[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態によるマイクロアジャストメントでのピント調整方法について説明する。
図1は、本実施形態に係る撮像装置1の構成を示すブロック図である。撮像装置1は、デジタルカメラであり、レンズユニット100及びカメラ本体200を備える。レンズユニット100は、交換可能な撮影レンズを搭載するレンズユニットである。
カメラ本体200には、レンズユニット100がマウント機構(不図示)を介して着脱可能に取り付けられる。撮像装置1は、レンズユニット100とカメラ本体200との間のマウント部に電気的接点群107を有し、カメラ本体200は、電気的接点群107を介してレンズユニット100との間で通信を行い撮影レンズ101及び絞り102の駆動を制御する。
不図示の被写体像からの撮影光束は、撮影レンズ101及び光量を調節する絞り102を介して、カメラ本体200のクイックリターンミラー202に導かれる。クイックリターンミラー202の中央部はハーフミラーになっており、クイックリターンミラー202がダウンした位置にて一部の被写体光束が透過するように構成されている。
クイックリターンミラー202を透過した被写体光束は、クイックリターンミラー202の後方へ設置されたサブミラー203により反射され、AFセンサー204に導かれる。一方、クイックリターンミラー202で反射された撮影光束は、ペンタプリズム201、接眼レンズ206を介して撮影者の目に至る。
クイックリターンミラー202がアップした際には、撮影レンズ101からの光束は、フィルタ209及び機械シャッタであるフォーカルプレーンシャッタ208を介して、撮像素子としてのCMOS等に代表されるイメージセンサ210に至る。なお、クイックリターンミラー202のアップ時には、サブミラー203は折り畳まれるように構成されている。
フィルタ209は、赤外線をカットし可視光線のみをイメージセンサ210へ導く機能と、被写体光の高周波成分をカットする光学ローパスフィルタとしての機能とを有する。フォーカルプレーンシャッタ208は、先幕及び後幕を有し、撮影レンズ101からの光束の透過及び遮断を制御する。
カメラ本体200は、撮像装置1全体の制御手段となるCPUにより構成されるシステムコントローラ223(制御部)を備え、EEPROM222に格納された各種プログラムを基に後述する各部の動作を適宜制御する。ここで、撮像装置1の制御装置は、システムコントローラ223(制御部)及びEEPROM222(記憶部)を含み、カメラ本体200に設けられる。なお、撮像装置1の制御装置は、レンズユニット100に設けられていてもよい。
システムコントローラ223は、撮影レンズ101を光軸方向に移動してピント合わせを行うためのレンズ駆動機構103を制御するレンズ制御回路104と、絞り102を駆動するための絞り駆動機構105を制御する絞り制御回路106とに接続されている。また、システムコントローラ223は、クイックリターンミラー202のアップ・ダウンの駆動及びフォーカルプレーンシャッタ208のシャッターチャージ駆動を制御するシャッターチャージ・ミラー駆動機構211に接続されている。
また、システムコントローラ223は、フォーカルプレーンシャッタ208の先幕及び後幕の走行を制御するシャッタ制御機構212と、接眼レンズ206の近傍に配設された測光センサに接続された自動露出制御を行う測光回路207とに接続されている。また、システムコントローラ223は、カメラ本体200を制御する上で調整が必要なパラメータ、撮像装置の個体識別のためのカメラID情報、基準レンズで調整されたAF補正値及び自動露出補正値等を記憶するEEPROM222に接続されている。
EEPROM222(記憶部)には、システムコントローラ223の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。
システムコントローラ223は、レンズユニット100及びカメラ本体200全体を制御し、EEPROM222に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。DRAM221には、システムコントローラ223の動作用の定数、変数、EEPROM222から読み出したプログラム等が展開される。
レンズ制御回路104は、レンズ固有の情報(例えば焦点距離、開放絞り、レンズ個々に割り振られるレンズID、レンズ種類、製造者情報、レンズ状態等の情報)と、システムコントローラ223から受け取った情報を記憶する記憶手段(不図示)を有する。
カメラ本体200は、パーソナルコンピュータ(PC)に代表される外部制御装置300が接続可能になっており、通信インターフェース回路224を介してシステムコントローラ223は外部制御装置300と通信可能である。
測光回路207に接続されている測光センサ(不図示)は、被写体の輝度を測定するためのセンサであり、その出力は測光回路207を経てシステムコントローラ223へ供給される。
システムコントローラ223は、レンズ制御回路104を介して、レンズ駆動機構103を制御し、撮影レンズ101を駆動させて、被写体像をイメージセンサ210上に結像させる。また、システムコントローラ223は、撮影モードにより設定されたAv値に基いて、絞り制御回路106を介して絞り102を駆動する絞り駆動機構105を制御し、更に、設定されたTv値に基いて、シャッタ制御機構212へ制御信号を出力する。
フォーカルプレーンシャッタ208の先幕及び後幕の駆動源は、バネにより構成されており、シャッタ走行後、次の動作のためにバネチャージを要する。シャッターチャージ・ミラー駆動機構211は、このバネチャージを制御するように構成されている。また、シャッターチャージ・ミラー駆動機構211によりクイックリターンミラー202のアップ・ダウンが行われる。
システムコントローラ223は、画像データコントローラ220にも接続されている。画像データコントローラ220は、DSP(デジタル信号プロセッサ)により構成され、イメージセンサ210の制御及びイメージセンサ210から入力された画像データの補正や加工などをシステムコントローラ223の指令に基いて実行する。
画像データコントローラ220による画像データの補正・加工の項目にはオートホワイトバランスも含まれ、オートホワイトバランスは、撮影画像の中の最大輝度の部分を所定の色(白色)に補正する機能である。なお、オートホワイトバランスは、システムコントローラ223からの命令により補正量を変更する事が可能である。
画像データコントローラ220は、A/Dコンバータ216、及びイメージセンサ210を駆動する際に必要なパルス信号を出力するタイミングパルス発生回路217に接続されている。A/Dコンバータ216は、イメージセンサ210と共にタイミングパルス発生回路217で発生されたタイミングパルスを受けて、イメージセンサ210から出力される被写体像に対応したアナログ信号をデジタル信号に変換する。また、画像データコントローラ220は、得られた画像データ(デジタルデータ)を一時的に記憶しておくDRAM221、D/Aコンバータ215及び画像圧縮回路219に接続されている。
