JP6541103B2 - 吸音パネルを備えるブロック状吸音構造体 - Google Patents
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Description
さらに、特許文献2には、上方から吊り下げられたワイヤをワイヤ挿入孔に挿入した状態で、当該ワイヤをワイヤアンカー部材で固定することにより、複数枚の吸音パネルを少なくとも縦方向に連続して配列可能とする構成の吸音パネルセットが開示されている。この吸音パネルセットによれば、吸音パネルを壁面に固定したり、吸音パネルを据え付けるための骨格構造を設置したりすることなく、複数枚の吸音パネルを上方から吊り下げるだけで、一面に容易に設置することができる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、大規模な防音構造を簡素で容易かつ安定的に設置することを可能とする、吸音パネルを用いた構造体を提供することを目的とする。
前記構成によれば、骨格構造体の少なくとも1つの側面には、吸音性能に優れる吸音パネルが取り付け可能であるとともに、骨格構造体を構成する骨格部材に、立設板部を有する板部保有骨格部材が含まれている。そのため、骨格部材同士を組み合わせて骨格構造体を構成するときに、立設板部の方向を所望の方向に特定することで、骨格構造体を組み立てやすくしたり骨格構造体の構造を安定化させたりすることができる。しかも、ブロック状吸音構造体を複数隣接させて固定したり建築物または地面等に固定したりする際には、立設板部を固定用途に活用することができる。それゆえ、建築物等の周囲に配置させ、必要に応じてブロック状吸音構造体を適宜隣接させた上で、立設板部を締結部材等で締結するだけで、建築物等の周囲に容易かつ安定的に防音構造を構築することができる。
前記構成のブロック状吸音構造体においては、前記吸音パネルは、表側に配置され、音波を吸収して内部に透過させる音波吸収板と、裏側に配置され、表側から透過した前記音波を反射させる反射板と、前記音波吸収板と前記反射板との間に配置され、前記音波を干渉させて減衰させる音波干渉構造体と、前記音波吸収板、前記音波干渉構造体、および前記反射板を重ね合わせた状態でその周囲を保持し、かつ、前記音波吸収板を表側に向けて進退動自由に支持する型枠と、を備えている構成であってもよい。
また、前記構成のブロック状吸音構造体においては、複数の前記ブロック状吸音構造体を隣接して配置させたときに、前記骨格部材の端面同士を連結する、継手部材を備えている構成であってもよい。
また、前記構成のブロック状吸音構造体においては、前記骨格構造体の各側面のうち、吸音の対象となる音発生源に近い側面を内側面とし、当該内側面よりも前記音発生源から遠い側面を外側面としたときに、前記吸音パネルは、少なくとも、前記骨格構造体の前記外側面において前記骨格構造体の内側に吸音面が面するように取り付けられている構成であってもよい。
また、前記構成のブロック状吸音構造体においては、前記パネル部材には、開閉可能な扉を有するもの、および、外光または外気を取り入れ可能な窓を有するものの少なくとも一方が含まれる構成であってもよい。
さらに、本発明には、前記構成のブロック状吸音構造体を構築可能とする吸音構造体構築セットであって、複数の前記骨格部材と、少なくとも1枚のパネル部材と、前記骨格部材同士を締結する締結部材と、を少なくとも含み、前記骨格部材には前記板部保有骨格部材が含まれるとともに、前記パネル部材には前記吸音パネルが含まれる構成の吸音構造体構築セットも含まれる。
[ブロック状吸音構造体]
図1に示すように、本発明に係るブロック状吸音構造体10は、直方体形状を有しており、壁のように地面Gの上に立設して配置される。このブロック状吸音構造体10は、少なくとも骨格構造体11およびパネル部材により構成されている。パネル部材は、本実施の形態では、吸音パネル20が用いられている。なお、図1では、上方の図が上面(天面)図であり、上面図の下方が正面図であり、正面図の右側が側面図である。また、以下の説明では、便宜上、ブロック状吸音構造体10を単に「吸音構造体10」と略す。
