JP6540757B2 - 表面処理鋼板の製造方法及び調質圧延装置 - Google Patents

表面処理鋼板の製造方法及び調質圧延装置 Download PDF

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Description

本発明は、優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを両立しうる、表面処理鋼板の製造方法、及び該表面処理鋼板の製造方法において用いられる調質圧延装置に関する。
一般的に鋼板に求められる特性として、外観が優れていることと、成形加工性に優れていることとの2つが挙げられる。
鋼板の外観に重大な影響を及ぼす指標として、鋼板の塗装後鮮映性(単に、「鮮映性」と称することもある。)が従来から注目されている。塗装後鮮映性は、鋼板に塗料等を塗装した後の、鋼板の表面における反射像の鮮明さを評価するものである。特に自動車の外板用や電化製品用に鋼板を用いる場合、塗装後の鋼板の外観は直接ユーザーに品質を訴える要素の一つであるので、良好な塗装後鮮映性を確保することが望まれている。
また、自動車等の製品の耐食性を改善する方法として、めっき処理等を施した表面処理鋼板の使用比率が増加している。よって、表面処理鋼板の塗装後鮮映性を改善する技術も、その重要性を益々増している。特に、耐食性重視の設計から、溶融めっき鋼板のような厚めっき鋼板が要求されている今日、このような厚めっきの表面処理鋼板を用いる場合においても、塗装後鮮映性がより重要になると考えられている。
尚、鋼板に求められるもう一つの特性である成形加工性の具体例としては、プレス成形性が挙げられる。より詳しくは、プレス成形時において金型と鋼板(原板)との凝着を防ぐことが重要である。特に、自動車用の鋼板では、各種の形状にプレス成形した後に使用されることを前提としているので、優れたプレス成形性を有することが望まれる。
ところで、塗装後鮮映性の改善は、従来は、主に塗装技術の課題とされ、塗装方法、塗料の改善が盛んに検討されてきた。この結果、塗装技術は確実に進歩し、塗装後の品質を向上させた。一方で、従来は影響がないと考えられていた鋼板の表面粗さによる塗装後鮮映性への影響が、特に高品質の鋼板において明らかとなってきた。鋼板の表面粗さと塗装後鮮映性との関係を示した文献として、以下の非特許文献1及び2が挙げられる。
非特許文献1には、鋼板の中心線平均粗さと塗装後鮮映性との関係が報告されている。しかし非特許文献1では、鮮映性を改善するには鋼板の表面粗さをできる限り小さくする必要があることを述べているにすぎない。すなわち、塗装後鮮映性のみを考慮すると、鋼板の表面をブライト面(表面粗さが極めて小さい面)とすることが最適ということになる。
しかし、ブライト面を有する表面処理鋼板は、プレス成形性や加工時におけるハンドリング性等が極めて悪いことから、自動車用鋼板等のプレス成形を行う鋼板として用いることは不可能である。実際には、特にプレス成形を行う鋼板の場合、プレス成形性やハンドリング性等を向上させる目的で、鋼板の表面においてダル目付けが行われている。ダル目付けが行われた鋼板は、表面粗さが大きくなるので、当然に鮮映性も良好ではなくなってしまう。
非特許文献2では、鋼板の表面粗さが塗装後の鮮映性に及ぼす影響についてより詳細な検討がなされている。具体的には、ショットブラスト加工、放電加工及びレーザー加工によりダル加工を施したロールを用いて調質圧延し、種々の算術平均粗さ(Ra)及びPPI(peak per inch)を備えた鋼板を作製し、55〜80μmの厚さの塗装を施した後の鮮映性を調査した結果、以下のことが明らかにされている。
(1)鋼板のRaが小さくなるほど鮮映性が向上する。
(2)鋼板のPPIは鮮映性に影響しない。
(3)鋼板の粗度パターンのうち、うねり(波長や周期の長い表面凹凸)成分は塗装後にも残存し、それが鮮映性に大きく影響する。
(4)ショットブラスト加工のシミュレーション結果から、ショットブラスト加工を用いた方法では、うねりの発生の抑制は困難であり、鋼板表面に残存したうねりが鮮映性の向上を阻害することが推察される。
