下記に、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一眼レフカメラ100の模式的断面図である。一眼レフカメラ100は、レンズユニット200およびカメラボディ300を含む。なお、以降の説明においては、カメラボディ300に対してレンズユニット200が装着されている側を「前」と記載する。また、カメラボディ300においてレンズユニット200が装着されている側の反対側を「後」と記載する。
レンズユニット200は、固定筒210、レンズ220、230、240、鏡筒CPU250およびレンズ側マウント260を有する。レンズ側マウント260は固定筒210の一端に設けられ、カメラボディ300のボディ側マウント360と嵌合することにより、レンズユニット200をカメラボディ300に結合する。
レンズ側マウント260およびボディ側マウント360の結合は特定の操作により解除できる。これにより、同じ規格のレンズ側マウント260を有する他のレンズユニット200をカメラボディ300に装着することができる。
レンズユニット200において、レンズ220、230、240は、固定筒210の内側において光軸Xに沿って配列されて光学系を形成する。レンズ220、230、240の一部または全部は、光軸Xに沿って移動する。これにより、光学系の焦点距離および焦点位置が変化する。
レンズユニット200において、鏡筒CPU250は、レンズユニット200自体の制御を司ると共に、カメラボディ300の本体CPU322との通信も担う。これにより、カメラボディ300に装着されたレンズユニット200は、カメラボディ300と連携して動作する。
カメラボディ300は、筐体310の前面に配されたボディ側マウント360に取り付けられたレンズユニット200に対して後方にミラーユニット380を備える。ミラーユニット380の上方には、フォーカシングスクリーン346およびペンタプリズム344が順次配される。ペンタプリズム344の後方には、ファインダ光学系342が配される。ファインダ光学系342の後端は、筐体310の背面にファインダ340として露出する。
カメラボディ300において、ミラーユニット380の後方には、シャッタユニット400、光学フィルタ372および撮像素子370が順次配される。シャッタユニット400は、レンズユニット200を通じて入射する光を、撮像素子370の直前で遮断または開放するフォーカルプレンシャッタを形成する。
光学フィルタ372は、撮像素子370の直前に配され、撮像素子370に入射する被写体光束から可視光帯域外の成分を除去する。また、光学フィルタ372は、ローパスフィルタとして被写体光束の空間周波数を減じて、撮像画像におけるモアレの発生を抑制する。
撮像素子370は、CCDセンサ、CMOSセンサなどの光電変換素子により形成される。撮像素子370の更に背後には、主基板320、背面表示部330が順次配される。主基板320には、本体CPU322および画像処理部324等が実装される。背面表示部330は、液晶表示板等の表示デバイスを有し、筐体310の背面に露出する。
カメラボディ300において、ミラーユニット380は、メインミラー保持枠381およびメインミラー382を有する。メインミラー保持枠381は、メインミラー382を保持しつつ、メインミラー回転軸383により後端側を軸支される。
ミラーユニット380は、サブミラー保持枠385およびサブミラー386も有する。サブミラー保持枠385は、サブミラー386を保持しつつ、サブミラー回転軸387によりメインミラー保持枠381から軸支される。
これにより、サブミラー386は、メインミラー保持枠381に対して回転する。メインミラー保持枠381が回転した場合、サブミラー386およびサブミラー保持枠385はメインミラー保持枠381と共に移動しつつ、メインミラー保持枠381に対して回転する。
ミラーユニット380において、メインミラー保持枠381の前端が位置決めピン384に当接している場合、メインミラー382は観察位置に位置決めされる。観察位置にあるメインミラー382は、レンズユニット200の光学系を通じて入射した被写体光束の大半を、上方のフォーカシングスクリーン346に向かって反射する。フォーカシングスクリーン346は、撮像素子370の撮像面と光学的に共役な位置に配され、レンズユニット200の光学系が形成した被写体像を可視化する。
