JP2004264743A - 光ファイバおよび光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高次モードの光を外部に逃がし易い光ファイバおよび光ファイバの製造方法を提供する。
【解決手段】コア11およびクラッド12からなるガラスファイバ13を紫外線硬化樹脂により被覆する際に、光ファイバ10の長手方向で被覆14の硬度を変化させる。硬度を変化させる方法としては、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させる際に、紫外線の照射量を変化させる。被覆14に硬い部分14aと軟らかい部分14bとを設けることにより、クラッドに与える応力を変化させ、この応力の変化により屈折率を変化させて、故意に軽度のマイクロベンド現象を作り出すことにより、高次モードの光を外に逃がして高次モードの光の伝播を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】コア11およびクラッド12からなるガラスファイバ13を紫外線硬化樹脂により被覆する際に、光ファイバ10の長手方向で被覆14の硬度を変化させる。硬度を変化させる方法としては、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させる際に、紫外線の照射量を変化させる。被覆14に硬い部分14aと軟らかい部分14bとを設けることにより、クラッドに与える応力を変化させ、この応力の変化により屈折率を変化させて、故意に軽度のマイクロベンド現象を作り出すことにより、高次モードの光を外に逃がして高次モードの光の伝播を防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバおよび光ファイバの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プリフォームを加熱・線引きして作製したガラスファイバに、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることにより被覆して光ファイバを製造することが行われており、紫外線硬化樹脂により被覆する技術が公開されている(例えば、特許文献1参照。)。
図4には光ファイバの被覆装置が示されている。この被覆装置100は、内部に不活性ガスをパージし、外周に紫外線硬化樹脂が塗布されているガラスファイバ110を通すガラス管101と、このガラス管101の外側に設けられガラス管101内のガラスファイバ110に紫外線を照射する紫外線照射ランプ102等を備えている。
従って、線引きされ紫外線硬化樹脂が塗布されたガラスファイバ110をガラス管101に通し、外側から紫外線照射ランプ102により紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を均一に硬化させて被覆して光ファイバ110を製造する。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−315886号公報(第3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、伝送すべき信号光である基底モードの光と共に高次モードの光がコア内に閉じ込められると、ノイズが生じる等の種々の不都合を生じるため、高次モードの光を外部へ逃がすことが望まれている。
【0005】
例えば、近年、アクセス系の光化が進む中で、取り扱い性をよくするためや、狭い箇所に配線するために、光ファイバを小径で曲げたり巻いたりするケースが増加し、これに伴ってシングルモードファイバ(SMF)の曲げ損失特性の向上が望まれている。曲げ損失特性を向上させる場合、伝播光をコアに閉じ込める力を強くするために、コアの比屈折率差を大きくすることが考えられる。しかしながら、この場合はカットオフ波長も同時に変化して長波長化してしまうため、伝送すべき信号光である基底モードの光は勿論、除去されるべき高次モードの光も同時に光ファイバ外へ抜けにくくなるという問題がある。なお、22mでのケーブルカットオフ波長(λcc)は、シングルモード動作を保証する波長を示すものであるため、シングルモードファイバでは1310nm帯の伝送帯域を下回る1260nmに上限が規定されている。
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高次モードの光を外部に逃がし易い光ファイバおよび光ファイバの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明にかかる光ファイバは、ガラスファイバと紫外線硬化樹脂の被覆とを含む光ファイバであって、光ファイバの長手方向で、被覆の硬度が変化していることを特徴としている。
