以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図には、適宜、上下左右前後を示す矢印が付記されている。上下方向は鉛直方向であり、左右方向および前後方向は水平面に平行である。
以下の実施形態には、硬貨を処理する貨幣処理システムに本発明を適用した例が示されている。本実施の形態において、バラ硬貨処理ユニット110は、特許請求の範囲に記載の「第1貨幣処理装置」に対応し、硬貨処理装置200は、特許請求の範囲に記載の「第2貨幣処理装置」に対応する。リジェクト箱115は、特許請求の範囲に記載の「貨幣収納箱」に対応する。その他の実施形態の構成と特許請求の範囲の各構成の対応付けは、符号の説明の項において、実施形態の各構成に括弧書きで特許請求の範囲の構成を付記することにより示されている。
以下に示すバラ硬貨処理ユニット110は、出納機100の一部を構成するものである。この他、出納機100は、包装硬貨の処理を行う包装硬貨処理ユニットと、バラ紙幣の処理を行うバラ紙幣処理ユニットと、帯封紙幣の処理を行う帯封紙幣処理ユニットとを備えている。本実施形態では、バラ硬貨処理ユニット110を含む出納機100と、後述の硬貨処理装置200とにより貨幣処理システムが構成されている。
貨幣処理システムにおいて、バラ硬貨処理ユニット110は、バラ硬貨の入出金に用いられる。入金処理の際に、バラ硬貨処理ユニット110から、変形貨、汚損貨、記念貨、旧貨等のリジェクト硬貨が排出される。こうして排出された硬貨が、硬貨処理装置200に投入される。硬貨処理装置200は、変形貨、汚損貨や記念貨、旧貨等の現行の流通硬貨以外の特殊硬貨を取り扱うものである。硬貨処理装置200は、投入されたリジェクト硬貨を種類毎に分別して収納する。
まず、図1および図2を参照して、出納機100のバラ硬貨処理ユニット110の構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態では、出納機100の右端にバラ硬貨処理ユニット110が配置されている。バラ硬貨処理ユニット110は、略直方体形状の筐体111を有しており、この筐体111の上面には、シャッタ112aにより開閉される硬貨の入金口112が設けられている。また、筐体111の前面には、出金箱113、返却箱114およびリジェクト箱115が着脱可能に設けられている。リジェクト箱115は、筐体111前面の挿入口116に挿入されて、バラ硬貨処理ユニット110に装着されている。
図2に示すように、バラ硬貨処理ユニット110には、筐体111の上部付近に入金部120が配設されている。また、入金部120の下方に金種別の一時保留部121が前後方向に沿って配設されている。さらに、一時保留部121の下方には、金種別の収納繰出部122および金種別の金箱123が、それぞれ、前後方向に沿って配設されている。収納繰出部122と金箱123は、左右に分かれて配置され、これら収納繰出部122と金箱123との間に返却箱114が配設されている。
入金部120には、供給部130、繰出部131、入金搬送部132および識別部133が繋がっている。供給部130は、入金口112から投入された硬貨を受け入れて所定量ずつ送り出す。繰出部131は、供給部130から送り込まれる硬貨を受け入れて1枚ずつ繰り出す。入金搬送部132は、繰出部131から1枚ずつ繰り出される硬貨を搬送する。供給部130および繰出部131は、たとえば、回転円盤を用いた硬貨繰出機構から構成されている。また、入金搬送部132は、硬貨を1枚ずつ搬送する搬送ベルト等から構成されている。
入金搬送部132には、入金搬送部132により搬送される硬貨を識別する識別部133が配設されている。識別部133は、たとえばイメージセンサ133aからなる撮像手段を有し、イメージセンサ133aによって、入金搬送部132により搬送される硬貨を撮像する。識別部133は、イメージセンサ133aにより取得した硬貨の画像データに基づいて、当該硬貨の金種、真偽、正損等を識別する。
また、識別部133より搬送方向下流側には、入金搬送部132の選別通路が筐体111の前側から後側に向けて配設されている。この選別通路に、硬貨を選別する複数の選別部134が配設されている。選別部134には、搬送方向上流側から、識別部133で識別不能と判別されたリジェクト硬貨を選別するリジェクト硬貨選別部、任意の金種または任意の種類の硬貨を選別する任意硬貨選別部、5円硬貨、1円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨の各金種の硬貨を選別する金種別選別部が含まれている。リジェクト硬貨選別部により選別されたリジェクト硬貨は、リジェクト箱115に送り込まれる。また、任意硬貨選別部で選別された硬貨および各金種別選別部で選別された各金種の硬貨は、それぞれ一時保留部121に送り込まれる。
一時保留部121は、金種別に前後方向に区画され、各区画には、上下方向に開口された保留枠(図示せず)および保留枠の底面を開閉する底板(図示せず)等が設けられている。ここで、保留枠は、モータ等の駆動部によって筐体111の左右方向に沿って移動可能となっている。すなわち、保留枠は、収納繰出部122、返却箱114および金箱123のいずれの上方位置にも移動可能となっている。また、底板は、モータ等の駆動部によって筐体111の左右方向に沿って移動可能となっている。すなわち、底板は、収納繰出部122および返却箱114の上方位置に移動可能となっている。
保留枠が各選別部134の下方に位置するとともに返却箱114の上方に位置し、底板が保留枠の底面を閉塞している位置(一時保留位置)にあるときに、選別部134で金種別に選別された硬貨が、一時保留部121に収納される。こうして一時保留部121に収納された硬貨を収納繰出部122へ収納する際には、保留枠のみが収納繰出部122上に移動して硬貨が収納繰出部122に放出される。また、一時保留部121に収納された硬貨を金箱123へ収納する際には、保留枠のみが金箱123上に移動して硬貨が金箱123に放出される。さらに、一時保留部121に収納された硬貨を返却する際には、底板のみが収納繰出部122上に移動して保留枠の底面を開放することにより硬貨が返却箱114に放出される。
