JP6551136B2 - Cmp用研磨液及び研磨方法 - Google Patents

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Description

本発明は、CMP用研磨液及び研磨方法に関する。特に、本発明は、半導体デバイスの製造工程におけるケミカルメカニカルポリッシング(CMP)に使用するCMP用研磨液、及び、当該CMP用研磨液を用いた研磨方法に関する。
半導体製造の分野では、半導体デバイスの高性能化に伴い、従来技術の延長線上の微細化技術では高集積化及び高速化を両立することは限界になってきている。そこで、半導体素子の微細化を進めつつ、垂直方向にも高集積化する技術として、配線を多層化する技術が開発されている。
配線が多層化された半導体デバイスを製造するプロセスにおいて、最も重要な技術の一つにCMP技術がある。CMP技術は、化学気相蒸着(CVD)等によって基板上に形成された薄膜の表面を平坦化する技術である。例えば、リソグラフィの焦点深度を確保するには、CMPによる処理が不可欠である。
CMP技術は、半導体デバイスの製造過程において、例えば、BPSG、HDP−SiO、p−TEOS等の絶縁材料の研磨によって素子分離領域を形成するシャロー・トレンチ分離(STI)形成工程、層間絶縁材料(ILD)を形成するILD形成工程、絶縁材料を金属配線に埋め込んだ後にプラグ(Alプラグ、Cuプラグ等)を平坦化するプラグ形成工程、金属の埋め込み配線を形成するダマシン工程などに適用される。
STI形成工程においては、基板表面に予め設けられた溝を埋めるように絶縁材料を形成した後、CMP用研磨液を用いて絶縁材料の表面をCMPして表面を平坦化する。
また、ILD形成工程では、一般的には、設ける溝が深いことから、絶縁材料がSTI形成工程と比較して厚く形成される。その後、CMP用研磨液を用いて絶縁材料の表面をCMPして表面を平坦化することについては同様である。
STI形成工程又はILD形成工程に用いられる研磨液として、絶縁材料を研磨するための研磨液は種々知られている。このような研磨液は、研磨液が含有する砥粒の種類に応じてシリカ系研磨液、セリア(酸化セリウム)系研磨液、アルミナ系研磨液等に分類される。
セリア系研磨液として、下記特許文献1には、高純度酸化セリウム砥粒を用いた半導体用研磨液が記載されている。下記特許文献2には、少なくとも2つの結晶子を有し、かつ、結晶粒界を有するセリア粒子を含有するセリア系研磨液が記載されている。下記特許文献3には、セリア系研磨液の研磨速度を制御し、かつ、グローバルな平坦性を向上させるために高分子の添加剤を加える技術が記載されている。
前記セリア系研磨液のいずれも、セリウム化合物を焼成して得られた焼成セリア粒子を砥粒として用いるものである。一方、近年、下記特許文献4及び5の研磨液のように、コロイド状のセリア(コロイダルセリア)粒子を用いた研磨液も知られている。
特開平10−106994号公報 国際公開第99/31195号 特許第3278532号公報 国際公開第2008/043703号 国際公開第2010/036358号
ところで、近年、集積回路の実装密度は更に高くなる傾向にあり、例えばSTI工程が適用される基板のトレンチ幅においては、より一層の微細化が進んでいる。このような微細化レベルの向上に伴い、半導体基板の表面に生じた研磨傷が半導体基板の信頼性又は歩留まりに与える影響が大きくなっている。したがって、酸化セリウムを含む砥粒を含有するCMP用研磨液において、従来の研磨傷の低減レベルでは充分でなく、研磨傷を低減する要求は更に厳しくなっている。
また、酸化セリウムを含む砥粒を含有するCMP用研磨液において、研磨傷を低減する手法として、砥粒の粒子径の微細化が検討されている。しかしながら、砥粒の粒子径を微細化した場合、被研磨面の平坦性又は絶縁材料の研磨速度が低下する等の不具合が生じ、研磨傷の発生の抑制と他の特性との両立が難しい場合がある。特に、絶縁材料の研磨速度の低下はスループットの低下を引き起こすため、最適な研磨速度を発現しつつ研磨傷の発生を抑制することが望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、絶縁材料の高い研磨速度を得ることが可能であると共に研磨傷の発生を抑制することが可能なCMP用研磨液及び研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、CMP用研磨液に配合する砥粒及び添加剤について鋭意検討を重ねた。本発明者らは、種々の形状を有する砥粒、及び、種々の有機化合物を添加剤として使用して研磨液を多数調製した。これらの研磨液を用いて絶縁材料を研磨して研磨特性の評価を行った。その結果、本発明者らは、特定の形状を有する砥粒、及び、特定の化学構造を有する化合物を添加剤として使用することで、絶縁材料の高い研磨速度を得ることが可能であると共に研磨傷の発生を抑制することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に係るCMP用研磨液は、酸化セリウムを含む砥粒と、下記一般式(1)で表される構造を有するグリシン系化合物と、水と、を含有し、前記砥粒が下記条件(A)及び条件(B)を満たす、絶縁材料を研磨するためのCMP用研磨液である。
条件(A):前記砥粒の平均粒子径が50nm以上200nm以下である。
条件(B):前記砥粒のゼータ電位が正である。
Figure 0006551136

[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の置換基である。]
