JP2016037569A - Cmp用研磨液及びこれを用いた研磨方法 - Google Patents

Cmp用研磨液及びこれを用いた研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化セリウムをビルド−アップの方法で作製したコロイダルセリア系のCMP用研磨液において、ある一定以下の結晶子径を有する酸化セリウムにも酸化ケイ素膜凸部の充分な研磨速度を与え、それにより粗大粒子の含有量を抑えつつ、酸化ケイ素膜の凸部も充分な速度で研磨できるCMP用研磨液及びこれを用いた研磨方法の提供。
【解決手段】コロイダルセリアと、添加剤と、水とを含有し、添加剤は式(1)で表される4−ピロン系化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有する、CMP用研磨液。コロイダルセリアは加熱処理を含む液相反応により製造され、結晶子径の平均が20nm以上であるCMP研磨液。
Figure 2016037569

【選択図】なし

Description

本発明は、半導体基板のケミカルメカニカルポリッシンング(以下、「CMP」という。)に使用するCMP用研磨液及びこれを用いた研磨方法に関する。特に、半導体基板の表面に設けられた酸化ケイ素膜を研磨するためのCMP用研磨液及びこれを用いた研磨方法に関する。
近年の半導体素子の製造工程では、高密度化・微細化のための加工技術の重要性がますます増している。その加工技術の一つであるCMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング:化学機械研磨)技術は、半導体素子の製造工程において、シャロートレンチ分離(Shallow Trench Isolation。以下場合により「STI」という。)の形成、プリメタル絶縁膜や層間絶縁膜の平坦化、プラグ及び埋め込み金属配線の形成に必須の技術となっている。
CMP研磨剤として最も多用されているのは、砥粒として、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ(酸化ケイ素)粒子を含むシリカ系CMP研磨剤である。シリカ系CMP研磨剤は汎用性が高いことが特徴であり、砥粒含有量、pH、添加剤等を適切に選択することで、絶縁材料又は導電材料を問わず幅広い種類の材料を研磨できる。
一方で、主に酸化ケイ素等の絶縁材料を対象とした、砥粒としてセリウム化合物粒子を含むCMP研磨剤の需要も拡大している。例えば、酸化セリウム(セリア)粒子を砥粒として含む酸化セリウム系CMP研磨剤は、シリカ系CMP研磨剤よりも低い砥粒含有量でも高速に酸化ケイ素を研磨できる。
ところで、近年、半導体素子の製造工程では更なる配線の微細化を達成することが求められており、研磨時に発生する研磨傷が問題となっている。すなわち、従来の酸化セリウム系CMP用研磨液を用いて研磨を行った際に、微少な研磨傷が発生しても、この研磨傷の大きさが従来の配線幅より小さいものであれば問題にならなかったが、更なる配線の微細化を達成しようとする場合には問題となってしまう。
研磨傷は、CMP用研磨液中に含まれる粗大な粒子の寄与が大きいと考えられる。このため、CMP用研磨液に含まれる粗大な粒子の存在量を減らすことが、研磨傷の低減に有効である。
酸化セリウム粒子の製造方法として、炭酸セリウムを焼成して酸化セリウムを得て、これを粉砕する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような製造方法は、一旦、初めに比較的一次粒径の大きな粒子を作製するプロセスを行い、次いで一次粒径を小さくするプロセスを経る、トップ−ダウン(top−down)の製造方法である。トップ−ダウンの製造方法を用いると、一次粒径を小さくするプロセスで、充分小さくできなかった粗大な粒子が残存することが避けられない。
このため、液相法により粒子の核となる超微粒子を生成させるプロセスを行い、次いで一次粒径を大きくする(以下「粒子を成長させる」ということがある。)プロセスを経る、ビルド−アップ(build−up)の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。ビルド−アップの製造方法は、トップ−ダウンの製造方法と比較して、粗大な粒子が含まれる可能性が低減することが推定される。実際に特許文献2に記載の方法に基づいて作製した酸化セリウムは、トップ−ダウンの製造方法で作製した酸化セリウムと比べて、1μm以上の粒子数が少なかった。
国際公開第99/31195号 特表2010−505735号公報
基板上に素子分離領域を形成する工程においては、予め基板表面に溝を設け、この溝を埋めるように絶縁膜(例えば、酸化ケイ素膜)がCVD等によって形成される。その後、絶縁膜の表面をCMPによって平坦化することによって素子分離領域が形成される。表面に溝等の素子分離構造が設けられた基板上に絶縁膜を形成する場合、絶縁膜の表面にも素子分離構造の凹凸に応じた凹凸が生じる。凹凸を有する表面に対しては、凸部を優先的に除去する一方、凹部をゆっくりと除去することによって平坦化がなされる。
しかしながら、トップ−ダウンの製造方法で作製した酸化セリウムと比べて、ビルド−アップの製造方法で作製した酸化セリウムは、酸化ケイ素膜凸部の研磨速度が遅かった。
ビルド−アップによる製造方法において、反応条件を種々変更したところ、反応条件によって結晶子径がある程度変更できることが分かった。また、結晶子径が大きいほど研磨速度が高い傾向がみられ、酸化ケイ素膜凸部の研磨速度は、酸化セリウムの結晶子径に依存することが分かったが、一方で、著しく粗大粒子の数が増大する傾向が見られた。
