半導体素子の微細化に伴い、製造装置のみならず、検査や評価装置にもそれに対応した高精度化が要求されている。通常、半導体ウェハ上に形成したパターンを評価したり、形成されたウェハの欠陥を検査するために、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)が用いられており、特にパターンの形状寸法を評価するためには測長SEMが用いられる。
測長SEMは、ウェハ上に電子線を照射し、得られた二次電子信号から二次電子画像(SEM画像)を生成し、得られたSEM画像の明暗の変化からパターンのエッジを判別して寸法等を導き出す装置である。測長SEMには、ウェハ全域を観察、検査するために、ウェハ上の所望の個所をビームの照射位置に位置決めすることが可能なXYステージを用いる。
このXYステージは、例えば回転モータとボールねじによって駆動される方法やリニアモータを用いて駆動する方法がある。また、XY平面のみでなく、Z軸やZ軸まわりの回転運動などを行うステージもある。
測長SEMによる半導体ウェハの検査では、予め設定した半導体ウェハ上の測定点を正確に観察するため、ステージ機構はレーザ干渉計の値(レーザ値)を用いて、測定点が電子ビームの照射位置(カラム中央直下)に来るように位置決めを行う。
このとき、ステージ位置決め後に位置偏差が残留した場合、電子ビームの偏向(イメージシフト)を行う。このイメージシフトにより、電子ビームを所望の位置に照射し、測定点を正確に観察することができる。イメージシフトを行うには、様々な電気的、磁気的なレンズによってビーム軌道を制御する必要があり、その際、SEM像の面内でひずみを生じる場合がある。SEM像のひずみは検査精度の劣化に直結するため、測定点をビーム照射位置に正確に位置決めすることによりイメージシフト量を小さくし、電子ビームの軌道を直線に近づけることが必要である。
ここで、ステージの位置検出手段としてレーザ干渉計を用いた場合、ステージの姿勢変化や構造変形などによって、レーザの計測位置であるミラーとウェハ上の測定点との相対位置関係が変化する。このレーザ値を用いてステージの位置決めを行う場合、ステージ座標によってミラーとウェハの相対位置が変化するため、測定点を正確にビーム照射位置に位置決めすることができない。
以下に説明する実施例は、ミラーとウェハの相対位置関係を補正マップ化し、観察した測定点の座標に応じてステージ位置決め目標位置を補正すると共に、この補正マップを高精度に生成する方法、及びそれを実現するための装置に関するものである。
SEM画像を取得する際、ステージのXY方向に振動が起こると、SEM画像に像ゆれが発生する。また、ステージのZ方向に振動が起こると、フォーカスずれが発生する。この像ゆれやフォーカスずれは、測長SEMの検査精度の劣化の要因となる。ステージに振動を発生させる要因は様々考えられるが、ステージをサーボ制御によって位置決めしている場合には、モータを駆動する電流アンプにおいて発生するノイズが駆動電流に混入することにより、ステージが振動することが考えられる。また、位置検出器のノイズによって位置制御系がステージ振動を励起することも考えられる。測長SEMにおいては、このような振動をナノメートルオーダで抑制することが必要である。
ブレーキ機構を備えたステージ装置をSEM装置に適用した場合、ブレーキ動作によってステージ機構の構造体に変形が生じる。この変形は、ステージの位置ずれを生じさせると同時に、ウェハとミラーとの相対距離に変化させる。ステージ座標が変化した場合、ブレーキ力の動作位置が変化する。そのため、ステージ機構の変形量は、ステージ座標に依存して変化することが考えられる。
補正マップを作成する場合には、このようなブレーキ機構を動作させたときに生ずる座標変化も考慮した上で作成することが望ましい。特に、上述のように、ブレーキ機構を動作させる個所(座標)に応じて、ステージ機構を構成する構造の変形の程度が異なるため、その変形の程度に応じた補正マップを作成することが望ましい。このような適正な補正マップが作成できれば、電子ビームを大きく偏向しなくても、測定点に電子顕微鏡の視野(Field Of View:FOV)を位置付けることができる。結果として、像歪みの発生を抑制できるという効果が期待できる。
以下に説明する実施例では、主にブレーキにより停止安定性を確保すると同時に、ブレーキを動作させた場合においても、ウェハ上の測定点をビーム照射位置に正確に位置決めし、電子ビームの軌道を直線に近づけることが可能なステージ装置、及び荷電粒子線装置について説明する。
以下に説明する実施例では、主にベースと、当該ベースに対して移動可能なテーブルと、当該テーブルの位置を検出する位置検出手段と、前記テーブルを制動するための制動機構と、前記テーブルを駆動する駆動機構と、前記位置検出手段の出力を用いて前記駆動機構と前記制動機構を制御する制御装置とを備えたステージ装置であって、前記制御装置は、前記制動機構の特性を記憶する記憶手段と、当該記憶手段を用いて決定する目標座標に前記テーブルを位置決めするステージ装置および荷電粒子線装置を提案する。