本発明に係るCMP用研磨液によれば、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができると共に研磨傷の発生を抑制することができる。本発明に係るCMP用研磨液によれば、粒子径が微細である砥粒を使用する場合であっても、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができると共に研磨傷の発生を抑制することができる。
本発明に係るCMP用研磨液のpHは、2.5〜5.5であることが好ましい。これにより、砥粒の凝集等を抑制しやすいと共に、添加剤の添加効果が得られやすい。
前記グリシン系化合物は、グリシン、グリシルグリシン及びグリコシアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これにより、絶縁材料の更に高い研磨速度が得られる。
本発明に係るCMP用研磨液は、炭素数2〜6の飽和モノカルボン酸を更に含有することが好ましい。これにより、絶縁材料の研磨速度を更に向上させると共に、研磨ストップ材料(例えば窒化珪素)の研磨速度(例えば、STI工程等における研磨速度)を更に抑制することができる。
前記飽和モノカルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸及び3,3−ジメチルブタン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これにより、絶縁材料の研磨速度の向上効果及び研磨ストップ材料(例えば窒化珪素)の研磨速度の抑制効果が更に良好に得られる。
本発明は、前記CMP用研磨液を用いて絶縁材料を研磨する研磨方法を提供する。すなわち、本発明に係る研磨方法は、表面に絶縁材料を有する基板を研磨する研磨方法であって、前記CMP用研磨液を用いて前記絶縁材料を研磨する工程を備える。
本発明に係る研磨方法によれば、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができると共に研磨傷の発生を抑制することができる。本発明に係る研磨方法によれば、粒子径が微細である砥粒を使用する場合であっても、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができると共に研磨傷の発生を抑制することができる。
本発明によれば、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができると共に研磨傷の発生を抑制することができる。本発明によれば、粒子径が微細である砥粒を使用する場合であっても、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができると共に研磨傷の発生を抑制することができる。
本発明によれば、半導体デバイスの製造工程における研磨への研磨液の応用を提供することができる。本発明によれば、STI形成工程又はILD形成工程における研磨(CMP)への研磨液の応用を提供することができる。本発明によれば、絶縁材料の研磨への研磨液の応用を提供することができる。本発明によれば、研磨ストップ材料に対する絶縁材料の選択的な(優先的な)研磨への研磨液の応用を提供することができる。本発明によれば、窒化珪素に対する酸化珪素の選択的な(優先的な)研磨への研磨液の応用を提供することができる。本発明によれば、窒化珪素を研磨ストップ材料として用いる酸化珪素の研磨への研磨液の応用を提供することができる。
絶縁材料が研磨されて基板にシャロー・トレンチ分離構造が形成される過程を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態に係るCMP用研磨液、及び、前記CMP用研磨液を用いた研磨方法について説明する。
<定義>
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「研磨速度(Polishing Rate)」とは、単位時間当たりに材料が除去される速度(除去速度=Removal Rate)を意味する。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
<CMP用研磨液>
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒(研磨粒子)と、添加剤と、水とを含有する。本実施形態に係るCMP用研磨液は、特定の形状及びゼータ電位を有する砥粒を使用し、特定の化学構造を有する化合物を添加剤として使用することを特徴とする。以下、本実施形態に係るCMP用研磨液に使用する各成分等について説明する。
(砥粒)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、酸化セリウムを含む砥粒を含有する。これにより、被研磨面に生じる研磨傷が比較的少ないという特長を有する。
本実施形態に係るCMP用研磨液において用いる砥粒は、下記条件(A)及び条件(B)を満たす。このような砥粒を用いることにより、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができると共に研磨傷の発生を抑制することができる。
条件(A):前記砥粒の平均粒子径Rが50nm以上200nm以下である。
条件(B):前記砥粒のゼータ電位が正である。
[条件(A):平均粒子径R]
平均粒子径Rは、BECKMANCOULTER社製のサブミクロン粒子アナライザー「N5」(N5型)の単分散モードでの測定により得ることができる。平均粒子径Rは、例えば、BECKMANCOULTER社製のサブミクロン粒子アナライザー「N5」から得られるIntensity(信号の強さ)が1.0E+4〜1.0E+6の範囲となるように砥粒の水分散液を調整し(例えば、水により希釈し)、240秒の測定を行って得られた結果を用いることができる。
