以下、本発明の受電器を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
本発明の受電器、及び、電力伝送システムを適用した実施の形態1乃至3について説明する前に、図1乃至図3を用いて、実施の形態1乃至3の受電器、及び、電力伝送システムの前提技術について説明する。
図1は、電力伝送システム30を示す図である。
図1に示すように、電力伝送システム30は、交流電源1、一次側(送電側)の送電器10、及び二次側(受電側)の受電器20を含む。電力伝送システム30は、送電器10及び受電器20を複数含んでもよい。
送電器10は、一次側コイル11と一次側共振コイル12を有する。受電器20は、二次側共振コイル21と二次側コイル22を有する。二次側コイル22には負荷装置25が接続される。
図1に示すように、送電器10及び受電器20は、一次側共振コイル(LC共振器)12と二次側共振コイル(LC共振器)21の間の磁界共鳴(磁界共振)により、送電器10から受電器20へエネルギー(電力)の伝送を行う。ここで、一次側共振コイル12から二次側共振コイル21への電力伝送は、磁界共鳴だけでなく電界共鳴(電界共振)等も可能であるが、以下の説明では、主として磁界共鳴を例として説明する。
また、実施の形態1では、一例として、交流電源1が出力する交流電圧の周波数が6.78MHzであり、一次側共振コイル12と二次側共振コイル21の共振周波数が6.78MHzである場合について説明する。
なお、一次側コイル11から一次側共振コイル12への電力伝送は電磁誘導を利用して行われ、また、二次側共振コイル21から二次側コイル22への電力伝送も電磁誘導を利用して行われる。
また、図1には、電力伝送システム30が二次側コイル22を含む形態を示すが、電力伝送システム30は二次側コイル22を含まなくてもよく、この場合には、二次側共振コイル21に負荷装置25を直接的に接続すればよい。
図2は、送電器10から電子機器40A、40Bに磁界共鳴によって電力を伝送する状態を示す図である。
電子機器40A及び40Bは、それぞれ、タブレットコンピュータ及びスマートフォンであり、それぞれ、受電器20A、20Bを内蔵している。受電器20A及び20Bは、図1に示す受電器20(図1参照)から二次側コイル22を取り除いた構成を有する。すなわち、受電器20A及び20Bは、二次側共振コイル21を有する。なお、図2では送電器10を簡略化して示すが、送電器10は交流電源1(図1参照)に接続されている。
図2では、電子機器40A、40Bは、送電器10から互いに等しい距離の位置に配置されており、それぞれが内蔵する受電器20A及び20Bが磁界共鳴によって送電器10から非接触の状態で電力を受電している。
ここで一例として、図2に示す状態において、電子機器40Aに内蔵される受電器20Aの受電効率が40%、電子機器40Bに内蔵される受電器20Bの受電効率が40%であることとする。
受電器20A及び20Bの受電効率とは、交流電源1に接続される一次側コイル11から伝送される電力に対する、受電器20A及び20Bの二次側コイル22が受電する電力の比率で表される。なお、送電器10が一次側コイル11を含まずに交流電源1に一次側共振コイル12が直接的に接続されている場合は、一次側コイル11から伝送される電力の代わりに、一次側共振コイル12から伝送される電力を用いて受電電力を求めればよい。また、受電器20A及び20Bが二次側コイル22を含まない場合は、二次側コイル22が受電する電力の代わりに二次側共振コイル21が受電する電力を用いて受電電力を求めればよい。
受電器20A及び20Bの受電効率は、送電器10と受電器20A及び20Bのコイル仕様や各々との間の距離・姿勢によって決まる。図2では、受電器20A及び20Bの構成は同一であり、送電器10から互いに等しい距離・姿勢の位置に配置されているため、受電器20A及び20Bの受電効率は互いに等しく、一例として、40%である。
また、電子機器40Aの定格出力(定格電力)は10W、電子機器40Bの定格出力は5Wであることとする。
このような場合には、送電器10の一次側共振コイル12(図1参照)から伝送される電力は、18.75Wになる。18.75Wは、(10W+5W)/(40%+40%)で求まる。
ところで、送電器10から18.75Wの電力を電子機器40A及び40Bに向けて伝送すると、受電器20A及び20Bは、合計で15Wの電力を受信することになり、受電器20A及び20Bは、均等に電力を受電するため、それぞれが7.5Wの電力を受電することになる。
この結果、電子機器40Aは、電力が2.5W不足し、電子機器40Bは、電力が2.5W余ることになる。
すなわち、送電器10から18.75Wの電力を電子機器40A及び40Bに伝送しても、電子機器40A及び40Bをバランスよく充電することはできない。換言すれば、電子機器40A及び40Bを同時に充電する際における電力の供給バランスがよくない。
図3は、送電器10から電子機器40B1、40B2に磁界共鳴によって電力を伝送する状態を示す図である。
電子機器40B1、40B2は、同じタイプのスマートフォンであり、それぞれ、受電器20B1、20B2を内蔵している。受電器20B1及び20B2は、図2に示す受電器20Bと等しい。すなわち、受電器20B1及び20B2は、二次側共振コイル21を有する。なお、図3では送電器10を簡略化して示すが、送電器10は交流電源1(図1参照)に接続されている。
図3では、電子機器40B1及び40B2の送電器10に対する角度(姿勢)は等しいが、電子機器40B1は、電子機器40B2よりも送電器10から遠い位置に配置されている。電子機器40B1、40B2がそれぞれ内蔵する受電器20B1及び20B2は、磁界共鳴によって送電器10から非接触の状態で電力を受電している。
ここで一例として、図3に示す状態において、電子機器40B1に内蔵される受電器20B1の受電効率が35%、電子機器40B2に内蔵される受電器20B2の受電効率が45%であることとする。
ここでは、電子機器40B1及び40B2の送電器10に対する角度(姿勢)は等しいため、受電器20B1及び20B2の受電効率は、受電器20B1及び20B2の各々と送電器10との間の距離によって決まる。このため、図3では、受電器20B1の受電効率は、受電器20B2の受電効率よりも低い。なお、電子機器40B1及び40B2の定格出力は、ともに5Wである。
このような場合には、送電器10の一次側共振コイル12(図1参照)から伝送される電力は、12.5Wになる。12.5Wは、(5W+5W)/(35%+45%)で求まる。
ところで、送電器10から12.5Wの電力を電子機器40B1及び40B2に向けて伝送すると、受電器20B1及び20B2は、合計で10Wの電力を受信することになる。また、図3では、受電器20B1の受電効率が35%であり、受電器20B2の受電効率が45%であるため、受電器20B1は、約4.4Wの電力を受電し、受電器20B2は、約5.6%の電力を受電することになる。
この結果、電子機器40B1は、電力が約0.6W不足し、電子機器40B2は、電力が0.6W余ることになる。
すなわち、送電器10から12.5Wの電力を電子機器40B1及び40B2に伝送しても、電子機器40B1及び40B2をバランスよく充電することはできない。換言すれば、電子機器40B1及び40B2を同時に充電する際における電力の供給バランスがよくない(改善の余地がある)。
なお、ここでは、電子機器40B1及び40B2の送電器10に対する角度(姿勢)が等しく、電子機器40B1及び40B2の送電器10からの距離が異なる場合の電力の供給バランスについて説明した。
しかしながら、受電効率は、送電器10と受電器20B1及び20B2との間の距離と角度(姿勢)によって決まるため、図3に示す位置関係において電子機器40B1及び40B2の角度(姿勢)が異なれば、受電器20B1及び20B2の受電効率は、上述した35%及び45%とは異なる値になる。
また、電子機器40B1及び40B2の送電器10からの距離が等しくでも、電子機器40B1及び40B2の送電器10に対する角度(姿勢)が異なれば、受電器20B1及び20B2の受電効率は互いに異なる値になる。
次に、図4及び図5を用いて、実施の形態1の受電器、及び、電力伝送システムについて説明する。
図4は、実施の形態1の受電器100と送電装置80を示す図である。送電装置80は、交流電源1と送電器300を含む。交流電源1は、図1に示すものと同様である。
送電装置80は、交流電源1と送電器300を含む。
送電器300は、一次側コイル11、一次側共振コイル12、整合回路13、キャパシタ14、制御部310を有する。
受電器100は、二次側共振コイル110、整流回路120、電圧計125、平滑キャパシタ130、DC−DCコンバータ140、電圧計145、スイッチ151A、151B、152A、152B、ダミー負荷160、サブバッテリ170、出力端子180A、180B、及び制御部190を含む。
出力端子180A、180Bには、バッテリ50が接続されている。図4では、負荷回路はバッテリ50である。
