JP6601209B2 - Cmp用研磨液及びこれを用いた研磨方法 - Google Patents

Cmp用研磨液及びこれを用いた研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、CMP用研磨液、及び、これを用いた研磨方法に関する。本発明は、例えば、半導体材料のケミカルメカニカルポリッシグ(CMP)に使用するCMP用研磨液、及び、これを用いた研磨方法に関し、特に、半導体ウエハの表面に設けられた酸化ケイ素を研磨するためのCMP用研磨液、及び、これを用いた研磨方法に関する。
半導体製造の分野では、超LSIデバイスの高性能化に伴い、従来技術の延長線上の微細化技術では高集積化及び高速化を両立することは限界になってきている。そこで、半導体素子の微細化を進めつつ、垂直方向にも高集積化する技術、すなわち、配線を多層化する技術が開発されている。
配線が多層化されたデバイスを製造するプロセスにおいて、最も重要な技術の一つにCMP技術がある。CMP技術は、化学気相蒸着(CVD)等によって基材上に薄膜を形成して基体を得た後、その表面を平坦化する技術である。基体表面に凹凸があると、露光工程における焦点合わせが不可能となったり、微細な配線構造を充分に形成できなかったり等の不都合が生じる。CMP技術は、デバイスの製造工程において、プラズマ酸化膜(BPSG、HDP−SiO、p−TEOS等)の研磨によって素子分離領域を形成する工程、層間絶縁膜を形成する工程、又は、酸化ケイ素を含む膜を金属配線に埋め込んだ後にプラグ(例えばAl・Cuプラグ)を平坦化する工程などにも適用される。
CMPは、通常、研磨パッド上に研磨液を供給することができる装置を用いて行われる。基体表面と研磨パッドとの間に研磨液を供給しながら、基体を研磨パッドに押し付けることによって基体表面が研磨される。CMP技術においては、高性能の研磨液が要素技術の一つであり、これまでにも種々の研磨液が開発されている(例えば、下記特許文献1を参照)。特許文献1には、4−ピロン系化合物を使ったCMP用研磨液が記載されている。
特開2013−175731号公報
ところで、基材上に素子分離領域を形成する工程においては、予め基材表面に溝を設け、この溝を埋めるように被研磨材料(例えば、酸化ケイ素等の絶縁材料)がCVD等によって形成される。その後、被研磨材料の表面をCMPによって平坦化することによって素子分離領域が形成される。表面に凹部(溝)等の素子分離構造が設けられた基材上に被研磨材料を形成する場合、被研磨材料の表面にも、素子分離構造の凹凸に応じた凹凸が生じる。凹凸を有する表面に対しては、凸部が優先的に除去される一方、凹部がゆっくりと除去されることによって平坦化がなされる。
半導体生産のプロセスマージン及び歩留まりを向上させるためには、基材上に形成した被研磨材料の不要な部分をウエハ面内で可能な限り均一に且つ高速に除去することが好ましい。例えば、素子分離領域の狭幅化に対応すべく、シャロー・トレンチ分離(STI)を採用した場合、基材上に設けた被研磨材料(例えば、酸化ケイ素等の絶縁材料)の段差及び不要な部分を速い研磨速度で取り除くことが要求される。
一般に、被研磨材料(例えば、酸化ケイ素等の絶縁材料)の研磨処理を二段階に分け、生産効率の向上を図る場合がある。第一の研磨工程(荒削り)では、被研磨材料の段差の大部分を除去し、第二の研磨工程(仕上げ工程)では、被研磨材料を任意の厚さになるように、そして、被研磨面が充分平坦化されるようにゆっくりと仕上げる。第一及び第二の研磨工程で研磨液を変更する場合もあるが、生産性及び設備の簡素化のため、単一の研磨液で仕上げることも要求される。
前記のように被研磨材料に対するCMPを二段階以上に分ける場合、第二の研磨工程においては、ディッシングを最小限に抑え、被研磨面が充分に平坦化される必要があるのに対し、第一の研磨工程においては、高い段差除去性が要求される。特に、第一の研磨工程では、被研磨材料に対する高い研磨速度よりも段差除去性が優先して求められる。しかしながら、特許文献1のCMP用研磨液等の従来の研磨液では、絶縁材料等の被研磨材料に対する高い研磨速度が得られるとしても、段差除去性については改善の余地がある。
本発明は、前記課題を解決しようとするものであり、高い段差除去性を有するCMP用研磨液、及び、これを用いた研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、CMP用研磨液に配合する添加剤について鋭意検討を重ねた。本発明者らは、種々の化合物を添加剤として使用して研磨液を多数調製した。これらのCMP用研磨液を用いて、凹凸を有する絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)を研磨し、段差除去性の評価を行った。その結果、特定の4−ピロン系化合物、及び、第四級アンモニウム塩含有モノマに由来する構造単位を有するカチオンポリマを併用することが、高い段差除去性を発揮することに有効であることを見出した。
本発明に係るCMP用研磨液は、表面に凹部及び凸部を有する基材、当該基材の前記凸部上に配置されたストッパ、及び、前記基材及び前記ストッパを被覆する絶縁材料を有する基体における前記絶縁材料を研磨する第一の研磨工程と、前記絶縁材料における前記ストッパ上の部分を研磨して前記ストッパを露出させる第二の研磨工程と、を備える研磨方法における前記第一の研磨工程に用いられる研磨液であって、砥粒と、第一の添加剤と、第二の添加剤と、水とを含有し、前記第一の添加剤が、下記一般式(1)で表される4−ピロン系化合物を含み、前記第二の添加剤が、第四級アンモニウム塩含有モノマに由来する構造単位を有するカチオンポリマを含む。
Figure 0006601209

[式(1)中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。]
本発明に係るCMP用研磨液によれば、凹凸を有する絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)を研磨した場合において高い段差除去性を達成できる。
ところで、凹凸を有する絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)の研磨処理を二段階に分ける場合、第一及び第二の研磨工程を通して、段差解消の過程で粗密依存性が生じてしまう問題がある。粗密依存性とは、段差(段差凸部)が密な領域の段差よりも、段差が粗な領域の段差が優先して解消されてしまうために、仕上がりの平坦性が悪くなってしまうことである。例えば、図1に示すように、砥粒(酸化セリウム粒子等)を用いて、段差が密な領域A1と、段差が粗な領域A2とを有する基体(符号Bは基材、符号Cは絶縁材料(例えば酸化ケイ素))を研磨する場合、領域A1よりも領域A2の段差が優先して解消されてしまうために、仕上がりの平坦性が悪くなってしまう。
これに対し、本発明者らは、CMP用研磨液に配合する添加剤について鋭意検討を重ねた結果、前記のように、特定の4−ピロン系化合物、及び、第四級アンモニウム塩含有モノマに由来する構造単位を有するカチオンポリマを併用することが、高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消することに有効であることを見出した。すなわち、本発明に係るCMP用研磨液によれば、高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消することができる。
これらの効果が奏される要因は必ずしも明らかではないが、特定の化学構造を有する第一の添加剤により、研磨液と絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)との相互作用が大きくなり、その結果、研磨速度が高くなると推測される。また、特定の化学構造を有する第二の添加剤を使用することで、強い荷重依存性が生じ、荷重の強くかかる段差凸部の除去性が高くなる一方、凹部は第二の添加剤によって保護されるため、平坦性が良好となると推測される。さらに、第二の添加剤が絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)に作用することで、段差がある程度解消された時点から、段差(段差凸部)の密な部分の研磨が優先的に進行し、粗密依存性が解消されると推測される。
前記のとおり、本発明に係るCMP用研磨液は、高い段差除去性を達成できるため、凹凸を有する基材上に設けられた絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)の研磨に適している。また、本発明に係るCMP用研磨液は、従来の研磨液では段差除去が比較的困難な半導体材料であってもその効果を発揮できるという利点がある。例えば、メモリセルを有する半導体基板のように、上から見たときに凹部又は凸部がT字形状又は格子形状に設けられた部分を有する基板の絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)を研磨する場合であってもその効果を発揮できる。
