以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
[単相誘導電動機制御装置の構成および単相誘導電動機の構成の説明]
図1は、本実施形態において検査対象となる単相誘導電動機制御装置40およびこれに接続される単相誘導電動機44の構成を示す図である。本実施形態にかかる検査装置76の説明に先立ち、図1に基づいて、本実施形態において検査対象となる単相誘導電動機制御装置40の構成が説明される。
本実施形態において検査対象となる単相誘導電動機制御装置40は、単相誘導電動機44を制御するためのものである。単相誘導電動機制御装置40は、交流電源52と、共通端子54と、主巻線端子56と、始動用コンデンサ58と、補助巻線端子60と、検査用端子62と、運転用コンデンサ64と、電流制限抵抗66と、共通リレースイッチ68と、補助巻線リレースイッチ70と、主巻線リレースイッチ72と、リレー制御回路74とを備える。
交流電源52は、図示されない電源から電力の供給を受けて交流電力を供給する。本実施形態の場合、交流電源52は、周知の電源装置からなる。これにより、交流電源52は商用電源に比べて電圧値が安定した電力を供給できる。交流電源52は電極の対を有する。
共通端子54は、交流電源52の一方の電極に接続される。共通端子54は、単相誘導電動機44の主巻線46と補助巻線48とに共通に接続されるための端子である。
主巻線端子56は、交流電源52の他方の電極に接続される。主巻線端子56は、単相誘導電動機44の主巻線46に接続されるための端子でもある。
始動用コンデンサ58は、交流電源52の他方の電極に接続される。始動用コンデンサ58は、単相誘導電動機44に供給される電流の位相をずらす。始動用コンデンサ58によってその位相がずらされるので、単相誘導電動機44の始動トルクが増大する。
補助巻線端子60は、始動用コンデンサ58に接続される。補助巻線端子60は、単相誘導電動機44の補助巻線48に接続されるための端子でもある。
検査用端子62は、主巻線端子56と並列に交流電源52の他方の電極に接続される。検査用端子62は、補助巻線端子60およびこれに直列に接続される始動用コンデンサ58とも並列に交流電源52の他方の電極に接続される。検査用端子62は、単相誘導電動機制御装置40の検査の際に用いられる端子である。
運転用コンデンサ64は、単相誘導電動機制御装置40の回路のうち交流電源52から主巻線端子56までの部分と交流電源52から補助巻線端子60までの部分との間に接続される。運転用コンデンサ64は、単相誘導電動機44に供給される電流の位相をずらす。これにより、単相誘導電動機44が駆動される。
電流制限抵抗66は、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56とに接続される。これにより、交流電源52から主巻線端子56までの経路のうち運転用コンデンサ64を経由しないものには、電流制限抵抗66を経由するものとそうでないものとが存在することとなる。電流制限抵抗66は、単相誘導電動機44の始動時に単相誘導電動機44に流れる電流を制限する。これにより、単相誘導電動機44に印加される電圧が低下する。電圧が低下するので、単相誘導電動機44は始動し難くなる。電流制限抵抗66によって始動し難くなる一方で始動用コンデンサ58によって始動トルクが増大することにより、単相誘導電動機44の始動の信頼性が高まる。
共通リレースイッチ68は、交流電源52の一方の電極と共通端子54との間に接続される。共通リレースイッチ68は単相誘導電動機44への交流電力供給のための回路を開閉する。
補助巻線リレースイッチ70は、交流電源52の他方の電極と始動用コンデンサ58とに接続される。補助巻線リレースイッチ70は、始動用コンデンサ58へ交流電力を供給したりその供給を止めたりする。
主巻線リレースイッチ72は、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56とに接続される。主巻線リレースイッチ72は、交流電源52から主巻線端子56までの経路のうち運転用コンデンサ64と電流制限抵抗66と補助巻線リレースイッチ70とを経由しないものの途中に配置される。主巻線リレースイッチ72は、交流電源52から主巻線端子56までの経路のうち主巻線リレースイッチ72が接続された経路を通じての単相誘導電動機44への交流電力供給を開始したりそれを止めたりする。
リレー制御回路74は、共通リレースイッチ68と補助巻線リレースイッチ70と主巻線リレースイッチ72との開閉を制御する。
[単相誘導電動機制御装置の動作および単相誘導電動機の動作の説明]
本実施形態において検査対象となる単相誘導電動機制御装置40の動作およびこれに接続された単相誘導電動機44の動作は以下に説明される。
単相誘導電動機44の始動時には、単相誘導電動機制御装置40のリレー制御回路74は、共通リレースイッチ68及び補助巻線リレースイッチ70を閉じ、主巻線リレースイッチ72を開く。このとき、電流制限抵抗66が設けられているため、始動時に単相誘導電動機44に流れる電流が制限される。これにより、単相誘導電動機44の主巻線46に印加される電圧が低下し、単相誘導電動機44を始動させ難くなる。一方、補助巻線48に始動用コンデンサ58が接続されるので、始動用コンデンサ58が接続されていない場合に比べ、主巻線46及び補助巻線48の電流位相のずれは増大する。主巻線46及び補助巻線48の電流位相のずれが増大すると始動トルクが増大する。始動トルクが増大することによって、単相誘導電動機44は始動する。単相誘導電動機44が始動した後、リレー制御回路74は、補助巻線リレースイッチ70を開き、かつ、主巻線リレースイッチ72を閉じる。これにより、単相誘導電動機44の運転が継続される。
