JP6544203B2 - ヒータ機能付きシートベルトウェビング - Google Patents

ヒータ機能付きシートベルトウェビング Download PDF

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本発明は、シートベルトウェビングに関する。更に詳しくは、本発明は、長さ方向の一端部に正極と負極とを備え、電源と電極との接続が容易であり、織り込まれた導電糸に通電することで、シートベルト装着時、特に、その長さ方向において乗員と接触することになる範囲を暖めることができるシートベルトウェビングに関する。
従来、乗用車等の衝突時などに、乗員を座席に拘束する装置としてシートベルトが知られている。例えば、3点式シートベルトでは、センターピラーの上部に取り付けられたスルーアンカーにウェビングが挿通され、タングプレートがバックルにロックされて、乗員の肩から胸、腹部にかけてウェビングが掛け渡される。このように、乗員の安全性を高めるためにシートベルトが用いられているが、近年、安全面のみでなく、例えば、特に冬季、又は寒冷地向け等に、ヒータ機能が付与されたウェビングを備えるシートベルトも開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2014−151753号公報
特許文献1に記載されたヒータ付シートベルト装置は、乗員を拘束するウェビングと、腰ベルトの乗員側に取り付けられた面状ヒータと、面状ヒータの温度を検知する素子と、温度の実測値に応じて供給電力を制御する制御部とを備え、精度のよい温度制御が可能であり、快適性が向上すると説明されている。しかし、ウェビングに別体としての面状ヒータが取り付けられており、この面状ヒータに電極線を接続し、アンカープレートの側まで引き出さなければならず、構造が煩雑で、外観もよくないという問題がある。
本発明は上述の従来の状況に鑑みてなされたものであり、長さ方向の一端部に正極と負極とを備え、電源と電極との接続が容易であり、織り込まれた導電糸に通電することで、シートベルト装着時、特に、その長さ方向において乗員と接触することになる範囲を暖めることができるシートベルトウェビングを提供することを課題とする。
1.2本の導電糸及び絶縁糸を用いて製織された織物により構成されるヒータ機能付きシートベルトウェビングであって、
前記2本の導電糸のうちの少なくとも一方は、前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの長さ方向の少なくとも一部に緯糸として織り込まれており、
前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの長さ方向の一端部に、一方の導電糸の一端部が接続された正極と、他方の導電糸の一端部が接続された負極とを備え、
前記一方の導電糸の他端部と、前記他方の導電糸の他端部とが接続されているヒータ機能付きシートベルトウェビング。
2.前記一方の導電糸及び前記他方の導電糸のJIS K 7194に準拠して測定した比抵抗が100〜10 −12 Ω・cmである前記1.に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
3.前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングは車両用であり、ヒータとして機能する部分は、乗員と前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングとが接触することになる長さ範囲である前記1.又は2.に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
4.前記一方の導電糸が緯糸として織り込まれ、前記他方の導電糸が前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの側端部に経糸として織り込まれ、前記一方の導電糸と前記他方の導電糸とが、前記接続により接触している接続部を除いて接触していない前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
5.前記一方の導電糸が緯糸として織り込まれ、前記他方の導電糸が前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの側端部に経糸として織り込まれ、前記一方の導電糸と前記他方の導電糸とが、前記接続により接触している接続部を除く他部でも接触しており、前記一方の導電糸と前記他方の導電糸のうちの少なくとも一方が、導線に絶縁被覆が施された導電糸である前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
6.前記一方の導電糸と前記他方の導電糸とが緯糸として織り込まれ、前記一方の導電糸及び前記他方の導電糸のうちの少なくとも一方が、導線に絶縁被覆が施された導電糸である前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