特に、上記記憶手段(記憶媒体)に、補正マップを記憶させ、補正マップに記憶された目標位置に応じて、ブレーキ機構や駆動機構を制御すると共に、当該補正マップの生成、或いは更新の際には、ブレーキ機構に備えられた押圧部材(制動機構)による押圧前後のテーブル位置を求め、当該押圧前後の前記テーブルの位置の変化に応じて、前記駆動機構及び前記押圧機構の少なくとも1つを制御するステージ装置を提案する。
上記構成によれば、ブレーキにより停止安定性を確保すると同時に、ブレーキを動作させた場合においても、ウェハ上の測定点をビーム照射位置に正確に位置決めし、電子ビームの軌道を直線に近づけることが可能となる。
以下に説明する実施例は、測長SEMのような荷電粒子線装置およびそれに適用可能な高精度ステージ装置に関するものである。以下、図面を用いて、荷電粒子線装置の一例について説明する。
図1は、本実施例における荷電粒子線装置の構成断面図である。図1において、試料室1内に固定されたベース7上には、2つのYリニアガイド14y、15yを介してY方向(紙面奥行き方向)に自由に移動できるYテーブル5が配置されるとともに、Yリニアモータ16yがベース7とYテーブル5間にY方向に相対的に推力を発生させるように配置される。Yテーブル上には、2つのXリニアガイド14x、15x(図示せず)を介してX方向に自由に移動できるXテーブル4が配置されるとともに、Xリニアモータ16x(図示せず)がYテーブル5とXテーブル4間にX方向に推力を発生させるように配置される。これにより、Xテーブル4は、ベース7および試料室1に対してXY方向に自由に移動することが可能となる。
Xテーブル4上にはウェハ2が配置される。なお、ウェハ2の配置には機械的拘束力または静電気力等の保持力を備えたウェハ保持機構を用いる。 試料室1上には、天板8およびカラム3が配置される。カラム3には、電子線によって二次電子像を生成するための電子光学系が備えられている。ベース7上面には、Y方向を長手方向とするYブレーキレール17yが配置され、それに対向するようにYテーブル5にYブレーキ機構16yが配置される。Yブレーキ機構16yは、Yテーブル5とともにY方向に移動し、対向するYブレーキレール17yに対してパッドを押付けることによって制動力を発生させる。ここで、Yブレーキ機構16yは、ステージ移動時には制動力を開放し、ステージ停止時に制動力を発生させるように、圧電素子などを用いて押付け動作を行うようにすることが望ましい。
Xテーブル4上にはXミラー11xが配置され、試料室1の側面には、Xレーザ干渉計10xが配置される。Xレーザ干渉計10xは、Xミラー11xに対してレーザ光を照射し、その反射光を用いて試料室1とXテーブル4のX方向の相対変位量(以下、Xレーザ値と呼ぶ)を計測する。ここで、Xミラー11xは、YZ平面に鏡面を持ち、Y方向に長い棒状の形状をしており、Yテーブル5がY方向に移動した際にもレーザ光を反射することができる。Y方向についても同様に、Yレーザ干渉計10y(図示せず)およびYミラー11y(図示せず)によって試料室1とXテーブル4のY方向の相対変位量(以下、Yレーザ値と呼ぶ)を計測することができる。
制御装置6には、演算処理部、リニアモータ駆動用アンプ、ブレーキアクチュエータ駆動用アンプ等が含まれている。制御装置6は、XY方向のレーザ値を入力として、リニアモータの駆動電流を制御することによってステージをXY方向に駆動し、所望の位置に位置決めを行う。ここで、リニアモータの制御方法は、PID制御等を用いることが可能である。また、制御装置6は、XY軸のブレーキ機構16xおよび16yを駆動する電流(または電圧)を生成する。
以上の構成により、ウェハ2を試料室1に対してXY平面で移動し、カラム3によって二次電子像を生成することができる。
なお、本実施例では、案内機構としてリニアガイドを用いたがその他の案内機構(例えば、流体軸受けや磁性軸受けなど)を用いることも可能である。また、駆動機構としてリニアモータを用いたが例えば、ボールねじや圧電アクチュエータ等、真空中で使用可能なアクチュエータを用いることも可能である。さらに、ステージの位置検出にはレーザ干渉計を用いたが、例えばリニアスケールなどの他の位置検出方法を用いてもよい。また、ブレーキ機構16を駆動するアクチュエータは、圧電素子を用いるように構成したが、その他のアクチュエータ、例えば、電磁アクチュエータ、空気アクチュエータなどを用いることも可能である。
