以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る電源制御装置のブロック図である。本実施形態に係る電源制御装置は、負荷に対して電力を供給するための電源システムを制御する装置である。電源制御装置は、モータ等の負荷を駆動する駆動システム等に適用される。なお、以下の説明では、負荷の一例としてモータを挙げ、電源と負荷との間に接続される電気回路の一例として電力変換回路を挙げた上で、電源制御装置を説明している。負荷はモータに限らず他の装置でもよく、電気回路は電力変換回路に限らず他の回路であってもよい。
図1に示すように、電源制御装置は、電源1と、リレー2と、コンデンサ3と、電力変換回路4と、モータ5と、コントローラ10と、電源ラインPNを備えている。
電源1は、電力変換回路4を介してモータ5に電力を供給する。電源1は、一対の電源ラインPNにより電力変換回路の入力側(DC)側に接続されている。電源1は、複数の電池を直列又は並列に接続されることで構成されている。電源1は正極及び負極を有している。電源1の正極は電源ラインPに接続されており、電源1の負極は電源ラインNに接続されている。電源1は、電力変換回路4から出力される電力により充電可能である。なお、電源1は、DC電源に限らず、AC電源でもよく、任意の波形の電圧又は電流を出力可能な電源でもよい。
リレー2は、電源1と電力変換回路4との間に流れる電流の導通及び遮断を切り換えるスイッチである。リレー2は、電源1とコンデンサ3との間で、電源ラインPに接続されている。リレー2は、電源1とコンデンサ3との間を流れる電流経路のインピーダンスを調整する機能を有している。
リレー2は、トランジスタ等の半導体素子を有している。例えばリレー2のスイッチ部分にMOSFETを用いた場合には、MOSFETのゲート電圧を変えることで、リレー2のインピーダンスを調整できる。リレー2のインピーダンスを調整することは、電源1とコンデンサ3との間の電流経路のインピーダンスを調整することに対応する。また、リレー2のインピーダンスを調整することで、電流経路の電流(電流量)を変更することができる。リレー2はコントローラ10により制御される。
リレー2は、ノーマリオフのスイッチである。これにより、電源停止などのトラブルにより、コントローラ10からリレー2への制御信号が途絶えた場合に、電源1と電力変換回路4との間は電気的に遮断されるため、安全性の高いシステムを実現できる。
コンデンサ3は、リップル電流を平滑する平滑コンデンサである。コンデンサ3は、一対の電源ラインPNの間に接続されており、電力変換回路4の入力側に接続されている。なお、電力変換回路4にノイズフィルタを設けた場合の容量成分、又は、電源ラインP、Nや電力変換回路内の配線の寄生の容量成分を、コンデンサ3の容量成分に等価的に含めてもよい。
電力変換回路4は、電源1の電力を交流から直流に変換して、モータ5に出力する。電力変換回路4は、IGBT等のトランジスタをブリッジ状に接続した回路である。電力変換回路4は電源ラインP,Nで電源1の正極と負極に接続されている。モータ5の回生時には、電力変換回路4はモータ5の出力電力を交流に変換して電源1に出力する。
モータ5は、例えば三相同期モータである。本実施形態に係る電源制御装置が車両に適用された場合に、モータ5は車両の駆動源となる。モータ5は電力変換回路4の出力側に接続されている。
コントローラ10は、リレー2のオン、オフ制御及びリレー2のインピーダンスの調整を行う。コントローラ10はリレー2に対して制御信号を送信する。
次に、図2及び図3を用いて、電源制御装置におけるリレー2の制御について説明する。図2及び図3は、リレー2のインピーダンスのタイムチャート、電流経路を流れる電流のタイムチャート、及び、リレー2の温度のタイムチャートをそれぞれ示すグラフである。各グラフの横軸は時間を示す。図2はリレー2の温度が所定温度より低い場合の特性を示し、図3はリレー2の温度が所定温度より高い場合の特性を示す。
リレー2は、ゲート電圧に応じてインピーダンスを4段階に切り替える。リレー2のインピーダンスの大きさは、Z1、Z2、Z3、Z4の順で大きくなる。また、インピーダンスを切り換えるために、ゲート電圧は、Z1、Z2、Z3、Z4と対応づけて、4種類の電圧に設定可能である。
