JP6551863B2 - トロリ線の製造方法 - Google Patents

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本発明は、電車などの給電路に利用されるトロリ線、及びその製造方法に関する。特に、線癖が少ないトロリ線、及びその製造方法に関するものである。
従来、電車などの給電路にトロリ線が利用されている。トロリ線の代表例として、その長手方向に沿って一対の懸架溝が対向位置に設けられた溝付トロリ線がある。溝付トロリ線は、横断面形状が円形に近いもの(特許文献1の図12)と、横断面形状が矩形に近いもので梯型と呼ばれるもの(特許文献1の図13)とがある。特許文献1は、溝付トロリ線であって、集電装置に摺接する摺接部の幅が懸架溝に向かって増大する段差部、又は減少する段差部を設けて、この段差部を摩耗検知に利用することを開示している。
溝付トロリ線は、代表的には、荒引線に伸線加工、圧延加工などの塑性加工を施して所定の形状に成形することで製造される。成形後の溝付トロリ線はドラムに巻き取る。特許文献2は、荒引線の繰り出しから、伸線加工、溝付け加工、ドラムへの巻き取りを連続して行うことで、表面品質及び真直性に優れる溝付トロリ線が製造できることを開示している。
溝付トロリ線のうち、電車の給電路に利用されるものでは、長尺材を連続して製造して巻取ドラムに一旦巻き取り、巻取ドラムを巻き戻して所定の長さ分の溝付トロリ線を別のドラムに巻き取って余分を切断し、巻き替えたドラムを架線現場に搬送して架線することがある。
特開平09−240327号公報 特開2010−201478号公報
溝付トロリ線をドラムに巻き取る方法には、摺接部をドラムの筒表面に向かい合わせ、懸架溝間の中心線がドラムの軸に直交するように巻き取る縦巻きと、摺動部をドラムの鍔に向かい合わせ、懸架溝間の中心線がドラムの軸に平行するように巻き取る横巻きとがある。特に、上述の摩耗検知用の段差部を備える溝付トロリ線(以下、段差付トロリ線と呼ぶことがある)を横巻きする場合、段差付トロリ線は、懸架溝及び段差部に基づく凹凸形状であるため、巻取時にドラムの筒表面に安定して配置され難く、懸架溝が筒表面に近づくように、又は摺接部が筒表面に近づくように傾いて局所的に捻じれた状態で巻き取られることがある。
より具体的には、ドラムに巻き取られた段差付トロリ線について、このトロリ線における懸架溝間を繋ぐ直線を直線αとし、ドラムの筒表面に平行な面(筒表面自体を含む)に直交し、直線αに交差する垂線を垂線βとするとき、トロリ線の全長をみれば、直線αと垂線βとの交差角度θが大きい部分が存在し得る。例えば交差角度θが15°以上の部分が存在し得る。交差角度θが局所的に大きな部分を含むことで、交差角度θのばらつきの範囲(θの最大値と最小値との差)も大きくなる。
ここで、交差角度θは、段差付トロリ線の形状に基づく安定する大きさ(以下、安定角度と呼ぶ)が存在する。しかし、安定角度は20°以上と大きいため、安定角度に近づこうと段差付トロリ線が傾くと交差角度θが大きくなり易く、ばらつきの範囲も大きくなり易い。
交差角度θが大きな部分を有し、更にはばらつきの範囲も大きい段差付トロリ線を巻き戻すと、このトロリ線の中心軸が上下に振幅するような曲げが加えられた状態となっている、即ち、線癖(曲げ癖)が付いている。交差角度θが大きい部分があるほど、線癖が多くなり易く、縦巻きしたものに近づくといえる。
上述の線癖が多いと上述の振幅が大きくなるため、架線時に摺接部がうねったり、捻じれたりして適切に架線できなかったり、架線後に集電装置が離線し易くなってアーク放電が生じ易くなる結果、摩耗の進行が早くなったりする恐れがある。従って、架線前に上述の線癖を戻す(除去する)ことが望まれる。しかし、この戻し作業の際に段差付トロリ線に疵をつけたり、不必要な曲げを与えたりする可能性がある。また、上記戻し作業を別途行うと工程数が多くなる。工場で上記戻し作業を行えば、ドラム巻きした段差付トロリ線の生産性の低下を招く。
そこで、本発明の目的の一つは、線癖が少ないトロリ線を提供することにある。また、本発明の別の目的は、線癖が少ないトロリ線を製造できるトロリ線の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様に係るトロリ線は、ドラムに巻回されたものである。
前記トロリ線は、集電装置に摺接する摺接部と、前記トロリ線を懸架する部材が嵌め込まれる複数の懸架溝と、前記摺接部と前記懸架溝との間の所定の位置の幅を異ならせてなる摩耗検知用の段差部とを備える。
前記懸架溝間を繋ぐ直線を直線αとし、前記ドラムの筒表面に平行な面に直交し、前記直線αに交差する垂線を垂線βとするとき、前記直線αと前記垂線βとの交差角度が10°以下である。
本発明の一態様に係るトロリ線の製造方法は、トロリ線をドラムに巻き取る巻取工程を備える。
前記トロリ線は、集電装置に摺接する摺接部と、前記トロリ線を懸架する部材が嵌め込まれる複数の懸架溝と、前記摺接部と前記懸架溝との間の所定の位置の幅を異ならせてなる摩耗検知用の段差部とを備える。
前記懸架溝間を繋ぐ直線を直線αとし、前記ドラムの筒表面に平行な面に直交し、前記直線αに交差する垂線を垂線βとするとき、前記巻取工程では、前記直線αと前記垂線βとの交差角度を角度調整機構によって調整して、前記ドラムに巻取後の前記交差角度を10°以下とする。
上記のトロリ線は、線癖が少ない。
上記のトロリ線の製造方法は、線癖が少ないトロリ線を製造できる。
実施形態1のトロリ線を示す概略部分断面図である。 交差角度を説明する説明図である。 実施形態1のトロリ線の製造方法を実施するトロリ線の製造装置の一例を示す概略構成図である。 実施形態2のトロリ線の製造方法を実施するトロリ線の製造装置の一例を示す概略構成図である。 摩耗検知用の段差部を備える溝付トロリ線の一例を示す説明図である。 摩耗検知用の段差部を備える溝付トロリ線の別の例を示す説明図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るトロリ線は、ドラムに巻回されたものであり、上記トロリ線は、集電装置に摺接する摺接部と、上記トロリ線を懸架する部材が嵌め込まれる複数の懸架溝と、上記摺接部と上記懸架溝との間の所定の位置の幅を異ならせてなる摩耗検知用の段差部とを備える。