(5)レーザーダル加工では、マイクロクレーター(レーザーによって生じる凹部)の大きさ、間隔によってうねりの波長が決まるので、鮮映性を阻害しない程度にうねりの波長を制御することによって、プレス加工に必要な表面粗さを維持しつつ、鮮映性の向上を図ることができる。また、レーザーダル加工では平坦部が多いことも鮮映性の向上に寄与している。
以上のように、鋼板のプレス成形性や鮮映性は、鋼板の表面性状(特にRa等を含む表面の微視的凹凸の形態)によって大きく変化するので、適切に表面性状を制御することが重要である。
例えば、プレス成形では、金型と鋼板との凝着を防止するために、金型と鋼板との界面における保油性を高める必要がある。保油性を高めるためには、一定値以上の算術平均粗さRaを鋼板表面に付与する必要がある。また、ピークカウント(PPI)も大きければ大きいほど、保油性を向上させる効果があると考えられる。
一方で、塗装後鮮映性を向上させるためには、塗装後においても鋼板表面に残留して鮮映性に悪影響を及ぼす長周期の凹凸(うねり)を小さくすることが必要である。
すなわち、良好なプレス成形性と優れた塗装後鮮映性とを両立させるためには、短周期の凹凸の大きさ及び数(Ra、PPI等の指標で示される)を大きく、長周期の凹凸の大きさ及び数(Wa等の指標で示される)を小さくすることが求められる。しかし、通常の調質圧延によれば、鋼板表面の短周期の凹凸と長周期の凹凸とは正の相関関係を呈するため、いずれか一方のみを大きく(又は小さく)なるように制御することは難しい。
また、上述の非特許文献1及び2の他に、塗装後鮮映性を向上させる技術を開示した文献として、以下に示す特許文献1及び2が挙げられる。特許文献1及び2では、調質圧延を2回以上行っている。
特許文献1では、高密度エネルギービームによるダル仕上げロールを用いて、2回の調質圧延を行うことを提案している。しかし、ダル仕上げロールを用いた2回の調質圧延では、鋼板に良好なプレス成形性を付与できるものの、優れた塗装後鮮映性を付与できないという問題がある。
また、特許文献2では最初の圧延をRa0.2μm以下のロールにより行い、最終の圧延をWca0.35μm以下のロールにより行うことが開示されている。しかし、特許文献2では、ブライトロールによる圧延とRaの大きいダルロールによる圧延とを組み合わせるという提案はなされていない。
T.G.NILAN, B.M.PERFETTI and B.J. SCIALABBA: SAE Tech. Paper Ser., No.800208(1980) 角山浩三、外4名「塗装後の鮮映性に及ぼす鋼板表面粗度の影響」、鉄と鋼、一般社団法人日本鉄鋼協会、1989年、vol.75、No.11、P2090−2097
特開平01−293905号公報 特開平02−175007号公報
上述の先行技術文献で挙げられたいずれの技術でも、短周期の凹凸と長周期の凹凸のバランスを制御することは難しい。より詳しくは、優れたプレス成形性を実現するために短周期の凹凸の数及び大きさを大きくすると、それに伴って長周期の凹凸の数及び大きさも大きくなり、良好な塗装後鮮映性が実現されなくなる。一方で、良好な塗装後鮮映性を実現するために長周期の凹凸の数及び大きさを小さくすると、それに伴って短周期の凹凸の数及び大きさも小さくなり、優れたプレス成形性が実現されなくなる。
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、鋼板に表面処理を施した後の調質圧延工程において、表面処理鋼板に要求される特性に応じて鋼板のプレス成形性及び塗装後鮮映性を制御できる表面処理鋼板の製造方法、及び該表面処理鋼板の製造方法に用いられる調質圧延装置を提供することを課題とする。
本発明の手段は、以下の通りである。
