JP6545767B2 - 光ファイバ素線の製造方法及び光ファイバ素線の製造装置 - Google Patents

光ファイバ素線の製造方法及び光ファイバ素線の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ素線の製造方法及び光ファイバ素線の製造装置に関する。
現在、広く用いられている光ファイバ素線は、ガラス製の光ファイバ裸線と、光ファイバ裸線の外側面に形成された樹脂製の被覆とを備えている。被覆は、外部からの衝撃などから光ファイバ裸線を保護する。
特許文献1には、光ファイバ裸線(特許文献1に記載の裸光ファイバ)と、光ファイバ裸線の外側面に形成された1次被覆(特許文献1に記載の内層樹脂を硬化させたもの)及び2次被覆(特許文献1に記載の外層樹脂を硬化させたもの)からなる被覆とを備えた光ファイバ素線の製造装置が記載されている。
特許文献1の図9,10,15に示されているように、この製造装置は、プリフォームを溶融して延伸する線引炉、1次被覆を塗布する第1の塗布装置、2次被覆を塗布する第2の塗布装置、1次被覆を硬化させるための紫外線照射装置、2次被覆を硬化させるための紫外線照射装置、及び、光ファイバ素線を巻き取る巻取ドラム(特許文献1に記載のボビン)を備えている。1次被覆及び2次被覆を構成する樹脂材料としては、紫外線のエネルギーを吸収することによって硬化する紫外線硬化型の樹脂材料(紫外線硬化樹脂とも称する)を採用している。1次被覆及び2次被覆を構成する紫外線硬化樹脂は、硬化することによって被覆として機能する。
特許文献1の図9,10に示された製造装置において、全ての紫外線照射装置は、光ファイバの走行方向を変換するガイドローラの上流側に配置されている。一方、特許文献1の図15に示された製造装置において、一部の紫外線照射装置は、ガイドローラの上流側に配置されており、残りの紫外線照射装置は、ガイドローラの下流側に配置されている。このように紫外線照射装置を配置する場所についてバリエーションがあるものの、特許文献1の図9,10,15に示された各製造装置は、1次被覆及び2次被覆が硬化した状態の光ファイバ素線を巻取ドラムに巻き取るように構成されている。
特開2010−117525号公報(2010年5月27日公開)
しかしながら、特許文献1の図9,10,15に記載されたような従来の製造装置においては、プリフォームから裸光ファイバを線引きする速度、換言すれば、光ファイバ素線を巻取ドラムに巻き取る速度の上限値が、1次被覆及び2次被覆を構成する紫外線硬化樹脂を硬化させる硬化反応によって規制されている。
このように、従来の製造装置には、光ファイバ素線を巻取ドラムに巻き取る速度を高速化する余地がある。換言すれば、光ファイバ素線の製造効率を高める余地がある。
本発明の一態様は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の光ファイバ素線の製造方法及び製造装置と比較して、光ファイバの製造効率を高めることができる製造方法及び製造装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造方法は、線引きされた光ファイバ裸線に紫外線硬化樹脂からなる被覆を塗布することによって光ファイバ素線を得る塗布工程と、前記光ファイバ素線に対して紫外線を照射することによって、前記被覆の表層を硬化させる1次照射工程と、前記光ファイバ素線を巻取ドラムに巻き取る巻き取り工程と、前記巻取ドラムから前記光ファイバ素線を繰り出す繰り出し工程と、前記巻取ドラムから繰り出された前記光ファイバ素線に対して紫外線を照射することによって、前記被覆のうち前記表層以外の領域を硬化させる2次照射工程とを含む。
上述の各工程を含む光ファイバ素線の製造方法によれば、1次照射工程及び2次照射工程の各々を巻き返し工程の前後に独立して実施する。そのため、1次照射工程においては、被覆の表層が硬化していればよく、被覆の全ての領域は、硬化していなくてよい。
そのため、1次照射工程において被覆の表層を硬化させることができる範囲内で、巻取ドラムが光ファイバ素線を巻き取る速度を任意に設定することができる。換言すれば、当該速度を2次照射工程における被覆の表層以外の領域の硬化反応に規制されることなく任意に設定することができる。
したがって、光ファイバ素線を巻取ドラムに巻き取る前に被覆を全ての領域を硬化させる特許文献1に記載の製造方法と比較して、光ファイバ素線を巻取ドラムに巻き取る速度を高速化でき、その結果として、光ファイバ素線の製造効率を高めることができる。
なお、特許文献1には、巻取ドラムから繰り出された光ファイバ素線に対して、(1)オーバーコート層を構成する紫外線硬化樹脂を塗布し、(2)紫外線を照射してこの紫外線硬化型樹脂を硬化させる方法が記載されている。しかしながら、この紫外線照射は、あくまでオーバーコート層を構成する紫外線硬化樹脂を硬化させるためのものであり、オーバーコート層の下の被覆は、巻取ドラムに巻き取る前に硬化させる必要がある。したがって、特許文献1に記載の方法では、本願発明のように光ファイバ素線の製造効率を高めることはできない。
また、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造方法において、前記塗布工程は、前記光ファイバ裸線の外側面に第1の紫外線硬化樹脂からなる1次被覆を塗布する1次塗布工程と、前記1次被覆の外側面に前記第1の紫外線硬化樹脂とは異なる第2の紫外線硬化樹脂からなる2次被覆を塗布する2次塗布工程と、を含み、前記1次照射工程は、前記2次被覆を硬化させ、前記2次照射工程は、前記1次被覆を硬化させる、
ことが好ましい。
本製造方法を用いて製造する光ファイバ素線の被覆は、上述のように、1次被覆と2次被覆とにより構成されていてもよい。光ファイバ素線がこのように構成されている場合にも、本製造方法は、従来の製造方法と比較して、光ファイバ素線の製造効率を高めることができる。
なお、本製造方法において、2次塗布工程は、1次照射工程の前に実施されてもよいし、1次照射工程の後に実施されてもよい。また、1次塗布工程及び2次塗布工程を1次照射工程の前に実施する場合には、1次塗布工程及び2次塗布工程をまとめて実施してもよい。
また、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造方法において、前記2次照射工程において紫外線を発する光源は、1又は複数の発光ダイオードである、ことが好ましい。
