JP2016011596A - 内燃機関の燃焼圧検出方法及び燃焼圧検出装置 - Google Patents

内燃機関の燃焼圧検出方法及び燃焼圧検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】振動検出センサを用いて精度良くしかも簡単な方法で燃焼圧を検出することができる内燃機関の燃焼圧検出方法及び燃焼圧検出装置を提供することにある。
【解決手段】基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と基準となる振動検出センサの出力信号の出力比を予め求めておき、実振動検出センサの実際の出力信号に予め求めておいた出力比を反映して燃焼圧信号を推定する構成とした。これによれば、振動検出センサの出力信号を予め求めた出力比を用いて燃焼圧信号を推定するため、精度良くしかも簡単に燃焼圧信号を検出することができるものである。
【選択図】図6

Description

本発明は内燃機関のシリンダ内の燃焼圧(筒内圧)を検出する内燃機関の燃焼圧検出方法及び燃焼圧検出装置に係り、特に振動検出センサを用いて燃焼圧を検出する内燃機関の燃焼圧検出方法及び燃焼圧検出装置に関するものである。
最近では燃料消費量の低減や排気有害ガス成分の低減のため、燃料噴射量や燃料噴射時期の制御精度の向上、及び点火時期の制御精度の向上等を目指して種々の制御方法が提案されている。更に、例えば、火花点火と圧縮着火を併用する方式等のような新しい燃焼方法のアプローチもなされている。そして、制御精度の更なる向上や新しい制御方法の提案のために要請されているのは、燃料と空気よりなる混合気のシリンダ内の燃焼状態の正確な把握である。そこで、燃焼状態の正確な把握には燃焼によって生じるシリンダ内の燃焼圧を検出するのが望ましい。
このため、一般的にはシリンダブロック或いはシリンダヘッドに燃焼室と連通する孔を形成し、この孔を介して圧力検知素子にシリンダ内の燃焼圧を作用させて燃焼圧を検出する方法が提案されている。しかしながら、この方法は正確な燃焼圧を計測できるが、燃焼圧を直接的に検出するために圧力検知素子に特殊な材料を用いることから高価な装置となる。また、実際の量産に向けた内燃機関に適用するにはまだ多くの技術的な課題がある。
このような背景にあって、例えば特開2008-106782号公報(特許文献1)においては、既存の振動検出センサを用いて燃焼圧を推定、検出して内燃機関の制御に適用することが提案されている。一般的に内燃機関のシリンダ内の燃焼状態を把握する手段として内燃機関の振動を検出する振動検出センサ(所謂、ノックセンサ)を用いることが知られている。この振動検出センサは内燃機関の振動を検出するものであるが、間接的には燃焼室内の燃焼状態を検出しており、燃焼状態の変化によって燃焼室内の圧力が過剰に上昇したりして内燃機関が振動するのを検出している。
そして、特許文献1においては、圧縮着火燃焼モードを有する多気筒内燃機関を前提にして、圧縮着火燃焼モード時に、シリンダブロックもしくはシリンダヘッドに設けられた振動検出センサでシリンダブロック等の振動周波数を検出し、これを適正に解析することにより各気筒の燃焼圧力ピーク値、及びピーク時期をそれぞれ検出または推定し、これらがそれぞれ適正な範囲に収まるように、内部EGR量、燃料噴射条件、エンジン回転数等を制御することを提案している。
特開2008−106782号公報
特許文献1に記載された燃焼圧の推定、検出方法は、圧縮着火燃焼モード時に適正な燃焼が行なわれている場合を前提としている。そして、燃焼圧力のピーク時期が、熱発生のピーク時期と上死点後のある時期で同じになるため、燃焼圧ピーク時期の振動を検出することで、その出力電圧値から燃焼圧ピーク値を推定することができるとしている。また、検出した振動周波数の出力をフーリエ解析し、時刻データと重ね合わせることで、各気筒の燃焼圧のピーク時期とピーク値を推定することができると述べている。
ところで、振動検出センサの出力はノック現象を検出するため振動周波数が高いほど大きくなる特性を備えている。そして、ノック振動は高い周波数帯域で発生するので、振動検出センサはノック振動を検出するのに十分な出力を得ることができる。しかしながら、混合気の燃焼が行われている時の燃焼圧(筒内圧)に基づく振動周波数は低周波数領域であるため、振動検出センサの感度が低く燃焼圧の検出誤差が大きいという課題がある。このため、特許文献1のような方法によって燃焼圧を検出しても検出誤差が大きいため、燃料制御、或いは点火制御の制御精度を大きく向上することができないというのが現状である。したがって、振動検出センサを用いた場合でも精度よく燃焼圧を検出できる検出方法や検出装置が強く求められている。
本発明の目的は、振動検出センサを用いて精度良くしかも簡単な方法で燃焼圧を検出することができる内燃機関の燃焼圧検出方法及び燃焼圧検出装置を提供することにある。
本発明の特徴は、実際の振動検出センサの出力信号に、基準となる燃焼圧センサの燃焼圧信号に一致、或いはこれに近似させる所定の補正処理を行うことで燃焼圧を推定する、ところにある。
本発明の更なる特徴は、基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と基準となる振動検出センサの出力信号の出力比を予め求めておき、実際の振動検出センサの出力信号に予め求めておいた出力比を反映して燃焼圧信号を推定する、ところにある。
本発明によれば、振動検出センサを用いて精度良くしかも簡単な方法で燃焼圧を推定することができるものである。
本発明が適用される内燃機関の制御システムの構成を示す構成図である。 図1に示す制御装置が実行する制御機能で、燃料制御機能と点火制御機能を実行する制御ブロック図である。 燃焼圧検出センサの波形を示す波形図である。 図3Aの燃焼圧検出センサの波形を高速フーリエ変換した燃焼圧スペクトルを示す図である。 振動検出センサ(ノックセンサ)の波形を示す波形図である。 図4Aの振動検出センサの波形を高速フーリエ変換した振動スペクトルを示す図である。 本発明の考え方を説明するための燃焼圧スペクトルと振動スペクトルの出力比(振幅比)を説明する説明図である。 本発明の考え方を説明するための振動検出センサの振動スペクトルと出力比から燃焼圧を推定する推定方法を説明する説明図である。 内燃機関の負荷状態に応じて出力比を調整する説明を行うための説明図である。 本発明の実施例を説明するための制御フローの前半部を示すフローチャート図である。 図8に示す制御フローの後半部を示すフローチャート図である。
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
図1は本発明が適用される内燃機関の制御システムを示している。多気筒(ここでは4気筒)で構成される内燃機関1において、外部からの空気はエアクリーナ2を通過し、吸気管3、コレクタ4を経てシリンダ内に流入する。流入空気量はスロットル弁5により調節され、この調節された流入空気量が流量センサ6において検出される。また、図示しない吸気温センサで吸気温が検出される。スロットル弁5は電動機で駆動される電子スロットル弁でも良いものであり、最近ではこの電子スロットル弁が主流である。
クランク角センサ7ではリングギア8によってクランク軸の所定回転角、例えば10゜毎の信号と燃焼周期毎の信号が出力される。水温センサ30は内燃機関の冷却水温度を検出し、また、図示しないアクセル踏み込み量センサはアクセルの踏み込み量を検出し、それによって運転者の要求トルクを検出する。このアクセル踏み込み量センサの出力は制御装置18によって電子スロットル弁5の開度に変換され、これに基づいて電子スロットル弁5が制御される。