フォーカシングスクリーン346に結ばれた被写体像は、ペンタプリズム344およびファインダ光学系342を通じてファインダ340から観察される。ペンタプリズム344を介することにより、被写体像はファインダ340から正立正像として観察される。
ペンタプリズム344から射出される被写体光束の一部は、ファインダ光学系342の上方に配された測光センサ350に受光される。カメラボディ300のレリーズボタンが半押し状態になると、測光センサ350は、受光した入射光束の一部から被写体輝度を検出する。
本体CPU322は、検出された被写体輝度に応じて、絞り値、シャッタ速度、ISO感度等の撮像条件を算出する。これにより、一眼レフカメラ100は、適切な撮影条件で被写体を撮影できる状態になる。また、本体CPU322は、カメラボディ300におけるシャッタユニット400等の動作を制御する制御部でもある。
観察位置にあるメインミラー382に入射した被写体光束の一部は、メインミラー382の一部に形成されたハーフミラー領域を透過してサブミラー386に入射する。サブミラー386に入射した被写体光束の一部は、合焦光学系390に向かって反射され、やがて、合焦位置センサ392に入射する。
合焦位置センサ392は、レンズユニット200の光学系におけるデフォーカス量を検出して、本体CPU322に通知する。本体CPU322は、鏡筒CPU250と通信して、検知されたデフォーカス量を打ち消すように、レンズ220、230、240のいずれかを移動させる。こうして、レンズユニット200は、撮像素子370の撮像面に被写体像を結ぶべく合焦する。
一眼レフカメラ100においてレリーズボタンが半押しを超えて押し込まれた場合、メインミラー保持枠381はメインミラー382と共に図中時計回りに回転し、緩衝部材388に当接して、退避位置に略水平に停止する。緩衝部材388は弾性を有する材料で形成され、メインミラー保持枠381が当接した場合の衝撃を緩和する。こうして、メインミラー382は、レンズユニット200の光学系を通じて入射した被写体光束の光路から退避する。
メインミラー382が撮影位置に向かって回転する場合、サブミラー保持枠385も、メインミラー保持枠381と共に上昇すると共に、サブミラー回転軸387の回りに回転して、撮影位置において略水平に停止する。これにより、サブミラー386も、被写体光束の光路から退避する。
メインミラー382およびサブミラー386が撮影位置に移動すると、シャッタユニット400の先幕が開いて画枠が開放される。これにより、レンズユニット200の光学系を通じて入射した入射光束は、光学フィルタ372を透過して撮像素子370に受光される。
更に、予め算出された露光時間が経過すると、シャッタユニット400において後幕が画枠を遮蔽し、メインミラー382およびサブミラー386は再び観察位置に復帰する。このように、メインミラー382およびサブミラー386は、観察位置と撮影位置との間を往復回転するクイックリターンミラーを形成する。
図2は、シャッタユニット400の正面図である。図2は、カメラボディ300においてレリーズボタンが操作されていない状態、即ち、待機状態のシャッタユニット400を、カメラボディ300の前側から見た様子を示す。シャッタユニット400は、メインフレーム410、駆動部420、先幕駆動レバー430、先幕440、後幕駆動レバー450、後幕460、フォトインタラプタ470および電磁石480を備える。
メインフレーム410は、シャッタユニット400の他の部材を支持すると共に、シャッタユニット400をカメラボディ300に対して固定する場合のブラケットを兼ねる。また、メインフレーム410は、中央に開口する画枠412を有する。画枠412は、シャッタユニット400をカメラボディ300の前側から見た場合に、撮像素子370の受光部領域を包囲する。
ただし、図示の待機状態においては、画枠412は、後幕460により覆われている。後幕460は、複数のシャッタ羽根461、462、463、464を含む。シャッタ羽根461、462、463、464は隣接するものどうしが一部ずつ重なりあいながら図中上下に展開して、画枠412全体を閉鎖している。シャッタ羽根461、462、463、464の各々は、駆動アーム451により支持され、駆動アーム451の回転により図中垂直に走行して変位する。
