JP6544849B2 - 蛍光ガラス線量計読取装置 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光ガラス線量計読取装置に関する。
放射線被ばく線量を測定する方法として蛍光ガラス線量計測定方法が知られている。蛍光ガラス線量計測定方法は、銀イオンを含有させたリン酸塩ガラス(銀活性リン酸塩ガラス)を用いて、放射線被ばく線量を測定する。銀活性リン酸塩ガラス(以下、蛍光ガラス線量計)に励起用の紫外線(例えば、中心波長355nmの光)を照射すると、放射線被ばく線量に比例したオレンジ色(600nm〜700nmにピーク波長を有する光)のラジオフォトルミネッセンス(RPL:Radio Photo Luminescence)を発生する性質を有している。つまり、蛍光ガラス線量計に紫外線を照射し、蛍光ガラス線量計から発生する蛍光を測定することで蛍光ガラス線量計の放射線被ばく線量を算出することができる。
ところで、蛍光ガラス線量計の蛍光を測定する光センサ(典型的には光電子増倍管)は、温度変化等により読取感度が相違し、読取誤差が生じる。このような問題に対し、高精度の放射線被ばく線量の測定を行うべく、通常、予め基準放射線照射量(以下、基準照射値と呼ぶ)を照射し、所定の蛍光量(校正線量)を発生する蛍光標準ガラスとして、校正ガラスが用いられている。そして、この校正ガラスによって得られる校正線量と、蛍光ガラス線量計に装着されたリン酸塩ガラスから発生する蛍光量とを比較することにより、蛍光ガラス線量計の放射線被ばく線量を求めている。
また、蛍光ガラス線量計読取装置の校正を行う場合には、外部校正用ガラスと内部校正用ガラスの2つの校正ガラスを用い、以下に述べる様な2種類の校正方法を実施することにより、より精度の高い校正を行っている。
内部校正用ガラスは、蛍光ガラス線量計読取装置に内蔵されているものであって、本来的には、装置内の温度変化による読取装置の感度補償を目的とし、校正線量と蛍光ガラス線量計から発生する蛍光量とを比較することにより、リン酸塩ガラスの放射線被ばく量を求めている。なお、この校正操作は、測定開始時および予め定めた測定回数毎に自動的に行なわれる。
一方、外部校正用ガラスは、内部校正用ガラスの経時変化などによる測定誤差を修正するために用いられるものであって、内部校正用ガラスと同一の素子から構成され、内部校正用ガラスの値づけを行うものである。なお、内部校正用ガラスの値づけとは、外部校正用ガラスの基準照射値などを用いて、装置内部の内部校正用ガラスの線量値(みかけの放射線照射量)を決定することである。なお、この校正操作は、装置の設置段階の初期設定時、および定期的(例えば、1回/3カ月または1回/6カ月)に行なわれるものである。
内部校正用ガラスは、測定対象である蛍光ガラス線量計と異なり、蛍光ガラス線量計読取装置内に一定期間継続して載置されるものであり、自然被ばくを受ける。そのため、自然被ばくの影響を排除するため、高線量で被ばくさせたガラスを用い、励起光もしくは蛍光を減光した上で光センサにて測定することが知られている(特許文献1、特許文献2)。
特開平3−291593号公報 特開平7−294648号公報
従来の内部校正用ガラスでは、励起光の入射面もしくはガラスの蛍光検出面に減光フィルタを貼り付けていた。しかしながら、内部校正用ガラスの励起光の入射面は、ガラスの端面であって、減光フィルタの貼り付けが非常に難しく手間のかかる作業である。また、ガラスの蛍光検出面に減光フィルタを貼り付けた場合、内部校正用ガラスを長期間使用すると内部校正用ガラスの移動に伴い減光フィルタ下面が摩耗することで表面状態が変わり、蛍光の測定値が不安定になるおそれがある等の課題があった。
本発明の目的は、減光フィルタを設ける作業が容易であり、内部校正用ガラスの測定を長期間にわたって安定して行うことができる蛍光ガラス線量計読取装置を提供することである。
