JP2022117446A - 像面傾斜を考慮して焦点設定を改良した多粒子ビーム顕微鏡及び関連の方法 - Google Patents

像面傾斜を考慮して焦点設定を改良した多粒子ビーム顕微鏡及び関連の方法 Download PDF

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Abstract

【課題】HV構造を有する半導体ウェーハを検査する改良型の多粒子ビームシステム及びそれを操作する関連の方法を提供する。【解決手段】多粒子ビーム顕微鏡と、ある光学分解能で最適な焦点面を設定し且つ複数の一次ビームでテレセントリック照射を設定する関連の方法とに関する。物体表面を置く最適設定面を決定する方法が提案される。さらに、多数の一次ビームについて分解能の向上及びテレセントリック照射を容易にする手段が提案される。この手段は、個別一次ビームを目標通りに選択して目標通りに個別に影響を及ぼすこと及び/又は複数の一次ビームに一括して影響を及ぼす手段を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、HV構造を有する半導体ウェーハを検査する多粒子ビーム顕微鏡に関する。
半導体コンポーネント等のより一層小さくより一層複雑な微細構造の継続的な開発に伴い、微細構造の小さな寸法を製造及び検査するためのプレーナ製造技術及び検査システムの開発及び最適化が必要とされる。例として、半導体コンポーネントの開発及び製造には、ウェーハの設計の監視が必要であり、プレーナ製造技術には、高スループットの確実な製造のためにプロセス監視及びプロセス最適化が必要である。さらに、リバースエンジニアリング及び半導体コンポーネントの顧客固有の個別構成のための半導体ウェーハの分析が近年要求されている。したがって、ウェーハの微細構造を高精度で検査するために高スループットで用いることができる検査手段が必要である。
半導体コンポーネントの製造に用いられる通常のシリコンウェーハは、直径300mm以下である。各ウェーハは、800mm以下のサイズを有する30個~60個の繰返し領域(「ダイ」)に細分される。半導体装置は、プレーナ集積技術によりウェーハの表面上に層状に製造された複数の半導体構造を含む。半導体ウェーハは、通常はその製造法ゆえに平面を有する。この場合の集積半導体構造の構造サイズは、数μm~限界寸法(CD)5nmに及び、構造寸法は近い将来にはさらに小さくなるであろう。将来、構造サイズ又は限界寸法(CD)は、3nm未満に、例えば2nmに、又はさらに1nmより小さくなると予想される。小さな構造サイズの場合、限界寸法のサイズの欠陥を非常に大きな面積で素早く識別しなければならない。いくつかの用途では、検査デバイスによる測定の精度に対する仕様要件はさらになお高く、例えば2倍又は1桁高い。例として、半導体フィーチャの幅を1nm未満の、例えば0.3nmの又はさらに小さな精度で測定しなければならず、半導体構造の相対位置を1nm未満の、例えば0.3nmの又はさらに小さな重ね合わせ又はオーバーレイ精度で求めなければならない。
したがって、本発明の包括的な目的は、4nm未満、3nm未満、又はさらに2nm未満の分解能での半導体フィーチャの高精度測定を容易にする、荷電粒子を用いて動作する多粒子ビームシステム及び高スループットでこれを操作する関連の方法を提供することである。
マルチビーム走査電子顕微鏡は、荷電粒子システム(荷電粒子顕微鏡、CPM)の分野で比較的新しい開発である。例として、マルチビーム走査電子顕微鏡は、特許文献1及び特許文献2に開示されている。マルチビーム電子顕微鏡又はMSEMの場合、フィールド又は格子状に配置された複数の個別粒子ビームを同時に試料に照射する。例として、4個~10,000個の個別電子ビームを一次放射線として供給することができ、各個別電子ビームは、1マイクロメートル~200マイクロメートルのピッチで隣接する個別粒子ビームから分離される。例として、MSEMは、例えば六角形格子又はラスタ状に配置された約J=100個の別個の個別電子ビーム(「ビームレット」)を有し、個別電子ビームは約10μmのピッチで分離される。複数J個の荷電個別粒子ビーム(一次ビーム)は、共通の対物レンズにより検査対象試料の表面に集束される。例として、試料は、可動ステージに組み付けられたウェーハホルダに固定された半導体ウェーハであり得る。一次個別粒子ビームでのウェーハ表面の照明中に、相互作用生成物、例えば二次電子又は後方散乱電子がウェーハの表面から生じる。それらの出発点は、複数J個の個別粒子ビームがそれぞれ集束した試料上の場所に対応する。相互作用生成物の量及びエネルギーは、材料組成及びウェーハ表面のトポグラフィに応じて変わる。相互作用生成物は、複数の二次個別粒子ビーム(二次ビーム)を形成し、これらは共通の対物レンズにより集光され、マルチビーム検査システムの投影結像系の結果として検出平面に配置された検出器へ指向される。検出器は、それぞれが複数の検出画素を含む複数の検出領域を含み、検出器は、J個の二次個別粒子ビームそれぞれの強度分布を測定する。その過程で、例えば100μm×100μmの像視野のデジタル画像が得られる。
従来技術のマルチビーム電子顕微鏡は、一連の静電素子及び磁気素子を備える。静電素子及び磁気素子の少なくともいくつかは、複数の荷電個別粒子ビームの焦点位置及び非点収差補正に適合するために調整可能である。従来技術の荷電粒子を用いるマルチビームシステムはさらに、一次又は二次荷電個別粒子ビームの少なくとも1つのクロスオーバ面を備える。さらに、従来技術のシステムは、設定をより容易にするための検出系を備える。従来技術のマルチビーム粒子顕微鏡は、複数の一次個別粒子ビームにより試料表面の一領域を一括走査するための少なくとも1つのビーム偏向器(「偏向走査器」)を備える。複数の一次ビームは、試料表面の像視野にわたって平行に完全に掃引される。さらに、従来技術からのシステムは、一次ビームの束が一次ビームの束の発生デバイスから対物レンズへ誘導されて二次ビームの束が対物レンズから検出系へ誘導されるように構成されたビーム分割装置を備える。
さらに、特許文献3は、複数の粒子光学コンポーネントの設定パラメータの複雑な相互依存により、マルチビーム電子顕微鏡の1つの粒子光学特性のみの変化を得ることができることを開示している。特にマルチビーム電子顕微鏡の結像スケールが比較的大きく変わる場合、例えば、結像スケールの変化と同時に像面の相対位置、像回転、及び個々のビームレットのテレセントリシティ又は収束等の他の特性を一定に保つために、複数の粒子光学コンポーネントの設定パラメータ(例えば電流)を変える必要がある。この目的で、マルチビーム電子顕微鏡の粒子光学特性に対する設定パラメータの変化の効果を表す行列Aが求められる。例として、感度行列とも称するこの行列Aは、測定により求めることができる。この目的で、特許文献3は複数の適当なテストパターンを記載している。
マルチビーム電子顕微鏡及びこれを操作する方法に関するさらなる詳細は、特許文献4に記載されており、その開示を参照により本特許出願に完全に援用する。
ウェーハ検査用の走査型電子顕微鏡の場合、結像を高い信頼性で再現性よく実行できるように結像条件の安定を保つことが望ましい。スループットは、複数のパラメータ、例えばステージの速度及び新たな測定部位での再アライメントの速度、並びに単位取込み時間当たりの測定面積に応じて変わる。後者は、特に画素滞在時間、画素サイズ、及び個別粒子ビームの数により決まる。さらに、時間のかかる画像後処理がマルチビーム電子顕微鏡には必要な場合があり、例として、複数の画像サブ視野又はサブ視野からの像視野をまとめる(「スティッチング」)前に、マルチビームシステムの検出系による荷電粒子から発生した信号をデジタル補正しなければならない。
荷電個別粒子ビームシステムの従来のシステムは、分解能及びスループットに対する需要の高まりによりその限界に達している。例として、複数の一次ビームの最良焦点面を求めて設定する従来技術による方法は、スループットに悪影響を及ぼす。例として、特許文献5は、第1の設定パラメータを用いた第1の測定で物体特性を求め、第2の測定での物体の測定のために第2の設定パラメータをそこから導出することを記載している。例えば焦点位置及び非点収差補正等のビーム特性が、物体特性から求められる。しかしながら、この方法は、第1の測定をより高い分解能の第2の改善された測定より前に行わなければならないので、スループットを低下させる。これに対して、特許文献6は、付加的な非点収差一次ビームによる理想焦点面の設定を提案している。このプロセスも、特に比較的多数の一次ビームの場合には最良焦点面の理想的な設定を確保できなくなるが、それは、付加的なビームが配置される像視野の縁におけるビーム光学系の収差が、最良の相対焦点位置の精密な測定を妨げるからである。
複数の一次ビームの最良焦点面を求めて設定する以前の方法は、達成可能な分解能に悪影響を及ぼし、特に複数の一次ビームの像視野にわたる分解能の不利な分布につながる。この場合、最適焦点面は、ステージにより物体が運ばれる第1の平面を意味する。例として、上記特許文献5は、単純な湾曲像面を前提とする。近年の研究によれば、湾曲像面を考慮するだけでは、5nm未満の、例えば4nm又はさらに3nm未満の分解能要件を有する比較的高い要件を確実に満たすのに十分とはならない。特により高いスループットを得るための比較的多数の一次ビームの場合に、湾曲像面誤差に加えて、例えば像面傾斜が得られる分解能を制限する。像面傾斜に加えて、テレセントリシティ誤差又は物体面に対する垂線からの複数の一次ビームの角度偏差の結果としての誤差を考慮する必要がある。
したがって、上記のような背景の中で、またスループット/速度及び小型化が進む構造の精密な測定に対する需要が高まる中で、既存のシステムの改良が必要である。これは特に、HV構造を有する研磨されたウェーハ表面の検査に当てはまる。よって、システムドリフト等がないという全く非現実的な前提の下でも、従来技術からの方法を用いて関連の作動距離を有する既定の作動点で多電子顕微鏡を設定するだけでは十分ではない。その代わりに、複数の一次ビームの最適焦点面をより精密に設定しなければならず、それは、約100μmという大きな像視野を有するマルチビーム顕微鏡における最適焦点面のごく僅かな変化が分解能の低下につながるからである。
米国特許第7,244,949号明細書 米国特許出願公開第2019/0355544号明細書 独国特許出願公開第10 2014 008 383号明細書 国際公開第2021/239380号 米国特許第10,388,487号明細書 米国特許第9,099,282号明細書
したがって、本発明の目的は、HV構造を有する半導体ウェーハを検査する改良型の多粒子ビームシステム及びそれを操作する関連の方法を提供することである。後者の操作は、大きな像視野にわたって迅速且つ非常に精密であるべきである。半導体ウェーハの検査用の多粒子ビームシステムは、半導体ウェーハの検査部位の検査のために複数の荷電粒子ビームを並行して利用する荷電粒子ビームシステムである。
本発明のさらに別の目的は、焦点面の設定の改善、ひいては分解能の向上を容易にする、HV構造を有する半導体ウェーハを検査する多粒子ビームシステム及びそれを操作する関連の方法を提供することである。この場合、倍率、テレセントリシティ、及び回転等の他の粒子光学パラメータを非常に精密に一定に保つべきである。したがって、本発明の目的は、大きな像視野、5nm未満、好ましくは4nm未満、特に好ましくは3nm未満より良好な分解能、及び高スループットの非常に精密な高分解能画像記録を容易にする、多粒子ビームシステムを提供することである。
したがって、本発明のさらに別の目的は、焦点面のより精密な設定を容易にする、多粒子ビーム顕微鏡の改良型の制御系を利用可能にすることである。本発明のさらに別の目的は、5nm未満又はさらに3nm未満の分解能での平面状試料の測定の一定の分解能の向上を容易にする、多粒子ビーム顕微鏡の改良型のビーム光学系を提供することにある。
焦点面の設定時に生じるさらに別の目的は、できる限り均一な5nm未満、4nm未満、又はさらに3nm未満の高分解能のためのさらなる条件及び仕様に従うことである。試料に対する個別粒子ビームのランディング角は、例えば試料に対して事実上垂直でなければならない。さらに、半導体ウェーハは体系的な繰返し構造を有し、その測定結果は常に同じ品質で得られるべきなので、試料表面上の一次ビームの格子配置の向きを精密に保たなければならない。最後に、二次荷電粒子を結像する二次経路の光学ユニットも、優れた結像を得るために考慮しなければならない。
本発明のさらに別の目的は、製造公差により生じるマルチビーム顕微鏡の複数の一次ビームのビーム方向のずれを求める手段及び方法を提供することである。本発明のさらに別の目的は、機械的公差に関するマルチビーム顕微鏡の複数の一次ビームの平均ビーム方向を求める手段及び方法を提供することである。本発明のさらに別の目的は、マルチビーム顕微鏡の複数の一次ビームの平均ビーム方向に対して、試料又はウェーハを受ける変位ステージを位置合わせする手段及び方法を提供することである。
この目的は、独立特許請求項により達成される。本発明の有利な実施形態は、従属特許請求項から明らかである。
精度及び分解能の向上は、焦点面をさらに精密に設定する改良型の方法及び改良型の手段により達成されるので、5nm未満、4nm未満、又はさらに3nm未満の分解能での平面状試料のできる限り均一な測定の分解能が、100μmを超える大きな像視野内で容易になる。
第1の実施形態によれば、本発明は、複数J個の一次ビームを用いるマルチビーム粒子顕微鏡の最良焦点面を設定する方法であって、複数J個の一次ビームは格子配置で配置され、各一次ビームを走査偏向器により像視野の関連のサブ視野にわたってそれぞれ偏向させることができる方法において、変位ステージ又は位置決めデバイスを用いて第1のz位置z(i)=z1を有する第1の設定面に物体の表面を位置決めするステップAを含む方法に関する。
本方法はさらに、フォーカスシリーズに適したパラメータを求めるステップBを含み、ステップBは、以下の要素:
-J個のサブ視野それぞれの中で適当な画像部分を決定すること、
-J個のサブ視野の画像部分からL個の選択画像部分を選択することであり、ここでL≦Jが選ばれ、選択一次ビームがL個の選択画像部分それぞれに割り当てられること、
-デジタル画像データの取得用及び選択画像部分内に配置されている物体の表面の部分のコントラスト測度の測定用のパラメータを規定すること、及びさらに
-i=2~P、dz(i)=dz(2)~dz(P)で一連のP個の増分dz(i)を規定すること
を含むことができる。
ステップBにより、最適設定面の決定を、例えばウェーハ等の物体の表面状態又は表面上の構造に確実に適合させることができる。例えばウェーハ検査作業の場合、ウェーハの表面上の構造は、CAD情報若しくは設計情報又は以前の測定の結果として知られている場合があり、最適設定面の決定用のフォーカスシリーズのパラメータは、既知の情報に適合させることができる。
本方法はさらに、i=1~P個のz位置それぞれでL個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を測定するステップCを含む。この場合、ステップCは、以下の要素:
-ステップBで規定されたパラメータに従って、J個のサブ視野それぞれの中のJ個の画像部分のJ個のデジタル画像データを取得すること、
-ステップBで選択されたパラメータに従って、L個の選択画像部分を評価して、l=1個~L個のコントラスト測度K1(i)、…、KL(i)を求めること、
-L個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を制御ユニットに送信して、L個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を記憶すること
を含む。
この場合、L個のコントラスト測度の取込みは、比較的小さな画像部分で短期間に且つ選択画像部分のみで実施することができ、したがって例えばウェーハ検査作業のスループットを高めることができる。
本方法はさらに、第1の設定面を第2の又はさらなるz位置z(i+1)=z(i)+dz(i)の第2の又はさらなる設定面に変更するステップDを含む。一例では、2つのz位置間の増分dz(i)は同じ又は同一だが、2つのz位置間の増分dz(i)を異なるように選択することもできる。
本方法はさらに、増分のフォーカスシリーズの最小数に達し且つ少なくともP個のコントラスト値Kl(1)、…Kl(P)がL個の選択画像部分それぞれで求められるまで、ステップC及びDを繰り返すステップEを含む。全体として、P個の異なるz位置におけるL個の選択画像部分に対して総計L×P個のコントラスト測度が求められる。
ここで、ステップEにおいて、コントラスト測度が十分であり後続のステップによる最適焦点面の決定を可能にするか否か、又はさらに別のz位置でコントラストが量をさらに求めなければならないか否かのチェックを実行することができる。この場合、z位置のシリーズは、少なくとも1~P1=P+1だけ増加させることができる。
本方法はさらに、選択画像部分の1つに割り当てられたL個の一次ビームそれぞれの最良焦点位置を求めて、L個の最良焦点位置から湾曲像面誤差及び像面傾斜を求めるステップFを含む。
本方法はさらに、複数J個の一次ビームの最大限の数で所定の分解能基準が満たされるように最適焦点面を決定するステップGを含む。
本方法はさらに、物体の表面がマルチビーム顕微鏡の新たな第1の設定面で再停止するように最適焦点面を新たな第1の設定面として変更し記憶するステップHを含む。
第1の実施形態の一例はさらに、L個の選択一次ビームの上限及び下限の許容焦点ずれを求めることを含み、上限及び下限の許容焦点ずれは、一次ビームの収差が異なれば異なり得る。結果として確実なのは、最適焦点面の計算のための所定の分解能基準が最大限の数の一次ビームで最大限に満たされることである。
第1の実施形態の一例では、コントラスト測度を測定するためのパラメータは、コントラスト測度を求める方法の選択を含む。コントラスト測度を求める方法は、以下の方法の1つであり得る:スペクトル法、画像コントラスト、ヒストグラム法、エッジフィルタ、相対分布の方法、又は勾配法。場合によっては、異なる方法を相互に組み合わせることもできる。例として、選択画像部分に位置付けられた物体又はウェーハの構造に関する先験的情報に基づき、選択を実施することができる。
選択画像部分の数Lは、4個以上だが、一例ではJ/2個以下である。一例では、選択部分の数Lは、4個~7個の選択部分及び4個~7個の割当て一次ビームを含む。これにより、例えば偏心球面を4個~7個の割当て一次ビームの4個~7個の理想焦点位置に近付けることにより、湾曲像面誤差及び像面傾斜を確実に求めることができる。一例では、コントラスト値の数Pは、P=3~P=7又は2<P<8の範囲である。これにより、z位置にわたる分解能の放物線又は双曲線プロファイルを検出することができ、且つ例えば放物線近似により一次ビーム毎に最適焦点位置を決定できることが確実となる。