平均粒子径Rは、絶縁材料の高い研磨速度を得ると共に研磨傷の発生を抑制する観点から、前記の通り50nm以上200nm以下である。特に、平均粒子径Rが200nm以下であると、研磨傷の発生を低いレベルに抑えることができる。平均粒子径Rの下限は、絶縁材料の高い研磨速度が得られやすい観点から、60nm以上が好ましく、70nm以上がより好ましく、80nm以上が更に好ましく、100nm以上が特に好ましく、120nm以上が極めて好ましく、130nm以上が非常に好ましい。平均粒子径Rの上限は、砥粒の凝集又は研磨傷の発生頻度を更に低減する観点から、180nm以下が好ましく、160nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましい。
[条件(B):ゼータ電位]
CMP用研磨液中における砥粒のゼータ電位は、正である(0mVを超える)。これにより、砥粒と絶縁材料との電気的な引力が働くことから、砥粒が絶縁材料に効率よく接近することができる。そのため、効率よく研磨が進行することから、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができる。特に、ある程度小さい粒子径の粒子を用いる場合であっても、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができる。砥粒のゼータ電位の下限は、絶縁材料の更に高い研磨速度を容易に得る観点から、1mV以上が好ましく、5mV以上がより好ましく、10mV以上が更に好ましく、13mV以上が特に好ましく、15mV以上が極めて好ましい。砥粒のゼータ電位の上限は、特に制限はないが、例えば100mVである。
前記ゼータ電位は、電気泳動方式を用いた装置により測定することができる。例えば、ゼータサイザー3000HSA(マルバーン社製)、DelsaNanoC(BECKMANCOULTER社製)等の装置によりゼータ電位を測定することができる。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒として、酸化セリウムを含む粒子(酸化セリウム粒子)と他の粒子とを併用してもよい。酸化セリウム粒子以外の粒子の構成材料としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の酸化物;セリウム等の水酸化物;樹脂などが挙げられる。砥粒は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
酸化セリウム粒子の含有量は、砥粒の全質量を基準として、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が特に好ましく、90質量%以上が極めて好ましく、95質量%以上が非常に好ましく、98質量%以上がより一層好ましく、99質量%以上が更に好ましい。砥粒は、実質的に酸化セリウム粒子からなる(実質的に、砥粒の全てが酸化セリウム粒子である)ことが特に好ましい。
条件(A)及び条件(B)を満たす酸化セリウム粒子の含有量の下限は、絶縁材料の更に高い研磨速度を得る観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、0.05質量%以上が好ましく、0.075質量%以上がより好ましく、0.10質量%以上が更に好ましく、0.15質量%以上が特に好ましく、0.20質量%以上が極めて好ましい。条件(A)及び条件(B)を満たす酸化セリウム粒子の含有量の上限は、砥粒の凝集又は研磨傷の発生頻度を更に低減する観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
砥粒の含有量の下限は、絶縁材料の更に高い研磨速度を得る観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、0.05質量%以上が好ましく、0.075質量%以上がより好ましく、0.10質量%以上が更に好ましく、0.15質量%以上が特に好ましく、0.20質量%以上が極めて好ましい。砥粒の含有量の上限は、砥粒の凝集又は研磨傷の発生頻度を更に低減する観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
(第一の添加剤)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、第一の添加剤として、下記一般式(1)で表される構造を有するグリシン系化合物を含有する。これにより、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができる。
Figure 0006551136

[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の置換基である。]
前記1価の置換基としては、カルボニル基(アルデヒド基、ケトン基等)、ヒドロキシ基(水酸基)、アミノ基、イミノ基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、ニトロ基、ヒドラジン基、アルキル基(OH、NH、NH、CONH、NHCHCOOH、COOH、Br、Cl、I又はNOで置換されていてもよい)、アリール基、アルケニル基、COCHNH、C(=NH)NH等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、例えば1〜8である。アリール基の炭素数は、例えば6〜12である。アルケニル基の炭素数は、例えば1〜8である。