7.前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの長さ方向の前記少なくとも一部は、シートベルト装着時、前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングが乗員と接触することになる長さ範囲である前記1.乃至.のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
8.前記一方の導電糸の前記他端部と、前記他方の導電糸の前記他端部とが、前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの長さ方向の他端部において接続されている前記1.乃至.のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
本発明のシートベルトウェビング(以下、ウェビングということもある)は、2本の導電糸及び絶縁糸を用いて製織された織物により構成され、2本の導電糸のうちの少なくとも一方は、ウェビングの長さ方向の少なくとも一部に緯糸として織り込まれており、ウェビングの長さ方向の一端部に、一方の導電糸の一端部が接続された正極と、他方の導電糸の一端部が接続された負極とを備え、一方の導電糸の他端部と、他方の導電糸の他端部とが接続されている。このような構成とされているため、ウェビングそのものがヒータとして機能し、別体としてのヒータを必要としない。また、2本の導電糸の他端部が接続されて1本のヒータ線として機能し、ウェビングの一端部において2本の導電糸の各々の一端部に正負の電極が接続されているため、電源と電極とを容易に接続することができ、簡潔な構造とすることができるとともに、外観を向上させることもできる。
更に、一方の導電糸が緯糸として織り込まれ、他方の導電糸がウェビングの側端部に経糸として織り込まれ、一方の導電糸と他方の導電糸とが、接続により接触している接続部を除いて接触していない場合は、製織は少し煩雑になるかもしれないが、絶縁被覆されていない導電糸を用いることもできる。
また、一方の導電糸が緯糸として織り込まれ、他方の導電糸がウェビングの側端部に経糸として織り込まれ、一方の導電糸と他方の導電糸とが、接続により接触している接続部を除く他部でも接触しており、一方の導電糸と他方の導電糸のうちの少なくとも一方が、導線に絶縁被覆が施された導電糸である場合、及び一方の導電糸と他方の導電糸とが緯糸として織り込まれ、一方の導電糸及び他方の導電糸のうちの少なくとも一方が、導線に絶縁被覆が施された導電糸である場合は、絶縁被覆が施された導電糸が必要となるものの、製織は容易となる。
また、ウェビングの長さ方向の少なくとも一部が、シートベルト装着時、ウェビングが乗員と接触することになる長さ範囲である場合は、昇温させる必要がある長さ範囲のみに導電糸を織り込み、給電すればよく、乗員を十分に暖めることができるとともに、省電力の観点でも好ましい。
更に、一方の導電糸の他端部と、他方の導電糸の他端部とが、ウェビングの長さ方向の他端部において接続されている場合は、接続箇所が外部からは視認できないため、ウェビングの外観をより向上させることができる。
一方の導電糸が緯糸として、他方の導電糸が経糸として織り込まれ、一方の導電糸と他方の導電糸とが接触していないウェビングを平面視した模式図である。 一方の導電糸が緯糸として、他方の導電糸が経糸として織り込まれ、一方の導電糸と他方の導電糸とが接触しているウェビングを平面視した模式図である。 2本の導電糸が緯糸として織り込まれたウェビングを平面視した模式図である。 乗員がシートベルトを装着したときに導電糸が織り込まれた長さ範囲を表す模式図である。
以下、本発明を図1〜4を参照して詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
[1]ヒータ機能付きシートベルトウェビング
本発明のヒータ機能付きシートベルトウェビング1は、2本の導電糸21、22及び絶縁糸23を用いて製織された織物により構成され、2本の導電糸21、22のうちの少なくとも一方は、シートベルトウェビング1の長さ方向の少なくとも一部に緯糸として織り込まれており、シートベルトウェビング1の長さ方向の一端部に、一方の導電糸21の一端部が接続された正極4と、他方の導電糸22の一端部が接続された負極5とを備え、一方の導電糸21の他端部と、他方の導電糸22の他端部とが接続されている(図1〜3参照)。
2本の導電糸21、22のうちの少なくとも一方は、ウェビング1の長さ方向の少なくとも一部に緯糸として織り込まれている。例えば、図1のウェビング1では、導電糸21が緯糸として織り込まれており、導電糸22は、ウェビング1の側端部に経糸として織り込まれている。また、導電糸21とともに絶縁糸3が緯糸として織り込まれている。更に、図1のウェビング1では、導電糸21は導電糸22より内側で織り返されており、絶縁糸3は最側端に経糸として織り込まれた絶縁糸にまで織り込まれている。
上述のように、図1のウェビング1では、導電糸21と導電糸22とは、各々の他端部で接続されている接続部6を除く他部では接触していない。従って、導電糸21、22は、いずれも絶縁被覆が施されていない導電糸でもよく、導電糸21、22のうちの少なくとも一方が絶縁被覆が施された導電糸でもよい。