一連のP個の増分zd(i)は、異なる又は同一の増分dz(i)を含むことができ、事前情報を用いて選択することができる。例として、最良焦点面が基板表面の現在のz位置から短距離しか離れていないと考えられる場合、より小さな一定の増分dz(i)=dzの、例えばP=3~5の比較的短いシリーズを選択することが可能である。最良焦点面のz位置が未知である場合、より大きなシリーズ、例えばP≧5を選択することが可能であり、より大きな異なる増分を選んでもよく、例えばP=7の場合は中間増分dz(4)を外側増分dz(1)又はdz(7)より短くなるように選ぶことができる。
一例では、選択画像部分の数Lは、マルチビーム顕微鏡のデータ取得デバイスの利用可能な計算能力に従って制限される。例として、並列コンピュータアーキテクチャを用いて、例えば並列接続されたR個の画像デジタイザを用いて、複数J個の二次ビームのデータが取得され、画像デジタイザのそれぞれが複数の割当て二次ビームのデータを取得する。一例では、J=100及びR=10であり、選択画像部分の数Lは、R=10以下のL≦10であるように選ばれる。他の例では、数Rは、一次ビームの数Jに対して特定の分割比、例えばR>J/Uであり、ここでUは、画像デジタイザの1つで取り込むことができ且つ1つの画像デジタイザに割り当てられる二次ビームの最大数に対応する。好ましくは、U=10以下、例えば8又は6である。
一例では、ステップDにおける第1の設定面は、対物レンズの作動を変更することにより変更される。一例では、第1の設定面は、アクチュエータにより動かされる変位ステージにより物体の表面のz位置を変えることにより、ステップDにおいて変更される。一例では、ステップDにおける第1の設定面は、対物レンズの作動を変更すること及び変位ステージにより物体の表面の位置を変えることにより変更される。
一例では、対物レンズの作動の変更は、第1及び第2の電流の二乗和が一定であり且つ第1及び第2の電流の二乗差が変わるように2つの作動信号を変えることにある。したがって、対物レンズの一定の出熱が確保され、最適焦点面の特に精密な設定が容易になる。
一例では、像面傾斜用の補償器に対する作動信号が、ステップFで求められた像面傾斜から求められ、像面傾斜用の補償器に供給される。一例では、湾曲像面誤差用の補償器に対する作動信号が、ステップFで求められた湾曲像面誤差から求められ、湾曲像面誤差用の補償器に供給される。
一例では、ステップGにおいて変位ベクトルが求められ、変位ベクトルは、既定の分解能基準を満たす一次ビームの数を増やすために一次ビームの格子配置に必要なオフセットを表す。一例では、一次ビームの数は複数J>90に対応し、J>90個の一次ビーム全てが、例えば4nm未満、好ましくは3nm未満の既定の分解能基準を満たす。
第2の実施形態は、第1の動作モードでマルチビーム粒子顕微鏡の像視野に配置された物体表面の部分のデジタル画像を確認するよう構成され、第2の動作モードで最良焦点面の設定のために第1の実施形態に記載の方法の1つを実行するよう構成された、マルチビーム粒子顕微鏡を開示する。マルチビーム粒子顕微鏡は、第1の動作モードから第2の動作モードに切替え可能に構成されたデータ取得デバイス及び走査偏向器を備える。第1の動作モードから第2の動作モードへのデータ取得デバイス及び走査偏向器の並行切替えにより、マルチビーム粒子顕微鏡は、第1の動作モードで画像記録を実行するか又は第2の動作モードで最適設定面を決定するよう構成される。最適設定面を決定するための測定系は、検出器及びデータ取得デバイスからなる画像記録系に対応する。マルチビーム粒子顕微鏡はさらに、変位ステージ及び対物レンズを少なくとも含む作動系を備える。一例では、マルチビーム顕微鏡はさらに、像面傾斜用の補償器又は湾曲像面誤差用の補償器を少なくとも備える。一例では、マルチビーム粒子顕微鏡はさらに、一次ビームの傾斜又はテレセントリシティ誤差用の補償器、又は変位ステージ用の傾斜デバイスを少なくとも備える。
第3の実施形態において、マルチビーム生成デバイスと、ビーム分割器と、対物レンズの対称軸を有する対物レンズとを備えたマルチビーム粒子顕微鏡が提供され、マルチビーム生成デバイスは、格子配置の複数J個の一次ビームを生成し、第1の設定面における複数J個の一次ビームの格子配置の交点は、対称軸に関して変位ベクトル分だけオフセットされる。第3の実施形態の一例では、マルチビーム生成デバイスは、複数J個の一次ビームを生成するための複数の開口を有する少なくとも1つの多孔プレートを有し、少なくとも1つの多孔プレートは、第1の設定面における複数J個の一次ビームの格子配置の交点が対称軸に関して変位ベクトル分だけオフセットされるように横方向にオフセットして配置される。一例では、マルチビーム粒子顕微鏡は、動作時に第1の設定面で複数J個の一次ビームを変位ベクトル分だけ一括して横方向にオフセットさせるよう構成された少なくとも1つの第1の偏向器を備える。複数の一次ビームの分解能に対する像面傾斜の効果は、一次ビームの格子配置の変位により低減する。
第4の実施形態において、マルチビーム生成デバイスと、ビーム分割器と、対物レンズの対称軸を有する対物レンズと、物体を位置決めする位置決めデバイスとを備えたマルチビーム粒子顕微鏡が提供され、位置決めデバイスは、可変傾斜デバイスを含み、マルチビーム粒子顕微鏡はさらに、複数J個の一次ビームの中間像面付近に第2の偏向器を備え、当該第2の偏向器は、動作時に位置決めデバイス上に位置する物体の表面に対する複数J個の一次ビームの入射角を変えて、傾斜デバイスによる位置決めデバイスの傾斜時に試料表面に対する位置ビームの入射角を事実上垂直にするように構成される。これにより、変位ステージの傾斜による変わりやすい像面傾斜の可変補償の場合でも、複数の一次ビームによる物体表面のテレセントリック又は垂直照明を確実に維持することができる。
第5の実施形態によれば、本発明は、xy平面に格子構成の複数J個の開口を含む像面傾斜用の可変補償器であって、上記開口は、動作時に格子構成で複数J個の一次ビームに影響を及ぼすよう構成され、複数J個の開口のそれぞれに、動作時にz方向に開口を通過する一次ビームの焦点位置を変えるよう構成された少なくとも1つの電極が設けられた可変補償器が提供される。複数の電極は、一次ビーム毎に各一次ビームの例えばy位置の一次関数としての焦点面の変化があるように設計及び相互接続され、焦点面の変化は、それを横断するx方向に一定である。したがって、1つの作動信号だけで単純且つ効果的に、一次ビームの生成デバイスにおいて像面の傾斜を可能にしておくことができ、例えば、像面傾斜の使用中の変化に適合させることができる。
したがって、第5の実施形態によるマルチビーム粒子顕微鏡は、マルチビーム生成デバイスと、ビーム分割器と、対物レンズとを備え、マルチビーム生成デバイスはさらに、xy平面に格子構成の複数J個の開口を有する像面傾斜用の補償器を含み、上記開口は、動作時に格子構成で複数J個の一次ビームに影響を及ぼすよう構成され、複数J個の一次ビームのそれぞれに、動作時にz方向に開口を通過する一次ビームの焦点面を変えるよう構成された少なくとも1つの電極が設けられ、複数の電極は、一次ビーム毎に各一次ビームの第1の横断方向に一次関数としての焦点面の変化があるように設計され、第1の横断方向に対して垂直に延びる第2の横断方向の焦点面の変化は一定である。この場合、像面傾斜用の補償器のxy平面の向きは、動作時の対物レンズ102により一次ビームの格子構成の所定の回転を可能にするよう設計される。一例では、像面傾斜は、複数の一次ビームがビーム分割器を通過する際の電圧又は運動エネルギーの関数として補償器により設定される。本方法では、ビーム分割器により引き起こされ且つ複数の一次ビームの運動エネルギーに応じて変わる像面傾斜が補償される。
第6の実施形態によるマルチビーム粒子顕微鏡1は、受動的冷却で複数J個の一次ビームを精密に集束させる対物レンズを備え、対物レンズは、第1の抵抗R1を有する第1のコイル及び第2の抵抗R2を有する第2のコイルを含み、対物レンズは、動作時に第1の電流I1及び第2の電流I2で動作するよう構成され、出熱Q=I1×R1+I2×R2は一定である。焦点面の変化は、2つの電流I1及びI2の差と、それによりコイルに生じる磁束とにより設定される。この場合、第2のコイルの磁束は、第1のコイルの磁束の方向とは逆である。一例では、第2のコイルは第1のコイルとは逆に延びる。一例では、対物レンズはさらに、冷却手段又は冷媒に対する接点の形態のヒートシンクを含む。この方法により確実になるのは、対物レンズの集束効果が精密に設定されることができ、特に、熱的変化又は変動を受けないことである。
第7の実施形態によれば、本発明は、複数J個の一次ビームを用いるマルチビーム粒子顕微鏡を較正する較正法に関する。第7の実施形態では、テレセントリック特性からのずれ及び平均ビーム角を求める較正法であって、変位ステージ又は位置決めデバイスを用いて第1のz位置z(i)=z1を有する第1の設定面に物体の表面を位置決めするステップAを含む方法が提供される。一例では、物体は、例えば変位ステージに配置された較正物体である。別の例では、物体は、検査対象試料、例えばウェーハである。
一例では、較正法は、第1の実施形態のステップと同様のステップB~Hの要素をさらに含み、第1の実施形態の説明を参照されたい。
較正法はさらに、フォーカスシリーズに適したパラメータを求めるステップBを含み、ステップBは、以下の要素:
-J個のサブ視野それぞれの中で適当な画像部分を決定すること、
-J個のサブ視野それぞれの画像部分からL個の選択画像部分を選択することであり、ここでL≦Jが選ばれ、選択一次ビームがL個の選択画像部分それぞれに割り当てられること、
-デジタル画像データの取得用のパラメータを規定すること、及びさらに
-i=1~P、dz(i)=dz(1)~dz(P)で一連のP個の増分dz(i)を規定すること
を含む。
ステップBは、テレセントリシティ誤差を求めることができることを確実にする。例えばウェーハ検査作業の場合、ウェーハの表面上の構造は、CAD情報若しくは設計情報又は以前の測定から既知である場合があり、テレセントリシティ誤差を求めるためのフォーカスシリーズのパラメータを既知の情報に適合させることができる。例として、較正物体に基づく較正の場合、較正物体のCAD情報又は設計情報が既知であり、それに従って画像部分を選ぶことができる。
本方法はさらに、ステップCにおいて、i=1~P個のz位置それぞれでL個のデジタル画像データを取得することを含む。この場合、ステップCは、以下の要素:
-ステップBで規定されたパラメータに従って、J個のサブ視野それぞれの中のJ個の画像部分のJ個のデジタル画像データを取得すること、
-デジタル画像データをメモリユニットに記憶すること
を含む。
較正法はさらにステップTを含み、これは、少なくとも2つの異なる焦点位置又はz位置でl番目の選択画像部分の記憶された画像データから相対横方向オフセットを求めること、及び相対横方向オフセット及びz位置間の距離から、l番目の選択画像部分に割り当てられたl番目の一次ビームのl番目のビーム角を求めることを含む。一例では、相対横方向オフセットは、選択画像部分の2つのデジタル画像データ間の相関により求められる。
較正法はさらにステップYを含み、これは、複数の一次ビームのビーム角を評価すること及びマルチビーム粒子顕微鏡のテレセントリシティ誤差を求めることを含む。テレセントリシティ誤差を求めるための特に精密且つ高速な方法は、第7の実施形態による較正法で得られる。しかしながら、さらに他のビーム収差を求めることも可能である。
一例では、一次ビームの平均ビーム角が求められ、平均ビーム角からの少なくとも選択一次ビームのビーム角の相対偏差が求められる。
一例では、求められたテレセントリシティ誤差から情報が導出され、マルチビーム顕微鏡の制御ユニットに供給される。一例では、情報は、テレセントリシティ誤差の少なくとも部分的な補償のための制御変数を含む。一例では、制御変数は、対物レンズ、ビーム分割器、偏向器、又は変位ステージに対する少なくとも1つの制御信号を含む。
一例では、較正法はさらにステップWを含み、これは、例えばテレセントリシティ誤差の原因を突き止めるための試料表面又は設定面の相対位置の少なくとも1つの変更を含む。例として、テレセントリシティ誤差には以下の原因があり得る:対物レンズの光軸の傾斜、対物レンズのコンポーネントの傾斜、マルチビーム粒子顕微鏡の電磁素子を通る荷電粒子ビームレットの軸外ビーム経路、試料又はウェーハのくさび角、変位ステージ又は変位ステージのz軸の傾斜。
一例では、ステップWは、マルチビーム顕微鏡の光学コンポーネントを較正するためのさらなる変更を含む。例えば、静電偏向器の作動信号が変更される。例えば、静電偏向器の効果をそれにより較正することができる。
一例では、第7の実施形態による第1の較正法が較正物体で実行された後に、第7の実施形態による第2の較正法が試料又はウェーハで実行される。このように、例えば試料のくさび角を取り込み考慮することが可能である。
一例では、較正法はさらに、選択一次ビームのzプロファイルを求めることを含み、これは、選択一次ビームの最適焦点位置、選択一次ビームの焦点領域のz範囲、最小スポット範囲、又は選択一次ビームの焦点領域の上z位置又は焦点領域の下z位置から選択された変数を求めることを少なくとも含む。本方法は、求められた変数をマルチビーム顕微鏡の制御ユニットに記憶することを含む。一例では、較正法は、湾曲像面誤差及び像面傾斜を求めることを含む。このように、選択一次ビームの焦点領域を取り込み、第1の実施形態の方法による最良設定面のその後のモデルベースの計算にそれらを用いることが例えば可能である。
実施形態のいずれか1つによる複数J個の一次ビームを用いるマルチビーム粒子顕微鏡は、第1又は第2の動作モードでマルチビーム粒子顕微鏡を操作するよう構成されたコントローラ又はコンピュータシステムを収容する。この場合、マルチビーム粒子顕微鏡は、並列接続された第2の複数R個の画像デジタイザに結合された第1の複数J個の検出器からなるデータ取得デバイスと、電磁偏向素子及び走査エレクトロニクスからなる一括ビーム偏向器とを備える。第1の動作モードにおいて、コントローラは、データ取得デバイス及び一括走査偏向器での画像データ取得を制御して、基板表面の連続部分のデジタル画像を取り込ませる。第2の動作モードにおいて、コントローラは、データ取得デバイス及び一括ビーム偏向器からなる測定部材を制御する。さらに、コントローラは、第1の設定面を位置決めするための位置決め制御素子を制御する。コントローラのコンピュータシステムは、最適焦点面を決定するアルゴリズムの実行に適したプロセッサ及びメモリを含む。第1又は第7の実施形態の例による第2の動作モードの実行に適したソフトウェアコードが、コントローラのメモリに記憶される。具体例では、最終制御素子が対物レンズにより提供される。付加的な最終制御素子、例えば第1の静電偏向器、第2の静電偏向器、又は像面傾斜用の補償器も同様に設けることができる。
一例では、並列接続された第2の複数R個の画像デジタイザを有するデータ取得デバイスが、第1の動作モードから第2の動作モードに切替え可能に構成される。第1の動作モードでは、並列接続された第2の複数R個の画像デジタイザを有するデータ取得デバイスは、基板表面の連続部分のデジタル画像を取り込むための複数の画像データ点を取得して記憶し、デジタル画像は、相互に隣接して相互に少なくとも部分的に重なり合うJ個のサブ視野からなり、J個のサブ視野それぞれがJ個の一次ビームの1つに割り当てられる。第2の動作モードでは、並列接続された第2の複数R個の画像デジタイザを有するデータ取得デバイスは、L個の選択部分の画像データ点を取得してL個の選択部分の画像データ点からコントラスト測度を計算するよう構成される。
本発明による実施形態は、測定部材の追加の必要がないという点で有利である。コントローラ、データ取得デバイス、及び一括走査偏向器の切替え可能な構成により、データ取得デバイス及び一括走査偏向器は、基板表面の一部のデジタル画像を取り込む素子及び測定部材の素子の両方となり得る。測定部材は、理想又は最適焦点面を決定するための測定データを生成するよう構成される。しかしながら、従来技術に比べて、非点収差補助ビームが焦点の設定に用いられない。したがって、焦点面の最適設定を、例えば5nm未満の、好ましくは4nm未満又はさらに低い必要分解能での結像に設定することができる。
さらに、湾曲像面誤差に加えて、ビーム分割器を有するマルチビーム粒子顕微鏡の像面傾斜は、マルチビーム粒子顕微鏡の動作条件の関数として測定される。この場合、動作条件は、一次ビームの運動エネルギー、マルチビーム粒子顕微鏡の結像スケール又は開口数の設定、又は粒子流を含み得る。
評価の仕方に応じて、オートフォーカスアルゴリズムは、測定データから最適焦点面を計算し、例えば対物レンズ又は変位ステージを駆動するために最適焦点面に基づき焦点補正素子制御信号を生成するよう構成される。結果として、変位ステージでウェーハの表面が位置決めされる第1の設定面の相対位置が変更される。対物レンズの作動は、一定の発熱で対物レンズにおいて焦点の変化が得られるように実施することができる。変位ステージの位置決めは、変位ステージの傾斜を含み得る。これらの設定が一次経路について実施されると、二次経路が任意に更新される。
本発明の各実施形態及び例では、複数の一次ビームの場合に、5nm未満、好ましくは4nm未満、好ましくは3nm未満の既定の分解能が多数のJ>90個の一次ビームで達成されるように、像面又は第1の設定面が最適に求められ設定されること確実となる。実施形態、特に第1の実施形態と第5の実施形態とを組み合わせることにより、特にJ>90で複数の一次ビームを増加させることが可能であると同時に、4nm未満又はさらに3nm未満の均一な分解能がJ>90個の一次ビーム全てにより達成される。
本発明の上記実施形態は、結果として技術的矛盾が生じなければ、相互に完全に又は部分的に組み合わせることができる。
添付図面を参照すれば、本発明の理解がさらに深まるであろう。
マルチビーム粒子顕微鏡の概略図である。 マルチビーム粒子顕微鏡の概略図である。 マルチビーム粒子顕微鏡のウェーハ上の検査部位とサブ視野を有する複数の像視野とを示す。 焦点面を通した一次粒子ビームの焦点プロファイルを示す。 最良又は最適焦点面を設定する方法を示す。 像視野の選択画像部分を示す。 第1の例による最適焦点面の決定及び設定の結果を示す。 複数の一次ビームを横方向にオフセットさせた、第2の例による最適焦点面の設定の結果を示す。 像面を傾斜させた、第3の例による最適焦点面の設定の結果を示す。 マルチビーム粒子顕微鏡の一実施形態の概略図を示す。 像面傾斜を利用可能にするための補償器の断面を示す。 出熱が不変の可変フォーカルパワーを有する対物レンズを示す。 テレセントリシティ誤差を求めるための較正法を示す。
以下では、本文中に明記されなくても同じ参照符号は同じ特徴を示す。