上記懸架溝間を繋ぐ直線を直線αとし、上記ドラムの筒表面に平行な面に直交し、上記直線αに交差する垂線を垂線βとするとき、上記直線αと上記垂線βとの交差角度が10°以下である。
上記のトロリ線は、交差角度が10°以下であり十分に小さいため、横巻き材であるものの、線癖が少ない。交差角度が0°であれば、線癖が最も少ない横巻き材である。従って、上記のトロリ線は、線癖の戻し作業を別途行うことなく、適切に架線したり、架線後における集電装置の離線を低減して摩耗の進行を遅くしたりすることができる。また、上記のトロリ線は、上記戻し作業を省略できるため、生産性に優れたり、架線現場での作業を低減したりすることができる。
更に、交差角度が十分に小さい上記のトロリ線を別のドラムに巻き替える場合には、特別な操作を行うことなく、巻き替え後の交差角度も小さくできること、又は巻き替え前の交差角度を実質的に維持できることを確認している。従って、上記のトロリ線は、巻き替え用の上流素材として好適に利用できる。
(2)本発明の一態様に係るトロリ線の製造方法は、トロリ線をドラムに巻き取る巻取工程を備える。
上記トロリ線は、集電装置に摺接する摺接部と、上記トロリ線を懸架する部材が嵌め込まれる複数の懸架溝と、上記摺接部と上記懸架溝との間の所定の位置の幅を異ならせてなる摩耗検知用の段差部とを備える。
上記懸架溝間を繋ぐ直線を直線αとし、上記ドラムの筒表面に平行な面に直交し、上記直線αに交差する垂線を垂線βとするとき、上記巻取工程では、上記直線αと上記垂線βとの交差角度を角度調整機構によって調整して、上記ドラムに巻取後の上記交差角度を10°以下とする。
上記のトロリ線の製造方法を実施するトロリ線の製造装置として、例えば、以下が挙げられる。
トロリ線をドラムに巻き取って、前記ドラムに巻回されたトロリ線を製造するトロリ線の製造装置であって、前記ドラムの上流に配置される角度調整機構を備える。
前記トロリ線は、集電装置に摺接する摺接部と、前記トロリ線を懸架する部材が嵌め込まれる複数の懸架溝と、前記摺接部と前記懸架溝との間の所定の位置の幅を異ならせてなる摩耗検知用の段差部とを備える。
前記懸架溝間を繋ぐ直線を直線αとし、前記ドラムの筒表面に平行な面に直交し、前記直線αに交差する垂線を垂線βとするとき、前記直線αと前記垂線βとの交差角度を前記角度調整機構によって調整して、前記ドラムに巻取後の前記交差角度を10°以下とする。
上記のトロリ線の製造方法及び上記のトロリ線の製造装置は、ドラムに巻き取る前に角度調整機構によって交差角度を調整するため、段差付トロリ線を横巻きするものの、ドラムの筒表面に対して、多層に巻回されている場合には下層のトロリ線によって形成される筒表面に平行な面に対して、段差付トロリ線の傾きを低減できて巻取後の交差角度を10°以下にできる。従って、巻取後の交差角度が十分に小さく、線癖が少ないトロリ線を製造できる。角度調整機構によって筒表面自体又は筒表面に平行な面に対するトロリ線の角度を調整して、例えば交差角度が0°である段差付トロリ線の横巻き材とすれば、線癖が非常に少ない、好ましくは実質的にないトロリ線を製造できる。従って、上記のトロリ線の製造方法や上記のトロリ線の製造装置を利用することで、線癖の戻し作業を省略でき、トロリ線の生産性の向上や架線現場の作業の低減、良好な架線状態の実施に寄与できる。
(3)上記のトロリ線の製造方法の一例として、上記角度調整機構は、上記ドラムに巻き取る前の上記トロリ線の張力を調整するキャプスタンと、上記トロリ線の上記懸架溝に配置される金属線とを含み、上記交差角度の調整は、上記懸架溝に上記金属線を配置した上記トロリ線を上記キャプスタンで巻き取ることで行う形態が挙げられる。
上記形態は、懸架溝に金属線を嵌め込むようにして配置して段差付トロリ線をキャプスタンに巻き取ることで、キャプスタンの巻胴上で段差付トロリ線が安定し易くなり、巻胴上での段差付トロリ線の傾きを効果的に低減できる。そのため、上記形態は、交差角度を小さくでき、線癖が少ないトロリ線を良好に製造できる。また、角度調整機構の主要素を、金属線と、長尺線材の製造に汎用されているキャプスタンとし、容易に入手可能なものとすることで、角度調整機構を容易に構築できる。
(4)上記のトロリ線の製造方法の一例として、上記角度調整機構は、上記トロリ線の外形に沿った貫通孔が設けられた目板を含み、上記交差角度の調整は、上記交差角度を調整していない上記トロリ線を巻き取った第一のドラムから別の第二のドラムに巻き替える際に、上記第一のドラムから巻き戻した上記トロリ線を所定の角度に配置した上記目板の上記貫通孔に挿通することで行う形態が挙げられる。
上記形態は、第一のドラムから繰り出した段差付トロリ線を所定の角度に配置された目板に通してから第二のドラムに巻き取ることで、第二のドラムの筒上で段差付トロリ線が安定し易くなり、筒上での段差付トロリ線の傾きを低減できる。そのため、上記形態は、交差角度を小さくでき、線癖が少ないトロリ線を良好に製造できる。また、上記形態は、角度調整機構の主要素が目板といった簡素なものであるため、角度調整機構を容易に構築できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下に図面を参照して、本発明の実施形態の具体例を説明する。図において同一符号は同一名称物を意味する。
[実施形態1]
図1〜図3を参照して、実施形態1のトロリ線1及び実施形態1のトロリ線の製造方法を説明する。まず、図1を参照して、トロリ線1を説明する。図1は、ドラム2の軸2cに平行な断面で切断した縦断面図であり、上半分のみを示す。
(トロリ線)
・全体構成