前記式(1)で表される4−ピロン系化合物を含有する研磨液によれば、絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)に対する充分に高い研磨速度を達成できるのに加えて、砥粒の凝集を抑制することができる。かかる効果が奏される要因は必ずしも明らかではないが、上述した特定構造を有する4−ピロン系化合物は、研磨液と絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)との相互作用を大きくし得る添加剤であるにも関わらず、砥粒同士の静電的反発力等の反発力を弱める効果がないため、砥粒の凝集を抑制することができると考えられる。
前記第一の添加剤は、3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロン、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロン、及び、2−エチル−3−ヒドロキシ−4−ピロンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
前記第二の添加剤は、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレートジエチル硫酸塩共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド単独重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体、及び、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト単独重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
本発明に係るCMP用研磨液は、芳香環及びポリオキシアルキレン鎖を有する高分子化合物を含有しなくてもよい。
本発明に係るCMP用研磨液のpHは、8.0以下であることが好ましく、2.0〜5.0であることがより好ましい。
本発明に係るCMP用研磨液は、pH調整剤を更に含有してもよい。
前記第一の添加剤の含有量は、研磨液100質量部に対して0.001〜5質量部であることが好ましい。かかる構成を採用することにより、研磨速度の向上効果が更に効率的に得られる。
前記第二の添加剤の含有量は、研磨液100質量部に対して、0.00001〜5質量部であることが好ましい。かかる構成を採用することにより、段差除去性の効果が更に効率的に得られる。
前記砥粒の含有量は、研磨液100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。
前記砥粒の平均粒径は、50〜500nmであることが好ましい。前記砥粒は、セリウム系化合物を含むことが好ましい。前記セリウム系化合物は、酸化セリウムであることが好ましい。前記砥粒は、結晶粒界を有する多結晶酸化セリウムを含むことが好ましい。砥粒に関するこれらの構成のうち、1つの構成又は2つ以上の構成を採用することにより、絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)の研磨速度が更に向上する。
本発明に係るCMP用研磨液は、非イオン性界面活性剤を更に含有してもよい。かかる構成を採用することにより、研磨液中の砥粒の分散安定性が向上する。
本発明に係るCMP用研磨液は、飽和モノカルボン酸を更に含有することが好ましい。かかる構成を採用することにより、凹凸形状を有する基体(半導体基板等)の研磨速度を低下させることなく、平坦な基体(半導体基板等)の研磨速度を向上させる利点、又は、研磨速度のウエハ面内のばらつきの指標である面内均一性を向上させる利点が得られる。
前記飽和モノカルボン酸の炭素数は、2〜6であることが好ましい。かかる構成を採用することにより、平坦な基体(半導体基板等)の研磨速度の向上効果及び面内均一性の向上効果が更に良好に得られる。
前記飽和モノカルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸及び3,3−ジメチルブタン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
前記飽和モノカルボン酸の含有量は、研磨液100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。かかる構成を採用することにより、平坦な基体(半導体基板等)の研磨速度の向上効果及び面内均一性の向上効果が更に効率的に得られる。
本発明は、前記研磨液を用いた研磨方法を提供する。すなわち、本発明に係る研磨方法は、表面に凹部及び凸部を有する基材、当該基材の前記凸部上に配置されたストッパ、及び、前記基材及び前記ストッパを被覆する絶縁材料を有する基体における前記絶縁材料を研磨する第一の研磨工程と、前記絶縁材料における前記ストッパ上の部分を研磨して前記ストッパを露出させる第二の研磨工程と、を備える研磨方法であって、前記第一の研磨工程において、本発明に係るCMP用研磨液を前記絶縁材料と研磨パッドとの間に供給しながら、前記研磨パッドによって前記絶縁材料を研磨する。この研磨方法によれば、絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)に対する充分に高い研磨速度を達成できると共に、凹凸を有する絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)を研磨した場合において高い段差除去性を達成できる。また、高い研磨速度は、研磨対象の基体の表面形状に大きく依存することなく達成されるため、この研磨方法は、絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)の荒削り、及び、メモリセルを有する半導体基板の研磨に適している。
前記基体は、上から見たときに前記凹部又は前記凸部がT字形状又は格子形状に設けられた部分を有していてもよい。前記基体は、メモリセルを有する半導体基板であってもよい。
本発明によれば、凹凸を有する絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)を研磨した場合において高い段差除去性を達成可能なCMP用研磨液、及び、これを用いた研磨方法を提供することができる。また、本発明によれば、高い段差除去性を達成しつつ、粗密依存性を解消することができる。
また、本発明に係るCMP用研磨液は、前記第二の添加剤を含有することにより、図3に示すような特異な荷重依存性を発現することができる。図3のような荷重依存性が発現することにより、凹凸を有する絶縁材料を研磨した場合、荷重のかかり難い凹部では低い研磨速度が発現でき、荷重のかかり易い凸部では高い研磨速度が発現できる。
段差が密な領域と、段差が粗な領域とを有する被研磨材料が研磨されて粗密依存性が生じてしまう現象を説明するための模式断面図である。 酸化ケイ素膜が研磨されて半導体基板にシャロー・トレンチ分離構造が形成される過程を示す模式断面図である。 荷重依存性の評価結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<CMP用研磨液>
本実施形態に係るCMP用研磨液は、表面に凹部及び凸部を有する基材、当該基材の前記凸部上に配置されたストッパ、及び、前記基材及び前記ストッパを被覆する絶縁材料を有する基体における前記絶縁材料を研磨する第一の研磨工程と、前記絶縁材料における前記ストッパ上の部分を研磨して前記ストッパを露出させる第二の研磨工程と、を備える研磨方法における前記第一の研磨工程に用いられる。また、本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒(研磨粒子)と、第一の添加剤と、第二の添加剤と、水とを含有し、前記第一の添加剤が、一般式(1)で表される4−ピロン系化合物を含み、前記第二の添加剤が、第四級アンモニウム塩含有モノマに由来する構造単位を有するカチオンポリマを含むことを特徴とする。本実施形態に係るCMP用研磨液によれば、凹凸を有する絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)に対する高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消することができる。以下、研磨液の調製に使用する各成分等について説明する。
(砥粒)
