JP6550888B2 - 振動低減装置 - Google Patents

振動低減装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6550888B2
JP6550888B2 JP2015086798A JP2015086798A JP6550888B2 JP 6550888 B2 JP6550888 B2 JP 6550888B2 JP 2015086798 A JP2015086798 A JP 2015086798A JP 2015086798 A JP2015086798 A JP 2015086798A JP 6550888 B2 JP6550888 B2 JP 6550888B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
actuator
adjustment parameter
vibration
rod
control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015086798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016205501A (ja
Inventor
圭一郎 松本
圭一郎 松本
金堂 雅彦
雅彦 金堂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2015086798A priority Critical patent/JP6550888B2/ja
Publication of JP2016205501A publication Critical patent/JP2016205501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6550888B2 publication Critical patent/JP6550888B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Description

本発明は、振動低減装置に関するものである。
エンジンに取り付けられる第1ブッシュと、車体側に取り付けられる第2ブッシュと、これら一対のブッシュを連結するロッドと、このロッドに支持部材を介して支持される慣性マスと、この慣性マスをロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、エンジンからロッドに伝達される信号の加速度に基づいてロッドの軸方向変位の速度に比例した力をアクチュエータに発生させる制御手段とを備えた振動低減装置が知られている(特許文献1)。
特開2011−12757号公報
しかしながら、上記の振動低減装置は、速度フィードバックにより制振効果を得ているが、ゲインを大きくした場合には、制御が発散し制振効果を得ることができない、という問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、フィーバック制御のゲインを大きくした場合に、制振の発散を抑制し、所望の制振効果を発揮できる振動低減装置を提供することである。
本発明は、ロッドの振動加速度、振動速度、振動変位のいずれか一つを第1検出値として検出し、アクチュエータの振動加速度、振動速度、振動変位のいずれか一つを第2検出値として検出し、補償器を有した制御手段により、当該第1検出値と当該第2検出値に基づき、アクチュエータの駆動を制御する制御信号を演算し、制御信号によりアクチュエータを駆動させることによって上記課題を解決する。
本発明によれば、フィードバックゲインを大きくした場合に、補償器により制御の安定性を向上させるようなパラメータを設定できるので、制御の発散を抑制しつつ、所望の制振効果を発揮できるという効果を奏する。
図1は、本実施形態に係る振動低減装置の側面図である。 図2は、図1の振動低減装置のXZ平面で切ったときの断面図である。 図3は図2のIII線に沿う断面図である。 図4は、アクチュエータの分解斜視図である 図5は、トルクロッド及びアクチュエータのモデルのシステムプラントを示す概要図である。 図6は、トルクロッドの振動特性を示すグラフである。 図7は、トルクロッドの振動特性を示すグラフである。 図8は本実施形態に係る振動低減装置のブロック図である。 図9は、コントローラの制御フローを示すフローチャートである。 図10は、イナータンス特性を示すグラフであって、(a)は比較例の特性を示し、(b)は、本実施形態に係る振動低減装置の特性を示す。 図11は、位相特性を示すグラフであって、(a)は比較例の特性を示し、(b)は、本実施形態に係る振動低減装置の特性を示す。 図12は、本実施形態の変形例に係る振動低減装置の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る振動低減装置の側面図である。図2は、図1の振動低減装置のXZ平面で切ったときの断面図である。図3は図2のIII線に沿う断面図である。