まず、送電器300について説明する。図4に示すように、一次側コイル11は、ループ状のコイルであり、両端間に整合回路13を介して交流電源1に接続されている。一次側コイル11は、一次側共振コイル12と非接触で近接して配置されており、一次側共振コイル12と電磁界結合される。一次側コイル11は、自己の中心軸が一次側共振コイル12の中心軸と一致するように配設される。中心軸を一致させるのは、一次側コイル11と一次側共振コイル12との結合強度を向上させるとともに、磁束の漏れを抑制して、不必要な電磁界が一次側コイル11及び一次側共振コイル12の周囲に発生することを抑制するためである。
一次側コイル11は、交流電源1から整合回路13を経て供給される交流電力によって磁界を発生し、電磁誘導(相互誘導)により電力を一次側共振コイル12に送電する。
図4に示すように、一次側共振コイル12は、一次側コイル11と非接触で近接して配置されて一次側コイル11と電磁界結合されている。また、一次側共振コイル12は、所定の共振周波数を有し、高いQ値を有するように設計されている。一次側共振コイル12の共振周波数は、二次側共振コイル110の共振周波数と等しくなるように設定されている。一次側共振コイル12の両端の間に、共振周波数を調整するためのキャパシタ14が直列に接続される。
一次側共振コイル12の共振周波数は、交流電源1が出力する交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。一次側共振コイル12の共振周波数は、一次側共振コイル12のインダクタンスと、キャパシタ14の静電容量によって決まる。このため、一次側共振コイル12のインダクタンスと、キャパシタ14の静電容量は、一次側共振コイル12の共振周波数が、交流電源1から出力される交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。
整合回路13は、一次側コイル11と交流電源1とのインピーダンス整合を取るために挿入されており、インダクタLとキャパシタCを含む。
交流電源1は、磁界共鳴に必要な周波数の交流電力を出力する電源であり、出力電力を増幅するアンプを内蔵する。交流電源1は、例えば、数百kHzから数十MHz程度の高周波の交流電力を出力する。
キャパシタ14は、一次側共振コイル12の両端の間に、直列に挿入される可変容量型のキャパシタである。キャパシタ14は、一次側共振コイル12の共振周波数を調整するために設けられており、静電容量は制御部310によって設定される。
制御部310は、交流電源1の出力電圧及び出力周波数の制御、キャパシタ14の静電容量の制御、一次側共振コイル12から送電する電力量(出力)の制御、及び受電器100A及び100Bのデューティ比の設定等を行う。
以上のような送電装置80は、交流電源1から一次側コイル11に供給される交流電力を磁気誘導により一次側共振コイル12に送電し、一次側共振コイル12から磁界共鳴により電力を受電器100の二次側共振コイル110に送電する。
次に、受電器100に含まれる二次側共振コイル110について説明する。
二次側共振コイル110は、一次側共振コイル12と同一の共振周波数を有し、高いQ値を有するように設計されている。二次側共振コイル110の一対の端子は、整流回路120に接続されている。
二次側共振コイル110は、送電器300の一次側共振コイル12から磁界共鳴によって送電される交流電力を整流回路120に出力する。
整流回路120は、4つのダイオード121A〜121Dを有する。ダイオード121A〜121Dは、ブリッジ状に接続されており、二次側共振コイル110から入力される電力を全波整流して出力する。
電圧計125は、整流回路120と平滑キャパシタ130との間で、整流回路120から出力端子180A、180Bまでの間を接続する一対の線路の間に設けられている。一対の線路は、高電位側の線路(図4中の上側の線路)と、低電位側の線路(図4中の下側の線路)とである。低電位側の線路(図4中の下側の線路)は、基準電位(例えば、グランド電位)に保持される線路である。
電圧計125は、整流回路120の出力側の電圧値を検出し、電圧値を表すデータを制御部190に出力する。
平滑キャパシタ130は、整流回路120の出力側に接続されており、整流回路120で全波整流された電力を平滑化して直流電力として出力する。平滑キャパシタ130は、平滑回路の一例である。
平滑キャパシタ130の出力側には、DC−DCコンバータ140が接続される。整流回路120で全波整流された電力は、交流電力の負成分を正成分に反転させてあるため、略交流電力として取り扱うことができるが、平滑キャパシタ130を用いることにより、全波整流された電力にリップルが含まれるような場合でも、安定した直流電力を得ることができる。
DC−DCコンバータ140は、平滑キャパシタ130に接続されており、平滑キャパシタ130で平滑化された直流電力の電圧をバッテリ50の定格電圧に変換して出力する。DC−DCコンバータ140は、平滑キャパシタ130で平滑化された直流電圧の方がバッテリ50の定格電圧よりも高い場合は、平滑キャパシタ130で平滑化された直流電圧をバッテリ50の定格電圧まで降圧する。
また、DC−DCコンバータ140は、平滑キャパシタ130で平滑化された直流電圧の方がバッテリ50の定格電圧よりも低い場合は、平滑キャパシタ130で平滑化された直流電圧をバッテリ50の定格電圧まで昇圧する。
なお、DC−DCコンバータ140は、出力側に接続される負荷等に電流を供給できない状態が発生すると、安全性を確保するために動作を停止させる機構を有する。
ここで、DC−DCコンバータ140が電力を出力する一対の端子を、高電位側の出力端子141Aと低電位側の出力端子141Bと称す。出力端子141A及び141Bは、電力出力端子の一例である。
電圧計145は、DC−DCコンバータ140とスイッチ151A、151Bとの間で、整流回路120から出力端子180A、180Bまでの間を接続する一対の線路の間に設けられている。
電圧計145は、DC−DCコンバータ140の出力電圧を検出し、電圧値を表すデータを制御部190に出力する。
スイッチ151A及び151Bは、三端子型のスイッチである。スイッチ151A及び151Bは、第1スイッチ部の一例である。スイッチ151A及び151Bとしては、例えば、SPDT(Single Pole Double Throw)スイッチを用いることができるが、PIN(p-intrinsic-n Diode)ダイオード、又は、機械式のスイッチを用いてもよい。また、2つのFET(Field Effect Transistor)を用いてスイッチ151A及び151Bを実現してもよい。
スイッチ151Aは、整流回路120から平滑キャパシタ130及びDC−DCコンバータ140を経て出力端子180A、180Bまでの間を接続する一対の線路のうちの高電位側の線路(図4中の上側の線路)に直列に挿入されている。
スイッチ151Aは、端子151A1、151A2、及び151A3を有する。スイッチ151Aは、端子151A1の接続先を、端子151A2又は端子151A3のいずれか一方に切り替えるスイッチである。
スイッチ151Aは、DC−DCコンバータ140の高電位側の出力端子141Aを出力端子180A又はダミー負荷160の高電位側の端子161Aのいずれか一方に切り替える。スイッチ151Aの切替制御は、制御部190によって行われる。
スイッチ151Bは、整流回路120から平滑キャパシタ130及びDC−DCコンバータ140を経て出力端子180A、180Bまでの間を接続する一対の線路のうちの低電位側の線路(図4中の下側の線路)に直列に挿入されている。
スイッチ151Bは、端子151B1、151B2、及び151B3を有する。スイッチ151Bは、端子151B1の接続先を、端子151B2又は端子151B3のいずれか一方に切り替えるスイッチである。
スイッチ151Bは、DC−DCコンバータ140の低電位側の出力端子141Bを出力端子180B又はダミー負荷160の低電位側の端子161Bのいずれか一方に切り替える。スイッチ151Bの切替制御は、制御部190によって行われる。
なお、スイッチ151Bの右側にあるノードAと、出力端子180Bの左側にあるノードA2とは、ダミー負荷160を避けて接続されている。
スイッチ152A及び152Bは、第2スイッチ部の一例である。また、スイッチ151A及び151Bとスイッチ152A及び152Bとを合わせたものは、スイッチの一例である。スイッチ152A及び152Bは、例えば、FET(Field Effect Transistor)で実現することができる。
スイッチ152Aは、スイッチ151Aの三端子のうちの出力端子180Aに接続される端子151A2と、出力端子180Aとの間から分岐し、サブバッテリ170の高電位側の出力端子171Aに接続される線路に直列に接続されている。スイッチ152Aは、制御部190によって、オン(閉成)/オフ(開放)が切り替えられる。
スイッチ152Bは、スイッチ151Bの三端子のうちの出力端子180Bに接続される端子151B2と、出力端子180Bとの間から分岐し、サブバッテリ170の低電位側の出力端子171Bに接続される線路に直列に接続されている。スイッチ152Bは、制御部190によって、オン(閉成)/オフ(開放)が切り替えられる。
なお、スイッチ152Bの上側にあるノードB1と、出力端子171Bの下側にあるノードB2とは、接続されている。
ダミー負荷160は、バッテリ50と等しいインピーダンスを有する負荷素子である。ダミー負荷160としては、例えば、抵抗器を用いることができる。ダミー負荷160は、高電位側の端子161Aと低電位側の端子161Bを有する。端子161Aは、スイッチ151Aの端子151A3に接続され、端子161Bは、スイッチ151Bの端子151B3に接続される。