第1の紫外線硬化樹脂として第2の紫外線硬化樹脂よりもヤング率が低い紫外線硬化樹脂を採用する場合、2次照射工程において用いる紫外線を発する光源は、発熱量が少ない光源であることが好ましい。
紫外線を発する光源の一例として、水銀ランプやメタルハライドランプなどの紫外放射ランプ(UVランプ)と、発光ダイオードとが挙げられる。発光ダイオードの発熱量は、UVランプの発熱量と比較して大幅に小さい。したがって、2次照射工程において紫外線を発する光源としては、発光ダイオードを好適に利用できる。
また、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造方法における前記被覆の表層が硬化した前記光ファイバ素線において、前記被覆の表層以外の領域は、未硬化又は半硬化した状態である、ことが好ましい。
巻取ドラムが光ファイバ素線を巻き取る速度は、1次照射工程において前記被覆の表層が硬化し、且つ、前記被覆の表層以外の領域が未硬化又は半硬化した状態の光ファイバ素線が得られるように設定されていることが好ましい。巻取ドラムが光ファイバ素線を巻き取る速度をこのように設定することによって、本製造方法は、光ファイバ素線の製造効率を更に高めることができる。
また、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造方法は、前記被覆の表層が硬化した状態の前記光ファイバ素線において、前記被覆の表層以外の領域の硬化度を調べる工程と、前記硬化度に応じて、硬化後の前記被覆の表層以外の領域の硬化度が所望の値に達するように前記2次照射工程における紫外線の照射パラメータを設定する設定工程とを更に備えている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、前記被覆の表層以外の領域の硬化度に応じて、2次照射工程における紫外線の照射パラメータを好適に設定することができる。したがって、2次照射工程において、紫外線を光ファイバ素線に対して過度に照射することを防止できるため、2次照射工程を実施しているときの光ファイバ素線の温度が過度に上昇することを防止できる。したがって、硬化した1次被覆のヤング率を設計時に想定したヤング率に近づけることができる。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造装置は、線引きされた光ファイバ裸線に紫外線樹脂からなる被覆を塗布する塗布部と、前記光ファイバ裸線及び前記被覆からなる光ファイバ素線に対して紫外線を照射することによって、前記被覆の表層を硬化させる1次照射部と、前記被覆の表層が硬化した光ファイバ素線を巻取ドラムに巻きる巻き取り部と、前記巻取ドラムから、改めて、当該光ファイバ素線を繰り出す繰り出し部と、前記巻取ドラムから繰り出された前記被覆の表層が硬化した前記光ファイバ素線に対して紫外線を照射することによって前記被覆の表層以外の領域を硬化させる2次照射部とを備えている、ことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造装置において、前記塗布部は、前記光ファイバ裸線の外側面に第1の紫外線硬化樹脂からなる1次被覆を塗布する1次塗布部と、前記1次被覆の外側面に前記第1の紫外線硬化樹脂とは異なる第2の紫外線硬化樹脂からなる2次被覆を塗布する2次塗布部とにより構成され、前記1次照射部は、前記2次被覆を硬化させ、前記2次照射部は、前記1次被覆を硬化させる、ことが好ましい。
また、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造装置において、前記2次照射部は、紫外線を発する光源として1又は複数の発光ダイオードを備えている、ことが好ましい。
また、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造装置において、前記巻取ドラムが前記光ファイバ素線を巻き取る速度は、被覆が未硬化である光ファイバ素線が前記1次照射部を通過したときに、前記被覆の表層が硬化した状態となり、且つ、前記被覆の表層以外の領域が未硬化又は半硬化した状態となるように設定される、ことが好ましい。
また、本発明の一態様に係る光ファイバ素線の製造装置は、前記被覆の表層が硬化した前記光ファイバ素線における前記被覆の表層以外の領域の硬化度に応じて、硬化後の前記被覆の表層以外の領域の硬化度が所望の値に達するように前記2次照射部における紫外線の照射パラメータを設定する制御部を更に備えている、ことが好ましい。
本発明の各態様に係る光ファイバ素線の製造装置は、上述した本発明の各態様に係る光ファイバ素線の製造方法と同じ効果を奏する。
本発明の一態様によれば、従来の光ファイバ素線の製造方法及び製造装置と比較して、光ファイバの製造効率を高めることができる。
本発明の実施形態に係る製造装置を用いて製造する光ファイバ素線の断面図である。 本発明の実施形態に係る製造装置を構成する線引装置のブロック図である。 本発明の実施形態に係る製造装置を構成する巻き返し装置のブロック図である。 図2に示した線引装置が備えている1次照射ユニットの断面図である。 図3に示した巻き返し装置が備えている2次照射ユニットの断面図である。 本発明の実施形態に係る製造方法に含まれる線引方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る製造方法に含まれる巻き返し方法を示すフローチャートである。
本発明の一実施形態に係る製造方法について、図面に基づいて説明すれば、以下のとおりでさる。
〔光ファイバ素線の構成〕
本実施形態に係る製造方法により製造される光ファイバ素線10について、図1を参照して説明する。図1は、光ファイバ素線10の横断面(光軸に直交する断面)を示す断面図である。
光ファイバ素線10は、円柱状の光ファイバ裸線11と、光ファイバ裸線11の側面を覆う被覆12と、を備えている。