砥粒は、例えば、セリウム系化合物、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、ムライト、窒化ケイ素、α−サイアロン、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素等を含むことができる。これらの砥粒の構成成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、第一の添加剤及び第二の添加剤の添加効果を更に良好に発揮でき、凹凸を有する絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)に対する高い研磨速度、及び、高い段差除去性が更に高度に得られる観点から、セリウム系化合物が好ましい。
セリウム系化合物を含む砥粒を用いたCMP用研磨液は、被研磨面に生じる研磨傷が比較的少ないという特長を有する。従来、絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)に対する高い研磨速度を達成し易い観点から、砥粒としてシリカ粒子を含むCMP用研磨液が広く用いられている。しかし、シリカ粒子を用いたCMP用研磨液は、一般に被研磨面に研磨傷が生じ易いという課題がある。配線幅が45nm世代以降の微細パターンを有するデバイスにおいては、従来問題にならなかったような微細な傷であっても、デバイスの信頼性に影響するおそれがある。
セリウム系化合物としては、酸化セリウム、セリウム水酸化物、硝酸アンモニウムセリウム、酢酸セリウム、硫酸セリウム水和物、臭素酸セリウム、臭化セリウム、塩化セリウム、シュウ酸セリウム、硝酸セリウム、炭酸セリウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化セリウムが好ましい。酸化セリウムを使用することで、高い研磨速度及び高い段差除去性を更に高度に両立できると共に、研磨傷が少ない優れた被研磨面が得られる。
酸化セリウムを使用する場合、砥粒は、結晶粒界を有する多結晶酸化セリウム(例えば、結晶粒界に囲まれた複数の結晶子を有する多結晶酸化セリウム)を含むことが好ましい。かかる構成の多結晶酸化セリウム粒子は、単結晶粒子が凝集した単なる凝集体とは異なっており、研磨中の応力により細かくなると同時に、活性面(細かくなる前は外部にさらされていない面)が次々と現れるため、絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)に対する高い研磨速度を高度に維持できると考えられる。このような多結晶酸化セリウム粒子については、例えば、国際公開公報WO99/31195号に詳しく説明されている。
酸化セリウムを含む砥粒の製造方法としては、特に制限はないが、液相合成;焼成又は過酸化水素等により酸化する方法などが挙げられる。前記結晶粒界を有する多結晶酸化セリウムを含む砥粒を得る場合には、炭酸セリウム等のセリウム源を焼成する方法が好ましい。前記焼成時の温度は、350〜900℃が好ましい。製造された酸化セリウム粒子が凝集している場合は、機械的に粉砕することが好ましい。粉砕方法としては、特に制限はないが、例えば、ジェットミル等による乾式粉砕;遊星ビーズミル等による湿式粉砕が好ましい。ジェットミルは、例えば、「化学工学論文集」、第6巻、第5号、(1980)、527〜532頁に説明されている。
砥粒の平均粒径は、50nm以上が好ましく、70nm以上がより好ましく、80nm以上が更に好ましい。平均粒径が50nm以上であると、50nm未満の場合と比較して絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)の研磨速度を高くできる傾向がある。砥粒の平均粒径は、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、280nm以下が更に好ましく、250nm以下が特に好ましく、200nm以下が極めて好ましい。平均粒径が500nm以下であると、500nmを超える場合と比較して研磨傷を抑制できる傾向がある。砥粒の平均粒径を制御するためには、従来公知の方法を使用することができ、前記酸化セリウム粒子を例にすると、前記焼成温度、焼成時間、粉砕条件等の制御;濾過、分級等の適用などが挙げられる。
砥粒の平均粒径は、砥粒のD50%粒径であり、砥粒が分散した研磨液サンプルを散乱式粒度分布計で測定した体積分布の中央値を意味する。具体的には、株式会社堀場製作所製のLA−920(商品名)等を用いて測定される値である。砥粒の含有量が研磨液サンプル100質量部に対して0.5質量部になるように研磨液サンプルの砥粒の含有量を調整し、これをLA−920にセットして体積分布の中央値の測定を行う。なお、LA−920によってメジアン径(累積中央値)を測定することによって、砥粒の凝集の程度を評価することもできる。CMP用研磨液中の砥粒の平均粒径を測定する場合は、前記CMP用研磨液を濃縮又は水で希釈することによって砥粒の含有量が研磨液サンプル100質量部に対して0.5質量部になるように研磨液サンプルの砥粒の含有量を調整してから、同様の方法で測定することができる。
砥粒の含有量(粒子含有量)は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.15質量部以上が更に好ましく、0.2質量部以上が特に好ましい。砥粒の含有量が0.01質量部以上であると、0.01質量部未満の場合と比較して高い研磨速度が達成される傾向がある。砥粒の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下が更に好ましく、2.0質量部以下が特に好ましく、1.0質量部以下が極めて好ましい。砥粒の含有量が10質量部以下であると、10質量部を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制し易く、高い研磨速度を達成し易い傾向がある。
(第一の添加剤)
第一の添加剤は、下記一般式(1)で表される4−ピロン系化合物の中から1種又は2種以上を含む。
Figure 0006601209
式(1)中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。1価の置換基としては、アルデヒド基、ヒドロキシ基(水酸基)、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、ニトロ基、ヒドラジン基、炭素数1〜8のアルキル基(OH、COOH、Br、Cl、I又はNOで置換されていてもよい)、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜8のアルケニル基等が挙げられる。
前記4−ピロン系化合物がX11、X12及びX13として1価の置換基を有する場合、1価の置換基は、合成が簡易である観点から、オキシ基に隣接する炭素原子に結合していることが好ましい。すなわち、X11及びX12の少なくとも一方が1価の置換基であることが好ましい。さらに、砥粒の研磨能力の向上効果が得られ易い観点から、X11、X12及びX13のうち少なくとも2つは水素原子であることが好ましく、X11、X12及びX13のうち2つが水素原子であることがより好ましい。
前記4−ピロン系化合物は、少なくともカルボニル基の炭素原子に隣接している炭素原子にヒドロキシ基が結合した構造を有する。ここで、「4−ピロン系化合物」とは、オキシ基及びカルボニル基が含まれると共に、オキシ基に対してカルボニル基が4位に位置している6員環(γ−ピロン環)構造を有する複素環式化合物である。本実施形態の4−ピロン系化合物は、このγ−ピロン環におけるカルボニル基に隣接している炭素原子にヒドロキシ基が結合しており、それ以外の炭素原子には、水素原子以外の置換基が置換していてもよい。
このような4−ピロン系化合物としては、高い段差除去性を達成する効果が更に好適に得られる観点から、3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロン(別名:3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン。マルトール)、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロン(別名:5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン。コウジ酸)、及び、2−エチル−3−ヒドロキシ−4−ピロン(別名:2−エチル−3−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
第一の添加剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。第一の添加剤を2種以上組み合わせて使用することによっても高い研磨速度が得られる。
第一の添加剤は、水溶性であることが好ましい。水への溶解度が高い化合物を使用することにより、所望の量の第一の添加剤を良好にCMP用研磨液中に溶解させることができ、研磨速度の向上効果、及び、砥粒の凝集の抑制効果をより一層高水準に達成することができる傾向がある。室温(25℃)の水100gに対する第一の添加剤の溶解度は、0.001g以上が好ましく、0.005g以上がより好ましく、0.01g以上が更に好ましく、0.05g以上が特に好ましい。なお、溶解度の上限は特に制限はない。