第一の添加剤としては、グリシン、N−メチルグリシン、N−エチルグリシン、N,N−ジメチルグリシン、N−ホルミルグリシン、N−アセチルグリシン、イミノ二酢酸、N−メチルイミノ二酢酸、N−(2−アミノエチル)グリシン、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、1,3−プロピレンジアミン−N,N’−二酢酸、ニトリロ三酢酸、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸、グリシルグリシン、グリコシアミン等が挙げられる。第一の添加剤としては、絶縁材料の更に高い研磨速度を得る観点から、グリシン、グリシルグリシン及びグリコシアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましく、グリコシアミンがより好ましい。第一の添加剤は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。これらの化合物を二種以上組み合わせて用いると、絶縁材料の研磨速度を更に向上させる効果を得ることができる。
第一の添加剤は、水溶性であることが好ましい。水への溶解度が高い化合物を使用することで、所望の量の第一の添加剤を良好に研磨液中に溶解させることが可能であり、研磨速度の向上効果をより一層高水準に得ることができる。常温(25℃)の水100gに対する第一の添加剤の溶解度の下限は、0.001g以上が好ましく、0.005g以上がより好ましく、0.01g以上が更に好ましく、0.05g以上が特に好ましい。なお、溶解度の上限は特に制限はない。
第一の添加剤の含有量の下限は、CMP用研磨液の全質量を基準として、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましい。第一の添加剤の含有量が0.001質量%以上であると、0.001質量%未満の場合と比較して安定した研磨速度を達成しやすい。第一の添加剤の含有量の上限は、CMP用研磨液の全質量を基準として、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。第一の添加剤の含有量が1質量%以下であると、1質量%を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすく、絶縁材料の高い研磨速度を達成しやすい。
(第二の添加剤)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、第二の添加剤として飽和モノカルボン酸を更に含有することが好ましい。第二の添加剤と前記第一の添加剤とを併用することにより、絶縁材料を更に良好な研磨速度で研磨できると共に、研磨ストップ材料(例えば窒化珪素)の研磨速度(例えば、STI工程等における研磨速度)を抑制することができる。
前記飽和モノカルボン酸の炭素数は、絶縁材料の研磨速度の向上効果及び研磨ストップ材料(例えば窒化珪素)の研磨速度の抑制効果が更に良好に得られる観点から、2〜6が好ましい。飽和モノカルボン酸としては、絶縁材料の研磨速度の向上効果及び研磨ストップ材料(例えば窒化珪素)の研磨速度の抑制効果が更に良好に得られる観点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸及び3,3−ジメチルブタン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましい。飽和モノカルボン酸の炭素数は、絶縁材料の更に高い研磨速度を得る観点から、3以上がより好ましい。また、水溶性が良好であることから研磨液において使用しやすい観点、及び、安価で入手しやすい観点から、炭素数2又は3の飽和モノカルボン酸が好ましく、具体的には、酢酸、プロピオン酸が好ましい。以上より、研磨速度、水溶性、入手容易性等のバランスをとる点ではプロピオン酸が特に好ましい。飽和モノカルボン酸は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
第二の添加剤として飽和モノカルボン酸を使用する場合、飽和モノカルボン酸の含有量の下限は、CMP用研磨液の全質量を基準として、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.010質量%以上が更に好ましく、0.020質量%以上が特に好ましく、0.030質量%以上が極めて好ましく、0.040質量%以上が非常に好ましい。飽和モノカルボン酸の含有量が0.001質量%以上であると、飽和モノカルボン酸の効果が得られやすい。飽和モノカルボン酸の含有量の上限は、CMP用研磨液の全質量を基準として、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましく、0.5質量%以下が極めて好ましい。飽和モノカルボン酸の含有量が5質量%以下であると、5質量%を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすいと共に、絶縁材料の研磨速度の向上効果及び研磨ストップ材料(例えば窒化珪素)の研磨速度の抑制効果が得られやすい。飽和モノカルボン酸の含有量は、絶縁材料の研磨速度の向上効果及び研磨ストップ材料(例えば窒化珪素)の研磨速度の抑制効果が更に効率的に得られる観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜3質量%がより好ましく、0.010〜2質量%が更に好ましく、0.020〜1質量%が特に好ましく、0.030〜0.5質量%が極めて好ましく、0.040〜0.5質量%が非常に好ましい。
