JP2018515657A - 高分子量のエステル化セルロースエーテルを調製するプロセス - Google Patents

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Abstract

増加した重量平均分子量のエステル化セルロースエーテルは、セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物及びジカルボン酸無水物と反応させるためのプロセスにおいて生成され、本プロセスは、a)セルロースエーテル、ジカルボン酸無水物、及び反応希釈剤を含む反応混合物を調製し、反応混合物の成分を混合する前、混合中、または混合した後に、反応混合物を60℃〜110℃の温度に加熱するステップと、b)モノカルボン酸無水物をステップa)の反応混合物に連続してまたは少なくとも3回に分けて添加し、反応を完了させるステップと、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、エステル化セルロースエーテルの改善されたプロセスに関する。
セルロースエーテルのエステル、それらの使用、及びそれらを調製するためのプロセスが、当該技術分野において一般的に知られている。既知のセルロースエーテル−エステルの生成方法は、例えば、米国特許第4,226,981号及び同第4,365,060号に記載されるように、セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物またはジ−もしくはトリカルボン酸無水物、あるいはこれらの組み合わせと反応させることを含む。
セルロースエーテルの様々な既知のエステルは、フタル酸メチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸メチルセルロース、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)など、医薬剤形用の腸溶性ポリマーとして有用である。腸溶性ポリマーは、胃の酸性環境における溶解に耐性であるポリマーである。かかるポリマーでコーティングされた剤形は、酸性環境において薬物を不活性化もしくは分解から保護するか、または薬物による胃の刺激を阻止する。米国特許第4,365,060号は、優れた腸溶挙動を有すると言われる腸溶カプセルを開示する。
欧州特許出願第EP0219426号は、(a)エーテル形成基としてヒドロキシプロポキシル基を有するセルロースエーテル(そのうち2重量%の水溶液が20℃で少なくとも5センチポアズの粘度を有する)を、(c)アルカリ金属酢酸塩及び酢酸の組み合わせの存在下で、(b)ジカルボン酸無水物、または脂肪族モノカルボン酸の無水物とのそれの混合物と反応させる、セルロースエーテルの腸溶性酸性ジカルボン酸エステルを生成するためのプロセスを開示する。EP0219426は、少なくとも6センチポアズの粘度を有するセルロースエーテルから生成された酸性のジカルボン酸エステルが、人工胃液に対して耐性を有した錠剤上の腸溶性フィルムコーティング材料をもたらしたことを示す。比較の酸性のジカルボン酸エステルが、わずか3センチポアズの粘度を有するセルロースエーテルから生成された際、相当な数の錠剤が人工胃液中で崩壊した。高粘度のセルロースエーテルから生成された酸性のジカルボン酸エステルは、酸性のジカルボン酸エステルを生成するための比較可能なプロセス及びレシピパラメータが適用される場合、低粘度のセルロースエーテルから生成された分子量よりも高い分子量を有する。
先行技術、例えば、国際特許出願第WO2005/115330号に公開されるように、HPMCASは、難水溶性薬物の生物学的利用能を増加させるのにも有用であることが知られている。これは、70%近くの新薬候補が低水溶性化合物であるため、非常に重要なものである。一般的規則として、難水溶性薬物は、低生物学的利用能を有する。HPMCASは、薬物の結晶性を低減し、それにより薬物の溶解に必要な活性化エネルギーを最小に抑え、加えて薬物分子の周囲に親水性状態を確立し、それにより薬物自体の溶解度を改善してその生物学的利用能、すなわち、摂取時の個人によるそのインビボ吸収を増加させることを目的とする。HPMCASの大きな有用性を鑑みて、多大な研究がHPMCASの修飾及びそれらを調製するためのプロセスに費やされた。
国際特許出願第WO2005/115330号及び同第WO2011/159626号は、置換レベルの特定の組み合わせを有するHPMCASポリマーを開示する。
国際特許出願第WO2014/133885号は、スクシノイル基及びアセチル基の特定の置換パターンのHPMCASを開示する。HPMCASは、酢酸及びコハク酸を別個のステップでヒドロキシプロピルメチルセルロースと反応させることにより生成される。
HPMCASの置換レベル及び置換パターンが難水溶性薬物の生物学的利用能を増加させるその能力に対して影響を与えることは、当該技術分野において認識されている。HPMCASのようなエステル化セルロースエーテルの分子量も難水溶性薬物の生物学的利用能を増加させるその能力に対して重要な影響を与えると考えられている。Edgar et al.,Cellulose(2007),14:49−64は、分子量のみが実質的に異なる、類似する組成の2つのCAB(酢酸酪酸セルロース)を用いたテオフィリンの微粒子形成に対する研究について述べている。テオフィリンの放出は、高ポリマー分子量により劇的に緩徐され、小さい粒径により劇的に加速され、高粘度溶液からの粒子形成により実質的低減された。