[検査装置の構成の説明]
図2は、本実施形態にかかる検査装置76の構成を示す図である。図2には、本実施形態において検査対象となっている単相誘導電動機制御装置40の構成も示されている。図2に基づいて、本実施形態にかかる検査装置76の構成が説明される。
本実施形態にかかる検査装置76は、単相誘導電動機制御装置40に接続された状態で用いられる。本実施形態にかかる検査装置76は、単相誘導電動機制御装置40を検査する。本実施形態における具体的な検査の内容は後述される。
本実施形態にかかる検査装置76は、共通側接続端子80と、主巻線側接続端子82と、補助巻線側接続端子84と、検査側接続端子86と、主巻線側受動素子88と、接地部90と、要件判断部92と、電源端子94,94と、共通出力端子96と、主巻線判断出力端子98と、補助巻線判断出力端子100とを備える。
共通側接続端子80は、単相誘導電動機制御装置40の共通端子54に接続されるための端子である。主巻線側接続端子82は、単相誘導電動機制御装置40の主巻線端子56に接続されるための端子である。補助巻線側接続端子84は、単相誘導電動機制御装置40の補助巻線端子60に接続されるための端子である。検査側接続端子86は、単相誘導電動機制御装置40の検査用端子62に接続されるための端子である。
主巻線側受動素子88は、主巻線側接続端子82に接続される。主巻線側受動素子88は、主巻線側接続端子82を介して主巻線端子56に接続されるための受動素子である。受動素子とは、電力の消費と電力の蓄積と電力の放出とのいずれかを行う素子である。本実施形態においては、主巻線側受動素子88は、周知の抵抗器からなる。本実施形態において主巻線側受動素子88が周知の抵抗器からなるのは、単相誘導電動機制御装置40の交流電源52が供給する交流電力の周波数によらずインピーダンスが一定となることが特に望ましいためである。
接地部90は、共通側接続端子80および主巻線側受動素子88に接続される。接地部90は、共通側接続端子80が共通端子54に接続されるとその共通端子54を介して交流電源52の一方の電極を接地することとなる。接地部90は、主巻線側受動素子88も接地する。本実施形態においては、接地部90は、周知である1個の接地極からなる。
本実施形態の場合、要件判断部92は、共通側接続端子80と、主巻線側接続端子82と、補助巻線側接続端子84と、検査側接続端子86と、電源端子94,94と、共通出力端子96と、主巻線判断出力端子98と、補助巻線判断出力端子100とに接続される。本実施形態の場合、要件判断部92は、単相誘導電動機制御装置40の主巻線端子56と補助巻線端子60と検査用端子62(ひいては交流電源52の他方の電極)とに主巻線側受動素子88を介さず接続されるものである。要件判断部92は、次に述べられる判断をするためのものである。本実施形態の場合、その判断は、所定の要件が満たされるか否かの判断である。この要件は、交流電源52の他方の電極から主巻線端子56までの区間の電力供給および交流電源52の他方の電極から補助巻線端子60までの区間の電力供給に関する要件である。その要件の詳細な説明は後述される。
要件判断部92は、主巻線要件判断部110と、補助巻線要件判断部112と、基準電圧設定部114とを有している。
主巻線要件判断部110は、主巻線側受動素子88と並列に主巻線側接続端子82に接続される。主巻線要件判断部110は、検査側接続端子86にも接続される。これにより、主巻線要件判断部110は、主巻線端子56と交流電源52の他方の電極とに接続されることとなる。主巻線要件判断部110は、接地部90によって接地されている。主巻線要件判断部110は、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧が所定の閾値を上回るか否かを判断する。
補助巻線要件判断部112は、接地部90によって接地されている。補助巻線要件判断部112は、補助巻線側接続端子84と検査側接続端子86とに接続される。補助巻線側接続端子84および検査側接続端子86が補助巻線端子60および検査用端子62に接続されると、補助巻線要件判断部112は補助巻線端子60と交流電源52の他方の電極とに接続されることとなる。補助巻線要件判断部112は、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧がその区間の電力供給に関する所定の要件を満たすか否かを判断する。
基準電圧設定部114は、接地部90によって接地されている。基準電圧設定部114は、所定の対地電圧の直流電力を供給する。この電力は、主巻線要件判断部110および補助巻線要件判断部112における判断に用いられる。
電源端子94,94は、要件判断部92のうち基準電圧設定部114に電力を供給する。共通出力端子96は、図示されない装置に対して、主巻線判断出力端子98および補助巻線判断出力端子100が出力する信号を用いた制御のための電力を供給する。主巻線判断出力端子98は、共通出力端子96が電力を供給する図示されない装置に対して、次に述べられる判断の結果を示す電気信号を出力する。その判断は、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧が所定の閾値を上回るか否かを示す。補助巻線判断出力端子100は、共通出力端子96が電力を供給する図示されない装置に対して、次に述べられる判断の結果を示す電気信号を出力する。その判断は、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧が所定の閾値を上回るか否かを示す。
図3は、本実施形態にかかる要件判断部92の各部の構成を示す図である。図3に基づいて、主巻線要件判断部110と、補助巻線要件判断部112と、基準電圧設定部114との構成が説明される。