また、図示の待機状態において、先幕440は、画枠412の下方に畳まれている。即ち、畳まれた先幕440においては、複数のシャッタ羽根441、442、443が互いに重なりあって、先幕440の図中上下方向の寸法を縮小している。シャッタ羽根441、442、443の各々は、駆動アーム431により支持され、駆動アーム431の図中垂直に走行して変位する。
メインフレーム410は、画枠412の外側であって、図中左側にサブフレーム414を有する。サブフレーム414は、メインフレーム410に対して紙面手間側に間隔を置いて固定され、メインフレーム410との間に駆動アーム431、451を挟む。また、サブフレーム414は、先幕駆動レバー430および後幕駆動レバー450を、紙面に垂直な回転軸432、452の回りに回転可能に支持する。
先幕駆動レバー430は、回転軸432から概ね対称に延在し、一端にコロ434およびばね受け437を、他端に駆動ピン435をそれぞれ有する。駆動ピン435は、サブフレーム414の影で先幕440の駆動アーム431に係合しており、先幕駆動レバー430が回転した場合に、シャッタ羽根441、442、443を変位させる。
先幕駆動レバー430のコロ434は、先幕駆動レバー430に対して回転自在に取り付けられており、先幕駆動レバー430の一端に対する摺動抵抗を軽減する。コロ434の回転軸と同軸に配されたばね受け437は、回転軸432を挿通された捩じりばね436の一端を押し付けられる。
捩じりばね436の他端は、サブフレーム414に固定されたストッパ418に押し付けられる。これにより、先幕駆動レバー430は、図中時計回りに回転すべく付勢される。ただし、図示の待機状態においては、先幕440のシャッタ羽根441、442、443が変位する範囲の下端で重なって、画枠412の範囲からはずれているので、先幕駆動レバー430はもはや図中時計回りには回転しない。
後幕駆動レバー450は、回転軸452から概ね対称に延在して、一端にコロ454およびばね受け457を、他端に駆動ピン455をそれぞれ有する。駆動ピン455は、サブフレーム414の影で後幕460の駆動アーム451に係合しており、後幕駆動レバー450が回転した場合に、シャッタ羽根461、462、463、464を変位させる。
後幕駆動レバー450のコロ454は、後幕駆動レバー450に対して回転自在に取り付けられており、後幕駆動レバー450の一端に対する摺動抵抗を軽減する。コロ454の回転軸と同軸に配されたばね受け457は、回転軸452を挿通された捩じりばね456の一端を押し付けられる。
捩じりばね456の他端は、サブフレーム414に固定されたストッパ419に押し付けられる。これにより、後幕駆動レバー450は、図中時計回りに回転すべく付勢される。ただし、図示の待機状態においては、後幕460のシャッタ羽根461、462、463、464が変位する範囲の下端まで展開して画枠412を覆っているので、後幕駆動レバー450はもはや図中時計回りには回転しない。
更に、後幕駆動レバー450は、一部が枝分かれして磁性体片458を支持する。これにより、磁性体片458は、後幕駆動レバー450の回転に伴って変位する。換言すれば、磁性体片458を係止することにより、後幕駆動レバー450の回転を規制できる。
図示のシャッタユニット400においては、後幕駆動レバー450が捩じりばね456の付勢力に抗して回転した場合に磁性体片458に当接する位置に、電磁石480が配される。電磁石480は、通電された場合は、後幕駆動レバー450を捩じりばね456の付勢力に抗して係止できる。
シャッタユニット400において、駆動部420は、メインフレーム410の外側に配される。駆動部420は、モータ421、減速ギア423、425、426、従動ギア427およびフォトインタラプタ470を有する。
モータ421は、ピニオンギア422を回転駆動し、複数の減速ギア423、425、426を介して、従動ギア427を駆動する。従動ギア427は、一対の幅狭カム428と、一対の幅広カム429とを有する。幅狭カム428および幅広カム429は、従動ギア427と一体的に回転する。
なお、幅狭カム428および幅広カム429は、紙面対して直交する方向について互いに異なる位置に配される。よって、幅狭カム428および幅広カム429は、互いに異なるフォロワを個別に駆動できる。