本実施例ではアクセル踏み込み量センサの信号を用いて加速運転の判断を行なうように構成されている。アクセル踏み込み量センサは運転者の運転操作の意図を最も早く反映させることができるので、加速運転の判断に用いるのが望ましいものである。
燃料タンク9内の燃料は、燃料ポンプ10によって、吸引、加圧された後、プレッシャーレギュレータ11を備えた燃料配管12を通って燃料噴射弁13の燃料入口に導かれると共に、余分な燃料は燃料タンク9に戻される。
内燃機関の燃焼状態を把握するため、内燃機関の機械的振動を計測する振動検出型の振動検出センサ14(請求項では実振動検出センサと表記している)が内燃機関1の適宜位置(通常はシリンダブロック)に備えられている。この振動検出センサ14は非共振型の振動検出センサであり、広い周波数帯域にわたって振動を検出することができるものである。
排気系には三元触媒15が取り付けられており、排気ガスは三元触媒15で浄化された後に大気に排出される。三元触媒15の上流には上流側空燃比センサ16が設けられており、本実施例では上流側空燃比センサ16として空燃比に応じて連続的な検出信号を出力する空燃比センザ16が使用されている。また、三元触媒15の下流には下流側空燃比センサ17が設けられており、本実施例では下流側空燃比センサ17として理論空燃比近傍でスイッチ的な検出信号を出力するO2センサ17が設けられている。
スロットル弁5に取り付けられたスロットル開度センサ、流量センサ6、クランク角センサ7、アクセル踏み込み量センサ、吸気温センサ、水温センサ30、振動検出センサ14等のそれぞれの信号は後述の制御装置18に送られ、これらセンサ出力から内燃機関の運転状態を検出し、空気量、燃料噴射量、点火時期等の内燃機関の主要な操作量が適切に演算されるものである。
制御装置18内で演算された目標空気量は、目標スロットル開度から電子スロットル駆動信号に変換され、スロットル弁5を駆動する電動機に送られる。また、制御装置18内で演算された燃料噴射量は、開弁パルス信号に変換され、燃料噴射弁13に送られる。更に、制御装置18で演算された点火時期は、通電開始角と通電角に変換された点火信号として点火コイル19に送られ点火プラグ20で発火される。
そして、燃料噴射弁13から噴射された燃料は吸気マニホールドからの空気と混合され内燃機関1のシリンダ内に流入して混合気を形成する。混合気は点火プラグ20によって所定の点火時期で発生される火花により燃焼、爆発し、その燃焼圧によりピストンを押し下げて内燃機関の動力となる。爆発後の排気は排気管21を経て三元触媒15に送り込まれる。
三元触媒15の上流に設けた空燃比センサ16は触媒に流入する前の排気ガスの空燃比を検出し、三元触媒15の下流に設けたO2センサ17は触媒で浄化された排気ガスの空燃比を検出するものである。これによって検出された空燃比は燃料噴射弁13から噴射される燃料の量を補正するのに使用される。
制御装置18には、空気流量センサ6、触媒上流側の空燃比センサ16、触媒下流側のO2センサ17、アクセル踏み込み量センサ、水温センサ30、スロットル開度センサ、吸気温センサ、振動検出センサ14等の各センサ出力値がアナログ入力部22に入力されている。また、クランク角センサ7の角度信号等のディスクリート信号はデジタル入力部23に入力されている。
アナログ入力部22に入力されたセンサ信号はノイズ除去等の信号処理を行った後、A/D変換器24でA/D変換されてRAM25に保管される。同様にデジタル入力部23に入力された角度信号は入出力ポート26を介してこれもRAM25に保管される。RAM25に保管された検出信号はMPU(マイクロ、プロセッサユニット)27内で演算処理される。MPU27は各種の制御信号を生成するための演算を実行するものである。
演算処理の内容を記述した制御プログラムはROM28に予め書き込まれており、制御プログラムに従ってMPU27で演算された各アクチュエータの作動量を表す制御値はRAM25に保管された後、入出力ポート26に送られる。
点火プラグ20の作動信号は出力回路29内の点火制御部に送られ、一次側コイルの通流時はONとなり、非通流時はOFFとなるON-OFF信号がセットされる。点火制御部にセットされた点火信号は点火コイル19で点火プラグ20を発火させるのに必要なエネルギに増幅され点火プラグ20に供給される。また、燃料噴射弁13の駆動信号は出力回路29内の燃料制御部に送られ、開弁時ON、閉弁時OFFとなるON-OFF信号がセットされる。燃料制御部にセットされた噴射信号は燃料噴射弁13に送られる。その他の制御機器も同様にして駆動される。
以上のような制御システムは基本的には良く知られているものであるのでこれ以上の説明は省略するが、図1で示した制御装置18が実行する制御機能の内で、燃料制御機能と点火制御機能を実行する制御ブロックを図2に示している。
図2において、制御装置18には燃料噴射制御ブロック40と点火制御ブロック41とが設けられている。これらのブロックは実際には制御装置18に設けられたMPU27で実行される機能を表している。
燃料噴射制御ブロック40には冷却水温情報生成部42、負荷情報生成部43、空気量情報生成部44、回転数情報生成部45、クランク角度情報生成部46、気筒判別情報生成部47からの各情報が入力されている。この燃料噴射制御ブロック40はこれらの入力情報から予め定めた演算式に基づいて燃料噴射弁13から噴射される燃料の噴射量と噴射時期を演算し、燃料噴射弁13から吸気マニホールドに燃料を噴射するものである。
点火時期制御ブロック41には冷却水温情報生成部42、負荷情報生成部43、回転数情報生成部45、クランク角度情報生成部46、気筒判別情報生成部47からの各情報が入力されている。この点火時期制御ブロック41はこれらの入力情報から予め定めた演算式に基づいて、点火コイル19の一次電流を流し込む時期(通電開始時期)とその通電量(通電角)及び一時電流を遮断する点火時期を演算するものである。これらの通電開始時期と通電角及び点火時期によって点火コイル19の一次電流が制御されるようになっているものである。
更に、この点火時期制御ブロック41には、本実施例の特徴とする燃焼圧推定演算ブロック48からの燃焼圧情報、及びノック情報が入力されており、これによって、例えば燃焼圧信号によるMBT(Minimum SparkAdvance for Best Torque)制御やノックが生じた時の遅角制御が実行される。本実施例においては、燃焼圧推定演算ブロック48には少なくとも振動検出センサ出力情報生成部49からの情報が入力されており、これらの入力に基づいて燃焼圧推定演算ブロック48で燃焼圧の推定やノックの発生を検出している。尚、これ以外に加速状態情報生成部50からの情報も入力されている。MBT制御による点火時期補正値やノックが生じた時の遅角補正値は点火時期制御ブロック41で演算している。
上述した通り、燃料制御や点火制御で制御精度の更なる向上等のためには混合気のシリンダでの燃焼状態の正確な把握が重要であり、このためには燃焼によって生じるシリンダ内の燃焼圧を検出するのが望ましい。ところが、振動検出センサ14の出力は振動周波数が高いほど大きくなる特性を備えており、混合気の燃焼が行われている時の振動周波数は低周波数領域であるため、振動検出センサの感度が低く燃焼圧の検出誤差が大きいという課題がある。したがって、振動検出センサを用いた場合でも精度よく燃焼圧を検出できる検出方法や検出装置が強く求められている。