国際特許出願第WO2014/031447号及び同第WO2014/031448号は、HPMCASの分子量の制御方法を開示する。WO2014/031447は、HPMCASの分子量がモル比[脂肪族カルボン酸/セルロースエーテルの無水グルコース単位]の減少と共に増加することを開示する。WO2014/031448は、HPMCASの分子量がモル比[アルカリ金属カルボキシレート/セルロースエーテルの無水グルコース単位]の増加と共に増加することを開示する。脂肪族カルボン酸及びアルカリ金属カルボキシレートは、それぞれ、反応希釈剤及び反応触媒として使用される。
HPMCASのようなエステル化セルロースエーテルの大きな利用性及び重要性を鑑みて、当該技術分野を強化し、エステル化セルロースエーテルの新しい生成方法を見出すことが本発明の目的である。高分子量エステル化セルロースエーテルの新しい生成方法を見出すことが本発明の好ましい目的である。
意外にも、反応物、すなわち、セルロースエーテル及びエステル化剤の種類及び量、ならびに希釈剤及び反応触媒などの他の成分の種類及び量が既知のプロセスと同じであるときでさえ、セルロースエーテルのエステルの重量平均分子量がセルロースエーテルをエステル化するためのプロセスにおいてある特定のプロセスパラメータを変更することにより増加され得ることが見出された。
本発明の一態様は、セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物及びジカルボン酸無水物と反応させるためのプロセスであり、本プロセスは、
a)セルロースエーテル、ジカルボン酸無水物、及び反応希釈剤を含む反応混合物を調製し、反応混合物の成分を混合する前、混合中、または混合した後に、反応混合物を60℃〜110℃の温度に加熱するステップと、
b)モノカルボン酸無水物をステップa)の反応混合物に連続してまたは少なくとも3回に分けて添加し、反応を完了させるステップと、を含む。
本発明の別の態様は、セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物及びジカルボン酸無水物と反応させるためのプロセスにおいて、増加した重量平均分子量のエステル化セルロースエーテルを生成する方法であり、本プロセスは、
a)セルロースエーテル、ジカルボン酸無水物、及び反応希釈剤を含む反応混合物を調製し、反応混合物の成分を混合する前、混合中、または混合した後に、反応混合物を60℃〜110℃の温度に加熱するステップと、
b)モノカルボン酸無水物をステップa)の反応混合物に連続してまたは少なくとも3回に分けて添加し、反応を完了させることにより、増加した重量平均分子量のエステル化セルロースエーテルを生成するステップと、を含む。
本発明のプロセスにおいて出発材料として使用されるセルロースエーテルは、本発明の文脈において無水グルコース単位として表される、β−1,4グリコシド結合したD−グルコピラノース繰り返し単位を有するセルロース骨格を有する。セルロースエーテルは、好ましくは、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、またはヒドロキシアルキルアルキルセルロースである。これは、本発明のプロセスにおいて利用されるセルロースエーテルにおいて、無水グルコース単位のヒドロキシル基の少なくとも一部が、アルコキシル基もしくはヒドロキシアルコキシル基、またはアルコキシル基とヒドロキシアルコキシル基との組み合わせにより置換されていることを意味する。ヒドロキシアルコキシル基は、典型的には、ヒドロキシメトキシル、ヒドロキシエトキシル、及び/またはヒドロキシプロポキシル基である。ヒドロキシエトキシル及び/またはヒドロキシプロポキシル基が好ましい。典型的には、ヒドロキシアルコキシル基の1種または2種がセルロースエーテルに存在する。好ましくは、単一種のヒドロキシアルコキシル基、より好ましくはヒドロキシプロポキシルが存在する。アルコキシル基は、典型的には、メトキシル、エトキシル、及び/またはプロポキシル基である。メトキシル基が好ましい。
上記で定義されたセルロースエーテルの例は、メチルセルロース、エチルセルロース、及びプロピルセルロースなどのアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、及びヒドロキシブチルエチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ならびにヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの2つ以上のヒドロキシアルキル基を有するものが挙げられる。最も好ましくは、セルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルメチルセルロースである。
ヒドロキシアルコキシル基による無水グルコース単位のヒドロキシル基の置換度は、ヒドロキシアルコキシル基のモル置換、すなわちMS(ヒドロキシアルコキシル)によって表示される。MS(ヒドロキシアルコキシル)は、セルロースエーテルにおける無水グルコース単位当たりのヒドロキシアルコキシル基の平均モル数である。ヒドロキシアルキル化反応の間に、セルロース骨格に結合したヒドロキシアルコキシル基のヒドロキシル基は、アルキル化剤、例えば、メチル化剤、及び/またはヒドロキシアルキル化剤によって更にエーテル化され得ることを理解されたい。無水グルコース単位の同じ炭素原子位置に対する複数のその後のヒドロキシアルキル化エーテル化反応は側鎖を生み出し、その場合、複数のヒドロキシアルコキシル基がエーテル結合によって互いに共有結合しており、各側鎖は全体としてセルロース骨格にヒドロキシアルコキシル置換基を形成している。