ダミー負荷160は、受電器100が送電器300から受電を開始する際に、バッテリ50の端子51A及び51Bの間の電圧(端子間電圧)が安定するまでの間に、DC−DCコンバータ140の出力端子141A、141Bに接続される。
これは、受電器100が送電器300から受電を開始する際に、DC−DCコンバータ140が出力する電力をダミー負荷160で消費することによって、DC−DCコンバータ140が安定的に動作している状態を保持するためである。
バッテリ50の端子間電圧が安定した後は、スイッチ151A、151Bが切り替えられ、ダミー負荷160は、DC−DCコンバータ140から切り離される。
サブバッテリ170は、受電器100が送電器300から受電を開始する際に、バッテリ50をDC−DCコンバータ140から切り離した状態でバッテリ50の充電を開始し、バッテリ50が安定的に充電可能な状態になるように、バッテリ50を予め準備するために用いられる補助的なバッテリである。
サブバッテリ170は、出力端子171A、171Bから電力を出力していない状態から電力を出力し始めて即座に電圧が安定した直流電力を出力できる二次電池であればよく、例えば、リチウムイオン電池又はキャパシタを用いることができる。出力端子171A、171Bは、電力出力端子の一例である。
バッテリ50は、充電を開始するために電圧を印加して電流を供給しても、端子51A及び51Bの間の電圧(端子間電圧)が安定するまでは電流を引き込まず、充電を行うことができない。このようにバッテリ50の充電開始から充電が可能になるまで(端子間電圧が安定するまで)には、ある程度の時間がかかる。
バッテリ50の端子間電圧を安定させるのに必要な時間は、例えば、1秒程度から数秒程度である。このような所要時間は、バッテリ50の種類又は容量等によって異なる。このため、サブバッテリ170の容量は、バッテリ50の端子間電圧を安定させるのに必要な所用時間(期間)にわたって、バッテリ50に直流電力を供給できる程度の容量であればよい。
出力端子180A、180Bは、それぞれ、スイッチ151A、151Bの端子151A2、151B2と、スイッチ152A、152Bとに接続されている。
出力端子180A、180Bは、スイッチ152A、152Bによってサブバッテリ170から切り離されている状態(スイッチ152A、152Bがともにオフ(開放)の状態)で、スイッチ151A、151BによってDC−DCコンバータ140に接続される。この状態では、DC−DCコンバータ140から出力される直流電力を出力端子180A、180Bに供給することができる。
また、出力端子180A、180Bは、スイッチ151A、151BによってDC−DCコンバータ140から切り離されている状態(スイッチ151A、151Bがダミー負荷160に接続されている状態)で、スイッチ152A、152Bによってサブバッテリ170に接続される。この状態では、サブバッテリ170から出力される直流電力を出力端子180A、180Bに供給することができる。
制御部190は、スイッチ151A、151B、152A、152Bの切替制御を行い、バッテリ50が安定的に充電できる環境を整えるための制御を行う。
制御部190は、受電器100が送電器300から受電を開始する際には、DC−DCコンバータ140とダミー負荷160とを接続するようにスイッチ151A、151Bを切り替えるとともに、サブバッテリ170と出力端子180A、180Bとを接続するように、スイッチ152A、152Bをオン(閉成)にする。
また、制御部190は、受電器100が送電器300から受電を開始してから所定の時間が経過すると、サブバッテリ170と出力端子180A、180Bとを切り離すように、スイッチ152A、152Bをオフ(開放)にするとともに、DC−DCコンバータ140と出力端子180A、180Bとを接続するようにスイッチ151A、151Bを切り替える。
なお、受電器100が送電器300から受電を開始する際とは、受電器100が送電器300から受電していない状態から、受電を開始し、バッテリ50の端子間電圧を安定させるのに必要な時間が経過するまでの期間をいう。バッテリ50の端子間電圧を安定させるのに必要な時間(期間)は、例えば、1秒程度から数秒程度である。
制御部190は、上述のように受電を開始してから所定の時間が経過した時点で、スイッチ151A、151B、152A、152Bを切り替える。受電開始から所定の時間が経過するまでの期間が、上述したバッテリ50の端子間電圧を安定させるのに必要な時間(期間)である。
安定させるのに必要な時間は、バッテリ50の種類によって異なるため、バッテリ50の種類に応じて、安定させるのに必要な時間を制御部190の内部メモリ等に設定しておけばよい。
バッテリ50は、端子51A及び51Bを有する。端子51A及び51Bは、出力端子180A、180Bに接続される。バッテリ50は、繰り返し充電が可能な二次電池であればよく、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。例えば、受電器100がタブレットコンピュータ又はスマートフォン等の電子機器に内蔵される場合は、バッテリ50は、このような電子機器のメインのバッテリである。
上述のように、バッテリ50は、充電開始直後に端子間電圧が安定するまでは電流を引き込まず、充電を行うことができない。これは、バッテリ50がマイクロコンピュータ等の制御部を含み、制御部が端子間電圧を監視しており、端子間電圧が安定するまでは充電を開始しないように制御が行われているからである。
バッテリ50の端子間電圧が安定するまでの所用時間は、例えば、1秒程度から数秒程度であり、バッテリ50の種類又は容量等によって異なる。
バッテリ50の充電状態は、バッテリ50の充電率で表すことができる。ここでは、バッテリ50の充電率を表すデータは、バッテリ50の充電状態を表すデータとして用いられる。バッテリ50の充電率を表すデータを充電率データと称す。
充電率データは、バッテリ50が内蔵する制御部によって演算され、バッテリ50から制御部190に入力される。受電器100は、充電率データを送電器300に送信する。
バッテリ50の充電率は、様々な求め方がある。例えば、バッテリ50に内蔵される制御部が、バッテリ50の端子51A及び51Bの間の電圧(端子間電圧)に基づき、端子間電圧と充電率との関係を表すデータを参照して充電率を求めることができる。この場合に、端子51A又は51Bに流れる電流の値を用いてもよい。バッテリ50の充電率は、どのような求め方で求めてもよい。また、バッテリ50が端子間電圧を表すデータを充電率データとして制御部190に送信し、制御部190が端子間電圧から充電率を求めてもよい。
なお、一次側コイル11、一次側共振コイル12、二次側共振コイル110は、例えば、銅線を巻回することによって作製される。しかしながら、一次側コイル11、一次側共振コイル12、二次側共振コイル110の材質は、銅以外の金属(例えば、金、アルミニウム等)であってもよい。また、一次側コイル11、一次側共振コイル12、二次側共振コイル110の材質は異なっていてもよい。
このような構成において、一次側コイル11及び一次側共振コイル12が電力の送電側であり、二次側共振コイル110が電力の受電側である。
磁界共鳴方式によって、一次側共振コイル12と二次側共振コイル110との間で生じる磁界共鳴を利用して送電側から受電側に電力を伝送するため、送電側から受電側に電磁誘導で電力を伝送する電磁誘導方式よりも長距離での電力の伝送が可能である。
磁界共鳴方式は、共振コイル同士の間の距離又は位置ずれについて、電磁誘導方式よりも自由度が高く、ポジションフリーというメリットがある。
図5は、実施の形態1の電力伝送システム500を用いた送電装置80と電子機器200A及び200Bを示す図である。
送電装置80は、図4に示す送電装置80と同一のものであるが、図5では、図4における一次側コイル11及び制御部310以外の構成要素を電源部10Aとして表してある。電源部10Aは、一次側共振コイル12、整合回路13、キャパシタ14をまとめて表したものである。なお、交流電源1、一次側共振コイル12、整合回路13、キャパシタ14をまとめて電源部として捉えてもよい。
送電装置80は、さらに、アンテナ16を含む。アンテナ16は、例えば、Bluetooth(登録商標)のような近距離での無線通信を行うことができるアンテナであればよい。アンテナ16は、電子機器200A及び200Bに含まれる受電器100A及び100Bから、受電電圧の過不足等を表すデータを受信するために設けられており、受信したデータは制御部310に入力される。
電子機器200A及び200Bは、例えば、それぞれ、タブレットコンピュータ又はスマートフォン等の端末機である。電子機器200A及び200Bは、それぞれ、受電器100A及び100B、及び、バッテリ50A及び50Bを内蔵する。
受電器100A及び100Bは、図4に示す受電器100に、それぞれ、アンテナ60A及び60Bを追加した構成を有する。DC−DCコンバータ140A及び140Bは、
それぞれ、図4に示すDC−DCコンバータ140と同様である。また、バッテリ50A及び50Bは、それぞれ、図4に示すバッテリ50と同様である。