このような要請に応えるべく、本発明では、実際の振動検出センサの出力信号に、基準となる燃焼圧センサの燃焼圧信号に一致、或いはこれに近似させる所定の補正処理を行って燃焼圧を推定することを基本的な特徴としている。更に、このような考え方に基づき本発明では、基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と基準となる振動検出センサの出力信号の出力比を予め求めておき、実際の振動検出センサの出力信号に予め求めておいた出力比を反映して燃焼圧信号を推定することを特徴としている。以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、まず本実施例の基本的な考え方を説明する。
図3A及び図3Bは圧力検知素子を使用した基準となる燃焼圧検出センサを用いてノック現象が生じた時の燃焼圧の情報を示している。図3Aはノック現象が生じた時の燃焼圧検出センサの燃焼圧信号(電圧)を示し、図3Bはこれを高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)した時の燃焼圧スペクトルを示している。図3Aにあるように燃焼圧検出センサの電圧信号は時間経過と共に燃焼圧の変化情報とノック現象の発生による燃焼圧の変動を示している。
そして、この燃焼圧検出センサのノック現象が生じた時点の出力を高速フーリエ変換すると図3Bのように周波数毎にフーリエ成分が得られることになる。特に、低周波数領域Pにおいて混合気の燃焼による燃焼圧のフーリエ成分の大きなピークが現れ、高周波数領域Qにおいてノック現象によるフーリエ成分のピークが現れる。このように燃焼圧検出センサを使用すると低周波数領域Pにおいて混合気の燃焼による燃焼圧を精度よく計測できることがわかる。
一方、図4A及び図4Bは基準となる振動検出センサを使用してノック現象が生じた時の振動情報を示している。尚、この基準となる振動検出センサは上述した実際の振動検出センサ14と同じ型式のものであり、互換性を持っているものである。図4Aはノック現象が生じた時の振動検出センサの出力信号(電圧)の時間的な変化を示し、図4Bはこれを高速フーリエ変換した時の振動スペクトルを示している。図4Aにあるように振動検出センサの電圧信号はノック現象の発生によって出力が変動してノックを検出している。この場合、ノック現象に基づく振動と燃焼圧に基づく振動が検出されるが、燃焼圧による振動は出力が小さくノック振動に隠れてしまうことになる。
そして、この振動検出センサのノック現象が生じた時点の出力を高速フーリエ変換すると図4Bのように周波数毎にフーリエ成分が得られることになる。特に、高周波数領域Qにおいてノック現象に基づく振動検出センサの出力によるフーリエ成分のピークが現れる。もちろん、低周波数領域Pにおいても燃焼に基づく振動検出センサの出力によるフーリエ成分のピークが現れるが、フーリエ成分の値としては小さい値であり、燃焼圧を正確に検出することが困難である。尚、電気ノイズ(点火ノイズ、電源変動、静電気、EMC)やシリンダブロック内ひずみ伝達の減衰等の原因によって、振動検出センサのS/N比が劣化するのでこれについても考慮することが必要である。
そこで、振動検出センサ14によって燃焼圧を正確に推定するために本実施例では、基準となる燃焼圧検出センサに基づく燃焼圧信号と基準となる振動検出センサに基づく出力信号との出力比を予め求め、この予め求めた出力比を用いて実際の振動検出センサ14の出力信号に補正をかけて燃焼圧を推定するようにしたものである。この方法は、振動検出センサの出力信号を燃焼圧センサの燃焼圧信号に一致、或いはこれに近似させる所定の補正処理を行って燃焼圧を推定するという基本的な考え方から出発している。尚、燃焼圧信号が低周波数領域で検出されるので、上述した出力比は低周波数領域を主体に求めておくことが重要である。
図5にあるように、まず基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号を高速フーリエ変換して得られた燃焼圧信号の燃焼圧スペクトルを求める。燃焼圧スペクトルは周波数毎にフーリエ成分を有しており、このフーリエ成分の値は振動のエネルギを表わしている。本実施例の場合、実際の内燃機関では燃焼圧検出センサを使用しないのが前提となるので、基準となる基準内燃機関(ベースエンジン)を用いて燃焼圧スペクトルを求める。つまり、基準内燃機関に燃焼圧検出センサを取り付け、得られた燃焼圧信号を高速フーリエ変換すれば良いものである。この場合、同じ燃焼状態を再現して複数の燃焼圧信号をサンプリングし、これらを平均した後で高速フーリエ変換すれば適合性の高い燃焼圧信号の燃焼圧スペクトルが得られる。
次に、上記した運転を行っている状態で、同時に基準内燃機関に設けられた基準となる振動検出センサによって振動を検出する。このように同じ運転状態で振動検出センサによって同時に振動を検出するので、燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と振動検出センサの出力信号とは相互に密接に相関性を持たせることができる。そして、振動検出センサの出力信号を高速フーリエ変換して得られた振動スペクトルを求める。この場合も周波数毎にフーリエ成分を有している。尚、燃焼圧検出センサ、振動検出センサによってノック現象も検出されている。ここで同じ運転状態を再現できれば、燃焼圧検出センサと振動検出センサの信号のサンプリングは別々に行うことも可能である。
次にフーリエ変換された周波数毎に、燃焼圧検出センサで検出された燃焼圧信号の燃焼圧スペクトルのフーリエ成分の値(振幅)を、振動検出センサの出力信号の振動スペクトルのフーリエ成分の値(振幅)で除算した出力比、ここでは振幅比(P/V)を求める。以下では、出力比を振幅比(P/V)として説明するが、この出力比が振動検出センサ14の出力信号を燃焼圧検出センサの燃焼圧信号に一致、或いはこれに近似させるための演算処理に使用されるものである。
尚、本実施例では図3Bの燃焼圧検出センサの出力を高速フーリエ変換したフーリエ成分と、図4Bに示す振動検出センサの出力を高速フーリエ変換したフーリエ成分は、実数成分と虚数成分とで形成されている。このため、実際の演算は実数成分と虚数成分のそれぞれについて振幅比(P/V)を求めている。虚数成分を反映しないと、後述する逆フーリエ変換する場合に時間軸上の情報が崩れてしまう恐れがあり、正確な燃焼圧波形が得られないようになる。
そして、図5からわかるように、低周波数領域で振動検出センサの振動スペクトルのフーリエ成分の値が小さいので、燃焼圧検出センサのフーリエ成分の値の大きさに合致させるため、振幅比(P/V)は低周波数領域で大きく設定されることになる。これは、振動検出センサの振動スペクトルの低周波数領域のフーリエ成分の増幅率が大きいことを意味している。
そして、この振幅比(P/V)は一般には適合手法(マッチング)によって決定される。つまり、或る所定の周波数を対象にして、実際の振動検出センサの出力信号の振動スペクトルのフーリエ成分の値に、この予め求めた振幅比(P/V)を反映させた時の推定振動スペクトルのフーリエ成分の値の大きさが、対応する周波数の燃焼圧信号の燃焼圧スペクトルのフーリエ成分の値の大きさに一致、或いはこれに近似するまで振幅比(P/V)を更新して最適の振幅比(P/V)を得るものである。そして、このようにして得られた燃焼圧スペクトルと振動スペクトルの振幅比(P/V)は、実際の適用においては制御装置18のROM28のような記憶メモリにマップとして格納されて、実際の振動センサ14による燃焼圧の推定演算に使用されるものである。
