JP6546346B2 - セルロースエーテル及び水溶性エステル化セルロースエーテルを含む組成物 - Google Patents

セルロースエーテル及び水溶性エステル化セルロースエーテルを含む組成物 Download PDF

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Description

本発明は、水溶性エステル化セルロースエーテルを含む新規組成物、及びエステル化セルロースエーテルの水溶液から形成されたゲルの温度変化によって誘発されるシネレシスを減少または防止する方法に関する。
序論
セルロースエーテルのエステル、それらの使用、及びそれらを調製するためのプロセスが、当該技術分野において一般的に知られている。エステル化セルロースエーテルが、カルボキシル基を有するエステル基を含む場合、水性液体中のエステル化セルロースエーテルの溶解性は、典型的にはpHに依存する。例えば、水性液体中でのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)の溶解性は、スクシニル基またはスクシノイル基とも呼ばれるスクシネート基の存在によりpH依存性である。HPMCASは、薬学的剤形用の腸溶性ポリマーとして知られている。胃の酸性環境では、HPMCASはプロトン化され、それ故、不溶性である。HPMCASは脱プロトン化を受け、より高いpHの環境である小腸内で可溶性になる。HPMCASでコーティングされた剤形は、胃の酸性環境における不活性化もしくは分解から薬物を保護するか、または薬物による胃の刺激を防止するが、小腸において薬物を放出する。pH依存性溶解性は酸性官能基の置換度に依存する。pH及びHPMCASの中和度に依存する様々な種類のHPMCASの溶解時間が、McGinity,James W.Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms、New York、M.Dekker、1989、105−113頁において詳細に論じられている。この刊行物は、112頁の図16において、スクシノイル、アセチル、及びメトキシル基での異なる置換度を有するHPMCASのいくつかの等級の、HPMCASの中和度に依存した純水中及び0.1NaCl中での溶解時間を説明している。HPMCAS、及びNaClの存在または非存在に依存して、HPMCASは、約0.55〜1の間の中和度を有する場合に可溶性である。約0.55の中和度より低い場合、全てのHPMCASの等級は純水及び0.1NaClに不溶性である。
同時係属中の、2015年3月16日に出願された米国仮出願62/133,514の優先権を主張する2016年3月8日に出願された国際特許出願WO2016/148977、及び2015年3月16日に出願された米国仮出願62/133,518の優先権を主張する2016年3月8日に出願された国際特許出願WO2016/148976は、カルボキシル基の中和度が0.4以下であるが水に可溶性である新規なエステル化セルロースエーテルを開示している。これらのエステル化セルロースエーテルの多くの水溶液は、わずかに上昇した温度、典型的には30〜55℃でゲル化する。これは、それらを薬学的剤形のコーティングまたはカプセルシェルの生成に非常に好適なものとする。しかしながら、これらの特許出願の発明者は、そのようなエステル化セルロースエーテルの水溶液から形成されたゲルが、更に上昇した温度、例えば60℃超、またはより典型的には70℃以上で、ゲルからの水の排出を示すことを見出した。この現象は「シネレシス」として知られている。加熱された浸漬ピンが使用されるカプセルシェルの生成などの、上昇した温度でゲル形成が望まれる用途では、シネレシスは、ゲル構造の分解を引き起こすのでは望ましくない。
そのため、上記エステル化セルロースエーテルの水溶液から形成されたゲルの温度変化によって誘発されるシネレシスを減少または防止する方法を見出す必要がある。
本発明の一態様は、
a)脂肪族一価アシル基及び式−C(O)−R−COOH(Rは二価の炭化水素基である)の基を含むエステル化セルロースエーテルであって、I)基−C(O)−R−COOHの中和度が0.4以下であり、II)総エステル置換度が0.03〜0.70である、エステル化セルロースエステルと、
b)ウベローデに従って20℃で2重量%の水溶液として測定して、1.2〜200mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルと、を含む、組成物である。
驚くべきことに、上記エステル化セルロースエーテルa)を含む水溶液から形成されるゲルは、そのゲルが上記エステル化セルロースエーテルa)に加えて上記セルロースエーテルb)を含む水溶液から形成された場合、ゲルの温度変化によって誘発されるシネレシスの減少を示すか、またはシネレシスを示すことさえない。更により驚くべきことに、上記セルロースエーテルb)を上記エステル化セルロースエーテルa)を含む水溶液に組み込むことにより、そのような水溶液から形成されるゲルの貯蔵弾性率またはゲル強度を過度な程度に減少させないことが見出された。
したがって、本発明の別の態様は、脂肪族一価アシル基及び式−C(O)−R−COOH(Rは二価の炭化水素基である)の基を含むエステル化セルロースエーテルであって、I)基−C(O)−R−COOHの中和度が0.4以下であり、II)総エステル置換度が0.03〜0.70である、エステル化セルロースエステルの水溶液から形成されたゲルの温度変化によって誘発されるシネレシスを減少または防止する方法であって、ゲルが形成される前に、ウベローデに従って20℃で2重量%の水溶液として測定して、1.2〜200mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルを水溶液に添加する、方法である。
本発明の4つの水性組成物及び2つの水性比較組成物の温度の関数としての貯蔵弾性率を示している。 本発明の5つの他の水性組成物及び2つの他の水性比較組成物の温度の関数としての貯蔵弾性率を示している。 本発明の4つの他の水性組成物及び2つの他の水性比較組成物の温度の関数としての貯蔵弾性率を示している。 本発明の5つの他の水性組成物及び2つの他の水性比較組成物の温度の関数としての貯蔵弾性率を示している。
エステル化セルロースエーテルa)は、同時係属中の、2015年3月16日に出願された米国仮出願62/133,514の優先権を主張する2016年3月8日に出願された国際特許出願国際特許出願WO2016/148977、及び2015年3月16日に出願された米国仮出願第62/133,518号の優先権を主張する2016年3月8日に出願された国際特許出願WO2016/148976に記載されており、全て本特許出願の出願人によって出願されたものである。