骨格構造体11は、複数の骨格部材12,13により構成されている。この骨格部材12,13は、図2(a),(b)に示すように、中空で矩形断面を有する棒状であればよいが、本実施の形態では、標準的な角棒状(もしくは四角筒状)の骨格部材12と、その側面に立設板部13aを有する板部保有骨格部材13が用いられている。板部保有骨格部材13は、基本的には骨格部材12と同様の角棒状(四角筒状)であるが、その側面に板状に延伸する立設板部13aが設けられている。立設板部13aは、板部保有骨格部材13の本体(角棒状)の四つの角部のうち、一つの角部から外部に延伸するように立設されている。立設板部13aと立設の基準となる側面(基準側面)とは互いに直角を形成している。
立設板部13aの構成を板部保有骨格部材13の矩形断面に基づいて説明すれば、例えば、矩形を構成する4辺のうちの1辺を「特定辺」とすると、立設板部13aは、この「特定辺」のみが外部に延伸したような形状となっている。あるいは、立設板部13aは、矩形断面の「特定辺」において、当該「特定辺」の両端の角部のうち一方の角部から外側に延伸して、当該「特定辺」に対して直角を形成するように立設する構成ということもできる。
骨格部材12および板部保有骨格部材13の本体は、中空の矩形断面を有する棒状に構成されていればよいが、基本的には、図1、図2(a)および図2(b)に示すように、正方形状の断面を有していればよい。もちろん、骨格部材12,13または骨格構造体11に要求される諸条件に応じて、長方形状の断面を有してもよい。また、骨格部材12,13の材質および寸法等の諸条件は特に限定されず、吸音構造体10を構成可能な公知の材質で公知の寸法により形成されればよい。本実施の形態では、骨格部材12,13のいずれもアルミニウムまたはその合金製で構成されている。
骨格構造体11は、骨格部材12,13を複数、互いに直角方向となるように連結して柱形状に組み立てることにより構成される。吸音構造体10は、鉛直方向(地面Gに直交する方向)を縦方向とし、水平方向(地面Gに沿った方向)を横方向とすれば、図1に示すように、吸音構造体10の正面側に縦方向に5本の長い板部保有骨格部材13が設けられている。また、図示しない背面側にも縦方向に5本の骨格部材12,13が設けられているが、これらのうち、中央の1本と両側の2本とが板部保有骨格部材13であり、これらに挟まれる2本が標準の骨格部材12である。なお、これら2本の骨格部材12も板部保有骨格部材13に置き換えられてもよい。
吸音構造体10の両側面には、縦方向に2本ずつの板部保有骨格部材13が設けられており、これら板部保有骨格部材13の上端同士および下端同士、並びに中央部同士は、横方向に1本ずつの短い板部保有骨格部材13が連結されている。また、吸音構造体10の正面側(および図1には図示しない背面側)では、隣接する板部保有骨格部材13と骨格部材12との中央部同士が横方向に1本ずつの短い板部保有骨格部材13で連結されている。
このように、本実施の形態では、骨格構造体11は、縦断面も横断面も長方形状である直方体形状であるが、本発明はこれに限定されず、骨格構造体11は、横断面が正方形状であってもよい。すなわち、本発明に係る骨格構造体11は四角柱形状であればよく、具体的な四角柱としては、縦断面および横断面のいずれも長方形状の直方体形状であってもよいし、縦断面および横断面のいずれか一方が正方形状の直方体形状であってもよいし、立方体形状であってもよい。さらに、骨格構造体11は四角柱形状に限定されず、三角柱等の他の柱形状であってもよい。
吸音パネル20は、骨格部材12,13に固定されることにより、骨格構造体11の側面に取り付けられている。吸音パネル20の具体的な構成は特に限定されず、公知の構成を好適に用いることができるが、代表的には、図2(a)および図2(b)に示すように、パネル表側に配置され、音波を吸収して内部に透過させる音波吸収板21と、パネル裏側に配置され、パネル表側から透過した音波を反射させる反射板23と、音波吸収板21と反射板23との間に配置され、音波を干渉させて減衰させる音波干渉構造体22と、これらを支持する型枠24とを備えている。型枠24は、音波吸収板21、音波干渉構造体22、および反射板23を重ね合わせた状態でその周囲を保持し、かつ、音波吸収板21を表側に向けて進退動自由に支持している。
