JP6540093B2 - 多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの方法は、多くのエネルギーを必要とする、あるいは分離、濃縮対象の適用範囲が限定的であるといった欠点がある。
ゼオライト膜としては、A型ゼオライト膜(特許文献1)、モルデナイト型ゼオライ
ト膜(特許文献2)、チャバサイト型ゼオライト膜(特許文献3)などが提案されている。
そこで、本発明では、漏れ量が少なく、パーミエンス比が十分に高いゼオライト膜を提供することを課題とする。
(1)多孔質支持体上にゼオライト膜を有する多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の製造方法であって、ゼオライト膜が形成された多孔質支持体を溶媒中で0.5MPa以上の圧
力下で処理することを特徴とする、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の製造方法。
(2)該溶媒が水である、上記(1)に記載の多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の製造方法。
(3)上記(1)または(2)の製造方法により製造された多孔質支持体―ゼオライト膜複合体。
(4)気体または液体の混合物を、上記(3)に記載の多孔質支持体―ゼオライト膜複合体に接触させて、該混合物から、透過性の高い物質を透過させて分離することを特徴とする、気体または液体の混合物の分離方法。
本発明は、多孔質支持体上にゼオライト膜を有する多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の製造方法であって、ゼオライト膜が形成された多孔質支持体を溶媒中で0.5MPa以上の圧力下で処理することを特徴とする、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の製造方法に関する。
まず、ゼオライト膜について説明する。本発明のゼオライト膜は多孔質支持体上に形成されたものである。
本発明において、多孔質支持体としては、その表面などにゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的安定性があり、無機の多孔質よりなる支持体(無機多孔質支持体)であれば如何なるものであってもよい。例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体(セラッミクス支持体)、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型体などが挙げられ、セラミックス支持体が好ましい。
、より好ましくは0.5mm以上であり、通常7mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。多孔質支持体の気孔率は、通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。
ゼオライト膜を構成する成分としては、ゼオライト以外にシリカ、アルミナなどの無機バインダー、ポリマーなどの有機化合物、あるいは下記詳述するようなゼオライト表面を修飾するSi原子を含む材料またはその反応物などを必要に応じ含んでいてもよい。また、本発明におけるゼオライト膜は、一部アモルファス成分などを含んでいてもよい。
尚、ゼオライトとしては、アルミノ珪酸塩であるものが好ましい。
ゼオライト膜自体のSiO2/Al2O3モル比(SAR)は、通常0.5以上、好ましくは5以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上、特に好ましくは12以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下、特に好ましくは100以下、最も好ましくは50以下である。
酸素n員環構造はゼオライトの細孔のサイズを決定するものであり、酸素6員環よりも小さいゼオライトではH2O分子のKinetic直径よりも細孔径が小さく、透過する気体成分や液体成分の透過度が小さくなり実用的でない場合がある。また、酸素8員環構造よりも大きい場合は細孔径が大きくなり、サイズの小さな気体成分や液体成分では分離性能が低下することがあり、用途が限定的になる場合がある。
フレームワーク密度とは、ゼオライトの1000Å3あたりの、骨格を構成する酸素以外の元素(T元素)の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まる。なおフレームワーク密度とゼオライトとの構造の関係はATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Sixth Revised Edition 2007 ELSEVIERに示されている。
具体的には、例えば、多孔質支持体を、組成を調整して均一化した水熱合成用の反応混合物が入ったオートクレーブなどの耐熱耐圧容器に入れて密閉し、一定時間加熱することによりゼオライト膜を形成することができる。
また、ゼオライトの結晶化において、必要に応じて有機テンプレート(構造規定剤)を用いることができる。有機テンプレートを用いて合成することにより、結晶化したゼオライトのアルミニウム原子に対するケイ素原子の割合が高くなり、耐酸性、耐水蒸気性が向上する。
バブル法とは、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の管状支持体(以下単に支持体という場合がある)内部にガスで圧力を付与した状態で液中に浸し、泡を検知することにより欠陥部を確認する方法である。
本発明では、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体(以下、単に、ゼオライト膜複合体という場合がある)を溶媒中で0.5MPa以上の圧力下で処理することを特徴とする。溶媒としては、水、アルコールなどが挙げられるが、コストや安全性の点から水を用いることが好ましい。
溶媒中にゼオライト膜複合体を浸漬して圧力をかける。圧力をかける方法としては、例えば、図2に示すように、支持体を水封したオートクレーブ内に設置し、オートクレーブに水圧ポンプで水を供給し加圧する。