本発明の組成物に含まれるエステル化セルロースエーテルa)は、本発明の文脈において無水グルコース単位として表される、β−1,4グリコシド結合したD−グルコピラノース繰り返し単位を有するセルロース骨格を有する。エステル化セルロースエーテルa)は、好ましくは、エステル化アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、またはヒドロキシアルキルアルキルセルロースである。これは、本発明の組成物に含まれるエステル化セルロースエーテルa)において、無水グルコース単位のヒドロキシル基の少なくとも一部が、アルコキシル基もしくはヒドロキシアルコキシル基、またはアルコキシル基とヒドロキシアルコキシル基との組み合わせにより置換されていることを意味する。ヒドロキシアルコキシル基は、典型的には、ヒドロキシメトキシル、ヒドロキシエトキシル、及び/またはヒドロキシプロポキシル基である。ヒドロキシエトキシル及び/またはヒドロキシプロポキシル基が好ましい。典型的には、ヒドロキシアルコキシル基の1種または2種がエステル化セルロースエーテルa)に存在する。好ましくは、単一種のヒドロキシアルコキシル基、より好ましくはヒドロキシプロポキシルが存在する。アルコキシル基は、典型的には、メトキシル、エトキシル、及び/またはプロポキシル基である。メトキシル基が好ましい。上記で定義されたエステル化セルロースエーテルa)の例は、エステル化メチルセルロース、エチルセルロース、及びプロピルセルロースなどのエステル化アルキルセルロース、エステル化ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルセルロースなどのエステル化ヒドロキシアルキルセルロース、及びエステル化ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、及びヒドロキシブチルエチルセルロースなどのエステル化ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ならびにエステル化ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの2つ以上のヒドロキシアルキル基を有するものである。最も好ましくは、エステル化セルロースエーテルa)は、エステル化ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのエステル化ヒドロキシアルキルメチルセルロースである。
ヒドロキシアルコキシル基による無水グルコース単位のヒドロキシル基の置換度は、ヒドロキシアルコキシル基のモル置換、すなわちMS(ヒドロキシアルコキシル)によって表示される。MS(ヒドロキシアルコキシル)は、エステル化セルロースエーテルにおける無水グルコース単位当たりのヒドロキシアルコキシル基の平均モル数である。ヒドロキシアルキル化反応の間に、セルロース骨格に結合したヒドロキシアルコキシル基のヒドロキシル基は、アルキル化剤、例えば、メチル化剤、及び/またはヒドロキシアルキル化剤によって更にエーテル化され得ることを理解されたい。無水グルコース単位の同じ炭素原子位置に対する複数のその後のヒドロキシアルキル化エーテル化反応は側鎖を生み出し、その場合、複数のヒドロキシアルコキシル基がエーテル結合によって互いに共有結合しており、各側鎖は全体としてセルロース骨格にヒドロキシアルコキシル置換基を形成する。
それ故、「ヒドロキシアルコキシル基」という用語は、ヒドロキシアルコキシル置換基の構成単位としてのヒドロキシアルコキシル基を指すものとして、MS(ヒドロキシアルコキシル)の文脈において解釈されるべきであり、上に概説されるように、単一のヒドロキシアルコキシル基または側鎖を含み、2つ以上のヒドロキシアルコキシ単位は、エーテル結合によって互いに共有結合している。この定義内で、ヒドロキシアルコキシル置換基の末端ヒドロキシル基が更にアルキル化されているかどうかは重要ではなく、アルキル化及び非アルキル化両方のヒドロキシアルコキシル置換基が、MS(ヒドロキシアルコキシル)の決定に含まれる。エステル化セルロースエーテルa)は、一般に、少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.08、より好ましくは少なくとも0.12、最も好ましくは少なくとも0.15のヒドロキシアルコキシル基のモル置換を有する。モル置換度は、一般に、1.00以下、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.70以下、最も好ましくは0.50以下である。
無水グルコース1単位当たりメトキシル基等のアルコキシル基によって置換されたヒドロキシル基の平均数は、アルコキシル基の置換度、すなわち、DS(アルコキシル)と称される。上記のDSの定義において、「アルコキシル基によって置換されたヒドロキシル基」という用語は、本発明内では、セルロース骨格の炭素原子に直接的に結合したアルキル化ヒドロキシル基だけでなく、セルロース骨格に結合したヒドロキシアルコキシル置換基のアルキル化ヒドロキシル基も包含するものとして解釈されるべきである。エステル化セルロースエーテルa)は、好ましくは、少なくとも1.0、より好ましくは少なくとも1.1、更により好ましくは少なくとも1.2、最も好ましくは少なくとも1.4、特に少なくとも1.6のDS(アルコキシル)を有する。DS(アルコキシル)は、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.4以下、更により好ましくは2.2以下、最も2.05以下である。
最も好ましくは、エステル化セルロースエーテルa)は、DS(アルコキシル)について上記で示された範囲内のDS(メトキシル)及びMS(ヒドロキシアルコキシル)について上記で示された範囲内のMS(ヒドロキシプロポキシル)を有するエステル化ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
エステル化セルロースエーテルa)は、脂肪族一価アシル基及び式−C(O)−R−COOHの基を有する。
エステル化セルロースエーテルa)中に存在する脂肪族一価アシル基は、好ましくはアセチル、プロピオニル、またはn−ブチリルもしくはi−ブチリルなどのブチリルである。式−C(O)−R−COOHの好ましい基は、−C(O)−CH−CH−COOHである。
エステル化セルロースエーテルa)の具体的な例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートスクシネート(HPCAS)、ヒドロキシブチルメチルセルロースプロピオネートスクシネート(HBMCPrS)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースプロピオネートスクシネート(HEHPCPrS)、またはメチルセルロースアセテートスクシネート(MCAS)である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)が最も好ましいエステル化セルロースエーテルa)である。
