以下、添付図面を参照して、本願の開示する吐水装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
<1.吐水装置の全体構成>
まず、第1の実施形態に係る吐水装置の全体構成について図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る吐水装置の外観斜視図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る吐水装置1は、キッチンや洗面化粧台等のカウンターに設置される吐水装置本体2と、吐水装置本体2から吐出される水をシャワー状に分散させる散水部3とを備える。
吐水装置本体2は、カウンター等の設置面に固定されるベース部4と、ベース部4に対して回動自在に取り付けられるスパウト5と、スパウト5の先端に着脱自在に取り付けられる吐水ヘッド6とを備える。
ベース部4には、給水源(図示せず)からの常温水と、給湯源(図示せず)からの湯と、浄水器(図示せず)からの浄水とが、それぞれ別経路で供給される。ベース部4は、内部にバルブユニット(図示せず)を備えており、このバルブユニットが、温度・流量調節レバー7または原水・浄水切替レバー8への操作に伴い動作することで、常温水と湯との混合比率や流量を調節したり、原水と浄水との切り替えを行ったりする。
ベース部4において調節等された原水(常温水、湯、湯水混合水)または浄水は、スパウト5の内部に設けられた引き出しホース(図示せず)を介して吐水ヘッド6へ供給され、吐水ヘッド6の吐水部120から散水部3へ向けて吐出される。
散水部3は、吐水ヘッド6の吐水部120に対して着脱自在に取り付けられるキャップ状の部材である。散水部3は、吐水部120から吐出される原水(常温水、湯、湯水混合水)または浄水を後述する散水板210(図2参照)を用いてシャワー状に分散させる。
<2.吐水ヘッドおよび散水部の構成>
次に、吐水ヘッド6および散水部3の構成について図2を参照して説明する。図2は、吐水ヘッド6および散水部3の断面図である。なお、以下においては、原水(常温水、湯、湯水混合水)および浄水を総称して単に「水」と記載する。また、給水源、給湯源および浄水器を総称して単に「水源」と記載する。
<2−1.吐水ヘッド>
まず、吐水ヘッド6の構成について説明する。図2に示すように、吐水ヘッド6は、ヘッド本体110と、吐水部120とを備える。
ヘッド本体110は、たとえば円筒形状を有し(図7参照)、内部に通水路形成部材111を備える。通水路形成部材111は、ベース部4から引き出しホースを介して供給される水を吐水部120の後述する第1吐水路123または第2吐水路124へ導く通水路を形成する部材である。
吐水部120は、ヘッド本体110の外周部に対し、ヘッド本体110の軸方向と略直交する方向に突出して設けられる。吐水部120は、円筒状の外周面を有し、先端部に第1吐水口121と、複数の第2吐水口122とを備える。
第1吐水口121は、吐水部120の先端部中央に設けられており、第1吐水路123へ流入した水を散水部3の後述するストレート吐水用開口部211へ向けて吐出する。また、第2吐水口122は、第1吐水口121よりも外周側に円周状に並べて設けられており、第2吐水路124へ流入した水を散水部3の後述する散水孔212,213へ向けて吐出する。
ここで、第1の実施形態に係る吐水部120は、通水路形成部材111側に設けられる第1吐水部材120_1と、散水部3側に設けられる第2吐水部材120_2とで構成される。第1吐水部材120_1および第2吐水部材120_2は、吐水方向を軸として回転方向に力を受けた際に位置がずれないよう突起等により位置決めされている。また、第1吐水部材120_1と通水路形成部材111とには、吐水部120が吐水方向を軸として回転方向に力を受けた際に回転しないよう回転止めの嵌合構造が設けられている。
第1吐水部材120_1および第2吐水部材120_2の位置は、第2吐水路124の位置が重なるよう位置決めされており、それにより第1吐水部材120_1からの水を第2吐水部材120_2へ滞留することなく通水させることができる。第1吐水部材120_1の孔(流路)の面積の合計を小さくすることで、第1吐水部材120_1の孔(流路)を通過する水の流速を上げることができるため、第1吐水部材120_1を通った水が第2吐水部材120_2に入ることにより周囲に負圧が発生し、空気を巻き込んだ水流となる。この空気と水の混合流は第2吐水口122から排出され、散水孔212,213から吐水される前に攪拌され、気泡を含んだシャワーとして散水孔212,213から吐出される。