DRAM221は、加工や所定のフォーマットへのデータ変換が行われる前の画像データを一時的に記憶する。D/Aコンバータ215は、エンコーダ回路214を介して画像の表示部である画像表示回路213に接続されている。また、画像圧縮回路219は、画像データ記録メディア218に接続されている。
画像表示回路213は、イメージセンサ210で撮像された画像データを表示するための回路であり、一般にはカラーの液晶表示素子により構成される。画像データコントローラ220は、DRAM221上の画像データを、D/Aコンバータ215によりアナログ信号に変換してエンコーダ回路214へ出力する。エンコーダ回路214は、D/Aコンバータ215の出力を、画像表示回路213を駆動する際に必要な映像信号(例えばNTSC信号)に変換する。
画像圧縮回路219は、DRAM221に記憶された画像データの圧縮や変換(例えばJPEG)を行うための回路である。変換された画像データは、画像データ記録メディア218へ格納される。画像データ記録メディア218としては、ハードディスク、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク等が使用される。
システムコントローラ223は、カメラ本体200の動作モードの情報や露出情報(シャッタ秒時、絞り値等)の表示を行うための動作表示回路225に接続されている。また、システムコントローラ223は、測光・測距などの撮影準備動作を開始させるためのレリーズSW1(231)と、撮像動作を開始させるためのレリーズSW2(230)とに接続されている。
また、システムコントローラ223は、ユーザーが所望の動作をカメラ本体200に実行させるべくモードを設定するためのモード設定SW229と、画像選択手段やメニュー設定等の各種設定手段としての決定SW227とに接続されている。また、システムコントローラ223は、ブラケット量を設定するためのブラケット量設定SW232と、回転動作によりパラメータをアップ・ダウンさせて表示するための電子ダイヤルSW226とに接続されている。また、システムコントローラ223は、メニューSW236と、再生SW237と、拡大縮小SW238とに接続されている。
例えば、ユーザーによりメニューSW236が押されると各種の設定可能なメニュー画面が画像表示回路213に表示される。ユーザーは、画像表示回路213に表示されたメニュー画面と、電子ダイヤルSW226や決定SW227を用いて直感的にメニュー設定等の各種設定を行うことができる。
また、例えば、再生SW237が押されると各種の設定可能な再生画面が画像表示回路213に表示される。再生画面には画像データ記録メディア218に記録されている画像データが表示され、再生画面内で拡大縮小SW238が押されると画像が拡大又は縮小して画像表示回路213に表示される。ユーザーは、画像表示回路213に表示された再生画面と、電子ダイヤルSW226や決定SW227や拡大縮小SW238とを用いて直感的に画像送り、拡大位置の指定、拡大縮小等の各種設定を行うことができる。
カウンター233は、各種ブラケット撮影を行う際にレリーズ回数をカウントするためのカウンターであり、システムコントローラ223に接続されている。カウンター233の計数値のリセットはシステムコントローラ223により行われる。
<デフォーカス量検出の原理>
次に、デフォーカス量検出(ピント位置ズレ量検出)の原理を図2、図3を参照して説明する。図2は、撮像素子上でのピント位置及びピント位置ズレを示した図である。
図2(a)に示すように、撮像素子上にピントがあっているとき、ラインセンサ上の2像間隔はある値をとる。この値は設計上求めることができるが、実際には、部品の寸法、バラツキや組立て上の誤差によって設計値と同じになるとは限らず、実際に測定してピントがあっているときの2像間隔(「基準2像間隔Lo」という。)を求める必要がある。基準2像間隔Loより2像間隔が狭まければ、図2(b)に示す「前ピン」であり、Loより広ければ、図2(c)に示す「後ピン」である。
図3は、AFセンサモジュールの光学系からコンデンサレンズを省いたモデルを示した図である。図3に示すように、主光線の角度をθ、セパレータレンズの倍率をβ、像の移動量をΔL,ΔL’とすると、デフォーカス量Lは以下の式1で求まる。
ここで、βtanθは、AFセンサモジュールの設計上定まるパラメータであり、ΔL’は、基準2像間隔(Lo)と現在の2像間隔(Lt)から求めることができる。
AFセンサー204は、撮影画面の複数の位置で焦点検出できるように、構成を複数具備している。AF機能のピント調整は、ピント位置が既知のレンズを用い、撮像素子の光軸上の位置(撮像素子の組み付け誤差)にピント位置が来るようにAFセンサー204から得られる2像間隔をAFピント補正パラメータとしてEEPROM222に記憶させる。しかし、これはデジタルカメラに取り付けられる撮影レンズが変わると撮影レンズ自体の製造誤差によりピント位置にバラツキが生じる。
したがって、システムコントローラ223は、AFセンサー204の情報と、カメラ本体200に装着されている撮影レンズ101の情報を基に、合焦位置を補正する為のAF補正値を算出するAFキャリブレーションモード(AF補正モード)を実行する。これにより、システムコントローラ223は、撮影レンズ毎のバラツキを補正できるように、撮影レンズ個別のAF補正値を算出する。
次に、システムコントローラ223のAFキャリブレーションモードによるAF補正値(CALデータ)の調整を行い、通常撮影にAF補正値(CALデータ)を利用する為のシーケンスについて図4〜図7を参照して説明する。
図4を用いて、撮影モードの設定及びAFキャリブレーションモードの設定シーケンスを説明する。このフローチャートにおける各処理はシステムコントローラ223がEEPROM222に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
なお、メニューSW236が押されると撮像装置1の電源制御部(不図示)が起動し、システムコントローラ223への給電が開始され、システムコントローラ223は、図4のS101より実行を開始し、各処理S101〜S119を実行する。
S101で、システムコントローラ223は、モード設定SW229がONしたかどうか判定する。ONしていれば、ユーザーによってモード設定操作が開始されたものと判定しS102に処理を移行する。
S102で、システムコントローラ223は、カメラ本体200に装着されているレンズユニット100の撮影レンズ101の状態判定(種別判定)を行い、撮影レンズ101が装着されているか否か判定する。また、このとき、システムコントローラ223は、レンズ制御回路104からの上記レンズ固有の情報を基に、装着されている撮影レンズ101がAFキャリブレーションモードによるAF補正値の算出動作が可能か否かの判定を行う。
レンズユニット100(撮影レンズ101)がカメラ本体200に装着されていない場合、システムコントローラ223は、AFキャリブレーションモードを選択設定不可と判断し、通常の撮影モード設定のためにS106へ処理を移す(S102でNo)。また、撮影レンズ101が装着されている場合(S102でYes)、システムコントローラ223は、S103へ処理を移行する。