エステル化セルロースエーテルa)において、基−C(O)−R−COOHの中和度は、0.4以下、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、最も好ましくは0.1以下、特に0.05以下、または更に0.01以下である。中和度は、本質的にゼロ、またはそれよりわずかに上、例えば、最大で10−3もしくは更に最大で10−4だけであり得る。本明細書で使用される場合、「中和度」という用語は、脱プロトン化カルボキシル基及びプロトン化カルボキシル基の合計に対する脱プロトン化カルボキシル基の比、すなわち、中和度=[−C(O)−R−COO]/[−C(O)−R−COO+−C(O)−R−COOH]を定義する。
基−C(O)−R−COOHが部分的に中和される場合、カチオンは、好ましくは、NH などのアンモニウムカチオン、またはナトリウムもしくはカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。
本発明の組成物中のエステル化セルロースエーテルa)は、脂肪族一価アシル基及び式−C(O)−R−COOHの基を、総エステル置換度が0.03〜0.70となるように有する。i)脂肪族一価アシル基の置換度と、ii)式−C(O)−R−COOHの基(その中和度は0.4以下である)の置換度との合計は、エステル化セルロースエーテルa)の必須の特徴である。総エステル置換度は、少なくとも0.03、一般に少なくとも0.07、好ましくは少なくとも0.10、より好ましくは少なくとも0.15、最も好ましくは少なくとも0.20、特に少なくとも0.25である。エステル化セルロースエステルa)における総エステル置換度は、0.70以下、一般に0.67以下、好ましくは最大で0.65、より好ましくは最大で0.60、最も好ましくは最大で0.55、または最大で0.50である。本発明の一態様では、0.10〜0.65、特に0.20〜0.60の総エステル置換度を有するエステル化セルロースエーテルa)が好ましい。本発明の別の態様では、0.20〜0.50、特に0.25〜0.44の総エステル置換度を有するエステル化セルロースエーテルa)が好ましい。
エステル化セルロースエーテルa)は、一般に、少なくとも0.03もしくは0.05、好ましくは少なくとも0.10、より好ましくは少なくとも0.15、最も好ましくは少なくとも0.20、特に少なくとも0.25、または少なくとも0.30の、アセチル、プロピオニル、またはブチリル基などの脂肪族一価アシル基の置換度を有する。エステル化セルロースエーテルは、一般に、最大で0.69、好ましくは最大で0.60、より好ましくは最大で0.55、最も好ましくは最大で0.50、特に最大で0.45、または更に最大で0.40だけの脂肪族一価アシル基の置換度を有する。セルロースエーテルa)は、一般に、少なくとも0.01、好ましくは少なくとも0.02、より好ましくは少なくとも0.05、最も好ましくは少なくとも0.10のスクシノイルなどの式−C(O)−R−COOHの基の置換度を有する。エステル化セルロースエーテルは、一般に、最大で0.65、好ましくは最大で0.60、より好ましくは最大で0.55、最も好ましくは最大で0.50、または最大で0.45の式−C(O)−R−COOHの基の置換度を有する。上記で示されているように、基−C(O)−R−COOHの中和度は0.4以下である。
その上、エステル化セルロースエーテルa)において、i)脂肪族一価アシル基の置換度及びii)式−C(O)−R−COOHの基の置換度及びiii)アルコキシル基の置換度、すなわち、DS(アルコキシル)の合計は、一般に、2.60以下、好ましくは2.55以下、より好ましくは2.50以下、最も好ましくは2.45以下である。エステル化セルロースエーテルa)は、一般に、少なくとも1.7、好ましくは少なくとも1.9、最も好ましくは少なくとも2.1の、i)脂肪族一価アシル基及びii)式−C(O)−R−COOHの基及びiii)アルコキシル基の置換度の合計を有する。
アセテート及びスクシネートエステル基の含有量は、「Hypromellose Acetate Succinate」、United States Pharmacopeia and National Formulary、NF29、1548−1550頁」に従って決定される。報告された値は揮発性物質について補正される(上記のHPMCASモノグラフのセクション「loss on drying」に記載されているように決定される)。その方法は、プロピオニル、ブチリル、及び他のエステル基の含有量を決定するために類似の手法で使用してよい。
エステル化セルロースエーテルにおけるエーテル基の含有量は、「Hypromellose」、United States Pharmacopeia and National Formulary、USP35、3467−3469頁に記載されているものと同じ手法で決定される。
上記の分析によって得られたエーテル及びエステル基の含有量は、以下の式に従って個々の置換基のDS及びMS値に変換される。その式は、他のセルロースエーテルエステルの置換基のDS及びMSを決定するために類似の手法で使用され得る。
慣例により、重量パーセントは、全ての置換基を含むセルロース繰り返し単位の総重量を基準とする平均重量百分率である。メトキシル基の含有量は、メトキシル基の質量(すなわち、−OCH)の質量を基準として報告される。ヒドロキシアルコキシル基の含有量は、ヒドロキシプロポキシル(すなわち、−O−CHCH(CH)−OH)などのヒドロキシアルコキシル基(すなわち、−O−アルキレン−OH)の質量を基準として報告される。脂肪族一価アシル基の含有量は、−C(O)−R(式中、Rは、アセチル(−C(O)−CH)などの一価脂肪族基である)の質量を基準として報告される。式−C(O)−R−COOHの基の含有量は、この基の質量、例えばスクシノイル基(すなわち、−C(O)−CH−CH−COOH)の質量を基準として報告される。
エステル化セルロースエーテルa)の別の本質的な性質は、その水溶解性である。そのエステル化セルロースエーテルは、一般に、2℃において少なくとも2.0重量パーセントの、水への溶解性を有する。すなわち、それは、2℃において、少なくとも2.0重量パーセントの水溶液、好ましくは少なくとも3.0重量パーセントの水溶液、より好ましくは少なくとも5.0重量パーセントの水溶液、または更に少なくとも10.0重量の水溶液として溶解され得る。一般に、エステル化セルロースエーテルa)は、2℃の温度において、最大で20重量パーセントの水溶液として、または最も好ましい実施形態では最大で30重量パーセントの水溶液としてさえ溶解され得る。本明細書で使用される場合、「2℃においてx重量パーセントの水溶液」という用語は、エステル化セルロースエーテルb)が2℃において(100−x)gの水に可溶性であることを意味する。
より一般的な条件では、エステル化セルロースエーテルa)は、基−C(O)−R−COOHのその低い中和度にもかかわらず、エステル化セルロースエーテルa)の中和度を0.4を超えるかまたは上で列挙された好ましい範囲に上昇させない水性液体とエステル化セルロースエーテルをブレンドした場合であっても、例えば、エステル化セルロースエーテルを脱イオン化水または蒸留水などの水のみとブレンドした場合であっても、10℃未満、より好ましくは8℃未満、更により好ましくは5℃以下、最も好ましくは最大で3℃の温度において水性液体に可溶性である。ごく一部の沈殿物しか有しない、または好ましい実施形態では沈殿物を有することさえない透明または不透明の溶液が2℃において得られる。調製された溶液の温度を20℃に上げた場合は、沈殿は生じない。