なお、第2吐水部材120_2へ引き込まれる空気は、第1吐水部材120_1と第2吐水部材120_2との嵌合部に設けられた隙間から吸入される。このような構成とすることで、第1吐水部材120_1と第2吐水部材120_2との隙間から外部へ水が漏れることなく、空気と水が混合された気泡混入水を吐出する気泡混入シャワーを実現することができる。
なお、ここでは、吐水部120が複数の部材から構成される場合の例を示すが、吐水部120は、単一の部材で構成されてもよい。
通水路形成部材111によって形成される通水路には、切替弁112が設けられる。切替弁112は、通水路へ流入した水の流出先を吐水部120の第1吐水路123または第2吐水路124へ切り替える弁体である。切替弁112は、ヘッド本体110の先端に設けられた操作部113が回転操作されることで、操作部113の回転に伴って吐水ヘッド6の軸方向に沿って移動して水の流出先を切り替える。
このように、吐水ヘッド6は、ベース部4から引き出しホースを介して供給される水を第1吐水口121から散水部3のストレート吐水用開口部211へ向けて、あるいは、第2吐水口122から散水部3の散水孔212,213へ向けて吐出する。
<2−2.散水部>
つづいて、散水部3の構成について説明する。散水部3は、吐水部120に対して着脱自在に取り付けられる部材であり、散水板210と、外筒部220と、内筒部230とを備える。散水部3は、キャップ形状を有しており(図1参照)、散水板210がキャップの天井部分に相当し、この散水板210の外周部分に外筒部220が設けられ、外筒部220よりも内周側に内筒部230が設けられる。外筒部220および内筒部230は、散水板210に対して一体的に設けられる。
散水板210は、吐水部120の第1吐水口121および第2吐水口122と所定の間隔をあけて対向配置される。散水板210は、第1吐水口121と対向する位置にストレート吐水用開口部211を有し、第2吐水口122と対向する位置に複数の散水孔212,213を有する。ここで、散水板210の構成について図3を参照して具体的に説明する。図3は、散水板210を下方から見た図である。
図3に示すように、散水板210は略円環状の形状を有しており、中央の開口部をストレート吐水用開口部211としている。複数の散水孔212,213は、ストレート吐水用開口部211よりも外周側に同心円状に並べて設けられる。具体的には、ストレート吐水用開口部211の外周側に複数の散水孔212が円周状に並べて設けられ、そのさらに外周側に複数の散水孔213が円周状に並べて設けられる。
なお、ストレート吐水用開口部211には、吐水キャップ214が取り付けられる。また、散水板210の外周部には、使用者によって操作されるつまみ部215が設けられる。
図2に戻り、外筒部220について説明する。外筒部220は、散水板210の外周部分に一体的に設けられる。外筒部220は、散水板210の外周部分から吐水部120側へ向けて突出する略円筒状の形状を有しており、吐水部120の第2吐水部材120_2に対して同軸上に外嵌される。外筒部220と吐水部120との間には、シール部材300が設けられており、このシール部材300により、外筒部220と吐水部120との間の水密性が確保される。また、外筒部220の外周部には、たとえば金属製のカバー体240が取り付けられる。
内筒部230は、散水板210の内周部分、具体的には、ストレート吐水用開口部211の開口縁部分に一体的に設けられる。内筒部230は、吐水部120側へ向けて突出する筒形状を有しており、吐水部120から散水板210へ至る流路を、第1吐水口121からストレート吐水用開口部211へ至る流路と、第2吐水口122から散水孔212,213へ至る流路とに仕切る。
吐水部120の第1吐水口121から吐出される水は、内筒部230よりも内側の流路を通ってストレート吐水用開口部211へ到達し、ストレート吐水用開口部211からストレート吐水される。また、吐水部120の第2吐水口122から吐出される水は、内筒部230よりも外側の流路を通って複数の散水孔212,213へ到達し、複数の散水孔212,213によって分散されてシャワー吐水される。
<3.2種類のシャワー吐水形態>
第1の実施形態に係る吐水装置1は、上記のようにシャワー吐水とストレート吐水とを切り替え可能であるが、さらに、「ノーマルシャワー吐水」と、ノーマルシャワー吐水よりも流速の速い「高速シャワー吐水」の2種類のシャワー吐水形態を有する。以下では、この2種類のシャワー吐水形態を実現するための構成について説明する。