本発明は、酸化セリウムをビルド−アップの方法で作製したコロイダルセリアのもつ、酸化ケイ素膜の凸部の充分な研磨速度を得る為にはある一定以上の結晶子径が必要であるが、結晶成長に伴い粗大な粒子の含有量も増えて研磨傷が増えるという状況に鑑み、酸化セリウムをビルド−アップの方法で作製したコロイダルセリア系のCMP用研磨液において、ある一定以下の結晶子径を有する酸化セリウムにも酸化ケイ素膜凸部の充分な研磨速度を与え、それにより粗大粒子の含有量を抑えつつ、酸化ケイ素膜の凸部も充分な速度で研磨することができるCMP用研磨液及びこれを用いた研磨方法を提供することを目的とする。
本発明は、特にビルド−アップの製造方法で作製した粒子に有効であると考えられるが、トップ−ダウンの製造方法で作製した粒子においても、一次粒径を小さくするプロセス条件をより厳しく設定しても、所望の研磨速度を実現できる砥粒が得られるという観点において有効であると考えられる。
本発明者らは上記課題を解決すべく、CMP用研磨液に配合する添加剤について鋭意検討を重ねた結果、特定の化学構造を有する化合物を添加剤として使用することで、凸部の研磨速度が大幅に向上する結晶子径の閾値を下げられることを見出した。
すなわち、本発明は、コロイダルセリアと、添加剤と、水とを含有し、添加剤は4−ピロン系化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有する、CMP用研磨液に関する。
また、本発明は、コロイダルセリアは加熱処理を含む液相反応によって得られる、上記CMP用研磨液に関する。
また、本発明は、結晶子径の平均値が20nm以上のコロイダルセリアを含有する、上記CMP用研磨液に関する。
結晶子径の平均値は粉末X線回折装置を用いて回折パターンを測定し、回折角度と回折ピークの半値幅をシェラーの式に導入することで求めることができる。本発明における結晶子径の値は、粉末X線回折装置を用いて回折パターンを測定した際に発散スリット、散乱スリット、受光スリットはそれぞれ、1°、1°及び0.3mmのものを使用し、測定はFixed Time法(FT法)で行い、測定条件はステップ幅(2θ)を0.05°、計数時間を1秒と設定し、測定範囲(2θ)を20°〜90°としたときの、測定結果における回折強度が最も高い回折ピークについて、そのピークの回折角度及び回折ピークの半値幅をシェラーの式に適用することで得られる結晶子径の平均値とする。
また、本発明は、4−ピロン系化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である、上記CMP用研磨液に関する。
Figure 2016037569
式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。
また、本発明は、前記添加剤として、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン、2−エチル−3−ヒドロキシ−4−ピロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する、上記CMP用研磨液に関する。
また、本発明は、前記CMP用研磨液の室温(25℃)におけるpHが8.0以下である、上記CMP用研磨液に関する。
また、本発明は、前記添加剤の含有量が、CMP用研磨液100質量部に対して0.01〜5質量部である、上記CMP用研磨液に関する。
また、本発明は、前記砥粒の含有量が、CMP用研磨液100質量部に対して0.01〜10質量部である、上記CMP用研磨液に関する。
更に、本発明は、表面に酸化ケイ素膜を有する基板を研磨する方法であって、上記CMP用研磨液を前記酸化ケイ素膜と研磨パッドとの間に供給しながら、前記研磨パッドによって前記酸化ケイ素膜の研磨を行う工程を備える研磨方法に関する。
本発明によれば、コロイダルセリア系のCMP用研磨液において、ある一定以下の結晶子径の平均値を有する酸化セリウムにも酸化ケイ素膜凸部の充分な研磨速度を与え、それにより粗大粒子の含有量を抑えつつ、酸化ケイ素膜の凸部も充分な速度で研磨することができるCMP用研磨液及びこれを用いた研磨方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る研磨方法によるCMPによってSTI構造を形成するプロセスを示す模式断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒としてコロイダルセリアと、添加剤と、水とを含有するものであって、添加剤は4−ピロン系化合物より選択される少なくとも1種の化合物を含有する。これにより、通常では、酸化ケイ素膜の凸部を研磨できないほど結晶子径の小さなコロイダルセリアを用いた場合でも、充分な速度で凸部を研磨できるようになる。
通常、結晶子径の小さなコロイダルセリアは、研磨時に容易に凹部に入り込んでしまうため、研磨に寄与しづらいと考えられる。しかし、上記化合物の配合により、コロイダルセリアと酸化ケイ素膜の凸部との相互作用がより大きくなる。このため、ある程度結晶子径の小さなコロイダルセリアでも、凸部の研磨が進行するようになると推測される。
前記コロイダルセリアは、加熱処理を含む液相反応によって得られるものであることが好ましい。これにより、粗大粒子の含有量を抑えられ、且つ、充分な研磨速度が得られる。
充分な研磨速度が得られる観点から、前記コロイダルセリアは、結晶子径の平均値が20nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましく、27nm以上であることが更に好ましい。また、粗大粒子の含有量を抑制して研磨傷の発生を抑制する観点から、結晶子径が、35nm未満であることが好ましく、34nm以下であることがより好ましく、33nm以下であることが更に好ましい。
また、4−ピロン系化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることがコロイダルセリアと酸化ケイ素膜の凸部との相互作用がより大きくなる観点から好ましい。
Figure 2016037569