第一の添加剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.003質量部以上がより好ましく、0.005質量部以上が更に好ましい。第一の添加剤の含有量が0.001質量部以上であると、0.001質量部未満の場合と比較して安定した研磨速度を達成し易い傾向がある。第一の添加剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、1質量部以下が更に好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。第一の添加剤の含有量が5質量部以下であると、5質量部を超える場合と比較して、砥粒の凝集を抑制し易く、高い研磨速度を達成し易い傾向がある。
(第二の添加剤)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、第二の添加剤として、第四級アンモニウム塩含有モノマに由来する構造単位を有するカチオンポリマ(第一の添加剤に該当する化合物を除く)を含有している。第二の添加剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第四級アンモニウム塩含有モノマに由来する構造単位を有するカチオンポリマは、第四級アンモニウム塩含有モノマの単独重合体であってもよく、第四級アンモニウム塩含有モノマと当該第四級アンモニウム塩含有モノマと共重合可能なモノマとの共重合体であってもよい。第四級アンモニウム塩含有モノマとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートジエチル硫酸塩等の第四級アンモニウム塩含有(メタ)アクリレートモノマ、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイトなどが挙げられる。また、第四級アンモニウム塩含有モノマと共重合可能なモノマとしては、特に限定されないが、ビニルピロリドン、アクリルアミド等が挙げられる。第四級アンモニウム塩含有モノマに由来する構造単位を有するカチオンポリマとしては、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートジエチル硫酸塩共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド単独重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト単独重合体等が挙げられる。
第二の添加剤としては、高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消する効果が更に好適に得られる観点から、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレートジエチル硫酸塩共重合体、及び、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド単独重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
第二の添加剤の重量平均分子量は、第二の添加剤における官能基が絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)と容易に反応する観点から、10万以上が好ましく、20万以上がより好ましい。重量平均分子量の上限は、例えば100万であってもよい。
なお、第二の添加剤の重量平均分子量は、例えば、標準ポリスチレンの検量線を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により下記の条件で測定することができる。
使用機器:日立L−6000型〔株式会社日立製作所製〕
カラム:ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440〔日立化成株式会社製 商品名、計3本〕
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:1.75mL/min
検出器:L−3300RI〔株式会社日立製作所製〕
第二の添加剤は、水溶性であることが好ましい。水への溶解度が高い化合物を使用することにより、所望の量の第二の添加剤を良好にCMP用研磨液中に溶解させることができ、高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消する効果が更に高水準で達成することができる。室温(25℃)の水100gに対する第二の添加剤の溶解度は、0.005g以上が好ましく、0.02g以上がより好ましい。なお、溶解度の上限は特に制限はない。
第二の添加剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.00001質量部以上が好ましく、0.00005質量部以上がより好ましく、0.0001質量部以上が更に好ましい。第二の添加剤の含有量が0.00001質量部以上であると、0.00001質量部未満の場合と比較して、高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消する効果が安定して得られ易い傾向がある。第二の添加剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下が更に好ましい。第二の添加剤の含有量が5質量部以下であると、5質量部を超える場合と比較して、砥粒の凝集を抑制し易く、高い段差除去性を達成する効果が安定して得られる傾向がある。また、前記上限値を採用することにより、CMP用研磨液の劣化を防ぎ、更に安定した状態で保管することができる。第二の添加剤の含有量は、段差除去性の効果が更に効率的に得られる観点から、CMP用研磨液100質量部に対して、0.00001〜5質量部が好ましく、0.00005〜5質量部がより好ましく、0.00005〜1質量部が更に好ましく、0.0001〜0.1質量部が特に好ましい。第二の添加剤の含有量は、第一の添加剤の種類、又は、第二の添加剤の種類に応じて適宜調整することができる。
(水)
本実施形態に係るCMP用研磨液が含有する水は、特に制限されるものではないが、脱イオン水、イオン交換水及び超純水が好ましい。なお、必要に応じて、エタノール、アセトン等の極性溶媒などを水と併用してもよい。
(第三の添加剤)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、第三の添加剤として、飽和モノカルボン酸を含有することが好ましい。これにより、凹凸のないウエハ(ブランケットウエハ)の研磨速度を向上させることができる傾向がある。一般に、凹凸を有するウエハの研磨では、凸部が優先的に研磨されるために研磨が進行するに従い被研磨面がブランケットウエハの状態に近づく傾向がある。そのため、ブランケットウエハの研磨速度にも優れる研磨液は、全工程を通じて良好な研磨速度が得られる点で好適である。
前記の観点から、飽和モノカルボン酸の炭素数は、2〜6であることが好ましい。飽和モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸及び3,3−ジメチルブタン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。なお、飽和モノカルボン酸としては、これらの化合物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第三の添加剤として飽和モノカルボン酸を使用する場合、第三の添加剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.075質量部以上が更に好ましく、0.09質量部以上が特に好ましい。第三の添加剤の含有量が0.01質量部以上であると、安定した研磨速度及び良好な面内均一性が達成され易い傾向がある。第三の添加剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましく、2質量部以下が特に好ましく、1質量部以下が極めて好ましい。第三の添加剤の含有量が10質量部以下であると、10質量部を超える場合と比較して、砥粒の凝集を抑制し易く、安定した研磨速度及び良好な面内均一性が達成され易い傾向がある。