故に、「ヒドロキシアルコキシル基」という用語は、ヒドロキシアルコキシル置換基の構成単位としてのヒドロキシアルコキシル基を指すものとして、MS(ヒドロキシアルコキシル)の文脈において解釈されるべきであり、上に概説されるように、単一のヒドロキシアルコキシル基または側鎖を含み、2つ以上のヒドロキシアルコキシ単位は、エーテル結合によって互いに共有結合している。この定義内で、ヒドロキシアルコキシル置換基の末端ヒドロキシル基が更にアルキル化、例えばメチル化されるかどうかは重要ではなく、アルキル化及び非アルキル化両方のヒドロキシアルコキシル置換基が、MS(ヒドロキシアルコキシル)の決定に対して含まれる。本発明のプロセスに利用されるセルロースエーテルは、一般に、0.05〜1.00、好ましくは0.08〜0.90、より好ましくは0.12〜0.70、最も好ましくは0.15〜0.60、特に0.20〜0.40の範囲のヒドロキシアルコキシル基のモル置換を有する。
無水グルコース1単位当たりの、メトキシル基等のアルコキシル基によって置換されたヒドロキシル基の平均数は、アルコキシル基の置換度、すなわち、DS(アルコキシル)と称される。上記のDSの定義において、「アルコキシル基によって置換されたヒドロキシル基」という用語は、本発明内では、セルロース骨格の炭素原子に直接結合したアルキル化ヒドロキシル基だけでなく、セルロース骨格に結合したヒドロキシアルコキシル置換基のアルキル化ヒドロキシル基も包含するものとして解釈されるべきである。本発明のプロセスに利用されるセルロースエーテルは、一般に、1.0〜2.5、好ましくは1.1〜2.4、より好ましくは1.2〜2.2、最も好ましくは1.6〜2.05、特に1.7〜2.05の範囲のDS(アルコキシル)を有する。
アルコキシル基の置換度及びヒドロキシアルコキシル基のモル置換は、ヨウ化水素によるセルロースエーテルのツアイゼル開裂(Zeisel cleavage)及び後続の量的ガスクロマトグラフィー分析によって決定され得る(G.Bartelmus and R.Ketterer,Z.Anal.Chem.,286(1977)161−190)。最も好ましくは、本発明のプロセスに利用されるセルロースエーテルは、DS(アルコキシル)について上に示した範囲内のDS(メトキシル)及びMS(ヒドロキシアルコキシル)について上に示した範囲内のMS(ヒドロキシプロポキシル)を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
本発明のプロセスにおいて出発材料として使用されるセルロースエーテルは、ASTM D2363−79(再承認2006)に従って20℃において2重量%の水溶液として測定して、一般に、200mPa・sまで、好ましくは100mPa・sまで、より好ましくは50mPa・sまで、最も好ましくは5mPa・sまでの粘度を有する。一般に、それらの粘度は、20℃において2重量%の水溶液として測定して、少なくとも1.2mPa・s、典型的には少なくとも1.8mPa・s、更により典型的には少なくとも2.4mPa・s、最も典型的には少なくとも2.8mPa・sである。かかる粘度のセルロースエーテルは、高粘度のセルロースエーテルを部分的解重合プロセスに供することにより得ることができる。部分的解重合プロセスは、当該技術分野において周知であり、例えば、欧州特許出願第EP1141029号、同第EP0210917号、同第EP1423433号、及び米国特許第4,316,982号に記載されている。あるいは、部分的解重合は、セルロースエーテルの生成の間に、例えば酸素または酸化剤の存在によって達成することができる。
本発明のプロセスにおいて利用されるセルロースエーテルの無水グルコース単位のモル数は、DS(アルコキシル)及びMS(ヒドロキシアルコキシル)からの置換無水グルコース単位の平均分子量を計算することにより、出発材料として使用されるセルロースエーテルの重量から決定することができる。
本発明のプロセスのステップa)において、セルロースエーテル、ジカルボン酸無水物、及び反応希釈剤を含む反応混合物が調製される。好ましいジカルボン酸無水物は、無水コハク酸、無水マレイン酸、または無水フタル酸である。無水コハク酸または無水フタル酸がより好ましい。無水コハク酸が最も好ましいジカルボン酸無水物である。ジカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比は、一般に、少なくとも0.01/1、好ましくは少なくとも0.04/1、より好ましくは少なくとも0.2/1である。ジカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比は、一般に、2.5/1まで、好ましくは1.5/1まで、より好ましくは1/1までである。
反応希釈剤は、酢酸、プロピオン酸、または酪酸などの脂肪族カルボン酸である。反応希釈剤は、ジクロロメタンまたはジクロロメチルエーテルなどのハロゲン化C−C誘導体などの、室温で液体でありかつセルロースエーテルと反応しない他の溶媒または希釈剤を少量含むことができるが、脂肪族カルボン酸の量は、反応希釈剤の総重量を基準として、一般に、50パーセントを超え、好ましくは少なくとも75パーセント、より好ましくは少なくとも90パーセントである。最も好ましくは、反応希釈剤は、本質的に脂肪族カルボン酸からなる。ステップa)における反応混合物は、一般に、セルロースエーテルの100重量部当たり100〜2,000重量部、好ましくは100〜1,000重量部、より好ましくは100〜250重量部の反応希釈剤を含む。