図示のシャッタユニット400において、幅狭カム428は、後幕駆動レバー450のコロ454をフォロワとして駆動する。幅狭カム428は、従動ギア427の回転軸を中心とする、約30°の中心角を有する扇形のプロファイルを有する。
コロ454が幅狭カム428の外周部を走行する場合、後幕駆動レバー450は、捩じりばね456の付勢力に抗して図中反時計回りに回転する。これにより、駆動ピン455および駆動アーム451を介して、後幕460が図中上方に引き上げられる。コロ454が幅狭カム428の外周部からはずれた場合、捩じりばね456の付勢力により後幕駆動レバー450が図中時計回りに回転し、図示のように、後幕460が展開して画枠412を閉鎖する。
また、シャッタユニット400において、幅広カム429は、先幕駆動レバー430のコロ434をフォロワとして駆動する。幅広カム429は、従動ギア427の回転軸を中心とする、約90°の中心角を有する扇形のプロファイルを有する。
コロ434が幅広カム429の外周部を走行する場合、先幕駆動レバー430は、捩じりばね436の付勢力に抗して図中反時計回りに回転する。これにより、駆動ピン435および駆動アーム431を介して、先幕440が図中上方に引き上げられる。コロ434が幅広カム429の外周部からはずれた場合、捩じりばね436の付勢力により先幕駆動レバー430が図中時計回りに回転し、図示のように、先幕440が畳まれて画枠412を開放する。
なお、ひとつの減速ギア425は、ロータリスケール424を有する。よって、当該ロータリスケール424をフォトインタラプタ470でカウントすることによりロータリエンコーダを形成する。
これにより、駆動部420においては、減速ギア425の回転量を検出して、幅狭カム428および幅広カム429の回転角を検出できる。よって、カメラボディ300の本体CPU322は、幅狭カム428および幅広カム429の回転角を監視しつつ、モータ421の駆動を制御できる。
図3は、駆動部420によるシャッタユニット400の駆動状態を示す模式図である。図3は、シャッタユニット400から、幅狭カム428および幅広カム429を有する従動ギア427と、先幕駆動レバー430および後幕駆動レバー450とを、図2に示した待機状態で抜き出して示す。
待機状態において、先幕駆動レバー430および後幕駆動レバー450のコロ434、454はいずれも、幅広カム429または幅狭カム428に接していない。よって、先幕駆動レバー430および後幕駆動レバー450は、捩じりばね436、456の付勢力により、回転可能な範囲で、図中時計回りに回転し切った状態にある。この場合、後幕駆動レバー450に設けられた磁性体片458は、電磁石480から離れており、電磁石480への通電は遮断されている。
また、図2に示したように、先幕440および後幕460はいずれもチャージされていない状態にある。このため、先幕440は、画枠412の下側に畳まれている。また、後幕460は、展開して画枠412を閉鎖している。本体CPU322は、上記のような状態を待機状態とし、フォトインタラプタ470によるロータリスケール424のカウントをリセットする。
図4は、駆動部420によるシャッタユニット400の駆動状態を示す模式図である。図4は、図中に矢印Rで示すように、モータ421により回転駆動された従動ギア427が、図中時計回りに回転した状態を示す。
従動ギア427の回転に伴い、幅広カム429および幅狭カム428も一体的に回転する。これにより、まず、幅広カム429がコロ434に当接して、図中に矢印Aで示すように、捩じりばね436の付勢力に抗して先幕駆動レバー430を図中反時計回りに回転させる。
図5は、シャッタユニット400の正面図であり、図4に示した状態から、従動ギア427が更に回転した状態を示す。従動ギア427が回転したことにより、先幕駆動レバー430のコロ434は、幅広カム429の外周に達しており、先幕駆動レバー430は回転し切っている。これにより、先幕440は、展開して画枠412を閉鎖する。こうして、先幕440は、捩じりばね436の付勢力に抗して展開して画枠412を閉鎖し、チャージされた状態となる。このように、シャッタユニット400においては、幅広カム429が、先幕440をチャージするチャージ部材を形成する。