図2に示すように、吐水装置1は、吐水部120と散水板210との間にパッキン400を備える。パッキン400は、吐水部120に取り付けられた固定部材410の先端に固定される。また、パッキン400は、図3に示すように、円環形状を有しており、複数の散水孔212,213のうち内周側に配置される散水孔212と対向配置される。
吐水装置1は、後述する変位機構を用いて散水部3を移動させ、散水部3に設けられた散水板210をパッキン400に当接させたり離隔させたりすることで、「ノーマルシャワー吐水」と「高速シャワー吐水」とを切り替える。この動作について図4および図5を参照して説明する。図4は、ノーマルシャワー吐水時における水の流れを示す図である。また、図5は、高速シャワー吐水時における水の流れを示す図である。
なお、図4および図5には、吐水部120および散水部3を図2とは異なる方向から見た場合の断面図を示している。具体的には、図4および図5には、図2に示す規制部材500の側断面が見えるように切った断面図を示している。
図4に示すように、ノーマルシャワー吐水時においては、散水板210がパッキン400から離隔した状態となっている。このため、第2吐水路124を通って第2吐水口122から吐出された水は、複数の散水孔212,213の全てに分散してシャワー吐出される。
一方、後述する変位機構を用いて散水部3を移動させ、散水板210をパッキン400と当接する当接位置へ変位させることで、シャワー吐水形態は、ノーマルシャワー吐水から高速シャワー吐水形態へ切り替わる。
図5に示すように、高速シャワー吐水時においては、散水板210がパッキン400に当接した状態となっている。パッキン400は、上述したように、複数の散水孔212,213のうち内周側の散水孔212と対向配置されている(図3参照)。このため、散水板210がパッキン400に当接することで、複数の散水孔212,213のうち内周側の散水孔212がパッキン400で塞がれた状態となる。これにより、第2吐水路124を通って第2吐水口122から吐出される水は、外周側の散水孔213のみに分散してシャワー吐出されることとなる。
このように、パッキン400によって散水孔212,213が部分的に塞がれることで、水が流通可能な散水孔212,213の数が減る、すなわち、流路断面積の合計値が小さくなる。各散水孔212,213から吐出される水の流速は、流路断面積の合計値が小さくなるほど速くなる。したがって、パッキン400によって塞がれていない外周側の散水孔213からのシャワー吐水は、ノーマルシャワー吐水時よりも流速の速い高速シャワー吐水となる。
このように、第1の実施形態に係る吐水装置1は、ノーマルシャワー吐水と高速シャワー吐水とを切り替えることができる。このため、使用者は、たとえばノーマルシャワー吐水時に流量が低下してシャワー吐水を適切に行うことができなくなった場合でも、ノーマルシャワー吐水から高速シャワー吐水へ切り替えることで、シャワー吐水を継続させることができる。
なお、ここでは、内周側の散水孔212をパッキン400で塞ぐ場合の例を示したが、外周側の散水孔213をパッキン400で塞いでもよい。この場合、パッキン400は、外周側の散水孔213と対向する位置に配置させればよい。
また、流量が低下する原因としては、たとえば複数箇所で同時に吐水を行った場合における元圧の低下が挙げられるが、他の原因として、浄水器による圧力損失も考えられる。すなわち、原水・浄水切替レバー8(図1参照)を操作して、原水から浄水への切り替えを行うと、浄水器による圧力損失を受けて流量が低下して、シャワー吐水を適切に行うことができなくなる場合がある。このような場合でも、使用者は、ノーマルシャワー吐水から高速シャワー吐水へ切り替えることで、浄水によるシャワー吐水を十分な流速をもって行うことが可能である。
<4.変位機構>
上述したように、「ノーマルシャワー吐水」と「高速シャワー吐水」との切り替えは、パッキン400に対して散水板210を接離させることによって行われる。吐水装置1は、パッキン400から離隔した「離隔位置」とパッキン400に当接する「当接位置」との間で散水板210を変位させる変位機構を備える。
この変位機構の構成の一例について図6を参照して説明する。図6は、図2に示すH部の模式拡大図である。