ここで、振幅比(P/V)の算出方法は少なくとも2つの方法がある。一つは、燃焼圧検出センサと振動検出センサ14の出力信号をそれぞれ平均化し、平均化したそれぞれの出力信号を高速フーリエ変換した後に、燃焼圧スペクトルのフーリエ成分の値を、振動検出センサの出力信号の振動スペクトルのフーリエ成分の値で除算して求めるものである。もう一つは、燃焼圧検出センサと振動検出センサ14の出力信号をそれぞれ高速フーリエ変換し、高速フーリエ変換した後に、燃焼圧スペクトルのフーリエ成分の値を、振動検出センサの出力信号の振動スペクトルのフーリエ成分の値で除算し、その後に振幅比(P/V)を平均化して求めるものであり、いずれの方法を用いても良い。
ところで、上述した説明では出力比として、基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧スペクトルのフーリエ成分と、基準となる振動検出センサの振動スペクトルのフーリエ成分の出力比を用いているが、本発明はこれに限らずとも良いものである。
例えば、燃焼圧検出センサの燃焼圧信号を関数モデルとして記憶しておき、この関数モデルに基づく燃焼圧スペクトルを用いるようにしても良いものである。したがって、フーリエ変換された周波数毎に、関数モデルで定義される燃焼圧信号の燃焼圧スペクトルのフーリエ成分の値(振幅)を、振動検出センサの出力信号の振動スペクトルのフーリエ成分の値(振幅)で除算した出力比を求めることができる。このように、関数モデルを使用すると内燃機関の変更があっても関数モデルを修正するだけで良いので適合工数を短縮することができる。
更には、車両に搭載される制御装置にこの関数モデルを搭載して燃焼行程時の燃焼圧スペクトルを求めると共に、実際の燃焼行程に基づく振動検出センサ14の振動圧スペクトルとの出力比を求め、この出力比を実際の振動検出センサ14の振動スペクトルに反映することも可能である。このようにすると、オンボードで燃焼圧検出センサと振動検出センサの出力比を求めることができ、基準内燃機関による適合作業を行わないで正確な燃焼圧を検出することが可能となる。
次に、図6に燃焼圧の推定演算の方法を示している。図6において、実際の振動検出センサ14の出力信号を高速フーリエ変換して振動スペクトルを求める。次にこの振動スペクトルのフーリエ成分の値に図5で求めた振幅比(P/V)を周波数毎に反映させる。実際には、振動スペクトルの周波数毎のフーリエ成分に、これに対応する周波数毎の振幅比(P/V)を乗算することで、燃焼圧スペクトルに一致、或いはこれに近似した修正振動スペクトルを得ることができる。次に、振幅比(P/V)が反映された実際の振動検出センサ14の修正振動スペクトルはフーリエ変換されているので、これを逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)を行うと、見掛け上は燃焼圧検出センサと同じ、或いはこれに近似した燃焼圧を表す波形信号を推定することができる。このような手法によって、実際の振動検出センサ14からの出力信号から燃焼圧を推定して検出することが可能となる。
尚、この振幅比(P/V)は運転状態に対応して最適な値をとるので、運転状態毎に振幅比(P/V)を予め求めておくことができる。図7に示してある通り、横軸に回転数をとり縦軸にトルクをとって、運転状態を複数の運転領域に分割する。本実施例では運転領域A〜運転領域Dに4分割されており、これらの領域毎に、図5で説明した方法によって振幅比(P/V)を求めてマップに記憶させておくことができる。このように、運転領域毎に振幅比(P/V)を求めておくと、実際の内燃機関の運転状態に応じて精度の高い燃焼圧を推定することが可能となる。尚、運転領域の分割数は任意であるが、あまり多いと振幅比(P/V)の適合工数が多くなるので、適当な分割数を設定し隣接領域では補間によって振幅比(P/V)を求めるようにしても良いものである。
そして、振幅比(P/V)を実際の振動検出センサ14による燃焼圧の推定演算に使用する場合は、現在の運転状態を回転数とトルクから判断し、判断された運転状態に対応する運転領域A〜運転領域Dから対応する運転領域の振幅比(P/V)を読み出して燃焼圧の推定演算に使用することができる。尚、トルクが大きいほど振幅比(P/V)のピークは周波数が高いほうに設定され、また、回転数が高いほど振幅比(P/V)のピークは周波数が高いほうに設定されるものである。本実施例では運転領域を、回転数を軸に複数の領域に分割し、直線補間によって振幅比(P/V)を求めるようにしている。これによってROM28の記憶容量を低減できる効果がある。
ここで、実際の振動検出センサ14は通常ではバンク毎に1個使用されるので、同じバンクの気筒毎に振動検出センサの出力信号の特性が異なっている場合がある。これは振動検出センサと各気筒までの振動伝搬距離が異なることに起因している。この場合は、気筒毎に振幅比(P/V)を求めておき、気筒毎の出力信号の振動スペクトルのフーリエ成分の値に気筒毎の振幅比(P/V)を乗算することで、気筒毎の燃焼圧を推定することができる。もちろん、この場合も運転領域毎に振幅比(P/V)を設定できることは言うまでもない。また、気筒毎の振動検出センサの出力信号の検出は気筒判別信号によって判別することができる。
更に、1つのバンクの全気筒を複数の気筒群に分割し、それぞれの気筒群に1つの振動検出センサを取り付けて、振動検出センサとそれぞれの気筒の間の距離を等しい方向に近づけることで検出感度を向上することができる。具体的には、4気筒であれば2気筒に分割し、2気筒に1つの振動検出センサを割り当て、各気筒の中心と振動検出センサとの間の距離をほぼ同じに設定することで、各気筒と振動検出センサとの間の振動伝搬距離の不均一化を是正することができ結果的に検出精度の向上を図ることができる。
また、複数の振動検出センサを用いることによって、相互に補完し合う構成にすることができる。例えば、互いの出力信号を突き合わせて故障診断を実行する、或いは故障した振動検出センサに代えて他の振動検出センサの出力をバックアップとして使用する等の新しい機能を持たせることが可能となる。更に、この相互補完に加えて上述したように伝搬距離を相互に近づけるという構成を組み合わせることも可能である。
このように、本実施例では混合気の燃焼時の燃焼圧信号とこの時の振動検出センサの出力信号の比を振幅比(P/V)として予め求め、実際の振動検出センサの出力信号に予め求めた振幅比(P/V)を反映して燃焼圧信号を推定するようにしている。これによって、精度良くしかも簡単に燃焼圧信号を検出することができるものである。
次に、本発明を適用した時の実際の内燃機関の作動状態下での燃焼圧の推定、検出方法の考え方を図8及び図9に基づき説明する。尚、本実施例では燃焼圧検出センサを搭載しないのを前提としている。そして、以下の説明ではステップという表現を使用しているが、実際の燃焼圧の推定、検出方法の考え方を説明するものである。これらの考え方を用いることで、制御装置18によって具体的な燃焼圧の検出方法を実施でき、また燃焼圧の検出装置を構築することができるものである。具体的には、燃焼圧の検出方法は制御装置18に設けられたMPU27の制御プログラムによる演算機能によって実行され、また、燃焼圧の検出装置はMPU27の制御プログラムによる演算機能ブロックとして構築されるものである。
以下、図8及び図9に基づき各ステップの実行内容を説明する。
≪ステップS10≫
このステップS10は振動検出センサ14の出力信号を抽出するものである。内燃機関の燃焼状態を把握するため、内燃機関1の適宜位置に設けた非共振型の圧電式振動検出センサ14によって、内燃機関の燃焼に関係する振動が検出される。この振動検出センサ14は広い周波数帯域にわたって振動を検出することができるものであり、振動検出センサ14の出力信号は制御装置18の演算に使用される。そして、このようにして得られた振動検出センサ14の出力信号は制御装置18のアナログ入力回路に取り込まれ、以下に説明する処理がMPU27によって実行されるものである。