また、図1のウェビング1では、導電糸21は導電糸22より内側で織り返されているが、導電糸21が織り込まれる緯方向における幅は、ウェビング1の全幅の4/5以上であることが好ましい。これにより、幅方向においてヒータとして十分に機能するウェビング1とすることができる。
更に、図2のウェビング1では、緯糸として織り込まれた導電糸21は、緯糸として織り込まれた絶縁糸3と同様に、ウェビング1の最側端に経糸として織り込まれた絶縁糸にまで織り込まれている。そのため、図2のウェビング1では、緯糸として織り込まれた導電糸21と、経糸として織り込まれた導電糸22とが、各々の他端部で接続されている接続部6を除く他部でも接触することになる。従って、導電糸21、22のうちの少なくとも一方は絶縁被覆が施された導電糸とする必要がある。
また、図1、2のウェビング1では、導電糸22は、ウェビング1の側端部に経糸として織り込まれているが、ウェビング1の幅方向において導電糸22が織り込まれる位置は、ウェビング1の側端部に限定されず、ウェビング1の幅方向の中央部に織り込まれていてもよい。この場合、緯糸として織り込まれていた導電糸21も、ウェビング1の幅方向の中央部において経方向へと織り込むようにしてもよい。尚、導電糸22がウェビング1の幅方向の中央部に織り込まれている場合は、導電糸21と導電糸22とが直交するようにして接触することになるため、少なくとも一方は絶縁被覆が施された導電糸とする必要がある。
更に、図3のウェビング1では、導電糸21、22は、いずれも絶縁糸3とともに緯糸として織り込まれている。この場合、導電糸21と導電糸22とは、各々の他端部で接続されている接続部6を除く他部でも接触することになる。従って、導電糸21、22のうちの少なくとも一方は絶縁被覆が施された導電糸とする必要がある。また、図3では、導電糸21及び導電糸22は、それぞれの一端部から他端部まで同様に織り込まれているが、図3においてウェビング1の長さ方向の左側の端部側で、経方向から緯方向へと織り込まれる方向が変化する位置は必ずしも同じ位置でなくてもよい。更に、図3においてウェビング1の長さ方向の中央部で、緯方向から経方向へと織り込まれる方向が変化する位置も、導電糸21と導電糸22とで必ずしも同じ位置でなくてもよい。
また、図3のウェビング1では、導電糸21、22は、ウェビング1の一方の側端部から経糸として織り込まれ、ヒータとして機能させる長さ範囲では緯糸として織り込まれ、その後、ウェビング1の他方の側端部において再び経糸として織り込まれているが、このような形態に限定されない。例えば、経方向に織り込まれる導電糸21、22は、ウェビング1の側端部を除く中央部に織り込まれていてもよく、導電糸21と22とが、ウェビング1の幅方向の異なる位置に織り込まれていてもよい。
更に、図1、2のウェビング1では、導電糸21が、図3のウェビング1では導電糸21、22が、ウェビング1の長さ方向において、緯糸として織り込まれている長さ範囲と、織り込まれていない長さ範囲とがある。これは、乗員がシートベルトを装着したときに、ウェビング1が乗員と接触することになる長さ範囲、即ち、ヒータとして機能させる必要がある範囲と、その必要がない範囲とがあるためである。導電糸が緯糸として織り込まれる長さ範囲は、通常、ウェビング1が乗員の腹部に接触することになる長さ範囲である。
また、一方の導電糸21の他端部と、他方の導電糸22の他端部とが接続される接続部6の位置は、ウェビング1の長さ方向の他端部であることが好ましい(図1〜3参照)。導電糸21、22の各々の他端部の接続は、図1、2のウェビング1では導電糸21が、図3のウェビング1では導電糸21、22が、緯糸として織り込まれなくなった位置で導電糸21、22の供給を停止し、その位置で接続してもよいが、この場合、ウェビング1の長さ方向の中間部、即ち、人が視認できる位置に接続部が形成され、ウェビング1の外観の観点で好ましくない。
[2]シートベルト装置
本発明のシートベルトウェビング1が用いられるシートベルト装置は特に限定されない。例えば、現在、多く使用されている3点式シートベルト装置10が挙げられる。図4に、乗員7及び車両用シート9とともに、3点式シートベルト装置10の概略を図示する。
3点式シートベルト装置10では、ウェビング1は、ボディパネルのピラーの下部に取り付けられたリトラクタ81から引き出される。即ち、ウェビング1の一端部(又は他端部)にはリトラクタ81が配置されている。また、ウェビング1は、スルーアンカー82の挿通孔に挿通されており、他端部(又は一端部)はボディパネルの下部に配置されたアンカー85に取り付けられている。更に、ウェビング1にはタングプレート83が挿通されており、タングプレート83は、車両用シート9に取り付けられたバックル84に着脱可能に係合されるようになっている。
