以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態の冷蔵庫を前方から見た斜視図であり、図2は、図1のA−A線断面概念図である。
図1及び図2に示すように、本発明を適用した冷蔵庫1は、最上部に6℃前後の冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室2、最下部に6℃前後の冷蔵温度帯の貯蔵室である野菜室5がそれぞれ配置され、冷蔵室2と野菜室5との間には、これらの両室と断熱的に仕切られた0℃以下の冷凍温度帯(例えば、約−20℃〜−18℃の温度帯)の冷凍室である製氷室3a,急冷凍室3b、および冷凍室4が、図2に示すように、それぞれ仕切り壁k1,k2,k3により区画され配置されている。
冷蔵庫1は、前面に冷蔵室2、製氷室3a、急冷凍室3b、冷凍室4および野菜室5の前面開口部を閉塞する断熱構成の扉6〜10が設けられ、扉6〜10を除く外周筐体部は、鋼板製の外箱11と樹脂製の内箱との間に外気との断熱を図るウレタン発泡断熱材及び真空断熱材(図示せず)を有し構成されている。
冷蔵室2の前面開口部を閉塞する冷蔵室扉6(6a,6b)は、観音開き式の両開きの扉で構成されており、一方、製氷室3aの前面開口部を閉塞する製氷室扉7,急冷凍室3bの前面開口部を閉塞する急冷凍室扉8、冷凍室4の前面開口部を閉塞する冷凍室扉9、および野菜室5の前面開口部を閉塞する野菜室扉10は、貯蔵室内の容器がともに引き出される引き出し式の扉によって構成されている。
冷蔵庫1には、上記冷凍および冷蔵を行うための冷凍サイクルが、圧縮機,凝縮器,キャピラリチューブおよび冷媒の気化熱を奪い冷却源となる蒸発器、そして、再び圧縮機の順に接続し構成されている。
この冷却源となる蒸発器は、冷凍室3,4の後方に設置され、送風ファンによって、蒸発器の冷気が、製氷室3a、急冷凍室3b、冷凍室4に送られるとともに、冷蔵温度以下になると閉塞する開閉可能なダンパ装置を介して、冷蔵室2および野菜室5の各貯蔵室へと送られている。なお、冷気は、各貯蔵室を冷却した後に循環される冷気の循環構造を有しており、冷蔵室2、製氷室3a、急冷凍室3b、冷凍室4および野菜室5が、温度センサを用いた制御装置による温度制御によって、所定の温度に維持されている。
図1のB−B線断面図の図3に示すように、冷蔵室扉6aは、支軸S1を中心に回転自在に支持されており、飲み物等を入れるポケット状の半透明の樹脂成型のドア収納6a1が内部側に突設されるとともに、その裏面には、ねじりコイルバネの付勢力およびガイドにより揺動自在に構成された回転仕切り6a2が設けられている。
この回転仕切り6a2は、冷蔵室扉6a,6bの閉塞時(図1参照)には左側の冷蔵室扉6aに沿った位置で冷蔵室扉6a,6b間からの冷気の漏出を防止し、一方、冷蔵室扉6aの開放時には冷蔵室扉6aの厚み方向(二点鎖線で示す)に回動し利用者の邪魔にならにないように構成されている。
また、右側の冷蔵室扉6bは、支軸S2を中心に回動自在に支持されており、飲み物等を入れるポケット状の半透明の樹脂成型のドア収納6b1が内部側に突設されている。
図3に示す気体の状態を変化させる気体調節室(以下、減圧室13という)は、真空ポンプ12により、内部の空気が吸引され、0.7気圧(70kPa)等に減圧される気体調節室であり、食品の酸化防止、野菜類の鮮度維持等に特別な空気雰囲気を醸成している。
なお、0.7気圧より気圧が高い、例えば、0.8気圧(80kPa)にすれば、外部の大気圧との差圧が低くなるため、減圧室13の強度を低くでき、また、真空ポンプ12の能力を低くすることが可能である。
図3に示すように、冷蔵室扉6bを閉じた状態において、冷蔵室扉6bのドア収納6b1と減圧室13の減圧室蓋16間には、所定のスペースが形成され、互いに接触しないように構成されている。そして、両開き扉の一方の扉である冷蔵室扉6bの幅と同じかそれよりも狭い幅の箱状で減圧室13は構成されている。
図4は、減圧室13の構成を斜め前上方から見た斜視図である。
減圧室13は、上面および前面に開口部を有し扁平である奥方に長い略直方体状の外郭部材14と、上面を閉塞する透明な強化ガラスで形成されたガラス板Gと、前面の開口部下方の水平な支軸24S廻りに回動自在に支持されるとともに前方および後方に内部の貯蔵物を出し入れするために開閉する蓋部材である減圧室蓋16(扉)とにより外周壁が形成されている。このように外郭部材14とガラス板Gとによって収納部が構成されている。
なお、減圧室蓋16は、開く場合、後記のリンク機構により、前方に引き出されながら正立して所定距離、例えば10mm、移動後に上部が前方に回動しつつ移動して開く。
一方、減圧室蓋16が閉じる場合には後方に押し戻されながら上部が後方に回動しつつ後方に移動後、正立して所定距離移動し閉じる構成である。
外郭部材14は、ABS(アクリロニトリル,ブタジエン,スチレンを含む樹脂)、AS(アクリロニトリル,スチレンを含む樹脂)等を用いて樹脂成形され、左右側面壁14a,14b,底面壁14c,後面壁14d(図3参照)、および前面壁14eを有した上面および前面を開口した形状に形成されている。
外郭部材14の左右側面壁14a,14b、底面壁14c、後面壁14dのそれぞれの外面には、断面係数を増加し強度向上を図る補強リブhrが、直線状,格子状等に立設されている。
そして、図3に示すように、外郭部材14の左側面壁14aの外面後方には、真空ポンプ12との接続部である挿通孔のポンプ接続部14iおよび圧力スイッチと連通する圧力スイッチ接続部14jが設けられている。また、図4に示すように、左右側面壁14a,14b、および後面壁14dの内面には、補強板材15を当接させて取り付けるための取り付けリブ14hが、複数、補強板材15が当接する取り付け下面14h1を有して形成されている。
図5は、図4に示す減圧室13のC方向矢視概念図である。
図5に示すように、減圧室蓋16は、正面視において略長方形状を呈し、かつ、左右方向に細長い形状を呈している。また、減圧室蓋16には、開閉ハンドル26が設けられている。この開閉ハンドル26は、減圧室蓋16に回動自在に支持されている。
開閉ハンドル26は、利用者が手で掴んで操作する取手操作部36と棒体27と支持部28,29とを備えて構成されている。
取手操作部36は、正面視において略矩形状を呈し、減圧室蓋16の左右方向の中央に配置されている。棒体27は、減圧室蓋16の左右の幅と略同じ長さとなるように構成され、取手操作部36を貫通し、取手操作部36の左右両端から左右方向に延びている。支持部28,29は、棒体27の左右両端に固定され、後記するロック機構R(図21参照)と連結されている。
また、取手操作部36の背面側(裏面側)には、差圧抜き弁V(バルブ)が設けられている。また、取手操作部36には、差圧抜き弁Vを開閉する弁開閉部材35が設けられている。この弁開閉部材35は、左右両端に支軸35sを有し、減圧室蓋16に対して支軸35s廻りに回動自在に設けられている。
また、減圧室蓋16の背面には、減圧室蓋16の周縁に沿って四角枠形状のパッキン16p(シール部材)が設けられている。
図6は、減圧室蓋に取り付けられるパッキンを示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は(a)のJ−J線断面図、(d)は(a)のK−K線断面図、(e)は(a)のL−L線断面図である。なお、図6(b)には、仮想線(二点鎖線)で、パッキン16pが取り付けられる減圧室蓋16の上面図を示している。また、図6(b)は、減圧室蓋16がロックされて、減圧室蓋16が変形した状態を示し、また、パッキン16pについても減圧室蓋16の変形に沿うように変形させた状態を示している。
図6(a)に示すように、パッキン16pは、四角枠形状を呈し、かつ、左右方向に細長い形状を呈している。換言すると、パッキン16pは、減圧室蓋16の縁に沿う形状を有している(図5参照)。
図6(b)に示すように、パッキン16pには、周方向(全周)に沿って溝16uが形成されている。また、パッキン16pは、前後方向(減圧室蓋16の開閉方向)の厚みが左右両側から左右中央に向かって厚くなるように構成されている。また、パッキン16pは、左右方向の中央において前後方向の厚みが一定になるように構成されている。
すなわち、パッキン16pは、左右の両端部16p1において前後方向の厚みが最薄となるように構成されている。またパッキン16pは、左右の両端部16p1から左右方向の中央に向けて徐々に厚みが厚くなるように形成され、取手操作部36(図5参照)の左右両端に対応する位置16p2,16p2において厚みが最大になるように構成されている。また、取手操作部36に対応する部分のパッキン16pの厚みは、一定であり、一方の位置16p2から他方の位置16p2まで最大の厚みとなるように構成されている。