(水)
CMP用研磨液の調製に用いる水としては、特に制限されるものではないが、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が好ましい。なお、必要に応じて、エタノール、アセトン等の極性溶媒などを水と併用してもよい。
(その他の成分)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒の分散安定性、及び/又は、被研磨面の平坦性、及び/又は、被研磨面の研磨速度を制御する観点から、界面活性剤及びデキストリンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することができる。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられ、非イオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル誘導体、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、アセチレン系ジオールのオキシエチレン付加体等のエーテル型界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールボレイト脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアミン等のアミノエーテル型界面活性剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のエーテルエステル型界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド等のアルカノールアミド型界面活性剤;アセチレン系ジオールのオキシエチレン付加体;ポリビニルピロリドン;ポリアクリルアミド;ポリジメチルアクリルアミド;ポリビニルアルコールなどが挙げられる。非イオン性界面活性剤は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、界面活性剤以外に、所望とする特性に合わせてその他の成分を更に含有していてもよい。このような成分としては、後述するpH調整剤、pHの変動を抑えるためのpH緩衝剤、アミノカルボン酸(飽和モノカルボン酸を除く)、環状モノカルボン酸等が挙げられる。これらの成分の含有量は、CMP用研磨液による前記効果を過度に低下させない範囲が好ましい。
(pH)
本実施形態に係るCMP用研磨液のpHの上限は、5.5以下が好ましく、5.2以下がより好ましく、5.0以下が更に好ましく、4.5以下が特に好ましい。pHが5.5以下であると、5.5を超える場合と比較して砥粒の凝集等を抑制しやすいと共に、前記添加剤の添加効果が得られやすい。CMP用研磨液のpHの下限は、2.5以上が好ましく、2.8以上がより好ましく、3.0以上が更に好ましい。pHが2.5以上であると、2.5未満の場合と比較して絶縁材料のゼータ電位の絶対値を大きな値に容易に調整することができる。なお、pHは、液温25℃におけるpHと定義する。
本実施形態に係るCMP用研磨液のpHは、添加剤として使用する化合物の種類によって変化し得るため、pHを前記の範囲に調整するために添加剤としてpH調整剤を用いてもよい。pH調整剤としては、特に制限はないが、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸等の酸;水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基などが挙げられる。前記第二の添加剤(飽和モノカルボン酸)を用いてpHを調整してもよい。
本実施形態に係るCMP用研磨液のpHは、pHメータ(例えば、電気化学計器株式会社製の型番PHL−40)で測定することができる。例えば、フタル酸塩pH緩衝液(pH4.01)及び中性リン酸塩pH緩衝液(pH6.86)を標準緩衝液として用いてpHメータを2点校正した後、pHメータの電極を研磨液に入れて、2分以上経過して安定した後の値を測定する。このとき、標準緩衝液と研磨液の液温は共に25℃とする。
<CMP用研磨液の調製法及び使用法>
CMP用研磨液は、(A)通常タイプ、(B)濃縮タイプ及び(C)2液タイプに分類でき、タイプによって調製法及び使用法が相違する。(A)通常タイプは、研磨時に希釈等の前処理をせずにそのまま使用できる研磨液である。(B)濃縮タイプは、保管又は輸送の利便性を考慮し、(A)通常タイプと比較して含有成分を濃縮した研磨液である。(C)2液タイプは、保管時又は輸送時において、一定の成分を含む液Aと、他の成分を含む液Bとに分けた状態としておき、使用に際してこれらの液を混合して使用する研磨液である。
(A)通常タイプは、砥粒、グリシン系化合物、及び、必要に応じてその他の成分を、主な分散媒である水に溶解又は分散させることによって得ることができる。例えば、CMP用研磨液の全質量を基準として、含有量0.5質量%の砥粒、及び、含有量0.1質量%の添加剤を含有するCMP用研磨液1000gを調製するには、CMP用研磨液全量に対して砥粒5g及び添加剤1gとなるように配合量を調整すればよい。
(B)濃縮タイプは、使用直前に、含有成分の含有量が所望の含有量に調整されるように水で希釈される。希釈後、(A)通常タイプと同程度の液状特性(pH、砥粒の粒子径等)及び研磨特性(絶縁材料の研磨速度、窒化珪素との選択比等)を再現できるまで、任意の時間にわたって撹拌及び/又は砥粒の分散処理を行ってもよい。(B)濃縮タイプでは、濃縮の度合いに応じて容積が小さくなるため、保管及び輸送にかかるコストを減らすことができる。