加えて、本発明のプロセスのステップa)における反応混合物は、典型的には、エステル化触媒、好ましくは酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムなどのアルカリ金属カルボキシレートを含む。アルカリ金属カルボキシレートの量は、好ましくはセルロースエーテルの100重量部当たり20〜200重量部のアルカリ金属カルボキシレートである。
本発明のプロセスのステップa)における反応混合物は、反応混合物の成分を混合する前、混合中、または混合した後に、60℃〜110℃、好ましくは70℃〜100℃の温度に加熱される。好ましい実施形態では、セルロースエーテル、反応希釈剤、及び典型的にはエステル化触媒が攪拌下で最初に言及される温度範囲に加熱され、その温度範囲で15〜120分間、好ましくは30〜90分間維持され、続いてジカルボン酸の無水物が添加される。
本発明のプロセスのステップb)において、脂肪族モノカルボン酸無水物が連続してまたは少なくとも3回に分けて、好ましくは少なくとも4回に分けて、より好ましくは少なくとも5回に分けて、最も好ましくは少なくとも6回に分けてステップa)の反応混合物に添加され、反応が完了する。好ましい脂肪族モノカルボン酸無水物は、無水酢酸、無水酪酸、及び無水プロピオン酸である。好ましくは、脂肪族モノカルボン酸無水物は、連続してまたは4〜40回に分けて、より好ましくは5〜20回に分けて、更により好ましくは6〜15回に分けて、最も好ましくは7〜10回に分けて添加される。好ましくは、脂肪族モノカルボン酸無水物の1回の量はほぼ同量のものである。脂肪族モノカルボン酸無水物は、好ましくは、30分〜12時間の時間期間にわたって、より好ましくは4〜10時間、最も好ましくは5〜8時間の時間期間にわたって添加される。脂肪族モノカルボン酸の無水物の総量とセルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比は、一般に、0.1/1以上、好ましくは0.3/1以上、より好ましくは0.5/1以上、最も好ましくは1.0/1以上、特に2.0/1以上である。脂肪族モノカルボン酸無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比は、一般に、10/1以下、好ましくは8/1以下、より好ましくは6/1以下、最も好ましくは4/1以下、特に3.5/1以下である。最後の量の脂肪族モノカルボン酸無水物を添加した後、反応混合物を、更に10分〜12時間、好ましくは30分〜3時間、60℃〜110℃、好ましくは70℃〜100℃の範囲に維持する。
より好ましくは、セルロースエーテルは、無水酢酸、無水酪酸、及び無水プロピオン酸からなる群から選択される脂肪族モノカルボン酸無水物と組み合わせて無水コハク酸または無水フタル酸でエステル化される。より好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、無水コハク酸及び無水酢酸と反応して、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生成する。
エステル化反応の完了後、反応生成物を、既知の手法で、例えば、米国特許第4,226,981号、国際特許出願第WO2005/115330号、または欧州特許出願第EP0219426号などに記載される、反応混合物を大量の水と接触させることにより、反応混合物から沈殿させることができる。本発明の好ましい実施形態では、反応生成物を、WO2013/148154として公開された国際特許出願第PCT/US13/030394号に記載されるように、反応混合物から沈殿させて、エステル化セルロースエーテルを粉末形態で生成する。
本発明のプロセスにより、式−C(O)−R−COOH(式中、Rは、−C(O)−CH−CH−COOH、−C(O)−CH=CH−COOH、または−C(O)−C−COOHなどの二価の脂肪族または芳香族炭化水素基、及びアセチル、プロピオニル、またはn−ブチリルもしくはi−ブチリルなどのブチリルなどの一価のアシル基である)の基を含む、好ましいエステル化セルロースエーテルが生成される。エステル化セルロースエーテルの具体的な例は、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAP)、酢酸マレイン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAM)、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS);酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース(HPCAS)、プロピオン酸コハク酸ヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMCPrS)、プロピオン酸コハク酸ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース(HEHPCPrS);または酢酸コハク酸メチルセルロース(MCAS)である。酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)が最も好ましいエステル化セルロースエーテルである。
