以下図面により本発明の実施の形態を詳述する。
[各実施形態の特徴]
第1の実施形態の特徴は、本発明の基本形態であり、ロータを最初に正転方向に回転振動させ、次に逆転方向に回転振動させる一組の微小パルスをステップモータに連続出力して指針を扇形振動させる電子時計である。
第2の実施形態の特徴は、ロータを最初に逆転方向に回転振動させ、次に正転方向に回転振動させる一組の微小パルスをステップモータに連続出力して指針を扇形振動させる電子時計である。
第3の実施形態の特徴は、一組の微小パルスの出力後にロータの回転検出動作を実施することである。
第4の実施形態の特徴は、微小パルスの第1パルスと第2パルスを分離し、第1パルスの出力後にロータの回転検出動作を実施することである。
第5の実施形態の特徴は、微小パルスの第1パルスの出力後にロータの回転検出動作を実施すると共に、ロータの振動状態に応じて微小パルスの駆動力と第2パルスの出力位置を調整することである。
第6の実施形態の特徴は、一組の微小パルスの出力後にロータの回転検出動作を実施すると共に、ロータの振動状態に応じて微小パルスの駆動力を選択することである。
第7の実施形態の特徴は、第1〜第6の実施形態の指針の扇形振動による表示手段を電波時計の受信中の表示に応用した例である。
[第1の実施形態]
[第1の実施形態の電子時計の構成説明:図1]
第1の実施形態の電子時計の概略構成について図1を用いて説明する。図1において、符号1は本発明のアナログ表示方式の電子時計である。電子時計1は、水晶振動子(図示せず)によって所定の基準信号P1を出力する発振回路2、制御回路3、駆動パルス生成回路4、微小パルス生成回路5、ドライバ回路6、およびステップモータ10を有している。なお、電子時計1は、指針等による表示部、輪列、電源、操作部材等を含むが、ここでは図示を省略する。
ステップモータ10は、駆動コイル11と、駆動コイル11からの磁力によって回転するロータ12を有するが構成の詳細は後述する。
制御回路3は、基準信号P1を入力して所定の周波数信号に分周し、各回路を制御するための制御信号CN1、CN2を出力する。
駆動パルス生成回路4は、制御信号CN1を入力して、ステップモータ10を回転駆動するための駆動パルスSPを生成し、ドライバ回路6に出力する。
微小パルス生成回路5は、制御信号CN2を入力して、ステップモータ10のロータ12が非回転となる小さな駆動力で、1秒より短い間隔で連続出力する微小パルスMPを生成し、ドライバ回路6に出力する。
ドライバ回路6は、駆動パルスSPと微小パルスMPを入力し、各パルス信号に基づいた駆動波形O1、O2を出力端子O1、O2から出力し、ステップモータ10の駆動コイル11に供給してステップモータ10を駆動する。なお、説明を分かりやすくするために
、ドライバ回路6の出力端子O1、O2と、出力される駆動波形O1、O2、及び後述するが駆動波形O1、O2が供給される駆動コイル11のコイル端子の符号を同一にした。この符号O1、O2は、後述する第2〜第6の実施形態においても同様である。
[第1の実施形態の微小パルスの説明:図2]
次に、本発明の特徴である指針を扇形振動させるための微小パルスMPの波形について図2を用いて説明する。図2において、微小パルスMPは、ステップモータ10の駆動コイル11の一方の端子に出力される第1パルスMP1と、この第1パルスMP1の出力終了直後に、駆動コイル11の他方の端子に出力される第2パルスMP2と、で構成される二つの交番パルスを一組としたパルスである。
ここで、第1の実施形態での第1パルスMP1は、ドライバ回路6の出力端子O2から出力されてステップモータ10のロータ12を正転方向に回転振動させ、第2パルスMP2は、ドライバ回路6の出力端子O1から出力されてロータ12を逆転方向に回転振動させる。
第1パルスMP1は、一例として0.5mS周期の複数のパルス列で構成され、デューティの詳細は後述するが、たとえば、16/32であり、一例として3.5mSの期間継続して出力される。
第2パルスMP2も、一例として0.5mS周期の複数のパルス列で構成され、デューティの詳細は後述するが、たとえば、8/32であり、一例として7.0mSの期間継続して出力される。
このように、第1パルスMP1と第2パルスMP2でなる微小パルスMPは、前述したように、ロータ12を回転させるほどの駆動力はなく、この一組の微小パルスMPによって、ステップモータ10のロータ12を正転方向と逆転方向に回転振動させるのである。なお、第1パルスMP1の出力期間が3.5mSであり、第2パルスMP2の出力期間が7.0mSであるのは、実験によって、ロータ12の回転振動が最もバランス良く振動するからであり、ステップモータの性能やステップモータに接続される輪列等の条件に応じて任意に変更してよいことはもちろんである。
また、第2パルスMP2の駆動力は、第1パルスMP1の駆動力より小さくてもよい。これは、まず第1パルスMP1でロータ12が正転方向に回転振動し、次に第2パルスMP2で逆転方向に回転振動するが、この逆転方向の回転振動では、ロータ12に逆転して戻ろうとする力が働くので、第2パルスMP2の駆動力は小さくてもよいのである。
また、微小パルスMPは、一例として32mS周期で連続して出力され、ステップモータ10を駆動する。これにより、ステップモータ10のロータ12は、32mS周期で回転振動を繰り返すことになる。この微小パルスMPの繰り返し周期Peは任意であるが、ロータ12の回転振動の周期が遅すぎると、指針の扇形振動の動きが遅くなってぎこちなくなり見栄えが悪くなる。
従って、繰り返し周期Peは、1秒より短い間隔がよく、一例としての32mSは適切である。なお、図2に示す波形図、及び、後述する各実施形態の波形図の各パルスのパルス幅や周期等は限定されず、ステップモータの性能や電子時計の仕様に応じて任意に変更してよい。
[第1の実施形態のステップモータと扇形振動動作の説明:図3]
次に、第1の実施形態のステップモータと指針による扇形振動動作について図3を用い
て説明する。図3において、まず、ステップモータ10の構成を説明する。ステップモータ10は、駆動コイル11、ロータ12、ステータ13などによって構成される。ロータ12は 磁化された円盤状の回転体であり、N極、S極が径方向に着磁されている。
ステータ13は、軟磁性材により成り、ロータ12を囲む半円部13a、13bがスリットで分割されている。また、半円部13a、13bが結合している基部13cに単相の駆動コイル11が巻装されている。
駆動コイル11は、二つのコイル端子を有しており、前述したドライバ回路6からの駆動波形O1が供給される端子を同一符号のコイル端子O1と称し、駆動波形O2が供給される端子を同一符号のコイル端子O2と称す。
また、ステータ13の半円部13a、13bの内周面の対向する所定の位置に、凹状のノッチ13d、13eが形成されている。このノッチ13d、13eによって、ステータ13の電磁的安定点(水平の点線Dで示す)に対してロータ12の静的安定点(制止時の磁極の位置:斜線Aで示す)がずれることになる。このずれによる角度差を初期位相角θと称し、この初期位相角θによって、ロータ12が所定の方向(時計回り)に回転しやすいように癖付けされることになる。
ここで、ステップモータ10の駆動コイル11に駆動パルスSPが供給されて、ロータ12が時計回り方向(正転)及び反時計回り方向(逆転)に回転する動作は、公知であるので説明は省略し、本発明の特徴である微小パルスMPによるステップモータ10の回転振動動作について以下説明する。
図3において、ロータ12が静的安定点Aにあるとき、ステップモータ10の駆動コイル11のコイル端子O2に図2で示した第1パルスMP1が供給されると、ステータ13の半円部13aがN極に、半円部13bがS極に磁化される。これにより、ロータ12のN極と半円部13aのN極が反発し、また、ロータ12のS極と半円部13bのS極が反発し、ロータ12は、点線の軌跡Cで示すように、時計回り方向(正転方向)に回転する。
ここで、第1パルスMP1は、前述したように、ロータ12を1ステップ回転させるほどの駆動力はないので、ロータ12は、正転方向に回転するが保持トルクピーク位置Bに近づいても超えることなく、位置C1付近に達した後、静的安定点Aに戻る方向、すなわち、反時計回り方向に戻り出して逆回転する(軌跡C参照)。
次に、ステップモータ10の駆動コイル11のコイル端子O1に図2で示した第2パルスMP2が供給されると、ステータ13の半円部13aがS極に、半円部13bがN極に磁化される。これにより、ロータ12のN極と半円部13aのS極が引き合い、また、ロータ12のS極と半円部13bのN極が引き合うので、ロータ12は、軌跡Cで示すように、静的安定点Aを通過してさらに反時計回り方向に逆回転する。
ここで、第2パルスMP2は、前述したように、ロータ12を1ステップ逆回転させるほどの駆動力はないので、ロータ12は、逆転方向に回転するが保持トルクピーク位置Bに近づいても超えることなく、位置C2付近に達した後、再び静的安定点Aに戻る方向、すなわち、時計回り方向に戻り出して回転し、微小パルスMPが一組だけで終了するならば、ロータ12の回転振動は減衰して静的安定点Aで収束する(軌跡C参照)。
また、微小パルスMPが、図2で示したように、繰り返し周期Pe=32mSで連続してステップモータ10に供給されるならば、ロータ12の動きは、静的安定点Aを中心に
して位置C1とC2の間を32mS周期で正転方向と逆転方向に繰り返し回転振動する。
なお、駆動コイル11に通常の駆動パルスが供給されると、ロータ12は保持トルクピーク位置Bを超えて180度回転し、静的安定点Aで停止する。この180度のロータ12の回転が通常の1ステップ送りである。
ここで図3に示すように、ステップモータ10のロータ12が2段の輪列W1、W2を介して、指針Hに接続され、ロータ12が静的安定点Aに位置するときに指針Hが中心位置h0にあるように構成されたとすると、ロータ12が正転方向のピーク点である位置C1にあるとき、指針Hは位置h1となり、ロータ12が逆転方向のピーク点である位置C2にあるとき、指針Hは位置h2となる。
すなわち、ステップモータ10に図2で示す微小パルスMPが供給されると、指針Hは、中心位置h0を基準にして図面上の左右に所定の振幅Eで振動する。この指針Hの動きが扇形振動である。従って、指針Hの扇形振動の周期は、微小パルスMPの繰り返し周期Peに依存し、また、その振幅Eは、微小パルスMPの駆動力に依存する。
たとえば、繰り返し周期Peを短くすれば、指針Hの扇形振動は、素早く振動することになり、また、微小パルスMPの駆動力(第1パルスMP1と第2パルスMP2のデューティによる)を大きくすれば、指針Hの扇形振動の振幅Eが大きくなって目立つようになるのである。
以上のように、第1の実施形態によれば、ステップモータ10のロータ12が回転しない程度の小さな駆動力を有する微小パルスMPを駆動コイル11に交互に供給することで、ロータ12を正転方向と逆転方向に非回転で回転振動させ、指針を所定の周期と振幅で扇形振動させることができる。その結果、ステップモータ10を正転と逆転によるステップ送りではなく、指針を扇形振動させることができるので、従来に比べて低消費電力で時計の状態や情報を使用者に分かりやすく伝達する指針の扇形振動による表示手段を備えた電子時計を提供できる。