式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。
上記4−ピロン系化合物は、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン(別名:5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロン)、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン(別名:3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロン)、3−ヒドロキシ−2−エチル−4H−ピラン−4−オン(別名:3−ヒドロキシ−2−エチル−4−ピロン)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であると好ましい。
本実施形態のCMP用研磨液において、添加剤の含有量は、当該CMP用研磨液100質量部に対して0.001〜5質量部であることが好ましい。かかる構成を採用することにより、ある一定以下の結晶子径を有する酸化セリウムにも酸化ケイ素膜凸部の充分な研磨速度を与える効果が更に効率的に得られる。
本実施形態のCMP用研磨液は、砥粒の含有量が当該CMP用研磨液100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。 かかる構成を採用することにより、ある一定以下の結晶子径を有する酸化セリウムにも酸化ケイ素膜凸部の充分な研磨速度を与える効果がさら更に効率的に得られる。
本実施形態のCMP用研磨液は、非イオン性界面活性剤を更に含有するものであってもよい。かかる構成を採用することにより、CMP用研磨液中の砥粒の分散安定性が向上する。
本発明は、上記CMP用研磨液を使用した研磨方法を提供する。すなわち、本実施形態に係る研磨方法は、表面に酸化ケイ素膜を有する基板を研磨するためのものであって、CMP用研磨液を酸化ケイ素膜と研磨パッドとの間に供給しながら、研磨パッドによって酸化ケイ素膜の研磨を行う工程を備える。この研磨方法によれば、酸化ケイ素膜に対する充分に高い研磨速度を達成できる。
なお、本明細書において「コロイダルセリア」は、ビルド−アップの製造方法で作製された酸化セリウムを指す。
<CMP用研磨液>
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒としてコロイダルセリアと、添加剤と、水とを含有し、添加剤として特定の化学構造を有する化合物を使用することを特徴とする。以下、CMP用研磨液の調製に使用する各成分について説明する。
(添加剤)
添加剤は、4−ピロン系化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有する。本実施形態に係るCMP用研磨液によれば、コロイダルセリアにおいて、ある一定以下の結晶子径を有する酸化セリウムにも酸化ケイ素膜凸部の充分な研磨速度を与えることができ、それにより粗大粒子の含有量を抑えつつ、酸化ケイ素膜の凸部の充分な研磨速度が得られるCMP用研磨液を提供することができる。
添加剤として、4−ピロン系化合物を使用することにより、砥粒の分散安定性を良好に維持できる。4−ピロン系化合物は、少なくともカルボニル基の炭素原子に隣接している炭素原子にヒドロキシ基が結合した構造を有するものである。ここで、4−ピロン系化合物とは、オキシ基及びカルボニル基が含まれるとともに、オキシ基に対してカルボニル基が4位に位置している6員環(γ−ピロン環)構造を有する複素環式化合物である。本実施形態の4−ピロン系化合物は、このγ−ピロン環におけるカルボニル基に隣接している炭素原子にヒドロキシ基が結合しており、それ以外の炭素原子には、水素原子以外の置換基が置換していてもよい。
なお、「砥粒の分散安定性が良好である」とは、砥粒濃度の調整等を行ってCMP用研磨液をそのまま使用できる状態にした後、CMP用研磨液中において砥粒が分散している時間が長いことを意味する。この時間は、好ましくは1時間以上であり、より好ましくは3時間以上であり、更に好ましくは10時間以上であり、特に好ましくは24時間以上である。ただし、時間の経過により砥粒が沈降したとしても、砥粒の再分散処理を行うことで当該CMP用研磨液を使用してCMPを実施できる。上記分散性の評価としては、超音波分散機を用いて上記CMP用研磨液の分散処理を1分間行い、砥粒の平均粒径の測定を行う。その後、所定の時間CMP用研磨液を室温で放置し、再度砥粒の平均粒径の測定を行う。放置前後の粒径の変化量が±5%以下である場合、分散安定性が良好であると判断することができる。
砥粒の平均粒径は、砥粒が分散したスラリサンプルを、動的光散乱式粒度分布計で測定した体積分布の中央値を意味する。具体的には、株式会社堀場製作所製のLB−500(商品名)等を用いて測定される値である。砥粒の含有量がスラリサンプル100質量部に対して0.5質量部になるようにスラリサンプルの濃度を調整し、これをLB−500にセットして体積分布の中央値の測定を行う。なお、LB−500によってメジアン径(累積中央値)を測定することによって、砥粒の凝集の程度を評価することもできる。なお、CMP用研磨液中の砥粒の粒径を測定する場合は、上記CMP用研磨液を濃縮又は水で希釈することによって砥粒の含有量がスラリサンプル100質量部に対して0.5質量部になるようにスラリサンプルの濃度を調整してから、同様の方法で測定することができる。