図1は、複数の粒子ビームを用いるマルチビーム粒子顕微鏡1の形態の粒子ビームシステム1の概略図である。粒子ビームシステム1は、検査対象の物体7から生じてその後に検出される相互作用生成物、例えば二次電子を生成するために、その物体7に入射する複数J個の粒子ビーム3を生成する。粒子ビームシステム1は、走査型電子顕微鏡(SEM)タイプであり、複数の場所で物体7の表面に入射して相互に空間的に離れた複数の電子ビーム点又はスポット5をそこで生成する複数の一次粒子ビーム3を用いる。検査対象の物体7は、任意の所望のタイプ、例えば半導体ウェーハ、特にHV構造を有する(すなわち、水平及び/又は垂直構造を有する)半導体ウェーハ、又は生体試料とすることができ、小型化素子等の配置を含むことができる。物体7の表面は、対物レンズ系100の対物レンズ102の第1の平面101(物体面)に配置される。
図1の拡大詳細図Iは、入射場所5の正矩形視野又は格子配置103が形成された第1の平面又は物体面101の平面図を示す。図1において、入射場所の数は25個であり、5×5視野103を形成する。入射場所の数J=25は、説明の単純化の理由から選択された数である。実際には、ビームの数J、したがって入射場所の数は、大幅に多く、例えばJ=10×10、J=20×30、又はJ=100×100等になるよう選ぶことができる。
図示の実施形態において、入射場所又は焦点5の視野103は、隣接する入射場所間が一定のピッチPである実質的に正矩形の視野である。ピッチPの例示的な値は、1マイクロメートル、10マイクロメートル、又は40マイクロメートルである。しかしながら、格子配置103が他の対称性、例えば六方対称性又は放射状配置の個別ビームの配置を有することも可能である。
第1の平面101で整形された最小ビームスポット又は焦点5の直径は小さくなり得る。上記直径の例示的な値は、4ナノメートル未満、例えば3nm以下である。ビームスポット5を整形するための一次粒子ビーム3の集束は、例えば対物レンズ系100により実行される。この場合、対物レンズ系100は、例えば磁界界浸型レンズ102を含むことができる。集束手段のさらなる例は、独国特許第102020125534号及び2021年9月22日に出願されたPCT/EP2021/025359号に記載されており、その全内容を本開示に援用する。
物体7に入射した一次粒子3は、相互作用生成物、例えば、二次電子、後方散乱電子、又は他の理由で運動の逆転を起こした一次粒子を生成し、これらが物体7の表面から生じる。物体7の表面から生じる相互作用生成物は、対物レンズ102により整形されて二次粒子ビーム9を形成する。粒子ビームシステム1は、複数の二次粒子ビーム9を検出器系200へ誘導する粒子ビーム経路11を提供する。検出器系200は、二次粒子ビーム9を粒子マルチ検出器209へ指向させる少なくとも1つの投影レンズ205を有する粒子光学ユニットを含む。
図1の詳細図Iは、二次粒子ビーム9が場所213で入射する粒子マルチ検出器209の個々の検出領域が位置付けられた平面211の平面図を示す。入射場所213は、相互に対して規則的なピッチPで視野217に置かれる。ピッチPの例示的な値は、10マイクロメートル、100マイクロメートル、又は200マイクロメートルである。
一次粒子ビーム3は、少なくとも1つの粒子源301(例えば、電子源)、少なくとも1つのコリメーションレンズ303、多孔装置305、及び視野レンズ307、又は複数の視野レンズからなる視野レンズ系を備えたビーム生成装置300で生成される。粒子源301は、少なくとも1つの発散粒子ビーム309を生成し、これは、多孔装置305を照明するビーム311を整形するために少なくとも1つのコリメーションレンズ303によりコリメート又は少なくとも実質的にコリメートされる。
図1の詳細図Iは、多孔装置305の平面図を示す。多孔装置305は、格子配置319の複数の開口又は開孔315が形成された少なくとも1つの多孔プレート313を含む。開口315の中心点317は、物体面101の焦点5により形成された視野103に結像される格子配置319に配置される。開孔315の中心点317間のピッチPの例示的な値は、5マイクロメートル、100マイクロメートル、又は200マイクロメートルであり得る。開孔315の直径Dは、開孔の中心点間のピッチPより小さい。直径Dの例示的な値は、0.2×P、0.4×P、又は0.8×Pである。
照明粒子ビーム311の粒子は、開孔315を通過して複数J個の粒子ビーム3を形成する。プレート313に入射した照明ビーム311の粒子は、プレート313に吸収されて一次ビーム3の形成に寄与しない。
印加される静電界により、多孔装置305は、ビーム焦点323が中間像面325に形成されるように一次ビーム3のそれぞれを集束させる。代替として、ビーム焦点323は仮想的であり得る。ビーム焦点323の直径は、例えば10ナノメートル、100ナノメートル、及び1マイクロメートルであり得る。
視野レンズ307及び対物レンズ102は、ビーム焦点323が形成される平面325を第1の平面101に結像して入射場所又は焦点5の視野103がそこに生じるようにするための第1の結像粒子光学ユニットを提供する。物体7の表面15が第1の平面101に配置されている場合、焦点5も対応して物体表面15に形成される(図3も参照)。
対物レンズ102及び投影レンズ装置205は、第1の平面101を検出平面211に結像するための第2の結像粒子光学ユニットを提供する。よって、対物レンズ102は第1及び第2の粒子光学ユニット両方の一部であるレンズ又はレンズ系だが、視野レンズ307は第1の粒子光学ユニットのみに属し、投影レンズ205は第2の粒子光学ユニットのみに属する。
ビーム分割器400が、視野レンズ307と対物レンズ系100との間の第1の粒子光学ユニットのビーム経路に配置される。ビーム分割器400は、対物レンズ系100と検出器系200との間のビーム経路の第2の光学ユニットの一部でもある。
こうしたマルチビーム粒子ビームシステム及びそこで用いられるコンポーネント、例えば粒子源、多孔プレート、及びレンズ等に関するさらなる情報は、国際特許出願である特許文献1、国際公開第2007/028595号、国際公開第2007/028596号、国際公開第2011/124352号、及び国際公開第2007/060017号、並びに独国特許出願第10 2013 026 113号、特許文献3、及び独国特許出願第10 2013 014 976号から得ることができ、上記出願の開示の全範囲を参照により本願に援用する。
多粒子ビームシステムは、多粒子ビームシステムの個々の粒子光学コンポーネントを制御するよう構成され且つマルチ検出器209により得られた信号を評価及び解析するよう構成されたコンピュータシステム又は制御システム10をさらに備える。この場合、制御又はコントローラシステム10は、複数の個別コンピュータ又はコンポーネントから構成され得る。
図2は、マルチビーム粒子顕微鏡1の断面を用いてマルチビーム粒子顕微鏡1のさらなる態様、特にビーム分割器400及びビーム偏向器500の態様を概略的に示す。一次ビームの粒子光学ビーム経路を図2に参照符号3の破線で概略的に示す。粒子ビームは、磁気光学コンデンサレンズ系303を有するビーム生成装置を通過した後に、多孔装置305に入射する。多孔装置305から生じた複数の一次ビーム3は、続いて磁気光学視野レンズ系307を通過した後に、磁気光学ビーム分割器400に入る。このビーム分割器400は、図示の例ではY字形の実施形態及び3つの肢461、462、及び463を有するビーム管装置460を含む。ここで、磁気セクタ410、420を保持するための2つの平坦な相互接続構造に加えて、ビーム分割器400は、上記構造に収容又は固定された第1及び第2の磁気セクタ410及び420を含む。ビーム分割器400を通過後に、第1の粒子ビームは走査検出器500を通過してから粒子光学対物レンズ102を通過した後に、上記一次粒子ビーム3は、物体7、この場合はHV構造を有する半導体ウェーハの表面15に入射する。この場合、HV構造は、半導体構造の主に水平又は垂直のプロファイルを示す。この場合、半導体ウェーハ7は、対物レンズの下方の変位ステージ600により位置決めされる。変位ステージは、物体面又は第1の平面101に試料7の表面15を6自由度で位置決めすることができる6軸変位ステージであり得る。この場合、z方向の位置精度は50nm未満、例えば30nmよりも良好である。
一次ビーム3のこの入射の結果として、二次粒子、例えば二次電子が物体7から放出される。これらの二次粒子は、第2の粒子ビーム9を形成し、これに第2の粒子光学ビーム経路9が割り当てられる。物体7から出た後に、第2の粒子ビーム9は、最初に粒子光学対物レンズ102を通過し、続いて走査偏向器500を通過した後に、上記第2の粒子ビームはビーム分割器400に入る。続いて、第2の粒子ビーム9は、ビーム分割器400から出て投影レンズ系205(非常に簡単に示す)を通過し、静電素子260を通過してから粒子光学検出ユニット209に入射する。この場合、静電素子260はいわゆるアンチスキャンを表し、検出ユニット209への入射時の二次ビーム9の走査運動の発生を補償する。
検出ユニット209は、データ取得デバイス280に接続される。複数J個の二次ビームに関するデータの取得は、例えば並列コンピュータアーキテクチャにより実施される。データ取得デバイス280は、並列接続されたR個の画像デジタイザ285.1~285.Rを含み、これらは例えば並列接続されたR個のASICとして設計することができる。各画像デジタイザ285.1~285.Rは、検出ユニット209により検出された複数の割当て二次ビームのアナログ画像データを取得し、これらをデジタル画像データに変換する。一例では、J=100及びR=10であり、10個の二次ビームの信号が各画像デジタイザ285に割り当てられる。
図2に示すマルチビーム粒子ビームシステム1において、試料7は、最初に一次粒子を減速させ、次に試料からの二次粒子を加速させる電位にある。試料電位605を設定するために、試料又はウェーハ7の収納ステージは、制御ユニット10に接続される。
図3を参照して、ウェーハ検査の方法を説明する。ウェーハの上側15が、マルチビーム顕微鏡1の第1の平面又は物体面101に配置される。本発明によれば、ウェーハは、この場合は複数の一次ビーム3の最適焦点面に配置される。この例では、複数の一次ビーム3は矩形のビーム格子を有する。複数の一次ビーム3で走査される第1の像視野17.1の中心21.1は、この場合は対物レンズ102の対称軸と略一致する。像視野17.1~17.kは、ウェーハ検査作業の異なる検査部位に対応する。例として、既定の第1の検査部位33及び第2の検査部位35が、制御ファイルから読み取られる。この例の第1の検査部位33は、第1の中心位置21.1及び第2の中心位置21.2を有する複数の像視野17.1及び17.2に分割される。続いて、第1の像視野17.1の第1の中心位置21.1が、最初に対物レンズ102の軸下に位置合わせされる。この場合、ウェーハの座標系を検出する方法及びウェーハを位置合わせする方法は、従来技術から既知である。
複数J個の一次ビーム3は、続いてそれぞれ小さなサブ視野31.11~31.MNにわたって走査偏向器500によりまとめて偏向され、本方法では、各ビームが異なるサブ視野、例えばサブ視野31.mn又はサブ視野31.m(n+1)を走査する。例示的な走査パターン27.11及び27.MNを、第1のサブ視野31.11及び最後のサブ視野31.MNに概略的に示す。さらに、例示的に、異なる一次ビームそれぞれの焦点5.11、…、5.MNを、割り当てられたサブ視野の左上角にそれぞれ示す。さらに、サブ視野31はそれぞれが中心を有し、サブ視野31.mnの中心29.mnには、例示的に十字を記す。
ここで、複数のサブ視野31.11、…、31.MNは、焦点5.11~5.MNを有する複数J個の一次ビームによりそれぞれ並行して走査され、J個のサブ視野31.11~31.MNのそれぞれでデジタル画像データ記録が取得され、各画像データ記録は、例えば8,000×8,000画素を含むことができる。この場合、画素サイズは、規定のもので例えば2nm×2nmとすることができる。しかしながら、4,000×4,000画素及び10,000×10,000画素を超える異なる画素数も可能であり、例えば3nm、1nm以下の他の画素サイズを設定することができる。第1の像視野17.1のデジタル画像データが取得されると、第1の像視野17.1の個々のサブ視野31.1~31.MNの画像データを合成して画像データ記録が形成される。続いて、第2の像視野17.2が対物レンズ102の軸下に位置決めされ、第2の像視野17.2のデジタル画像データが取得される。この手順は、例えば像視野17.kを有する検査部位35で続けられる。当然ながら、一次ビームの格子配置は矩形の格子配置に限定されない。他の格子配置として、例えば、六角格子、又は同心リング若しくは単一リング上の一次ビームの配置が挙げられる。この場合、デジタル画像データの横分解能は、物体表面15上の一次ビーム3の焦点5の直径により実質的に決まる。
本発明の第1の実施形態によれば、本発明は、マルチビーム粒子顕微鏡1の最良焦点面を設定する方法を提供する。マルチビーム粒子顕微鏡1では、格子配置の各個別一次ビームが、個別一次ビームの各ビームウエストと結像対象の試料表面15との間で光軸に沿った空間的な差を有し得る。第1の実施形態によれば、オートフォーカス法で、生成される画像が最適となるようにこの距離を制御する。最適な画像生成は、例えば分解能に関して所定の基準が満たされることを意味すると理解される。しかしながら、他の用途関連画像パラメータ、例えば画像忠実度又は最小歪みも考えられる。図4は、簡単な例を用いてこれらの状況を示す。複数J個の一次ビームの個別一次ビーム3.jが、正のz方向又はz軸とは逆に伝播する。さらに、一次ビーム3.jは、z軸に対してビーム角78だけ傾斜し得る。この場合、ビーム角78は、重心光線80とz軸との間の角度により決まる。
対物レンズ102は、J番目の一次ビーム3.jの最良焦点面68にビームを集束させる。通常、マルチビーム粒子顕微鏡の電子ビームは、8mrad~14mradの半開口角64、例えば10mradの平均半開口角を有する。したがって、遠視野において、個別ビームはz軸の方向に最良焦点面から100nmの距離につき約2nm広がる。しかしながら、光線束は正確な円錐挙動を有するのではなく、略双曲線状の包絡線62を有し、さらに最良焦点面68に対して非対称であり得る。したがって、例えば最小ビーム径74が3nmである最良焦点面68から出発して、焦点径が例えば4nm又は5nmの指定の閾値76未満となる焦点領域73が得られる。最小ビーム径74は、ビームウエストとも称する。図4の例では、焦点領域は、最良焦点面68からの距離72.1を有する平面70.1から最良焦点面68からの距離72.2を有する上平面70.2まで延びる。下平面70.1及び上平面70.2それぞれにおけるビームレット76.1及び76.2の断面は、例えば4nm又は5nmの指定の閾値に対応する直径を有する。本発明によれば、複数の一次ビームに関する焦点領域73内でのウェーハ7の表面15が配置される物体面101の設定を容易にすると共に、結果として複数のビームの分解能要件を満たす分解能を容易に達成するオートフォーカスシステムが提供される。
マルチビーム粒子顕微鏡1は、通常は収差を有する。例として、図1に示すマルチビーム粒子顕微鏡1は、通常は湾曲像面を有する。さらに、図2に示すマルチビーム粒子顕微鏡1は、像面傾斜又は焦点面傾斜をさらに有する。収差に従って、各一次ビーム3.1~3.Jのビームウエスト74は異なるz位置にある。この場合、第5の実施形態の本発明によるオートフォーカス法は、複数J個の一次ビーム3に関するウェーハの最適な第1の設定面を選ぶ方法を含む。
第1の実施係形態によれば、マルチビーム粒子顕微鏡1の最適焦点面を設定する方法が提供される。この場合、マルチビーム粒子顕微鏡1は、マルチビーム生成デバイス305と、粒子マルチ検出器209及びデータ取得デバイス280を有する検出器系200とを特徴とし、マルチビーム生成デバイス305は、格子配置の第1の複数J個の一次ビーム3を生成するよう構成され、各一次ビームは、走査偏向器500により像視野17の割当てサブ視野31にわたってそれぞれ偏向され得る。第1の実施形態による方法は、
A.変位ステージ又は位置決めデバイス600を用いて第1のz位置z1を有する第1の設定面101に物体7の表面15を位置決めするステップと、
B.i=1~Pのz位置ziを有するフォーカスシリーズに適したパラメータを求めるステップと、
C.L≦J個の選択一次ビーム3のL個のコントラスト測度K1(i=1)~KL(i=1)を測定するステップと、
D.第1の設定面101を第2の又はさらなるz位置z2~zPの第2の又はさらなる設定面に変位させるステップと、
E.i=1~Pのコントラスト測度K1(i)~KL(i)がz位置z1~zPのそれぞれで測定されるまでステップC及びDを繰り返すステップと、
F.L個の選択一次ビーム3それぞれの最良焦点位置68を求めるステップと、
G.L個の最良焦点位置68から湾曲像面誤差及び像面傾斜を求めて、第2の複数J2個の一次ビームで既定の分解能基準が満たされるようにマルチビーム粒子顕微鏡1の最適焦点面を決定するステップと、
H.最適焦点面をマルチビーム粒子顕微鏡1の新たな第1の設定面101として記憶するステップとを含む。
第1の実施形態による複数J個の一次ビームを用いるマルチビーム粒子顕微鏡1の最良焦点面を設定する方法を、図5に示す。上述のように、この場合の一次ビームの数Jは、例えばJ=60、J=90、又はそれ以上のビームを含むことができる。前の較正時に、J個の一次ビーム3は、試料に略垂直に入射するように第1の平面101に対して設定される。ビームの入射角は、通常は10mrad未満である。同時に、第1の平面101は、理想的には所定の最良焦点面に対応するように決定される。マルチビーム粒子顕微鏡1のための方法により、複数の一次ビームについて最良焦点面を求めることができる。これは、いくつかの選択ビームからのデータの取得を含む。一例では、選択ビームは、像面湾曲及び像面傾斜が考慮されるように選ばれる。一例では、既定の分解能を達成できる第2の複数J2個の一次ビームは、できる限り多くの一次ビーム、例えば第1の複数J個の90%以上、又はJ2≧0.9×Jを含む。第2の複数J2が第1の複数Jに等しい(J2=J)ような全ての一次ビームで既定の分解能を達成できる方法が好ましい。
本方法の第1のステップAにおいて、ウェーハ7の表面が変位ステージ600により第1の平面101に運ばれ、一次ビームに対して垂直に位置合わせされる。
第2のステップBにおいて、本方法を実行するための複数のパラメータが求められ又は選択される。