主巻線要件判断部110は、主巻線変圧器120と、主巻線整流器122と、主巻線平滑部124と、主巻線比較器126と、主巻線電圧設定抵抗128と、主巻線フォトカプラ130とを有する。なお、主巻線平滑部124と主巻線フォトカプラ130とは接地部90によって接地されている。
主巻線変圧器120は、主巻線側接続端子82を経由して供給される電力を変圧する。主巻線整流器122は、主巻線変圧器120から流れる電力を直流化する。主巻線平滑部124は、主巻線整流器122によって直流化された電力の電圧変動を抑える。主巻線比較器126は、主巻線平滑部124によって平滑化された電力の電圧と基準電圧設定部114から供給された電力の電圧とを比較する。本実施形態の場合、主巻線比較器126は、主巻線平滑部124によって平滑化された電力の電圧が基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より高ければ、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。本実施形態の場合、主巻線比較器126は、主巻線平滑部124によって平滑化された電力の電圧が基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より低ければ、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。主巻線電圧設定抵抗128は、基準電圧設定部114から供給された電力の電圧を所定の電圧となるように降圧する。その電圧は、主巻線比較器126が電気信号として出力した電力が「High」状態であることを示す電圧よりも低く、その電力が「Low」状態であることを示す電圧よりも高い。主巻線フォトカプラ130は、主巻線比較器126が出力した電気信号の電圧と主巻線電圧設定抵抗128によって降圧された電力の電圧とを比較する。本実施形態の場合、主巻線フォトカプラ130は、主巻線比較器126が出力した電気信号の電圧が主巻線電圧設定抵抗128によって降圧された電力の電圧より高ければ、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。本実施形態の場合、主巻線フォトカプラ130は、主巻線比較器126が出力した電気信号の電圧が主巻線電圧設定抵抗128によって降圧された電力の電圧より低ければ、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。
補助巻線要件判断部112は、補助巻線電圧範囲判断部150と、補助巻線側受動素子152とを有している。補助巻線電圧範囲判断部150は、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧が所定の閾値を上回るか否かを判断する。補助巻線側受動素子152は、主巻線端子56に接続されるための受動素子である。補助巻線側受動素子152は、補助巻線電圧範囲判断部150に直列に接続される受動素子である。
本実施形態においては、補助巻線側受動素子152は、周知の抵抗器からなる。本実施形態において補助巻線側受動素子152が周知の抵抗器からなるのは、単相誘導電動機制御装置40の交流電源52が供給する交流電力の周波数によらずインピーダンスが一定となることが特に望ましいためである。
補助巻線電圧範囲判断部150は、補助巻線変圧器170と、補助巻線整流器172と、補助巻線平滑部174と、補助巻線比較器176と、補助巻線電圧設定抵抗178と、補助巻線フォトカプラ180とを有する。なお、補助巻線平滑部174と補助巻線フォトカプラ180とは接地部90によって接地されている。
補助巻線変圧器170は、補助巻線側接続端子84を経由して供給される電力を変圧する。補助巻線整流器172は、補助巻線変圧器170から流れる電力を直流化する。補助巻線平滑部174は、補助巻線整流器172によって直流化された電力の電圧変動を抑える。補助巻線比較器176は、補助巻線平滑部174によって平滑化された電力の電圧と基準電圧設定部114から供給された電力の電圧とを比較する。本実施形態の場合、補助巻線比較器176は、補助巻線平滑部174によって平滑化された電力の電圧が基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より高ければ、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。本実施形態の場合、補助巻線比較器176は、補助巻線平滑部174によって平滑化された電力の電圧が基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より低ければ、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。補助巻線電圧設定抵抗178は、基準電圧設定部114から供給された電力の電圧を所定の電圧となるように降圧する。その電圧は、補助巻線比較器176が電気信号として出力した電力が「High」状態であることを示す電圧よりも低く、その電力が「Low」状態であることを示す電圧よりも高い。補助巻線フォトカプラ180は、補助巻線比較器176が出力した電気信号の電圧と補助巻線電圧設定抵抗178によって降圧された電力の電圧とを比較する。本実施形態の場合、補助巻線フォトカプラ180は、補助巻線比較器176が出力した電気信号の電圧が補助巻線電圧設定抵抗178によって降圧された電力の電圧より高ければ、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。本実施形態の場合、補助巻線フォトカプラ180は、補助巻線比較器176が出力した電気信号の電圧が補助巻線電圧設定抵抗178によって降圧された電力の電圧より低ければ、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。