たとえば、ストップウォッチ機能付き電子時計において、通常、計測中は、クロノグラフ針が高速に駆動(回転)されているが、所定の時間経過後に、クロノグラフ針の運針を本発明の微小パルスによる扇形振動に切り替えることで、使用者には扇形振動によってストップウォッチが計測中であることを伝えられると共に、極めて低消費電力でストップウォッチの計測を継続することができ、電子時計の電池寿命を大幅に延ばすことが可能となる。
また、従来の扇形運針は、ステップモータの正転と逆転のステップ送りで実現していたので、指針の動きが遅いためにぎこちなく、見栄えの悪い運針であった。しかし、本発明の扇形振動の動きは、前述したように、ロータ12の回転が保持トルクピーク位置B(図3参照)を超えないために、正転方向の動きも逆転方向の動きも素早く振動できるので、ロータ12の回転振動の速さは微小パルスMPの繰り返し周期Peに依存し、たとえば、32mS周期で高速に振動させることができる。
このため、高速で素早い扇形振動を実現でき、見栄えが良く視認性に優れた指針による扇形振動を実現できる。なお、以上のような第1の実施形態の効果は、後述する第2〜第6の実施形態でも同様の効果を有している。
また、微小パルスMPの構成は、第1パルスMP1と第2パルスMP2による2発のパルスに限定されず、たとえば、振動振幅は小さくなるが単発の第1パルスMP1のみでも
よく、または、駆動コイル11を交互に駆動する3発や4発、またはそれ以上のパルスを一組とした微小パルスを構成してもよい。
[第2の実施形態]
[第2の実施形態の電子時計の微小パルスの説明:図4]
次に、第2の実施形態の電子時計の微小パルスについて図4を用いて説明する。なお、第2の実施形態の電子時計の構成は、前述した第1の実施形態の構成(図1参照)と同様であるので、構成の説明は省略する。図4において、第2の実施形態の微小パルスMPは、第1の実施形態と同様に、ステップモータ10の駆動コイル11の一方の端子に出力される第1パルスMP1と、この第1パルスMP1の出力終了直後に、駆動コイル11の他方の端子に出力される第2パルスMP2で構成される。
ここで、第2の実施形態での第1パルスMP1は、ドライバ回路6の出力端子O1から出力されてステップモータ10のロータ12を逆転方向に回転振動させ、第2パルスMP2は、ドライバ回路6の出力端子O2から出力されてロータ12を正転方向に回転振動させる。
すなわち、第2の実施形態の微小パルスMPの第1パルスMP1と第2パルスMP2は、第1の実施形態に対して出力端子O1とO2が入れ替わって出力されるのである。なお、第1パルスMP1と第2パルスMP2のそれぞれの構成や繰り返し周期Peは、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
[第2の実施形態のステップモータと扇形振動動作の説明:図5]
次に、第2の実施形態のステップモータと指針による扇形振動動作について図5を用いて説明する。なお、ステップモータ10の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
図5において、ロータ12が静的安定点Aにあるとき、ステップモータ10の駆動コイル11のコイル端子O1に図4で示した第1パルスMP1が供給されると、ステータ13の半円部13aがS極に、半円部13bがN極に磁化される。これにより、ロータ12のN極と半円部13aのS極が引き合い、また、ロータ12のS極と半円部13bのN極が引き合い、ロータ12は、点線の軌跡Cで示すように、反時計回り方向(逆転方向)に回転する。
ここで、第1パルスMP1は、第1の実施形態と同様にロータ12を1ステップ回転させるほどの駆動力はないので、ロータ12は、逆転方向に回転するが保持トルクピーク位置Bに近づいても超えることなく、位置C2付近に達した後、静的安定点Aに戻る方向、すなわち、時計回り方向に戻り出して正回転する(軌跡C参照)。
次に、ステップモータ10の駆動コイル11のコイル端子O2に図4で示した第2パルスMP2が供給されると、ステータ13の半円部13aがN極に、半円部13bがS極に磁化される。これにより、ロータ12のN極と半円部13aのN極が反発し、また、ロータ12のS極と半円部13bのS極が反発するので、ロータ12は、軌跡Cで示すように、静的安定点Aを通過してさらに時計回り方向に正回転する。
ここで、第2パルスMP2は、第1の実施形態と同様に、ロータ12を1ステップ回転させるほどの駆動力はないので、ロータ12は、正転方向に回転するが保持トルクピーク位置Bに近づいても超えることなく、位置C1付近に達した後、再び静的安定点Aに戻る方向、すなわち、反時計回り方向に戻り出して逆回転し、微小パルスMPが一組だけで終了するならば、ロータ12の回転振動は減衰して静的安定点Aで収束する(軌跡C参照)
。
また、微小パルスMPが、図4で示したように、繰り返し周期Pe=32mSで連続してステップモータ10に供給されるならば、ロータ12の動きは、静的安定点Aを中心にして位置C2とC1の間を32mS周期で逆転方向と正転方向に繰り返し回転振動する。
ここで、第1の実施形態と同様に、ロータ12が2段の輪列W1、W2を介して、指針Hに接続され、ロータ12が静的安定点Aに位置するときに指針Hが中心位置h0に位置するように構成されたとすると、ロータ12が正転方向のピーク点である位置C1にあるとき、指針Hは位置h1となり、ロータ12が逆転方向のピーク点である位置C2にあるとき、指針Hは位置h2となり、指針Hは微小パルスMPによって扇形振動する。
これにより、第1の実施形態と同様に、微小パルスMPの繰り返し周期Peを短くすれば、指針Hの扇形振動は、素早く振動することになり、また、微小パルスMPの駆動力を大きくすれば、指針Hの扇形振動の振幅Eが大きくなって目立つようになる。
以上のように、第2の実施形態は、前述した第1の実施形態の微小パルスMPの交番出力を入れ替え、まず、ステップモータ10のロータ12を逆転方向に回転振動させてから、次に正転方向に回転振動させて、指針を扇形振動させる構成である。ロータ12をこのような回転方向の順序で駆動することで、詳細は後述するが、ロータ12が1周期の回転振動動作を行う毎に回転検出を実施して、ロータ12が1ステップ回転してしまう誤回転を検出できるメリットがある。
[第3の実施形態]
[第3の実施形態の電子時計の構成説明:図6]
次に、第3の実施形態の電子時計の概略構成について図6を用いて説明する。なお、第3の実施形態は、前述した第2の実施形態に回転検出機能を追加した応用例である。
図6において、符号20は第3の実施形態のアナログ表示方式の電子時計である。電子時計20は、水晶振動子(図示せず)によって所定の基準信号P1を出力する発振回路21、制御回路22、駆動パルス生成回路23、逆転パルス生成回路24,検出パルス生成回路25、微小パルス生成回路26、セレクタ回路27、ドライバ回路28、回転検出回路29、ランク選択回路30、および、ステップモータ10を有している。
なお、ステップモータ10は、第1、第2の実施形態のステップモータ10と同様の構成であるので説明は省略する。また、電子時計20は、指針等による表示部、輪列、電源、操作部材等を含むが、ここでは図示を省略する。
制御回路22は、基準信号P1を入力して所定の周波数信号に分周し、各回路を制御するための制御信号CN3〜CN7を出力する。また、制御回路22は、後述する判定信号P2を入力し、ロータ12が誤回転した場合には、逆転パルス生成回路24を制御して逆転パルスFPを出力する機能を有している。
駆動パルス生成回路23は、制御信号CN3を入力して、ステップモータ10を回転駆動する駆動パルスSPを生成し、セレクタ回路27に出力する。
逆転パルス生成回路24は、制御信号CN4を入力して、ステップモータ10を逆転させるための逆転パルスFPを生成し、セレクタ回路27に出力する。
検出パルス生成回路25は、制御信号CN5を入力して、ステップモータ10の回転検
出を行うための検出パルスCPを生成し、セレクタ回路27に出力する。なお、検出パルスCPは、第1検出パルスCP1と第2検出パルスCP2で構成される。
微小パルス生成回路26は、制御信号CN6を入力して、指針を扇形振動させるための微小パルスMPを生成し、セレクタ回路27に出力する。また、微小パルス生成回路26は、後述するランク信号RKを入力して、駆動力の異なる複数種類の微小パルスMPを生成可能に構成されている。
セレクタ回路27は、駆動パルスSP、逆転パルスFP、検出パルスCP、微小パルスMPをそれぞれ入力し、動作モードに応じて各パルスを選択して、セレクト信号SL1、SL2を出力する。
ドライバ回路28は、セレクト信号SL1を入力し、各パルス信号に基づいた駆動波形O1、O2を出力端子O1、O2から出力し、ステップモータ10の駆動コイル11に供給してステップモータ10を駆動する。
回転検出回路29は、セレクト信号SL2と、駆動コイル11のコイル端子O1、O2に発生する検出信号CSとを入力し、ロータ12の回転・非回転を判定して判定信号P2を制御回路22に対して出力する。なお、ドライバ回路28と回転検出回路29の詳細は後述する。
ランク選択回路30は、制御信号CN7を入力して、微小パルスMPの駆動力を選択するためのランク信号RKを微小パルス生成回路26に対して出力する。
[第3の実施形態のドライバ回路と回転検出回路の回路構成の説明:図7]
次に、ステップモータ10を駆動するドライバ回路28と、ステップモータ10の回転状態を検出する回転検出回路29の回路構成の一例を図7を用いて説明する。図7において、ドライバ回路28は、ON抵抗が小さいPチャンネルMOSトランジスタであるドライブトランジスタDP1(以下、トランジスタDP1と略す)とON抵抗が小さいNチャンネルMOSトランジスタであるドライブトランジスタDN1(以下、トランジスタDN1と略す)とのコンプリメンタリ接続でなる第1ドライバ回路28aを有する。
また、同様にON抵抗が小さいPチャンネルのトランジスタDP2とNチャンネルのトランジスタDN2とのコンプリメンタリ接続でなる第2ドライバ回路28bを有する。
第1ドライバ回路28aの出力端子O1は、ステップモータ10の駆動コイル11の一方のコイル端子O1に接続され、第2ドライバ回路28bの出力端子O2は、ステップモータ10の駆動コイル11の他方のコイル端子O2に接続される。また、トランジスタDP1、DN1、DP2、DN2の各ゲート端子Gは、セレクタ回路27(図6参照)からのセレクト信号SL1が接続される。
この構成によって、セレクタ回路27に入力する駆動パルスSP、逆転パルスFP、検出パルスCP、微小パルスMPのいずれかのパルスが動作モードに従って選択され、セレクト信号SL1としてドライバ回路28に入力し、ドライバ回路28から駆動波形O1、O2としてステップモータ10の駆動コイル11に供給される。
また、回転検出回路29は、PチャンネルMOSトランジスタTP1、TP2(以下、トランジスタTP1、TP2と略す)を有し、トランジスタTP1、TP2のソース端子Sは電源VDDに接続され、各ゲート端子Gはセレクタ回路27からのセレクト信号SL2が入力される。また、トランジスタTP1のドレイン端子Dは検出抵抗R1の一方の端
子に接続され、トランジスタTP2のドレイン端子Dは検出抵抗R2の一方の端子に接続される。
検出抵抗R1の他方の端子は、ドライバ回路28の第1ドライバ回路28aの出力端子O1(すなわち、トランジスタDP1とDN1のドレイン結合点)に接続され、さらに、回転検出回路29に内蔵する判定回路29aに入力される。また、検出抵抗R2の他方の端子は、ドライバ回路28の第2ドライバ回路28bの出力端子O2(すなわち、トランジスタDP2とDN2のドレイン結合点)に接続され、さらに、判定回路29aに入力される。なお、検出抵抗R1とR2の抵抗値は略等しく、比較的高抵抗が好ましい。