このような4−ピロン系化合物は、上記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。1価の置換基としては、アルデヒド基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、臭素、塩素、ヨウ素、フッ素、ニトロ基、ヒドラジン基、C1〜8アルキル基(OH、COOH、Br、Cl、I、又はNOで置換されていてもよい)、ヒドロキシアルキル基、C6〜12アリール基、及びC1〜8アルケニル基等が挙げられる。また、X11、X12及びX13として1価の置換基を有する場合、置換基は、オキシ基に隣接する炭素原子に結合していることが好ましく、すなわち、X11及びX12が置換基であることが好ましい。更に、X11、X12及びX13のうち、少なくとも2つは水素原子であることが好ましい。
このような4−ピロン系化合物としては、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン(別名:5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロン)、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン(別名:3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロン)、3−ヒドロキシ−2−エチル−4H−ピラン−4−オン(別名:3−ヒドロキシ−2−エチル−4−ピロン)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。ただし、4−ピロン系化合物としては、上述したような化合物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。4−ピロン系化合物を2種以上組み合わせて含有しても、本発明の効果を有することができる。
4−ピロン系化合物は、水溶性であることが好ましい。水への溶解度が高い化合物を使用することで、所望の量の添加剤を良好にCMP用研磨液中に溶解させることができ、研磨速度の向上、及び砥粒の凝集の抑制の効果をより一層高水準に達成し得る。4−ピロン系化合物は、常温(25℃)の水100gに対する溶解度が0.001g以上であることが好ましく、0.005g以上であることがより好ましく、0.01g以上であることが更に好ましく、0.05g以上であることが特に好ましい。なお、溶解度の上限は特に制限はない。
本実施形態のCMP用研磨液に含有される添加剤は、例えば、ウラシル−6−カルボン酸、マンデル酸、サリチルアルドキシム、アスコルビン酸、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール、1,4−ベンゾキノンジオキシム、2−ピリジンメタノール、4−イソプロピルトロポロン、2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン、5−アミノ−ウラシル−6−カルボン酸及びベンジル酸から選ばれる化合物を更に含有してもよい。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤として使用する化合物は、水溶性であることが好ましい。水への溶解度が高い化合物を使用することで、所望の量の添加剤をCMP用研磨液中に溶解させることができ、本発明の効果をより一層高水準に達成し得る。当該化合物は、常温(25℃)の水100gに対する溶解度が0.001g以上であることが好ましく、0.005g以上であることがより好ましく、0.01g以上であることが更に好ましく、0.05g以上であることが特に好ましい。なお、溶解度の上限は特に制限はない。
上記化合物のうち、水溶性に優れるという点からすると、アスコルビン酸、サリチルアルドキシム、カテコール及び2−ピリジンメタノール、2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン等が添加剤として好適である。なお、水100gに対する溶解度が0.001g未満の化合物であっても、水とともに有機溶媒を併用する等の方法により可溶化することができる。有機溶媒は、添加剤として使用する化合物の種類に応じて適宜選択すればよい。
添加剤として使用する化合物は、CMP用研磨液中において砥粒の分散性を良好に維持できるものが好ましい。砥粒の分散安定性が良好であると、長期間にわたって高い研磨速度を安定的に維持できる。かかる観点からすると、上記化合物のうち、ウラシル−6−カルボン酸、サリチルアルドキシム、1,4−ベンゾキノンジオキシム、2−ピリジンメタノール、4−イソプロピルトロポロン、2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン、5−アミノ−ウラシル−6−カルボン酸等が添加剤として好適である。
(水)
CMP用研磨液の調製に用いる水は、特に制限されるものではないが、脱イオン水、イオン交換水又は超純水が好ましい。なお、更に必要に応じて、エタノール、酢酸、アセトン等の極性溶媒等を水と併用してもよい。
(他の成分)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒の分散安定性及び/又は被研磨面の平坦性を向上させる観点から、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が挙げられ、非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル誘導体、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、アセチレン系ジオールのオキシエチレン付加体等のエーテル型界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールボレイト脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のアミノエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のエーテルエステル型界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド等のアルカノールアミド型界面活性剤、アセチレン系ジオールのオキシエチレン付加体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコールが挙げられる。これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、本実施形態に係るCMP用研磨液は、界面活性剤以外に、所望とする特性に合わせてその他の成分を更に含有していてもよい。このような成分としては、後述するようなpH調整剤や、pHの変動を抑えるためのpH緩衝剤、アミノカルボン酸、環状モノカルボン酸等が挙げられる。これらの成分の添加量は、研磨剤による上記効果を過度に低下させない範囲とすることが望ましい。