返却箱114は、筐体111の前後方向に沿って長く、上面が開口された箱状に形成されている。返却箱114は、一時保留部121(一括一時保留部121aを含む)から放出される硬貨を一括して受け入れて収納可能となっている。なお、一時保留部121の一括一時保留部121aに収納された硬貨は、適宜、収納繰出部122の一括収納箱122aや金箱123の一括金箱123aに受け渡される。
以上のように、バラ硬貨処理ユニット110では、入金された硬貨のうち、識別部133で識別不能と判別されたリジェクト硬貨(変形貨、汚損貨、記念貨、旧貨等)が、リジェクト箱115に収納される。本実施形態では、リジェクト箱115がバラ硬貨処理ユニット110から取り外し可能となっている。また、リジェクト箱115は、硬貨処理装置200(図3参照)に装着可能となっている。こうして、リジェクト箱115がバラ硬貨処理ユニット110から取り外されて、硬貨処理装置200に装着されることにより、リジェクト箱115に収納されたリジェクト硬貨が、一括して硬貨処理装置200に移される。
次に、図3を参照して、硬貨処理装置200の構成を説明する。
硬貨処理装置200は、略直方体形状の筐体211を有しており、この筐体211の前側下方に損貨箱212、記念貨箱213および返却箱214が設けられている。損貨箱212および記念貨箱213は、それぞれ、硬貨処理装置200内に投入されたリジェクト硬貨のうち、損貨(変形貨、汚損貨)および記念貨を収納する。また、返却箱214は、硬貨処理装置200の筐体211内に投入された硬貨の返却を行う際に用いられる。なお、硬貨処理装置200において識別可能な旧貨は、記念貨と同種と扱われて、記念貨箱213に収納される。また、硬貨処理装置200において識別不可能な硬貨(例えば外貨やおもちゃのコイン等)は、返却箱214に収納される。
損貨箱212、記念貨箱213および返却箱214は、硬貨処理装置200の筐体211の前面から前方に引き出し可能となっている。損貨箱212、記念貨箱213および返却箱214は、施錠されており、それぞれ、所定の管理権限を有する作業者のみが解錠を行って、筐体211前面から前方に引き出すことができるようになっている。
また、硬貨処理装置200の前側面には、リジェクト箱115を装着するための箱装着部215が設けられている。箱装着部215の奥には、リジェクト箱115が挿入される挿入口216が設けられている。前方視において、挿入口216は、リジェクト箱115と略同じ大きさの輪郭を有する。リジェクト箱115は、箱装着部215の底面に載せられた状態で、挿入口216から筐体211内部に押し込まれる。これにより、リジェクト箱115は硬貨処理装置200に装着される。
図4(a)〜図5(b)を参照して、リジェクト箱115の外観構成を説明する。
まず、図4(a)、(b)を参照して、リジェクト箱115は、前後に長い略直方体の形状の筐体301を有する。筐体301上面の前後に並ぶ2つの辺部分は、角が円弧状に丸められている。筐体301の上面には、長方形の開口302が形成されている。また、開口302の左側に、前後に延びるスリット303が形成されている。スリット303の隙間は人の指先の幅より数段狭い。開口302は、筐体301の内側からカバー304により閉塞されている。カバー304は、開口302よりやや大きい長方形の板状部材からなっており、前後にスライド可能に筐体301に支持されている。カバー304上面の後部左側に、矩形状の凹部304aが形成されている。
筐体301の前側面には、カバー304に対応する高さ位置に長方形の送出口305が設けられている。カバー304が前方にスライドされると、図4(b)のように、送出口305を通ってカバー304が前方に飛び出す。これにより、開口302が開放される。さらに、筐体301の前面には、上縁に指を引っ掛けることが可能な穴306が形成されている。作業者は、リジェクト箱115をバラ硬貨処理ユニット110または硬貨処理装置200から取出す際に、この穴306に指を引っ掛けてリジェクト箱115を前方に引き抜く。
図5(a)、(b)を参照して、筐体301の後面には、2つの小さな挿入孔307、308が設けられている。また、挿入孔308の下方に、長方形の開口309が形成されている。開口309は、筐体301の内側からカバー310により閉塞されている。カバー310は、左右方向の幅が開口309よりやや小さい長方形の板状部材からなっており、前後に回転可能に筐体301に支持されている。図5(b)に示すように、カバー310の下部が後方に回動すると、開口309が開放される。
次に、図6(a)、(b)を参照して、リジェクト箱115の内部構造を説明する。なお、図6(a)は、リジェクト箱115の内部を左側から透視したときの内部構造を模式的に示しており、図6(b)は、リジェクト箱115を上方から見たときの内部構造を模式的に示している。便宜上、図6(b)では、カバー304が省略されている。
筐体301の内部は、傾斜壁面311a〜311cに囲まれることにより、リジェクト硬貨を収納するための収納部311が形成されている。傾斜壁面311a〜311cは、下端が中央に近づき上端が中央から離れるように傾斜している。収納部311の底には、2つの回転シャフト312a、312bに橋架されるようにして、搬送ベルト313が配置されている。片方の回転シャフト312bには、受動ギア314が取り付けられている。受動ギア314に動力が伝達されると、回転シャフト312bが回転し、搬送ベルト313が前後方向に送られる。
さらに、搬送ベルト313の後部上面に対向するように、ローラ315が配設されている。ローラ315は、受動ギア314からベルト315aを介して回転され、リジェクト硬貨が2枚重なって送られてきても、上側のリジェクト硬貨をこのローラ315で弾いて1枚だけが搬送ベルト313とローラ315との間の隙間を通るようになっている。これにより、リジェクト硬貨は、1枚ずつ、収納部311から後方の開口309に繰出される。
