JP6551699B2 - 車両の車体構造 - Google Patents

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Description

本発明は、強化材で強化された合成樹脂製の長尺部材の長手方向一端部と他端部とが1対の締結部材を介して車体側に連結された車両の車体構造に関する。
従来より、フロアパネル、ボンネット、トランクリッド、ルーフパネル等のパネル部材は、サスペンションからの入力等によって変形し易いことが知られている。
特に、車室の底面を形成するフロアパネルは、車幅方向中間部分に車室側に膨出して前後方向に延びるトンネル部が設けられているため、トンネル部を形成しない平板構造に比べて剛性が低下し、上下に変位する膜振動が増加する要因になっていた。
このフロアパネルの振動増加は、車室騒音を招くことから、乗り心地性能が低下する虞があった。
近年、炭素繊維強化樹脂(Carbon-Fiber-Reinforced-Plastic: CFRP)は、高比強度(強度/比重)と高比剛性(剛性/比重)、所謂軽さと強度・剛性とを併せ持つ物質的性質を有するため、航空機や車両等の構造材料として広く使用に供されている。
この炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維が強度等の力学的特性を分担し、母材樹脂(マトリックス)が炭素繊維間の応力伝達機能と繊維の保護機能を分担しているため、繊維方向と非繊維方向(負荷の掛かる方向)によって物性が大きく異なる異方性材料である。
これらの知見を踏まえて、本出願人は、炭素繊維強化樹脂を車体の補強部材として用いた技術を提案している。
特許文献1の車両用パネル構造は、四隅においてサイドシル及び第2フロアフレームに連結された減衰パネル部材を有し、この減衰パネル部材は、パネル状の合成樹脂からなる粘弾性部材と、この粘弾性部材内に埋め込まれて減衰パネル部材の四隅に固定され且つ粘弾性部材よりも高剛性で且つ長手方向に配列された炭素繊維部材により構成されている。
これにより、外部からの騒音を遮音するアンダカバーを構成しながら、アンダカバー自体に発生する膜振動を減衰している。
特許文献2の車体補強構造は、炭素繊維が長手方向に配列された状態で組み込まれた炭素繊維強化樹脂製の複数の帯板材の長手方向の両端部が、フロアパネルの下部で且つ前後方向及び車幅方向に離隔して配設された車体側連結部に夫々連結されている。
これにより、車体全体に発生する振動減衰を図っている。
通常、炭素繊維強化樹脂に入力された振動は、歪エネルギーと運動エネルギーに変換され、この歪エネルギーは部材内部に剪断歪として一旦蓄えられる。
その後、蓄積された歪エネルギー(剪断歪)は、運動エネルギーに再び変換される。このとき、歪エネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、散逸される。
それ故、炭素繊維強化樹脂内部に蓄積される歪エネルギーを増大させることで、散逸される熱エネルギーを増加し、結果的に、車両の振動減衰能を増加することができる。
特許文献2の車体の補強構造は、帯板材にフロアパネルの振動に基づく捩りモーメントが作用したとき、炭素繊維が夫々独立して捩れ変形するため、炭素繊維間に存在する母材に剪断変形が生じるものの、炭素繊維間の母材が微小量であることから、炭素繊維間の母材に剪断歪が増加し、これに伴って母材内に蓄積される歪エネルギーが増加されている。
特開2015−174611号公報 特開2017−061170号公報
乗員の乗り心地に対して影響を与える車体の挙動モードは、主に2つに分類される。
第1の車体モードは、捩り変形に伴う車体捩りモードである。
この車体捩りモードは、車両旋回時における車体中心軸回りの捩りモーメントに基づく位相遅れに起因した車体全体の捩れ変位運動であり、剛性に関連した車体モードである。
第2の車体モードは、曲げ変形に伴う膜振動モードである。
この膜振動モードは、路面上に存在する突起物の乗り上げ時や荒れた路面の走行時におけるフロアパネルによる上下変位運動であり、振動に関連した車体モードである。
長手方向に配向された強化繊維を主成分として補強した炭素繊維強化樹脂の場合、捩れ損失係数が曲げ損失係数よりも高い値を有する異方性材料であるため、特許文献2の車体補強構造では、帯板材の保有する振動減衰能力(歪エネルギー蓄積能力)を有効に活用する(使い切る)ことができない虞がある。