本発明に係る蛍光ガラス線量計読取装置は、パルス光を出力する光源と、前記パルス光が照射される被ばくさせた内部校正用ガラスと、前記内部校正用ガラスが載置されるプレートホルダーと前記パルス光の照射により内部校正用ガラスが発する蛍光の発光量を検出する光センサとを備える蛍光ガラス線量計読取装置であって、前記プレートホルダーには、前記内部校正用ガラスに隣接して蛍光ガラス線量計が載置され、前記プレートホルダーは、前記パルス光の光軸上であって前記蛍光ガラス線量計および前記内部校正用ガラスの光入射面側に切り欠きがあり、前記内部校正用ガラスの光入射面側の前記切り欠きのみに減光フィルタが設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、減光フィルタの取り付け作業が容易であって、内部校正用ガラスの測定を長期間にわたって安定して行うことができる蛍光ガラス線量計読取装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る蛍光ガラス線量計読取装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る蛍光ガラス線量計読取装置の概略平面図である。 本発明の実施形態に係る蛍光ガラス線量計読取装置の概略断面図(A−A断面)である。 標準蛍光ガラス素子が発する蛍光に対応する電気信号の波形図である。 蛍光ガラス線量計が発する蛍光に対応する電気信号の波形図である。 感度を決定するためのテーブルデータの一例である。
以下、図面を参照して、実施形態に係る蛍光ガラス線量計読取装置について説明する。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る蛍光ガラス線量計読取装置100の概略構成図である。図2は、蛍光ガラス線量計読取装置100の概略平面図である。図3は、図2の蛍光ガラス線量計読取装置100の概略平面図のA−A断面図である。蛍光ガラス線量計読取装置100は、蛍光ガラス線量計Gに励起用のレーザ光を照射し、蛍光ガラス線量計Gの励起光を読み取る光学系200と、光学系200を制御する制御装置300とを備える。
(光学系200の構成)
光学系200は、固体レーザ210(光源)と、紫外線透過フィルタ220と、リファレンスブロック230と、プレートホルダー240と、フィルタ系250と、光電子増倍管260(光センサ)とを備える。
固体レーザ210(ダイオード励起固体レーザ:Diode-Pump Solid-State Laser)は、励起用の紫外線L(例えば、中心波長355nmの光)のパルス光を照射する。なお、固体レーザ210の代わりに、紫外線を照射する窒素ガスレーザ、フラッシュランプ、LED、レーザーダイオードを用いてもよい。紫外線透過フィルタ220は、固体レーザ210からの紫外線Lを透過し、測定に不要な波長の光を遮蔽する。
リファレンスブロック230は、開口板231と、ハーフミラー232と、紫外線透過フィルタ233と、リファレンスガラス234と、紫外線カットフィルタ235と、フォトダイオード236と、筐体237とを備える。開口板231には、固体レーザ210からの紫外線Lを通過させるためのスリット状の開口231aが形成されている。
ハーフミラー232は、開口231aを通過した紫外線Lの一部を透過し、一部を反射する。このため、紫外線Lは、ハーフミラー232により紫外線L1,L2に分離される。紫外線透過フィルタ233は、ハーフミラー232で分離された紫外線L1を透過し、他の波長の光を遮蔽する。
リファレンスガラス234は、放射線を所定量だけ暴露させた標準蛍光ガラスである。リファレンスガラス234に紫外線L1が照射されると、紫外線L1の強度及び放射線被ばく線量に比例する蛍光が発生する。リファレンスガラス234で発生する蛍光は、固体レーザ210の出力変動の補正に用いられる。
なお、リファレンスガラス234は、自然被ばくにより時間経過とともに放射線被ばく線量が増加するが、リファレンスガラス234は、事前に十分な量の放射線に被ばくされており、放射線に起因する蛍光量が非常に大きくなる。このため、自然被ばくによる蛍光量の増加はほとんど無視することができる。また、プレドーズ及び汚れに起因する蛍光についてもほとんど無視することができる。
紫外線カットフィルタ235は、リファレンスガラス234で発生した蛍光を透過させ、紫外線L1を遮蔽する。
フォトダイオード236は、紫外線カットフィルタ235を透過したリファレンスガラス234からの蛍光を受光する。フォトダイオード236は、受光した光を電気信号(電流信号)に変換して出力する。フォトダイオード236から出力される電子信号(電流信号)の大きさは、受光した蛍光の強度に比例する。
筐体237は、開口板231と、ハーフミラー232と、紫外線透過フィルタ233と、リファレンスガラス234と、紫外線カットフィルタ235と、フォトダイオード236とを収容する。