実施形態1のトロリ線1は、長尺なトロリ線10がドラム2の筒20に巻回されてなるものである。トロリ線10は溝付トロリ線であり、この例では図1の一点鎖線円内に拡大して示すように、端面形状又は横断面形状が円形に近い線対称な形状のものである。詳しくは、トロリ線10は、パンタグラフなどといった集電装置(図示せず)のすり板に摺接する摺接部12と、トロリ線10を懸架するイヤーなどの懸架部材(図示せず)が嵌め込まれる複数の懸架溝14,14とを備える。更に、このトロリ線10は、摺接部12と懸架溝14との間の所定の位置の幅を異ならせてなる摩耗検知用の段差部15を備える段差付トロリ線である。トロリ線1は、摺部12がドラム2の鍔(図示せず)に向かい合って配置されて、一対の懸架溝14,14間の中心線lcがドラム2の軸2cに平行するようにトロリ線10が巻き取られた横巻き材である。
以下、トロリ線10における中心線lcに直交方向の長さをトロリ線10の幅と呼び、一対の懸架溝14,14間を繋ぐ直線を直線α、一対の懸架溝14,14間の中心線lcに直交し、かつトロリ線10の最大幅をとる直線を直線αと呼ぶ。直線α,αは、実質的に平行である。
・段差付トロリ線
・・基本構成
トロリ線10の基本構成、例えば、組成、形状、大きさ(最大幅(≒直径)、断面積など)は、公知の溝付トロリ線を参照できる。
例えば、組成は、無酸素銅などの銅(純銅)、各種の添加元素を含む銅合金(例えば銅錫合金など)が挙げられる。
形状については、図1に示すトロリ線10は一例であり、図5に示すトロリ線10のように、段差部15の形状を異ならせたり、図6に示すトロリ線10のように、梯型の段差付トロリ線としたりすることができる。段差部15については、以下に説明する他、特許文献1を参照できる。
・・段差部
図1に示す段差部15は、最大幅をとる直線αよりも摺接部12側に位置し、中心線lcに直交する平面(=直線αに平行な平面)を含み、この平面が摺接部12を形成する円弧からその径方向外方(幅方向外方)に延設されている。このトロリ線10の限界摩耗位置は、例えば、直線αと段差部15を構成する上記平面との間に設けられる。段差部15を構成する平面は、中心線lcに交差するように摺接部12側に向かって傾斜した傾斜面とすることができる(図5の傾斜面154参照)。傾斜面に関する点は図6に示す梯型のトロリ線10も同様である。
段差部15の機能を説明する。トロリ線10が架線されて給電路に使用されると、懸架溝14側に向かって摩耗して、トロリ線10における中心線lcに平行方向の長さが徐々に短くなる。図1に示すトロリ線10では、摩耗が進行すると、残存部分の幅が徐々に大きくなり(太くなり)、摩耗の進行が段差部15に達すると、残存部分の幅が極端に大きくなる。このときの残存部分の幅の変化量は、摺接部12における摩耗による幅の変化量よりも大きい。従って、トロリ線10の残存部分の幅を測定し、幅の変化量が大きくなる地点を摩耗限界位置までの予報地点として利用できる。例えば、段差部15を摺接部12から懸架溝14に向かって幅が徐々に大きくなる多段の段差(特許文献1の図6も参照)、又は幅が徐々に小さくなる多段の段差(特許文献1の図7(c)も参照)を備えるものとすれば、残存部分の幅の変化量が大きくなる地点を複数備えられて段階的な予報を行える。多段の段差に関する点は図6に示す梯型のトロリ線10も同様である。
図5に示すトロリ線10の段差部15は、摺接部12と懸架溝14との間に設けられた断面三角形状の溝部150によって形成される。溝部150は、二つの傾斜面152,154を備える。図5に示すトロリ線10では、摩耗が進行すると、残存部分の幅が徐々に大きくなり、摺接部12側の傾斜面152に至ると残存部分の幅が徐々に減少する状態に変化し、懸架溝14側の傾斜面154に至ると残存部分の幅が徐々に増加する状態に再度変化する。この形態は、残存部分の幅の増減が反転する地点を備えるといえ、トロリ線10の残存部分の幅を測定し、幅の増減が変化する地点を摩耗限界位置までの予報地点として利用できる。
図6に示す梯型のトロリ線10の段差部15は、図1に示すトロリ線10と同様に、中心線lcに直交する平面を含み、この平面が幅方向(図6では左右方向)外方に延設されている。梯型のトロリ線10として、例えば、図6に示すように、摺接部12を構成する外周面のうち側面部間の幅が一定である場合には、側面部における残存部分の幅の変化が実質的に無く、摩耗状態が把握し難い。又は側面部間の幅が連続的に変化する場合(例えば、摺接部12の横断面形状が下方に向かって先細る台形状である場合など)も、側面部における残存部分の幅の変化が小さく、摩耗状態が把握し難い。しかし、段差部15を備えることで、残存部分の幅が極端に大きくなる地点を有することができ、摩耗状態の確認を良好に行える。
残存部分の幅の測定といった摩耗状態の測定には、例えば、レーザ式摩耗測定装置などの光学式摩耗測定装置を利用できる。
・ドラムに巻回されたトロリ線
実施形態1のトロリ線1は、段差付トロリ線の横巻き材でありながら、トロリ線10がドラム2の筒20に一様な角度で巻回されており、捻じれた部分が非常に少なく、好ましくは実質的に無い。より具体的には、トロリ線1は、ドラム2の筒表面22に平行な面(筒表面22自体を含む)に直交し、直線αに交差する垂線を垂線βとし、直線αと垂線βとがつくる交差角度をθとするとき、交差角度θが10°以下である。この交差角度θは、直線αに平行な直線であって最大幅をとる直線αと、以下の垂線βとを用いて表される交差角度θに等しい。交差角度θとは、中心線lcと直線αとの交点Pを通って、ドラム2の筒表面22に平行な面(筒表面22を含む)に直交し、直線αと交差する垂線を垂線βとし、直線αと垂線βとがつくる角度(図2の中図、下図参照)である。直線α,αの位置関係は、トロリ線10の製造時のダイス形状などによって一義に決定される。図1では、交差角度θ=θが0°の場合を例示する(図2の上図も参照)。
・・交差角度
以下、主に図2を参照して、交差角度θ=θを説明する。