本発明の組成物に含まれるエステル化セルロースエーテルa)は、一般に、「Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF29,1548−1550頁」に従って20℃で0.43重量%の水性NaOH中2.0重量パーセントのエステル化セルロースエーテルの溶液として測定して、少なくとも1.2mPa・s、好ましくは少なくとも1.8mPa・s、より好ましくは少なくとも2.4mPa・s、一般に200mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、最も好ましくは30mPa・s以下の粘度を有する。
エステル化セルロースエーテルa)は、一般に、最大で500,000ダルトン、好ましくは最大で250,000ダルトン、より好ましくは最大で200,000ダルトン、最も好ましくは最大で150,000ダルトンの重量平均分子量Mを有する。一般に、それは、少なくとも10,000ダルトン、好ましくは少なくとも15,000ダルトン、より好ましくは少なくとも20,000ダルトン、最も好ましくは少なくとも30,000ダルトンの重量平均分子量Mを有する。M及び数平均分子量Mは、移動相として、アセトニトリル40体積部と50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する水性緩衝液60体積部との混合物を使用して、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56 (2011)743に従って測定される。移動相は8.0のpHに調整される。M及びMの測定は、実施例においてより詳細に記載されている。
エステル化セルロースエーテルa)の生成は、同時係属中の、2015年3月16日に出願された米国仮出願62/133,514の優先権を主張する2016年3月8日に出願された国際特許出願WO2016/148977、及び2015年3月16日に出願された米国仮出願第62/133,518号の優先権を主張する2016年3月8日に出願された国際特許出願WO2016/148976(全て本特許出願の出願人によって出願されたものである)及び本発明の実施例に記載されている。これらの国際特許出願は、反応希釈剤としての酢酸などの脂肪族カルボン酸中でのセルロースエーテルと、無水酢酸、無水酪酸、または無水プロピオン酸などの脂肪族モノカルボン酸無水物との、及び無水コハク酸などのジカルボン酸無水物との反応を記載している。
米国仮出願第62/133,514号の優先権を主張する2016年3月8日に出願された国際特許出願WO2016/148977では、エステル化セルロースエーテルa)は、エステル化触媒の非存在下、特にアルカリ金属カルボキシレートの非存在下で生成される。これは、知られているプロセスとは対照的である。国際特許出願WO2016/148977に記載されている一般的な手順によれば、セルロースエーテル、好ましくは上記に更に列挙した種類の1つを、無水酢酸、無水酪酸、及び無水プロピオン酸などの脂肪族モノカルボン酸無水物と、及び無水コハク酸などのジカルボン酸無水物と反応させる。脂肪族モノカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比は、一般に、0.1/1〜7/1、好ましくは0.3/1〜3.5/1、より好ましくは0.5/1〜2.5/1である。ジカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比は、一般に、0.1/1〜2.2/1、好ましくは0.2/1〜1.2/1、より好ましくは0.3/1〜0.8である。セルロースエーテルの無水グルコース単位のモル数は、DS(アルコキシル)及びMS(ヒドロキシアルコキシル)からの置換無水グルコース単位の平均分子量を計算することにより、出発材料として使用されるセルロースエーテルの重量から決定され得る。セルロースエーテルのエステル化は、酢酸、プロピオン酸、または酪酸などの反応希釈剤としての脂肪族カルボン酸中で、最も好ましくは酢酸中で実行される。モル比[脂肪族カルボン酸/セルロースエーテルの無水グルコース単位]は、通常、少なくとも0.7/1、好ましくは少なくとも1.2/1、より好ましくは少なくとも1.5/1である。モル比[脂肪族カルボン酸/セルロースエーテルの無水グルコース単位]は、一般に、最大で10/1、好ましくは最大で9/1である。最大で7/1、または更に最大で4/1だけ、及び最適化された条件下では更に最大で2/1だけなどのより低い比を使用することもでき、これにより必要とされる反応希釈剤の量の使用が最適となる。知られているプロセスとは対照的に、本発明のエステル化セルロースエーテルは、エステル化触媒の非存在下、特にアルカリ金属カルボキシレートの非存在下で生成される。エステル化の反応温度は、一般に60℃〜110℃、好ましくは70℃〜100℃である。エステル化反応は、典型的には2〜8時間以内、より典型的には3〜6時間以内に完了する。エステル化反応の完了後、エステル化セルロースエーテルは、例えば、米国特許第4,226,981号、国際特許出願WO2005/115330、欧州特許出願EP0219426、または国際特許出願WO2013/148154に記載され、知られている手法で反応混合物から沈殿させることができる。その後、沈殿したエステル化セルロースエーテルを水で、好ましくは70〜100℃の温度で洗浄する。
その上、本発明の組成物は、20℃で2重量%の水溶液として測定して、1.2〜200mPa・s、好ましくは1.8〜100mPa・s、より好ましくは2.4〜50mPa・s、特に2.8〜5.0mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルを含む。2重量%のセルロースエーテルの水溶液は、DIN 51562−1:1999−01(January 1999)に従うウベローデ粘度測定を受けて、United States Pharmacopeia(USP 35,「Hypromellose」,3467−3469頁)に従って調製される。
セルロースエーテルは、一般に非イオン性かつ水溶性である。水溶性セルロースエーテルは、25℃及び1気圧で100グラムの蒸留水中で少なくとも2グラムの水への溶解性を有するセルロースエーテルである。非イオン性セルロースエーテルは、好ましくは、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースまたはアルキルセルロースである。非イオン性水溶性セルロースエーテルの非限定的な例には、C−C−アルキルセルロース、例えばメチルセルロース;C−C−アルキルヒドロキシ−C1−3−アルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはエチルヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシ−C1−3−アルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロース;混合ヒドロキシ−C−C−アルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、混合C−C−アルキルセルロース、例えばメチルエチルセルロース、または三元セルロースエーテル、例えばエチルヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはアルコキシヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース(アルコキシ基は、直鎖または分岐状でありかつ2〜8個の炭素原子を含有する)が含まれる。