<CMP用研磨液の調製法及び使用法>
CMP用研磨液は、(A)通常タイプ、(B)濃縮タイプ及び(C)2液タイプに分類でき、タイプによって調製法及び使用法が相違する。(A)通常タイプは、研磨時に希釈等の前処理をせずにそのまま使用できるCMP用研磨液である。(B)濃縮タイプは、保管や輸送の利便性を考慮し、(A)通常タイプと比較して含有成分を濃縮したCMP用研磨液である。(C)2液タイプは、保管時や輸送時にあっては、一定の成分を含む液Aと他の成分を含む液Bとに分けた状態としておき、使用に際してこれらの液を混合して使用するCMP用研磨液である。
(A)通常タイプは、上記特定の化合物を含む添加剤、砥粒及び必要に応じてその他の成分を、主な分散媒である水に溶解又は分散させることによって得ることができる。例えば、CMP用研磨液100質量部に対する砥粒の含有量0.5質量部、添加剤の含有量0.1質量部のCMP用研磨液1000gを調製するには、CMP用研磨液全量に対して砥粒5g、添加剤1gとなるように配合量を調整すればよい。
CMP用研磨液の調製は、例えば、攪拌機、ホモジナイザ、超音波分散機、湿式ボールミルを使用して行うことができる。なお、砥粒の平均粒径が所望の範囲となるように、CMP用研磨液の調製過程において砥粒の微粒子化処理を行ってもよい。砥粒の微粒子化処理は、沈降分級法や高圧ホモジナイザを用いた方法によって実施できる。沈降分級法は、砥粒を含むスラリを遠心分離機で強制的に沈降させる工程と、上澄み液のみを取り出す工程とを有する方法である。高圧ホモジナイザを用いた方法は、分散媒中の砥粒同士を高圧で衝突させる方法である。
上記添加剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して0.001質量部以上が好ましく、0.003質量部以上がより好ましく、0.005質量部以上が更に好ましい。添加剤の量が0.001質量部以上であると、0.001質量部未満の場合と比較して安定して本発明の効果が得られる傾向にある。他方、添加剤の含有量は、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、1質量部以下が更に好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。添加剤の量が5質量部以下であると、5質量部を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすい。
砥粒の含有量(粒子濃度)は、CMP用研磨液100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.15質量部以上がより好ましく、0.2質量部以上が特に好ましい。砥粒の量が0.1質量部以上であると、0.1質量部未満の場合と比較して本発明の効果がより高い水準で達成される傾向がある。他方、砥粒の含有量は、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下が更に好ましく、2.0質量部以下が特に好ましく、1.0質量部以下が極めて好ましい。添加剤の量が10質量部以下であると、10質量部を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすい。
CMP用研磨液のpHは室温(25℃)におけるpHが、8.0以下であることが好ましく、7.0以下がより好ましく、6.0以下が更に好ましく、5.0以下が特に好ましい。pHが8.0以下であると、8.0を超える場合と比較して砥粒の凝集等を抑制しやすく、上記添加剤を添加した効果が得られやすい傾向にある。他方、CMP用研磨液のpHは、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。pHが1.5以上であると、1.5未満の場合と比較して酸化ケイ素膜のゼータ電位の絶対値を大きな値とすることができる傾向にある。CMP用研磨液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製のModel PH81(商品名))で測定することができる。例えば、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液pH:6.86(25℃)、ホウ酸塩pH標準液pH:9.18(25℃))を用いて3点校正した後、電極をCMP用研磨液に入れて、25℃で3分間以上経過して安定した後の値を測定することで、CMP用研磨液のpHを測定することができる。
また、CMP用研磨液のpHを1.5〜8.0の範囲内に調整することで、次の2つの効果が得られると考えられる。
(1)プロトンやヒドロキシアニオンが、添加剤として配合した化合物に作用して、当該化合物の化学形態が変化し、基板表面の酸化ケイ素膜又はストッパ膜である窒化ケイ素膜に対する濡れ性や親和性が向上する。
(2)砥粒と酸化ケイ素膜との接触効率が向上し、高い研磨速度が達成される。これは、酸化セリウムはゼータ電位の符号が正であるのに対し、酸化ケイ素膜はゼータ電位の符号が負であり、両者の間に静電的引力が働くためである。