図6(c)および図6(d)に示すように、パッキン16pの溝16uは、鉛直方向(上下方向)に対して傾斜して形成されている。この溝16uより後側が一定の厚みであり、前側(減圧室蓋16側)の厚みが変化するように構成されている。
図6(e)に示すように、パッキン16pの溝16uには、ガス抜き溝16p3(ガス抜き部)が複数箇所に形成されている。すなわち、ガス抜き溝16p3は、半円状に切り欠かれ、上辺側に位置するパッキン16pの徐変部R1,R2(図6(a)参照)と厚み一定部R3(図6(a)参照)のそれぞれに1箇所形成されている。また、下辺側に位置するパッキン16pの溝16uにも、徐変部R1,R2と厚み一定部R3のそれぞれに1箇所形成されている。
なお、ガス抜き溝16p3は、溝16uが貼り付くことがなく、シール性を確保できるものであれば、本実施形態の個数や形状に限定されるものではない。また、減圧室蓋16の左右の幅が長くなるにつれてガス抜き溝16p3を増やしてもよい。
図7は、差圧抜き弁を示し、(a)は本実施形態における側面図、(b)は(a)のM−M線断面図、(c)は比較例における側面図、(d)は(c)のN−N線断面図である。
図7(a)および図7(b)に示すように、本実施形態の差圧抜き弁V(バルブ)は、径方向の中央に設けられる栓部101と、この栓部101の周囲に設けられる弾性部102と、を備えている。また、差圧抜き弁Vは、減圧室蓋16に保持される保持部103を備えている。
栓部101と弾性部102と保持部103は、シリコーンゴムなどで一体に形成されている。また、弾性部102は、先端(図示上端)に向けて形状や厚みを変えることで、栓部101よりも柔らかく(弾性変形し易く)なるように構成されている。なお、差圧抜き弁Vは、1種類のシリコーンゴムにより成形されるものに限定されず、硬度の異なる2種類の部材を組み合わせて構成してもよい。
図7(b)に示すように、本実施形態の栓部101は、断面視において略台形状の突起部101aを有している。また、突起部101aには、先端面から軸方向に向けて略円柱形状の穴部101bが形成されている。
弾性部102は、栓部101の外周に設けられ、断面視において基端から先端に向けて厚みが薄肉になる基部102aと、この基部102aの先端において径方向外側かつ逆向きに湾曲状に曲がるひれ部102bと、を有している。
また、差圧抜き孔16a(貫通孔、図8参照)の直径に相当する部分の栓部101の高さH10が弾性部102の高さの上端102cよりも低く設定されている。
これに対して、比較例の差圧抜き弁200は、図7(c)に示すように、栓部201と、弾性部202とを有している。栓部201は、径方向の中央に突起部201aが形成されている。弾性部202は、突起部201aの周囲を囲むようにひれ部202aを有している。また、差圧抜き弁200は、減圧室蓋16(図8参照)に支持される支持部203を備えている。図7(d)に示すように、突起部201aの傾斜面201cと軸方向とで成す角度βは、図7(b)に示す突起部101aの傾斜面101cと軸方向とで成す角度αよりも小さく形成されている。換言すると、突起部101aの傾斜面101cは、突起部201aの傾斜面201cよりも寝ている形状である。また、図7(d)に示すように、差圧抜き孔16a(図8参照)の直径に相当する部分の栓部201の高さH20が弾性部202の高さの上端よりも高く設定されている。
図8,図9に示すように、外郭部材14には真空ポンプ12(図3参照)で減圧した際に外部の大気圧と内部の低圧との差圧により大きな荷重がかかるため、外郭部材14内には、外郭部材14を補強するための強度の高い補強板材15が、外郭部材14の形状に沿った前面および上面が開口された略直方体の形状を有して、収容されている。
補強板材15は、例えば、1.6mm厚の鋼板等の金属板を用いて絞り加工により形成され、左右側面壁15a,15b、底面壁15c、および後面壁15dが曲面をもって連続して形成されている。また、図8に示すように、左右側面壁15a,15b、底面壁15cには、内方に突出した補強部15hが複数、形成されている。
このように、補強板材15が、曲面をもって箱状に形成されるとともに、複数の内方に突出した補強部15hを有することにより剛性が高められ、外部の大気圧と内部の低圧との差圧による大きな荷重に抗することが可能である。
また、図4,図8,図9に示すように、左右側面壁15a,15bおよび後面壁15dの上縁部には、補強板材15を外郭部材14内に保持するための矩形状の取付部15tが、突設されている。
また、図9に示すように、補強板材15の底面壁15cの両側部には、食品トレイ17をガイドするための凹状の一対の案内溝15m,15mが、前後方向(図4の紙面の左右方向)に延設されており、食品トレイ17の出し入れを円滑にしている。
上記補強板材15内に配置される食品トレイ17は、AS等の透明な樹脂成型品であり、図8,図9に示すように、両側壁17a,17b、底面壁17c、後面壁17dおよび前面壁17eを有している。
食品トレイ17の前面壁17eには、後記の補強支持部Hを配置するための凹部17fが形成されており、図8に示すように、凹部17fを形成する前面壁17eの両側面下端部には、食品トレイ17を減圧室蓋16に取付け、減圧室蓋16の開閉動作に連動させるための一対の取り付け爪17t,17tが形成されている。
この取り付け爪17t,17tは、下部が開口された半円筒状に形成されており、食品トレイ17を減圧室13内の補強板材15上に載置して減圧室蓋16の裏側の突起部16g,16g(図20参照)に係合することより、食品トレイ17を、減圧室蓋16に取付けて、減圧室蓋16の開閉動作に連動させている。
そのため、利用者は、減圧室蓋16の開閉動作に伴って引き出される食品トレイ17内を視認して、食品トレイ17内の食品を容易に取り出すことができる。
図8,図9に示すように、ガラス板Gは、十分な剛性及び強度を有する透明材料としての強化ガラスであり、透明な矩形平板状に形成されている。
このガラス板Gの周囲に取着される環状パッキングGpは、ガラス板Gと外郭部材14間の気密性を保持するための部材であり、気密性を確保するため、弾性的性質を有するゴム等の材料を用いて、内周面にガラス板Gを挿入する凹溝を有し、環状に作られる。
なお、外郭部材14内に金属製の箱状ケースを用いて、ガラス板Gを使用しない構成も適宜、選択可能である。金属製の箱状ケースを用いることにより、減圧室13の高強度化が図れる。
図10は、図4に示す減圧室13の側面に取着される鋼板製の保護板材19を取り外して要部を示す斜視図である。
図4,図10に示すように、外郭部材14の左右側面壁14a,14bの外面には、それぞれ、ガイド部材24,25(図19参照)による減圧室蓋16の前後方向(図4,図10の紙面の左右方向)の移動を水平に案内するために、減圧室13の前後方向に延在する第2案内溝20b,20bを有する案内部材(図示せず)が螺着されるとともに、ガイドローラ21a,21b(図9参照)が軸支されている。
図11から図18は、減圧室13の減圧室蓋16を閉塞状態から全開状態にする過程を示す減圧室13の右側面図であり、図19は、図11のH−H線断面図である。
なお、図11は、開閉ハンドル26が上方に引き上げられ減圧室蓋16が水平かつ前方(図9の紙面左側)に若干、引き出され移動した状態を示しており、図18は、開閉ハンドル26が上方に引き上げられ減圧室蓋16が水平かつ前方に所定距離移動した後、減圧室蓋16上部が前方に回動しつつ前方に水平に移動し減圧室蓋16が開き切り全開した状態を示している。
減圧室13の減圧室蓋16を閉塞状態から全開状態に開く場合には、図11から図18に示す過程を経るが、一方、減圧室蓋16を全開状態から閉塞状態に閉める場合には、逆に、図18から図11に示す過程を遷移する。
さらに、図4,図10,図19に示すように、減圧室13の外郭部材14の底面壁14cの下方には、左右にピニオンギア22a,22bが固定された回転同期軸23が、回転自在に支持されており、図11から図18に示す減圧室蓋16の閉塞から開放への動作または開放から閉塞への動作における左右の同期がとられている。このため、減圧室蓋16が傾くことなく、真直ぐに引き出すことができる。この構成によれば、気体調節室の蓋部材を安定して開閉させることが出来る。
又、左右にそれぞれヒンジを有する冷蔵室扉6(6a,6b)を有する冷蔵庫1で、両開き扉6の一方の扉の幅と同じかそれよりもやや狭い幅の箱状で構成された減圧室13を備え、この減圧室13は、前面が開口した開口部14e1と、この開口部14e1を閉じる減圧室蓋16と、この減圧室蓋16の左右に設けられ減圧室蓋16を前後方向に移動させるガイド部材24,25と、このガイド部材24,25の移動を同期させる同期手段(後述するラックギア24gとピニオンギア22a,22b)とを備えるように構成した。両開き扉6の一方の扉の幅と同じかそれよりも狭い幅の箱状の減圧室13を備えることによって、両開き扉6の減圧室13側の扉6bを開いた際に、減圧室蓋16を開いたときにぶつからないように安定して引き出す必要があるが、同期手段を設けることによって安定した引出しが可能となる。