図2は、ブレーキ機構を動作させたときのステージ構造の変形と、それに伴うビーム照射位置のずれを示す図である。図2は、図1に示した荷電粒子線装置のうち、説明のため一部のみを抜き出し示している。また、リニアガイド12xは、模式的に円筒ころとして示している。
図2(a)は、ステージ位置決め移動中の状態を示す。いま、ウェハ2上の測定点21をSEMによって観測したい点とする。また、カラム直下の電子ビーム照射位置を示すため、電子ビーム31を模式的に示した。なお、電子ビーム31は、ステージ移動時において必ずしも照射されている必要はなく、位置決め停止後の観察時のみ照射すればよい。図2(a)において、ステージ移動中には、Xブレーキ機構16xは、Xブレーキレール17xに対して接触せず、隙間がある状態を保っている。
図2(b)は、ステージ移動後、ブレーキ動作を行う前の状態を示す。ここで、理想的な状態においては、電子ビーム31の照射位置と測定点21が一致するように位置決めが行われる。
図2(c)は、ステージが移動し、ブレーキ動作を行った後の状態を示す。ここで、ブレーキ機構16xをブレーキレール17xに押し当てる動作によって、Xテーブル4やその他の構造体に変形が生じる。この変形は、Xミラー11xの位置が変位する「全体位置ずれ成分」とXミラー11xと測定点21の相対距離が変化する「相対位置ずれ成分」とに分けられる。これらの複合によって測定点21と本来のビーム照射位置(カラム中央)31aとのずれが生じる。その結果、測定点21を観察するためには、イメージシフトによって31bの位置ビームを照射することになり、像ひずみを解消することができない。
図3は、本実施例における補正マップ取得処理を示すフローチャートである。補正マップ取得処理では、ウェハ面内の複数の座標に対して連続して位置決めして補正マップを生成する。
処理S301では、マップを生成するための座標を設定する。ここで、設定座標には、例えばXY方向に対して等間隔で構成した格子状の座標を選べばよい。また、装置稼動状態において使用頻度の高い座標付近で細かいピッチで座標を設定しても良い。処理S302では、処理S301によって設定された座標にステージを位置決めする。ここではまだブレーキ動作を行っていない。処理S303では、ブレーキ動作開始前のレーザ値を取得する。ここで、レーザ値は、1点のみ取得しても良いが、レーザ値を一定時間サンプリングし、平均値を求めるようにすると良い。取得したレーザ値は、一時的にメモリ等に格納する。
処理S304では、XY軸のブレーキ機構を動作させる。これにより、ステージ機構には、位置ずれや変形が生じる。処理305では、処理S303と同様の手順でレーザ値を取得する。処理S303および処理S305によって得られたレーザ値は、ブレーキ動作前後のレーザ値であるため、その差分を取ることによってブレーキ動作によるレーザ値の変化を知ることができる。このレーザ値の差分値をブレーキ補正マップ310に保存する。これにより、ブレーキ補正マップ310は、ブレーキ動作前後でのミラー位置とウェハ高さのずれ分(全体位置ずれ成分)をマップ化したものとなる。
ここで、事前にブレーキ補正マップ310にデータが存在する場合、何らかの方法でブレーキ補正マップ310のデータを更新する。その方法は、最新のデータのみを保存する方法でも良いし、例えば忘却係数を用いた加重平均などの統計的な処理を行っても良い。
処理S306では、SEM像を取得し実際の視野ずれやフォーカスずれ量を計測する。ここで、視野ずれ量は、取得したSEM像における測定点のずれ量として計測し、フォーカスずれ量は、SEM像のフォーカス合わせ後の焦点高さによって計測する。得られた視野ずれ量やフォーカスずれ量は、XYZ方向の変形量に起因し、ステージ座標によって変化する量となる。
処理S307では、処理S306において取得した視野ずれ量およびフォーカスずれ量をステージ補正マップ311に保存する。ここで、ブレーキ補正マップ310と同様に、平均化や統計処理などによるマップの更新を行うことが望ましい。これにより、ステージ補正マップ311は、レーザ値(ミラー位置)における位置決めとウェハ内の測定点の位置の相対位置のずれ分(相対位置ずれ成分)をマップ化したものとなる。なお、フォーカスずれ量をモニタする場合には、ブレーキ機構の動作前にオートフォーカスを実行することによって得られたフォーカス値(対物レンズや静電レンズに供給する電流値や電圧値、或いはDAC値等)と、ブレーキ機構の動作後にオートフォーカスを実行することによって得られたフォーカス値の差分を演算すると良い。オートフォーカスは、フォーカス値を段階的に変化させたときの画像の鮮鋭度等を評価し、画像の鮮鋭度が最も高い画像を取得したときのフォーカス値をフォーカス条件として選択することによって行われる。
処理S308では、これまでの処理をS301において設定した全座標について繰り返し行い、補正マップを完成させる。
図4は、補正マップを用いた位置決め処理を示すフローチャートである。