[1]表面処理鋼板用原板に調質圧延を施す表面処理鋼板の製造方法であって、前記調質圧延は、1回以上のブライトロールによる圧延工程と1回以上のダルロールによる圧延工程とを含み、表面処理鋼板の表面の算術平均うねりWaが予め定められた基準値以上の場合には前記ブライトロールによる圧延工程の伸び率を増加させ、表面処理鋼板の表面の算術平均粗さRaが予め定められた基準値以下、または1インチ当たりのピーク数PPIが予め定められた基準値以下の場合には前記ダルロールによる圧延工程の伸び率を増加させる表面処理鋼板の製造方法。
[2]前記表面処理鋼板の表面の算術平均うねりWaが予め定められた基準値以上の場合には、前記調質圧延における最後の圧延工程をブライトロールにより行い、前記表面処理鋼板の表面の算術平均粗さRaが予め定められた基準値以下、または1インチ当たりのピーク数PPIが予め定められた基準値以下の場合には、前記調質圧延における最後の圧延工程をダルロールにより行う[1]に記載の表面処理鋼板の製造方法。
[3]前記ブライトロールは、その表面の算術平均粗さRaが0.3μm以下であり、前記ダルロールは、その表面の算術平均粗さRaが3.0μm以上である[1]又は[2]に記載の表面処理鋼板の製造方法。
[4]前記調質圧延では、前記表面処理鋼板用原板に付与する累積伸び率が0.5%以上2.0%以下となるように圧延を行う[1]から[3]までのいずれか一つに記載の表面処理鋼板の製造方法。
[5]表面処理鋼板用原板に調質圧延を施す調質圧延装置であって、ワークロールとしてブライトロールを有する一台以上のブライト圧延機と、ワークロールとしてダルロールを有する一台以上のダル圧延機と、表面処理鋼板の表面の算術平均うねりWaが予め定められた基準値以上の場合には前記ブライト圧延機における伸び率を増加させ、表面処理鋼板の表面の算術平均粗さRaが予め定められた基準値以下、または1インチ当たりのピーク数PPIが予め定められた基準値以下の場合には前記ダル圧延機における伸び率を増加させるように、圧延機を制御する制御装置と、を有する調質圧延装置。
[6]前記表面処理鋼板の表面の算術平均うねりWaが予め定められた基準値以上の場合には、前記調質圧延における最後の圧延機を前記ブライト圧延機で構成し、前記表面処理鋼板の表面の算術平均粗さRaが予め定められた基準値以下、または1インチ当たりのピーク数PPIが予め定められた基準値以下の場合には、前記調質圧延における最後の圧延機を前記ダル圧延機で構成する[5]に記載の調質圧延装置。
[7]前記ブライトロールは、その表面の算術平均粗さRaが0.3μm以下であり、前記ダルロールは、その表面の算術平均粗さRaが3.0μm以上である[5]又は[6]に記載の調質圧延装置。
[8]前記制御装置は、前記表面処理鋼板用原板の累積伸び率が0.5%以上2.0%以下となるように、圧延の調整を行う[5]から[7]までのいずれか一つに記載の調質圧延装置。
本発明によると、ブライトロールの伸び率及びダルロールの伸び率を調整することで、表面処理鋼板に要求される特性に応じてプレス成形性及び塗装後鮮映性を制御できる。
図1は、調質圧延機の一例を示す模式図である。 図2は、実施例における各プロセスと得られた鋼板のRaとの関係を示すグラフである。 図3は、実施例における各プロセスと得られた鋼板のPPIとの関係を示すグラフである。 図4は、実施例における各プロセスと得られた鋼板のWaとの関係を示すグラフである。
まず、調質圧延の概要について説明する。
本発明では、表面処理鋼板(以下、単に「鋼板」と称することもある。)を製造するために用いられる原板(以下、「表面処理鋼板用原板」、又は単に「原板」と称することもある。)を調質圧延の対象とする。表面処理鋼板とは、防食性を高めるために表面にめっき処理等を施した鋼板であり、具体例としては亜鉛めっき鋼板、錫めっき鋼板、アルミめっき鋼板、及び複数金属による合金めっき鋼板等を挙げることができる。
めっき等の表面処理が施された原板は調質圧延を施されることによって表面処理鋼板となる。具体的には図1に示すように、原板1は、スプレーノズル2a及び2bから潤滑油を塗布された後に、上下一対のワークロール3a及び3bによって挟圧されることで調質圧延を施される。尚、調質圧延後の表面処理鋼板は、酸性溶液による処理などを施されることなく、プレス成形や塗装等を施されて使用される。