基準電圧設定部114は、超過電力供給用コンバータ200と、上限側降圧部202とを有する。
超過電力供給用コンバータ200は、接地部90によって接地される。超過電力供給用コンバータ200は、電源端子94から供給される電力を所定の対地電圧の直流電力に変換する。超過電力供給用コンバータ200は、その直流電力を、上限側降圧部202と主巻線電圧設定抵抗128と補助巻線電圧設定抵抗178とに供給する。
上限側降圧部202は超過電力供給用コンバータ200に接続される。上限側降圧部202は、周知の2個の抵抗器によって、超過電力供給用コンバータ200が強雨給した直流電力を降圧する。上限側降圧部202によって降圧された後の対地電圧の絶対値は、ゼロボルトよりも大きく、次に述べられる値よりも小さい。その値は、次に述べられる2種類の電圧のうち小さい方の電圧の絶対値である。その2種類の電圧のうち1種類目の電圧は、本実施形態にかかる検査装置76が設計通りの仕様である単相誘導電動機制御装置40を検査している際に主巻線平滑部124が供給する電力の電圧である。その2種類の電圧のうち2種類目の電圧は、本実施形態にかかる検査装置76が設計通りの仕様である単相誘導電動機制御装置40を検査している際に補助巻線平滑部174が供給する電力の電圧である。上限側降圧部202によって降圧された後の電力が主巻線比較器126と補助巻線比較器176とに供給される。
[検査手順の説明]
本実施形態にかかる検査装置76が用いられる場合の単相誘導電動機制御装置40の検査手順が説明される。
[単相誘導電動機制御装置が正常な場合]
予め、本実施形態において検査対象となる単相誘導電動機制御装置40の共通リレースイッチ68と補助巻線リレースイッチ70と主巻線リレースイッチ72とは開かれている。この単相誘導電動機制御装置40には単相誘導電動機44は接続されていない。電源端子94,94を介して、基準電圧設定部114に電力が供給されている。検査者は、この単相誘導電動機制御装置40を本実施形態にかかる検査装置76に接続する。これにより、単相誘導電動機制御装置40の共通端子54に共通側接続端子80が接続される。単相誘導電動機制御装置40の主巻線端子56に主巻線側接続端子82が接続される。単相誘導電動機制御装置40の補助巻線端子60に補助巻線側接続端子84が接続される。
単相誘導電動機制御装置40に検査装置76が接続されると、この単相誘導電動機制御装置40を検査する検査者は、交流電源52から交流電力を供給させる。その検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は共通リレースイッチ68を閉じさせる。
この状態では、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロより大きく、かつ、交流電源52が供給する交流電力の電圧より小さい。そのため、主巻線変圧器120は、主巻線側接続端子82を経由して供給される電力を変圧する。主巻線整流器122は、主巻線変圧器120から流れる電力を直流化する。主巻線平滑部124は、主巻線整流器122によって直流化された電力の電圧変動を抑える。主巻線比較器126は、主巻線平滑部124によって平滑化された電力の電圧と基準電圧設定部114から供給された電力の電圧とを比較する。この場合、主巻線平滑部124によって平滑化された電力の電圧が基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より高いので、主巻線比較器126は、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。「High」状態であることを示す電圧の電力が電気信号として出力されると、主巻線フォトカプラ130は、主巻線比較器126が出力した電気信号の電圧と主巻線電圧設定抵抗128によって降圧された電力の電圧とを比較する。この場合、主巻線比較器126が出力した電気信号の電圧が主巻線電圧設定抵抗128によって降圧された電力の電圧より高いので、主巻線フォトカプラ130は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。その電気信号は、主巻線判断出力端子98によって出力される。
一方、この状態では、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧もゼロより大きく、かつ、交流電源52が供給する交流電力の電圧より小さい。そのため、補助巻線変圧器170は、補助巻線側接続端子84を経由して供給される電力を変圧する。補助巻線整流器172は、補助巻線変圧器170から流れる電力を直流化する。補助巻線平滑部174は、補助巻線整流器172によって直流化された電力の電圧変動を抑える。補助巻線比較器176は、補助巻線平滑部174によって平滑化された電力の電圧と基準電圧設定部114から供給された電力の電圧とを比較する。この場合、補助巻線平滑部174によって平滑化された電力の電圧が基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より高いので、補助巻線比較器176は、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。「High」状態であることを示す電圧の電力が電気信号として出力されると、補助巻線フォトカプラ180は、補助巻線比較器176が出力した電気信号の電圧と補助巻線電圧設定抵抗178によって降圧された電力の電圧とを比較する。この場合、補助巻線比較器176が出力した電気信号の電圧が補助巻線電圧設定抵抗178によって降圧された電力の電圧より高いので、補助巻線フォトカプラ180は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。その電気信号は、補助巻線判断出力端子100によって出力される。