本発明のウェビング1は、図4のように、例えば、3点式シートベルト装置10に用いることができるが、図1〜3のウェビング1において、導電糸21又は導電糸21、22が緯糸として織り込まれてヒータとして機能するのは、ウェビング1が乗員と接触することになる長さ範囲であり、通常、乗員7の腹部と接触する長さ範囲である(図4のヒータ部1a参照)。また、導電糸21、22の各々の一端部に接続された正極4と負極5とは、リトラクタ81又はアンカー85内に位置することになる。
更に、ウェビング1では、導電糸21の一端部には正極4が接続され、導電糸22の一端部には負極5が接続され、正極4及び負極5をECUに接続することにより、ECUからの信号で電源から電力が供給され、導電糸21、22が発熱し、通常、ウェビング1の所定の長さ範囲が昇温し、ヒータ部1aとして機能する。
また、導電糸21、22のうちの少なくとも一方に絶縁被覆が施されていない場合、製織したままでは、例えば、金属線がウェビング1の表面に表出することになり、ウェビング1の外観の観点で好ましくない。そのため、通常、導電糸21、22が表出している長さ範囲に、織布を縫い付ける、又は接合することで、外観の向上が図られる。この場合、ウェビング1の絶縁糸3及び経糸としての絶縁糸からなる長さ範囲と外観が類似した織布を用いれば、外観の違和感が軽減される。一方、ウェビング1の絶縁糸3及び経糸としての絶縁糸からなる長さ範囲とは、色相が異なる、及び/又は触感が異なる織布を用いることで、ヒータ部1aであることを際立たせてもよい。
更に、導電糸21、22のいずれにも絶縁被覆が施されているときも、ウェビング1の絶縁糸3及び経糸としての絶縁糸からなる長さ範囲との外観の相違が生ずることは避けられない。この場合も、ウェビング1の絶縁糸3及び経糸としての絶縁糸からなる長さ範囲と外観が類似した織布を縫い付ける、又は接合してもよく、色相が異なる、及び/又は触感が異なる織布を縫い付ける、又は接合してもよく、ヒータ部1aであることが視認できるため、そのままにしておいてもよい。
また、導電糸21、22の絶縁被覆の有無によらず、ウェビング1を、その全長さに亘って覆ってしまう織布を縫い付ける、又は接合してもよく、ウェビング1と幅及び長さが略同一の袋織等の二重織の織物にウェビング1を収納し、所用箇所で縫い付ける、又は接合して、全長さに亘って同一の外観を有するウェビング1としてもよい。
[3]導電糸及び絶縁糸
2本の導電糸21、22は、通電可能、且つ絶縁糸3及び経糸として織り込まれる絶縁糸とともに製織可能な導電性の繊維であり、特にJIS K 7194に準拠して測定した比抵抗(体積抵抗率)が100〜10−12Ω・cmの導電糸21、22を用いることができる。このような導電糸21、22としては、例えば、炭素繊維のフィラメント、金属線及びめっき線材等が挙げられる。
導電糸21、22として用いられる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。これらのうちでは、1000℃以上の焼成温度で製造される炭素化繊維、黒鉛化繊維、黒鉛繊維等の炭素繊維が、優れた電気伝導性を有するため好ましい。
また、金属線としては、金、銀、銅、黄銅、白金、鉄、ステンレス鋼及び耐熱鋼等の鋼、亜鉛、錫、ニッケル、アルミニウム、タングステン等からなる線材が挙げられる。これらのうちでは、ステンレス鋼製の金属線が、優れた耐食性及び強度等を有するため好ましい。ステンレス鋼は特に限定されず、SUS304,SUS316及びSUS316L等が挙げられ、SUS304は汎用性が高く、SUS316及びSUS316Lはモリブデンが含有されており、優れた耐食性を有するため好ましい。
金属線の線径も特に限定されないが、製織のし易さ及び強度、柔軟性の観点で、10〜200μm、特に10〜50μmであることが好ましい。更に、金属線は、例えば、ポリエステル繊維等の他の繊維材料を芯糸とし、金属線を鞘糸とし、S及びZのうちの少なくとも一方の撚方向に金属線を巻き付けてなる複合糸の形態で用いることもできる。この場合、線径の小さい金属線を使用すれば、優れた柔軟性を有するとともに、芯糸による十分な引張強度を併せて有する導電糸とすることができるため好ましい。
また、めっき線材としては、非導電性又は導電性の繊維を芯材とし、この芯材の表面の全面において全長さに亘って形成された、単体金属又は合金からなるめっき層を有する線材を用いることができる。このように芯材の表面にめっき層を形成することで、芯材が非導電性の繊維であっても導電糸とすることができる。一方、芯材が導電性の繊維の場合、めっき層を形成することで耐久性を向上させることができる。
めっき線材の芯材として用いることができる導電性繊維としては、各種の金属繊維等が挙げられる。一方、非導電性繊維としては、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリイミド繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維及びボロン繊維等が挙げられる。更に、めっき処理に用いられる金属としては、錫、ニッケル、金、銀、銅、鉄、鉛、白金、亜鉛、クロム、コバルト及びパラジウム等の単体金属、並びにニッケル−錫、銅−ニッケル、銅−錫、銅−亜鉛及び鉄−ニッケル等の合金が挙げられる。
