JP4467948B2 - 掘削方法 - Google Patents
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Description
低空頭用リバース工法(TBH工法)は、図30に示すように、先端にリバースビット21を備えたリバースロッド20をTBHドリル22にて掘削しながら、安定液タンク23内の泥水、ベントナイト溶液等の安定液をサンドポンプ24を介して坑内25に送り、リバースロッド20を介して安定液と土砂をサクションポンプ26で吸引し、安定液タンク23に設けた1次スクリーン27、2次スクリーン28、サイクロンスクリーン29へ導き、ここで安定液と土砂とに分離し、安定液を再び坑内25に供給し、分離した土砂を残土タンク30へ送り、大口径掘削を可能とするものである。
しかし、構造物の地下という環境から、大きな重機が必要なCDM工法(例えば、特許文献2,3参照)に代表される機械攪拌式の施工法は、例えば、図31に示すように、大きな重機31を必要とするため、不可能である。
それ以外には、ジェットグラウト工法(例えば、特許文献4参照)が考えられる。ジェットグラウト工法は、例えば、図32に示すように、ロッド32先端に設けた噴出口33から地盤34中にセメントモルタル等の固結材を噴出注入し、地盤34中の土粒子と固結材を混合固化させる地盤改良技術である。
本発明は、斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、構造物下、地下水位下の地中等の狭隘な場所での大口径場所打杭を構築する場合等に適用可能な掘削方法を提供することにある。
請求項5に係る発明は、請求項1記載の掘削方法において、請求項4による前記水より比重の大きな溶液を前記比重が水に近い溶液に置換する作業において、掘削終了部の透水性が大きくクィックサンド現象が予測される場合に、前記掘削に先立ち、掘削終了部に止水のための地盤改良を行うことを特徴とする。
また、水より比重の大きな溶液とは、リバースサーキュレーションドリル工法において使用する清水の比重が1であるため、水に対して比重が大きなということを規定している。
また、リバースサーキュレーションドリル工法とは、非特許文献1等にて開示されている工法である。
本発明では、第一に、狭い空間(高さが低い)専用の全回転式オールケーシング掘削機を使用し、狭い空間で施工できない最大の理由であるケーシングチューブの中にグラブハンマを大型のクローラクレーンで吊って落下させ、その破壊力と破壊した土砂を掴み取る機能によってケーシングチューブ内を掘削して行く方法を、リバースサーキュレーション工法における水を循環させながらケーシングチューブの回転力と連動した掘削ビットにより削り取った土砂をその水の循環によって地上に排出し、ケーシングチューブの中を掘削して行く方法に代え、狭い空間(高さ)での施工を可能にした。
図1は、本発明に係る掘削方法を構造物下、地下水位下の地中における狭隘な場所での大口径場所打杭を構築する方法に適用した一実施形態の施工フローを示す。
本実施形態は、図28と同様に、構造物の受替え(アンダーピーニング)等で、既設構造物1の地下、すなわち地中にて大口径の場所打杭を構築する施工条件において行われる。従って、図面には省略したが、施工の空頭が制限された狭隘な施工空間2内での作業に加えて、地下水位3が施工基面4より上にあり、狭隘な施工空間2は、鋼矢板6等で周囲を囲われており、低空頭用掘削機5等の限られた機器類しか搬入できない条件下にある。
なお、本実施形態では、後述する高比重溶液を使用した掘削を行った後、コンクリートを打設する場所打杭を造成する。そして、本実施形態では、比重の差が少なくまた硫酸バリウム等の加重材の粒子がセメントより細粒であるため循環溶液とコンクリートが混合してしまうことを防ぐため、高比重溶液を比重が水に近い溶液に置き換える際、杭掘削終了部の地質が透水性が大きく被圧水が存在し、クィックサンド現象が予測されるので、杭の掘削より前に予め杭掘削終了部を止水のための地盤改良を行う。
ここで、全回転式オールケーシング掘削機55について説明する。全回転式のオールケーシング掘削工法では、鋼製ケーシングチューブの中にグラブハンマを大型のクローラクレーンで吊って落下させ、その破壊力と破壊した土砂を掴み取る機能によって鋼製ケーシングチューブ内を掘削して行く方法であるため、狭隘な施工空間2では、鋼製ケーシングチューブの中にグラブハンマを大型のクローラクレーンで吊って落下させることができない。しかし、ここでは、全回転式オールケーシング掘削機55により鋼製ケーシングチューブのみを回転圧入し、掘削はリバースサーキュレーション工法に準拠して行うものであるから、鋼製ケーシングチューブの中にグラブハンマを大型のクローラクレーンで吊って落下させ、その破壊力と破壊した土砂を掴み取る機能によって鋼製ケーシングチューブ内を掘削するという作業を必要としない。従って、全回転式オールケーシング掘削機55を狭隘な施工空間2に据え付け可能にすれば良い。