つまり、帯板材を構成する炭素繊維強化樹脂が材料自身の物理的性質として高い歪エネルギー蓄積能力を保有していても、帯板材が、フロアパネル(或いはフロアパネルに連結されたフレーム部材)と同じ変形挙動を行う場合には、この挙動に伴う捩り変形に対応した歪エネルギーしか帯板材の内部に蓄積することができず、挙動に伴う曲げ変形(曲げ方向荷重)を振動減衰に寄与させることができない。
そこで、本発明者は、炭素繊維強化樹脂の歪エネルギー蓄積特性について検証解析を行った。
図13に示すように、歪エネルギーについて車両の全体構造を見たとき、通常の車両構造は、ばね定数kbの車体系機構とばね定数kcfの炭素繊維強化樹脂部及びばね定数kjの締結部からなる部材系機構とが並列接続された簡易ばねモデルとして表すことができる。
それ故、この簡易ばねモデルを数値解析することにより、炭素繊維強化樹脂部の剛性と蓄積される歪エネルギーとの相関関係を求めた。
図14に示すように、数値解析の結果、炭素繊維強化樹脂内に蓄積される歪エネルギーは、剛性が極めて低い領域を除いて、剛性が高い程歪エネルギーが低くなり、剛性が低い地点において歪エネルギーのピーク点が存在するという物理的性質が知見された。
上記知見を受けて、炭素繊維強化樹脂の剛性を低下させた場合、炭素繊維強化樹脂内に蓄積される歪エネルギーを増加することができ、振動減衰能力を増加することができる。
しかし、車体の挙動モードに基づき樹脂内に蓄積される歪エネルギーを効率的に増加させる具体的な車体構成は、未だ確立されていない。
本発明の目的は、車体の挙動モードに基づき振動減衰能力を向上可能な車両の車体構造等を提供することである。
請求項1の発明は、長手方向に配向された強化材で強化された合成樹脂製の長尺部材の長手方向一端部と他端部とが1対の締結部材を介して車体側に連結された車両の車体構造において、前記長尺部材が、圧縮荷重が作用する圧縮側壁部と、引張荷重が作用する引張側壁部と、前記圧縮側壁部の一側端部と引張側壁部の一側端部とを連結する一側壁部と、前記圧縮側壁部の他側端部と引張側壁部の他側端部とを連結する他側壁部とを有し、前記長尺部材の軸心直交方向断面の重心よりも前記一側壁部側部分の断面2次モーメントが、重心よりも前記他側壁部側部分の断面2次モーメントよりも小さくなるように設定され、車幅方向中央部分に車室側に膨出して前後方向に延びるトンネル部が形成され、前記長尺部材が、前記トンネル部の車幅方向一側端部と他側端部とを前記1対の締結部材を介して連結したことを特徴としている。
この構成によれば、長尺部材の軸心直交方向断面の重心よりも前記一側壁部側部分の断面2次モーメントが、重心よりも前記他側壁部側部分の断面2次モーメントよりも小さいため、長尺部材の剛性を低下させることができる。しかも、長尺部材に作用する曲げ方向荷重を用いて長尺部材の捩り方向変形を発生させることができる。
つまり、車体の挙動モードに基づき長尺部材に作用する曲げ方向荷重を捩り方向荷重に変換することができ、樹脂内に蓄積される歪エネルギーを効率的に増加することができる。
また、フロアパネルの主要な振動源であるトンネル部の振動変位を長尺部材に取り込むことができ、フロアパネルの剛性確保と振動減衰能力向上とを両立することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記一側壁部に前記長手方向に延びる開口部を形成したことを特徴としている。
この構成によれば、簡単な構成で曲げ方向荷重を捩り方向荷重に変換することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記重心よりも前記一側壁部側部分と重心よりも前記他側壁部側部分とが非対称に構成されたことを特徴としている。
この構成によれば、長尺部材に作用する曲げ方向荷重を確実に捩り方向荷重に変換することができる。
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記長尺部材が、前記長手方向に沿って延びる複数の稜線部を有することを特徴としている。