処理S401では、観察したいウェハ上の測定点を決定し、その測定点をSEM像の中心とする視野目標位置が決定する。
処理S402では、視野目標位置に位置決めを行うため、ステージ補正マップ410を用いて、ブレーキ動作後に計測されるレーザ値(ミラーにおける目標位置)を決定する。ここで、ステージ補正マップ410におけるずれ量は、ステージ座標によって変化するため、視野目標位置を入力として与える。
処理S403では、ブレーキ補正マップ411を用いて、処理S402で決定したブレーキ動作後のレーザ値を実現するためのブレーキ動作前の目標位置(レーザ値)を決定する。ここで、ブレーキ補正マップ411におけるずれ量は、ステージ座標によって変化するため、視野目標位置またはブレーキ動作後目標位置を入力として与えて算出する。
処理S404では、処理S403で算出したブレーキ動作前の目標位置に向かってステージを位置決めする。その後、処理S405でブレーキを動作させる。処理S406では、SEM像を取得し測定点の観察を行う。
以上のように位置決めを行うと、ブレーキ動作後において、設定した測定点をビーム照射位置に正確に位置決めを行うことができる。よって、ブレーキ動作時においてもイメージシフト量を抑制できるため、SEM像のひずみを低減することができる。
さらに、処理405において、ブレーキ動作前後のレーザ値の差分を取得し、ブレーキ補正マップ411と比較することにより、ブレーキ補正マップの変化を観測することができる。ステージ装置においてブレーキ機構は、押し当て部分の磨耗や劣化などの経時変化によって制動力が低下することがある。その際、ブレーキ補正マップ411は、ずれ量が低下するように変化する。このずれ量の変化を用いて、ブレーキ補正マップ411を更新することによって、ブレーキ機構の経時変化があった場合でも、常に高い位置決め精度を確保することができる。さらに、ブレーキ補正マップ411の変化をモニタすることにより、ブレーキ機構の調整や交換などのメンテナンス時期を予めユーザに通知することが可能となる。なお、ユーザへの通知方法は、操作画面上やLEDライトなど任意の方法が利用できる。また、ブレーキの磨耗や劣化は、主に動作回数や動作時間などによって決まるため、上述したずれ量に監視に加えて、ブレーキ機構の動作回数や動作時間を用いてメンテナンス時期の推定精度を向上することも有効である。
更に、フォーカス補正マップも作成し、ブレーキ動作前後で得られたフォーカスずれに基づいて、オートフォーカス前の初期のレンズ条件を求めるようにしても良い。
以上のように、ブレーキ機構の動作前後のレーザ干渉計の出力値のずれや、フォーカスずれ量等に基づいて、ステージの駆動機構や制動機構(ブレーキ機構)、及び、レンズ条件の少なくとも1つを制御することによって、制動機構のステージ構造への影響に寄らず、適正な装置条件を設定することが可能となる。フォーカス条件がおおよそ適正に設定されていれば、オートフォーカスの際に大きくフォーカス条件を振らなくても、適正なフォーカス条件を設定することができるため、測定処理の高速化をも実現することが可能となる。
図5は、本実施例における補正マップの構成の一例を示す概念図である。図5において、補正マップはXYZ方向それぞれ独立した3枚のマップ501、502、503によって構成されている。また、例えばX方向の補正マップ501は、マップはステージのX座標およびY座標によって決定するマトリクス形状である。ステージの目標位置が与えられた場合、X座標およびY座標を用いてマップを補間し、ずれ量を計算する。このとき、補間方法は最も簡単な線形補間(一次補間)やスプライン補間など、様々な補間方法が可能である。Y方向およびZ方向の補正マップ502、503についても同様に、ステージ座標に依存したずれ量が算出できる。このように構成することにより、簡単かつ正確にずれ量の補正を行うことができる。
ここで、前述したブレーキ機構の経時変化は、補正マップ501〜503において、例えば、マップ内のセルを色分けするなどによって視覚的に示すことは有効である。
なお、本実施例においては、補正マップは図5に示すマトリクス形状としたが、別の有効な手段として数式を用いる方法も可能である。これは、例えばX方向のずれ量について、ステージのX座標X1とY座標Y1を用いた数式で示し、座標値を入力することでずれ量を算出するものである。ずれ量を算出する数式は、例えばX1、Y1の多項式などで表現することができる。このように数式で表した場合においても、多項式の係数を比較することでブレーキの経時変化をモニタすることが可能である。
図6は、位置決め時におけるブレーキ動作の模式図である。図6は、図2に示した位置決めとほぼ同様の動作を示しているが、その違いについてのみ説明する。