処理時間としては、通常1分以上、好ましくは10分以上、通常720分以下、好ましくは360分以下である。
このような処理をすることにより、本発明の効果が得られる理由は定かではないが、溶媒中に含まれる何らかの物質がゼオライト膜に存在する欠陥等に入り込む等の作用により、欠陥を封じることが出来るためと考えられる。
処理後の多孔質支持体―ゼオライト膜複合体は、加熱、風乾等により乾燥処理を施すことが好ましい。
本発明の分離方法は、有機物を含む気体または液体の混合物を、上記多孔質支持体―ゼオライト膜複合体に接触させて、該混合物から、透過性の高い物質を透過させて分離することに特徴をもつものである。この発明において、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体は、上記と同様のものが用いられる。また、好ましいものも上記と同様である。
通常、得られた多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の1本または複数本を分離膜モジュールに設置して分離を行う。用途によっては、分離膜モジュールにて分離する前または分離した後に、他の分離手段(例えば、PSA法、アミン吸収法などの手段)を併設して分離を行ってもよい。
例えば、水と有機物の混合物の場合、通常水がゼオライト膜に対する透過性が高いので、混合物から水が分離され、有機物は元の混合物中で濃縮される。パーベーパレーション法(浸透気化法)、ベーパーパーミエーション法(蒸気透過法)と呼ばれる分離・濃縮方法は、本発明の分離方法におけるひとつの実施形態である。
、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素、水などから選ばれる少なくとも1種の成分を含むものが挙げられる。これらの気体成分からなる混合物のうち、パーミエンスの高い気体成分は、分離膜を透過し分離され、パーミエンスの低い気体成分は供給ガス側に濃縮される。
多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、CHA型ゼオライトを多孔質支持体上に直接水熱合成することで次のとおり作製した。
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.5gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(以下これを「TMADAOH」という。)水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.36gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、反応混合物とした。
/Al2O3=15である。
無機多孔質支持体として、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断し、超音波洗浄機で洗浄したのち乾燥させたものを用いた。
033/0.1/40/0.1のゲル組成(モル比)で160℃、2日間水熱合成して結晶化させたものを、ろ過、水洗、乾燥して得られたCHA型ゼオライトを用いた。この種結晶の粒径は0.5μm程度であった。
この種結晶を0.3質量%水中に分散させた分散液に、上記支持体を所定時間浸漬した後、100℃で5時間以上乾燥させて、種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は0.66g/m2であった。
焼成後のゼオライト膜複合体の空気透過量は32L/(m2・h)であった。空気透過量[L/(m2・h)]は多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の一端を封止し、他端を、密閉状態で5kPaの真空ラインに接続して、真空ラインと多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の間に設置したマスフローメーターで空気の流量を測定することで得た。マスフローメーターとしてはLintec社製MM−2100M、Airガス用、最大流量20ml/
min(0℃、1気圧換算)を用いて測定した。
パーベーパレーション法に用いた装置の概略図を図4に示す。図4において多孔質支持体―ゼオライト膜複合体5aは真空ポンプ9aによって内側が減圧され、被分離液4aが接触している外側と圧力差が約1気圧(1.01×105Pa)になっている。この圧力差によって、被分離液4a中の透過物質(水)が多孔質支持体―ゼオライト膜複合体5aに浸透気化して透過する。透過した物質はトラップ7aで捕集される。一方、被分離液4a中の有機化合物は、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体5aの外側に滞留する。
パーベーパレーション法による透過試験を実施後、多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を脱塩水に浸漬し100℃で20時間加熱して洗浄したのちに100℃で1時間以上乾燥させ、その後、圧力処理を実施した。圧力処理は図2に示す装置で実施した。溶媒としては水(水道水)を用い、圧力を2.2〜2.5MPaに保ち、常温で1時間処理した。
具体的には、図2に示すように、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体を水封したオートクレーブ内(エンプティカラムXC255DR、ワイエムシィ社製)に設置し、オートクレーブに水圧ポンプ(TP50N,アサダ社製)で水を供給し加圧した。
尚、ゼオライト膜複合体の片端のボトムインサートは図3に示すように、栓で封止され、もう一方の端部は穴の開いたトップインサートで封止した。ゼオライト膜複合体の内部はトップインサートの穴を介してオートクレーブの外部と通じる構造(リーク)にし、加圧時は支持体内部を大気圧に保った。処理後、ゼオライト膜複合体(支持体)内部には水の侵入は認められなかった。
水熱合成用の水性反応混合物、多孔質支持体、種結晶として以下ものを用い、水熱合成時の180℃まで5時間で昇温したのちの保持時間を24時間とした以外は実施例1と同様に多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を作成した。