ここで、検出抵抗R1、R2が接続された判定回路29aに入力される一対の信号を検出信号CSと称し、詳細は後述するが、第1検出パルスCP1によって発生する検出信号を第1検出信号CS1と称し、第2検出パルスCP2によって発生する検出信号を第2検出信号CS2と称す。この検出信号CSはステップモータ10の駆動コイル11からの誘起電流が検出抵抗R1、R2に流れることによって、検出抵抗R1、R2の両端に発生する電圧信号である。
判定回路29aは、この一対の検出信号CSを入力し、詳細は後述するが、検出信号CSが内部の閾値Vthを超えたか否かを検出し、閾値Vthを超えた検出信号CSをカウントしてロータ12の回転・非回転を判定し、判定信号P2として出力する。
[ドライバ回路と回転検出回路による回転検出動作の説明:図7、図8(a)]
次に、ドライバ回路28と回転検出回路29によるロータ12の回転検出動作の概略を図7と図8(a)のタイミングチャートを用いて説明する。ここで説明の条件として、出力端子O1側に発生する検出信号CSによって回転検出を判定する例を説明する。
図8(a)のタイミングチャートは、検出パルスCP、駆動コイル11から発生する誘起電流Ip、出力端子O1側(コイル端子O1)から発生する検出信号CSを示している。ここで、ロータ12の回転を検出するための検出パルスCPは、回転検出期間中に所定の周期のパルス幅の短い信号としてドライバ回路28の出力端子O1、O2から出力される。この回転検出期間中に、ロータ12の回転に応じて駆動コイル11から誘起電流Ipが図示するようにプラス方向に略凸状に発生したとする。
このとき、検出パルスCPのタイミングで、ドライバ回路28のトランジスタDP2が短時間ONし、同時に回転検出回路29のトランジスタTP1が短時間ONする(図7参照)。なお、他のトランジスタはOFFである。この動作によって、駆動コイル11のコイル端子O2は電源VDDに接続され、駆動コイル11のコイル端子O1は検出抵抗R1が接続される。すなわち、駆動コイル11の両端(O1、O2)は、検出パルスCPのタイミングで電源VDDを介して検出抵抗R1が接続される。
これにより、駆動コイル11に発生する誘起電流Ipは、検出パルスCPの短いパルス幅の期間だけ検出抵抗R1に流れ、その結果、出力端子O1に検出信号CSが図8(a)に示すように発生する。すなわち、検出信号CSは、検出パルスCPのタイミングで誘起電流Ipの大きさに応じて発生する細いパルス状の電圧信号である。
この検出信号CSは、検出抵抗R1に接続されている判定回路29aに入力し、所定の閾値Vthを超えた検出信号CSがカウントされる。図8(a)に示す例では、3発の検出信号CSが閾値Vth(点線で示す)を超えたので、回転検出回路29はカウント3の情報を記憶し、このカウント値に基づいてロータ12の回転・非回転の判定が行われる。
また、出力端子O2側に発生する検出信号CSによって回転検出を判定する場合は、図示しないが、検出パルスCPのタイミングで、ドライバ回路28のトランジスタDP1と回転検出回路29のトランジスタTP2が短時間ONする。この動作によって、駆動コイル11の両端は、検出パルスCPのタイミングで電源VDDを介して検出抵抗R2が接続される。
これにより、駆動コイル11に発生する誘起電流Ipは、検出パルスCPのタイミングで検出抵抗R2に流れ、出力端子O2に検出信号CSが発生し、検出抵抗R2に接続されている判定回路29aに入力し、所定の閾値Vthを超えた検出信号CSがカウントされる。なお、回転検出回路29の閾値Vthの電圧値は限定されず、要求される検出感度に応じて適切に調整するとよい。
[第3の実施形態の微小パルス、検出パルス、逆転パルスの説明:図9]
次に、第3の実施形態で出力される微小パルス、検出パルス、逆転パルスの構成について図9を用いて説明する。図9において、第3の実施形態の微小パルスMPは、第1、第2の実施形態と同様に、第1パルスMP1と第2パルスMP2で構成される。
そして、第2の実施形態と同様に、第1パルスMP1は、ドライバ回路6の出力端子O1から出力されてステップモータ10のロータ12を逆転方向に回転振動させ、第2パルスMP2は、ドライバ回路6の出力端子O2から出力されてロータ12を正転方向に回転振動させる。第1パルスMP1と第2パルスMP2のそれぞれの構成は、第1、第2の実施形態と同様であるので説明は省略する。
微小パルスMPの出力後、ロータ12の回転を検出するために検出パルスCPが出力される回転検出期間TCが設けられる。この回転検出期間TCは、微小パルスMP(第1パルスMP1)の出力位置T1(図面上の左端)を起点として、一例として11.5mSに始まり最大30mS位まで継続される。
検出パルスCPは、第1パルスMP1と同じ側の出力端子O1から出力される第1検出パルスCP1と、第2パルスMP2と同じ側の出力端子O2から出力される第2検出パルスCP2で構成される。第1検出パルスCP1と第2検出パルスCP2の周期は、一例として共に0.5mSであり、所定の短いパルス幅で構成される。第1検出パルスCP1と第2検出パルスCP2の出力タイミングはずれており、第1検出パルスCP1の間に、第2検出パルスCP2が入る(入れ子)構成である。
また、回転検出期間TCでの回転検出動作によって、ロータ12が回転したと判定された場合に備えて、逆転パルスFPの出力期間が設けられている。この逆転パルスFPは、ロータ12が微小パルスMPによって回転振動しているときに、電池電圧の変動等の影響によって正転方向に1ステップ回転してしまった場合(誤回転)に、その回転を1ステップ戻すために出力される駆動パルスである。
逆転パルスFPは、微小パルスMPの出力位置T1を起点として、一例として32mS後に設けられている。逆転パルスFPは、図示するように、出力端子O1、O2の両方から出力される複雑な構成の駆動パルスであるが、逆転パルスの構成は、公知であるのでここでの説明は省略する。また、逆転パルスFPの出力期間終了後は、所定の時間経過後、出力位置T1から再び微小パルスMP出力、回転検出期間TCと続き、ロータ12の回転振動動作が繰り返される。
また、回転検出期間TCでの回転検出動作によって、ロータ12が非回転であると判定された場合は、一例として繰り返し周期Pe=32mSで微小パルスMPの出力と回転検
出期間TCが繰り返される。この場合、微小パルスMPの繰り返し動作は、前述した第2の実施形態の動作(図4参照)と同様になる。
[第3の実施形態の扇形振動動作の説明:図10〜図12]
次に、第3の実施形態の扇形振動動作について図10〜図12を用いて説明する。図10は第3の実施形態の扇形振動(ロータの回転振動)の1周期の動作フローを示し、図11はロータの回転振動によって1ステップ誤回転した場合の回転検出動作のタイミングチャートであり、図12はロータの回転振動が正常(非回転)である場合の回転検出動作のタイミングチャートである。なお、第3の実施形態の電子時計20の構成は図6の構成図を参照し、ステップモータ10を駆動する各パルスの構成は図9の波形図を参照する。
図10の動作フローにおいて、電子時計20(図6参照)が指針を扇形振動させる場合、制御回路22は、制御信号CN6を出力して微小パルス生成回路26を起動し、微小パルス生成回路26は、所定の微小パルスMPを生成して出力する。セレクタ回路27は微小パルスMPを選択して微小パルスMPに基づいたセレクト信号SL1をドライバ回路28に出力し、ドライバ回路28は出力端子O1、O2から微小パルスMPを構成する第1パルスMP1、第2パルスMP2を出力し、ステップモータ10のロータ12を回転振動する(ST1:微小パルス出力)。
図11、図12において、出力端子O1から第1パルスMP1が出力され、また、出力端子O2から第2パルスMP2が出力されることを示す(ST1の動作)。ここで、第1パルスMP1、第2パルスMP2の構成は、前述した図9の波形図を参照する。また、電流Iは、ステップモータ10の駆動コイル11に流れる電流を示し、第1パルスMP1によって、マイナス側のコイル電流Ic1が流れ、第2パルスMP2によって、プラス側のコイル電流Ic2が流れる。
次に、動作フロー(図10)において、微小パルスMP出力(ST1)終了後、制御回路22は、回転検出期間TCを開始し、制御信号CN5を出力して検出パルス生成回路25を起動し、検出パルス生成回路25は、第1検出パルスCP1を生成してセレクタ回路27に対して出力する。セレクタ回路27は第1検出パルスCP1を選択してセレクト信号SL1、SL2をドライバ回路28と回転検出回路29に出力する。それにより、ドライバ回路28の出力端子O1から第1検出パルスCP1が出力し、この第1検出パルスCP1によって駆動コイル11に発生する誘起電流に応じた第1検出信号CS1が発生する(ST2:回転検出開始)。
次に、回転検出回路29は、ロータ12の回転によって駆動コイル11に発生する誘起電流Ipに応じた第1検出信号CS1を入力し、パルス状の第1検出信号CS1の高さが内部の閾値Vthを超えたか否かを判定する(ST3:第1検出信号有?)。
ここで、第1検出信号CS1が所定の期間内(T1から一例として30mS位以内)に閾値Vthを所定の数(たとえば3発)超えなければ(判定N)、ロータ12は非回転と判定して、回転検出期間TCを停止し、扇形振動の1周期を終了(END)する。また、所定の期間内に第1検出信号CS1が閾値Vthを所定の数(たとえば3発)超えたならば(判定Y)、次のステップST4へ進む。
次に、ステップST4において、検出パルス生成回路25は、第1検出パルスCP1を停止後、第2検出パルスCP2を生成し、ドライバ回路28の出力端子O2から第2検出パルスCP2を出力する。回転検出回路29は、ロータ12の回転によって駆動コイル11に発生する誘起電流Imに応じた第2検出信号CS2を入力し、パルス状の第2検出信号CS2の高さが内部の閾値Vthを超えたか否かを判定する(ST4:第2検出信号有
?)。
ここで、第2検出信号CS2が所定の期間内(T1から一例として30mS位以内)に閾値Vthを所定の数(たとえば2発)超えたならば(判定Y)、制御回路22は、ロータ12が1ステップ誤回転したと判定して、逆転パルスFPを出力するためにステップST5へ進む。
ステップST5において、制御回路22は回転検出期間TCを終了し、次に、制御信号CN4を出力して逆転パルス生成回路24を起動し、逆転パルス生成回路24は、逆転パルスFPを生成してセレクタ回路27に対して出力する。セレクタ回路27は逆転パルスFPを選択してセレクト信号SL1をドライバ回路28に出力し、ドライバ回路28の出力端子O1、O2から所定の逆転パルスFPが出力され、ロータ12は逆転して1ステップ戻り、回転振動によって1ステップ進んでしまった誤回転が補正される(ST5:逆転パルス出力)。
また、ステップST4で第2検出信号CS2が所定の期間内に閾値Vthを所定の数(たとえば2発)超えなければ(判定N)、制御回路22は、ロータ12は1ステップ回転していない(非回転)と判定して回転検出期間TCを終了する(ST7:回転検出終了)。
図11、図12において、回転検出期間TCが開始し、出力端子O1から第1検出パルスCP1が出力され、この第1検出パルスCP1によって駆動コイル11に発生する誘起電流Ipに応じた第1検出信号CS1が発生することを示す。