コントローラ10は、リレー2の温度を管理している。リレー2の温度管理のためには、温度センサをリレー2に設けてもよく、電源ラインPNに接続された電流センサ又は電圧センサの検出値から推定してもよい。
コントローラ10は、コンデンサ3のプリチャージを行う場合には、以下の制御シーケンスを実行する。コントローラ10には、インピーダンスの切り替えタイミングとして、2種類のシーケンスが予め設定されている。コントローラ10は、リレー2の温度が所定の温度閾値Tth未満である場合には、第1シーケンスを選択し、リレー2の温度が所定の温度閾値Tth以上である場合には、第2シーケンスを選択する。
図2に示すように、時間がt1の時(初期状態)、リレー2の温度T1は温度閾値Tth未満である場合に、コントローラ10は第1シーケンスを選択する。時間t1から時間t2までの期間は、プリチャージの実行前の期間を示している。時間t1から時間t2までの期間において、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ4に設定するように、制御信号(ゲート信号)をリレー2に送信する。時間t1から時間t2までの期間において、リレー2のインピーダンスが最も大きい値(Z4)に設定されている、電源1とコンデンサ3との間の電流経路(以下、主電流経路とも称す)の電流はI1となる。なお、電流I1はゼロでもよい。主電流経路の電流がI1のときには、リレー2の温度は上昇せず、初期状態の温度T1で推移する。
時間t2のときに、コンデンサ3のプリチャージを開始する。コントローラ10は、制御信号をリレー2に送信し、リレー2のインピーダンスをZ4からZ2に切り換える。リレー2のインピーダンスが低インピーダンス(Z2)に切り替わると、主電流経路の電流はI1からI4に高くなる。電流I4はリレー2の許容電流値(IL)より低い電流である。また電流の上昇に伴い、リレー2の温度は高くなる。
時間t2から時間t3までの期間、リレー2のインピーダンスはZ2で維持される。時間t2から時間t3までの期間において、主電流経路の電流は、時間の経過に伴って低下する。リレー2の温度は、時間の経過に伴って上昇しているが、リレー2の温度は、リレー2の温度許容値TL以下である。
時間t3の時点で、リレー2の温度が温度許容値TLを超えないように、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスを、Z2からZ3に高くする。リレー2のインピーダンスが高インピーダンス(Z3)に切り替わると、主電流経路の電流が低くなる。また電流低下に伴い、リレー2の温度が低くなるため、リレー2の温度は温度許容値TLを超えない。
上記のように、時間t2の時点で、主電流経路の電流はピークをとる。電流のピーク値(I4)は、時間t2に切り換えるインピーダンスの大きさに対応しており、インピーダンスZ2は、主電流経路の電流を許容電流値(IL)以下で抑制できる値に設定されている。許容電流値(IL)は予め設定されている温度であって、リレー2に許容される電流の上限値、又は、コンデンサ3に許容される電流の上限値に応じて設定されている。また、時間t2から時間t3までの期間には、リレー2には大きな電流が流れるため、時間t2から時間t3までの期間はリレー2の温度上昇期間となる。そのため、リレー2の温度が温度許容値TL以下になるように、温度上昇期間の長さが設定されている。
時間t3から時間t4までの期間、リレー2のインピーダンスはZ3で維持される。時間t3〜t4の期間において、主電流経路の電流は、時間の経過に伴って低下する。リレー2の温度は、時間の経過に伴って低下している。この期間では、リレー2の電流が低く、リレー2の内部及びリレー2の周囲で熱拡散が発生している。そのため、リレー2の温度は徐々に低下している。インピーダンス(Z3)は、時間t3以降にリレー2の熱拡散を得るような値に設定されている。
時間t4のときに、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ3からZ2に切り換える。リレー2のインピーダンスが低インピーダンス(Z2)に切り替わると、主電流経路の電流は高くなりI2になる。時間t4の時点におけるリレー2の温度は、時間t3よりも低くなっている。リレー温度が低くなった分、リレー2の電流を高めることができるため、時間t4の時点で、リレー2のインピーダンスを低くする。そして、リレー2の電流を高めることで、プリチャージの期間を短くすることができる。
