101は、ROM103に格納されている制御プログラムに従って演算処理を行う。
RAM102には、制御プログラムに従って算出された各アクチュエータの作動量を示す値が格納される。
ROM103には、算出処理内容を記述した制御プログラムが格納されている。
なお、図2において、CPU101、RAM102、ROM103及び入出力ポート105の間の太矢印はバスを示している。
また、ECU1は、制御プログラムによる算出処理に従って、電子制御スロットル2を駆動する電子制御スロットル駆動回路106と、インジェクタ3を駆動するインジェクタ駆動回路107とを有する。さらに、ECU1は、点火システム4を制御する点火制御回路108と、吸気バルブ可変装置5aや排気バルブ可変装置5bを制御する可変バルブ駆動回路109を有する。そして、ECU1は、高圧燃料ポンプ17を駆動する高圧燃料ポンプ駆動回路110を有する。
なお、ECU1内の駆動回路は、これらに限定されない。
さらに、図2に示すように、ECU1の入力回路104には、エアフローセンサ20、点火システム4、空燃比センサ9、排気温度センサ11、クランク角度センサ13等の出力信号が入力される。さらに、入力回路104には、冷却水温度センサ14、吸気温度センサ15、アクセル開度センサ16、燃料圧力センサ18、吸気圧センサ21、ノックセンサ22等の出力信号が入力される。なお、入力回路104に入力される入力信号はこれらに限定されない。入力回路104に入力された各センサの信号は、入出力ポート105内の入力ポートに送信され、RAM102に保管された後、制御プログラムによって演算処理される。
制御プログラムによって算出された各アクチュエータの作動量を示す値(以降、作動量と適宜称する)は、RAM102に保管された後、入出力ポート105内の出力ポートに送信される。その後、作動量は電子制御スロットル駆動回路106、インジェクタ駆動回路107、点火制御回路108、可変バルブ駆動回路109、高圧燃料ポンプ駆動回路110等を介して電子制御スロットル2、インジェクタ3、点火システム4、吸気バルブ可変装置5a、排気バルブ可変装置5b、高圧燃料ポンプ17等に送信される。
ここで、前記したように、ECU1の入力回路104には、ノックセンサ22の出力信号(ノックセンサ信号)が入力されている。ECU1は、入力されたノックセンサ信号に基づいて、制御プログラムが内燃機関Zのノックを検出する。ECU1は、内燃機関Zのノック発生を検出した場合、制御プログラムは、点火制御回路108を介して点火システム4へ制御信号を送信してその点火時期を制御する。
次に、ECU1による内燃機関Zのノック検出方法について、図3〜図26を参照して概説する。
(制御プログラム)
図3は、第1実施形態に係る制御プログラムの構成を示す図である。
なお、図3における各部201〜209の処理の詳細は後記する。
制御プログラムは、信号選択部200、高速ADC(Analog Digital Converter)201、ノック用フィルタ処理部202、ノック周波数帯強度算出部203を有している。さらに、制御プログラムは、外乱ノイズ用フィルタ処理部204、外乱ノイズ周波数帯強度算出部205を有している。また、制御プログラムは、ノック周波数帯強度補正部(影響度算出部、補正部)206、バックグラウンドレベル算出部(バックグラウンドノイズ算出部)207、ノック判定処理部208、ノック回避制御部209を有している。
以下、各部の動作の概要を順に説明する。各部の処理の詳細は後記する。
内燃機関Zの振動をノックセンサ22(図1参照)が電圧信号に変換してECU1へ送信する。すると、信号選択部200が、クランク角度センサ13からの信号を判定し、クランク角度センサ13の信号がノック判定角度区間を示している場合のみ、ノックセンサ22の信号(ノックセンサ信号)を高速ADC201へ出力する。
高速ADC201は、入力されたノックセンサ信号を高速AD変換する。ノック発生時、内燃機関Zに数十kHzの高周波数成分がノックセンサ信号に重畳する。従って、高速ADC201では、サンプリング定理により検出したい周波数の倍以上の周波数でAD変換することが望ましい。例えば、20kHzまでの振動を検出したい場合、高速ADC201は、40kHz(=25μs)以上のサンプリング周波数で高速AD変換する。
高速ADC201によってAD変換された信号は、ノック用フィルタ処理部202と、外乱ノイズ用フィルタ処理部204にそれぞれ出力される。
ノック用フィルタ処理部202は、ノック発生時に特徴的な周波数強度が発生する周波数帯(ノック周波数帯)において、それぞれのノック周波数帯の周波数成分を抽出する。なお、ノック周波数帯は、実験等で予めわかっているものである。ノック用フィルタ処理部202は、ノック周波数帯の周波数成分を抽出するため、ノック周波数帯毎にバンドパスフィルタ(ノック用バンドパスフィルタ)を設定している。ノック周波数帯がn個ある場合、ノック用バンドパスフィルタもFLs1〜FLsnのn個を設定する。ノック用バンドパスフィルタFLs1〜FLsnは、それぞれのフィルタの中心周波数をFs1、Fs2…、Fsnとし、中心周波数から所定の周波数帯の周波数成分のみを通過させるフィルタである。その結果、ノック用フィルタ処理部202は、各ノック周波数帯の周波数成分を抽出することができる。
ノック周波数帯強度算出部203は、ノック用フィルタ処理部202によって抽出された各ノック周波数帯の周波数成分を用いて、各ノック周波数帯の周波数強度であるノック周波数帯強度をそれぞれ算出する。ノック周波数帯強度算出部203による算出結果は、ノック周波数帯強度補正部206へ出力される。
外乱ノイズ用フィルタ処理部204では、外乱ノイズ発生時に特徴的な周波数強度が発生する周波数帯(外乱ノイズ周波数帯)において、外乱ノイズ周波数帯の周波数成分を抽出する。なお、外乱ノイズ周波数帯は実験等で予めわかっているものである。外乱ノイズ用フィルタ処理部204は、外乱ノイズ周波数帯の周波数成分を抽出するため、外乱ノイズ用バンドパスフィルタを設定する。ここで、外乱ノイズ用バンドパスフィルタは、ノック周波数帯と隣接する周波数帯について設定する。ノック周波数帯と隣接する外乱ノイズ周波数帯がm個ある場合、バンドパスフィルタもFLn1〜FLnmのm個設定する。ノック周波数帯と隣接しない周波数帯に外乱ノイズ用のバンドパスフィルタを設定しても、この周波数帯の外乱ノイズはノック周波数帯強度に影響を与えないため、補正には使われない。従って、処理負荷やリソースを低減させる意味でも不要な外乱ノイズ用バンドパスフィルタの設定を行わない方が望ましい。
なお、周波数強度とは、バンドパスフィルタ内の周波数特性において、最も強度の高い部分のことである。多くの場合、中心周波数における強度と一致する。
その結果、外乱ノイズ用フィルタ処理部204は、ノック周波数帯強度に影響を与える外乱ノイズ周波数帯の周波数成分のみを抽出することができる。
外乱ノイズ周波数帯強度算出部205は、外乱ノイズ用フィルタ処理部204によって抽出された各外乱ノイズ周波数帯の周波数成分を用いて、各外乱ノイズ周波数帯の周波数強度である外乱ノイズ周波数帯強度をそれぞれ算出する。外乱ノイズ周波数帯強度算出部205による算出結果は、ノック周波数帯強度補正部206へ出力される。
ノック周波数帯強度補正部206は、各ノック周波数帯の周波数強度において、外乱ノイズの影響を受けていると考えられる周波数帯に対して外乱ノイズ影響分を補正する。なお、ノック周波数帯強度補正部206は、外乱ノイズの影響を受けていない周波数帯のノック周波数帯強度について、外乱ノイズ補正は行わない。
外乱ノイズの影響を受けていると考えられるノック周波数帯強度において、外乱ノイズ影響を補正しないままノック制御を行うと、ノック非発生時にも関わらず、ノック発生と誤検出されてしまうおそれがある。この結果、内燃機関Z(図1参照)の出力低下や燃費悪化が生じるおそれがある。このため、ノック周波数帯強度が、外乱ノイズの影響を受けている場合、外乱ノイズ影響分を補正することによってノック制御を正しく実施する。
ノック周波数帯強度補正部206による算出結果は、バックグラウンドレベル算出部207と、ノック判定処理部208に出力される。