ここで、図11に示す回転検出期間TCの動作は、ロータ12が回転振動によって正転方向に1ステップ誤回転した場合の動作を示している。この回転検出期間TCにおいて、まず、出力端子O1から第1検出パルスCP1が出力され、ロータ12の回転振動によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで出力端子O1に第1検出信号CS1が発生する。
この第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST3で判定Yとなり、第1検出パルスCP1に代わって出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される。このとき、ロータ12は保持トルクピーク位置B(図5参照)を超えるので、駆動コイル11にマイナス側の誘起電流Im(右下がりのハッチングで示す)が発生し、その誘起電流Imに応じて第2検出パルスCP2のタイミングで第2検出信号CS2が発生する。
この第2検出信号CS2が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を2発超えると、前述したステップST4で判定Yとなって逆転パルスFPが出力される。以上のように、微小パルスMPによってロータ12が1ステップ誤回転した場合は、ロータ12の回転を検出し、逆転パルスFPを出力することによってロータ12を1ステップ戻すことができる。なお、図11では逆転パルスFPは図示していない。
このように、回転検出回路29は、第1検出信号CS1によって、まずプラス側の誘起電流Ipを検出し、次に、第2検出信号CS2によってマイナス側の誘起電流Imを検出することで、ロータ12が1ステップ回転したと判定する。このロータの回転検出方法は、公知技術であるので、詳しい説明は省略する。
また、図12に示す回転検出期間TCの動作は、ロータ12の回転振動が正常であって
1ステップ回転しない場合(非回転)の動作を示している。この回転検出期間TCにおいて、まず出力端子O1から第1検出パルスCP1が出力され、ロータ12の回転振動によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで第1検出信号CS1が発生する。
この第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST3で判定Yとなり、第1検出パルスCP1に代わって出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される。このとき、ロータ12は非回転であって、保持トルクピーク位置B(図5参照)を超えないので、プラス側の誘起電流Ipがなだらかに続き、所定の期間内(T1から30mS位以内)に回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を超える第2検出信号CS2は発生しない。その結果、前述したステップST4で判定Nとなって回転検出期間TCは終了し、逆転パルスFPは出力されない。
次に、動作フロー(図10)において、ステップST5における逆転パルスFP出力後、ロータ12が1ステップ誤回転したということは、微小パルスMPの駆動力が大きいことが原因と考えられるので、制御回路22は、制御信号CN7を出力してランク選択回路30を制御し、ランク選択回路30は微小パルスMPの駆動力を低くするために、ランク信号RKを出力する。
微小パルス生成回路26は、ランク信号RKを入力し、現在の駆動力から1ランク低い駆動力を選択して次回の微小パルスMPを出力するように設定され(ST6:1ランクダウン)、扇形振動の1周期を終了(END)する。このステップST6によって、ロータ12が1ステップ誤回転してしまう頻度を下げることができる。
また、駆動力が同一ランクの微小パルスMPで扇形振動を継続していると、電池電圧が低下した場合などの影響で、微小パルスMPの駆動力が低下し、扇形振動の振幅E(図5参照)が小さくなって扇形振動の視認性が悪化することが考えられる。この現象を回避するために、制御回路22は、ステップST7での回転検出終了後、非回転の判定が所定回数(たとえば256回)継続したか否かを判定する(ST8:非回転256回?)。
ここで、判定Yであれば、微小パルスMPの駆動力が低下している可能性があるので、ランク選択回路30を制御して、微小パルス生成回路26の駆動力を現在のランクから1ランク高く設定する(ST9:1ランクアップ)。この動作によって、扇形振動の振幅Eの減少を防ぎ、扇形振動の視認性を良好に保つことができる。また、ステップST8で判定Nであれば、ランクの変更は必要ないと判断して扇形振動の1周期を終了する。
次に、ランク選択回路30によって選択される微小パルスMPの駆動力のランク表の一例を図8(b)に示す。図8(b)において、駆動力のランクは、ランク0〜ランク3の4段階であり、それぞれ、第1パルスMP1と第2パルスMP2のデューティが設定されている。ランク0は最も駆動力が小さなランクであり、第1パルスMP1のデューティは14/32であり、第2パルスMP2のデューティは6/32である。
また、ランク3は最も駆動力が大きなランクであり、第1パルスMP1のデューティは17/32であり、第2パルスMP2のデューティは9/32である。このように、微小パルスMPの駆動力の選択は、第1パルスMP1と第2パルスMP2のそれぞれのデューティを変更することで実現できる。
また、現在がランク0で1ランクダウン(ST6)の場合は、ランク0が継続され、現在がランク3で1ランクアップ(ST9)の場合は、ランク3が継続される。なお、微小
パルスMPの駆動力のランクは、4段階に限定されず、各ランクのデューティもステップモータの性能等に応じて、任意に設定することができる。
なお、動作フロー(図10)において、1周期の扇形振動動作が終了(END)し、ロータ12の回転振動が繰り返し周期Pe=32mSで継続される場合、初めの出力位置T1から32mS経過後に動作フローのスタートに戻り、再びステップST1が実行されて微小パルスMPが出力し、指針は32mS周期で扇形振動を継続する。
以上のように第3の実施形態によれば、一組の微小パルスMPを出力後、回転検出期間TCによってロータ12の回転振動の状態を検出し、ロータ12が誤って1ステップ回転した場合、その誤回転を検出して逆転パルスFPによってロータ12を1ステップ戻すことができる。その結果、電池電圧の変動等によって微小パルスMPの駆動力が変化してロータ12が誤回転しても、直ちに指針を正常な位置に戻せるので、誤動作のない指針の扇形振動による表示手段を備えた電子時計を提供できる。
また、微小パルスMPの駆動力を必要に応じて選択し調整できるので、扇形振動の振幅が安定し、視認性に優れた扇形振動を実現できると共に、ロータ12の誤回転の発生頻度を下げることができる。とくに、ソーラ腕時計のように二次電池を電源とする場合、電池電圧の変動が激しいので、本実施形態は大きな効果を得ることができる。
[第4の実施形態]
[第4の実施形態の電子時計の構成説明:図13]
次に、第4の実施形態の電子時計の概略構成について図13を用いて説明する。この第4の実施形態は、前述した第1の実施形態に回転検出機能を追加した応用例である。なお、第4の実施形態の電子時計の基本構成は、前述した第3の実施形態の電子時計20と同様であるので、同一要素は同一符号で図示して説明は省略し、ここでは異なる構成要素のみについて説明する。
図13において、符号40は第4の実施形態のアナログ表示方式の電子時計である。電子時計40は、第3の実施形態と同様に、発振回路21、制御回路22、駆動パルス生成回路23、逆転パルス生成回路24,検出パルス生成回路25、セレクタ回路27、ドライバ回路28、回転検出回路29、ランク選択回路30、ステップモータ10を有し、また、本実施形態の特徴である微小パルス生成回路41を有している。なお、電子時計40は、指針等による表示部、輪列、電源、操作部材等を含むが、ここでは図示を省略する。
微小パルス生成回路41は、第1パルス生成回路42と第2パルス生成回路43とに分離して構成され、制御回路22からの制御信号CN6a、CN6bをそれぞれ入力して、指針を扇形振動させるための第1パルスMP1と第2パルスMP2とを個別に生成し、セレクタ回路27に出力する。
また、ランク選択回路30は、前述したように、微小パルス生成回路41が分離して構成されるので、第1パルス生成回路42のランクを選択する第1ランク信号RK1と、第2パルス生成回路43のランクを選択する第2ランク信号RK2と、を個別に出力する構成である。
[第4の実施形態の微小パルス、検出パルス、逆転パルスの説明:図14]
次に、第4の実施形態で出力される微小パルス、検出パルス、逆転パルスの構成について図14を用いて説明する。図14において、第4の実施形態の微小パルスMPは、第1〜3の実施形態と同様に、第1パルスMP1と第2パルスMP2で構成されるが、連続して出力されず、第1パルスMP1と第2パルスMP2は、個別に出力される特徴を有して
いる。
ここで、第1パルスMP1は、ドライバ回路6の出力端子O2から出力されてステップモータ10のロータ12を正転方向に回転振動させ、第2パルスMP2は、ドライバ回路6の出力端子O1から出力されてロータ12を逆転方向に回転振動させる。なお、第1パルスMP1と第2パルスMP2のそれぞれの構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
第1パルスMP1と第2パルスMP2の隙間の期間には、ロータ12の回転を検出するための検出パルスCPが出力される回転検出期間TCが設けられている。この回転検出期間TCは、第1パルスMP1の出力位置T1を起点として、一例として4.5mSに始まり最大24mS位まで継続される。一方、第2パルスMP2は、第1パルスMP1の出力位置T1を起点として、一例として25mSから出力される。
回転検出期間TCに出力される検出パルスCPは、第1検出パルスCP1と第2検出パルスCP2で構成され、第1検出パルスCP1は、第1パルスMP1と異なる側の出力端子O1に出力され、第2検出パルスCP2は、第1パルスMP1と同じ側の出力端子O2に出力される。第1検出パルスCP1と第2検出パルスCP2の周期や出力タイミングは、第3の実施形態と同様であるので説明は省略する。
この回転検出期間TCでの回転検出動作によって、ロータ12が1ステップ誤回転したと判定された場合は、第2パルスMP2は出力されず、代わりに逆転パルスFPが出力される。逆転パルスFPの出力期間は、第1パルスMP1の出力位置T1を起点として、一例として32mS後に設けられている。逆転パルスFPの構成は公知であり第3の実施形態と同様であるので説明は省略する。
また、回転検出期間TCでの回転検出動作によって、ロータ12が非回転であると判定された場合は、一例として繰り返し周期Pe=32mSで第1パルスMP1、検出パルスCP、第2パルスMP2の出力が繰り返される。
[第4の実施形態の扇形振動動作の説明:図15〜図17]
次に、第4の実施形態の扇形振動動作について図15〜図17を用いて説明する。図15は第4の実施形態の扇形振動(ロータの回転振動)の1周期の動作フローを示し、図16はロータの回転振動によって1ステップ誤回転した場合の回転検出動作のタイミングチャートであり、図17はロータの回転振動が正常(非回転)である場合の回転検出動作のタイミングチャートである。なお、第4の実施形態の電子時計40の構成は図13の構成図を参照し、ステップモータ10を駆動する各パルスの構成は図14の波形図を参照する。