図示の状態において、画枠412は、先幕440および後幕460の両方により閉鎖されている。しかしながら、従動ギア427の回転に伴い、幅狭カム428も一体的に回転しているので、幅狭カム428が、後幕駆動レバー450のコロ454に当接する。これにより、図中に矢印Bで示すように、捩じりばね456の付勢力に抗して後幕駆動レバー450は図中反時計回りに回転し始める。また、後幕駆動レバー450の回転に伴い、シャッタ羽根461、462、463、464が図中上方に走行し始める。
図6は、シャッタユニット400の正面図であり、図5に示した状態から、従動ギア427が更に回転した状態を示す。従動ギア427が回転したことにより、後幕駆動レバー450のコロ454は幅狭カム428の外周に達して、後幕駆動レバー450が回転し切ている。これにより、後幕460は、画枠412の上側で畳まれ、画枠412を開放する。
こうして、後幕460は、捩じりばね456の付勢力に抗して、画枠412を開放したチャージされた状態になる。このように、シャッタユニット400においては、幅狭カム428が、後幕460をチャージするチャージ部材を形成する。なお、既に説明したように、チャージされた先幕440が展開して画枠412を閉鎖しているので、後幕460がチャージされても、画枠412が開放されるわけではない。
また、後幕駆動レバー450の回転により、後幕駆動レバー450と一体的に移動する磁性体片458が、電磁石480に当接する。本体CPU322は、フォトインタラプタ470のカウントに基づいて、磁性体片458が電磁石480に当接した状態を検出して、電磁石480への通電を指示する。これにより、磁性体片458は、電磁石480に吸着されて、後幕駆動レバー450が係止される。
このように、シャッタユニット400においては、幅広カム429が先幕440を、幅狭カム428が後幕460を、順次チャージする。よって、従動ギア427を駆動する駆動部420に、先幕440のチャージの負荷と後幕460のチャージの負荷とが同時にかかることが回避される。これにより、負荷容量の小さな小型のモータ421を使用できる。
なお、従動ギア427が回転しても、先幕駆動レバー430のコロ434は、依然として幅広カム429の外周に接している。よって、先幕440は、捩じりばね436の付勢力に抗して画枠412を閉鎖するチャージされた状態を継続している。このように、従動ギア427と一体的に回転する幅狭カム428および幅広カム429は、回転することにより、先幕440および後幕460を、待機状態からチャージされた状態にする。
図7は、シャッタユニット400の駆動状態を示す模式図であり、図6に示した状態から、従動ギア427が更に回転した状態を示す。図示の状態において、先幕駆動レバー430のコロ434は、幅広カム429の外周の終端に達しているが、依然として幅広カム429の外周に接して、先幕440がチャージされた状態を維持している。
一方、幅狭カム428は、後幕駆動レバー450のコロ454との接触から抜け出してしている。このため、後幕駆動レバー450は、もはや幅狭カム428に支持されていない。しかしながら、磁性体片458が電磁石480に吸着されているので、後幕駆動レバー450は、依然としてチャージされた状態を維持している。このように、電磁石480は、後幕駆動レバー450がチャージされた状態を磁力により保持するラッチ部材を形成する。
本体CPU322は、フォトインタラプタ470のカウントに基づいて上記のような状態が検出されると、モータ421の回転を停止して、シャッタユニット400がチャージされた状態を保つ。カメラボディ300においては、クイックリターンミラーのミラーアップが完了するまでに、上記のようにシャッタユニット400がチャージされる。
なお、図7に示したチャージされた状態において、先幕駆動レバー430に作用する捩じりばね436の付勢力は、幅広カム429に対して径方向にコロ434を押し付ける。よって、従動ギア427の回転を特に制動することなく、幅広カム429は、先幕駆動レバー430がチャージされた状態を維持できる。
しかしながら、外部から衝撃、振動等が伝わった場合に、コロ434が幅広カム429の外周からはずれて、捩じりばね436の付勢力により先幕駆動レバー430が回転してしまうことがあり得る。そこで、幅広カム429の外周の終端から離れた位置において、幅広カム429がコロ434を支持してもよい。