音波吸収板21、音波干渉構造体22、および反射板23、並びに型枠24の具体的な構成は特に限定されず、公知の構成を好適に用いることができる。代表的には、本発明者による先行特許出願である特許文献1:特許3522583号公報、もしくは、特開2014−015797号公報(参考文献)に開示される構成を好適に用いることができる。これら特許文献1および参考文献に記載される内容は、本明細書において参考として援用される。
なお、本実施の形態では、骨格構造体11に取り付けられるパネル部材は吸音パネル20のみであるが、吸音構造体10の用途等に応じて吸音パネル20以外の公知のパネル部材が取り付けられてもよい。また、吸音パネル20のパネル表側(表面)は吸音面Aとなっているが、本実施の形態に例示する吸音構造体10では、図2(a)および図2(b)においてブロック矢印Aで示すように、吸音面Aは吸音構造体10の内側に面している。
本発明では、骨格構造体11を構成する骨格部材12,13として立設板部13aを有する板部保有骨格部材13が用いられている。例えば、図2(a)および図2(b)に示すように、骨格構造体11を組み立てる時に、立設板部13aが内側に位置するように板部保有骨格部材13を矩形状に配置すれば、互いに隣接する板部保有骨格部材13においてそれぞれ立設板部13aの端部同士が重なった状態となる。そこで、立設板部13aの端部同士をボルト−ナット等の締結部材31で固定することにより、隣接する板部保有骨格部材13同士を連結固定することができる。
また、図2(a)に示すように、板部保有骨格部材13の立設板部13aが、吸音パネル20のパネル裏面側を支持するように、骨格構造体11が組み立てられてもよい。これにより、立設板部13aで吸音パネル20のパネル裏面側が支持できるだけでなく、図示しない締結部材31等によって吸音パネル20を骨格構造体11に固定することもできる。
さらに、図2(a)に示すように、吸音構造体10の側面において板部保有骨格部材13の立設板部13aが外側に位置するように、骨格構造体11が組み立てられてもよい。吸音構造体10同士をその側面で隣接させるときには、立設板部13a同士が互いに重なった状態となる。それゆえ、立設板部13a同士をボルト−ナット等の締結部材31で締結して固定することにより、容易に吸音構造体10同士を側面で結合することができる。
同様に、図2(b)に示すように、吸音構造体10の上面(天面)および下面(底面)において板部保有骨格部材13の立設板部13aが外側に位置するように、骨格構造体11が組み立てられてもよい。この場合、吸音構造体10同士を上下に積み重ねるときには、立設板部13a同士が互いに重なった状態となる。それゆえ、立設板部13a同士を締結部材31で締結して固定することにより、容易に吸音構造体10同士を上限に結合することができる。
さらに図示しないが、吸音構造体10の下面の外側に立設板部13aが位置していれば、地面G上に吸音構造体10を固定するための支持部材を設けておき、この支持部材に立設板部13aを重ねることができる。これにより、支持部材と立設板部13aとを締結部材31で締結して固定することができるので、吸音構造体10の地面G上での安定性を向上することができる。
あるいは、図1の上面図および側面図、並びに図2(b)に示すように、縦方向に設けられる板部保有骨格部材13の立設板部13aが吸音構造体10の背面側に突出するように、骨格構造体11が組み立てられてもよい。これにより、背面側の立設板部13aに、少なくとも1個(必要に応じて複数)の取付部材32を締結部材31により取り付けることができる。この取付部材32により、吸音構造体10を工場等の建築物B(図1では破線で模式的に示す)に支持することができる。吸音構造体10そのものは、図1または図2(b)等に示すように、ブロック状(柱形状)に構成されているため、そのままでも地面Gに対して安定的に設置することができる。しかも、取付部材32を介して吸音構造体10の背面を支持することで、吸音構造体10の設置状態をより一層安定化することができる。