本発明では、1回以上のブライトロールによる圧延工程と、1回以上のダルロールによる圧延工程とを含み、合計2回以上の圧延工程を含む。圧延機の設置・管理等による設備費コストを抑えるとともに、ワークロールによる転写の制御を容易にするという観点から、本発明における調質圧延は2回の圧延工程を有することが好ましい。例えば、図1には図示していないものの、上下一対のワークロール3a及び3bを備えた圧延機を直列に2基配列させればよい。
ブライトロールは、その表面が平滑なロールであり、調質圧延を行うことにより鋼板の表面を平滑にし、鋼板に光沢度を付与することができる。ダルロールは、表面の凹凸の大きいロールであり、調質圧延を行うことにより鋼板の表面に適度な凹凸を付与することができる。ブライトロールの一例としては、表面のRaが0.3μm以下のロールを挙げることができる。また、ダルロールの一例としては、表面のRaが3.0μm以上のロールを挙げることができる。ここでRaは、JIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さであり、測定方向はロールの軸に平行である。
尚、調質圧延において3回以上の圧延を行う場合、ブライトロール、ダルロールによる圧延以外に、通常のロール(例えば、Raが0.3μm超3.0μm未満のロール)による圧延を行うこともできる。
次に、圧延時の伸び率について説明する。圧延前後において、原板は、長手方向へ伸ばされる。調質圧延前の原板の長手方向長さに対する、調質圧延前後の長手方向長さの伸びの割合を伸び率と称する。伸び率を大きくすればするほど表面の調質機能は上昇するが、板絞り等の変形が生じる危険性もある。
調質圧延時の各圧延工程における鋼板の伸び率の加算値(調質圧延全体の伸び率)を累積伸び率とする。本発明では、累積伸び率は、0.5%以上2.0%以下とすることが好ましい。累積伸び率が0.5%未満であると、十分に鋼板の形状を矯正することができない。また、累積伸び率が2.0%を超えると、板破断等の形状悪化がもたらされる可能性があるので好ましくない。
上述したように累積伸び率は、各圧延工程における伸び率の総和である。各圧延工程にどの程度の伸び率を配分するかは、適宜調整することができる。例えば、2回の圧延を行い、累積の伸び率を1.0%と設定する場合には、1回の伸び率を均等に0.5%ずつとしてもよいし、それぞれの伸び率を異なる値とすることもできる。
本発明では、ブライトロールによる圧延時の伸び率と、ダルロールによる圧延時の伸び率とを適宜調整することによって鋼板のプレス成形性及び塗装後鮮映性を制御する。具体的には、まず、鋼板に要求されるプレス成形性及び塗装後鮮映性に応じた鋼板表面の算術平均粗さRa、1インチ当たりのピーク数PPI及び算術平均うねりWaの基準値を予め定める。次いで、ある圧延条件によって製造した鋼板表面のRaが予め定められた基準値以下、またはPPIが予め定められた基準値以下の場合には、その圧延条件に対してダルロールによる圧延時の伸び率を増加させる。これにより、製造される鋼板表面のRa及びPPIを大きくすることができる。逆に、ある圧延条件によって製造した鋼板表面のWaが予め定められた基準値以上の場合には、その圧延条件に対してブライトロールによる圧延時の伸び率を増加させる。これにより、製造される鋼板表面のWaを小さくすることができる。
このように、予め定められた基準値を用いてブライトロールによる圧延時の伸び率とダルロールによる圧延時の伸び率とを調整する。これにより、当該鋼板に要求される特性に応じてプレス成形性及び塗装後鮮映性を制御できる。
尚、ブライトロールを備えたブライト圧延機の伸び率、及びダルロールを備えたダル圧延機の伸び率を制御する制御装置を用いることもできる。制御装置は、所望の特性の鋼板が得られるように、ブライト圧延機及びダル圧延機の操業条件を調整する。具体的には、調質圧延後の鋼板のWa、Ra、PPIの値を入力値として用い、予め定められたそれぞれの基準値との差から各圧延機の伸び率を増減する制御を行う。その他、ブライトロールとダルロールとの表面性状(Ra、PPI、Wa等)を適宜調整することによっても、鋼板の特性を調整することもできる。