ただし、コロ434を支持する位置が、幅広カム429の外周の終端から離れ過ぎると、後述する先幕440のレリーズにタイムラグが生じる。そこで、コロ434を支持する位置を外周の終端から離す代わりに、図8に示すように、幅広カム429においてコロ434を支持する位置に凹部439を設けて、コロ434の脱落を防止してもよい。
図9は、シャッタユニット400の正面図である。図9は、図7に示した状態から、従動ギア427が更に回転した状態を示す。従動ギア427が回転したことにより、先幕駆動レバー430のコロ434は、幅広カム429の外周による支持を失う。これにより、先幕駆動レバー430は、図中に矢印Cにより示すように、捩じりばね436の付勢力に従って、図中時計回りに回転する。
先幕駆動レバー430が回転すると、駆動ピン435および駆動アーム431を介してシャッタ羽根441、442、443、444が順次移動し、先幕440が画枠412の下側に畳まれるので画枠412が開放される。このとき、電磁石480への通電が継続されているので、後幕460は、依然として画枠412の上方に畳まれている。
また、既に説明した通り、シャッタユニット400がチャージされる間にクイックリターンミラーのミラーアップは完了している。よって、先幕440が画枠412を開放することにより、カメラボディ300においては、撮像素子370が露光される。
なお、幅広カム429が先幕駆動レバー430のコロ434の変位を妨げない位置まで回転すると、本体CPU322は、モータ421の回転を停止する。これにより、幅狭カム428および幅広カム429のいずれもが、コロ434、454から離れた状態で、従動ギア427は回転を停止する。
図10は、シャッタユニット400の駆動状態を示す模式図である。図10は、図9に示した状態に続く状態を示す。カメラボディ300において本体CPU322は、先幕440が開き始めてから予め算出されている露光時間が経過すると、電磁石480に対する通電を遮断する。これにより、後幕駆動レバー450に対する係止が解かれ、後幕駆動レバー450は、矢印Dにより示すように、捩じりばね456の付勢力に従って図中時計回りに回転する。
後幕駆動レバー450が回転すると、駆動ピン455および駆動アーム451を介してシャッタ羽根461、462、463、464が順次移動し、後幕460が展開して画枠412を閉鎖する。こうして、撮像素子370の露光は完了する。また、シャッタユニット400は、図2に示した待機状態と同じ状態になる。
図11は、シャッタユニット400における先幕440および後幕460の動作タイミングを示す図である。図11の上段には、シャッタユニット400における先幕440の下端および後幕460の上端の位置が示される。図11の中段には、ロータリスケール424をカウントするフォトインタラプタ470が出力するパルス波形が示される。図11の下段には、電磁石480をリセットして後幕駆動レバー450の係止を開放するリセットパルスのタイミングが示される。
カメラボディ300においてレリーズボタンが押し下げられると、クイックリターンミラーのミラーアップが完了した後、シャッタユニット400の動作が開始される。先幕440および後幕460がチャージされた状態でシャッタユニット400が起動した場合、回転を開始してから先幕440が走行を開始するまでの、従動ギア427の回転量は予め定められている。
先幕440がリリースされるまでの回転量は、例えば30°であり、図示の例では、フォトインタラプタ470により5パルスがカウントされた時点で先幕440が走行を開始する。これにより、撮像素子370の露光が開始される。
次いで、カメラボディ300の本体CPU322は、タイミングPSから撮像素子370の露光時間の計測を開始し、予め算出されていた露光時間T1が経過した時点で、電磁石480のリセットパルスを発生させる。これにより、後幕駆動レバー450の係止が電磁石480から開放されて後幕460が走行を開始する。よって、画枠412が後幕460により閉鎖され、撮像素子370の露光が終了する。
このように、シャッタユニット400は、先幕440をチャージする幅広カム429により、チャージされた先幕440を係止することにより、単一の電磁石480により露光時間を制御する。これにより、先幕440を係止する電磁石を省き、シャッタユニット400の部品点数を削減すると共に小型化している。