次に、図1のステップS4および図5に示すように、次の鋼製ケーシングチューブ57と掘削機器58とを搬入し、全回転式オールケーシング掘削機55に取り付けた1本目の鋼製ケーシングチューブ56上にセットし、鋼製ケーシングチューブの継ぎ足しを行う。
次に、図1のステップS6および図7に示すように、次の鋼製ケーシングチューブ62と掘削機器63とを搬入し、全回転式オールケーシング掘削機55にセットされた鋼製ケーシングチューブ57上にセットし、鋼製ケーシングチューブの継ぎ足しを行う。
ここで、地下水面3が施工基面4より上にあるため、図21に示すように、掘削に伴いかかる水圧差を施工基面位と地下水位との差(水頭差)Hと地下水の影響を受ける立坑の山留および遮水壁として設置してある鋼矢板ないしは連続地中壁の遮水効果のなくなる深さから5m単位で施工基面4からの掘進長Lから(L+H)/Lの式にて求める比重に地盤の透水性に合わせて1〜2割増減した比重の硫酸バリウム等の加重材料と沈殿防止材としての増粘材および流動調整材としての分散材を調合した高比重溶液を循環水として、掘進地点での水圧を抑えることが可能となる。
次に、図1のステップS10および図11に示すように、次の鋼製ケーシングチューブ81と掘削機器82とを搬入し、全回転式オールケーシング掘削機55にセットされた鋼製ケーシングチューブ62上にセットし、鋼製ケーシングチューブの継ぎ足しを行う。
次に、図1のステップS11および図12、図13に示すように、スイベル83にスイベルホース73を取り付け、鋼製ケーシングチューブ81内に高比重溶液送水ホース74を配置する。なお、図1のステップS7および図8で示した嵩上げ用水密軽量鋼製ケーシングチューブ72の取り付けは、施工状況に応じて行われる。従って、ここでは、嵩上げ用水密軽量鋼製ケーシングチューブを用いない場合について説明する。
次に、図1のステップS12および図14に示すように、掘削が完了すると、全回転式オールケーシング掘削機55を停止するとともにリバースサーキュレーション工法に準拠する高比重溶液の循環を停止する。
ここで、掘削機器(掘削ロッド59,66,85、スタビライザ61、掘削ビット60)を引上げ撤去する際、施工空間2の空頭の制限から4.9t程度のクレーンまたはフォークリフトの荷揚げ機械しか使用できず、掘削機器(掘削ロッド59,66,85、スタビライザ61、掘削ビット60)の全重量がその荷揚げ機械の荷揚げ能力制限を超える場合に、低空頭用全回転式オールケーシング掘削機55のジャッキ力とストロークを利用して掘削機器(掘削ロッド59,66,85、スタビライザ61、掘削ビット60)を引上げる掘削器具引上げ装置90を用いる。
先ず、図23に示すように、第1掘削ロッドホルダー93の一対の係止部材93a,93aを掘削ロッド85に向かって回動し掘削ロッド85を係止する。次に、第2掘削ロッドホルダー95の一対の係止部材95a,95aを掘削ロッド85から遠ざかる方向に回動する。これによって、掘削ロッド85は、第1掘削ロッドホルダー93に係止された状態となる。
次に、図26に示す工程と図27に示す工程とを順次繰り返し、掘削ロッド85,66,59をジャッキ55bによる引き上げ力で引き上げ、低空頭型クローラクレーン97にて撤去する。最後に、スタビライザ61、掘削ビット60を撤去する。
なお、本実施形態では、杭の掘削より前に予め杭掘削終了部を止水のための地盤改良を行ったが、本発明はこれに限るものではなく、地盤改良を行わないものであっても良い。
2 施工空間
3 地下水位
4 施工基面
5 低空頭用掘削機
6 鋼矢板
50 改良杭
51 ロッド
52 噴出口
53 地盤
55 全回転式オールケーシング掘削機
55b ジャッキ
56 1本目の鋼製ケーシングチューブ
57,62,81 次の鋼製ケーシングチューブ
58,63,82 掘削機器
60 掘削ビット
61 スタビライザ
64,83 スイベル
65,84 回転伝達ケリーバ
66,85 掘削ロッド
67 リング部材
68 回転伝達部材
69 連結部
70 掘削ロッド挿通穴
71,93a,95a 一対の係止部材
72 嵩上げ用水密軽量鋼製ケーシングチューブ
73 スイベルホース
74 高比重溶液送水ホース