図15の動作フローにおいて、電子時計40(図13参照)が指針を扇形振動させる場合、制御回路22は、制御信号CN6aを出力して微小パルス生成回路41の第1パルス生成回路42を起動し、第1パルス生成回路42は、第1パルスMP1を生成して出力する。セレクタ回路27は第1パルスMP1を選択してセレクト信号SL1をドライバ回路28に出力し、ドライバ回路28は出力端子O2から第1パルスMP1を出力して、ステップモータ10を正転方向に微小駆動する(ST10:第1パルス出力)。
図16、図17において、出力端子O2から第1パルスMP1が出力されることを示す(ST10の動作)。また、コイル電流Ic1は、第1パルスMP1によって、ステップモータ10の駆動コイル11に流れるプラス方向の電流を示している。
次に、動作フロー(図15)において、第1パルスMP1出力(ST10)終了後、制御回路22は、回転検出期間TCを開始し、ドライバ回路28は出力端子O1から第1検出パルスCP1を出力してロータ12の回転検出動作を開始する(ST11:回転検出開始)。
次に、回転検出回路29は、ロータ12の回転によって駆動コイル11に発生する誘起電流Ipに応じた第1検出信号CS1を入力し、第1検出信号CS1の高さが内部の閾値Vthを超えたか否かを判定する(ST12:第1検出信号有?)。
ここで、第1検出信号CS1が所定の期間内(T1から一例として24mS位以内)に閾値Vthを所定の数(たとえば3発)超えなければ(判定N)、ロータ12は非回転であると判定して、回転検出期間TCを停止し、扇形振動の1周期を終了(END)する。また、第1検出信号CS1が所定の期間内に閾値Vthを所定の数(たとえば3発)超えたならば(判定Y)、次のステップST13へ進む。
次に、ステップST13において、検出パルス生成回路25は、第2検出パルスCP2を生成し、ドライバ回路28の出力端子O2から第2検出パルスCP2を出力する。回転検出回路29は、ロータ12の回転によって駆動コイル11に発生する誘起電流Imに応じた第2検出パルスCP2を入力し、第2検出信号CS2の高さが内部の閾値Vthを超えたか否かを判定する(ST13:第2検出信号有?)。
ここで、第2検出信号CS2が所定の期間内(T1から24mS位以内)に閾値Vthを所定の数(たとえば2発)超えたならば(判定Y)、制御回路22は、ロータ12が1ステップ誤回転したと判定して、逆転パルスFPを出力するためにステップST14へ進む。なお、ステップST14、ST15の動作は、前述した第3の実施形態のステップST5、ST6(図10参照)と同様であるので説明は省略する。
また、ステップST13で第2検出信号CS2が所定の期間内(T1から24mS位以内)に閾値Vthを所定の数(たとえば2発)超えなければ(判定N)、制御回路22は、ロータ12は非回転であると判定して回転検出期間TCを終了する(ST16:回転検出終了)。
次に制御回路22は、ステップモータ10に第2パルスMP2を出力するために、制御信号CN6bを出力して微小パルス生成回路41の第2パルス生成回路43を起動し、第2パルス生成回路43は、第2パルスMP2を生成して出力する。セレクタ回路27は第2パルスMP2を選択してセレクト信号SL1をドライバ回路28に出力し、ドライバ回路28は出力端子O1から第2パルスMP2を出力して、ステップモータ10のロータ12を逆転方向に微小駆動する(ST17:第2パルス出力)。
ステップST17による第2パルスMP2の出力後のステップST18、ST19の動作は、前述した第3の実施形態のステップST8、ST9(図10参照)と同様であるので説明は省略する。なお、ステップST15とST19での微小パルスMPの駆動力を選択するためのランクダウンとランクアップの動作は、第3の実施形態で示したランク表(図8(b))を使用することができる。
図16、図17において、回転検出期間TCに出力端子O1から第1検出パルスCP1が出力され、この第1検出パルスCP1によって駆動コイル11に発生する誘起電流Ipに応じた第1検出信号CS1が発生することを示す。
ここで、図16に示す回転検出期間TCの動作は、第1パルスMP1出力後にロータ1
2が回転振動によって正転方向に1ステップ誤回転した場合の動作を示している。この回転検出期間TCにおいて、ロータ12の回転振動によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで出力端子O1に第1検出信号CS1が発生する。
この第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST12で判定Yとなり、第1検出パルスCP1に代わって出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される。このとき、ロータ12は保持トルクピーク位置B(図5参照)を超えるので、駆動コイル11にマイナス側の誘起電流Im(右下がりのハッチングで示す)が発生し、その誘起電流Imに応じて第2検出パルスCP2のタイミングで第2検出信号CS2が発生する。
この第2検出信号CS2が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を2発超えると、前述したステップST13で判定Yとなって逆転パルスFPが出力される。このように、第1パルスMP1によってロータ12が1ステップ誤回転した場合は、ロータ12の回転を検出し、逆転パルスFPを出力することによってロータ12を1ステップ戻すことができる。なお、図16では逆転パルスFPは図示していない。
また、図17に示す回転検出期間TCの動作は、第1パルスMP1出力後にロータ12の回転振動が正常であって1ステップ回転しない場合(非回転)の動作を示している。この回転検出期間TCにおいて、ロータ12の回転振動によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで出力端子O1に第1検出信号CS1が発生する。
この第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST12で判定Yとなり、第1検出パルスCP1に代わって出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される。このとき、ロータ12は非回転であって、保持トルクピーク位置B(図5参照)を超えないので、プラス側の誘起電流Ipがなだらかに続き、所定の期間内(T1から24mS位以内)に回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を超える第2検出信号CS2は発生しない。その結果、前述したステップST13で判定Nとなって回転検出期間TCは終了し、逆転パルスFPは出力されず、ロータ12を逆転方向に微小駆動するための第2パルスMP2が出力端子O1から出力される(ST17)。
なお、動作フロー(図15)において、1周期の扇形振動動作が終了(END)し、ロータ12の回転振動が継続される場合は、第3の実施形態と同様に、動作フローはスタートに戻り、再び扇形振動動作が繰り返される。
以上のように第4の実施形態によれば、ステップモータ10のロータ12を回転振動させる微小パルスMPの第1パルスMP1と第2パルスMP2を分離して個別に出力し、第1パルスMP1と第2パルスMP2の隙間に回転検出期間TCを設けることで、第1パルスMP1によってロータ12が正転方向に1ステップ誤回転したか否かを検出することができる。
その結果、電池電圧の変動等によって第1パルスMP1の駆動力が変化し、回転振動しているロータ12が誤って1ステップ回転した場合、その誤回転を検出し、第2パルスMP2の代わりに逆転パルスFPによってロータ12を1ステップ逆転させ、ロータ12を正常な位置に戻すことができるので、誤動作のない指針の扇形振動による表示手段を備えた電子時計を提供できる。また、第3の実施形態と同様に、微小パルスMPの駆動力を必要に応じて選択し調整できるので、扇形振動の振幅が安定し、視認性に優れた扇形振動を
実現できると共に、ロータ12の誤回転の発生頻度を下げることができる。
[第5の実施形態]
[第5の実施形態の電子時計の構成説明:図13]
次に、第5の実施形態の電子時計の構成を説明する。この第5の実施形態は、前述した第4の実施形態の応用例であり、第5の実施形態の電子時計の構成は、前述した第4の実施形態の電子時計40の構成(図13参照)と同様であるので、構成の説明は省略する。
[第5の実施形態の微小パルス、検出パルス、逆転パルスの説明:図18]
次に、第5の実施形態で出力される微小パルス、検出パルス、逆転パルスの構成について図18を用いて説明する。図18において、第5の実施形態の微小パルスMPは、第4の実施形態と同様であり、第1パルスMP1と第2パルスMP2が分離し、個別に出力される構成である。
また、前述した第4の実施形態では、第1パルスMP1と第2パルスMP2の位置関係は固定あり、第2パルスMP2は、第1パルスMP1の出力位置T1を起点として、25mSから出力されたが(図14参照)、本実施形態では、第2パルスMP2の出力位置は、第1パルスMP1によるロータ12の回転振動状態に応じて変更するように制御される特徴を有している。
そして、第1パルスMP1と第2パルスMP2の隙間の期間には、第4の実施形態と同様に、ロータ12の回転を検出するための検出パルスCPが出力される回転検出期間TCが設けられている。この回転検出期間TCは、第1パルスMP1の出力位置T1を起点として、一例として4.5mSに始まり、終了位置は変動する。
回転検出期間TCに出力される検出パルスCPは、第4の実施形態(図14参照)と同様に、第1検出パルスCP1と第2検出パルスCP2で構成され、第1検出パルスCP1は、第1パルスMP1と異なる側の出力端子O1に出力され、第2検出パルスCP2は、第1パルスMP1と同じ側の出力端子O2に出力される。第1検出パルスCP1と第2検出パルスCP2の周期や出力タイミングは、第3の実施形態と同様であるので説明は省略する。
この回転検出期間TCでの回転検出動作によって、ロータ12が非回転であると判定された場合は、第1パルスMP1に続いて第2パルスMP2が出力される。この第2パルスMP2の出力位置は変動するが詳細は後述する。また、第2パルスMP2の出力終了後は、再び第1パルスMP1の出力位置T1に戻り、微小パルスMPの出力が繰り返される。
また、回転検出期間TCでの回転検出動作によって、ロータ12が1ステップ誤回転したと判定された場合は、第2パルスMP2は出力されず、代わりに逆転パルスFPが出力される。逆転パルスFPの出力位置等は第3、4の実施形態と同様であるので説明は省略する。
このように、第5の実施形態では、第1パルスMP1と第2パルスMP2の隙間に回転検出期間TCが挿入され、且つ、第2パルスMP2の出力位置は変動するが、第1パルスMP1、検出パルスCP、第2パルスMP2の一連のパルス列の繰り返し周期Peは一定であり、第4の実施形態と同様に一例として32mSである。
[第5の実施形態の扇形振動動作の説明:図19〜図22]