光ファイバ裸線11は、円柱状のコア11aと、コア11aの側面を覆う円筒状のクラッド11bと、により構成される。コア11a及びクラッド11bは、何れも石英ガラスにより構成されている。ただし、クラッド11bを構成する石英ガラスの屈折率は、コア11aを構成する石英ガラスの屈折率よりも低い。コア11aとクラッド11bとの屈折率差は、例えば、コア11aを構成する石英ガラスに屈折率を上昇させるためのドーパント(例えば、ゲルマニウム)を添加することによって、あるいは、クラッド11bを構成する石英ガラスに屈折率を低下させるためのドーパント(例えば、フッ素)を添加することによって形成される。なお、クラッド11bの屈折率をコア11aの屈折率よりも低くするのは、コア11aに光を閉じ込める機能を光ファイバ裸線11に付与するためである。
被覆12は、光ファイバ裸線11の側面(クラッド11bの外側面)を覆う円筒状の1次被覆12aと、1次被覆12aの外側面を覆う円筒状の2次被覆12bと、により構成されている。1次被覆12a及び2次被覆12bは、何れも紫外線硬化樹脂により構成されている。ただし、1次被覆12aを構成する紫外線硬化樹脂のヤング率は、2次被覆12bを構成する紫外線硬化樹脂のヤング率よりも低い。1次被覆12aと2次被覆12bとのヤング率差は、例えば、1次被覆12a及び2次被覆12bを構成する紫外線硬化樹脂の重合度を異ならせることにより形成される。なお、2次被覆12bのヤング率を相対的に高く、1次被覆12aのヤング率を相対的に低くするのは、硬質の2次被覆12bにより耐外傷性を向上させると共に、軟質の1次被覆12aにより衝撃吸収性を向上させるためである。
1次被覆12a及び2次被覆12bを構成する紫外線硬化樹脂には、それぞれ、光重合開始剤が含まれている。これらの紫外線硬化樹脂の硬化は、光重合開始剤の吸収波長帯に属する波長を有する紫外線により開始される。なお、硬化時の温度が高いほど、2次被覆12bを構成する紫外線硬化樹脂の硬化が進みやすく、1次被覆12aを構成する紫外線硬化樹脂の硬化が進みにくい傾向がある。また、硬化時の温度が低いほど、2次被覆12bを構成する紫外線硬化樹脂の硬化が進みにくく、1次被覆12aを構成する紫外線硬化樹脂の硬化が進みやすい傾向がある。
〔光ファイバ素線の製造装置〕
本実施形態に係る製造装置1の構成について、図2及び図3を参照して説明する。製造装置1は、光ファイバ素線10(図1参照)を製造するための装置であり、線引装置1Aと巻き返し装置1Bとにより構成されている。図2は、製造装置1に含まれる線引装置1Aのブロック図である。図3は、製造装置1に含まれる巻き返し装置1Bのブロック図である。
(線引装置1Aの構成)
線引装置1Aの構成について、図2を参照して説明する。図2は、線引装置1Aの構成を示すブロック図である。
線引装置1Aは、光ファイバ素線10(図1参照)を製造するための装置であり、線引部101、冷却部102、裸線外径測定部103、塗布部104、素線外径測定部105、1次照射部106、引取部107、2次照射部124、及び巻取部109を備えている。これらの構成要素は、光ファイバ素線10の走行経路に沿ってこの順に配置される。さらに、線引装置1Aは、裸線外径測定部103及び素線外径測定部105から取得したモニタ信号を参照して塗布部104及び引取部107を制御する制御部110を備えている。また、線引装置1Aは、複数のプーリ111_1〜111_6を備えている。光ファイバ素線10の走行経路は、これらのプーリ111_1〜111_6によって規定される。
線引部101は、光ファイバ裸線11の母材となるプリフォームを線引きするための手段である。本実施形態においては、加熱炉を線引部101として用いる。プリフォームは、この加熱炉により加熱され、溶融する。そして、溶融したプリフォームは、自重により引き伸ばされる。このように、プリフォームを溶融して引き伸ばすことを、「線引き」という。線引部101において線引きされたプリフォームは、線引部101の下方に配置された冷却部102に送り込まれる。
冷却部102は、線引きされたプリフォームを冷却するための手段である。本実施形態においては、冷却筒を冷却部102として用いる。線引きされたプリフォームは、この冷却筒内を流れる冷却ガスにより冷却され、硬化する。これにより、光ファイバ裸線11が得られる。冷却部102において得られた光ファイバ裸線11は、光ファイバ裸線11の外径を測定するための裸線外径測定部103を経由した後、冷却部102の下方に配置された塗布部104に送り込まれる。
塗布部104は、被覆12の母材となる未硬化状態の紫外線硬化樹脂を光ファイバ裸線11の側面に塗布するための手段である。本実施形態においては、2つの塗布ダイスが重ねて設けられた二重塗布ダイスを塗布部104として用いる。光ファイバ裸線11の側面には、上流側の塗布ダイス(請求の範囲に記載の1次塗布部)によって、1次被覆12aの母材となる未硬化状態の紫外線硬化樹脂(第1の紫外線硬化樹脂)が塗布され、1次被覆12aの外側面には、下流側の塗布ダイス(請求の範囲に記載の2次塗布部)によって、2次被覆12bの母材となる未硬化状態の紫外線硬化樹脂(第2の紫外線硬化樹脂)が塗布される。これにより、1次被覆12a及び2次被覆12bが共に未硬化状態である光ファイバ素線10が得られる。この状態の光ファイバ素線10のことを、以下、光ファイバ素線10αと記載する。塗布部104において得られた光ファイバ素線10αは、光ファイバ素線10αの外径を測定するための素線外径測定部105を経由した後、塗布部104の下方に配置された1次照射部106に送り込まれる。
なお、塗布部104が塗布する紫外線硬化樹脂の厚みは、可変であり、素線外径測定部105にて測定された光ファイバ素線10αの外径に基づいて、制御部110により制御されている。制御部110は、光ファイバ素線10αの外径が予め定められた値よりも小さい場合、塗布する紫外線硬化樹脂の厚み増加するように塗布部104を制御する。逆に、制御部110は、光ファイバ素線10αの外径が予め定められた値よりも大きい場合、塗布する紫外線硬化樹脂の厚みが減少するように塗布部104を制御する。これにより、得られる光ファイバ素線10の外径を予め定められた値に近づけることができる。
1次照射部106は、光ファイバ素線10αに対して、低酸素雰囲気化においてUVランプ(紫外線ランプ)を用いて紫外線を照射するための手段である。1次照射部106は、光ファイバ素線10αに対して紫外線を照射することによって、主に2次被覆12bを硬化させる。その結果、2次被覆12bが硬化した光ファイバ素線10βが得られる。本実施形態においては、UVランプを光源とするn個(nは1以上の自然数)の1次照射ユニット106_1〜106_nを、1次照射部106として用いる。1次照射ユニット106_i(iは1以上n以下の自然数)の構成については、参照する図面を代えて後述する。なお、図2においては、n=3の場合を例示しているが、1次照射部106を構成する1次照射ユニット106_iの個数は任意である。