なお、シャッタユニット400は、扇状の幅広カム429により先幕440をチャージし、且つ係止した。しかしながら、シャッタユニット400をチャージする機構を、先幕440の係止にも利用できれば、クランク、リンク等の他の構造も選ぶことができる。
図12は、他のシャッタユニット401の正面図である。シャッタユニット401は、次に説明する部分を除くと、シャッタユニット400と同じ構造を有する。よって、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
シャッタユニット401は、先幕駆動レバー430が磁性体片438を有すると共に、通電された場合に磁性体片438を吸着して先幕駆動レバー430を係止する電磁石480が先幕駆動レバー430側に配されている点で、シャッタユニット400と異なる構造を有する。
また、磁性体片438および電磁石480が先幕駆動レバー430側に配されたことにより、シャッタユニット401においては、先幕駆動レバー430が幅狭カム428によりチャージされ、後幕駆動レバー450が、幅広カム429によりチャージされ、且つ、チャージされた状態を維持される点が、シャッタユニット400と異なる。更に、シャッタユニット401においては、従動ギア427において、幅狭カム428および幅広カム429の位相が、シャッタユニット400とは異なっている。
上記のような構造を有するシャッタユニット401においては、まず、幅狭カム428により先幕駆動レバー430が回転されることにより、先幕440がチャージされる。チャージされた先幕440は、電磁石480に通電して磁性体片438を吸着することにより、チャージされた状態を維持される。
次いで、シャッタユニット401においては、幅広カム429により後幕駆動レバー450が回転されることにより、後幕460がチャージされる。チャージされた後幕460は、幅広カム429の外周により後幕駆動レバー450のコロ454を支持することにより、チャージされた状態が維持される。
更に、シャッタユニット401においては、電磁石480の通電を遮断することにより、先幕440の走行が開始され、次いで、幅広カム429の回転により、後幕駆動レバー450の係止が解除される。このように動作するシャッタユニット401においても、個別のタイミングで走行する先幕440および後幕460は、幅狭カム428および幅広カム429を共通に駆動する従動ギア427と、単一の電磁石480によりチャージされ、且つ、走行のタイミングを制御される。
図13は、シャッタユニット401における先幕440および後幕460の動作タイミングを示す図である。図13の上段には、シャッタユニット401における先幕440の下端および後幕460の上端の位置が示される。図13の中段には、ロータリスケール424をカウントするフォトインタラプタ470が出力するパルス波形が示される。図13の下段には、電磁石480をリセットするリセットパルスのタイミングが示される。
シャッタユニット401において、本体CPU322は、電磁石480への通電を遮断することにより先幕440の走行を瞬時に開始させることができる。これに対して、幅広カム429によりチャージされた状態を維持している後幕460は、予め定められた回転量まで幅広カム429を回転させないと走行が開始されない。
そこで、本体CPU322は、幅広カム429が回転を開始したタイミングからフォトインタラプタ470によるパルスのカウントを開始して後幕460が走行を開始するタイミングを予測し、予測したタイミングT2を基準にして先幕440に走行を開始させるタイミングを決定する。これにより、本体CPU322は、算出された様々な露光時間T1に対応して撮像素子370を露光できる。
即ち、本体CPU322は、タイミングT0に回転を開始した幅広カム429により後幕460が走行を開始するタイミングT2を予測し、予測したタイミングT2に対して予め算出された露光時間T1が得られるように、電磁石480のリセットパルスを発生するタイミングPSを決定して、シャッタユニット401を制御する。よって、シャッタユニット401においては、後幕460を開放するタイミングにより早い駆動開始タイミングに、幅広カム429の駆動を開始する。