本発明の実施形態に係る振動低減装置は、ロッドの振動を抑制するための装置である。振動低減装置は、図1〜図3に示すように、アクチュエータ100、トルクロッド200、センサ300、センサ400、弾性体501、502を備えている。アクチュエータ100は、後述する慣性マスをトルクロッド200に対して相対的に移動させることで、トルクロッド200の振動を抑制する。
ロッド200は、エンジンと車体との間を連結するロッドある。ロッド200の両端部分には、それぞれ挿入孔が設けられており、中央部分にはアクチュエータを格納するための格納室が設けられている。それぞれの挿入孔の内壁に沿うように弾性体501、502が設けられている。そして、ボルト等の締結部材が一方の挿入孔に挿入されて、ロッド200は弾性体501を介して車体に取り付けられる。同様に、ボルト等の締結部材が他方の挿入孔に挿入されて、ロッド200は弾性体502を介して車体に取り付けられる。
アクチュエータ100は、後述する慣性マスを、ロッドの軸方向(図1のX方向に相当)に往復動させる装置である。アクチュエータ100は、ロッド200のアクチュエータ収納室に収納される。なお、アクチュエータ100の詳細な構造は後述する。
センサ300は、アクチュエータ100の振動を検出するセンサである。センサ300は、アクチュエータ100の振動として、アクチュエータ100の振動加速度、振動速度、又は振動変位を検出する。センサ300は、アクチュエータ収容室の表面を窪ませた凹部に、固定されている。センサ300は、アクチュエータ収容室の側面に設けられている。なお、センサ300の設置位置は、アクチュエータ100の振動を検出可能な位置であれば、図2及び図3に示す位置に限らず、他の位置でもよい。
センサ400は、トルクロッド200の振動を検出するセンサである。センサ400は、トルクロッド200の表面に固定されている。センサ400は、トルクロッド200の振動として、トルクロッド200の振動加速度、振動速度、又は振動変位を検出する。なお、センサ400の設置位置は、トルクロッド200の振動を検出可能な位置であれば、図2及び図3に示す位置に限らず、他の位置でもよい。センサ300、400の検出値は、アクチュエータの駆動を制御するコントローラに出力される。
次に、図4を用いて、アクチュエータ100の構造を説明する。図4は、アクチュエータ100の分解斜視図である。アクチュエータ100は、可動子を外側に固定子を内側に設けたアウタ可動型の制振装置ある。なお、以下に示す実施例では、アウタ可動型のアクチュエータを例に説明するが、アクチュエータ100は、インナ可動型でもよい。また図4に示すアクチュエータ100は一例にすぎず、アクチュエータ100は他の構造であってもよい。
図4に示すように、アクチュエータ100は、インナ部材2と、アウタ部材(慣性マス)3と、板バネ4、5と、フランジ6、7と、ボルト8と、シャフト91と、ナット92とを備える。インナ部材2は、アウタ部材3の内側に配置され、シャフト91を介して固定され、固定子となる。一方、アウタ部材3は、トルクロッド200内で、インナ部材2に対して前後方向(スラスト方向)に相対的に往復動するように、板バネ4、5を介してインナ部材2に支持されており、可動子となる。また、アウタ部材3が慣性マスに相当する。本例のアクチュエータ100において、シャフト91の軸方向が慣性マスの移動方向となる。
まず、インナ部材2の構成を説明する。インナ部材2の内部には、インナコアとなる複数の板状の積層鋼板21が積層されており、当該積層鋼板21の中心部には、シャフト91を挿入するための挿入孔が設けられている。積層鋼板21はシャフト91に対して対称な形状をしており、ボビン22に覆われている。ボビン22は積層鋼板21を覆うように、二分割されたユニットにより形成されており、ボビン22はシャフト91の軸受けとなる軸受け部221と、コイル23、24が巻き付けられる巻回部222と、磁石25、26を支持する磁石支持部223を有する。軸受け部221が、ボビン22の中心に形成されており、軸受け部221の上部及び下部にそれぞれ巻回部222が形成され、さらに巻回部222の上部及び下部にそれぞれ磁石支持部223が形成されている。軸受け部221には、シャフト91が挿入される挿入孔が設けられている。
またボビン22の上部の巻回部222には、コイル23が巻き付けられている。コイル23は、通電により磁界を発生させて、アウタ部材3を往復動させるためのコイルである。
ボビン22の下部の巻回部222には、コイル24が巻き付けられている。コイル23はコイル24と配線で接続されている。
ボビン22の上部の磁石支持部223の上端面223aには、磁石27の形状に沿った凹部が形成されており、磁石27が当該凹部に嵌合することで、磁石支持部223に設けられる。また、同様に、ボビン22の下部の磁石支持部223の下端面223bには、磁石28の形状に沿った凹部が形成されており、磁石28が当該凹部と嵌合することで、磁石支持部223に設けられる。