(他の成分)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒の分散安定性及び/又は被研磨面の平坦性を向上させる観点から、界面活性剤(第一の添加剤又は第二の添加剤に該当する化合物を除く)を含有することができる。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられ、非イオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非イオン性界面活性剤として、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル誘導体、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリエチレングリコールのオキシエチレン付加体、メトキシポリエチレングリコールのオキシエチレン付加体、アセチレン系ジオールのオキシエチレン付加体等のエーテル型界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールボレイト脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアミン等のアミノエーテル型界面活性剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のエーテルエステル型界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド等のアルカノールアミド型界面活性剤;アセチレン系ジオールのオキシエチレン付加体;ポリビニルピロリドン;ポリアクリルアミド;ポリジメチルアクリルアミド;ポリビニルアルコールなどが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本実施形態に係るCMP用研磨液は、芳香環及びポリオキシアルキレン鎖を有する高分子化合物(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等)を含有していなくてもよい。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、界面活性剤以外に、所望とする特性に合わせてその他の成分を含有していてもよい。このような成分としては、後述するようなpH調整剤、pHの変動を抑えるためのpH緩衝剤、アミノカルボン酸(第三の添加剤に該当する化合物を除く)、環状モノカルボン酸等が挙げられる。これらの成分の含有量は、研磨液の前記効果を過度に低下させない範囲とすることが好ましい。
(pH)
本実施形態に係るCMP用研磨液のpHは、研磨液と絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)との濡れ性が向上する観点、及び、砥粒の凝集を抑制し易くなる傾向がある観点から、8.0以下が好ましく、8.0未満がより好ましく、7.0以下が更に好ましく、6.0以下が特に好ましく、5.0以下が極めて好ましい。pHが8.0以下であると、8.0を超える場合と比較して砥粒の凝集等を抑制し易く、前記添加剤を添加した効果が得られ易い傾向がある。研磨液のpHは、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。pHが1.5以上であると、1.5未満の場合と比較して絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)のゼータ電位の絶対値を大きな値とすることができる傾向がある。本実施形態に係るCMP用研磨液のpHは、研磨液と絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)との濡れ性が向上する観点から、2.0〜5.0であることが好ましい。なお、pHは、液温25℃におけるpHと定義する。
本実施形態に係るCMP用研磨液のpHは、pHメータ(例えば、電気化学計器株式会社製の型番PHL−40)で測定することができる。例えば、フタル酸塩pH緩衝液(pH4.01)と中性リン酸塩pH緩衝液(pH6.86)とホウ酸塩pH緩衝液(pH9.18)とを標準緩衝液として用いてpHメータを3点校正した後、pHメータの電極を研磨液に入れて、3分間以上経過して安定した後の値を測定する。このとき、標準緩衝液と研磨液との液温は共に25℃とする。
CMP用研磨液のpHを1.5〜8.0の範囲内に調整することで、次の2つの効果が得られると考えられる。
(1)添加剤として配合した化合物にプロトン又はヒドロキシアニオンが作用して、当該化合物の化学形態が変化し、基体表面の絶縁材料(例えば酸化ケイ素)及び/又はストッパ(例えば窒化ケイ素)に対する濡れ性及び親和性が向上する。
(2)砥粒が酸化セリウムを含む場合、酸化ケイ素を研磨する際、砥粒と酸化ケイ素との接触効率が向上し、更に高い研磨速度が達成される。これは、酸化セリウムのゼータ電位の符号が正であるのに対し、酸化ケイ素のゼータ電位の符号が負であり、両者の間に静電的引力が働くためであると考えられる。
CMP用研磨液のpHは、添加剤として使用する化合物の種類によって変化し得る。そのため、CMP用研磨液は、pHを前記の範囲に調整するためにpH調整剤を含有していてもよい。pH調整剤としては、特に制限はないが、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸等の酸;水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基などが挙げられる。また、上述した酢酸等の第三の添加剤を用いてpHを調整することもできる。なお、生産性が向上する観点から、pH調整剤を使用することなくCMP用研磨液を調製し、このようなCMP用研磨液をCMPにそのまま適用してもよい。
<CMP用研磨液の調製法及び使用法>
CMP用研磨液は、(A)通常タイプ、(B)濃縮タイプ及び(C)2液タイプに分類でき、タイプによって調製法及び使用法が相違する。(A)通常タイプは、研磨時に希釈等の前処理をせずにそのまま使用できる研磨液である。(B)濃縮タイプは、保管又は輸送の利便性を考慮し、(A)通常タイプと比較して含有成分を濃縮した研磨液である。(C)2液タイプは、保管又は輸送に際して、一定の成分を含む液Aと、他の成分を含む液Bとに分けた状態としておき、使用時に液A及び液Bを混合して使用する研磨液である。
(A)通常タイプは、砥粒、第一の添加剤、第二の添加剤、及び、必要に応じてその他の成分を、主な分散媒である水に溶解又は分散させることによって得ることができる。例えば、砥粒の含有量0.5質量部、第一の添加剤の含有量0.1質量部、第二の添加剤の含有量0.001質量部を有するCMP用研磨液100質量部を1000g調製するには、CMP用研磨液1000gが砥粒5g、第一の添加剤1g、第二の添加剤0.01gを含有するように調整すればよい。
CMP用研磨液は、例えば、攪拌機、ホモジナイザ、超音波分散機、湿式ボールミル等を使用して調製することができる。なお、砥粒の平均粒径が所望の範囲となるように、CMP用研磨液の調製過程において砥粒の微粒子化処理を行ってもよい。砥粒の微粒子化処理は、沈降分級法又は高圧ホモジナイザを用いた方法によって実施できる。沈降分級法は、砥粒を含むスラリの粗大粒子を遠心分離機で強制的に沈降させる工程と、上澄み液のみを取り出す工程とを有する方法である。高圧ホモジナイザを用いた方法は、分散媒中の砥粒同士を高圧で衝突させる方法である。
(B)濃縮タイプは、使用直前に、含有成分の含有量が所望の含有量となるように水で希釈される。希釈後、(A)通常タイプと同程度の液状特性(pH、砥粒の粒径等)及び研磨特性(例えば、酸化ケイ素の研磨速度、窒化ケイ素に対する酸化ケイ素の研磨選択比等)を再現できるまで、任意の時間にわたって攪拌又は砥粒の分散処理を行ってもよい。(B)濃縮タイプでは、濃縮の度合いに応じて容積が小さくなるため、保管及び輸送にかかるコストを減らすことができる。
濃縮倍率は、1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましく、3倍以上が更に好ましく、5倍以上が特に好ましい。濃縮倍率が1.5倍以上であると、1.5倍未満の場合と比較して保管及び輸送に関するメリットを得ることができる傾向がある。濃縮倍率は、40倍以下が好ましく、20倍以下がより好ましく、15倍以下が更に好ましい。濃縮倍率が40倍以下であると、40倍を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制し易い傾向がある。
(B)濃縮タイプの使用に際して注意すべき点は、水による希釈の前後でpHが変化する点である。(A)通常タイプと同じpHの研磨液を(B)濃縮タイプから調製するには、水との混合によるpH上昇を考慮に入れ、濃縮タイプの研磨液のpHを予め低めに設定しておけばよい。例えば、二酸化炭素が溶解した水(pH:約5.6)を使用し、pH4.0の(B)濃縮タイプの研磨液を10倍に希釈した場合、希釈後の研磨液のpHは4.3程度にまで上昇する。