また、筐体301の上部内側には、スリット303に対応する位置に、L字状のブラケット316が配置されている。ブラケット316は、上下に移動可能に筐体301に支持されている。また、ブラケット316のL字状に屈曲した端部には、上方に突出する突起317が設けられている。図6(a)に示すように、カバー304が閉じられた状態において、突起317が、カバー304裏面に形成された凹部304bに対向する。また、ブラケット316は、バネ318によって、上方向に付勢されている。この付勢により、ブラケット316が上方向に引き寄せられ、突起317が、カバー304裏面の凹部304bに嵌り込む。これにより、カバー304のスライドが規制され、カバー304が閉塞位置にロックされる。図6(b)に示すように、スリット303の後端には、前側が低く後ろ側が高い傾斜面303aが形成されている。傾斜面303aの後端は、筐体301上面へと繋がっている。
図6(a)、(b)に示すように、後方の開口309を塞ぐカバー310の上部裏側(前側)にロックレバー319が配置されている。ロックレバー319は、図6(b)の状態から右方向に移動可能に筐体301に支持されている。ロックレバー319の上部には、後ろ側が前側よりもロックレバー319先端から離れたカム面319aが形成されている。また、ロックレバー319の左端後面にはパッド320が装着されている。図6(a)、(b)の状態では、パッド320が、カバー310の裏面(前側)に緩やかに当接している。これにより、カバー310は、図6(a)において時計方向の回動が規制される。なお、開口309の底面は、後ろ側が前側よりも低い傾斜面309aとなっている。
ロックレバー319は、バネ321による左方向への付勢を受けて、図6(b)の位置に位置付けられる。ロックレバー319は、図6(b)の状態から、バネ321の付勢に抗して、右方向に移動可能である。図6(b)の状態からロックレバー319が右方向に移動すると、パッド320がカバー310の裏面(前側)から外れる。これにより、カバー310は、図6(a)において時計方向に回動可能となる。
カバー310は、バネ322により、図6(a)において反時計方向に付勢されている。カバー310は、ストッパー(図示せず)によって、反時計方向の回動が規制されている。このため、図6(a)、(b)のようにパッド320がカバー310の裏面に当接した状態では、カバー310は、時計方向および反時計方向の何れにも回動が規制される。こうして、カバー310が閉塞位置にロックされる。
リジェクト箱115をバラ硬貨処理ユニット110および硬貨処理装置200から取り外した状態では、上記のように、開口302、309がそれぞれカバー304、310に閉塞され、カバー304、310が閉塞位置にロックされる。したがって、開口302、309を介したリジェクト箱115内部へのアクセスが抑止される。
次に、図7(a)〜(c)を参照して、リジェクト箱115をバラ硬貨処理ユニット110の挿入口116に挿入する際の動作を説明する。
図7(a)に示すように、バラ硬貨処理ユニット110の挿入口116の内部には、リジェクト箱115の挿入経路の所定の位置に、球状のベアリング141と矩形状の突起142が配設されている。ベアリング141と突起142は一体化されており、バネ等の付勢手段(図示せず)によって下方向に付勢されている。ベアリング141の径は、リジェクト箱115のスリット303(図4(a)参照)よりも小さい。また、突起142の大きさは、カバー304上面の凹部304a(図4(a)参照)よりも小さい。ベアリング141と突起142は、リジェクト箱115がバラ硬貨処理ユニット110の挿入口116に挿入される際に、スリット303と凹部304aが通過する位置に配置されている。
挿入口116に対するリジェクト箱115の所定の挿入過程において、図7(a)に示すように、ベアリング141が筐体301上面に乗り上げる。その後、リジェクト箱115がさらに挿入されると、ベアリング141が、筐体301上面に形成されたスリット303(図4(a)参照)に嵌り込む。これにより、図7(b)に示すように、ブラケット316が下方に押し下げられ、突起317と凹部304bの係合が解除される。こうして、カバー304のロックが解除され、カバー304がスライド可能となる。このとき同時に、突起142が、カバー304上面の凹部304aに嵌り込む。これにより、カバー304の移動が規制される。
その後、さらにリジェクト箱115が押し込まれると、図7(c)に示すように、リジェクト箱115の移動に伴い、カバー304がスライドされる。すなわち、カバー304は、突起142が凹部304aに嵌り込むことによって移動が規制されている。このため、リジェクト箱115が押し込まれると、カバー304は図7(b)の位置に残ったまま、筐体301が後方に移動する。これにより、カバー304が相対的に筐体301に対してスライドされ、徐々に開口302が開放される(図4(b)参照)。その後、筐体301は、開口302が全開状態になるまで押し込まれる。これにより、リジェクト硬貨の投入が可能となる。こうして、バラ硬貨処理ユニット110の挿入口116に対するリジェクト箱115の装着が完了する。
バラ硬貨処理ユニット110の挿入口116からリジェクト箱115が抜き取られる場合には、上記と逆の挙動によって開口302がカバー304により閉塞され、カバー304がロックされる。すなわち、図7(b)の状態までリジェクト箱115が移動された後、さらに、リジェクト箱115が抜き取られると、ベアリング141が、スリット303後端の傾斜面303a(図6(b)参照)に乗り上げて、ベアリング141と突起142が上方に移動する。これにより、突起142がカバー304上面の凹部304aから抜き取られる。これと同時に、バネ318の付勢によりブラケット316が上方に変位し、ブラケット316の突起317がカバー304裏面の凹部304bに嵌り込む。これにより、カバー304が閉塞位置にロックされる。その後、図7(a)の状態を経て、リジェクト箱115がバラ硬貨処理ユニット110の挿入口116から抜き取られる。
次に、図8(a)〜(c)を参照して、リジェクト箱115を硬貨処理装置200の挿入口216に挿入する際の動作を説明する。図8(a)〜(c)においても、図6(b)と同様、カバー304の図示が省略されている。
図8(a)に示すように、挿入口216の内部には、リジェクト箱115挿入の際にリジェクト箱115後面の挿入孔307、308に対向する位置に、ピン221、222が配設されている。ピン221、222は、硬貨処理装置200側の挿入口216の奥方に固定されている。