磁石27は、1組の磁石271及び磁石272を有し、磁石271及び磁石272は、シャフト91の軸方向と同方向に並列な状態で、磁石支持部223の上端面223aの中央部分に支持されている。永久磁石271及び磁石272は、隣合う磁極が異なるように並べられている。同様に、磁石28は、1組の永久磁石281及び磁石282を有し、磁石281及び磁石282は、シャフト91の軸方向と同方向に並列な状態で、磁石支持部223の下端面223bの中央部分に支持されている。永久磁石261及び磁石262は、隣合う磁極が異なるように並べられている。
次に、アウタ部材3の構成を説明する。アウタ部材3は、積層鋼板支持部材31と、上蓋部32と、下蓋部33と、積層鋼板34と、積層鋼板35とを備える。アクチュエータ100はアウタ可動型であって、アウタ部材3の可動マスを大きくとることで、アクチュエータ100の推進力を向上させている。
積層鋼板支持部材31は、軽金属または非金属材料で一体形成されており、アウタ部材3の本体部となる。積層鋼板支持部材31は、インナ部材2の上方と下方にそれぞれ設けられている。上方の積層鋼板支持部材31はインナ部材2の磁石27と隙間を空けた状態で設けられている。また、下方の積層鋼板支持部材31はインナ部材2の磁石28と隙間を空けた状態で設けられている。
積層鋼板支持部材31の中央部分には、積層鋼板34、35を支持するための孔が形成される。そして、積層鋼板34、35が当該孔に圧入されて、積層鋼板34、35が積層鋼板支持部材31に支持されている。積層鋼板34は磁石27と対向する位置に配置され、積層鋼板35は磁石28と対向する位置に配置されている。なお、積層鋼板34、35は、接着材等で積層鋼板支持部材31に接着されてもよい。
積層鋼板支持部材31の角部には、ボルト8を挿入するための挿入孔313が、シャフト91の軸方向と平行に形成されている。
積層鋼板34、35は、複数の板状の鋼板が、積層されることで構成されている。また積層鋼板34の積層面に対して垂直方向とシャフト91の軸方向とが平行になり、積層鋼板35の積層面に対して垂直方向とシャフト91の軸方向とが平行になる。
上蓋部32は、積層鋼板支持部材31の上面を覆うように形成されている。上蓋部32の角部には、ボルト8を挿入するための挿入孔323が、シャフト91の軸方向と平行に形成されている。
下蓋部33は、積層鋼板支持部材31の下面を覆うように形成されている。下蓋部33の角部には、ボルト8を挿入するための挿入孔333が、シャフト91の軸方向と平行に形成されている。
次に、インナ部材2及びアウタ部材3以外の構成を説明する。板バネ4、5は、インナ部材2の磁石27、28とアウタ部材3との間に、アウタ部材3の移動軸方向と垂直方向に所定間隔をもち、それぞれ同一の軸心となるように配置され、インナ部材2とアウタ部材3とを連結する。板バネ4及び板バネ5の四隅にはボルト8を挿入する挿入孔41、51が設けられ、板バネ4及び板バネ5の中央部には、シャフト91を挿入する挿入孔42、52が設けられている。
フランジ6、7は、板状に形成されており、アウタ部材3の移動軸方向に両端から、板バネ4、5及びアウタ部材3を狭持する。フランジ6の四隅にはボルト8を挿入する挿入孔61が設けられている。フランジ7の四隅には、ボルト8と締結するウェルドナットなどの係合部71が設けられている。2本のボルト8が、挿入孔323、41、51、61に挿入され、係合部71に締結されている。また、2本のボルト8が、挿入孔333、41、51、61に挿入され、係合部71に締結されている。これにより、板バネ4、5は、上蓋部32及び下蓋部33を介して、積層鋼板支持部材31の移動軸方向の両端にそれぞれ固定される。
シャフト91の先端部分には、ナット92と締結するようにネジ部が形成されており、シャフト91は、板バネ4の挿入孔42と、インナ部材2の挿入孔と、板バネ5の挿入孔52に挿入され、ナット92に締結される。これにより、インナ部材2及び板バネ4、5はシャフト91及びナット92により締結される。また、アウタ部材3は板バネ4、5を介してシャフト91に支持される。そして、アクチュエータ100をトルクロッド200に取り付けて、ボルト等でアクチュエータ100のシャフト91がトルクロッド200に固定される。これにより、アウタ部材3が、板バネ4、5及びシャフト91を介して、トルクロッド200に支持される。
次に、疑似直接速度フィードバック(Direct Velocity FeedBack:DVFB)について説明する。本実施形態に係る電源装置では、フィードバックゲインを容易に変更できるようにするために、DVFB制御を採用している。
制振対象となるトルクロッド200を、ばね−質量系モデルとした上で、アクチュエータ100を取り付けた2自由度系モデルを用いて説明する。図5は、モデルのシステムプラントを示す。
図5において、m、k、cは、それぞれアクチュエータ100の質量、剛性、及び減衰係数を示す。uは電磁気アクチュエータの制御力を示す。m、k、cは、それぞれトルクロッド200の質量、剛性、及び減衰係数であり、wは外乱入力である。xは、アクチュエータ100の質量の変位を示し、xはトルクロッドの変位を示す。
図5に示すモデルより運動方程式は、下記式(1)及び(2)で表される。
Figure 0006550888
Figure 0006550888
