JP6546839B2 - 水素濃度計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素を含む水素ガス中の水素濃度を検出する水素濃度計測装置に関するものである。
水素ガスは、例えばメタンガスのような可燃性ガスと比較した場合、その比重は軽く、漏洩し易く、仮に漏洩した場合には、危険性が高いガスである。よって、従来より、水素ガスの濃度を計測する水素濃度計測装置として、例えば、熱伝導式、接触燃焼式、及び固体電解質型水素濃度計等の提案がある。
この固体電解質型水素濃度計として、プロトン伝導体を用いた水素濃度の測定方法が提案されている(特許文献1等)。この特許文献1に開示された水素センサーは、プロトン導電性固体電解質に測定極と参照極とを一対設け、測定極の水素分圧と、水素ガス分圧が既知であって標準極物質となる水素含有ガス体の水素分圧との間の分圧差により起電力が生じることを利用し、水素濃淡電池により水素含有量を求めるものである。
特開平1−291155号公報
しかしながら、特許文献1に開示する水素センサーは、一般に電極に白金等の白金族の金属を用いているので、酸素フリーの状態の被計測ガス中の水素濃度の検出に限定されており、例えば酸素、空気、又は酸素が共存する雰囲気中に含まれる水素の濃度を直接計測することはできない、という問題がある。これは、被計測ガス中に、酸素が含有するような場合には、該酸素が白金電極上で水素と反応し、真の水素濃度を精度良く求めることができないことによる。
よって、例えば酸素を含むガス中の水素濃度を精度良く求めることができる水素濃度計測装置の出現が切望されている。
本発明は、前記問題に鑑み、被計測ガス中の水素濃度を計測する際、例えば酸素、空気、又は酸素が共存する雰囲気中においても、水素濃度を精度良く求めることができる水素濃度計測装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、プロトン導電性を有するセラミックスからなるプロトン導電体固体電解質と、前記プロトン導電体固体電解質を挟持する一対の第1電極及び第2電極と、前記第1電極側を密閉された空間とし、既知の水素濃度の水素を導入又は封入する第1水素室と、前記第2電極側に、酸素と水素を含む被計測ガスの雰囲気とする第2水素室と、前記第1電極と前記第2電極とに接続され、両者の電位差を検出する電圧計と、を具備すると共に、第2電極の表面に、酸素吸着抑制処理層を有することを特徴とする水素濃度計測装置にある。
本発明によれば、酸素吸着抑制処理層の形成により酸素の影響を抑制し、水素選択性が向上して、例えば酸素を含む水素ガス中の水素濃度をより精度良く計測することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記酸素吸着抑制処理層が、フッ素を含む層であることを特徴とする水素濃度計測装置にある。
本発明によれば、酸素吸着抑制処理層がフッ素を含む層とすることにより、フッ素により酸素の影響を抑制し、水素選択性が向上して、例えば酸素を含む水素ガス中の水素濃度をより精度良く計測することができる。
第3の発明は、第1の発明において、前記酸素吸着抑制処理層が、ケイ素を含む層であることを特徴とする水素濃度計測装置にある。
本発明によれば、酸素吸着抑制処理層がケイ素を含む層とすることにより、酸素の影響を抑制し、水素選択性が向上して、例えば酸素を含む水素ガス中の水素濃度をより精度良く計測することができる。
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つにおいて、前記第2電極が、白金又はパラジウムの単体電極、白金又はパラジウムの少なくとも一つを含む合金電極のいずれかからなることを特徴とする水素濃度計測装置にある。
本発明によれば、第2電極に、白金又はパラジウムの単体電極、白金又はパラジウムの少なくとも一つを含む合金電極を用いる場合でも、酸素吸着抑制処理層により、例えば酸素を含む水素ガス中の水素濃度を精度良く計測することができる。
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一つの発明において、前記プロトン導電体固体電解質を所定温度に加熱するヒータを有することを特徴とする水素濃度計測装置にある。
ヒータにより所定の温度雰囲気とし、例えば酸素を含む水素ガス中の水素濃度を精度良く計測することができる。
本発明の水素濃度計測装置によれば、被計測ガス中において、例えば酸素等を含有する場合においても、水素濃度を精度良く求めることができる。