一実施形態では、セルロースエーテルは、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、またはエチルヒドロキシエチルセルロースである。好ましくは、セルロースエーテルは、メチルセルロース(MC)であるか、またはより好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのヒドロキシアルキルアルキルセルロースである。
セルロースエーテルは、好ましくは、1.0〜2.5、より好ましくは1.1〜2.4、最も好ましくは1.5〜2.2、特に1.6〜2.05のDS(アルキル)を有する。セルロースエーテルのアルキル置換度DS(アルキル)は、無水グルコース1単位当たりのアルキル基、好ましくはメチル基で置換されたOH基の平均数である。DS(アルキル)を決定するために、「アルキル基で置換されたOH基」という用語は、セルロース骨格の炭素原子に直接結合したアルキル化OH基を含むだけでなく、ヒドロキシアルキル化後に形成されたアルキル化OH基も含む。
セルロースエーテルは、一般に、0〜1.10、好ましくは0.05〜0.90、より好ましくは0.12〜0.75、最も好ましくは0.15〜0.60、特に0.21〜0.50のMS(ヒドロキシアルキル)を有する。ヒドロキシアルキル置換度は、MS(モル置換)によって表される。MS(ヒドロキシアルキル)は、無水グルコース単位1モル当たり1つのエーテル結合によって結合されているヒドロキシアルキル基の平均数である。ヒドロキシアルキル化の間に、複数の置換が側鎖をもたらし得る。
「アルキル基で置換されたヒドロキシル基」または「ヒドロキシアルキル基で置換されたヒドロキシル基」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒドロキシル基の水素原子がアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換されていることを意味する。
MS(ヒドロキシアルキル)とDS(アルキル)の合計は、好ましくは、少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも1.7、最も好ましくは少なくとも1.9、好ましくは最大で2.9、または最大で2.7、もしくは最大で2.5である。
メチルセルロース(MC)中のメトキシル%の決定は、the United States Pharmacopeia (USP35,「Methylcellulose」,3868−3869頁)に従って行われる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)中のメトキシル%及びヒドロキシプロポキシル%の決定は、the United States Pharmacopeia (USP35,「Hypromellose」,3467−3469頁)に従って行われる。メトキシル%及びヒドロキシプロポキシル%として得られる値は、その後、メチル置換基についての置換度(DS)及びヒドロキシプロピル置換基についてのモル置換(MS)に変換される。残った量の塩がその変換に考慮される。これらの方法に基づいて、当業者は、他のセルロースエーテルのMS(ヒドロキシアルキル)及びDS(アルキル)の決定の仕方を知っている。
ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)などの、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース以外のエーテルのエーテル置換の決定は、K.L.Ketterer,W.E.Kester,D.L.Wiederrich,及びJ.A.Grover、Determination of Alkoxyl Substitution in Cellulose Ethers by Zeisel−Gas Chromatographie,Analytical Chemistry,Vol.51,No.13,Nov 1979,2172−76に記載されているように行われ得る。
本発明の組成物は、好ましくは、成分a)及びb)の総重量を基準として、5〜95パーセント、より好ましくは15〜85パーセント、最も好ましくは25〜75パーセントのエステル化セルロースエーテルa)、及び95〜5パーセント、より好ましくは85〜15パーセント、最も好ましくは75〜25パーセントの上述のセルロースエーテルb)を含む。
本発明の組成物は、好ましくは水溶液の形態である。水溶液は、少量の1種以上の有機溶媒を含み得る。しかしながら、水溶液は、一般に、水及び有機溶媒の総重量を基準として、少なくとも80パーセント、好ましくは少なくとも85パーセント、より好ましくは少なくとも少なくとも90パーセント、特に少なくとも95パーセントの水を含むべきである。好ましい有機液体希釈剤は、酸素、窒素、または塩素のようなハロゲンなどの1つ以上のヘテロ原子を有する極性有機溶媒である。より好ましい有機液体希釈剤は、アルコール、例えばグリセロールなどの多官能アルコール、もしくは好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはn−プロパノールなどの単官能アルコール、テトラヒドロフランなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、もしくはメチルイソブチルケトンなどのケトン、エチルアセテートなどのアセテート、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、またはアセトニトリルなどのニトリルである。より好ましくは、有機液体希釈剤は、1〜6個、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。本発明の組成物は、塩基性化合物を含み得るが、本発明の組成物中のエステル化セルロースエーテルa)の基−C(O)−R−COOHの中和度は、0.4を超えるべきでなく、好ましくは0.3もしくは0.2もしくは0.1以下、より好ましくは0.05もしくは0.01以下、最も好ましくは10−3以下、または更に10−4以下である。好ましくは、本発明の組成物は、実質的な量の塩基性化合物を含まない。より好ましくは、本発明の組成物は、塩基性化合物を含有しない。好ましくは、本発明の水性組成物は、有機溶媒の非存在下で、希釈剤として水のみを含む。