ここで、式(2)について、下記式(3)のようにおきかえることができれば、理想的なDVFBが成立する。
Figure 0006550888
そして、式(2)及び式(3)より、下記式(4)が導出される。
Figure 0006550888
式(4)を式(1)に代入すると、下記式(5)になる。
Figure 0006550888
そして、式(5)をラプラス変換して変形すると、下記式(6)になる。
Figure 0006550888
式(6)に示されるように、アクチュエータの変位量(X)とトルクロッドの変位量(X)との比で表される伝達特性において、2つの極が原点にあることにより、見かけ上は、振動低減装置においてDVFB制御がかかっているように見える。しかしながら、実際の制御系では不安定になる可能性がある。
ここで、制振対象構造物であるトルクロッド200の軽量化と、振動特性との関係について、図6を用いて説明する。トルクロッド200の振動特性を示すグラフである。図6において、横軸は周波数を表し、縦軸はイナータンスを表す。グラフaは、ベースとなるトルクロッド200を備えた場合の特性を示す。グラフaは、ベースのトルクロッド200を備えつつ、DVFB制御を行った場合の特性を示す。グラフbは、軽量化トルクロッド200を備えた場合の特性を示す。グラフbは、軽量化トルクロッド200を備えつつ、DVFB制御を行った場合の特性を示す。グラフcは、軽量化トルクロッド200を備えつつ、高ゲインのDVFB制御を行った場合の特性を示す。
グラフaに示すように、ベースのトルクロッド200の固有値(固有振動数)はfとなり、イナータンスが、固有値(f)でピーク値をとることが分かる。そして、ベースのトルクロッド200を備えた振動低減装置において、DVFB制御の下、アクチュエータ100を駆動させると、グラフaに示すように、固有値(f)付近のイナータンスのピークは抑制される。
次に、ベースのトルクロッド200を軽量化させると、軽量化されたトルクロッドの特性は、グラフbのような特性になる。すなわち、トルクロッドの固有値がfからf(>f)に高くなる。そして、軽量化されたトルクロッド200を備えた振動低減装置において、DVFB制御の下、アクチュエータ100を駆動させると、グラフbに示すように、固有値(f)付近のイナータンスのピークは抑制される。しかしながら、グラフaとグラフbとを比較した場合に、マス領域では、イナータンスのレベルが、軽量化により増加していることが分かる(図6の斜線部分に相当)。マス領域によるイナータンスのレベルの上昇を抑えるためには、DVFB制御におけるゲインを高めればよい。グラフcに示すように、軽量化されたトルクロッド200を備えた振動低減装置において、高ゲインのDVFB制御を行うことで、マス領域によるイナータンスのレベルは、ベースのトルクロッド200を備えた場合のイナータンスレベルと同程度まで抑制できる。
次に、高ゲインでDVFB制御を行った際の安定性について、図7を用いて説明する。図7は、トルクロッド200の振動特性を示すグラフである。図7において、横軸は周波数を表し、縦軸はイナータンスを表す。グラフdOFFは、DVFB制御を行わなかった場合の特性を示し、グラフdONは、DVFB制御を行った場合の特性を示す。
グラフdOFFに示すように、DVFB制御を行わずにアクチュエータを駆動させた場合には、低周波数の領域で、制御が発散することない。一方、グラフdONに示すように、高ゲインのDVFB制御でアクチュエータを駆動させた場合には、低周波数の領域で、制御が発散する。
図5に示したシステムプラントにおいて、安定判別式は下記式(7)で表される。
Figure 0006550888
ただし、Ωはアクチュエータ100の固有角振動数を示し、mは、アクチュエータ100の質量を示し、Ωはトルクロッド200の固有角振動数を示し、mは、トルクロッド200の質量を示す。
例えば、アクチュエータ100の質量(m)、剛性(k)、及び減衰比(ζ)をそれぞれ0.35(kg)、7700(N/m)、及び5.0(%)とし、トルクロッド200の質量(m)、剛性(k)、及び減衰比(ζ)をそれぞれ2.1(kg)、5500(N/m)、及び3.0(%)とし、DVFB制御におけるフィードバックゲイン(Kfb)を2500とする。
この場合に、式(7)で示される安定判別式の結果は−0.001となり、0より小さくなるため、不安定になる。すなわち、ゲイン(Kfb)が高い場合には、μが大きくなるなため、式(7)の値が負となり、制御が発散する。このように、実際のDVFB制御では、ゲイン(Kfb)が高くなると、制御が不安定になってしまう。そこで、本実施形態では、以下に説明するように、補償器を用いて調整パラメータを設定することで、ゲイン(Kfb)を高くしつつ、DVFB制御の安定化を図っている
上記の式(6)に示す伝達特性において、閉ループ系を安定化させるためには、式(6)の2つの極の実部を負にすればよい。
そのため、2つの極の実部を負にすることを前提とすると、式(6)は下記式(8)で表すことができる。
Figure 0006550888
ただし、ε及びεは、調整パラメータであって、共に正の値とする。