受電器100Aは、二次側共振コイル110A、整流回路120A、平滑キャパシタ130A、制御部190A、及びアンテナ60Aを有する。二次側共振コイル110A、整流回路120A、平滑キャパシタ130A、制御部190Aは、それぞれ、図4に示す二次側共振コイル110、整流回路120、平滑キャパシタ130、制御部190に対応する。なお、図5では、二次側共振コイル110A、整流回路120A、平滑キャパシタ130Aを簡略化して示す。また、スイッチ151A、151B、152A、152B、ダミー負荷160、サブバッテリ170、及び出力端子180A、180Bは省略する。
受電器100Bは、二次側共振コイル110B、整流回路120B、平滑キャパシタ130B、制御部190B、及びアンテナ60Bを有する。二次側共振コイル110B、整流回路120B、平滑キャパシタ130B、制御部190Bは、それぞれ、図4に示す二次側共振コイル110、整流回路120、平滑キャパシタ130、制御部190に対応する。なお、図5では、二次側共振コイル110B、整流回路120B、平滑キャパシタ130Bを簡略化して示す。また、スイッチ151A、151B、152A、152B、ダミー負荷160、サブバッテリ170、及び出力端子180A、180Bは省略する。
アンテナ60A及び60Bは、例えば、Bluetooth(登録商標)のような近距離での無線通信を行うことができるアンテナであればよい。アンテナ60A及び60Bは、送電器300のアンテナ16とデータ通信を行うために設けられており、それぞれ、受電器100A及び100Bの制御部190A及び190Bに接続されている。制御部190A及び190Bは、駆動制御部の一例である。
受電器100Aの制御部190Aは、受電電圧の過不足等を表すデータ等をアンテナ60Aを介して送電器300に送信する。同様に、受電器100Bの制御部190Bは、受電電圧の過不足等を表すデータ等をアンテナ60Bを介して送電器300に送信する。
電子機器200A及び200Bは、それぞれ、送電装置80の近くに配置した状態で、送電装置80に接触せずにバッテリ50A及び50Bを充電することができる。バッテリ50A及び50Bの充電は、同時に行うことが可能である。
電力伝送システム500は、図5に示す構成要素のうち、送電器300と、受電器100A及び100Bとによって構築される。すなわち、送電装置80と、電子機器200A及び200Bとは、磁界共鳴による非接触状態での電力伝送を可能にする電力伝送システム500を採用している。
図6は、制御部190の構成を示す図である。制御部190は、図4に示す受電器100に含まれるものであり、図5に示す制御部190A、150Bと同様である。
制御部190は、主制御部191、通信部192、カウンタ193、及びメモリ194を含む。
主制御部191は、制御部190の制御処理を統括する。主制御部191は、上述したスイッチ151A、151B、152A、152Bの切替制御を行う。また、主制御部191は、通信部192を介して、電力データと充電率データを送電器300に送信する。
充電率データは、バッテリ50から主制御部191に入力される。充電率データは、バッテリ50の充電状態を表すデータである。
電力データは、受電器100の受電電圧が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表すデータであり、主制御部191によって生成される。なお、受電電圧が適正であることは、受電電圧が適正と考えられる所定の範囲内にあることである。
受電器100の受電電圧が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかは、受電器100の受電電圧の上限値及び下限値との関係で決まる。受電電圧の上限値及び下限値は、受電器100の定格電圧(定格電圧)によって決まる。受電器100がバッテリ50に供給する電流の値は、一定であるため、受電電圧と電流値とで電力値が求まるからである。
従って、電力データは、受電器100の受電電圧に関するデータである。なお、受電電圧の上限値及び下限値と、受電電圧の過剰、適正、又は不足との関係については、後述する。
なお、受電器100がバッテリ50に供給する電流の値は、一定であるため、受電電圧は、受電器100が送電器300から受電する電力(受電電力)と等価であると考えることができる。同様に、受電器100の定格電圧は、受電器100の定格出力(定格電力)と等価である。
このため、受電器100の受電電圧の上限値及び下限値は、受電器100の受電電力の上限値及び下限値と等価である。受電電力の上限値及び下限値は、受電器100の定格電力(定格電力)によって決まる。
また、受電器100の受電電圧が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを判定することは、受電器100の受電電力が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを判定することと等価である。
このため、ここでは、受電器100の受電電圧が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表すデータを電力データと称す。
通信部192は、送電器300と無線通信を行う。例えば、受電器100が送電器300とBluetooth(登録商標)による近距離無線通信を行う場合には、通信部192は、Bluetooth用のモデムである。通信部192は、受電側通信部の一例である。
カウンタ193は、主制御部191が受電の開始後の経過時間をカウントするために用いられる。カウンタ193のインクリメントとリセットは、主制御部191によって行われる。
メモリ194は、受電器100の定格電圧、受電電圧の上限値、及び受電電圧の下限値を表すデータを格納する。メモリ194は、例えば、不揮発性のメモリであればよい。
ここで、受電器100の定格出力とは、受電器100の負荷装置であるバッテリ50の定格出力である。
受電電圧の上限値とは、受電器100の負荷装置であるバッテリ50を充電する際に、充電できずに余剰になる電力が生じることなく、バッテリ50を充電できる電圧の上限値である。換言すれば、受電器100の受電電圧が受電電圧の上限値よりも多くなると、バッテリ50を充電する際に、バッテリ50に充電できずに余剰になる電力が発生することになる。
また、受電電圧の下限値とは、受電器100の負荷装置であるバッテリ50の充電を行うことができる電圧の最小値である。換言すれば、受電器100の受電電圧が受電電圧の下限値未満になると、バッテリ50の充電を行うことができなくなる最小の電圧である。
図7は、メモリ194に格納されるデータを示す図である。
メモリ194には、受電器100の定格出力、受電電圧の上限値、及び受電電圧の下限値を表すデータが格納される。図7には、一例として、受電器100の定格電圧が5Vである場合の受電電圧の上限値と下限値を示す。受電電圧の上限値は6Vであり、受電電圧の下限値は5Vである。
このような受電電圧の上限値と下限値を用いて、主制御部191は、例えば、受電電圧が5V未満であれば受電電圧が不足していると判定すればよい。すなわち、主制御部191は、受電電圧<5Vの場合に、受電電圧が不足していると判定すればよい。
また、主制御部191は、受電電圧が5V以上で6V以下であれば受電電圧が適正であると判定すればよい。すなわち、主制御部191は、5V≦受電電圧≦6Vの場合に、受電電圧が適正であると判定すればよい。
また、主制御部191は、受電電圧が6Vより大きければ受電電圧が過剰であると判定すればよい。すなわち、主制御部191は、6V<受電電圧の場合に、受電電圧が過剰であると判定すればよい。
また、定格電圧が10Vで、受電電圧の上限値が12V、受電電圧の下限値が10Vの場合には、一例として、主制御部191は次のように判定すればよい。
主制御部191は、例えば、受電電圧が10V未満であれば受電電圧が不足していると判定すればよい。すなわち、主制御部191は、受電電圧<10Vの場合に、受電電圧が不足していると判定すればよい。
また、主制御部191は、受電電圧が10V以上で12V以下であれば受電電圧が適正であると判定すればよい。すなわち、主制御部191は、10V≦受電電圧≦12Vの場合に、受電電圧が適正であると判定すればよい。
また、主制御部191は、受電電圧が12Vより大きければ受電電圧が過剰であると判定すればよい。すなわち、主制御部191は、12V<受電電圧の場合に、受電電圧が過剰であると判定すればよい。
主制御部191は、受電電圧が不足していると判定した場合には、受電電圧が不足していることを表す電力データを送電器300に送信する。また、主制御部191は、受電電圧が適正であると判定した場合には、受電電圧が適正であることを表す電力データを送電器300に送信する。また、主制御部191は、受電電圧が過剰であると判定した場合には、受電電圧が過剰であることを表す電力データを送電器300に送信する。
図8は、電力データのデータ構造を示す図である。
主制御部191が生成する電力データは、受電器100のID(Identification)と関連付けられてメモリ194に格納される。図8には、一例として、受電器100のIDが001で、電力データが過剰を表すデータを示す。