バックグラウンドレベル算出部207は、ノック非発生時のバックグラウンドレベルBGLを各ノック周波数帯でそれぞれ算出する。バックグラウンドレベルBGLは内燃機関Zの各部品の動作に伴い発生するバックグラウンドノイズ(メカニカルノイズ)の大きさである。バックグラウンドノイズの主な原因として、シリンダの回転によるものが多い。各ノック周波数帯のバックグラウンドレベルBGLの算出方法は、後記するように加重平均処理等で行えばよい。バックグラウンドレベル算出部207については後記する。
バックグラウンドレベル算出部207による算出結果は、ノック判定処理部208へ出力される。
ノック判定処理部208は、ノック周波数帯強度補正部206による算出結果と、バックグラウンドレベル算出部207による算出結果と、予め設定されているスライスレベル(閾値)を用いて内燃機関Zにノックが発生しているか否かを判定する。判定方法としては、ノック周波数帯強度補正部206による算出結果と、バックグラウンドレベル算出部207による算出結果との差分もしくは比率を、運転条件毎にあらかじめ設定してあるスライスレベルと比較する。そして、比較の結果、スライスレベルよりも大きい場合、ノック判定処理部208は、ノックが発生していると判定する。
ノック回避制御部209は、ノック判定処理部208においてノックが発生していると判定された場合、ノック回避のための制御を実施する。ノック回避方法としては点火時期を遅角側に動かす方法や、燃料噴射量を増量する等が挙げられるが、燃費・排気影響が少なく、応答性の速い点火時期の遅角化が一般的なノック回避方法である。
(バンドパスフィルタ特性)
図4は、バンドパスフィルタ特性を示す図である。
図4において、横軸は周波数を示し、縦軸はゲイン(dB)を示している。
バンドパスフィルタを構成する場合、中心周波数に対して信号の通過帯域が狭く、中心周波数帯の外側のゲインが低くなるよう設定する。これにより、バンドパスフィルタを通過した信号は中心周波数帯より外側のノイズ成分をほぼ含むことがないため、シグナル(ノック周波数帯強度)とノイズの比率であるSN比が高い。なお、ここでの「ノイズ」とは、外乱ノイズに限らず、一般的な意味でのノイズである。そのため、ノック用フィルタ処理部202(図3参照)及び外乱ノイズ用フィルタ処理部204(図3参照)では、このようなバンドパスフィルタを用いて各周波数帯の周波数強度を得ることが望ましい。
(ノック周波数帯強度と外乱ノイズ周波数帯強度)
図5は、ノック周波数帯強度と外乱ノイズ周波数帯強度が発生する周波数帯の一例を示す図である。
図5の上段及び下段とも、横軸は周波数を示し、縦軸は周波数強度を示している。なお、図5の上段及び下段において、周波数軸は一致している。
なお、以下では、中心周波数がFsnのノック周波数帯をノック周波数帯Fsnと称する。同様に、中心周波数がFnmの外乱ノイズ周波数帯を外乱ノイズ周波数帯Fnmと称する。
図5の上段は、ノック周波数帯強度の特性を示している。図5の上段では、Fs1〜Fs5の周波数帯にノック特有の周波数強度ピークが現れている例を示している。
また、図5の下段は、外乱ノイズの周波数強度特性を示している。図5の下段では、Fn1〜Fn3の周波数帯に外乱ノイズ特有の周波数強度ピークが現れている例を示している。
本来バックグラウンドノイズが、図5の上段及び下段における全周波数帯に含まれるが、バックグラウンドノイズはノックとは無関係に発生するものであるため、説明の簡素化のため図5の上段及び下段では図示省略している。
図5の例では、ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1とが隣接した周波数帯に存在している。すなわち、ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1とは、互いに影響し合っている。
一方、外乱ノイズ周波数帯のFn2やFn3は、いずれのノック周波数帯からも離れた位置に存在しているため、これらの外乱ノイズがノック周波数帯強度に影響することはない。
そのため、外乱ノイズ影響を受けているノック周波数帯Fs2のノック周波数帯強度は外乱ノイズ影響を補正する。一方、外乱ノイズ影響を受けていないノック周波数帯Fs1,Fs3〜Fs5については外乱ノイズ補正を実施しなくてもよい。
(ノック周波数帯強度と外乱ノイズ周波数帯強度)
次に、図6〜図20を参照して、ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1の関係について説明する。適宜、図3を参照する。
なお、図6〜図20において、横軸は周波数を示し、縦軸は周波数強度を示している。また、図6〜図20において、周波数軸は一致している。
<強度比率差分について>
まず、図6〜図8を参照して、外乱ノイズがノック周波数帯強度に影響する一例を説明する。
図6は、ノック判定角度区間にノックのみが発生し、外乱ノイズが含まれていない場合における、ノック周波数帯のノック周波数帯強度を示す図である。
ノック周波数帯Fs2のノック周波数帯強度は、ノック周波数Fs2を中心とするバンドパスフィルタFLs2で構成されている。図6に示す周波数成分は、ノック用フィルタ処理部202通過後の周波数成分に相当する。
ノック発生時に現れる周波数強度ピークの一つがノック周波数Fs2に現れるため、ノック周波数Fs2における周波数強度は高く、ノック周波数Fs2から遠ざかるほど周波数強度は低くなる。そして、バンドパスフィルタの通過帯域外の周波数強度はほぼ得られない。
図7は、ノックが発生しておらず、ノック判定角度区間に外乱ノイズが含まれている場合における、外乱ノイズ周波数帯の外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。参考として、バンドパスフィルタFLs2を併記している。
外乱ノイズ周波数帯Fn1の外乱ノイズ周波数帯強度は、外乱ノイズ周波数Fn1を中心とするバンドパスフィルタFLn1で構成されている。なお、図7に示す周波数成分は、外乱ノイズ用フィルタ処理部204通過後の周波数成分に相当する。
外乱ノイズ発生時に現れる周波数強度ピークの一つが外乱ノイズ周波数Fn1に現れるため、外乱ノイズ周波数Fn1における周波数強度は高く、外乱ノイズ周波数Fn1から遠ざかるほど周波数強度は低くなる。そして、バンドパスフィルタFLn1の通過帯域外の周波数強度はほぼ得られない。
図8は、ノックが発生し、さらにノック判定角度区間に外乱ノイズが含まれている場合におけるノック周波数帯強度を示す図である。
図8では、図6に示すノック周波数帯Fs2のノック周波数帯強度と、図7に示す外乱ノイズ周波数帯強度がともに発生している状態が示されている。
ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1は隣接しており、一部の周波数帯が重なり合っているため、重なり合った部分においては、外乱ノイズ周波数帯強度がノック周波数帯強度に重畳する。そのため、実際にノックで発生している周波数強度は図6に示す大きさであるが、外乱ノイズ影響を受けると図8に示すように、一部が実際よりも大きい周波数強度となってしまう。
図8ではノック判定角度区間にノックが発生している場合を例にして記載しているが、その場合、実際は微小なノックであるにも関わらず、外乱ノイズ影響を受けることで過大なノックと誤検知してしまうおそれが生じる。このため、発生したノック周波数帯強度の大小によりノック回避制御量(例えば点火時期の遅角量)を変更する場合、必要以上に点火時期を遅角させてしまい燃費の悪化に繋がるおそれがある。
また、ノック判定角度区間にノックが発生していなかった場合において、外乱ノイズの影響(図7参照)により、ノックが発生していると誤検知し、本来は実行されなくてもよいノック回避制御が実行されてしまうおそれがある。このような制御が実行されてしまうと、燃費の悪化に繋がるおそれがある。
そのため、ノックが正しく検知されるために、ノック周波数帯に影響を与える外乱ノイズ周波数帯について、ノック発生有無を問わず補正する。
ここで、本実施形態において、ノック周波数帯強度の補正係数を決定する際に使用される強度比率差分ΔRKDについて説明する。
これ以降の説明では、図5において、外乱ノイズの影響をうけるノック周波数帯Fs2に注目し、この周波数強度(ノック周波数帯強度)をSKD2とする。また、図5において、ノック周波数帯Fs2に影響を与える外乱ノイズ周波数帯Fn1の周波数強度(外乱ノイズ周波数帯強度)をNKD1とする。