段差付トロリ線であるトロリ線10を単に横巻きすると、トロリ線10の輪郭線と最大幅をとる直線αとの交線が、ドラム2の筒表面22又はその平行面に線接触した状態となり、安定し難い。詳しくは、トロリ線10は、図2の上図に示すようにドラム2の筒表面22に対して中心線lcが平行するように配置され難い。例えば、トロリ線10は、図2の中図に示すように懸架溝14が筒表面22に近づくように傾いたり、図2の下図に示すように摺接部12が筒表面22に近づくように傾いたりして配置され易い。この場合、図2の中図,下図に示すように、最大幅をとる直線αが筒表面22に対して傾くため、懸架溝14,14間を繋ぐ直線αも同様に傾く。その結果、交差角度θ=θが大きくなり易く、10°超、更に15°以上、20°以上をとり得る。図2の上図に示す状態を基準とすれば、図2の中図に示す懸架溝14側が傾く場合の交差角度θと、図2の下図に示す摺接部12側が傾く場合の交差角度θとを合わせると、±10°超となり、交差角度θのばらつきの範囲(交差角度θの最大値と最小値との差)が20°超と大きくなる。交差角度θが大きい部分が存在する横巻きトロリ線では、線癖が多くなり、上述のように架線時に摺接部12がうねったり捻じれたりし易くなる恐れがある。
一方、トロリ線1の交差角度θ=θが小さければ、上述の懸架溝14側が傾く場合の交差角度θと摺接部12側が傾く場合の交差角度θとの合計が小さくなり易く、交差角度θのばらつきの範囲も小さくなり易い。そのため、線癖が少なくなり易い。交差角度θが小さいほど線癖が少なくなる傾向にあり、9°以下、更に8°以下、7°以下がより好ましい。また、トロリ線1の全長の70%以上、更に80%以上、90%以上、更には実質的に全長に亘って交差角度θが10°以下であることが更に好ましい。トロリ線1の実質的に全長に亘って交差角度θが10°以下であれば、ばらつきの範囲も20°以内になり、捻じれが十分に少ないトロリ線1となって好ましい。交差角度θのばらつきの範囲は、18°以内、更に15°以内、10°以内がより好ましい。トロリ線1の実質的に全長に亘って交差角度θが小さく(好ましくは7°以下)、交差角度θのばらつきの範囲も小さければ(好ましくは14°以内)、図1に示すように、ドラム2の軸2c方向に隣り合うトロリ線10及びドラム2の径方向に隣り合うトロリ線10のいずれもが一様に揃う。従って、ドラム2の筒20に巻き取られたトロリ線10の各層は一様な外形を有し、目視確認によって、捻じれが少ないこと、好ましくは実質的に無いことを容易に把握できる。
トロリ線1の交差角度θの測定は、図2に示すように、トロリ線10における直線αと、ドラム2の筒表面22に平行な面(図2では筒表面22自体を例示)に直交し、直線αに交差する垂線βとをとり、直線αと垂線βとがつくる角の大きさを測定することで行う。後述する特定の製造方法によって、ドラム2に巻き取られたトロリ線1では、筒表面22上における交差角度θを実質的に維持する。そのため、トロリ線10をドラム2から巻き戻して、トロリ線10の巻回状態における角度が維持できる程度のドラム2近傍で交差角度θを測定すると、交差角度θを容易に測定できる。この場合、ドラム2の近傍で、筒表面22に平行な仮想面(図示せず)をとり、この仮想面に対して垂線βをとるとよい。交差角度θの測定には、後述するL字状の治具などを利用できる。トロリ線1が、図1に示すようにドラム2に多層に積層されている場合には、層ごとに筒表面22に平行な仮想面をとり、この仮想面に対して垂線βをとって、各層のトロリ線10の交差角度θを測定するとよい。上述のようにトロリ線1の全長に亘って交差角度θが十分に小さく、ばらつきの範囲も小さいことが好ましいため、全長について交差角度θを測定することが望ましい。目視確認で、一様な外形を有していれば、交差角度θのばらつきの範囲が小さいといえ、例えば最外層又は最内層の任意の一地点についてのみ交差角度θを測定し、この測定値を簡易的な全長の交差角度θとみなすことができる。交差角度θの測定地点数が多いほど、捻じれ状態を正確に把握し易いことから、測定地点数は、3点以上が好ましく、多層の場合には層ごとに複数点とすることがより好ましく、上述のように全長に亘って測定することが更に好ましい。測定地点を複数とする場合には異なるターンから測定地点を選択することが好ましい。また、測定地点数を複数とする場合には、その最大値をトロリ線1の交差角度θとすることが挙げられる。最小値をとる地点以外の交差角度θが大きいため、捻じれた部分を有する可能性があるからである。後述する実施形態のトロリ線の製造方法によってトロリ線1を製造する場合には、トロリ線1の実質的に全長に亘って交差角度θを10°以下にすることができる上に、交差角度θのばらつきの範囲も小さくし易い。その他、交差角度θの測定に代えて、上述の直線αと垂線βとがつくる交差角度θを測定することができる。
(トロリ線の製造方法)
以下、主に図3を参照して、実施形態1のトロリ線の製造方法を説明する。
交差角度θが小さい横巻きのトロリ線1は、例えば、ドラム2に巻き取る前のトロリ線10の角度を調整する実施形態1のトロリ線の製造方法によって製造することができる。
実施形態のトロリ線の製造方法は、トロリ線10をドラム2に巻き取る巻取工程を備えており、巻取工程では、上述のトロリ線10における直線αと、ドラム2の筒表面22に平行な面に直交すると共に直線αと交差する垂線βとの交差角度θを角度調整機構6によって調整して、ドラム2に巻取後の交差角度θを10°以下とする。この例の角度調整機構6は、段差付トロリ線を連続的に製造可能なトロリ線の製造装置5に備えられており、トロリ線10を巻き取るドラム2の上流側に配置されて、ドラム2に巻き取る前のトロリ線10の張力を調整するキャプスタン60と、特定の金属線62とを含み、キャプスタン60と金属線62との双方を用いて交差角度θの調整を行う。まず、トロリ線の製造装置5を説明する。
・トロリ線の製造装置
・・基本構成