図6に示すように、吐水部120が備える第1吐水部材120_1の外周面には、雄ネジ部120aが形成される。具体的には、雄ネジ部120aは、第1吐水部材120_1のうち、第1吐水口121を形成する筒部の外周面に形成される。また、散水部3が備える内筒部230の内周面には、上記雄ネジ部120aに螺合する雌ネジ部230aが形成される。内筒部230の雌ネジ部230aを第1吐水部材120_1の雄ネジ部120aに螺合させることにより、内筒部230が第1吐水部材120_1に螺嵌され、散水部3が吐水部120に取り付けられた状態となる。
このように、第1の実施形態に係る吐水装置1は、変位機構として、雄ネジ部120aと雌ネジ部230aとを備えており、吐水方向を軸とする回転方向に散水部3を回転させることにより、散水部3が螺旋状に回転移動する。これにより、パッキン400から離隔した「離隔位置」とパッキン400に当接する「当接位置」との間で散水板210を変位させることができる。
たとえば、散水板210が「離隔位置」にある状態、すなわち、「ノーマルシャワー吐水」状態において、使用者が、散水部3を時計回りに回転させると、散水部3が螺旋状に回転しながら上昇して、散水板210が「当接位置」へ変位する。すなわち、「高速シャワー吐水」へ切り替わる。また、散水板210が「当接位置」にある状態、すなわち、「高速シャワー吐水」状態において、使用者が、散水部3を反時計回りに回転させると、散水部3が螺旋状に回転しながら下降して、散水板210が「離隔位置」へ変位する。すなわち、「ノーマルシャワー吐水」へ切り替わる。
このように、第1の実施形態に係る吐水装置1は、吐水装置1の外部に設けられる散水板210を変位させて、「ノーマルシャワー吐水」と「高速シャワー吐水」とを切り替えることとした。このため、従来の吐水装置のように吐水装置の内部に設けられるパッキンを変位させる構成と比較して、内部構造の煩雑化を抑えることができる。したがって、第1の実施形態に係る吐水装置1によれば、内部構造の煩雑化を抑えつつ、シャワー吐水の流速を切り替えることができる。また、内部構造の煩雑化を抑えることにより、ストレート吐水と行うための構成(第1吐水口121、第1吐水路123、ストレート吐水用開口部211など)を吐水装置1に対して自由に配置することができる。
また、第1の実施形態に係る吐水装置1は、変位機構として、雄ネジ部120aと雌ネジ部230aとを備えることとした。したがって、第1の実施形態に係る吐水装置1によれば、簡易な構成によって散水板210を変位させることができる。また、使用者は、シャワー吐水の形態を切り替えたい場合には、散水部3を把持して回転させればよく、片手でも操作できるため切り替え操作が容易である。また、少ない操作量で切り替えを行うことも可能である。たとえば、吐水装置1では、散水部3を30°回転させることで、散水板210を1.5mm程度変位させることが可能である。
また、第1の実施形態に係る吐水装置1では、散水部3の外筒部220を吐水部120の第2吐水部材120_2に外嵌させる構成としている。これにより、散水板210に傾き等が生じ難くなるため、散水板210とパッキン400との間のシール性を確保することが容易である。
なお、散水板210および外筒部220の外周部には、つまみ部215,222が設けられている(図7参照)。このようなつまみ部215,222を設けることで、使用者が散水部3に対して力を加え易くなるため、「ノーマルシャワー吐水」と「高速シャワー吐水」との切り替えをより小さい力で行うことができる。
ここでは、第1吐水部材120_1の外周面に雄ネジ部120aが形成され、内筒部230の内周面に雌ネジ部230aが形成される場合の例を示したが、雄ネジ部120aおよび雌ネジ部230aが形成される場所は、上記の例に限定されない。たとえば、吐水部120が備える第2吐水部材120_2の外周面に雄ネジ部120aを形成し、散水部3が備える外筒部220の内周面に雌ネジ部230aを形成してもよい。
また、ここでは、吐水部120に雄ネジ部120aが形成され、散水部3に雌ネジ部230aが形成される場合の例を示したが、これとは逆に、吐水部120に雌ネジ部230aが形成され、散水部3に雄ネジ部120aが形成される構成であってもよい。たとえば、吐水部120が備える第2吐水部材120_2の内周面に雌ネジ部230aを形成し、散水部3が備える内筒部230の外周面に雄ネジ部120aを形成してもよい。
なお、散水部3が備える外筒部220および内筒部230は、吐水部120に螺嵌される「円筒部」の一例に相当する。
<5.散水板の変位を規制する規制部材>