又、冷蔵室扉6a,6bどうしの合わせ部には、扉間の隙間をなくすように設けられた回転仕切り6a2を両開き扉6の一方の扉6aに設け、他方の扉6bの裏側に減圧室13を設けている(図3参照)。この構成によれば、頻繁に用いる利き腕側(例えば右手側)の扉6bには回転仕切り6a2を設けないため、回転仕切り6a2が設けられていない側の両開き扉6bの裏側に減圧室13を設けることにより、減圧室13を頻繁に使用する使用者には回転仕切り6a2の回転負荷なく冷蔵室扉6bを開けて減圧室13を利用することが出来る。
図4,図10に示すように、減圧室蓋16の前後方向(図9から図16の紙面の左右方向)の移動を行うための部材としてガイド部材24,25が、減圧室13の左右に一対、設けられている。ガイド部材24,25(図19参照)は、同様な構成であるので、ガイド部材24についてのみ説明する。
ガイド部材24は、機械的性質に優れるジュラコン(ポリプラスチック(株)の登録商標)等の樹脂を用いて形成され、下面の長手方向に沿ってラックギア24gが形成されるとともに、ガイドローラ21bが案内される第1案内溝24aが、ほぼ中央部に前後方向に延設されている。このラックギア24gとピニオンギア22a,22bとでガイド部材24,25の移動を同期させる同期手段を構成している。又、ガイド部材24は気体調節室の下方に設けられているため、ガイド部材24が邪魔にならないように配置できる。
また、ガイド部材24の上部後方には、減圧室13の右側部に前方から奥方にかけて水平に延在する第2案内溝20bによって前後方向(図4,図10の紙面の左右方向)に案内されるガイドローラ24rが軸支されている。
そして、減圧室13の右側方のガイド部材24の前先端部には、減圧室蓋16が支軸24s廻りに回動自在に支持されるとともに、減圧室13の左側方のガイド部材25の前先端部には、減圧室蓋16が同様な支軸廻りに回動自在に支持されている。
こうして、ガイド部材24のガイドローラ24rが、減圧室13の右側方の第2案内溝20bによって前後方向に案内されるとともに、図4,図10,図19に示すように、ガイド部材24の第1案内溝24aが、減圧室13の右前側方のガイドローラ21bにより案内されている。
このガイド部材24と同様に、左側のガイド部材25のガイドローラ21aが、減圧室13の左側方の第2案内溝(右側の第2案内溝20bに対応)によって前後方向に案内されるとともに、図19に示すように、左側のガイド部材25の第1案内溝25aが、減圧室13の左前側方のガイドローラ21aにより案内されている。
さらに、図4,図10,図19に示すように、ガイド部材24のラックギア24gとガイド部材25のラックギア25gとが、それぞれ、減圧室13の下方に回動自在に支持される回転同期軸23に固定され同期されたピニオンギア22a,22bに噛み合って、ガイド部材24,25が、左右で同期をとられ、前後方向(図11から図18の紙面の左右方向)に移動する。
この構成により、減圧室蓋16は、減圧室13に対する図11から図18に示す開閉動作における前後方向(図11から図18の紙面の左右方向)の移動において、両側方でそれぞれ2点支持されるために水平に移動できる。
加えて、減圧室蓋16は、同期された左右のピニオンギア22a,22bによる駆動により左右の同期がとられるので、水平面内において左右で傾くことなく、円滑な往復直線運動が可能である。
以上の構成により、減圧室蓋16を安定して開閉させることが出来る。
ガイド部材24,25の支軸24s、(25s)によって下部で回動自在に支持された減圧室蓋16は、図4,図5,図10に示すように、その両側方に設けられた支軸16s廻りに開閉ハンドル26が回動自在に支持されるとともに、図5,図8に示す差圧抜き弁Vが構成されている。
この開閉ハンドル26を、利用者が把持して、減圧室蓋16の開閉操作および減圧室蓋16の閉塞時のロックが行われるとともに、差圧抜き弁Vの開閉が行われる。
なお、差圧抜き弁Vとは、減圧室13が、真空ポンプ12によって減圧された場合、減圧室13の外部の大気圧と、減圧室13の内部の減圧された圧力との差圧によって減圧室蓋16に加わる荷重が大きくなることから、何らの手段を施すことなく、人手で、直接、減圧室蓋16を開放することは不可能である。
そこで、差圧抜き弁Vによって減圧室蓋16の内外空間を挿通させ、内外圧力差を無くし差圧による荷重を解消し、減圧室蓋16を容易に開くことができるようにしている。
減圧室蓋16は、図8に示すように、閉じた際に、外郭部材14に当接する内周縁部に弾性材のパッキン16pが配設されており、該パッキン16pが外郭部材14と減圧室蓋16間のシールを行っている。
パッキン16pは、図8に示すように、その横断面が外周中央が内部側に凹むV字状の溝16uを有して環状に成型されている。これにより、減圧室蓋16と減圧室13のシール性を高めることができる。
パッキン16pが、外郭部材14に対して減圧室蓋16が多少、傾いて閉じられた場合も、溝16u内に柔軟にパッキン16pが弾性変形し、その偏りを吸収し外郭部材14と減圧室蓋16間を確実にシールすることができる。なお、パッキン16pは、減圧室蓋16に設けることなく、外郭部材14側に設けることも可能である。
図4に示すように、減圧室蓋16は、外周部16t(図5参照)が不透明なABS等の樹脂で成型され、央部16cが減圧室13内に貯蔵された食品を視認できるように透明なAS等の樹脂で成型されている。
減圧室蓋16の央部16cの両側方部16c1,16c1は、図4に示すように、開閉ハンドル26を減圧室蓋16に対して回動させる際に、開閉ハンドル26と減圧室蓋16間のスペースは、減圧室蓋16の両側方部16c1,16c1と開閉ハンドル26の棒体27の回動軌跡間の距離を、所定値以下、例えば、7mm以下となるように、開閉ハンドル26の棒体27が移動する円弧状の軌跡にほぼ沿って、外側に突出した形状に形成されている。
減圧室蓋16の中央部16c2は、図8に示すように、その外面側が、利用者の手が入り、また、開閉ハンドル26の取手操作部36が占める空間を有するように、内部側に凹む形状に形成されている。
また、図8,図12に示すように、減圧室蓋16の中央部16c2の内部側には内方に突出する形状の全面開口の上下支持部である補強支持部Hが形成されている。
図20は、図18に示す減圧室蓋16の全開状態時の減圧室蓋16を後方斜め上方から見た斜視図である。
減圧室蓋16の補強支持部Hは、図20に示すように、内部側に立設する外周上壁面H1,外周下壁面H2,両側壁面H3が連続して形成されており、外周上壁面H1,外周下壁面H2間には、複数の補強リブhrが上下方向に延在して形成されている。
また、減圧室蓋16の補強支持部Hの両側壁面H3外面には、減圧室蓋16の開閉動作に食品トレイ17を連動させるための円柱状の突起部16g,16gが形成されている。
この突起部16g,16gに食品トレイ17の一対の取り付け爪17t,17t(図8参照)を係合させて、減圧室蓋16の開閉動作に食品トレイ17を連動させて外部に引き出し、利用者が食品トレイ17内の食品を視認し易く、取り出し易いように構成されている。
図8に示すように、減圧室蓋16を閉じた場合、減圧室蓋16の内部側の補強支持部Hが、ガラス板Gの下面であって減圧室13内の外郭部材14の前面壁14eおよび減圧室13内の補強板材15の底面壁15cに当接して、減圧室13外部の大気圧と減圧室13内の低圧との差圧により、外郭部材14の前面壁14eおよびガラス板Gに上方から加わる荷重と、外郭部材14の底面壁14cに下方から加わる差圧による荷重とを支持し、これらの荷重により減圧室13の変形を抑制するように構成されている。
また、図5,図8に示すように、減圧室蓋16の中央部16c2には、差圧抜き弁Vの減圧室13内に挿通する差圧抜き孔16aが設けられるとともに、差圧抜き孔16aの周囲に弁座16zが形成されている。
ここで、弁開閉部材35が回動する支軸35sと、開閉ハンドル26が回動する支軸16s(図10,図12参照)とは同心に構成されており、開閉ハンドル26の開閉操作を、弁開閉部材35を介して差圧抜き弁Vの開閉動作に連動させるように構成している。
また、図11に示すように、減圧室蓋16の左右両側部には、開閉ハンドル26を後記の蓋ロック案内溝部材30,30で案内できるように開閉ハンドル26を所定位置に保持するハンドル保持部材37,37が、支軸37s,37s廻りに回動自在に支持され、ねじりコイルバネ32(図25参照)等により上方に付勢されている。
ハンドル保持部材37,37には、保持突起37t,37tがそれぞれ形成され、保持突起37t,37tは、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t(図12,図13,図15参照),29t(図20参照)にそれぞれ係止して開閉ハンドル26を所定位置に保持する。