挿入口216にリジェクト箱115が挿入されると、やがて図8(a)の状態に到達する。この状態から筐体301がさらに押し込まれると、まず、ピン221が挿入孔307に入り込み、その後、ピン222が挿入孔308に入り込む。挿入孔307から内部に入ったピン221は、先端がロックレバー319のカム面319aに当接し、カム面319aを押す。これにより、ロックレバー319が右方向の力を受けて、図8(b)のように、ロックレバー319がバネ321の付勢に抗して、右方向に変位する。これにより、パッド320がカバー310の裏面から外れ、カバー310は、図6(a)の時計方向に回転可能となる。
このタイミングで、他方のピン222が、カバー310の上部に当接する。その後、さらに筐体301が押し込まれると、カバー310が、ピン222に押されて回動する。筐体301は、最奥部まで押し込まれる。これにより、図8(c)に示すように、カバー310が大きく回動し、筐体301後ろ側の開口309が開放される(図5(b)参照)。こうして、硬貨処理装置200の挿入口216に対するリジェクト箱115の装着が完了する。
硬貨処理装置200の挿入口216からリジェクト箱115が抜き取られる場合には、上記と逆の挙動によって開口309がカバー310により閉塞され、カバー310がロックされる。すなわち、図8(b)の状態までリジェクト箱115が移動された後、さらに、リジェクト箱115が抜き取られると、バネ321の付勢により、カム面319aがピン221の先端に摺接しながらロックレバー319が左方向に移動する。これにより、パッド320がカバー310の裏面に位置付けられ、カバー310の時計方向の回動が規制される。これにより、カバー310が閉塞位置にロックされる。その後、図8(a)の状態を経て、リジェクト箱115が硬貨処理装置200の挿入口216から抜き取られる。
次に、図9(a)、(b)を参照して、硬貨処理装置200における硬貨処理動作を説明する。図9(a)においても、図6(b)と同様、カバー304の図示が省略されている。
図9(b)に示すように、硬貨処理装置200には、リジェクト箱115が挿入口216の最奥部に挿入された状態においてリジェクト箱115の受動ギア314と噛み合う駆動ギア231が設けられている。また、硬貨処理装置200には、リジェクト箱115から繰出されるリジェクト硬貨Cを案内する透明板232と、透明板232上面を滑って移動するリジェクト硬貨Cを受け取って、損貨のルートと記念貨のルートに振り分ける受け部材233が設けられている。受け部材233はモータ234の回転軸に連結され、モータ234によって回動される。また、透明板232は、図9(b)の反時計方向に回転可能となっており、図示しない駆動モータによって、図9(b)の破線の位置に回動される。
硬貨処理装置200には、透明板232を上下に挟むようにして2つの撮像カメラ235a、235bが設置されている。2つの撮像カメラ235a、235bは、それぞれ、透明板232上を滑るリジェクト硬貨を上側および下側から撮像する。撮像カメラ235a、235bは、たとえば、カラー画像を取得するカラーカメラである。撮像カメラ235a、235bは、互いの光軸が一致するように配置されている。なお、リジェクト硬貨の撮像は、撮像カメラに代えて、ラインセンサにより行われても良い。また、リジェクト硬貨の上面画像および下面画像の撮像のみならず、リジェクト硬貨の側方画像の撮像がさらに行われても良い。
さらに、透明板232を上下に挟むようにして、発光部236aおよび受光部236bからなる光センサが設けられている。発光部236aは、撮像カメラ235a、235bの撮像領域付近に光を照射し、受光部236bは、発光部236aから出射され透明板232を透過した光を受光する。リジェクト硬貨Cが撮像領域付近を通過すると、発光部236aから出射された光がリジェクト硬貨Cで遮蔽され受光部236bに届かない。これにより、リジェクト硬貨Cの到来が検出される。こうしてリジェクト硬貨Cの到来が検出されたことに基づいて、2つの撮像カメラ235a、235bによる撮像が行われる。これにより、リジェクト硬貨Cの上面画像と下面画像が取得される。
リジェクト箱115が挿入口216の最奥部に挿入され、硬貨処理装置200に対するリジェクト箱115の装着が完了すると、駆動ギア231が時計方向に回動される。これにより、受動ギア314が回動して搬送ベルト313が駆動され、搬送ベルト313上のリジェクト硬貨Cが後方へと送られる。上記のように、搬送ベルト313により後方に送られるリジェクト硬貨Cは、1枚のみが、搬送ベルト313とローラ315との隙間を通って傾斜面309aへと繰出される。
こうして繰出されたリジェクトコインCは、傾斜面309aを滑って透明板232へと移動し、さらに、透明板232上を滑って受け部材233へと移動する。その途中で、リジェクト硬貨Cは、2つの撮像カメラ235a、235bにより上面および下面が撮像され、上面画像と下面画像が取得される。そして、リジェクト硬貨Cは、取得された上面画像および下面画像に基づいて種別(損貨箱/記念貨/その他)が判定され、判定結果に応じて、損貨箱212、記念貨箱213および返却箱214の何れに収納されるかが決定される。
ここで、判定結果が損貨である場合、受け部材233が図9(a)の反時計方向に駆動されて、リジェクト硬貨Cが損貨のルートへと導かれる。これにより、リジェクト硬貨Cは損貨箱212に収納される。判定結果が記念貨である場合、受け部材233が図9(a)の時計方向に駆動されて、リジェクト硬貨Cが記念貨のルートへと導かれる。これにより、リジェクト硬貨Cは記念貨箱213に収納される。判定結果がその他判定不能である場合、透明板232が図9(b)の反時計方向に駆動されて、リジェクト硬貨Cが返却のルートへと導かれる。これにより、リジェクト硬貨Cは返却箱214に収納される。
本実施形態の貨幣処理システムでは、上記のようにして損貨箱212、記念貨箱213および返却箱214に収納されたリジェクト硬貨の情報と、バラ硬貨処理ユニット110側でリジェクト箱115に収納されたリジェクト硬貨の情報とが、互いに紐づけて管理される。以下、この管理方法について、説明する。
まず、図10を参照して、貨幣処理システム1におけるバラ硬貨処理ユニット110および硬貨処理装置200のブロック構成を説明する。
