以下の実施形態は、回路判定方法、回路判定システム、及びプログラムに関し、特に第1電線と第2電線と第3電線とを有する電力線に接続された分電盤に用いられる回路判定方法、回路判定システム、及びプログラムに関する。
本実施形態の回路判定方法及び回路判定システムは、分電盤に用いられ、複数の分岐回路の各々の種類を判定するための方法及びシステムである。
例えば、単相三線式の配電方式であれば、分電盤は、図1に示すように、第1電圧線41(L1)と第2電圧線42(L2)と中性線43(N)とを有する電力線4に電気的に接続される。この場合、第1電圧線41は「第1電線」を構成し、第2電圧線42は「第2電線」を構成し、中性線43は「第3電線」を構成する。
そして、分電盤は、この電力線4からの交流電力を複数(本実施形態では7つ)の分岐回路51〜57に分配する。そのため、複数の分岐回路51〜57には、第1電圧線41と第2電圧線42との一方及び中性線43に電気的に接続された「第1分岐回路」と、第1電圧線41及び第2電圧線42に電気的に接続された「第2分岐回路」との2種類が存在する。なお、以下では、複数の分岐回路51〜57をとくに区別しない場合には、複数の分岐回路51〜57の各々を「分岐回路5」ともいう。また、ここでいう「分岐回路」は、分岐ブレーカ、並びに分岐ブレーカの二次側に接続される配線路、配線器具(アウトレット、壁スイッチなど)、及び各種の機器(照明器具、調理家電など)を含んでいる。
ここで、第1電圧線41又は第2電圧線42と、中性線43との間の電圧が100〔V〕(実効値)であるとすれば、「第1分岐回路」には100〔V〕が印加され、「第2分岐回路」には200〔V〕が印加されることになる。回路判定方法及び回路判定システムは、複数の分岐回路5の各々について、このように印加電圧の異なる2種類の分岐回路(第1分岐回路、第2分岐回路)のいずれに当たるかを、自動的に判定するための方法及びシステムである。
すなわち、本実施形態の回路判定方法は、計測装置2の計測結果を用いて、複数の分岐回路5の各々が「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを判定する判定ステップを含んでいる。計測装置2は、第1電圧線41(L1)を流れる第1電流I1、第2電圧線42(L2)を流れる第2電流I2、及び複数の分岐回路5の各々を流れる分岐電流を計測する。この判定ステップでは、第1条件及び第2条件のいずれを満たすかによって、複数の分岐回路5の各々の種類を判定する。第1条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれていることである。第2条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれていることである。
また、本実施形態の回路判定システムは、図1に示すように、計測装置2と、判定装置3とを備えている。計測装置2は、第1電圧線41(L1)を流れる第1電流I1、第2電圧線42(L2)を流れる第2電流I2、及び複数の分岐回路5の各々を流れる分岐電流を計測する。判定装置3は、計測装置2の計測結果を用いて、複数の分岐回路5の各々が「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを判定する。このとき、判定装置3は、第1条件及び第2条件のいずれを満たすかによって、複数の分岐回路5の各々の種類を判定する。
ところで、近年、複数の分岐回路5の各々について、消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測値として計測する電力計測システムが普及している。一般的な電力計測システムにおいては、複数の分岐回路5の各々に印加されている電圧値と、複数の分岐回路5の各々を流れる電流値とから、複数の分岐回路5の各々での消費電力や消費電力量が求められる。そのため、複数の分岐回路5に、上述したように印加電圧の異なる2種類の分岐回路が含まれている場合、電力計測システムにおいて、消費電力や消費電力量を精度よく求めるには、複数の分岐回路5の各々の種類が正しく設定されている必要がある。つまり、複数の分岐回路5の各々について、印加電圧が100〔V〕か200〔V〕かを表す情報(以下、「電圧区分」という)が正しく設定される必要がある。
この種の電力計測システムにおいて、従来、電圧区分の設定は、ディップスイッチ等のメカニカルスイッチや専用の設定装置を用いて、分電盤や電力計測システムの施工業者が手動で行っている。ただし、施工業者が手動で設定を行う場合には、人為的ミスにより、設定し忘れたり設定を間違ったりする可能性があるため、電圧区分の設定の自動化が望まれている。
そこで、本実施形態では、複数の分岐回路5の各々の種類を自動的に判定するための回路判定方法及び回路判定システムを電力計測システムに適用し、電圧区分の設定を自動化する場合を例に、回路判定方法及び回路判定システムについて説明する。ただし、本実施形態の回路判定方法及び回路判定システムの用途は、複数の分岐回路5の各々の種類を自動的に判定する用途であればよく、電力計測システムに限らず、例えば施工状況の確認のために用いられてもよい。