ここで、ノック周波数帯強度SKD2と前記外乱ノイズ周波数帯強度NKD1のうち、周波数強度の大きい方を割合100%とし、該周波数強度に対する、もう一方の周波数強度の比率を求める。この比率を周波数強度比率と称する。本実施形態の例では、周波数強度比率には、ノック周波数帯強度SKD2に関するノック周波数強度比率RSKD2と、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1に関する外乱周波数帯強度比率RNKD1とがある。
つまり、ノック周波数帯強度SKD2の方が、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1より大きい場合、ノック周波数帯強度SKD2を100%とし、このノック周波数帯強度SKD2に対する外乱ノイズ周波数帯強度NKD1の比率をx(0≦x<100)%とする。
例えば、ノック周波数帯強度SKD2の方が外乱ノイズ周波数帯強度NKD1よりも大きく、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1がノック周波数帯強度SKD2の半分の大きさであるとする。このような場合、ノック周波数帯強度比率RSKD2及び外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKD1は、以下のようになる。
RSKD2=100%
RNKD1=50%
また、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1の方が、ノック周波数帯強度SKD2より大きい場合、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1を100%とし、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1に対するノック周波数帯強度SKD2の比率をx(0≦x<100)%とする。
例えば、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1の方がノック周波数帯強度SKD2よりも大きく、ノック周波数帯強度SKD2が外乱ノイズ周波数帯強度NKD1の半分の大きさであるとする。このような場合、ノック周波数帯強度比率RSKD2及び外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKD1は、以下のようになる。
RSKD2=50%
RNKD1=100%
そして、以下の式(1)に示すように、ノック周波数帯強度比率RSKD2から外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKD1を引いた差分を強度比率差分ΔRKDとする。
ΔRKD=RSKD2−RNKD1 ・・・ (1)
ここで、−100%≦ΔRKD≦+100%である。
強度比率差分ΔRKDは、ノック周波数に対して、どのくらい外乱ノイズ周波数が影響しているのかを示す評価値である。つまり、ノック周波数に対する外乱周波数の影響度である。
強度比率差分ΔRKDが+側であれば、ノック周波数帯強度SKD2の方が、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1よりも大きいことを示している。そして、強度比率差分ΔRKDが+側に大きな値であればあるほど、ノック周波数帯強度SKD2が外乱ノイズ周波数帯強度NKD1よりも大きいことを示している。すなわち、外乱ノイズ周波数の影響が小さいことを示している。
また、強度比率差分ΔRKDが−側であれば、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1の方が、ノック周波数帯強度SKD2よりも大きいことを示している。そして、強度比率差分ΔRKDが−側に小さな値であればあるほど、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1がノック周波数帯強度SKD2よりも大きいことを示している。すなわち、外乱ノイズ周波数の影響が大きいことを示している。
<外乱ノイズ周波数帯強度≒0>
次に、図9〜図11を参照して、外乱ノイズ周波数帯強度が、ほぼ0である例について説明する。
図9は、ノックが発生し、ノック判定角度区間に外乱ノイズ非混入の場合における、それぞれの周波数強度を示す図である。
ノック周波数帯強度は、発生しているノック周波数帯強度の中心周波数はFs2である。また、外乱ノイズは、ほぼ非混入であるため外乱ノイズ周波数帯強度はほとんど出ていない。
そして、ノック用フィルタ処理部202を通過した後のノック周波数帯強度は図10のようになる。同様に、外乱ノイズ用フィルタ処理部204を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度は図11のようになる。
図10は、図9における条件の信号がノック用フィルタ処理部を通過した後のノック周波数帯強度を示す図である。
ここで、ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1は隣接しており、一部の周波数帯が重なり合っている。しかし、外乱ノイズが非混入であるため、図10に示すように、外乱ノイズの影響はほぼ受けない。
図11は、図9における条件の信号が外乱ノイズ用フィルタ処理部を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。
ちなみに、ノック周波数帯強度SKD2及び外乱ノイズ周波数帯強度NKD1は、ノック周波数及び外乱ノイズ周波数が互いに重畳した周波数特性において、それぞれのバンドパスフィルタ中でのピーク値を指している。
図9〜図11に示す例では、ノック周波数帯強度比率RSKD2=100%、外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKD1=0%であるので、強度比率差分ΔRKDは+100%となる。
前記したように、強度比率差分ΔRKDはノック周波数帯強度比率RSKD2から外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKD1を引いた差分である。
強度比率差分ΔRKD=+100%は、外乱ノイズの影響が、ほぼ0であることを示している。このような場合、ノック周波数帯強度の補正は実行されない。
また、外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKD1が0%ではなく、ノック周波数帯強度比率RSKD2=100%、かつ、外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKD1=10%であったとすると、強度比率差分ΔRKDは+90%となる。
強度比率差分ΔRKD=+90%は、外乱ノイズの影響が、非常に小さいことを示している。このような場合、ノック周波数帯強度の補正は小さくてよい。
強度比率差分ΔRKDが+90%以上の場合のように、外乱ノイズの影響が小さい場合、ノック周波数帯強度の補正は実行されないようにするのが望ましい。なお、ノック周波数帯強度の補正が実行されない強度比率差分ΔRKDは+90%以上に限らない。
(ノック周波数帯強度>外乱ノイズ周波数帯強度)
次に、図12〜図14を参照して、外乱ノイズが混入し、かつ、ノック周波数帯強度に対する外乱ノイズの影響が図9〜図11に示す例より大きく、補正量も図9〜図11に示す例より大きい例を説明する。
図12は、ノック周波数帯強度が、外乱ノイズ周波数帯強度より大きい場合におけるノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。
図12において、ノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度は重畳されていない状態が示されている。
図12に示すように、発生しているノック周波数帯強度の中心周波数はFs2である。そして、外乱ノイズが混入しているため外乱ノイズ周波数帯強度も、ノック周波数帯強度ほどではないが、外乱ノイズ周波数帯Fn1を中心周波数として発生している。