図6(b)において、ブレーキ動作前の位置決め状態において、ウェハ2上の測定点21は、電子ビーム31に対してずれた位置に位置決めされている。これは、ブレーキ補正マップによってブレーキ動作前の目標位置が修正されているためである。
図6(c)において、ブレーキ機構16xを動作させた際、位置ずれと変形を生じ、結果として電子ビーム31と測定点21の位置が一致し、電子ビームを直線状に照射することができる。これにより、SEM像のひずみが抑制される。
以上のように構成したステージ装置および荷電粒子線装置によれば、ブレーキにより停止安定性を確保すると同時に、ブレーキを動作させた場合においても、ウェハ上の測定点をビーム照射位置に正確に位置決めし、電子ビームの軌道を直線に近づけることが可能となる。また、ブレーキ機構の経時変化があっても高い位置決め精度を維持するとともに、調整、交換等のメンテナンス時期を予めユーザに通知することが可能となる。
なお、上述した実施例ではテーブル側にブレーキ機構を備え、テーブルに対して相対的に移動するブレーキレール(テーブルとは異なるものの、ステージを構成する部材)を、テーブルの移動方向とは異なる方向から押圧する構造について例示したが、これに限られることはなく、例えばベースにブレーキ機構を備え、テーブル側を押圧するように動作する構造を採用するようにしても良い。結果としてテーブルを押圧し、ブレーキ機構の動作によって、ステージ構造が変形する装置一般への適用が可能である。
図7は、本実施例における補正マップを用いた位置決め処理を示すフローチャートである。図7は、ブレーキを用いた位置決めと用いない位置決めとを使い分ける場合における処理の流れを示している。
処理S701では、観察したいウェハ上の測定点を決定し、その測定点をSEM像の中心とする視野目標位置が決定する。
処理S702では、次の位置決め動作においてブレーキ動作を行うか否かを判別する。ここで、ブレーキ動作は、高い停止安定性が得られる反面、ブレーキON、OFF動作に時間を要する。倍率の低い撮像のような、高い停止安定性が要求されない場合においては、スループット向上のためにブレーキを用いず位置決めを行うことは有効である。
ブレーキ動作有りの場合は、図4に示したフローと同様に位置決めを行い、SEM観察を行う。一方、ブレーキ動作なしの場合は、処理S707において、ステージ補正マップBを用いてブレーキ動作後の目標位置(レーザ値)を決定する。その後、処理S708によってステージを位置決めし、SEM像の観察を行う。ここで、前述したとおり、ステージ補正マップには、ミラーとウェハ(測定点)との相対位置関係が含まれている。そのため、ブレーキ動作の有無によってステージ構造の変形量が異なる場合、別々の補正マップを用いて補正を行うことが望ましい。すなわち、処理S703のブレーキ動作有りの場合はステージ補正マップA711を参照し、処理S707のブレーキ動作無しの場合はステージ補正マップB713を参照する。これにより、ブレーキ動作の有無により変形量の異なった場合においても、ウェハ上の測定点をビーム照射位置に正確に位置決めし、電子ビームの軌道を直線に近づけることが可能となる。
上述のように、半導体ウェハの測定や検査を行う電子顕微鏡には、ウェハ全域を観察、検査するために、ウェハ上の所望の測定箇所を電子ビームの照射位置に位置決めすることが可能なXYステージが設けられている。このXYステージには、一般的にリニアモータなどの駆動機構を備えたサーボ制御システムが用いられている。サーボ制御時では、ステージの高加速駆動に伴う機構共振振動や、電流アンプのノイズによる影響で、ステージ位置決め後に残留振動が発生する。このようなステージ振動が生じると、取得するSEM画像に像ゆれが発生し、測定或いは検査精度の低下要因となる。そのため、ステージ振動をナノメートルオーダで制御し、ステージ位置決め後の停止精度を向上することが求められる。なお、以下の説明ではステージ位置決め後に生じる残留振動振幅の最大絶対値をステージ停止精度と呼ぶ。
また、ステージは同一座標で駆動する場合には繰り返し再現性があるものの、駆動する座標が異なるとステージの重心変化及び姿勢変化に起因した剛性変化が生じ、機構特性が変動する。さらに、装置の経年変化に伴って、ステージに配置されたリニアガイドの摺動面に磨耗が生じ、ステージ特性の変動が生じる。これらのステージ特性変動が生じると、ステージ停止後に発生する残留振動の振幅、減衰性、周波数等が変化するため、ステージ停止精度はステージ座標によって異なり、経年変化に伴い変化する。
測長SEM及び欠陥レビューSEMのような半導体デバイスの測定や検査を行う電子顕微鏡では、ウェハの検査目的によってSEM画像撮像時の倍率を変更する。例えば、微細なパターンの測定等を実行する場合には、撮像倍率を高く設定する。具体的には、微細パターンを視野(Field Of View:FOV)内で極力大きくするために、電子ビームを走査する走査偏向器の走査範囲を小さくする。その場合、ステージ振動が像ゆれに与える影響が大きいため、ステージ要求停止範囲(ステージに許容される停止精度の範囲)は小さくなる。一方、高精細なSEM画像を必要としない場合は低倍率で撮像を行うため、ステージ要求停止範囲は高倍率撮像時に比べて緩和される。