図1は、実施形態1に係る水素濃度計測装置の概略図である。 図2は、水素測定の原理説明に係る模式図である。 図3は、酸素が含まれるガス中の水素検知の電極反応経路の模式図である。 図4−1は、試験例1−1の白金電極に対してフッ素化処理後の300℃の計測結果図である。 図4−2は、試験例1−2の白金電極に対してフッ素化処理後の350℃の計測結果図である。 図4−3は、試験例1−3の白金電極に対してフッ素化処理後の400℃の計測結果図である。 図5−1は、比較例1−1の白金電極未処理の300℃の計測結果図である。 図5−2は、比較例1−2の白金電極未処理の350℃の計測結果図である。 図5−3は、比較例1−3の白金電極未処理の400℃の計測結果図である。 図6は、試験例2のシロキサン処理後の計測結果図である。
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る水素濃度計測装置の概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る水素濃度計測装置10は、プロトン導電性を有するセラミックスからなるプロトン導電体固体電解質11と、プロトン導電体固体電解質11を挟持する一対の第1電極12及び第2電極13と、第1電極12側を密閉された空間とし、既知の水素濃度の水素(標準ガス)を導入又は封入する第1水素室14と、第2電極13側に、酸素と水素を含む被計測ガス15を導入する第2水素室16と、第1電極12と第2電極13とに接続され、両者の電位差を検出する電圧計19と、を具備している。なお、本実施形態では、第2水素室16には被計測ガス15を導入排出する導入部17及び排出部18が設けられている。なお、第2水素室16を解放状態として、被計測ガス15の雰囲気に曝すようにしてもよい。その場合には、第2水素室16は被計測ガス15の例えば大気空間等となる。
ここで、プロトン導電体固体電解質11は、水素濃度に応じて起電力を発生させる。プロトン導電体固体電解質11は、プロトン導電性を有するセラミックスである。このプロトン導電性を有するセラミックスとしては、例えばCaZr1-x(M)x3、SrZr1-x(M)x3、BaCe1-x(M)x3等を挙げることができる。ここで、M=Y、Yb、Ndであり、x=0.05−0.1が代表的であるが、プロトン導電性を備えるセラミックスであれば、本発明はこれらに限定されるものではない。
第1水素室14は、プロトン導電体固体電解質11の表面との間に密閉された空間を形成する。第1水素室14およびプロトン導電体固体電解質11の表面によって形成される空間には、プロトン導電体固体電解質11が起電力を発生させるための基準となる水素(既知濃度の水素(標準ガス))を含む不活性ガスの流体が封入される。なお、封入以外に基準流体を連続して流入するようにしてもよい。
第1電極12は、プロトン導電体固体電解質11の第1水素室14側の表面に設けられる。第1電極12は、封入された流体がプロトン導電体固体電解質11の表面に容易に到達できる構造であることが好ましい。第2電極13は、プロトン導電体固体電解質11の反対側の表面に設けられる。第2電極13は、例えば導入部17から導入される被計測ガス15がプロトン導電体固体電解質11の表面に容易に到達できる構造であることが好ましい。電圧計19は、第1電極12と第2電極13の電位差を検出する。電圧計19が出力する電位差は、第2水素室16内の雰囲気の水素濃度を表す。
ヒータ21は、プロトン導電体固体電解質11及び第1電極12及び第2電極13を加熱する。なお、図示しない温度計を設けて、プロトン導電体固体電解質11が一定の温度を保つようにヒータ21を制御するようにしてもよい。
具体的には、ヒータ21による加熱温度の下限値は、第1電極12及び第2電極13の抵抗値により応答性の低下がみられる温度以上(例えば200℃以上)とし、加熱温度の上限値は、水素燃焼により水素濃度計測が適切にできなくなる温度(例えば500℃)よりも低い温度範囲内、例えば200℃〜500℃に保つようにしている。なお、温度が低い場合には、電解質を薄くすることにより応答性の向上を図ることができる。
このような構成の水素濃度計測装置10によって、以下の様に水素濃度が計測される。ヒータ21の加熱によって、プロトン導電体固体電解質11は、水素濃度に応じて起電力を発生させるのに十分に加熱される。プロトン導電体固体電解質11は、第1水素室14内の水素の濃度(分圧)と第2水素室16の雰囲気の水素の濃度(分圧)の差に応じて起電力を発生する。起電力の大きさは、電圧計19によって検出され、雰囲気の水素濃度を示す値として、例えば表示部等により表示される。