ステップB1において、各一次ビームのシャープネスを求めるために画像部分37が選択される。これを、図6に像視野17.Kに基づき示す。ここで、各画像部分37は、サブ視野31より実質的に小さくなるように選ぶことができる。例として、画像部分37は、例えば画素サイズ1.5nmでそれぞれ僅か256×356画素であり得る。より大きな画像部分、例えば最大512×512画素も考えられる。これにより、焦点面を求めるためのデジタルデータをできる限り素早く記録できることが確実となる。よって、図6に示すように、同じ画像部分37.11~37.MNが各サブ視野31.11~31.MNにおいて規定される(すべてのサブ視野及び画像部分に符号が付いているわけではない)。さらに、所定数のL個の選択画像部分39が、複数J個の画像部分から選択される。選択画像部分の数Lは、この場合は少なくとも3個、5個、9個、又は12個であり得る。図6は、選択画像部分39.1~39.4を有するL=4の例を示す。特別な場合には、より多数のL個の選択画像部分を選ぶこともでき、例えばL=Jを選ぶことができる。しかしながら、L=1により、画像部分を1つだけ選ぶことも可能である。
図6の例では、選択画像部分は、最小限の数の選択画像部分で像面湾曲及び像面傾斜が考慮されるように選択される。第1の選択画像部分39.1は、像視野17.kの中心付近にある。第2の選択画像部分39.2は、像視野17.kの最大位置にある。第3の選択画像部分39.3は、像視野17.k内で第2の画像部分39.2の反対側に位置付けられる。第4の選択画像部分39.4は、第2の画像部分39.2及び第3の画像部分39.3に対向する像視野のセクタで、中心と最大位置との間の移行区域に位置付けられる。説明のために、3つの不図示のセクタを通る3つの軸41を図6に示す。選択画像部分は、3つの軸41上に略位置付けられ、軸は、この例では相互に対してそれぞれ約60°の角度を有する。代替として、3つの軸41の代わりに、相互に対して垂直な2つの軸のみを選ぶことも可能である。概して言えるのは、選択画像部分が像視野を通る少なくとも2つの軸上に位置付けられ、少なくとも1つの第1の選択画像部分39.1が少なくとも2つの軸の交点に位置付けられ、少なくとも1つの第2の選択画像部分39.2が第1の軸の方向で像視野の最大限に位置付けられ、少なくとも1つの第3の選択画像部分39.4が第2軸の方向で第1の選択画像部分39.1と像視野の最大限位置との間の経路の半分~2/3に位置付けられ、第1及び第2の軸が相互に対して70°~150°の角度を有するということである。この選択により、湾曲像面及び像面傾斜の測定が確実となる。
一例では、個別一次ビームの下での評価を容易にする構造がない。その場合、割当て画像部分は選択されないか、又は画像部分が変更される。全ての選択画像部分39で評価可能な画像部分は、前の測定により決定することができるか、又は例えば測定対象のウェーハの設計情報若しくはCADデータ等の先験的情報を用いて決定することができる。一例では、画像部分37は、物体7の表面15の表面状態又は構造に基づきJ個のサブ視野31それぞれの中で決定される。
選択画像部分及び関連の一次ビームの選択は、
-J個のサブ視野全てのJ個の画像部分全て、
-例えば碁盤目パターンで配置された1つ置きの画像部分、
-中心21.kから例えば5又は7半径間隔のそれぞれで生じる、例えば六角格子配置の選択画像部分、
-円形格子配置のリング毎、
-湾曲像面を測定するために少なくとも3つのビーム(中心、移行区域、縁)、
-湾曲像面及び傾斜を測定するために少なくとも4つのビーム(中心、1×移行区域、2×縁、それぞれ相互に70°~150°オフセット)
-L≦Rとして、複数R個の並列画像デジタイザに従うもの
を含むことができる。
選択画像部分の数Lは、一例では4つ以上(L≧4)である。一例では、データ取得デバイス280は、並列に配置された複数R個の画像デジタイザ285.1~285.Rを有し、選択部分の数Lは、R以下になるように選ばれる。
ステップB2において、焦点を求めるための画像部分の画素数S及び画像部分内の画素ピッチdsが規定される。例として、画素サイズ又は画素ピッチdsは、ユーザがユーザインタフェースを用いて設定することができる。別の例では、画素サイズは、選択画像部分内の構造サイズから、例えば測定対象のウェーハの設計情報又はCADデータ等の先験的情報から求められる。例として、画素サイズdsは、構造サイズの値の半分以下だが構造サイズの1/4未満ではないように求めることができる。さらに、雑音を低減するために滞在時間を設定することができる。例として、試料コントラストが非常に低い試料の場合は長い滞在時間を設定することができる。例として、滞在時間は自動的に設定することができ、又は制御システムがステップKにおいて前の測定から又は予想試料コントラストに関する先験的情報から滞在時間を求めることができる。
ステップC2において以下で説明するコントラスト測度を求めるにあたり、FFT法を用いた評価を容易にするために、1つの画像部分の画素数として1次元で2のN乗、例えば2の8乗の画素(256画素又は画像素子)を有することが好ましい。しかしながら、例えばより小さな200×200画素の画像部分も考えられる。この場合、コントラスト測度を求めるためにゼロを追加すること(ゼロパディング)により、画像部分を例えば256×256まで増やすことができる。
ステップB3において、フォーカスシリーズのP個の増分dz1、dz2、…dzPが規定され、求めるべきコントラスト測度の最小数が規定される。P=3のz位置がこの目的で特に適していることが分かった。しかしながら、例えば、コントラスト測度が選択画像部分毎に5個の異なるz位置で求められるようにP=5以上の異なるz平面を選択することも可能である。
第1の例では、理想焦点面からごく僅かなずれが予想され、それに従ってより密な距離又は増分dz1、…、dzPが選ばれる。比較的大きな焦点ずれの場合、比較的大きな測定領域が選択され、フォーカスシリーズのz位置の数Pが例えば5又は7又はそれ以上に増える。
一例では、フォーカスシリーズは2μm以下のz範囲にわたって延びるが、より小さなz範囲及びより小さな増分が選ばれることが好ましい。一例では、フォーカスシリーズは、同じ増分dz=125nmでP=5ステップを有する。この例では、追加されたz範囲は合計625nmに及ぶ。しかしながら、以下でさらに説明するコントラスト測度の確実な評価のために、増分dz又は走査されるz範囲はあまり小さく選ぶことができない。したがって、z範囲は200nm以上に延びるべきであるか、又はフォーカスシリーズの測定点がP=3しかない場合の増分dzは例えば200nm未満になるべきではない。一例では、フォーカスシリーズは、増分dz=250nmで3ステップ以上を有し、750nmの総z範囲に延びる。精度を高めるために、より小さな増分dz1、dz2、…dzPを選択し、より多くのz位置の数P、例えばP>6を選ぶことが可能であり、ステップB4において以下で説明するコントラスト測度を求める際に雑音を低減するために同時に滞在時間を増加させる。一例では、z位置の数Pは、P=3~P=7の範囲で規定される。
したがって、第1の実施形態による方法では、ステップBは、以下の要素:
-J個のサブ視野31それぞれの中で適当な画像部分37を決定すること、
-J個のサブ視野31それぞれの画像部分37からL個の選択画像部分39.1~39.Lを選択することであり、ここでL≦Jが選ばれ、選択一次ビーム3がL個の選択画像部分39それぞれに割り当てられること、
-画像部分39内に配置されている物体7の表面15の部分のデジタル画像データの取得用のパラメータを規定すること、
-2つの連続するz位置z1~ZP間に(P-1)個の増分dz(2)~dz(P)がある一連のP個のz位置z1~zPを規定すること
を含む。
好ましいコントラスト測度又は好ましい一連のコントラスト測度は、ステップB4において規定される。構造毎に異なるコントラスト測度が特に適していることが分かった。したがって、コントラスト測度の選択は、先験的情報、例えば測定対象のウェーハのCADデータから例えば自動的に実施することができる。さらに、複数のフィルタ演算をコントラスト測度として選択することができる。
第1の例では、信号スペクトル(FFT)を用いるスペクトルプロセスがコントラスト測度として用いられる。この場合、フーリエ空間又は空間周波数空間におけるスペクトルの広がりが評価される。例として、スペクトルはエッジのスペクトルと比較される。エッジのスペクトルは、エッジに対して直交する空間周波数空間(周波数fを有する)における1/fラインである。一例では、エッジの相対位置は既知であり、コントラスト測度がエッジに対して垂直な1次元フーリエ変換により求められる。一例では、高空間周波数成分に対する正規化和が形成される。結果が高いほどコントラスト測度が大きい。
画像コントラスト自体は、第2の例で求められる。この目的で、画像部分からの2D画像情報は、例えば最初にローパスフィルタをかけるか又は平滑化される。続いて、物体の構造サイズに適合したそれぞれ既定の間隔の2つの画素強度値の比が形成される。比の正規化最大値は、コントラスト測度を供給する。一連のハイパス及びローパスフィルタリングを用いて同様の方法でコントラスト測度が求められる。2つの画像方向では、画像部分からの2D画像情報は、一方の方向でローパスフィルタがかけられ、その後に同じ方向でハイパスフィルタがかけられる。両方のフィルタをかけた画像の最大値は、和をとり正規化される。結果が高いほどコントラスト測度が大きい。
第3の例では、グレースケール値分布を用いたヒストグラム法がコントラスト測度として用いられる。この目的で、選択画像部分それぞれのグレースケール値分布からヒストグラムが作成される。理想設定面では、鮮明なエッジにおけるヒストグラムは、2つの異なるグレースケール値の2つの離間した集積点からなる。例として、集積点におけるヒストグラム値の和とヒストグラム値の総和との比が設定され正規化される。結果が高いほどコントラスト測度が大きい。
第4の例では、エッジフィルタがコントラスト測度として用いられる。これは、例えば隣接する画素の画素値を比較するモルフォロジ処理により実施することができる。一例では、2つの隣接する画素値の各対の差が閾値と比較される。隣接する画素値に対する差が閾値未満である限り、画素値はゼロに設定される。求められた画素値の全てに対する正規化和が求められ、結果はコントラスト測度に対応する。
第5の例において、勾配法がコントラスト測度として求められる。局所勾配のスカラ値が全画素で求められる。例として、2つの隣接する画素の差が2方向で形成され、スカラ局所勾配がベクトル加算によりそこから求められる。コントラスト測度は、全スカラ勾配の正規化和又は局所勾配の正規化最大値から形成され得る。
第6の例では、いわゆる相対分布の方法が用いられる。この場合、選択画像部分からのデジタル画像データの一次微分D1が第1のステップにおいて形成される。続いて、選択画像部分のデジタル画像データは、点広がり関数で畳み込まれ、畳み込まれたデジタル画像データの二次微分D2が計算される。2つの微分の比D1/D2から、選択画像部分のz位置が最適設定面からどれだけ離れているかを確認することが可能である。比D1/D2が小さいほど、コントラスト差が小さく最適焦点面から遠い画像記録が得られている。
したがって、第1の実施形態による方法では、ステップBはさらに、以下の方法のうち少なくとも1つを含むコントラスト測度を求める方法を規定することを含む:スペクトルプロセス、画像コントラスト、ヒストグラムプロセス、エッジフィルタ、相対分布の方法、又は勾配プロセス。しかしながら、上記コントラスト測度に加えて、さらなるコントラスト測度及び上記コントラスト測度の変動も可能である。より高い精度を得るために、複数のコントラスト測度を用いることも可能である。これは特に、雑音指数が特定の閾値を上回るか又は大きな焦点ずれがある場合に必要である。
ステップB1~B4におけるパラメータの選択時には、速度及び精度という2つの態様が考慮される。僅かな一次ビーム又は僅かな画像部分しか選択されない、例えばRが並列に配置されたデータ取得デバイス280の撮像デバイスの数であるとしてR未満である場合、最良焦点面を求める方法は速度が最大限となる。
そうでなければ、選択画像部分の選択時に像面湾曲、特に像面傾斜も考慮される場合、最良焦点面を求める方法は精度が最大限となる。制御ユニット10は、ステップB1~B4でのパラメータの選択に影響を及ぼすマルチビーム粒子顕微鏡1の状態に応じて、ステップKにおいて制御変数を規定することができる。例えばCAD情報等の先験的情報を制御ユニットが提供することもできる。他の情報、例えばz高さセンサからの情報を制御ユニットにより記録し考慮することもできる。ステップKにおけるマルチビーム粒子顕微鏡1の種々の状態観察から、制御ユニットは予想される焦点変化を予測することができる。小さな変化が予測される場合、最良焦点面を求める高速の方法を、例えば1つの選択画像部分のみを用いて実施することができる。大きな変化が予測される場合、最良焦点面を求める正確な方法を、例えば5個の選択画像部分及び3個の隣接z位置を用いて実施することができる。未確定の変化が予想される場合、z方向で最初に非常に大きな増分を用いた反復法と共に、最良焦点を求める正確な方法があり得る。
ステップB1~B4は、特定の順序で実施される必要はなく、任意の順序で又は並行して実施することができる。ステップは相互に応じても変わるいる。例として、ステップB2において選ばれる画素サイズが大きすぎる場合、例えばグレースケール値の分布が平均され、スペクトル又はヒストグラムがより狭帯域になり、コントラスト測度の決定がより不正確になる。選ばれる画素サイズが小さすぎる場合、例えば非常に低い周波数しかないか又は信号スペクトルに高い雑音成分がある。したがって、ステップB2における画素サイズの決定は、複数のパラメータ、例えば選択画像部分における構造サイズ、試料コントラスト、及びステップB4におけるコントラスト測度を求める既定の方法に応じて変わり得る。一例では、画素サイズ又は画素部分の範囲を適応的に選ぶことができ、すなわち、z位置毎に異なる画素サイズを選ぶことができる。例として、理想焦点面と思われるものからのz距離が減るにつれて画素サイズを減らすことができる。
ステップCにおいて、z位置におけるコントラスト測度がL個の選択画像部分で求められる。したがって、第1の実施形態による方法では、ステップCは以下の要素を含む。
-ステップBにおいて規定されたパラメータに従って、検出器系200を用いてL個の選択サブ視野31内のL個の選択画像部分37のL個のデジタル画像データを取得すること、
-データ取得デバイス280で、L個の画像部分39.1~39.Lを評価してL個のコントラスト測度K1(i)、…、KL(i)を求めること、
-L個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を制御ユニット10に送信して、L個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を記憶すること。
ステップC1において、複数L個の選択画像部分のL個のデジタル画像データが記録される。この目的で、制御信号がビーム検出系500の制御ユニットに供給され、上記制御信号は、画像部分を表すパラメータ、例えば画像部分の開始位置、画素サイズ、及び終了位置を含む。J個の一次ビーム3のそれぞれが、割当てサブ視野31それぞれで関連の画像部分を横切り、複数L個の選択画像部分のみでデジタルデータが取得される。最良設定面を求めるために、像視野内の撮像が、例えば僅か256×256画素の小さな画像部分に変換される。
ステップC2において、L個の選択画像部分の画像データが評価され、l=1~Lである第1のコントラスト測度Kl(z1)がl番目の画像部分毎に求められる。コントラスト測度は、制御ユニット10に送信されてそこに一時的に記憶される。
一例では、コントラスト決定の精度を高める種々のコントラスト測度を求めることができる。結果として、本方法は、誤差又は雑音に対して特にロバストになる。
ステップEにおいて、既定の最小数のコントラスト測度が既に測定されたか否かについてのチェックを実行する。否である場合、例えば選択画像部分毎に測定されたコントラスト測度が3個未満である場合、方法はステップDに続く。
ステップDにおいて、第1の平面101の位置がz方向に変更され、位置z1を有する第1の平面101に対してz位置z2に変位される。この場合、第1のステップにおいて第1の距離変化dz1だけ変更が実施される。
ステップC1及びC2が続いて繰り返され、第2の又はさらなるコントラスト測度Kl(z2)が求められる。続いて、例えば第2の又はさらなる距離変化dz2を用いてステップDがさらに繰り返され、ステップC1及びC2の繰返しで第3の又はさらなるコントラスト測度Kl(z3)が求められる。この場合、繰返しステップDにおけるz位置の各変化は、ステップB3において規定されたフォーカスシリーズの増分dz1、dz2、…、dzPに対応する。
ステップEにおいて、コントラスト測度がチェックされ、選択画像部分毎に十分な数のコントラスト測度が十分な数Pの異なるz位置で求められるまで、ステップD、C1、及びC2は繰り返される。一例では、チェック中に、z位置の数に加えてコントラスト測度自体もチェックされる。例として、コントラスト測度は、ここでは閾値に対してチェックされる。第1の例では、全てのコントラスト測度が低すぎる。この場合、コントラスト測度から新たなフォーカスシリーズの新たなz位置が求められてステップDにより設定され、フォーカスシリーズは、ステップCから始めて繰り返される。第2の例では、選択画像部分の少なくとも1つのコントラスト測度が小さすぎる。この例では、繰り返しステップBにおいて新たな画像部分が選ばれ、測定が繰り返される。
一例では、コントラスト測度は相互に比較される。コントラスト値の差が小さすぎる、例えば10%未満である場合、又はコントラスト値の差が大きすぎる、例えば70%を超える場合、方法はステップDに続く。一例では、ステップBにおいて事前規定された設定面への変更がここで利用される。代替として、ステップEにおいて、さらに別のコントラスト測度をさらに求めるのに必要な、さらに別の設定面についてのピッチ変化dzも求めることができる。例として、コントラスト値の差が小さすぎ、例えば10%未満である場合、z方向でより大きな増分dzを求めることが可能である。例として、コントラスト値の差が大きすぎ、例えば70%を超える場合、2つの既に測定されたコントラスト測度の2つのz位置間のさらなるコントラスト測定のためのさらなるz位置を求めることができる。
一例では、コントラスト測度の雑音指数は、閾値又はコントラスト測度間の必要な最大又は最小差について考慮される。ここで、コントラスト測度の決定の雑音指数は、画素上の各一次ビームの滞在時間、画素サイズ、及び試料コントラストに応じて変わる。この場合、試料コントラストは、異なる試料構造における二次電子の収量の比により規定される。比較的大きな雑音指数の場合、例えばステップBから始めて測定が繰り返され、ステップBにおいて、より多数のz位置におけるより長い滞在時間又はより多数のコントラスト測度が規定される。
したがって、第1の実施形態による方法において、ステップEはさらに、求められたコントラスト測度のそれぞれが基準を満たすか否かについてチェックすることを含み、基準が満たされない場合、少なくとも1つのさらなるz位置z(P+1)が求められた後に、そのさらなるz位置z(P+1)に第1の設定面101を変位させてステップDが繰り返され、さらなるコントラスト測度K1~KL(P+1)を求めるためにそのさらなるz位置z(P+1)においてステップCが繰り返される。