図4,図11,図20に示すように、開閉ハンドル26は、アルミ棒で構成される棒体27と、該棒体27の左右両端に一方端部がそれぞれ固定される金属製の支持部28,29と、中央部に棒体27が挿通しハンドル操作に用いられる取手操作部36とを備えている。
開閉ハンドル26の左右の支持部28,29は、それぞれ中央部が、減圧室蓋16の左右の支軸16s,16s廻りに回動自在に支持されており、他方端部には、ガイドローラ28r,29rが回動自在に支持されるとともに、開閉ハンドル26を上端位置で保持するためのハンドル保持部材37に嵌合するための突起状のツメ部28tが形成されている。
図10に示すように、開閉ハンドル26は、減圧室蓋16の左右側部の支軸16s,16s廻りに回動自在に支持されており、棒体27を左右の支軸16s,16s廻りの回動軌跡の最下部に位置させた場合が、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16を閉塞しロックした状態であり、一方、図11に示すように、棒体27を左右の支軸16s,16s廻りの回動軌跡の上方に位置させた場合が、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロックを開放した状態となっている。
開閉ハンドル26の左右の支持部28,29のガイドローラ28r,29rは、それぞれに対応し減圧室13の両側部の左右側面壁14a,14bに設けられる蓋ロック案内溝部材30,30に嵌入し、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロックが行われる。
図21,図22,図23は、図11に示す減圧室13の減圧室蓋16および開閉ハンドル26の支持部28および蓋ロック案内溝部材30廻りの開閉ハンドル26をロックする過程を示す拡大図である。なお、開閉ハンドル26のロック機構Rは、支軸16s,16s、ガイドローラ28r,29r、蓋ロック案内溝部材30,30を含んで構成されている。
なお、図21は、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック開放状態を示した図であり、図22は、図23のロックの手前の状態を示した図であり、図23は、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態を示した図である。
なお、左側の蓋ロック案内溝部材30は、右側の蓋ロック案内溝部材30と同様な構成であるから、右側の蓋ロック案内溝部材30について説明し、左側の蓋ロック案内溝部材30についての説明は省略する。
図21,図22,図23に示すように、蓋ロック案内溝部材30は、例えば、樹脂成型された部材であり、ガイドローラ28rを側面視で曲線状の内側壁ガイド30aに接触させて案内するものである。
蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aは、側面視で下記の形状に形成されている。
すなわち、図21に示すように、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック開放状態における支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点30a1と支軸16s間寸法をcとし、また、図22に示すように、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック手前の支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点30a2と支軸16s間寸法をbとし、また、図23に示すように、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態における支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点30a3と支軸16s間寸法をaとすると、このa,b,c間には、
b(ロック手前の状態(図22))>a(ロック状態(図23))>c(ロック開放状態(図21))
の関係が成立する曲線で連続し、側面視で図21,図22,図23に示す内側壁ガイド30aの形状が形成されている。
この蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30a形状によって、図22に示す開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック手前の状態においては、支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点30a2と支軸16s間寸法がbと最も大きいことから、図22に示すように、支持部28のガイドローラ28rが蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aに強く当接し又はこじり、支持部28で支持される開閉ハンドル26を開閉操作する利用者に重たい感じを与え、クリック感を付与した後ロックするように、内側壁ガイド30aが形成されている。このように、減圧室蓋16が収納部(外郭部材14)に引き付けられ、パッキン16pが開口部14e1に強く押し当てられることにより、減圧室蓋16と収納部とのシール性が確保される。
すなわち、利用者が、開閉ハンドル26の取手操作部36を把持して、図22のロック手前の状態から、開閉ハンドル26の取手操作部36を下方へ押し下げ、図23に示すロック状態へ至った場合、
b(ロック手前の状態(図22))>a(ロック状態(図23))
の関係から、中立状態の支持部28のガイドローラ28rが蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aをこじる、すなわち強く当接する度合いが柔らぎ、利用者の開閉ハンドル26のロックへの移行操作において、開閉ハンドル26がロック手前の状態からロック状態に引き込まれる感触を付与するように構成されている。
そして、利用者が、開閉ハンドル26の取手操作部36を把持して、図22のロック手前の状態から、開閉ハンドル26の棒体27を上方へ持ち上げ、図21に示すロック開放状態へ至った場合、支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点と支軸16s間寸法がaであり、ロック手前の状態(図22参照)、ロック状態(図23参照)に比べ最も小さいことから、ロック手前の重たい感触の部分を一旦通過するものの、図22の状態から図21の開状態にいたる間には支持部28のガイドローラ28rが蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aに接触することなく、緩やかな感触で開閉ハンドル26の操作が行えるように、内側壁ガイド30aが形成されている。
図24は、図5に示す減圧室蓋16のF−F線断面概念図であり、図25は、図5に示す減圧室蓋16のG−G線断面概念図であり、減圧室蓋16に対して開閉ハンドル26を下方に回動して減圧室蓋16を閉塞状態近くにした場合のねじりコイルバネ32の付勢力の働きを表している。また、図26は、減圧室蓋16に対して開閉ハンドル26を回動し、ねじりコイルバネ32の付勢力が中立位置になった際の図5のG−G線断面概念図である。
図5,図24,図25に示すように、減圧室蓋16と該減圧室蓋16に支持される開閉ハンドル26との間にはねじりコイルバネ32が配設されており、該ねじりコイルバネ32は、図26に示すねじりコイルバネ32の中立位置から開閉ハンドル26を下方に回動して図23に示す減圧室蓋16のロック状態にする操作を付勢する、すなわち開閉ハンドル26を下方に付勢し、ロックする操作をアシストしている。
また、図26に示すねじりコイルバネ32の中立位置から、開閉ハンドル26を上方に回動して図21に示す減圧室蓋16のロック開放状態にする操作の範囲においては、開閉ハンドル26を上方に付勢し、開く操作をアシストしている。
図27は、減圧室蓋16に対して開閉ハンドル26を上方に回動した際のねじりコイルバネ32の付勢力の働きを示す図5の減圧室蓋16のG−G線断面概念図である。
図25,図26,図27に示すように、開閉ハンドル26は、減圧室蓋16の支軸16s廻りに回動自在に支持されており、図26に示すバネ力中立位置においては、開閉ハンドル26の回動支点の支軸16sとねじりコイルバネ32の付勢力とが同一直線状となって、開閉ハンドル26の回動支点の支軸16sとねじりコイルバネ32の付勢力間のウデの長さが0になり、開閉ハンドル26には、ねじりコイルバネ32の付勢力は働かない。
これに対して、図25に示すように、図26に示すバネ力中立位置より、開閉ハンドル26が下方に回動した場合には、ねじりコイルバネ32の白抜き矢印で表す付勢力までの開閉ハンドル26の回動支点の支軸16sからのウデの長さがu1となり、開閉ハンドル26にねじりコイルバネ32の下方への付勢力が働き、付勢力により下向きのモーメントが加わる。