このような場合、ノック用フィルタ処理部202を通過した後のノック周波数帯強度は図13のようになる。また、外乱ノイズ用フィルタ処理部204を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度は図14のようになる。
図13は、図12における条件の信号が、ノック用フィルタ処理部を通過した後のノック周波数帯強度を示す図である。ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1は隣接しており、一部の周波数帯が重なり合っているため、ノック周波数帯強度は、外乱ノイズの影響を受け(外乱ノイズが重畳され)、一部で、本来のノック周波数帯強度よりも大きい周波数強度となっている。
図14は、図12における条件の信号が、外乱ノイズ用フィルタ処理部を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。
前記したように、ノック判定角度区間に外乱ノイズが混入しており、かつ、ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1は隣接している。そのため、外乱ノイズはノックの影響を受けて(周波数強度が重畳されて)、一部で、本来の大きな外乱ノイズ周波数帯強度よりも大きい周波数強度となっている。
図12〜図14に示す例は、ノック周波数帯強度が外乱ノイズ周波数帯強度よりも大きい場合である。例えば、ノック周波数帯強度比率RSKD2=100%、外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKD1=50%とすると、強度比率差分ΔRKDは+50%となる。強度比率差分ΔRKD=+50%は、ノック周波数帯強度SKD2が外乱ノイズ周波数帯強度NKD1に比べて大きいことを示している。しかし、図9〜図11に示す例と比べると外乱ノイズ影響を受けているため、ノック周波数帯強度の補正量は図9〜図11に示す例より大きくする。
<ノック周波数帯強度≒外乱ノイズ周波数帯強度>
次に、図15〜図17を参照して、ノック周波数帯強度に対する外乱ノイズ周波数帯強度の影響が図12〜図14の場合より大きく、補正量も図12〜図14の場合より大きい例について説明する。
図15は、ノック周波数帯強度と、外乱ノイズ周波数帯強度とが、同程度の場合におけるノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。
図15において、ノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度は重畳されていない状態が示されている。
図15に示すように、発生しているノック周波数帯強度の中心周波数はFs2である。そして、このノック周波数の一部は、中心周波数Fn1の外乱ノイズの影響を受けている。また、発生している外乱ノイズ周波数帯強度の中心周波数はFn1である。この外乱ノイズ周波数帯強度の一部はノックの影響を受けている。この場合、ノック用フィルタ処理部202を通過した後のノック周波数帯強度は図16のようになる。また、外乱ノイズ用フィルタ処理部204を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度は図17のようになる。
図16は、図15における条件の信号がノック用フィルタ処理部を通過した後のノック周波数帯強度を示す図である。
前記したように、ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1は隣接している。そのため、ノック周波数帯Fs2と、外乱ノイズ周波数帯Fn1は、一部の周波数帯が重複している。そのため、ノック周波数帯Fs2のノック周波数帯強度は、外乱ノイズの影響を受け、一部が本来のノック周波数帯強度よりも大きい周波数強度となっている。
図17は、図15における条件の信号が、外乱ノイズ用フィルタ処理部を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度を示している。
前記したように、ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1は隣接している。そのため、外乱ノイズ周波数帯強度はノックの影響を受けて、一部が本来の外乱ノイズ周波数帯強度よりも大きな周波数強度となっている。
図15〜図17に示す例では、ノック周波数帯強度と外乱ノイズ周波数帯強度がほぼ同程度の場合を示している。このような場合、例えば、ノック周波数帯強度比率RSKD2=100%、外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKD1=80%とすると、強度比率差分ΔRKDは+20%となる。強度比率差分ΔRKD=+20%は、ノック周波数帯強度SKD2が外乱ノイズ周波数帯強度NKD1に比べて大きいが、図12〜図14の場合と比べると外乱ノイズ影響をより一層強く受けていることを示している。このため、ノック周波数帯強度の補正量を図12〜図14の場合よりさらに大きくする。
<ノック周波数帯強度<外乱ノイズ周波数帯強度>
次に、図18〜図20を参照して、ノック周波数帯強度に対する外乱ノイズの影響が図15〜図17の場合より大きく、補正量も図15〜図17の場合より大きい例について説明する。すなわち、図18〜図20は、外乱ノイズ周波数帯強度が、ノック周波数帯強度より大きい場合について説明する。
図18は、外乱ノイズ周波数帯強度が、ノック周波数帯強度より大きい場合におけるノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。
図18において、ノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度は重畳されていない状態が示されている。
図18に示すように、ノック周波数帯強度の中心周波数はFs2である。そして、ノック周波数帯Fs2のノック周波数帯強度は、外乱ノイズの影響を受けている。
一方、外乱ノイズの中心周波数はFn1である。そして、外乱ノイズ周波数帯Fn1の外乱ノイズ周波数帯強度の一部はノックの影響を受けている。
このような場合、ノック用フィルタ処理部202を通過した後のノック周波数帯強度は図19のようになる。また、外乱ノイズ用フィルタ処理部204を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度は図20のようになる。
図19は、図18における条件の信号が、ノック用フィルタ処理部を通過した後のノック周波数帯強度を示す図である。
前記したように、ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1は隣接している。そのため、ノック周波数帯Fs2及び外乱ノイズ周波数帯Fn1は、互いに一部の周波数帯が重なり合っている。そのため、ノック周波数帯強度SKD2は、外乱ノイズの影響を受け、一部が本来のノック周波数帯強度よりも大きい周波数強度となっている。
図20は、図18における条件の信号条件が、外乱ノイズ用フィルタ処理部を通過した後の外乱ノイズ周波数帯強度を示す図である。
前記したように、ノック周波数帯Fs2と外乱ノイズ周波数帯Fn1は隣接している。そのため、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1はノックの影響を受けて、一部が本来の周波数強度よりも大きな周波数強度となっている。
図18〜図20に示す例では、ノック周波数帯強度よりも外乱ノイズ周波数帯強度の方が大きい場合を示している。例えば、ノック周波数帯強度比率RSKD2=50%、外乱ノイズ周波数強度比率RNKD1=100%とすると、強度比率差分ΔRKDは−50%となる。強度比率差分ΔRKD=−50%は、ノック周波数帯強度SKD2は外乱ノイズ周波数強度NKD1に比べて小さく、図15〜図17の場合と比べると外乱ノイズ影響をより一層強く受けていることを示している。そのため、ノック周波数帯強度の補正量は図15〜図17の場合よりさらに大きくする。
以上の説明から、強度比率差分ΔRKDとノック周波数帯強度の補正量の関係は、強度比率差分ΔRKDがプラス側に大きいほど補正量は小さく、また、マイナス側に大きいほど補正量は大きくする。