本発明の組成物は、本発明の組成物の総重量を基準として、好ましくは、少なくとも0.2重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1.0重量%、好ましくは最大で20重量%、より好ましくは最大で15重量%、最も好ましくは最大で10重量%のエステル化セルロースエーテルa)を含む。本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは、少なくとも0.2重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1.0重量%、好ましくは最大で15重量%、より好ましくは最大で10重量%、最も好ましくは最大で5重量%のセルロースエーテルa)を含む。
本発明の組成物は、1種以上の薬物などの1種以上の活性原料、及び/または着色剤、顔料、乳白剤、風味及び味改善剤、抗酸化剤、ならびにこれらの任意の組み合わせなどの1種以上の任意のアジュバントを更に含み得る。「薬物」という用語は、慣用的であり、動物、特にヒトに投与した場合に有益な予防的及び/または治療的特性を有する化合物を意味する。
エステル化セルロースエーテルa)及びセルロースエーテルb)は、水性組成物を−2℃から10℃未満、好ましくは0℃から8℃未満、より好ましくは0.5℃から5℃未満、最も好ましくは0.5℃〜3℃の温度に冷却することによって水溶液にすることができる。調製した水溶液の温度を20℃に上げると、沈殿は生じない。その水溶液は、わずかに上昇した温度、典型的には30〜55℃でゲル化する。上記エステル化セルロースエーテルa)に加えて、上記セルロースエーテルb)を含む水溶液から形成されたゲルは、ゲルの温度が更に上昇しても、例えば、60℃を超える温度、または更に70℃以上、一般的には最大で90℃、典型的には最大で85℃となっても、減少したシネレシスを示すか、またはシネレシスを示さない。エステル化セルロースエーテルa)のみを含む比較組成物は、典型的には、ゲルの温度が60℃を超え、または更に70℃以上、一般的には最大で90℃、典型的には最大で85℃の温度に上昇した場合に、本発明の同等の組成物よりも高いシネレシス度を示す。本発明の組成物のシネレシスの減少または欠如は、約55℃を超える、典型的には約60℃を超える、または更に70℃以上の温度に加熱することが望まれる用途において非常に有用である。例えば、ポリマーカプセルシェルの生成において、高温浸漬ピンは、エステル化セルロースエーテルa)及びセルロースエーテルb)の水溶液に浸漬され得、溶液のゲル化が行われて、シネレシスによって引き起こされるフィルム破損を伴うことなく高温浸漬ピン上にフィルムを生成し得る。また、本発明の組成物のシネレシスの減少または欠如により、フィルム破損を伴うことなく、組成物から生成されたフィルムの高い乾燥温度が可能になる。シネレシスを減少させるかまたは回避さえする、すなわち、本発明のゲル化組成物からの水の排出を減少させるかまたは回避する可能性は、本発明の組成物の処理ウィンドウを増加させる。
更により驚くべきことに、上記セルロースエーテルb)を上記エステル化セルロースエーテルa)を含む水溶液に組み込むことにより、そのような水溶液から形成されるゲルの貯蔵弾性率またはゲル強度を過度な程度に減少させないことが見出された。
本発明の水性組成物は、水性組成物を浸漬ピンと接触させる工程を含むカプセルの製造に特に有用である。エステル化セルロースエーテルの腸溶性性質に影響を及ぼし得るエステル化セルロースエーテルの部分的中和は必要ではない。典型的には、23℃未満、より典型的には15℃未満、またはいくつかの実施形態では10℃未満の温度を有する水性組成物を、水性組成物よりも高い温度を有しかつ少なくとも21℃、典型的には少なくとも30℃、より典型的には少なくとも50℃、一般に最大で95℃、好ましくは最大で85℃、より好ましくは最大で75℃の温度を有する浸漬ピンと接触させる。カプセルは腸溶性性質を有する。本発明の水性組成物はまた、錠剤、顆粒、ペレット、カプレット、薬用飴、坐剤、ペッサリー、または埋め込み可能な剤形などの剤形をコーティングするのに有用である。
これより本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例において詳細に記載する。
特に明記しない限り、全ての部及び百分率は重量による。実施例では、以下の試験手順が使用される。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
HPMC中のエーテル基の含有量は、「Hypromellose」、United States Pharmacopeia and National Formulary、USP35、3467−3469頁に記載されているように決定される。
HPMCの粘度は、20℃±0.1℃で2.0重量%水溶液として測定される。2.0重量%のHPMC水溶液は、DIN 51562−1:1999−01(January 1999)に従うウベローデ粘度測定を受けて、United States Pharmacopeia(USP 35,「Hypromellose」,3467−3469頁)に従って調製される。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)の粘度
HPMCAS中のエーテル基の含有量は、「Hypromellose」、United States Pharmacopeia and National Formulary、USP35、3467−3469頁に記載されているものと同じ手法で決定される。
アセチル基(−CO−CH)でのエステル置換及びスクシノイル基(−CO−CH−CH−COOH)でのエステル置換は、Hypromellose Acetate Succinate、United States Pharmacopia and National Formulary、NF29、1548−1550頁」に従って決定される。エステル置換について報告された値は揮発性物質について補正される(上記のHPMCASモノグラフのセクション「loss on drying」に記載されているように決定される)。
特に明記しない限り、HPMCASのM及びMは、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743に従って測定される。移動相は、アセトニトリル40体積部と、50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する水性緩衝液60体積部との混合物である。移動相は8.0のpHに調整される。セルロースエーテルエステル(HPMCAS)の溶液を、0.45μmの孔径のシリンジフィルターを通してHPLCバイアルに濾過した。M及びMの測定の正確な詳細は、国際特許出願第WO2014/137777号でセクション「Examples」において「Determination of M,M and M」の表題で開示されている。HPMCASサンプルIIを除き、全てのHPMCASサンプルの回収率は少なくとも97%である。