内部校正用ガラス270は、蛍光ガラス線量計読取装置100に内蔵されているものであって、装置内の温度変化による光電子増倍管260の感度変動を補償するために用いられる。具体的には、校正線量と蛍光ガラス線量計Gから発生する蛍光量とを比較することにより、蛍光ガラス線量計Gの放射線被ばく量を求める。
蛍光ガラス線量計Gおよび内部校正用ガラス270のいずれか一方にハーフミラー232で分離された紫外線L2(パルス光)が照射されると、紫外線L2の強度及び放射線被ばく線量に比例する蛍光が発生する。なお、該蛍光には、放射線被ばくに起因する蛍光以外に、プレドーズ及び汚れに起因する蛍光が含まれている。
内部校正用ガラス270は、前述のとおり自然被ばくの影響を排除するため、高線量で被ばくさせたガラスを用いる。そのため、照射される紫外線L2の光量が同一であると、蛍光ガラス線量計Gの蛍光に比べ、内部校正用ガラス270の蛍光の光量が圧倒的に大きい。そのため、内部校正用ガラス270の蛍光を低くするため、内部校正用ガラス270に照射される紫外線L2を減光フィルタ290を用いて減光する。
減光フィルタ290は、少なくとも紫外線L2の透過率が低い、例えば中心波長355nmの光の透過率が0.01%〜20%の光学特性を備えるフィルタであれば、適宜の材質や厚さのものを用いることができる。減光フィルタ290としては、例えばポリエチレンテレフタレートのフィルムが安価であり、好適に用いられる。
減光フィルタ290は、プレートホルダー240の切り欠き280に固定される。前述のとおり、減光フィルタ290は、内部校正用ガラス270に照射される紫外線L2の光量を減光する必要があるため、内部校正用ガラス270の光入射面を確実に覆う必要がある。従来技術である内部校正用ガラス270の光入射面である板状ガラスの厚さ部分に減光フィルタ290に貼り付ける作業は非常に難しく、時間も要する。
そのため、本発明においては、減光フィルタ290を内部校正用ガラス270が保持されるプレートホルダー240に固定することで、前述の減光フィルタ290の設置作業を容易にした。また、減光フィルタ290を内部校正用ガラス270に直接貼り付けないため、内部校正用ガラス270を交換する際に、減光フィルタ290を一緒に交換する必要がなく、継続して用いることができる。
プレートホルダー240は、図2に示すとおり、放射線被ばく線量の測定対象である蛍光ガラス線量計Gおよび内部校正用ガラス270の両者を保持した状態で、固体レーザ210から出た紫外線L2が蛍光ガラス線量計Gもしくは内部校正用ガラス270の所定位置に照射されるように各ガラスを矢印の方向に移動する。また、プレートホルダー240は、蛍光ガラス線量計読取装置100の装置内外に蛍光ガラス線量計Gを搬送する機能も備える。
プレートホルダー240は、紫外線L2の光軸上であって蛍光ガラス線量計Gおよび内部校正用ガラス270の光入射面側に切り欠き280がある。そして、切り欠き280の固体レーザ側の側面に、減光フィルタ290が設けられる。この位置に減光フィルタ290が設けることにより、内部校正用ガラス270の交換の際に内部校正用ガラス270と減光フィルタ290とが接触することがなく、プレートホルダー240からはがれたり、傷が付くおそれがない。減光フィルタ290は、プレートホルダー240に接着剤等により貼り付けられてもよく、これに加えて減光フィルタ290の周囲を押さえる部材(不図示)により保持されてもよい。
プレートホルダー240の切り欠き280および減光フィルタ290は、内部校正用ガラス270の複数の測定ポジションに対応する位置に設けられていることが好ましい。蛍光ガラス線量計Gは、複数の線種(例えば、α線、β線、γ線、X線、中性子線)を測定する場合、測定ポジション毎に異なるフィルタ(例えば、すず(Sn)、アルミニウム(Al)、プラスチック)を介して被ばくさせる。これらと同様に内部校正用ガラス270が測定ポジション毎に異なる種類のフィルタを介して放射線が基準値だけ照射された場合、前述のとおり複数の測定ポジションに対応する位置に切り欠き280および減光フィルタ290が設けられることで、プレートホルダー240の移動だけで、各測定ポジションの測定を行うことができる。