以下、本実施形態の回路判定方法及び回路判定システムについて詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記の実施形態に限定されない。したがって、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態では、回路判定方法及び回路判定システムは、需要家施設において消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測するための電力計測システムに適用され、複数の分岐回路5の各々について電圧区分の設定に用いられる。ここでいう「需要家施設」は、電力の需要家の施設を意味しており、電力会社等の電気事業者から電力の供給を受ける施設だけでなく、太陽光発電設備等の自家発電設備から電力の供給を受ける施設も含む。本実施形態では、戸建住宅を需要家施設の一例として説明する。
まず、回路判定方法及び回路判定システムが適用される電力計測システム1の基本構成について、図1を参照して説明する。
本実施形態の電力計測システム1は、図1に示すように、計測装置2及び判定装置3の他、消費電力や消費電力量を演算する演算装置11と、電圧区分を記憶する記憶装置12と、電圧区分を設定する設定装置13とをさらに備えている。さらに、電力計測システム1は、複数箇所の電流を計測するために、複数の電流センサ21,22,201〜207を備えている。ここで、電力計測システム1の構成要素は、演算装置11を除き、回路判定システムの構成要素と共通である。すなわち、本実施形態の回路判定システムは、計測装置2、判定装置3、記憶装置12、設定装置13、及び複数の電流センサ21,22,201〜207を備えている。なお、複数の電流センサ21,22,201〜207は、計測装置2に含まれていてもよい。
本実施形態では、これらの電力計測システム1の構成要素(計測装置2、判定装置3、演算装置11、記憶装置12、設定装置13、及び電流センサ21,22,201〜207)は、分電盤6(図2参照)のキャビネット60(図2参照)内に収納されている。
計測装置2には、一対の(主幹用)電流センサ21,22及び複数の(分岐用)電流センサ201〜207の各々が電気的に接続されている。一対の電流センサ21,22は第1電圧線41及び第2電圧線42に一対一に対応して設けられており、複数の電流センサ201〜207は複数の分岐回路5に一対一に対応して設けられている。これにより、計測装置2では、電流センサ21の出力から第1電圧線41を流れる第1電流I1が計測可能であり、電流センサ22の出力から第2電圧線42を流れる第2電流I2が計測可能である。また、計測装置2では、複数の電流センサ201〜207の出力から、複数の分岐回路5の各々を流れる電流(以下、「分岐電流」という)を計測可能である。以下では、分岐電流を計測するための複数の電流センサ201〜207をとくに区別しない場合には、複数の電流センサ201〜207の各々を「電流センサ20」ともいう。
なお、以下では、分岐回路51を流れる分岐電流、つまり電流センサ201で計測される分岐電流を「分岐電流I11」という。同様に、分岐回路5n(nは自然数)を流れる分岐電流、つまり電流センサ20n(nは自然数)で計測される分岐電流を「分岐電流I1n」という。
判定装置3は、計測装置2と電気的に接続されており、計測装置2の計測結果を用いて、複数の分岐回路5の各々が、「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを判定する。ここでいう計測装置2の計測結果は、計測装置2での各電流(第1電流I1、第2電流I2、及び分岐電流)の計測結果であって、例えば実効値や電流波形などである。
ここで、判定装置3は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、マイコンのメモリに記録されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することにより、種々の機能を実現する。プログラムは、予めマイコンのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。なお、判定装置3の回路判定動作、すなわち回路判定方法における判定ステップについては後述する。
本実施形態では、判定装置3は、少なくとも回路判定システム(電力計測システム1)が起動(又は再起動)したとき、つまり電源が投入されたときに、複数の分岐回路5の各々の種類を判定する。判定装置3は、「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを一旦判定した分岐回路5については、以降、定期的に「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを判定するように構成されている。これにより、判定装置3は、判定に関連する処理負荷(演算負荷)を低減することができる。