第1の実施形態に係る吐水装置1では、たとえば使用者の誤操作により、散水板210を「離隔位置」よりも更にパッキン400から離隔させる方向に散水部3が回転されると、使用者の意図に反して吐水部120から散水部3が外れてしまうおそれがある。
このため、第1の実施形態に係る吐水装置1は、散水板210が上述した「離隔位置」よりも更にパッキン400から離隔しようとした場合に、散水板210の変位を規制する規制部材500を備える(図2参照)。
具体的には、図2に示すように、散水部3が備える内筒部230の内周面は、散水板210側に設けられる大径部分と、この大径部分よりも吐水部120側に設けられる小径部分とが、段差面231を介して連続する形状を有している。
規制部材500は、薄板状の部材であり(図4参照)、第1吐水口121に先端部510が差し込まれることによって吐水部120に固定される。規制部材500の基端部には、先端部510よりも幅広の係止部520が設けられる。
係止部520は、先端部510が第1吐水路123に差し込まれた状態において、内筒部230の段差面231と対向配置される。具体的には、係止部520は、散水板210が「離隔位置」にある場合に、内筒部230の段差面231と当接する位置またはこの位置よりもパッキン400から離れた位置に配置されることとなる。したがって、散水板210が「離隔位置」よりも更にパッキン400から離隔しようとすると、内筒部230の段差面231が係止部520に当接して散水板210の変位が規制される。
このように、第1の実施形態に係る吐水装置1では、散水板210が「離隔位置」よりも更にパッキン400から離隔しようとした場合に、規制部材500によって散水板210の変位が規制される。このため、使用者の誤操作等によって散水部3が吐水部120から外れてしまうことを防止することができる。
上述してきたように、第1の実施形態に係る吐水装置1は、吐水装置本体2と、散水板210と、パッキン400と、変位機構としての雄ネジ部120aと雌ネジ部230aとを備える。吐水装置本体2は、先端部に第1吐水口121および第2吐水口122が設けられる吐水部120を有し、水源から供給される水を内部に流通させて第1吐水口121または第2吐水口122から吐出する。散水板210は、複数の散水孔212,213を有し、第1吐水口121および第2吐水口122と所定の間隔をあけて対向配置される。パッキン400は、散水板210と第1吐水口121および第2吐水口122との間に配置され、複数の散水孔212,213のうち一部の散水孔212と対向する。変位機構は、パッキン400から離隔した離隔位置とパッキン400に当接する当接位置との間で、散水板210を変位させる。
したがって、第1の実施形態に係る吐水装置1によれば、内部構造の煩雑化を抑えつつ、シャワー吐水の流速を切り替えることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、変位機構の変形例について図7〜9を参照して説明する。図7〜9は、変位機構の第1変形例〜第3変形例を示す図である。なお、図7〜図9では、カバー体240を省略して示している。また、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、第1変形例について図7を参照して説明する。図7に示すように、散水部3Aが備える外筒部220Aには、外筒部220Aの軸方向に対して所定の角度で傾斜する傾斜溝221が設けられる。傾斜溝221は、外筒部220Aの上端縁まで延在する。また、傾斜溝221は、外筒部220Aの周方向に沿って所定間隔で複数設けられる。なお、ここでは、傾斜溝221が、外筒部220Aの外周面と内周面とを貫通する形状としたが、傾斜溝221は、少なくとも外筒部220Aの内周面側に設けられていればよい。
吐水部120Aの外周面には、傾斜溝221に係止される突起部125が設けられる。突起部125は、傾斜溝221と同等の間隔で、吐水部120Aの周方向に沿って複数設けられる。
このように、吐水装置1は、変位機構として、上述した雄ネジ部120aおよび雌ネジ部230aに代えて、傾斜溝221と突起部125とを備えてもよい。かかる場合、吐水装置1は、この変位機構を用い、外筒部220Aに加えられる回転力を螺旋回転に変換することで、散水板210をパッキン400に対して接離させることができる。
具体的には、使用者が散水部3Aを回転させると、散水部3Aの外筒部220Aには周方向に沿った回転力が加わる。変位機構は、この力の向きを傾斜溝221の傾斜方向に変換することで、外筒部220Aを傾斜溝221に沿って螺旋回転させる。これにより、散水板210は、外筒部220Aとともに外筒部220Aの軸方向に沿って移動することで、「当接位置」または「離隔位置」へ変位する。