また、プレートホルダー240の切り欠き280は、紫外線L2の光軸上に設けられた孔部であってもよい。プレートホルダー240の底面には、蛍光ガラス線量計Gおよび内部校正用ガラス270の蛍光を光電子増倍管260にて測定できるよう測定窓245が設けられている。
内部校正用ガラス270は、図3に示すとおり、プレートホルダー240の底面および光源側の側面にて位置決めされていることが好ましい。内部校正用ガラス270は、紫外線L2の光入射位置が相違すると、発する蛍光の光量が変動し、装置内の温度変動による光電子増倍管260の感度補償を正確に行うことができなくなるおそれがある。前述のとおり内部校正用ガラス270をプレートホルダー240にて位置決めすることで、毎回決まった位置に紫外線L2を照射することができる。なお、内部校正用ガラス270の位置決め方法は、適宜の方法を用いることができる。例えば、板バネ等の付勢手段(不図示)を用いて他方の面から押圧することで内部校正用ガラス270をプレートホルダー240の底面および光源側の側面にて位置決めすることができる。
暗箱400は、蛍光ガラス線量計読取装置100内に光が侵入することを抑制するための箱である。少なくとも光学系200は暗箱400内に収容されている。また、出入口410は、蛍光ガラス線量計Gが装置内外に出入りする箇所であり、通常は光が入らないように閉じられている。出入口に、別途搬送装置を取り付けることで、大量の蛍光ガラス線量計Gの測定を自動で行うことができるようにしてもよい。
フィルタ系250は、ダイアフラム251と、紫外線カットフィルタ252と、集光レンズ253と、バンドパスフィルタ254とを備える。ダイアフラム251には、ハーフミラー232で分離された紫外線L2を通過させるためのスリット状の開口251aが形成されている。紫外線カットフィルタ252は、紫外線L2を遮蔽し、蛍光ガラス線量計Gで発生した蛍光を透過する。
集光レンズ253は、紫外線カットフィルタ252を透過した蛍光を集光する。集光された蛍光は、バンドパスフィルタ254へ入射する。バンドパスフィルタ254は、入射する蛍光のうち波長が615nm〜715nmの蛍光を主に透過する。
光電子増倍管260は、バンドパスフィルタ254を透過した蛍光を検出する。光電子増倍管260は、検出した光を電気信号(電流信号)に変換して出力する。光電子増倍管260は、バンドパスフィルタ254を透過した波長が615nm〜715nmの蛍光を主に検出する。光電子増倍管260から出力される電子信号(電流信号)の大きさは検出される蛍光の強度に比例する。
また、光電子増倍管260は、印加電圧を変化させることにより感度(測定レンジ)を変更できるよう構成されている。具体的には、光電子増倍管260への印加電圧を大きくすると感度が高くなり、光電子増倍管260への印加電圧を小さくすると感度が低くなる。
(制御装置300の構成)
制御装置300は、駆動回路310と、プリアンプ320と、プリアンプ330と、タイミング回路340と、積分回路350(積算手段)と、ADコンバータ360と、制御回路370(感度決定手段、感度設定手段、被ばく線量算出手段)とを備える。
駆動回路310は、制御回路370からの指示に基づいて、固体レーザ210の紫外線の照射を制御する。具体的には、駆動回路310は、紫外線をパルス状(例えば、数ns(ナノ秒))に照射するように固体レーザ210を制御する。固体レーザ210は、トリガ信号が入力されると、数ns発光する。
プリアンプ320は、フォトダイオード236から出力される電気信号(電流信号)を電圧信号に変換する。プリアンプ320で電圧に変換された電気信号は、後段のタイミング回路340及び積分回路350に入力される。プリアンプ330は、光電子増倍管260から出力される電気信号(電流信号)を電圧信号に変換する。プリアンプ330で電圧に変換された電気信号は、後段の積分回路350に入力される。
タイミング回路340は、積分回路350へ積分開始の合図となるトリガ信号を生成して出力する。プリアンプ320からの入力と制御回路370からの入力の論理積(AND)をトリガ(合図)として、積分回路350における積分開示のタイミングを示すトリガ信号を出力する。
積分回路350は、タイミング回路340からのトリガ信号が入力されるとプリアンプ320及びプリアンプ330から出力される電圧信号を積分する。
(プリアンプ320から出力される電圧信号の積分)