演算装置11は、計測装置2と電気的に接続されており、計測装置2の計測結果を用いて、複数の分岐回路5の各々について、消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測値として計測する。計測値は、瞬時電力を表す消費電力であってもよいし、あるいは一定時間における電力の消費量(使用量)を表す消費電力量であってもよい。また、計測値は、消費電力と消費電力量との両方であってもよい。本実施形態では一例として、計測値は、消費電力を一定時間(例えば1分)積算した消費電力量であることとする。
演算装置11は、電力線4(第1電圧線41、第2電圧線42、及び中性線43)の線間電圧を監視している。演算装置11は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)からなり、線間電圧と分岐電流とを用いて演算することにより、計測値を求める。なお、演算装置11では、複数の分岐回路5の各々についての計測値だけでなく、需要家施設の総消費電力量を計測値として求める構成であってもよい。
記憶装置12は、複数の分岐回路5の各々について、「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを記憶する。言い換えれば、記憶装置12は、複数の分岐回路5の各々の電圧区分(印加電圧が100〔V〕か200〔V〕かを表す情報)を記憶する。つまり、複数の分岐回路51〜57のうち、「第1分岐回路」である分岐回路51〜54については、100〔V〕との電圧区分が対応付けて記憶され、「第2分岐回路」である分岐回路55〜57については、200〔V〕との電圧区分が対応付けて記憶される。
本実施形態では、複数の分岐回路5の各々を識別するための識別符号として回路番号(1,2,3…)が用いられ、分岐ブレーカ62の位置ごとに個別の回路番号が割り当てられる。例えば、上段の分岐ブレーカ62については、主幹ブレーカ61側から順に奇数番号(1,3,5,7…)が回路番号として割り当てられる。また、下段の分岐ブレーカ62については、主幹ブレーカ61側から順に偶数番号(2,4,6,8…)が回路番号として割り当てられる。そして、記憶装置12は、複数の分岐回路5に電圧区分(分岐回路の種類)が一対一で対応するように、識別符号(回路番号)ごとに電圧区分をテーブル形式で記憶する。なお、分岐回路5への回路番号の割り当て方は、上述した例に限らず任意に決めることができる。
記憶装置12は、演算装置11と電気的に接続されている。演算装置11では、記憶装置12に記憶されている電圧区分に応じて演算結果を補正することにより、計測値を精度よく求めることができる。
設定装置13は、記憶装置12に電気的に接続されており、記憶装置12に記憶される電圧区分を設定する。ここで、設定装置13には、判定装置3が電気的に接続されており、設定装置13は、判定装置3の判定結果を記憶装置12に書き込むように構成されている。すなわち、設定装置13は、複数の分岐回路5の各々が「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを表す、判定装置3での判定結果を受けて、記憶装置12に電圧区分の書き込みを行う。
次に、分電盤6の構成について、図2を参照して説明する。
分電盤6は、図2に示すように、電力線4に電気的に接続される主幹ブレーカ61と、主幹ブレーカ61の二次側端子に電気的に接続される複数の分岐ブレーカ62とをキャビネット60内に備えている。さらに、分電盤6は、計測ユニット63と、設定ユニット64と、電流センサ21,22と、センサユニット23,24とをキャビネット60内に備えている。
本実施形態では一例として、電力計測システム1の構成要素のうち、計測装置2及び判定装置3としての機能は、計測ユニット63に設けられている。同様に、記憶装置12及び設定装置13としての機能は、設定ユニット64に設けられ、演算装置11及び電流センサ201〜207としての機能は、センサユニット23,24に設けられている。
主幹ブレーカ61の一次側端子は、3線式(第1電圧線41、第2電圧線42、及び中性線43)の電力線4を介して、系統電源7(図1参照)に電気的に接続されている。主幹ブレーカ61の二次側端子には、L1、L2、Nの3極の導電バーが接続されている。これら3極の導電バーは、第1電圧線41(L1)、第2電圧線42(L2)、及び中性線43(N)と一対一に電気的に接続される。
複数の分岐ブレーカ62は、導電バーに接続されることにより、主幹ブレーカ61の二次側端子に電気的に接続される。なお、複数の分岐ブレーカ62は、導電バーの幅方向の両側(上段と下段)に分かれて、それぞれ複数ずつ配置されている。