【0008】
このように構成された光ファイバにおいては、ガラスファイバを被覆する紫外線硬化樹脂の硬度を、光ファイバの長手方向で変化させることにより、紫外線硬化樹脂が硬化する際に収縮してガラスファイバに与える応力を変化させる。この応力の変化により屈折率を変化させ、故意に軽度のマイクロベンド現象を作り出すことにより、高次モードの光を外に逃がし易くして高次モードの光の伝播を防止する。
【0009】
また、本発明にかかる光ファイバは、被覆の硬度の変化が、紫外線硬化樹脂に照射する紫外線の量を変化させることにより設けられていることを特徴としている。
【0010】
ガラスファイバに塗布されて被覆となる紫外線硬化樹脂に照射される紫外線の量を変化させることにより、被覆の硬度を長手方向に変化させることができる。
【0011】
また、本発明にかかる光ファイバは、被覆の外側に紫外線カット層を有することを特徴としている。
【0012】
このように構成された光ファイバにおいては、照射される紫外線の量を変化させて紫外線硬化樹脂の硬度を変化させながら硬化させて被覆した後、被覆の外側に設けられた紫外線カット層が、被覆への紫外線をカットすることができる。したがって、樹脂被覆の硬度変化部は、紫外線がカットされ、長期間にわたり硬度の変化を維持することができる。
【0013】
また、本発明にかかる光ファイバの製造方法は、ガラスファイバの外周に紫外線硬化樹脂を塗布する工程1と、前記紫外線硬化樹脂に紫外線を照射し硬化させて被覆する工程2とを含む光ファイバの製造方法において、前記工程2で、紫外線の照射量を変化させて光ファイバの長手方向に前記被覆の硬度を変化させることを特徴としている。
【0014】
このように構成された光ファイバの製造方法においては、ガラスファイバの外周に紫外線硬化樹脂を塗布し、この紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させる際に、紫外線の照射量を変化させることにより紫外線硬化樹脂の硬度を光ファイバの長手方向に沿って変化させる。この硬度の変化に伴うガラスファイバに対する応力の変化により屈折率を変化させ、故意に軽度のマイクロベンド現象を作り出して高次モードの光を外に逃がして高次モードの光の伝播を防止する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ファイバおよび光ファイバの製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(A)および(B)は本発明に係る光ファイバの断面図および側面図、図2(A)は紫外線照射装置の構成図、図2(B)は無端ベルトの正面図、図3は本発明に係る光ファイバの製造方法を実施する製造装置の構成図である。
【0016】
図1に示すように、本発明に係る光ファイバ10は、コア11およびクラッド12を有するガラスファイバ13の外側に、紫外線硬化樹脂を塗布し、この紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより被覆14を形成したものである。この被覆14は、光ファイバ10の長手方向(図1(B)において左右方向)に沿って、硬度が変化している。硬度の変化のパターンは限られたものではなく、種々のパターンが考えられる。例えば、硬度が高い硬い部分14aと、この硬い部分14aと比較して硬度が低い軟らかい部分14bとを交互に設けることができる。そのほか、ある一定のパターンで紫外線硬化樹脂の硬い領域と柔らかい領域を形成してもよい。さらに、ランダムに硬い領域と柔らかい領域を形成してもよい。なお、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化し、被覆14を形成した後に、さらに紫外線を受けて硬度が変化しないように、被覆14の外側に、紫外線カット層15を設けるのが望ましい。
【0017】
被覆14が硬い部分14aでは紫外線硬化樹脂の収縮が大きいため、クラッド12に大きな応力(樹脂の収縮によりクラッドへの押し付け力が発生)が作用する。一方、被覆14が軟らかい部分14bでは紫外線硬化樹脂の収縮が少ないためクラッド12に作用する応力が小さくなる。この被覆14の硬度の変化に伴う応力の変化によりガラスファイバの屈折率を変化させ、故意に軽いマイクロベンド現象を生じさせて、高次モードが光ファイバ10から外部に放出されやすくする。
【0018】