被覆12の母材となる紫外線硬化樹脂は、1次照射部106におけるUVランプを用いた紫外線照射によって、外側から順に硬化していく。1次照射部106におけるUVランプを用いた紫外線照射では、主に2次被覆12bを構成する紫外線硬化樹脂が硬化する。ただし、1次照射部106におけるUVランプを用いた紫外線照射が完了した段階では、少なくとも2次被覆12b(被覆12の表層)を構成する紫外線硬化樹脂が十分に硬化していればよく、その余の紫外線硬化樹脂は、未硬化状態であっても、半硬化状態であっても構わない。この状態の光ファイバ素線10のことを、以下、光ファイバ素線10βと記載する。1次照射部106において得られた光ファイバ素線10βは、プーリ111_1を経由した後、引取部107に送り込まれる。プーリ111_1は、光ファイバ素線10βの走行経路を重力方向に平行な第1方向(図2における下方向)から重力方向に垂直な第2方向(図2における右方向)に変えるターンプーリとして機能する。
引取部107は、光ファイバ素線10βを特定の引取速度で引き取るための手段である。ここで、引取速度とは、引取部107が単位時間あたりに引き取る光ファイバ素線10βの長さのことである。本実施形態においては、キャプスタンを引取部107として用いる。引取部107により引き取られた光ファイバ素線10βは、プーリ111_2〜111_6を経由した後、引取部107の側方に配置された2次照射部124に送り込まれる。ここで、プーリ111_5は、第1方向と平行に(図2における上下方向に)変位可能なダンサープーリである。このプーリ111_5を第1方向に(図2における下方向に)付勢することによって、光ファイバ素線10βに張力が掛けられる。
なお、引取部107の引取速度は、可変であり、裸線外径測定部103にて測定されて光ファイバ裸線11の外径に基づいて、制御部110により制御されている。制御部110は、光ファイバ裸線11の外径が予め定められた値よりも小さい場合、引取速度が低下するように引取部107を制御する。逆に、制御部110は、光ファイバ裸線11の外径が予め定められた値よりも大きい場合、引取速度が上昇するように引取部107を制御する。これにより、得られる光ファイバ裸線11の外径を予め定められた値に近づけることができる。
巻取部109は、光ファイバ素線10βを巻き取るための手段である。本実施形態においては、第2方向に平行な回転軸を有する巻取ドラム109aと、第2方向と平行に変位可能なプーリ109bを、巻取部109として用いる。巻取ドラム109aを回転させながら、プーリ109bを第2方向と平行に往復移動させることによって、光ファイバ素線10βが巻取ドラム109aに均等に巻き取られる。
線引装置1Aにおいて光ファイバ素線10βを巻き取った巻取ドラム109aは、巻き返し装置1B(図3参照)にセットされる。
(巻き返し装置1Bの構成)
図3に示すように、巻き返し装置1Bにセットされた巻取ドラム109aのことを巻取ドラム123aと称する。
巻き返し装置1Bは、硬化度測定部121と、制御部122と、繰り出し部123と、2次照射部124と、引取部125と、巻取部126と、プーリ127_1〜127_4とを備えている。繰り出し部123、2次照射部124、引取部125、及び巻取部126の各々は、光ファイバ素線10β及び光ファイバ素線10の走行経路に沿ってこの順に配置される。光ファイバ素線10の走行経路は、これらのプーリ127_1〜127_4によって規定される。
硬化度測定部121は、巻取ドラム123aに巻き取られている光ファイバ素線10βにおいて、被覆12のうちすでに硬化している表層以外の領域(本実施形態では1次被覆12a)を構成する紫外線硬化樹脂の硬化度を測定し、その硬化度を制御部122に供給する。なお、紫外線硬化樹脂の硬化度は、既存の手法(例えば紫外線硬化樹脂のゲル分率を測定し、そのゲル分率から硬化度を評価するなど)により得られる。したがって、本実施形態では、硬化度測定部121に関する詳細な説明を省略する。
制御部122は、硬化度測定部121から取得した硬化度に応じて、被覆12の表層以外の領域を構成する紫外線硬化樹脂の硬化度が、硬化後に所望の値に達するように2次照射工程(図7に記載の工程S124)における紫外線の照射パラメータを設定し、これらの照明パラメータを満足するように2次照射部124及び引取部125を制御する。なお、制御部122が設定する照射パラメータについては、後述する。
繰り出し部123は、巻取ドラム123aと、プーリ123bとにより構成されており、巻取ドラム123aから光ファイバ素線10βを改めて繰り出す。
巻取ドラム123aから繰り出された光ファイバ素線10βの走行経路は、図3に示すように、2次照射部124、プーリ127_1、引取部125、プーリ127_2、172_3、及びプーリ127_4により規定されている。
引取部125及びプーリ127_1〜127_4の各々は、それぞれ、線引装置1Aが備えている引取部107及びプーリ111_1〜111_6と同様に構成されており、同様の機能を有する。したがって、ここでは、これらの詳細な説明を省略する。
2次照射部124は、光ファイバ素線10βに対して紫外線を照射することによって、主に1次被覆12aを硬化させることによって被覆12の全体を硬化させる。その結果、被覆12の全体(1次被覆12a及び2次被覆12bの各々)が硬化した光ファイバ素線10が得られる。
2次照射部124は、光ファイバ素線10βに対して、UVLED(紫外線発光ダイオード)を用いて紫外線を照射するための手段である。本実施形態においては、UVLEDを光源とするm個(mは1以上の自然数)の2次照射ユニット124_1〜124_mを、2次照射部124として用いる。各2次照射ユニット124_j(jは1以上m以下の自然数)の構成については、参照する図面を代えて後述する。なお、図3においては、m=2の場合を例示しているが、2次照射部124を構成する2次照射ユニット124_jの個数は任意である。