式(8)を変形しラプラス逆変換すると、下記(9)が導出される。
Figure 0006550888
式(9)を式(1)に代入すると、式(10)が導出される。
Figure 0006550888
そして、式(2)の右辺に式(9)を代入すると、式(11)が導出される。
Figure 0006550888
式(11)の第2項の係数(c+Kfb)から、速度フィードバックゲイン(Kfb)のより減衰付与が可能となる。そして、式(11)の右辺において、第1項が減衰を表し、第2項が剛性を表す。そのため、調整パラメータ(ε)を調整することで、アクチュエータ100の減衰を変更することができる。調整パラメータ(ε)を調整することで、アクチュエータ100の剛性も変更することができる。また、本実施形態において、減衰は大きく、剛性は小さくなるように、調整パラメータ(ε、ε)を設定すればよいことになる。
さらに、上記の式(11)が成立する際の制御力(u)は、式(11)を展開することで、下記式(12)が導出される。
Figure 0006550888
式(12)により、トルクロッド200の検出値に対して速度フィードバックゲイン(Kfb)をかけつつ、制御力(u)をアクチュエータ100に与えることで、トルクロッド200の振動速度(x)に減衰を付与することができる。このとき、ゲイン(Kfb)を調整することで、トルクロッド200の振動速度(x)に付与する減衰を自由に調整できる。さらに、調整パラメータ(ε、ε)の値を調整することで、アクチュエータ100の減衰、剛性を変更することもできる。その結果として、DVFB制御の安定化を図りつつ、振動特性における安定領域を広げることができる。
なお、下記(13)の関係を満たす場合に、式(12)は下記式(14)で表すこともできる。
Figure 0006550888
Figure 0006550888
以下、振動低減装置の構成のうち、アクチュエータ100及びトルクロッド200以外の他の構成について、図8を用いて説明する。図8は本実施形態に係る振動低減装置のブロック図である。なお、図8ではトルクロッド200の図示を省略している。
振動低減装置は、アクチュエータ100及びトルクロッド200以外の他の構成として、コントローラ600及びアンプ700を備えている。
コントローラ600は、振動低減装置の全体を制御するための制御回路である。コントローラ600は、トルクロッド200の所定方向(シャフト91の軸方向)への変位の速度に比例した力を、アクチュエータ100から発生させるように、アンプ700を介して制御信号をアクチュエータ100に出力する。コントローラ600は、センサ300の検出値、及び、センサ400の検出値に対して、上記式(12)で示した制御力(u)を出力できるように、補償器601及び積分器602を有した制御モデルで表すことができる。補償器601で設定される速度フィードバックゲイン(Kfb)はマス領域の減衰効果を得るために、高い値に設定されている。補償器601のパラメータ(ε、ε)は、上記式(6)に示す伝達特性が安定化できるように、式(6)の2つの極の実部を負にするパラメータに設定されている。また、補償器601のパラメータ(ε、ε)は、アクチュエータ100の減衰及び剛性に応じて設定されている。
そして、コントローラ600は、センサ300の検出値、及び、センサ400の検出値に基づき、式(12)を用いて、制御信号を演算する。
アンプ700は、入力される制御信号を増幅しつつ、PWM制御により矩形波信号に変換する。アンプ700の出力側は、コイル23に配線で接続されている。アンプ700には、デジタルアンプ又はアナログアンプを使用する。アンプ700にデジタルアンプを使用した場合には、小型で電力効率のよいアンプを用いることができるため、車両で消費される電力を抑制できる。また、アンプ700にアナログアンプを使用した場合に、離散化誤差などが含まれないため、制御信号のS/N比を改善し、振動低減装置における制御のロバスト性を高めることができる。
次に、図9を用いて、コントローラ600の制御フローを説明する。図9は、コントローラ600の制御フローを示すフローチャートである。
ステップS1にて、コントローラ600はアクチュエータ100に制御信号を送信することで、アクチュエータ100を駆動させる。コントローラ600は、センサ300の検出値及びセンサ400の検出値を取得することで、アクチュエータ100の状態量及びトルクロッド200の状態量をそれぞれ検出する。状態量は、検出対象の振動加速度、振動速度、又は振動変位である。
ステップS3にて、コントローラ600は、調整パラメータ(ε、ε)を用いて、フィードバックゲインによる制御信号を演算し、アクチュエータ100に制御信号を出力する。ステップS4にて、コントローラ600は、アクチュエータ100の駆動を終了させるか否かを判定する。アクチュエータ100の駆動を継続する場合には、コントローラ600はステップS1の制御フローを実行する。アクチュエータ100の駆動を終了する場合には、コントローラ600は制御フローを終了する。