トロリ線の製造装置5は、素材となる荒引線コイル100に伸線加工、段差及び溝付け加工といった塑性加工を順次施して、所定の形状の段差付トロリ線(トロリ線10)を連続的に製造し、得られた長尺なトロリ線10をドラム2に巻き取ることで、横巻きのトロリ線1を製造する。この例のトロリ線の製造装置5は、荒引線コイル100の繰り出しから、伸線加工、段差及び溝付け加工を経て、トロリ線10を巻き取るまでを連続して行う生産ラインを構築する。
図3に示すトロリ線の製造装置5は、荒引線コイル100を繰り出す供給装置(図示せず)と、巻き戻された荒引線102に伸線加工を施す伸線装置50,52と、伸線材104に段差及び溝付け加工を施す加工装置55,57と、トロリ線10の張力を調整するキャプスタン60と、トロリ線10を巻き取るドラム2とを備える。トロリ線の製造装置5に備える各要素の基本構成は公知の構成、例えば、特許文献2に記載の溝付トロリ線の製造装置を参照できる。以下に各要素の概略を述べる。
伸線装置50,52は、荒引線102が所定の線径になるまで伸線加工を施すものであり、丸孔ダイスなどの伸線ダイスを備える。図3に示すトロリ線の製造装置5では、伸線装置50,52を二つ備えるが、線径などに応じて、伸線装置の数を一つ又は三つ以上とすることができる。
加工装置55,57は、伸線材104に懸架溝14と摩耗検知用の段差部15とを成形し、所定の形状の段差付トロリ線に加工するためのものである。図3に示すトロリ線の製造装置5では、上流側の加工装置55を、一対の異形孔ローラを備えるものであって、伸線材104に冷間圧延を行うもの、下流側の加工装置57を、異形孔ダイスを備えるものであって、溝付線106に仕上げの伸線加工を行うものを示す。異形孔ローラを利用すると加工度を大きくでき、異形孔ダイスを利用すると形状精度、寸法精度に優れる成形ができる。従って、加工装置55,57を多段に備えることでトロリ線10の製造性にも優れる。トロリ線の製造装置5に備える加工装置の種類や個数は、トロリ線10の形状、大きさに応じて適宜変更することができる。
キャプスタン60は、少なくとも1ターンのトロリ線10が掛け回されて、トロリ線10に付与される張力を調整し、トロリ線10を一定の線速でドラム2側に搬送するためのものであり、トロリ線10が巻回される巻胴600を備える。巻胴600の軸方向の長さは、所定のターン数のトロリ線10を巻回可能な長さを有する。下流側の加工装置57を経たトロリ線10は、キャプスタン60の巻胴600に巻き取られ、巻胴600を所定のターン数だけ周回してからドラム2に搬送される。図3の一点鎖線円内には、3ターンを例示する。キャプスタン径(巻胴600の直径)は、例えば、トロリ線10の最大幅の50倍以上100倍以下程度が挙げられる。キャプスタン径がトロリ線10よりも十分に大きいことでトロリ線10に巻癖がつき難く、伸直性を高め易い。
ドラム2は、キャプスタン60から送出されたトロリ線10を巻き取るためのものであり、トロリ線10を巻き取る筒20と、筒20の軸方向の両端部において筒20の径方向外方に突出する一対の鍔24とを備える。ドラム2は、駆動機構(図示せず)によって回転可能に支持され、回転することでトロリ線10を巻き取る。ドラム径(筒20の直径)は、トロリ線10の大きさなどに応じて適宜選択でき、例えば、トロリ線10の最大幅の50倍以上100倍以下程度が挙げられる。ドラム径は、キャプスタン径よりもある程度(例えば5%〜20%程度)小さくすることができる。ドラム径は、キャプスタン径と同等又はそれ以上にすることもできる。
その他、トロリ線の製造装置5は、皮剥装置(図示せず)、線速制御装置(図示せず)、ガイド(図示せず)、少なくとも一つの別のキャプスタンなどを備えることができる。例えば、伸線装置50,52間、伸線装置52と加工装置55との間に皮剥装置を備えると、伸線材104の表面の酸化膜や微小欠陥の除去、寸法や形状の調整を行える。例えば、キャプスタン60とドラム2との間にガイドを備えると、角度調整機構6によって調整した角度を維持させ易く、ドラム2は、トロリ線10を所定の角度で巻き取り易い。例えば、伸線装置50(又は52)と皮剥装置間、伸線装置52と加工装置55との間などに別のキャプスタンを備え、キャプスタン60を含むこれらのキャプスタンの回転速度や径を調整すると、線速を一定にし易い上に、各線材の張力を調整し易い。
・・角度調整機構
この例の角度調整機構6は、上述のキャプスタン60と、トロリ線10の懸架溝14に配置される金属線62とを備える。
この例の金属線62は、繰出リール(図示せず)に巻き取られており、繰出リールから繰り出された金属線62は、キャプスタン60を経てから巻取リール(図示せず)に巻き取られる。詳しくは、金属線62は、トロリ線10の懸架溝14に一時的に嵌め込まれて、トロリ線10と共にキャプスタン60の巻胴600に複数ターン分だけ巻き取られた後、トロリ線10とは別れて巻胴600から巻取リールに巻き取られる。繰出リール及び巻取リールを用いることで、金属線62のトロリ線10への配置、トロリ線10及びキャプスタン60からの除去を容易に行える。
金属線62は、懸架溝14に配置可能で、かつ交差角度θを特定の範囲に調整可能な大きさと、トロリ線10と共にキャプスタン60に巻回されて断線せず、かつトロリ線10に疵をつけ難いような機械的特性(強度、伸びなど)とを有する適宜なものが利用できる。図3の一点鎖線円内では、金属線62として丸線を例示するが、その他の形状でもよい。金属線62が丸線や楕円線などの曲面形状であると、トロリ線10に疵をつけ難い。金属線62の具体的な構成材料として、トロリ線10と同じ金属、又はベースが同じ金属であれば、トロリ線10に疵をつけ難く好ましい。金属線62の大きさの具体例として、金属線62の直径が、懸架溝14に嵌め込まれて、かつ金属線62がキャプスタン60の巻胴600の表面620に接した状態において、トロリ線10の中心線lcが表面620と平行になるような大きさであることが挙げられる。この場合、ドラム2の筒表面22に代えて、キャプスタン60の巻胴600の表面620上においてトロリ線10の交差角度θをとると、交差角度θを±5°以内にすることができる。
・角度の調整