HPMCASの水溶解性
2.0gのHPMCAS(その乾燥重量を基準とする)を98.0gの水と激しい攪拌下で0.5℃において16時間混合することによって2重量パーセントのHPMCASと水との混合物を調製する。次いで、HPMCASと水との混合物の温度を5℃に上げる。エステル化セルロースエーテルの水溶解性を視覚的検査により決定する。HPMCASが5℃において2%で水溶性であるかどうかの決定を以下のように行う。「2%で水溶性−有」は、沈殿物のない溶液が上記の手順に従って得られることを意味する。
HPMCAS及び任意にHPMCの水溶液の貯蔵弾性率
乾燥したHPMCAS及び任意にHPMC(HPMCAS及びHPMCの水含有量を考慮)を、3枚翼(翼=2cm)ブレードスターラーを用いて750rpmでオーバーヘッドラボスターラーを用いて攪拌しながら室温で水(温度20〜25℃)に所望の濃度で添加することによってHPMCAS及び任意にHPMCの水溶液を生成する。次いで、溶液を約1.5℃に冷却する。1.5℃の温度に達した後、溶液を500rpmで120分間攪拌する。各溶液を特性評価の前に冷蔵庫内に保存する。
HPMCAS及び任意にHPMCの水溶液のレオロジー測定は、カップ及びボブ固定具(CC−25)を有するHaake RS600(Thermo Fisher Scientific)レオメーターを用いて実行する。サンプルを、2%の一定歪み(変形)及び2Hzの一定角振動数で、5〜85℃の温度範囲にわたって1分当たり1℃の速度で加熱する。測定収集速度は4データ点/分となるように選択する。レオロジー測定から得られる貯蔵弾性率G′は、溶液の弾性特性を表し、貯蔵弾性率G′が損失弾性率G′′より高い場合には高温領域におけるゲル強度を表す。
HPMCASサンプルI〜IVの生成
水溶性HPMCASポリマーは、2015年3月16日に出願された米国仮出願62/133,514の優先権を主張する同時係属中の2016年3月8日に出願された国際特許出願WO2016/148977に記載されているように生成される。
無水コハク酸及び無水酢酸を70℃で氷酢酸に溶解する。次いで、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、水を含まない)を攪拌しながら添加する。その量は以下の表1に列挙されている。HPMCの量は乾燥ベースで計算される。いかなる量の酢酸ナトリウムも添加しない。
HPMCは、1.92のメトキシル置換(DS)、0.24のヒドロキシプロポキシル置換(MSHP)、及び20℃で2%の水溶液として測定して3.0mPasの粘度を有する。HPMCの重量平均分子量は約20,000ダルトンである。HPMCは、The Dow Chemical CompanyからMethocel E3 LV Premiumセルロースエーテルとして商業的に入手可能である。
次いで、アセチル基及びスクシノイル基による所望の置換が達成されるまで、反応混合物を85〜110℃で2〜3時間加熱する。次いで、21℃の温度を有する1〜2Lの水を添加することによって粗生成物を沈殿させる。その後、沈殿した生成物を濾過により混合物から分離し、以下の表1に列挙された温度を有する水で数回洗浄する。次いで、生成物を濾過により単離し、55℃で一晩乾燥させる。
水溶性HPMCASサンプルの特性を以下の表2に列挙する。表2において、略語は以下の意味を有する。
DS=DS(メトキシル):メトキシル基での置換度、
MSHP=MS(ヒドロキシプロポキシル):ヒドロキシプロポキシル基でのモル置換、
DSAc:アセチル基の置換度、
DS:スクシノイル基の置換度、
HPMCAS及び任意にHPMCの水溶液
HPMCAS及び任意にHPMCの水溶液を調製する。HPMCASサンプルの種類及び濃度を以下の表3に列挙する。HPMCは、The Dow Chemical CompanyからMethocel E3 LV Premiumセルロースエーテルとして市販されており、1.92のメトキシル置換(DS)、0.24のヒドロキシプロポキシル置換(MSHP)、及び20℃で2%の水溶液として測定して3.0mPa・sの粘度を有する。水溶液は、段落「Storage Modulus of Aqueous Solutions of HPMCAS and optionally HPMC」において上述したように調製する。
実施例1〜18及び比較例A〜Hの水溶液のレオロジー測定を実施して、貯蔵弾性率G′を温度の関数として測定する。レオロジー測定から得られる貯蔵弾性率G′は、溶液の弾性特性を表し、貯蔵弾性率G′が損失弾性率G′′より高い場合には高温領域におけるゲル強度を表す。
実施例1〜4ならびに比較例A及びBの水性組成物の温度の関数としての貯蔵弾性率G′を図1に示す。
比較例A(2.0%のHPMCAS−I)は、最大で約65℃の穏やかに上昇した温度で高い貯蔵弾性率G′(ゲル強度)を示す。しかしながら、約65℃を超える温度では、貯蔵弾性率G′は、ゲルのシネレシスのため分解する。比較例B(5.0%のHPMCAS−I)の水性組成物について同様の観察がなされる。
実施例1〜4の水性組成物の最大ゲル強度は、比較例A及びBのものほど高くはないが、65℃を超える温度では、貯蔵弾性率G′の大幅な減少は観察されない。
図2に示されている比較例C及びDならびに実施例5〜9の組成物について非常に類似した観察がなされる。約60℃を超える温度では、実施例B及びCの水性組成物の貯蔵弾性率G′は、ゲルのシネレシスのため分解する。実施例5〜9の水性組成物の最大ゲル強度は、比較例C及びDのものほど高くはないが、65℃を超える温度では、貯蔵弾性率G′の大幅な減少は観察されない。
図4に示されている比較例E及びFならびに実施例10〜13の組成物について、及び図3に示されている比較例G及びHならびに実施例14〜18の組成物について、再び非常に類似した観察がなされる。
ゲル化
以下の表4に列挙されている実施例及び比較例の水溶液を、ガラスボトル内で、以下の表4に列挙されている温度に水溶液を60分間加熱することによってゲル化させた。
シネレシス度は、視覚的検査によって評価され、以下の評価が与えられる。
1:視認可能なシネレシスなし;ゲル化した水溶液を含有するガラスボトルは、ゲルを流動させることなく、逆さまにすることができる。逆さまになったボトルでは、ゲルは頂部に留まり、下方に流動しない。
2:少量の水が視認可能に排出される。ゲル化した水溶液を含有するガラスボトルを逆さまにした場合、ゲルの体積はゲルからの水の排出のために幾分収縮するので、ゲルの塊は頂部に留まらず下方に落ちる。
3:評定2よりも多い量の水が視認可能に排出される;評定2のようなゲルの重力挙動;ゲルの体積はゲルからの水の排出のために明らかに収縮する。
4:評定3よりも多い量の水が視認可能に排出される;排出される液体の体積は、残存するゲルの体積よりも多い;ゲルの体積はゲルからの水の排出のために大幅な程度まで収縮する。
5:評定4よりも多い量の水が視認可能に排出される;排出される液体の体積は、残存するゲルの体積よりも大幅に多い;ゲルの体積はゲルからの水の排出のために高い程度まで収縮する。