≪ステップS11≫
ステップS11では、振動検出センサ14で検出された内燃機関の振動を高速フーリエ変換して振動スペクトルが求められている。尚、高速フーリエ変換処理を行うことで信号処理の遅れは若干生じるが、位相の遅れは生じないので検出精度を向上することができるものである。このように高速フーリエ変換された振動スペクトルのフーリエ成分の値は、検出された振動の周波数毎にそのエネルギの大きさを表すものである。本実施例では図4Bに示すような周波数毎のフーリエ成分が得られるものである。この周波数毎のフーリエ成分は、内燃機関の燃焼に基づく振動の他に機械的構成要素、例えば内燃機関本体の作動による振動、バルブタイミング機構の回転による振動、機械ポンプの回転による振動等の多くの外乱を含んだ振動である。
したがって、この外乱を含む振動をそのまま高速フーリエ変換して振動スペクトルを求めると誤差が生じるので、燃焼に関係しない外乱を除く処理が必要である。例えば、燃料噴射弁、バルブタイミング機構、点火ノイズ等の内燃機関の回転に基づく外乱は周波数帯が広範囲であり、時間軸で振動をマスクする必要がある。したがって、燃料噴射弁の開閉時期、バルブタイミング機構のカム動作時期、点火装置の点火時期等は制御装置18側で把握しているので、これらの動作時期の振動をマスクすることで外乱の影響を軽減できるようになる。
≪ステップS12≫
上述したように、ステップS11で得られた振動スペクトルは多くの外乱を含んでいるので、ステップS12はステップ11で得られた振動スペクトルから外乱を除外する処理を実行する。この処理はステップS11で得られた振動スペクトルからベーススペクトルを差し引けば、燃焼に基づく振動スペクトルが求まるものである。このベーススペクトルは以下に説明するステップS13の方法によって求められ、制御装置18のROM28等の記憶メモリに記憶されている。このベーススペクトルは図5で説明したように基準内燃機関をモータリングした時の振動スペクトルである。ベーススペクトルは運転領域毎に求められており、運転状態に対応して適切なベーススペクトルが選ばれて使用されるものである。
≪ステップS13≫
ステップS12で使用されるベーススペクトルは基準内燃燃機関をモータリングして求められている。モータリングは、内燃機関を燃焼によらないで電動機のような外部駆動機器で運転するもので、ベーススペクトルはこの時の振動を高速フーリエ変換することによって得られるものである。モータリングによって求められるベーススペクトルは、代表的にはシリンダブロック、エンジンマウント、カムシャフト、クランクシャフト、燃料ポンプ、補機等による振動である。したがって、燃焼に基づく振動を除いた機械的構成要素の振動が得られることになる。このベーススペクトルは図7に示しているように運転状態に応じて複数の領域毎に求められており、ROM28等の記憶メモリに記憶されている。そして、ステップS14の処理を実行するたびに記憶メモリから読み出されるものである。
≪ステップS14≫
ステップS12で燃焼に基づく振動の振動スペクトルが求まると、燃焼圧による振動とノックによる振動を分離する必要がある。このため、ステップS14では低周波数領域の振動スペクトルを抽出する(ローパスフィルタ処理)。この低周波数領域の振動スペクトルは図4BのPで示す燃焼圧を表すものである。少なくとも燃焼圧だけを必要とする場合はこのステップを実行すれば良いものである。尚、ローパスフィルタ処理の他に、必要な周波数範囲だけの信号を抽出するバンドパスフィルタ処理を行うことも可能である。
ところで、燃焼圧に基づく振動は回転数によって変動するので、これに対応して低周波数領域の振動スペクトルを抽出する範囲を変えることが有利である。このように低周波数領域の振動スペクトルを抽出する範囲を変えることで、更に正確な燃焼圧を表す信号を抽出することができる。
≪ステップS15≫
一方、ステップS15では高周波数領域(ノックを表す周波数領域)の振動スペクトルを抽出する(ハイパスフィルタ処理)。この高周波数領域の振動スペクトルは図4Bの高周波数領域Qで示すノック現象を表すものである。
≪ステップS16≫
ステップS14で低周波数領域の振動スペクトルが抽出されると、この振動スペクトルの補正が行われる。この補正は図6に示しているように、低周波数領域の周波数毎の振動スペクトルのフーリエ成分の値に、図5に示す方法で予め求めた対応する周波数毎の振幅比(P/V)を乗算したものであり、振幅比(P/V)はステップS17でROM28から読み出されるものである。振幅比(P/V)は先に述べた通り基準内燃機関を動作させて予め求められているものである。
このように、振幅比(P/V)の乗算は、周波数毎の振動スペクトルのフーリエ成分の値に、これに対応した周波数の振幅比(P/V)を乗算して得られるものである。このステップS16の処理によって、振動検出センサ14で検出された燃焼圧を表す出力信号を、燃焼圧検出センサで検出された燃焼圧を表す燃焼圧信号に一致、或いはこれに近似した信号に補正して、修正振動スペクトルを得ることができる。これによって、振動検出センサ14の出力信号から燃焼圧を正確に推定することが可能となる。
更に、振動検出センサ14の高速フーリエ変換後の低周波数領域のフーリエ成分は運転領域毎にも変化するので、図7に示してあるように、運転領域毎の振幅比(P/V)を選択して上述の演算を実行することができる。尚、上述したように気筒毎に振幅比(p/V)を求めておき、振動検出センサの気筒毎の出力信号から求められる振動スペクトルのフーリエ成分の値に気筒毎の振幅比(p/V)を乗算することで、気筒毎の燃焼圧を推定することができる。
≪ステップS17≫
ステップS17は図7にある通り、運転領域毎に予め記憶された振幅比(P/V)を選択してステップS16の演算に使用するものである。つまり、現在の運転状態を回転数とトルクから判断し、判断された運転状態に対応する運転領域A〜運転領域Dから対応する運転領域の振幅比(P/V)を読み出して燃焼圧の推定演算に使用することができる。ここで、トルクが大きいほど振幅比(P/V)のピークは周波数が高いほうに設定され、また、回転数が高いほど振幅比(P/V)のピークは周波数が高いほうに設定されていることは図7で述べた通りである。
≪ステップS18≫
ステップS18では、ステップS16で求めた振動検出センサ14の低周波数領域の修正振動スペクトルに、ステップS15で抽出した高周波数領域の振動スペクトルを合成する。具体的にはそれぞれの出力スペクトルを足し合わせるものであり、周波数毎にそれぞれのフーリエ成分が合成されるものである。ここで、ステップS16で低周波数領域における振動検出センサ14のフーリエ成分が、燃焼圧検出センサの燃焼圧を表すフーリエ成分に一致、或いは近似した値に修正されているのは先に述べた通りである。
したがって、合成された合成振動スペクトルは、低周波数領域では燃焼圧検出センサの燃焼圧スペクトルに一致、或いはこれに近似し、高周波領域では振動検出センサ14の振動スペクトルに一致するものであり、燃焼圧検出センサと振動検出センサの長所を合わせた振動スペクトルとすることができる。
更に、この合成された合成振動スペクトルは図7に示されているように逆高速フーリエ変換されて、燃焼圧検出センサの波形に近似した波形信号として出力される。この波形信号は後述する種々の制御に使用することができる。