たとえば、図7には、散水板210が「当接位置」にある状態、すなわち、「高速シャワー吐水」状態を示している。この状態において、使用者が、散水部3Aを反時計回りに回転させると、散水部3Aが螺旋状に回転しながら下降して、散水板210が「離隔位置」へ変位する。すなわち、「ノーマルシャワー吐水」へ切り替わる。また、散水板210が「離隔位置」にある状態、すなわち、「ノーマルシャワー吐水」状態において、使用者が、散水部3Aを時計回りに回転させると、散水部3Aが螺旋状に回転しながら上昇して、散水板210が「当接位置」へ変位する。すなわち、「高速シャワー吐水」へ切り替わる。
このように、第1変形例に係る変位機構によれば、第1の実施形態に係る変位機構(雄ネジ部120aおよび雌ネジ部230a)と同様、簡易な構成によって散水板210を変位させることができる。また、シャワー吐水形態の切り替え操作も容易である。
なお、吐水装置1は規制部材500(図2参照)を備える。したがって、散水板210が「離隔位置」よりも更にパッキン400から離隔しようとした場合に、規制部材500によって散水板210の変位が規制されるため、使用者の誤操作等によって散水部3Aが吐水部120Aから外れてしまうことを防止することができる。
変位機構としての傾斜溝221および突起部125は、シール部材300(図2参照)よりも上方(ヘッド本体110側)に設けられる。すなわち、傾斜溝221および突起部125は、シール部材300によって隔離される内部空間および外部空間のうち外部空間側に設けられる。このため、この変位機構は、外筒部220Aと吐水部120Aとの間の水密性に影響を与え難い。ここでは、傾斜溝221が外筒部220Aに設けられ、突起部125が吐水部120Aに設けられる場合の例を示したが、これに限らず、吐水部120Aに傾斜溝221が設けられ、外筒部220Aに突起部125が設けられてもよい。
また、この第1変形例では、吐水部120Aと外筒部220Aとの間に変位機構を設けることとした。このように、吐水装置本体2の外部に変位機構が設けられるため、吐水装置本体2の内部構造が煩雑化することがない。また、吐水部120Aと外筒部220Aとの間に変位機構を設けて、外部に変位機構が露出しない構成とすることで、意匠性の高い外観を得ることができる。
次に、第2変形例に係る変位機構について図8を参照して説明する。図8に示すように、散水部3Bが備える外筒部220Bは、図7に示した傾斜溝221に代えて、傾斜溝223を備える。その他の構成は、図7に示した構成と同様である。
傾斜溝223は、上述した傾斜溝221とは異なり、外筒部220Bの上端縁までは延在しておらず、両端が閉鎖された形状を有する。これにより、散水板210を「離隔位置」よりも更にパッキン400から離隔させようとした場合に、突起部125が傾斜溝223の端部に突き当たることによって散水板210の更なる変位が規制される。
このように、傾斜溝223の形状を両端が閉鎖された形状とすることにより、散水部3Bが吐水部120Aから外れてしまうことを防止することができる。したがって、第2変形例に係る変位機構(傾斜溝223および突起部125)を採用する場合、図2に示す規制部材500は不要となる。
次に、第3変形例に係る変位機構について図9を参照して説明する。なお、図9では、理解を容易にするために、吐水部120Cおよび散水部3Cの構成を簡略化して示している。
図9に示すように、第3変形例に係る吐水部120Cは、変位機構としての段差状係止部150を備える。段差状係止部150は、たとえば、吐水部120Cの外周面に対して周方向全周に亘って形成された溝160の内部に設けられる。
段差状係止部150は、第1の係止面151と、第1の係止面151よりもヘッド本体110(図2参照)側に設けられるスライド面152と、第1の係止面151よりも散水板210側に設けられる第2の係止面153とを備える。第1の係止面151、スライド面152および第2の係止面153は、溝160の全周に亘ってこの順番で繰り返し配列される。また、第1の係止面151、スライド面152および第2の係止面153は、吐水部120Cの周方向に対して所定の角度で傾斜している。
また、第2の実施形態に係る散水部3Cが備える外筒部220Cは、変位機構としての突起部224を備える。突起部224は、外筒部220Cの内周面から溝160内へ突出しており、第1の係止面151とスライド面152との間の段差部分、または、第2の係止面153と第1の係止面151との間の段差部分に係止される。