6:評定5よりも多い量の水が視認可能に排出される;排出される液体の体積は、残存するゲルの体積よりもはるかに多い;ゲルの体積はゲルからの水の排出のために非常に高い程度まで収縮する。
(態様)
(態様1)
a)脂肪族一価アシル基及び式−C(O)−R−COOH(Rは二価の炭化水素基である)の基を含むエステル化セルロースエーテルであって、I)前記基−C(O)−R−COOHの中和度が0.4以下であり、II)総エステル置換度が0.03〜0.70である、エステル化セルロースエステルと、
b)20℃で2重量%の水溶液として測定して、1.2〜200mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルと、を含む、組成物。
(態様2)
成分a)における前記総エステル置換度が0.20〜0.60である、態様1に記載の組成物。
(態様3)
成分a)において前記脂肪族一価アシル基がアセチル、プロピオニル、またはブチリル基であり、前記式−C(O)−R−COOHの前記基が−C(O)−CH −CH −COOH基である、態様1または2に記載の組成物。
(態様4)
成分a)がエステル化ヒドロキシアルキルアルキルセルロースである、態様1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
(態様5)
成分a)がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートである、態様1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
(態様6)
前記エステル化セルロースエーテルa)が、2℃で少なくとも2.0重量パーセントの、水への溶解性を有する、態様1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
(態様7)
前記セルロースエーテルb)が、20℃で2重量%の水溶液として測定して、2.8〜5.0mPa・sの粘度を有する、態様1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
(態様8)
前記セルロースエーテルb)がヒドロキシアルキルアルキルセルロースである、態様1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
(態様9)
前記セルロースエーテルb)がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、態様1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
(態様10)
成分a)及びb)の総重量を基準として、15〜85パーセントの成分a)及び85〜15パーセントの成分b)を含む、態様1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
(態様11)
水溶液の形態の態様1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
(態様12)
0.5〜20パーセントの溶解した成分a)及び0.5〜15パーセントの溶解した成分b)を含み、各百分率が前記水溶液の総重量を基準とする、水溶液の形態の態様11に記載の組成物。
(態様13)
ゲルの形態の態様1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
(態様14)
脂肪族一価アシル基及び式−C(O)−R−COOH(Rは二価の炭化水素基である)の基を含むエステル化セルロースエーテルであって、I)前記基−C(O)−R−COOHの中和度が0.4以下であり、II)総エステル置換度が0.03〜0.70である、エステル化セルロースエステルの水溶液から形成されたゲルの温度変化によって誘発されるシネレシスを減少または防止する方法であって、前記ゲルが形成される前に、20℃で2重量%の水溶液として測定して、1.2〜200mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルを前記水溶液に添加する、方法。
(態様15)
コーティングされた剤形またはポリマーカプセルシェルであって、前記コーティングまたは前記ポリマーカプセルシェルが、態様1〜13のいずれか1項に記載の組成物から作製される、コーティングされた剤形またはポリマーカプセルシェル。

Claims (7)

  1. a)脂肪族一価アシル基及び式−C(O)−R−COOH(Rは二価の炭化水素基である)の基を含むエステル化セルロースエーテルであって、I)前記基−C(O)−R−COOHの中和度が0.4以下であり、II)総エステル置換度が0.10〜0.67であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)である、エステル化セルロースエステルと、
    b)20℃で2重量%の水溶液として測定して、1.2〜200mPa・sの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であるセルロースエーテルと、を含み、および
    前記エステル化セルロースエーテルa)と前記セルロースエーテルb)とを含む水溶液の総重量を基準として、2.0〜5.0%のHPMCASおよびHPMCと1.0〜3.5%のHPMCASと0.6〜3.5%のHPMCとを含む、水溶液またはゲルの形態の組成物。
  2. 成分a)においてII)総エステル置換度が0.42〜0.67である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記水溶液の総重量を基準として、2.0〜5.0%の総ポリマーと1.4〜3.5%のHPMCASと0.6〜3.5%のHPMCとを含む、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記エステル化セルロースエーテルa)が、2℃で少なくとも2.0重量パーセントの、水への溶解性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記セルロースエーテルb)が、20℃で2重量%の水溶液として測定して、2.8〜5.0mPa・sの粘度を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. エステル化セルロースエーテルa)の水溶液から形成されたゲルの温度変化によって誘発されるシネレシスを減少または防止する方法であって、前記ゲルが形成される前に、請求項1に記載の組成物の前記セルロースエーテルb)請求項1に記載の組成物の前記エステル化セルロースエーテルa)の水溶液に添加する、方法。
  7. コーティングされた剤形またはポリマーカプセルシェルであって、前記コーティングまたは前記ポリマーカプセルシェルが、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物から作製される、コーティングされた剤形またはポリマーカプセルシェル。
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