本発明のプロセスに従って生成されたエステル化セルロースエーテルは、一般に、少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.10、より好ましくは少なくとも0.25の、アセチル、プロピオニル、またはブチリル基などの脂肪族一価アシル基の置換度を有する。エステル化セルロースエーテルは、一般に、1.5まで、好ましくは1.0まで、より好ましくは0.6までの脂肪族一価アシル基の置換度を有する。エステル化セルロースエーテルは、一般に、少なくとも0.01、好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.10の、スクシノイルなどの式−C(O)−R−COOHの基の置換度を有する。エステル化セルロースエーテルは、一般に、1.3まで、好ましくは0.8まで、より好ましくは0.5までの式−C(O)−R−COOHの基の置換度を有する。
総エステル置換度は、一般に、少なくとも0.06、好ましくは少なくとも0.10、より好ましくは少なくとも0.20、最も好ましくは少なくとも0.25である。総エステル置換度は、一般に、1.5以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは0.90以下、最も好ましくは0.70以下である。
アセテート及びスクシネートエステル基の含有量は、「Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF29,pp.1548−1550」に従って決定される。報告された値は揮発性物質について補正される(上記のHPMCASモノグラフのセクション「loss on drying」に記載されているように決定される)。本方法は、プロピオニル、ブチリル、フタリル、及び他のエステル基の含有量を決定するために類似の手法で使用してよい。エステル化セルロースエーテルにおけるエーテル基の含有量は、“Hypromellose”,United States Pharmacopeia and National Formulary,USP35,pp3467−3469に記載されているものと同じ手法で決定される。上記の分析によって得られたエーテル及びエステル基の含有量は、以下の式に従って個々の置換基のDS及びMS値に変換される。その式は、他のセルロースエーテルエステルの置換基のDS及びMSを決定するために類似の手法で使用してよい。
慣例により、重量パーセントは、全ての置換基を含むセルロース繰り返し単位の総重量を基準とする平均重量百分率である。メトキシル基の含有量は、メトキシル基の質量(すなわち、−OCH)の質量を基準として報告される。ヒドロキシアルコキシル基の含有量は、ヒドロキシプロポキシル(すなわち、−O−CHCH(CH)−OH)などのヒドロキシアルコキシル基(すなわち、−O−アルキレン−OH)の質量を基準として報告される。脂肪族一価アシル基の含有量は、−C(O)−R(式中、Rは、アセチル(−C(O)−CH)などの一価脂肪族基である)の質量を基準として報告される。式−C(O)−R−COOHの基の含有量は、この基の質量、例えばスクシノイル基(すなわち、−C(O)−CH−CH−COOH)の質量を基準として報告される。
驚くべき高重量平均分子量Mを有するエステル化セルロースエーテルは、本発明のプロセスにより生成される。典型的には、500,000ダルトンまで、より典型的には450,000ダルトンまで、最も典型的には400,000ダルトンまでのエステル化セルロースエーテルが本発明のプロセスにより生成される。一般に、それらは、少なくとも100,000ダルトン、好ましくは少なくとも150,000ダルトン、より好ましくは少なくとも200,000ダルトン、更により好ましくは少なくとも250,000ダルトン、最も好ましくは少なくとも300,000ダルトンの重量平均分子量Mを有する。意外にも、反応混合物に、i)ジカルボン酸無水物または脂肪族モノカルボン酸無水物のいずれも連続してもしくは少しずつ添加されない、またはii)ジカルボン酸無水物は連続してもしくは少しずつ添加されるが、脂肪族モノカルボン酸無水物はそうではない、またはiii)ジカルボン酸無水物及び脂肪族モノカルボン酸無水物の両方が連続してもしくは少しずつ添加される比較プロセスよりもかなり高い重量平均分子量Mを有するエステル化セルロースエーテルが本発明のプロセスにより生成されることが分かった。
及びMは、アセトニトリル40体積部と、50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する水性緩衝液60体積部との混合物を移動相として使用して、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743に従って測定される。移動相は8.0のpHに調整される。M及びMの測定は、実施例においてより詳細に記載される。
これより本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例において詳細に記載する。
特に明記しない限り、全ての部及び百分率は重量による。実施例では、以下の試験手順が使用される。
酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)のエーテル及びエステル基の含有量
エステル化セルロースエーテルにおけるエーテル基の含有量は、“Hypromellose”,United States Pharmacopeia and National Formulary,USP35,pp3467−3469に記載されているものと同じ手法で決定された。