次に、第5の実施形態の扇形振動動作について図19〜図22を用いて説明する。図19は第5の実施形態の扇形振動(ロータの回転振動)の1周期の動作フローを示し、図20は微小パルスMPの駆動力が比較的大きい場合の回転検出動作のタイミングチャートで
あり、図21は微小パルスMPの駆動力が比較的小さい場合の回転検出動作のタイミングチャートである。また、図22は微小パルスMPの駆動力が大き過ぎるためにロータ12が回転振動によって1ステップ誤回転した場合の回転検出動作のタイミングチャートである。
なお、第5の実施形態の構成は第4の実施形態の構成図(図13)を参照し、ステップモータ10を駆動する各パルスの構成は図18の波形図を参照する。また、動作フローや各パルスについて、前述した各実施形態と重複する説明は省略する。
図19において、ステップST20とST21は、前述の第4の実施形態の動作フロー(図15参照)のステップST10とST11と同様であるので説明は省略する。
このステップST20とST21が実行されることで、図20〜図22において、出力端子O2から第1パルスMP1が出力され、この第1パルスMP1によって駆動コイル11にプラス方向のコイル電流Ic1が流れる。また、続く回転検出期間TCで出力端子O1から第1検出パルスCP1が出力されることを示している。
次に動作フロー(図19)において、ステップST22で回転検出回路29は、ロータ12の回転振動によって駆動コイル11に発生する誘起電流Ipに応じた第1検出信号CS1を入力し、第1検出信号CS1の高さが内部の閾値Vthを超えたか否かを判定する(ST22:第1検出信号有?)。
ここで、第1検出信号CS1が所定の期間内に閾値Vthを所定の数(たとえば3発)超えなければ(判定N)、ロータ12は非回転と判定して、回転検出期間TCを停止し、扇形振動動作の1周期を終了(END)する。また、第1検出信号CS1が所定の期間内に閾値Vthを所定の数(たとえば3発)超えたならば(判定Y)、次のステップST23へ進む。
次に、ステップST23において、検出パルス生成回路25は、第1検出パルスCP1を継続して出力し、回転検出回路29は、閾値Vthを超えた第1検出信号CS1の数を継続してカウントする。そして、誘起電流Ipが減少して第1検出信号CS1が閾値Vthを超えなくなった時点で、第1検出信号CS1のカウント値を記憶すると共に、検出パルス生成回路25は、第1検出パルスCP1の出力を停止する(ST23:CP1継続出力)。
次に、検出パルス生成回路25は、第2検出パルスCP2を生成し、ドライバ回路28の出力端子O2から第2検出パルスCP2を出力し、回転検出回路29は第2検出信号CS2を入力して第2検出信号CS2が閾値Vthを超えたか否かを判定する(ST24:第2検出信号有?)。
ここで、第2検出信号CS2が所定の期間内に閾値Vthを所定の数(たとえば2発)超えたならば(判定Y)、ロータ12が1ステップ誤回転したと判定し、回転検出期間TCを終了して逆転パルスFPを出力し(ステップST25)、さらに微小パルスMPの1ランクダウン(ステップST26)を実行する。なお、ステップST25、ST26の動作は、前述した第3の実施形態のステップST5、ST6(図10参照)と同様であるので詳細な説明は省略する。また、ステップST24で判定Yとなったことで、第1検出信号CS1のカウント値は破棄される。
また、ステップST24において、第1検出パルスCP1の出力が停止されてから(ST23)、一定時間経過(たとえば第2検出パルスCP2が6発出力)しても、第2検出
信号CS2が閾値Vthを所定の数(たとえば2発)超えなければ(判定N)、制御回路22は、ロータ12は非回転であると判定して、第2検出パルスCP2の出力を停止し、回転検出期間TCを終了する(ST27:回転検出終了)。
次に、制御回路22は、回転検出期間TCが終了して所定時間後(たとえば1mS後)、ステップモータ10に第2パルスMP2を出力するために、制御信号CN6bを出力して微小パルス生成回路41の第2パルス生成回路43を起動し、第2パルス生成回路43は、第2パルスMP2を生成して出力し、ドライバ回路28は出力端子O1から第2パルスMP2を出力して、ステップモータ10を逆転方向に回転振動させる(ST28:CS1に応じて第2パルス出力)。
このように、第2パルスMP2の出力は、第1検出信号CS1が閾値Vthを超えなくなり、第1検出パルスCP1の出力が停止されてから一定時間経過後に出力される。すなわち、誘起電流Ipによって第1検出パルスCP1のタイミングで発生する第1検出信号CS1が閾値Vthを超えなくなった検出位置に応じて、第2パルスMP2の出力位置が変更されるのである。
たとえば、誘起電流Ipの発生期間が長く続けば、第1検出信号CS1の検出位置が遅くなり、第2パルスMP2の出力位置も遅くなる。また、誘起電流Ipの発生期間が短ければ、第1検出信号CS1の検出位置が早くなり、第2パルスMP2の出力位置も早くなる。
この第2パルスMP2の出力位置について、図20と図21のタイミングチャートを用いて詳述する。まず、図20を用いて微小パルスMPの駆動力が比較的大きい場合の第2パルスMP2の出力位置を説明する。図20において、第1パルスMP1出力後の回転検出期間TCで検出パルスCP1が出力されているとき、ロータ12の回転によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで第1検出信号CS1が発生する。
なお、図20は前述したように、微小パルスMPの駆動力が比較的大きい場合であるので、ステップモータ10のロータ12の回転振動が大きく振れ、このため、誘起電流Ipの発生は比較的長い期間継続する。
ここで、第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST22で判定Yとなり、出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される(矢印K1)。この第2検出パルスCP2は、マイナス側の誘起電流Imを検出するための検出パルスである。一方、第1検出パルスCP1の出力は継続し、プラス側に発生する誘起電流Ipに応じて第1検出信号CS1は閾値Vthを超え続け(点線で示す)、第1検出信号CS1は継続してカウントされる。
次に、図20の時間軸で20mSの手前で、誘起電流Ipが減少して第1検出信号CS1がVthを超えなくなってから第1検出パルスCP1の2発目で第1検出パルスCP1の出力を停止し、この位置を第1検出信号CS1の検出位置と称す。
この第1検出信号CS1の検出位置(矢印K2)から第2検出パルスCP2を所定数(たとえば6発)カウント中にマイナス側の誘起電流Imによって第2検出信号CS2が検出されなければ、第2検出パルスCP2を停止し、約1mS後に出力端子O1から第2パルスMP2を出力する(矢印K3)。なお、第1検出パルスCP1の出力停止後に第2検出パルスCP2を所定数カウントする理由は、第2検出信号CS2が発生しないか(すな
わちロータ12が回転していないか)を確認するためである。
ここで、第1パルスMP1の出力位置T1を起点にすると、第2パルスMP2の出力位置T2は一例として約23mS後である。なお、第1検出信号CS1の検出数(カウント値)は、一例として19発である。このように、第2パルスMP2の出力位置T2は、第1検出信号CS1が検出されなくなった位置(検出位置)によって変更される。
次に、図21を用いて微小パルスMPの駆動力が比較的小さい場合の第2パルスMP2の出力位置を説明する。図21において、第1パルスMP1出力後の回転検出期間TCで検出パルスCP1が出力されているとき、ロータ12の回転によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで第1検出信号CS1が発生する。
なお、図21は前述したように、微小パルスMPの駆動力が比較的小さい場合であるので、ステップモータ10のロータ12の回転振動が小さく振れ、このため、誘起電流Ipの発生は比較的短い期間となる。
ここで第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST22で判定Yとなって出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される(矢印K4)。一方、第1検出パルスCP1の出力は継続し、プラス側に発生する誘起電流Ipに応じて第1検出信号CS1は閾値Vthを超え続け(点線で示す)、第1検出信号CS1は継続してカウントされる。
次に、図21の時間軸で10mSを過ぎた付近で、誘起電流Ipが減少して第1検出信号CS1がVthを超えなくなってから第1検出パルスCP1の2発目で第1検出パルスCP1の出力を停止する(第1検出信号CS1の検出位置)。この第1検出信号CS1の検出位置(矢印K5)から第2検出パルスCP2を所定数(たとえば6発)カウント中に第2検出信号CS2が検出されなければ、第2検出パルスCP2を停止し、約1mS後に出力端子O1から第2パルスMP2を出力する(矢印K6)。
ここで、第1パルスMP1の出力位置T1を起点にすると、第2パルスMP2の出力位置T2は一例として約15mS後である。なお、第1検出信号CS1の検出数(カウント値)は、一例として8発である。このように、図20、図21の説明で明らかなように、第2パルスMP2の出力位置T2は、ロータ12の回転振動によって発生する誘起電流Ipの発生期間に応じて変化する第1検出信号CS1の検出位置によって変更するように制御される。
すなわち、微小パルスMPの駆動力が比較的大きいため、最初の第1パルスMP1によってステップモータ10のロータ12の回転振動が大きく振れて誘起電流Ipの発生期間が比較的長い場合は、次の第2パルスMP2の出力位置T2は、ロータ12の回転振動の大きな振幅に合わせて遅くなる。また、微小パルスMPの駆動力が比較的小さいために、最初の第1パルスMP1によってステップモータ10のロータ12の回転振動が小さく振れて誘起電流Ipの発生期間が比較的短い場合は、次の第2パルスMP2の出力位置T2は、ロータ12の回転振動の小さな振幅に合わせて早くなる。
これにより、電池電圧の変動等によってロータ12の扇形振動の振幅や動き等が変化しても、その変化に合わせて微小パルスMPの第2パルスMP2の出力位置T2を変更するので、指針の扇形振動の動きが滑らかになり、安定した扇形振動を実現できる。
次に、図22を用いて微小パルスMPの駆動力が大きすぎるためにロータ12が回転振
動によって1ステップ誤回転した場合の回転検出期間の動作を説明する。図22において、第1パルスMP1出力後の回転検出期間TCで検出パルスCP1が出力されているとき、ロータ12の回転によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで第1検出信号CS1が発生する。
ここで、第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST22で判定Yとなって出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される(矢印K7)。このとき、第1検出パルスCP1の出力は継続し、プラス側に発生する誘起電流Ipに応じて第1検出信号CS1はVthを超え続け(点線で示す)、第1検出信号CS1はカウントされる。そして、プラス側の誘起電流Ipが減少して第1検出信号CS1がVthを超えなくなってから第1検出パルスCP1の2発目で第1検出パルスCP1の出力を停止する。