したがって、低倍率撮像時等のブレーキ不要な条件ではブレーキ動作を行わず、ステージ位置決め直後からSEM画像の撮像を開始することで、検査工程全体のスループット向上が可能である。以下に、測長SEM及び欠陥レビューSEM使用時のウェハレシピ、撮像倍率、電子線の走査幅、ステージ停止精度等を勘案し、高精細なSEM画像が必要な場合のみにブレーキを使用する荷電粒子線装置について説明する。
このような構成によれば、測長SEMの運用状況に応じてブレーキ動作の要否を判定し、ブレーキ動作の有無を切り替えながらステージ位置決め制御を行うことで、スループット向上が可能となる。また、ステージ座標の変化や機構特性の経年変化に合わせてブレーキ動作の要否判定を更新することで、検査工程のロバスト性向上とスループット向上が両立可能となる。
図8は、ブレーキ機構を用いた制動を行ったときと、ブレーキ機構を用いずにステージを停止させたときのステージ位置の位置変動を示す波形例を示す図である。
図8(a)は、ブレーキ機構を用いた制動を行ったときのステージの位置変動を示す波形の一例を示す図である。ブレーキ動作有りの場合、まず前回のステージ位置決め時に使用したブレーキ制動力を開放し、ブレーキの解除を行う。次に、任意の観測点に対してステージ移動を行い、ステージ停止時にブレーキを用いてステージを制動する。そして、ブレーキ制動に伴うステージ位置ずれが収まった後、SEM画像の撮像を行う。ここで、ブレーキ解除及びブレーキ制動に要する時間はSEM画像取得の待ち時間となる。
図8(b)は、ブレーキ機構を用いずにステージを停止させたときのステージの位置変動を示す波形の一例を示す図である。ブレーキ動作無しの場合は、ステージ移動後の待ち時間が無く、すぐにSEM画像を取得できる。したがって、図のようにブレーキ動作時間Tb分だけスループット向上が可能である。
図9は、振動マップ作成処理のフローチャートである。振動マップとは、実施例1で説明した補正マップと同様に、ウェハ面内の各座標の情報の入力が可能なデータベースであり、本実施例の場合、ステージ停止時のステージの振動に関する情報が格納可能となっている。ステージ位置決め機構はウェハ上の同一観測点における位置決め精度の再現性があるため、ブレーキ動作の要否を判定する方法として振動マップを用いることが有効である。振動マップ作成時の処理をS901〜S904に示す。
S901では、振動マップ作成のためのステージ座標(ウェハ観測点)を決定する。その際、ステージ座標は、ウェハ観測領域に対してXY方向に等間隔で格子状に設定すればよい。また、装置稼動状態において使用頻度の高い座標付近で細かく座標を設定しても良い。S902では、S901で設定した座標で、ブレーキを使用せずステージ位置決めを行う。
S903では、ステージ位置決め後の残留振動量を測定し、振動マップ900に保存する。この時、保存するデータ数を減らすため、残留振動振幅の最大絶対値のみをマップに保存することが有効である。また、残留振動の減衰性や周波数等が判断できる範囲でデータを間引きし、マップに保存しても良い。なお、ステージ残留振動は、例えばレーザ干渉計10を用いることで測定できる。また、ステージ位置決め後にSEM画像を撮像し、撮像したSEM画像に画像処理を行うことでステージ残留振動を抽出し、振動マップ900に保存することもできる。
S904では、S901で設定したウェハ観測点全てに対してステージ位置決めを実施したかどうか判定し、ウェハ全面でマップ化を完了させる。これにより、ウェハ検査時において、ステージ移動前に振動マップを用いてブレーキ動作の要否を判定することが可能となる。
なお、振動マップを用いず、ステージ位置決め後のSEM画像撮像中にリアルタイムにブレーキ動作の要否を判定する方法も可能である。しかし、この方法では、ステージ停止精度が予め設定した許容範囲を超過した場合、SEM画像の再取得が必要となり、検査工程のスループットの低下を招くことがある。
図10は、振動マップを用いたブレーキ動作の要否判定処理のフローチャートである。S1001では、観察したいウェハ上の測定点を決定し、その測定点をSEM像の中心とするステージ座標を定める。S1002では、S1001で決定された座標で観察する際の撮像倍率を選択する。S1003では、選択した撮像倍率に対応したステージ位置決め後の要求停止範囲を決定する。