アセチル基(−CO−CH)でのエステル置換及びスクシノイル基(−CO−CH−CH−COOH)でのエステル置換は、Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF29,pp.1548−1550」に従って決定された。エステル置換について報告された値は、揮発性物質について補正された(上記のHPMCASモノグラフのセクション「loss on drying」に記載されているように決定される)。
HPMCASのM 及びM の決定
特に明記しない限り、Mw及びMnは、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743に従って測定された。移動相は、アセトニトリル40体積部と、50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する水性緩衝液60体積部との混合物であった。移動相を8.0のpHに調整した。セルロースエーテルエステルの溶液を、0.45μmの孔径のシリンジフィルターを通してHPLCバイアルに濾過した。
より具体的には、利用された化学物質及び溶媒は以下の通りであった。
ポリエチレンオキシド標準物(PEOX 20 K及びPEOX 30 Kと略記される)は、Agilent Technologies,Inc.Palo Alto,CA、カタログ番号PL2083−1005及びPL2083−2005から購入した。
アセトニトリル(HPLCグレード≧99.9%、CHROMASOL plus)、カタログ番号34998、水酸化ナトリウム(半導体グレード、99.99%、微量の金属塩基)、カタログ番号306576、水(HPLCグレード、CHROMASOLV Plus)カタログ番号34877、及び硝酸ナトリウム(99.995%、微量の金属塩基)カタログ番号229938は、Sigma−Aldrich,Switzerlandから購入した。
リン酸二水素ナトリウム(≧99.999% TraceSelect)、カタログ番号71492は、FLUKA,Switzerlandから購入した。
5mg/mLのPEOX20 Kの正規化溶液、2mg/mLのPEOX30 Kの標準溶液、及び2mg/mLのHPMCASのサンプル溶液は、計量したポリマー量をバイアルに添加し、それを測定した移動相容積で溶解することにより調製された。全ての溶液は、PTFEコーティングされた磁気攪拌棒を使用して攪拌しながら、蓋付きバイアル中で24時間、室温で溶解させた。
正規化溶液(PEOX 20k、単一調製、N)及び標準溶液(PEOX30 K、2重調製、S1及びS2)を、0.02μmの孔径及び25mmの直径のシリンジフィルター(Whatman Anatop 25、カタログ番号6809−2002)、Whatmanを通してHPLCバイアルに濾過した。
試験サンプル溶液(HPMCAS、2つ組で調製、T1、T2)及び実験室標準品(HPMCAS、単一調製、LS)を、0.45μmの孔径のシリンジフィルター(ナイロン、例えば、Acrodisc 13mm VWR カタログ番号514−4010)を通してHPLCバイアルに濾過した。
クロマトグラフィー条件及び実行シーケンスは、Chen,R.et al.;Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743− 748)に記載されるように行われた。SEC−MALLS機器の設定には、Agilent Technologies,Inc.Palo Alto,CAからのHP1100 HPLCシステム、DAWN Heleos II 18角度レーザー光散乱検出器、及びOPTILAB rex示差屈折率検出器(両方ともWyatt Technologies,Inc.Santa Barbara,CA)が含まれた。分析用サイズ排除カラム(TSK−GEL(登録商標)GMPWXL、300×7.8mm)は、Tosoh Bioscienceから購入した。OPTILAB及びDAWNの両方とも35℃で操作された。分析用SECカラムは室温(24±5℃)で操作された。移動相は、以下のように調製されたアセトニトリル40体積部と、50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する水性緩衝液60体積部との混合物であった。
水性緩衝液:7.20gのリン酸二水素ナトリウム及び10.2gの硝酸ナトリウムを、溶解するまで攪拌下で清潔な2Lのガラス瓶中の1.2Lの精製水に添加した。
移動相:800mLのアセトニトリルを、上で調製した1.2Lの水性緩衝液に添加し、良好な混合物が得られるまで攪拌し、温度を周囲温度に平衡化した。
10MのNaOHで移動相を8.0にpH調整し、0.2mのナイロン膜フィルターを通して濾過した。流速は0.5mL/分で、インライン脱気した。注入量は100μLであり、分析時間は35分であった。
HPMCASに0.120mL/gのdn/dc値(屈折率増分)を使用して、MALLSデータを収集し、Wyatt ASTRAソフトウェア(バージョン5.3.4.20)で処理した。検出器番号1−4、17、及び18の光散乱シグナルは分子量計算に使用されなかった。代表的なクロマトグラフィー実行シーケンスを以下に示す:B、N、LS、S1(5x)、S2、T1(2x)、T2(2x)、T3(2x)、T4(2x)、S2、T5(2x)等、S2、LS、W、ここで、Bは移動相のブランク注入を表し、N1は正規化溶液を表し、LSは実験標準HPMCASを表し、S1及びS2は、それぞれ、標準溶液1及び2を表し、T1、T2、T3、T4、及びT5は試験サンプル溶液を表し、Wは水の注入を表す。(2x)及び(5x)は、同じ溶液の注入数を示す。