ステップFにおいて、コントラスト測度が選択画像部分毎に評価される。焦点の関数としての選択画像部分のコントラスト測度は、それぞれが頂点を有する放物線又は双曲線をもたらし、z位置での異なる選択画像部分のコントラスト測度の放物曲線又は双曲線が、異なるz位置における3個以上のコントラスト測度から近似され、放物曲線又は双曲線の最大z位置が求められる。選択されたl番目の一次ビーム毎に、一次ビームの最小ビームウエスト74を有する最良焦点位置zlが得られる(図4参照)。
例として、z座標にわたるコントラスト測度の二乗依存性又は放物曲線が、l番目の一次ビーム又はl番目の選択画像部分のコントラスト測度Kl(i=1)、…、Kl(i=5)について求められる。したがって、最大コントラスト測度を求めることにより、l番目の一次ビーム毎に理想焦点位置zlを求めることが可能である。各一次ビームについて、理想焦点位置zlはそれぞれ、図4の最小ビーム断面74に対応する平面68に対応する。このように、各最良焦点位置z1、z2、…、zLがL個の選択一次ビームについて求められる。
選択一次ビーム毎の理想焦点位置zlの計算は、プロセスの終了及び再開につながり得る。例として、理想焦点位置が第1の平面101から遠くにありすぎる場合があるので、近似的にコントラスト測度の線形曲線が放物線の代わりに求められる。続いて、新たな第1の設定面101が線形プロファイルから計算され、方法はこの新たな第1の設定面101からステップCで始めて再開する。
さらに別の例では、選択一次ビームのコントラスト測度の放物曲線は、相互に大きく異なりすぎる場合がある。 これは、非点収差等の収差を示し得るものであり、自動非点収差補正が開始され、その範囲内でマルチビーム粒子顕微鏡1は従来の方法に従って再較正される。収差を求める方法は、例えば第1の実施形態による修正法、例えば本発明の第7の実施形態による方法であり得る。さらに他の自動非点収差補正の方法は、当業者には既知である。例えば非点収差又は球面収差等の収差の較正及び補正後に、最適設定面を決定する方法がステップCで再開される。
一例では、ステップFはステップEと並行する。ステップDにおける新たな焦点面の設定及びステップCにおけるコントラスト測度の決定それぞれの後に、利用可能なコントラスト測度から焦点モデルが作成される。焦点モデルの決定時に、各選択画像部分の最適焦点位置、及びさらに焦点計算の品質測度が、例えば放物線フィットによりコントラスト測度の以前の測定から求められる。例として、品質測度は、雑音指数により求めることができ、選択画像部分毎の最適焦点位置の決定の精度を原理上は表すことができる。十分な品質測度に達するまで、ステップC及びDからなるループが繰り返される。品質測度が既定値よりも良好になるとすぐに、ステップC及びDからなるループを終了することができ、後続のステップGにおいて最適焦点面を計算することができる。
ステップGにおいて、最良又は最適焦点面が決定される。複数の一次ビームに関する最適焦点面は、関連する選択一次ビームの選択画像部分39の最良設定位置から決定される。y軸に沿った5個の一次ビームの焦点プロファイルを、図7aで簡単な例を用いて示す。この場合、5個の一次ビームプロファイル62.1~62.5の焦点位置74.1~74.5は、半径Rを有する球上に略位置付けられ、球の中心43は像面傾斜45に従ってz軸から離間している。y軸41は、軸方向一次ビーム62.3の焦点位置74.3の僅かに上方の最良焦点面の位置に対応する。焦点位置74.1~74.5は、最大z位置又は上焦点面47と最小z位置又は下焦点面49との間に位置付けられる。最適設定面を決定する本発明による方法によれば、ステップGにおいて最適設定面を決定するために異なる方法が可能である。ちなみに、この点で、ウェーハを平面45と平行に傾斜配置した場合は一次ビームがウェーハに垂直に入射しなくなるので、単純にこうすることはできない。例として、一次ビームの入射角は、ウェーハ表面の垂線から10mradよりも大きく逸れることはない。
第1の例では、最適設定面は、選択画像部分に割り当てられた一次ビームにより決定される。ステップBにおいて説明した選択画像部分及び割当て一次ビームの選択により、湾曲像面及び像面傾斜を確認することが可能である。図7aに示すように、最適設定面41の決定時に、湾曲像面誤差及び像面傾斜の両方を考慮することができ、複数の一次ビームの焦点位置が半径Rを有する湾曲像面上で止まり、湾曲像面の中心43は、z軸から絶対値dyだけオフセットする。像面傾斜はこのオフセットにより考慮される。
第2の例では、L個の選択画像部分に割り当てられた一次ビームの焦点位置z1、z2、…、zLから、任意のステップG2におけるモデルに従ってさらに他の一次ビーム又は全ての一次ビームの焦点位置が計算される。この場合、モデルは、湾曲像面及び像面傾斜の両方を考慮しており、例えば1つの一次ビームについて図4に示したようにJ個の一次ビームそれぞれの既定の焦点プロファイルにより形成され、複数J個の一次ビームの焦点位置は、半径Rを有する湾曲像面上で止まり、湾曲像面の中心43はz軸から絶対値dyだけオフセットする。像面傾斜はこのオフセットにより考慮される。
モデルは、さらなるモデルパラメータに基づくことができる。例として、分解能要件から一次ビーム毎に上限及び下限の許容焦点ずれを計算することができ、モデルにおいて考慮することができる。上限及び下限の許容焦点ずれは、一次ビームの収差が異なれば異なる場合もある。
続いて、選択一次ビームの求められた焦点位置z1、z2、…、zLから、又はステップG1で求められた全ての一次ビームの全ての焦点位置から、ステップG2において最適設定面41が計算される。種々の方法がこの目的で可能である。
-上焦点面47と下焦点面49との間の間隔51を半減する。
-全てのz位置の平均値を形成する。
-一次ビームの最悪の分解能が最小になる値を選ぶ(「最小錯乱円」)。
-最大限の数の一次ビームについて分解能目標が達成されるように、最大限の数の一次ビームの上限及び下限の許容焦点ずれ間に位置付けられた設定面を求める(図7b参照)。
全ての方法で、個別一次ビームが分解能目標を満たさない場合があってもよい。既定の分解能目標を満たさない一次ビームは、任意のステップG3において求められ、制御ステップKにより制御センター10に送信される。送信された一次ビームは、場合によってはウェーハ検査作業から除外されてもよく、又はこれらの一次ビームにより取得された割当てサブ視野のデジタル画像データにラベルを付け、例えばより悪い品質測度を与えることができる。
第1の実施形態による方法では、ステップGはさらに、L個の選択一次ビーム3の上限又は下限の許容焦点ずれを求めることを含む(図4参照)。
最後に、ステップHにおいて、ウェーハの上側をステップGで決定された最適焦点面41に変位させる。第1の平面101からの最良焦点面のずれが小さい場合、対物レンズ系100により調整を実施することができる。比較的大きなずれの場合、調整は変位ステージ600により実施することができる。さらに、複数の一次ビーム3の焦点面を変更するために、試料電位605を変えることができる。続いて、ステップGに従って決定された最適焦点面に対応するように最良焦点位置41が新たな第1平面101として記憶される。
より高い精度を得るために、ステップB~Hを有する方法を連続して複数回実行することができ、フォーカスシリーズのパラメータはステップBにおいて変更又は改変可能である。
図7bは、第1の実施形態による方法の結果を説明する図である。この例では、複数の一次ビーム3は六角格子配置を有する。x軸とy軸との交点は、光軸又はz軸60に対応する。円はそれぞれ、上述の方法により求められた最適焦点面41を通る各一次ビームのビーム断面5を表す。参照符号55は、焦点zが下焦点面49を決定する一次ビームを示す。最適設定面は下焦点面49の上方に位置するので、参照符号55を有する一次ビームのビーム断面は最小ではない。参照符号55を有する一次ビームの周りに、一次ビームが仮想同心リング53状に配置されるが、そのうちのいくつかのみ、例えばリング53.3及びリング53.6のセグメントを説明のために図示する。仮想同心リング53.3上で最小ビーム断面を有する一次ビームは、最適設定点41に最も近い。仮想同心リング53.6のセグメント上で最小ビーム断面を有する一次ビームは、最適設定面から最も離れており、最適設定面41におけるビーム断面は最大径を有する。この例では、最適設定面41は、できる限り多くの一次ビームで分解能目標が達成されるように形成される。しかしながら、ビーム断面は、ビーム55から最大距離にある3個の一次ビーム57.1、57.2、57.3で分解能限界を超える。これらのビームは、ステップF3において印がつけられ、制御ユニット10による評価で別個に考慮される。例として、第1の複数J1個の一次ビームから、より小さな第2の複数J2個の一次ビームのみが続いてこの例では検査作業に用いられ、ここでJ2≦J1である。
一例では、ステップDにおける第1の設定面101は、少なくとも1つの静電素子、例えば対物レンズ系102の励起の変更により変更される。磁気駆動型の対物レンズ102のヒステリシスにより、フォーカスシリーズの距離の変更は、理想的には1つのz方向のみでしか実行されない。この目的で、フォーカスシリーズの第1のz位置が予想される理想焦点面の上方で始まり、この場合はz軸(図2参照)に続けば有利である。さらに別の例では、試料電圧又は試料電位605(図2参照)の変更により変更が実施される。試料電圧605の変更は、複数の一次ビーム3の焦点面の変化をもたらす。例として、試料電圧605を増加させた場合、一次電子の減速がより顕著になり、一次ビーム3の焦点面68は対物レンズ系102の方向に(図2の正のz方向に)変わる。
代替として、ステップDにおける第1の設定面101の変更は、変位ステージ600を用いて物体7の表面15の位置を変えることにより実施される。しかしながら、ステップDにおける第1の設定面101の変更を、対物レンズ102の作動の変更、変位ステージ600を用いた物体7の表面15の位置の変更、又は試料電圧605の変更により実施することも可能である。
第6の実施形態で説明したように、対物レンズ102の作動の変更は、第1及び第2の電流の和が一定であり第1及び第2の電流の差が変わるように2つの作動信号を変えることにあり得る。このように、最適焦点面41又は第1の設定面101は、特に正確に設定することができ、且つ対物レンズ102により安定させておくことができる。
したがって、第1の実施形態による方法において、ステップDはさらに、対物レンズ102の作動の変更又は変位ステージ600による物体7の表面15のz位置の変更又は試料電圧605の変更又は上記変更の少なくとも2つの組合わせによる、第1の平面101の変位を含む。一例では、対物レンズ102の作動の変更は、第1及び第2の電流の二乗和が一定であり第1及び第2の電流の二乗差が変わるように2つの作動信号を変えることにある。
第5の実施形態で説明したように、像面傾斜用の補償器に対する作動信号が、一例ではステップFにおいて求められ、像面傾斜用の補償器に供給される。第5の実施形態による像面傾斜用の補償器は、マルチビーム生成デバイス305に配置される。
一例では、湾曲像面誤差用の補償器に対する作動信号が、ステップFにおいて求められた湾曲像面誤差から求められ、湾曲像面誤差用の補償器に供給される。以下でより詳細に説明するように、ビーム分割器400を有するマルチビーム粒子顕微鏡1の像面は、例えば図7aのx軸のような例えば傾斜軸周りに像面傾斜45を起こし、これは対物レンズ102によりz軸周りに捩れ得る。傾斜軸周りの傾斜角の絶対値により像面傾斜45を求めるのに加えて、対物レンズの像回転から生じる傾斜の向きが、ステップFにおいてさらに求められる。一例では、対物レンズ102は、対物レンズ102の像回転を事前に求めることができ且つシステム設計で考慮できるように、事実上一定のパラメータで操作される。
第3の実施形態において説明したように、一例では、ステップGにおいて変位ベクトルが求められ、変位ベクトルは、分解能基準を満たす複数J個の一次ビーム3の数を増やすために一次ビームの格子配置に必要なオフセットを表す。例として、変位ベクトルは、参照符号55を有する一次ビームから求めることができ、この一次ビームに対して他の一次ビームの局所プロファイルは事実上同心状に配置される。第1の偏向器に対する制御信号は、変位ベクトルから求めることができ、第1の偏向器は、動作時に一次ビーム3の格子配置を変位ベクトル分だけオフセットさせるよう設計される。これにより、分解能に関する要件を満たしつつ画像生成を達成できるようにする一次ビームの数J1を増やすことができる。最も有利な場合では、J個の一次ビームの全てで例えば4nm未満又は3nm未満という焦点径に関する厳しい要件を満たすことが可能である。
本発明の第2の実施形態は、像視野にわたって複数J個の一次ビームでの最良の分解能のための理想焦点面を設定するよう構成された、マルチビーム粒子顕微鏡1に関する。図2は、マルチビーム粒子顕微鏡1の詳細を示す。マルチビーム粒子顕微鏡1は、データ取得デバイス280と通信するコントローラシステム10を備える。データ取得デバイス280は、第1及び第2の動作モードで動作するよう設計される。データ取得デバイス280、第1の動作モードから第2の動作モードに切替え可能に構成される。コントローラシステム10は、変位ステージ600、対物レンズ102、及び変位ステージ600の試料ホルダとさらに通信する。変位ステージ600は、アクチュエータ及びセンサを含み、ウェーハ7の表面15を第1の設定面101に位置決めするよう構成される。マルチビーム粒子顕微鏡1のコントローラシステム10は、複数の一次ビーム3の包括的偏向のための走査偏向器500にさらに接続される。
第2の実施形態のマルチビーム粒子顕微鏡1は、マルチビーム粒子顕微鏡1が物体表面15のデジタル画像データを取得するよう構成される第1の動作モードを含む。第1の動作モードでは、ビーム偏向器500は、複数のそれぞれ割当てられたJ個のサブ視野31にわたって複数J個の一次粒子ビーム3を走査し、且つ粒子マルチ偏向器209及びデータ取得デバイス280を用いて像視野17の画像データを取得するよう構成される。データ取得デバイス280は、動作時に第1の動作モードで画像データをメモリ290に書き込むよう構成される。制御ユニット10は、動作時に第1の動作モードで画像データをメモリ290から読み出すよう構成される。
コントローラシステム10は、マルチビーム粒子顕微鏡1の動作中に第1の動作モードから第2の動作モードに切り替えるよう構成される。第2の動作モード中に、走査偏向器500は、複数のサブ視野31内の複数の画像部分37にわたって複数の一次ビーム3を走査するよう構成される(図6参照)。データ取得デバイス280は、第2の動作モードに切り替えられるよう構成される。粒子マルチ検出器209は、第2の動作モード中に二次電子9からの画像信号を受け取ってそれらをデータ取得デバイス280に送信するよう構成される。第2の動作モード中に、データ取得デバイス280は、L≦J個の選択画像部分39(図6参照)から複数L個のコントラスト測度を計算し、且つL個のコントラスト測度をコントローラユニット10に送信するよう構成される。
第2の動作モード中に、コントローラユニット10は、L個以上のコントラスト測度からウェーハ7の表面15の最適設定面を確認するよう構成される。コントローラユニット10は、対物レンズ102にさらに接続され、動作時に制御信号で対物レンズ102を駆動するよう構成される。第2の動作モードでは、コントローラユニット10は、制御信号の変化を求め、且つ第1の平面の位置を変えるために変化した制御信号で対物レンズ102を駆動するよう構成される。コントローラシステム10は、変位ステージ600にさらに接続され、変位ステージ600のアクチュエータによりウェーハ7の表面15の位置を変更するよう構成される。コントローラシステム10は、変位ステージ600の試料受け器にさらに接続され、試料電圧を変更するよう構成される。
第1の動作モードから第2の動作-モードへのデータ取得デバイス280及び走査偏向器500の並行切替えにより、マルチビーム粒子顕微鏡1は、第1の動作モードで画像記録を実行するか又は第2の動作モードで最適設定面を決定するよう構成される。よって、最適設定面を決定するための測定系は、検出器209及びデータ取得デバイス280からなる画像記録系に対応する。検出器290は、J個の一次ビームそれぞれに対して少なくとも1つの検出器を含む。
例えばデータ取得デバイス280は、並列に配置された複数のプロセッサ、例えばFPGAを含み、これらは第1の動作モードから第2の動作モードへ切り替えられることができる。データ取得デバイスに関するさらなる詳細は、2021年2月1日に出願された国際公開第2021/156198号及び2020年1月14日に出願された国際公開第2020/151904号に含まれており、それらの全体を参照により本明細書に援用する。並列に配置された複数のプロセッサは、第2の動作モードで複数のコントラスト測度を並行して計算するよう構成されると共に、第1の動作モードで画像データのアドレスデータを計算してアドレスデータにおける画像データをメモリ290に書き込むよう構成される。
マルチビーム粒子顕微鏡1の作動系は、変位ステージ600及び対物レンズ102を少なくとも含む。追加として、例えば2020年9月30日に出願された独国特許第102020125534号に記載のようなさらに他の明るい追加のレンズを設けることができ、上記文献の全体を参照により本明細書に援用する。第1の設定面101のz位置精度に対する要件は、125nm未満、例えば100nm未満又は50nm未満である。好ましくは、500nm未満の設定面101の僅かな変化が対物レンズ102により設定される。
ウェーハ7の表面15は、位置決めデバイス600によりマルチビーム粒子顕微鏡1の第1の設定面101に位置決めされ、第1の設定面101のz位置及び角度は、第1の実施形態による方法に従って第2の動作モードで求められる。第1の設定面101の位置及び角度は、コントローラユニット10に記憶され、基板表面15の位置は、例えば位置決めデバイス600のセンサによりさらに監視される。基準面に対するウェーハ7の表面15の位置を測定するさらに他のセンサ、例えば複数の部位で基板又はウェーハ7の表面15と基準面との間の距離を測定する干渉センサ又は共焦点センサも配置することができる。基準面は、対物レンズ102に接続固定され得る。
例えば新たなウェーハ7が新たなウェーハ検査作業のために変位ステージ600に載せられるか、又はマルチビーム粒子顕微鏡1の動作の比較的長い休止があったときは常に、第2の動作モードへの切替えがある。特に、第2の動作モードへの切替えは、物体又はウェーハ7の厚さの変化が予想される場合、又は物体7の表面15が位置決めデバイス600の物体収容域と完全に平行でないと予想される場合にも実施することができる。第2の動作モードへの切替えは、検査作業からのデータの評価が物体表面15の第1の設定面101とのずれをもたらす場合にも実施することができる。