角度調整機構6による交差角度θの調整方法を具体的に説明する。金属線62を繰り出してトロリ線10の懸架溝14に金属線62を配置したトロリ線10をキャプスタン60で巻き取る。こうすることで、懸架溝14とキャプスタン60の巻胴600の表面620とがつくる空間に金属線62が配置されて、トロリ線10は、金属線62を巻胴600に対する支持部材に利用できる。この支持によって、トロリ線10は、キャプスタン60の表面620上を傾き難くなり、表面620上に一定の角度で巻き取られる。キャプスタン60の表面620上に一定の角度に配置されたトロリ線10は、キャプスタン60からドラム2に巻き替えても、その一定の角度を維持し易い。従って、角度調整機構6を利用すれば、トロリ線10におけるドラム2の筒表面22に平行な面に対する交差角度θを一定の角度に調整できる。特に、金属線62の大きさ(線径)などを調整することで、交差角度θを10°以下とすることができる。例えば、キャプスタン60上でトロリ線10の交差角度θをとった場合に交差角度θが10°以下となるように、金属線62の大きさなどを調整する。
そして、ドラム2における最下層のターンのうち、少なくとも1ターンを一定の角度でドラム2の筒表面22に巻き付けた後、以降のターンについてこの巻取条件を維持することで、各ターンの交差角度θをその周方向に渡って一定の角度にし易い。即ち、ドラム2への巻取開始から巻取終了まで、上述の特定の巻取条件で連続して巻き取ることで、最下層の各ターンは勿論、多層に積層された各ターンについても、交差角度θを一定の角度にし易い。好ましくは、トロリ線1の実質的に全長に亘って、交差角度θを10°以下にすることができる。また、各層の隣り合うターンや、上下に隣り合うターンにおける交差角度θのばらつきの範囲も小さくすることができる。
角度調整機構6を経てドラム2に巻き取る直前のトロリ線10は、上述のようにドラム2の筒表面22又は筒表面22に平行な仮想面に対して一定の角度に調整されている。そのため、ドラム2に巻取直前のトロリ線10の角度を測定して、この角度が所定の範囲内であるか否かを確認しながら上述の巻取条件を調整することで、交差角度θを10°以下により確実にすることができる。例えば、ドラム2に巻取直前のトロリ線10の懸架溝14,14を以下の一対のL字状の治具(図示せず)で挟み、懸架溝14,14間を繋ぐ直線αと平行な直線上に傾斜角センサを配置して、以下の直線αにおける水平線に対する角度δを測定する。各L字状の治具は、互いに直交するように設けられた長辺部と短辺部とを有する。長辺部の先端には、懸架溝14に嵌め込まれる爪部を有する。この爪部は、両治具を懸架溝14に嵌め込んだときに、トロリ線10の直線αと長辺部とが直交するような大きさ及び向きに形成する。このような両治具の爪部を懸架溝14に嵌め込んでトロリ線10を挟むと、長辺部同士が実質的に平行となり、両短辺部は直線αに平行に配置できる。この両短辺部の少なくとも一方に傾斜角センサを取り付けて、直線αにおける水平線に対する角度δを測定する。測定した角度δは、水平線を筒表面22に平行な仮想面とみなせば、直線αとドラム2の筒表面22に平行な仮想面とがつくる角の大きさに実質的に等しい。この測定した角度δを上記仮想面に直交する垂線に対する角度に読み直した値(測定した角度δが鈍角であれば、δ−90°、鋭角であれば90°−δ)は、交差角度θに等しい。従って、角度δを調べて巻取条件を適宜調整することで、交差角度θを精度よく制御できる。トロリ線1の全長に亘って角度δを測定することは、トロリ線1の全長に亘って交差角度θを測定することと実質的に同義となる。傾斜角センサは市販のものが利用できる。トロリ線10を両治具で挟んだときに、各治具の短辺部が例えば互いに逆向きに配置されるように(離反するように配置されるように)形成すると、傾斜角センサを取り付け易い。
この例のトロリ線の製造装置5は、荒引線コイル100から所定の形状の段差付トロリ線(トロリ線10)を連続して製造し、上述の角度調整機構6によって、ドラム2に巻き取られたトロリ線10の交差角度θが10°以下であるトロリ線1を製造できる。
交差角度θが10°以下を満たすトロリ線1は、ドラム2(例えば、図4に示す巻取ドラム2A)から別のドラム(同、出荷ドラム2B)に巻き替えた場合でも、ドラム2(巻取ドラム2A)における交差角度θを実質的に維持できる。例えば、巻取ドラム2Aに巻き取った長尺なトロリ線10を所定の長さ分だけ出荷ドラム2Bに巻き替えて切断した場合、出荷ドラム2Bに巻き取られた所定の長さのトロリ線10についても、交差角度θが10°以下を満たす。従って、トロリ線の製造装置5によって長尺なトロリ線10を製造し、その後、適宜別のドラムに巻き替えることで、所望の長さのトロリ線10であって交差角度θが10°以下を満たすトロリ線1を容易に製造できる。
(主要な効果)
実施形態1のトロリ線1は、段差付トロリ線の横巻き材であるものの、トロリ線10の交差角度θが10°以下と小さい。そのため、ドラム2から巻き戻したトロリ線10の線癖が少ない。従って、トロリ線1は、線癖の戻し作業を別途行うことなく、適切に架線したり、架線後のトロリ線10の摩耗の進行を遅くしたりすることができる。特に、この例のトロリ線10は、横断面形状が円形に近いものであり、横巻きされると、ドラム2の筒表面22に対する安定性に劣るものであるものの、交差角度θが十分に小さいため、上述のように線癖が少ない。
実施形態1のトロリ線の製造方法は、巻取後のトロリ線10の交差角度θが10°以下となるように角度調整機構6によって交差角度θを調整することで、線癖が少ないトロリ線、代表的には実施形態1のトロリ線1を製造できる。特に、この例のトロリ線の製造方法では、角度調整機構6の主要素をキャプスタン60と金属線62とするため、金属線62をトロリ線10の懸架溝14に配置してキャプスタン60で巻き取るといった単純な作業で交差角度θを調整できる。また、角度調整機構6が単純な構成であるため、トロリ線の製造装置5にも組み付け易く、容易に実施できる。更に、金属線62は繰り返し利用可能であり、コストの増大も低減できる。この例では、トロリ線の製造装置5を利用することで、荒引線コイル100から、交差角度θが10°以下であるトロリ線1を連続して製造でき、トロリ線1を生産性よく製造できる。