図2は、水素測定の原理説明に係る模式図である。雰囲気の水素濃度(水素ガス分圧)は、以下の数式(1)に示すネルンストの式から算出することができる。片側の第1水素室14内の水素濃度が既知であれば、水素濃度差による起電力Eを測定することで、第2水素室16内の検出されるべき水素濃度もわかることとなる。
Figure 0006546839
ここで、Eは、起電力(単位:V)である。Rは、ガス定数(8.314J/K・mol)である。Tは、絶対温度(単位:K)である。Fは、ファラデー定数(96485C/mol)である。PH2(1)は、第2水素室16内の被計測ガス15中の水素ガス分圧(単位:Pa)である。PH2(2)は、第1水素室14の標準ガス中の既知の水素ガス分圧(単位:Pa)である。
ここで、水素を含む被計測ガス15中に酸素(又は空気)が含まれる場合には、第2電極13上への酸素の解離吸着が問題となる。これは、酸素が解離吸着された電極表面上の吸着酸素と、吸着水素との反応により、水が生成し、水素選択性が低下されるからである。
次に、図3の模式図を用いて、被計測ガス15中に酸素が存在する場合における水素濃度検出の問題を説明する。
図3は、酸素が含まれるガス中の水素検知の電極反応経路の模式図である。
図3に示すように、プロトン導電体固体電解質11の一方の表面には、第2電極13が形成されている。そして、水素と酸素とを含む被計測ガス15中の水素濃度を計測する場合、水素と酸素とは以下の反応挙動を呈する。なお、図3に記載の数値は下記に示す挙動に対応する。
(1)先ず、第2電極13上への水素の解離・吸着がなされる。
(2)この吸着した水素の表面拡散が行われ、アノード反応が起こる。
(3)気相/電極相/電解質相からなる三相界面で電子の授受が行われる。
(4)さらに、第2電極13上への酸素の解離・吸着がなされる。
(5)この吸着した酸素と吸着した水素とのカソード反応により、水素選択性の低下が発生する。
すなわち、被計測ガス15中に、水素以外に酸素が存在する場合、第2電極13表面では、下記式(I)に示すアノード反応と、下記式(II)に示すカソード反応との競争反応が生じており、実際の起電力は、その混成電位として現れるものと推察される。
2⇔2H++2e- (アノード反応)・・・(I)
2H++1/2O2+e-⇔H2O (カソード反応)・・・(II)
ここで、従来のように、例えば白金のみの白金電極を第2電極13に用いた場合には、反応速度は、(I)<(II)となり、式(I)の反応よりも、式(II)の反応の影響を受けやすくなる。この結果、白金電極を第2電極13に用いた場合には、後述する比較例に示すように、水素濃度が理論値よりも解離したものとなり、精度の高い水素濃度の計測が困難になると考えられる。
そこで、本実施形態においては、第2電極13の表面に、酸素吸着抑制処理層を有するようにしている。この酸素吸着抑制処理層を第2電極13の表面に形成することにより、被計測ガス15中に含まれる酸素の影響を抑制し、水素選択性を向上させることが可能である。これにより、例えば酸素を含む水素ガス中の水素濃度をより正確に計測することができる。また、第2電極13のみならず、プロトン導電体固体電解質11に対しても酸素吸着抑制処理層を形成するようにしても良い。
ここで、酸素吸着抑制処理層としては、フッ素を含む層であることが好ましい。
酸素吸着抑制処理層として、フッ素を含む層とすることにより、フッ素により酸素の影響を抑制し、水素選択性が向上して、例えば酸素を含む水素ガス中の水素濃度をより正確に計測することができる。
また、第2電極13を構成する金属としては、白金又はパラジウムの単体電極としている。また単体電極のみならず、例えば白金又はパラジウムの少なくとも一つを含み、他の金属を配合した合金からなる白金合金電極又はパラジウム合金電極としてもよい。
白金又はパラジウムの少なくとも一つを含む合金としては、白金及びパラジウムからなる白金・パラジウム合金を挙げることができる。また、白金又はパラジウムに対して配合して合金とする他の金属としては、例えば周期律表の第5周期、第6周期で、第8属〜第10属に属する金属、例えばルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)の白金族金属や、周期律表の第5周期、第6周期で、第11属に属する銀(Ag)、金(Au)等の金属を挙げることができる。よって、これらの金属と、白金又はパラジウムとの合金により、第2電極13を構成することができる。配合する金属としては、2成分又はそれ以上としてもよい。