バラ硬貨処理ユニット110は、駆動部151と、検出部152と、比較部153と、制御部154と、記憶部155と、インタフェース156を備えている。駆動部151は、図2に示された各構成部を動作させるための駆動機構や動力源を含む。また、検出部152は、図2に示すイメージセンサ133aや、駆動機構を動作させるためのセンサを含む。比較部153は、バラ硬貨処理ユニット110のイメージセンサ133aで撮像されたリジェクト硬貨の画像と、硬貨処理装置200の撮像カメラ235a、235bで撮像されたリジェクト硬貨の画像とを比較して、両者が一致するか否かを判定する。
制御部154は、CPU(CentralProcessing Unit)等の演算回路を備え、記憶部155に記憶されたプログラムに従って、各部を制御する。記憶部155は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部154の動作プログラムを記憶し、また、制御部154の制御処理の際にワーク領域として利用される。
また、記憶部155は、バラ硬貨処理ユニット110のイメージセンサ133aで撮像されたリジェクト硬貨の画像(以下、「第1画像」という)と、選別部134のリジェクト硬貨選別部による当該リジェクト硬貨の選別結果(損貨/記念貨/その他)およびその他の情報(処理日、作業者、等)を、互いに紐づけて記憶する。さらに、記憶部155は、後述のように、硬貨処理装置200側で取得されたリジェクト硬貨の撮像画像(以下、「第2画像」という)および当該リジェクト硬貨に関する情報(リジェクト硬貨の種別、処理日、作業者、等)と、バラ硬貨処理ユニット110側で取得した当該リジェクト硬貨に関する上記情報とを互いに紐づけて記憶する。
バラ硬貨処理ユニット110には、インタフェース156を介して、操作端末160が接続されている。操作端末160は、たとえばタッチパネルからなる表示入力部161と、作業者が携帯するIDカードの読み取りを行うカードリーダ等のカード読取部162と、プリンタ等の印刷部163と、各部を制御する制御部164と、バラ硬貨処理ユニット110のインタフェース156と通信線で接続されるインタフェース165とを備える。
硬貨処理装置200は、駆動部241と、検出部242と、制御部243と、記憶部244と、インタフェース245を備えている。駆動部241は、図9(a)、(b)に示された各構成部を動作させるための駆動機構や動力源を含む。また、検出部242は、図9(b)に示す撮像カメラ235a、235bや発光部236aおよび受光部236b等を含む。
制御部243は、CPU等の演算回路を備え、記憶部244に記憶されたプログラムに従って、各部を制御する。記憶部244は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部243の動作プログラムを記憶し、また、制御部243の制御処理の際にワーク領域として利用される。また、記憶部244は、損貨、記念貨の特徴画像群をそれぞれ記憶している。制御部243は、この特徴画像と、撮像カメラ235a、235bで撮像された第2画像とを比較対照することにより、リジェクト硬貨の種別(損貨/記念貨/その他)を判定する。また、記憶部244は、撮像カメラ235a、235bで撮像されたリジェクト硬貨の第2画像と、当該リジェクト硬貨の種別の判定結果(損貨/記念貨/その他)およびその他の情報(処理日、IDカードから読み取った作業者情報、等)を、互いに紐づけて記憶する。
硬貨処理装置200には、インタフェース245を介して、操作端末250が接続されている。操作端末250は、操作端末160と同様の構成であり、表示入力部251と、カード読取部252と、印刷部253と、制御部254と、インタフェース255とを備える。硬貨処理装置200のインタフェース245は、操作端末250のインタフェース255に接続され、さらに、バラ硬貨処理ユニット110のインタフェース156に接続されている。したがって、硬貨処理装置200は、バラ硬貨処理ユニット110との間で通信可能である。
なお、本実施の形態では、硬貨処理装置200に対する操作入力のために、別途、操作端末250が準備されているが、操作端末250が省略され、硬貨処理装置200に対する操作に操作端末160が共用されても良い。
バラ硬貨処理ユニット110に対してリジェクト箱115の装着または取出しがなされる場合、バラ硬貨処理ユニット110の制御部154によって、図11の処理が実行される。
なお、図11の処理は、作業者が、操作端末160を介して、リジェクト箱115の装着または取出しのための所定の入力を行った後に行われる。この入力には、表示入力部161に対する入力の他、作業者のIDカードをカード読取部162に読ませることも含まれる。
図11を参照して、制御部154は、リジェクト箱115が挿入口116に装着されたか否かを判定する(S101)。この判定は、たとえば、検出部152に含まれるセンサがリジェクト箱115の装着を検出したか否かによって行われる。リジェクト箱115が装着されると(S101:YES)、制御部154は、駆動部151に含まれるロック機構によって、リジェクト箱115を装着位置にロックする(S102)。
さらに、制御部154は、硬貨の入金操作が行われたか否かを判定する(S103)。硬貨の入金操作が行われると(S103:YES)、制御部154は、リジェクト硬貨の選別およびリジェクト箱115への収納が発生するごとに、リジェクト硬貨に関する情報の登録処理を行う(S104)。この登録処理では、識別部133のイメージセンサ133aにより撮像されたリジェクト硬貨の第1画像と、当該リジェクト硬貨の選別結果(損貨/記念貨/その他)およびその他の情報(処理日、IDカードから読み取った作業者、等)が、互いに紐づけられて、記憶部155に記憶される。S104の登録処理は、入金部120に投入された全ての硬貨に対する処理が終了するまで(S105:YES)、リジェクト硬貨が生じるごとに繰り返し行われる。