第2の実施形態に係る変位機構は、上記のように構成されており、図9に示すように、突起部224を第2の係止面153と第1の係止面151との間の段差部分に係止させることで、散水板210をパッキン400(図2参照)から離隔した離隔位置に変位させることができる。また、突起部224を第1の係止面151とスライド面152との間の段差部分に係止させることで、散水板210をパッキン400と当接する当接位置へ変位させることができる。
かかる変位機構を採用する場合、使用者は、散水部3Cを押し上げて回転させることで、「ノーマルシャワー吐水」と「高速シャワー吐水」との切り替えを行うことができる。
たとえば、図9では、突起部224が第2の係止面153と第1の係止面151との間の段差部分に係止された状態となっている。この状態において、使用者が散水部3Cを押し上げると、突起部224が上記段差部分に係止された状態が解除される。さらに、使用者が散水部3Cを時計回りに回転させると、突起部224が第1の係止面151とスライド面152との間の段差部分に係止される。これにより、使用者は、シャワー吐水をノーマルシャワー吐水から高速シャワー吐水へ切り替えることができる。
また、高速シャワー吐水時において、使用者が散水部3Cを押し上げると、突起部224が第1の係止面151とスライド面152との間の段差部分に係止された状態が解除される。さらに、使用者が散水部3Cを時計回りに回転させると、突起部224がスライド面152に沿って移動し、第2の係止面153と第1の係止面151との間の段差部分に落ち込んで係止された状態となる。これにより、使用者は、シャワー吐水を高速シャワー吐水からノーマルシャワー吐水へ切り替えることができる。
このように、吐水装置1は、変位機構として、段差状係止部150と、突起部224とを備えてもよい。かかる場合、第1の係止面151とスライド面152との間の段差部分または第2の係止面153と第1の係止面151との間の段差部分に突起部224を係止させることで、散水板210を変位させることができる。
なお、ここでは、散水部3Cを時計回りに回転させる場合の操作例を示したが、使用者は、散水部3Cを反時計回りに回転させてもよい。この場合、使用者は、第1の係止面151とスライド面152との間の段差部分に突起部224が係止された状態において、散水部3Cを反時計回りに回転させることで、「ノーマルシャワー吐水」へ切り替えることができる。すなわち、散水部3Cを押し上げる操作が不要となる。また、たとえば、スライド面152と第2の係止面153との間の段差部分にアールを設けるなどして、第2の係止面153から第1の係止面151への突起部224の移動が、散水部3Cを反時計回りに回転させるだけで行われるように構成してもよい。これにより、「高速シャワー吐水」への切り替え時にも、散水部3Cを押し上げる操作が不要となる。
また、ここでは図示を省略したが、吐水部120Cと外筒部220Cとの間には、シール部材300(図2参照)が設けられており、このシール部材300により、外筒部220Cと吐水部120Cとの間の水密性が確保される。また、変位機構としての段差状係止部150および突起部224は、シール部材300よりも上方(ヘッド本体110側)に設けられる。このため、変位機構は、吐水部120Cと外筒部220Cとの間の水密性に影響を与え難い。
また、変位機構としては、ノック式ボールペンなどに用いられるノックカム機構を用いることもできる。かかる場合、使用者は、散水部を押し上げるだけで、ノーマルシャワー吐水と高速シャワー吐水とを切り替えることが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、パッキンの変形例について図10を参照して説明する。図10は、パッキンの変形例を示す図である。
図10に示すように、第3の実施形態に係るパッキン400Aは、複数の散水孔212,213のうち、内周側に並べて配置される散水孔212の一部と、外周側に並べて配置される散水孔213の一部とにそれぞれ対向する環形状を有する。これにより、散水板210が当接位置へ変位することで、散水孔212,213のうち、散水孔212の一部と散水孔213の一部とが、パッキン400Aによって塞がれることとなる。
このように、内周側に並べて配置される散水孔212と外周側に並べて配置される散水孔213とをそれぞれ部分的にパッキン400Aで塞ぐようにすることで、「ノーマルシャワー吐水」と「高速シャワー吐水」とでシャワーの吐水範囲が極力変化しないようにすることができる。