その後、検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72を閉じさせる。
この状態では、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧には変化がない。交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロとなる。そのため、主巻線変圧器120から主巻線整流器122に流れる電力の電圧もゼロとなる。主巻線平滑部124が電圧変動を抑えた電力の電圧もゼロとなる。主巻線比較器126は、主巻線平滑部124によって平滑化された電力の電圧と基準電圧設定部114から供給された電力の電圧とを比較する。この場合、主巻線平滑部124によって平滑化された電力の電圧がゼロなので、その電圧は基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より低くなる。そのため、主巻線比較器126は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。「Low」状態であることを示す電圧の電力が電気信号として出力されると、主巻線フォトカプラ130は、主巻線比較器126が出力した電気信号の電圧と主巻線電圧設定抵抗128によって降圧された電力の電圧とを比較する。この場合、主巻線比較器126が出力した電気信号の電圧が主巻線電圧設定抵抗128によって降圧された電力の電圧より低くなるので、主巻線フォトカプラ130は、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。その電気信号は、主巻線判断出力端子98によって出力される。
その後、検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72を開かせ、補助巻線リレースイッチ70を閉じさせる。
この状態では、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロより大きく、かつ、交流電源52が供給する交流電力の電圧より小さい。その結果、上述されたように、主巻線判断出力端子98は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。
一方、この状態では、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧は、ゼロとなる。そのため、補助巻線変圧器170から補助巻線整流器172に流れる電力の電圧もゼロとなる。補助巻線平滑部174が電圧変動を抑えた電力の電圧もゼロとなる。補助巻線比較器176は、補助巻線平滑部174によって平滑化された電力の電圧と基準電圧設定部114から供給された電力の電圧とを比較する。この場合、補助巻線平滑部174によって平滑化された電力の電圧がゼロなので、その電圧は基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より低くなる。そのため、補助巻線比較器176は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。「Low」状態であることを示す電圧の電力が電気信号として出力されると、補助巻線フォトカプラ180は、補助巻線比較器176が出力した電気信号の電圧と補助巻線電圧設定抵抗178によって降圧された電力の電圧とを比較する。この場合、補助巻線比較器176が出力した電気信号の電圧が補助巻線電圧設定抵抗178によって降圧された電力の電圧より低くなるので、補助巻線フォトカプラ180は、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。その電気信号は、補助巻線判断出力端子100によって出力される。
上述された電気信号が主巻線判断出力端子98および補助巻線判断出力端子100によって出力されると、検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は共通リレースイッチ68と主巻線リレースイッチ72と補助巻線リレースイッチ70とを開かせる。それらが開かせられると、検査者は、本実施形態にかかる検査装置76から単相誘導電動機制御装置40を取り外す。
[共通リレースイッチに異常がある場合]
上述された手順と同様の手順により、検査者は、単相誘導電動機制御装置40を本実施形態にかかる検査装置76に接続する。単相誘導電動機制御装置40に検査装置76が接続されると、検査者は、交流電源52から交流電力を供給させる。その検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は共通リレースイッチ68を閉じさせる。
異常があるため共通リレースイッチ68が閉じない場合、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロより大きい。その結果、主巻線平滑部124によって平滑化された電力の電圧が基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より高くなるので、主巻線判断出力端子98は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。一方、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧もゼロより大きい。その結果、補助巻線平滑部174によって平滑化された電力の電圧が基準電圧設定部114から供給された電力の電圧より高くなるので、補助巻線判断出力端子100は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。