(B)濃縮タイプのpHは、水による希釈後において適したpHの研磨液を得る観点から、1.5〜7.0が好ましい。pHの下限は、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。pHの上限は、砥粒の凝集を抑制し易い観点から、7.0以下が好ましく、6.0以下がより好ましく、5.0以下が更に好ましい。
(C)2液タイプは、(B)濃縮タイプと比較して砥粒の凝集等を回避できるという利点がある。液A及び液Bがそれぞれ含有する成分は任意である。例えば、砥粒と、必要に応じて配合される界面活性剤等とを含むスラリを液Aとして調製し、第一の添加剤と、第二の添加剤と、必要に応じて配合される他の成分とを含む溶液を液Bとして調製することができる。この場合、液Aにおける砥粒の分散性を高めるため、任意の酸又はアルカリを液Aに配合し、pHを調整してもよい。
(C)2液タイプの研磨液は、各成分が混合された状態では、砥粒の凝集等によって研磨特性が比較的短時間で低下する場合に有用である。なお、保管及び輸送にかかるコスト削減の観点から、液A及び液Bを少なくとも一方を濃縮タイプとしてもよい。この場合、研磨液を使用する際に、液Aと液Bと水とを混合すればよい。液A又は液Bの濃縮倍率及びpHは任意であり、最終的な混合物の液状特性及び研磨特性が(A)通常タイプの研磨液と同程度であればよい。
<研磨方法>
本実施形態に係る研磨方法は、本実施形態に係るCMP用研磨液を用いた研磨方法であり、例えば、各成分の含有量及びpH等が調整された研磨液を使用し、表面に絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)を有する基体をCMP技術によって平坦化するものである。絶縁材料(酸化ケイ素等)は、膜状(酸化ケイ素膜等)であってもよい。前記基体は、具体的には、表面に凹部及び凸部を有する基材、当該基材の前記凸部上に配置されたストッパ、及び、前記基材及び前記ストッパを被覆する絶縁材料を有する基体である。本実施形態に係る研磨方法は、具体的には、前記基体における前記絶縁材料を研磨する第一の研磨工程と、前記絶縁材料における前記ストッパ上の部分を研磨して前記ストッパを露出させる第二の研磨工程と、を備える研磨方法である。第一の研磨工程では、ストッパが露出することなく絶縁材料を研磨する。また、本実施形態に係る研磨方法では、前記第一の研磨工程において、本実施形態に係るCMP用研磨液を前記絶縁材料と研磨パッドとの間に供給しながら、前記研磨パッドによって前記絶縁材料の研磨を行うことができる。
本実施形態に係る研磨方法は、以下のようなデバイスの製造過程において、表面に絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)を有する基体を研磨することに適している。デバイスとしては、例えば、ダイオード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体;DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、フラッシュメモリ等の記憶素子;マイクロプロセッサー、DSP、ASIC等の理論回路素子;MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子;混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子などが挙げられる。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消する効果を有する。このような研磨液を用いた研磨方法は、従来のCMP用研磨液を用いた方法では高い段差除去性及び粗密依存性の解消効果を達成することが困難であった基体に対しても適用できる。
本実施形態に係る研磨方法は、表面に段差(凹凸)を有する被研磨面の平坦化に特に適している。このような被研磨面を有する基体としては、例えば、ロジック用の半導体デバイスが挙げられる。また、この研磨方法は、上から見たときに凹部又は凸部がT字形状又は格子形状に設けられた部分を含む表面を有する基体を研磨するのに適している。例えば、メモリセルを有する半導体基板を備える半導体デバイス(例えば、DRAM、フラッシュメモリ)の表面に設けられた絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)も高い速度で研磨できる。さらに、粗密依存性が現れ易い3D−NANDフラッシュメモリの表面に設けられた絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)も高い速度と平坦性をもって研磨することができる。これらは、従来のCMP用研磨液を用いた方法では高い段差除去性及び粗密依存性の解消効果を達成することが困難であったものであり、本実施形態に係るCMP用研磨液が、高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消する効果を有することを示している。
なお、当該研磨方法を適用できる基体は、基体表面全体が酸化ケイ素膜によって形成されたものに限らず、基体表面に酸化ケイ素膜の他に窒化ケイ素膜、多結晶シリコン膜等を更に形成したものであってもよい。また、当該研磨方法は、所定の配線を有する配線板上に、酸化ケイ素膜、ガラス膜、窒化ケイ素膜等の無機絶縁膜、ポリシリコン膜、Al、Cu、Ti、TiN、W、Ta、TaN等を主として含有する膜が形成された基体に対しても適用できる。
基体表面に酸化ケイ素膜を形成する方法としては、低圧CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。低圧CVD法による酸化ケイ素膜形成では、Si源としてモノシラン(SiH)、酸素源として酸素(O)を用いることができる。このSiH−O系酸化反応を400℃以下の低温で行うことによって酸化ケイ素膜が形成される。場合によっては、CVD後に1000℃以下の温度での熱処理が実施される。
プラズマCVD法は、通常の熱平衡下では高温を必要とする化学反応が低温でできる利点を有する。プラズマ発生法には、容量結合型と誘導結合型との2つが挙げられる。反応ガスとしては、例えば、Si源としてSiH、酸素源としてNOを用いたSiH−NO系ガス、及び、Si源としてテトラエトキシシラン(TEOS)を用いたTEOS−O系ガス(TEOS−プラズマCVD法)が挙げられる。基体温度は250〜400℃の範囲が好ましい。反応圧力は67〜400Paの範囲が好ましい。
高温リフローによる表面平坦化を図るために、酸化ケイ素膜にリン(P)をドープする場合、SiH−O−PH系反応ガスを用いることが好ましい。このように、研磨対象の酸化ケイ素膜は、リン、ホウ素等の元素がドープされたものであってもよい。
窒化ケイ素膜も酸化ケイ素膜と同様、低圧CVD法、プラズマCVD法等により形成することができる。低圧CVD法では、例えば、Si源としてジクロルシラン(SiHCl)、窒素源としてアンモニア(NH)を用いることができる。このSiHCl−NH系酸化反応を900℃の高温で行うことによって窒化ケイ素膜が形成される。プラズマCVD法における反応ガスとしては、例えば、Si源としてSiH、窒素源としてNHを用いたSiH−NH系ガスが挙げられる。この場合、基体温度は300〜400℃が好ましい。
図2を参照して、本実施形態に係る研磨方法においてCMPによって基板(ウエハ)にSTI構造を形成するプロセスについて説明する。図2は、酸化ケイ素膜が研磨されてSTI構造が形成される過程を示す模式断面図である。図2(a)に示されるように、基板(基体)は、表面に凹部及び凸部を有するシリコン基板(基材)1、シリコン基板1の前記凸部上に配置された窒化ケイ素膜(ストッパ)2、及び、シリコン基板1及び窒化ケイ素膜2を被覆する酸化ケイ素膜(絶縁材料)3を有する。本実施形態に係る研磨方法は、高い段差除去性及び高い研磨速度で酸化ケイ素膜3を研磨する第一の研磨工程(荒削り工程)と、窒化ケイ素膜2が露出するように残りの酸化ケイ素膜3を高い研磨速度で研磨する第二の研磨工程(仕上げ工程)とを備える。
図2(a)は研磨前の基体を示す断面図である。図2(b)は第一の研磨工程後の基体を示す断面図である。図2(c)は第二の研磨工程後の基体を示す断面図である。これらの図に示すように、STI構造を形成する過程では、シリコン基板1上に成膜した酸化ケイ素膜3の段差Dを解消するため、部分的に突出した不要な箇所をCMPによって優先的に除去する。なお、表面が平坦化した時点で適切に研磨を停止させるため、酸化ケイ素膜3の下における凸部の上には、研磨速度の遅い窒化ケイ素膜(ストッパ膜)2が予め形成される。第一の研磨工程及び第二の研磨工程を経ることによって酸化ケイ素膜3の段差(膜厚の標高差)Dが解消され、埋め込み部分5を有する素子分離構造が形成される。