時間t4から時間t5までの期間、リレー2のインピーダンスはZ2で維持される。時間t4からt5までの期間において、主電流経路の電流は、時間の経過に伴って低下する。この期間では、コンデンサ3の充電は十分に進んでいるため、電源1とコンデンサ3との間の電位差が小さく、リレー2の温度は時間の経過に伴って低下する。
上記のように、時間t4の時点で、主電流経路の電流はピークをとる。時間t4の時点における電流のピーク値(I2)は、時間t2の時点における電流のピーク値(I4)よりも低い。時間t2の時点では、リレー2の温度が低く、温度許容値TLまでの温度差が大きい。そのため、主電流経路の電流を高くすることができる。一方、時間t4の時点では、リレー2の温度が高く、温度許容値TLまでの温度差が小さいため、主電流経路の電流を高くすることができない。そのため、時間t4の時点における電流のピーク値(I2)を、時間t2のピーク値(I4)より低くしている。これにより、プリチャージ期間で、2回目の電流ピークを発生させても、リレー2の温度を温度許容値TL以下に抑制しつつ、プリチャージ期間の短縮化を図ることができる。
時間t5のときに、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ2からZ1に切り換える。リレー2のインピーダンスは最小値のインピーダンス(Z1)に切り替わると、主電流経路の電流は高くなりI3になる。時間t5以降、リレー2のインピーダンスはZ1で維持される。主電流経路の電流は、時間の経過に伴って低下し、電流(I1)となる。そして、主電流経路の電流がI1になると、コンデンサ3のプリチャージが終了する。
上記のように、時間t5の時点で、主電流経路の電流はピークをとる。時間t5の時点における電流のピーク値(I3)は、時間t5の時点における電流のピーク値(I2)と同様に、時間t2の時点における電流のピーク値(I4)よりも低い。これにより、プリチャージ期間で、3回目の電流ピークを発生させても、リレー2の温度を温度許容値TL以下に抑制することができ、その結果として、プリチャージ期間の短縮化を図ることができる。
次に、初期状態のリレー温度が温度閾値Tth以上である場合の制御を、図3を用いて説明する。図3において、実線のグラフは第2シーケンスにおける特性を示し、点線のグラフは第1シーケンスにおける特性を示す。時間がt1の時(初期状態)、リレー2の温度T1は温度閾値Tth以上である場合に、コントローラ10は第2シーケンスを選択する。時間t1から時間t2までの制御は、第1シーケンスと同様である。
時間t2の時点で、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ4からZ2に切り換える。主電流経路の電流はI1からI4に高くなり、リレー2の温度は、温度(T2)から上昇する。
時間t2から時間taまでの期間、リレー2のインピーダンスはZ2で維持される。リレー2の温度は、時間の経過に伴って上昇しているが、リレー2の温度は、リレー2の温度許容値TL以下に抑制されている。
時間taの時点で、リレー2の温度が温度許容値TLを超えないように、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスを、Z2からZ3に高くする。リレー2のインピーダンスが高インピーダンス(Z3)に切り替わると、主電流経路の電流が低くなる。また電流低下に伴い、リレー2の温度が低くなるため、リレー2の温度は温度許容値TLを超えない。
上記のように、第2シーケンスでは、初期状態のリレー温度が第1シーケンスにおける温度よりも高い。そのため、第2シーケンスにおいてインピーダンスZ2を維持する期間(時間t2から時間taまでの期間)は、第1シーケンスにおいてインピーダンスZ2を維持する期間(時間t2から時間t3までの期間)よりも短い。
時間taから時間tbまでの期間、リレー2のインピーダンスはZ3で維持される。第2シーケンスにおいてインピーダンスZ3を維持する期間(時間taから時間tbまでの期間)は、第1シーケンスにおいてインピーダンスZ3を維持する期間(時間t3から時間t4までの期間)よりも長い。