S1004では、ステージ座標に対応した振動マップの領域からステージ停止精度を算出(或いは読み出す)することで、ブレーキ動作の要否を判定する。倍率等から導き出された要求停止範囲と、ステージ停止精度を比較し、ステージ停止精度が要求停止範囲を超過している場合、ブレーキ動作必要と判定され、ステージ停止精度が要求範囲以内である場合、ブレーキ動作不要と判定される。
図11は、ブレーキを用いる場合の位置決め処理のフローチャートである。ブレーキ動作の要否判定において必要と判定された場合、本処理に従い、ステージ位置決め及びSEM撮像が行われる。S1101では、まず前回のステージ停止時にブレーキを使用していた場合、ブレーキの制動力を開放し、ブレーキを解除する。S1102では、ウェハレシピに従い、任意の観測点に対してステージ位置決めを行う。S1103では、ステージ位置決め後にブレーキ動作によってステージを制動し、ステージを停止させる。ここでは、振動マップの更新は行わない。S1104では、撮像したSEM画像に対して画像処理を行い、ウェハ上の測定点を観察する。
図12は、ブレーキを用いない場合の位置決め処理のフローチャートである。ブレーキ動作の要否判定において不要と判定された場合、本処理に従い、ステージ位置決め及びSEM撮像が行われる。S1201では、ウェハレシピに従い、任意の観測点に対してステージ位置決めを行う。S602では、ステージ位置決め後からSEM画像を撮像すると共に、撮像中のステージ振動を測定する。撮像したSEM画像は画像処理され、測定点の観察を行う。さらに、経年変化に伴うステージ停止精度の変化に追従するため、振動マップの更新を行う。更新する際は、最新の情報のみをマップに保存する方法や過去のデータとの平均値を算出してマップに保存することが有効である。
S1203では、SEM撮像中のステージ振動が予めS1203で設定したステージ要求停止範囲Xa以内であるかどうかの判定を行う。要求停止範囲Xa以内である場合、処理を完了し、次のウェハ観測点へと移行する。これにより、ブレーキ動作が必要な位置決め条件のみにブレーキ動作を行うことになり、ブレーキ動作時間を削減することで、検査工程のスループットが向上できる。
なお、要求停止範囲Xaを満たしていない場合、撮像していたSEM画像に像ゆれが生じ、測定点の検査精度が劣化するため、再度撮像を行う必要がある。以降のS1204及びS1205は、例えば突発的に外乱がステージ装置に印加され、ステージ振動が生じた場合や経年変化によってステージ停止精度が変化した場合等に対処するものである。S1204は、ブレーキ動作によってステージを制動し、要求停止範囲Xa以内にステージ振動を低減する。S1205では、再度撮像したSEM画像に画像処理を行い、測定点の観察を行う。
図13は、撮像倍率とステージに対する要求停止範囲の関係を示す概略図である。測長SEMでは、図示しない入力装置から入力された測定条件(測定座標、倍率、加速電圧、ビーム電流等)に基づいて、測長SEMを自動的に動作させる動作プログラムであるレシピが生成され、当該レシピによって自動測長が実行される。即ち、検査するウェハレシピによって、撮像の倍率が定まる。撮像倍率は、(1)式で定義する。
倍率=L/l (1)
ここで、Lはモニタ表示幅(固定値)、lは電子線の走査幅である。高倍率での撮像は、電子線の走査幅が小さいため、わずかなステージ振動でもSEM画像の像ゆれの要因となる。一方、低倍率時では電子線の走査幅が大きくなり、許容されるステージ振動振幅は大きくなる。したがって、ステージ位置決め機構に対する要求停止範囲Xaは、図13のように高倍率ほど小さく設定するのが望ましい。なお、本実施例では撮像倍率に基づいて、要求停止範囲を決定する例について説明するが、撮像倍率が高くなる程、視野の大きさ(電子線の走査幅)は小さくなるため、視野の大きさに基づいて要求停止範囲を決定するようにしても良い。この場合、視野の大きさが小さい程、要求停止範囲を小さく設定する。
図14は、振動マップ構成の一例である。図14(a)は、ステージ位置決め後の位置偏差波形である。ステージは、位置決めにおいて機構共振モードが励振されると、目標位置に到達した後に残留振動が発生する。この時、残留振動振幅の最大絶対値がステージ停止精度Xsとなる。図14(b)は、振動マップ9100の構成例である。S901で設定した座標で区切られた領域1401毎に図14(a)の残留振動量1402が格納されている。
SEM観察時には、観察点を含む領域1401におけるステージ残留振動の情報を振動マップから取り出し、ステージ停止精度を求める。そして、求めたステージ停止精度と図13から得られるステージ要求停止範囲を比較することで、ブレーキ動作の要否判定が可能となる。このように、ウェハ面上に対してステージ停止精度をマップ化することで、ステージ座標変化に起因した停止精度の変動に対応できる。さらに、装置毎に固有に振動マップを用意することで、製造時の部材加工誤差や組み付け誤差等による機差によるステージ停止精度の変動にも対応できる。