酸化ケイ素膜3を研磨するには、酸化ケイ素膜3の表面と研磨パッドとが当接するように、研磨パッド上に基体を配置し、研磨パッドによって酸化ケイ素膜3の表面を研磨する。より具体的には、研磨定盤の研磨パッドに酸化ケイ素膜3の被研磨面側を押し当て、被研磨面と研磨パッドとの間にCMP用研磨液を供給しながら、両者を相対的に動かすことによって研磨パッドによって酸化ケイ素膜3を研磨する。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、高い段差除去性を有するため、第一及び第二の研磨工程のいずれにも適用できる。また、本実施形態に係るCMP用研磨液は、高い段差除去性と粗密依存性の解消効果を有する点で、特に第一の研磨工程において好適に使用することができるが、第二の研磨工程においても好適に使用することができる。本実施形態に係るCMP用研磨液は、第一の研磨工程において研磨する絶縁材料は、酸化ケイ素を含むことが好ましい。
研磨装置としては、例えば、基体を保持するホルダーと、研磨パッドが貼り付けられる研磨定盤と、研磨パッド上に研磨液を供給する手段とを備える装置が好適である。研磨装置としては、株式会社荏原製作所製の研磨装置(型番:EPO−111、EPO−222、FREX200、FREX300)、アプライドマテリアル(AMAT)製の研磨装置(商品名:Mirra3400、Reflexion研磨機)等が挙げられる。研磨パッドとしては、特に制限はなく、例えば、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等を使用することができる。また、研磨パッドは、研磨液が溜まるような溝加工が施されたものが好ましい。
研磨条件としては、特に制限はないが、基体が飛び出さないようにする観点から、研磨定盤の回転速度は200min−1以下が好ましく、基体にかける圧力(加工荷重)は、被研磨面の傷を抑制する観点から、100kPa以下が好ましい。研磨している間、ポンプ等によって研磨パッドに研磨液を連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨終了後、流水中で基体を充分に洗浄し、さらに、基体上に付着した水滴をスピンドライヤ等により払い落としてから乾燥させることが好ましい。
このように研磨することによって、表面の凹凸を解消し、基体全面にわたって平滑な面を得ることができる。被研磨材料の形成及びこれを研磨する工程を所定の回数繰り返すことによって、所望の層数を有する基体を製造することができる。
このようにして得られた基体は、種々の電子部品及び機械部品として使用することができる。具体例としては、半導体素子;フォトマスク、レンズ、プリズム等の光学ガラス;ITO等の無機導電膜;ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路;光ファイバーの端面、シンチレータ等の光学用単結晶;固体レーザ単結晶;青色レーザLED用サファイヤ基板;SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶;磁気ディスク用ガラス基板;磁気ヘッドなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(砥粒の作製)
炭酸セリウム水和物40kgをアルミナ製容器に入れ、830℃で2時間、空気中で焼成して黄白色の粉末を20kg得た。この粉末についてX線回折法で相同定を行い、当該粉末が多結晶体の酸化セリウムを含むことを確認した。焼成によって得られた粉末の粒径をSEMで観察したところ、20〜100μmであった。次いで、ジェットミルを用いて酸化セリウム粉末20kgを乾式粉砕した。粉砕後の酸化セリウム粉末をSEMで観察したところ、結晶粒界を有する多結晶酸化セリウム粒子が含まれていることが確認された。また、酸化セリウム粉末の比表面積は9.4m/gであった。比表面積の測定はBET法によって実施した。
(CMP用研磨液の調製)
前記で得られた酸化セリウム粉末15kg及び脱イオン水84.7kgを容器内に入れて混合した。さらに、1Nの酢酸水溶液0.3kgを添加して10分間攪拌し、酸化セリウム混合液を得た。得られた酸化セリウム混合液を別の容器に30分かけて送液した。その間、送液する配管内で、酸化セリウム混合液に対して超音波周波数400kHzにて超音波照射を行った。
500mLビーカー4個にそれぞれ500gの酸化セリウム混合液を採取し、遠心分離を行った。遠心分離は、外周にかかる遠心力が500Gになるような条件で2分間実施した。ビーカーの底に沈降した酸化セリウムを回収し、上澄み液(液相)を分取した。液相の全質量基準で砥粒含有量を0.5質量%に調整した。その後、動的光散乱式粒度分布計(株式会社堀場製作所製、商品名:LA−920)を用いて砥粒の平均粒径を測定した結果、平均粒径は150nmであった。
前記で得られた砥粒と、表1及び表2に記載の第一の添加剤と、第三の添加剤と、脱イオン水とを混合して、砥粒(5質量%)、第一の添加剤、及び、第三の添加剤(0.9質量%)を含有するスラリを得た。次に、前記スラリ(砥粒含有量:5質量%)を脱イオン水で希釈した後に、表1及び表2に記載の第二の添加剤を添加し、5分間以上攪拌した。これにより、各実施例及び比較例に係る研磨液を得た。各研磨液の成分及び含有量(研磨液全質量基準の含有量)を表1及び表2に示す。なお、マルトールは、3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロンであり、コウジ酸は、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロンである。
動的光散乱式粒度分布計(株式会社堀場製作所製、商品名:LA−920)を用いて、研磨液における砥粒の平均粒径を測定したところ、いずれも平均粒径は150nmであった。
研磨液のpHを以下の条件により測定した。
測定温度:25℃
測定装置:電気化学計器株式会社製、型番PHL−40
測定方法:標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液、pH:4.01(25℃);中性リン酸塩pH緩衝液、pH:6.86(25℃);ホウ酸塩pH緩衝液、pH:9.18(25℃))を用いて3点校正した後、電極を研磨液に入れて、3分間以上経過して安定した後のpHを前記測定装置により測定した。
(研磨特性評価)
[ウエハの準備]
前記のようにして調製した各CMP用研磨液を使用し、表面に酸化ケイ素膜を有するブランケットウエハを研磨して研磨速度(ブランケットウエハ研磨速度)を求めた。ブランケットウエハは、直径200mmのシリコン基板上に配置された膜厚1000nmの酸化ケイ素膜を有するウエハである。
また、凹凸のある酸化ケイ素膜を被研磨膜として有するパターンウエハを準備した。このパターンウエハは、直径200mmのシリコン基板上の一部にストッパ膜として窒化ケイ素膜(厚さ:100nm)を形成した後、窒化ケイ素膜の無い部分のシリコン基板を350nmエッチングして凹部を形成し、次いで、プラズマCVD法で600nmの酸化ケイ素膜をストッパ膜上及び凹部内に成膜して得られたものである。パターンウエハは、Line/Space=50μm/50μmのパターンを有している。
[ウエハの研磨]
研磨装置(アプライドマテリアル製、商品名:Mirra3400)を使用し、前記ブランケットウエハ及びパターンウエハを研磨した。ウエハ取り付け用の吸着パッドを有するホルダーに、前記ウエハをセットした。また、直径500mmの研磨定盤に多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッド(k−groove溝、ロデール社製、型番:IC−1010)を貼り付けた。
前記ウエハの酸化ケイ素膜形成面を下に向けて前記ホルダーを研磨パッド上に載せた。荷重(ウエハ押付け圧力)は、34kPa(5psi)に設定した。
そして、前記のようにして調製した各CMP用研磨液を、研磨定盤に貼り付けた研磨パッド上に200mL/minの流量で滴下しながら、研磨定盤とウエハとをそれぞれ回転数103min−1、97min−1で回転させて、酸化ケイ素膜を研磨した。その後、研磨後のウエハを純水でよく洗浄した後、乾燥させた。
[段差除去性の評価]
光干渉式膜厚測定装置(大日本スクリーン製造株式会社製、商品名:RE−3000)を用いて、パターンウエハの凸部における研磨前後の酸化ケイ素膜の膜厚変化量を測定した。パターンウエハの初期の60秒間を研磨した際の膜厚変化量をパターンウエハ研磨速度(PTW)とし、パターンウエハ研磨速度をブランケットウエハ研磨速度(BKT)で除した数値(PTW/BKT)を段差除去性として算出した。なお、当該数値が高いほど、段差除去性が高いことを意味する。
[粗密依存性の評価]
パターンウエハにおける同じパターン(ダイ)の中の凸部について、最も速く研磨が進行した部分の酸化ケイ素膜(SiO膜)の膜厚と、最も遅く研磨が進行した部分の酸化ケイ素膜(SiO膜)の膜厚との差を算出した。最も速く研磨が進行した部分の酸化ケイ素膜の膜厚が0nmとなった時点を研磨終点とし、残膜の最小値(0nm)とした。最も遅く研磨が進行した部分の酸化ケイ素膜の膜厚を残膜の最大値とした。残膜の最大値及び最小値の差を算出し、比較例5における残膜の最大値及び最小値の差を1.0とした場合の実施例1〜6及び比較例1〜4の相対値を換算し、当該相対値に基づき粗密依存性を評価した。なお、当該相対値が小さいほど、粗密依存性が生じ難いことを意味する。