時間tbの時点で、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ3からZ2に切り換える。主電流経路の電流は高くなりI2になる。時間tbの時点におけるリレー2の温度は、時間taよりも低くなっている。リレー温度が低くなった分、リレー2の電流を高めることができるため、時間tbの時点で、リレー2のインピーダンスを低くする。そして、リレー2の電流を高めることで、プリチャージの期間を短くすることができる。また、時間tbの時点における電流のピーク値(I2)を、時間t2のピーク値(I4)より低くしている。これにより、プリチャージ期間で、2回目の電流ピークを発生させても、リレー2の温度を温度許容値TL以下に抑制することができ、その結果として、プリチャージ期間の短縮化を図ることができる。
時間tbから時間tcまでの期間、リレー2のインピーダンスはZ2で維持される。第2シーケンスにおいてインピーダンスZ2を維持する期間(時間tbから時間tcまでの期間)は、第1シーケンスにおいてインピーダンスZ2を維持する期間(時間tbから時間tcまでの期間)よりも長い。
時間tcの時点で、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ2からZ1に切り換える。リレー2のインピーダンスは最小値のインピーダンス(Z1)に切り替わると、主電流経路の電流は高くなりI3になる。時間tc以降、リレー2のインピーダンスはZ1で維持される。主電流経路の電流は、時間の経過に伴って低下し、電流(I1)となる。そして、主電流経路の電流がI1になると、コンデンサ3のプリチャージが終了する。
時間tcの時点における電流のピーク値(I3)は、時間tbの時点における電流のピーク値(I2)と同様に、時間t2の時点における電流のピーク値(I4)よりも低い。これにより、プリチャージ期間で、3回目の電流ピークを発生させても、リレー2の温度を温度許容値TL以下に抑制することができ、その結果として、プリチャージ期間の短縮化を図ることができる。
上記のように、本実施形態では、コンデンサ3のプリチャージ期間に、リレー2のインピーダンスを調整することで、電源ラインPNに流れる電流のピーク値を複数発生させている。これにより、リレー2の発熱のタイミングが分散されるため、リレー温度を温度許容値TL以下にしつつ、プリチャージを短期間で行うことができる。
また本実施形態では、プリチャージ期間の主電流経路の電流特性を、第1ピーク値及び第2ピーク値を少なくとも含んだ特性にするように、リレー2を制御する。これにより、第2のピーク値でコンデンサ3のチャージ電流が高まるため、プリチャージ期間を短くすることができる。
また本実施形態では、主電流経路の電流のピーク値をリレー2の許容電流値以下又はコンデンサ3の許容電流値以下にする。これにより、リレー2及びコンデンサ3の保護を図ることができる。
また本実施形態は、プリチャージ期間において、リレー2の温度に応じてリレー2のインピーダンスを切り換えるタイミングを調整する。これにより、リレー2の温度を温度許容値TL以下にしつつ、プリチャージ期間を短くすることができる。
なお、本実施形態に係る電源制御装置の変形例として、図4に示すように、リレー2は、半導体素子の代わりに可変抵抗を有してもよい。図4は、変形例に係る電源制御装置のブロック図である。コンデンサ3のプリチャージを行う場合に、コントローラ10は、可変抵抗の抵抗値を変更することで、リレー2のインピーダンスを調整する。これにより、大出力に対応した可変抵抗をリレー2に設けることで、容量の大きなコンデンサ3に対応することができる。
なお、本実施形態に係る電源制御装置の変形例として、図5に示すように、リレー2は、半導体素子の代わりに機械的スイッチを有してもよい。図5は、変形例に係る電源制御装置のブロック図である。リレー2は、並列に接続された複数のスイッチを有している。複数のスイッチは、互いにオン抵抗の異なるスイッチである。コンデンサ3のプリチャージを行う場合に、コントローラ10は、並列接続されたスイッチのオン、オフを切り換えることで、リレー2のインピーダンスを調整する。本実施形態のようにリレー2のインピーダンスを4段階に切り替える場合に、図5に示す変形例においては、各スイッチのオン、オフを組み合わせることで、インピーダンスを4段階に切り換えることができる。これにより、コストを抑制しつつ、リレー2のインピーダンスを切り替えるシステムを実現できる。