電力データは、受電器100の受電電圧が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表す。電力データは、例えば、2ビットのデータ値で表すことができる。例えば、過剰を表すデータ値を'10'、適正を表すデータ値を'01'、及び、不足を表すデータ値を'00'に設定すればよい。
図9は、制御部310の構成を示す図である。制御部310は、図4及び図5に示す送電器300に含まれるものである。
ここでは、一例として、送電器300(図5参照)が2つ以上の受電器100と通信し、受電電圧を制御する形態について説明する。
制御部310は、主制御部320、通信部330、判定部340、及びメモリ350を含む。
主制御部320は、制御部310の制御処理を統括する。
通信部330は、受電器100と無線通信を行う。例えば、送電器300が受電器100とBluetooth(登録商標)による近距離無線通信を行う場合には、通信部330は、Bluetooth用のモデムである。
通信部330は、受電器100から電力データを受信する。受電器100から受信する電力データは、受電器100の受電電圧が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを表す。
判定部340は、受電器100から受信する電力データに基づき、受電電圧が過剰な受電器100、受電電圧が不足している受電器100、及び、受電電圧が適正範囲にある受電器100が存在するかどうかを判定する。また、判定部340は、受電器100から受信する電力データに基づき、受電電圧が過剰な受電器100と、受電電圧が不足している受電器100との両方が存在するかどうかを判定する。
メモリ350は、送電器300が送電電力を低下させる際の所定電力と、送電電力を増大する際の所定電力とを表すデータを格納する。送電電力を低下させる際の所定電力と、送電電力を増大する際の所定電力とは、異なっていてもよい。
図10は、実施の形態1の電力伝送システム500の送電器300が実行する処理を示すフローチャートである。
また、ここでは、送電器300が送電する電力を複数の受電器100が同時に受電する場合に、送電器300が送電電力の最適化を行う形態について説明する。なお、送電器300が1つの受電器100に送電する場合であっても同様である。
送電器300は、送電を開始する(送電開始)。送電器300の一次側共振コイル12から電力が出力される。なお、送電開始の直後には、予め設定された初期出力の電力が一次側共振コイル12から出力されるようにしておけばよい。
送電器300は、受電器100に電力データ及び充電率データの送信を要求し、受電器100から電力データ及び充電率データを収集する(ステップS11)。
送電器300は、受電器100から受信した充電率データに基づき、各受電器100が満充電であるかどうかを判定する(ステップS12)。受電器100が満充電である場合には、送電を行う必要がなくなるからである。
送電器300は、各受電器100が満充電ではない(S12:NO)と判定すると、一次側共振コイル12から送電する電力(送電電力)を調整する(ステップS13)。
ステップS13において、受電電圧が過剰な1又は複数の受電器100が存在し、残りの受電器100の受電電圧が適正である場合には、送電器300は、送電電力を所定電力だけ低下させる。
ステップS13において、受電電圧が不足している1又は複数の受電器100が存在し、残りの受電器100の受電電圧は適正である場合には、送電器300は、送電電力を所定電力だけ増大する。
ステップS13において、判定部340によって受電電圧が適正な複数の受電器100が存在すると判定されると、送電器300は、送電電力を維持する。すなわち、送電器300は、送電電力を変化させずに、そのときの送電電力を保持する。
なお、送電器300が送電電力を変化させずに、そのときの送電電力を保持することは、送電電力の調整度合がゼロであることに相当する。
また、送電器300が送電電力を低下させる際の所定電力と、送電電力を増大する際の所定電力とを表すデータは、予めメモリ350に格納されている。
送電器300は、ステップS13の処理を終えると、フローをステップS11にリターンする。
なお、送電器300は、ステップS12において、いずれかの受電器100が満充電である(S12:YES)と判定した場合は、満充電になった受電器100の給電を停止させる(ステップS14)。
送電器300は、一例として、受電器100に、DC−DCコンバータ140をディスエイブル(disable)させる指令を送信することによって、受電器100の受電を停止させる。
なお、満充電に至っていない受電器100は、引き続き図10に示す処理を行うことによって充電を行えばよい。
以上の処理を繰り返し行うことにより、受電器100の充電を行うことができる。
なお、受電器100は、送電器300から電力を受電している間は常時受電状態を検出し、送電器300からの要求(S11)に応じて、電力データ及び充電率データを定期的に送電器300に送信する。送電器300は、充電中の複数の受電器100の中のある1つの受電器100の受電電圧がゼロになった場合、又は、通信が断絶した場合には、その受電器100が充電可能な領域から離れたと判定して送電を停止すればよい。その後、残った受電器100に対して引き続き図10に示す処理を行うことによって充電を行えばよい。
図11は、受電器100の制御部190が実行する処理を示すフローチャートである。
制御部190は、受電し始めるとフローをスタートさせる(スタート)。受電し始めたかどうかは、電圧計125で検出される電圧値に基づいて判定する。制御部190は、電圧計125で検出される整流回路120の出力側の電圧値が0Vの状態から、所定の電圧値以上になった場合に、受電し始めたと判定する。
制御部190は、DC−DCコンバータ140とダミー負荷160とを接続するようにスイッチ151A、151Bを切り替える(ステップS21)。
制御部190は、DC−DCコンバータ140の出力電圧が所定値以上であるかどうかを判定する(ステップS22)。DC−DCコンバータ140の出力電圧は、電圧計145で検出することができる。
ステップS22の判定で用いる所定値は、DC−DCコンバータ140が動作しているときのDC−DCコンバータ140の出力電圧(定格値)に設定すればよい。なお、ステップS22の判定で用いる所定値は、DC−DCコンバータ140の出力電圧(定格値)から誤差又はマージンの分を減じた値に設定してもよい。
ステップS22では、DC−DCコンバータ140が動作を開始したかどうかを判定するために、DC−DCコンバータ140の出力電圧が所定値以上であるかどうかを判定する。
制御部190は、DC−DCコンバータ140の出力電圧が所定値以上ではない(S22:NO)と判定すると、カウンタ193をリセットする(ステップS23)。DC−DCコンバータ140の出力電圧が所定値以上ではない状態は、DC−DCコンバータ140が立ち上がっていない状態である。
カウンタ193では、受電器100が受電を開始してからの経過時間をカウントするため、DC−DCコンバータ140の出力電圧が所定値以上ではない場合には、カウンタ193をリセットする。
制御部190は、受電電圧と、上限値及び下限値(図7参照)とを比較することにより、受電器100の受電電圧が過剰であるか、適正であるか、又は、不足しているかを検出するとともに、バッテリ50から充電率データを入手する(ステップS24)。充電率データは、制御部190がバッテリ50に送信を要求することにより、バッテリ50から制御部190に送信される。
制御部190は、ステップS24で検出した結果を表す電力データを生成するとともに、生成した電力データと、ステップS24で入手した充電率データとを通信部192を介して送電器300に送信する(ステップS25)。
なお、ステップS25の処理は、図10に示すステップS11における送電器300からの要求に応じて、制御部190が行う処理である。これにより、送電器300は、電力データと充電率データを収集することになる。
制御部190は、カウンタ193をインクリメントする(ステップS26)。これにより、カウンタ193のカウント値は、1だけ加算される。
制御部190は、サブバッテリ170と出力端子180A、180Bとを接続するように、スイッチ152A、152Bをオン(閉成)にする(ステップS27)。バッテリ50にサブバッテリ170を接続してバッテリ50の充電を開始し、バッテリ50が充電可能な状態になるまでの所要時間が経過するまで端子51A及び51Bの間に電圧を印加することにより、後にバッテリ50にDC−DCコンバータ140を接続する前に、バッテリ50を充電可能な状態にしておくためである。
なお、バッテリ50にサブバッテリ170を接続する処理(ステップS27)を、DC−DCコンバータ140にダミー負荷160を接続する処理(ステップS21)の後に行っているのは、次のような理由による。
DC−DCコンバータ140は、出力側に接続される負荷等に電流を供給できない状態が発生すると、安全性を確保するために動作が停止するようになっている。一方、バッテリ50は、充電可能になるまでにある程度の時間を要する。
このような条件の下で、送電器300から受電器100への送電が開始された状態で、バッテリ50が充電可能になるまでの間に、DC−DCコンバータ140の動作状態を保持するために、まずDC−DCコンバータ140にダミー負荷160を接続する処理(ステップS21)を行っている。