被覆14の硬度に変化をつける方法として、ガラスファイバ13に塗布されている紫外線硬化樹脂に照射する紫外線の強度を変化させることができる。このように、強度を変化させて紫外線を照射する紫外線照射装置20としては、図2(A)に示すように、紫外線を照射する紫外線照射ランプ21と紫外線硬化樹脂が塗布されたガラスファイバ13との間に、環状の無端ベルト22を回転走行可能に設けたものがある。図2(B)に示すように、無端ベルト22には低透過率部である基部22aと高透過率部であるスリット22bとが走行方向に複数個交互に設けられており、無端ベルト22は図示省略のベルト走行機構により線引速度と等速にて回転走行する。
【0019】
各部における紫外線透過率としては、例えば無端ベルト22を透過率50〜70%の材質のフィルムで構成して基部22aとし、無端ベルト22を切欠いて透過率100%の高透過率部であるスリット22bを設ける。無端ベルト22は幅広に設けておき、スリット22bを設けても無端ベルト22としての強度を保持できるようにしておく。なお、好ましくは、基部22aの透過率を60%とする。また、スリット22bの割合としては、無端ベルト22の長さ1m当たりスリット22bの合計長さが50cm〜90cmとなるようにする。すなわち、スリット22bと基部22aとの比は、5:5から9:1となるようにする。好ましくは、7:3とし、無端ベルト22の長さ1m当たりのスリット22bの合計長さを70cmとする。
【0020】
図3には、本発明に係る光ファイバの製造方法を実施するための光ファイバの製造装置30の全体が示されている。光ファイバ母材31が加熱炉32の中に上下移動自在に保持されており、光ファイバ母材31の下部を加熱して、溶融部31aからガラスファイバ13を線引きする。加熱炉32の下方には紫外線硬化樹脂塗布装置33が設けられており、ガラスファイバ13の外側に、被覆14となる紫外線硬化樹脂を塗布する。紫外線硬化樹脂塗布装置33の下方には前述した紫外線照射装置20が設けられており、ガラスファイバ13に塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させて被覆14を形成する。
【0021】
図2に示すように、この紫外線照射装置20では、無端ベルト22が回転走行する。このとき、無端ベルト22に設けられている低透過率部である基部22aと高透過率部であるスリット22bとが、紫外線照射ランプ21とガラスファイバ13との間を交互に線引き方向へ通過する。従って、スリット22bが紫外線照射ランプ21の前を通過する際には、紫外線が100%ガラスファイバ13に照射されるので、ガラスファイバ13に塗布されている紫外線硬化樹脂は硬く硬化する。一方、基部22aが紫外線照射ランプ21の前を通過する際には、照射される紫外線の量が低減されるので、紫外線硬化樹脂は柔らかく硬化する。
【0022】
なお、無端ベルト22の回転周期を線引き速度と同期させるようにする。すなわち、紫外線照射装置20は一定の長さをもっているため、光ファイバ10が図2(A)中矢印▲1▼方向へ線引きされる速度と、紫外線照射ランプ21と光ファイバ10との間の無端ベルト22が矢印▲2▼方向へ走行速度とを一致させることにより、被覆14に硬い部分14aと軟らかい部分14bとを所定の紫外線透過率の差を維持して所定のピッチで設けることができる。
【0023】
図3に戻って、紫外線照射装置20の下方には紫外線カット層作成装置34が設けられており、光ファイバ10の被覆14の外側に、紫外線を透過させない紫外線カット層15を形成する。紫外線カット層15が形成された光ファイバ10は、ガイドローラ35を介してキャプスタン装置36により引き取られ、所定の張力を付与して、所定の強度を有しない不適切な光ファイバ10を検出する。所定の強度を有する光ファイバ10は、巻取りボビン37に巻取られる。
【0024】
【表1】
【0025】
表1には、比屈折率差が通常より大きい光ファイバ母材から、従来より用いられている通常の製造装置により被覆を一定の硬度として製造した光ファイバと、前述した製造装置30により被覆14の硬度を変化させて製造した光ファイバ10とを比較した結果が示されている。
【0026】
すなわち、比屈折率差を大きくしたため、通常の製造方法によるとλccが1270nmとなり、規定値の1260nmより大きくなって適当でない。一方、本発明にかかる光ファイバの製造方法により製造して被覆の硬度に変化をもたせると、カットオフ波長が約20nm程度短くなって1253nmとなり、規定値である1260nm以下となることがわかった。このため、比屈折率差を大きくしても高次モードの放出が可能であり、曲げ特性を向上させることができる。なお、この光ファイバ10は、線引き速度50m/分とし、紫外線の照射パターンを、高透過率部分:低透過率部分が7:3とした。すなわち、被覆14の硬い部分14aと軟らかい部分の比が7:3とした。