白金又はパラジウムに対する他の金属成分の配合は、少なくとも他の金属成分が白金又はパラジウムに含まれていればよい。
[試験例1]
次に、試験例1を用いて、本発明の優位な効果を説明する。
試験には、プロトン導電体固体電解質11として、厚さ1mmのSrZr0.9Yb0.13を用いた。また、試験例1の第2水素室16内の第2電極として、白金のみの白金単体電極としては、100%白金電極(試験例1−1〜1−3)を用いた。
試験は、第1水素室14内には、常圧で水素(4Vol%)を含む不活性ガス(窒素(N2)又はヘリウム(He)等)を基準ガスとして封入した。また、被計測ガス15として、常圧で空気中に所定濃度の水素を含有させた。所定濃度の水素は、0.3Vol%、1Vol%、3.5Vol%とした。
試験の動作温度は、300℃、350℃、400℃で各々行った。なお、第1水素室14内の第1電極12としては100%白金電極を用いた。
なお、処理を施さない100%白金電極を比較例とした(比較例1−1〜1−3)。この計測結果を図に示す。
この得られた第2電極の表面に、フッ素化処理を行った。このフッ素化処理は、乾燥空気中にフッ化水素(HF)を導入して濃度20ppmとなるように調整してフッ素化処理剤を得た。この得られたフッ素化処理剤を第2水素室16内に導入し、第2電極13及びプロトン導電体固体電解質11に対して300℃で32時間フッ素化処理をした。
図4−1〜図4−3は、試験例1−1〜1−3の100%白金電極の試験結果であり、図4−1は、試験例1−1の白金電極に対してフッ素化処理後の300℃の計測結果図であり、図4−2は、試験例1−2の白金電極に対してフッ素化処理後の350℃の計測結果図であり、図4−3は、試験例1−3の白金電極に対してフッ素化処理後の400℃の計測結果図である。ここで、図中の実線は、ネルンストの式より導かれる理論起電力を示す。
図5−1〜図5−3は、比較例1−1〜1−3の100%白金電極未処理の試験結果であり、図5−1は、比較例1−1の白金電極未処理の300℃の計測結果図であり、図5−2は、比較例1−2の白金電極未処理の350℃の計測結果図であり、図5−3は、比較例1−3の白金電極未処理の400℃の計測結果図である。ここで、図中の実線は、ネルンストの式より導かれる理論起電力を示す。
試験結果を検討すると、図4−1〜図4−3に示すように、白金電極にフッ素化処理を施して第2電極に用いる場合、図5−1〜図5−3の比較例1−1〜1−3で示した未処理のものに比べて、理論起電力に近づく傾向が認められた。
この作用・効果は、電極反応が起こる気相/電極/固体電解質の三相界面近傍の電極表面及び/または固体電解質表面に、予めフッ素イオンを吸着・固定化することにより、酸素を吸着反応や表面拡散を阻害して水素との反応を抑制するものと推察される。
この酸素抑制作用は、例えば、市販のフッ素系ゴムを例えば100〜200℃加熱した際の揮発成分で処理した場合も同様な作用効果があり、酸素吸着抑制処理層として適用することができる。また、フッ素の代わりに同じハロゲン族である臭素、ヨウ素についても、同様な酸素吸着抑制処理層として適用することができる。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係る水素濃度計測装置について説明する。
本実施形態においては、第2電極13の表面に、酸素吸着抑制処理層としてケイ素を含有するようにしている。
酸素吸着抑制処理層として、ケイ素を含む層とすることにより、ケイ素により酸素の影響を抑制し、水素選択性が向上して、例えば酸素を含む水素ガス中の水素濃度をより正確に計測することができる。
ここで、ケイ素を含む酸素吸着抑制処理層を形成するための原料としては、シロキサンを用いるのが好ましい。シロキサンは、メチル基(−CH3)など有機基を持つケイ素(Si)と酸素(O)とが交互に結合(Si−O−Si結合)したポリマーの総称である。特に、環状分子構造骨格を有する環状シロキサンを用いるのが好ましい。
シロキサン類(R−Si−O−Si−R)としては、低分子化合物からRがアルキル基などで置換された有機シロキサン、及び環状シロキサン等にあるが、後者の二つが比較的安定な化合物である。
中でも下記のD3(三量体)、D4(四量体)、D5(五量体)の環状シロキサンを用いることが電極処理剤として好ましい。
D3: ヘキサメチルシクロトリシロキサン(hexamethyl cyclotrisiloxane)C6183Si3 、融点64℃、沸点134℃の固体