この構成によれば、長尺部材の断面形状によって車体剛性を向上することができる。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記圧縮側壁部と引張側壁部と一側壁部と他側壁部とが協働して前記長手方向に延びる閉断面状の矩形断面を構成したことを特徴としている。
この構成によれば、簡単な構成で長尺部材の断面2次モーメントを大きくすることができることから、車体剛性を向上しつつ長尺部材の剪断方向の歪エネルギー分担率を増加することができる。
請求項6の発明は、請求項1〜5の何れか1項の発明において、前記強化材が繊維強化材であることを特徴としている。
この構成によれば、繊維強化材で強化された長尺部材にて曲げ方向荷重を捩り方向荷重に変換することができる。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記強化材が炭素繊維強化材であることを特徴としている。
この構成によれば、軽量化を図りつつ曲げ方向荷重を捩り方向荷重に変換することができる。
請求項8の発明は、請求項1〜7の何れか1項の発明において、前記長尺部材を複数有し、前記複数の長尺部材が、車体前後方向に延びる車体中心線に対して線対称に配設されたことを特徴としている。
この構成によれば、長尺部材によって車体振動の位相遅れを生じさせない安心感(箱感)を得ることができる。
本発明の車両の車体構造によれば、車体の挙動モードに基づき振動減衰能力を向上することができる。
実施例1に係る車両を斜め下方から視た図である。 車両の部分底面図である。 車室内を斜め後方から視た図である。 バー部材の斜視図である。 図4のV−V線断面図である。 バー部材の部分拡大図である。 検証解析の説明図である。 検証結果を示す図である。 図8のIX−IX線断面図である。 図8のX−X線断面図である。 図8のXI−XI線断面図である。 実施例2に係る図5相当図である。 車両の簡易ばねモデルである。 炭素繊維強化樹脂の剛性と炭素繊維強化樹脂内に蓄積される歪エネルギーの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を車両の下部車体構造に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
尚、図において、矢印Fは前方を示し、矢印Lは左方を示し、矢印Uは上方を示すものとして説明する。
以下、本発明の実施例1について図1〜図11に基づいて説明する。
まず、車両Vの全体構成について説明する。
図1〜図3に示すように、車両Vは、モノコック式ボディで構成され、車室Rの底面を形成するフロアパネル1と、このフロアパネル1の前端部分から上方へ立ち上がるように形成され且つエンジンルームEと車室Rとを仕切るダッシュパネル2と、このダッシュパネル2から前方に延びる左右1対のフロントサイドフレーム3と、フロアパネル1の後端側部分から後方に延びる左右1対のリヤサイドフレーム4等を備えている。
また、この車両Vは、フロアパネル1の左右両端部に配設された左右1対のサイドシル5と、これら1対のサイドシル5の前端部から上方に延びる左右1対のヒンジピラー6と、1対のサイドシル5の中間部から上方に延びる左右1対のセンタピラー7と、1対のヒンジピラー6の上端部から後方上がり傾斜状に後方に延びる左右1対のフロントピラー8と、これら1対のフロントピラー8の後端部から後方に延び且つ1対のセンタピラー7の上端部に夫々連結された左右1対のルーフサイドレール9等を備えている。
次に、フロアパネル1について説明する。
図1〜図3に示すように、フロアパネル1は、平面視にて略矩形状に形成され、車幅方向中央部分に、前後に延び且つ車室Rに向けて突出したトンネル部10を備えている。
トンネル部10の左右両端部には、前後に延びる左右1対の断面略ハット状のトンネルサイドフレーム11が設けられ、このトンネルサイドフレーム11はフロアパネル1の下面と協働して略平行状に前後に延びる断面略矩形状の閉断面を構成している。
左右1対のサイドシル5と左右1対のトンネルサイドフレーム11との間には、前後に延びる断面略ハット状のフロアフレーム12が夫々設けられている。
このフロアフレーム12は、後側程車幅方向外側に移行するように配設され、フロアパネル1の下面と協働して前後に延びる断面略矩形状の閉断面を構成している。
フロアフレーム12の前端部は、フロントサイドフレーム3の後端部に連結され、後端部はリヤサイドフレーム4の前端部に連結されている。