このように、シャッタユニット401は、後幕460をチャージする幅広カム429により、チャージされた後幕460を係止することにより、単一の電磁石480により露光時間を制御する。これにより、後幕460を係止する電磁石を省き、シャッタユニット401の部品点数を削減すると共に小型化している。
図14は、シャッタユニット402の正面図である。シャッタユニット402は、次に説明する部分を除くと、シャッタユニット401と同じ構造を有する。よって、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
シャッタユニット402は、撮像素子370を電気的にリセットする電子シャッタを設ける代わりに、先幕駆動レバー430、先幕440および電磁石480を備えていない点において、シャッタユニット401と異なる。また、このために、幅狭カム428も有していない点でも、シャッタユニット401と異なる。
上記のような構造を有するシャッタユニット402においては、幅広カム429により後幕駆動レバー450が回転されることにより、後幕460がチャージされる。チャージされた後幕460は、幅広カム429の外周により後幕駆動レバー450のコロ454を支持することにより、チャージされた状態が維持される。更に、シャッタユニット402においては、幅広カム429の回転により、後幕駆動レバー450の係止が解除される。
図15は、シャッタユニット402における後幕460の動作タイミングを示す図である。図15の上段には、先幕440に変わる電子シャッタのリセットタイミングと、後幕460の上端の位置とが示される。図15の中段には、ロータリスケール424をカウントするフォトインタラプタ470が出力するパルス波形が示される。図15の下段には、撮像素子370をリセットするリセットパルスのタイミングが示される。
シャッタユニット401において、先幕440は、撮像素子370にリセットパルスを入力することにより動作する電子シャッタにより代替される。電子シャッタは、リッセトパルスが発生したタイミングから、撮像素子370の画素を順次初期化する。これに対して、幅広カム429によりチャージされた状態を維持している後幕460は、予め定められた回転量まで幅広カム429を回転させないと走行が開始されない。
そこで、本体CPU322は、幅広カム429が回転を開始したタイミングからフォトインタラプタ470によるパルスのカウントを開始して後幕460が走行を開始するタイミングを予測し、予測したタイミングT2を基準にして電子シャッタに撮像素子370の初期化を開始させるタイミングを決定する。これにより、本体CPU322は、算出された様々な露光時間T1に対応して撮像素子370を露光できる。
即ち、本体CPU322は、タイミングT0に回転を開始した幅広カム429により後幕460が走行を開始するタイミングT2を予測し、予測したタイミングT2を基準として、予め算出された露光時間T1が得られるように、撮像素子370のリセットパルスを発生するタイミングPSを決定して、シャッタユニット402を制御する。このように、シャッタユニット402においては、後幕460を開放するタイミングにより早い駆動開始タイミングに、幅広カム429の駆動を開始する。
このように、シャッタユニット402は、後幕460をチャージする幅広カム429により、チャージされた後幕460を係止することにより、単一の電磁石480により露光時間を制御する。これにより、後幕460を係止する電磁石を省き、シャッタユニット402の部品点数を削減すると共に小型化している。
更に、後幕460を幅広カム429によりチャージし、且つ、係止する構造においては、駆動部420でモータ421が起動する場合に不可避にタイムラグが生じる。よって、幅広カム429のカムプロファイル等を勘案して、幅広カム429の駆動開始タイミングを決定してもよい。このために、露光時間が非常に短い場合等は、クイックリターンミラーのミラーアップが完了する前に、後幕460を開放する幅広カム429の駆動を開始してもよい。
ここまで、一眼レフカメラ100のシャッタユニット400、401、402について説明した。しかしながら、クイックリターンミラーを備えていないノンレフレックスカメラ、レンジファインダカメラ、レンズ固定式カメラ等におけるフォーカルプレンシャッタユニットにも上記の構造を適用できる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。