【0027】
以上、前述した光ファイバおよび光ファイバの製造方法によれば、被覆14となる紫外線硬化樹脂を硬化させる際に照射する紫外線の量を変化させることにより、容易に被覆14に長手方向に沿って硬い部分14aと軟らかい部分14bとを設けることができる。この被覆14における硬度の変化によりクラッド12に対する応力を変化させ、故意に軽度のマイクロベンド現象を生じさせて、高次モードの光を光ファイバ10から外部に放出しやすくすることができる。
なお、本発明に係る光ファイバの製造方法を実施する製造装置30では、紫外線照射ランプ21の前に、スリット22bが設けられた無端ベルト22を走行自在に設けるだけでよいので、既存の設備から容易に改造することができる。
【0028】
なお、本発明の光ファイバおよび光ファイバの製造方法は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態では、紫外線照射ランプ21と光ファイバ10との間に走行自在に設けた無端ベルト22に設けるスリット22bの大きさおよびピッチにより、高透過率部分であるスリット22bと低透過率部分である基部22aとの比率を決定したが、この他、紫外線照射ランプ21の出力を制御することにより照射される紫外線の量を変化させて、被覆14の硬度を変化させることも可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかる光ファイバおよび光ファイバの製造方法によれば、ガラスファイバの外周に紫外線硬化樹脂を塗布し、この紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する際に、紫外線の照射量を変化させることにより紫外線硬化樹脂の硬度を光ファイバの長手方向に沿って変化させる。これにより、紫外線硬化樹脂が硬化する際の収縮力により光ファイバに作用する応力を光ファイバの長手方向に変化させ、光ファイバの屈折率差を生じさせて高次モードの光を外部へ逃がし易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明に係る光ファイバの実施形態を示す断面図であり、(B)は側面図である。
【図2】(A)は紫外線照射装置の構成図、(B)は無端ベルトの正面図である。
【図3】本発明に係る光ファイバの製造方法を実施する製造装置の構成図である。
【図4】従来の光ファイバの被覆装置を示す構成図である。
【符号の説明】
10 光ファイバ
11 コア
12 クラッド
13 ガラスファイバ
14 被覆
15 紫外線カット層
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバおよび光ファイバの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プリフォームを加熱・線引きして作製したガラスファイバに、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることにより被覆して光ファイバを製造することが行われており、紫外線硬化樹脂により被覆する技術が公開されている(例えば、特許文献1参照。)。
図4には光ファイバの被覆装置が示されている。この被覆装置100は、内部に不活性ガスをパージし、外周に紫外線硬化樹脂が塗布されているガラスファイバ110を通すガラス管101と、このガラス管101の外側に設けられガラス管101内のガラスファイバ110に紫外線を照射する紫外線照射ランプ102等を備えている。
従って、線引きされ紫外線硬化樹脂が塗布されたガラスファイバ110をガラス管101に通し、外側から紫外線照射ランプ102により紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を均一に硬化させて被覆して光ファイバ110を製造する。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−315886号公報(第3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、伝送すべき信号光である基底モードの光と共に高次モードの光がコア内に閉じ込められると、ノイズが生じる等の種々の不都合を生じるため、高次モードの光を外部へ逃がすことが望まれている。
【0005】