なお、本実施形態に係る電源制御装置の変形例として、図6に示すように、コントローラ10は、コンデンサ3のプリチャージ期間に電流センサ6の検出電流に基づいてリレー2のインピーダンスを調整してもよい。電流センサ6は、電源ラインPに接続されており、主電流経路の電流を検出する。電流センサ6の検出値はコントローラ10に出力される。コンデンサ3のプリチャージ期間中、コントローラ10は電流センサ6を用いて主電流経路の電流を管理している。そして、電流センサ6の検出値がリレー2の許容電流値(IL)より大きくなる場合には、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスを、現在の値よりも高くなるように、リレー2のゲート電圧を調整する。なお、インピーダンスを切り換える順序は、図2又は図3に示す順序と同様にすればよい。これにより、本実施形態は、主電流経路の電流を任意の波形で推移させることができる。なお、変形例に係る電源制御装置は、電流センサ6の代わりに電圧センサを用い、電圧センサの検出値に基づいて、リレー2のインピーダンスを調整してもよい。なお、電圧センサは、電源1の正極とリレー2との間で電源ラインPに、リレー2とコンデンサ3の正極端子との間で電源ラインPに、又は、電源ラインNに接続すればよい。
なお、インピーダンスの切り替えは4段階に限らず、2段階、3段階又は5段階以上でもよい。インピーダンスの切り替えの段数が多いほど、滑らかな電流制御を行うことができる。その結果として、リレー温度を安定化させることでき、プリチャージ期間を短くすることができる。
なお、リレー2は、電源ラインPに限らず、電源ラインNに接続されてもよい。
上記コントローラ10は本発明に係るリレー制御装置に相当する。
《第2実施形態》
本発明の他の実施形態に係る電源制御装置を説明する。本例では上述した第1実施形態に対して、リレー2のインピーダンスを無段階で調整している点が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態の記載を適宜、援用する。
図7及び図8は、リレー2のインピーダンスのタイムチャート、電流経路を流れる電流のタイムチャート、及び、リレー2の温度のタイムチャートをそれぞれ示すグラフである。各グラフの横軸は時間を示す。図7はリレー2の温度が所定温度より低い場合の特性を示し、図8はリレー2の温度が所定温度より高い場合の特性を示す。
リレー2は、ゲート電圧に応じてインピーダンスを無段階に切り替える。コントローラ10は、ゲート電圧を制御することで、リレー2のインピーダンスを調整する。コントローラ10は、コンデンサ3のプリチャージを行う場合には、リレー2の温度に応じて、第1シーケンス及び第2シーケンスのいずれか一方のシーケンスを選択して、選択したシーケンスを実行する。
図7に示すように、時間がt1の時点で(初期状態)、リレー2の温度T1は温度閾値Tth未満である場合に、コントローラ10は第1シーケンスを選択する。時間t1から時間t2までの期間は、プリチャージの実行前の期間を示している。時間t1から時間t2までの期間において、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ4に設定するように、制御信号(ゲート信号)をリレー2に送信する。
時間t2の時点で、コンデンサ3のプリチャージを開始する。コントローラ10は、制御信号をリレー2に送信し、リレー2のインピーダンスをZ4からZ2に低くする。インピーダンスの低下により、主電流回路の電流はI1から瞬間的に高くなる。主電流回路の電流が許容電流値(IL)を超える前に、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ2より高い値にする。コントローラ10は、時間t2以降、時間の経過とともに、徐々にリレー2のインピーダンスを上昇させる。これにより、主電流回路の電流は、許容電流値(IL)でピーク値となり、その後、徐々に低下する。
主電流回路の電流が大きくなることで、リレー2の温度は温度T1から上昇する。リレー2の温度は許容温度TLに達すると、許容温度TLで推移する。すなわち、時間t2以降、リレー2の温度が許容温度(TL)で推移するように、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスを調整している。時間t2以降、コンデンサ3のプリチャージが進むと、電源1とコンデンサ3との間の電位差が小さくなると、コントローラ10は、上昇させたインピーダンスを、再度低下させる。リレー2のインピーダンスの低下により、主電流回路の電流は上昇する。リレー2の温度は許容温度TLで維持されている。