ここで、複数の分岐ブレーカ62のうち、「第1分岐回路」である分岐回路51〜54に含まれる分岐ブレーカ62は、L1及びL2のいずれか一方の導電バーと、Nの導電バーとに接続されている。また、複数の分岐ブレーカ62のうち、「第2分岐回路」である分岐回路55〜57に含まれる分岐ブレーカ62は、L1の導電バーと、L2の導電バーとに接続されている。これにより、「第1分岐回路」となる分岐回路51〜54の各々は、第1電圧線41(L1)と第2電圧線42(L2)との一方、及び中性線43(N)に電気的に接続されることになる。また、「第2分岐回路」となる分岐回路55〜57の各々は、第1電圧線41(L1)及び第2電圧線42(L2)に電気的に接続されることになる。
ここにおいて、100〔V〕用の分岐ブレーカ62、つまり「第1分岐回路」に分類される分岐回路5の分岐ブレーカ62は、導電バーの上段に取り付けられた状態では、第1電圧線41と中性線43とに電気的に接続される。一方、導電バーの下段に取り付けられた状態では、100〔V〕用の分岐ブレーカ62は、第2電圧線42と中性線43とに電気的に接続される。また、200V用の分岐ブレーカ62、つまり「第2分岐回路」に分類される分岐回路5の分岐ブレーカ62は、導電バーの上段、下段に関わらず、第1電圧線41と第2電圧線42とに電気的に接続される。
計測ユニット63には、一対の電流センサ21,22及び一対のセンサユニット23,24の各々が電気的に接続されている。電流センサ21,22,201〜207としては、例えばCT(Current Transformer)センサ、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗などが用いられる。本実施形態では一例として、電流センサ21,22の各々はCTセンサからなる。一方、センサユニット23,24に設けられた複数の電流センサ20の各々は、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、貫通孔内を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。
一対の電流センサ21,22は、主幹ブレーカ61の一次側端子に接続された電力線4の電流を計測するように、電力線4に取り付けられている。ここでは、一対の電流センサ21,22のうち、一方の(第1の)電流センサ21は第1電圧線41に取り付けられ、他方の(第2の)電流センサ22は第2電圧線42に取り付けられている。これにより、計測ユニット63に設けられた計測装置2では、電流センサ21の出力から第1電圧線41を流れる第1電流I1が計測可能となり、電流センサ22の出力から第2電圧線42を流れる第2電流I2が計測可能となる。
一対のセンサユニット23,24の各々は、主幹ブレーカ61の二次側端子に接続された複数の分岐ブレーカ62の各々の電流を計測するように、複数の分岐ブレーカ62と導電バーとの間に取り付けられている。一対のセンサユニット23,24の各々は、複数の電流センサ20を具備し、これら複数の電流センサ20が、複数の分岐ブレーカ62に一対一に対応するように取り付けられている。これにより、計測ユニット63に設けられた計測装置2では、一対のセンサユニット23,24の出力から、複数の分岐回路5の各々を流れる分岐電流が計測可能となる。
なお、本実施形態では、演算装置11としての機能は一対のセンサユニット23,24に設けられている。そのため、一対のセンサユニット23,24は、複数の分岐回路5の各々を流れる分岐電流に加えて、演算装置11で求めた計測値(消費電力量)についても、計測ユニット63へ出力するように構成されている。
ここで、導電バーの上段の分岐ブレーカ62は、100〔V〕用か200〔V〕用かによらず、いずれも第1電圧線41に電気的に接続される。一方、導電バーの下段の分岐ブレーカ62は、100〔V〕用か200〔V〕用かによらず、いずれも第2電圧線42に電気的に接続される。そこで、上段の分岐ブレーカ62の電流を計測するセンサユニット23においては、複数の電流センサ20は、第1電圧線41と分岐ブレーカ62との間に設置され、第1電圧線41と分岐ブレーカ62との間の電流を計測する。一方、下段の分岐ブレーカ62の電流を計測するセンサユニット24においては、複数の電流センサ20は、第2電圧線42と分岐ブレーカ62との間に設置され、第2電圧線42と分岐ブレーカ62との間の電流を計測する。
また、設定ユニット64は、計測ユニット63に電気的に接続されている。設定ユニット64には、記憶装置12及び設定装置13としての機能が設けられている。したがって、設定ユニット64では、計測ユニット63の判定装置3の判定結果を用いて、自動的に電圧区分の設定が行われる。
なお、設定ユニット64は、分電盤6の外部に設けられたコントローラと通信を行い、計測ユニット63で得られた計測値をコントローラへ送信する通信アダプタとしての機能を有している。ここでいうコントローラは、HEMS(Home Energy Management System)コントローラであって、計測値をモニタへ表示したり、計測値に基づいて(HEMS対応)機器を制御したりすることができる。
次に、本実施形態の電力計測システム1における判定装置3の回路判定動作、つまり本実施形態の回路判定方法における判定ステップについて説明する。