被覆12の母材となる紫外線硬化樹脂のうち、1次照射部106におけるUVランプを用いた紫外線照射でも未だ十分に硬化していない紫外線硬化樹脂(被覆12の表層以外の領域)は、2次照射部124におけるUVLEDを用いた紫外線照射によって硬化する。2次照射部124におけるUVLEDを用いた紫外線照射では、主に1次被覆12aを構成する紫外線硬化樹脂が硬化する。これにより、2次被覆12bに加えて1次被覆12aが十分に硬化した光ファイバ素線10が得られる。なお、2次照射部124におけるUVLEDを用いた紫外線照射は、主に1次被覆12aを構成する紫外線硬化型樹脂を硬化するものであるが、2次被覆12bを構成する紫外線硬化型樹脂を硬化し得るものであってもよい。ただし、2次被覆12bは、1次照射部106における紫外線照射により十分に硬化している。そのため、2次照射部124における紫外線照射が2次被覆12bを構成する紫外線硬化型樹脂を硬化し得る場合であっても、この紫外線照射により2次被覆12bの硬化度が顕著に高まることはない。2次照射部124において得られた光ファイバ素線10は、引取部125及びプーリ127_1〜127_4を介して巻取部126に送り込まれる。
巻取部126は、巻取ドラム126aと、プーリ126bとにより構成させており、光ファイバ素線10を巻取ドラム126aに巻き取る。巻取部126は、線引装置1Aが備えている巻取部109と同様に構成されており、同様の機能を有する。したがって、ここでは、これらの詳細な説明を省略する。
<照射パラメータについて>
上述したように、制御部122は、2次照射部124が備えている2次照射ユニット124_jが発する紫外線のパワーと、引取部125が引き取る光ファイバ素線10の引取速度とを制御する。ここで、引取速度とは、引取部125が単位時間あたりに引き取る光ファイバ素線10の長さのことである。2次照射ユニット124_jが発する紫外線のパワーが高ければ高いほど、2次照射部124において光ファイバ素線10βの各点が照射される紫外線量は、多くなる。また、引取部125の引取速度が速ければ速いほど、2次照射部124において光ファイバ素線10βの各点が照射される紫外線量は、少なくなる。
光ファイバ素線10βの各点が照射される単位長さ当たりの紫外線量が多くなればなるほど、1次被覆12aの硬化度は、高くなる。したがって、2次照射ユニット124_jが発する紫外線のパワー及び引取部125の引取速度を紫外線の照射パラメータとして、制御部122がこれらの照射パラメータを適宜設定することにより、光ファイバ素線10における1次被覆12aの硬化度を制御することができる。照射パラメータの設定例は、以下の通りである。
巻取ドラム123aに巻き取られた光ファイバ素線10βは、例えば、線引装置1Aから巻き返し装置1Bへ移動されるタイミングで、硬化度測定部121により1次被覆12aの硬化度を測定される。ここで調べられた光ファイバ素線10βにおける1次被覆12aの硬化度は、制御部122に提供される。
制御部122は、硬化度測定部121から取得した硬化度に応じて、硬化後の1次被覆12aの硬化度(すなわち光ファイバ素線10における1次被覆12aの硬化度)が所望の値に達するように、2次照射ユニット124_jが発する紫外線のパワー及び引取部125の引取速度を設定する。このとき、制御部122は、例えば、光ファイバ素線10βにおける1次被覆12aの硬化度と、2次照射ユニット124_jが発する紫外線のパワーと、引取部125の引取速度とが対応付けられたテーブルを参照し、硬化度測定部121から取得した硬化度に対応した2次照射ユニット124_jが発する紫外線のパワー及び引取部125の引取速度を取得する。
この構成によれば、光ファイバ素線10βにおける1次被覆12aの硬化度に応じて、2次照射部124における紫外線の照射パラメータを好適に設定することができる。したがって、2次照射部124において、紫外線を光ファイバ素線10βに対して過度に照射することを防止できるため、2次照射部124において紫外線を照射しているときの光ファイバ素線10βの温度が過度に上昇することを防止できる。したがって、硬化した1次被覆12aのヤング率を設計時に想定したヤング率に近づけることができる。
なお、2次照射部124における紫外線の照射パラメータの好ましい値が既知である場合、制御部122は、その既知である照射パラメータを用いて2次照射ユニット124_jが発する紫外線のパワーと、引取部125の引取速度とを制御するように構成されていてもよい。
(製造装置1の効果)
上述したように、製造装置1は、線引装置1Aと、巻き返し装置1Bとにより構成されている。線引装置1Aは、塗布部104と、1次照射部106と、巻取部109とを備えており、巻き返し装置1Bは、繰り出し部123と、2次照射部124とを備えている。
このように構成された製造装置1において、2次被覆12bは、主に線引装置1Aの1次照射部106において硬化され、1次被覆12aは、主に巻き返し装置1Bの2次照射部124において硬化される。そのため、1次照射部106においては、2次被覆12b(被覆12の表層)が硬化していればよく、1次被覆12a(被覆12の表層以外の領域)は、硬化していなくてよい。
そのため、1次照射部において2次被覆12bを硬化させることができる範囲内で、巻取ドラム109aが光ファイバ素線10βを巻き取る速度(すなわち引取部107の引取速度)を任意に設定することができる。換言すれば、当該速度を2次照射部124における1次被覆12aの硬化反応に規制されることなく、引取部107の引取速度を任意に設定することができる。
したがって、光ファイバ素線を巻取ドラムに巻き取る前に1次被覆及び2次被覆を硬化させる従来の製造装置と比較して、線引装置1Aは、光ファイバ素線10βを巻取ドラム111に巻き取る速度を高速化できる。その結果として、製造装置1は、光ファイバ素線10の製造効率を高めることができる。
なお、製造装置1は、1台の線引装置1A(図2参照)と1台の巻き返し装置1B(図3参照)とにより構成されている。しかし、1台の線引装置1Aに対して組み合わされる巻き返し装置1Bの台数は、1台に限定されるものではなく、複数台であってもよい。
線引装置1Aにおいて引取部107の引取速度が、巻き返し装置1Bにおいて引取部125の引取速度と比較して速い場合も考えられる。このような場合には、1台の線引装置1Aに対して複数台の巻き返し装置1Bを組み合わせることによって、1次被覆12aが硬化していない光ファイバ素線10βが巻き返し装置1Bにセットされずに滞留することを防止することができる。したがって、この構成によれば、線引装置1Aにおいて引取部107の引取速度が、巻き返し装置1Bにおいて引取部125の引取速度と比較して速い場合であっても、光ファイバ素線10の製造効率を高めることができる。