また、S102で、システムコントローラ223は、レンズ制御回路104からのレンズ固有情報より、AFキャリブレーションモードが選択設定可能か否かも判定する。AFキャリブレーションモードが選択設定可能な場合(S102でYes)、S103へ処理を移行し、後述する通常の撮影モード及びAFキャリブレーションモードの選択設定が行われる。また、AFキャリブレーションモードが選択設定不可能な場合(S102でNo)、S106へ処理を移行し、後述する通常の撮影モード設定が行われる。
なお、S102で、AFキャリブレーションモードの設定が不可能な撮影レンズが装着されたと判定する場合には、AFキャリブレーションモードの設定を不可能と判定し、選択動作の禁止指令をシステムコントローラ223へ伝達している。
S106で、システムコントローラ223は、カウンター233を用いて、モード選択の為の電子ダイヤルSW226の操作クリック数を検出する。ユーザーが電子ダイヤルSW226を回転させると、操作クリック毎に、撮影モードは、「TV」→「AV」→「P」→「TV」・・・とサイクリックに変化する。また、ユーザーが電子ダイヤルSW226を逆方向に回転させると、操作クリック毎に、選択モードは、「TV」→「P」→「AV」→「TV」・・・とサイクリックに変化する。
S107で、システムコントローラ223は、モード設定SW229がOFFしたかどうか判定する。OFFしたのであれば、S108で、システムコントローラ223は、その時に選択されていた撮影モードに撮像装置1を設定し、各撮影モードに応じた不図示の撮影シーケンスS119へ処理を移行する。
装着された撮影レンズ101に対するAFキャリブレーションモードによる補正値の算出動作が可能と判定され場合(S102でYes)、S103へ処理が移行する。S103で、システムコントローラ223は、カウンター233を用いて、モード選択の為の電子ダイヤルSW226の操作クリック数を検出する。
ユーザが電子ダイヤルSW226を回転させると、操作クリック毎に、撮影モード及びAFキャリブレーションモードは、「TV」→「AV」→「P」→「AFキャリブレーション」→「TV」・・・とサイクリックに変化する。また、ユーザーが電子ダイヤルSW226を逆方向に回転させると、操作クリック毎に、選択モード及びAFキャリブレーションモードは、「TV」→「AFキャリブレーション」→「P」→「AV」→「TV」・・・サイクリックに変化する。
S104で、システムコントローラ223は、モード設定SW229がOFFしたかどうか判定する。OFFしたのであれば、S105で、システムコントローラ223は、その時に選択されていた撮影モード又はAFキャリブレーションモードに撮像装置1の撮影モードを設定する。
S109で、システムコントローラ223は、S105で設定されたモードがAFキャリブレーションモードであるかどうか判別する。AFキャリブレーションモード以外の場合(S109でNo)、システムコントローラ223は、S119に処理を移行し、設定された撮影モードに応じた撮影シーケンス(不図示)へ移行する。
S109にてAFキャリブレーションモードと判定した場合(S109でYes)、S110で、システムコントローラ223は、再度、カメラ本体200に装着されている撮影レンズ101の状態判定(種別判定)を行う。
S110にてカメラ本体200に装着されている撮影レンズ101により動作可能と判定すると(S110でYes)、システムコントローラ223は、AFキャリブレーションモードでの撮影準備動作設定を可能と判定し、S111へ処理を移行する。
また、前述した何らかの理由により、S109及びS110でAFキャリブレーションモードが設定されているが動作不可能と判定された場合には(S110でNo)、システムコントローラ223は、S117へ処理を移行する。そして、システムコントローラ223は、S117でユーザーへ警告を行った後、S118でAFキャリブレーションモードの解除処理を行い、撮影モード設定処理状態となる。
S111で、システムコントローラ223は、AFキャリブレーション撮影時のAFブラケット量の設定を行う為、ブラケット量設定SW232がONされたかどうか判別する。ONされれば、システムコントローラ223は、S112へ処理を移行する。ONされなければ(S111でOFF)、システムコントローラ223は、S116でAFキャリブレーション撮影時のAFブラケット量を基準設定値aと設定し、AFキャリブレーション撮影シーケンスS115へと処理を移行する。
S112で、システムコントローラ223は、電子ダイヤルSW226の操作クリック数を検出する。ユーザーは、電子ダイヤルSW226を任意の方向に回転させ、AFブラケットステップ量を基準値aに対して操作クリック毎に、「基準値a×0.25」⇔「基準値a×0.5」⇔「基準値a」⇔「基準値a×2」⇔「基準値a×4」と変化させる事が出来る。ただし、「基準値×0.25」及び「基準値×4」をそれぞれ上限・下限値とし、それ以上の変化をさせようとして電子ダイヤルを操作しても無視するようにしてもよい。
AFブラケットステップ量の基準値は、絞り制御回路106から開放絞り値情報(FNO)をシステムコントローラ223が受け取り、下記の式2にて決定される。
基準値aδ=FNO×ε …(式2)
ここで、FNOは絞り値情報を示し、εは許容錯乱円径を示す。また、本実施形態での基準値aは、「焦点深度δ=FNO×ε」と同じ値であり、ε=0.03mmとしている。
AFブラケットステップ量を可変とする事で下記の事が可能となる。つまり、大きなピント補正が必要な場合でも、AFキャリブレーションをステップ量を段階的に変化(大きなステップ量から小さいステップ量へ)させて複数回実行する事で、ピント補正量を適切な値まで絞り込んで求めていく事が可能となる。
S113で、システムコントローラ223は、ブラケット量設定SW232がOFFしたかどうか判定する。OFFしたのであれば、S114で、システムコントローラ223は、ブラケットステップ量「A」をS113で選択されていたブラケットステップ量に設定する。そして、システムコントローラ223は、AFキャリブレーション撮影シーケンスS115へ処理を移行する。
次に、図5を用いて、AFキャリブレーション撮影シーケンス(S115)について説明する。AFキャリブレーション撮影シーケンスは、システムコントローラ223により制御される。
S201で、システムコントローラ223は、カウンター233のカウント数Nをリセットする(例えばN=0)。ここで、Nは整数であり、ブラケット撮影の撮影順序を示すインデックスとして用いられる。S202で、システムコントローラ223は、レリーズSW1(231)がONされたかどうか判別する。ONされれば、システムコントローラ223は、撮像露出を決定するS203、S205の処理に移行する。
S203で、測光回路207は、撮影レンズ101を通りクイックリターンミラー202で反射され、ペンタプリズム201を通過した光束を測光する。S204で、システムコントローラ223は、測光回路207の出力に応じて撮像時の露出量(絞り値情報)を決定する。
S205で、システムコントローラ223は、AFセンサー204及び焦点検出回路205を用いて対象物を測距する。S206で、システムコントローラ223は、測距出来たかどうか判別する。測距した対象物が低コントラストの場合や暗い場合には測距出来ない事がある。測距出来なかった場合(S206でNG)、システムコントローラ223は、S210で警告を行う。