こうして、入金処理が終了すると、制御部154は、操作端末160に対してリジェクト箱115を取り外すための入力がなされたか否かを判定する(S106)。リジェクト箱115の取り外し入力がなされなければ(S106:NO)、制御部154は、処理をS103に戻し、次の入金操作を待つ。また、制御部154は、その後も、リジェクト箱115を取り外すための入力がなされたか否かを監視する(S103:NO→S106)。そして、新たな入金操作が行われた場合(S103:YES)、制御部154は、上記と同様にして、今回の入金操作に対するリジェクト硬貨のデータ登録を行う(S104)。他方、リジェクト箱115を取り外すための入力がなされた場合(S106:YES)、制御部154は、挿入口116からリジェクト箱115が取り外し可能となるように、装着位置にリジェクト箱115を固定するロック機構を解除する(S107)。しかる後、作業者によって、リジェクト箱115が挿入口116から取り外される。なお、図11のフローチャートでは、S102において、リジェクト箱115を装着位置にロックするようにしているが、ロックをしない構成でもよい。
こうしてバラ硬貨処理ユニット110から取り外されたリジェクト箱115が硬貨処理装置200に装着される場合、硬貨処理装置200側の制御部243では、図12の処理が実行される。
なお、図12の処理は、作業者が、操作端末250を介して、リジェクト箱115を装着するための所定の入力を行った後に行われる。この入力には、表示入力部251に対する入力の他、作業者のIDカードをカード読取部252に読ませることも含まれる。
図12を参照して、制御部243は、リジェクト箱115が挿入口216に装着されたか否かを判定する(S201)。この判定は、たとえば、検出部242に含まれるセンサがリジェクト箱115の装着を検出したか否かによって行われる。リジェクト箱115が装着されると(S201:YES)、制御部243は、駆動部241に含まれる駆動モータを駆動して、図9(b)に示す駆動ギア231を駆動し、リジェクト箱115内の搬送ベルト313を繰出し方向に駆動する。これにより、リジェクト箱115から1枚ずつリジェクト硬貨が繰出される(S202)。
その後、制御部243は、リジェクト硬貨が図9(b)の撮像カメラ235a、235bの撮像領域に現れたか否かを判定する(S203)。撮像領域にリジェクト硬貨が現れると(S203:YES)、制御部243は、撮像カメラ235a、235bによりリジェクト硬貨の第2画像(上面、下面)を撮像し(S204)、撮像した第2画像にもとづいて、リジェクト硬貨の種別(損貨/記念貨/その他)を判定する(S205)。そして、制御部243は、種別の判定結果に応じて、図9(a)の受け部材233あるいは透明板232を回動させ、リジェクト硬貨を損貨箱212、記念貨箱213または返却箱214の何れかに振り分けて収納する(S206)。
さらに、制御部243は、振り分けたリジェクト硬貨の第2画像(上面、下面)と、当該リジェクト硬貨の種別の判定結果(損貨/記念貨/その他)およびその他の情報(処理日、IDカードから読み取った作業者、等)を、互いに紐づけて、記憶部244に記憶する(S207)。S204〜S207の処理は、撮像カメラ235a、235bの撮像領域にリジェクト硬貨が現れるごとに(S203:YES)、実行される。撮像領域にリジェクト硬貨が所定時間に亘って現れない場合(S203:NO)、制御部243は、リジェクト箱115内にリジェクト硬貨が残っていないとして、今回の処理により記憶部244に記憶された各リジェクト硬貨の第2画像、種別の判定結果およびその他の情報を、インタフェース245を介してバラ硬貨処理ユニット110に送信する(S208)。
こうして、データ送信がなされると、バラ硬貨処理ユニット110の制御部154において、図13の処理が行われる。
図13を参照して、制御部154は、硬貨処理装置200から上記情報を受信すると(S301:YES)、受信した各リジェクト硬貨の第2画像と、バラ硬貨処理ユニット110の記憶部155に登録されているリジェクト硬貨の第1画像を、比較部153に比較させる(S302)。ここで、制御部154は、記憶部155に登録されたリジェクト硬貨の第1画像のうち、今回の硬貨処理装置200における処理によりリジェクト箱115から繰出されたと想定される全ての硬貨の第1画像を、S301で受信した第2画像との比較対象に設定する。具体的には、バラ硬貨処理ユニット110に対するリジェクト箱115の装着履歴を参照し、この装着履歴において最新の装着時点から今回リジェクト箱115が取り出されるまでの間に記憶部155に登録されたリジェクト硬貨の第1画像を、S301で受信した第2画像との比較対象に設定して、比較部153に比較照合を行わせる。
比較部153による比較により、S301で受信した全てのリジェクト硬貨の第2画像と、比較対象に設定された全ての第1画像とが1対1に対応するとの判定結果が得られた場合(S303:YES)、制御部154は、バラ硬貨処理ユニット110から硬貨処理装置200へのリジェクト硬貨の移し替えが正常であるとの表示を表示入力部161に表示させる(S304)。そして、制御部154は、S301で受信した第2画像、種別の判定結果およびその他の情報を、当該第2画像と一致する第1画像に紐づけて、記憶部155に登録する(S305)。
他方、比較部153による比較により、S301で受信した全てのリジェクト硬貨の第2画像と、比較対象に設定された全ての第1画像とが1対1に対応するとの判定結果が得られなかった場合(S303:NO)、制御部154は、エラー画面を表示入力部161に表示させ(S306)、作業者に確認操作を実行させる(S307)。
この場合、制御部154は、操作端末160の表示入力部161(図10参照)に、たとえば、図14(a)のような画面表示させる。
図14(a)の画面には、エラー報知の他、リジェクト硬貨の確認を促すコメントと、ボタンB10が含まれている。作業者がボタンB10を押下すると、画面が図14(b)の画面に切り変わる。図14(b)の画面には、硬貨処理装置200で取得されたリジェクト硬貨の第2画像を表示する領域R11と、バラ硬貨処理ユニット110で取得されたリジェクト硬貨の第1画像を表示する領域R12が含まれている。
領域R11には、第2画像の内、比較対象に設定された第1画像の何れとも一致しなかった第2画像が選択的に表示される。この場合、バラ硬貨処理ユニット110で取得されたリジェクト硬貨以外の硬貨が何らかの原因で硬貨処理装置200に投入されていることが予想される。
また、領域R12には、比較対象に設定された第1画像の内、受信した第2画像の何れとも一致しなかった第1画像が選択的に表示される。この場合、バラ硬貨処理ユニット110で取得されたリジェクト硬貨が何らかの原因で硬貨処理装置200に送られていないことが予想される。