一方、図27に示すように、図26に示すバネ力中立位置より、開閉ハンドル26が上方に回動した場合には、ねじりコイルバネ32の白抜き矢印で表す付勢力までの開閉ハンドル26の回動支点の支軸16sからのウデの長さがu2となり、開閉ハンドル26にねじりコイルバネ32の上方への付勢力が働き、付勢力により上向きのモーメントが加わる。
ここで、ねじりコイルバネ32が、開閉ハンドル26を上方へ回動させる付勢力は、開閉ハンドル26の自重を上回り、利用者が開閉ハンドル26から手を離した場合にも、開閉ハンドル26がねじりコイルバネ32の付勢力により上方に回動するように構成されている。
開閉ハンドル26における取手操作部36(図28参照)は、利用者が開閉ハンドル26を操作する場合の握り部の機能と、差圧抜き弁Vの開閉をガイドする機能とを有している。
図28は、図5のD−D線断面図であり差圧抜き弁Vの開弁状態を示し、図29は、差圧抜き弁Vの閉弁途中を示した図5のD−D線断面に相当する図を示し、図30は、差圧抜き弁Vの閉弁状態を示した図5のD−D線断面に相当する図を示す。なお、図28乃至図30において、(a)は本実施形態、(b)は比較例である。また、(a)と(b)とでは、差圧抜き弁V,200の形状が異なるだけで、その他の構成についてはどちらも同じ構成である。
図28(a)に示すように、差圧抜き弁Vの開弁状態では、開閉ハンドル26が支軸35sを支点として紙面時計回り方向に回動して、差圧抜き弁Vの栓部101が差圧抜き孔16aから抜け出ている。また、差圧抜き弁Vは、弾性部102が弁座16zから離間して、減圧室13の内部と外部とが差圧抜き孔16aを介して連通する。
このように開弁することで、図28(a)の太い矢印で示すように、圧力差により外部の大気が減圧された減圧室13内に侵入し差圧が解消され、減圧室蓋16を開く際の減圧室蓋16に加わる差圧による荷重が無くなり、スムーズに減圧室蓋16を開くことができる。
そして、図28(a)の状態から、開閉ハンドル26が支軸35sを支点として紙面反時計回り方向に回動した場合には、図29(a)に示すように、差圧抜き弁Vの栓部101が差圧抜き孔16a(テーパ16a1)に接触する前に弾性部102のひれ部102b(図7(b)参照)が弁座16zに接触する。
そして、図29(a)の状態から、開閉ハンドル26が支軸35sを支点として紙面反時計回り方向にさらに回動して減圧室蓋16を閉塞しロックした場合には、図30(a)に示すように、差圧抜き弁Vの栓部101の傾斜面101c(図7(b)参照)の全体が差圧抜き孔16aの開口縁部のテーパ16a1に接触するとともに、弾性部102が径方向外側に弾性変形しながら弁座16zに接触する。このように、弾性部102のひれ部102b(図7(b)参照)が弁座16zに密着することで、差圧抜き孔16aが密閉される。
このとき、図31(a)に示すように、差圧抜き弁Vの栓部101の傾斜面101cと、差圧抜き孔16aのテーパ16a1とは、平行ではなく、傾斜面101cがテーパ16a1のエッジ16a2に接触するように互いの角度が異なるように設定されている。すなわち、図31(a)において模式的に示すように、差圧抜き弁Vの栓部101の傾斜面101cの軸方向Gに対する傾斜角度αは、差圧抜き孔16aのテーパ16a1の軸方向Gに対する傾斜角度γよりも大きく形成されている。このように構成することにより、栓部101の傾斜面101cをテーパ16a1のエッジ16a2に確実に接触させることができるようになり、栓部101と差圧抜き孔16aとの間に隙間が形成されるのを防止でき、減圧ができなくなるといった不具合を防止できる。
ところで、図28(b)の比較例に示すように、差圧抜き弁200の開弁状態では、開閉ハンドル26が支軸35sを支点として紙面時計回り方向に回動して、差圧抜き弁200の栓部201が差圧抜き孔16aから抜け出ており、また、弾性部102が弁座16zから離間して、減圧室13の内部と外部とが差圧抜き孔16aを介して連通する。そして、図28(b)の状態から、開閉ハンドル26が支軸35sを支点として紙面反時計回り方向に回動した場合には、図29(b)に示すように、差圧抜き弁200のひれ部202bが弁座16zに接触する前に弾性部202が差圧抜き孔16a(テーパ16a1)に接触する。そして、図29(b)の状態から、開閉ハンドル26が支軸35sを支点として紙面反時計回り方向にさらに回動して減圧室蓋16を閉塞しロックした場合には、図30(b)に示すように、差圧抜き弁200の栓部201の傾斜面201c(図7(c),(d)参照)が差圧抜き孔16aの開口縁部に当接し、弾性部202が弁座16zに押し付けられる。
比較例では、図31(b)に示すように、差圧抜き弁200の栓部201の傾斜面201cと、差圧抜き孔16aの開口縁部のテーパ16a1とは、ほぼ平行に形成されている。また、比較例では、弾性部202が弁座16zに接触するよりも先に、栓部201が差圧抜き孔16aに接触することがあるため、栓部201が差圧抜き孔16aに接触したときに、栓部201と差圧抜き孔16a(テーパ16a1)との間に隙間が形成され、弾性部202(ひれ部202a)が弁座16zに接触していない場合(図29(b)参照)、減圧ができなくなる。
そこで、本実施形態では、差圧抜き弁Vを閉弁状態にする際に、柔らかい部分である弾性部102(ひれ部102b)が栓部101よりも先に減圧室蓋16(弁座16z)に接触することで、差圧抜き孔16aを確実に塞ぐことができる。また、栓部101の傾斜面101cの角度とテーパ16a1の角度とを異なるようにして、傾斜面101cがテーパ16a1のエッジ16a2に当たることで、差圧抜き孔16aを栓部101で確実に塞ぐことができる。
また、本実施形態では、図7(b)に示すように、差圧抜き孔16aの直径に相当する部分の栓部101の高さH10が弾性部102の高さの上端102cよりも低く設定されている。このように構成することで、弾性部102(ひれ部102b)を栓部101よりも先に差圧抜き孔16aに接触させることができ、差圧抜き孔16aを確実に密閉することができる。
図32は、開閉ハンドル26の支持部28のツメ部28tが、減圧室蓋16のハンドル保持部材37の保持突起37tに係止して、開閉ハンドル26の下方への回動を阻止している状態を示す概念的右側面図であり、図33は、開閉ハンドル26の支持部28のツメ部28tが、減圧室蓋16のハンドル保持部材37の保持突起37tとの係止が外され、開閉ハンドル26の下方への回動の阻止が解除されている状態を示す概念的右側面図である。
図32,図33に示すように、外郭部材14の両側部には、突起状のハンドル保持解除部材39,39が固定されている。
図32に示すように、減圧室蓋16が減圧室13の外郭部材14から所定距離、離間している場合、外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39は、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37から離れており、ハンドル保持部材37,37を押圧することはない。
この場合、減圧室蓋16の上方に付勢されるハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tが、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tに係止され、開閉ハンドル26の矢印に示す下方への回動は阻止される。
そして、図32の白抜き矢印に示すように、減圧室蓋16が閉じる方向に移動され、図33に示すように、減圧室蓋16が減圧室13の外郭部材14から所定距離内に近づいた場合、外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39が、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37を押圧して矢印a方向に回動させ、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tが、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tから外れ、開閉ハンドル26の保持が解除され、開閉ハンドル26は、矢印に示す下方への回動が自由に行える。
この結果、開閉ハンドル26を完全に下方まで回動させることが可能となり、減圧室蓋16を外郭部材14に密接させることができる。なお、ハンドル保持部材37および開閉ハンドル26の支持部28,29,ツメ部28t,29tは左右両側ではなくて片側だけに備えられていてもよい。
次に、減圧室蓋16の蓋開閉案内機構について説明する。
減圧室13は、図4,図11に示すように、その右側部に減圧室蓋16を、図11に示す閉じた状態から図18に示す開いた状態に開閉するための蓋開閉案内機構を備えている。