めっき層は無電解めっき法により設けることができ、この無電解めっき法により設けられためっき層は特に限定されないが、銅めっき層、ニッケルめっき層、ニッケル・タングステン合金めっき層、スズめっき層、金めっき層等とすることができる。また、銅は電気伝導性に優れ、好ましいが、酸化され易いため、銅めっき層であるときは、必要であれば、その表面に、銅と比べて酸化され難いニッケル、スズ等を用いてなるめっき層を電解めっき法により設けてもよい。これにより、銅めっき層を酸化から保護することができる。
導電糸21、22は、ウェビング1の製織に用いられる他の糸である絶縁糸3及び経糸として用いられる絶縁糸と比べて高い耐熱性を有していることが好ましい。言い換えれば、加熱により溶融する温度、又は溶融しない糸である場合は、燃焼開始温度が各々の絶縁糸より高いことが好ましい。即ち、絶縁糸より高融点であるか、又は燃焼し難い糸であることが好ましい。この燃焼性の指標としては、JIS K 7201及びJIS L 1091(1999) 8.5E−2法に準拠して測定される限界酸素指数(LOI)を用いることができ、LOIが26以上である導電糸21、22が好ましい。前述の導電糸21、22のうち、金属線は、一般に、絶縁糸として用いられる天然繊維及び合成繊維より高融点であって、且つLOIは、通常、26以上であり、例えば、ステンレス鋼繊維のLOIは49.6である。また、炭素繊維は溶融せず、LOIは60以上である。
更に、導電糸21、22には、必要に応じて、その表面に樹脂コーティング(電気絶縁性の被覆)が施される。このように樹脂コーティングが施された導電糸21、22は、表面の樹脂層により保護されるため優れた絶縁性及び防錆性を有する。このような導電糸21、22を用いる場合は、一方の導電糸21の一端部と正極4との接続、他方の導電糸22の一端部と負極5との接続、一方の導電糸21の他端部と他方の導電糸22の他端部との接続をするときに、樹脂層を除去して金属線等を露出させ、電気的に確実に接続すればよい。コーティングに用いる樹脂は特に限定されず、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、耐久性の観点でポリウレタン樹脂が好ましい。
また、樹脂層の厚さは、製織のし易さを考慮したうえで、樹脂の種類及びその絶縁性、耐久性等によって設定することができ、例えば、0.5〜50μm、特に1〜5μmとすることができる。更に、樹脂コーティングの方法も特に限定されないが、金属線等を樹脂分散液に浸漬し、又は液中を通過させて樹脂を付着させ、その後、加熱し、次いで、冷却して固着させる方法が挙げられる。また、樹脂粉末又は溶融樹脂を金属線等に付着させ、又は融着させ、必要に応じて加熱し、その後、冷却して固着させることもできる。
ウェビング1を構成する導電糸21、22を除く他の糸、即ち、絶縁糸としては、植物系及び動物系の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリエステル及びポリアミド等の合成樹脂からなる合成繊維等を用いてなる糸が挙げられる。これらの絶縁糸は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、通常、経糸、緯糸ともに1種のみが用いられ、経糸と緯糸とが同種の絶縁糸であることが多い。尚、これらの絶縁糸の比抵抗は、通常、10Ω・cmを超える。
ウェビング1の製織に用いる絶縁糸3及び経糸として用いられる絶縁糸としては、合成樹脂からなるフィラメントが多用される。フィラメントとしては、マルチフィラメントとモノフィラメントとがあるが、通常、マルチフィラメントを用いることが好ましい。フィラメントの材質は特に限定されず、各種の合成樹脂からなるフィラメントを用いることができる。
合成樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。合成樹脂としては、特にポリエステル系樹脂、ポリプロピレン及びポリアミド系樹脂が好ましく、優れた引張強さを有するPET等のポリエステル系樹脂がより好ましい。
マルチフィラメント等の合成樹脂フィラメントの繊度は特に限定されず、適宜の繊度のマルチフィラメント等を用いることができる。経糸として用いられる絶縁糸の繊度は500−3000デシテックス、特に1500−1800デシテックスであることが好ましい。このような繊度の経糸であれば、長さ方向に所要の強度を有するウェビング1とすることができる。また、緯糸として用いられる絶縁糸3の繊度は250−1500デシテックス、特に500−1000デシテックスであることが好ましい。更に、マルチフィラメントの場合、このマルチフィラメントを構成するフィラメント数は特に限定されず、その繊度等によって設定することができる。経糸の場合、45−300本、特に100−200本であることが好ましい。また、緯糸の場合、20−200本、特に45−130本であることが好ましい。
絶縁糸は、加熱により溶融する温度、又は溶融せず燃焼する場合は、燃焼開始温度が導電糸21、22より低く、溶融せず燃焼する絶縁糸の場合、LOIが26未満であることが好ましい。天然繊維のLOIは26未満であることが多く、例えば、綿のLOIは18〜20であり、羊毛のLOIは24〜25である。更に、合成繊維は、導電糸21、22より低融点であることが多く、燃焼性は導電糸21、22より高いことが多い。例えば、ポリエステル繊維のLOIは18〜20であり、ポリアミド繊維のLOIは20〜22である。