CMP用研磨液のpHは、添加剤として使用する化合物の種類によって変化し得るため、pHを上記の範囲に調整するために、pH調整剤を添加剤に含有せしめてもよい。pH調整剤としては、特に制限はないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等の酸、水酸化ナトリウム、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基が挙げられる。なお、生産性向上の点から、pH調整剤を使用することなく、CMP用研磨液を調製し、このようなCMP用研磨液をCMPにそのまま適用してもよい。
(B)濃縮タイプは、使用直前に、含有成分が所望の含有量となるように水で希釈される。希釈後、(A)通常タイプと同程度の液状特性(例えば、pHや砥粒の粒径)及び研磨特性(例えば、酸化ケイ素膜の研磨速度や、酸化ケイ素膜の研磨速度と窒化ケイ素膜の研磨速度との選択比)を再現できるまで、任意の時間にわたって攪拌や砥粒の分散処理を行ってもよい。(B)濃縮タイプでは、濃縮の度合いに応じて容積が小さくなるため、保管及び輸送にかかるコストを減らすことができる。
濃縮倍率は、1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましく、3倍以上が更に好ましく、5倍以上が特に好ましい。濃縮倍率が1.5倍以上であると、1.5倍未満の場合と比較して保管及び輸送に関するメリットを得ることができる。他方、濃縮倍率は、40倍以下が好ましく、20倍以下がより好ましく、15倍以下が特に好ましい。濃縮倍率が40倍以下であると、40倍を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすい。
(B)濃縮タイプの使用に際して注意すべき点は、水による希釈の前後でpHが変化する点である。(A)通常タイプと同じpHのCMP用研磨液を(B)濃縮タイプから調製するには、水との混合によるpH上昇を考慮に入れ、濃縮タイプのCMP用研磨液のpHを予め低めに設定しておけばよい。例えば、二酸化炭素が溶解した水(pH:約5.6)を使用し、pHが4.0の(B)濃縮タイプのCMP用研磨液を10倍に希釈した場合、希釈後のCMP用研磨液はpHが4.3程度にまで上昇する。
(B)濃縮タイプのpHは、水による希釈後に適したpHのCMP用研磨液を得る観点から、1.5〜7.0が好ましい。pHの下限は2.0がより好ましく、2.5が更に好ましい。また、砥粒の凝集を抑制する観点から、pHの上限は、7.0が好ましく、6.7がより好ましく、6.0が更に好ましく、5.5が特に好ましい。
(C)2液タイプは、(B)濃縮タイプと比較して砥粒の凝集等を回避できるという利点がある。液A及び液Bにそれぞれ含有せしめる成分は任意である。例えば、砥粒と必要に応じて配合される界面活性剤等とを含むスラリを液Aとし、他方、添加剤と必要に応じて配合される他の成分とを含む溶液を液Bとすることができる。この場合、液Aにおける砥粒の分散性を高めるため、任意の酸又はアルカリを液Aに配合し、pH調整を行ってもよい。
(C)2液タイプのCMP用研磨液は、各成分が混合された状態では、砥粒の凝集等によって研磨特性が比較的短時間で低下する場合に有用である。なお、保管及び輸送にかかるコスト削減の観点から、液A及び液Bを少なくとも一方を濃縮タイプとしてもよい。この場合、CMP用研磨液を使用する際に、液Aと液Bと水とを混合すればよい。液A又は液Bの濃縮倍率、pHは任意であり、最終的な混合物が液状特性及び研磨特性の点で(A)通常タイプのCMP用研磨液と同程度とできればよい。
<研磨方法>
本実施形態に係る研磨方法は、各成分の含有量及びpH等が調整されたCMP用研磨液を使用し、表面に酸化ケイ素膜を有する基板をCMP技術によって平坦化するものである。具体的には、表面に酸化ケイ素膜を有する基板における酸化ケイ素膜と所定の研磨用の部材(研磨部材)との間に、上述した実施形態のCMP用研磨液を供給し、その状態で研磨部材によって酸化ケイ素膜を研磨する工程を含む。
本実施形態に係る研磨方法は、以下のようなデバイスの製造過程において表面に酸化ケイ素膜を有する基板を研磨するのに適している。デバイスとしては、例えば、ダイオード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、フラッシュメモリ等の記憶素子、マイクロプロセッサー、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、ASIC(特定用途向け集積回路)等の理論回路素子、MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子、混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子が挙げられる。
なお、当該研磨方法を適用できる基板は、基板表面全体が酸化ケイ素膜によって形成されたものに限らず、基板表面に酸化ケイ素膜の他に窒化ケイ素膜、多結晶シリコン膜等を更に有したものであってもよい。また、当該研磨方法は、所定の配線を有する配線板上に、酸化ケイ素膜、ガラス、窒化ケイ素等の無機絶縁膜、ポリシリコン、Al、Cu、Ti、TiN、W、Ta、TaN等を主として含有する膜が形成された基板に対しても適用できる。
基板表面に酸化ケイ素膜を形成する方法としては、低圧CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。低圧CVD法による酸化ケイ素膜形成は、Si源としてモノシラン(SiH)、酸素源として酸素(O)を用いる。このSiH−O系酸化反応を400℃以下の低温で行わせることによって酸化ケイ素膜が形成される。場合によっては、CVD後に1000℃又はそれ以下の温度での熱処理が実施される。