また、板部保有骨格部材13の立設板部13aが吸音構造体10の背面側に突出している場合には、図3(a)に示すように、この立設板部13aにおける地面G側に、立設支持部材34を締結部材31により固定することもできる。図3(a)に示す立設支持部材34は、例えば略三角形状であり、控え壁のように吸音構造体10の下部に設けることになる。このような立設支持部材34を板部保有骨格部材13の立設板部13aに固定すれば、吸音構造体10の地面G上での安定性を向上することができる。
なお、立設支持部材34の具体的構成は図3(a)に示すような略三角形状に限定されず、吸音構造体10の外面に対して垂直となる方向に位置し、当該外面に固定されるとともに地面Gに固定される構成であればよい。したがって、立設支持部材34は、三角形または矩形状の平板形状であってもよいが、ブロック形状等であってもよい。
そして、特に図2(c)に示すように、継手部材33と、これに重なる板部保有骨格部材13の側面とを複数の締結部材31により締結することで、縦方向の板部保有骨格部材13同士を連結することができる。ここで、上下の吸音構造体10においては、図2(b)に示すように、横方向の板部保有骨格部材13の立設板部13a同士が重なっているので、これらも締結部材31で締結することができる。それゆえ、継手部材33を用いることで、上下の吸音構造体10において縦方向の板部保有骨格部材13と横方向の板部保有骨格部材13の双方を締結部材31で締結することが可能となる。その結果、吸音構造体10の積み重ね状態をより一層安定化することができる。
なお、前述した締結部材31、取付部材32、継手部材33の具体的な構成は特に限定されず、棒状の部材を連結したり固定したりする用途で公知の構成を好適に用いることができる。例えば、締結部材31は、前述したようにボルト−ナットで構成されればよい。また、取付部材32および継手部材33は、例えば板部保有骨格部材13と同様にアルミニウムまたはその合金製の板部材として構成されればよい。また、図2(b)および図2(c)に示す例では、継手部材33は、縦方向に隣接配置した(積み重ねた)状態の吸音構造体10同士の固定に用いているが、もちろんこれに限定されず、横方向に隣接配置した(並列した)状態の吸音構造体10同士の固定に用いてもよい。
次に、前記構成の吸音構造体10を用いた防音構造の代表的な構築例について説明する。前述したように、吸音構造体10においては、柱形状(ブロック状)の骨格構造体11のいずれの面においても吸音パネル20を取り付けることができる。特に、骨格構造体11の各側面のうち、吸音の対象となる音発生源に近い側面を内側面とし、当該内側面よりも音発生源から遠い側面を外側面としたときに、吸音パネル20は、少なくとも骨格構造体11の外側面において、当該骨格構造体11の内側に吸音面Aが面するように取り付けられていることが好ましい。
例えば、本実施の形態では、図1、図2(a)および図2(b)に示すように、直方体形状の骨格構造体11では、正面側に8枚の吸音パネル20が取り付けられており、背面側には取り付けられていない。また、正面側の吸音パネル20は、いずれもその吸音面Aが骨格構造体11の内側すなわち背面側に面している。
吸音構造体10は、それ自体が中空の柱形状(ブロック状)であるため、背面側を開口状態として、正面側に吸音パネル20を位置させることで、音発生源からの音波を内側面である背面から吸音構造体10の内部に導入し、外側面である正面に設けられる吸音パネル20で吸音することになる。これにより、騒音等を吸音構造体10の内部にトラップして吸音構造体10の外部に漏らしにくくすることができるので、防音効果を向上することができる。
さらに、吸音構造体10は、ブロック状であるためそれ自体で自立することができるので、騒音等を発する工場等の音発生源の周囲に容易に設置することができる。このとき、吸音構造体10は、積み重ね配置もしくは並列配置が容易であるため、音発生源となる工場等が大きい場合であっても、複数の吸音構造体10を積み重ねたり並列したりすることで、工場等の周囲に防音構造を容易に構築することができる。しかも、複数の吸音構造体10同士は、板部保有骨格部材13の立設板部13aにより容易に連結固定することができるので、構築された防音構造を安定的に維持することも容易となる。このとき、吸音構造体10の内側面(本実施の形態では背面)に、取付部材32を介して立設板部13aと建築物Bとをつなげれば、防音構造をより一層安定化することもできる。