尚、前述の記載は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施形態を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は、シートベルト装置を用いるとき、乗員の特に腹部と接触することになる長さ範囲にヒータ機能を有するシートベルトウェビングの技術分野において利用することができる。
1;ヒータ機能付きシートベルトウェビング、1a;ヒータ部、21;一方の導電糸、22、他方の導電糸、3;緯糸とて用いられている絶縁糸、4;一方の導電糸の一端部が接続された正極、5;他方の導電糸の一端部が接続された負極、6;一方の導電糸の他端部と他方の導電糸の他端部とが接続された接続部、10;3点式シートベルト装置、7;乗員、81;リトラクタ、82;スルーアンカー、83;タングプレート、84;バックル、85;アンカー、9;車両用シート。

Claims (8)

  1. 2本の導電糸及び絶縁糸を用いて製織された織物により構成されるヒータ機能付きシートベルトウェビングであって、
    前記2本の導電糸のうちの少なくとも一方は、前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの長さ方向の少なくとも一部に緯糸として織り込まれており、
    前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの長さ方向の一端部に、一方の導電糸の一端部が接続された正極と、他方の導電糸の一端部が接続された負極とを備え、
    前記一方の導電糸の他端部と、前記他方の導電糸の他端部とが接続されているヒータ機能付きシートベルトウェビング。
  2. 前記一方の導電糸及び前記他方の導電糸のJIS K 7194に準拠して測定した比抵抗が100〜10 −12 Ω・cmである請求項1に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
  3. 前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングは車両用であり、ヒータとして機能する部分は、乗員と前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングとが接触することになる長さ範囲である請求項1又は2に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
  4. 前記一方の導電糸が緯糸として織り込まれ、前記他方の導電糸が前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの側端部に経糸として織り込まれ、前記一方の導電糸と前記他方の導電糸とが、前記接続により接触している接続部を除いて接触していない請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
  5. 前記一方の導電糸が緯糸として織り込まれ、前記他方の導電糸が前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの側端部に経糸として織り込まれ、前記一方の導電糸と前記他方の導電糸とが、前記接続により接触している接続部を除く他部でも接触しており、前記一方の導電糸と前記他方の導電糸のうちの少なくとも一方が、導線に絶縁被覆が施された導電糸である請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
  6. 前記一方の導電糸と前記他方の導電糸とが緯糸として織り込まれ、前記一方の導電糸及び前記他方の導電糸のうちの少なくとも一方が、導線に絶縁被覆が施された導電糸である請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
  7. 前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの長さ方向の前記少なくとも一部は、シートベルト装着時、前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングが乗員と接触することになる長さ範囲である請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
  8. 前記一方の導電糸の前記他端部と、前記他方の導電糸の前記他端部とが、前記ヒータ機能付きシートベルトウェビングの長さ方向の他端部において接続されている請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のヒータ機能付きシートベルトウェビング。
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