次に、図10及び図11を用いて、本実施形態に係る振動低減装置のイナータンス特性と位相特性を、比較例と比較しつつ説明する。図10は、イナータンス特性を示すグラフであって、(a)は比較例の特性を示し、(b)は、本実施形態に係る振動低減装置の特性を示す。図10において、グラフdOFFは、DVFB制御を行わなかった場合の特性を示し、グラフA(dON)は、DVFB制御を行った場合の特性を示し、グラフBは、調整パラメータを設定しつつ、DVFB制御を行った場合の特性を示す。
図10(a)に示すように、ゲイン(Kfb)を高めただけでは、低周波数帯域で、制御が発散する。一方、図10(b)に示すように、調整パラメータを設定しつつ、高ゲインのDVFB制御を実行させることで、低周波数帯域での制御発散を抑制できる。
図11は、位相特性を示すグラフであって、(a)は比較例の特性を示し、(b)は、本実施形態に係る振動低減装置の特性を示す。
図11(a)に示すように、ゲイン(Kfb)を高めただけでは、低周波数帯域における位相特性が、安定領域(位相が−90度から90度の範囲)から大きく逸脱している。一方、図11(b)に示すように、調整パラメータを設定しつつ、高ゲインのDVFB制御を実行させることで、位相特性を安定領域(位相が−90度から90度の範囲)内に収めることができる。
上記のように、本実施形態では、ロッド200の振動加速度、振動速度、振動変位のいずれか一つをセンサ400により検出し、アクチュエータ100の振動加速度、振動速度、振動変位のいずれか一つをセンサ300により検出し、補償器601を有したコントローラ600により、センサ300、400の検出値に基づき、アクチュエータ100の駆動を制御する制御信号を演算し、制御信号によりアクチュエータ100を駆動させる。これにより、アクチュエータ100とトルクロッド200の物理特性(質量、剛性、減衰係数)で決まってしまう制御の安定性を向上させることが可能となり、制御発散を抑制しつつ、大きな制御効果を得ることができる。
また本実施形態では、アクチュエータ100の変位量とトルクロッド200の変位量の比で表される伝達特性において、2つの極の実部を負にするためのパラメータを、補償器601の調整用パラメータとして設定する。これにより、フィードバックゲインを大きくした場合に、補償器により制御の安定性を向上させるようなパラメータを設定できるので、制御の発散を抑制しつつ、大きな制御効果を得ることができる。
また本実施形態では、トルクロッド200の状態量に対してゲイン(Kfb)をかけつつ、少なくとも第1調整パラメータと第2調整パラメータを含んだパラメータを、補償器601の調整用パラメータとして設定する。これにより、フィードバックゲインを大きくした場合に、補償器により制御の安定性を向上させるようなパラメータを設定できるので、制御の発散を抑制しつつ、大きな制御効果を得ることができる。
また本実施形態において、調整パラメータ(ε)及び調整パラメータ(ε)は0より大きい値である。これにより、アクチュエータの減衰と剛性の両方を調整することができ、判別安定化式をゼロより大きくし易くなるため、制御のロバスト性が向上する。また、大きなフィードバックゲイン(Kfb)を設定できるため制御効果が向上する。
なお、本実施形態では、調整パラメータ(ε)及び調整パラメータ(ε)をゼロより大きい値にしたが、調整パラメータ(ε)及び調整パラメータ(ε)のうち、いずれか一方のパラメータをゼロにし、他方のパラメータをゼロより大きい値にしてもよい。これにより、剛性をさらに小さくすることができる。また、式(12)の項数が減るため、制御信号を算出する際の演算負荷を軽減することができる。
なお、本実施形態に係る振動低減装置は、アクチュエータ100の可動方向の固有値がトルクロッド200の固有値以下になるように、設計されている。これにより、制御力の特性が一定の周波数域(マス領域)で、アクチュエータ100を使用することができるため、制御信号の演算負荷を軽減できコントローラ600のコストを抑制できる。
なお、コントローラ600は、制御周波数と異なる周波数の信号をカットするフィルタを有してもよい。これにより、制御対象周波数以外のモードを励起することがなくなるため、よりロバストな制御の実現を実現できる。
なお、本実施形態に係る振動低減装置の変形例として、センサ300は、図12に示すように、アクチュエータ収容室の上面及び下面にそれぞれ設けられてもよい。
上記センサ400が本発明に係る「第1検出手段」に相当し、センサ300が本発明に係る「第2検出手段」に相当し、コントローラ600が本発明に係る「制御手段」に相当する。
2…インナ部材
21…積層鋼板
22…ボビン
23、24、25、26…コイル
27、28…磁石
3…アウタ部材
4、5…板バネ
6、7…フランジ
8…ボルト
91…シャフト
92…ナット
100…アクチュエータ
200…トルクロッド
300、400…センサ
600…コントローラ
601…補償器
602…積分器
700…アンプ

Claims (9)

  1. エンジンと車体との間を連結するロッドと、
    前記ロッドに支持された慣性マスと、
    前記慣性マスを前記ロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、