なお、DC−DCコンバータ140の動作状態を保持できるのであれば、DC−DCコンバータ140にダミー負荷160を接続する処理(ステップS21)と、バッテリ50にサブバッテリ170を接続する処理(ステップS27)とを同時に行ってもよい。
なお、ステップS22〜S28で構築されるループ処理は、後述するステップS28でカウンタ193のカウント値が所定値以上である(S28:YES)と判定されるまで繰り返し実行される。
このため、ステップS22〜S28のループ処理の2週目以降におけるステップS27では、ループ処理の1週目のステップS27において既にスイッチ152A、152Bをオン(閉成)にされているため、スイッチ152A、152Bをオン(閉成)の状態に保持して、ステップS28の処理に進行することとする。
制御部190は、カウンタ193のカウント値が所定値以上であるかどうかを判定する(ステップS28)。
ステップS28の所定値は、ステップS22〜S28のループ処理の1週目におけるステップS27でスイッチ152A、152Bを切り替えてから、ループ処理がステップS28の所定値で表される回数だけ繰り返し実行され、カウント値が所定値に達した週のステップS28に処理が進むまでに掛かる時間が、バッテリ50の充電開始から充電可能になるまでの所要時間よりも長くなるような値に設定すればよい。
制御部190は、カウンタ193のカウント値が所定値以上である(S28:YES)と判定すると、DC−DCコンバータ140と出力端子180A、180Bとを接続するようにスイッチ151A、151Bを切り替える(ステップS29)。これにより、DC−DCコンバータ140にバッテリ50が接続される。
次いで、制御部190は、サブバッテリ170と出力端子180A、180Bとを切り離すように、スイッチ152A、152Bをオフ(開放)にする(ステップS30)。これにより、サブバッテリ170がバッテリ50から切り離される。
フローがステップS29に進行するときには、ステップS22〜S28で構築されるループ処理が繰り返し実行されることによって、DC−DCコンバータ140が所望の電圧値の電力を安定的に出力している状態と、バッテリ50が充電可能になっている状態とがともに実現されているときである。
このため、ステップS29では、DC−DCコンバータ140が出力する電力でバッテリ50を充電するために、スイッチ151A、151Bを切り替える。
また、フローがステップS29に進んだ時点でバッテリ50はDC−DCコンバータ140が出力する電力によって充電されており、サブバッテリ170をバッテリ50に接続する必要はなくなるため、ステップS30でサブバッテリ170をバッテリ50から切り離す。
なお、DC−DCコンバータ140にバッテリ50を接続する処理(ステップS29)を、サブバッテリ170をバッテリ50から切り離す処理(ステップS30)の前に行っているのは、次のような理由によるものである。
DC−DCコンバータ140は、出力側に接続される負荷等に電流を供給できない状態が発生すると、安全性を確保するために動作が停止するようになっている。このため、予め充電可能な状態にしておいたバッテリ50をDC−DCコンバータ140に接続しておき、その次にサブバッテリ170をバッテリ50から切り離す順番でスイッチ151A、151B、152A、152Bを切り替えることが、バッテリ50を安定的に充電する上で好ましいからである。
なお、DC−DCコンバータ140の動作状態を保持でき、かつ、バッテリ50の充電可能な状態を保持できるのであれば、DC−DCコンバータ140にバッテリ50を接続する処理(ステップS29)を、サブバッテリ170をバッテリ50から切り離す処理(ステップS30)と同時に行ってもよい。
ステップS30が終了すると、バッテリ50はDC−DCコンバータ140の出力電力によって安定的に充電される。以上で一連の処理が終了する(エンド)。
以上、実施の形態1によれば、受電器100が送電器300から受電を開始する際に、スイッチ151A、151B、152A、152Bを切り替えて、DC−DCコンバータ140をダミー負荷160に接続するとともに、バッテリ50にサブバッテリ170を接続する。これにより、DC−DCコンバータ140が安定的に動作している状態を保持するとともに、バッテリ50を安定的に充電可能な状態にする。
そして、バッテリ50が安定的に充電可能な状態になると、スイッチ151A、151B、152A、152Bを切り替えて、DC−DCコンバータ140の接続先をダミー負荷160からバッテリ50に切り替えるとともに、サブバッテリ170をバッテリ50から切り離す。
このため、受電器100が送電器300から受電を開始する際に、DC−DCコンバータ140の動作が停止することを抑制でき、安定的にバッテリ50を充電し始めることができる。
このように、実施の形態1によれば、バッテリ50を安定的に充電できる受電器100を提供することができる。
なお、以上では、受電器100がスイッチ151A、151B、152A、152Bを含む形態について説明した。しかしながら、低電位側の線路がグランド電位に保持される場合は、受電器100は、スイッチ151B及び152Bを含まなくてもよい。
また、以上では、制御部190がカウンタ193を有し、バッテリ50の充電を開始してから充電可能になるまでの所要時間に対応する所定値をカウンタ193でカウントする形態について説明したが、図11の受電器101のように変形してもよい。
図12は、実施の形態1の第1変形例の受電器101と送電器300を示す図である。
受電器101は、二次側共振コイル110、整流回路120、電圧計125、平滑キャパシタ130、DC−DCコンバータ140、電圧計145、スイッチ151A、151B、152A、152B、ダミー負荷160、サブバッテリ170、出力端子180A、180B、電流計185、及び制御部190Aを含む。
受電器101は、図4に示す受電器100に、電流計185を追加し、図4の制御部190の代わりに制御部190Aを含む構成を有する。制御部190Aは、カウンタ193(図6参照)を含まない点と、カウント値の代わりに電流計185で検出される電流値に基づいてバッテリ50が充電可能な状態になったかどうかを判定する点とが図4の制御部190と異なる。
電流計185は、スイッチ151Aと出力端子180Aとの間で、高電位側の線路に直列に挿入されている。なお、電流計185としては、できるだけ微弱な電流を検出できる電流計を用いることが好ましい。電流計185での電流消費量をなるべく抑えるためである。電流計185は、例えば、センス抵抗で実現することができる。
電流計185は、出力端子180Aからバッテリ50に流れる電流値を検出し、電流値を表すデータを制御部190Aに出力する。
図13は、受電器101の制御部190Aが実行する処理を示すフローチャートである。
制御部190Aが実行する処理は、カウンタ193(図6参照)のカウント値の代わりに電流計185で検出される電流値に基づいて判定を行う点が、制御部190(図4及び図6参照)が実行する処理と異なる。
このため、図11に示すフローのステップS23及びS26を含まないが、ステップS21、S22、S24、S25、S27、S29、S30の処理は、それぞれ、図11に示すフローの対応するステップと同様である。また、ステップS28Aの処理は、図11に示すフローのステップS28の処理を電流値に基づく判定処理に変えたものである。以下、相違点を中心に説明する。
制御部190Aは、ステップS28Aにおいて、電流計185で検出される電流値が所定の電流値以上であるかどうかを判定する(ステップS28A)。
ステップS28Aにおける所定の電流値は、バッテリ50が充電可能な状態になったときの電流値の最小値に設定しておけばよい。
ステップS28AにおいてNOと判定されてステップS22からステップS28Aまでのループ処理が繰り返される状態では、サブバッテリ170からバッテリ50に流れる電流が所定の電流値に達していない状態である。
従って、制御部190Aが電流計185で検出される電流値が所定の電流値以上である(S28A:YES)と判定した場合にステップS29に進行してスイッチ151A及び151Bを切り替えれば、安定的に動作するDC−DCコンバータ140と、充電可能な状態になったバッテリ50とを接続できる。
以上、実施の形態1の第1変形例によれば、受電器101が送電器300から受電を開始する際に、電流計185で検出される電流値に基づいてスイッチ151A、151B、152A、152Bを切り替えることにより、バッテリ50を安定的に充電することができる。
このように、実施の形態1の第1変形例によれば、バッテリ50を安定的に充電できる受電器101を提供することができる。
また、図4に示す受電器100の代わりに、図14に示す受電器102を用いてもよい。
図14は、実施の形態1の第2変形例の受電器102と送電装置80を示す図である。送電装置80は、図4に示す送電装置80と同様である。また、図14では、受電器102の構成要素について、図4に示す受電器100の構成要素と同様のものには同一符号を付し、その説明を省略する。
受電器102は、二次側共振コイル110、整流回路120、電圧計125、平滑キャパシタ130、DC−DCコンバータ140、電圧計145、スイッチ151A、151B、152A、152B、サブバッテリ170B、出力端子180A、180B、及び制御部190を含む。