本実施形態では、判定装置3は、計測装置2の計測結果を用いて、複数の分岐回路5の各々が「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを判定する。このとき、判定装置3は、第1条件及び第2条件のいずれを満たすかによって、複数の分岐回路5の各々の種類を判定する。第1条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれていることである。第2条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれていることである。
ここでいう第1電流I1の特徴量、第2電流I2の特徴量、及び複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量は、電流の周波数スペクトルである。具体的には、判定装置3は、例えば第1電流I1については、判定期間T1(図3参照)に第1電圧線41を流れる電流の周波数ごとの強度を、第1電流I1の特徴量として求める。また、判定装置3は、第2電流I2についても同様に、判定期間T1に第2電圧線42を流れる電流の周波数ごとの強度を、第2電流I2の特徴量として求める。さらに、判定装置3は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流についても同様に、判定期間T1に複数の分岐回路5の各々を流れる分岐電流の周波数ごとの強度を、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量として求める。
本実施形態において、判定装置3は、第1電流I1の特徴量、第2電流I2の特徴量、及び複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量を抽出する判定期間を設定する。少なくとも回路判定システム(電力計測システム1)が起動(又は再起動)したとき、つまり電源が投入されたときには、判定装置3は判定期間を設定し、複数の分岐回路5の各々の種類を判定する。なお、回路判定システムが起動(又は再起動)したとき以外であっても、判定期間は定期的(周期的)に設定されていてもよいし、不定期に設定されていてもよい。また、判定期間は連続的に繰り返し設定されていてもよい。すなわち、判定装置3において、回路判定方法における判定ステップを複数回行ってもよい。
例えば、複数の分岐回路51〜57のうちの1つの分岐回路5に含まれる機器がオンすることで、この分岐回路5の通電状態が変化した場合を想定する。この場合において、通電状態が変化した分岐回路5が、第1電圧線41と第2電圧線42との一方及び中性線43に接続された「第1分岐回路」、例えば分岐回路51であったとする。このとき、分岐回路51の通電状態の変化に起因して、第1電圧線41と第2電圧線42との一方、及び中性線43を通して分岐回路51を流れる分岐電流に変化が生じる。そして、この電流変化により分岐電流に現れる特徴量は、第1電圧線41と第2電圧線42との一方のみに現れる。つまり、「第1分岐回路」において通電状態が変化した場合、分岐回路5の分岐電流の特徴量は、第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれることになる。言い換えれば、判定ステップにおいて、複数の分岐回路5のうち、分岐電流の特徴量が第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれている分岐回路5について、「第1分岐回路」であると判定する。
これに対して、通電状態が変化した分岐回路5が、第1電圧線41及び第2電圧線42に接続された「第2分岐回路」、例えば分岐回路55であったとする。このとき、分岐回路55の通電状態の変化に起因して、第1電圧線41及び第2電圧線42を通して分岐回路55を流れる分岐電流に変化が生じる。そして、この電流変化により分岐電流に現れる特徴量は、第1電圧線41と第2電圧線42との両方に現れる。つまり、「第2分岐回路」において通電状態が変化した場合、分岐回路5の分岐電流の特徴量は、第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれることになる。言い換えれば、判定ステップにおいて、複数の分岐回路5のうち、分岐電流の特徴量が第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれている分岐回路5について、「第2分岐回路」であると判定する。