分解能のさらなる改善が、マルチビーム粒子顕微鏡1の第3の実施形態において最適設定面のさらにより精密な設定により達成される。上述のようにマルチビーム粒子顕微鏡1は、ビーム分割器400を備える。例えば数十mrad以下、例えば50mrad以下又はそれ以上の指定指定サイズの像面傾斜が、ビーム分割器400により生じる。ここで、像面傾斜は、通常は複数の一次ビーム3の可変の運動エネルギーに応じて変わる。マルチビーム粒子顕微鏡1の第3の実施形態において、最適焦点面の設定及び複数の一次ビーム3で達成可能な分解能に対する像面傾斜の悪影響が低減される。一例として、分解能の向上は、複数の一次ビームの目標通りの選択により達成される。第3の実施形態の第1の例として、第2の複数J2個の一次ビームが第1の複数Jよりも少なく、J2<Jであるような、分解能基準を満たすことができない特定の一次ビーム57の上記拒否がある。この第1の例示的な実施形態は、既定の像視野が例えば5nm未満、4nm未満、又はさらに小さな分解能に関する要件に従って完全に検査できなくなるので不利である。これに対して、有利な第2の例を図8に示す。図7bに対して、第1の設定面101に焦点5がある複数の一次ビーム3の格子配置は、光軸又はz軸(x軸とy軸との交点を通る垂直軸)に対して変位ベクトル59だけオフセットして配置される。したがって、複数の一次ビーム3のうち中心ビーム又は中央ビームの焦点61は、対物レンズ102の対称軸105(図10参照)と一致するz軸に対してオフセットして位置付けられる。このオフセット59により、像面傾斜が像面湾曲と共に補償される。例として、オフセット59は、複数の一次ビーム3の生成のための生成デバイス300又は多孔装置305のオフセットにより達成することができる。別の例では、マルチビーム粒子顕微鏡1は、生成デバイス300とビーム分割器400との間に配置され且つ複数の一次ビームの格子配置の横方向オフセットに用いることができる少なくとも1つの偏向器701を備える。この目的で、第1の偏向器701は、中間像面(図10参照)から遠いことが好ましい。オフセット59は、例えば多孔装置305の横方向変位用のアクチュエータ又は第1の偏向器701を用いた静電偏向により、一次ビーム3の運動エネルギーに基づいて設定又は変更することができる。この実施形態では、像視野17の中心21は、対物レンズの対称軸105と一致していない。このずれを、検査作業のためのウェーハ7の位置決め時に制御系10で考慮することができる。
したがって、第3の実施形態は、マルチビーム粒子顕微鏡1であって、
a.格子配置の複数J個の一次ビーム3を生成するマルチビーム生成デバイス300と、
b.ビーム分割器400と、
c.対物レンズ102の対称軸105を有する対物レンズ102と
を備え、第1の設定面101における複数J個の一次ビーム3の格子配置の交点5が、対称軸105に対して変位ベクトル59分だけオフセットされるマルチビーム粒子顕微鏡1により表される。
一例では、マルチビーム発生デバイス300は、複数J個の一次ビーム3を生成するための複数の開口を有する少なくとも1つの多孔プレート306を含み、少なくとも1つの多孔プレート306は横方向にオフセットして配置される。
一例では、マルチビーム粒子顕微鏡1は、動作時に第1の設定面101で複数J個の一次ビーム3を変位ベクトル69分だけ一括して横方向にオフセットさせるよう構成された少なくとも1つの第1の偏向器701を備える。
第4の実施形態において、像面傾斜を補償するために変位ステージ600の傾斜が設定される。この実施形態において、変位ステージ600は、変位ステージ600用の傾斜デバイス610を含む。例として、湾曲像面誤差を補正する補償器が、生成デバイス300に設けられて湾曲像面誤差に対応できる付加的な静電素子である。このとき、像面傾斜の主要部分は像面傾斜として残る。像面傾斜は、変位ステージ600の傾斜により補償することができる。しかしながら、上述したように、変位ステージ600の単なる傾斜では、複数の一次ビーム3がウェーハ7の表面15に垂直に入射するのではなく斜めに入射することになる。したがって、複数の一次ビーム3の傾斜した入射角を補償するために、少なくとも1つの第2の静電偏向器703が、生成デバイス300とビーム分割器400との間でマルチビーム粒子顕微鏡1に配置され(図10参照)、当該第2の静電偏向器703は、複数の一次ビーム3の偏向を引き起こし、ひいては試料表面15上の複数の一次ビーム3の入射角を変える。第2の静電偏向器703は、一次ビーム3の中間像面325付近にあることが好ましい。図9は、図7aと同様の参照符号を有する図7aと同様の例を用いて第4の実施形態の結果を示す。図7aに比べて、湾曲像面誤差が少なくとも部分的に補償され、より大きな半径R2で概略的に示す。理想的には、湾曲像面誤差が完全に補償され、R2が非常に大きく、例えば無限である。ウェーハ7の表面15は、このとき傾斜像面45に配置することができ、複数の一次ビーム82.1~82.5は、傾斜像面45に垂直に入射するように第2の偏向器703によりz軸に対して傾斜させられる。第4の実施形態は、特に湾曲像面誤差が他の補償器により補償される場合に有利である。
第4の実施形態は、マルチビーム生成デバイス305と、ビーム分割器400と、対物レンズ102の対称軸105を有する対物レンズ102と、物体7を位置決めする位置決めデバイス600とを備えたマルチビーム粒子顕微鏡1であって、位置決めデバイス600は傾斜デバイス610を含み、マルチビーム粒子顕微鏡1はさらに、複数J個の一次ビーム3の中間像面325付近に第2の偏向器703を備え、当該第2の偏向器は、動作時に、複数J個の一次ビーム3の入射角が傾斜デバイス610による位置決めデバイス600の傾斜時に垂直又は90°であるように位置決めデバイス600上に位置する物体7の表面15上の複数の一次ビーム3の入射角を変更するよう構成される、マルチビーム粒子顕微鏡1に対応する。
第4の実施形態によれば、制御ユニット10は、ステージ600にさらに接続され、像面傾斜を補償するために、ステージ又は位置決めデバイス600と共に傾斜装置610によりウェーハ表面15の傾斜をもたらす。制御ユニット10は、制御ユニット700により第2の静電偏向器703にさらに接続され、第2の静電偏向器は、例えば中間像面321付近に配置される。第2の静電偏向器703は、動作時に複数の第1の一次ビーム3を傾斜したウェーハ面15に対する一次ビーム3の垂直入射を確保する方向に一括して偏向させるよう構成される。
図10は、実施形態によるマルチビーム粒子顕微鏡1のさらに他の態様を示す。マルチビーム粒子顕微鏡1は、粒子源301、例えば電子源を有するビーム生成装置300を備える。発散粒子ビームが、一連のコンデンサレンズ303.1及び303.2によりコリメートされ、多孔装置305に入射する。多孔装置305は、複数の多孔プレート306及び視野レンズ308を含む。多孔装置305の次にさらなる視野レンズ307がある。多孔装置305及び視野レンズ307は、格子配置の一次ビームの複数の焦点323を表面325上で発生させるよう構成される。表面325は、平面である必要はなく、後続の粒子光学系の像面湾曲に対応するために球面曲面とすることができる。第1の静電偏向器701は、多孔装置305と視野レンズ307との間に配置され、上記第1の静電偏向器は、表面325上のビーム焦点311の格子配置をy方向に横変位させ、ひいては第1の設定面101における変位59を引き起こすよう構成される。したがって、像面傾斜の効果は、第3の実施形態に従って少なくとも部分的に補償することができる。しかしながら、第3の実施形態による像面傾斜の補償は、湾曲像面誤差が完全に補償されていなく且つ像面傾斜を湾曲像面誤差と組み合わせて補償できる場合にのみ可能である。図10に示すマルチビーム粒子顕微鏡1のマルチビーム生成デバイス305は、第5の実施形態による像面傾斜用の補償器330をさらに備え、これは以下でより詳細に説明する。
マルチビーム粒子顕微鏡1はさらに、電磁レンズ103及び対物レンズ102の系を備え、これらはビーム焦点323を縮小して中間像面325から第1の設定面101に結像する。これらの間に、一次ビームレット3がビーム分割器400及び一括ビーム偏向系500を通過し、一括ビーム偏向系500により複数の一次ビーム3が動作時に偏向され、像視野17が走査される。第1の平面101は、第1の実施形態により決定された最適焦点面である。ウェーハ7の表面15は、変位ステージ600により第1の平面101に配置される。複数の一次電子ビーム3による照射の結果として複数の二次ビーム9が焦点5で生じ、当該二次ビームは、対物レンズ102により取り込まれてビーム分割器400により投影系200に供給される。投影系は、第1及び第2のレンズ210及び220を有する結像系205と、第2の一括走査偏向器222と、多粒子検出器209とを含む。多粒子検出器209は、直接又はメモリ290を介して制御ユニット10に接続されたデータ取得デバイス280に接続される。制御ユニット10は、第1の静電偏向器701及び第2の静電偏向器703並びに像面傾斜用の補償器330を駆動するコントローラユニット700にさらに接続される。
図10に示すマルチビーム粒子顕微鏡1は、制御ユニット10と、データ取得デバイス280と、画像データメモリ290と、走査検出器500とを備え、制御ユニット10及びデータ取得デバイス280は、第1の動作モード及び第2の動作モードで動作できるように構成される。第1の動作モードでは、制御ユニット10、走査検出器500、及びデータ取得デバイス280は、マルチビーム粒子顕微鏡1の像視野17に配置された物体表面15の連続デジタル画像を確認して当該画像を画像データメモリ290に記憶するよう構成される。第2の動作モードでは、制御ユニット10、走査検出器500、及びデータ取得デバイス280は、マルチビーム粒子顕微鏡1の像視野17に配置された物体表面15の選択されたデジタル画像データを取得し評価するよう構成される。一例では、制御ユニット10、走査検出器500、及びデータ取得デバイス280は、第2の動作モードで第1又は第7の実施形態による方法を実行するよう構成される。
図10に示すマルチビーム粒子顕微鏡1はさらに、変位ステージ600又は対物レンズ102を少なくとも含む作動系を備える。図10に示すマルチビーム粒子顕微鏡1はさらに、像面傾斜用の補償器330を有するマルチビーム生成デバイス305を備える。図10に示すマルチビーム粒子顕微鏡1はさらに、第4の実施形態による一次ビーム傾斜用の補償器703と変位ステージ600用の傾斜デバイス610とを備える。図10に示すマルチビーム粒子顕微鏡1において、データ取得デバイス280は、並列接続された複数R個の画像デジタイザ285.1~285.Rを含み、画像デジタイザ285.1~285.Rは、第1の動作モードでJ個のサブ視野17から画像データを取得して当該画像データをデジタル画像データメモリ290に記憶するよう構成されると共に、第2の動作モードでL=R個の選択部分の画像データを取得し、L=R個の選択部分の画像データからL=R個のコントラスト測度を計算し、且つこれらのコントラスト測度を制御ユニットに送信するか又はこれらのコントラスト測度をデジタル画像データメモリ290に記憶するよう構成される。図10に示すマルチビーム粒子顕微鏡1において、制御ユニット10はさらに、記憶されたコントラスト測度からL=R個の選択一次ビームのL=R個の最良焦点面を計算して、そこから像面傾斜を計算するよう構成される。
第5の実施形態において、最適焦点面のさらに良好な設定を容易にし且つより多くの複数J個の一次ビーム3にわたって5nm未満、好ましくは4nm未満又は3nm未満というさらに良好な分解能を容易にする補償器330を、より詳細に説明する。第3及び第5の実施形態の両方で、複数の一次ビーム3の数Jは、一次ビームの非対称選択又は一次ビーム3の全体的傾斜により制限される。湾曲像面誤差の結果としての分解能の低下が、略二次関数的に低減するので、平面状のウェーハ表面15での平面状の焦点面の焦点面設定が、例えば5nm未満、4nm未満、又は3nm未満の分解能を有する一次ビームの最大限の数J2を例えばJ2<90のビームに制限する。焦点面設定の改善と、J2>90の多数のJ2個の一次ビームでの4nm未満又は3nm未満の分解能の分解能の向上とが、本発明の第5の実施形態による容易になる。第5の実施形態では、像面傾斜を解決する手段が提供される。
従来技術は、湾曲像面用の複数の補償器に言及している。例として、多孔装置305の一体構成部分として形成され得る視野レンズ308により、例えば対物レンズ102等の後続の結像光学ユニットの湾曲像面誤差に対応する湾曲像面を利用可能にすることが可能である。さらに、従来技術は、複数のマクロレンズにより湾曲像面型の形態の焦点領域に対応する多孔プレート306を開示していた。第5の実施形態には、線形抵抗器カスケードにより駆動される電極を有する像面傾斜用の補償器330が含まれる。したがって、像面傾斜に従った線形局所プロファイルが生成され、これが下流のビーム分割器400の像面傾斜を解決する。図11は、像面傾斜用の補償器330の例の詳細を概略的に示す。この例では、像面傾斜用の補償器330は、リング型電極334でそれぞれが囲まれた複数の開口332を含む多孔プレートとして具現される。断面画像は、リング電極334それぞれの2つの断面を示す。y方向では、リング型電極は抵抗器により相互接続され、抵抗は、y方向のリング型電極334のピッチ又は位置に比例して選ばれる。したがって、外部電圧Vがy方向に複数の電極334にわたって線形に低下するので、y位置に比例した電圧が各リング電極に印加され、各リング電極334は、動作時にy方向に線形に依存するフォーカルパワーを発生させる。したがって、動作中に開口332を通過する複数の粒子ビーム336.1~336.4は、斜面338に集束される。この場合、傾斜した中間像面338の傾きは、外部電圧により変えることができるので、ビーム分割器400の得られる像面傾斜を一次ビーム粒子の運動エネルギーに応じて可変に補償又は考慮することができる。この場合、像面傾斜は、ビーム分割器400の偏向角及びさらなる結像特性等の光学特性に応じて変わり得るものであり、特に一次粒子3の運動エネルギーと共に変わり得ると考えるべきである。さらに、注目すべきは、像面傾斜用の補償器の向きの決定時に磁気光学対物レンズ102による格子配置の回転が任意に考慮されなければならないような対物レンズ102における複数の一次ビームの格子配置の回転の結果として、傾斜像面338の向きが捩れ得ることである。一例では、対物レンズ102が略一定の結像性能で作動されるので、対物レンズ102による格子配置の回転は事実上一定のままであり既定のものであり得る。さらなる例では、像面傾斜用の補償器330は、y方向の第1の抵抗器チェーンを有する上記形態の第1の傾斜補償器と、第1の傾斜補償器に対して例えば90°回転させ且つx方向の第2の抵抗器チェーンを結果として有する上記形態の第2の傾斜補償器とを含む(図11に示すxy軸)。2つの異なる電圧信号をy方向の第1補償器及びx方向の第2の補償器に印加することにより、任意の向きの傾斜中間像面を設定することが可能であり、対物レンズ102による像面傾斜の変わりやすい回転を解決することができる。
像面傾斜用の補償器330は、最良焦点面のさらにより精密な設定を実行可能にするために、且つJ>90である多数のJ個の一次ビームにわたって5nm未満、好ましくは4nm未満、特に好ましくは3nm未満のさらに良好な分解能を達成するために、さらなる補償器と、例えば湾曲像面誤差を低減するための補償器又は第1及び第2の偏向器701及び703と組み合わせることができる。
第5の実施形態によるマルチビーム粒子顕微鏡1は、マルチビーム生成デバイス305と、ビーム分割器400と、対物レンズ102の対称軸105を有する対物レンズ102と、物体7を位置決めする位置決めデバイス600とを備え、マルチビーム生成デバイス305はさらに、一平面で格子構成の複数J個の開口332を含み且つ動作時に複数J個の一次ビーム3に影響を及ぼすよう構成された像面傾斜用の補償器330を含み、複数J個の開口332のそれぞれに、動作時に開口を通過する一次ビーム336の伝播方向に焦点面を変えるよう構成された少なくとも1つの電極334が設けられ、複数の電極334は、各一次ビーム336の伝播方向を横断する第1の方向での座標の一次関数としての焦点面変化があるように設計及び相互接続され、焦点面変化は、第1の方向を横断し且つ各一次ビーム336の伝播方向を横断する第2の方向で一定である。ここで、図11において伝播方向はz軸に対応し、第1の方向はy軸に対応する。
先の実施形態のいずれか1つによる最適焦点面11のより精密な設定を容易にする対物レンズが、第6の実施形態において特定される。第6の実施形態の対物レンズ102を図12に示す。第6の実施形態の対物レンズ102は、第1のコイル109に加えて第2のコイル114を有する。両方のコイルは、制御ユニット10により相互に逆の電流方向で作動される。対物レンズ102のフォーカルパワーPの変化は、電流Iの二乗に比例し、P=I×Rである(式中、Rは抵抗の値、は「二乗」を意味する)。しかしながら、コイルの抵抗Rに比例する温度又は出熱Qも、電流の二乗と共に増加する。対物レンズ102のパラメータは、変わりやすい出熱と共に変わり、例えばコイルの抵抗Rの変化がある。1つの解決手段は、冷却チャネル116に通される冷媒の冷却力の調整にある。しかしながら、この解決手段は非常に複雑である。第6の実施形態は、対物レンズのフォーカルパワーが変わる場合でも、一定の出熱が得られることにより一定の冷却力で済ませる解決手段を特定している。一例では、これは付加的なバイファイラ巻線又は第2のコイル114により達成される。2つのコイル電力の和は、Q=R1×I1+R2×I2で第1のコイル109への第1の電流I1及び第2のコイル114への第2の電流I2の適切な供給により一定に保たれるのに対して、対物レンズ102の所望のフォーカルパワーPは、P=R1×I1-R2×I2により2つのコイル電力の差により非常に正確に設定することができ、。したがって、フォーカルパワーP又は焦点面又は第1の設定面101を正確に設定することができ、対物レンズ102を受動的又は一定冷却で作動させることができる。一定又は受動的冷却は、例えば、一定の供給温度で冷却チャネル116を通る水等の冷媒の一定の貫流の形態の一定のヒートシンクにより得られる。