フロアパネル1は、車室R内にトンネル部10を跨いで左右に延びるクロスメンバ13,14を備えている。これらクロスメンバ13,14は、断面略ハット状に夫々形成され、トンネル部10の側壁部からサイドシル5の側壁部に亙ってフロアパネル1の上面と協働して左右に延びる断面略矩形状の閉断面を夫々構成している。
クロスメンバ13は、ヒンジピラー6とセンタピラー7との中間部に対応する位置に配置され、クロスメンバ13の前側壁部には、フロアフレーム12の前端側部分にフロアパネル1を介在させて接合された上側フレーム15の後端部が連結されている。
クロスメンバ14は、クロスメンバ13に略平行状に配設され、センタピラー7に対応する位置に配置されている。
車室R内には、左右1対の前側シート(図示略)が搭載されている。各シートは、シートの強度・剛性を確保するためのシートフレーム(図示略)を夫々備え、左右1対のシートレール16によって前後方向にスライド移動可能に夫々支持されている。
図2に示すように、1対のシートレール16のうち車幅方向外側のシートレール16は、前端部分がクロスメンバ13の車幅方向外側部分に固定され、後端部分がクロスメンバ14の車幅方向外側部分に固定されている。同様に、1対のシートレール16のうち車幅方向内側のシートレール16は、前端部分がクロスメンバ13の車幅方向内側部分に固定され、後端部分がクロスメンバ14の車幅方向内側部分に固定されている。
フロアパネル1の下側には、複数(例えば13本)のバー部材21〜27(長尺部材)が配設されている。
次に、複数のバー部材21〜27について説明する。
複数のバー部材21〜27は、車幅方向に直交する車体中心軸回りに発生する捩りモーメントに基づく位相遅れに起因した振動や車体中心軸の上下曲げ変形に伴うフロアパネル1の上下振動を減衰可能に構成されている。
図1,図2に示すように、これら複数のバー部材21〜27は、車体中心軸に対して左右対称位置に配置されているため、以下、特段の説明がない限り、車体左側部分に配置されたバー部材21〜27について主に説明し、車体右側部分に配置されたバー部材21〜27についての説明を省略する。
複数のバー部材21〜27は、上下2対の稜線を有し、断面が横長の略矩形状に形成され、各々の長手方向に延びる長尺形状に夫々構成されている。
図4,図5に示すように、バー部材21は、上壁部21aと、上壁部21aに平行な下壁部21bと、上壁部21aと下壁部21bとの左端部を連結する左側壁部21cと、上壁部21aと下壁部21bとの右端部を連結する右側壁部21dとを備え、軸心部分は中空状に構成されている。バー部材21の長手方向両端部には、金属製の連結部材34が接着材等により夫々接合されている。連結部材34は、バー部材21の中空部分に部分的に嵌合され、嵌合部分以外の部分に上下に貫通したボルト穴が形成されている。
図1,図2に示すように、連結部材34をボルト31及びナット32を介してフロアパネル1(サイドシル5)に夫々締結することにより、バー部材21をフロアパネル1(サイドシル5)に対して連結している。尚、バー部材21と連結部材34との接合は、リベットやスクリュー等機械的連結でも良い。
バー部材21は、右側壁部21dの中段部に長手方向に延びる開口部21eが形成され、略閉断面状の開断面を構成している。尚、バー部材21への荷重入力時、上壁部21aと下壁部21bのうち、一方が圧縮側壁部に相当し、他方が引張側壁部に相当している。
図5に示すように、このバー部材21の軸心直交断面形状は、重心(図心)をCとしたとき、重心Cを通る鉛直直線Lに対して非対称になるように構成されているため、直線Lよりも左側壁部21c側の断面2次モーメントが、直線Lよりも右側壁部21d側の断面2次モーメントよりも大きくなるように設定されている。
これにより、バー部材21に対して下方に向かう曲げ荷重が作用したとき、矢印で示す捩りモーメントが生じている。
バー部材21は、炭素繊維Fを主成分である強化材とした炭素繊維強化樹脂(CFRP)を成形することによって形成されている。炭素繊維Fの体積含有率は、50%以上である。