加えて、吸音構造体10の外側面に位置する吸音パネル20は、パネル表側の吸音面Aを内側にパネル裏側を外側にして骨格構造体11に取り付けられるが、このとき、図2(a)に示すように、板部保有骨格部材13の立設板部13aにより吸音パネル20のパネル裏側を支持することで、吸音パネル20を安定的に固定できるだけでなく、吸音パネル20の構成等の条件によっては吸音面Aでの吸音性能の向上も期待される。
具体的には、本実施の形態で用いられる吸音パネル20は、音波吸収板21、音波干渉構造体22、および反射板23が重ね合わせられた状態で型枠24により進退動自由に支持されている構成となっている。言い換えれば、吸音パネル20の内部部材は、パネル表側に進退動自由に支持されることにより、吸音パネル20は効率的な吸音が可能となっている。それゆえ、パネル裏側を骨格構造体11(立設板部13a)で支持することにより、吸音面A側の進退動自由を容易に確保することができるので、吸音構造体10内に導入された音波を吸音パネル20により効率的に吸音することが期待される。
また、図3(b)および図3(c)に示す例では、コーナー部が2個の吸音構造体10により構成されているが、これらのうち一方の吸音構造体10では、その側面に吸音パネル20が設けられており、他方の吸音構造体10の側面が一方の吸音構造体10の背面につながることになる。これにより、建築物のコーナー部も吸音構造体10で覆うことができるので、建築物のコーナー部から漏れ出す騒音の音波も吸音パネル20により良好に吸音することができる。
ここで、建築物の周囲を吸音構造体10で囲んでしまうと、建築物の内部に人が出入りすることが難しくなる。そこで、例えば、図3(b)および図3(c)に示すように、任意の吸音構造体10の正面に、扉25aを備える扉付きパネル25を取り付けてもよい。この扉付きパネル25は、扉25a自体が吸音パネル20と同様に構成されてもよいし、吸音パネル20以外の吸音または防音構造で構成されてもよい。これにより、扉25aを介して人が内外に出入りすることができる。
同様に、建築物の周囲から光を取り入れたい場合には、採光窓26aを備える窓付きパネル26を吸音構造体10に取り付けてもよいし、換気したい場合には、換気窓27aを備える窓付きパネル27を吸音構造体10に取り付けてもよい。吸音構造体10に取り付けられるパネル部材は、前述したように吸音パネル20のみに限定されないが、図3(b)および図3(c)に示すように、パネル部材としては、開閉可能な扉25aを有するパネル、外光を取り入れ可能な窓(採光窓26a)または外気を取り入れ可能な窓(換気窓27a)を有するパネル等が含まれてもよい。
例えば、立設板部13aを柱形状の側面に沿って位置させるように骨格部材12,13を組み立てることができる。これにより、図3(b)に示すように複数の吸音構造体10を横方向に並列させたり、図3(c)に示すように縦方向に積み重ねたりしたときには、隣接する側面同士において立設板部13a同士が互いに重なった状態となる。それゆえ、これら立設板部13a同士を締結部材31により締結することで、吸音構造体10同士を容易かつ安定して固定することができる。
あるいは、板部保有骨格部材13が含まれることにより、立設板部13aを外側に突出して位置させるように骨格部材12,13を組み立てることができる。これにより、図2(a)、図2(b)または図3(a)に示すように、取付け対象となる建築物等の壁面に、立設板部13aを介して吸音構造体10を固定することもできる。
それゆえ、吸音構造体10を建築物等の周囲に配置し、必要に応じて適宜積み重ねたり並列させたりした上で、吸音構造体10の立設板部13aを、取付部材32を介して建築物等に締結したり、地面上に設けられる立設支持部材34に締結したり、他の吸音構造体10の立設板部13aとともに締結したりするだけで、建築物等の周囲に容易かつ安定的に防音構造を構築することができる。