(処理手順)
次に、図21〜図26を参照して、本実施形態に係るECUにおける処理手順を説明する。
図21は、第1実施形態に係る内燃機関の制御装置における処理手順を示すフローチャートである。
図21の処理は、内燃機関Zが「ON」となると実行開始される。
まず、信号選択部200が、クランク角度センサ13の信号に基づいて、ノックセンサ22から入力される信号を選択して、高速ADC201へ出力する。つまり、信号選択部200は、クランク角度センサ13の信号がノック判定角度区間である場合のみ、ノックセンサ22の信号を高速ADC201へ出力する。
そして、高速ADC201は、ノック判定を行うノック判定角度区間において、ノックセンサ22からノックセンサ信号を読み込む(S101)。
ノック判定角度区間は、予め設定されたクランク角度の区間(例えば上死点からクランク角度90deg進むまでの間等)とする。ノック判定角度区間であるか否かは、クランク角度センサ13から取得される信号を基に判定されればよい。
あるいは、エンジン回転数や負荷によって、ノック判定角度区間の開始位置やクランク角度判定区間を可変にしてもよい。
そして、高速ADC201は、読み込んだノックセンサ信号に対し高速AD変換を行う(S102)。高速AD変換されたノックセンサ信号は、ノック周波数帯強度及び外乱ノイズ周波数帯強度の算出のため、ノック用フィルタ処理部202及び外乱ノイズ用フィルタ処理部204へ送られる。
次に、ノック用フィルタ処理部202がノックセンサ信号に対して、ノック用フィルタ処理を行う(S103)。
ノック用フィルタ処理部202には、ノック発生時に特徴的な周波数強度ピークを得るため、n個のノック用バンドパスフィルタFLs1〜FLsnが設けてある。なお、ノック用バンドパスフィルタFLs1〜FLsnは、実験で予めわかっているノック周波数帯を基に予め設定されている。
例えばノック用バンドパスフィルタFLs1の場合、中心周波数をFs1(kHz)とする所定の周波数帯域内の周波数強度の信号のみを抽出するフィルタである。その他のノック用バンドパスフィルタFLs2〜FLsnも同様の特性である。ノック用フィルタ処理部202は、各ノック用バンドパスフィルタFLs1〜FLsnを用いて、ノックセンサ信号から各周波数帯のノック周波数帯強度SKD1〜SKDnの信号を抽出する。
そして、ノック周波数帯強度算出部203が、ノック用バンドパスを通過したノックセンサ信号の周波数強度を算出するノック周波数帯強度算出を行う(S104)。
また、外乱ノイズ用フィルタ処理部204がノックセンサ信号に対して、外乱ノイズ用フィルタ処理を行う(S105)。
外乱ノイズ用フィルタ処理部204は、外乱ノイズ発生時に特徴的な外乱ノイズ周波数帯強度のピークを有する外乱ノイズ用バンドパスフィルタが設定されている。外乱ノイズ周波数帯強度のピークを有する周波数帯がm個ある場合、m個の外乱ノイズ用バンドパスフィルタFLn1〜FLnmが設定されている。なお、外乱ノイズ用バンドパスフィルタFLn1〜FLnmは、実験で予めわかっている外乱ノイズ周波数帯を基に予め設定されている。
例えば、外乱ノイズ用バンドパスフィルタFLn1の場合、中心周波数をFn1(kHz)とする所定の周波数帯域内の周波数成分のみの信号を抽出するバンドパスフィルタである。その他の外乱ノイズ用バンドパスフィルタFLn2〜FLnmも同様の特性である。外乱ノイズ用フィルタ処理部204は、各外乱ノイズ用バンドパスフィルタを用いて、ノックセンサ信号から各周波数帯の外乱ノイズ周波数帯強度NKD1〜NKDmの信号を抽出する。
そして、外乱ノイズ周波数帯強度算出部205が、外乱ノイズ用バンドパスを通過したノックセンサ信号の周波数強度を算出する外乱ノイズ周波数帯強度算出を行う(S106)。
なお、ステップS103〜S104と、ステップS105〜S106は並列処理で行われる。
次に、ノック周波数帯強度補正部206が、ステップS104で算出された各ノック周波数帯のノック周波数帯強度SKD1〜SKDnについて、ROM103(図2参照)に格納されている補正要否フラグテーブル(図22参照)を基に補正要否フラグfHOSを読み込む(S111)。
補正要否フラグfHOSは、外乱ノイズの影響による補正を行うか否かを識別するためのフラグである。
ノック発生時に特徴的なノック周波数帯強度のピークが現れるノック周波数帯と、外乱ノイズ発生時に特徴的な外乱ノイズ周波数帯強度ピークが現れる外乱ノイズ周波数帯は、内燃機関Zの機種毎に異なる。そのため、メーカは、予め実験等で外乱ノイズ影響を受けやすい周波数帯を特定しておく。そして、各ノック周波数帯のノック周波数帯強度SKD1〜SKDnのそれぞれに対して補正要否フラグfHOSを予め割り当てておく。補正要否フラグfHOS割り当ての様子を図22に示す。
図22は、第1実施形態に係る補正要否フラグテーブルの例を示す図である。
補正要否フラグテーブルは、ROM103(図2参照)に格納されているものである。
図22では、どのノック周波数帯強度に対して補正が行われ、どのノック周波数帯強度に対して補正が行われないかを示している。
ノック周波数帯強度SKD1〜SKDnにはそれぞれ補正要否フラグfHOS1〜fHOSnが割り当てられている。そして、補正要否フラグ=「1」の場合、該当するノック周波数帯強度に影響する外乱ノイズ周波数帯強度が示されている。
図22の例では、ノック周波数帯強度SKD1〜SKDnのうち、SKD2のみ補正要否フラグfHOS2=「1」となっている。そして、その他のノック周波数帯強度は補正要否フラグ=「0」となっている。これは、外乱ノイズ影響を受けるノック周波数帯強度は、SKD2のみであることを示している。言い換えれば、図22に示す補正要否フラグfHOSからノック周波数帯強度SKD2のみ外乱ノイズ影響を補正すればよいことが分かる。そして、図22に示す補正要否フラグfHOSにおいて、この場合、影響する外乱ノイズ周波数帯強度はNKD1であることが示されている。つまり、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1の周波数帯は、ノック周波数帯強度SKD2の周波数帯に隣接しているので、ノック周波数帯強度SKD2の周波数帯は、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1における周波数帯の影響を受ける。そのため、ノック周波数帯強度SKD2が補正されることを、図22の補正要否フラグfHOSは示している。
前記したように、補正要否フラグfHOSは、実験等を基に予め作成されている。
図21の説明に戻る。
ステップS111の後、ノック周波数帯強度補正部206が、補正要否フラグfHOS=1となっているノック周波数帯強度SKDと、それに対応した外乱ノイズ周波数帯強度NKDを読み込む。ここで、ノック周波数帯強度SKDは、ノック周波数帯強度SKD1〜SKDnを一般化したものである。同様に、外乱ノイズ周波数帯強度NKDは、外乱ノイズ周波数帯強度NKD1〜NKDmを一般化したものである。
そして、ノック周波数帯強度補正部206は、ノック周波数帯強度比率RSKDを算出し(S112)、外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKDを算出する(S113)。
そして、ノック周波数帯強度補正部206は、前記した式(1)に従って強度比率差分ΔRKDを算出する(S114)。
次に、ノック周波数帯強度補正部206は、強度比率差分ΔRKDをキーとして、図23で後記するノック周波数帯強度補正テーブルを参照し、補正係数COHOSを検索する(S115)。
ここで、補正係数COHOSは、ノック周波数帯強度SKDに含まれる外乱ノイズの影響を補正するための補正係数である。
補正係数COHOSにおいて、補正が全くかからない場合はCOHOS=「1」である。また、補正する場合において、補正係数COHOSは「1」よりも小さい数値(0<COHOS<1)となる。その理由は、補正係数COHOSは、ノック周波数帯強度SKDから外乱ノイズ影響を除外するための補正係数であるので、ノック周波数帯強度SKDを小さくする側に補正するためである。
(ノック周波数帯強度補正テーブル)
図23は、第1実施形態に係るノック周波数帯強度補正テーブルの一例を示す図である。