図6に示すように、炭素繊維Fは、バー部材21(炭素繊維強化樹脂)の長手方向の一端から他端に亙って連続してバー部材21の長手方向に一様に延びる単繊維(フィラメント)が所定数(例えば12k)束ねられた繊維束(トウ)で構成されている。炭素繊維Fの単繊維の直径は、例えば7〜10μmである。バー部材21の母材Mには、例えば熱硬化性エポキシ系合成樹脂が使用されている。
バー部材22〜27は、バー部材21と長手方向の寸法が異なる以外は同様の仕様で構成され、各々が開口部22e〜27eを有し、連結部材34が接合されている。
バー部材21〜27は、長手方向一端側の連結部材34と長手方向他端側の連結部材34が車体側部材に取付けられ、中間部分は夫々他部材から離隔するように配設されている。
図1,図2,図4に示すように、バー部材21は、一端側連結部材34がキックアップ前端に対応した右側サイドシル5の下部にブラケット(図示略)を介して固定され、他端側連結部材34がキックアップよりも前方且つクロスメンバ14よりも後方の右側トンネルフレーム部11の下部にブラケット(図示略)を介して固定されている。
バー部材22は、一端側連結部材34がバー部材21の他端側連結部材34と同位置に固定され、他端側連結部材34がクロスメンバ14の右端部(車幅方向内側部分)に対応した左側トンネルフレーム部11の下部にブラケット(図示略)を介して固定されている。
バー部材23は、一端側連結部材34がバー部材22の他端側連結部材34と同位置に固定され、他端側連結部材34がクロスメンバ13の左端部(車幅方向外側部分)に対応した左側サイドシル5の下部にブラケット(図示略)を介して固定されている。それ故、バー部材23は、平面視にて、1対のシートレール16を対角線状に連結するように構成されている。バー部材24は、一端側連結部材34がバー部材23の他端側連結部材34と同位置に固定され、他端側連結部材34が左側トンネルフレーム部11の前端側部分下部にブラケット(図示略)を介して固定されている。
バー部材25は、一端側連結部材34がバー部材24の他端側連結部材34と同位置に固定され、他端側連結部材34が右側トンネルフレーム部11の前端側部分下部にブラケット(図示略)を介して固定されている。バー部材26は、一端側連結部材34がバー部材25の他端側連結部材34と同位置に固定され、他端側連結部材34がクロスメンバ13よりも後方且つクロスメンバ14よりも前方の左側トンネルフレーム部11の下部にブラケット(図示略)を介して固定されている。バー部材27は、一端側連結部材34がバー部材26の他端側連結部材34と同位置に固定され、他端側連結部材34がキックアップよりも前方且つクロスメンバ14よりも後方の左側トンネルフレーム部11の下部にブラケット(図示略)を介して固定されている。
バー部材21〜24,26は、前後方向及び左右方向に対して所定の交差角度を形成している。
次に、本実施例の車両の車体構造における作用、効果について説明する。
作用、効果の説明に当り、膜振動モードにおけるバー部材の変形挙動についてCAE(Computer Aided Engineering)による解析を行った。
まず、この解析の基本的な考え方について説明する。
図7(a)に示すように、実施例1のバー部材21に相当するモデルMを設定し、モデルMの長手方向両端部を1対の冶具Dにて挟持する。
次に、図7(b)に示すように、1対の冶具Dを矢印方向に回動させることにより、モデルMに曲げ荷重(図中白抜き矢印)を与え、このときのモデルMの変形挙動について評価した。尚、解析条件は、炭素繊維強化樹脂が、配向0°、厚さ2mm、繊維含有率60%、繊維強度230GPaとされ、モデルMが、100mm×10mm×300mmとされ、モデルMの長手方向両端部に純曲げモーメント1000Nmを入力した。
図8に変形後のモデルMを示す。
図8に示すように、冶具Dの回動作動により、モデルMに曲げ荷重が作用するため、上壁部が圧縮側壁部になると共に下壁部が引張側壁部になり、モデルMには、重心回りに右回りの捩りモーメントが発生している(図5参照)。
それ故、図9〜図11に示すように、モデルMの軸方向一端部及び他端部に比べて途中部が捩りモーメントによって捩り変形している。
これにより、モデルMに作用した曲げ方向荷重が捩り方向荷重に変換されたことが知見された。
この車両Vの車体構造によれば、バー部材21〜27の軸心直交方向断面の重心Cよりも右側壁部21d〜27d側部分の断面2次モーメントが、重心Cよりも左側壁部21c〜27c側部分の断面2次モーメントよりも小さいため、バー部材21〜27の剛性を低下させることができる。しかも、バー部材21〜27に作用する曲げ方向荷重を用いてバー部材21〜27の捩り方向変形を発生させることができる。