図4は、プリアンプ320から積分回路350に入力される電圧信号の波形図である。すでに述べたように、リファレンスガラス234は、プレドーズ及び汚れに起因する蛍光が相対的に無視できる程度に放射線に被ばくされている。
このため、図4に示すように、プレドーズ及び汚れに起因する蛍光は、プリアンプ320から積分回路350に入力される電圧信号の波形にはほとんど表れない。タイミング回路340は、プリアンプ320及び制御回路370から信号が入力されると時間T1にトリガ信号を出力する(なお、実際には、後述の時間T3にもトリガ信号が出力されるが、ここでは、説明を省略する)。積分回路350は、トリガ信号が入力されると電圧信号の積分を開始し、時間T2に積分を終了する。
つまり、積分回路350は、図4に示すT1からT2間の電気信号を積分する。これは、図4に示す斜線部の面積(以下、REFと記載)を求めることに等しい。積分回路350は、算出したREFを出力する。なお、T1,T2の値は蛍光ガラス線量計Gのガラス組成により決定されるものである。また、積分回路350から出力されたREFは、固体レーザ210の出力変動の補正に用いられる。
(プリアンプ330から出力される電圧信号の積分)
図5は、プリアンプ330から積分回路350に入力される電圧信号の波形図である。タイミング回路340は、プリアンプ320及び制御回路370から信号が入力されると時間T1及びT3にトリガ信号を出力する。積分回路350は、トリガ信号が入力されると、所定の時間分プリアンプ330から入力される電圧信号を積分する。具体的には、積分回路350は、時間T1に電圧信号の積分を開始し、時間T2に積分を終了する。さらに、積分回路350は、時間T3に電圧信号の積分を開始し、時間T4に積分を終了する。
つまり、積分回路350は、図5に示すT1からT2間と、T3からT4間の電気信号を積分する。これは、図5に示すT1からT2の斜線部(以下、RPLと記載)及びT3からT4の斜線部(以下、LDと記載)の面積を求めることに等しい。積分回路350は、算出したRPL及びLDを出力する。なお、T3,T4の値は蛍光ガラス線量計Gのガラス組成により決定されるものである。
ADコンバータ360は、積分回路350から出力されるREF,RPL,LDをアナログ信号からデジタル信号に変換して出力する。
制御回路370は、例えば、マイコン(micro computer)である。制御回路370は、駆動回路310と、タイミング回路340とを制御する。具体的には、制御回路370は、駆動回路310に固体レーザ210から紫外線を照射するように指示する。また、制御回路370は、タイミング回路340に、トリガ信号を出力するよう指示する。また、制御回路370は、ADコンバータ360から出力されるデジタル化されたREF,RPL,LDの値を記憶する。さらに、制御回路370は、光電子増倍管260の感度を決定し、放射線被ばく線量を算出する。
(感度の決定)
ここで、制御回路370による感度の決定について図6を参照して説明する。図6は、制御回路370に記憶されているテーブルデータの一例を示す図である。図6に示すように、制御回路370には、感度(測定レンジ)、RPLをREFで除算した値R1(R1=RPL/REF)の範囲(但し、n2<n1)、印加電圧(V)が対応付けて記憶されている。制御回路370は、ADコンバータからREF,RPL,LDが出力されると、RPLをREFで除算した値R1を算出する。
制御回路370は、算出したR1の値が、図6に示すテーブルデータのどの範囲に含まれるかを判定し、光電子増倍管260の感度を決定する。なお、制御回路370は、最も感度の低い感度(レベル7)で測定し、レベル7では感度が低すぎる場合は、感度を上げてさらに測定を行う。なお、図6では、感度(測定レンジ)の範囲を5つとしたが、感度(測定レンジ)の範囲をさらに細分化するようにしてもよい。
(放射線被ばく線量の算出)
次に、制御回路370による放射線被ばく線量の算出について図4,図5を参照して説明する。すでに述べたように、ADコンバータから出力されるREF,RPL,LDのうち、RPLには、プレドーズに起因する蛍光のうち約1ms(ミリ秒)まで減衰が継続する成分の蛍光分(LD’と記載する)と、放射線被ばくに起因する蛍光分(SAMPと記載する)とが含まれている。このため、SAMPを求めるには、RPLからプレドーズに起因する蛍光分(LD’)を除去する必要がある。
ここで、図5に示すRPLのうちプレドーズに起因する蛍光分LD’は、以下の(1)式で表すことができる。