領域R13、R14には、それぞれ、領域R11、R12に表示されているリジェクト硬貨の種別(損貨/記念貨/その他)が表示される。作業者は、ボタンB11、B12を操作することにより、それぞれ、領域R13、R14に表示されている種別を変更できる。すなわち、ボタンB11、B12が押下されるごとに、領域R13、R14に表示されている種別を、損貨、記念貨、その他の順でサイクリックに変更できる。
また、作業者は、ボタンB13、B15を操作することにより、それぞれ、領域R11、R12に表示されている第2画像および第1画像を変更できる。すなわち、ボタンB13、B15が押下されるごとに、領域R11、R12に表示されている第1画像および第2画像を順送りすることができる。なお、作業者は、領域R11にタッチすることにより、第2画像を上面と下面の間で切り替えることができる。
作業者は、領域R11に表示された第2画像と、R12に表示された第1画像とを目視により比較して、図13のS302において不一致とされた第1画像と第2画像が互いに一致するか否かを確認できる。そして、両画像が一致することが確認できると、作業者は、ボタンB16を押下する。これにより、領域R11に表示された第2画像とR12に表示された第1画像が互いに紐づけられる。S302で不一致とされた全ての第1画像および第2画像について確認および紐づけが終了すると、作業者は、ボタンB14を押下する。これにより、確認処理が終了する。なお、互いに一致しなかった第1画像および第2画像が残った場合、作業者は、やむなくこれを放置して、ボタンB14を押下し、確認処理を終了する。
図13に戻り、こうして確認処理(S307)が終了すると、制御部154は、S301で受信した第2画像、種別の判定結果およびその他の情報を、当該第2画像と一致する第1画像に紐づけて、記憶部155に登録する(S305)。第1画像に一致しない第2画像が存在する場合、制御部154は、この第2画像、種別の判定結果およびその他の情報を、今回の処理によりエラーが生じたリジェクト硬貨に関する情報として、記憶部155に登録する。また、第2画像に一致しない第1画像には、エラーのフラグを登録する。こうして、第1画像と第2画像の紐づけ処理が終了する。なお、図14のボタンB11、B12に対する操作によりリジェクト硬貨の種別が修正された場合には、記憶部155に登録される種別の情報が、この修正に応じて変更される。
上記図11〜図13によると、硬貨処理装置200にリジェクト箱115をセットしてリジェクト箱115内のリジェクト硬貨を全て硬貨処理装置200内に投入して振り分けた後で、硬貨処理装置200で得られたリジェクト硬貨のデータをバラ硬貨処理ユニット110に送信し、送信したデータと、バラ硬貨処理ユニット110の記憶部115に記憶されているリジェクト硬貨のデータを比較照合するようにしているが、比較照合は、リジェクト箱115内のリジェクト硬貨が硬貨処理装置200内へ投入される度に、バラ硬貨処理ユニット110の記憶部115に記憶されているリジェクト硬貨のデータと一枚毎に比較照合することもできる。
この場合、硬貨処理装置200にリジェクト硬貨を投入するたびに、バラ硬貨処理ユニット110に該当するリジェクト硬貨のデータがあれば「正常」の表示を行い、該当するリジェクト硬貨のデータがなければ、リジェクト箱115から硬貨処理装置200への繰り出しを停止して、図14(a)のような警告の表示をする。このようにすれば異常を早期に発見できて対応が容易になる。具体的にこの一枚毎の比較照合は、図12のフローチャートでいうと、振り分けられる前の段階、即ち、S205の種別判定とS206の振り分けの間に行なうとよい。
<実施形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏され得る。
リジェクト箱115がバラ硬貨処理ユニット110および硬貨処理装置200から取り外された状態では、開口302、309が閉塞状態にロックされるため、リジェクト箱115の内部に収容されたリジェクト硬貨に外部から容易にアクセスできない。よって、バラ硬貨処理ユニット110から硬貨処理装置200へ硬貨を移し替える際に不正行為が介在しにくくなる。また、作業者は、硬貨の移し替えの際に、硬貨を1枚ずつ硬貨処理装置200にセットせずとも、リジェクト箱115を硬貨処理装置200に装着するだけで、リジェクト箱115に収納された全てのリジェクト硬貨を一括して、硬貨処理装置200に移動させることができる。よって、バラ硬貨処理ユニット110から硬貨処理装置200への硬貨の移し替え作業を簡便に行える。
図7(a)〜(c)を参照して説明したとおり、リジェクト箱115をバラ硬貨処理ユニット110の挿入口116に挿入すると、自動的にカバー304のロックが解除され、カバー304が開放される。よって、カバー304のロック解除および開放のために特別な作業を行う必要がなく、リジェクト箱115を装着するのみで、リジェクト箱115をリジェクト硬貨の受け入れが可能な状態に設定できる。図7(a)〜(c)に示すように、本実施形態によれば、カバー304のロック解除および開放をシンプルな機構により確実に行える。
図8(a)〜(c)を参照して説明したとおり、リジェクト箱115を硬貨処理装置200の挿入口216に挿入すると、自動的にカバー310のロックが解除され、カバー310が開放される。よって、カバー310のロック解除および開放のために特別な作業を行う必要がなく、リジェクト箱115を装着するのみで、リジェクト箱115をリジェクト硬貨の繰出しが可能な状態に設定できる。図8(a)〜(c)に示すように、本実施形態によれば、カバー310のロック解除および開放をシンプルな機構により確実に行える。
図9(a)、(b)を参照して説明したとおり、リジェクト箱115に収納されたリジェクト硬貨は、搬送ベルト313とローラ315によって1枚ずつ繰出される。よって、リジェクト硬貨を1枚ずつ透明板232へと送ることができ、リジェクト硬貨の撮像を良好に行うことができる。
図9(b)を参照して説明したとおり、リジェクト箱115を硬貨処理装置200に装着すると、リジェクト箱115の受動ギア314が硬貨処理装置200側の駆動ギア231に噛み合い、硬貨処理装置200側の動力がリジェクト箱115内の搬送ベルト313に伝導される。よって、リジェクト箱115にモータ等の駆動源を配する必要がなく、リジェクト箱115の構成をシンプルにできる。