75 サクションポンプ
76 固液分離装置
77 残土タンク
79 貯水槽
80 調泥槽
A 高比重溶液
B 比重の低い溶液
C 流動性のある溶液
90 掘削器具引上げ装置
91 構台
91a 梁
93 第1掘削ロッドホルダー
94,96 台座
95 第2掘削ロッドホルダー
97 低空頭型クローラクレーン
Claims (6)
- 地下水面より低く、施工基面からの高さに制限のある狭い空間に、前記狭い空間に据え付け可能な全回転式オールケーシング掘削機を据え付け、
前記全回転式オールケーシング掘削機にケーシングチューブを取り付け、リバースサーキュレーション工法の掘削に必要な回転力を前記全回転式オールケーシング掘削機から前記ケーシングチューブに伝達して回転圧入し、
掘進位置の水圧を超える孔内溶液重量となるよう換算した溶液比重を地盤の透水性に合わせて増減した比重の加重材料と、沈殿防止材としての増粘材と、流動調整材としての分散材とを調合した水より比重の大きな溶液を、前記リバースサーキュレーション工法に準拠して循環させながら前記ケーシングチューブの回転力と連動した掘削ビットにより削り取った土砂をその溶液の循環によって地上に排出し、前記ケーシングチューブ中への地下水、土砂の流入を防ぎつつ前記ケーシングチューブの中を掘削する
ことを特徴とする掘削方法。 - 請求項1記載の掘削方法において、
前記全回転式オールケーシング掘削機にケーシングチューブを取り付け、リバースサーキュレーション工法の掘削に必要な回転力を前記全回転式オールケーシング掘削機から前記ケーシングチューブに伝達して回転圧入するに際し、
前記ケーシングチューブと前記ケーシングチューブ内に装着される掘削ロッドとの間に回転伝達ケリーバを取り付け、前記回転伝達ケリーバを介して前記リバースサーキュレーション工法の掘削に必要な全回転式オールケーシング掘削機の回転力を前記ケーシングチューブから前記掘削ロッドに伝達し、
前記ケーシングチューブと前記掘削ロッドとの間にスタビライザを取り付け、前記スタビライザを介して前記掘削ロッドおよび掘削ビットを孔の中心に方向を固定または修正し、掘削の方向を制御して、前記リバースサーキュレーション工法の掘削に必要な全回転式オールケーシング掘削機の回転力を前記ケーシングチューブから掘削ロッドに伝達する
ことを特徴とする掘削方法。 - 請求項1記載の掘削方法において、
前記リバースサーキュレーション工法に準拠して前記水より比重の大きな溶液を循環させながら前記ケーシングチューブの回転力と連動した掘削ビットにより削り取った土砂をその溶液の循環によって地上に排出し、前記ケーシングチューブ中への地下水、土砂の流入を防ぎつつ前記ケーシングチューブの中を掘削するに際し、
前記ケーシングチューブの頂部に前記ケーシングチューブより軽量な嵩上げ用ケーシングチューブを取り付け、前記水より比重の大きな溶液の水位とスイベルの位置を近づけ、サクションポンプにかかる負荷を小さくする
ことを特徴とする掘削方法。 - 請求項1記載の掘削方法において、
前記掘削終了後に、前記ケーシングチューブ内に比重が水に近い溶液を注入するに際し、前記ケーシングチューブ内の前記水より比重の大きな溶液と、前記比重が水に近い溶液との間に糊状の自立してかつ流動性のある溶液層を設けて前記水より比重の大きな溶液を前記比重が水に近い溶液と置換する
ことを特徴とする掘削方法。 - 請求項1記載の掘削方法において、
請求項4による前記水より比重の大きな溶液を前記比重が水に近い溶液に置換する作業において、掘削終了部の透水性が大きくクィックサンド現象が予測される場合に、前記掘削に先立ち、掘削終了部に止水のための地盤改良を行う
ことを特徴とする掘削方法。 - 請求項1記載の掘削方法において、
請求項4による前記水より比重の大きな溶液を前記比重が水に近い溶液に置換する作業が終了後に、上下方向に第1掘削ロッドホルダーと第2掘削ロッドホルダーとを備えた掘削機器引上げ装置を前記全回転式オールケーシング掘削機の周囲に配置し、前記掘削ロッドを前記第1掘削ロッドホルダーにて係止した状態で前記全回転式オールケーシング掘削機のジャッキ力で引き上げ、引き上げられた前記掘削ロッドを第2掘削ロッドホルダーにて係止し、その後第1掘削ロッドホルダーによる係止を解除し、前記第2掘削ロッドホルダーの上部側に位置する前記掘削ロッドを撤去し、前記全回転式オールケーシング掘削機を元の位置に戻す工程を、順次繰り返し、次段以降の前記掘削ロッドを引き上げ、撤去する
ことを特徴とする掘削方法。
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