一方、微小パルスMPの駆動力が大きすぎるためにロータ12が保持トルクピーク位置B(図5参照)を超えると、駆動コイル11にマイナス側の誘起電流Im(右下がりのハッチングで示す)が発生し、その誘起電流Imに応じて第2検出パルスCP2のタイミングで第2検出信号CS2が発生する。
この第2検出信号CS2が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を2発超えると、前述したステップST24で判定Yとなり、ステップST25に進み、回転検出期間TCを終了して逆転パルスFPが出力される。このように、微小パルスMPの駆動力が大きすぎてロータ12が1ステップ誤回転した場合は、逆転パルスFPを出力することによってロータ12を1ステップ戻すことができる。なお、図22では逆転パルスFPは図示していない。
次に、図19のフローチャートに戻ってステップST29〜ST31の動作フローを説明する。ここで、ステップST29〜ST31は、駆動コイル11に発生するプラス側の誘起電流Ipの発生期間の長さ(すなわち、第1検出信号CS1の検出位置)に応じて、微小パルスMPのランクを変更し、駆動力を選択する動作である。
図19において、ステップST28で第2パルスMP2の出力後、制御回路22は、第1検出信号CS1のカウント値が一例として12発以下か否かを判定する(ステップST29)。ここで、判定Y(カウント値12発以下)であれば、次のステップST30に進み、判定N(カウント値は13発以上)であれば、ステップST26に進んで、微小パルスMPのランクを1ランクダウンする。
これは、第1検出信号CS1のカウント値が大きい(すなわち、誘起電流Ipの発生期間が長くロータ12の回転振動の振幅が大きいため、1ステップ誤回転する可能性がある)ので、次の微小パルスMPの出力から駆動力を低下させるためである。
次に、ステップST29で判定Yであれば、制御回路22は、第1検出信号CS1のカウント値が一例として9発以上か否かを判定する(ステップST30)。ここで、判定Y(カウント値9発以上)であれば、第1検出信号CS1のカウント値は、9〜12発の範囲であって誘起電流Ipの発生期間はちょうど良く、従ってロータ12の回転振動の振幅は適切であると判断して、微小パルスMPのランクは変更せずに扇形振動の1周期を終了(END)する。
また、ステップST30で判定N(カウント値8発以下)であれば、誘起電流Ipの発生期間が短く、従って、ロータ12の回転振動の振幅が小さいので、指針の扇形振動の視
認性が低下する可能性があるため、次の微小パルスMPの出力からランクを1ランクアップさせて駆動力を高くする(ステップST31)。なお、微小パルスMPの駆動力を選択するためのランクダウンとランクアップの動作は、第3の実施形態で示したランク表(図8(b))を使用することができる。
ここで、図20の例では、第1検出信号CS1のカウント値が19発であるので、ステップST26(1ランクダウン)が実行され、図21の例では、第1検出信号CS1のカウント値が8発であるので、ステップST31(1ランクアップ)が実行される。このように、第1検出信号CS1の検出位置をカウント値として数値化して微小パルスMPの駆動力を選択する。
なお、微小パルスMPのランクのアップ/ダウンは、第1検出信号CS1のカウント数に応じてアップ/ダウン量を変えてもよい。たとえば、カウント数が13発以上、16発以下であれば、1ランクダウンを実行し、カウント数が17発以上であれば2ランクダウンを実行するなどである。これにより、さらにきめ細かいランク調整が可能となる。
以上のように第5の実施形態によれば、第1検出信号CS1の検出位置からロータ12の回転振動の動きを把握して第2パルスMP2の出力位置T2を変更することができる。その結果、電池電圧の変動等によって微小パルスMPの駆動力が変動し、扇形振動の動きが変化しても、その変化に合わせて微小パルスMPを供給できるので、指針の扇形振動の動きが滑らかに安定し、見栄えが良く視認性に優れた扇形振動による表示手段を備えた電子時計を提供できる。
また、第2パルスMP2の出力位置の変更と共に、第1検出信号CS1の検出位置を数値化してロータ12の回転振動の状態をきめ細かく把握し、微小パルスMPの駆動力のランクを素早くアップ/ダウンして微小パルスMPの駆動力を選択し調整できる。その結果、振動振幅が安定した扇形振動を継続できると共に、電池電圧の変動等によってステップモータ10が回転振動で1ステップ誤回転してしまう頻度を大幅に減らすことができる。
[第6の実施形態]
[第6の実施形態の電子時計の動作フローの説明:図23]
次に、第6の実施形態の電子時計の動作フローの概略について図23を用いて説明する。この第6の実施形態は、前述した第3の実施形態の応用例であり、第6の実施形態の電子時計の構成と各出力パルスの構成は、第3の実施形態と同様であるので、電子時計の構成は第3の実施形態の構成図(図6)を参照し、各出力パルスの構成は第3の実施形態の波形図(図9)を参照する。
図23において、ステップST40〜ST42の各動作は、前述した第3の実施形態の動作フロー(図10参照)のステップST1〜ST3と基本動作が同じであるので、ここでの説明は省略する。
次に、ステップST42が判定Y(CS1有)の場合、検出パルス生成回路25は、第1検出パルスCP1を継続して出力し、回転検出回路29は、閾値Vthを超えた第1検出信号CS1の数を継続してカウントする。そして、誘起電流Ipが減少して第1検出信号CS1が閾値Vthを超えなくなった時点で、第1検出信号CS1のカウント値を記憶すると共に、検出パルス生成回路25は、第1検出パルスCP1の出力を停止する(ST43:CP1継続出力)。
次に、検出パルス生成回路25は、第2検出パルスCP2を生成し、ドライバ回路28の出力端子O2から第2検出パルスCP2を出力し、回転検出回路29は第2検出信号C
S2を入力して第2検出信号CS2が閾値Vthを超えたか否かを判定する(ST44:第2検出信号有?)。
ここで、第2検出信号CS2が所定の期間内に閾値Vthを所定の数(たとえば2発)超えたならば(判定Y)、ロータ12が1ステップ誤回転したと判定し、回転検出期間TCを終了して逆転パルスFPを出力し(ステップST45)、さらに微小パルスMPの1ランクダウン(ステップST46)を実行する。なお、ステップST45、ST46の動作は、前述した第3の実施形態のステップST5、ST6(図10参照)と同様であるので詳細な説明は省略する。
また、ステップST44で第2検出信号CS2が所定の期間内に閾値Vthを所定の数(たとえば2発)超えなければ(判定N)、制御回路22は、ロータ12は非回転であると判定して第2検出パルスCP2の出力を停止し、回転検出期間TCを終了する(ST47:回転検出終了)。
次に、ステップST47(回転検出終了)以降のステップST48〜ST50の動作を説明する。ここで、ステップST48〜ST50は、駆動コイル11に発生するプラス側の誘起電流Ipの発生期間の長さ(すなわち、第1検出信号CS1の検出位置)に応じて、微小パルスMPのランクを変更し、駆動力を選択する動作である。
ステップST47の回転検出期間TCの終了後、制御回路22は、第1検出信号CS1のカウント値が一例として19発以下か否かを判定する(ステップST48)。ここで、判定Y(カウント値19発以下)であれば、次のステップST49に進み、判定N(カウント値20発以上)であれば、ステップST46に進んで、微小パルスMPのランクを1ランクダウンする。これは、第1検出信号CS1のカウント値が大きい(すなわち、ロータ12の回転振動の振幅が大きいため、1ステップ誤回転する可能性がある)ので、次の微小パルスMPの出力から駆動力を低下させるためである。
次に、ステップST48で判定Yであれば、制御回路22は、第1検出信号CS1のカウント値が一例として17発以上か否かを判定する(ステップST49)。ここで、判定Y(カウント値17発以上)であれば、第1検出信号CS1のカウント値は、17〜19発の範囲であって誘起電流Ipの発生期間はちょうど良く、従ってロータ12の回転振動の振幅は適切であると判断して、微小パルスMPのランクは変更せずに扇形振動の1周期を終了(END)する。
また、ステップST49で判定N(カウント値16発以下)であれば、誘起電流Ipの発生期間が短く、従って、ロータ12の回転振動の振幅が小さいので、指針の扇形振動の視認性が低下する可能性があるため、次の微小パルスMPの出力からランクを1ランクアップさせて駆動力を高くする(ステップST50)。なお、微小パルスMPの駆動力を選択するためのランクダウンとランクアップの動作は、第3の実施形態で示したランク表(図8(b))を使用することができる。
[第6の実施形態の扇形振動の動作説明:図24〜図26]
次に、第6の実施形態の扇形振動の動作について図24〜図26のタイミングチャートを用いて説明する。図24は微小パルスMPの駆動力が比較的大きい場合のタイミングチャートであり、図25は微小パルスMPの駆動力が比較的小さい場合のタイミングチャートである。また、図26は微小パルスMPの駆動力が大き過ぎるためにロータ12が回転振動によって1ステップ誤回転した場合のタイミングチャートである。
図24〜図26において、出力端子O1から第1パルスMP1が出力され、また、出力
端子O2から第2パルスMP2が出力される。ここで、第1パルスMP1、第2パルスMP2の構成と駆動コイル11に流れるコイル電流Ic1、Ic2は前述した第3の実施形態の波形図(図9)とタイミングチャート(図11、図12)と同様である。
また、このときのステップモータ10のロータ12の回転振動は、第2の実施形態の動作図(図5)の軌跡Cと同様に、まず、第1パルスMP1によって逆転方向に回転振動した後、第2パルスMP2によって正転方向に回転振動する。
次に、第2パルスMP2の出力終了後、回転検出期間TCが開始され、出力端子O1に第1検出パルスCP1が出力される。
ここで、微小パルスMPの駆動力が比較的大きい場合の動作を示す図24において、回転検出期間TCで検出パルスCP1が出力されているとき、ロータ12の正転方向の回転振動によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで第1検出信号CS1が発生する。なお、微小パルスMPの駆動力が比較的大きい場合であるので、ステップモータ10のロータ12の回転振動が大きく振れ、このため、誘起電流Ipの発生は比較的長い期間継続する。
ここで、第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST42で判定Yとなって出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される(矢印K8)。このとき、第1検出パルスCP1の出力は継続し、プラス側に発生する誘起電流Ipに応じて第1検出信号CS1はVthを超え続け(点線で示す)、第1検出信号CS1は継続してカウントされる。
次に、図24の時間軸の25mS付近で、誘起電流Ipが減少して第1検出信号CS1がVthを超えなくなってから第1検出パルスCP1の2発目で第1検出パルスCP1の出力を停止し、第1検出信号CS1のカウント値は記憶される。ここで、図24で示す例では、前述したように、微小パルスMPの駆動力が比較的大きい場合であり、誘起電流Ipの発生は比較的長い期間継続するので、カウント値は一例として20発である。