OPTILAB及びDAWNの両方は、製造業者の推奨手順及び頻度に従って、定期的に較正された。5mg/mLのポリエチレンオキシド標準品(PEOX20 K)の100μLの注入は、各実行シーケンスに関して、90°検出器に対して全角度光散乱検出器を正規化するために採用された。
この単分散ポリマー標準品の使用は決定されるOPTILABとDAWNとの間の容積遅延(volume delay)を可能にし、屈折率シグナルに対する光散乱シグナルの適切な整合を可能にする。これは、各データスライスに関する重量平均分子量(Mw)の計算に必要である。
実施例1のHPMCASの生成
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、氷酢酸、及び酢酸ナトリウムを、以下の表1に列挙される量で、反応槽中に導入した。HPMCの量は乾燥ベースで計算された。HPMCは、以下の表2に列挙されるように、メトキシル置換(DS)及びヒドロキシプロポキシル置換(MSHP)を有し、ASTM D2363−79(再承認2006)による20℃において2重量%の水溶液として測定して、約3mPa・sの粘度を有していた。HPMCは、The Dow Chemical CompanyからMethocel E3 LV Premiumセルロースエーテルとして商業的に入手可能である。酢酸ナトリウム及びHPMCを、攪拌下で1時間、85℃の酢酸に溶解した。その後、以下の表1に列挙されるように、無水コハク酸の全量を反応器に素早く添加した。その直後、37.78gの無水酢酸を反応器に添加した。20分、40分、60分、80分、及び100分の各時間後に、追加の37.78gの無水酢酸を反応器に添加した。120分後、26.8gの無水酢酸を反応器に添加した。85℃での合計反応時間は5時間であり、無水酢酸の1回目分の添加から計算された。生成物を反応器から取り出し、1.8Lの水中で沈殿させ、5,200rpmで稼働するUltra−Turrax撹拌機S50−G45を使用して高剪断混合を適用することにより、21℃の温度の水で洗浄した。高純度のHPMCASを得るために、洗浄は、間に濾過ステップを置いて、数回に分けて行われた。最後の濾過ステップ後、生成物を一晩50℃で乾燥させた。
比較例AのHPMCASの生成
実施例1と同じHPMC、氷酢酸、及び酢酸ナトリウムを、以下の表1に列挙される量で、反応槽中に導入した。酢酸ナトリウム及びHPMCを、攪拌下で1時間、85℃の酢酸に溶解した。その後、以下の表1に列挙されるように、無水コハク酸及び無水酢酸の全量を反応器に素早く添加した。無水コハク酸及び無水酢酸の添加から計算して、反応混合物を85℃で5時間反応させた後、撹拌下で1.8Lの水を反応器に添加して、HPMCASを沈殿させた。沈殿生成物を反応器から取り出し、5,200rpmで稼働するUltra−Turrax撹拌機S50−G45を使用して高剪断混合を適用することにより、21℃の温度の水で洗浄した。高純度のHPMCASを得るために、洗浄は、間に濾過ステップを置いて、数回に分けて行われた。最後の濾過ステップ後、生成物を一晩50℃で乾燥させた。
比較例BのHPMCASの生成(WO2014/137777において比較例Dとして公開された)
氷酢酸、無水酢酸、実施例1と同じHPMC、無水コハク酸、及び酢酸ナトリウム(無水)を、以下の表1に列挙される量で、十分な攪拌下で反応槽中に導入して、均質な反応混合物を生成した。3.5時間攪拌しながら混合物を85℃で加熱して、エステル化をもたらした。撹拌下で1.8Lの水を反応器に添加して、HPMCASを沈殿させた。沈殿生成物を反応器から取り出し、洗浄し、乾燥させた。
比較例CのHPMCASの生成
実施例1と同じHPMC、氷酢酸、及び酢酸ナトリウムを、以下の表1に列挙される量で、反応槽中に導入した。酢酸ナトリウム及びHPMCを、攪拌下で1時間、85℃の酢酸に溶解した。その後、以下の表1に列挙されるように、無水酢酸の全量を反応器に素早く添加した。次に、8.26gの無水コハク酸を反応器に添加した。20分、40分、60分、80分、及び100分の各時間後に、追加の8.26gの無水コハク酸を反応器に添加した。120分後、5.0gの無水コハク酸を反応器に添加した。85℃での合計反応時間は5時間であり、無水コハク酸の1回目分の添加から計算された。撹拌下で1.8Lの水を反応器に添加して、HPMCASを沈殿させた。沈殿生成物を反応器から取り出し、5,200rpmで稼働するUltra−Turrax撹拌機S50−G45を使用して高剪断混合を適用することにより、21℃の温度の水で洗浄した。高純度のHPMCASを得るために、洗浄は、間に濾過ステップを置いて、数回に分けて行われた。最後の濾過ステップ後、生成物を一晩50℃で乾燥させた。
比較例DのHPMCASの生成
実施例1と同じHPMC、氷酢酸、及び酢酸ナトリウムを、以下の表1に列挙される量で、反応槽中に導入した。酢酸ナトリウム及びHPMCを、攪拌下で1時間、85℃の酢酸に溶解した。次に、37.78gの無水酢酸及び8.26gの無水コハク酸を反応器に添加した。20分、40分、60分、80分、及び100分の各時間後に、37.78gの無水酢酸及び8.26gの無水コハク酸を反応器に添加した。120分後、26.8gの無水酢酸及び5.0gの無水コハク酸を反応器に添加した。85℃での合計反応時間は5時間であり、無水酢酸及び無水コハク酸の1回目分の添加から計算された。撹拌下で1.8Lの水を反応器に添加して、HPMCASを沈殿させた。沈殿生成物を反応器から取り出し、5,200rpmで稼働するUltra−Turrax撹拌機S50−G45を使用して高剪断混合を適用することにより、21℃の温度の水で洗浄した。高純度のHPMCASを得るために、洗浄は、間に濾過ステップを置いて、数回に分けて行われた。最後の濾過ステップ後、生成物を一晩50℃で乾燥させた。