なお、吸音構造体10は、ブロック状に組み立てられたものを設置場所に運んでもよいが、現場に骨格部材12,13およびパネル部材を運び込んで吸音構造体10に組み立ててもよい。したがって、本発明には、組立済のブロック状吸音構造体10だけでなく、ブロック状吸音構造体10を構築可能とする吸音構造体構築セットも含まれる。吸音構造体構築セットの具体的な構成は特に限定されないが、複数の骨格部材12,13と、少なくとも1枚のパネル部材と、骨格部材12,13同士を締結する締結部材31と、を少なくとも含んでいればよい。
このうち骨格部材12,13には、前述した板部保有骨格部材13が含まれていればよく、パネル部材には吸音パネル20が含まれていればよい。また、本発明に係る吸音構造体10および吸音構造体構築セットにおいては、複数の骨格部材12,13は、板部保有骨格部材13のみで構成されてもよいし、他の骨格部材を含んでもよい。同様に、複数のパネル部材は吸音パネル20のみで構成されてもよいし、他のパネル部材を含んでもよい。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
11 骨格構造体
12 骨格部材
13 板部保有骨格部材
13a 立設板部
20 吸音パネル(パネル部材)
Claims (6)
- 中空で矩形断面を有する棒状の骨格部材を複数、互いに直角方向となるように連結して四角柱形状に組み立てることにより構成される骨格構造体と、
前記四角柱形状の側面となる位置で前記骨格部材に固定されることにより、当該骨格構造体に取り付けられるパネル部材と、
を備え、
当該パネル部材には、吸音パネルが含まれるとともに、前記骨格部材には、その側面の一つの角部から当該側面に対して直角を形成するように立設する立設板部を有する、板部保有骨格部材が含まれており、
前記骨格部材における前記矩形断面を構成する4辺のうちの1辺を特定辺としたときに、前記立設板部は、前記特定辺の両端の角部のうち一方の角部が外側に延伸することにより、当該特定辺に対して直角を形成するように立設しており、
当該立設板部により前記骨格構造体同士を連結固定することを特徴とする、
ブロック状吸音構造体。 - 前記吸音パネルは、
表側に配置され、音波を吸収して内部に透過させる音波吸収板と、
裏側に配置され、表側から透過した前記音波を反射させる反射板と、
前記音波吸収板と前記反射板との間に配置され、前記音波を干渉させて減衰させる音波干渉構造体と、
前記音波吸収板、前記音波干渉構造体、および前記反射板を重ね合わせた状態でその周囲を保持し、かつ、前記音波吸収板を表側に向けて進退動自由に支持する型枠と、を備えていることを特徴とする、
請求項1に記載のブロック状吸音構造体。 - 複数の前記ブロック状吸音構造体を隣接して配置させたときに、前記骨格部材の端面同士を連結する、継手部材を備えていることを特徴とする、
請求項1または2に記載のブロック状吸音構造体。 - 前記骨格構造体の各側面のうち、吸音の対象となる音発生源に近い側面を内側面とし、当該内側面よりも前記音発生源から遠い側面を外側面としたときに、
前記吸音パネルは、少なくとも、前記骨格構造体の前記外側面において前記骨格構造体の内側に吸音面が面するように取り付けられていることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載のブロック状吸音構造体。 - 前記パネル部材には、開閉可能な扉を有するもの、および、外光または外気を取り入れ可能な窓を有するものの少なくとも一方が含まれることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1に記載のブロック状吸音構造体。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のブロック状吸音構造体を構築可能とする吸音構造体構築セットであって、
複数の前記骨格部材と、少なくとも1枚のパネル部材と、前記骨格部材同士を締結する締結部材と、を少なくとも含み、
前記骨格部材には前記板部保有骨格部材が含まれるとともに、前記パネル部材には前記吸音パネルが含まれることを特徴とする、
吸音構造体構築セット。
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