また、ブライトロールによる圧延とダルロールによる圧延の順番は特に制限されず、ブライトロールによる圧延を行った後にダルロールによる圧延を行ってもよいし、その逆としてもよい。但し、より後段に位置するロールによる調質圧延が、最終の鋼板製品の特性に大きな影響を与えるので、これを利用することによって鋼板のプレス成形性及び塗装後鮮映性を制御できる。
具体的には、最後にブライトロールによる圧延を行なって製造した鋼板表面のRaが予め定められた基準値以下、またはPPIが予め定められた基準値以下の場合には、最後にダルロールによる圧延が行われるように順番を変更する。これにより、鋼板表面のRa及びPPIを大きくできる。逆に、最後にダルロールによる圧延を行なって製造した鋼板表面のWaが予め定められた基準値以上の場合には、最後にブライトロールによる圧延が行われるように順番を変更する。これにより、鋼板表面のWaを小さくすることができる。
このように、予め定められた基準値を用いて最後に行われる圧延のワークロールを変更する。これにより、当該鋼板に要求される特性に応じて鋼板のプレス成形性及び塗装後鮮映性を制御できる。
尚、本発明に係る調質圧延装置では、所望する鋼板の特性に応じて圧延機の順序又は圧延機のワークロールの種類を変えられることが望ましい。具体的に、鋼板の鮮映性を高める場合には最後の圧延機をブライト圧延機に変更し、鋼板のプレス成形性を高める場合には最後の圧延機をダル圧延機に変更可能とすることが好ましい。尚、図1には図示していないが、各圧延機は一対のワークロール3a、3bの他に、バックアップロールや中間ロール等を備えていてもよい。
本発明によると、調質圧延によって、鋼板に要求される特性に応じて鋼板のプレス成形性及び塗装後鮮映性を制御できる。上述したようにプレス成形性を評価するパラメータとしてRa及びPPIを用いることができ、塗装後鮮映性を評価するパラメータとしてWaを用いることができる。
鋼板のRaは、上述したロールのRaと同様のパラメータである。また、PPIは、SAE911規格で規定される一方向への単位長(例えば1インチ)あたりにおける所定の高さ(例えば±0.63μm)を有する凹凸の数である。WaはJIS B 0601−1994に規定される算術平均うねりであり、鋼板表面の凹凸のうち、波長が0.8mm〜8mmなる長周期成分(λc=0.8mm、λf=8mm)を抽出したうねり曲線について求める。いずれも測定方向は鋼板の圧延方向と直交する方向である。
本発明で製造される表面処理鋼板における鋼板表面のRa、PPI、Waの基準値は、鋼板に要求されるプレス成形性及び塗装後鮮映性に応じた値、例えば、当該鋼板に要求されるプレス成形性及び塗装後鮮映性を満足する値に定められる。例えば、溶融亜鉛めっき鋼板の基準値であれば、Raは0.9μm〜1.5μm、PPIは80〜100、Waは0.5μm〜1.0μmの範囲内で定めるのが好適である。
図1に示すような実験用の圧延機において、調質圧延を1回又は2回に分割し、実験を行った。ワークロールの粗さを、それぞれRa0.3μm(ブライトロール)、Ra3.5μm(ダルロール)とし、ロール直径は500mmとした。尚、ダルロールとしては、ショットダル加工によりダル加工を行ったロールを用いた。圧延対象材としては、冷延鋼板の溶融亜鉛めっき処理後の状態であって調質圧延が施されていない0.8mm厚の原板を用いた。尚、各圧延機の直前では、原板の表裏面に汎用の潤滑油を噴霧した。
比較例としては、ブライトロールのみの1回圧延、ダルロールのみの1回圧延、ブライトロールのみで2回圧延、及びダルロールのみで2回圧延をそれぞれ行った。本発明例としては、ブライトロールによる1回圧延の後にダルロールによる1回圧延、及びダルロールによる1回圧延の後にブライトロールによる1回圧延をそれぞれ行った。伸び率の配分は、7:3、5:5、及び3:7でそれぞれ行った。尚、累積の伸び率は全て1.0%に揃えた。
調質圧延後の原板のRa、PPI、Waをそれぞれ測定した。基準値はRa:0.9μm、PPI:80、Wa:1.0とした。それぞれの結果を表1及び図2〜4に示す。