受電器102は、ダミー負荷160(図4参照)を含まない点と、サブバッテリ170(図4参照)の代わりに、サブバッテリ170Bを含む点とが受電器100(図4参照)と異なる。サブバッテリ170Bは、バッテリ50とは異なり、充電していない状態から充電を開始するために電圧を印加するとともに電流を供給すると、即座に充電を行うことができるバッテリである。
サブバッテリ170Bは、出力端子171A及び171Bに加えて、入力端子172A及び172Bを含む点が、サブバッテリ170(図4参照)と異なる。入力端子172A及び172Bは、電力入力端子の一例である。
また、受電器102のスイッチ151A、151Bは、以下の点において、受電器100(図4参照)のスイッチ151A、151Bと接続関係が異なる。
スイッチ151Aの端子151A3は、サブバッテリ170Bの高電位側の入力端子172Aに接続されている。このため、スイッチ151Aは、DC−DCコンバータ140の高電位側の出力端子141Aを出力端子180A又はサブバッテリ170Bの高電位側の入力端子172Aのいずれか一方に切り替える。
スイッチ151Bの端子151B3は、サブバッテリ170Bの低電位側の入力端子172Bに接続されている。このため、スイッチ151Bは、DC−DCコンバータ140の低電位側の出力端子141Bを出力端子180B又はサブバッテリ170Bの低電位側の入力端子172Bのいずれか一方に切り替える。
また、制御部190がスイッチ151A、151B、152A、152Bの切替制御を行うと、次のようにDC−DCコンバータ140、サブバッテリ170B、及びバッテリ50の接続が切り替えられる。
制御部190は、受電器102が送電器300から受電を開始する際には、DC−DCコンバータ140の出力端子141A、141Bと、サブバッテリ170Bの入力端子172A、172Bとをそれぞれ接続するようにスイッチ151A、151Bを切り替える。
また、制御部190は、受電器102が送電器300から受電を開始する際には、サブバッテリ170Bの出力端子171A、171Bと、出力端子180A、180Bとをそれぞれ接続するように、スイッチ152A、152Bをオン(閉成)にする。
この状態では、DC−DCコンバータ140は、サブバッテリ170Bに電流を供給することにより、動作状態に保持される。また、このとき、サブバッテリ170Bは、DC−DCコンバータ140によって充電される。
制御部190は、受電器102が送電器300から受電を開始してから所定の時間が経過すると、サブバッテリ170Bの出力端子171A、171Bと出力端子180A、180Bとを切り離すように、スイッチ152A、152Bをオフ(開放)にする。また、制御部190は、受電器102が送電器300から受電を開始してから所定の時間が経過すると、DC−DCコンバータ140と出力端子180A、180Bとを接続するようにスイッチ151A、151Bを切り替える。
以上のようにして、実施の形態1の第2変形例によれば、実施の形態1と同様に、動作状態に保持されたDC−DCコンバータ140と、充電可能な状態に保持されたバッテリ50とを接続することができる。
このため、実施の形態1の第2変形例によれば、バッテリ50を安定的に充電できる受電器102を提供することができる。
図15は、実施の形態1の第3変形例の受電器103と送電装置80を示す図である。送電装置80は、図4に示す送電装置80と同様である。また、図15では、受電器103の構成要素について、図14に示す受電器102の構成要素と同様のものには同一符号を付し、その説明を省略する。
受電器103は、二次側共振コイル110、整流回路120、電圧計125、平滑キャパシタ130、DC−DCコンバータ140、電圧計145、スイッチ153A、153B、154A、154B、サブバッテリ170B、出力端子180A、180B、及び制御部190を含む。
受電器103は、スイッチ151A、151B、152A、152B(図14参照)の代わりに、スイッチ153A、153B、154A、154Bを用いて、DC−DCコンバータ140、サブバッテリ170B、及び出力端子180A、180Bを接続する点が受電器100(図4参照)と異なる。スイッチ153A、153B、154A、154Bは、例えば、FET(Field Effect Transistor)で実現することができる。
スイッチ153Aは、図14に示すスイッチ152A、152Bと同様に二端子スイッチである。スイッチ153Aは、DC−DCコンバータ140の出力端子141Aと、サブバッテリ170Bの入力端子172Aとの間の高電位側の線路に、直列に挿入されている。
スイッチ153Bは、図14に示すスイッチ152A、152Bと同様に二端子スイッチである。スイッチ153Bは、DC−DCコンバータ140の出力端子141Bと、サブバッテリ170Bの入力端子172Bとの間の低電位側の線路に、直列に挿入されている。
スイッチ154Aは、図14に示すスイッチ152A、152Bと同様に二端子スイッチである。スイッチ154Aは、サブバッテリ170Bの出力端子171Aと、出力端子180Aとの間の高電位側の線路に、直列に挿入されている。
スイッチ154Bは、図14に示すスイッチ152A、152Bと同様に二端子スイッチである。スイッチ154Bは、サブバッテリ170Bの出力端子171Bと、出力端子180Bとの間の低電位側の線路に、直列に挿入されている。
制御部190は、受電器103が送電器300から受電を開始する際には、DC−DCコンバータ140の出力端子141A、141Bと、サブバッテリ170Bの入力端子172A、172Bとをそれぞれ接続するようにスイッチ153A、153Bをオン(閉成)にする。
また、制御部190は、受電器103が送電器300から受電を開始する際には、サブバッテリ170Bの出力端子171A、171Bと、出力端子180A、180Bとをそれぞれ接続するように、スイッチ154A、154Bをオン(閉成)にする。
この状態では、DC−DCコンバータ140は、サブバッテリ170Bに電流を供給することにより、動作状態に保持される。また、このとき、サブバッテリ170Bは、DC−DCコンバータ140によって充電される。
また、この状態では、サブバッテリ170Bからバッテリ50の充電が開始される。
そして、スイッチ153A、153B、154A、154Bをオン(閉成)にして受電を開始してから所定の時間が経過してバッテリ50が受電可能になると、サブバッテリ170Bを介して、DC−DCコンバータ140からバッテリ50に電力が供給される。これにより、バッテリ50は、DC−DCコンバータ140によって充電される。
以上のようにして、実施の形態1の第3変形例によれば、実施の形態1、実施の形態1の第1変形例、及び実施の形態1の第2変形例と同様に、動作状態に保持されたDC−DCコンバータ140と、充電可能な状態に保持されたバッテリ50とを接続することができる。
このため、実施の形態1の第3変形例によれば、バッテリ50を安定的に充電できる受電器103を提供することができる。
<実施の形態2>
図16は、実施の形態2の受電器104と送電器300を示す図である。
受電器104は、二次側共振コイル110、整流回路120、電圧計125、平滑キャパシタ130、DC−DCコンバータ140、電圧計145、スイッチ151A、151B、155A、155B、ダミー負荷160、出力端子180A、180B、及び制御部190Dを含む。
受電器104は、図4に示す制御部190の代わりに制御部190Dを含む点と、図4に示すスイッチ152A、152Bの代わりにスイッチ155A、155Bを含む点と、サブバッテリ170を含まない点が図4の受電器100と異なる。
また、受電器104の出力端子180A、180Bに接続されるバッテリ50Dは、端子51A及び51Bに加えて、端子52A及び52Bを有する点が、図4に示すバッテリ50と異なる。以下、相違点を中心に説明する。
スイッチ155A、155Bは、それぞれ、バッテリ50Dの端子51A及び51Bと、端子52A及び52Bとの間に直列に挿入されている。スイッチ155A、155Bは、第2スイッチ部の一例である。スイッチ155A、155Bは、例えば、FET(Field Effect Transistor)で実現することができる。
端子52A及び52Bは、バッテリ50Dから電力を出力する専用の端子である。なお、端子51A及び51Bは、ここではDC−DCコンバータ140から供給される電力を充電する端子として用いているが、充電が完了した後は、受電器104を内蔵する電子機器200A又は200B(図5参照)の駆動に必要な電力を出力する出力端子として用いることができる端子である。
制御部190Dは、スイッチ151A、151B、155A、155Bの切替制御を行い、バッテリ50Dが安定的に充電できる環境を整えるための制御を行う。
制御部190Dは、受電器104が送電器300から受電を開始する際には、DC−DCコンバータ140とダミー負荷160とを接続するようにスイッチ151A、151Bを切り替えるとともに、バッテリ50Dの端子51A及び51Bと、端子52A及び52Bとをそれぞれ接続するように、スイッチ155A、155Bをオン(閉成)にする。
このときに、DC−DCコンバータ140は、ダミー負荷160に電力を供給して動作状態に保持され、バッテリ50Dは、端子52A及び52Bから出力する電圧を端子51A及び51Bから入力することにより、充電可能な状態に向けてバッテリ50Dの端子間電圧が徐々に安定化されて行く。