そして、判定装置3は、判定対象である分岐回路5の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれていれば、分岐回路5が「第1分岐回路」であると判定する。一方、判定装置3は、判定対象である分岐回路5の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれていれば、分岐回路5が「第2分岐回路」であると判定する。なお、判定装置3は、判定対象である分岐回路5の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2のいずれにも含まれていない場合には、分岐回路5が「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを判定しない。
次に、判定装置3の回路判定動作の具体例、すなわち回路判定方法における判定ステップの具体例について、図3及び図4A〜図4Cを参照して説明する。図3においては、横軸を時間軸として、第1電流I1、第2電流I2、及び判定対象である分岐回路55の分岐電流I15の電流波形を表している。また、図4Aにおいては、横軸を周波数として、第1電流I1の周波数スペクトル(周波数ごとの強度)を表しており、図4Bにおいては、第2電流I2の周波数スペクトルを表している。さらに、図4Cにおいては、判定対象である分岐回路55の分岐電流I15の周波数スペクトルを表している。ここで、本実施形態では、第1電流I1、第2電流I2、及び分岐電流I15の周波数ごとの強度を、いわゆる高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)により求めている。また、図4A〜図4Cにおいて、f1は基本周波数であり、f3、f5、f7、f9は、それぞれ第3次、第5次、第7次、第9次の高調波成分である。
「第2分岐回路」である分岐回路55において、時刻t1のときに、通電状態がオフからオンに変化した場合、分岐回路55には、図3に示すように、分岐電流I15が流れる。これに伴い、第1電圧線41には、時刻t1以降において、時刻t1以前の第1電流I1に、分岐電流I15を合成した第1電流I1が流れることになる。また、第2電圧線42においても、時刻t1以降において、時刻t1以前の第2電流I2に、分岐電流I15を合成した第2電流I2が流れることになる。
判定装置3は、時刻t1以降において判定期間T1(t3−t2)を設定し、判定期間T1における計測装置2の計測結果(電流)を用いて、第1電流I1、第2電流I2、及び分岐電流I15の各々の周波数ごとの強度を抽出する。第1電流I1は、図4Aに示すように、基本周波数f1に加えて、第3次、第5次、第7次、第9次の高調波成分f3,f5,f7,f9を有している。第2電流I2は、図4Bに示すように、基本周波数f1に加えて、第3次、第7次、第9次の高調波成分f3,f7,f9を有している。判定対象である分岐回路55の分岐電流I15は、図4Cに示すように、基本周波数f1に加えて、第7次、第9次の高調波成分f7,f9を有している。
ここで、分岐電流I15の第7次、第9次の高調波成分f7,f9は、第1電流I1及び第2電流I2にも含まれており、かつ第1電流I1、第2電流I2、及び分岐電流I15の第7次、第9次の高調波成分f7,f9の強度は等しい。すなわち、この場合、分岐電流I15の特徴量である第7次,第9次の高調波成分f7,f9が、第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれており、判定装置3は、判定対象である分岐回路5が「第2分岐回路」であると判定する。
また、「第1分岐回路」である分岐回路51が判定対象である場合には、分岐電流I11の特徴量が第1電流I1のみに含まれることになり、判定装置3は、判定対象である分岐回路51が「第1分岐回路」であると判定する。
以上説明した本実施形態の回路判定方法によれば、計測装置2の計測結果を用いて、分岐回路5の種類を判定する判定ステップを含んでいる。計測装置2は、第1電圧線41を流れる第1電流I1、第2電圧線42を流れる第2電流I2、及び複数の分岐回路5の各々を流れる分岐電流を計測する。この判定ステップでは、第1条件及び第2条件のいずれを満たすかによって、分岐回路5の種類を判定する。第1条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれていることである。第2条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれていることである。
したがって、この回路判定方法では、計測装置2での計測結果(電流)を用いることにより、複数の分岐回路5の各々について、2種類の分岐回路(第1分岐回路、第2分岐回路)のいずれに当たるかを、自動的に判定することができる。その結果、特許文献1に記載されている情報担体などの部品を分岐ブレーカ62に付加する必要がなく、分岐ブレーカ62の部品点数の増加を抑えながらも、分岐回路5の種類を判定することができる。
特に、回路判定方法が電力計測システム1に適用される場合には、電力計測用の計測装置2を、分岐回路5の種類の判定に利用することができる。したがって、既存の電力計測システム1の構成を利用することで、新たなハードウェア資源を追加しなくても、分岐回路5の種類を判定することが可能である。そして、電力計測システム1において、分岐回路5の種類(電圧区分)の設定が自動化されることで、施工業者が手動で設定を行う場合に比べ、設定し忘れや設定の間違いを減らすことができる。また、この回路判定方法によれば、専用の計測装置2及び判定装置3を用いなくても、本実施形態の回路判定システムと同等の機能を実現することができる。
