JP6537785B2 - 鋼管類内での地下水移動の制御方法 - Google Patents
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Description
上記地下水移動の制御方法では、パイプ類で構成した前記貯水手段を掘削孔の上方に設置することが好ましい。
また上記地下水移動の制御方法では、前記「掘削孔内に進入してきた地下水」に対して水圧を印加できるように、前記貯水手段と前記掘削孔をパイプ又はホースを介して連通させることが好ましい。この場合、前記掘削孔と前記パイプ又はホースは、シーリングされた状態で繋がっているようにする。
掘削孔に進入してきた地下水に対して水圧を付与するための貯水手段を、掘削孔に対して直接的または間接的に連結し、
水圧によって前記掘削孔内での水の動きが抑制された状態で、前記掘削孔の内側にグラウトを充填する、ことを特徴とするグラウトの充填方法によって達成される。
なお、この出願において「掘削孔」とは、単なる掘削によって生じた孔を含むことは勿論のこと、鋼管杭や鋼管矢板などの鋼管類の内側を掘削することによって生じた孔(つまり掘削された鋼管類の内空部)を含む趣旨である。
鋼管類を目標深度まで打ち込み、
鋼管類内に進入してきた地下水に対して水圧を付与するための貯水手段を、前記鋼管類に対して直接的または間接的に接続し、
水圧によって前記鋼管類の管内での水の動きが抑制された状態で、管内にグラウトを充填する、ことを特徴とするグラウトの充填方法によって達成される。
この方法では、鋼管類に対して接続した貯水手段を締め機により鋼管類に対して強制的に密着させることが好ましい。
この貯水手段は、排水口を有することが好ましい。
またこの貯水手段は、該貯水手段を鋼管類に対して安定的に接続させるための接続部を具備することが好ましい。
具体的な作用効果としては、例えば、打ち込み終わった又は打ち込み途中の鋼管類上部からの噴水を抑制することができ、その結果、溢れかえった地下水で現場が過度に水浸しになるといった事態を防ぐことができる。
したがって本発明によれば、従来問題となっていた、水浸しによる作業環境の悪化や、作業効率の低下、施工機材の故障、各種構造物の品質の低下などの問題を解決することが可能になる。
また、噴水量が多くて掘削孔近傍に技術者が接近不能であるような場合でも、ヤットコなどのパイプ類をクレーンなどを利用して移動し、掘削孔の上方に吊り下ろして設置・固定することで、速やかに水の動きを沈静化させることができる。
また、鋼管類の打ち込みのために行われる作業ヤード確保のための仮締切りにおいて、必ずしも被圧地下水の回り込みによる地下水の噴き上がりによる施工障害を防止するため仮締切りに被圧地下水層より深いところまで根入れを確保する必要がなくなり、比較的浅い根入れで足りるようになるので、鋼矢板・鋼管矢板の材料費およびその打ち込みの施工費が低コストで済み・また最小限の短工期での施工が可能なる。
鋼管杭の打ち込み工程では、杭心にセットした鋼管杭1の内側を中掘り掘削しつつ、該鋼管杭を対象地盤に打ち込むようにする。このような中掘り掘削と打ち込みのための機材としては、例えば、拡縮可能な拡径式の掘削ビットを備えたダウンザホールドリルを利用することができる。そのような掘削ビットを先端に備えたダウンザホールドリルを利用することで、中掘り掘削と同時並行的に、鋼管杭1を対象地盤に打ち込むことが可能になる。
上記手順で中掘り掘削と鋼管杭の打ち込みを継続して、該鋼管杭1が不透水層を貫通すると、図1(b)に示すように、被圧帯水層の地下水(被圧地下水)が鋼管内に回り込み始める。このような状況下において、必要に応じて鋼管杭を継ぎ足しつつ、ダウンザホールドリルを使って、中掘りと同時並行で鋼管杭1を設計深度まで打ち込み続ける。
以上述べた手順で鋼管杭1の下端が設計深度まで達したら、鋼管杭の打ち込みは完了する。この時点で既に、被圧帯水層から噴き上がる地下水が、鋼管杭1の頭部から噴出し続けている。
工程cで述べた地下水の噴出状態を長時間にわたって放置していると、施工基面の全体が過度に水浸しになって、作業環境の悪化や機材の故障など、様々な問題を招くことになる。そこで、工程dでは、打ち込み終わった鋼管杭1の頭部に対して、貯水手段をなすパイプ類7(ヤットコなど)を嵌め込むようにして継ぎ足す。このパイプ類7は鋼管杭1に対して着脱自在に構成され、水頭差を解消するための役割を担うことになる。このようなパイプ類7を鋼管杭1の頭部に嵌め込むように接続することで、鋼管杭1の上方に貯水空間が作り出され、下から噴き上がる地下水の動きを抑制できる程の水圧を印加できるようになる。
パイプ類7(貯水手段)を鋼管杭頭部にシーリング状態で接続すると、杭頭からの施工基面への水の溢流が無くなるとともに、噴き上がる地下水がパイプ類内に進入して、該パイプ類内側の貯水空間で徐々にその嵩を増す。すなわち、被圧地下水の圧力を受けて上昇してきた水が、鋼管1内を通って更にパイプ類7に進入し、その貯水空間で徐々にその嵩を増してゆく。