図4,図11に示すように、減圧室13の右側部に取り付けられる保護板材19には、前方から奥方に水平方向に延在する第1水平ガイド孔42aと、該第1水平ガイド孔に連続して奥方かつ下方に延在する第1傾斜ガイド孔42bと、該第1傾斜ガイド孔42bに連続し奥方に水平に延在する第2水平ガイド孔42cと、該第2水平ガイド孔42cに連続し奥方かつ上方に延在する第2傾斜ガイド孔42dと、該第2傾斜ガイド孔42dに連続し奥方に水平に延在する第3水平ガイド孔42eとを有する蓋開閉ガイド孔42が穿設されている。
第3水平ガイド孔42eの存在により、減圧室蓋16を閉じる場合に、閉じ間際に減圧室蓋16を、回動させることなく、真直ぐに移動して外郭部材14に当接させることができる。
図10に示すように、減圧室蓋16の開閉案内機構として、第1連結リンク43が設けられており、第1連結リンク43は、その中央軸43oで、ガイド部材24に回転自在に支持される。又、中央軸43oの奥側に挿通しているガイドローラ24rは、図10に示す第2案内溝20bに案内されて前後方向に移動する。
また、第1連結リンク43は、その一方端の先端縁が曲率を有して突き出すとともに細幅に延びる形状の方向転換突部43tが形成されており、該方向転換突部43tから中央寄りには蓋開閉ガイド孔42に案内されるガイドローラ43rが軸支されており、その他方端には軸43jの廻りに第2連結リンク44の一方端が回動自在に連結されている。
図10,図20に示すように、第2連結リンク44は、前後方向に長い寸法を有しており、他方端が、開閉ハンドル26が減圧室蓋16に回動自在に支持される支軸16sに回動自在に支持されている。
また、図4に示す減圧室13の右側部に配設される保護板材19の内面には、図10に示すV字状の方向転換ガイド部材45が固定されており、後記するように、第1連結リンク43の方向転換突部43tが、方向転換ガイド部材45のガイド面45aに案内されて、第1連結リンク43が前後方向を転換する。
図34(a)は、図11に示す減圧室蓋16を閉じるに際に減圧室蓋16が正立した状態の蓋開閉案内機構を示す概念的側面図であり、図34(b)は、減圧室蓋16を開き最大傾斜させた状態の蓋開閉案内機構を示す概念的側面図である。
図34(a),図34(b)に示すように、減圧室蓋16を閉じる際の減圧室蓋16の正立時、および、減圧室蓋16を開いた際の減圧室蓋16の傾斜時ともに、第2連結リンク44が支持される支軸16s(A)点および軸43j(B)点、また、第1連結リンク43が支持される中央軸43o(C)点および軸43j(B)点の(A),(B),(C)の3点が略一直線状に位置する。そのため、蓋開閉力Fが加えられた場合、第1連結リンク43に回転モーメントが働き難くなり、蓋開閉力Fが、ガイド部材24に設けられている(C)点に真っ直ぐ伝達されるので、ガイド部材24が水平に移動する。従って、減圧室蓋16は回転しないで、正立ないし傾斜したままの状態を保って水平に移動することができる。
なお、減圧室蓋16の開閉案内機構は、減圧室13の右側部にのみ設けられ、左側部に設けられていない。なお、減圧室蓋16の開閉案内機構は、右側部に設けず、左側部に設けてもよい。
次に、前記構成の減圧室蓋16の開閉案内機構による減圧室蓋16の開閉過程について説明する。
ここで、減圧室蓋16は、図10,図19、および図20に示すように、ガイド部材24の支軸24sおよび同様なガイド部材25の支軸に回動自在に支持されるとともに、支軸16sで第2連結リンク44と回動自在に支持されている。
従って、減圧室蓋16は、ガイド部材24の支軸24sと第2連結リンク44との支軸16sが相対的に同じ水平移動を行えば、回動することなく、水平に移動することになる。
図4,図10,図34(a)に示すように、減圧室蓋16を閉じた状態において、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の水平に延在する第3水平ガイド孔42eに位置するとともに、第1連結リンク43の中央軸43oがガイド部材24のガイドローラ24rと同心にあり図10に示す第2案内溝20bに案内されており、第1連結リンク43に連結する第2連結リンク44が、図示する位置にある。
続いて、図10に示すように、利用者が、開閉ハンドル26の取手操作部36を持って、矢印に示すように、上方に開閉ハンドル26を回動させて、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロックを解除する。
そして、図11に示すように、利用者が、開閉ハンドル26の取手操作部36(図4参照)を持ち、開閉ハンドル26を矢印で表した前方(図11の紙面左側)に引くと、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の水平に延在する第3水平ガイド孔42e内を前方(図11の紙面左側)に案内されるとともに、第1連結リンク43の中央軸43oがガイド部材24のガイドローラ24rと同心にあり、図10に示す第2案内溝20bに案内され前方(図11の紙面左側)に前方に移動し、第1連結リンク43は、傾くことなく前方(図11の紙面左側)に移動する。
この場合、第1連結リンク43は、ガイド部材24,25と同じく水平に前方に向かって同じ距離を移動するため、第1連結リンク43と、軸43jで連結される第2連結リンク44は、第1連結リンク43と等距離、同方向に移動する。
そのため、ガイド部材24,25と第1連結リンク43とで支持される減圧室蓋16は、回動することなく、前方(図11の紙面左側)に、ガイド部材24,25および第1連結リンク43と等距離水平方向に前方に移動する。
このように、減圧室蓋16が開く場合に、減圧室13の外郭部材14と傾くことなく所定距離、水平方向に離れ、逆に、減圧室蓋16が閉じる場合に、減圧室13の外郭部材14と傾くことなく水平方向に近づき、当接する。
そのため、減圧室蓋16のパッキン16pが、外郭部材14と傾くことなく離れ、また、外郭部材14と傾くことなく近づき当接するので、パッキン16pが外郭部材14にこじられることがなく、ほぼ均一に当接されるのでシール性能が高い。また、パッキン16pの劣化を防止することができる。
続いて、利用者が、開閉ハンドル26を前方(図11の紙面左側)に引くと、図12に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oがガイド部材24のガイドローラ24rと同心にあり、図10に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図12の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第2傾斜ガイド孔42dにより前方かつ下方に案内される。
この場合、図12に示すように、ガイド部材24,25は、前方に水平に移動するが、第1連結リンク43は、ガイドローラ43rが下方に傾き、第2連結リンク44が連結される軸43jは上方に移動する。
すると、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように回動しつつ前方に移動する。
さらに、図12の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図12の紙面左側)に引くと、図13に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図10に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図13の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43の方向転換突部43tが方向転換ガイド部材45のガイド後面45a1に案内されつつ第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第2水平ガイド孔42c(図11参照)内を移動する。
この過程において、第1連結リンク43は、ガイドローラ43rが下方に傾き、第2連結リンク44が連結される軸43jは上方に移動する。
すると、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように回動しつつ前方に移動する。
続いて、図13の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図13の紙面左側)に引くと、図14に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図10に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図14の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43の方向転換突部43tが方向転換ガイド部材45の凹状のガイド底面45a2に案内されるとともに第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第2水平ガイド孔42c内を移動し、第1連結リンク43が直立状態になる。