尚、図中の横軸に示す項目は、表1の「記号」欄の記載に対応する。図2及び3に示す、短周期の凹凸を示すパラメータであるRa及びPPIがそれぞれ大きいと、鋼板はより優れたプレス成形性を発揮する。図2及び3に示すように、ダルロールのみを用いた例(「D10B0」、「D5D5」の例)及びダルロールの伸び率配分が大きい例(「B3D7、D7B3」の例)では、Ra及びPPIともに顕著に大きくプレス成型性が極めて良好であった。一方、ブライトロールのみを用いた例(「B10D0」、「B5B5」の例)では、Ra及びPPIともに顕著に小さく、プレス成形性が良好ではなかった。
図4に示す、長周期の凹凸を示すパラメータであるWaが小さいと、鋼板はより良好な塗装後鮮映性を示す。図4に示すように、ブライトロールのみを用いた例(「B10D0」、「B5B5」の例)では、Waが顕著に小さく鮮映性が極めて良好であった。一方、ダルロールのみを用いた例(「D10B0」、「D5D5」の例)や、ダルロールの伸び率配分が大きい例(「B3D7、D7B3」の例)では、Waが顕著に大きく鮮映性が劣っていた。
これらの結果から、製造された鋼板表面のRaまたはPPIが予め定められた基準値以下の場合には、その圧延条件に対してダルロールによる圧延時の伸び率を増加させ、鋼板表面のWaが予め定められた基準値以上の場合には、その圧延条件に対してブライトロールによる圧延時の伸び率を増加させればよいことがわかる。「D3B7」はRaが基準値以下であり、プレス成形性が良好ではないが、ダルロールによる圧延時の伸び率を増加させて「D5B5」の圧延条件とすることにより、プレス成形性が改善する。また、「B3D7」はWaが基準値以上であり、塗装鮮映性が良好ではないが、ブライトロールによる圧延時の伸び率を増加させて「B5D5」の圧延条件とすることにより、塗装鮮映性が改善する。これらのことから、製造される鋼板に要求されるプレス成形性及び塗装後鮮映性に応じて定められた基準値を用いてダルロールによる圧延時の伸び率及びブライトロールによる圧延時の伸び率を制御することで当該鋼板に要求される特性に応じて鋼板のプレス成形性及び塗装後鮮映性を制御できることがわかる。
ブライトロールとダルロールとの伸び率配分が等しい例(「B5D5」、「D5B5」の例)や、ブライトロールの伸び率配分が大きいが、ダルロールの圧延を後に行う例(「B7D3」の例)では、Ra及びPPIが顕著に小さくならず、Waも顕著に大きくならず、これらの例では比較的良好なプレス成形性と塗装後鮮映性との両立が実現できた。すなわち、製造された鋼板表面のRaまたはPPIが予め定められた基準値より大きい場合、及び、鋼板表面のWaが予め定められた基準値より小さい場合には、圧延条件に対してブライトロールの伸び率及びダルロールの伸び率を増加させなくてよい。
ブライトロールによる圧延及びダルロールによる圧延の順番に着目すると、「D7B3」の例は「B3D7」の例に比べて、Ra及びPPIは小さく、Waも小さかった。また、「B7D3」の例は「D3B7」に比べて、Ra及びPPIは大きく、Waも大きかった。これらの結果から、最後にブライトロールによる圧延を行うことで、Ra、PPI及びWaが小さくなり、最後にダルロールによる圧延を行うことで、Ra、PPI及びWaが大きくなることから、製造された鋼板表面のWaが予め定められた基準値以上の場合には、最後にブライトロールによる圧延が行われるように順番を変更し、鋼板表面のRaまたはPPIが予め定められた基準値以下の場合には、最後にダルロールによる圧延が行われるように順番を変更すればよいことがわかる。「D3B7」はRaが基準値以下であり、プレス成形性が良好ではないが、最後にブライトロールによる圧延が行われるように順番を変更して「B7D3」の圧延条件とすることにより、プレス成形性が改善する。これらのことから、製造される鋼板に要求されるプレス成形性及び塗装後鮮映性に応じて定められた基準値を用いて、最後に行う圧延のワークロールを変更することで当該鋼板に要求される特性に応じて鋼板のプレス成形性及び塗装後鮮映性を制御できることがわかる。