ノック周波数帯強度補正テーブルは、ROM103(図2参照)に格納されているものである。
強度比率差分ΔRKDの値が、マイナス側に大きくなるほど、補正係数COHOSの値が0に近づき、補正量が大きくなるように(ノック周波数帯強度SKDが小さくなるように)設定されている。逆に、強度比率差分ΔRKDの値が、プラス側に大きくなるほど、補正係数COHOSの値は1に近づき、補正量としては小さくなるよう(ノック周波数帯強度SKDが大きくなるよう)に設定されてある。
図9〜図20で説明したように、強度比率差分ΔRKDの値がプラスの方向に大きい値であればあるほど、ノック周波数帯強度が外乱ノイズ周波数帯強度より大きいことを示している。つまり、外乱ノイズの影響が小さいことを示している。
また、強度比率差分ΔRKDの値がマイナスの方向に大きい値であればあるほど、外乱ノイズ周波数帯強度がノック周波数帯強度より大きいことを示している。つまり、外乱ノイズの影響が大きいことを示している。
そのため、強度比率差分ΔRKDの値が、マイナス側に大きくなるほど、補正量が大きくなるように設定される。また、強度比率差分ΔRKDの値が、プラス側に大きくなるほど、補正量が小さくなるように設定される。
図21の説明に戻る。
ノック周波数帯強度補正部206は、ステップS115で検索した補正係数COHOSと、ノック周波数帯強度SKD(ノック判定基準量)とを乗算することで、補正されたノック周波数帯強度である補正後ノック周波数帯強度HSKDを算出する(S116)。
(ノック周波数帯強度補正部)
ここで、ノック周波数帯強度補正部206の詳細について説明する。
図24は、第1実施形態に係るノック周波数帯強度補正部の詳細な機能ブロック図である。
ノック周波数帯強度補正部206は、周波数強度比率算出部401、強度比率差分算出部(影響度算出部)402、補正係数検索部403及び補正ノック周波数帯強度算出部404を有している。
周波数強度比率算出部401は、ノック周波数帯強度SKD、外乱ノイズ周波数帯強度NKDを読み込むとともに、補正要否フラグfHOSを読み込む(図21のS111)。そして、周波数強度比率算出部401が、外乱ノイズの影響に対する補正を行うため、前記したように、ノック周波数帯強度と外乱ノイズ周波数帯強度の周波数強度比率RSKD、RNKDをそれぞれ算出する(図21のS112とS113)。
その後、強度比率差分算出部402が、算出されたノック周波数帯強度比率RSKDと外乱ノイズ周波数帯強度比率RNKDとの差分(前記した式(1))により強度比率差分ΔRKDを算出する(図21のS114)。
そして、補正係数検索部403が、算出された強度比率差分ΔRKDをキーとして、ノック周波数帯強度補正テーブル(図23参照)を検索する(図21のS115)。
続いて、補正ノック周波数帯強度算出部404が、処理対象となっているノック周波数帯強度SKDに補正係数COHOSを乗算することで補正ノック周波数帯強度を算出する(図21のS116)。
図21の説明に戻る。
次に、バックグラウンドレベル算出部207が、ノック周波数帯強度を用いて各周波数帯のバックグラウンドレベルBGLを算出する(S117)。
前記したように、バックグラウンドレベルBGLは内燃機関Zの各部品の動作に伴って発生するメカニカルノイズであり、エンジン回転数に関連するノイズに由来するものが多い。バックグラウンドレベルBGLの算出については後記する。
図25は、第1実施形態に係るバックグラウンドレベル算出部の詳細な機能ブロック図である。
バックグラウンドレベル算出部207は、算出部501、前回強度記憶部502及びバックグラウンドレベル記憶部503を有する。
前回強度記憶部502では、前回処理時におけるノック周波数帯強度が格納されている。前回処理時に外乱ノイズの補正が行われた場合、前回強度記憶部502に格納されているノック周波数帯強度は補正ノック周波数帯強度となる。前回処理時に外乱ノイズの補正が行われていない場合、前回強度記憶部502に格納されているノック周波数帯強度は補正がなされていないノック周波数帯強度となる。
なお、前回処理時において、ノックが検出されていない場合、前回強度記憶部502には、ノック周波帯強度SKD=BGLとなっているノック周波数帯強度が格納される。すなわち、ノックが発生していない場合のノック周波数強度は、図6の山がない状態となる。
バックグラウンドレベル記憶部503には、前回までのバックグラウンド算出の処理で算出されたバックグラウンドレベルBGLが格納されている。
算出部501は、(補正)ノック周波数帯強度(H)SKDの今回値が入力されると、ROM103(図2参照)に格納されている前回ノック発生フラグfKNKを読み込む。前回ノック発生フラグfKNKは、前回の処理においてノックが検知された場合、「1」が格納され、前回の処理においてノックが検知されなかった場合、「0」が格納される。
そして、前回ノック発生フラグfKNKが「0」であった場合、算出部501は、バックグラウンドレベル記憶部503に格納されているバックグラウンドレベルBGLに、前回強度記憶部502に格納されている前回処理時の(補正)ノック周波数帯強度を加重平均する。加重平均の割合は、例えば、前回処理時の(補正)ノック周波数帯強度:バックグラウンドレベルBGL=1:3である。
算出部501は、加重平均した結果を新たなバックグラウンドレベルBGLとしてノック判定処理部208へ出力するとともに、バックグラウンドレベル記憶部503を新たに算出されたバックグラウンドレベルBGLで上書き保存する。
前回ノック判定フラグfKNKが「1」であった場合、算出部501は、バックグラウンドレベル記憶部503に格納されているバックグラウンドレベルBGLを、そのままノック判定処理部208へ出力し、バックグラウンドレベル記憶部503の更新を行わない。
そして、バックグラウンドレベルBGLを算出するための一連の処理が終了すると、(補正)ノック周波数帯強度(H)SKDの今回値を前回強度記憶部502に上書き保存する。
なお、バックグラウンドレベルBGLはエンジン回転数によって値の大きさが変わる。そのため、バックグラウンドレベルBGL値の更新は、エンジン回転数が変わる毎に実行されてもよい。
なお、バックグラウンドレベルBGLは、外乱ノイズ周波数帯が隣接しているか否かにかかわらず、ノック周波数帯毎に算出される。
図21の説明に戻る。
そして、ノック判定処理部208は、ノック判定におけるスライスレベルSLを読み込む(S118)。
スライスレベルSLは、予めエンジン回転数毎に設定されているものでる。
そして、ノック判定処理部208は、内燃機関Zにノックが発生しているか否かを判定する(S121)。
ノックの判定は、ステップS116で補正された各ノック周波数帯のノック周波数帯強度と、ステップS117で算出した各ノック周波数帯のバックグラウンドレベルBGLと、ステップS118で読込んだスライスレベルSLを用いて行われる。具体的には、ノック判定処理部208は、ノック周波数帯強度からバックグラウンドレベルBGLを引いた差分を各ノック周波数帯でそれぞれ算出する。そして、ノック判定処理部208は、算出された差分(バックグラウンドノイズの影響を除いたノック周波数帯強度)をそれぞれ加算する。この加算結果と、スライスレベルSLと比較する。スライスレベルSL以上の値を示した場合、ノック判定処理部208は、ノックが発生していると判定し(S121→Yes)、ノック回避制御部209がノック回避制御を行う(S122)。
それぞれの差分(バックグラウンドノイズの影響を除いたノック周波数帯強度を加算した結果がスライスレベルSL未満の値を示した場合、ノック判定処理部208はノックが発生していないと判定し(S121→No)、ECU1はステップS101へ処理を戻す(ノック回避制御は実行されない)。
なお、図21に示す処理は、内燃機関Zが「OFF」となるまで実行され続ける。
(ノック判定処理部)
図26は、第1実施形態に係るノック判定処理部の詳細な機能ブロック図である。
ノック判定処理部208は、算出部601、スライスレベル検索部602及び判定部603を有する。
算出部601は、ノック周波数帯強度SKD又は補正後ノック周波数帯強度HSKDと、それぞれのノック周波数帯に対応するバックグラウンドレベルBGLを読み込む。