また、制御部190は、受電器100が送電器300から受電を開始してから所定の時間が経過すると、DC−DCコンバータ140と出力端子180A、180Bとを接続するようにスイッチ151A、151Bを切り替えるとともに、スイッチ155A、155Bをオフ(開放)にする。
これにより、DC−DCコンバータ140とバッテリ50Dが接続されるとともに、端子51A及び51Bと、端子52A及び52Bとを切り離される。
図17は、受電器104の制御部190Dが実行する処理を示すフローチャートである。
制御部190Dが実行する処理は、ステップS27AとS30Aで切り替えるスイッチが実施の形態1の制御部190(図4及び図6参照)が図11に示すフローチャートのステップS27AとS30Aで切り替えるスイッチと異なる。
その他は、図11に示すフローの対応するステップと同様である。以下、相違点を中心に説明する。
制御部190Dは、ステップS26の処理を終えると、バッテリ50Dの端子51A及び51Bと、端子52A及び52Bとを接続するように、スイッチ155A、155Bをオン(閉成)にする(ステップS27A)。バッテリ50Dの端子51A及び51Bと、端子52A及び52Bとを接続してバッテリ50Dの充電を開始し、バッテリ50が充電可能な状態になるまでの所要時間が経過するまで端子51A及び51Bの間に電圧を印加することにより、後にバッテリ50DにDC−DCコンバータ140を接続する前に、バッテリ50Dを充電可能な状態にしておくためである。
ステップS27Aの処理を終えると、制御部190Dは、フローをステップS28に進行させる。
制御部190は、ステップS29の処理を終えると、バッテリ50Dの端子51A及び51Bと、端子52A及び52Bとを切り離すように、スイッチ155A、155Bをオフ(開放)にする(ステップS30A)。
以上、実施の形態2によれば、受電器104が送電器300から受電を開始する際に、バッテリ50Dの端子52A及び52Bから出力する電圧を端子51A及び51Bに入力することにより、バッテリ50Dの端子間電圧の安定化を図る。
そして、バッテリ50Dが充電可能な状態になると、DC−DCコンバータ140の出力端子141A及び141Bと、バッテリ50Dの端子51A及び51Bとを接続するようにスイッチ151A、151Bを切り替える。また、このとき、バッテリ50Dの端子51A及び51Bと、端子52A及び52Bとを切り離すように、スイッチ155A、155Bをオフ(開放)にする。
このようなスイッチ151A、151B、155A、155Bの切替制御により、動作状態に保持されているDC−DCコンバータ140と、充電可能な状態に保持されているバッテリ50Dとを接続することができ、バッテリ50Dを安定的に充電することができる。
このように、実施の形態2によれば、バッテリ50Dを安定的に充電できる受電器104を提供することができる。
以上、本発明の例示的な実施の形態の受電器について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
一次側共振コイルとの間で生じる磁界共鳴又は電界共鳴によって前記一次側共振コイルから電力を受電する二次側共振コイルと、
前記二次側共振コイルに接続され、前記二次側共振コイルから入力される交流電力を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力側に接続される平滑回路と、
前記平滑回路の出力側に接続され、電力出力端子を有するDC−DCコンバータと、
前記DC−DCコンバータの出力側に設けられ、二次電池に接続される出力端子と、
直流電力を出力する電力出力端子を有するサブ二次電池と、
前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と、前記出力端子との間に設けられ、前記DC−DCコンバータの電力出力端子と、前記出力端子と、前記サブ二次電池の前記電力出力端子との接続を切り替えるスイッチと、
前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と、負荷又は前記サブ二次電池の電力入力端子とを接続するとともに、前記一次側共振コイルから前記二次側共振コイルが受電を開始する際に、前記出力端子と、前記サブ二次電池の前記電力出力端子とを接続するように、前記スイッチを制御する、制御部と
を含む、受電器。
(付記2)
前記制御部は、前記受電の開始から前記二次電池の所定の立ち上がり時間が経過した後に、前記出力端子と前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子とを接続して、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と、前記負荷又は前記サブ二次電池の電力入力端子とを切り離すように、前記スイッチを制御するとともに、前記出力端子と、前記サブ二次電池の前記電力出力端子とを切り離すように、前記スイッチを制御する、付記1記載の受電器。
(付記3)
前記負荷をさらに含む、付記1又は2記載の受電器。
(付記4)
前記スイッチは、
前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と、前記出力端子と、前記負荷との間に設けられ、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子の接続先を前記出力端子又は前記負荷のいずれか一方に切り替える第1スイッチ部と、
前記出力端子と、前記サブ二次電池の前記電力出力端子との間の接続状態を切り替える第2スイッチ部と
を有し、
前記制御部は、
前記一次側共振コイルから前記二次側共振コイルが受電を開始する際に、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と、前記負荷とを接続するように、前記第1スイッチ部を制御するとともに、前記第2スイッチ部を閉成し、
前記受電の開始から前記二次電池の所定の立ち上がり時間が経過した後に、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と前記出力端子とを接続するように前記第1スイッチ部を制御するとともに、前記第2スイッチ部を開放する、付記2記載の受電器。
(付記5)
前記スイッチは、
前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と、前記出力端子と、前記サブ二次電池の前記電力入力端子との間に設けられ、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子の接続先を前記出力端子又は前記サブ二次電池の前記電力入力端子のいずれか一方に切り替える第1スイッチ部と、
前記出力端子と、前記サブ二次電池の前記電力出力端子との間の接続状態を切り替える第2スイッチ部と
を有し、
前記制御部は、
前記一次側共振コイルから前記二次側共振コイルが受電を開始する際に、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と、前記サブ二次電池の前記電力入力端子とを接続するように、前記第1スイッチ部を制御するとともに、前記第2スイッチ部を閉成し、
前記受電の開始から前記二次電池の所定の立ち上がり時間が経過した後に、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と前記出力端子とを接続するように前記第1スイッチ部を制御するとともに、前記第2スイッチ部を開放する、付記2記載の受電器。
(付記6)
一次側共振コイルとの間で生じる磁界共鳴又は電界共鳴によって前記一次側共振コイルから電力を受電する二次側共振コイルと、
前記二次側共振コイルに接続され、前記二次側共振コイルから入力される交流電力を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力側に接続される平滑回路と、
前記平滑回路の出力側に接続され、電力出力端子を有するDC−DCコンバータと、
前記DC−DCコンバータの出力側に設けられ、電力入力端子及び電力出力端子を有する二次電池の前記電力入力端子に接続される出力端子と、
負荷と、
前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と、前記出力端子と、前記負荷との間に設けられ、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子の接続先を前記出力端子又は前記負荷のいずれか一方に切り替える第1スイッチと、
前記二次電池の前記電力入力端子と、前記二次電池の前記電力出力端子との間の接続状態を切り替える第2スイッチと、
前記一次側共振コイルから前記二次側共振コイルが受電を開始する際に、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と前記負荷とを接続するように前記第1スイッチを制御するとともに、前記第2スイッチを閉成し、前記受電の開始から前記二次電池の所定の立ち上がり時間が経過した後に、前記DC−DCコンバータの前記電力出力端子と前記出力端子とを接続するように前記第1スイッチを制御するとともに、前記第2スイッチを開放する制御部と
を含む、受電器。