つまり、車体の挙動モードに基づきバー部材21〜27に作用する曲げ方向荷重を捩り方向荷重に変換することができ、樹脂内に蓄積される歪エネルギーを効率的に増加することができる。
右側壁部21d〜27dに長手方向に延びる開口部右側壁部21e〜27eを形成したため、簡単な構成でバー部材21〜27の曲げ方向荷重を捩り方向荷重に変換することができる。
重心Cよりも右側壁部21d〜27d側部分と重心Cよりも左側壁部21c〜27c側部分とが非対称に構成されたため、バー部材21〜27に作用する曲げ方向荷重を確実に捩り方向荷重に変換することができる。
バー部材21〜27が、長手方向に沿って延びる4つの稜線部を有するため、バー部材21〜27の断面形状によって車体剛性を向上することができる。
上壁部21a〜27aと下壁部21b〜27bと左側壁部21c〜27cと右側壁部21d〜27dとが協働して長手方向に延びる閉断面状の矩形断面を構成したため、簡単な構成でバー部材21〜27の断面2次モーメントを大きくすることができることから、車体剛性を向上しつつバー部材21〜27の剪断方向の歪エネルギー分担率を増加することができる。
強化材が繊維強化材であるため、繊維強化材で強化されたバー部材21〜27にて曲げ方向荷重を捩り方向荷重に変換することができる。
強化材が炭素繊維Fであるため、軽量化を図りつつ曲げ方向荷重を捩り方向荷重に変換することができる。
バー部材21〜27を複数有し、複数のバー部材21〜24,26が、車体前後方向に延びる車体中心線に対して線対称に配設されたため、バー部材21〜24,26によって車体振動の位相遅れを生じさせない安心感(箱感)を得ることができる。
車幅方向中央部分に車室側に膨出して車体前後方向に延びるトンネル部10が形成され、バー部材22,25,26が、トンネル部10の車幅方向一側端部と他側端部とを1対の締結部材31,32を介して連結したため、フロアパネル1の主要な振動源であるトンネル部10の振動変位をバー部材22,25,26に取り込むことができ、フロアパネル1の剛性確保と振動減衰能力向上とを両立することができる。
次に、実施例2に係るバー部材21Aについて図12に基づいて説明する。尚、実施例1と同じ構成については、同じ符号を用いて説明する。
実施例1では、バー部材21の軸心直交断面形状が閉断面状矩形断面であるのに対し、実施例2では、バー部材21Aの軸心直交断面形状が左右非対称で且つ中実状に形成されている。
図12に示すように、バー部材21Aは、2対の稜線を有し、フラットな上壁部21vと、上壁部21vよりも左右幅が狭い下壁部21wと、上壁部21vの左端部と下壁部21wの左端部を鉛直状に連結する左側壁部21xと、上壁部21vの右端部と下壁部21wの右端部を緩湾曲状に連結する右側壁部21yとを備え、長手方向に延びる長尺形状に構成されている。
バー部材21Aは、長手方向一端部分及び他端部分にボルト穴が形成された連結部材(図示略)が夫々連結されている。
バー部材21Aは、荷重入力時、上壁部21vと下壁部21wのうち、一方が圧縮側壁部に相当し、他方が引張側壁部に相当している。
図12に示すように、このバー部材21Aの軸心直交断面形状は、重心をCとしたとき、重心Cを通る鉛直直線Lに対して非対称になるように構成されているため、直線Lよりも左側壁部21x側の断面2次モーメントが、直線Lよりも右側壁部21y側の断面2次モーメントよりも大きくなるように設定されている。
これにより、バー部材21Aに対して下方に向かう曲げ荷重が作用したとき、矢印で示す捩りモーメントが生じている。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、横長形状のバー部材の例を説明したが、縦長形状のバー部材であっても良い。また、断面形状も特に限定されるものではなく、円形、楕円形等仕様や部位に応じて適宜選択可能である。
更に、重心よりも右側部分の断面2次モーメントが重心よりも左側部分の断面2次モーメントよりも小さい例を説明したが、仕様に応じて重心よりも右側部分の断面2次モーメントが重心よりも左側部分の断面2次モーメントよりも大きくしても良い。