S207で、システムコントローラ223は、S205で得られた測距結果に基づき、レンズ制御回路104にレンズ駆動量を送信する。レンズ制御回路104は、送信されてきたレンズ駆動量に基づきレンズ駆動機構103を制御し、レンズ駆動機構103は、撮影レンズ101を合焦位置へと駆動する。この時、AF補正値(CALデータ)を既に持っていたならば、レンズ駆動量は、
レンズ駆動量=測距結果+製造時のAF補正値(調整データ)+AF補正値(CALデータ)
となる。
S208で、システムコントローラ223は、S207で駆動させた撮影レンズ101の位置をAF基準位置として設定し、記憶する。S209で、システムコントローラ223は、画像データコントローラ220に対し、画像データ記録メディア218にAFキャリブレーションの画像データを保存するフォルダの作成指示を出す。それを受けて画像データコントローラ220は、画像圧縮回路219を介して画像データ記録メディア218にAFキャリブレーション画像データ保存用のフォルダを作成する。
S211で、システムコントローラ223は、レリーズSW2(230)がONされたかどうか判別する。ONされていれば、システムコントローラ223は、S212へ処理を移行する。
S212で、システムコントローラ223は、ピント位置ズラシ量「DF」の演算を行う。システムコントローラ223は、カウンター233から現在のカウント数Nを受け取り、ピント位置ズラシ量「DF」を以下の式から演算する。
DF=A×(N−4)
S213で、システムコントローラ223は、カウンター233のカウント数Nを一つカウントアップする(N=N+1)。S214で、システムコントローラ223は、S212で演算したピント位置ズラシ量「DF」をレンズ制御回路104に送信する。それを受けてレンズ制御回路104は、レンズ駆動回路103を制御し、撮影レンズ101をピント位置ズラシ量「DF」の位置まで駆動する。
S215で、システムコントローラ223は、シャッターチャージ・ミラー駆動機構211を制御し、クイックリターンミラー202のミラーアップが行われる。S216で、システムコントローラ223は、S204で設定された絞り値情報を絞り制御回路106へ送信し、それを受けた絞り制御回路106が絞り駆動機構105を駆動して、設定された絞り値まで絞り込みが行われる。
S217で、システムコントローラ223は、フォーカルプレーンシャッタ208を開くよう各部を制御する。S218で、システムコントローラ223は、画像データコントローラ220(DSP)に対してイメージセンサ210の積分動作を指示する。S219で、システムコントローラ223は、所定時間の間待機し、積分時間が終わると(S219でYes)、S220へ処理を移行し、フォーカルプレーンシャッタ208を閉じる。
システムコントローラ223は、S220及びS221で、次回の動作に備えてフォーカルプレーンシャッタ208のチャージ動作及びミラーダウン駆動を行う。S222で、システムコントローラ223は、絞り制御回路106及び絞り駆動機構105を介して、絞り102を開放へと駆動する。
S223で、システムコントローラ223は、画像データコントローラ220に対してイメージセンサ210から画像データを取り込むように指示する。この際、イメージセンサ210から取り込む画像データは、AFに使用された測距点を含む限定されたエリアの画像データでも良い。
S224で、システムコントローラ223は、画像データコントローラ220へ現在のピント位置ズラシ量「DF」を送信する。それを受けて画像データコントローラ220は、N値、レンズID情報、画像データ及びピント位置ズラシ量「DF」を関連付けて、画像圧縮回路219を通して画像データ記録メディア218へ記録する。
S225で、システムコントローラ223は、カウンター233のカウント数Nの値を確認する。カウント数Nが所定の値になっていれば、システムコントローラ223は、AFキャリブレーション撮影シーケンスが完了したと判定し、AFキャリブレーション画像選択シーケンス(図6)へと処理を移行する。なお、当該所定の値は例えば7である。
次に、図6を用いて、AFキャリブレーション画像選択シーケンスについて説明する。
S301で、システムコントローラ223は、電子ダイヤルSW226の操作状態を検出する。電子ダイヤルSW226の操作はカウンター233によりカウントされ(カウント数N)、システムコントローラ223は、左回転されれば(カウントダウン:N=N−1)S302へ、右回転されれば(カウントアップ:N=N+1)S305へ処理を移行する。なお、S301での初期のカウント数Nは、上記所定の値(例えば7)であってもよいし、1であってもよい。
S302で、システムコントローラ223は、カウンターのカウント数Nが「0」より小さいかどうか判定する。Nが0以下の場合(S302でYes)、S303で、システムコントローラ223は、選択表示出来るAFキャリブレーション撮影画像データがない事を画像表示回路213及び/又はブザー(不図示)を用いて警告を行い、S301に処理を戻す。カウンターのカウント数Nが0より大きい場合(S302でNo)、S308へ処理を移す。
S305で、システムコントローラ223は、カウンターのカウント数nがS225の上記所定値(例えば7)より大きいかどうか判別する。nが当該所定値より大きい場合(S305でYes)、S306で、システムコントローラ223は、選択表示出来るAFキャリブレーション撮影画像データがない事を画像表示回路213及び/又はブザーを用いて警告を行い、S301へ処理を戻す。nが当該所定値以下の場合(S305でNo)、S308へ処理を移す。
S308で、システムコントローラ223は、電子ダイヤルSW226の操作に応じて変化したカウント数nに応じたAFキャリブレーション画像データを画像データ記録メディア218から読み出し、その画像を画像表示回路213に表示する。AFキャリブレーションで撮影された画像の表示を行うS308のAFキャリブレーション画像表示については後述する。
S309で、システムコントローラ223は、決定SW227がONされたかどうか判別する。ONされていればS310へ処理を移行し、ONされていなければS301に処理を戻す。
S310で、システムコントローラ223は、S309で決定SW227がONされた時のAFキャリブレーション画像データに関連付けて画像データ記録メディア218に記録されたピント位置ズラシ量「DF」をAF補正値(CALデータ)として決定する。S311で、システムコントローラ223は、S310で決定したAF補正値(CALデータ)を、レンズ制御回路104が持っているレンズIDと共にEEPROM222に書き込む。
S312で、システムコントローラ223は、AFキャリブレーション画像データ全て及びAFキャリブレーション画像データ用フォルダを画像データ記録メディア218から削除する。
次に、図7を用いて、通常撮影のシーケンスについて説明する。このフローチャートにおける各処理はシステムコントローラ223がEEPROM222に格納されたプログラムを実行することにより実現される。レリーズSW1(231)が押されると不図示の電源制御部が起動しシステムコントローラ223への給電が開始され、システムコントローラ223は、図7のS401より処理の実行を開始する。