    前記ロッドの振動加速度、振動速度、振動変位のいずれか一つを第1検出値として検出する第1検出手段と、
    前記アクチュエータの振動加速度、振動速度、振動変位のいずれか一つを第2検出値として検出する第2検出手段と、
    補償器を有し、前記第1検出値と前記第2検出値に基づき、前記アクチュエータの駆動を制御する制御信号を演算し、当該制御信号により前記アクチュエータを駆動させる制御手段とを備え、
    前記補償器は、高ゲインDVFB制御において低周波数帯域での制御発振を抑制できるように、第1調整パラメータ及び第2調整パラメータを設定しつつ、下記式(3)の右辺において第1項が大きくなるように、かつ、下記式(3)の右辺において第2項が小さくなるように、前記第1調整パラメータと前記第2調整パラメータを設定する振動低減装置。
    Figure 0006550888
    は前記ロッドの変位を示し、mは前記ロッドとの質量を示し、kは前記ロッドの剛性を示し、cは前記ロッドの減衰係数を示し、Kfbはフィードバックゲインを示し、xは前記アクチュエータの変位を示し、wは外乱入力を示す。
    また、ε及びεは、下記式(4)、式(5)を満たすパラメータである。
    Figure 0006550888
    Figure 0006550888
    は前記アクチュエータの質量を示し、εは前記第1調整パラメータを示し、εは前記第2調整パラメータを示す。
  2. 前記第1調整パラメータ及び前記第2調整パラメータは、前記アクチュエータの変位量と前記ロッドの変位量の比で表される伝達特性において、2つの極の実部を負にするためのパラメータである
    請求項1記載の振動低減装置。
    ただし、前記伝達特性は、下記式(6)を満たす伝達特性である。
    Figure 0006550888
    は前記アクチュエータの変位量を示し、Xは前記ロッドとの変位量を示し、sはラプラス変換子を示し、Kfbは前記フィードバックゲインを示し、mは前記アクチュエータの質量を示し、ε は前記第1調整パラメータを示し、ε は前記第2調整パラメータを示す。
  3. 前記補償器は
    前記第1検出値の検出値に対して前記フィードバックゲインKfbをかけつつ、少なくとも前記第1調整パラメータと前記第2調整パラメータを含んだパラメータを設定する
    請求項1に記載の振動低減装置。
    ただし、
    前記フィードバックゲインKfbは、下記式(1)を満たすゲインであり、
    前記第1調整パラメータ及び前記第2調整パラメータは、それぞれ下記式(2)に含まれるε及びεである。
    Figure 0006550888
    は前記アクチュエータの減衰係数を示し、Ωは前記アクチュエータの固有角振動数を示し、mは、前記アクチュエータの質量を示し、Ωは前記ロッドの固有角振動数を示し、mは、前記ロッドの質量を示す。
    Figure 0006550888
    は前記アクチュエータの変位量を示し、Xは前記ロッドとの変位量を示し、sはラプラス変換子を示し、εは前記第1調整パラメータを示し、εは前記第2調整パラメータを示す。
  4. 前記第1調整パラメータ及び前記第2調整パラメータのうち、一方のパラメータは0であり、他方のパラメータは0より大きい値である
    請求項3記載の振動低減装置。
  5. 前記第1調整パラメータ及び前記第2調整パラメータが0より大きい値である
    請求項3記載の振動低減装置。
  6. 前記アクチュエータの可動方向の固有振動数が前記ロッドの固有振動数以下である
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の振動低減装置。
  7. 前記制御手段は、前記制御信号を増幅させるデジタルアンプを有する
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の振動低減装置。
  8. 前記制御手段は、前記制御信号を増幅させるアナログアンプを有する
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の振動低減装置。
  9. 前記制御手段は、制御周波数と異なる周波数の信号をカットするフィルタを有する
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の振動低減装置。
JP2015086798A 2015-04-21 2015-04-21 振動低減装置 Active JP6550888B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015086798A JP6550888B2 (ja) 2015-04-21 2015-04-21 振動低減装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015086798A JP6550888B2 (ja) 2015-04-21 2015-04-21 振動低減装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016205501A JP2016205501A (ja) 2016-12-08