濃縮倍率の下限は、1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましく、3倍以上が更に好ましく、5倍以上が特に好ましい。濃縮倍率が1.5倍以上であると、1.5倍未満の場合と比較して保管及び輸送に関するメリットを得ることができる。濃縮倍率の上限は、50倍以下が好ましく、40倍以下がより好ましく、30倍以下が更に好ましい。濃縮倍率が50倍以下であると、50倍を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすい。
(C)2液タイプは、(B)濃縮タイプと比較して砥粒の凝集等を回避できる利点がある。液A及び液Bがそれぞれ含有する成分は任意である。液Aは、例えば、砥粒と、必要に応じて配合される界面活性剤等とを含むスラリである。液Bは、例えば、第一の添加剤と、必要に応じて配合される他の成分(第二の添加剤等)とを含む溶液である。この場合、液Aにおける砥粒の分散性を高めるため、任意の酸又は塩基を液Aに配合してpH調整を行ってもよい。
(C)2液タイプの研磨液は、各成分が混合された状態では砥粒の凝集等によって研磨特性が比較的短時間で低下する場合に有用である。なお、保管及び輸送にかかるコスト削減の観点から、液A及び液Bの少なくとも一方が濃縮タイプであってもよい。この場合、研磨液を使用する際に、液Aと液Bと水とを混合すればよい。液A及び液Bの濃縮倍率及びpHは任意であり、最終的な混合物の液状特性及び研磨特性が(A)通常タイプの研磨液と同程度であればよい。
<研磨方法>
本実施形態に係る研磨方法は、本実施形態に係るCMP用研磨液を用いて絶縁材料を研磨する研磨工程を備える。例えば、本実施形態に係る研磨方法は、表面に絶縁材料を有する基板を研磨する研磨方法であって、本実施形態に係るCMP用研磨液を用いて前記絶縁材料を研磨する研磨工程を備える。例えば、本実施形態に係る研磨方法は、本実施形態に係るCMP用研磨液が、表面に絶縁材料を有する基板における前記絶縁材料と、所定の研磨用の部材(研磨パッド(研磨布)等の研磨部材)との間に供給された状態で、絶縁材料を研磨部材に押し当てると共に基板と研磨部材の少なくとも一方を動かすことにより、研磨部材によって絶縁材料を研磨する研磨工程を含む。研磨工程では、絶縁材料の少なくとも一部を研磨して除去する。研磨工程では、例えば、各成分の含有量及びpH等が調整された研磨液を使用し、表面に絶縁材料を有する基板をCMP技術によって平坦化する。
前記研磨工程は、研磨ストップ材料に対して絶縁材料を選択的に(優先的に)研磨する工程であってもよい。前記研磨工程は、窒化珪素に対して酸化珪素を選択的に(優先的に)研磨する工程であってもよい。前記研磨工程は、窒化珪素を研磨ストップ材料として用いて酸化珪素を研磨する工程であってもよい。
絶縁材料としては、無機絶縁材料、有機絶縁材料等が挙げられる。無機絶縁材料としては、シリコン系絶縁材料等が挙げられ、具体的には、珪素原子及び酸素原子を含む酸化珪素系材料、珪素原子及び炭素原子を含む炭化珪素系材料等が挙げられる。段差解消特性に優れる効果をより効率的に得るためには、表面に水酸基(例えばシラノール基)を有する酸化珪素系材料が好ましく、酸化珪素がより好ましい。有機絶縁材料としては、全芳香族系低誘電率絶縁材料等が挙げられる。前記絶縁材料としては、絶縁材料の更に高い研磨速度を達成する観点から、無機絶縁材料が好ましく、シリコン系絶縁材料がより好ましく、酸化珪素が更に好ましい。絶縁材料は、リン、ホウ素等の元素がドープされていてもよい。研磨ストップ材料としては、例えば、珪素原子及び窒素原子を含む窒化珪素系材料(窒化珪素等)が挙げられる。なお、前記絶縁材料は、窒化珪素系材料を除く絶縁材料である。絶縁材料は、例えば、膜状(絶縁膜)であってもよい。研磨ストップ材料は、例えば、膜状(研磨ストップ膜。例えば窒化珪素膜)であってもよい。
本実施形態に係る研磨方法は、デバイスの製造過程において、表面に絶縁材料を有する基板を研磨することに適している。デバイスとしては、ダイオード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体;DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリ)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ)、フラッシュメモリ等の記憶素子;マイクロプロセッサー、DSP、ASIC等の理論回路素子;MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子;混成集積回路(ハイブリッドIC);発光ダイオード;電荷結合素子等の光電変換素子などが挙げられる。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、被研磨面の状態に大きく依存することなく、絶縁材料の高い研磨速度を達成できる。そのため、当該CMP用研磨液を用いた研磨方法は、従来のCMP用研磨液を用いた方法では高い研磨速度を達成することが困難であった基板に対しても適用できる。
なお、本実施形態に係る研磨方法を適用できる基板は、被研磨面の全体が一種類の被研磨材料によって形成された基板に限らず、被研磨面が二種類以上の被研磨材料によって形成された基板であってもよい。