また、光ファイバ裸線11の外側面に形成される被覆12は、単一の紫外線樹脂により構成された単層構造を採用していてもよい。被覆12が単一の紫外線樹脂により構成されている場合、1次照射部106は、被覆12のうち表層を硬化させ、且つ、2次照射部124は、被覆12のうち表層以外の領域を効果させるように構成されていればよい。
本実施形態において説明したように、2次照射部124は、紫外線を発する2次照射ユニット124_1〜124_mとしてUVLEDを採用している。
第1の紫外線硬化樹脂としては、第2の紫外線硬化樹脂よりもヤング率が低い紫外線硬化樹脂を採用することが好ましい。相対的にヤング率が高い第2の紫外線硬化樹脂からなる2次被覆12bが外部の衝撃から光ファイバ裸線11を守り、相対的にヤング率が低い第1の紫外線硬化樹脂からなる1次被覆12aが衝撃を吸収するためである。このように相対的にヤング率が低い紫外線硬化樹脂を第1の紫外線硬化樹脂として採用する場合、2次照射工程において用いる紫外線を発する光源は、発熱量が少ない光源であることが好ましい。相対的にヤング率が低い紫外線硬化樹脂は、相対的にヤング率が高い紫外線硬化樹脂と比較して、相対的に低い温度にて硬化し、相対的に高い温度では硬化しにくいためである。
2次照射部124は、その光源として水銀ランプやメタルハライドランプなどの紫外放射ランプ(UVランプ)及びUVLEDの何れを採用することもできる。しかし、1次被覆12aを相対的に低い温度において硬化させるという観点では、UVランプよりUVLEDを採用することが好ましい。UVLEDの発熱量は、UVランプの発熱量と比較して大幅に小さいためである。したがって、2次照射部124は、UVLEDを用いて紫外線を照射することが好ましい。
線引装置1Aにおいて巻取ドラム109aが光ファイバ素線10βを巻き取る速度(引取部107の引取速度)は、光ファイバ素線10αが1次照射部106を通過したときに、2次被覆12bが硬化した状態となり、且つ、1次被覆12aが未硬化又は半硬化した状態となるように設定されていることが好ましい。
引取部107の引取速度をこのように設定することによって、線引装置1Aは、光ファイバ素線10βの製造効率を更に高めることができる。結果として、製造装置1は、光ファイバ素線10の製造効率を更に高めることができる。
〔1次照射装置の構成〕
製造装置1が備える1次照射ユニット106_iの構成について、図4を参照して説明する。図4は、1次照射ユニット106_iの断面図である。
1次照射ユニット106_iは、筐体106aと、筐体106aを貫通する石英管106bと、筐体106aの内部に収容されたUVランプ106cと、筐体106aの内部において石英管106b及びUVランプ106cを取り囲む反射板106dと、を備えている。UVランプ106cとしては、例えば、メタルハライドランプを挙げることができる。UVランプ106cから発せられた紫外線は、直接、又は、反射板106dにて反射された後、石英管106bの内部を走行する光ファイバ素線10αに照射される。
なお、筐体106aには、冷却用ガスを筐体106a内に給気するための給気口106a1と、この冷却用ガスを筐体106a外に排気するための排気口106a2とが設けられている。筐体106aの内部に収容されたUVランプ106cは、この冷却用ガスによって冷却される。
また、1次照射ユニット106_iは、さらに、筐体106aから上方に突出した石英管106bの上端を収容する上部キャップ106eと、筐体106aから下方に突出した石英管106bの下端を収容する下部キャップ106fと、を備えている。上部キャップ106eには、低酸素濃度の不活性ガスを上部キャップ106e内に供給するための給気口106e1が設けられており、下部キャップ106fには、この不活性ガスを下部キャップ106f外に排気するための排気口106f1が設けられている。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウムが挙げられる。上部キャップ106e、石英管106b、及び下部キャップ106fの内部は、この不活性ガスにより満たされる。このため、石英管106bの内部を走行する光ファイバ素線10αは、低酸素雰囲気下で紫外線を照射されることになる。
〔2次照射装置の構成〕
次に、巻き返し装置1Bが備える2次照射ユニット124_jの構成について、図5を参照して説明する。図5は、2次照射ユニット124_jの断面図である。
2次照射ユニット124_jは、筐体124aと、筐体124aを貫通する石英管124bと、筐体124aの内部に収容されたUVLEDバー124cと、筐体124aの内部においてUVLEDバー124cと対向するように石英管124bを取り囲む反射板124dと、を備えている。UVLEDバー124cは、複数のUVLED素子124c1〜124c5を直線状に並べた紫外線光源である。UVLEDバー124cから発せられた紫外線は、直接、又は、反射板124dにて反射された後、石英管124bの内部を走行する光ファイバ素線10βに照射される。
〔光ファイバ素線の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る光ファイバ素線の製造方法について、図6及び図7を参照して説明する。本製造方法は、図2に示した線引装置1A及び図3に示した巻き返し装置1Bを備えた製造装置1を用いて光ファイバ素線10(図1参照)を製造するための装置である。本製造方法は、線引方法S1Aと巻き返し方法S1Bと、照射パラメータ設定方法S1Cとを含む。図6は、線引方法S1Aのフローチャートである。図7は、巻き返し方法S1Bのフローチャートである。
(線引方法S1A)
線引方法S1Aは、線引装置1Aを用いてプリフォームから光ファイバ素線10βを製造する方法であり、以下に説明する工程S101〜S109を含んでいる(図6参照)。
工程S101:線引部101は、光ファイバ裸線11の母材となるプリフォームを線引きする。
工程S102:冷却部102は、工程S101にて線引きされたプリフォームを冷却する。これにより、光ファイバ裸線11が得られる。