そして、算出部601は、それぞれのノック周波数帯のノック周波数帯強度SKD又は補正後ノック周波数帯強度HSKDからそれぞれのノック周波数帯のバックグラウンドレベルBGLを差し引く。これにより、算出部601は、メカニカルノイズ(バックグラウンドノイズ)を含まないノック発生時の振動によるノック周波数帯強度KPn(nはノック周波数帯を示す添え字で、KP1〜KPnのn個あることを示す)を、それぞれのノック周波数帯で算出する。
また、スライスレベル検索部602は、現在のエンジン回転数を読み込む。そして、スライスレベル検索部602は、図示しないスライスレベルテーブルから、ノック判定におけるスライスレベルSLを検索する。ノック判定におけるスライスレベルSLとは、現在のエンジン回転数に対応するスライスレベルSLである。スライスレベルテーブルは、エンジン回転数と、スライスレベルSLとが対応付けられているテーブルである。
エンジン回転数毎のスライスレベルSLは実験等で予め設定されている値である。
そして、判定部603は、算出部601が算出したノック周波数帯強度KPnの一部又はすべてを加算する。ここで、ノック周波数帯強度KPnの一部又はすべてを加算するとは、ノック周波数帯強度KPnのうち、強度の高い順に、i個(1≦i≦n)のノック周波数帯強度KPnを加算するという意味である。i<nであれば、ノック周波数帯強度KPnの一部が加算され、i=nであれば、ノック周波数帯強度KPnのすべてが加算される。なお、iは、ユーザによって予め設定されている値である。
その後、判定部603は、ノック周波数帯強度KPnの加算結果と、スライスレベルSLを比較する。ノック周波数帯強度KPnの加算結果がスライスレベルSL以上である場合、判定部603は、内燃機関Zにノックが発生していると判定する(図21のステップS121で「Yes」)。逆に、ノック周波数KPnの加算結果がスライスレベルSLよりも小さい場合、判定部603は、内燃機関Zにノックが発生していない判定する(図21のステップS121で「No」)。
(ノック回避制御処理)
図21のステップS122における回避制御処理として、ノック回避制御部209は点火時期を遅角側に変更する。点火時期の遅角量は常に一定でもよいし、発生したノックの強さに段階を設け、その段階に応じて遅角量を決めてもよい。
このように、本実施形態によれば、ノック用フィルタ処理部202及び外乱ノイズ用フィルタ処理部204を用いることにより、ノック判定角度区間における外乱ノイズの影響に応じてノック周波数帯強度を補正する。これにより、内燃機関Zのノック発生をより一層精緻に検出することができる。また、ノック発生の検出結果に基づいて点火時期を制御してノック回避制御を実施することにより、内燃機関Zの燃焼状態を、これまでよりさらに精緻に制御することができる。
また、外乱ノイズ用フィルタ処理部204では、外乱ノイズ発生時に特徴的な周波数帯にバンドパスフィルタを設定する。しかし、外乱ノイズ発生時に特徴的な周波数帯を得るためには、外乱ノイズが発生している区間のノックセンサ信号を用いる。そのため、外乱ノイズ用バンドパスフィルタの設定の適合を実施する際には、外乱ノイズが発生するタイミングに同期して、ノックセンサ信号を外乱ノイズ用フィルタ処理部204に入力できるようにしておく。
本実施形態では、信号選択部200が、クランク角度センサ13の信号に基づいて、ノックセンサ信号を高速ADC201に出力している。
他にも、例えば、外乱ノイズが燃料噴射弁の開閉弁時に生じることがわかっているなら、信号選択部200は、噴射開始時期、噴射終了時期のノックセンサ信号を高速ADC201に出力するようにしてもよい。また、外乱ノイズが吸排気弁の着座時の振動であることがわかっている場合、信号選択部200は、吸排気弁の開閉タイミング時のノックセンサ信号を高速ADC201に出力するようにしてもよい。
本実施形態では、ノック周波数帯強度に対する外乱ノイズ周波数帯強度の影響度(強度比率差分)を基に補正量(補正係数)を決定し、該補正量を基にノック周波数帯強度を補正する。そして、補正されたノック周波数帯強度を基に、ノック判定が行われる。このような構成とすることで、外乱ノイズの影響を除外したノック判定を行うことでき、ノック判定の精度を向上させることができる。言い換えれば、外乱ノイズの混入時において、外乱ノイズの影響度に応じた適切なノック判定を行うことができる。特に、ノック周波数帯強度を補正してノック判定に用いることで、ノック周波数帯強度を適切な値とすることができ、ノック判定の精度を向上させることができる。
また、式(1)による強度比率差分を前記した影響度とすることにより、ノック周波数帯強度に対する外乱ノイズ周波数帯強度の影響度を定量化することができる。これにより、補正量(補正係数)の決定を定量的に行うことができる。
また、図5、図22に示すように、互いに隣接しているノック周波数帯と、外乱ノイズ周波数帯のみを影響度(強度比率差分)の算出に用いることで、外乱ノイズの影響がないノック周波数帯を処理から除外することができる。これにより、処理負荷を軽減することができる。
さらに、バックグラウンドレベルを算出し、このバックグラウンドレベルを補正ノック周波数帯強度から減算することにより、補正ノック周波数帯強度からバックグラウンドノイズの影響を除外することができる。これにより、さらにノック判定の精度を高めることができる。
[第2実施形態]
次に、図27及び図28を参照して、本発明に係る第2実施形態における内燃機関の制御装置について説明する。
(制御プログラムの構成)
図27は、第2実施形態に係る制御プログラムの構成を示す図である。図27では、図3と異なる箇所について説明を行い、図3と同様の構成については、図3と同一の符号を付し、説明を省略する。
図27に示す制御プログラムでは、図3におけるノック周波数帯強度補正部206の代わりにスライスレベル補正量算出部701が設けられている。
スライスレベル補正量算出部701は、補正要否フラグの検索、ノック周波数帯強度比率及び外乱ノイズ周波数帯強度比率の算出、強度比率差分の算出、強度比率差分を用いたノック周波数帯強度の算出までは、図3のノック周波数帯強度補正部206と同様の処理を行う。しかし、その後、スライスレベル補正量算出部701は、補正前のノック周波数帯強度と、補正後のノック周波数帯強度とを基に、スライスレベルの補正量であるスライスレベル補正量を算出することが、ノック周波数帯強度補正部206とは異なる。
また、図27において、ノック判定処理部208aは、スライスレベル補正量算出部701が算出したスライスレベル補正量を基に、スライスレベルを補正する。
(フローチャート)
図28は、第2実施形態に係る内燃機関の制御装置における処理手順を示すフローチャートである。図28において、図21と同様の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
なお、図21において、ステップS111〜S116は、ノック周波数帯強度補正部206が行う処理であったが、図28では、スライスレベル補正量算出部701がステップS111〜S116の処理を行う。
そして、ステップS116の後、スライスレベル補正量算出部701は、以下の式(2)からスライスレベル補正量ΔSLを算出する(S201)。
ΔSL=SKD−HSKD ・・・ (2)
式(2)において、SKDは、ステップS104で算出された補正前のノック周波数帯強度であり、HSKDは、ステップS116で算出された補正後のノック周波数帯強度である。
なお、補正ノック周波数帯強度が複数存在する場合、式(2)で算出されたΔSLの平均値をΔSLとしてもよい。
そして、ステップS118の後、ノック判定処理部208aは、以下の式(3)により補正後スライスレベルHSLを算出する(S211)。
HSL=SL+ΔSL ・・・ (3)
式(3)において、SLはステップS118で読み込まれたスライスレベル(ノック判定基準量)であり、ΔSLはステップS201で算出されたスライスレベル補正量である。
そして、ステップS121では、補正前のノック周波数帯強度の一部又はすべてを加算し、平均値をとったものと、補正スライスレベルHSLを比較する。
第2実施形態によれば、スライスレベルを補正することにより、補正量が一律となり、処理概念がシンプルとなる。このように処理概念がシンプルとなることにより、バグの修正等を効率的に行うことができる。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