S401で、システムコントローラ223は、レリーズSW1(231)がONされたかどうか判別する。ONされれば撮像露出を決定するS402、S404の処理に分岐・移行し、ONされていなければS401の処理を繰り返す。
S402で、測光回路207は、撮影レンズ101を通りクイックリターンミラー202で反射され、ペンタプリズム201を通過した光束を測光する。S403で、システムコントローラ223は、測光回路207の出力に応じて撮像時の露出量を決定する。
S404で、システムコントローラ223は、AFセンサー204及び焦点検出回路205を使い、対象物に対する測距を行う。S405で、システムコントローラ223は、S404で測距出来たかどうか判別する。測距した対象物が低コントラストの場合や暗い場合には測距出来ない事があり、測距出来なかった場合(S405でNG)、S409で警告を行う。測距出来た場合(S405でOK)、S406へ処理を移す。
S406で、システムコントローラ223は、レンズ制御回路104からレンズID情報を受け取り、カメラ本体200に取り付けられた撮影レンズ(レンズIDで判別)に関するAF補正値(CALデータ)がEEPROM222に記憶されているか判別する。記憶されていなければ(S406で無し)、システムコントローラ223は、AF補正値を焦点検出結果に加算しない。
記憶されていれば(S406で有り)、S407で、システムコントローラ223は、測距結果にAF補正値(CALデータ)を加算する。つまり、AF補正値(CALデータ)を既に持っていたならば、レンズ駆動量は、
レンズ駆動量=測距結果+製造時のAF補正値(調整データ)+AF補正値(CALデータ)
となる。
S408で、システムコントローラ223は、測距結果に基づき、レンズ制御回路104にレンズ駆動量を送信する。そして、レンズ制御回路104は、送信されたレンズ駆動量に基づきレンズ駆動機構103を制御し、レンズ駆動機構103は撮影レンズ101を合焦位置へと駆動する。
S410で、システムコントローラ223は、レリーズSW2(230)がONされたかどうか判別する。ONされていれば、S411へ処理を移行する。S411で、システムコントローラ223は、シャッターチャージ・ミラー駆動機構211を制御し、クイックリターンミラー202のミラーアップが行われる。
S412で、システムコントローラ223は、S204で設定された絞り値情報を絞り制御回路106へ送信し、絞り駆動機構105を駆動して、設定された絞り値まで絞り102の絞り込みが行われる。
S413で、システムコントローラ223は、フォーカルプレーンシャッタ208を開くよう各部を制御する。S414で、システムコントローラ223は、画像データコントローラ220(DSP)に対してイメージセンサ210の積分動作を指示する。S415で、システムコントローラ223は、所定時間の間待機し、積分時間が終わるとS416へ処理を移行し、フォーカルプレーンシャッタ10を閉じる。
システムコントローラ223は、S417で、次回の動作に備えてフォーカルプレーンシャッタ208のチャージ動作及びミラーダウン駆動を行う。S418で、システムコントローラ223は、絞り制御回路106及び絞り駆動機構105を介して、絞り102を開放へと駆動する。S419で、システムコントローラ223は、画像データコントローラ220に対してイメージセンサ210から画像データを取り込むように指示する。S420で、システムコントローラ223は、画像データコントローラ220が読み出した画像データを画像圧縮回路219を通し、画像データ記録メディア218へ記録させる。
図4から図7を用いて説明したように、AFキャリブレーションによるAF補正値(CALデータ)の調整を行い、通常撮影(通常撮影モード)にAF補正値(CALデータ)を利用することができる。
次に、図6のS308のAFキャリブレーション画像表示の処理について説明する。
カメラ本体200には、画像表示の仕組みとして、「AFキャリブレーション画像表示」及び「通常画像表示」が備わっている。「AFキャリブレーション画像表示」は、AFキャリブレーションモード内で起動される画像表示の仕組みである。一方、「通常画像表示」は、通常撮影モードで撮影した画像を再生表示する再生モード内で起動される画像表示の仕組みである。
AFキャリブレーション画像表示の動作と比較しやすくする為に、まず通常画像表示の処理について説明を行う。
図8は、本実施形態における通常画像表示処理のフローチャートである。このフローチャートにおける各処理はシステムコントローラ223がEEPROM222に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
ユーザにより再生SW237が押されると不図示の電源制御部が起動しシステムコントローラ223への給電が開始され、システムコントローラ223は図8のS502より処理の実行を開始する。
S502で、システムコントローラ223は、画像データ記録メディア218に格納されている画像ファイルを読み出す。ここで、一般的なファイル構成として、撮影設定、サムネイル画像、本画像から1つの画像ファイルが構成されているものとして説明を進める。
S504で、システムコントローラ223は、ユーザーによる電子ダイヤルSW226の操作により、画像切り替え要求が発生しているかを判定する。画像切り替え要求が発生していればS506へ、画像切り替え要求が発生していなければS508へ処理を移す。S506で、システムコントローラ223は、S502で読み出した画像ファイルに含まれるサムネイル画像を画像表示回路213に表示する。
ここで、図10(a)、(b)を用いて、本画像表示とサムネイル画像表示の切り替え方法について説明する。
通常画像表示では、図10(a)の符号500に示すような本画像を画像表示回路213に表示するが、本画像500を表示する前にユーザーが電子ダイヤルSW226を操作し画像切り替え要求が発生することがある。この場合、本画像500の表示を待ってから画像の切り替えを行うと本画像の表示負荷が大きい為に時間がかかってしまう。そこで、本画像500を表示する前に画像切り替え要求が発生した場合には表示負荷の少ない図10(b)の符号510に示すようなサムネイル画像510を表示し次の画像の表示に進むことで表示切り替えに時間がかからないようにする。
図8の説明に戻り、S508で、システムコントローラ223は、通常本画像表示の関数をコールする。ここで、図9のフローチャートを用いて通常本画像表示の関数のシーケンスについて説明する。
図9のS602で、システムコントローラ223は、S502で読み出した画像ファイルに記録されている撮影設定及び撮像装置1に関する設定を解析する。ここで、当該撮影設定には、画像が撮像装置1を縦位置にして撮影されたことを示す縦撮影設定、及び撮影時にピントが合ったAF位置を示すAF位置設定が含まれる。また、撮像装置1の設定には、画像表示回路213の画像の回転表示を許可するカメラ縦表示設定、並びに画像表示回路213の画像に重畳してそれぞれグリッド及びAF枠を表示するカメラグリッド表示設定及びカメラAF枠表示設定が含まれる。