その他、この例に示すトロリ線の製造装置5は、以下の効果を奏する。
(1)伸線工程と、段差及び溝付けの加工工程とが連続しており、段差付トロリ線を生産性よく製造できる。
(2)最終的にドラム2に巻き取られるまでの間に、別のドラムによる巻取・巻戻しが無く、表面品質に優れるトロリ線1を製造できる。
(3)伸直性に優れるトロリ線1を製造できて、トロリ線10の軸方向における懸架溝14の位置ズレを効果的に防止できる。
(4)伸線加工と、段差及び溝付け加工とにおける加工の進行方向が一方向であるため、トロリ線10の結晶方向が揃い易く、耐摩耗性の向上が期待できる。
[実施形態2]
主に図4を参照して、実施形態2のトロリ線の製造方法を説明する。
実施形態2のトロリ線の製造方法は、目板64を含む角度調整機構6を利用する点が実施形態1との相違点である。以下、この相違点を詳細に説明し、その他の構成及び効果については詳細な説明を省略する。
図4に示す角度調整機構6は、トロリ線10の外形に沿った貫通孔64hが設けられた目板64を含む。この角度調整機構6は、例えば、交差角度θを調整していないトロリ線10を巻き取った巻取ドラム2A(第一のドラム)から出荷ドラム2B(第二のドラム)に巻き替える際に利用することが挙げられる。詳しくは、巻取ドラム2A,出荷ドラム2B間に少なくとも一つの目板64を所定の角度に配置する(目板64の支持機構は図示せず)。すると、巻取ドラム2Aから繰り出されて目板64を通過したトロリ線10は、目板64の貫通孔64hを形成する内周縁の輪郭に倣って傾きが強制的に調整されて出荷ドラム2Bに向かう。実施形態2のトロリ線の製造方法は、このような目板64を出荷ドラム2Bの巻取前に配置して、巻取ドラム2Aから巻き戻したトロリ線10を所定の角度に配置した目板64の貫通孔64hに挿通することで、出荷ドラム2Bの筒表面22に対するトロリ線10の交差角度θの調整を行う。
目板64を経て出荷ドラム2Bに巻き取られる直前のトロリ線10は、出荷ドラム2Bの筒表面22又は筒表面22に平行な仮想面に対して一定の角度に調整されている。実施形態2のトロリ線の製造方法においても、実施形態1と同様に、出荷ドラム2Bに巻取直前のトロリ線10の角度を測定して、この角度が所定の範囲内であるか否かを確認しながら上述の目板64の配置状態(角度)を調整することで、交差角度θを10°以下により確実にすることができる。例えば、目板64の貫通孔64hを形成する内周縁の輪郭における懸架溝14間を繋ぐ直線α’をとり、目板64における直線α’に平行な直線上に傾斜角センサを取り付けて、直線αにおける水平線に対する角度Δを測定する。測定した角度Δは、水平線を筒表面22に平行な仮想面とみなせば、実施形態1と同様に、直線αと出荷ドラム2Bの筒表面22に平行な仮想面とがつくる角の大きさに実質的に等しい。この角度Δを、実施形態1と同様に筒表面22に平行な仮想面に直交する垂線に対する角度に読み直した値(Δ−90°又は90°−Δ)は、交差角度θに等しい。トロリ線1の全長に亘って角度Δを調べて目板64の配置状態を適宜調整することで、トロリ線1の全長に亘って交差角度θを精度よく制御でき、特定の大きさに制御できる。
目板64は、図4の二点鎖線円内に拡大して示すように、トロリ線10の幅方向に分離可能な二つ割れの分割片を組み合わせたものが挙げられる。一対の分割片をトロリ線10に取り付けることで、段差付トロリ線といった異形状のトロリ線10が目板64の貫通孔64hに挿通した状態を容易に構築できる。貫通孔64hを形成する内側縁の輪郭は、トロリ線10の外形に実質的に同一とすると、トロリ線10を強固に保持して、トロリ線10の傾きを調整し易い。目板64の配置数は適宜選択でき、図4の2枚は例示である。目板64の配置数を更に多くしたり、一つの目板64の厚さを厚くしたりすると、巻取ドラム2Aから巻き戻した未調整のトロリ線10を所定の角度に矯正し易いと考えられる。
実施形態2のトロリ線の製造方法は、目板64を含む角度調整機構6によって出荷ドラム2Bに巻き替え後の交差角度θを調整することで、実施形態1のトロリ線の製造方法と同様に、交差角度θが10°以下と小さく、線癖が少ないトロリ線1を製造できる。特に、実施形態2のトロリ線の製造方法では、巻取ドラム2Aに横巻きされたトロリ線10の交差角度θが未調整で大き過ぎたり、交差角度θのばらつきの範囲が大きかったりしても、目板64によって交差角度θが小さくなるように調整し、出荷ドラム2Bに巻取後のトロリ線10の交差角度θを10°以下にすることができる。従って、実施形態2のトロリ線の製造方法は、長尺なトロリ線10を連続して製造して巻取ドラム2Aに巻き取り、給電路に応じた所定の長さのトロリ線10を出荷するにあたり、出荷ドラム2Bに巻き替える際などに好適に利用できる。
[試験例]
キャプスタンと金属線とを含む角度調整機構を利用した実施形態1のトロリ線の製造方法を実施して、ドラムに巻取後のトロリ線の交差角度θを測定した。
試料No.1のトロリ線は、多段の伸線装置と、多段の加工装置と、キャプスタンと、ドラムとを備えて、段差付トロリ線を連続的に製造して横巻きするトロリ線の製造装置(図3参照)によって製造した横巻き材である。詳しくは、直径φ30mm又は25mmの銅荒引線の荒引線コイル(約3.0ton=約3000kg)を用意し、荒引線コイルを繰り出して伸線装置によって直径φ21.5mmまで伸線し、この伸線材を加工装置によって所定の形状に成形して、段差付トロリ線(ここでは図1に示す横断面円形に近いもの)を製造する。この段差付トロリ線の懸架溝に金属線を配置して、段差付トロリ線が金属線に支持されてキャプスタンの巻胴の表面に所定の角度で配置されるようにして、キャプスタンで巻き取る。このキャプスタンからのトロリ線を最終的にドラムに巻き取った。この試験では、キャプスタン径を1200mm、ドラム径を1029mmとした。