例えば、近年、アクセス系の光化が進む中で、取り扱い性をよくするためや、狭い箇所に配線するために、光ファイバを小径で曲げたり巻いたりするケースが増加し、これに伴ってシングルモードファイバ(SMF)の曲げ損失特性の向上が望まれている。曲げ損失特性を向上させる場合、伝播光をコアに閉じ込める力を強くするために、コアの比屈折率差を大きくすることが考えられる。しかしながら、この場合はカットオフ波長も同時に変化して長波長化してしまうため、伝送すべき信号光である基底モードの光は勿論、除去されるべき高次モードの光も同時に光ファイバ外へ抜けにくくなるという問題がある。なお、22mでのケーブルカットオフ波長(λcc)は、シングルモード動作を保証する波長を示すものであるため、シングルモードファイバでは1310nm帯の伝送帯域を下回る1260nmに上限が規定されている。
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高次モードの光を外部に逃がし易い光ファイバおよび光ファイバの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明にかかる光ファイバは、ガラスファイバと紫外線硬化樹脂の被覆とを含む光ファイバであって、光ファイバの長手方向で、被覆の硬度が変化していることを特徴としている。
【0008】
このように構成された光ファイバにおいては、ガラスファイバを被覆する紫外線硬化樹脂の硬度を、光ファイバの長手方向で変化させることにより、紫外線硬化樹脂が硬化する際に収縮してガラスファイバに与える応力を変化させる。この応力の変化により屈折率を変化させ、故意に軽度のマイクロベンド現象を作り出すことにより、高次モードの光を外に逃がし易くして高次モードの光の伝播を防止する。
【0009】
また、本発明にかかる光ファイバは、被覆の硬度の変化が、紫外線硬化樹脂に照射する紫外線の量を変化させることにより設けられていることを特徴としている。
【0010】
ガラスファイバに塗布されて被覆となる紫外線硬化樹脂に照射される紫外線の量を変化させることにより、被覆の硬度を長手方向に変化させることができる。
【0011】
また、本発明にかかる光ファイバは、被覆の外側に紫外線カット層を有することを特徴としている。
【0012】
このように構成された光ファイバにおいては、照射される紫外線の量を変化させて紫外線硬化樹脂の硬度を変化させながら硬化させて被覆した後、被覆の外側に設けられた紫外線カット層が、被覆への紫外線をカットすることができる。したがって、樹脂被覆の硬度変化部は、紫外線がカットされ、長期間にわたり硬度の変化を維持することができる。
【0013】
また、本発明にかかる光ファイバの製造方法は、ガラスファイバの外周に紫外線硬化樹脂を塗布する工程1と、前記紫外線硬化樹脂に紫外線を照射し硬化させて被覆する工程2とを含む光ファイバの製造方法において、前記工程2で、紫外線の照射量を変化させて光ファイバの長手方向に前記被覆の硬度を変化させることを特徴としている。
【0014】
このように構成された光ファイバの製造方法においては、ガラスファイバの外周に紫外線硬化樹脂を塗布し、この紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させる際に、紫外線の照射量を変化させることにより紫外線硬化樹脂の硬度を光ファイバの長手方向に沿って変化させる。この硬度の変化に伴うガラスファイバに対する応力の変化により屈折率を変化させ、故意に軽度のマイクロベンド現象を作り出して高次モードの光を外に逃がして高次モードの光の伝播を防止する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ファイバおよび光ファイバの製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(A)および(B)は本発明に係る光ファイバの断面図および側面図、図2(A)は紫外線照射装置の構成図、図2(B)は無端ベルトの正面図、図3は本発明に係る光ファイバの製造方法を実施する製造装置の構成図である。
【0016】
図1に示すように、本発明に係る光ファイバ10は、コア11およびクラッド12を有するガラスファイバ13の外側に、紫外線硬化樹脂を塗布し、この紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより被覆14を形成したものである。この被覆14は、光ファイバ10の長手方向(図1(B)において左右方向)に沿って、硬度が変化している。硬度の変化のパターンは限られたものではなく、種々のパターンが考えられる。例えば、硬度が高い硬い部分14aと、この硬い部分14aと比較して硬度が低い軟らかい部分14bとを交互に設けることができる。そのほか、ある一定のパターンで紫外線硬化樹脂の硬い領域と柔らかい領域を形成してもよい。さらに、ランダムに硬い領域と柔らかい領域を形成してもよい。なお、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化し、被覆14を形成した後に、さらに紫外線を受けて硬度が変化しないように、被覆14の外側に、紫外線カット層15を設けるのが望ましい。