JP6550888B2 true JP6550888B2 (ja) 2019-07-31

Family

ID=57487104

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015086798A Active JP6550888B2 (ja) 2015-04-21 2015-04-21 振動低減装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6550888B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102065597B1 (ko) 2018-07-26 2020-01-13 엘지전자 주식회사 세탁기

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5278202B2 (ja) * 2009-07-02 2013-09-04 日産自動車株式会社 振動低減装置
JP5955083B2 (ja) * 2012-04-27 2016-07-20 日産自動車株式会社 能動型防振装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016205501A (ja) 2016-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8700261B2 (en) Active damping device, vehicle, method for controlling active damping device
CA2874955C (en) Balancing vibrations at harmonic frequencies by injecting harmonic balancing signals into the armature of a linear motor/alternator coupled to a stirling machine
KR101153579B1 (ko) 자동차 차체의 진동을 저감하는 자동차용 제진장치
US8560129B2 (en) Vibration control device and vehicle
US8800302B2 (en) Driving an active vibration balancer to minimize vibrations at the fundamental and harmonic frequencies
US20110316363A1 (en) Electromotive active dynamic vibration absorber apparatus for vehicle
JP6550888B2 (ja) 振動低減装置
WO2011081018A1 (ja) 制振装置、電動アクチュエータ駆動装置及び車両
CN110662907B (zh) 主动型隔振装置及主动型隔振装置的控制方法
JP6452290B2 (ja) 振動低減装置
JP5696601B2 (ja) アクティブ制振装置、アクティブ制振装置の制御方法
JP4940472B2 (ja) アクティブ除振装置及び制振装置
JP6551011B2 (ja) 振動低減装置
JP2009275822A (ja) 制振装置及び車両
WO2011114165A1 (en) Apparatus and method of vibration control
JP6264952B2 (ja) 振動低減装置
JP2016075380A (ja) 能動型防振装置
JP6346482B2 (ja) 制振装置
JP2021076234A (ja) 動吸振器
Liu et al. Application of a time-delayed control system in vibration suppression
JPH04341612A (ja) 電磁軸受制御装置および方法
JP2013133837A (ja) アクティブ制振装置及びアクティブ制振装置の制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181009

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190319

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190425

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190617

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6550888

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151