試料No.2のトロリ線は、直径φ21.5mmの銅線材のコイルを用意し、このコイルを繰り出したものを加工装置の加工対象とする。加工工程以降は、試料No.1と同様である。
ドラムに巻回された各試料のトロリ線の交差角度θを測定した。ここでは、キャプスタンを経てドラムに巻き取る直前のトロリ線についてドラム近傍で上述の角度δを測定し、角度δを、ドラムの筒表面に平行な仮想面に直交する垂線に対する角度(鈍角の場合:δ−90°、鋭角の場合:90°−δ)に読み替えた角を交差角度θとして利用する。角度δの測定は、ドラム近傍のトロリ線に対して、上述のように懸架溝を一対のL字状の治具で挟み、直線αと平行な直線上に傾斜角センサを配置して、製造したトロリ線の実質的に全長に亘って行った。その結果、いずれの試料も、各ターンの交差角度θは10°以下であり、詳しくは0°以上5°以下の範囲を満たし、ばらつきの範囲も10°以内であり、一様な外形を有していた。また、これらの試料を巻き戻したトロリ線は、線癖が少ないことが確認できた。
交差角度θが10°以下である各試料のトロリ線を別のドラムに巻き替えたところ、別のドラムに対するトロリ線の角度が安定していた。巻き替え後のトロリ線について、上述と同様にドラムに巻き取る直前の角度δを測定して、角度δを用いて交差角度θを測定したところ、各ターンの交差角度θは10°以下、特に7°以下の範囲を満たし(ここでは最小値:−3.6°、最大値:6.9°)、ばらつきの範囲も11°以内であった。また、これらの試料を巻き戻したトロリ線は、線癖が少ないことが確認できた。更に、この巻き替えたトロリ線を架線したところ、安定して架線できた。この理由は、線癖が少なく、線癖による影響が出難くなったためと考えられる。
以上の試験結果から、ドラムに巻回されたトロリ線の交差角度θが10°以下であれば、線癖が少ないことが確認された。また、段差付トロリ線をドラムに横巻きする場合に、巻取前に交差角度θを調整することで、交差角度θが10°以下のトロリ線を製造できることが確認された。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(1)実施形態1で説明したキャプスタン60と金属線62とを備える角度調整機構6を実施形態2で説明した目板64に代える。この場合、キャプスタン60の近傍に金属線62を配置する必要が無い。
(2)実施形態2で説明した目板64を備える角度調整機構6を実施形態1で説明したキャプスタン60と金属線62とを備えるものに代える。この場合、未調整のトロリ線10を巻き取った巻取ドラム2Aと、出荷ドラム2Bとの間にキャプスタン60を設けると共に、金属線62の供給機構を構築するとよい。
(3)トロリ線の製造装置5の一連のラインに代えて、伸線工程と、段差及び溝付け工程とを独立したラインとする。この場合、段差及び溝付けを行う加工装置とドラムとの間に角度調整機構6を設けるとよい。
本発明のトロリ線は、電車などの給電路に利用できる。本発明のトロリ線の製造方法は、段差付トロリ線の製造に利用できる。
1 トロリ線
10 トロリ線 12 摺接部 14 懸架溝 15 段差部
150 溝部 152,154 傾斜面
2 ドラム 2A 巻取ドラム(第一のドラム) 2B 出荷ドラム(第二のドラム)
2c 軸 20 筒 22 筒表面 24 鍔
5 トロリ線の製造装置 50,52 伸線装置 55,57 加工装置
6 角度調整機構
60 キャプスタン 600 巻胴 620 表面 62 金属線
64 目板 64h 貫通孔
100 荒引線コイル 102 荒引線 104 伸線材 106 溝付線
lc 中心線 α 直線 α 直線 β,β 垂線
θ,θ 交差角度 P 交点

Claims (2)

  1. トロリ線をドラムに巻き取る巻取工程を備えるトロリ線の製造方法であって、
    前記トロリ線は、
    集電装置に摺接する摺接部と、
    前記トロリ線を懸架する部材が嵌め込まれる複数の懸架溝と、
    前記摺接部と前記懸架溝との間の所定の位置の幅を異ならせてなる摩耗検知用の段差部とを備え、
    前記懸架溝間を繋ぐ直線を直線αとし、前記ドラムの筒表面に平行な面に直交し、前記直線αに交差する垂線を垂線βとするとき、
    前記巻取工程では、前記直線αと前記垂線βとの交差角度を角度調整機構によって調整して、前記ドラムに巻取後の前記交差角度を10°以下とし、
    前記角度調整機構は、前記ドラムに巻き取る前の前記トロリ線の張力を調整するキャプスタンと、前記トロリ線の前記懸架溝に配置される金属線とを含み、
    前記交差角度の調整は、前記懸架溝に前記金属線を配置した前記トロリ線を前記キャプスタンで巻き取ることで行う、トロリ線の製造方法。
  2. トロリ線をドラムに巻き取る巻取工程を備えるトロリ線の製造方法であって、
    前記トロリ線は、
    集電装置に摺接する摺接部と、
    前記トロリ線を懸架する部材が嵌め込まれる複数の懸架溝と、
    前記摺接部と前記懸架溝との間の所定の位置の幅を異ならせてなる摩耗検知用の段差部とを備え、
    前記懸架溝間を繋ぐ直線を直線αとし、前記ドラムの筒表面に平行な面に直交し、前記直線αに交差する垂線を垂線βとするとき、
    前記巻取工程では、前記直線αと前記垂線βとの交差角度を角度調整機構によって調整して、前記ドラムに巻取後の前記交差角度を10°以下とし、
    前記角度調整機構は、前記トロリ線の外形に沿った貫通孔が設けられた目板を含み、
    前記交差角度の調整は、前記交差角度を調整していない前記トロリ線を巻き取った第一のドラムから別の第二のドラムに巻き替える際に、前記第一のドラムから巻き戻した前記トロリ線を所定の角度に配置した前記目板の前記貫通孔に挿通することで行う、トロリ線の製造方法。
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