上述したとおり鋼管杭1の内側での水流が止まって水の動きが沈静化したら(沈静化する前でも可)、次に、上端にホッパーを具備するトレミー管5(グラウト用流路)を、図1(f)に示すように鋼管杭1の内側の掘削孔内に挿入する。
次に図1(g)に示すように、トレミー管5を用いて鋼管内に、根固め材として機能するグラウト6を充填しつつ、トレミー管5を段階的に地上方向に引き上げる。充填の初期段階でトレミー管5を介して打ち込まれたグラウト6は、掘削孔底部に充填されてゆく。なおこの工程において、鋼管内での水流は無く、水の動きが沈静化しているので、充填したグラウト6が鋼管内の水やパイプ類内の水によって乱されることはない。つまり、鋼管内側の掘削孔に充填されたグラウトは、水流によって押し上げられたり、或いは逆に、吸い込まれることもない。
上述したグラウト充填を、鋼管杭内に打設されたグラウト天端が設計高さに達するまで行い、必要量のグラウトの充填が完了したら、図1(h)に示すように、トレミー管5とパイプ類7を撤去する。
鋼管杭の頭部に接続するパイプ類(貯水手段)はヤットコに限定されず、水頭差を解消できるものであれば、いかなるものでも採用できる。このようなパイプ類の好ましい実施形態としては、例えば図2に示すようなものが挙げられる。図2(a)はパイプ類(貯水手段)の好適実施例の一つを示す全体図であり、図2(b)はこのパイプ類の下側の透視図であるとともに、鋼管杭1の頭部に接続した様子を示す拡大図である。
次に、図3〜図6に基づいて、鋼管杭1の頭部に接続するパイプ類7(貯水手段)の具体的かつ詳細な実施形態について説明する。
図3は、パイプ類7(貯水手段)の好適実施形態の一例を示す図である。
図4は、図3に示すパイプ類7の下端側筒部分を示す拡大図である。
図5は、図3に示すパイプ類7をクレーンにより吊り上げている様子(パイプ類7を鋼管杭1に連結する作業時の様子)を示す拡大図である。
図6は、図3に示すパイプ類7を鋼管杭1に接続し連結した様子を示す図である。
内側空間に貯水可能なパイプ類本体71と、
該パイプ類本体71より僅かに大きな径の筒状の接続部73と、
パイプ類本体71の上端寄りに設けられた足場74と、
パイプ類7の外周面であって軸方向に沿って固設されたタラップ76と、
を有している。
これに対し本実施形態によれば、鋼管類の側に特段の連結手段を装備させる必要がないので、安価かつ簡易でしかも確実なシーリング効果の得られる連結が行えるといった優れた効果が達成される。
上述した実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲はこれに限定されない。
5 トレミー管(グラウト用流路)
6 グラウト(根固め材)
7 パイプ類(貯水手段/ヤットコ/パイプ状部材)
8 ケーシングパイプ(貯水手段/パイプ類)
9 反力構造物(ウエイト)
51 姿勢安定用締め機
52 ブラケット
53 ワイヤー
60 ブラケット
61 密着用締め機
62 ブラケット
63 ワイヤー
70 シーリング材(ゴム製のリング状のシール部材)
71 パイプ類本体
72 姿勢保持手段
73 接続部
74 足場(足場構造物)
75 貯水槽(貯水手段)
76 タラップ(昇降手段)
77 段部
81 パイプ(連結手段)
82 蓋
83 可撓性の耐圧ホース(連結手段)
Claims (4)
- 鋼管類の内側を掘削装置で中掘りしつつ該鋼管類を打設する工事において、
鋼管類の内側を通じて噴き上がってくる地下水を貯留可能であり、該鋼管類とは別体の貯水手段を設置し、
鋼管類の内側に進入してきた地下水に対し、前記貯水手段に貯留された地下水を用いて水圧を付与する、ことを特徴とする鋼管類内での地下水移動の制御方法。 - 鋼管類の内側を掘削装置で中掘りしつつ該鋼管類を打設し、その際グラウトを充填する工事において、
鋼管類の内側を通じて噴き上がってくる地下水を貯留可能であり、該鋼管類とは別体の貯水手段を設置し、
鋼管類の内側に進入してきた地下水に対し、前記貯水手段に貯留された地下水を用いて水圧を付与する、ことを特徴とする鋼管類内での地下水移動の制御方法。 - パイプ類で構成した前記貯水手段を鋼管類の上方に設置する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管類内での地下水移動の制御方法。
- 前記貯水手段と前記鋼管類をパイプ又はホースを介して連通させる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管類内での地下水移動の制御方法。
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