ここで、振動マップ900は、領域毎に色分けして操作画面に表示し、座標の違いによるステージ停止精度の差異を視覚的にモニタすることで、製造時においてステージの取り付け調整、制御パラメータ調整等が容易となり、装置の品質管理に有効である。さらに、振動マップの更新に合わせてGUIの色分けを更新することで、ステージ停止精度の経年変化をモニタでき、サービスマンによるメンテナンス作業効率の向上に役立つ。
なお、倍率等に基づいて要求停止範囲を決定する場合、視野の大きさを基準に求めることが望ましい。例えば、ある倍率で視野の大きさ(ビームの走査範囲)が100nm×100nmである場合、ステージ停止精度(図14に例示する上側ピークと下側ピークの位置偏差)が100nmより小さければ、理論上、図14に例示するような残留振動が発生していたとしても、視野中心に存在すべき試料位置は視野から外れることがない。よって、残留振動が発生したとしても、視野内に測定対象が存在し続けるため、複数のフレーム画像を取得し、画像積算を行う場合に、パターンマッチング処理を行うことによって、フレーム間のずれを補正し、適正な積算画像を生成することができる。よって、入力装置によって入力され、レシピ等に設定された視野の大きさが100nm×100nmである場合、要求停止範囲を100nm、或いは誤差を考慮して100nm‐αとすると良い。制御装置6に内蔵された演算装置では、レシピに記憶された視野の大きさ情報を読み出し、要求停止範囲を決定、或いは演算に基づいて決定する。
このように、倍率や視野の大きさに応じて要求停止範囲のような比較用パラメータを決定し、この比較用パラメータと、予め記憶媒体に記憶されている残留振動の大きさのような参照用パラメータを比較し、その比較に基づいてブレーキ機構(制動機構)を用いた制動の要否を決定することによって、制動機構を用いた高い停止位置精度の維持と、装置の高スループット化の両立を実現することが可能となる。なお、参照用パラメータは、残留振動の大きさだけではなく、他の変動要因等を加味して求めるようにしても良い。
図15は、振動マップを用いたブレーキ動作の要否判定及び更新方法を示す概略図である。以下、振動マップによるブレーキ動作の要否判定の一例を、数値を交えて説明する。
マップ化が完了すると、設定した領域1501毎にステージ停止精度を算出できる。停止精度が等しいステージ領域がある場合は、図15(a)の様にそれらの領域を合わせて一つの領域1501とする。ここで、SEM観測時のステージ要求停止範囲が例えば10nmであるとする。すると、図15(a)の15nm及び13nmの座標はブレーキ動作が必要となるため、図15(b)のようにブレーキ動作が必要な領域1502とブレーキ動作が不要の領域1503に分けることができる。このように、ブレーキ必要な動作を判定し、必要な場合のみにブレーキを使用することで、ブレーキの使用回数を制限でき、ブレーキの長寿命化に有効である。
図15(c)は振動マップの更新方法を示す概略図である。振動マップを更新することで、ステージ機構の経年変化を捉えることができ、ステージ特性変動時でも適切なブレーキ動作の要否判定が可能となる。例えば、図15(c)の×で示す点1504でステージ位置決めをした結果、停止精度が13nmであったとする。その場合、振動マップに保存する停止精度を最新の情報に書き換えることで、振動マップ上の13nmの領域が拡大し、8nmの領域が縮小する。なお、装置のメンテナンス時にステージ機構の部材等を交換した場合、部材交換後のステージ停止精度を反映させるため、振動マップを再取得することも有効である。
図16は、同一ステージ座標において、複数の撮像倍率を用いて連続して撮像する場合の処理を示す概念図である。測長SEMでは、予め低倍率で撮像したSEM画像を用いて電子ビームの照射位置やフォーカスを補正した後、高倍率で撮像し、高倍率なSEM画像を取得することがある。この場合、低倍率撮像時と高倍率撮像時でステージ要求停止範囲が異なる。この場合は、ステージ残留振動の時系列データを振動マップ900に保存する。これにより、要求停止範囲1及び要求停止範囲2以内にステージ振動が収まるかどうかを、振動マップ900に保存したステージ残留振動の減衰性から判断できる。ステージ停止精度要求停止範囲1及び2の両方で収まっている場合、ブレーキ動作不要と判定し、それ以外の場合はブレーキ動作必要と判定する。
なお、SEM撮像時間に対してマップに保存されたステージ残留振動のデータ長が不足する場合、保存した残留振動の減衰性から撮像時間分の残留振動データを推定し、ブレーキ動作の要否判定に用いることも有効である。
以上のように構成したステージ装置および荷電粒子線装置によれば、ステージの座標変化や経年変化が生じた場合でも、ブレーキ動作が必要な位置決め条件のみにブレーキを使用でき、検査工程のスループット向上とロバスト性向上が両立可能となる。