[荷重依存性の評価]
実施例1〜3,5及び比較例1のCMP用研磨液を用いて、荷重を下記表3の各荷重に変更したことを除き上記と同様の条件でブランケットウエハを研磨して研磨速度を算出し、荷重依存性を評価した。図3は、荷重を横軸、当該荷重での研磨速度を縦軸にプロットした図である。
Figure 0006601209
Figure 0006601209
Figure 0006601209
表1及び表2の結果から、4−ピロン系化合物を含む第一の添加剤と、第四級アンモニウム塩含有モノマに由来する構造単位を有するカチオンポリマを含む第二の添加剤とを使用した実施例1〜6に係る研磨液は、比較例1〜5に係る研磨液と比較し、高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消することができることが示された。特に、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド単独重合体を用いた実施例3、4では、粗密依存性の解消に特に優れた効果を発揮することが示された。また、表3及び図3の結果から、実施例1〜3、5に係る研磨液は、比較例1に係る研磨液と比較し、特異な荷重依存性を有することが示された。このような特異な荷重依存性により、パターンウエハの凹部が保護され、凸部が高い研磨速度で研磨される現象を発現することができる。
本発明者等は、発明を実施する最良の形態を明細書に記述している。前記の説明を同業者が読んだ場合、これらに似た好ましい変形形態が明らかになる場合もある。本発明者等は、本発明の異なる形態の実施、及び、本発明の根幹を適用した類似形態の発明の実施についても充分意識している。また、本発明にはその原理として、特許請求の範囲中に列挙した内容の全ての変形形態、さらに、様々な前記要素の任意の組み合わせが利用できる。その全てのあり得る任意の組み合わせは、本明細書中において特別な限定がない限り、あるいは、文脈によりはっきりと否定されない限り、本発明に含まれる。
本発明によれば、凹凸を有する絶縁材料(例えば、酸化ケイ素等の無機絶縁材料)を研磨した場合において高い段差除去性を達成可能なCMP用研磨液、及び、これを用いた研磨方法を提供することができる。また、本発明によれば、高い段差除去性を達成しつつ粗密依存性を解消することができる。
1…シリコン基板、2…ストッパ膜(窒化ケイ素膜)3…酸化ケイ素膜、5…埋め込み部分、A1…段差が密な領域、A2…段差が粗な領域、B…基材、C…絶縁材料、D…酸化ケイ素膜の段差。

Claims (21)

  1. 表面に凹部及び凸部を有する基材、当該基材の前記凸部上に配置されたストッパ、及び、前記基材及び前記ストッパを被覆する絶縁材料を有する基体における前記絶縁材料を研磨する第一の研磨工程と、
    前記絶縁材料における前記ストッパ上の部分を研磨して前記ストッパを露出させる第二の研磨工程と、を備える研磨方法における前記第一の研磨工程に用いられる研磨液であって、
    砥粒と、第一の添加剤と、第二の添加剤と、水とを含有し、
    前記第一の添加剤が、下記一般式(1)で表される4−ピロン系化合物を含み、
    前記第二の添加剤が、第四級アンモニウム塩含有モノマに由来する構造単位を有するカチオンポリマを含み、
    芳香環及びポリオキシアルキレン鎖を有する高分子化合物を含有しない、CMP用研磨液。
    Figure 0006601209

    [式(1)中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。]
  2. 前記第一の添加剤が、3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロン、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロン、及び、2−エチル−3−ヒドロキシ−4−ピロンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載のCMP用研磨液。
  3. 前記第二の添加剤が、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレートジエチル硫酸塩共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド単独重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体、及び、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト単独重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項1又は2に記載のCMP用研磨液。
  4. pHが8.0以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  5. pHが2.0〜5.0である、請求項1〜のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  6. pH調整剤を更に含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  7. 前記第一の添加剤の含有量が、当該研磨液100質量部に対して0.001〜5質量部である、請求項1〜のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  8. 前記第二の添加剤の含有量が、当該研磨液100質量部に対して0.00001〜5質量部である、請求項1〜のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  9. 前記砥粒の含有量が、当該研磨液100質量部に対して0.01〜10質量部である、請求項1〜のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  10. 前記砥粒の平均粒径が50〜500nmである、請求項1〜のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  11. 前記砥粒がセリウム系化合物を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  12. 前記セリウム系化合物が酸化セリウムである、請求項11に記載のCMP用研磨液。
  13. 前記砥粒が、結晶粒界を有する多結晶酸化セリウムを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  14. 非イオン性界面活性剤を更に含有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  15. 飽和モノカルボン酸を更に含有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  16. 前記飽和モノカルボン酸の炭素数が2〜6である、請求項15に記載のCMP用研磨液。
  17. 前記飽和モノカルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸及び3,3−ジメチルブタン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項15又は16に記載のCMP用研磨液。
  18. 前記飽和モノカルボン酸の含有量が、当該研磨液100質量部に対して0.01〜10質量部である、請求項1517のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  19. 表面に凹部及び凸部を有する基材、当該基材の前記凸部上に配置されたストッパ、及び、前記基材及び前記ストッパを被覆する絶縁材料を有する基体における前記絶縁材料を研磨する第一の研磨工程と、
    前記絶縁材料における前記ストッパ上の部分を研磨して前記ストッパを露出させる第二の研磨工程と、を備える研磨方法であって、
    前記第一の研磨工程において、請求項1〜18のいずれか一項に記載のCMP用研磨液を前記絶縁材料と研磨パッドとの間に供給しながら、前記研磨パッドによって前記絶縁材料を研磨する、研磨方法。
  20. 前記基体が、上から見たときに前記凹部又は前記凸部がT字形状又は格子形状に設けられた部分を有する、請求項19に記載の研磨方法。
  21. 前記基体が、メモリセルを有する半導体基板である、請求項19又は20に記載の研磨方法。
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