工程S103:裸線外径測定部103は、工程S102にて得られた光ファイバ裸線11の外径を測定し、外径の測定値を表すモニタ信号を制御部110に提供する。
工程S104:塗布部104は、工程S103にて外径を測定された光ファイバ裸線11の側面に、被覆12の母材となる未硬化状態の紫外線硬化樹脂を塗布する。詳細には、塗布部104は、光ファイバ裸線11の外側面に、1次被覆12aの母材となる未硬化状態の紫外線硬化樹脂(第1の紫外線硬化樹脂)を塗布する作業(請求の範囲に記載の1次塗布工程)と、1次被覆12aの外側面に、2次被覆12bの母材となる未硬化状態の紫外線硬化樹脂(第2の紫外線硬化樹脂)を塗布する作業(請求の範囲に記載の2次塗布工程)とを一括して実施する。これにより、光ファイバ素線10αが得られる。なお、工程S104は、請求の範囲に記載の塗布工程に対応する。
なお、工程S104にて塗布される紫外線硬化樹脂の厚みは、後述する工程S105で測定される光ファイバ素線10αの外径に基づく制御部110の制御により調整される。
工程S105:素線外径測定部105は、工程S104にて得られた光ファイバ素線10αの外径を測定し、外径の測定値を表すモニタ信号を制御部110に提供する。
工程S106:1次照射部106は、工程S105にて得られた光ファイバ素線10αに、UVランプを用いて紫外線を照射する。これにより、主に2次被覆12bの母材となる紫外線硬化樹脂が硬化し、光ファイバ素線10βが得られる。少なくとも2次被覆12b(被覆12の表層)を構成する紫外線硬化樹脂は、本工程において十分に硬化される。なお、工程S106が完了した段階では、少なくとも2次被覆12bを構成する紫外線硬化樹脂が十分に硬化していればよく、その余の紫外線硬化樹脂は、未硬化状態であっても、半硬化状態であっても構わない。このことは、製造装置の項にて説明した通りである。
工程S107:引取部107は、工程S106にて得られた光ファイバ素線10βを特定の引取速度で引き取る。
なお、工程S107にて光ファイバ素線10βを引き取る引取速度は、前述した工程S103で測定された光ファイバ裸線11の外径に基づく制御部110の制御により調整される。
工程S109:巻取部109は、工程S106にて得られた光ファイバ素線10βを巻取ドラム109aに巻き取る。これにより、巻取ドラム109aに巻き取られた光ファイバ素線10βが得られる。
(巻き返し方法S1B)
巻き返し方法S1Bは、巻き返し装置1Bを用いて光ファイバ素線10βから光ファイバ素線10を製造する方法であり、以下に説明する工程S121〜S124を含んでいる(図7参照)。線引方法S1Aの工程S109において光ファイバ素線10βが巻き取られた巻取ドラム109aは、線引装置1Aから取り外され巻き返し装置1Bにセットされる。巻き返し装置1Bにセットされた巻取ドラム109aのことを、以下では、巻取ドラム123aと称する。
工程S121:硬化度測定部121は、巻取ドラム123aに巻き取られている光ファイバ素線10βの被覆12のうち、被覆12の表層以外の領域(本実施形態では1次被覆12a)の硬化度を測定する。硬化度測定部121によって得られた被覆12の表層以外の領域の硬化度は、制御部122に供給される。
工程S122:制御部122は、硬化度測定部121から供給された前記硬化度に応じて、硬化後の前記被覆の表層以外の領域の硬化度が所望の値に達するように前記2次照射工程における紫外線の照射パラメータ(本実施形態では、2次照射部124が備えている2次照射ユニット124_jが発する紫外線のパワー及び引き取り機125が引き取る光ファイバ素線10の速度)を設定する。
工程S123:繰り出し部123は、巻取ドラム123aに巻き取られている光ファイバ素線10βを、巻取ドラム123aから改めて繰り出す。
工程S124:2次照射部124は、巻取ドラム123aから繰り出された光ファイバ素線10βに対して、制御部122において設定されたパワーの紫外線を照射する。これにより、被覆12のうち表層を含む領域以外の領域(本実施形態では1次被覆12a)の母材となる紫外線硬化樹脂が硬化し、光ファイバ素線10が得られる。被覆12のうち表層を含む領域以外の領域を構成する紫外線硬化樹脂(本実施形態では1次被覆12aを構成する第1の紫外線硬化樹脂)は、本工程において十分に硬化される。すなわち、被覆12の母材となる紫外線硬化樹脂の全体は、本工程を実施することによって十分に硬化する。なお、工程S124は、主に1次被覆12aを構成する紫外線硬化型樹脂を硬化するものであるが、2次被覆12bを構成する紫外線硬化型樹脂を硬化し得るものであってもよい。このことは、製造装置の項にて説明した通りである。
なお、光ファイバ素線10βの各点に対して、2次照射部124が発する紫外線を照射する時間は、後述する引取工程において引取部125が光ファイバ素線10を引き取る引取速度により規定される。
工程S125:引取部125は、工程S123にて得られた光ファイバ素線10を特定の引取速度で引き取る。
なお、工程S125にて光ファイバ素線10を引き取る引取速度は、上述した工程S131で測定された光ファイバ素線10βの硬化度に基づき、制御部122の制御により調整される。
工程S126:巻取部126は、工程S123にて得られた光ファイバ素線10を巻取ドラム126aに巻き取る。これにより、巻取ドラム126aに巻き取られた光ファイバ素線10βが得られる。
なお、巻取ドラム123aに巻き取られている光ファイバ素線10βの被覆12のうち、被覆12の表層以外の領域の硬化度を推測可能な場合には、工程S121を省略することができる。例えば、事前に複数の光ファイバ素線10βの被覆12において被覆12の表層以外の領域の硬化度を測定しておくことによって、硬化度の統計的なデータを取得することができ、結果として、被覆12の表層以外の領域の硬化度を推測することができる。このような場合には、巻き返し方法S1Bにおいて工程S121を省略することができる。また、このような場合には、併せて工程S122を省略することができる。被覆12の表層以外の領域の硬化度を推測可能な場合には、2次照射工程における紫外線の照射パラメータを事前に設定可能なためである。