なお、第1及び第2実施形態では、バックグラウンドレベル算出部207がノック判定処理部208の前段に設置されている(図3及び図27を参照)が、これに限らず、ノック判定処理部208の後段に設置されてもよい。
このようにした場合、バックグラウンドレベル算出部207の処理は以下のようになる。
ノック判定処理部208でノックが検出された場合、バックグラウンドレベル算出部207が、(補正)ノック周波数帯強度(H)SKDの今回値と、過去のバックグラウンドレベルBGLを加重平均する。そして、バックグラウンドレベル算出部207は、加重平均の結果を新たなバックグラウンドレベルBGLとしてバックグラウンドレベル記憶部503に上書き保存する。
ノック判定処理部208でノックが検出されなかった場合、バックグラウンドレベル算出部207はなにも処理を行わない。
また、前記した各構成、機能、各部200〜209,401〜404,501〜502,601〜603,701,208a、前回強度記憶部502等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図2に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを読み込んで、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
1 ECU(制御装置)
13 クランク角度センサ
22 ノックセンサ(ノック計測部)
200 信号選択部
201 ノック用フィルタ処理部
203 ノック周波数帯強度算出部
204 外乱ノイズ用フィルタ処理部
205 外乱ノイズ周波数帯強度算出部
206 ノック周波数帯強度補正部(影響度算出部、補正部)
207 バックグラウンドレベル算出部(バックグラウンドノイズ算出部)
208,208a ノック判定処理部(判定部)
209 ノック回避制御部
401 周波数強度比率算出部
402 強度比率差分算出部(影響度算出部)
403 補正係数検索部
404 補正ノック周波数帯強度算出部
501 算出部
502 前回強度記憶部
601 算出部
602 スライスレベル検索部
603 判定部
701 スライスレベル補正量算出部(補正部)
Z 内燃機関

Claims (7)

  1. ノック計測部が計測したノック信号からノックに特有の周波数帯であるノック周波数帯を抽出するノック用フィルタ処理部と、
    外乱ノイズに特有の周波数帯である外乱ノイズ周波数帯を抽出する外乱ノイズ用フィルタ処理部と、
    前記ノック用フィルタ処理部が抽出した前記ノック周波数帯におけるノック周波数に対する、前記外乱ノイズ用フィルタ処理部が抽出した前記外乱ノイズ周波数帯における外乱ノイズ周波数の影響度を算出する影響度算出部と、
    前記影響度を基に、ノッキングが発生しているか否かを判定する判定部と、
    前記影響度を基に、ノック判定基準量の補正量を決定し、前記補正量によって、ノック判定基準量を補正する補正部と、
    を有し、
    前記ノック周波数帯及び前記外乱ノイズ周波数帯は複数存在し、
    どの前記ノック周波数帯と、どの前記外乱ノイズ周波数帯とが隣接しているかを示す情報が予め設定されており、
    前記判定部は、
    前記補正されたノック判定基準量を基に、ノッキングが発生しているか否かを判定し、
    前記補正部は、
    抽出された前記ノック周波数及び前記外乱ノイズ周波数のうち、互いに隣接している前記ノック周波数及び外乱ノイズ周波数に対して、前記影響度を算出する
    とを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記ノック判定基準量は、前記ノック周波数における周波数強度であるノック周波数帯強度である
    ことを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記ノック判定基準量は、ノックが生じているか否かを判定するための閾値であるスライスレベルである
    ことを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記ノック判定基準量は、前記ノック周波数帯における周波数強度であるノック周波数帯強度であり、
    前記外乱ノイズとは異なるノイズであり、観測される周波数全域にわたってのっているバックグラウンドノイズを算出するバックグラウンドノイズ算出部を有し、
    前記補正部は、
    前記バックグラウンドノイズに基づいて、前記ノック周波数帯強度を補正する
    ことを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. ノック計測部が計測したノック信号からノックに特有の周波数帯であるノック周波数帯を抽出するノック用フィルタ処理部と、
    外乱ノイズに特有の周波数帯である外乱ノイズ周波数帯を抽出する外乱ノイズ用フィルタ処理部と、
    前記ノック用フィルタ処理部が抽出した前記ノック周波数帯におけるノック周波数に対する、前記外乱ノイズ用フィルタ処理部が抽出した前記外乱ノイズ周波数帯における外乱ノイズ周波数の影響度を算出する影響度算出部と、
    前記影響度を基に、ノッキングが発生しているか否かを判定する判定部と、
    を有し、
    ノック周波数帯強度は、前記ノック周波数帯における周波数強度であり、
    外乱ノイズ周波数帯強度は、前記外乱ノイズ周波数帯における周波数強度であり、
    前記ノック周波数帯強度及び前記外乱ノイズ周波数帯強度のうち、大きい方を100%とし、前記ノック周波数帯強度及び前記外乱ノイズ周波数帯強度のうち、大きいほうの周波数強度に対する小さい方の周波数強度の割合を算出することで、ノック周波数帯強度比率及び外乱ノイズ周波数帯強度比率を算出し、前記ノック周波数帯強度比率から前記外乱ノイズ周波数帯強度比率を減算した値が、前記ノック周波数に対する前記外乱ノイズ周波数の影響度である
    とを特徴とする内燃機関の制御装置。
  6. ノック計測部が計測したノック信号からノックに特有の周波数帯であり、複数存在するノック周波数帯を抽出するとともに、外乱ノイズに特有の周波数帯であり、複数存在する外乱ノイズ周波数帯を抽出し、
    抽出された前記ノック周波数帯におけるノック周波数に対する、前記外乱ノイズ周波数帯における外乱ノイズ周波数の影響度を算出し、
    予め設定されている、どの前記ノック周波数帯と、どの前記外乱ノイズ周波数帯とが隣接しているかを示す情報を基に、抽出された前記ノック周波数及び前記外乱ノイズ周波数のうち、互いに隣接している前記ノック周波数及び外乱ノイズ周波数に対して、前記影響度を算出し、前記影響度を基に、ノック判定基準量の補正量を決定し、前記補正量によって、ノック判定基準量を補正し、
    前記補正されたノック判定基準量を基に、ノッキングが発生しているか否かを判定する
    ことを特徴とするノック判定方法。
  7. ノック計測部が計測したノック信号からノックに特有の周波数帯であるノック周波数帯を抽出するとともに、外乱ノイズに特有の周波数帯である外乱ノイズ周波数帯を抽出し、
    抽出された前記ノック周波数帯におけるノック周波数に対する、前記外乱ノイズ周波数帯における外乱ノイズ周波数の影響度を算出し、
    前記影響度を基に、ノッキングが発生しているか否かを判定し、
    ノック周波数帯強度は、前記ノック周波数帯における周波数強度であり、
    外乱ノイズ周波数帯強度は、前記外乱ノイズ周波数帯における周波数強度であり、
    前記ノック周波数帯強度及び前記外乱ノイズ周波数帯強度のうち、大きい方を100%とし、前記ノック周波数帯強度及び前記外乱ノイズ周波数帯強度のうち、大きいほうの周波数強度に対する小さい方の周波数強度の割合を算出することで、ノック周波数帯強度比率及び外乱ノイズ周波数帯強度比率を算出し、前記ノック周波数帯強度比率から前記外乱ノイズ周波数帯強度比率を減算した値が、前記ノック周波数に対する前記外乱ノイズ周波数の影響度である
    ことを特徴とするノック判定方法。
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