尚、本実施例ではステップS16で求めた振動検出センサ14の低周波数領域の修正振動スペクトルに、ステップS15で抽出した高周波数領域の振動スペクトルを合成して逆高速フーリエ変換を行っているが、これ以外にそれぞれの振動スペクトルを逆高速フーリエ変換して加算することも可能である。本発明の基本的な考え方は振動検出センサ14の出力信号から、燃焼圧検出センサの検出波形に一致、或いは近似した燃焼圧の波形信号が得られれば良いものである。要は、ステップS16で求めた低周波数領域の修正振動スペクトルとステップS15で取得した高周波数領域の振動スペクトルを合成した燃焼圧の波形信号が得られれば良いので、上記した方法には限定されないものである。
≪ステップS19≫
ステップS18で求められた逆高速フーリエ変換された振動検出センサ14の波形信号は、対象となる制御に合わせて指標演算(対象となる制御に利用できる特徴量の演算)が実行される。例えば、指標として、燃焼圧が最大になるクランク角θPmax、燃焼圧の変化率dP/dθ、最大燃焼圧Pmax、図示平均有効圧力IMEP、及び熱発生速度等を検出することができる。そして、これらの指標は種々の制御に利用されるものである。
≪ステップS20≫
一方、ステップS15で抽出された高周波数領域の振動スペクトルはノックを表しているので、このステップS22ではノック信号の振幅を求めている。
ところで、振動検出センサ14からの振動周波数はかなり広い範囲から抽出しているので、不要な周波数が存在している。このため予め必要な周波数だけを抽出することが演算負荷を低減する観点から望ましい。このため不要な周波数帯域にはマスクをかけて出力信号を抽出することができる。例えば、カムシャフトの作動に基づく振動周波数や電動ポンプの作動に基づく振動周波数は不要である。このため、これらの振動周波数帯域は抽出しないようにマスクすることが有利である。尚、カムシャフトの作動による振動周波数は回転数によって変わるので、これに合わせた周波数のマスクを行えば良い。また、電動ポンプの場合は固定の周波数でマスクすれば良いものである。
また、上述した説明では出力比として、燃焼圧検出センサの燃焼圧スペクトルのフーリエ成分と振動検出センサ14の振動スペクトルのフーリエ成分の出力比を用いているが、本発明はこれに限らずとも良く、要は振動検出センサ14の出力信号を燃焼圧検出センサの燃焼圧信号に一致、或いは近似するように修正できればよいものである。
したがって、燃焼圧スペクトルのフーリエ成分と振動スペクトルのフーリエ成分の出力比でなく、これに類似した補正係数を用いて燃焼圧検出センサの燃焼圧信号に一致、或いは近似するように修正できればよいものである。
以上の処理が燃焼圧推定ブロック48で実行される処理であり、この燃焼圧推定ブロック48で検出される種々の指標は次に説明する具体的な制御に利用される。本実施例では代表的な例として図2に示す燃料噴射制御ブロック40と点火制御ブロック41で実行される燃料噴射制御と点火制御を例示的に示しており、図9に基づきその例を説明する。
≪ステップS21≫
ステップS19で求められた波形認識(指標)の結果に基づいて、失火、半失火、サージ、プレイグニッション、着火時期、プレ噴射反応、低温酸化反応、燃料噴射弁の閉弁時期、燃料品質等の判定等を行うことができる。以下の制御では最大燃焼圧Pmaxと燃焼圧の変化率dp/dθを用いてプレイグニッションによる機関破損防止のために燃料噴射量を調整する制御を実行している。
≪ステップS22≫
また、ステップS20で求められたノック信号の振幅は、予め定めた閾値と比較判別されて、ヘビーノック、ミドルノック、ライトノック、トレースノック等のランク分けが実行される。尚、ステップS23では点火時期のベースマップから基本点火時期が読み込まれており、この基本点火時期がノック信号によって補正されることになる。ここで、ステップS21で求められた指標は点火制御にも利用できる。以下の制御ではノック制御の他に、図示平均有効圧力IMEPを用いた失火補正制御、燃焼圧が最大になるクランク角θPmaxを用いたMBT制御を実行している。
≪ステップS23≫
ステップS23では、回転数と負荷によって設定された基本点火時期をベースマップから読み出している。この基本点火時期は以下に説明する種々の補正が施されて最終的な点火時期が求められるものである。
≪ステップS24≫
ステップS24では、回転数と負荷によって設定された基本燃料噴射量をベースマップから読み出している。この基本燃料噴射量に種々の補正が施されて最終的な燃料噴射量が決められるものである。尚、ベースマップによる基本燃料噴射量の設定に替えて空気量を回転数で除して基本燃料噴射量を求めても良いものである。
≪ステップS25≫
ステップS25では最大燃焼圧Pmaxを越えないように燃料を増量する補正値を演算している。燃料を増量することでプレイグニッションを回避することが可能となる。この制御では最大燃焼圧Pmaxを目標燃焼圧、或いはリミッタ燃焼圧として燃料噴射量を調整するフィードバック制御が実行されている。したがって、燃焼圧が適正に維持されてプレイグニッションを回避することができる。
≪ステップS26≫
更に、ステップS26においても燃焼圧の変化率dp/dθが所定の変化率を越えないように燃料を増量する補正値を演算している。この制御では燃焼圧の変化率dP/dθを目標燃焼圧の変化率としてフィードバック制御が実行されている。この燃焼圧の変化率dP/dθを所定以下に抑えればプレイグニッションを回避することができる。
≪ステップS27≫、≪ステップS28≫
ステップS27では、ステップS25、ステップS26で求めた補正値を、ステップS24でベースマップから読み出した基本燃料噴射量に加算して最終的な燃料噴射量を求めている。尚、この他に種々の補正値が加算、或いは減算されて最適な最終燃料噴射量が求められるものである。そして、ステップS28では、ステップ27で求められた最終燃料噴射量が開弁パルス信号(インジェクタ信号)に変換され、燃料噴射弁13に送られて噴射されるものである。
≪ステップS29≫
ステップS29では、ステップS22で求められたノックレベルに応じて点火時期の補正値が演算される、ノックレベルが高いほど遅角させる量を大きくしてノックを回避するものである。このため、ノックの発生の有無やノックレベルに対応してフィードバック制御が実行されている。
≪ステップS30≫
ステップS30では失火補正制御が実行される。この場合は図示平均有効圧力IMEPを用いて失火判断を実行している。図示平均有効圧力IMEPが所定の閾値を下回ると進角させる補正値を演算する。更に、図示平均有効圧力IMEPが所定の閾値を超えないようにフィードバック制御が実行されている。
≪ステップS31≫
ステップS31ではMBT制御が実行される。この場合は最大燃焼圧Pmaxが生じるクランク角θPmaxが使用される。そして、このθPmaxに近づくように点火時期の補正値が演算される。一般的にはトルク曲線の最大値に向けて点火時期を進角させるか、或いは遅角させてトルク曲線の最大値付近で点火時期を設定するものである。
≪ステップS32≫、≪ステップS33≫
ステップS32では、ステップS29、ステップS30、ステップS31で求めた点火時期の補正値を、ステップS23でベースマップから読み出した基本点火時期に加算、或いは減算して最終的な点火時期を求めている。尚、この他に種々の補正値が加算、或いは減算されて最適な点火時期が求められ、この点火時期は、ステップS33で通電開始角と通電角に変換された点火信号として点火コイル19に送られ点火プラグ20で発火される。
以上に説明した実施例は、振動検出センサの出力信号を意図的に修正して必要とする出力信号を求めるものであるが、このような考え方を以下のように展開することも可能である。例えば、最近、燃料噴射弁から一燃焼サイクル中に複数回燃焼室内に燃料を直接噴射する多段噴射方式が検討されている。そして、この時の燃料噴射弁の開弁/閉弁時期は正確に管理される必要がある。しかし、制御装置が燃料噴射弁を駆動してから実際に噴射弁が開弁/閉弁動作する時期までには遅延があり、その度合いは噴射弁毎に固有の特性に依存する。そして、その特性が経年劣化等によってずれ、燃料噴射弁の開弁/閉弁時期が制御装置に指示からずれてくる問題がある。