S604で、システムコントローラ223は、カメラ縦表示設定がONの場合に画像を回転して画像表示回路213に表示するためのカメラ縦表示設定がONかどうかを判定する。カメラ縦表示設定がONであれば(S604でYes)S606へ、OFFであれば(S604でNo)S610へ処理を移す。
S606で、システムコントローラ223は、表示する画像の縦撮影設定がONかどうかを判定する。縦撮影設定がONであれば(S606でYes)S608へ、OFFであれば(S606でNo)S610へ処理を移す。
S608で、システムコントローラ223は、S502で読出した本画像を回転させて画像表示回路213に表示する。画像を回転させて表示することにより、図11(a)の回転画像610に示すような本画像が表示される。他方、S610では、システムコントローラ223は、S502で読出した本画像を画像表示回路213に表示する。この場合、図10(a)の本画像500に示すような本画像が表示される。
S612で、システムコントローラ223は、画像にグリッド線を重畳するためのカメラグリッド表示設定がONかどうかを判定する。カメラグリッド表示設定がONであればS614へ、OFFであればS616へ処理を移す。
S614で、システムコントローラ223は、グリッドを重畳して画像表示回路213に表示する。グリッドを表示することにより図11(b)のグリッド画像620に示すような本画像が表示される。なお、S608で画像を回転させている場合は、図11(a)の画像610にグリッドが重畳表示されたものとなる。
S616で、システムコントローラ223は、画像にAF枠を重畳するためのカメラAF枠表示設定がONかどうかを判定する。カメラAF枠表示設定がONであれば(S616でYes)S618へ処理を移し、OFFであれば(S616でNo)通常本画像表示シーケンスを終了する。
S618で、システムコントローラ223は、表示する画像のAF位置設定がONかどうかを判定する。AF位置設定がONであれば(S618でYes)S620へ処理を移し、OFFであれば(S618でNo)通常本画像表示シーケンスを終了する。
S620で、システムコントローラ223は、AF枠を重畳して画像表示回路213に表示する。AF枠632を表示することにより図11(c)のAF枠画像630に示すような本画像が表示される。
図8の説明に戻り、S510で、システムコントローラ223は、ユーザーによる電子ダイヤルSW226の操作により画像切り替え要求が発生しているかを判定する。画像切り替え要求が発生していれば(S510でYes)S502へ処理を戻し、画像切り替え要求が発生していなければ(S510でNo)S512へ処理を移す。
S512で、システムコントローラ223は、再生表示のタイマーが満了しているかを判定する。タイマーが満了していれば(S512でYes)通常画像表示シーケンスを終了し、タイマーが満了していなければ(S512でNo)S510へ処理を戻す。
このように、通常画像表示において、本画像を表示する前に画像切り替え要求が発生した場合には表示負荷の少ないサムネイル画像を表示し次の画像の表示に進むことで表示切り替えに時間がかからないようにしている。また、撮影画像に記録された撮影設定解析を行い画像回転表示を行う様にしている。また、撮像装置1の設定となるカメラグリッド表示設定に従いグリッド表示を行い、カメラAF枠表示設定によりAF枠表示を行う様にしている。
戻って、図6のS308のAFキャリブレーション画像表示の処理について説明する。
図12は、本実施形態におけるAFキャリブレーション画像表示処理のフローチャートである。このフローチャートにおける各処理はシステムコントローラ223がEEPROM222に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
S702で、システムコントローラ223は、画像データ記録メディア218に格納され、S301の電子ダイヤルSW226の回転により選択された画像に関する画像ファイルを読み出す。S704で、システムコントローラ223は、AFキャリブレーション本画像表示の関数をコールする。ここで、AFキャリブレーション本画像表示の関数について図13のフローチャートを用いて説明する。
図13のS802で、システムコントローラ223は、S702で読み出された画像ファイルに記録されている撮影設定及び撮像装置1に関する設定を解析する。ここで、当該撮影設定には、撮影時にカメラを縦位置にしたことを示す縦撮影設定、及び撮影時にピントが合ったAF位置を示すAF位置設定が含まれる。また、撮像装置1に関する設定には、画像表示回路213の画像の回転表示を許可するカメラ縦表示設定、並びに画像表示回路213の画像に重畳してそれぞれグリッド及びAF枠を表示するカメラグリッド表示設定及びカメラAF枠表示設定が含まれる。
S804で、システムコントローラ223は、電子ダイヤルSW226、決定SW227又は拡大縮小SW238で拡大位置の指定や拡大がされている場合、拡大位置及び拡大率を維持した上でDRAM221に画像表示回路213に表示する画像を格納する。つまり、システムコントローラ223は、AF補正モードで撮影された画像に対して拡大位置及び拡大率が指定されている場合、画像表示回路213(表示部)に表示する画像に対しても拡大位置及び拡大率を指定して表示する。
S806で、システムコントローラ223は、S804でDRAM221に格納された画像が画像表示回路213に表示される。このとき、図10(a)の本画像500に示すような本画像が表示される。
S808で、システムコントローラ223は、画像を回転して画像表示回路213に表示するためのカメラ縦表示設定がONかどうかを判定する。カメラ縦表示設定がONであれば(S808でYes)S810へ、OFFであれば(S808でNo)S812へ処理を移す。S810で、システムコントローラ223は、上記のとおり通常画像表示ではカメラ縦表示設定に従い画像を回転して画像表示回路213に表示するが、AFキャリブレーション画像表示ではカメラ縦表示設定を無視する。つまり、システムコントローラ223は、画像表示回路213(表示部)に表示する画像に、撮像装置1が縦位置の状態で撮影されたことを示す縦撮影設定が記録されていても、それを反映させずに当該画像を画像表示回路213に表示する。
S812で、システムコントローラ223は、画像にグリッド線を重畳するためのカメラグリッド表示設定がONかどうかを判定する。カメラグリッド表示設定がONであれば(S812でYes)S814へ、OFFであれば(S812でNo)S816へ処理を移す。S814で、システムコントローラ223は、上記のとおり通常画像表示ではカメラグリッド表示設定に従い画像にグリッド線を重畳して画像表示回路213に表示するが、AFキャリブレーション画像表示ではカメラグリッド表示設定を無視する。つまり、システムコントローラ223は、撮像装置の設定としてカメラグリッド表示設定が設定されていても、それを反映させずに画像を画像表示回路213(表示部)に表示する。