【0017】
被覆14が硬い部分14aでは紫外線硬化樹脂の収縮が大きいため、クラッド12に大きな応力(樹脂の収縮によりクラッドへの押し付け力が発生)が作用する。一方、被覆14が軟らかい部分14bでは紫外線硬化樹脂の収縮が少ないためクラッド12に作用する応力が小さくなる。この被覆14の硬度の変化に伴う応力の変化によりガラスファイバの屈折率を変化させ、故意に軽いマイクロベンド現象を生じさせて、高次モードが光ファイバ10から外部に放出されやすくする。
【0018】
被覆14の硬度に変化をつける方法として、ガラスファイバ13に塗布されている紫外線硬化樹脂に照射する紫外線の強度を変化させることができる。このように、強度を変化させて紫外線を照射する紫外線照射装置20としては、図2(A)に示すように、紫外線を照射する紫外線照射ランプ21と紫外線硬化樹脂が塗布されたガラスファイバ13との間に、環状の無端ベルト22を回転走行可能に設けたものがある。図2(B)に示すように、無端ベルト22には低透過率部である基部22aと高透過率部であるスリット22bとが走行方向に複数個交互に設けられており、無端ベルト22は図示省略のベルト走行機構により線引速度と等速にて回転走行する。
【0019】
各部における紫外線透過率としては、例えば無端ベルト22を透過率50〜70%の材質のフィルムで構成して基部22aとし、無端ベルト22を切欠いて透過率100%の高透過率部であるスリット22bを設ける。無端ベルト22は幅広に設けておき、スリット22bを設けても無端ベルト22としての強度を保持できるようにしておく。なお、好ましくは、基部22aの透過率を60%とする。また、スリット22bの割合としては、無端ベルト22の長さ1m当たりスリット22bの合計長さが50cm〜90cmとなるようにする。すなわち、スリット22bと基部22aとの比は、5:5から9:1となるようにする。好ましくは、7:3とし、無端ベルト22の長さ1m当たりのスリット22bの合計長さを70cmとする。
【0020】
図3には、本発明に係る光ファイバの製造方法を実施するための光ファイバの製造装置30の全体が示されている。光ファイバ母材31が加熱炉32の中に上下移動自在に保持されており、光ファイバ母材31の下部を加熱して、溶融部31aからガラスファイバ13を線引きする。加熱炉32の下方には紫外線硬化樹脂塗布装置33が設けられており、ガラスファイバ13の外側に、被覆14となる紫外線硬化樹脂を塗布する。紫外線硬化樹脂塗布装置33の下方には前述した紫外線照射装置20が設けられており、ガラスファイバ13に塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させて被覆14を形成する。
【0021】
図2に示すように、この紫外線照射装置20では、無端ベルト22が回転走行する。このとき、無端ベルト22に設けられている低透過率部である基部22aと高透過率部であるスリット22bとが、紫外線照射ランプ21とガラスファイバ13との間を交互に線引き方向へ通過する。従って、スリット22bが紫外線照射ランプ21の前を通過する際には、紫外線が100%ガラスファイバ13に照射されるので、ガラスファイバ13に塗布されている紫外線硬化樹脂は硬く硬化する。一方、基部22aが紫外線照射ランプ21の前を通過する際には、照射される紫外線の量が低減されるので、紫外線硬化樹脂は柔らかく硬化する。
【0022】
なお、無端ベルト22の回転周期を線引き速度と同期させるようにする。すなわち、紫外線照射装置20は一定の長さをもっているため、光ファイバ10が図2(A)中矢印▲1▼方向へ線引きされる速度と、紫外線照射ランプ21と光ファイバ10との間の無端ベルト22が矢印▲2▼方向へ走行速度とを一致させることにより、被覆14に硬い部分14aと軟らかい部分14bとを所定の紫外線透過率の差を維持して所定のピッチで設けることができる。
【0023】
図3に戻って、紫外線照射装置20の下方には紫外線カット層作成装置34が設けられており、光ファイバ10の被覆14の外側に、紫外線を透過させない紫外線カット層15を形成する。紫外線カット層15が形成された光ファイバ10は、ガイドローラ35を介してキャプスタン装置36により引き取られ、所定の張力を付与して、所定の強度を有しない不適切な光ファイバ10を検出する。所定の強度を有する光ファイバ10は、巻取りボビン37に巻取られる。