水性反応混合物として組成(モル比)が、SiO2/Al2O3/KOH/H2O=1/0.125/0.7/80/、SiO2/Al2O3=8のものを調整して用いた。水性反応混合物は、前記組成で、水酸化アルミニウム(Al2O353.5質量%含有、アルドリッチ社製)に1mol/L−KOH水溶液と水を加えて混合撹拌し溶解させ溶液としたのちに、これにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)を加えて2
時間撹拌することで得た。
種結晶としては、プロトン型のY型ゼオライト(HY(SAR=5)、触媒化成工業社製)10.0gにNaOH5.00gと水100gを混合したものを100℃で7日間加熱した後、ろ過、水洗、乾燥することにより得た、FAU型ゼオライトを用いた。このFAU型ゼオライトの粒度分布を測定したところD50は9.50μm、極大値は1.00μm、17.34μmであった。
水熱合成後に洗浄し、乾燥させて得た多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の空気透過量は3.6L/(m2・h)であった。
3時間後の、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の透過流束は4.95kg/(m2・
h)、分離係数は2900、透過液中の水の濃度は99.710質量%、透過液中の2−
プロパノール濃度は0.290%であった。結果を表1に示す。
多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、CHA型ゼオライトを多孔質支持体上に直接水熱合成することで次のとおり作製した。
水熱合成用の反応混合物は次のとおり調製した。
1mol/L−NaOH水溶液2.2g、1mol/L−KOH水溶液5.0gに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.195gを加えて撹拌し溶解させ、さらに脱塩水を114g加えて撹拌し透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(以下これを「TMADAOH」と称する。)水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)2.4gを加え、さらにコロイダルシリカ(スノーテック−40、日産化学社製)10.8gを加えて30分間撹拌し、水性反応混合物とした。
無機多孔質支持体としては、多孔質ムライトチューブ(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後に脱塩水で洗浄したのち乾燥し、さらにフュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製)をコートしたものを用いた。
水中に分散させた分散液に、上記支持体を所定時間浸漬してディップ法で種結晶を付着させ、140℃で1時間乾燥させて種結晶を付着させた。乾燥後の質量増加は7.0g/m2であった。
上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を4cmにカットして合成時に下部に位置した部分を用いて単成分ガス透過試験を行った。
単成分ガス透過試験は、図5に模式的に示す装置を用いて、以下のとおり行った。用いた試料ガスは、二酸化炭素(東邦酸素工業社製)、メタン(ジャパンファインプロダクツ製)、水素(HORIBA STEC製水素発生器OPGU−2200より発生)、窒素
(東邦酸素工業製)である。
α=(Q1/Q2)/(P1/P2) (1)
〔式(1)中、Q1およびQ2は、それぞれ、透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの透過量[mol・(m2・s)−1]を示し、P1およびP2は、それぞれ、供給ガスである透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの圧力[Pa]を示す。〕
aに保ち、ゼオライト膜複合体1bの円筒の内側を0.1MPa(大気圧)として、二酸化炭素の透過量が安定するまで乾燥した。評価したガスは二酸化炭素、メタン、水素、窒素である。
その後、供給側の圧力を0.2MPaとし、供給ガスを各評価ガスに変更した。このとき、供給ガス8b側と透過ガス9b側の差圧は、0.1MPaであった。
2 ゼオライト膜複合体
3 水圧ポンプ
4 圧力センサー
5 バルブ(エア抜き用)
6 トップインサート
7,12 ゼオライト膜複合体
8 オートクレーブ
9,10 ボトムインサート
11 Oリング
13 挿入部
14 クリアランス
1a スターラー
2a 湯浴
3a 撹拌子
4a 被分離液
5a ゼオライト膜複合体
6a ピラニゲージ
7a 透過液捕集用トラップ
8a コールドトラップ
9a 真空ポンプ
1b ゼオライト膜複合体
2b 耐圧容器
3b エンドピン
4b 接続部
5b 圧力計
6b 調圧弁
7b バルブ
8b 供給ガス
9b 透過ガス
10b,11b,12b 配管
Claims (4)
- 気体の混合物の分離に用いる、多孔質支持体上にゼオライト膜を有する多孔質支持体−
ゼオライト膜複合体の製造方法であって、
ゼオライト膜が形成された多孔質支持体を溶媒中で、常温で2.0MPa以上の圧力下
で保持することを特徴とする、多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。 - 該溶媒が水である、請求項1に記載の多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
- 多孔質支持体の内部を大気圧に保ち該保持を行う、請求項1または2に記載の多孔質支
持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。 - 溶媒中で720分以下で該保持を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質支
持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
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