D4: オクタメチルシクロテトラシロキサン(octamethyl cyclotetrasiloxane)C8244Si4 、融点18℃、沸点175℃の半固体
D5: デカメチルシクロペンタシロキサン(decamethyl cyclopentasiloxane)C10305Si5 、融点−30℃、沸点210℃の液体
[試験例2]
次に、試験例2を用いて、本発明の優位な効果を説明する。
試験には、プロトン導電体固体電解質11として、厚さ1mmのSrZr0.9Yb0.13を用いた。また、試験例3の第2水素室16内の第2電極として、白金・金合金(Pt(99wt%)−Au(1wt%)の白金・金合金電極を用いた。
この得られた第2電極の表面に、シロキサン処理を行った。このシロキサン処理は、乾燥空気中に環状シロキサン(D4)を導入して濃度20ppmとなるように調整してシロキサン処理剤を得た。この得られたシロキサン処理剤を第2水素室16内に導入し、第2電極13及びプロトン導電体固体電解質11に対して350℃で3時間シロキサンを処理した。シロキサン処理後のケイ素は第2電極13及びプロトン導電体固体電解質11に一様に付着していることを電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe MicroAnalyser)分析により確認した。
図6は、試験例2のシロキサン処理後の計測結果図である。図6中、○印は、シロキサン処理後の350℃の白金・金合金電極の計測結果図であり、□印は、シロキサン処理後の350℃の白金電極の計測結果図である。ここで、図中の実線は、ネルンストの式より導かれる理論起電力を示す。
なお、比較例の未処理の場合としては、白金電極の場合は図5−2に示す比較例1−2の350℃の計測結果である。
図6に示すように、図5−2で示した未処理のものに比べて更に理論起電力に近づく傾向が認められた。また、白金・金合金電極を用いる場合でも、白金電極と同様に大気中の水素濃度計として検出精度を更に向上させることが可能となる。
このように、シロキサン処理によっても酸素抑制の作用効果をもたらすが、その効果はフッ素化処理よりも著しく良好であった。
また、シロキサン処理とすることで、試験範囲内において、更に理論起電力に漸近させることができ、精度の高い水素濃度の計測を行うことができることが判明した。
以上、本発明の固体電解質型水素濃度計は、被計測ガス中において、酸素を含有する場合においても、水素濃度を精度良く求めることができ、例えばロケット液体水素の宇宙航空分野、燃料電池、及び水素製造・貯蔵・輸送等水素エネルギーに関する各種インフラ設備において用いることができる。
10 水素濃度計測装置
11 プロトン導電体固体電解質
12 第1電極
13 第2電極
14 第1水素室
15 被計測ガス
16 第2水素室
19 電圧計
21 ヒータ

Claims (5)

  1. プロトン導電性を有するセラミックスからなるプロトン導電体固体電解質と、
    前記プロトン導電体固体電解質を挟持する一対の第1電極及び第2電極と、
    前記第1電極側を密閉された空間とし、既知の水素濃度の水素を導入又は封入する第1水素室と、
    前記第2電極側に、酸素と水素を含む被計測ガスの雰囲気とする第2水素室と、
    前記第1電極と前記第2電極とに接続され、両者の電位差を検出する電圧計と、を具備すると共に、
    第2電極の表面に、酸素の吸着を抑制しつつ水素選択性を有する酸素吸着抑制処理層を有することを特徴とする水素濃度計測装置。
  2. 請求項1において、
    前記酸素吸着抑制処理層が、前記第2電極の表面にフッ素を吸着・固定化したフッ素を含む層であることを特徴とする水素濃度計測装置。
  3. 請求項1において、
    前記酸素吸着抑制処理層が、ケイ素を含む層であることを特徴とする水素濃度計測装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
    前記第2電極が、白金又はパラジウムの単体電極、白金又はパラジウムの少なくとも一つを含む合金電極のいずれかからなることを特徴とする水素濃度計測装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
    前記プロトン導電体固体電解質を所定温度に加熱するヒータを有することを特徴とする水素濃度計測装置。
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