このように、本実施形態では、時間t2で主電流経路に、瞬間的に高い電流を流すことで、リレー2の温度を許容温度(TL)まで高めて、その後、リレー2の温度を許容温度(TL)で維持させる。リレー温度が高くなると、周囲との温度差によって、リレーの熱が拡散し易くなる。これにより、リレー温度を許容温度(TL)以下にしつつ、主電流回路の電流を高めることで、コンデンサ3のプリチャージ期間を短くすることができる。
時間t3の時点で、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ1にする。主電流経路の電流はピークをとる。時間t3の時点における電流のピーク値(I2)は、時間t2の時点における電流のピーク値(IL)よりも低い。これにより、プリチャージ期間で、2回目の電流ピークを発生させても、リレー2の温度を許容温度閾値以下に抑制しつつ、プリチャージ期間の短縮化を図ることができる。
次に、初期状態のリレー温度が温度閾値Tth以上である場合の制御を、図8を用いて説明する。図8において、実線のグラフは第2シーケンスにおける特性を示し、点線のグラフは第1シーケンスにおける特性を示す。時間がt1の時点(初期状態)で、リレー2の温度T1は温度閾値Tth以上である場合に、コントローラ10は第2シーケンスを選択する。時間t1から時間t2までの制御は、第1シーケンスと同様である。
時間t2のときに、コンデンサ3のプリチャージを開始する。コントローラ10は、制御信号をリレー2に送信し、リレー2のインピーダンスをZ4からZ3に低くする。インピーダンスZ3は、第1シーケンスにおいて時間t2のときに設定したインピーダンスZ2よりも高い。インピーダンスの低下により、主電流回路の電流はI1から瞬間的に高くなり、ピーク値(I2)となる。ピーク値(I2)は、第1シーケンスにおいて時間t2のときのピーク値(IL)よりも低い。初期状態のリレー温度(T2)が第1シーケンスにおけるリレー温度(T1)よりも高いため、第2シーケンスでは、時間t2のインピーダンスを高くして、時間t2のときのピーク値(I2)を抑えている。これにより、インピーダンスの低下により、リレー温度が上昇しても、リレー2の温度を許容温度TL以下に抑制できる。
時間taのときに、コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ1にする。主電流経路の電流はピークをとる。時間taは、第1シーケンスにおける時間t3よりも後の時間である。第2シーケンスにおいてリレー温度をTLで維持する期間(時間t2から時間taまでの期間)は、第1シーケンスにおいてリレー温度をTLで維持する期間(時間t2から時間t3までの期間)よりも長い。第2シーケンスでは、初期状態のリレー温度が高く、リレー温度の伝熱経路上の熱抵抗が高い可能性がある。そのため、時間t2から時間t3までの期間では、単位時間あたりのリレー2の発熱量を抑えることで、リレー2の温度を許容温度TL以下に抑制できる。
上記のように、本実施形態では、コンデンサ3のプリチャージ期間に、リレー2のインピーダンスを調整することで、電源ラインPNに流れる電流のピーク値を複数発生させている。これにより、リレー2の発熱のタイミングが分散されるため、リレー温度を許容温度以下にしつつ、プリチャージを短期間で行うことができる。
《第3実施形態》
本発明の他の実施形態に係る電源制御装置を説明する。本例では上述した第1実施形態に対して、リレー2のインピーダンス特性がパルス波形になるように、リレー2のインピーダンスを調整している点が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態又は第2実施形態の記載を適宜、援用する。
図9は、リレー2のインピーダンスのタイムチャート、電流経路を流れる電流のタイムチャート、及び、リレー2の温度のタイムチャートをそれぞれ示すグラフである。各グラフの横軸は時間を示す。