そこで、振動検出センサによって燃料噴射弁の開弁/閉弁時期を検出し、フィードバック制御によってこれを補正することが考えられる。ところが、経年劣化や内燃機関の運転状態の変化によって燃料噴射弁の開弁/閉弁時期の機械振動強度が変化して正確な出力信号が得られない恐れが出てくる。このような場合は以下の方法で、振動検出センサの出力信号を修正して検出感度を向上することができる。
まず、基準内燃機関で経年劣化をしていない燃料噴射弁の動作に基づく振動を基準振動検出センサで検出し、これを高速フーリエ変換して周波数毎のフーリエ成分を求めて制御装置のROM28に記憶させておく。次に、実際の内燃機関に設けた振動検出センサによって燃料噴射弁の開弁/閉弁による振動を検出し、これを高速フーリエ変換して周波数毎のフーリエ成分を求め、ROM28に記憶された基準の振動スペクトルの周波数毎のフーリエ成分との出力比を求める。この求められた出力比を用いて実際の振動スペクトルを周波数毎に修正すれば、正確な出力信号を推定できることになる。この出力比は、図7で述べた例のように、内燃機関の運転領域に応じて複数求めておくとよい。燃料噴射弁の開弁/閉弁時の機械振動強度は燃料噴射弁上流の燃料圧力等に依存し、多段噴射方式を実施する場合には、その噴射回数は回転数やトルクなどに依存するため、最適な出力比のピークは内燃機関の運転領域によって変化するからである。
更に、詳細には述べないが内燃機関の作動状態を検出するセンサ出力を周波数スペクトルに変換して作動状態を検出するものに対しても本発明の考え方を適用できるものである。
以上説明した通り、本発明は、実際の振動検出センサの出力信号に、基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号に一致、或いはこれに近似させる所定の補正処理を行うことで燃焼圧を推定するようにした。また、基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と基準となる振動検出センサの出力信号の出力比を予め求めておき、実際の振動検出センサの出力信号に予め求めておいた出力比を反映して燃焼圧信号を推定するようにした。これらによれば、精度良くしかも簡単に燃焼圧信号を検出することができるものである。
2…エアクリーナ、5…スロットル弁、6…流量検出装置、7…回転数検出手段、8…プレートまたはリングギア、9…燃料タンク、10…燃料ポンプ、11…プレッシャーレギュレータ、12…燃料管、13…燃料噴射装置、15…三元触媒、16…空燃比センサ、17…O2センサ、18…内燃機関の制御装置、19…点火装置、40…燃料噴射制御ブロック、41…点火制御ブロック、48…燃焼圧推定ブロック。

Claims (22)

  1. 少なくとも内燃機関の燃焼に起因する振動を検出する実振動検出センサからの実際の出力信号に基づいて前記内燃機関の燃焼圧を推定する燃焼圧推定手段を備えた内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    前記実振動検出センサの実際の出力信号に、基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号に一致、或いはこれに近似させる所定の補正処理を行うことで、燃焼圧を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    前記燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と基準となる振動検出センサの出力信号の出力比を予め求めておき、前記実振動検出センサの実際の出力信号に前記予め求めておいた出力比を反映して燃焼圧信号を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    前記出力比は、同じ運転状態で検出された前記燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と前記振動検出センサの出力信号の出力比であることを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  4. 少なくとも内燃機関の燃焼に起因する振動を検出する実振動検出センサからの実際の出力信号に基づいて前記内燃機関の燃焼圧を推定する燃焼圧推定手段を備えた内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と基準となる振動検出センサの出力信号の相互に対応する周波数毎に燃焼圧信号と前記振動検出センサの出力信号の出力比を予め求めておき、前記実振動検出センサの実際の出力信号に前記出力比を反映して燃焼圧信号を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  5. 請求項4に記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    前記実振動検出センサの実際の出力信号の低周波数領域の出力信号に前記出力比を反映して燃焼圧信号を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  6. 請求項4に記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    前記燃焼圧検出センサの燃焼圧信号を高速フーリエ変換した燃焼圧スペクトルと前記振動検出センサの出力信号を高速フーリエ変換した振動スペクトルの相互に対応する周波数毎にそれぞれのフーリエ成分の出力比を予め求めておき、前記実振動検出センサの実際の出力信号を高速フーリエ変換した振動スペクトルに前記出力比を反映して燃焼圧信号を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  7. 請求項6に記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    前記実振動検出センサの実際の出力信号を高速フーリエ変換した振動スペクトルに前記予め求めておいた出力比を反映して修正振動スペクトルを求め、この修正振動スペクトルを逆高速フーリエ変換して燃焼圧波形を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  8. 請求項7に記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    前記実振動検出センサの実際の出力信号を高速フーリエ変換した振動スペクトルを低周波領域と高周波領域に分割し、前記低周波数領域の振動スペクトルに前記予め求めておいた出力比を反映して前記修正振動スペクトルを求め、前記修正振動スペクトルに高周波領域の振動スペクトルを合成し、この合成された合成振動スペクトルを逆高速フーリエ変換して燃焼圧波形を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  9. 請求項4乃至請求項8のいずれかに記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    前記出力比が運転状態によって分割された複数の運転領域毎に求められており、前記燃焼圧推定手段は実際の運転状態に基づいて前記運転領域のいずれかの前記出力比を用いて燃焼圧信号を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  10. 