本実施形態に係る研磨方法は、特に、STI形成工程、ILD形成工程等におけるCMPに適している。図1を参照しながら、本実施形態に係る研磨方法を用いたCMPによって絶縁材料が研磨されて基板(ウエハ)にSTI構造が形成される過程について説明する。本実施形態に係る研磨方法は、例えば、酸化珪素3を高い研磨速度で研磨する第一の研磨工程(荒削り工程)と、残りの酸化珪素3を比較的低い研磨速度で研磨する第二の研磨工程(仕上げ工程)とを有する。
図1(a)は研磨前の基板を示す断面図である。図1(b)は第一の研磨工程後の基板を示す断面図である。図1(c)は第二の研磨工程後の基板を示す断面図である。図1に示すように、STI構造を形成する過程では、シリコン基板1上に配置された酸化珪素3の段差(酸化珪素の厚さの標高差)Dを解消するため、部分的に突出した不要な箇所をCMPによって優先的に除去する。なお、表面が平坦化した時点で適切に研磨を停止させるため、酸化珪素3の下には、研磨速度の遅い窒化珪素(研磨ストップ材料、ストッパ)2を予め形成しておくことが好ましい。第一の研磨工程及び第二の研磨工程を経ることによって酸化珪素3の段差Dが解消され、埋め込み部分5を有する素子分離構造が形成される。
酸化珪素3を研磨するには、酸化珪素3の表面と研磨パッドとが当接するように、研磨パッド上に基板(ウエハ)を配置し、研磨パッドによって酸化珪素3の表面を研磨する。より具体的には、研磨定盤の研磨パッドに酸化珪素3の被研磨面側を押し当て、被研磨面と研磨パッドとの間にCMP用研磨液を供給しながら、両者を相対的に動かすことによって酸化珪素3を研磨する。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、第一の研磨工程及び第二の研磨工程のいずれにも適用できる。なお、ここでは、研磨工程を2段階に分けて実施する場合を例示したが、図1(a)に示す状態から図1(c)に示す状態まで一段階で研磨処理することもできる。
研磨装置としては、例えば、基板を保持するホルダーと、研磨パッドが貼り付けられる研磨定盤と、研磨パッド上に研磨液を供給する手段とを備える装置が好ましい。研磨装置としては、株式会社荏原製作所製の研磨装置(型番:EPO−111、EPO−222、FREX200、FREX300)、APPLIED MATERIALS製の研磨装置(商品名:Mirra3400、Reflexion研磨機)等が挙げられる。研磨パッドとしては、特に制限はなく、例えば、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等を使用することができる。また、研磨パッドは、研磨液が溜まるような溝加工が施されたものが好ましい。
研磨条件としては、特に制限はないが、研磨定盤の回転速度は、基板が飛び出すことを抑制する観点から、200min−1以下が好ましく、基板にかける圧力(加工荷重)は、被研磨面の傷の発生を更に抑制する観点から、100kPa以下が好ましい。研磨している間、ポンプ等によって研磨パッドに研磨液を連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨終了後、流水中で基板を充分に洗浄し、基板上に付着した水滴を、スピンドライヤ等を用いて払い落としてから乾燥させることが好ましい。このように研磨することによって、表面の凹凸が解消されて基板全面にわたって平滑な面を得ることができる。被研磨材料の形成、及び、被研磨材料を研磨する工程を所定の回数繰り返すことによって、所望の層数を有する基板を製造することができる。
このようにして得られた基板は、種々の電子部品として使用することができる。具体例としては、半導体素子;フォトマスク、レンズ、プリズム等の光学ガラス;ITO等の無機導電材料;ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路;光スイッチング素子;光導波路;光ファイバーの端面;シンチレータ等の光学用単結晶;固体レーザ単結晶;青色レーザLED用サファイヤ基板;SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶;磁気ディスク用ガラス基板;磁気ヘッドなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<CMP用研磨液の作製>
表1に示す成分を容器内に配合した後に混合してCMP用研磨液を調製した。表1の配合量(CMP用研磨液の全質量基準)の単位は「質量%」である。pHは、電気化学計器株式会社製の型番PHL−40を用いて測定した。
<平均粒子径の測定>
サブミクロン粒子アナライザーN5(BECKMANCOULTER社製)の単分散モードを用いて、CMP用研磨液中の砥粒の平均粒子径を測定した。サブミクロン粒子アナライザーN5(BECKMANCOULTER社製)から得られるIntensity(信号の強さ)が1.0E+4〜1.0E+6の範囲となるように砥粒の水分散液を調整し(水により希釈し)、240秒の測定を行い、CMP用研磨液中の砥粒の平均粒子径を測定した。
<ゼータ電位の測定>
DelsaNanoC(BECKMANCOULTER社製)を用いて、CMP用研磨液中の砥粒のゼータ電位を測定した。
<絶縁膜の研磨>
CMP評価用試験ウエハとして、パターンが形成されていないブランケットウエハ(Blanketウエハ)を使用した。ブランケットウエハとして、厚さ1000nmの酸化珪素膜をシリコン(Si)基板(直径:300mm)上に有するウエハと、厚さ200nmの窒化珪素膜をシリコン(Si)基板(直径:300mm)上に有するウエハとを用いた。