LD’=fps×LD・・・(1)
なお、fpsは、蛍光ガラス線量計読取装置100に固有の定数である。
また、RPLのうち放射線被ばくに起因する蛍光分SAMPは、上記(1)式を用いると、以下の(2)で表すことができる。
SAMP=RPL−fps×LD・・・(2)
制御回路370は、上述した(1)式、(2)式を用いて、RPLからプレドーズに起因する蛍光分(LD’)を減算して、SAMPを算出する。次に、制御回路370は、算出したSAMPをREFで除算した値R2を算出し、所定の係数(定数)を乗算して蛍光ガラス線量計Gの放射線被ばく線量を算出する。
内部校正用ガラスを用いて得られた蛍光読取量(プリアンプ330から積分回路350に入力される電圧信号)は、装置内の温度変動に伴う光電子増倍管の読取感度の変動を補償するために用いられる。具体的には、蛍光ガラス線量計Gの蛍光読取量を放射線被ばく線量に換算する際に、内部校正用ガラスの蛍光読取値と定期的に測定する外部校正用ガラスの蛍光読取値との比率等を用いて、放射線被ばく線量が補正される。
[他の実施形態]
上記の各実施形態に係る蛍光ガラス線量計読取装置は、代表的な例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、蛍光ガラス線量計が載置されるプレートホルダーと内部校正用ガラスが載置されるプレートホルダーとが別体であってもかまわない。また、減光フィルタ290は、切り欠き280の内部校正用ガラス270側の側面に貼り付けられてもよい。
本発明は、減光フィルタを内部校正用ガラスと異なる位置に設けるため、減光フィルタを設ける作業が簡易であり、内部校正用ガラスの測定を長期間にわたって安定して行うことができる。
100…蛍光ガラス線量計読取装置、200…光学系、210…固体レーザ(光源)、220…紫外線透過フィルタ、230…リファレンスブロック、231…開口板、231a…開口、232…ハーフミラー、233…紫外線透過フィルタ、234…リファレンスガラス、235…紫外線カットフィルタ、236…フォトダイオード、238…気密部材、240…プレートホルダー、245…測定窓、250…フィルタ系、251…ダイアフラム、251a…開口、252…紫外線カットフィルタ、253…集光レンズ、254…バンドパスフィルタ、260…光電子増倍管(検出手段)、270…内部校正用ガラス、280…切り欠き、290…減光フィルタ、300…制御装置、310…駆動回路、320,330…プリアンプ、340…タイミング回路、350…積分回路(積算手段)、360…コンバータ、370…制御回路(感度決定手段、感度設定手段、被ばく線量算出手段)、400…暗箱、410…出入口、G…蛍光ガラス線量計、L,L1,L2…紫外線。

Claims (4)

  1. パルス光を出力する光源と、
    前記パルス光が照射される被ばくさせた内部校正用ガラスと、
    前記内部校正用ガラスが載置されるプレートホルダーと
    前記パルス光の照射により内部校正用ガラスが発する蛍光の発光量を検出する光センサとを備える蛍光ガラス線量計読取装置であって、
    前記プレートホルダーには、前記内部校正用ガラスに隣接して蛍光ガラス線量計が載置され、前記プレートホルダーは、前記パルス光の光軸上であって前記蛍光ガラス線量計および前記内部校正用ガラスの光入射面側に切り欠きがあり、前記内部校正用ガラスの光入射面側の前記切り欠きのみに減光フィルタが設けられていることを特徴とする蛍光ガラス線量計読取装置。
  2. 前記内部校正用ガラスは、前記プレートホルダーの底面および光源側の側面にて位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ガラス線量計読取装置。
  3. 前記減光フィルタは、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蛍光ガラス線量計読取装置。
  4. 前記プレートホルダーの切り欠きおよび減光フィルタは、前記内部校正用ガラスの複数の測定ポジションに対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の蛍光ガラス線量計読取装置。
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