S816で、システムコントローラ223は、画像にAF枠を重畳するためのカメラAF枠表示設定がONかどうかを判定する。カメラAF枠表示設定がONであれば(S816でYes)S818へ、OFFであれば(S816でNo)AFキャリブレーション画像表示シーケンスを終了する。S818で、システムコントローラ223は、上記のとおり通常画像表示ではカメラAF枠表示設定に従いAF枠を重畳して画像表示回路213に表示するが、AFキャリブレーション画像表示では通常画像表示のときよりもAF枠を大きく表示する。これにより図15のAF枠832に示すような本画像830が表示される。つまり、システムコントローラ223は、撮像装置1の設定としてカメラAF枠表示設定が設定されている場合、通常撮影モードにおけるAF枠よりも大きなAF枠を画像に重畳して画像表示回路213(表示部)に表示する。
図12の説明に戻り、S706で、システムコントローラ223は、ブラケット撮影の撮影順序を示すインデックス番号を重畳して画像表示回路213に表示する。このとき、図14のインデックス画像700に示すような本画像が表示され、符号702に示すようなインデックス番号が画像中に重畳して表示される。
S708で、システムコントローラ223は、ユーザーによる電子ダイヤルSW226の操作により画像切り替え要求が発生しているかを判定する。画像切り替え要求が発生すると、1つの要求に対して画像切り替えキューを1つ追加した上でDRAM221に画像切り替えキューが格納される。そして、DRAM221に格納されている画像切り替えキューが1つ以上あれば(S708でYes)S710へ、画像切り替えキューがなければ(S708でNo)S712へ処理を移す。
ここでは、画像切り替えキューに格納される数に制限がないものとしているが、画像切り替えキューに格納される数が1つだけにして、実行中の画像切り替え処理以外の画像切り替え要求を破棄するようにしてもよい。また、画像切り替えキューに格納される数をブラケット撮影の枚数だけとしてもよい。
S710で、システムコントローラ223は、DRAM221から画像切り替えキューを1つ取り出し、DRAM221の画像切り替えキューを更新し、S702へ処理を戻す。S712で、システムコントローラ223は、再生表示のタイマーが満了しているかを判定する。タイマーが満了していれば(S712でYes)AFキャリブレーション画像表示シーケンスを終了し、タイマーが満了していなければ(S712でNo)S708へ処理を戻す。
このように、本実施形態のAFキャリブレーション画像表示では通常画像表示のときと異なり、本画像を表示する前に画像切り替え要求が発生してもサムネイル画像を表示することなく次の本画像の表示に進むようにしている。また、撮像装置1の設定となるカメラ縦位置表示設定及びカメラグリッド表示設定を無視する様にしている。また、カメラAF枠表示を通常画像表示よりも大きく表示する様にし、ブラケット撮影の撮影順序を示すインデックス番号を重畳して本画像を表示するようにしている。
AFキャリブレーションの本来の目的は、ピントの確認を行いやすくすることである。これに対して、通常撮影モードで撮影した画像を再生表示する再生モード内で起動される画像表示の仕組みである通常画像表示では、以下の理由からピントの確認が難しい仕組みである。
1:画像切り替え要求がある場合にサムネイル表示を行い画像切り替えの時間を短縮しているが本来ピント確認を行うために表示する本画像が表示されなくなる。
2:縦位置表示を行う場合はカメラの回転に合わせて撮影方向を合わせる動作をするため縦位置表示を行うと画像が比較的小さく表示される。
3:カメラグリッド表示では撮像装置1の設定に従いグリッド線を表示するためグリッド線が画像にかぶる。
4:カメラAF枠表示では撮像装置1の設定に従いAF枠を表示するため画像にかぶる。
しかし、本実施形態における、AFキャリブレーションモード内で起動される画像表示の仕組みであるAFキャリブレーション画像表示では、そのような状況に対してもピント確認が行いやすくなっている。
以上のように、本実施形態の撮像装置1は、通常撮影モードで撮影された画像を表示する再生モードとAFキャリブレーションモードで撮影された画像を表示する再生モードの複数の再生モードを持つ。言い換えると、撮像装置1は、複数の画像から選択された画像を基に撮影レンズ101の合焦位置を補正する為のAF補正値を算出するAF補正モードと、AF補正値を基に撮影レンズの焦点の調節を行い撮影を行う通常撮影モードとを有する。
通常撮影モード又はAFキャリブレーションモードに応じて画像の再生モードを切り替えることで、AFキャリブレーションモードで撮影された画像を表示する態様(AFキャリブレーション画像表示)では目的とするピントの確認を容易にする。言い換えると、撮像装置1の制御装置223は、通常撮影モードにおいて、このモードで撮影された複数の画像の切り替え要求を受け取ると、通常撮影モードに係る切り替え後の画像を第1の態様で撮像装置の表示部213に表示する。また、制御装置223は、AF補正モードにおいて、このモードで撮影された複数の画像の切り替え要求を受け取ると、AF補正モードに係る切り替え後の画像を第1の態様とは異なる第2の態様で表示部に表示する。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、AFキャリブレーションモードに関する本画像表示の動作において、本画像を表示してタイマーが満了する前に画像切り替え要求が発生した場合に対処する撮像装置に関する。なお、本実施形態の撮像装置1の構成は、第1実施形態のものと同じであり、説明を省略する。
図16は、本実施形態におけるAFキャリブレーション画像表示処理のフローチャートである。このフローチャートにおける各処理はシステムコントローラ223がEEPROM222に格納されたプログラムを実行することにより実現される。ここで、第1実施形態と同じ処理については図12と同じ符号を付しており、説明を省略する。
S720で、システムコントローラ223は、ユーザーによる電子ダイヤルSW226の操作により画像切り替え要求が発生しているかを判定する。画像切り替え要求が発生すると、1つの要求に対して画像切り替えキューを1つ追加した上でDRAM221に画像切り替えキューが格納される。DRAM221に格納されている画像切り替えキューが1つ以上あれば(S720でYes)S721へ、画像切り替えキューがなければ(S720でNo)S710へ処理を移行する。
S721で、システムコントローラ223は、S704のAFキャリブレーション本画像表示シーケンスにおいて画像表示回路213に表示された本画像の表示タイマーが満了しているかを判定する。なお、当該タイマーは図13のS806で本画像を表示後に発動し、所定の時間(例えば1秒)経過後に満了する。タイマーが満了していれば(S721でYes)S710へ処理を移し、タイマーが満了していなければ(S721でNo)S721の処理を繰り返す。
このように、本実施形態のAFキャリブレーション画像表示において、本画像を表示してタイマーが満了する前に画像切り替え要求が発生した場合には次の本画像を表示せずにタイマーが満了、つまり一定時間本画像を表示するようにしている。
以上のようにして、本実施形態の撮像装置1は、第1実施形態と同様に、AFキャリブレーションモードで撮影された画像を表示する再生モード(AFキャリブレーション画像表示)では目的とするピント確認を行いやすくする事が可能にする。さらに、本画像を一定時間表示することでピント確認が出来ずに表示画像が切り替わることを防ぐ事が可能である。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は、AFキャリブレーションモードに関する本画像表示の動作において、本画像を表示する前に画像切り替え要求が発生した場合に対処する撮像装置に関する。なお、本実施形態の撮像装置1の構成は、第1実施形態のものと同じであり、説明を省略する。