その後、検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72を閉じさせる。
共通リレースイッチ68が閉じない場合、主巻線リレースイッチ72が閉じても交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロより大きい。その結果、主巻線判断出力端子98は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力し続ける。一方、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧もゼロより大きい。その結果、補助巻線判断出力端子100は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力し続ける。
その後、検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72を開かせ、補助巻線リレースイッチ70を閉じさせる。
共通リレースイッチ68が閉じない場合、主巻線リレースイッチ72が開き補助巻線リレースイッチ70が閉じた後、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロより大きいままである。その結果、主巻線判断出力端子98は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力し続ける。一方、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧もゼロより大きいままである。その結果、補助巻線判断出力端子100は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力し続ける。
以上の結果より、単相誘導電動機制御装置40に異常があることは明らかである。検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72と補助巻線リレースイッチ70とを開かせる。それらが開かせられると、検査者は、本実施形態にかかる検査装置76から単相誘導電動機制御装置40を取り外す。
[共通端子に接続不良がある場合]
上述された手順と同様の手順により、検査者は、単相誘導電動機制御装置40を検査する。その結果は共通リレースイッチ68に異常がある場合と同様になる。
[主巻線リレースイッチに異常がある場合]
上述された手順と同様の手順により、検査者は、単相誘導電動機制御装置40を本実施形態にかかる検査装置76に接続する。単相誘導電動機制御装置40に検査装置76が接続されると、検査者は、交流電源52から交流電力を供給させる。その検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は共通リレースイッチ68を閉じさせる。
この状態では、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロより大きく、かつ、交流電源52が供給する交流電力の電圧より小さい。その結果、上述されたように、主巻線判断出力端子98は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。
一方、この状態では、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧もゼロより大きく、かつ、交流電源52が供給する交流電力の電圧より小さい。その結果、上述されたように、補助巻線判断出力端子100は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。
その後、検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72を閉じさせる。
異常があるため主巻線リレースイッチ72が閉じない場合、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロより大きいままである。その結果、主巻線判断出力端子98は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力し続ける。一方、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧もゼロより大きいままである。その結果、補助巻線判断出力端子100は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力し続ける。
その後、検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72を開かせ、補助巻線リレースイッチ70を閉じさせる。
主巻線リレースイッチ72が閉じない場合、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロより大きく、かつ、交流電源52が供給する交流電力の電圧より小さいままである。その結果、主巻線判断出力端子98は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力し続ける。一方、この状態では、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧は、ゼロとなる。その結果、補助巻線判断出力端子100は、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。