一方、第2検出パルスCP2は継続して出力され、マイナス側の誘起電流Imの発生によって第2検出信号CS2が出力するのを待つが、ロータ12は非回転のために誘起電流Imは発生せず、第1パルスMP1の出力位置T1を起点にすると、第2検出パルスCP2は一例として30mSで出力を停止する。なお、第2検出パルスCP2は、第1検出パルスCP1の停止に合わせて停止してもよい。
ここで、図24の例では、第1検出信号CS1のカウント値が20発であるので、動作フロー(図23参照)のステップST48で判定Nとなり、ステップST46で1ランクダウンが実行され、微小パルスMPは1ランク低い駆動力が選択される。このように、第1検出信号CS1の検出位置(カウント値)に応じて、微小パルスMPの駆動力が直ちに調整される。
次に、微小パルスMPの駆動力が比較的小さい場合の動作を示す図25において、回転検出期間TCで検出パルスCP1が出力されているとき、ロータ12の正転方向の回転振動によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで第1検出信号CS1が発生する。なお、微小パルスMPの駆動力が比較的小さい場合であるので、ステップモータ10のロータ12の回転振動は小さく振れ、このため、誘起電流Ipの発生は比較的短い時間となる。
ここで、第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST42で判定Yとなって出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される(矢印K9)。このとき、第1検出パルスCP1の出力は継続し、プラス側に発生する誘起電流Ipに応じて第1検出信号CS1はVthを超え続け(点線で示す)、第1検出信号CS1は継続してカウントされる。
次に、図25の時間軸の18mS付近で、誘起電流Ipが減少して第1検出信号CS1がVthを超えなくなってから第1検出パルスCP1の2発目で第1検出パルスCP1の出力を停止し、第1検出信号CS1のカウント値は記憶される。ここで、図25で示す例では、前述したように、微小パルスMPの駆動力が比較的小さい場合であり、誘起電流Ipの発生は比較的短い時間となるので、カウント値は一例として15発である。
一方、第2検出パルスCP2は継続して出力され、マイナス側の誘起電流Imの発生によって第2検出信号CS2が出力するのを待つが、ロータ12は非回転のために誘起電流Imは発生せず、第1パルスMP1の出力位置T1を起点にすると、第2検出パルスCP2は一例として30mSで出力を停止する。
ここで、図25の例では、第1検出信号CS1のカウント値が15発であるので、動作フロー(図23参照)のステップST48で判定Yとなり、さらに、次のステップST49で判定Nとなり、ステップST50で1ランクアップが実行され、微小パルスMPは1ランク高い駆動力が選択される。
次に、微小パルスMPの駆動力が大き過ぎるためにロータ12が回転振動によって1ステップ誤回転した場合の動作を示す図26において、回転検出期間TCで検出パルスCP1が出力されているとき、ロータ12の正転方向の回転によって駆動コイル11にプラス側の誘起電流Ip(右上がりのハッチングで示す)が発生すると、その誘起電流Ipに応じて第1検出パルスCP1のタイミングで第1検出信号CS1が発生する。
ここで第1検出信号CS1が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を3発超えると、前述したステップST42で判定Yとなって出力端子O2から第2検出パルスCP2が出力される(矢印K10)。このとき、第1検出パルスCP1の出力は継続し、プラス側に発生する誘起電流Ipに応じて第1検出信号CS1はVthを超え続け(点線で示す)、第1検出信号CS1は継続してカウントされる。そして、プラス側の誘起電流Ipが減少して第1検出信号CS1がVthを超えなくなってから第1検出パルスCP1の2発目で第1検出パルスCP1の出力を停止する。
一方、微小パルスMPの駆動力が大きすぎるためにロータ12が保持トルクピーク位置B(図5参照)を超えると、駆動コイル11にマイナス側の誘起電流Im(右下がりのハッチングで示す)が発生し、その誘起電流Imに応じて第2検出パルスCP2のタイミングで第2検出信号CS2が発生する。
この第2検出信号CS2が、回転検出回路29の閾値Vth(点線で示す)を2発超えると、前述したステップST44で判定Yとなり、ステップST45に進み、回転検出期間TCを終了して逆転パルスFPが出力され、ロータ12を1ステップ戻すことができる。なお、図26では逆転パルスFPは図示していない。
以上のように第6の実施形態によれば、前述した第3の実施形態と同様に、一組の微小パルスMPを出力後、ロータ12の回転検出を実施し、ロータ12が誤って1ステップ回転した場合、逆転パルスFPによってロータ12を1ステップ戻すことができるので、誤
動作のない指針の扇形振動による表示手段を備えた電子時計を提供できる。
また、ロータ12の回転振動の状態を第1検出信号CS1の検出位置(カウント値)によってきめ細かく把握し、回転振動の状態に応じて素早く微小パルスMPの駆動力を選択し調整するので、振動振幅が安定した扇形振動を継続できると共に、電池電圧の変動等によってステップモータ10が回転振動で1ステップ誤回転してしまう頻度を大幅に減らすことができる。
[第7の実施形態]
[第7の実施形態の電波時計の動作説明:図27]
次に、第7の実施形態の動作について図27を用いて説明する。この第7の実施形態は、第1〜第6の実施形態で示した電子時計の扇形振動による表示手段を電波修正機能付き電子時計(以下、電波時計と略す)の受信時の表示に応用した例である。
一般に電波時計は、所定の時刻に自動で、または使用者の操作によって、時刻情報を含む標準電波を受信し時刻を修正するが、その標準電波の受信には、通常、3分から10分程度の時間が必要である。これは、標準電波は1分間のタイムコードにすべての時刻情報を含んでいるが、電波時計は、この1分間のタイムコードを複数回受信して受信データを照合し、受信の確度を高めているからである。
また、電波時計がステップモータによるアナログ表示時計である場合、ステップモータの運針中は、ステップモータから電磁ノイズが発生し、標準電波の受信を妨害する可能性がある。このため、標準電波の受信中はステップモータの運針を停止する必要がある。しかし、受信中の3分から10分の間、ステップモータの運針を停止していると、使用者は時計が標準電波の受信中なのか、故障して止まっているのかの区別がつかず、使用者に不安を与えることになり、使い勝手が悪い。この問題を解決するために、本発明の指針の扇形振動による表示手段が有効であるので図27を用いて説明する。
図27において、標準電波のタイムコードは、よく知られているように、00秒から次の00秒までの60秒間にすべての時刻情報を含んでいる。このタイムコードの概略を説明すると、初めの0秒台は分情報であり、10秒台は時情報であり、20秒台と30秒台前半は月日情報(通算日)であり、30秒台後半はパリティであり、40秒台は年情報であり、50秒台前半は曜日とうるう秒情報であり、50秒台後半の55秒から次の00秒までの5秒間は、意味を持たないコード“0”である。
ここで、電波時計は、標準電波の受信動作において、1分間のタイムコードすべてを受信し、その受信を何回か繰り返すが、前述したようにタイムコードの中で、必要な時刻情報は、00秒から55秒までの間であり、55秒から次の00秒までの5秒間は、時刻情報を含まないコード“0”であるので、この5秒間にノイズが到来しても標準時刻の受信に影響を与えることがない。
従って、第7の実施形態の電波時計は、標準電波の受信がスタートすると、タイムコードの00秒から55秒までは、ステップモータ10にいかなる駆動パルスも供給せず、指針を停止した状態(たとえば、0秒位置)にする。また、タイムコードの55秒から次の00秒までを受信する5秒間は、ステップモータ10に微小パルスMPをたとえば第1の実施形態の構成(図2参照)で供給し、指針を32mS周期で扇形振動させて、使用者に対して、現在、標準電波の受信中であることを伝える動作を実施する。
これにより、電波時計の使用者は、仮に電波時計が自動で受信モードに移行したとしても、1分間に5秒間実施される指針の扇形振動によって、現在、標準電波の受信中である
ことを認識でき、使用者の不安が解消され、時計の状態が分かりやすく使い勝手が良い電波時計を提供できる。また、扇形振動は時刻情報を含まない受信期間のみに動作するので、標準電波の時刻情報を安定して受信する高性能な電波時計を提供できる。
[第7の実施形態の変形例の電波時計の動作説明:図28]
次に、第7の実施形態の変形例の動作について図28を用いて説明する。図28において、標準電波のタイムコードは、ポジションマーカーP0〜P5と呼ばれるマーカーが1分間に10秒間隔毎6回1秒間ずつ出力される。このポジションマーカーP0〜P5は、時刻情報を含まず、この期間にノイズが到来しても標準時刻の受信に影響を与えることがない。
従って、第7の実施形態の変形例では、この10秒毎のポジションマーカーP0〜P5に同期して、10秒毎に1秒間だけステップモータ10に微小パルスMPを供給して指針による扇形振動を実施し、それ以外の時刻情報の受信期間では、ステップモータ10を停止する動作を行う。なお、ポジションマーカーP0〜P5の期間は1秒間であって短いが、本発明の扇形振動は、たとえば、32mS周期で高速に指針を振動させることができるので、1秒間であっても使用者は指針の振動を十分に認識することができる。
これにより、電波時計の使用者は、仮に電波時計が自動で受信モードに移行したとしても、10秒毎に指針による扇形振動が実施されるので、現在、標準電波の受信中であることをより明確に認識でき、使用者の不安が解消され、時計の状態が分かりやすく使い勝手が良いと共に、扇形振動は時刻情報を含まない受信期間のみに動作するので、標準電波の時刻情報を安定して受信できる高性能な電波時計を提供できる。
なお、扇形振動の期間を、第7の実施形態のように55秒から00秒までの期間と、変形例のようにポジションマーカーP0〜P5の期間を組み合わせて実施してもよい。これにより、使用者に対してさらに明確に標準電波の受信中であることを伝えることができる。
また、本発明の電子時計の扇形振動による表示手段は、第7の実施形態の電波時計に限らず、前述したように、ストップウォッチ機能付き電子時計において、時間計測中であることを示すためにクロノグラフ針を扇形振動させたり、また、電池電圧の低下によってパワーセーブ中であることを示すために秒針を0秒位置に停止して扇形振動させるなど、低消費電力であることを利用して幅広く適用することができる。
また、本発明の扇形振動手段は、微小パルスMPの駆動力を選択することで、指針による扇形振動の振幅を任意に調整できる。これにより、扇形振動の振幅を小さくして、扇形振動をさせながら、その指針によって特定の情報を指示する指示手段としても使用できる。たとえば、モード表示針によって時計の現在モードを指示しながら、電池電圧が低下した場合に、そのモード表示針を所定の期間、扇形振動させることで、モード表示と共に、電池電圧低下情報も伝えることができる。
なお、本発明の各実施形態で示した構成図、フローチャート、タイミングチャート等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更することができる。