図17は、本実施形態におけるAFキャリブレーション画像表示処理のフローチャートである。このフローチャートにおける各処理はシステムコントローラ223がEEPROM222に格納されたプログラムを実行することにより実現される。ここでは、第1実施形態と同じ処理については図12と同じ符号を付しており、説明を省略する。
S730で、システムコントローラ223は、ユーザーによる電子ダイヤルSW226の操作により画像切り替え要求が発生しているかを判定する。画像切り替え要求が発生すると、1つの要求に対して画像切り替えキューを1つ追加した上でDRAM221に画像切り替えキューが格納される。DRAM221に格納されている画像切り替えキューが1つ以上あれば(S730でYes)S732へ、画像切り替えキューがなければ(S730でNo)S704へ処理を移行する。
S732で、システムコントローラ223は、DRAM221から画像切り替えキューを1つ取り出し、DRAM221の画像切り替えキューを更新する。このように、本実施形態のAFキャリブレーション画像表示において、本画像を表示する前に画像切り替え要求が発生した場合には次の画像ファイルを読み出してからS704〜S712の処理に進むようにしている。
以上のようにして、本実施形態の撮像装置1は、第1実施形態と同様にAFキャリブレーションモードで撮影された画像を表示する再生モードでは目的とするピント確認を行いやすくする事を可能にする。さらに、ユーザーの画像切り替え要求に基づき本画像表示を切り替える事を可能にする。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態は、AFキャリブレーションモードに関する本画像表示の動作において、AF補正値が調整範囲外の場合に対処する撮像装置に関する。なお、本実施形態の撮像装置1の構成は、第1実施形態のものと同じであり、説明を省略する。
図18は、本実施形態におけるAFキャリブレーション本画像表示処理のフローチャートである。このフローチャートにおける各処理はシステムコントローラ223がEEPROM222に格納されたプログラムを実行することにより実現される。ここでは、第1実施形態のAFキャリブレーション本画像表示処理(図13)と同じ処理については同じ符号を付して説明を省略する。なお、本実施形態のAFキャリブレーション本画像表示処理(図18)は、図12、図16、図17及び図19におけるS704の処理のいずれに対しても適応可能である。
S830で、システムコントローラ223は、S702で読み出された画像ファイルに記録されている撮影設定及び撮像装置1に関する設定を解析する。ここでは、当該撮影設定には、上記第1実施形態の撮影設定に加えて、AF補正値情報も含まれるものとする。
S831で、システムコントローラ223は、AF補正値情報が調整範囲外にあるかどうかを判定する。調整範囲外であれば(S831でYes)S832へ、調整範囲外でなければ(S831でNo)S806へ処理を移行する。S832で、システムコントローラ223は、AF補正値情報が調整範囲外にある旨の警告を画像表示回路213に表示して、AFキャリブレーション本画像表示処理のフローチャートを終了する。
このように、AFキャリブレーション本画像表示において、表示対象の本画像のAF補正値が調整範囲外にある場合には、ユーザーが該当の本画像を選択してもAF補正が正しく行えないため、該当の本画像を表示することなく警告表示をするようにしている。
以上のように、本実施形態に係る撮像装置1は、第1実施形態と同様にAFキャリブレーションモードで撮影された画像を表示する再生モードでは目的とするピント確認を行いやすくする事が可能にする。さらに、AF補正が正しく出来ない画像については表示することなく警告することで、ユーザーにとって効果の少ない作業を行う事を防ぐ事が可能にする。
なお、本実施形態では、表示対象の本画像のAF補正値情報が調整範囲外にある場合に、警告表示を行うが、ユーザーにとって効果の少ない作業を行う事を防ぐために、画像を非表示にしたり、直前に表示した画像を表示したままにしてもよい。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態では、AFキャリブレーションに関する本画像表示の動作において、AF補正値が調整範囲外の画像を含む場合に対処する撮像装置に関する。なお、本実施形態の撮像装置1の構成は、第1実施形態のものと同じであり、説明を省略する。
図19は、本実施形態におけるAFキャリブレーション画像表示処理のフローチャートである。このフローチャートにおける各処理はシステムコントローラ223がEEPROM222に格納されたプログラムを実行することにより実現される。ここでは、第1実施形態のAFキャリブレーション本画像表示処理(図12)と同じ処理については同じ符号を付して説明を省略する。
S740で、システムコントローラ223は、画像データ記録メディア218に格納されている画像ファイルを読み出す。S742で、システムコントローラ223は、S740で読み出した画像ファイルに記録されている撮影設定を解析する。ここで、撮影設定には、上記第1実施形態の撮影設定に加えて、AF補正値情報も含まれるものとする。
S744で、システムコントローラ223は、AF補正値情報が調整範囲内にあるかどうかを判定する。調整範囲内であれば(S744でYes)S746へ、調整範囲内でなければ(S744でNo)S748へ処理を移行する。
S746で、システムコントローラ223は、画像ファイルをAFキャリブレーション本画像表示における表示対象画像として表示対象画像リストに追加する。S748で、システムコントローラ223は、AFキャリブレーション撮影シーケンスにおけるブラケット撮影枚数分の画像ファイル全てをチェックしたかを判定する。チェックしている場合は(S748でYes)S702へ処理を移行し、チェックしていない場合は(S748でNo)S740へ処理を戻す。
S750で、システムコントローラ223は、S746で記録された表示対象画像リストにS702で読み出した画像ファイルが含まれるかを判定する。含まれる場合は(S750でYes)S704へ、含まれない場合は(S750でNo)S708へ処理を移行する。
このように、AFキャリブレーション画像表示において、表示対象の本画像のAF補正値情報が調整範囲外にある場合には、ユーザーが該当の本画像を選択してもAF補正が正しく行えないため、あらかじめ表示対象の本画像から除外するようにしている。
以上のようにして、本実施形態に係る撮像装置1は、第1実施形態と同様にAFキャリブレーションモードで撮影された画像を表示する再生モードでは目的とするピント確認を行いやすくする事が可能にする。さらに、AF補正が正しく出来ない画像については、あらかじめ表示対象画像から除外することで、ユーザーにとって効果の少ない作業を行う事を防ぐ事を可能にする。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。