プラズマCVD法は、通常の熱平衡下では高温を必要とする化学反応が低温でできる利点を有する。プラズマ発生法には、容量結合型と誘導結合型の2つが挙げられる。反応ガスとしては、Si源としてSiH、酸素源としてNOを用いたSiH−NO系ガスや、テトラエトキシシラン(TEOS)をSi源に用いたTEOS−O系ガス(TEOS−プラズマCVD法)が挙げられる。基板温度は250〜400℃の範囲が好ましく、反応圧力は67〜400Paの範囲が好ましい。
高温リフローによる表面平坦化を図るために、酸化ケイ素膜にリン(P)をドープする場合、SiH−O−PH系反応ガスを用いることが好ましい。このように、研磨対象の酸化ケイ素膜は、リン、ホウ素等の元素がドープされたものであってもよい。
窒化ケイ素膜も酸化ケイ素膜と同様、低圧CVD法、プラズマCVD法等により形成することができる。低圧CVD法では、Si源としてジクロルシラン(SiHCl)、窒素源としてアンモニア(NH)を用いる。このSiHCl−NH系酸化反応を900℃の高温で行わせることによって窒化ケイ素膜が形成される。プラズマCVD法では、Si源としてSiH、窒素源としてNHを用いたSiH−NH系ガスが反応ガスとして挙げられる。この場合、基板温度は300〜400℃が好ましい。
図1を参照しながら、本実施形態に係る研磨方法によるCMPによってSTI構造を形成するプロセスについて説明する。
図1(a)は研磨前の基板を示す断面図である。図1(b)は第1の工程後の基板を示す断面図である。図1(c)は第2の工程後の基板を示す断面図である。これらの図に示すように、STI構造を形成する過程では、シリコン基板1上に成膜した酸化ケイ素膜3の段差Dを解消するため、部分的に突出した不要な箇所をCMPによって優先的に除去する。なお、表面が平坦化した時点で適切に研磨を停止させるため、酸化ケイ素膜3の下には、研磨速度の遅い窒化ケイ素膜(ストッパ膜)2を予め形成しておくことが好ましい。第1及び第2の工程を経ることによって酸化ケイ素膜3の段差Dが解消され、埋め込み部分4を有する素子分離構造が形成される。
酸化ケイ素膜3を研磨するには、酸化ケイ素膜3の上面と研磨パッドとが当接するように、研磨パッド上にウエハを配置し、研磨パッドによって酸化ケイ素膜3の表面を研磨する。より具体的には、研磨定盤の研磨パッドに酸化ケイ素膜3の被研磨面側を押し当て、被研磨面と研磨パッドとの間にCMP用研磨液を供給しながら、両者を相対的に動かすことによって酸化ケイ素膜3を研磨する。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、第1及び第2の工程のいずれにも適用できるが、凸部に対して充分な研磨速度を得ている点で第1の工程において使用することが特に好ましい。なお、ここでは、研磨工程を2段階に分けて実施する場合を例示したが、図1(a)に示す状態から図1(c)に示す状態まで一段階で研磨処理することも可能である。
研磨装置としては、例えば、基板を保持するホルダーと、研磨パッドが貼り付けられる研磨定盤と、研磨パッド上にCMP用研磨液を供給する手段とを備える装置が好適である。例えば、株式会社荏原製作所製の研磨装置(型番:EPO−111、EPO−222、FREX200、FREX300(「FREX」は、登録商標。))、Applied Materials社製の研磨装置(商品名:Mirra3400、Reflexion研磨機(「Mirra」及び「Reflexion」は、登録商標。))が挙げられる。研磨パッドとしては、特に制限はなく、例えば、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂を使用することができる。また、研磨パッドは、CMP用研磨液が溜まるような溝加工が施されたものが好ましい。
研磨条件としては、特に制限はないが、基板が飛び出さないようにする見地から、研磨定盤の回転数は200min−1以下が好ましく、基板にかける圧力(加工荷重)は、被研磨面の傷を抑制するという見地から、100kPa以下が好ましい。研磨している間、ポンプ等によって研磨パッドにCMP用研磨液を連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常にCMP用研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨終了後、流水中で基板を充分に洗浄し、更にスピンドライヤ等を用いて基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。このように研磨することによって、表面の凹凸を解消し、基板全面にわたって平滑な面を得ることができる。膜の形成及びこれを研磨する工程を所定の回数繰り返すことによって、所望の層数を有する基板を製造することができる。
このようにして得られた基板は、種々の電子部品及び機械部品として使用することができる。具体例としては、半導体素子、フォトマスク、レンズ、プリズム等の光学ガラス、ITO(酸化インジウムスズ)等の無機導電膜、ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路、光ファイバーの端面、シンチレータ等の光学用単結晶、固体レーザ単結晶、青色レーザLED用サファイヤ基板、SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板、磁気ヘッドが挙げられる。
(実施例及び比較例)
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(CMP用研磨液の作製)
(実施例1〜3及び比較例2、7、9)
砥粒、及び添加剤としての3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロンが、CMP用研磨液全体を基準として、それぞれ0.25質量%(砥粒含有量)、0.03質量%となるように純水を加えて調整し、CMP用研磨液を作製した。実施例1〜3には、砥粒としてそれぞれ、結晶子径の平均値が27nm、30nm、33nmのコロイダルセリアを用いた。比較例2、7、9には、砥粒としてそれぞれ、結晶子径の平均値が12nm、35nm、39nmのコロイダルセリアを用いた。