実施例1及び比較例A〜DのHPMCASの性質は、以下の表2に列挙される。表2において、略語は以下の意味を有する。
DS=DS(メトキシル):メトキシル基での置換度、
MSHP=MS(ヒドロキシプロポキシル):ヒドロキシプロポキシル基でのモル置換、
DSAc:アセチル基での置換度、
DS:スクシノイル基での置換度、
ac.anh.:無水酢酸、
succ.anh.:無水コハク酸
以下の表2の結果は、i)無水酢酸または無水コハク酸のいずれも少しずつ添加されない(比較例A及びBにあるように)、またはii)無水コハク酸のみが少しずつ添加される(比較例Cにあるように)、またはiii)無水酢酸及び無水コハク酸が少しずつ添加される(比較例Dにあるように)ときよりも、無水酢酸が少しずつ添加される実施例1において、非常に高い重量平均分子量Mの生成HPMCASが得られることを示す。

Claims (13)

  1. セルロースエーテルを、脂肪族モノカルボン酸無水物及びジカルボン酸無水物と反応させるためのプロセスであって、
    a)前記セルロースエーテル、前記ジカルボン酸無水物、及び反応希釈剤を含む反応混合物を調製し、前記反応混合物の成分を混合する前、混合中、または混合した後に、前記反応混合物を60℃〜110℃の温度に加熱するステップと、
    b)前記モノカルボン酸無水物を、ステップa)の前記反応混合物に連続してまたは少なくとも3回に分けて添加し、前記反応を完了させるステップと、を含む、プロセス。
  2. 前記モノカルボン酸無水物が、ステップa)の前記反応混合物に、異なる反応時間に少なくとも4回に分けて添加される、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記セルロースエーテルが、ASTM D2363−79(2006年に再承認)に従って、20℃の2重量%の水溶液として測定して、1.2〜200mPa・sの粘度を有する、請求項1または請求項2に記載のプロセス。
  4. 前記セルロースエーテルが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、またはヒドロキシアルキルアルキルセルロースである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
  5. 前記セルロースエーテルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項4に記載のプロセス。
  6. 前記セルロースエーテルが、(i)無水コハク酸または無水フタル酸、ならびに(ii)無水酢酸、無水酪酸、及び無水プロピオン酸からなる群から選択される脂肪族モノカルボン酸無水物でエステル化される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
  7. ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、無水コハク酸及び無水酢酸でエステル化されて、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生成する、請求項6に記載のプロセス。
  8. 前記生成されたエステル化セルロースエーテルが、100,000〜500,000ダルトンの重量平均分子量Mを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
  9. 前記脂肪族モノカルボン酸の無水物と前記セルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比が、0.3/1〜4/1である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロセス。
  10. 前記ジカルボン酸の無水物と前記セルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比が、0.04/1〜1.5/1である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロセス。
  11. 前記反応希釈剤が、脂肪族カルボン酸である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロセス。
  12. ステップa)で調製された前記反応混合物が、エステル化触媒を追加で含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
  13. セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物及びジカルボン酸無水物と反応させるためのプロセスにおいて、増加した重量平均分子量のエステル化セルロースエーテルを生成する方法であって、前記プロセスが、
    a)前記セルロースエーテル、前記ジカルボン酸無水物、及び反応希釈剤を含む反応混合物を調製し、前記反応混合物の成分を混合する前、混合中、または混合した後に、前記反応混合物を60℃〜110℃の温度に加熱するステップと、
    b)前記モノカルボン酸無水物をステップa)の前記反応混合物に連続してまたは少なくとも3回に分けて添加し、前記反応を完了させることにより、増加した重量平均分子量のエステル化セルロースエーテルを生成するステップと、を含む、方法。
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