また、本実施形態のように、判定ステップにおいて、複数の分岐回路5のうち、分岐電流の特徴量が第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれている分岐回路5について、第1分岐回路であると判定するのが好ましい。この構成によれば、分岐電流の特徴量が第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれている場合に、判定対象の分岐回路5が「第1分岐回路」であることを特定することができる。
さらに、判定ステップにおいて、複数の分岐回路5のうち、分岐電流の特徴量が第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれている分岐回路5について、第2分岐回路であると判定する。この構成によれば、分岐電流の特徴量が第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれている場合に、判定対象の分岐回路5が「第2分岐回路」であることを特定することができる。
また、本実施形態のように、第1電流I1の特徴量、第2電流I2の特徴量、及び分岐電流の特徴量は、電流の周波数スペクトルであるのが好ましい。この構成によれば、分岐電流に含まれる周波数と同じ強度の周波数が第1電流I1、第2電流I2に含まれているか否かによって、分岐回路5の種類を判定することができる。
また、本実施形態のように、回路判定方法における判定ステップを複数回行うのが好ましい。この構成によれば、「第2分岐回路」に含まれる機器(200V機器)を動作させた場合、時間経過によって、分岐回路5を流れる電流の大きさだけでなく電流波形も変化する。そのため、判定ステップを複数回行うことにより、例えば電源が投入されたときにのみ判定ステップを行う場合に比べて、判定精度を向上させることができる。
本実施形態の回路判定システムでは、第1電圧線41を流れる第1電流I1、第2電圧線42を流れる第2電流I2、及び複数の分岐回路5の各々を流れる分岐電流を計測装置2が計測し、その計測結果を用いて、判定装置3が分岐回路5の種類を判定する。このとき、判定装置3は、第1条件及び第2条件のいずれを満たすかによって、分岐回路5の種類を判定する。第1条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれていることである。第2条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれていることである。
したがって、この回路判定システムでは、計測装置2での計測結果(電流)を用いることにより、複数の分岐回路5の各々について、2種類の分岐回路(第1分岐回路、第2分岐回路)のどちらであるかを、自動的に判定することができる。その結果、特許文献1に記載されている情報担体などの部品を分岐ブレーカ62に付加する必要がなく、分岐ブレーカ62の部品点数の増加を抑えながらも、分岐回路5の種類を判定することができる。
また、判定装置3がコンピュータ(マイコンを含む)を主構成とする場合、コンピュータのメモリに記録されるプログラムは、分電盤6とともに用いられるコンピュータを判定装置3として機能させるためのプログラムである。ここでいう判定装置3は、第1電圧線41(第1電線)を流れる第1電流I1、第2電圧線42(第2電線)を流れる第2電流I2、及び複数の分岐回路5の各々を流れる分岐電流を計測する計測装置2の計測結果を用いて、分岐回路5の種類を判定する。そして、判定装置3は、第1条件及び第2条件のいずれを満たすかによって、複数の分岐回路5の各々が「第1分岐回路」と「第2分岐回路」とのどちらであるかを判定する。第1条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれていることである。第2条件は、複数の分岐回路5の各々の分岐電流の特徴量が、第1電流I1及び第2電流I2の両方に含まれていることである。
このプログラムによれば、専用の計測装置2及び判定装置3を用いなくても、本実施形態の回路判定システムと同等の機能を実現でき、分岐ブレーカ62の部品点数の増加を抑えながらも、分岐回路5の種類を判定することができる。
ところで、上述の実施形態では、第1電流I1の特徴量、第2電流I2の特徴量、及び分岐回路5の分岐電流の特徴量が、電流の周波数スペクトル(周波数ごとの強度)である場合について説明している。これに対して、第1電流I1の特徴量、第2電流I2の特徴量、及び分岐回路5の分岐電流の特徴量は、電流波形であってもよい。図5は、分岐回路5に接続された負荷を流れる電流の電流波形を表す波形図である。この場合、判定装置3は、第1電流I1の電流波形、第2電流I2の電流波形、及び分岐回路5の分岐電流の電流波形WP1を比較する際、例えばパターンマッチングにより一致度(合致度)を数値化して求める。そして、判定装置3は、一致度が閾値以上であれば、電流波形が一致すると判定する。