CMP評価用試験ウエハの研磨には、研磨装置(APPLIED MATERIALS社製のReflexion)を用いた。基板取り付け用の吸着パッドを貼り付けたホルダーにCMP評価用試験ウエハをセットした。研磨装置の直径600mmの研磨定盤に、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッド(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製、型番IC1010)を貼り付けた。被研磨膜である絶縁膜(酸化珪素膜)及び窒化珪素膜が配置された面を下にして前記ホルダーを研磨定盤上に載せ、加工荷重を210gf/cm(20.6kPa)に設定した。
前記研磨定盤上に前記CMP用研磨液を250mL/minの速度で滴下しながら、研磨定盤とCMP評価用試験ウエハとをそれぞれ93min−1、87min−1で回転させて、二種類のCMP評価用試験ウエハをそれぞれ60秒間研磨した。PVAブラシ(ポリビニルアルコールブラシ)を使用して研磨後のウエハを薬液及び純水でよく洗浄した後、乾燥させた。
<評価>
以下の項目について評価を行った。評価結果を表1に示す。
(ブランケットウエハにおける酸化珪素膜又は窒化珪素膜の研磨速度)
光干渉式膜厚装置(大日本スクリーン製造株式会社製、商品名:RE−3000)を用いて、研磨前後の酸化珪素膜及び窒化珪素膜の膜厚を測定し、膜厚変化量の平均から、ブランケットウエハにおける酸化珪素膜及び窒化珪素膜の研磨速度を算出した。なお、研磨速度の単位はÅ/minである。
(ブランケットウエハにおける酸化珪素膜上の研磨傷)
上記条件で研磨及び洗浄した酸化珪素膜付きブランケットウエハの欠陥検査をAPPLIED MATERIALS社製、欠陥検査装置(商品名:ComPlus 3T)を用いて測定した。欠陥検査はブランケットウエハ全面に対して行った。次に、走査型電子顕微鏡による各欠陥の観察をAPPLIED MATERIALS社製、欠陥観察装置(商品名:SEM Vision G3)を用いて行い、研磨傷とそれ以外の欠陥とを識別し、研磨傷の発生数を求めた。
Figure 0006551136
平均粒子径が50nm以上200nm以下の酸化セリウム粒子及びグリシン系化合物を含有するCMP用研磨液を用いた実施例1〜6では、酸化珪素膜の研磨速度が速く、かつ、酸化珪素膜上の研磨傷が10個/ウエハ未満であった。一方、平均粒子径が50nm以上200nm以下の酸化セリウム粒子を含有するもののグリシン系化合物を含有しないCMP用研磨液を用いた比較例1では、酸化珪素膜上の研磨傷が10個/ウエハ未満であるが、酸化珪素膜の研磨速度が遅い。また、平均粒子径が200nmを超える酸化セリウム粒子を含有するCMP用研磨液を用いた比較例2では、酸化珪素膜の研磨速度は速いが、酸化珪素膜上の研磨傷が31個/ウエハであった。また、平均粒子径が50nmよりも小さい酸化セリウム粒子を含有するCMP用研磨液を用いた比較例3、及び、酸化セリウム粒子のゼータ電位が負であるCMP用研磨液を用いた比較例4では、酸化珪素膜上の研磨傷が10個/ウエア未満であるが、酸化珪素膜の研磨速度が遅かった。このような結果から、実施例1〜6では、絶縁材料の高い研磨速度を得ることができると共に研磨傷の発生を抑制できることが確認された。
本発明者らは、発明を実施する最良の形態を明細書に記述している。前記の説明を同業者が読んだ場合、これらに似た好ましい変形形態が明らかになる場合もある。本発明者らは、本発明の異なる形態の実施、及び、本発明の根幹を適用した類似形態の発明の実施についても充分意識している。また、本発明にはその原理として、特許請求の範囲中に列挙した内容の全ての変形形態、さらに、様々な前記要素の任意の組み合わせが利用できる。その全てのあり得る任意の組み合わせは、本明細書中において特別な限定がない限り、又は、文脈によりはっきりと否定されない限り、本発明に含まれる。
本発明によれば、絶縁材料の高い研磨速度を得ることが可能であると共に研磨傷の発生を抑制することが可能なCMP用研磨液が提供される。また、本発明によれば、前記CMP用研磨液を用いた研磨方法が提供される。
1…シリコン基板、2…窒化珪素、3…酸化珪素、5…埋め込み部分、D…段差。

Claims (6)

  1. 酸化セリウムを含む砥粒と、
    グリシルグリシン及びグリコシアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種と、
    水と、を含有し、
    前記砥粒が下記条件(A)及び条件(B)を満たす、絶縁材料を研磨するためのCMP用研磨液。
    条件(A):前記砥粒の平均粒子径が50nm以上200nm以下である。
    条件(B):前記砥粒のゼータ電位が正である。
  2. pHが2.5〜5.5である、請求項1に記載のCMP用研磨液。
  3. グリコシアミンを含有する、請求項1又は2に記載のCMP用研磨液。
  4. 炭素数2〜6の飽和モノカルボン酸を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  5. 前記飽和モノカルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸及び3,3−ジメチルブタン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項4に記載のCMP用研磨液。
  6. 表面に絶縁材料を有する基板を研磨する研磨方法であって、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のCMP用研磨液を用いて前記絶縁材料を研磨する工程を備える、研磨方法。
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