したがって、第6の実施形態は、受動的冷却116を用いて最適焦点面101に複数J個の一次ビーム3を精密に集束させる対物レンズ102を備えたマルチビーム粒子顕微鏡1であって、対物レンズ102は、第1の抵抗R1を有する第1のコイル109及び第2の抵抗R2を有する第2のコイル114を含み、対物レンズは、動作時に第1の電流I1及び第2の電流I2で作動されるよう構成され、出熱Q=R1×I1+R2×I2が一定であるマルチビーム粒子顕微鏡1により与えられる。一例では、第6の実施形態によるマルチビーム粒子顕微鏡1は、動作時に2つの電流I1及びI2の差及びそれによりコイルに生じる磁束により対物レンズ102のフォーカルパワーが調整可能であるように構成される。例として、対物レンズ102のフォーカルパワーPは、P=R1×I1-R2×I2により調整可能である。一例では、第6の実施形態によるマルチビーム粒子顕微鏡1は、動作時に第2のコイルの磁束が第1のコイルの磁束の方向とは逆に延びるように構成される。第6の実施形態によるマルチビーム粒子顕微鏡1の一例では、第2のコイルは第1のコイルに対向して配置される。一例では、マルチビーム粒子顕微鏡1の対物レンズ102の受動的冷却116は、冷却手段又は冷媒に対する接点の形態で実施される。
第7の実施形態において、較正法が利用可能となる。試料7の表面15に対して垂直な一次ビーム3のビーム角78は、第7の実施形態の較正法を用いて求められる。さらに、選択された数の一次ビームに対するさらなるビームパラメータ、例えば一次ビームのzプロファイル、焦点領域73のz範囲、最小スポット範囲、及び焦点領域70.1の上z位置又は焦点領域70.2の下z位置(図4参照)を、第7の実施形態の較正法により求めることができる。さらなるビームパラメータは、収差、例えば非点収差又は球面収差であり得る。
複数のビーム3が相互に対して平行に延びず、一次ビーム3のビーム角78が異なる場合、テレセントリシティ誤差がある。さらに、全ての一次ビームの平均ビーム角がz軸に対して傾き得る。全ての一次ビームのビーム角が事実上同じである場合、これをテレセントリック束と称する。この場合も、全ての一次ビームの平均ビーム角は、z軸に対して傾き得る(例えば図9参照)。しかしながら、該して、一次ビーム3の個々のビーム角78がウェーハ7の表面15に対して垂直でない場合、テレセントリシティ誤差と言える。
第7の実施形態において、テレセントリック束及び求められる平均ビーム角からのずれを可能にする較正法が利用可能となる。図13は、本方法のステップを示す。本方法は、第1の実施形態のステップ(図5)と同様のステップA~Hを含み、第1の実施形態の説明を参照されたい。第1の実施形態に加えて、又は第1の実施形態から逸脱して、ステップCにおいて、L個の選択画像部分のデジタル画像データが取得され記憶される。ステップTにおいて、L個の選択画像部分それぞれについて、P個の焦点位置に対する各選択画像部分のデジタル画像データの相対横方向オフセットが求められる。例として、選択画像部分の2つのデジタル画像データ間の相対横方向オフセットを相関により求めることができる。l番目の選択画像部分に割り当てられたl番目の一次ビーム3のl番目のビーム角を、z位置毎の相対横方向オフセットから求めることができる。
ステップYにおいて、複数の一次ビームビーム角78が評価され、テレセントリシティ誤差が求められる。例として、一次ビームの平均ビーム角が求められ、平均ビーム角からの各一次ビームの相対偏差が求められる。第1の実施形態のように、ステップTにおけるビーム角の決定は、選択一次ビームについて実施することができ、他の一次ビームのビーム角は、例えばモデル仮定によりそこから導出することができる。続いて、マルチビーム顕微鏡1の制御ユニット10に供給される情報が、求められたテレセントリシティ誤差から導出される。この情報は、例えば第1又は第2の偏向器701又は703等の補償器又はマルチビーム顕微鏡1のさらなる能動素子に対する制御変数を含み得る。一例では、制御変数は、変位ステージ600の傾斜又は試料7のくさび角を補償するために変位ステージ600に対する制御信号を含む。一例では、制御変数は、対物レンズ102又はビーム分割器400に対する制御信号を含む。
湾曲像面誤差又は像面傾斜に関して、第1の実施形態による最適設定目の選択に対応するテレセントリシティ誤差は歪み収差につながる。この歪み収差は、単純な幾何学的計算を用いてステップYにおいて求めることができ、制御ユニット10に記憶することができる。デジタル画像データの後続の評価において、例えば個々のサブ視野からのデジタル画像データの合成時に、この歪み収差を考慮することができる。
ステップYにおいてテレセントリシティ誤差を一意に求めるのを容易にするために、ステップWにおいて、例えば変位ステージ600によるウェーハの多重z変位又は対物レンズ102の作動信号の多重変化により、ステップDにおける焦点位置の変更に加えて、試料表面15及び設定面101の相対位置のさらなる変更を実行することが有利であり得る。ステップWにおける異なる素子の使用は、例えばテレセントリシティ誤差の種々の原因を突き止めるという利点がある。例として、テレセントリシティ誤差は、以下の原因を有し得る:対物レンズ102の光軸の傾斜、対物レンズのコンポーネント(例えば、磁極片に対するコイル109又は114、図12参照)の傾斜、マルチビーム顕微鏡1の電磁素子を通る複数の荷電粒子ビームレットの軸外プロファイル、試料若しくはウェーハ7のくさび角、又はマルチビーム顕微鏡1の光軸105と平行ではない変位ステージ600若しくは変位ステージ600のz軸の傾斜。これらのコンポーネントのうち1つの励起又は設定を変えることにより、テレセントリシティ誤差を変化させることが可能であると共に、最小テレセントリシティ誤差のためのコンポーネントの最適設定を導出することが可能である。一次ビームのビーム角を求めることに加えて、ステップYにおいて一次ビームのzプロファイル、例えば最小スポット範囲、及び焦点領域70.1の上z位置又は焦点領域70.2の下z位置を確認することが可能である(図4参照)。焦点領域70.1の上z位置又は焦点領域70.2の下z位置の非対称性により、一次ビームの球面収差を求めることが可能である。例として、HV構造に対する分解能測定から、さらなるビーム収差、例えば非点収差又はコマ収差を求めることができる。
ステップWにおいて、マルチビーム顕微鏡の光学コンポーネントを較正するために焦点位置の変更に加えてさらなる変更をなすことができる。一例では、例えば選択画像部分のデジタル画像データの横方向画像オフセットを較正するために、第1の静電偏向器701の作動信号が変更される。一例では、全ての一次ビームの平均ビーム角を変更するため及び第2の静電偏向器703を較正するために、第2の静電偏向器703の作動信号が変更される。一例では、像面傾斜用の補償器330を較正するために、像面傾斜用の補償器330の作動信号が変更される。
一例では、第7の実施形態による第1の較正法が、変位ステージに配置され得る較正物体で実施され、マルチビーム顕微鏡1は較正物体を用いて調整される。ステップAにおいて、試料7の表面15の位置決めの代わりに、第1の平面101での較正物体の表面15の位置決めが続いて実施される。一例では、較正物体での第1の較正法に続いて、第7の実施形態による第2の較正法が試料又はウェーハ7で行われ、試料7の傾斜又はくさび角が求められる。例として、ウェーハ表面15を較正物体の表面に対して傾斜させることができる。この場合、全ての一次ビームの一定のビーム傾斜78が予想される。個別一次ビーム3のビーム傾斜が予想される一定のビーム傾斜から大幅にずれる場合、異なる収差があり、一次ビームの第1の較正又はビーム収差の補正が実行される。第7の実施形態の較正法による測定は、この場合はさらなるセンサ、例えば変位ステージ600のセンサシステム又は試料表面15と基準面との間の距離センサ等により補助することができる。
一例では、一次ビーム3のzプロファイルが求められる。例として、選択一次ビーム毎に焦点領域73のz範囲、最小スポット範囲、及び焦点領域70.1の上z位置又は焦点領域70.2の下z位置が求められる(図4参照)。求められた変数は、マルチビーム顕微鏡1の制御ユニット10に記憶され、例えば第1の実施形態による方法で最適設定面を決定するのに用いられる。
複数J個の一次ビーム3でマルチビーム粒子顕微鏡1を補正するための第7の実施形態による方法は、
A.変位ステージ600を用いて第1のz位置z1を有する第1の設定面101に物体7の表面15を位置決めするステップと、
B.i=1~Pのz位置ziを有するフォーカスシリーズに適したパラメータを求めるステップと、
C.複数L個の選択一次ビームについてi=1~Pのz位置のうち第1のz位置及びさらなる各z位置のデジタル画像データを取得して、デジタル画像データをメモリユニット290に記憶するステップと、
D.第1の設定面101を第2の又はさらなるz位置z2~zPの第2の又はさらなる設定面に変位させるステップと、
E.z位置z1~zPのそれぞれでデジタル画像データが取得されるまでステップC及びDを繰り返すステップと、
T.少なくとも2つの異なるz位置それぞれでのl番目の選択一次ビーム毎のデジタル画像データから相対横方向オフセットを求めて、2つの異なるz位置間の相対横方向オフセット及び距離からl番目の選択一次ビームの各l番目のビーム角78を求めるステップと、
Y.複数L個の選択一次ビームのL個のビーム角78を評価して、マルチビーム粒子顕微鏡1のテレセントリシティ誤差を求めるステップと
を含む。
第7の実施形態による方法では、ステップYはさらに、平均ビーム角及び平均ビーム角からの選択一次ビームのビーム角の相対偏差を求めることを含む。
第7の実施形態による方法はさらに、テレセントリシティ誤差から制御信号を計算すること、及びマルチビーム顕微鏡1の制御ユニットに制御信号を供給することを含み、制御信号は、対物レンズ102、ビーム分割器400、偏向器703、又は変位ステージ600に対する少なくとも1つの制御信号を含む。
第7の実施形態による方法はさらに、少なくとも1つの選択一次ビーム3のzプロファイルを求めることを含み、これは、選択一次ビームの最適焦点位置68、選択一次ビームの焦点領域のz範囲73、最小スポット範囲74、又は焦点領域70.1の上z位置若しくは焦点領域70.2の下z位置から選択された変数を求めて記憶することを少なくとも含む。
第1及び第7の実施形態による方法のステップは、一部重複するか又は補い合う。したがって、第7の実施形態の方法は、ステップB及びCの要素を組み合わせて、第1の実施形態の方法と並行して又は同時に実行することができる。図13は、第7の実施形態によるステップT及びYと並行した第1の実施形態による一連のステップF、G、及びHによりこれを示す。
一例では、第1の実施形態による湾曲像面誤差及び像面傾斜が、各一次ビームの最良焦点面68から求められ、平均湾曲像面及び像面傾斜からの個別一次ビームのずれが測定される。一例では、湾曲像面及び像面傾斜からの個別一次ビームの最良焦点面68のずれ又は個別一次ビームの収差は、既定の閾値より大きい。ずれは、マルチビーム顕微鏡1の制御ユニット10により測定される。例として、制御ユニット10は、続いてマルチビーム顕微鏡1の洗浄又は保守を開始させることができる。
本発明はさらに、以下の節により表すことができる。
節1。マルチビーム粒子顕微鏡で試適焦点面を設定する方法であって、マルチビーム粒子顕微鏡は、第1の複数J個の一次ビーム3を生成するマルチビーム生成デバイス305であり、第1の複数J個の一次ビーム3は格子配置で配置され、各一次ビームを走査偏向器500により像視野17の関連のサブ視野31にわたってそれぞれ偏向させることができるマルチビーム生成デバイス305と、粒子マルチ検出器209及びデータ取得デバイス280を有する検出器系200とを備え、本方法は、
A)変位ステージ600を用いて第1のz位置z1を有する第1の設定面101に物体7の表面15を位置決めするステップと、
B)i=1~Pのz位置ziを有するフォーカスシリーズに適したパラメータを求めるステップと、
C)L≦J個の選択一次ビーム3のL個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を測定するステップと、
D)第1の設定面101を第2の又はさらなるz位置z2~zPの第2の又はさらなる設定面に変位させるステップと、
E)i=1~Pのコントラスト測度K1(i)~KL(i)がz位置z1~zPのそれぞれで測定されるまでステップC及びDを繰り返すステップと、
F)コントラスト測度Kl(i)を用いてL個の選択一次ビーム3それぞれのL個の最良焦点位置68を求めるステップと、
G)L個の最良焦点位置68から湾曲像面誤差及び像面傾斜を求めて、J2≧0.9×Jの第2の複数J2個の一次ビームで既定の分解能基準が満たされるようにマルチビーム粒子顕微鏡1の最適焦点面を決定するステップと、
H)最適焦点面をマルチビーム粒子顕微鏡1の新たな第1の設定面101として記憶するステップと
を含む方法。
節2。節1に記載の方法において、ステップBは以下の要素:
-J個のサブ視野31それぞれの中で画像部分37を決定すること、
-J個のサブ視野31それぞれの画像部分37からL個の選択画像部分39.1~39.Lを選択することであり、ここでL≦Jが選ばれ、選択一次ビーム3がL個の選択画像部分39それぞれに割り当てられること、
-画像部分39内に配置されている物体7の表面15の部分のデジタル画像データの取得用のパラメータを規定すること、
-2つの連続したz位置z(1)~z(P)間それぞれで(P-1)個の増分dz(2)~zd(P)とした一連のP個のz位置z1~zPを規定すること
を含む方法。
節3。節2に記載の方法において、画像部分37は、表面状態に基づき又は物体7の表面15上の構造に基づきJ個のサブ視野31内で求められる方法。
節4。節2又は3に記載の方法において、選択画像部分の数Lは4個以上である方法。
節5。節4に記載の方法において、データ取得デバイス280は、並列に配置された複数R個の画像デジタイザ285.1~285.Rを有し、選択部分の数LはRに等しく選択される方法。
節6。節1~5のいずれか1つに記載の方法において、z位置の数Pは、P=3~P=7の範囲で規定される方法。
節7。節1~6のいずれか1つに記載の方法において、ステップBは、コントラスト測度を求める方法を規定することを含み、当該方法は、以下の方法:スペクトルプロセス、画像コントラスト、ヒストグラムプロセス、エッジフィルタ、相対分布の方法、又は勾配プロセス、のうち少なくとも1つを含む方法。
節8。節1~7のいずれか1つに記載の方法において、ステップCは、以下の要素:
-ステップBで規定されたパラメータに従って、検出器系200を用いてJ個のサブ視野31それぞれの中のL個の画像部分39のL個のデジタル画像データを取得すること、
-データ取得デバイス280で、L個の選択画像部分39.1~39.Lを評価してL個のコントラスト測度K1(i)、…、KL(i)を求めること、
-L個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を制御ユニット10に送信して、L個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を記憶すること
を含む方法。
節9。節1~8のいずれか1つに記載の方法において、ステップEはさらに、求められたコントラスト測度のそれぞれが基準を満たすか否かについてチェックすることを含み、基準が満たされない場合、少なくとも1つのさらなるz位置z(P+1)が求められた後に、そのさらなるz位置z(P+1)に第1の設定面101を変位させてステップDが繰り返され、そのさらなるz位置z(P+1)においてステップCが繰り返される方法。
節10。節1~9のいずれか1つに記載の方法において、ステップGにおいて、L個の選択一次ビーム3の上限又は下限の許容焦点ずれがさらに求められる方法。
節11。節1~10のいずれか1つに記載の方法において、ステップDにおける第1の設定面101の変位は、対物レンズ102の作動の変更又は変位ステージ600による物体7の表面15のz位置の変更又は試料電圧605の変更又は上記変更の少なくとも2つの組合わせにより実施される方法。
節12。節11に記載の方法において、対物レンズ102の作動の変更は、第1及び第2の電流の二乗和が一定であり且つ第1及び第2の電流の二乗差が変わるように2つの作動信号を変えることにある方法。
節13。節1~12のいずれか1つに記載の方法において、像面傾斜用の補償器に対する作動信号を求めること、及び像面傾斜用の補償器に作動信号を供給することをさらに含む方法。
節14。節13に記載の方法において、作動信号は、マルチビーム生成デバイス300に配置された像面傾斜用の補償器330に対する集束信号を含む方法。
節15。節1~14のいずれか1つに記載の方法において、湾曲像面誤差用の補償器に対する作動信号を求めること、及び湾曲像面誤差用の補償器に作動信号を供給することをさらに含む方法。
節16。節1~15のいずれか1つに記載の方法において、変位ベクトル59を求めることをさらに含み、複数J個の一次ビーム3の格子配置用の変位デバイスに供給される作動信号が、変位ベクトル59から求められる方法。
節17。マルチビーム粒子顕微鏡1であって、制御ユニット10と、データ取得デバイス280と、画像データメモリ290と、ビーム偏向器500とを備え、制御ユニット10及びデータ取得デバイス280は、第1の動作モードから第2の動作モードに切替え可能であるように構成され、制御ユニット10、走査偏向器500、及びデータ取得デバイス280は、第1の動作モードでマルチビーム粒子顕微鏡1の像視野17に配置された物体表面15の連続デジタル画像を確認して、当該連続デジタル画像を画像データメモリ290に記憶するよう構成され、且つ第2の動作モードでマルチビーム粒子顕微鏡1の像視野17に配置された物体表面15の選択デジタル画像データを取得し評価するよう構成されるマルチビーム粒子顕微鏡。
節18。節17に記載のマルチビーム粒子顕微鏡1において、制御ユニット10、走査偏向器500、及びデータ取得デバイス280は、第2の動作モードで節1~16のいずれか1つに記載の方法を実行するよう構成されるマルチビーム粒子顕微鏡。
節19。節17又は18に記載のマルチビーム粒子顕微鏡1において、変位ステージ600又は対物レンズ102を少なくとも含む作動系をさらに備えたマルチビーム粒子顕微鏡。
節20。節17~19のいずれか1つに記載のマルチビーム粒子顕微鏡1において、像面傾斜用の補償器330を有する少なくとも1つのマルチビーム生成デバイス305をさらに備えたマルチビーム粒子顕微鏡。
節21。節17~20のいずれか1つに記載のマルチビーム粒子顕微鏡1において、一次ビームの傾斜用の補償器703又は変位ステージ600用の傾斜デバイス610をさらに備えたマルチビーム粒子顕微鏡。
節22。節17~21のいずれか1つに記載のマルチビーム粒子顕微鏡1において、データ取得デバイス280は、並列接続された複数R個の画像デジタイザ285.1~285.Rを含み、画像デジタイザ285.1~285.Rは、第2の動作モードでL=R個の選択部分の画像データを取得してL=R個の選択部分の画像データからL=R個のコントラスト測度を計算するよう構成されるマルチビーム粒子顕微鏡。
節23。節22に記載のマルチビーム粒子顕微鏡1において、制御ユニット10はさらに、R個のコントラスト測度から像面傾斜を計算するよう構成されるマルチビーム粒子顕微鏡。