また、図10に示すパッキン400Aは、複数の散水孔212と対向する部分と、複数の散水孔213と対向する部分とが交互に設けられた環形状を有する。このような形状とすることで、シャワーの吐水範囲を散水板210の全周に亘って途切れることなく連続させることができる。
なお、ここでは、パッキン400Aが、単一の部材である場合の例を示したが、パッキン400Aは、たとえば内周側の散水孔212を塞ぐパーツと、外周側の散水孔213を塞ぐパーツとに分かれていてもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、パッキンの取付構造の変形例について図11〜図13を参照して説明する。図11〜図13は、それぞれパッキンの取付構造の第1変形例〜第3変形例を示す図である。
たとえば図11に示すように、吐水部120Dは、第1吐水口121の周縁部から散水板210側へ突出する略円筒状の固定部126を備える。固定部126の先端には、後述する可動部420を係止するための爪127が設けられる。なお、吐水部120Dと固定部126と爪127とは、一体的に形成される。
固定部126には、略円筒状の可動部420と、付勢部材としてのコイルバネ430が遊嵌される。可動部420は、コイルバネ430よりも散水板210側に配置されており、コイルバネ430によって散水板210側へ付勢される。また、可動部420は、固定部126の爪127に係止されることにより、散水板210側への移動が規制される。パッキン400Bは、可動部420の先端面に固定されることにより、散水孔212と対向配置される。
変位機構により散水板210をパッキン400Bとの当接位置まで変位させると、パッキン400Bおよび可動部420は、散水板210によってヘッド本体110(図2参照)側に押し上げられることにより、爪127に係止された状態が解除される。これにより、パッキン400Bおよび可動部420は、コイルバネ430からの付勢力によって散水板210に押し付けられた状態となる。
このように、パッキン400Bをコイルバネ430を介して吐水部120Dに取り付けることにより、散水孔212がパッキン400Bによって塞がれた状態を強固に維持することができ、パッキン400Bから散水孔212への水漏れを防止することができる。なお、この第1変形例に係る取付構造は、たとえば図9に示す変位機構のように、散水部3Cを当接位置よりも更に吐水部120C側へ変位させる操作が必要となる変位機構を採用する場合に好適である。
また、上述した例に限らず、パッキンは、吐水部に対して直接取り付けられてもよい。たとえば、図12に示すように、パッキン400Cは、吐水部120Eと一体形成された固定部128に対して取り付けられてもよい。固定部128は、第1吐水口121の周縁部から散水板210側へ突出する略円筒状の部位である。
また、図12では、パッキン400Cの固定部128が、パッキン400Cの内周側に配置される場合の例を示したが、パッキンの固定部は、パッキンの外周側に配置されてもよい。たとえば、図13に示すように、パッキン400Dは、吐水部120Fと一体形成された固定部129に取り付けられてもよい。固定部129は、吐水部120Fの外縁部から散水板210側へ突出する略円筒状の部位である。
このように、パッキンは、吐水部に対して直接取り付けられてもよい。これにより、吐水装置本体2の部品数を減らすことができる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、温度および流量の調節が可能であり、かつ、原水と浄水との切り替えも可能な吐水装置を例に挙げて説明したが、吐水装置は、温度および流量の調節または原水と浄水との切り替えの一方のみ可能な構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、キッチンや洗面化粧台のカウンターに設置される吐水装置を例に挙げて説明したが、吐水装置は、たとえば風呂場に設置されてもよい。
また、上述した実施形態では、シャワー吐水とストレート吐水とを切り替え可能な吐水装置を例に挙げて説明したが、吐水装置は、少なくともシャワー吐水が可能な構成を有していればよい。
また、上述した実施形態では、複数の散水孔が同心円状に並べて設けられる場合の例を示したが、複数の散水孔の配置は、必ずしも同心円状であることを要しない。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。