その結果、分岐電流の電流波形WP1が、第1電流I1の電流波形及び第2電流I2の電流波形のいずれか一方のみと一致していれば、判定装置3は、判定対象の分岐回路5が「第1分岐回路」であると判定する。一方、分岐電流の電流波形WP1が、第1電流I1の電流波形及び第2電流I2の電流波形の両方に一致していれば、判定装置3は、判定対象の分岐回路5が「第2分岐回路」であると判定する。この構成によれば、判定装置3は、電流波形の一致度によって、分岐回路5の種類を判定することができる。
また、第1電流I1の特徴量、第2電流I2の特徴量、及び分岐回路5の分岐電流の特徴量は、図5に示すように、電流波形から求められる所定の電流値での信号幅W1や波高値P1などであってもよい。これらの場合、判定装置3は、分岐回路5の分岐電流の特徴量である信号幅W1や波高値P1が、第1電流I1の電流波形及び第2電流I2の電流波形のいずれか一方のみに含まれているか、両方に含まれているかによって、分岐回路5の種類を判定する。すなわち、分岐電流の信号幅W1や波高値P1が、第1電流I1の電流波形及び第2電流I2の電流波形のいずれか一方のみに含まれていれば、判定装置3は、判定対象の分岐回路5が「第1分岐回路」であると判定する。一方、分岐電流の信号幅W1や波高値P1が、第1電流I1の電流波形及び第2電流I2の電流波形の両方に含まれていれば、判定装置3は、判定対象の分岐回路5が「第2分岐回路」であると判定する。この構成によれば、分岐回路5の分岐電流の信号幅W1や波高値P1が、第1電流I1の電流波形、第2電流I2の電流波形に含まれているか否かによって、分岐回路5の種類を判定することができる。
さらに、上述の実施形態では、第1電流I1、第2電流I2、及び判定対象の分岐回路5の分岐電流について、周波数ごとの強度を比較している。これに対して、分岐電流に含まれる周波数のうち、隣り合う周波数の強度の差分を求め、この差分が第1電流I1及び第2電流I2に含まれているか否かによって、分岐回路5の種類を判定してもよい。例えば、図4A〜図4Cにおいては、第1電流I1、第2電流I2、及び分岐回路5の分岐電流の各々について、第7次、第9次の高調波成分f7,f9の強度の差分を求める。判定装置3は、分岐回路5の分岐電流の差分が、第1電流I1の差分及び第2電流I2の差分のいずれか一方のみと一致していれば、判定対象の分岐回路5が「第1分岐回路」であると判定する。一方、分岐回路5の分岐電流の差分が、第1電流I1の差分及び第2電流I2の差分の両方と一致していれば、判定装置3は、判定対象の分岐回路5が「第2分岐回路」であると判定する。ここで、差分が一致するとは、2つの差分が完全に一致する場合だけでなく、2つの差分の差が閾値内にある場合も含まれる。この構成によれば、判定装置3は、第1電流I1の特徴量、第2電流I2の特徴量、及び分岐回路5の分岐電流の特徴量としての差分が一致するか否かによって、分岐回路5の種類を判定することができる。
また、分岐回路5の分岐電流に含まれる周波数のうち、強度が閾値を超える周波数が、第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみに含まれているか、両方に含まれているかによって、分岐回路5の種類を判定してもよい。例えば、図4A〜図4Cにおいて、分岐回路5の分岐電流に含まれる第3次、第5次、第7次、第9次の高調波成分f3,f5,f7,f9のうち、強度が閾値を超えているのが第7次の高調波成分f7であるとする。この場合、判定装置3は、第1電流I1及び第2電流I2のいずれか一方のみの第7次の高調波成分f7が閾値を超えていれば、判定対象の分岐回路5が「第1分岐回路」であると判定する。一方、第1電流I1及び第2電流I2の両方の第7次の高調波成分f7が閾値を超えていれば、判定装置3は、判定対象の分岐回路5が「第2分岐回路」であると判定する。この構成によれば、判定装置3は、分岐回路5の分岐電流に含まれる周波数のうち、強度が閾値を超える周波数が、第1電流I1及び第2電流I2に含まれているか否かによって、分岐回路5の種類を判定することができる。
ところで、本実施形態では、戸建住宅を需要家施設の一例として説明しているが、この例に限らず、需要家施設は、集合住宅の各住戸などの戸建住宅以外の住宅、あるいは事務所、店舗等の非住宅であってもよい。
また、電力計測システム1の構成要素の分電盤6内での配置は、上述した構成に限らず適宜変更可能である。例えば、計測装置2、判定装置3、演算装置11、記憶装置12、及び設定装置13の全ての機能が、計測ユニット63、設定ユニット64、及びセンサユニット23,24のいずれか1つに集約して設けられていてもよい。さらに、電力計測システム1の構成要素の少なくとも一部は、分電盤6のキャビネット60の外側に設けられていてもよい。