また、これらの実施例から推測できることとして、例えば、ブライトロールの後にダルロールの2回圧延を行う場合、ダルロールのロール粗さを変化させないで、伸び率の配分を制御することで、異なるRa、PPIレベルの表面処理鋼板が製造できることがわかる。
1 表面処理鋼板用原板
2a、2b スプレーノズル
3a、3b ワークロール

Claims (8)

  1. 表面処理鋼板用原板に調質圧延を施す表面処理鋼板の製造方法であって、
    前記調質圧延は、1回以上のブライトロールによる圧延工程と1回以上のダルロールによる圧延工程とを含み、
    所定の圧延条件によって製造された表面処理鋼板の表面の算術平均うねりWaが予め定められた基準値以上の場合には、前記所定の圧延条件の累積伸び率の範囲内で前記ブライトロールによる圧延工程の伸び率の配分を増加させ、表面処理鋼板の表面の算術平均粗さRaが予め定められた基準値以下、または1インチ当たりのピーク数PPIが予め定められた基準値以下の場合には、前記所定の圧延条件の累積伸び率の範囲内で前記ダルロールによる圧延工程の伸び率の配分を増加させる表面処理鋼板の製造方法。
  2. 前記表面処理鋼板の表面の算術平均うねりWaが予め定められた基準値以上の場合には、前記調質圧延における最後の圧延工程をブライトロールにより行い、
    前記表面処理鋼板の表面の算術平均粗さRaが予め定められた基準値以下、または1インチ当たりのピーク数PPIが予め定められた基準値以下の場合には、前記調質圧延における最後の圧延工程をダルロールにより行う請求項1に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  3. 前記ブライトロールは、その表面の算術平均粗さRaが0.3μm以下であり、
    前記ダルロールは、その表面の算術平均粗さRaが3.0μm以上である請求項1又は2に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  4. 前記調質圧延では、前記表面処理鋼板用原板に付与する累積伸び率が0.5%以上2.0%以下となるように圧延を行う請求項1から3までのいずれか一項に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  5. 表面処理鋼板用原板に調質圧延を施す調質圧延装置であって、
    ワークロールとしてブライトロールを有する一台以上のブライト圧延機と、
    ワークロールとしてダルロールを有する一台以上のダル圧延機と、
    所定の圧延条件によって製造された表面処理鋼板の表面の算術平均うねりWaが予め定められた基準値以上の場合には、前記所定の圧延条件の累積伸び率の範囲内で前記ブライト圧延機における伸び率の配分を増加させ、表面処理鋼板の表面の算術平均粗さRaが予め定められた基準値以下、または1インチ当たりのピーク数PPIが予め定められた基準値以下の場合には、前記所定の圧延条件の累積伸び率の範囲内で前記ダル圧延機における伸び率の配分を増加させるように、圧延機を制御する制御装置と、を有する調質圧延装置。
  6. 前記表面処理鋼板の表面の算術平均うねりWaが予め定められた基準値以上の場合には、前記調質圧延における最後の圧延機を前記ブライト圧延機で構成し、
    前記表面処理鋼板の表面の算術平均粗さRaが予め定められた基準値以下、または1インチ当たりのピーク数PPIが予め定められた基準値以下の場合には、前記調質圧延における最後の圧延機を前記ダル圧延機で構成する請求項5に記載の調質圧延装置。
  7. 前記ブライトロールは、その表面の算術平均粗さRaが0.3μm以下であり、
    前記ダルロールは、その表面の算術平均粗さRaが3.0μm以上である請求項5又は6に記載の調質圧延装置。
  8. 前記制御装置は、前記表面処理鋼板用原板の累積伸び率が0.5%以上2.0%以下となるように、圧延の調整を行う請求項5から7までのいずれか一項に記載の調質圧延装置。
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