2〕前記実施形態においては、2点で締結される複数のバー部材の配置例を説明したが、少なくとも、バー部材に捩り方向や剪断方向よりも曲げ方向の荷重が作用する、所謂曲げ剛性に対する寄与率が他の剛性に対する寄与率よりも高い位置であれば良く、適宜配置位置を設定することが可能である。
3〕前記実施形態においては、バー部材の炭素繊維が一端から他端に亙って一様に延びた例を説明したが、主要部分の炭素繊維の配向が一様であれば良く、表裏部分の配向を主要部分と異ならせ且つ対称に設定することも可能である。また、炭素繊維以外にセルロース系繊維や無機系ガラス繊維を用いても良く、無機系のタルクを用いることも可能である。
4〕前記実施形態1においては、バー部材の一端部から他端部まで連続した開口部の例を説明したが、開口部の幅及び軸方向長さによって蓄積される歪エネルギーを調整しても良い。つまり、車体剛性の許容範囲を基準として最大限開口部の幅を増加(バー部材の剛性低下)することができ、蓄積させたい領域のみに開口部を形成することができる。
同様に、前記実施形態2においては、バー部材の一端部から他端部まで連続して重心よりも右側部分の断面2次モーメントが重心よりも左側部分の断面2次モーメントよりも小さい断面を形成した例を説明したが、必要な部分のみ断面2次モーメントに差を形成しても良い。
5〕前記実施形態においては、バー部材の中空部に嵌合接合された連結部材の例を説明したが、連結部材を筒状に形成し、バー部材を連結部材に嵌合接合させても良い。また、連結部材の断面形状をバー部材の断面形状と同一形状に形成しても良い。
6〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
10 トンネル部
21〜27 バー部材
21e〜27e 開口部
31 ボルト
32 ナット
V 車両
F 炭素繊維
M 母材
C 重心

Claims (8)

  1. 長手方向に配向された強化材で強化された合成樹脂製の長尺部材の長手方向一端部と他端部とが1対の締結部材を介して車体側に連結された車両の車体構造において、
    前記長尺部材が、圧縮荷重が作用する圧縮側壁部と、引張荷重が作用する引張側壁部と、前記圧縮側壁部の一側端部と引張側壁部の一側端部とを連結する一側壁部と、前記圧縮側壁部の他側端部と引張側壁部の他側端部とを連結する他側壁部とを有し、
    前記長尺部材の軸心直交方向断面の重心よりも前記一側壁部側部分の断面2次モーメントが、重心よりも前記他側壁部側部分の断面2次モーメントよりも小さくなるように設定され、
    車幅方向中央部分に車室側に膨出して前後方向に延びるトンネル部が形成され、
    前記長尺部材が、前記トンネル部の車幅方向一側端部と他側端部とを前記1対の締結部材を介して連結したことを特徴とする車両の車体構造。
  2. 前記一側壁部に前記長手方向に延びる開口部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両の車体構造。
  3. 前記重心よりも前記一側壁部側部分と重心よりも前記他側壁部側部分とが非対称に構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の車体構造。
  4. 前記長尺部材が、前記長手方向に沿って延びる複数の稜線部を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の車体構造。
  5. 前記圧縮側壁部と引張側壁部と一側壁部と他側壁部とが協働して前記長手方向に延びる閉断面状の矩形断面を構成したことを特徴とする請求項4に記載の車両の車体構造。
  6. 前記強化材が繊維強化材であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両の車体構造。
  7. 前記強化材が炭素繊維強化材であることを特徴とする請求項6に記載の車両の車体構造。
  8. 前記長尺部材を複数有し、
    前記複数の長尺部材が、車体前後方向に延びる車体中心線に対して線対称に配設されたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車両の車体構造。
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