節24。節23に記載のマルチビーム粒子顕微鏡1において、マルチビーム生成デバイス305をさらに備え、マルチビーム生成デバイス305は、計算された像面傾斜用の補償器330を含み、補償器330は、一平面に格子構成の複数J個の開口332を含み、且つ動作時に格子構成の複数J個の一次ビーム3に影響を及ぼすよう構成され、複数J個の開口332のそれぞれに、動作時に開口を通過する一次ビーム336の伝播方向に焦点面を変えるよう構成された少なくとも1つの電極334が設けられ、複数の電極334は、各一次ビーム336について、各一次ビーム336の伝播方向を横断する第1の方向での座標の一次関数としての焦点面変化があるように設計及び相互接続され、各一次ビーム336の焦点面変化は、第1の方向を横断し且つ伝播方向を横断する第2の方向で一定であるマルチビーム粒子顕微鏡。
節25。複数J個の一次ビーム3でマルチビーム粒子顕微鏡1を較正する方法であって、
A)変位ステージ600を用いて第1のz位置z1を有する第1の設定面101に物体7の表面15を位置決めするステップと、
B)i=1~Pのz位置ziを有するフォーカスシリーズに適したパラメータを求めるステップと、
C)複数L個の選択一次ビームについてi=1~Pのz位置のうち第1のz位置及びさらなる各z位置のデジタル画像データを取得して、デジタル画像データをメモリユニット290に記憶するステップと、
D)第1の設定面101を第2の又はさらなるz位置z2~zPの第2の又はさらなる設定面に変位させるステップと、
E)z位置z1~zPのそれぞれでデジタル画像データが取得されるまでステップC及びDを繰り返すステップと、
T)少なくとも2つの異なるz位置それぞれでのl番目の選択一次ビーム毎のデジタル画像データから相対横方向オフセットを求めて、2つの異なるz位置間の相対横方向オフセット及びピッチからl番目の選択一次ビームの各l番目のビーム角78を求めるステップと、
Y)複数L個の選択一次ビームのL個のビーム角78を評価して、マルチビーム粒子顕微鏡1のテレセントリシティ誤差を求めるステップと
を含む方法。
節26。節25に記載の方法において、ステップYは、平均ビーム角及び平均ビーム角からの選択一次ビームのビーム角の相対偏差を求めることを含む方法。
節27。節25又は26に記載の方法において、テレセントリシティ誤差から制御信号を計算すること、及びマルチビーム顕微鏡1の制御ユニットに制御信号を供給することを含み、制御信号は、対物レンズ102、ビーム分割器400、偏向器703、又は変位ステージ600に対する少なくとも1つの制御信号を含む方法。
節28。節25~27のいずれか1つに記載の方法において、少なくとも1つの選択一次ビーム3のzプロファイルを求めることであり、選択一次ビームの最適焦点位置68、選択一次ビームの焦点領域のz範囲73、最小スポット範囲74、又は焦点領域70.1の上z位置若しくは焦点領域70.2の下z位置から選択された変数を求めて記憶することを少なくとも含む方法。
説明した実施形態、例、及び節は、結果として技術的矛盾が生じなければ、相互に完全に又は部分的に組み合わせることができる。ちなみに、説明下実施形態は、本発明とみなされるべきではない。
1 マルチビーム粒子ビームシステム
3 一次粒子ビーム
5 物体の表面上の入射場所
7 物体、ウェーハ
9 二次粒子ビーム
10 制御系
11 二次粒子の粒子ビーム経路
15 試料表面
17 像視野
21 像視野の中心
27 走査経路
31 サブ視野
33 第1の検査部位
35 第2の検査部位
37 画像部分
39 選択画像部分
41 軸方向一次ビームの焦点位置を通るy軸
43 中心
45 傾斜像面
47 下焦点面
49 上焦点面
51 z範囲又は間隔
53 同様の分解能を有する焦点を有する略同心状のリング
55 最下焦点を有するビーム
57 分解能基準を満たさない拒否された一次ビーム
59 y方向のオフセット
60 光軸又はz軸
61 中心ビーム
62 焦点面付近の一次ビームのビーム円錐
64 開口角
65 近似ビームプロファイル
68 最良焦点
70.1、70.2 焦点領域の上及び下平面
72 上限及び下限の許容焦点ずれ
73 焦点域のz範囲
74 最小スポット範囲
76.1、76.2 既定の分解能限界又は分解能基準
78 z軸に対するビーム角
80 重心光線
82 焦点面付近の傾斜一次ビームのビーム円錐
100 対物レンズ系
101 第1の平面
102 対物レンズ
103 入射場所5の格子配置
109 コイル又は第1のコイル
114 第2のコイル
116 冷却チャネル
200 検出器系
205 投影レンズ
208 静電素子
209 粒子マルチ検出器
211 検出領域を有する平面
213 二次粒子ビームの入射場所
217 入射場所の格子配置
222 一括走査偏向器
260 静電素子
280 データ取得デバイス
285 画像デジタイザ
290 メモリ
300 ビーム生成装置
301 粒子源
303 コリメーションレンズ又はコリメーションレンズ系
305 多孔装置
306 多孔プレート
307 視野レンズ又は視野レンズ装置
309 発散粒子ビーム
311 平行ビーム
313 多孔プレート
315 開口又は開孔
317 開孔の中心点
319 開孔の格子配置
323 ビーム焦点
325 中間像面
330 像面傾斜用の補償器
332 複数の開口
334 リング型電極
336 通過粒子ビーム
338 傾斜焦点面
400 ビーム分割器
460 ビーム管装置
461 ビーム管装置の第1の肢
462 ビーム管装置の第2の肢
463 ビーム管装置の第3の肢
410 第1の磁気セクタ
420 第2の磁気セクタ
500 走査偏向器
600 変位ステージ又は位置決めデバイス
605 試料電位又は試料電位の供給ライン
610 傾斜デバイス
701 第1の静電偏向器
703 第2の静電偏向器

Claims (28)

  1. マルチビーム粒子顕微鏡(1)で試適焦点面を設定する方法であって、前記マルチビーム粒子顕微鏡(1)は、第1の複数J個の一次ビーム(3)を生成するマルチビーム生成デバイス(305)であり、前記第1の複数J個の一次ビーム(3)は格子配置で配置され、各一次ビームを走査偏向器(500)により像視野(17)の関連のサブ視野(31)にわたってそれぞれ偏向させることができるマルチビーム生成デバイス(305)と、粒子マルチ検出器(209)及びデータ取得デバイス(280)を有する検出器系(200)とを備え、前記方法は、
    A)変位ステージ(600)を用いて第1のz位置z1を有する第1の設定面(101)に物体(7)の表面(15)を位置決めするステップと、
    B)i=1~Pのz位置ziを有するフォーカスシリーズに適したパラメータを求めるステップと、
    C)L≦J個の選択一次ビーム(3)のL個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を測定するステップと、
    D)前記第1の設定面(101)を第2の又はさらなるz位置z2~zPの第2の又はさらなる設定面に変位させるステップと、
    E)i=1~Pのコントラスト測度K1(i)~KL(i)が前記z位置z1~zPのそれぞれで測定されるまでステップC及びDを繰り返すステップと、
    F)前記コントラスト測度Kl(i)を用いて前記L個の選択一次ビーム(3)それぞれのL個の最良焦点位置(68)を求めるステップと、
    G)前記L個の最良焦点位置(68)から湾曲像面誤差及び像面傾斜を求めて、J2≧0.9×Jの第2の複数J2個の一次ビームで既定の分解能基準が満たされるように前記マルチビーム粒子顕微鏡1の最適焦点面を決定するステップと、
    H)前記最適焦点面を前記マルチビーム粒子顕微鏡(1)の新たな第1の設定面(101)として記憶するステップと
    を含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、ステップBは以下の要素:
    -J個のサブ視野(31)それぞれの中で画像部分(37)を決定すること、
    -前記J個のサブ視野(31)それぞれの前記画像部分(37)からL個の選択画像部分(39.1~39.L)を選択することであり、ここでL≦Jが選ばれ、選択一次ビーム(3)が前記L個の選択画像部分(39)それぞれに割り当てられること、
    -前記画像部分(39)内に配置されている前記物体(7)の前記表面(15)の部分のデジタル画像データの取得用のパラメータを規定すること、
    -2つの連続したz位置z(1)~z(P)間それぞれで(P-1)個の増分dz(2)~zd(P)とした一連のP個のz位置z1~zPを規定すること
    を含む方法。
  3. 請求項2に記載の方法において、前記画像部分(37)は、表面状態に基づき又は前記物体(7)の前記表面(15)上の構造に基づき前記J個のサブ視野(31)内で求められる方法。
  4. 請求項2又は3に記載の方法において、前記選択画像部分の数Lは4個以上である方法。
  5. 請求項4に記載の方法において、前記データ取得デバイス(280)は、並列に配置された複数R個の画像デジタイザ(285.1~285.R)を有し、選択部分の数LはRに等しく選択される方法。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の方法において、z位置の数Pは、P=3~P=7の範囲で規定される方法。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の方法において、ステップBは、コントラスト測度を求める方法を規定することを含み、前記方法は、以下の方法:スペクトルプロセス、画像コントラスト、ヒストグラムプロセス、エッジフィルタ、相対分布の方法、又は勾配プロセス、のうち少なくとも1つを含む方法。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において、ステップCは、以下の要素:
    -ステップBで規定された前記パラメータに従って、前記検出器系(200)を用いて前記J個のサブ視野(31)それぞれの中の前記L個の画像部分(39)のL個のデジタル画像データを取得すること、
    -前記データ取得デバイス(280)で、前記L個の選択画像部分(39.1~39.L)を評価してL個のコントラスト測度K1(i)、…、KL(i)を求めること、
    -前記L個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を制御ユニット(10)に送信して、前記L個のコントラスト測度K1(i)~KL(i)を記憶すること
    を含む方法。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の方法において、ステップEはさらに、求められたコントラスト測度のそれぞれが基準を満たすか否かについてチェックすることを含み、前記基準が満たされない場合、少なくとも1つのさらなるz位置z(P+1)が求められた後に、該さらなるz位置z(P+1)に前記第1の設定面(101)を変位させてステップDが繰り返され、前記さらなるz位置z(P+1)においてステップCが繰り返される方法。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の方法において、ステップGにおいて、前記L個の選択一次ビーム(3)の上限又は下限の許容焦点ずれがさらに求められる方法。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の方法において、ステップDにおける前記第1の設定面(101)の変位は、対物レンズ(102)の作動の変更又は前記変位ステージ(600)による前記物体(7)の前記表面(15)のz位置の変更又は試料電圧(605)の変更又は前記変更の少なくとも2つの組合わせにより実施される方法。
  12. 請求項11に記載の方法において、前記対物レンズ(102)の作動の変更は、第1及び第2の電流の二乗和が一定であり且つ第1及び第2の電流の二乗差が変わるように2つの作動信号を変えることにある方法。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の方法において、像面傾斜用の補償器に対する作動信号を求めること、及び前記像面傾斜用の補償器に前記作動信号を供給することをさらに含む方法。
  14. 請求項13に記載の方法において、前記作動信号は、前記マルチビーム生成デバイス(300)に配置された像面傾斜用の補償器330に対する集束信号を含む方法。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載の方法において、湾曲像面誤差用の補償器に対する作動信号を求めること、及び前記湾曲像面誤差用の補償器に前記作動信号を供給することをさらに含む方法。
  16. 請求項1~15のいずれか1項に記載の方法において、変位ベクトル(59)を求めることをさらに含み、前記複数J個の一次ビーム(3)の前記格子配置用の変位デバイスに供給される作動信号が、前記変位ベクトル(59)から求められる方法。
  17. マルチビーム粒子顕微鏡(1)であって、制御ユニット(10)と、データ取得デバイス(280)と、画像データメモリ(290)と、ビーム偏向器(500)とを備え、前記制御ユニット(10)及び前記データ取得デバイス(280)は、第1の動作モードから第2の動作モードに切替え可能であるように構成され、前記制御ユニット(10)、前記走査偏向器(500)、及び前記データ取得デバイス(280)は、前記第1の動作モードで前記マルチビーム粒子顕微鏡(1)の像視野(17)に配置された物体表面(15)の連続デジタル画像を確認して、該連続デジタル画像を前記画像データメモリ(290)に記憶するよう構成され、且つ前記第2の動作モードで前記マルチビーム粒子顕微鏡(1)の像視野(17)に配置された物体表面(15)の選択デジタル画像データを取得し評価するよう構成されるマルチビーム粒子顕微鏡。
  18. 請求項17に記載のマルチビーム粒子顕微鏡(1)において、前記制御ユニット(10)、前記走査偏向器(500)、及び前記データ取得デバイス(280)は、前記第2の動作モードで請求項1~16のいずれか1項に記載の方法を実行するよう構成されるマルチビーム粒子顕微鏡。
  19. 請求項17又は18に記載のマルチビーム粒子顕微鏡(1)において、変位ステージ(600)又は対物レンズ(102)を少なくとも含む作動系をさらに備えたマルチビーム粒子顕微鏡。
  20. 請求項17~19のいずれか1項に記載のマルチビーム粒子顕微鏡(1)において、像面傾斜用の補償器(330)を有する少なくとも1つのマルチビーム生成デバイス(305)をさらに備えたマルチビーム粒子顕微鏡。
  21. 請求項17~20のいずれか1項に記載のマルチビーム粒子顕微鏡(1)において、一次ビームの傾斜用の補償器(703)又は前記変位ステージ(600)用の傾斜デバイス(610)をさらに備えたマルチビーム粒子顕微鏡。
  22. 請求項17~21のいずれか1項に記載のマルチビーム粒子顕微鏡(1)において、前記データ取得デバイス(280)は、並列接続された複数R個の画像デジタイザ(285.1~285.R)を含み、該画像デジタイザ(285.1~285.R)は、前記第2の動作モードでL=R個の選択部分の画像データを取得して前記L=R個の選択部分の前記画像データからL=R個のコントラスト測度を計算するよう構成されるマルチビーム粒子顕微鏡。
  23. 請求項22に記載のマルチビーム粒子顕微鏡(1)において、前記制御ユニット(10)はさらに、前記R個のコントラスト測度から像面傾斜を計算するよう構成されるマルチビーム粒子顕微鏡。
  24. 請求項23に記載のマルチビーム粒子顕微鏡(1)において、マルチビーム生成デバイス(305)をさらに備え、該マルチビーム生成デバイス(305)は、計算された像面傾斜用の補償器(330)を含み、該補償器(330)は、一平面に格子構成の複数J個の開口(332)を含み、且つ動作時に格子構成の複数J個の一次ビーム(3)に影響を及ぼすよう構成され、前記複数J個の開口(332)のそれぞれに、動作時に前記開口を通過する一次ビーム(336)の伝播方向に焦点面を変えるよう構成された少なくとも1つの電極(334)が設けられ、該複数の電極(334)は、各一次ビーム(336)について、該各一次ビーム(336)の伝播方向を横断する第1の方向での座標の一次関数としての焦点面変化があるように設計及び相互接続され、前記各一次ビーム(336)の前記焦点面変化は、前記第1の方向を横断し且つ前記伝播方向を横断する第2の方向で一定であるマルチビーム粒子顕微鏡。
  25. 複数J個の一次ビーム(3)でマルチビーム粒子顕微鏡(1)を較正する方法であって、
    A)変位ステージ(600)を用いて第1のz位置z1を有する第1の設定面(101)に物体(7)の表面(15)を位置決めするステップと、
    B)i=1~Pのz位置ziを有するフォーカスシリーズに適したパラメータを求めるステップと、
    C)複数L個の選択一次ビームについてi=1~Pのz位置のうち第1のz位置及びさらなる各z位置のデジタル画像データを取得して、該デジタル画像データをメモリユニット(290)に記憶するステップと、
    D)前記第1の設定面(101)を第2の又はさらなるz位置z2~zPの第2の又はさらなる設定面に変位させるステップと、
    E)前記z位置z1~zPのそれぞれでデジタル画像データが取得されるまでステップC及びDを繰り返すステップと、
    T)少なくとも2つの異なるz位置それぞれでのl番目の選択一次ビーム毎の前記デジタル画像データから相対横方向オフセットを求めて、2つの異なるz位置間の前記相対横方向オフセット及びピッチから前記l番目の選択一次ビームの各l番目のビーム角(78)を求めるステップと、
    Y)前記複数L個の選択一次ビームのL個の前記ビーム角(78)を評価して、前記マルチビーム粒子顕微鏡(1)のテレセントリシティ誤差を求めるステップと
    を含む方法。
  26. 請求項25に記載の方法において、ステップYは、平均ビーム角及び該平均ビーム角からの前記選択一次ビームの前記ビーム角の相対偏差を求めることを含む方法。
  27. 請求項25又は26に記載の方法において、前記テレセントリシティ誤差から制御信号を計算すること、及び前記マルチビーム顕微鏡(1)の制御ユニットに前記制御信号を供給することを含み、該制御信号は、対物レンズ(102)、ビーム分割器(400)、偏向器(703)、又は変位ステージ(600)に対する少なくとも1つの制御信号を含む方法。
  28. 請求項25~27のいずれか1項に記載の方法において、少なくとも1つの選択一次ビーム(3)のzプロファイルを求めることであり、選択一次ビームの最適焦点位置(68)、選択一次ビームの焦点領域のz範囲(73)、最小スポット範囲(74)、又は焦点領域(70.1)の上z位置若しくは焦点領域(70.2)の下z位置から選択された変数を求めて記憶することを少なくとも含む方法。
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