この過程において、第2連結リンク44が連結される軸43jは上方に移動し、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように回動しつつ前方に移動する。
このように、減圧室蓋16が傾斜することで、減圧室13内の食品等を見易くなるとともに、減圧室蓋16を完全に引き出さなくとも減圧室13内の食品等を取り出せる。
さらに、図14の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図14の紙面左側)に引くと、図15に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図10に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図15の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43の方向転換突部43tが方向転換ガイド部材45のガイド前面45a3に案内されるとともに第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第2水平ガイド孔42c内を移動し、第1連結リンク43が方向転換突部43t廻りに回動し方向転換する。
この過程において、第2連結リンク44が連結される軸43jは前方に移動し、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように開きつつ前方に移動する。
続いて、図15の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図15の紙面左側)に引くと、図16に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図10に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図16の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第1傾斜ガイド孔42b内を移動し、第1連結リンク43が方向転換突部43t側を中心として、さらに回動する。
この過程において、第2連結リンク44が連結される軸43jは上方に移動し、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように回動しつつ前方に移動する。
さらに、図16の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図16の紙面左側)に引くと、図17に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図10に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図17の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の水平方向に延在する第1水平ガイド孔42aを案内され移動し、第1連結リンク43が回動して水平になり前方に移動する。
この過程において、第2連結リンク44が連結される軸43jは前方に移動するとともに、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように開き切り、ガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第1水平ガイド孔42aに入った時点で開く動作が停止する。
そして、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第1水平ガイド孔42a(図11参照)に移動した後は、第1連結リンク43とガイド部材24とは、等距離前方に移動するので、減圧室蓋16は開き切った状態で前方(図17の紙面左側)に移動する。
続いて、図17の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図17の紙面左側)に引くと、図18に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図10に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図18の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第1水平ガイド孔42a内を案内され移動して、ガイド部材24の第1案内溝24aの縁部24a1に減圧室13の右前側方のガイドローラ21bが当接し、減圧室蓋16は開き切った状態での前方(図18の紙面左側)への移動が停止し、減圧室蓋16は全開状態となる。
以上が、蓋開閉案内機構を用いた減圧室蓋16の開く動作である。
図18に示す減圧室蓋16が全開状態から、図11に示す減圧室蓋16を閉じる過程は、前記の過程を逆に遷移して行われる。
ここで、図18に示すように、減圧室13が冷蔵室2などの下部に配置された場合等を考慮して、二点鎖線で示す減圧室13の底面と開閉ハンドル26間に利用者の手指の入るスペースを確保するために、減圧室蓋16の上端近傍で、利用者が開閉ハンドル26を持って減圧室蓋16の開閉操作を行う構成としている。
次に、減圧室蓋16のロック開閉動作について説明する。
図35(a)は、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態からロックを解除して、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16を開く操作を示す右側面図であり、図35(b)から図35(d)は、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態からロックを解除して、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16を開く操作を開始する開閉ハンドル26廻りの機構の遷移を示す概念的側面図である。
図35(a)に示すように、減圧室蓋16で減圧室13を閉じて開閉ハンドル26によって減圧室蓋16をロックしている場合、開閉ハンドル26は、減圧室蓋16の下部に位置する。
開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態から減圧室蓋16を開く動作は、矢印α1に表すように、開閉ハンドル26を完全に一旦、上端まで持ち上げてロックを解除し、矢印α2に表すように、開閉ハンドル26を前方(図35(a)の紙面左側)に引き出す必要がある。
この過程を、図35(b)から図35(d)を用いて、説明する。
図35(b)に示すように、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態においては、開閉ハンドル26の支持部28のガイドローラ28rが、蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aと交点30a3(図23参照)で接触しロックされている。
この場合、図35(b)に示すように、外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39が、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37を押圧しており、また、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tは上方にあり、ハンドル保持部材37,37の保持突起37tとは外れている。
この状態から、開閉ハンドル26を、図35(c)に示すように、持ち上げると、開閉ハンドル26が回動し、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tが下方に位置し、ハンドル保持部材37の保持突起37tの近くに位置する。
この場合、開閉ハンドル26は、図27に示すように、開閉ハンドル26の自重より強い力のねじりコイルバネ32の付勢力で、上昇した位置で支持されている。
続いて、利用者が、開閉ハンドル26を持って、図35(d)の白抜き矢印に示すように、手前(図35(d)の紙面左側)に引くと、減圧室蓋16は直立状態で前方(図35(d)の紙面左側)に移動し、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37が、減圧室13本体側の外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39から離れ、互いの係合が解除される。