また、本実施形態では、工程S124を1回実施することによって1次被覆12aを構成する紫外線硬化型樹脂を十分に硬化させるように、工程S122において照射パラメータを定めている。しかし、本発明の一態様においては、工程S124を複数回実施することによって、すなわち、巻き返し方法S1Bを複数回実施することによって、1次被覆12aを構成する紫外線硬化型樹脂を十分に硬化させるように、照射パラメータを定めてもよい。
(本製造法の効果)
図6に示した線引方法S1A、及び、図7に示した巻き返し方法S1Bを含む製造方法は、図2に示した線引装置1A、及び、図3に示した巻き返し装置1Bを備えた製造装置1と同じ効果を奏する。したがって、ここでは、本製造方法によって得られる効果に関する詳しい説明を省略する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
10、10α、10β 光ファイバ素線
11 光ファイバ裸線
11a コア
11b クラッド
12 被覆
12a 1次被覆
12b 2次被覆
1 製造装置
1A 線引装置
101 線引部
102 冷却部
103 裸線外径測定部
104 塗布部
105 素線外径測定部
106 1次照射部
106c UVランプ
107 引取部
109 巻取部
109b プーリ
109a 巻取ドラム
110 制御部
111_1〜111_6 プーリ
1B 巻き返し装置
121 硬化度測定部
122 制御部
123 繰り出し部
123a 巻取ドラム
123b プーリ
124 2次照射部
124c UVLEDバー
125 引取部
126 巻取部
126a 巻取ドラム
126b プーリ
127_1〜127_4 プーリ

Claims (10)

  1. 線引きされた光ファイバ裸線に紫外線硬化樹脂からなる被覆を塗布することによって光ファイバ素線を得る塗布工程と、
    前記光ファイバ素線に対して紫外線を照射することによって、前記被覆の表層を硬化させる1次照射工程と、
    前記光ファイバ素線を巻取ドラムに巻き取る巻き取り工程と、
    前記巻取ドラムから前記光ファイバ素線を繰り出す繰り出し工程と、
    前記巻取ドラムから繰り出された前記光ファイバ素線に対して紫外線を照射することによって、前記被覆のうち前記表層以外の領域を硬化させる2次照射工程とを含む、
    ことを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。
  2. 前記塗布工程は、前記光ファイバ裸線の外側面に第1の紫外線硬化樹脂からなる1次被覆を塗布する1次塗布工程と、前記1次被覆の外側面に前記第1の紫外線硬化樹脂とは異なる第2の紫外線硬化樹脂からなる2次被覆を塗布する2次塗布工程と、を含み、
    前記1次照射工程は、前記2次被覆を硬化させ、
    前記2次照射工程は、前記1次被覆を硬化させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  3. 前記2次照射工程において紫外線を発する光源は、1又は複数の発光ダイオードである、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  4. 前記被覆の表層が硬化した前記光ファイバ素線において、前記被覆の表層以外の領域は、未硬化又は半硬化した状態である、
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  5. 前記被覆の表層が硬化した状態の前記光ファイバ素線において、前記被覆の表層以外の領域の硬化度を調べる工程と、
    前記硬化度に応じて、硬化後の前記被覆の表層以外の領域の硬化度が所望の値に達するように前記2次照射工程における紫外線の照射パラメータを設定する設定工程とを更に備えている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  6. 線引きされた光ファイバ裸線に紫外線樹脂からなる被覆を塗布する塗布部と、
    前記光ファイバ裸線及び前記被覆からなる光ファイバ素線に対して紫外線を照射することによって、前記被覆の表層を硬化させる1次照射部と、
    前記被覆の表層が硬化した光ファイバ素線を巻取ドラムに巻きる巻き取り部と、
    前記巻取ドラムから、改めて、当該光ファイバ素線を繰り出す繰り出し部と、
    前記巻取ドラムから繰り出された前記被覆の表層が硬化した前記光ファイバ素線に対して紫外線を照射することによって前記被覆の表層以外の領域を硬化させる2次照射部とを備えている、
    ことを特徴とする光ファイバ素線の製造装置。
  7. 前記塗布部は、前記光ファイバ裸線の外側面に第1の紫外線硬化樹脂からなる1次被覆を塗布する1次塗布部と、前記1次被覆の外側面に前記第1の紫外線硬化樹脂とは異なる第2の紫外線硬化樹脂からなる2次被覆を塗布する2次塗布部とにより構成され、
    前記1次照射部は、前記2次被覆を硬化させ、
    前記2次照射部は、前記1次被覆を硬化させる、
    ことを特徴とする請求項6に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  8. 前記2次照射部は、紫外線を発する光源として1又は複数の発光ダイオードを備えている、
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  9. 前記巻取ドラムが前記光ファイバ素線を巻き取る速度は、被覆が未硬化である光ファイバ素線が前記1次照射部を通過したときに、前記被覆の表層が硬化した状態となり、且つ、前記被覆の表層以外の領域が未硬化又は半硬化した状態となるように設定される、
    ことを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  10. 前記被覆の表層が硬化した前記光ファイバ素線における前記被覆の表層以外の領域の硬化度に応じて、硬化後の前記被覆の表層以外の領域の硬化度が所望の値に達するように前記2次照射部における紫外線の照射パラメータを設定する制御部を更に備えている、
    ことを特徴とする請求項9に記載の光ファイバ素線の製造装置。
JP2017190977A 2017-09-29 2017-09-29 光ファイバ素線の製造方法及び光ファイバ素線の製造装置 Active JP6545767B2 (ja)

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