コントローラ10は、ゲート電圧を制御することで、リレー2のインピーダンスを、Z1とZ2(>Z1)との間で切り換える。コントローラ10は、プリチャージの期間において、リレー2のインピーダンス特性がパルス波形になるように、インピーダンスを調整している。コントローラ10は、リレー2のインピーダンスをZ1とする期間を一定にしつつ、インピーダンスを切り換えるタイミングを変えている。ここで、低インピーダンス(Z1)の期間をパルス幅wとして、リレー2のインピーダンスをZ1からZ2に切り換えてから、次にインピーダンスをZ1からZ2に切り換えるまでの期間をパルス間隔dとする。コントローラ10は、パルス幅wを一定にしつつ、パルス間隔dを変更している。
図9に示すように、プリチャージ期間の前、コントローラ10はリレー2のインピーダンスをZ2に設定する。時間t2の時点で、コントローラ10はリレー2のインピーダンスをZ2からZ1に切り換えて、コンデンサ3のプリチャージを開始する。時間t2の時点で、主電流経路の電流はI2からILに高くなり、リレー温度はT1から上昇し始める。
コントローラ10は、時間t2の時点から、パルス幅wの時間が経過し、時間t3になると、インピーダンスをZ1からZ2に切り換える。時間t4の時点で、コントローラ10は、インピーダンスをZ2からZ1に切り換える。時間t4の時点から、パルス幅wの時間が経過すると、コントローラ10は、インピーダンスをZ1からZ2に切り換える。
リレー温度が許容温度(TL)に到達した後、コントローラ10は、リレー温度が許容温度(TL)を超えないように、パルス間隔dを調整する。またコントローラ10は、インピーダンスをZ2に設定することで、リレー温度を下げた後には、インピーダンスをZ2からZ1に切り換える。図9では、時間t5、t6、t7、t8、t9がインピーダンスをZ2からZ1に切り換えるタイミングである。そして、インピーダンスをZ2からZ1に切り換えた後、コントローラ10は、パルス幅wの期間、インピーダンスをZ1で維持する。
また、コントローラ10は、リレー2の温度に応じて、パルス間隔dを調整する。コントローラ10は、リレー2の温度が高いほどパルス間隔dを長くする。または、コントローラ10は、リレー温度が温度閾値(Tth)未満である場合には、パルス間隔dをd1に設定し、リレー温度が温度閾値(Tth)以上である場合には、パルス間隔dをd2(>d1)に設定する。
上記のように、本実施形態は、リレー2のインピーダンス特性がパルス波形になるように、インピーダンスを調整することで、電源ラインPNに流れる電流のピーク値を複数発生させている。これにより、リレー2の発熱のタイミングが分散されるため、リレー温度を許容温度以下にしつつ、プリチャージを短期間で行うことができる。
なお、本実施形態に係る電源制御装置の変形例として、コントローラ10は、パルス間隔dを一定にしつつ、パルス幅wを変更してもよい。図10は、変形例に係る電源制御装置において、リレー2のインピーダンスのタイムチャート、電流経路を流れる電流のタイムチャート、及び、リレー2の温度のタイムチャートをそれぞれ示すグラフである。各グラフの横軸は時間を示す。
図10に示すように、コントローラ10は、時間t2の時点でリレー2のインピーダンスをZ2からZ1に切り換える。コントローラ10は、時間t2の時点から、パルス幅wの時間が経過し、時間t3になると、インピーダンスをZ1からZ2に切り換える。
リレー温度が許容温度(TL)に到達した後は、コントローラ10は、リレー温度が許容温度(TL)を超えないように、パルス幅wを調整する。またコントローラ10は、インピーダンスをZ1に設定し、リレー温度を上昇させて許容温度(TL)に達するタイミングに合わせて、インピーダンスをZ1からZ2に切り換える。図9では、時間3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10がインピーダンスをZ1からZ2に切り換えるタイミングである。そして、インピーダンスをZ1からZ2に切り換えた後、コントローラ10は、インピーダンスをZ1で維持する。
また、コントローラ10は、リレー2の温度に応じて、パルス幅wを調整する。コントローラ10は、リレー2の温度が高いほどパルス幅wを短くする。または、コントローラ10は、リレー温度が温度閾値(Tth)未満である場合には、パルス幅wをw1に設定し、リレー温度が温度閾値(Tth)以上である場合には、パルス幅wをw2(<w1)に設定する。