請求項4乃至請求項9のいずれかに記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    前記出力比は、基準内燃機関の燃焼圧を検出する前記燃焼圧検出センサの燃焼圧信号の出力と、この時に同時に検出された前記振動検出センサの出力信号の出力とに基づいて求められていることを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  11. 請求項1に記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    前記実振動検出センサは2つの気筒に対して1個の割合で設けられており、前記気筒と前記実振動検出センサの間のそれぞれの振動伝搬距離が同じ程度に設定された条件のもとで前記実振動検出センサの実際の出力信号が検出されることを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  12. 請求項1に記載の内燃機関の燃焼圧検出方法において、
    複数の前記実振動検出センサの互いの出力信号を突き合わせて相互に故障診断を実行する、或いは故障した一つの前記実振動検出センサに代えて他の前記実振動検出センサの出力をバックアップとして使用することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出方法。
  13. 少なくとも内燃機関の燃焼に起因する振動を検出する実振動検出センサからの実際の出力信号に基づいて前記内燃機関の燃焼圧を推定する燃焼圧推定手段を備えた内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    前記実振動検出センサの実際の出力信号に、基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号に一致、或いはこれに近似させる所定の補正処理を行うことで燃焼圧を推定する燃焼圧推定演算部をそなえていることを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
  14. 請求項13に記載の内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    前記燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と基準となる振動検出センサの出力信号の出力比を予め求めて記憶する記憶手段と、
    前記実振動検出センサの実際の出力信号に前記出力比を反映して燃焼圧信号を推定する燃焼圧推定演算部を備えていることを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
  15. 少なくとも内燃機関の燃焼に起因する振動を検出する実振動検出センサからの実際の出力信号に基づいて前記内燃機関の燃焼圧を推定する燃焼圧推定手段を備えた内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記燃焼圧推定手段は、
    基準となる燃焼圧検出センサの燃焼圧信号と基準となる振動検出センサの出力信号の相互に対応する周波数毎に燃焼圧信号と出力信号の出力比を予め記憶する記憶手段と、
    前記実振動検出センサの実際の出力信号に前記記憶手段に記憶された前記出力比を反映して燃焼圧信号を推定する燃焼圧推定演算部を備えていることを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
  16. 請求項15に記載の内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記燃焼圧推定演算部は前記実振動検出センサの実際の出力信号の低周波数領域の出力信号に前記出力比を反映して燃焼圧信号を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
  17. 請求項16に記載の内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記記憶手段には、前記燃焼圧検出センサの燃焼圧信号を高速フーリエ変換した燃焼圧スペクトルと前記振動検出センサの出力信号を高速フーリエ変換した振動スペクトルの相互に対応する周波数毎にそれぞれのフーリエ成分の出力比が予め記憶されており、
    前記燃焼圧推定演算部は、前記実振動検出センサの実際の出力信号を高速フーリエ変換した振動スペクトルに前記記憶手段の前記出力比を反映して燃焼圧信号を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
  18. 請求項17に記載の内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記燃焼圧推定演算部は、前記実振動検出センサの実際の出力信号を高速フーリエ変換した振動スペクトルに前記記憶手段の前記出力比を反映して修正振動スペクトルを求め、この修正振動スペクトルを逆高速フーリエ変換して燃焼圧波形を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
  19. 請求項18記載の内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記燃焼圧推定演算部は、前記実振動検出センサの実際の出力信号を高速フーリエ変換した振動スペクトルを低周波数領域と高周波領域に分割し、前記低周波数領域の振動スペクトルに前記記憶手段の前記出力比を反映して前記修正振動スペクトルを求め、前記修正振動スペクトルに高周波数領域の振動スペクトルを合成し、この合成された合成振動スペクトルを逆高速フーリエ変換して燃焼圧波形を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
  20. 請求項15乃至請求項19のいずれかに記載の内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記記憶手段には、運転状態によって分割された複数の運転領域毎に前記出力比が記憶されており、前記燃焼圧推定演算部は実際の運転状態に基づいて前記記憶手段のいずれかの運転領域に記憶された前記出力比を用いて燃焼圧信号を推定することを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
  21. 請求項13に記載の内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記実振動検出センサは2つの気筒に対して1個の割合で設けられており、前記気筒と前記実振動検出センサの間のそれぞれの振動伝搬距離が同じ程度に設定された条件のもとで前記実振動検出センサの実際の出力信号が検出されて前記燃焼圧推定手段に入力されることを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
  22. 請求項13に記載の内燃機関の燃焼圧検出装置において、
    前記燃焼圧推定手段は、複数の前記実振動検出センサの互いの出力信号を突き合わせて相互に故障診断を実行する機能、或いは故障した一つの前記実振動検出センサに代えて他の前記実振動検出センサの出力をバックアップとして使用する機能を備えていることを特徴とする内燃機関の燃焼圧検出装置。
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