以上の結果より、単相誘導電動機制御装置40に異常があることは明らかである。検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72と補助巻線リレースイッチ70とを開かせる。それらが開かせられると、検査者は、本実施形態にかかる検査装置76から単相誘導電動機制御装置40を取り外す。
[主巻線端子に接続不良がある場合]
上述された手順と同様の手順により、検査者は、単相誘導電動機制御装置40を検査する。その結果は 主巻線リレースイッチ72が閉じない場合と同様になる。
[補助巻線リレースイッチに異常がある場合]
上述された手順と同様の手順を経て、検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72を開かせ、補助巻線リレースイッチ70を閉じさせる。
異常があるため補助巻線リレースイッチ70が閉じない場合、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧は、ゼロとなる。その結果、主巻線判断出力端子98は、「High」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力する。一方、この状態では、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧は、ゼロより大きく、かつ、交流電源52が供給する交流電力の電圧より小さいままである。その結果、補助巻線判断出力端子100は、「Low」状態であることを示す電圧の電力を電気信号として出力し続ける。
以上の結果より、単相誘導電動機制御装置40に異常があることは明らかである。検査者は、リレー制御回路74を制御する。これにより、リレー制御回路74は主巻線リレースイッチ72と補助巻線リレースイッチ70とを開かせる。それらが開かせられると、検査者は、本実施形態にかかる検査装置76から単相誘導電動機制御装置40を取り外す。
[補助巻線端子に接続不良がある場合]
上述された手順と同様の手順により、検査者は、単相誘導電動機制御装置40を検査する。その結果は補助巻線リレースイッチ70に異常がある場合と同様になる。
[効果の説明]
本実施形態にかかる検査装置76によれば、単相誘導電動機制御装置40についての電力供給に関する検査にあたり振動および騒音のいずれかの発生を抑制できる。
また、本実施形態にかかる検査装置76において、主巻線要件判断部110は、交流電源52の他方の電極と主巻線端子56との間の電圧が所定の要件を満たすか否かを判断する。その要件は、交流電源52の他方の電極から主巻線端子56までの区間についての要件である。補助巻線要件判断部112は、交流電源52の他方の電極と補助巻線端子60との間の電圧が所定の要件を満たすか否かを判断する。その要件は、交流電源52の他方の電極から補助巻線端子60までの区間についての要件である。その結果、単相誘導電動機制御装置40についての2種類の区間について電力供給に関する所定の要件が満たされるか否かの判断が可能になる。
また、本実施形態にかかる検査装置76において、補助巻線要件判断部112が補助巻線側受動素子152を有している。これにより、次に述べられる場合に比べ、交流電源52の他方の電極から補助巻線端子60までの区間についての電圧に関する状態は、実際に単相誘導電動機44が単相誘導電動機制御装置40に接続されている状態に近くなる。その場合とは、補助巻線要件判断部112が補助巻線側受動素子152を有していない場合である。その結果、補助巻線電圧範囲判断部150の判断は、実際に単相誘導電動機44が単相誘導電動機制御装置40に接続されている場合についての判断に近くなる。
[変形例の説明]
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではない。もちろん、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよい。
例えば、要件判断部92の構成は上述したものに限定されない。要件判断部92は補助巻線要件判断部112を有していなくてもよい。補助巻線要件判断部112の構成は上述したものに限定されない。
要件判断部92において判断されるのは、交流電源52の他方の電極から主巻線端子56までの区間および交流電源52の他方の電極から補助巻線端子60までの区間の電力供給に関する要件であればよい。それらの区間の電圧が所定の閾値を超えるか否かに、要件判断部92において判断される要件は限定されない。
本発明にかかる検査装置76が検査対象とする単相誘導電動機制御装置40において、交流電源52の具体的な形態は特に限定されない。例えば、その具体的な形態は、商用電源が供給する交流電力をそのまま供給するものであってもよい。
主巻線側受動素子88、および、補助巻線側受動素子152の具体的な構成は、1個の抵抗器に限定されない。それは、受動素子であればよい。ただし、それは、単相誘導電動機制御装置40の交流電源52が供給する交流電力の周波数が一定の場合にはインピーダンスが一定となる受動素子であることが望ましい。
接地部90の構成は、単一の接地極のみからなるものに限定されない。例えば、接地部は、互いに異なる場所に配置される複数個の接地極を有していてもよい。この場合、主巻線側受動素子88および共通端子54は、それら複数個の接地極のいずれかに接続されることで、接地部に接続されることとなる。