(比較例1,3〜5、6、8)
砥粒がCMP用研磨液全体を基準として0.25質量%となるように純水を加えて調整し、CMP用研磨液を作製した。比較例1、3〜5、6、8には、砥粒としてそれぞれ、結晶子径が12nm、27nm、30nm、33nm、35nm、39nmのコロイダルセリアを用いた。
(結晶子径の平均値の算出)
前記コロイダルセリアをそれぞれ、遠心分離し、デカンテーションにより固液分離を施した後に、60℃にて乾燥させ、粉末を得た。この粉末を株式会社リガク製X線回折装置(装置名:MultiFlex)にて、管電圧は40kV、管電流は20mAとし、対陰極としてCuを使用してX線回折パターンを測定した。発散スリット、散乱スリット、受光スリットはそれぞれ、1°、1°及び0.3mmのものを使用した。測定はFixed Time法(FT法)で行い、測定条件はステップ幅(2θ)を0.05°、計数時間を1秒と設定した。測定範囲(2θ)を20°〜90°としたときの、測定結果における回折強度が最も高い回折ピーク(2θ=28.6°に位置する回折ピーク)について、そのピークの回折角度及び回折ピークの半値幅をシェラーの式に適用することで、結晶子径の平均値を算出した。結果を表1に示す。
(酸化ケイ素膜の研磨)
Applied Materials社製の研磨装置(商品名:Mirra3400)における基板取り付け用の吸着パッドを貼り付けたホルダーに、研磨試験ウエハをセットした。研磨試験ウエハとして、SEMATECH社製の商品名:パタンウエハ864(直径:200mm)を用いた。ニッタ・ハース株式会社製多孔質ウレタン樹脂製パッド(商品名:IC−1010)を貼り付けた定盤上に、酸化ケイ素膜がパッドに対向するようにホルダーを載せた。前記で得られたCMP用研磨液を、供給量200ml/minでパッド上に供給しながら、研磨荷重20.68kPaで基板をパッドに押し当てた。このとき定盤を回転数93min−1、ホルダーを回転数87min−1で1分間回転させ研磨を行った。研磨後のウエハを純水でよく洗浄し乾燥させた。フィルメトリクス株式会社製光干渉式膜厚測定装置(装置名:F80)を用いて研磨前後の膜厚変化を測定して、研磨速度を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2016037569
表1に、コロイダルセリアの結晶子径の平均値と酸化ケイ素膜の研磨速度の関係を示す。表1の結果から、添加剤を加えることで、いずれの砥粒においても酸化ケイ素膜凸部の研磨速度が向上していることが分かるが、特に比較例3〜5においては、砥粒の結晶子径の平均値が小さく、添加剤を加えない状態では充分な研磨速度が得られていないのに対し、実施例1〜3においては酸化ケイ素膜凸部の研磨速度が大幅に向上し、充分な研磨速度が得られていることから、本発明の添加剤は、結晶子径の平均値が小さい砥粒にも酸化ケイ素膜凸部の充分な研磨速度を与える効果を有することが示された。また、比較例1及び2の結果から、添加剤の付与をもってしても、ある一定以上の結晶子径の平均値を持たない砥粒には酸化ケイ素膜凸部の充分な研磨速度を与えることが困難であることが示された。さらに比較例6及び7の結果から、添加剤を加えていない状態ですでに充分な研磨速度が得られている砥粒に対しては、研磨速度の向上の効果は弱く、砥粒の結晶子径の平均値が特定の範囲内であるとき、本発明の添加剤の効果が有効に発揮することが示された。
1…シリコン基板、2…ストッパ膜(窒化ケイ素膜)、3…酸化ケイ素膜、4…埋め込み部分、D…酸化ケイ素膜の膜厚の標高差(段差)。

Claims (7)

  1. コロイダルセリアと、添加剤と、水とを含有し、前記添加剤は4−ピロン系化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有する、CMP用研磨液。
  2. 前記コロイダルセリアは、加熱処理を含む液相反応によって得られる、請求項1に記載のCMP用研磨液。
  3. 前記コロイダルセリアは、結晶子径の平均値が20nm以上である請求項1又は2に記載のCMP用研磨液。
  4. 前記4−ピロン系化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1〜3いずれか一項に記載のCMP用研磨液。
    Figure 2016037569
    式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。
  5. 前記添加剤として、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン、2−エチル−3−ヒドロキシ−4−ピロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  6. 前記CMP用研磨液の室温(25℃)におけるpHが8.0以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  7. 表面に酸化ケイ素膜を有する基板を研磨する方法であって、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のCMP用研磨液を前記酸化ケイ素膜と研磨パッドとの間に供給しながら、前記研磨パッドによって前記酸化ケイ素膜の研磨を行う工程を備える研磨方法。
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KR20220153275A (ko) * 2021-05-11 2022-11-18 주식회사 케이씨텍 표면 처리된 연마입자 및 연마 슬러리 조성물

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