図9(b)を参照して説明したとおり、リジェクト箱115から繰出されたリジェクト硬貨が受け部材233に到達する前に、透明板232上を滑るリジェクト硬貨を撮像して、リジェクト硬貨の種別が判定され、リジェクト硬貨が振り分けられる。したがって、簡素な構成により、円滑かつ迅速に、リジェクト箱115に収納されたリジェクト硬貨を処理することができる。
図13を参照して説明したとおり、バラ硬貨処理ユニット110においてリジェクト箱115に収納されたリジェクト硬貨の情報と、硬貨処理装置200でリジェクト箱115から取出され収納されたリジェクト硬貨の情報とが互いに紐づけて管理される。したがって、後日、リジェクト硬貨の処理について確認が必要となった場合には、リジェクト硬貨の処理状況について、その都度容易に確認できる。
図14を参照して説明したとおり、比較部153の判定により、バラ硬貨処理ユニット110でリジェクト箱115に収納されたリジェクト硬貨と、硬貨処理装置200でリジェクト箱115から取出され収納されたリジェクト硬貨とに不一致が生じた場合にも、目視により両硬貨が一致するか否かを確認でき、適宜、両硬貨の情報を紐づけることができる。よって、両硬貨の情報を円滑かつ適正に管理できる。
<変更例1>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態では、図9(a)、(b)に示すように、リジェクト箱115内のリジェクトコインが1枚ずつ繰出されたが、たとえば、図15(a)、(b)に示すように、筐体301の収納部311の底面を傾斜面311dとして、収納部311内のリジェクト硬貨が傾斜面311dを滑って硬貨処理装置200内に排出される構成であっても良い。この場合、ロックレバー319によるロックが解除されてカバー310が回動すると、リジェクト硬貨が排出される。この構成では、リジェクト硬貨が1枚ずつ繰出されないため、たとえば、リジェクト箱115から排出されたリジェクト硬貨を一旦受け入れて1枚ずつ繰出す中間的な構成が硬貨処理装置200内に必要となる。
また、上記実施形態では、図9(b)に示すように、受動ギア314によって硬貨処理装置200からの動力が搬送ベルト313に伝導されたが、たとえば、リジェクト箱115内に搬送ベルト313を駆動するためのモータが配置されても良い。この場合、たとえば、リジェクト箱115を硬貨処理装置200の挿入口216に挿入すると、硬貨処理装置200側のコネクタに接続されて電力の供給を受けるためのコネクタがリジェクト箱115に設けられる必要がある。なお、このようにリジェクト箱115が電力の供給を受ける場合、収納部311にセンサを設けて、繰出し動作時に収納部311にリジェクト硬貨が残っているか否かを検出することが可能となり、また、カバー304、310のロックおよび開閉も電気制御で行うことが可能となる。しかし、その反面、リジェクト箱115の構成が複雑になりコストも上昇する。したがって、シンプルな構成で確実かつ安定的にリジェクト硬貨の収納、繰出し、カバー304、310のロックおよび開閉を行うためには、上記実施形態のように、機構部のみをリジェクト箱115に設けることが好ましい。
また、上記実施形態では、リジェクト硬貨を投入するための開口302と、リジェクト硬貨を排出するための開口309の2つの開口(硬貨通用部)が設けられたが、開口の数はこれに限られない。たとえば、リジェクト硬貨の投入と排出に一つの開口が共用されても良い。たとえば、開口309を省略し、リジェクト箱115を硬貨処理装置200に装着する際には、リジェクト箱115を上下反転させて挿入口216に挿入する。そして、図7(a)〜(c)で説明したカバー304のロックを解除してスライドさせるための構成を、硬貨処理装置200に配設する。これにより、上下反転させた状態でリジェクト箱115が硬貨処理装置200の挿入口216に挿入されると、カバー304が自動で開いて、リジェクト箱115内のリジェクト硬貨が排出される。この場合も、図15(a)、(b)の変更例と同様、リジェクト箱115から排出されたリジェクト硬貨を一旦受け入れて1枚ずつ繰出す中間的な構成が硬貨処理装置200内に必要となる。また、開口302、309の大きさや形状も、上記実施形態に限られるものではない。
また、図7(a)に示す突起142が凹部304aに嵌り込むタイミングや、図8(a)に示すピン222がカバー310に当接するタイミングは、上記実施形態に記載のタイミングに限られず、カバー304、310のロックが解除されたタイミング以降であって、カバー304、310を適切に開放できれば、他のタイミングであっても良い。
また、カバー304、310をロックする手段は、上記のように係合を利用する方法に限られない。たとえば、カバー310がギアによりスライドされるような場合は、ギアの噛み合わせ等の機構系の負荷によってカバー310の開放が抑止されても良い。この他、カバー304、310の支持や駆動方法も上記実施形態に限られない。
また、上記実施形態では、バラ硬貨処理ユニット110で処理されたリジェクト硬貨の情報と硬貨処理装置200で処理されたリジェクト硬貨の情報が紐づけられてバラ硬貨処理ユニット110の記憶部155に記憶されたが、これらの情報が、硬貨処理装置200側の記憶部244に記憶されてもよく、あるいは、他の管理装置によって記憶および管理されても良い。
また、上記実施形態では、図14(a)、(b)の画面が、バラ硬貨処理ユニット110側の操作端末160で表示されたが、この画面が、硬貨処理装置200側の操作端末250に表示されてもよく、あるいは、他の管理装置で表示されても良い。
また、上記実施形態では、処理対象の貨幣がリジェクト硬貨であったが、10円、100円等の他の硬貨であっても良く、あるいは、紙幣や金券等の紙葉類であっても良い。
さらに、上記実施形態では、バラ硬貨処理ユニット110から貨幣処理装置200へとリジェクト硬貨を移し替える構成であったが、移し替えの対象となる装置はこれに限られない。たとえば、国内に流通する貨幣を処理する貨幣処理装置で外国の貨幣を貨幣収納箱に収納し、この貨幣収納箱を外国の貨幣を処理する貨幣処理装置に装着して外貨を移し替える構成であっても良い。