【0024】
【表1】
【0025】
表1には、比屈折率差が通常より大きい光ファイバ母材から、従来より用いられている通常の製造装置により被覆を一定の硬度として製造した光ファイバと、前述した製造装置30により被覆14の硬度を変化させて製造した光ファイバ10とを比較した結果が示されている。
【0026】
すなわち、比屈折率差を大きくしたため、通常の製造方法によるとλccが1270nmとなり、規定値の1260nmより大きくなって適当でない。一方、本発明にかかる光ファイバの製造方法により製造して被覆の硬度に変化をもたせると、カットオフ波長が約20nm程度短くなって1253nmとなり、規定値である1260nm以下となることがわかった。このため、比屈折率差を大きくしても高次モードの放出が可能であり、曲げ特性を向上させることができる。なお、この光ファイバ10は、線引き速度50m/分とし、紫外線の照射パターンを、高透過率部分:低透過率部分が7:3とした。すなわち、被覆14の硬い部分14aと軟らかい部分の比が7:3とした。
【0027】
以上、前述した光ファイバおよび光ファイバの製造方法によれば、被覆14となる紫外線硬化樹脂を硬化させる際に照射する紫外線の量を変化させることにより、容易に被覆14に長手方向に沿って硬い部分14aと軟らかい部分14bとを設けることができる。この被覆14における硬度の変化によりクラッド12に対する応力を変化させ、故意に軽度のマイクロベンド現象を生じさせて、高次モードの光を光ファイバ10から外部に放出しやすくすることができる。
なお、本発明に係る光ファイバの製造方法を実施する製造装置30では、紫外線照射ランプ21の前に、スリット22bが設けられた無端ベルト22を走行自在に設けるだけでよいので、既存の設備から容易に改造することができる。
【0028】
なお、本発明の光ファイバおよび光ファイバの製造方法は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態では、紫外線照射ランプ21と光ファイバ10との間に走行自在に設けた無端ベルト22に設けるスリット22bの大きさおよびピッチにより、高透過率部分であるスリット22bと低透過率部分である基部22aとの比率を決定したが、この他、紫外線照射ランプ21の出力を制御することにより照射される紫外線の量を変化させて、被覆14の硬度を変化させることも可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかる光ファイバおよび光ファイバの製造方法によれば、ガラスファイバの外周に紫外線硬化樹脂を塗布し、この紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する際に、紫外線の照射量を変化させることにより紫外線硬化樹脂の硬度を光ファイバの長手方向に沿って変化させる。これにより、紫外線硬化樹脂が硬化する際の収縮力により光ファイバに作用する応力を光ファイバの長手方向に変化させ、光ファイバの屈折率差を生じさせて高次モードの光を外部へ逃がし易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明に係る光ファイバの実施形態を示す断面図であり、(B)は側面図である。
【図2】(A)は紫外線照射装置の構成図、(B)は無端ベルトの正面図である。
【図3】本発明に係る光ファイバの製造方法を実施する製造装置の構成図である。
【図4】従来の光ファイバの被覆装置を示す構成図である。
【符号の説明】
10 光ファイバ
11 コア
12 クラッド
13 ガラスファイバ
14 被覆
15 紫外線カット層
Claims (4)
- ガラスファイバと紫外線硬化樹脂の被覆とを含む光ファイバであって、
前記光ファイバの長手方向で、前記被覆の硬度が変化していることを特徴とする光ファイバ。 - 前記被覆の硬度の変化が、前記紫外線硬化樹脂に照射する紫外線の量を変化させることにより設けられていることを特徴とする請求項1に記載した光ファイバ。
- 前記被覆の外側に紫外線カット層を有することを特徴とする請求項1または2に記載した光ファイバ。
- ガラスファイバの外周に紫外線硬化樹脂を塗布する工程1と、前記紫外線硬化樹脂に紫外線を照射し硬化させて被覆する工程2とを含む光ファイバの製造方法において、
前記工程2で、前記紫外線の照射量を変化させて前記光ファイバの長手方向に前記被覆の硬度を変化させることを特徴とする光ファイバの製造方法。
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