そのため、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37は、ねじりコイルバネ等の弾性材で上方へ付勢されているので、上方に回動し、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tが、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tに係止し、開閉ハンドル26の下方への回動にロックがかかり、開閉ハンドル26が上端位置でロックされる。
こうして、開閉ハンドル26が上端位置でロックされたまま、図11〜図18に示すように、手前(図18の紙面左側)の全開位置まで引き出される。
次に、減圧室蓋16を開いた状態から、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16を閉じロックする動作について、説明する。
図36(a)は、減圧室蓋16が開いた状態から、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16をロックする動作を示す右側面図であり、図36(b)から図36(d)は、減圧室蓋16が開いた状態から開閉ハンドル26によって減圧室蓋16をロックする過程の開閉ハンドル26廻りの機構の遷移を示す概念的側面図である。
図36(a)に示すように、開閉ハンドル26は、減圧室蓋16が全開状態から、矢印β0に示すように、後方(図36(a)の紙面右側)に戻された後、開閉ハンドル26に何らかの機構が設けられていない場合には、破線矢印β1に示すように、開閉ハンドル26は戻されることになる。
この場合には、開閉ハンドル26の両側部の支持部28,29(図5および図36(b)参照)のガイドローラ28r,29rが、両側部の蓋ロック案内溝部材30,30内に入らないので、減圧室蓋16を閉じることが不可能になる。
従って、開閉ハンドル26は、その支持部28,29のガイドローラ28r,29rが、破線矢印β2に示すように、蓋ロック案内溝部材30,30内に入る上端位置に保持した状態で、減圧室蓋16が閉じられるように次のように構成している。
前述の図35(d)に示したように、減圧室蓋16を減圧室13から所定距離離れた際に、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tが、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tに係止し、開閉ハンドル26の下方への回動にロックがかかり、開閉ハンドル26が上端位置でロックされる。
そして、この位置より、減圧室蓋16が減圧室13から離れた減圧室蓋16の開閉動作においては、減圧室13本体側の外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39から、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37が離れているので、ハンドル保持解除部材39,39によって押圧されることはない。
そのため、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tが、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tに係止し、ロックされ、開閉ハンドル26が上端位置で保持された状態で、減圧室蓋16の開閉動作が行われる。
そして、減圧室蓋16が開き開閉ハンドル26が上端位置で保持された状態から、図36(b)の白抜き矢印に示すように、減圧室蓋16を閉じるため、減圧室蓋16が後方(図36(b)の紙面左側)に移動された場合、開閉ハンドル26の支持部28,29のガイドローラ28r,29rが、蓋ロック案内溝部材30,30内に入る。
そして、開閉ハンドル26の支持部28,29のガイドローラ28r,29rが蓋ロック案内溝部材30,30内に入った後、図36(c)に示すように、減圧室蓋16が、閉じられるため、減圧室13の外郭部材14にさらに近づくと、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37が、減圧室13本体側の外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39に押圧され、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tの開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tとの係止が外され、開閉ハンドル26が上下動作可能となる。
そして、図36(d)に示すように、利用者が開閉ハンドル26を押し下げて、開閉ハンドル26の支持部28,29のガイドローラ28r,29rが蓋ロック案内溝部材30、30で案内され、開閉ハンドル26で減圧室蓋16を引き込み、減圧室蓋16を減圧室13本体側の外郭部材14にロックする。
ところで、開閉ハンドル26を押し下げることによって、ロック機構Rによって減圧室蓋16の左右両側が外郭部材14に対して引き込まれるので、減圧室蓋16の左右両側が変形する。このとき、減圧室蓋16は、図6(b)に示すように、左右両側が変形度合いが大きくなる。また、減圧室蓋16の左右方向の中央は、取手操作部36が取り付けられており、補強リブhr(図20参照)が設けられているため、変形度合いが左右両側よりも小さくなる。すなわち、減圧室蓋16は、左右両側が最も変形し、そこから左右中央に向けて変形度合いが小さくなり、左右中央では取手操作部36の幅において変形度合いが小さくなる。このため、従来のように、減圧室蓋16に取り付けるパッキンの厚みが左右方向において均一であると、減圧室蓋16の左右両側でのシール性が強くなり過ぎ、左右中央でのシール性が弱くなり、シール性が左右方向において不均一になる。これによって、減圧室蓋16と収納部(外郭部材14、ガラス板G)とのシール性が左右方向の中央において損なわれ、減圧ができなくなるという不具合が発生する。
そこで、本実施形態では、パッキン16pの前後方向(開閉方向)の厚みを、減圧室蓋16の変形度合いに応じて変化させること、つまり減圧室蓋16の変形度合いの大きいところでパッキン16pの厚みを薄くし、減圧室蓋16の変形度合いの小さいところでパッキン16pの厚みを厚くすることで、減圧室蓋16と収納部の開口部14e1との間におけるシール性を均一にできる。これにより、確実にパッキン16pを外郭部材14に対して当接して良好なシール性を確保できる。
また、本実施形態では、パッキン16pの厚みが、取手操作部36の左右両端に向かって増加するように形成されているので、減圧室蓋16の変形度合いに対応させることができ、シール性をより均一にできる。
また、パッキン16pは溝16uを備えているので柔軟であり、ハンドルでロックをする際にも、凹部を完全に押しつぶさない範囲までしか押し込まないように設定することで、ハンドルをロックする力が過大になることはなく、軽快にロック動作を行うことができる。また、パッキン16pの溝16uには、ガス抜き溝16p3が形成されているので、溝16uが貼り付くのを防止することができる。
この減圧室蓋16が閉じられた後、例えば図示しない操作スイッチをユーザが押すか、あるいは冷蔵室扉6bが閉じられて図示しないドアスイッチがオンされるなどの後、真空ポンプ12の運転が開始され、減圧室13内の空気が吸引され減圧が開始される。
減圧が開始されると、減圧室蓋16は大気圧と内部の低圧との差圧によって外側から押圧され、パッキン16pはハンドルによるロックされる力以上の押圧で外郭部材14に対して押圧される。パッキン16pの溝16uは密着して、大気圧と内部の低圧との差圧による大きな荷重により、パッキン16pが潰れて大きな面圧を生じるので、さらにシール性が良好となって、内部の負圧を維持することができる。
前記構成によれば、減圧室13の減圧室蓋16が前方に回動しつつ開かれ、かつ、減圧室13の減圧室蓋16が後側に回動しつつ閉じられるので、減圧室蓋16の開閉操作の操作性が良好であり、使い勝手が良い。
また、減圧室蓋16は、左右の同期がとられて前方または後方に移動する開閉動作が行われるので、動作信頼性が高い。
減圧室蓋16は、減圧室13の外郭部材14に正立して離間または当接するので、減圧室蓋16のパッキン16pがこじられることがなく、パッキン16pの損耗が防止されシール性能が高い。
また、前記実施形態では、気体調節室である減圧室13を例示して説明したが、本発明の構成は、冷蔵室の他、冷凍室等の貯蔵室に広汎に適用可能である。例えば、上述した実施例において、冷凍室3,4の引出し扉自体が減圧室蓋16で構成されている気体調節室でも良い。その場合は減圧室蓋16には断熱性を持たせる構成とする必要がある。